(1)経営方針・経営戦略等
ア 経営環境
当連結会計年度におきましては、世界経済は緩やかな回復基調を辿ったものの、各国の通商政策や国際紛争の長期化などの地政学リスクの高まりから、足許の景気に不透明感が生じ、景気の先行きに対する慎重な見方が継続しました。
長期的なトレンドとして自転車への高い関心が続くなか、地域による濃淡はありつつも、全体として緩やかに市場在庫の調整が進展しました。また、釣具への関心が継続するなか、海外市場を中心に販売は底堅く推移し、市場在庫は概ね適正水準まで改善しました。
イ 経営方針
当社グループはチームシマノの基本理念の中に「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を使命として掲げております。自転車部品事業、釣具事業ともに、常に新しく、より優れた製品をお届けすることにたゆまぬ努力を続け、皆様の心身の健康に貢献していきたいと考えております。
経営の方針としては次の4項目に重点を置いて運営してまいります。
・お客様に信頼され、満足していただけるサービスと製品を提供する。
・企業価値を高め、開かれた経営を約束する。
・達成感と、よろこびを分かち合える、公正でいきいきとした職場づくりに努める。
・社会の一員として環境を大切にし、共に繁栄することを目指す。
ウ 経営戦略等
当社グループは、上記経営方針を踏まえ、「価値創造企業」を展望し、売上高・営業利益等を客観的な指標とし、次の3点を長期的な経営戦略として事業を展開しております。
①コア・コンピタンスの強化とマーケットの絞り込み: 卓越した発想力、デザイン力、技術力を磨き続け、そこから生まれる新しい製品アイディアを、現実の製品に造り上げる製造力の強化と明確なターゲットを定めたマーケティング。
②自転車文化・釣り文化の創造とブランド強化: 自転車・釣りを趣味、スポーツといった娯楽目的の行為としてではなく、豊かなライフスタイルを提供する文化としてとらえ、自転車・釣りの社会的価値向上を志す。その結果として、当社のプレゼンスが高まり、ブランド価値向上につながる。
③企業価値の向上: こころ躍る製品の継続的な提供を通じて、株主の皆様、顧客、従業員等の全てのステークホルダーにとっての企業価値が高まり続ける「善の循環」を維持する。
これら3点を基本方針とし、今後も、開発型デジタル製造業としての本分を忘れず、こころ躍る製品を提案し続ける価値創造企業としての成長を経営の基本に置き、当社グループの根幹となる競争力を高め、持続可能な事業活動を行ってまいります。
(2)対処すべき課題
世界経済は底堅い成長が期待されるものの、各国の政策動向や国際情勢の不安定化に伴う地政学リスクの動向等により景気が左右されることが予想されます。
このような経営環境のなか、当社グループは、自転車や釣具に対する需要動向を注視しつつ、日本発の「開発型デジタル製造業」として、お客様の視点にそった高品位で魅力的な「こころ躍る製品」を提供することに加え、企業と社会の共有価値を創造し続ける「価値創造企業」として、一歩一歩、前進していくことが大切であると考えております。その実現に向けて、次の3点の強化を課題として取り組んでまいります。
・技術開発力:開発型デジタル製造業として、電動アシスト自転車用ドライブユニットをはじめ、独自の機能を軸とした高性能部品を開発するための体制強化と意識改革などによりデジタルマニュファクチャリングの体制を強化してまいります。
・コスト競争力:製造力を強化する目的で行ってきた投資設備を最大限に活用することは当然ながら、環境負荷の低減に配慮した生産工程の改善と内在する無駄の削減を着実に進めることでコスト競争力を強化してまいります。
・コーポレート・ガバナンス:経営の意思決定機能及び監督機能の強化のため執行役員制度を導入すると共に、取締役会の客観性、透明性の確保に努めております。また、事業がグローバルに広がるなか、当社グループが共有すべき価値観を改めて統一すべく、従業員一人一人が日々の事業活動で遵守すべき方針として「行動規範」を策定し、グループのガバナンスを統括する組織的な体制の強化を進めております。当規範が当社グループに広く浸透し、コンプライアンスがより一層徹底されるよう進めるとともに、当社グループの持続的な企業価値向上に根差した活動などの非財務情報の開示に努めます。
なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループは、「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」という使命を実現するため、グローバル社会の企業市民として世界共通の倫理観と遵法精神に基づいて持続可能な経済成長と環境・社会課題の解決に貢献し、日本発の「開発型デジタル製造業」として、世界の人々に愛される「こころ躍る製品」を提供する「価値創造企業」であり続けたいと考えています。
当社グループでは、2022年5月より、企業価値および事業活動に影響を与えうるサステナビリティ課題を審議する組織として、ESG委員会を設置しております。ESG委員会は当社の全執行役員で構成され、当社グループの事業活動に係る環境・社会倫理・ガバナンス領域の課題を対象として、全社的な観点から審議を行っております。
2024年度からは、審議の質をより一層に深め、迅速かつ機動的な判断を行うべく、ESG委員会の傘下に「環境委員会」「社会倫理委員会」「ガバナンス委員会」の3つの小委員会を設置いたしました。各小委員会では、対象となるサステナビリティ領域における、活動の基本方針、計画および施策案の検討、ならびに実施状況の確認を行っております。
各小委員会における審議結果はESG委員会に答申され、ESG委員会において、答申された内容を踏まえ、全社的な観点から各活動間の整合性、優先度や実効性を判断し、実施可否の決定を行っております。また、重大なリスク事象への対応やサステナビリティに係る重要な判断事項についても、ESG委員会において審議しております。
ESG委員会における審議結果は取締役会に答申され、取締役会は、答申内容について確認を行い、取締役会としての意見を述べるなど監督機能を果たしております。また、取締役会で示された意見や指摘事項は、ESG委員会に共有され、ESG委員会において再審議を行い活動計画に反映されております。
当連結会計年度におけるESG委員会の開催回数は4回であり、開催後速やかに、ESG委員会の審議内容は取締役会へ答申されております。
(3)リスク管理
当社グループでは、事業活動や企業価値への影響を踏まえ、サステナビリティに関連するリスクおよび機会を識別したうえで、評価および管理を行っております。
サステナビリティに関連するリスクおよび機会の識別は、外部環境の変化や事業活動への影響を踏まえ、ESG委員会の傘下に設置した各小委員会において行っております。各小委員会で識別された課題は、事業活動への影響度等を勘案したうえで評価を行い、対応の方向性や主要施策の検討を行っております。各小委員会における検討結果は、ESG委員会で審議し、取締役会へ答申されております。
ESG委員会では、各小委員会における検討結果である識別された課題に対するリスクおよび機会の妥当性や対応方針の適切性を確認するとともに、関連施策の進捗状況および実効性について審議を行っております。また、重要なサステナビリティ関連のリスクについては、継続的にモニタリングを行うとともに、リスク管理の観点を含め、取締役会に答申しております。
取締役会は、ESG委員会からの答申内容を受け、サステナビリティに関する取り組み全体の進捗状況および実効性について監督を行っております。
(4)気候変動への取組とTCFD提言に基づく情報開示
[ガバナンス]
気候変動に関するガバナンスは、「(2)ガバナンス体制」をご参照ください。
[戦略]
2022年に当社は、グループ全体に及ぶ影響を確認するため、2030年までの時間軸で財務に影響を与える可能性のある気候変動リスク及び機会を定性的に評価しました。2023年にIEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ)を用いて、2030年を対象にシナリオ分析を実施しました。各シナリオの分析の中で、定性的に特定した気候変動リスク及び機会のうち、定量的に評価が可能なものに関しては事業への影響度を定量的にも検証・評価しております。
このうち、事業に大きな影響を与える気候変動リスク及び機会は下表のとおりです。
[リスク管理]
当社の気候変動のリスク管理については、サステナビリティ全般のリスク管理に組み込まれています。詳細は、「(3)リスク管理」をご参照ください。
加えて、気候変動によるリスクおよび機会については、自転車部品、釣具事業部内で市場動向や製品動向を評価したうえで社内の重要な会議で報告することにより識別し、会社として監督を行っています。
[指標と目標]
(指標)
スコープ1、スコープ2に該当するCO2排出量
(目標)
・国内外の製造拠点を対象に2030年までに2013年比でスコープ1、スコープ2に該当するCO2排出量を55%削減
・チームシマノ全体で2050年までにカーボンニュートラル
参考情報として、スコープ1及びスコープ2の排出実績は下のグラフのとおりです。

(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について
<人的資本投資への基本的な考え方>
当社グループは、創業以来、「和して厳しく」の精神のもと、多様な価値観・強みを持つ従業員に応じたキャリア開発を推し進めています。一人ひとりの持つ技術や才能が存分に発揮される環境づくり、その上で、個々が高いこころざしで切磋琢磨、鋭意努力することによる自律的な成長が重要と考えています。
上記の実現に向け、従業員一人ひとりの力を最大限に引き出し、必要な能力を伸ばし、中長期的な企業価値の向上に貢献するための人的資本への投資は、当社経営において重要と考えています。
■人材育成方針
当社グループでは、企業理念やこころざしを体現する人材育成の基本的な考え方として「シマノコンピテンシー」を制定し、「企業」「組織」「個人」の3つの側面から、「価値創造企業」の実現に向けた人材像を可視化しています。当コンピテンシーに基づき、従業員が自発的に学ぶ風土の醸成、新しい知識の発見・実践・体験の場の提供、従業員同士のつながりの創出を通じて、「こころ躍る製品」の提供につなげています。
代表的な取り組みとして、2022年に社内大学「Shimano Campus」を創設し、会社の歴史や理念などへの理解を浸透させるためのコンテンツや、従業員同士がつながり、互いの専門知識や経験を共有できる場を、バーチャルとリアルの二つの側面で構築しました。バーチャルでは、WEB上で一般教養や専門知識など多様なコンテンツにアクセスできる環境を整備し、リアルでは、経営層と従業員が率直に意見を交換する対話型セッション「ラウンドテーブル」を開催しています。
また、新しい知識の発見・実践・体験の場の提供として、国内・海外拠点間、または海外拠点同士での人材育成プログラムを実施し、グローバルリーダーの育成を推進しています。その例として、Shimano Leadership Development(SLD)のプログラムでは、若手技術者が欧米の小売現場に滞在し、製品の使用・販売現場を体験します。他にも、海外拠点の次世代リーダーを本社に招き、企業理念や文化への理解を深めるプログラムとして、Learning Team Shimano Program(LTSP)の実施、また、勤務地とは異なる拠点で約3ケ月間働き、拠点間の人的交流と相互理解を深めるプログラムであるApprentice Programを2024年に開始し、2025年には本社と欧州の拠点で実施しました。その他にも、新入社員向けのオンボーディング研修、職位ごとに求められる資質やスキルの開発を目的とした中堅層の階層別研修(管理職研修含む)、語学研修および通信教育の充実に努めています。なお、一部の管理職層以上に対しては、自己分析と能力強化を促すグローバルアセスメントツールを導入し、アセスメント結果を活用した全世界共通の強化トレーニングを開始しています。
加えて、従業員一人ひとりが生産性を飛躍的に高められるよう、生成AIをグループ全体に順次導入し、“With AI”の環境づくりを推進しています。この理解促進とスキル向上を目的とした研修を、受講を希望した従業員に対して実施しています。
※各取り組みにおける指標については、(表1)にて記載しています。
これらの人材育成の考え方や取り組みをグループ全体でさらに浸透させるための取り組みとして、「Career Development Project(CDP)」を進めています。CDPは、海外拠点を含む約25社・80名超のメンバーが関与するプロジェクトであり、Team Shimanoメンバーの自己実現とキャリア開発を支援することを目的に、グループ全体での人材育成を体系的に推進しています。
月1回のチームメールマガジン発行や年2回のCDP全体会議を中心に、各拠点の人事担当者が連携し、地域特性を踏まえた育成施策を企画・実行しています。さらに、Shimano (Singapore) Pte. Ltd.、Shimano Europe B.V.と本社の3拠点では、CDPの基幹として毎月の定例会議を実施し、それぞれの人材育成テーマに基づく議論と施策の共有を行っています。当施策を通じ、当社はグループ全体での人材育成を強化し、持続的な企業価値向上を目指しています。
(表1)
*1 提出会社のみ
*2 国内・海外主要拠点(提出会社/Shimano (Singapore) Pte. Ltd./ Shimano Europe B.V.)
*3 国内・海外を含む、連結会社の集計値
提出会社のみで実施している取り組み(*1)については、提出会社の従業員育成を目的としているため、提出会社単独の取り組みとして開示しています。対象拠点を主要拠点に限定している取り組み(*2)については、主要拠点のみで集計を行っていることから、その内容を対象範囲に即して開示しています。今後は、主要拠点を起点として、各管轄拠点へと取り組みを拡大していくことを目指します。
また、年間目標を定量的に設定していない取り組みについては、各拠点が受講を必要と判断した方を受講対象とする方針、もしくは従業員が自ら手を挙げて受講する方針であるため、人数を指標とした目標は設けていません。今後も、対象者全員が受講している状態を継続していきます。
■社内環境整備方針
当社グループでは、経営方針の1つである「達成感と、よろこびを分かち合える、公正でいきいきとした職場づくりに努める」を実現するために、多様な経験・知見を持つ人材を積極的に取り入れ、従業員ごとの働き方のニーズに応え、健康に安心して働ける職場環境の構築が重要と考えています。
提出会社の具体的な取り組みとしては、時間や場所に捉われず、柔軟な働き方が可能となる時差勤務制度・時間単位での有給休暇制度・在宅勤務制度や、育児・介護・病気・不妊治療と仕事の両立を支援する取り組みの拡充に努めています。時差勤務制度・時間単位での有給休暇制度・在宅勤務制度については、指標や目標は設けず、必要なタイミングで取得できる制度となっています。育児支援においては、育児休業の取得率を指標とし、提出会社の実績で女性100%、男性74.4%でした。今後も、男性の育休取得率50%以上を目標とし、取得しやすい環境整備に努めます。介護支援においては、従業員の不安解消や事前準備を促すことを目的とした支援を新たに導入し、介護ハンドブックの発行や社内だけでなく外部の専門相談窓口設置を開始した他、国内連結子会社も対象に含めた介護支援セミナーを年2回実施し情報発信を行っています。
また、職場の心理的安全性は重要であり、当社グループ全体が遵守している「行動規範」においても差別、ハラスメントの禁止をうたい、コンプライアンス意識の浸透を目的としたE-ラーニングを提出会社の従業員の96%が受講しており、今後は全員受講を目指し、引き続きコンプライアンス意識の更なる向上を行ってまいります。その他、ストレスチェックの結果をもとに部署へのフィードバックやサポートなどを実施しています。
従業員の健康促進の観点では、自転車通勤の促進として、駐輪場、浴場、メンテナンス場の整備、自転車通勤手当の支給や、自転車・ヘルメット購入補助などを実施しています。現在では提出会社の従業員の約4割にあたる729名が自転車通勤を選択し、社内においても自転車文化の向上、従業員の健康支援を促進しています。
当社グループ全体としては、労働安全衛生方針に定める「安全と健康はすべてに優先する」という精神に基づき、従業員が安心して安全に働くことができる職場構築に努めています。労働災害ゼロを目指し、2018年に本社でスタートした安全特化(守破離)プロジェクトは本社および下関工場において継続的な安全活動として定着してきました。安全な職場づくり、安全なひとづくりが根付きつつある中、安全衛生活動を国内外の他拠点へも展開しています。一例として、Shimano (Singapore) Pte. Ltd.をはじめ東南アジア工場や欧州工場へ展開し、自律的かつ継続的な活動が実現できる、潜在的な危険認知力の強化を目的とした人材育成を進めています。
また、労働災害や事故事例を国内外の工場全体へ速やかに共有し、疑似災害や事故の未然防止を図る取り組みをグループ全体で開始しています。
上記のように、社内環境整備方針における取り組みについて、「行動規範」におけるハラスメントの禁止や労働安全衛生方針を除き、提出会社を中心に開示を行っていますが、これは、グループ全体で統一的な情報収集体制が整備途上であり、特に海外拠点においては、各国の法制度や文化的背景、労働慣行の違いにより、共通の定義や指標を用いたデータ集約が容易ではなく、現段階で連結会社を対象とした網羅的な開示は困難であると判断したためです。一方で、提出会社はグループの中核拠点であり、従業員数や業務規模の観点からも、当社グループの施策を代表する事例として重要な情報を提供できると考え、開示対象としています。今後は、グループ全体での情報収集体制を強化し、連結ベースでの包括的な開示を目指し、より充実した情報提供を行ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におきましては、世界経済は緩やかな回復基調を辿ったものの、各国の通商政策や国際紛争の長期化などの地政学リスクの高まりから、足許の景気に不透明感が生じ、景気の先行きに対する慎重な見方が継続しました。
欧州では、安定した雇用・所得環境や物価が個人消費を下支えし、景気は緩やかに回復しました。
米国では、関税政策の影響による物価上昇や労働市場の鈍化から消費者マインドが冷え込み、底堅く推移していた景気は足踏み状態となりました。
中国では、長引く不動産不況や個人消費の低迷により、景気は弱含みで推移しました。
日本では、食料価格の高騰が一服し、所得環境の改善や金融緩和の継続も手伝い、景気は緩やかな回復を維持しました。
このような環境の下、自転車、釣具への需要は引き続き弱含みであり、当連結会計年度における売上高は466,243百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益は51,677百万円(前年同期比20.6%減)、経常利益は47,029百万円(前年同期比52.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は33,991百万円(前年同期比55.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
自転車部品
長期的なトレンドとして自転車への高い関心が続くなか、地域による濃淡はありつつも、全体として緩やかに市場在庫の調整が進展しました。
海外市場においては、欧州市場では、安定した天候から完成車の店頭販売は堅調だったものの、市場在庫はやや高めの水準で推移しました。
北米市場では、経済の不確実性から完成車の店頭販売は弱含みで推移した一方で、市場在庫は適正水準を維持しました。
アジア・中南米市場においては、個人消費の弱含みにより完成車の店頭販売はやや低調に推移したものの、市場在庫は概ね適正水準を維持しました。一方、中国市場では、スポーツサイクリングへの関心自体は底堅かったものの、ロードバイクの需要が落ち着きを見せ、店頭販売に力強さを欠き、市場在庫は高い水準で推移しました。
オセアニア市場では、当初弱含みだった店頭販売は堅調に推移し、市場在庫も適正レベルを維持しました。
日本市場においては、完成車価格の高騰の影響により、店頭販売は引き続き低調だったものの、市場在庫は適正水準で推移しました。
このような市況の下、刷新したマウンテンバイク向けコンポーネントの最高峰モデル「XTR」をはじめ、「DEORE XT」、「DEORE」の3シリーズや、自己発電で動作する自動変速機能を備えた「Q'AUTO」に対して高い評価をいただきました。
この結果、当セグメントの売上高は354,972百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益は42,841百万円(前年同期比20.9%減)となりました。
釣具
釣具への関心が継続するなか、海外市場を中心に販売は底堅く推移し、市場在庫は概ね適正水準まで改善しました。
日本市場においては、市場在庫の調整は進捗したものの、物価高や猛暑の影響から個人消費が低迷し、販売は弱含みで推移しました。
海外市場においては、北米市場では、年間を通じて西海岸および北東部を中心にオフショア釣況が良好で、販売は堅調に推移し、市場在庫は適正レベルを維持しました。
欧州市場では、安定した天候から販売は堅調で、市場在庫は適正水準で推移しました。
アジア市場では、中国市場を中心とした高価格帯リールの需要を背景に販売は堅調となり、市場在庫の調整が進展しました。
豪州市場では、安定した天候と好調なオフショア釣況に支えられ販売は堅調で、市場在庫は適正な水準で推移しました。
このような市況の下、新製品のスピニングリール「STELLA SW」やベイトリール「ANTARES」が高い評価を受けるとともに、最高級モデルのバスロッド「POISON ULTIMA」などの製品に多くのご注文をいただきました。
この結果、当セグメントの売上高は110,832百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は8,865百万円(前年同期比18.9%減)となりました。
その他
当セグメントの売上高は439百万円(前年同期比2.3%減)、営業損失は29百万円(前年同期は営業損失1百万円)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は938,250百万円(前連結会計年度末比20,703百万円減)となりました。これは、建物及び構築物が16,779百万円、商品及び製品が9,985百万円、ソフトウエアが4,667百万円、投資有価証券が3,456百万円、退職給付に係る資産が2,650百万円それぞれ増加し、現金及び預金が56,721百万円、繰延税金資産が3,763百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
負債合計は68,748百万円(前連結会計年度末比6,591百万円減)となりました。これは、流動負債の製品保証引当金が2,143百万円、流動負債のその他が783百万円、買掛金が663百万円それぞれ増加し、固定負債の製品保証引当金が9,595百万円、未払法人税等が641百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
純資産合計は869,501百万円(前連結会計年度末比14,111百万円減)となりました。これは、為替換算調整勘定が27,737百万円、その他有価証券評価差額金が3,005百万円それぞれ増加し、利益剰余金が44,652百万円減少したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の92.0%から92.5%となり、1株当たり純資産は9,907円24銭から10,041円66銭となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ57,509百万円減少し、472,800百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは63,780百万円の収入となりました(前連結会計年度は87,032百万円の収入)。主な収入要因は税金等調整前当期純利益56,358百万円、減価償却費27,208百万円、利息及び配当金の受取額19,001百万円、為替差損益18,538百万円等によるものです。主な支出要因は法人税等の支払額20,425百万円、受取利息及び受取配当金17,849百万円、製品保証引当金の増減額7,449百万円、棚卸資産の増減額6,968百万円等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは40,675百万円の支出となりました(前連結会計年度は35,810百万円の支出)。主な支出要因は有形固定資産の取得による支出35,519百万円、無形固定資産の取得による支出10,247百万円等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは80,319百万円の支出となりました(前連結会計年度は49,476百万円の支出)。主な支出要因は自己株式の取得による支出50,006百万円、配当金の支払額28,609百万円等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格による概算値であります。
当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分を見込生産によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注) 前連結会計年度のPAUL LANGE & CO. OHGについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の事項が、当社グループの連結財務諸表の作成において適用される重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。
a. 固定資産の減損
当社グループは、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として資産のグルーピングを行い、将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の算定に影響を与える可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込額を計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
c. 製品保証引当金
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは、「「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
自転車部品事業では、自転車の市場在庫の調整は地域により進展に濃淡があり、欧州市場における店頭販売は安定した天候を背景に堅調であった一方で、中国市場ではロードバイクの需要が落ち着きを見せ店頭販売は低調に推移しました。釣具事業では、市場在庫は概ね適正水準まで改善し、海外市場を中心に販売は底堅く推移しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は466,243百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
(売上総利益)
自転車部品事業において一部の地域での市場在庫の調整が継続しており、主に海外製品の受注減による生産減少の影響から、当連結会計年度の売上総利益は166,616百万円(前年同期比3.3%減)となりました。売上総利益率は前連結会計年度より2.5ポイント減少し35.7%となりました。
(営業利益)
インフレによる人件費増加や将来に向けた投資に係るソフトウェア関連費用の増加、及び新製品に係る広告宣伝費や運送費が増加したことにより、販売費及び一般管理費が114,938百万円(前年同期比7.2%増)となり、当連結会計年度の営業利益は51,677百万円(前年同期比20.6%減)となりました。営業利益率は前連結会計年度より3.3ポイント減少し11.1%となりました。
(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、為替差損の増加等により△4,647百万円(前年同期は33,589百万円)となり、当連結会計年度の経常利益は47,029百万円(前年同期比52.3%減)となりました。
また、無償点検関連引当金戻入額等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は33,991百万円(前年同期比55.5%減)となりました。
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めています。
当社グループの運転資金および設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金によることとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。
当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
当連結会計年度の売上高は計画比6,243百万円増(1.4%増)となりました。自転車部品事業では、一部の地域で販売が好調に推移したことに加え、為替レートが計画と比べて円安で推移したため、計画比で増収となりました。釣具事業では、主に海外市場で販売が好調に推移したことにより、売上高は計画を上回りました。営業利益につきましては、増収による利益増や販売費及び一般管理費の減少により、計画比5,677百万円増(12.3%増)となり、営業利益率は計画比1.1ポイント増の11.1%となりました。
該当事項はありません。
当社グループは「人と自然と道具の美しい調和」を目指し、基礎的な研究開発から製品化及び生産技術分野まで幅広く研究開発活動を行っております。また、海外におきましても、Shimano(Singapore)Pte. Ltd.を核として、製品化及び生産技術分野の研究開発活動を積極的に行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
当セグメントにおける研究開発の目的は、より多くの人々が、自然や日常生活の中で自転車に親しむことを通じて、健康的な生活を送ることができる社会の実現を目的としています。これにより、人々の豊かな暮らしと環境負荷の低減の両立に貢献し、人にも環境にもやさしい社会の実現を目指しております。
その目的のもと、当社は、「自転車に乗る楽しさの追求」と、「自転車操作時のストレス軽減」を研究開発の主要なテーマとして掲げています。
近年では、メカニカル部品および電気制御部品といったハードウエアの性能向上に加え、ユーザーにとってより快適で自然な動作を実現するためのソフトウエアの開発・改良にも注力しています。また、社会全体のデジタル化の進展を背景に、より楽しく快適な自転車体験の提供を目的として、アプリケーションの開発および提供を継続的に行っています。
2025年において当社は、ハイエンド用途からライフスタイル用途に至るまで、幅広い市場をカバーする新製品および新技術を市場に投入しました。
なお、当セグメントにおける研究開発費は
① マウンテンバイク市場においては、最上位モデルである「XTR」をフルモデルチェンジしました。電動ワイヤレス変速の採用に加え、変速機の耐衝撃性の向上、変速スイッチのエルゴノミクスおよび操作性の改善、さらに厳しい使用環境下においても安定した制動力を発揮するブレーキ性能を実現することで、高性能・高付加価値領域における技術的優位性を一層強化しました。また、「DEORE XT」および「DEORE」についても、新型XTRの技術を継承したモデルチェンジを実施し、マウンテンバイクカテゴリー全体における電動変速の普及と商品競争力の向上を図りました。
② グラベルバイク市場においては、電動ワイヤレス変速を採用した1×12速システム「GRX RX827」及び「GRX RX717」を投入し、同市場の活性化に取り組みました。
③ ライフスタイルバイク市場では、「SHIMANO CUES」シリーズにおいてドロップハンドル対応モデルのラインアップ拡充を行い、多様化する使用環境およびユーザーニーズへの対応力を高めました。加えて、AIを活用した学習型・自動変速システム「Q’AUTO」を実用化し、操作負荷の低減と新たな走行体験の提供を実現しました。
「Q’AUTO」では、勾配、ケイデンス、速度等の走行データをセンシングし、AIによりライダーの嗜好に応じた最適な変速制御を行います。また、ハブ内蔵の発電機構によって駆動される仕組みとすることで、バッテリー及び充電を必要としないシステムを実現しています。
これらの研究開発の取り組みにより、当社はレース・スポーツ用途から日常利用までを包括する新たなシステム技術体系を構築し、中長期的な製品競争力の強化に努めています。
当セグメントにおける研究開発は、基本性能の向上と新機能の実現を目指すと共に、感性を具現化するテクノロジーを追求しております。
なお、当セグメントにおける研究開発費は
① 「STELLA SW」(ステラSW)
昨年リリースいたしましたソルトウォーター用大型スピニングリールのフラッグシップモデルである「STELLA SW」に4000~6000/18000~30000番サイズを追加いたします。特に18000~30000番サイズにおいては、昨今人気を博している大型ターゲットに対応するため、かつてないほど過酷な使用条件を設定・クリアした製品となっております。
② 「CALCUTTA CONQUEST DC」(カルカッタコンクエストDC)
滑らかな巻き心地と確かなキャスト性能で定評のある「CALCUTTA CONQUEST DC」を最新技術でさらに磨き上げてリリースします。「インフィニティドライブ」・「マイクロモジュールギア」・「サイレントドライブ」による圧倒的な巻上性能と「NEW I-DC5」・「MGLスプールⅣ」による圧倒的なキャスティング性能を有しています。
① 「ZODIAS」(ゾディアス)
世界基準のバスロッドとして展開している「ZODIAS」は、発売から6年を経て、リニューアルを実施しました。本モデルでは基本性能のさらなる追求を開発命題とし、「カーボンモノコックグリップ」や「ハイパワーX」をはじめとする当社独自のブランクスコアテクノロジーの採用に加え、重量バランスおよび各パーツの最適化を図ることで、操作性および機能性の向上を実現しました。先端的なテクニカルな釣法からバーサタイルな用途まで幅広く対応可能な製品特性は、多様化するバスフィッシングシーンに応えるラインナップとなっています。国内外の幅広い市場ニーズに対応し、グローバル市場への展開を進めていきます。
② 「タフテックメタル」穂先の展開による用途・状況別ロッド穂先の拡充
船釣りにおいてロッドの穂先は魚からのコンタクトを目や手で感知するための重要な役割を担っています。その為、対象魚や釣法、ロッド特性に応じた穂先性能が求められます。当社はこれまで「タフテック インフィニティ」をはじめとする高強度カーボンソリッド材やグラスソリッド材を軸に、船ロッド用穂先を展開してきましたが、このたび新たに超弾性合金ソリッド穂先「タフテックメタル」の採用を開始します。ロッド穂先に要求される軽量性、感度、強度、そして調子の実現に向け、適材適所の穂先素材を採用し、製品ラインナップの拡充を進めていきます。
① ルアー
世界のトローリング市場に向けて、トローリング専用ルアー「REDGE RUNNER(レッジランナー)」をリリースします。本製品には、新たに開発したアイ位置可変機構「ADR(Adjustable Depth Range)」を搭載しており、釣り人はルアー自体を交換することなく、リップ上のアイ位置を変更するだけで潜行深度を調整できます。これにより、広範囲を簡単かつ効率的に探ることが可能となり、釣果の向上につながります。
② ツール
オフショアアングラー向けに、プライヤーのフラッグシップモデル「オシア リミテッドプライヤー」をリリースします。本製品には、従来のステンレス素材よりも優れた耐錆性能を備えた新素材を採用し、過酷なオフショア環境下でも安心して使用できる仕様に仕上げました。また、倍力構造を採用することで、近年のターゲット大型化に伴い大型化・強力化するフックやリングも、軽くスムーズに脱着操作が可能となっています。
当セグメントでは主にロウイング関連用品等の開発を行っております。
なお、当セグメントにおける研究開発費は