当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループ共通の経営理念として、以下の Purpose / Vision / Credo を掲げております。
Purpose(存在意義)「人と社会、環境との共生と調和を実現する」
・私たちは、不動産価値の創造を通じて、人と社会に豊かさを育みます。
・私たちが不動産の価値創造に取り組むとき、常に環境との共生を念頭において思考し、行動します。
・持続可能な世界を目指して、「人・社会・環境」の調和の実現に取り組みます。
Vision(ありたい姿)「不動産価値創造のプロフェッショナル集団」
・不動産の隠れた価値を見抜き、社会の変化を捉えた独自の発想力で潜在的ニーズとつなぎ、新たな価値を創造します。
・多彩な物件・サービスを最も適した手法で、幅広い顧客に届けるバリューチェーンを築きます。
・個の力を集結し、「不動産の達人」としてのプロフェッショナル集団を目指します。
Credo(信念)「空間は、もっと人の力になれる。」
(2)目標とする経営指標
当社グループは、これまで財務基盤の強化と収益性の向上を経営目標としておりました。しかしながら、最近の当社グループを取り巻く事業環境の変化が大きいことから、安定的な収益の確保にも注力し、経営成績の改善を進めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、1999年の創業以来、四半世紀にわたり企画開発力を活かして、都心部にデザイン性の高いレジデンスを開発する不動産デベロッパーとしてのブランドと地位を確立してまいりました。
最近5年間においては、2017年と2020年の第三者割当増資によって財務力が大きく強化され、加えて、2022年のグループ会社戦略の見直しにより、自己資本比率と手元流動性が大きく向上いたしました。
2022年12月9日に公表いたしました中期経営計画は、従来からのコアコンピタンス(強み)である企画開発力を基盤とし、強化された財務力を活かして、いかにして不透明な事業環境への対応をしつつ成長スピードを加速するかという二つの経営課題に的確に対応すべく策定しております。
まずは2023年9月期~2025年9月期の3か年を第1フェーズとして、事業面では、物流開発事業の立ち上げ、ファンドマネジメント事業の拡大、自己保有収益物件のポートフォリオ構築を主たるテーマとし、これらの実現を図る計画です。更に「金融」「国際」「DX」という3つのキーワードを掲げ、新たな資金調達手法の実現、アジア圏を中心とする海外顧客基盤の拡大、DXによる経営可視化などを促進してまいります。これらによって、「成長基盤」と「環境変化に対する耐性」の両面を強化してまいります。2026年9月期から始まる第2フェーズにおいては、第1フェーズを準備期間として位置づけたBtoBの国際事業や不動産金融事業を本格的に展開することを計画しております。両フェーズ通じて、ESGの観点から、環境に配慮した開発事業、ダイバーシティの推進、内部統制強化にも取り組んでまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、将来にわたってグループの成長を継続させ企業価値の向上を実現するために、以下の課題に取り組んでまいります。
1)事業規模の拡大
企画開発力の強みを活かしたマンション開発・オフィス開発に加えて、収益不動産および物流開発などへの投資の拡大、ファンドマネジメント事業やコーポレートレンディング事業(貸金業)への参入も行い、事業の拡大を図ってまいります。
2)コストコントロール
国内外の経済情勢等の影響による原材料価格の高騰や建設技術者不足に伴う工事の長期化や遅延等により見込まれる建設コスト増加に対応するため、進捗管理の徹底を図ってまいります。
3)安定的な収益の確保
優良な不動産をより多く世の中に供給し、利益率の向上による事業規模の拡大をビジネスモデルの中枢としておりますが、事業環境変化への耐性を強化するため、収益不動産投資等を通じてインカムゲインによる収益を確保し、安定した収益基盤の構築を推進してまいります。また、インカムゲインの源泉となる自己保有資産の拡大を進めてまいります。
4)資金調達手段の多様化と財務基盤の健全性確保
金融市場の先行き不透明感もあり、今後金利の上昇やローン構築が困難となるケースも想定し、持続的成長のために財務基盤の健全性を確保しつつ、資金調達手段の多様化に取り組んでまいります。
5)優秀な人材の確保・育成
中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題への取組みに際して、変化に対応し社会的な価値を創出することのできる優秀な人材を確保し、持続的な成長を支え得る人材の育成及び、パフォーマンス最大化のための環境の整備・改善に注力してまいります。
6)内部統制・コンプライアンスの強化
企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスに徹底して取り組んでまいります。関係法令・規則の遵守はもとより、顧客情報管理等に対するセキュリティーポリシーを確立し、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指して社内教育を行ってまいります。また、反社会的勢力との関係に対しては、断固とした対応で臨むことにより一切の関係を遮断し、コンプライアンスに則った経営を行ってまいります。
7)リスクマネジメントへの取組み
事業環境の変化に対応するための適切なリスクテイクの意思決定に基づく当社グループの持続的成長と、中長期的な企業価値の向上を図るために、リスクマネジメントの強化を継続してまいります。また、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、今後何らかの不測の事態が生じた場合にも備え、テレワークや時差出勤など業務に支障が生じない勤務体制を構築、維持するなど、適切な対策を検討・実施してまいります。
8)デジタルトランスフォーメーションの取り組み
業績変動リスクや事業リスクなどに対し、より的確な対応が行えるよう、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて将来の業績や事業の進捗を迅速に把握できる「経営の可視化」の仕組みを構築してまいります。
当社グループは、以上のような経営方針の下、当社の発想力を発揮した事業展開を推進することで、着実な企業価値の向上を実現してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、環境変化に対応した会社全体の将来ビジョンと目標を定めるため「中期経営計画」を策定し、計画達成のため、取締役の職務権限と担当業務を明確にし、職務の執行の効率化を図っております。また、リスク管理及び法令遵守の徹底のため、リスク管理委員会・コンプライアンス委員会を設置し、代表取締役社長を委員長とし、コーポレート本部長のほか、委員長が指名する役員及び従業員を構成員として定期的に開催しております。業務執行については、取締役会における決定事項の周知、執行役員相互の連絡・連携及び経営上の重要事項を審議する機関として「執行役員会」を設置するとともに、投資案件の審議の充実化と効率化を目的に「投資委員会」を設置しております。
なお、サステナビリティ関連を含む当社のコーポレート・ガバナンスの全体像につきましては、「
(2)戦略
当社は2022年7月に経済産業省が定める「DX認定事業者」を取得し、経営管理の透明性確保、社内データの一元管理・可視化促進、業務効率化によるコスト削減などの課題に対し、DX推進による解決を戦略として掲げております。こうした戦略の実現のため、社長直轄の部署としてDX推進本部を設置し、迅速な意思決定や、全社の取り組みを推進できる組織体制を設計しております。
DX推進本部における取り組みや各会議体や委員会等で議論された内容を、中期経営計画にも還元することで、サステナビリティ課題に対処していくことを基本的な戦略としております。
当社グループでは、人生の中の「働く」時間を大切にできるよう職場環境の構築に取り組んでおります。具体的には、人材の活用・職場環境の向上のため、人事評価、報酬制度の見直し、女性活躍やダイバーシティの推進、在宅勤務の制度化等、働きやすい職場環境の確立に取り組んでおります。2023年10月には、こうした取り組みによって「健康優良企業 銀の認定」を取得しました。
また、人材の多様性の確保を含む採用や育成の方針については、性別・国籍・中途採用等の属性に関わらず全社員に平等な評価および昇格の機会を設けております。これらの人材に対する基本的考えに加え、成長途上であり新規事業展開等による事業環境の変化も多い当社グループにおいては、社内環境整備についても毎期見直しを行い、取り組むこととしております。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ課題を含む、リスク要因をリスク管理委員会において評価し、評価結果に応じて対応計画を策定のうえ対応しております。
また、社内における各部門の様々な情報や問題認識の共有を目的として、取締役及び執行役員を主要メンバーとして執行役員会を毎週1回開催しており、意思決定の迅速化を図るとともに、リスク要因の評価、管理、解消を図っております。
(4)指標及び目標
当社グループは、「
環境保全
・サステナブルな開発物件の拡大
・サステナビリティ重視の取引先拡大
・グリーンファイナンスの検討・導入
多様性配慮
・継続的な高品質物件の提供
・地域・社会への貢献
・
透明性確保
・内部統制強化
・HP等での開示情報の充実
・DX推進による経営管理の透明性確保
当社グループの事業内容その他に関するリスクについて、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業内容その他のリスクに該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の予防又は回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんのでご留意下さい。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況及び不動産市況について
当社グループは、景気動向、金利動向、地価動向、不動産販売価格動向、不動産税制等の影響を受けやすいため、不動産市況の悪化、大幅な金利の上昇等、諸情勢に変化があった場合には、用地及び収益不動産の仕入、販売価格や販売スケジュール及び棚卸資産評価損の計上等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、金融市場の先行き不透明感により、ローン構築の不成立や顧客購入意欲の低下の可能性があり、販売価格や保有不動産の評価を下げる必要がある等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)建築費等の増加に関するリスク
国内外の経済情勢等の影響による物価高騰などの問題が発生した場合には、施工会社にて調達する原材料価格が高騰し、建築費の上昇という結果をもたらす可能性がありますので、経済情勢や建築費等の動向を注視し、コントロールに努めております。
また、建設マネジメント部において各工事の進捗把握に努め、特に重要な事象が発生した場合には当社の経営会議にて審議のうえ対応を行っておりますが、施工会社における建設技術者不足や開発計画時において予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や遅延、変更、中断等が生じた場合にはコストが増加し、コスト増加分を販売価格や賃料に転嫁することができない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制等について
当社グループの属する不動産業界は、「建築基準法」、「国土利用計画法」、「都市計画法」、「宅地建物取引業法」等、建築や不動産取引に関わる多数の法令及び各自治体で定められる建築に関する条例等の法的規制を受けております。このため、将来におけるこれらの法的規制の改廃、大幅な変更、新法の制定等により、事業計画の見直しの必要が生じる場合やこれらの法的規制等に定める事項に違反した場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)業績の変動要因について
当社グループにおける不動産の売却収入は、不動産売買契約締結後、顧客への引渡しが完了した時点で売上を計上しております。このため、当社グループの業績を四半期ごとに比較した場合、マンションの竣工や引渡しのタイミングにより売上高及び経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が変動するため、四半期ごとの業績は必ずしも他の四半期の業績と比較して均一にはならず、各四半期の業績の偏重の度合は過年度の四半期業績と同様になるとは限りません。また、仕入計画の未達、販売の不振、不動産売買契約締結後のキャンセル、建築工期の遅延や建築確認手続の遅延等により引渡し時期が各決算期末を越えた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)棚卸資産の評価及び固定資産の減損に関する会計処理の適用等について
当社グループにおいて開発した販売用不動産、開発中の仕掛販売用不動産並びに取得した販売用不動産について、経済情勢や不動産市況の悪化等により販売用不動産としての価値が帳簿価額を下回った場合には、棚卸資産の簿価切下げ処理に伴う評価損が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが安定的な収益及びキャッシュ・フローを長期的に獲得することを目的として保有している賃貸等不動産やその他の投資として計上している固定資産について、減損の兆候があり、当該資産の生み出す割引後将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、日本の会計制度は、国際財務報告基準導入に伴いそれまでの会計基準が大きく改訂される可能性があり、企業の財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6)土壌汚染対策等について
土地の汚染調査や汚染の除去等の安全対策を義務付けた「土地汚染対策法」が2003年2月15日に施行されております。当社グループにおける土地の仕入に際しては、当該土地の過去の地目、所有者、住宅地図等から地歴を調査し、当該土地について土壌汚染の有無を検討しております。当該土地において過去に工場等の存在が確認され、汚染の可能性がある場合は土壌汚染調査を行い、土壌汚染が判明した場合には専門業者による汚染原因の除去等を実施しております。これらの土壌汚染対策費用や、当該土地の近隣地からの汚染物質の流入による二次汚染等の対策費用については、当社で費用負担が発生する場合があります。当社が取得を予定している土地や既に取得した事業用地において土壌汚染が発見された場合、追加的な土壌汚染対策費用の発生や土壌汚染の除去工事による建築スケジュールの遅延等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)開発物件に対する周辺住民からの訴訟等について
当社グループが事業化する開発物件については、関係する法律、自治体の条例等を十分検討したうえで、周辺環境との調和を重視した開発計画を立案するとともに、必要に応じて周辺住民に対し事前に説明会を実施するなど十分な対応を講じております。しかしながら、事業化する開発物件において、土壌汚染、当該近隣地域の日照・眺望問題等の発生に起因する開発遅延や、開発段階における建設中の騒音、物件の瑕疵の発見、管理状況に対するオーナーからのクレーム、入退去時の居住者とのトラブル等の発生を理由とする又はこれらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)物件に纏わる費用について
不動産には、権利、地盤、地質、構造などに関して欠陥、瑕疵等が存在している可能性があります。当社グループは、建設マネジメント部により品質チェックを行って事業を推進しておりますが、欠陥、瑕疵等の状態によっては、資産価値の低下を防ぐために、予定外の費用を負担せざるを得ない場合があります。
また開発物件については、設計並びに建築工事等を設計事務所や建設会社等に発注しております。設計会社並びに建設会社の選定から工程の進捗に至るまで、入念に外注先管理を行っておりますが、外注先の倒産や工事中の事故などが発生した場合、工事の遅延・中止・建築費用の上昇などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)個人情報の漏洩について
当社グループは、多数のお客様の個人情報等をお預かりしております。当社グループでは、プライバシーマーク(認定番号第10700010(07)JIS Q15001:2006準拠)を取得しており、個人情報については、厳重に管理しております。また、社内の情報管理システムを強化するとともに、従業員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底を行っております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10)偶然不測の事故・自然災害について
火災、落雷、大雨及び地震等の天災や戦争、暴動、テロ等の人災により、当社グループの開発物件及び当社が保有している物件について滅失、劣化又は毀損等が生じた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)契約不適合責任(瑕疵担保責任)について
当社グループが事業化する開発物件については、信頼しうる施工会社に建設工事を発注し、各工程での重要ポイントを確認し、体系的な品質管理による高品質な開発物件の提供を行っておりますが、万一、建物竣工後、設計・施工上の不具合等に起因する売主としての契約不適合責任(瑕疵担保責任)を問われた場合には、売買契約の錯誤無効や損害賠償請求の訴訟の対象とされる可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、土地については、土地の仕入時及び開発中において一定の調査を行っておりますが、物件の引渡し後に瑕疵が発見され、当社グループが是正又は賠償する必要が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)感染症等の影響について
テレワークや時差勤務など業務に支障が生じない体制を構築、維持しておりますが、新型コロナウイルス感染症のように、治療方法が確立されていない新型の感染症が急速に拡大した場合、当社の従業員に感染者が出る可能性を完全に排除することは困難であり、万一、社内での感染拡大が発生した場合は業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、政府による外出自粛要請に基づく不動産取引の停滞、消費マインドの冷え込みによる長期的な景気悪化等が生じる場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況 (単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
45,920 |
19,273 |
△26,646 |
△58.0 |
|
営業利益 |
2,397 |
2,004 |
△393 |
△16.4 |
|
経常利益 |
1,498 |
1,009 |
△489 |
△32.6 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,064 |
898 |
△1,166 |
△56.5 |
|
営業利益率 |
5.2 |
10.4 |
5.2ポイント |
|
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな景気の回復が見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化等による原材料・原油価格の高騰や為替相場の変動等に起因した物価高に加え、今後の金利動向や建設業界における人手不足など、先行きに対する不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループは、2022年12月に開示いたしました「中期経営計画策定のお知らせ」に記載のとおり、当連結会計年度を第1フェーズの初年度と位置付け、開発用地や収益不動産の取得を推進すると同時に新設部門の足固めに注力した一方、不動産開発事業や九州開発事業等が物件の販売を牽引し、当連結会計年度においては25物件の売却が完了しました。このうち2物件については取引先からの強い要望に伴い、土地での売却となったことが要因となり、当初予定していた売上高に対しては85%の進捗に留まったものの、高い利幅を確保したことで営業利益は開示予算対比106%の増加となりました。
一方、前連結会計年度に含まれていた株式会社THEグローバル社の業績については、当連結会計年度において、2022年9月に行った株式売却により連結除外となっていることから、前期対比においては減収減益となっております。この結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高19,273百万円(前期比58.0%減)、営業利益2,004百万円(前期比16.4%減)、経常利益1,009百万円(前期比32.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益898百万円(前期比56.5%減)となりました。
セグメントの業績の概要は、以下のとおりであります。各セグメントの売上高の金額は、セグメント間の内部売上高を含めない数値を記載しております。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分の見直しを行っており、比較・分析は変更後の区分に基づいております。
報告セグメントの区分についての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報 1.報告セグメントの概要 (2)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
(不動産開発事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
40,665 |
9,642 |
△31,022 |
△76.3 |
|
セグメント利益 |
5,555 |
2,058 |
△3,496 |
△62.9 |
|
セグメント利益率 |
13.7 |
21.4 |
7.7ポイント |
|
当連結会計年度における売上高は9,642百万円(前期比76.3%減)、セグメント利益は2,058百万円(前期比62.9%減)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に物件の売却収入となります。
(戦略開発事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
1,804 |
1,476 |
△328 |
△18.2 |
|
セグメント利益 |
181 |
161 |
△20 |
△11.3 |
|
セグメント利益率 |
10.1 |
10.9 |
0.8ポイント |
|
当連結会計年度における売上高は1,476百万円(前期比18.2%減)、セグメント利益は161百万円(前期比11.3%減)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に物件の売却収入となります。
(不動産投資事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
- |
2,311 |
2,311 |
- |
|
セグメント利益又は セグメント損失(△) |
△184 |
381 |
566 |
- |
|
セグメント利益率 |
- |
16.5 |
- |
|
当連結会計年度における売上高は2,311百万円(前期は売上高なし)、セグメント利益は381百万円(前期は184百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に物流施設開発物件の売却収入となります。
(不動産ファンド事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
153 |
248 |
94 |
61.3 |
|
セグメント損失(△) |
△99 |
△443 |
△343 |
- |
|
セグメント利益率 |
- |
- |
- |
|
当連結会計年度における売上高は248百万円(前期比61.3%増)、セグメント損失は443百万円(前期は99百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に投資物件における期中のアセットマネジメントフィー収入及び連結対象となっているSPCにおける賃貸収入となります。
(国際事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
- |
995 |
995 |
- |
|
セグメント利益又は セグメント損失(△) |
△169 |
13 |
183 |
- |
|
セグメント利益率 |
- |
1.4 |
- |
|
当連結会計年度における売上高は995百万円(前期は売上高なし)、セグメント利益は13百万円(前期は169百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に物件の売却収入となります。
(九州開発事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
2,138 |
4,475 |
2,336 |
109.2 |
|
セグメント利益 |
137 |
750 |
612 |
447.2 |
|
セグメント利益率 |
6.4 |
16.8 |
10.4ポイント |
|
当連結会計年度における売上高は4,475百万円(前期比109.2%増)、セグメント利益は750百万円(前期比447.2%増)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に物件の売却収入となります。
(その他事業)
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
1,157 |
123 |
△1,033 |
△89.3 |
|
セグメント損失(△) |
△1,798 |
△368 |
1,429 |
- |
|
セグメント利益率 |
- |
- |
- |
|
当連結会計年度における売上高は123百万円(前期比89.3%減)、セグメント損失は368百万円(前期は1,798百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度の売上高は、主に賃貸管理手数料収入となります。
② 財政状態の状況
(単位:百万円、%)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
総資産 |
52,591 |
67,818 |
15,227 |
29.0 |
|
負債 |
26,536 |
42,459 |
15,922 |
60.0 |
|
純資産 |
26,055 |
25,359 |
△695 |
△2.7 |
|
自己資本比率 |
47.6 |
37.4 |
△10.2ポイント |
|
当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ15,227百万円増加し、67,818百万円となりました。主な要因といたしましては、現金及び預金、匿名組合出資金がそれぞれ2,648百万円、3,143百万円減少したものの、販売用不動産、仕掛販売用不動産がそれぞれ11,216百万円、8,519百万円増加したこと等によるものであります。
なお、販売用不動産、仕掛販売用不動産の投資等による発生額は46,219百万円、売却等による回収額は26,483百万円であり、純増額は19,735百万円であります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ15,922百万円増加し、42,459百万円となりました。主な要因といたしましては、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金がそれぞれ4,892百万円、10,264百万円増加したこと等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ695百万円減少し、25,359百万円となりました。主な要因といたしましては、利益剰余金が503百万円増加、自己株式が214百万円増加し、匿名組合出資金の一部を譲渡し連結対象子会社から持分法適用会社となった子会社への非支配株主持分990百万円が減少したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、24,096百万円の支出(前期は16,722百万円の支出)となりました。主な要因として、税金等調整前当期純利益が1,347百万円あったものの、棚卸資産の増加額、営業貸付金の増加額がそれぞれ23,873百万円、1,150百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,499百万円の収入(前期は4,864百万円の収入)となりました。主な要因として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入、関係会社出資金の売却による収入がそれぞれ2,434百万円、952百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、17,846百万円の収入(前期は14,362百万円の収入)となりました。主な要因として、長期借入金の返済による支出8,902百万円があったものの、長期借入れによる収入が25,539百万円あったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
1) 生産及び受注実績
当社グループの各事業は、生産及び受注実績を定義することが困難であるため、生産及び受注実績の記載はしておりません。
2) 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
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金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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不動産開発事業 |
17,169 |
48.0 |
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戦略開発事業 |
1,567 |
364.6 |
|
不動産投資事業 |
664 |
221.4 |
|
不動産ファンド事業 |
4,415 |
108.5 |
|
国際事業 |
3,077 |
269.7 |
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九州開発事業 |
1,298 |
163.7 |
|
その他事業 |
- |
- |
|
合計 |
28,191 |
66.3 |
(注)1.当連結会計年度のセグメント間の取引はありません。
2.当連結会計年度より報告セグメントの区分の見直しを行っており、比較は変更後の区分に基づいております。報告セグメントの区分についての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報 1.報告セグメントの概要 (2)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
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金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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不動産開発事業 |
9,642 |
23.7 |
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戦略開発事業 |
1,476 |
81.8 |
|
不動産投資事業 |
2,311 |
- |
|
不動産ファンド事業 |
248 |
161.3 |
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国際事業 |
995 |
- |
|
九州開発事業 |
4,475 |
209.2 |
|
その他事業 |
123 |
10.7 |
|
合計 |
19,273 |
42.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より報告セグメントの区分の見直しを行っており、比較は変更後の区分に基づいております。報告セグメントの区分についての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報 1.報告セグメントの概要 (2)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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DSA I合同会社 |
8,530 |
18.6 |
- |
- |
|
大和証券リアルティ株式会社 |
- |
- |
2,310 |
12.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産及び負債の報告のうち、報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に棚卸資産の評価、有形固定資産の評価、投資有価証券の評価、貸倒引当金、繰延税金資産の回収可能性及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断、評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループは、不動産開発事業において14物件、戦略開発事業において3物件、国際事業において2物件の売却等を行い、不動産投資事業において第1号案件となる物流開発施設を竣工1ヶ月での早期売却を実現いたしました。
また、九州開発事業においては分譲マンション5棟193戸の売却を行い、当社グループの収益に大きく貢献いたしました。
この結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高19,273百万円(前期比58.0%減)、営業利益2,004百万円(前期比16.4%減)、経常利益1,009百万円(前期比32.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益898百万円(前期比56.5%減)となりました。
1) 売上高
前期に含まれていた株式会社THEグローバル社の業績について、当連結会計年度においては2022年9月に行った株式売却により連結除外となったこと等により、当連結会計年度における売上高は19,273百万円となり、前期と比較して26,646百万円の減少となりました。
なお、セグメント別の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。
2) 売上原価・売上総利益
当連結会計年度における売上原価は15,053百万円となり、前期と比較して23,006百万円の減少となりました。これは売上高の減少に比例して減少したものとなります。
また、当連結会計年度における売上総利益は4,220百万円となり、前期と比較して3,640百万円の減少となりました。
3) 販売費及び一般管理費・営業利益
売上高と同様、株式会社THEグローバル社の株式売却による影響等から、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,215百万円となり、前期と比較して3,247百万円の減少となりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は、2,004百万円となり、前期と比較して393百万円の減少となりました。
4) 営業外損益・経常利益
当連結会計年度における営業外収益は13百万円となり、前期と比較して386百万円の減少となりました。
主な要因として、前期において株式会社THEグローバル社にて債権の回収が行われたことによる貸倒引当金戻入額の計上208百万円があったこと等によるものであります。
当連結会計年度における営業外費用は1,008百万円となり、前期と比較して290百万円の減少となりました。
主な要因として、前期において株式会社THEグローバル社にて支払利息433百万円(連結相殺後)の計上があったこと等によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度の経常利益は1,009百万円となり、前期と比較して489百万円の減少となりました。
5) 特別損益・当期純利益
当連結会計年度における特別利益は337百万円となり、前期と比較して812百万円の減少となりました。
主な要因として、当連結会計年度において出資金売却益276百万円の計上があったものの、前期において株式会社THEグローバル社の全株式を売却したことによる関係会社株式売却益1,060百万円を計上したこと等によるものであります。
当連結会計年度における特別損失は0百万円となり、前期と比較して4百万円の減少となりました。
主な要因として、前期において固定資産除却損4百万円を計上したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は1,347百万円となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純損失を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は898百万円となり、前期と比較して1,166百万円の減少となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、開発用地の取得費及び建築費、収益不動産の取得費のほか、各事業における販売費及び一般管理費等の運転資金であります。
これらの資金需要に対し必要な資金を安定的に確保するため、プロジェクトごとに調達金額、期間、金利等の条件を比較のうえ借入れ先を選択し、主に金融機関より、計画的に資金の調達を行っております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。