文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、1890年(明治23年)に伊藤喜商店として大阪で創業後、大正、昭和、平成、令和と続く時代の変遷の中で、着実な足どりで日本経済の歴史とともに歩み、日本のオフィスの発展に大きな役割を果たしてきました。その間、1950年には製造部門が分離独立するなど時代に合った経営を行い発展してまいりましたが、2005年6月に新たな企業価値の創造に向けて、製販統合を行い、半世紀余ぶりにひとつの企業としての歴史を刻み始めました。
当社グループは、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の両立を目指した事業活動に注力し、さらに企業としての社会的責任を最大限果たすことが存在意義であると認識しております。ミッションステートメント「明日の『働く』を、デザインする。」のもと、オフィスをはじめとする様々な環境における課題解決に貢献し、新たな価値を生み出すことを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、事業の成長及び収益力の向上、並びに資産の効率的な運用の観点から、
① 売上高営業利益率
② 自己資本当期純利益率(ROE)
を、重要な経営指標としております。また人材戦略の遂行の観点から、従業員エンゲージメント調査のうち「社員の会社に対する誇り」のスコアも目標値として設定しております。
当社グループのビジョンステートメントである「人も活き活き、地球も生き生き」の実現に向けて、魅力ある商品とサービスを提供し続け、また継続的なコスト削減と生産性向上により、安定的かつ永続的な事業成長を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社をとりまく事業環境では、ハイブリッドワーク(※1)に対する企業や働く人々の関心がコロナ禍を経て高まり、また人的資本投資が注目されることで、オフィスの在り方が経営課題の一つと言われるようになってきております。
このような環境変化を好機と捉え、さらなる事業成長を実現するため、2024年から2026年までの3ヶ年の中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」(ライズ トゥ グロース 2026)を策定、実行しております。当中期経営計画においては、「持続的な成長力を高める」ことをテーマとし、重点戦略「7Flags」及びESG戦略を掲げています。これら戦略の下に展開される施策の実現を通じて、2026年に売上高1,500億円、営業利益140億円、ROE15%の達成を目指す計画としていましたが、売上高については2年目にして計画を前倒しで達成いたしました。最終年度となる次期は、引き続き重点戦略「7Flags」に基づき、ワークプレイス事業では高付加価値提案の更なる強化を、設備機器・パブリック事業では研究施設・物流関連等を中心とした商品・サービスの拡充を進め、各施策の深化を図る方針です。また、事業成長により得た利益は中長期視点での戦略投資として活用するとともに、ステークホルダーの皆様へ計画的に還元してまいります。
当中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」の重点戦略「7Flags」及びESG戦略は以下の通りです。
■重点戦略「7Flags」
1. Office 1.0 / 2.0 領域(※2)
新しい働き方やその働き方を実装するオフィス空間などに対し、付加価値提案を強化し、売上と利益のベースを確保する。
2. Office 3.0 領域(※3)
オフィス家具のIoT化と空間センシングにより、データドリブンで、最適な働き方・オフィス空間を提供するサービスを開発する。
3. 専門施設領域
物流施設領域・研究施設領域において開発・エンジニアリングにリソースを重点配分し、第2の柱に育成する。
4. 高収益化
グループ生産供給体制の再編と社内ITインフラの刷新により生産・業務効率を高める。
5. グループシナジー
イトーキ単体で実施した構造改革プロジェクトによる成功体験をグループ会社に水平展開し、グループシナジーを追求する。
6. 人的資本
人事制度改革を軸に、社員一人ひとりの主体的かつ能動的な「創意と工夫」を啓発する。
7. 財務戦略
中長期の観点から、成長戦略投資・社員還元・株主還元を計画的に実践する。
■ESG戦略
・Environment
「ITOKI Ecosystem Initiative toward 2050 ~自然共生」(※4)のもと、生態系へのネガティブインパクト・ゼロ社会の実現に貢献する。
・Social
自社を「働く」環境投資の実証実験の場として発信し、本業のWork Style Designを推進することで、人的資本の最大化に貢献する。
・Governance
単体から連結視点に立った経営基盤の再構築を行い、グループ全体のガバナンス向上を図る。
※1:出社型オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方
※2:Office 1.0:プロダクトベースの商品販売事業 / Office 2.0:空間ベースの商品ソリューション
提供事業
※3:Office 3.0:働き方ベースのオフィスDX事業
※4:「気候変動対応」「資源循環促進」「サステナブル素材活用」を重点領域として環境貢献活動を
推進する社内イニシアチブ
■数値目標(連結)
(4) 会社の対処すべき課題
昨今の当社グループの外部事業環境におきましては、人的資本経営の浸透を背景に、人材確保や生産性向上の観点からワークプレイスへの投資需要が底堅く推移することが見込まれる一方、円安の長期化や原材料・物流費の高騰、地政学リスク、通商政策の変化、サイバー攻撃等により、需要動向や供給体制、コスト構造を含む事業環境の不確実性が高まる可能性があります。このような経営環境のなか、引き続き当社は中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」に基づき、重点戦略「7Flags」およびESG戦略を一体で推進し、施策の深化と実行力の強化を最終年度の重要課題と捉えながら取組みを進めてまいります。ワークプレイス事業における高付加価値提案・サービスの強化、設備機器・パブリック事業における研究施設・物流関連等を中心とした商品・サービスの拡充を進めるとともに、価格の適正化や、調達・供給体制の強化、業務効率化、リスク管理・BCPの徹底等により、外部環境変化が業績に与える影響の最小化を図ります。加えて、グループ横断での経営資源の最適配分とガバナンスの高度化を通じて経営基盤を強化し、持続的な成長と収益性向上の両立を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び具体的な取り組みは以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
当社グループではビジョンステートメント「人も活き活き、地球も生き生き」のもと、人々の「働く」を支援することで、個人の幸せ、企業の幸せ、社会の幸せへの貢献を目指し持続可能な企業活動を行っています。一方、地球温暖化、人権、少子高齢化等、社会課題は年々深刻化しており、気候変動への対応、人権の尊重、人的資本やDXへの投資等社会課題に配慮した企業活動が従来以上に求められています。そのような背景を受け、当社グループでは、2021~2023年の3ヶ年中期経営計画「RISE ITOKI 2023」において、「ESG経営の実践」を重点方針に据え、省エネルギー化やサステナブル素材の活用、経営戦略と連動した人材戦略の遂行など、多様な観点での施策に取り組んでまいりました。
2024年度より開始した2024~2026年の3ヶ年中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」では、重点戦略「7Flags」及びESG戦略を計画の中心に据え、そのうちESG戦略は事業戦略の基盤として掲げています。
気候変動や人権などサステナビリティに関連するリスク/機会の管理及び戦略については、経営企画部門の取締役常務執行役員が管掌しています。マテリアリティ(重要課題)をはじめとしたサステナビリティに係る重要な方針施策は、経営企画部門の配下に設置されたサステナビリティ推進部門が立案し、管掌役員を経て適宜常務会で審議・報告され、取締役会による監督を受ける体制としています。またサステナビリティの取り組みの進捗状況は、各部門からサステナビリティ推進部門が報告を受けてとりまとめ、適宜管掌役員への報告を行っています。さらに、2024年に社外取締役2名・取締役1名からなる「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を発足させ、サステナビリティについて集中的な議論や方針・戦略に関する提言を行っています。
※取締役会及び監査役会の状況については
当社グループは、事業活動全般にわたって生じ得るさまざまなリスクを想定した対策を立て、リスクの発生可能性や影響の低減を図るなど、適切な管理を行うとともに、万一リスクが顕在化した場合の被害・損害の極小化と再発防止のためのリスクマネジメントに取り組んでいます。さまざまな要因を想定して洗い出したリスクに対して、その発生可能性、影響度をそれぞれ4段階で分類し、これらを掛け合わせた点数(1点~16点)により評価を行います。
当社グループでは、「イトーキグループリスク管理基本規程」に基づき、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントの実効性を確保しております。リスク管理委員会は、リスク管理方針の策定とリスク評価、対策レベルの決定を行い、下位に位置するコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会や主管部門に具体的な対策を指示します。
当連結会計年度においては、リスク評価に基づき、特に点数が高い9つのリスク項目(12点以上)をリスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定して、それぞれのリスクに対する対策の実効性を高めています。
サステナビリティに関するリスクは企業の中長期的な成長に多大な影響を与えるため、特に注視すべき「ビジネスと人権リスク」及び「気候変動リスク」についてリスク管理シートを作成し、全社リスク管理体系の中で管理しています。リスク管理シートには、具体的なリスク内容、対策、関連部門・法規などを明記することで、リスクの未然回避と問題発生時の迅速な対応に役立てています。
※リスクマネジメントの状況については
③戦略
当社グループでは、将来に亘って働く場を取り巻くさまざまな社会課題を解決するため、2018年よりマテリアリティ(重要課題)を掲げています。2022年には、社会課題の変化を受け、経営層との対話を重ね「社会と人々を幸せにする」「会社と社員が幸せになる」という2つの大きなマテリアリティで課題を整理し、重点テーマを見直しました。
2024年には、中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」の策定に合わせ、マテリアリティの位置づけを3ヶ年の中期経営計画より先を見据えるものとして明確化するとともに、重点テーマを6つに絞り込みました。マテリアリティに基づいた様々な活動の進捗は中期経営計画の進捗(KPI)と同一に管理しています。
※マテリアリティについては
(2) 気候変動
当社グループは気候変動への対応を重要な経営課題の一つと捉え、2020年6月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業にもたらす影響を分析しています。
① 気候変動におけるガバナンス
気候変動におけるガバナンス体制は(1)サステナビリティ全般と共通です。
② 気候変動におけるリスク管理
気候変動におけるリスクや機会については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、サステナビリティ推進部門にて事業上の課題や環境マネジメントシステム(EMS)を通じた環境側面の影響を評価、またステークホルダーからの要望・期待などを総合的に勘案して重要なリスクと機会を特定し、影響度と発生可能性の2軸で評価しています。2024年からは気候変動関連の課題を「気候変動リスク」として、その他の事業等のリスクと同様に全社リスク管理体系の中で管理しています。気候変動におけるリスクとして当社グループが認識しているのは以下の通りです。
・移行リスク: 炭素税が導入された場合のコスト増やステークホルダーの行動変容への対応遅れなどがインパクトの大きいリスクとして特定されました。これらには再生可能エネルギーの活用や環境配慮型製品の開発・設計といった対応策をとることにより、管理してまいります。
・物理的リスク:異常気象の発生頻度が増した場合にサプライチェーンが分断されるリスク等を認識しております。環境変化に応じて事業継続計画を見直していくことで対応してまいります。
※特定したリスクと機会の詳細は、当社ウェブサイトに開示しております。
③ 気候変動における戦略
長期的に予想される気候変動について、IPCC(※)が公表する複数の既存シナリオを参考に3つのシナリオ(サステナビリティ進展・標準・停滞シナリオ)を定義し、分析を行いました。その結果、気候変動は政策・法規制リスクをはじめとして、短期・中期・長期で当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性が明らかになりました。すでに顕在化している異常気象の頻発化・大型化以外にも、炭素税の導入や、調達コストの増加、既存市場の縮小などが挙げられます。
当社グループでは気候変動を重要な経営課題と捉え、マテリアリティの中に「カーボンニュートラル社会の実現に貢献する」「資源循環を促進し、生態系保全に寄与する」という重点テーマを定めております。この重点テーマのもと、中長期CO2排出量削減目標を策定し、DXの推進やお客様の働き方改革の支援を通じたCO2排出量の少ない働き方の促進、また自社内でもその達成に向けて再生可能エネルギーの導入や環境配慮型製品の開発・設計などの取り組みを行ってまいります。さらに、これらの活動はPDCAを着実に回すことにより、目標の達成に向けて歩みを進めます。
※IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
④指標及び目標
当社グループでは、気候変動への対応として中期的な視点でCO2排出量削減目標を策定し、具体的な行動計画に落としこんで取り組みを進めています。従来定めていた2030年を対象とするCO2排出量削減目標を2023年に見直し、Science Based Targets initiative(SBTi)が示す1.5度水準を視野に入れた新たな目標値を定めました。
なお、当社グループのCO2排出量の多くはScope3カテゴリー1「購入した製品・サービス」が占めることから、サプライヤーの皆様との協働体制を強化し、排出量算定の精緻化を推し進めるとともに、2030年目標の達成に向けたCO2削減の取り組みを進めてまいります。
<中長期CO2排出量削減目標>
<CO2排出量実績(単位:t-CO2)>
(注) 2025年度のデータは現在集計中のため本年度発行の
(3) 人的資本・多様性に関する取り組み
当社は『明日の「働く」を、デザインする。』をミッションステートメントに掲げる企業として、まずは自社から、社員一人ひとりがやりがいを持ってイキイキと働き、最大のパフォーマンスを発揮できる職場づくり(組織・制度・風土)、安心・安全に働ける環境づくりを進めています。
社員が成長し能力を発揮できる環境づくり、社員一人ひとりの多様な働き方を支える取り組みの詳細については、以下、当社ウェブサイトに開示しております。
① 戦略
イトーキは経営戦略の目標達成には、連動した人材戦略の遂行が不可欠であると考えています。この考えに基づき、事業戦略を見据えた採用を含む人員計画の策定、求める人材像、キャリアに応じた社員一人ひとりの成長を支援する教育体系、社員の成長と働きがい向上を踏まえた人事制度を整備しています。なお、人材を「コスト消費の対象」ではなく「資本・投資の対象」と捉え、人材への投資によって事業価値を高めてまいります。さらに、ダイバーシティに配慮した人材育成、コロナ禍以降の働き方に合った人事制度を早期に導入するなどして、経営戦略の目標達成を人材戦略で後押ししています。

◆ 人材育成方針/事例
イトーキは、求める人材像に基づき、キャリアに応じた社員一人ひとりの成長を支援する教育体系を軸に、さまざまなカリキュラムを実施。また、個人での面談や各種研修では、内容に応じてオンラインとリアルを使い分け、全体の質の向上に取り組んでいます。
―当社の人材育成に関する取り組み事例―
・選択型研修
社員の自主的なキャリア形成支援のため、幅広いカリキュラムを用意し、自律的に学ぶ機会を提供しています。
事例)ビジネス基礎研修
ロジカルシンキング・ファシリテーション研修・ビジネスライティング・説得力の鍛え方・語学など、ビジネスを遂行する上で、ベースとなる研修を展開。
事例)キャリアデザイン研修
20~50代の各フェーズに合わせたカリキュラムで、自身の強みや価値観を見つめ直し、これからのキャリア形成を考えるきっかけを提供。
事例)Eラーニング
グロービス学び放題・Udemy Businessなど、自身が強化したいスキルをオンラインで習得して、行動変容に繋げる。
・管理職研修
社員のマネジメントに従事する管理職の役割は非常に大きく、特にファーストラインマネジャーの意識改革に注力しています。
事例)部下育成研修
多様な人材(経験者採用・外国人材)が増加する中で、部下育成を改めて見直したい管理職が自発的に参加する研修として実施。育成への関心の高まりから受講希望者は大幅に増加し、組織全体で育成力向上を図る機会となった。
事例)評価者研修
新評価制度を効果的に運用するため、制度理解の促進を目的に全評価者に実施。部下の成長につながる評価の実践をサポート。
・部門別研修
部門ごとに必要となるスキルカリキュラム(マーケティング、ネゴシエーション、経営戦略等)を、部門単位で受講することで更なる専門性の強化に繋げています。
◆ 採用方針/事例
イトーキの仕事はさまざまな人と関わり、一人ひとりが自分には何が求められているか、自分が何をすれば、お客さま、社会、自社に貢献できるかを考え、自分を取り巻く周囲の人々を巻き込みながらチームでプロジェクトを進めています。また、失敗を恐れず、最後まで責任を持ってやり遂げることができる人材を採用すべく活動しています。
□新卒採用
就職活動中の学生の方々とは、イトーキでどのように成長して自己実現をしたいのか、また、どのようなキャリアアップを目指すのかなど、エントリーシートだけでは把握できない部分は、採用過程において一人ひとり時間をかけてお互いの理解を深めていくことを重視しています。また、業界理解、会社理解を深めて頂くためにインターンシップを積極的に開催しました。さらに、リファラル採用の推進も行っており、新卒社員から入社決定事例も出てきております。
□経験者採用
今後のイトーキの変革と成長を加速させるため、外部から新しい知見を持った高度専門人材を採用しています。これまでの経験や実績に加え、事業成長に向けて即戦力として活躍いただける人材の採用活動を行っています。求職者向けの会社説明会や、各種媒体への広告掲載、ダイレクトリクルーティングを活用し、求職者との接点を増やし、採用に繋げています。
□グローバル採用
海外の高度理系人材の採用に力を入れており、ベトナムでの採用活動を積極的に実施しております。ベトナム出身で既に入社して活躍中の人材も多数おり、2025年も19名入社しています。
―当社の採用に関する取り組み・表彰等の事例―
・社員からの紹介によるリファラル採用を2022年7月にスタート、累計で33名の採用につながっている(2025年12月時点)
・海外の高度理系人材の採用に力を入れており、ベトナムのハノイで開催され、日本企業と現地学生のマッチングを目的とした「SEKISHO JOB FAIR」に4年連続参加(2025年)
◆ DE&I(Diversity Equity & Inclusion)方針/事例
イトーキは、トップコミットメントのもと、さまざまな性別、年齢、国籍、障がい、雇用形態や働き方、習慣、価値観などを持つ仲間を「多様な人材」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮することを目指しています。
―当社のDE&Iに関する取り組み・表彰等の事例―
・ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定する「D&I Award 2025」にて「D&I AWARD賞」を受賞、最高ランクの「ベストワークプレイス」に4年連続認定(2025年)
・職場におけるLGBTQへの取り組みの評価指標である「PRIDE指標2025」にて 「ゴールド」を受賞。さらにPRIDE指標「ゴールド」を受賞した企業の中から、国や自治体などとのセクターを超えた協働を推進する企業に与えられる「レインボー認定」も2年連続で受賞(2025年)
・ベトナムのハノイ工科大学と友好交流及び高度人材に関するパートナーシップ締結(2023年)
・性別を問わず育児休業を取得した直接雇用社員全員に、取得期間に応じて支援金を支給する、「育児休業復職支援金制度」導入(2023年)
・事実婚や同性のパートナー、及びその子、親に対し、法律上の配偶者や家族と同様に福利厚生や規程を適用する「パートナーシップ制度」導入(2023年)
・全社員向けに「DE&I×WORKPLACEセミナー」を実施(社外企業等より50名弱の参加)。「仕事と介護の両立支援セミナー」、「LGBTQアライランチミーティング」を実施
・障がい者への理解浸透を目的に、地域の障がい者就労施設と提携し社内で手作りお菓子販売会を実施
・全社員対象として「人権教育」を実施し、DE&Iに関する意識をさらに醸成
・部門長対象に、障がい者雇用の推進に関する社内セミナー実施
・育児休業中の社員に向けて「仕事と育児の両立支援セミナー」を実施
□ 女性活躍推進コミュニティSPLi(サプリ)
あらゆる多様性が融合し活性することで、大きな変革と成長につながると考え、多様な人材が活躍できる環境整備をしております。中でも女性のリーダーシップ開発は経営上の重点施策と置き、様々な取り組みを展開しております。
SPLiは、自分らしさや多様な個性を活かしながら、リーダーシップを発揮するために必要な知識・スキルの習得や、継続的なキャリアデベロップメントをサポートする女性活躍推進コミュニティです。
グループ会社を含め、約150名のメンバーが自主的に集まり、様々な活動を行っております。
□ グローバル活躍推進コミュニティAPI(アピ)
国内外のイトーキグループメンバーが、言葉や考え方、習慣の違いなどあらゆる壁を超え、「自主的に、相互に学び、グローバルに活躍できる人材に育つ」ためのプラットフォーム、ITOKI Global Initiative“API”(アピ)を発足しました。国ごとの文化や宗教・慣習など、その違いを本質的に深く理解することで、ダイバーシティ、そして、真の「グローバル」に対する理解、考え、意識の向上を目指します。グループ会社含め、約130名のメンバーが参加しております。
◆ エンゲージメント向上の取り組み
イトーキでは2016年より、社員のモチベーションの状態やその影響要因について把握するために、エンゲージメント調査を実施しています。調査結果は経営の重要指標の一つとし、組織のエンゲージメント向上の取り組みにつなげることで、社員一人ひとりが輝く、活力あふれる豊かな会社へ変革をするために活用をしています。
数ある指標の内、「当社は誇りを持って働ける会社か」を問う設問の肯定回答率を最重要指標として経営目標の1つに掲げ、経営層が主体となり各部門にてエンゲージメント向上の取り組みを行っております。2025年はエンゲージメントの更なる「質の向上」をキーワードとして取り組みを行った結果、前年に続き80%台の高いスコア水準を維持することができました。2026年は中期経営計画最終年度として、本指標の肯定回答率を引き続き高い水準に保つことを目標に掲げ、取り組みを継続しています。
◆ 女性管理職比率向上の取り組み
多様な働き方やキャリアパスを認め合える風土醸成を重視している中で、女性管理職比率を重要KPIの1つとしています。前述の女性向けリーダーシップ支援コミュニティ「SPLi」の活動に加え、育児や介護など時間的制約を抱えやすい女性にとって有効なフレックス勤務やテレワークといった柔軟な働き方を導入したことで、限られた時間でも効率的に成果を上げられる環境が整備されました。これらの取り組みが、女性管理職比率向上の一助になっていると考えています。さらに、女性社員数が緩やかに増加していることも、これらの施策が効果を生み始めている一因であると捉えています。
② 指標と目標
◆ 従業員エンゲージメント重要指標スコア
<目標>2026年85%以上 <実績>2022年63.6% 2023年74.7% 2024年82.5% 2025年81.9%

◆ 女性管理職比率
<目標>2026年13% <実績(※)>2022年10.7% 2023年10.3% 2024年10.7% 2025年14.3%
(※)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。
◆その他、人的資本・多様性に関する取り組みに係る実績指標(※1)
<男女間の賃金差に係る指標>
<休暇に係る指標>
<採用に係る指標>
<人材育成に係る指標>
(※1)目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。
(※2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。
2022~2024年の数値について、厚労省からの指針に基づいて再度算出した数値を掲載しています。
(※3)従業員1名あたりの年間教育訓練費には交通費を含みます。
また、イトーキは働く環境づくりをリードする企業として、従業員が働きやすい環境整備、すなわちファシリティ投資は企業が人的資本経営で取り組むべき重要事項と認識しており、自社においてその実践を行っております。生産性の高い、安心・安全なオフィスづくりに継続して投資していくことで、人的資本経営に寄与するものと考え、これまでに下表に示すリターンを得ております。
◆ 自社ファシリティ投資件数
<2025年実績>東京本社をはじめとするオフィス計6拠点の改修・移転を実施。
◆ オフィス投資(人的資本投資)のリターン

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。
なお、下記記載のリスク項目は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また本項における将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2026年3月18日)現在において、当社グループが判断したものであります。
<当社グループのリスクマネジメント体制>
当社グループは、事業活動全般にわたって生じ得るさまざまなリスクを想定した対策を立て、リスクの発生可能性や影響の低減を図るなど、適切な管理を行うとともに、万一リスクが顕在化した場合の被害・損害の極小化と再発防止のためのリスクマネジメントに取り組んでいます。さまざまな要因を想定して洗い出したリスクに対して、その発生可能性、影響度をそれぞれ4段階で分類し、これらを掛け合わせた点数により評価を行います。
当社グループでは、「イトーキグループリスク管理基本規程」に基づき、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントの実効性を確保しております。リスク管理委員会は、リスク管理方針の策定とリスク評価、対策レベルの決定を行い、主管部門などに具体的な対策を指示します。
当連結会計年度においては、リスク評価に基づき、特に点数が高いリスク項目から次の9つをリスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定して、それぞれのリスクに対する対策の実効性を高めています。
・独占禁止法違反に関わるリスク
・重要品質問題の発生に関わるリスク
・人権問題の発生に関わるリスク(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、差別的行為等)
・情報漏洩、サイバー攻撃の発生に関わるリスク
・重大労働災害の発生に関わるリスク
・災害や事故による業務停止の発生に関わるリスク
・サプライチェーンに関わるリスク(商品供給の遅れ)
・情報システムの計画外停止の発生に関わるリスク
・グループ会社管理の不備に関わるリスク
また、全社的リスクマネジメントのしくみをより実効性の高いものへと継続的に見直しを進めており、当社グループのリスクマネジメントのさらなる強化を図ります。
なお、来期においては、次の6つをリスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定しています。
・重要品質問題の発生リスク(品質不正含む)
・人権問題の発生リスク(ハラスメント、差別行為等)
・情報セキュリティリスク(情報漏洩、システム停止、サイバー攻撃等)
・健康・労働災害リスク(過重労働、労働災害等)
・自然災害リスク(地震・風水害等)
・独占禁止法等の法令違反リスク(コンプライアンス違反を含む)
<事業等のリスク>
当社グループが展開する事業に関わるリスクのうち、当連結会計年度において、リスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定したリスクの詳細は以下の通りです。
(1) 独占禁止法違反に関わるリスク
当社グループは、公正かつ自由な競争を維持し、法令を遵守した事業活動を行っております。しかしながら、前連結会計年度において当社が委託している物流業務について独占禁止法の規定に違反するおそれがあるとして公正取引委員会より行政指導(勧告)を受けました。
当社グループでは、本事案をきわめて重く受け止めており、取引適正化に向けた取り組みを全社を挙げて推進し、委託先との適切な関係の構築を推進しております。しかしながら、今後、万が一独占禁止法に違反する事象や、当局による新たな調査や処分等が発生した場合には、当社グループの信用失墜、対応費用の発生、事業制限等により、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 重要品質問題の発生に関わるリスク
当社グループは、社内で確立した厳しい品質基準をもとに製品を製造しておりますが、予期せぬ事情によりリコールが発生する可能性や、当社グループが提供する、製品・サービスにおいて不測の事象やクレームが発生する可能性があります。当社グループは、重要品質問題が発生した場合への対応として、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、損失額をすべて賄える保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。またこのことにより、当社グループの製品に対する信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、品質問題の発生を重大なリスクと捉え、品質保証領域に対して必要な経営資源を配し、検査やパトロールの強化による品質管理体制の維持や品質教育の徹底等により品質問題の予防に努めております。また、万が一問題が発生した場合には迅速に対応しその影響を最小限にとどめられるような管理体制を維持してまいります。
(3) 人権問題の発生に関わるリスク(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、差別的行為等)
当社グループは、「イトーキグループ行動規範」を制定し、従業員の人権を尊重するとともに、人格・個性と多様性を重視し、一人ひとりが活き活き働き、能力を最大限に発揮できる制度と環境づくりを行い、社会に誇れる企業倫理を確立するとともに、コンプライアンス重視の経営を推進するために充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの活動が適切に推進できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報漏洩、サイバー攻撃の発生に関わるリスク
当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の個人情報並びに当社グループ内の個人情報を有しております。情報セキュリティの一環として厳重な管理を行い、規程類の整備や各種対策の実施、従業員への教育などを実施し、内部監査を含めたマネジメントサイクルを運用することで個人情報の保護の徹底を図っておりますが、想定を超えた技術によるサイバー攻撃等の予期せぬ事態により流出する可能性があります。このような事態が生じた場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、多額の費用負担が発生する可能性があります。
(5) 重大労働災害の発生に関わるリスク
当社グループは、労働災害の発生を防止するため、安全診断の実施、改善活動及び安全衛生教育の推進など安全管理に関わる取り組みを実施しておりますが、重大な労働災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 災害や事故による業務停止の発生に関わるリスク
当社グループは、災害等によって事業活動が停止しないよう安全衛生面を含めた災害防止活動、設備点検等の対策を行っておりますが、予想を超える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、当社グループとしては安全衛生、事業継続の両面からサプライチェーンを含めた対策の実施及び災害対策体制の構築により、災害等のリスク低減を図っております。
(7) サプライチェーンに関わるリスク(商品供給の遅れ)
当社グループは、事故、災害及び倒産などによる突然の供給停止のリスクに備え、調達先の評価や突然の供給停止に備えた代替取引先の整備などを行っておりますが、取引先が事故、災害、倒産などにより当社製品に用いる原材料の供給が停止した場合に、商品供給が適切なタイミングで行うことができなくなり、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報システムの計画外停止の発生に関わるリスク
当社グループは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害等偶然な事由によりネットワークの機能が停止した場合、商品の受発注や生産、物流をはじめとした事業活動に影響が生じる可能性があります。また、外部からの不正な手段によりコンピュータ内へ侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん・重要データの不正入手、コンピュータウィルスの感染により重要なデータが消去される可能性もあります。
当社グループでは、ITシステムに特化した事業継続計画(IT-BCP)をはじめとした情報セキュリティの取り組みにより、自然災害や外部からのサイバー攻撃に対しても影響が最小限となるよう努めておりますが、このような状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) グループ会社管理の不備に関わるリスク
当社グループは、グループ各社において、情報の適切な取り扱いやコンプライアンス重視を徹底すべく管理体制の整備や推進を図っておりますが、これらの活動が適切に推進できなかった場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、当社グループとしてはセキュリティ対策を含めたITガバナンス強化の技術的な対策や、教育・研修等の人的及び組織的な対策等をグループ会社各社にも展開し、リスク低減を図っております。
上記のほか、当社グループが、リスク軽減策を継続的に実施している主なリスクは以下の通りです。
(1) 市場環境の変化、市場競争の激化
当社グループの売上高は、国内市場に大きく依存しており、国内の設備投資動向に大きな影響を受けます。このことにより、国内景気の後退による民間設備投資及び公共投資の減少に伴い需要が減少した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、先進のデザイン・機能性を備えた商品とトータルソリューション提案力でお客様の快適な環境づくりをサポートすることで高い評価をいただいております。しかしながら、市場では激しい競争に直面しており、特に価格面においては必ずしも競争優位に展開できる保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対し、当社グループとしては、景気動向や競合他社の動向にかかわらずお客様に選択いただける高付加価値の商品・サービスの開発を目指すとともに、環境変化に沿った適切な事業ポートフォリオ維持のための経営資源の最適化を図ってまいります。
(2) 原材料の価格変動、商品仕入価格の上昇
当社グループで生産している製品の主要原材料である鋼板等については市況価格の変動リスクを有しております。また、グループ外から仕入れる商品の価格につきましても、今後鋼材や原油価格等の原材料の価格が上昇し、仕入先からの仕入価格上昇圧力が強まった場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、中小受託取引適正化法の遵守は当然として、公正取引委員会より公表されている「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に則した取り組みを推進しつつ、自社内の製造原価の低減活動や、諸経費の圧縮で対応していく考えでありますが、自社内の取り組みだけでは吸収できない場合には、販売価格の見直しを行うなど、コストと価格の適正化に努めてまいります。
(3) 海外事業
当社グループは、海外における事業展開は、地政学リスクを含め展開先地域のリスクを把握したうえで進めております。しかし、予期しない法律・規制の変更や経済環境の変化等のリスクが存在するほか、戦争、テロリズム、紛争又はその他の要因による社会的又は政治的混乱等の発生の可能性や、為替相場の変動により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、当該リスクを踏まえた地域ごとの管理体制を構築し現地と密接なコミュニケーションが取れる体制を敷くことにより、リスク低減を図ってまいります。
(4) 企業買収
当社グループは、企業買収に当たっては、対象企業のリスクを把握したうえで決定しております。しかしながら、事業環境等の変化等により、当初想定した買収による効果が得られない場合には、のれんの減損などが発生し、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、買収・提携前のデューデリジェンスを通じてリスクの洗い出しを徹底しております。また、事業環境の変化にいち早く対応できる体制を構築し、業務効率の向上に資する活動を推進しています。
(5) 繰延税金資産
当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかし、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には繰延税金資産の取崩が発生し、その結果当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。
(6) 法令遵守・公的規制に関するリスク
当社グループは、事業の許認可、輸出入に関する制限や規制等の適用を受けております。また、公正取引、消費者保護、知的財産、環境関連、租税等の法規制の適用も受けております。当社グループは、法令遵守、企業倫理を確立するために「イトーキグループ行動規範」を制定し、コンプライアンス重視の経営を推進するために委員会を設置し、充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの規制を遵守できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの規制の改廃や新たな公的規制の新設等がなされ、当社グループが対応困難となった場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 有価証券の時価変動リスク
当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、様々な理由で、主要取引先、取引金融機関の株式等の売却可能な有価証券を保有しております。これらの有価証券のうち、時価を有するものについては、全て時価にて評価されており、定期的に保有の合理性判断を行い時価変動リスクが小さくなるよう努めておりますが、市場における時価の変動が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当社グループは中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」の2年目となる当期において、重点戦略7Flags及びESG戦略に基づいた各種施策を推進しております。当連結会計年度は、持続的な成長力を高めるため、新しい働き方やその働き方を実装するオフィス空間の提案、価値向上に重点を置いた営業活動の展開により、一層の売上・利益の拡大を図ってまいりました。
(単位:百万円)
(ⅰ)売上高
前期と比較して152億22百万円(11.0%)増収の1,536億82百万円となりました。なお、4期連続の増収、過去最高の売上高を更新しました。
・ワークプレイス事業は、ハイブリッドな新しい働き方にあわせたリニューアル案件を中心に好調に推移しました。
・設備機器・パブリック事業は、主に物流施設向け設備における資材高騰を背景とした着工・竣工の遅れの影響はあるものの、研究施設向け設備が好調に推移し、増収となりました。
(ⅱ)売上総利益
前期と比較して96億11百万円(17.4%)増益の648億12百万円となりました。
・ワークプレイス事業は、増収効果や提供価値の向上による利益率の改善により、増益となりました。
・設備機器・パブリック事業は、物流施設向け設備等における減収の影響はあるものの、研究施設向け設備における増収効果や利益率の改善により、増益となりました。
(ⅲ)販売費及び一般管理費
業容拡大に伴う人件費の増加に加えて、DX推進のためのIT基盤強化等の将来の飛躍に向けた戦略的支出を計画通りに実行したことにより、前期と比較して60億3百万円(13.3%)増の511億26百万円となりました。
(ⅳ)営業利益
以上の結果、営業利益は、前期と比較して36億7百万円(35.8%)増益の136億85百万円となりました。なお、6期連続の増益、3期連続で過去最高益を更新しました。
・ワークプレイス事業は、増収効果及び提供価値の向上による利益率の改善により、増益となりました。
・設備機器・パブリック事業は、物流施設向け設備等における着工・竣工の遅れの影響はあるものの、研究施設向け設備における増収効果及び利益率の改善により、増益となりました。
(ⅴ)営業外収益
受取保険金の増加等により、前期と比較して2億5百万円(33.0%)増加し8億30百万円となりました。
(ⅵ)営業外費用
金利上昇影響等による支払利息の増加等により、前期と比較して78百万円(11.3%)増加し7億77百万円となりました。
(ⅶ)経常利益
以上の結果、経常利益は前期と比較して37億34百万円(37.3%)増加し137億39百万円となりました。
(ⅷ)特別利益
前期に非支配株主に係る売建プット・オプション負債評価益があったこと等により、前期と比較して2億62百万円(22.3%)減少し9億16百万円となりました。
(ⅸ)特別損失
前期に競争法関連損失引当金繰入額があったこと等により、前期と比較して5億56百万円(50.0%)減少し5億55百万円となりました。
(ⅹ)親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して21億99百万円(30.6%)増加し93億82百万円となりました。なお、5期連続の増益、4期連続で過去最高益を更新しました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
②財政状態の状況
(単位:百万円)
(資産の部)
総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権等の増加により、前連結会計年度末に比べて102億3百万円増加し、1,307億24百万円となりました。
(負債の部)
負債合計は、社債等の増加により、前連結会計年度末に比べて27億32百万円増加し、739億10百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、増益による利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末に比べて74億71百万円増加し、568億13百万円となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末から2.5ポイント増加し43.4%となりました。
③連結キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ6億73百万円の減少があり、208億20百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー
増収を主因として、営業活動による資金の増加は89億42百万円(前期は10億円の減少)となりました。
(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー
SCMシステムの導入、工場への設備投資による支出等により、投資活動による資金の減少は38億47百万円(前期は71億7百万円の減少)となりました。
(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー
借入金の返済等により、財務活動による資金の減少は59億41百万円(前期は59億5百万円の増加)となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下の通りであります。
※2024年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 金額は販売価格によっております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続的な評価を行っております。見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。
当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③連結キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料、商品等の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。なお、重要な設備の新設等の計画はありません。
運転資金及び投資資金の調達については、自己資金及び銀行借入並びに社債の発行で賄う方針であります。
当社は運転資金の効率的な調達を行なうため、取引金融機関15社と15,000百万円の貸出コミットメント契約を締結しております。
当社グループは、事業の成長及び収益力の向上、並びに資産の効率的な運用の観点から、売上高営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を、重要な経営指標としております。達成に向けた施策、また当連結会計年度における取り組みにつきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び(4)会社の対処すべき課題」に記載しています。
当社の経営理念である「時代の先端を切り開き、グローバル社会に貢献する高収益企業」の実現に向けて、魅力ある商品とサービスを提供し続けること、並びに継続的なコスト削減と生産性向上により、安定的かつ永続的な成長を目指してまいります。
(1)技術導入契約等
当社グループが締結している技術導入契約等は、次のとおりであります。
(2)シンジケーション方式によるタームローン契約
(注)財務制限条項の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係)」に記載しております。
当社グループでは、新たな価値を提供する活動を継続・促進するため、研究開発活動に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は、
ワークプレイス事業領域においては、人的資本投資、持続可能な社会という大きな社会的ニーズの流れをうけ、オフィスに求められる価値観の変化や新たな課題解決に対応した新製品やソリューションの開発、並びに先行技術の開発を行っています。
中央研究所では長期的な視点でオフィスづくりとオフィス家具づくりをとらえ、①流動的に運用できるオフィスづくり、②プラスチックのマテリアル・リサイクル、③新しい設計手法としてのパラメトリック・デザイン、④多品種少量生産に対応するアディティブ・マニュファクチュアリング、⑤IoT活用による使用状態可視化、の5テーマを研究しています。今年度は江東区に研究拠点を新設し、実験と試作を実行できる環境を整備することで研究の基盤を構築いたしました。
また、次世代の新たな「学ぶ」環境を『スマートキャンパス』と定義し、それに必要とされる先進的な生成AIやデジタルメディア技術を応用したサービス開発を、大学やメーカーとの共同研究、産学共創プロジェクトで行っています。併せて、文科省等の教育DX化政策に応じた新しいデジタル教室やオンライン学習環境づくりで、ハードとソフトをパッケージ化したデザインにより、教育施設、主に地域中核大学、理系学部再編大学やDXハイスクールへ提案、社会実装を進めています。
[ワークプレイス事業]
オフィス家具の分野では、2025年6月、新オフィスファニチャーブランド「NII(ニー)」をオルガテック東京にて発表しました。ファーストコレクションは、グローバルに活躍するデザイナーによる4製品で構成され、2025年度中に順次販売を開始しました。従来のオフィス家具にない高いデザイン性と機能性を両立した全く新しいブランドの立上げを通して、イトーキのデザインにおけるブランド価値向上を図って参ります。
イトーキブランドでは、コワークエリア向け家具シリーズ「Co-Workscenes(コワークシーンズ)」の製品ラインアップを拡充しました。ビッグテーブル「Centra(セントラ)」に加え、ハイディバイダー「Opacity(オパシティ)」およびローディバイダー「Madomino(マドミノ)」を加え、トータル空間提案力を強化しました。
市場成長が著しいワークチェアでは、座面に新開発の高機能素材「Respitech(レスピテック)」を搭載したタスクチェア「Act2(アクトツー)」や、柴田文江氏デザインによるミニマムなデザインとエルゴノミクスが実現する新世代ワークチェア「SHIGA(シガ)」を発売し、製品ラインアップの拡充を図りました。
環境配慮に関する取り組みとしては、日立製作所およびトクヤマとの協同研究により、太陽光パネル由来の板ガラスをオフィス家具にアップサイクルする実証を行い、CO2排出量を最大50%削減できる可能性を確認しました。また、国産材の利用においては、農林水産省と「建築材木材利用促進協定」を締結し、今後5年間で3,250m3の国産材を利用し、持続可能な森林資源の循環利用を推進して参ります。なお本協定は、オフィス家具メーカーとして初の事例となります。
2025年度のデザイン賞受賞実績は、iFデザイン賞2件、Red Dotデザイン賞4件、グッドデザイン賞4件となり、引き続き高いデザイン力が評価されております。なお、ビッグテーブル「Centra(セントラ)」は、公益財団法人日本デザイン振興会主催の企画「私の選んだ一品2025」に選定されイトーキがオフィス家具メーカーとしてだけではなく、デザイン開発力のある会社としての認知拡大にも貢献しました。
オフィス3.0と位置付けるデータサービス領域においては、各種サービスの開発や、様々なパートナー企業と連携した研究を進めております。
オフィス内に設置したセンサーで働き方やオフィスの状態を可視化し、コンサルタントが専門的観点から分析を行い施策提言するコンサルティングサービス「「Data Trekking(データトレッキング)」については、分析メニューの拡充や、AIを活用した分析・提案の自動化など、追加開発や改良を進めています。
東京大学エコノミックコンサルティング株式会社と共同開発した会議室不足を解消するソリューション「Reserve Any(リザーブエニー)」は、2025年春に自社導入し、効果検証とブラッシュアップを重ねた上でローンチしました。
さらなるサービス開発に向けて、昨年度発表したオフィスデザインの自動生成や、RFID位置情報特定技術を活用した家具のIoT化とアセットマネジメントの研究を継続する他、株式会社松尾研究所との生産性に関する共同研究にも着手しました。この研究では、物理空間での活動、オンライン上での活動、生体情報といったマルチモーダルデータを、センシングとAIを活用して計測・統合分析して「生産性の定義と向上に寄与する行動・環境モデルの構築」と「生産性の客観的な計測・検証手法の確立」を目指しています。研究成果はオフィスの設計に活用する他、新たなサービス開発にもつなげる予定です。
家庭用家具部門におきましては、デスク・収納・天板色を自由に選べ、ライフステージに応じた買い足しと使い回しが可能な、組み合わせ学習家具シリーズ「Cretta(クレッタ)を発売しました。
なお、研究開発費の額は
[設備機器・パブリック事業]
物流機器分野におきましては、物販系のEC市場拡大や物流の2024年問題を背景とした物流設備における課題に応えるため、シャトル式立体自動倉庫SAS-R(システマストリーマ)の機能強化として、稼働データの収集とAI解析によって故障の兆候を検知する予知保全システム「スマートメンテナンス」を開発するとともに、突発的な設備停止のリスク軽減と業務計画の安定化をサポートする保守サービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」の展開を2026年1月より開始いたします。また、機器拡充として新たに「SAS-NR」ならびに「SAS-R2」を開発し、保管機能の最適化を図る新たな提案として収納効率と高速入出庫処理を両立できるようラインアップ強化にも注力しております。
新規市場開拓では、調剤薬局向け薬剤自動ピッキングシステム「DAP(ダップ:Drug Automatic Picking system)with MediMonitor」を開発、初号機を納入するとともに、2025年度グッドデザイン賞を受賞、「使いやすさ」と「省スペース化」を追求することで薬剤ピッキング業務の過誤防止と薬剤師の人手不足解消に貢献いたします。
また、中長期的な新たな市場を開拓すべく、防災・防衛を想定したマルチ防災シェルター扉「BOUNCEBACK(バウンスバック)」を開発するとともに、特定非営利活動法人 日本核シェルター協会を介して政府への提言活動にも参画するなど普及に向けた活動も行っております。本機は防災・防衛機能として耐衝撃・気密水密・放射線遮蔽性能を有し、天災やテロなどの様々な脅威から人命や社会生活基盤となるデータ機器などを防護・遮断いたします。
公共施設分野におきましては、美術館・博物館向けの新型展示ケースとして、建築施設や展示品と調和した高い意匠性、展示品本来の色味や姿を忠実に再現した高い演色性、展示品の保護や展示空間の環境維持機能を兼ね備えた「Artivista(アルティビスタ)」を開発し、日本で最も歴史の長い博物館でもある東京国立博物館に納入いたしました。鑑賞体験の質を高める「存在を消した展示ケース」として、展示品そのものと純粋に向き合えるハイエンドな空間を実現しております。
なお、研究開発費の額は