第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「事業を通じて社会に貢献し、より多くの人々の健康な毎日を実現することを追求し続ける」ことを「創業の精神」に掲げ、未病・予防の領域に着目し、科学的根拠に基づいて子供から大人まで、誰もが栄養を摂取しやすい食品を開発してまいりました。2021年策定の長期経営構想において、企業の存在意義(パーパス)を「すこやかな毎日、ゆたかな人生」、ありたい会社の姿(ビジョン)を「Glicoグループは人々の良質なくらしのため、高品質な素材を創意工夫することにより、『おいしさと健康』を価値として提供し続けます」と定めました。子供から大人までを対象に「習慣的に喫食いただけるような日常必需品」を開発することでお客様にとっての新しい価値を創出し、売上・利益の継続的な向上に取り組んでおります。

 当社グループは、創業時から変わることのない健康への想いを更に進化させ、お客様、取引先、従業員、株主、地域社会、将来世代等の多様なステークホルダーとともに持続的な成長発展を期し、皆様のご期待に応える経営成績形成に努めております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、利益と資金を継続的に増加させながら成長加速に向けた投資を実行し、国内外における売上高及び営業利益の向上を継続的に目指すことを目標としております。具体的な数値目標は以下のとおりであります。

 

<2026‐2027年度>

位置付け

加速フェーズ

売上高

+5~10%(年率)

営業利益

+10~15%(年率)

ROE(自己資本利益率)

6~8%

 

(3)経営環境

 企業を取り巻く経営環境は、不安定な国際情勢、エネルギー・原材料価格の高騰、急激な為替変動、デジタル・AI活用の加速度的拡大、気候変動など不確実性が増しております。その他にも、世界的な社会的要請への対応、脱炭素・脱プラスチックなど地球環境・将来世代に負の財産を残さない企業活動など、企業が取り組むべき課題も多様化しております。

 このような経営環境の中で、お客様や生活者との接点強化による「おいしさと健康」の価値提供、並びに中国・東南アジア・北米における事業成長は、当社グループにとっての事業拡大・強化の機会と捉えております。今後も国内外における経済状況や業界・市場動向などの変化、持続可能な企業活動の要請に柔軟に対応しながら、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(4)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題

 当社グループは、存在意義(パーパス)・ありたい会社の姿(ビジョン)を実現するために、中期経営計画として、①事業戦略、②研究戦略、③人的資本戦略を定めるとともに、これらの戦略を実現するための基盤である、組織・人財の実行力の向上、デジタル・AI技術の事業変革への活用、持続可能な企業活動の推進により、対処すべき課題に対する具体的な事業活動を行ってまいります。

①事業戦略

 お客様起点での価値創造を加速させるとともに、デジタル・AIを有効活用したビジネスモデルの進化に取り組みます。また、中国・東南アジアを中心とした既存進出国でのブランド成長、次なる成長基盤として北米での事業基盤構築強化、さらに新規成長国への進出機会を探索し、参入に取り組みます。

②研究戦略

 重点5領域における研究を起点とする価値創造を加速させ、パーパスの実現を通した社会への貢献、事業活動の成長を牽引します。その実現に向けて、研究ポートフォリオの再構築、オープンイノベーションを通じた技術力の強化、AI・デジタル技術を活用した開発効率の向上により、研究部門全体での推進力強化に取り組みます。

③人的資本戦略

 様々な個性を持つ人財が、多様性を認識して包摂しながら適材適所で活躍し、内発的動機を成果につなげることで、当社グループの持続的成長を支える組織文化の形成に取り組みます。また、戦略の実行に必要な人財を、能力開発および外部採用により獲得することで、価値創造を加速させます。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

当社グループは、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティに対する取組みを重要な経営課題と認識しております。また、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」という存在意義(パーパス)を設定し、生活者自身がそれぞれの「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を送れるよう、創意工夫により「おいしさと健康」を価値として提供し続けることを目指して事業運営を行っております。

2025年4月1日に新設したサステナビリティ戦略室において、横断的なサステナビリティ検討機能の整備を行っており、多様なステークホルダーの皆様とともに存在意義(パーパス)の実現を通して、地球環境、サプライチェーン上の人権問題、心身の健康等の社会課題の解決に取り組み、企業の持続的成長とともに持続可能な社会の実現を図ってまいります。

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①ガバナンス

 当社グループは、長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指し、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会を設置し、グループ全体でCSR活動を通じてサステナビリティに対する取組みを推進する体制を敷いております。

 CSR委員会は、環境、地域貢献、人財等のテーマ別の5つの分科会で構成され、中長期的な環境(E)・社会(S)と企業経営双方の持続可能性の観点から、当社グループのCSR推進の方向性の策定や各部門でのCSR活動の進捗状況の確認、活動内容の審議等を行っております。また、その活動状況について、取締役会等にて報告を行い、CSRを経営に反映させながらグループ一体となって推進しております。

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②リスク管理

 当社グループでは、リスクの洗い出しやレベル評価、リスクへの対応検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。

 

(2)気候変動

 気候変動は生活者の健康や生活の質に重大な影響を及ぼす環境問題であると認識しております。

 当社グループでは、気候変動への取組みとして、環境負荷削減や省エネルギー活動の推進、再生可能エネルギー利用の推進等、気候変動関連の施策を充実化するとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示を段階的に拡充し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

①ガバナンス

 当社グループは、気候変動をはじめとする社会課題の解決に向けた取組みを強化しており、中長期視点で「事業を通じて社会に貢献する」経営に取り組んでおります。気候変動に関しては、CSR委員会が中心となり、グループ全体でCSRを推進する体制を構築しております。

 

②戦略

 気候変動シナリオの分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やTCFD提言を踏まえ、①4℃シナリオ、②2℃シナリオ、③1.5℃シナリオの3つのシナリオとともに、時期として①中期(2030年)、②長期(2050年)における当社グループに及ぼす影響を分析しました。その結果、2℃シナリオと1.5℃シナリオでは脱炭素に向けた取組みが加速し始め、炭素税対応コストの増加等の移行リスクが増大する一方、消費者の意識変化に伴う新たな事業機会が顕在化することが分かりました。また、4℃シナリオでは原料の調達コストが増加するとともに、水リスクなどの物理リスクによる影響が大きくなることが判明しました。これらの分析結果を踏まえ、当社では温室効果ガス削減を迅速に対応しつつ、その他の重要と評価されたリスク・機会への対応も進めてまいります。

 

 

シナリオ

リスクまたは機会

リスク項目

時期

※1

事業インパクト

※2

リスク対応策(検討含む)

1.5℃

※3

脱炭素に向けた取組みが加速し始め、主に移行リスクが肥大化する一方、消費者の意識変化に伴う新たな事業機会が顕在化する

炭素税対応コストの増加

中期

・再生可能エネルギーへの切替

・コージェネレーションシステムによる効率化、冷凍機の更新等

長期

包材調達コストの増加

中期

・バイオマス包材の採用

・リサイクルしやすいモノマテリアル包材の活用

長期

主要原材料調達コストの増加

中期

・気候変動に対応する主要原料の新品種などの開拓

・原料生産への支援による優位調達の実現

長期

4℃

1.5℃シナリオと比べると物理リスクが肥大化するため、それらに適応するための対応コストが拡大する

主要原材料調達コストの増加

中期

長期

水リスクによる操業停止に伴う売上減少

中期

長期

・サプライチェーン全体でのレジリエンスを強化

・BCP(事業継続計画)の見直し

※1 時期・・・中期:2030年 長期:2050年

※2 事業インパクト・・・大 :40億円以上 中: 20~40億円 小: 20億円以下

※3 1.5℃シナリオと2℃シナリオの事業インパクトに大きな差異が無いため、1.5℃シナリオのみ記載しております。

 

③リスク管理

 当社グループでは、事業に対して影響を及ぼすリスクに的確に対処するため、社長室及びクライシスマネジメント委員会が主体となり、グループ全体でリスクマネジメントを推進しております。また、リスク分析及び評価を定期的に実施し、事業に及ぼす重大なリスクを特定し、必要な対策を関連部門とともに推進しております。この中で気候変動に関しては、CSR委員会が中心となり、温室効果ガスの削減策について議論しながら、経営に反映しております。

 

 

④指標及び目標

 当社グループでは、以下の目標の達成に向けて取り組み、持続可能な社会に貢献することを目指して活動しております。

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1)企業活動で使用する電気、ガス等の使用量を管理し、CO2の排出量を削減しているほか、工場等で新しい設備を導入する際には、省エネルギーやノンフロン等環境面に十分に配慮した設備への切替を進めております。2050年までに、再生可能エネルギーへの切替やコージェネレーションシステムによる効率化、冷凍機の更新等を通じ、温室効果ガス(CO2やフロンガス等)を100%削減することを目指します。


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 2024年度、CO2総排出量は2013年比34%減少しました。(※現時点では換算係数が未更新のため暫定)引き続き燃料転換やCO2フリー電力への切替を推進し、2030年までに50%削減達成を目標に取り組みます。さらに、2050年までに、CO2フリー電力の幅広い活用や省エネ・創エネなどの新技術、冷凍機の更新等を通じ、温室効果ガス(CO2やフロンガス等)を100%削減することを目指します。
 代替フロンについては、グローバルにおける使用状況を確認し、対象機器のリストを作成し、対象機器の計画的な更新を計画・実行しております。日本における「セブンティーンアイス」専用の自動販売機についても、R22冷媒使用機の撤廃は、2024年12月時点で残り7台まで進捗しております。

 

2)一部の工場において、排水を冷凍設備の冷却に再利用する等、水資源の使用量削減に取り組んでおります。2050年までに、空冷式システムの採用や水処理技術の向上等を通じ、水の使用量原単位を20%削減及び水質汚染ゼロ化を目指します。

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 2024年度、基幹システム障害に伴うチルド製品の出荷停止や生産数量の低下により、原単位となる生産重量が大幅に減少しましたが、一方でチルド製品の生産には殺菌冷却や洗浄工程などの品質面で生産数に関わらず必要な水使用量が多いため、2013年度比原単位8.3%増加という結果になりました。

 

3)容器・包装の機能を追求するとともに、減量化による環境負荷の低減にも取り組んでおります。2050年までに、生産技術向上及び規格見直しによる減量化やバイオマス素材への転換等を通じ、プラスチックをリサイクル原料に、紙を森林認証紙にそれぞれ100%切り替えることを目指します。


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 1WAYプラスチックは、2024年度までに25%削減を目標として取り組みましたが、結果として19.2%の削減にとどまりました。これは、原材料の高騰によりバイオマスプラスチック包材の採用が困難になったこと等が主な要因と考えております。2025年度以降も25%削減を目標に取り組んでまいります。

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 2024年末時点で全ての紙器包材(段ボール含む)の森林認証紙への切替を完了しております。
 

 

4)製造工程での廃棄物の削減に注力するとともに、需給予測精度の向上による過剰在庫を持たない仕組みを通じて、食品廃棄物の削減に取り組んでおります。2050年までに、サプライチェーンの効率化や需給予測精度の向上等、廃棄が発生しない取組みに注力する他、商品の微細な欠け等、品質に問題がない商品をふぞろい品としてアウトレット販売を行う等により、食品廃棄物を95%削減することを目指します。

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 2024年度、食品廃棄物総廃棄量は2015年比379%と大幅に増加する結果となりました。これは2024年度の基幹システム切替時に発生したシステム障害によりチルド製品が販売休止となった際に、使用できなかった原料や製品の廃棄量が大幅に増加し、適切に食品リサイクルできなかったためです。今回の結果を教訓として、今後も引き続き2030年の95%削減に向けて、食品廃棄物の削減や発生抑制に努めてまいります。サプライチェーンの効率化や需給予測精度の向上、トラブルの防止等、廃棄が発生しない取組みに注力するほか、商品の微細な欠け等、品質に問題がない商品をふぞろい品としてアウトレット販売や、飼料や肥料へのリサイクル、メタンガス発酵によるバイオマス発電など循環再資源化の取組みを行うことにより、2050年までに食品廃棄物を95%削減することを目指します。
 
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(3)人的資本及び多様性

①人事に関する基本的方針

当社グループは、企業発展の源泉となる最大の資本は「人」であり、個々人の能力開発・育成を図り、意欲あふれる人財が束となって変革を推し進めること、またそうした変革を推進する人財が次々と育つ企業風土を醸成することが重要であると考えております。さらに、多種多様な社会課題の解決のために、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)にも真摯に取り組んでおります。適切な配置や機会の提供を通じて、様々な個性を持つ社員一人ひとりが自身の能力や経験を発揮できる環境を整えることがイノベーションを生み出し、意思決定の高度化につながると考えております。こうした考え方に基づいて社会から支持、信頼、尊敬される企業であることを通じ、当社グループの持続的な発展と社員の幸福の実現を目指しております。

 

②理念体系と組織・人財のあるべき姿

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 当社グループでは、長期経営構想の策定にあたり、理念体系を見直し、存在意義(パーパス)「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を最上位に位置づけました。あわせて、ありたい会社の姿(ビジョン)として、「Glicoグループは人々の良質なくらしのため、高品質な素材を創意工夫することにより、『おいしさと健康』を価値として提供し続けます。」と定めました。

 また、パーパスやビジョンを実現する組織・人財のあるべき姿として、「顧客起点で価値を共創するイノベーターズ」と定義し、「イノベーターズ」を構成する全社員が備えるべき要素として、当社グループにおける不変の行動指針である「Glico七訓」を基盤に、以下の5つの要素を定めました。

 

■5つの要素

オーナーシップマインド

創業の精神を拠り所に、目的を達成するまで自律的に考動(注1)する

顧客志向

お客様の毎日に必要とされるため、価値創造サイクル(注2)を継続する

グロースマインドセット

事業の発展に向けて、自身に限界を設けず、日々前進する

変化対応力

世の中の動向から機会とリスクを鋭敏に察知し、変化に先回りする

グローバルマインドセット

多様性を認識し受け入れて、判断・意思決定を行い、実行する

(注1)自ら考えて、主体的に行動すること

(注2)すこやかな毎日に寄与する新たな価値を定義、創造、伝達する継続的な活動

 

 

③人的資本戦略(人財育成方針及び社内環境整備について)

理念体系の見直し以降、社員がパーパス・ビジョンに共感できるよう努めており、2025年に実施した社員向けのアンケート調査では「パーパスを理解している」との回答が84%に及びました。一方で、パーパスの実現に向けて新たな価値を創造・創出するためには、全社員がパーパスに共鳴し、成果につながる行動・思考様式を身につけ、実践することが求められます。

そこで、中期経営計画では、事業戦略・研究戦略と連動し、それらを支える基盤として「人的資本戦略」を策定し、従来から注力してきた人財育成に加え、戦略実現に向けた人財ポートフォリオの強化を中心に「個の強化」に取り組んでおります。さらに、社員一人ひとりの内側から湧き起こる「この仕事に取り組みたい」「この取組みを通じて成長したい」と感じ、行動する気持ち(内発的動機)を原動力に、期待される行動・思考様式に基づいて能力・スキルを発揮し、個の力を「組織力へ転換」し成果を上げるための環境の整備も進めております。

 

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1)事業戦略・研究戦略の実現に向けた「個の強化」

 事業戦略・研究戦略の着実な実行には、必要な機能・役割の明確化と専門性の定義を踏まえ、組織能力を「質」と「量」の両面から戦略的に強化することが求められます。この考え方に基づき、当社グループでは、「研究部門」に人的資本投資を集中すると同時に、「経営幹部・リーダーポジション」「ハイポテンシャル人財」2領域で人的資本の強化を行い、計画的かつ継続的な育成・配置、人財の獲得を通じて、持続的な成長と競争力の強化を図っております。

 「研究部門」の強化では、研究員の仕事の進め方を見直すとともに、役割に応じて専門性を発揮し、成果を最大化できる組織構築に取り組んでおります。

 「経営幹部・リーダーポジション」については、後継者候補となる次世代人財を計画的に特定・育成し、人財プールの充実を進めております。

 今後は、「ハイポテンシャル人財」の定義と育成に向けた社員データの分析、全社員を対象としたタレントレビューを通じて、戦略的な人財育成・配置を推進してまいります。

 

2)強化された個の力を「組織力に転換」するための環境づくり

 当社グループの社員は、「食品による国民の体位向上」という創業者・江崎利一の強い願いを起源とする創業の精神やパーパスに共感して入社し、それを働く動機として共鳴し、日々の業務に取り組んでおります。こうした内発的動機を原動力に新たな価値を創造・創出し、成果に繋げるためには、「自律性」「自己効力感」の向上及び「相互尊重と協同関係」の確保が重要であると考えております。

 

■自律性の向上

当社グループが考えるイノベーターとは、マーケティング部門や研究開発部門など、特定の部署に所属する専門家だけを指すものではありません。社員一人ひとりが、慣れ親しんだ環境に安住することなく、価値の創造や生産性の向上に向けて自律的に考え、行動することが、内発的動機をさらに高め、成長を促進すると考えております。

こうした自律的な思考や行動を支える基盤として、当社は社員のキャリア自律を重視し、全社員を対象に「個人別育成計画(Individual Development Plan)」(以下、IDP)を導入しております。IDPは、社員がキャリア目標や成長課題を明確にし、計画的に学びと経験を積み重ねるための基盤です。社員一人ひとりが、上司の支援を得ながら、役割・職種ごとに定義される専門性・スキル(スキルステージ)を踏まえてIDPを作成、自身の成長課題を把握し、キャリア申告や社内公募制度、民間ボランティア派遣制度などの仕組みを活用しながら、自律的に成長できる環境を整備しております。

また、当社は2021年より商品開発の進行・意思決定プロセスを刷新し、パーパス実現に向けた価値創造商品の期待水準について社員の理解を揃えてまいりました。しかし、価値創造商品の上市につながる企画・立案においては、質・量ともに不足していました。そこで2026年には、事業部門を対象に「価値創造強化プログラム」を導入し、実践的に企画・立案の『型』の定着を図る計画です。

 

■自己効力感の向上

 当社グループでは、慣れ親しんだ業務領域や安定した環境にとどまることなく、事業の発展に向けて困難な課題に取り組み、獲得した成功体験、苦難を乗り越えた経験、そこで培われた自信が、社員の成長実感や前向きな姿勢につながると考えております。

 当社グループでは、長期経営構想の実現に向けて、まず明確な目的意識を共有し、次に仕事と成果の再定義を行い、それらを部門目標に反映させ、目標管理制度を通じて社員一人ひとりの個人目標まで落とし込んでおります。

 また、全社員が「顧客起点で価値を共創するイノベーターズ」として成果を上げるため、前項で示した5つの要素を踏まえ、今後は具体的な行動基準を定め、人財開発に活用する計画です。

 さらに、5つの要素を伸ばしつつ社員の力を組織力へと転換するために、管理職に求められる期待役割・行動を定義しました。2025年には期待役割・行動に基づく360度評価を導入するとともに、実践につなげるためのワークショップを実施しております。

 慣れ親しんだ業務領域や安定した環境にとどまらず、困難な課題に取り組む姿勢の醸成には、社会人生活の最初の3年間の体験が影響すると考えております。こうした考えに基づき、2026年には新卒入社3年目までの育成プログラムの見直しを計画しております。

 

■相互尊重と協同関係の確保

 新たな価値の創出や生産性の向上は、一部の部門や個人の力だけで推進できるものではありません。当社グループでは、a.全ての社員がパーパスに共鳴し、自ら考え、実践する集団となり、b.性別・年齢・国籍・文化・価値観などの違いを認識し、相互に尊重し合う関係を築くことで、多様な視座・視点を活かした意思決定や判断の質を高める環境づくりを進めております。

a.当社グループでは、2月11日の創立記念日を記念して、毎年創立記念式典を開催しております。2025年の式典では、パーパスに共鳴し、具体的な行動を起こした社員による事例発表を行い、参加者がその発表から得た気づきを自職場で行動につなげることを目的に、職場ワークショップも実施しました。

b.また、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をイノベーションの実現や意思決定の高度化、組織力の強化につながる重要施策と位置づけ、ジェンダー平等、育児支援、障がい者雇用など、多様な人財が力を発揮できる環境整備を進めております。2019年に発足した「Co育て(こそだて)PROJECT」では、子どもの出生後6カ月以内に1カ月間の有給休暇取得を必須とする「Co育てMonth」制度を導入しました。対象社員が1カ月不在となる間は同僚社員が業務をカバーし合い、職場全体で育児と仕事の両立を支える仕組みとしております。障がい者雇用においては、大阪市西淀川区の本社敷地内に「スマイルファクトリー」を設置し、これまで外部委託していた業務を内製化することで、障がいのある方が、やりがいを持って働き、自身の役割や貢献を実感できる職場づくりを進めております。

 こうした取り組みの成果として、当連結会計年度では、当社及び国内連結子会社の男性育児休業取得率は

98.7%、障がい者雇用率は法定雇用率を上回る3.35%を達成しております。

 

④人財育成投資及び健康経営の基盤

1)人財育成投資

当社及び国内連結子会社では、人財育成を重要な経営投資と位置づけ、次世代の経営幹部やリーダー候補を対象とした選抜型リーダーシップ研修、次世代イノベーター育成研修、デザイン思考ワークショップ、デジタルスキル研修、民間ボランティア制度への人財派遣など、積極的に育成機会の拡充を進めております。その結果、2025年の研修費用総額は324百万円、一人あたりでは91千円となりました。

2026年にはビジネスアーキテクトスキルやプロジェクトマネジメントスキルを強化するためのプログラムの導入を計画しており、今後も社員一人ひとりの成長を支える環境づくりを通じて、組織全体の持続的な成長を目指してまいります。

 

2)健康経営の基盤

企業が持続的に成長・発展し、事業を通じて社会に貢献し続けるためには、社員一人ひとりが心身ともに健康で、働きがいを持っていきいきと業務に取り組むことが不可欠です。

当社グループでは、2023年から産業保健体制の拡充・整備に取り組んでおり、社内の専門家が社員に寄り添った専門的な予防・保健活動を推進しております。この取組みにより、二次検査受診勧奨や健康診断後の事後措置、休復職者支援の強化を進めてきました。その結果、当社の二次検査受診率は92.4%に達し(2021年度実績26.7%)、ストレスチェックの総合健康リスク値も継続的に改善し、2025年には82と、平均値100を下回る良好な結果となっております。

2025年には、社員の生活習慣病予防や健康意識向上を目的に、産業医と保健師、商品開発担当者が協同して、当社製品の“SUNAO(スナオ)冷凍パスタ”を活用した社内セミナーを開催、血糖値上昇の仕組みや改善に繋がる食生活の見直し方を指導しました。その結果、セミナーを受講した419名の社員の内、88%に生活習慣病の予防や健康に対する意識、行動に前向きな変化が見られました。

2026年1月、就業規則に「労働時間内の禁煙」を追記しました。これにより、喫煙習慣のない家族や他の社員、取引先の方々への二次喫煙・三次喫煙のリスクを減らすとともに、社員が健康で長く働ける環境にします。

こうした取組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人ホワイト500」に2021年から5年連続で認定されました。

 

 

指標及び目標

指標

目標

2023年

2024年

2025年

パーパスに関する意識調査(インターナルコミュニケーションアンケートの結果)(注1)

 

パーパスを理解していると回答した者の割合

76

78

84

パーパスの実現のために行動していると回答した者の割合

55

60

69

多様性に関する指標

 

正規雇用労働者に占める女性労働者の割合

25.7

26.8

28.1

管理職に占める女性労働者の割合

6.5

6.7

6.3

正規雇用労働者に占める外国籍労働者の割合

0.7

0.6

0.6

障がい者雇用率

3.00

3.34

3.31

3.35

60歳定年を迎えた正規雇用労働者の継続雇用の割合

84.9

76.9

80.4

男性労働者の育児休業取得率

100.0

90.2

86.1

98.7

社員の働きがい、働きやすさに関する指標

 

従業員エンゲージメント)(注2)

48.0

継続勤務意向)(注2)

79.0

年間一人当たり総労働時間(時間)(注3)

2,041

2,084

2,020

年次有給休暇の平均取得率(%)(注3)

75.8

73.2

78.8

災害度数率(注3)

0.51

0.25

2.41

人財育成投資に関する指標(注4)

 

研修費用総額百万円

201

172

324

一人当たり研修費千円

61

48

91

健康経営に関する指標(注5)

 

総合健康リスク(注6)

85

83

82

プレゼンティーズム)(注7)

21.9

20.8

20.2

アブセンティーズム)(注8)

1.24

1.86

健康経営度調査ランキング

101-150

251-300

二次検査受診率

92.2

92.4

特定保健指導実施率

79.2

73.0

(注)1.当社及び国内連結子会社を対象とした調査の結果です。

2.2025年10月に、Qualtrics LLCが提供するエンゲージメントサーベイ(EX25)を当社及び国内連結子会社、一部の海外連結子会社に導入し、実施しました。上記数値は、当社及び国内連結子会社の回答者の内、肯定的回答をした者の割合です。

3.2023年及び2024年は当社の実績、2025年は当社及び国内連結子会社の実績を記載しております。

4.2023年及び2024年は人事部門が実施した研修のみを集計していましたが、2025年は各部門が実施した研修も含めて集計しております。

5.当社の調査、集計結果です。健康経営に関する一部の指標については、算出時期の都合により「-」と記載しております。

6.年度により算定範囲が異なっていたため、当社の実績に統一しております。

7.プレゼンティーズムとは、社員が体調不良を抱えながらも出社し、本来のパフォーマンスを発揮できず、生産性が低下している状態を示す指標です。SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)で算出しております。

8.アブセンティーズムとは、社員が健康上の理由で欠勤・休職することで生じるパフォーマンスの損失を示す指標です。(保存休暇使用日数+欠勤日数+特別休職日数含む休職日数)÷全社員数で算出しております。

 

3【事業等のリスク】

当社グループは、存在意義(パーパス)・ありたい会社の姿(ビジョン)を実現し、多様なステークホルダーとともに持続的な成長・発展を図るため、戦略的かつ全社的なリスクマネジメント体制を整備・運用しております。

同体制のもと、当社グループの業務リスク及び戦略リスクを把握し、リスクの顕在化によるクライシスの発生をできる限り未然に防ぐとともに、クライシスが発生した場合に生じる負の影響を最小限に抑えるための対応策を予め講じるよう努めております。

経営環境、経営成績、財務状況等(株価含む)に重大な影響を及ぼす可能性のある重要リスクには以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスクを脅威とみなすだけでなく、創意工夫による適切な対応を通じ、持続的な成長の機会として捉えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

リスク分類

リスク概要

影響度

発生
可能性

対応方針

業務リスク

コンプライアンス

・法令違反リスク

・社会規範に反するリスク

・役職員を対象にした各種領域におけるコンプライアンス教育の実施

・社内規程の整備と見直し

・ホットラインの設置

災害

・地震、津波、風水害、パンデミック等の発生による社会的混乱が生じた場合のリスク

・サプライチェーン分断のリスクや事業停止のリスク

・役職員や事業資産が損害を被るリスク

・BCP(事業継続計画)の遂行による早期の事業復旧と定期的な計画のアップデート

・激甚化が進む大雨、新たに注視すべき富士山噴火等への備え (リスクアセスメント、初動対応整備)

・役職員を対象としたリスク対応トレーニングの実施と事業資産への物的対策強化

・生産及び調達先の多重化、分散化

・重要部品、製品在庫の分散保管

・生産部門での非常時の対応方針・事業継続計画を策定し、多能化・訓練等の実施

情報セキュリティ

・当社グループの情報システム等が、ランサムウェア、脆弱性の悪用、委託先を起点とする侵害、DDoS攻撃等のサイバー攻撃を受けることにより、重要データの漏えい・改ざん・滅失やシステム障害、事業の停止等が生じるリスク

・情報セキュリティポリシーおよび関連規程の整備、責任体制の明確化、リスク管理の枠組みに基づく運用、重要事項の経営層への定期報告

・リスクアセスメントに基づくアクセス制御、脆弱性管理、端末・サーバのセキュリティ対策、ネットワーク防御、ログ監視等による早期検知

・インシデント対応手順およびバックアップを含む復旧計画の整備、委託先のセキュリティ確認、全役職員向け情報セキュリティ教育・訓練の実施等による被害最小化と早期復旧の確保

品質安全

・製品回収による多額のコスト発生リスク

・顧客の流出等による売上低迷のリスク

・Glicoブランドの毀損リスク

・国際的な食品安全システムの導入の取組み(FSSC22000の取得)

・取引先の監査等を含むサプライチェーンでの品質保証体制の構築と運用

・適切な情報開示(Glicoグループ品質方針、原材料調達、アレルゲン)

・お客様の声の反映

レピュテーション

・風評被害

・Glicoに関するリスク・クライシスの顕在化によるコーポレート及び商品ブランドの毀損リスク

・適切な情報開示

・危機対応広報計画の整備と周知

・役職員を対象にした教育・訓練の定期的な実施

サプライチェーン

・需給変動による原油価格、原材料費、加工費、物流費の高騰のリスク

・デジタル技術の活用による原材料発注のサプライチェーンマネジメントの強化

・調達先の複線化によるレジリエンスの強化

・長期の需要予測に基づく調達・在庫計画

・グローバルソーシングによる調達力強化

・省人化等による生産効率の向上、適正在庫維持、高積載等による物流効率の向上

 

 

リスク分類

リスク概要

影響

発生

可能性

対応方針

戦略リスク

事業・

研究戦略

・新製品開発、現行製品の改良、コストダウン、基礎研究分野における開発が成功しないリスク

・市場の変化を捉えきれず市場ニーズに乖離し、受け入れられないリスク

・注力領域への経営資源投入による開発の質及び効率の向上

・製品開発へのデジタル技術活用による開発プロセスの効率化と精度向上

・健康機能の科学的評価技術を開発し、多様なお客様の健康に寄与できる安全な製品の開発

・デジタル人財開発による販売データ、お客様の声の分析高度化

・外部の研究機関、スタートアップ企業との協働等のオープンイノベーションによる開発の加速

人的資本戦略

・人財育成や外部採用の遅れにより、経営戦略の実現に必要な組織ケイパビリティの向上が滞ることで、経営戦略の実行が遅延することによる生産性の低下、業績悪化のリスク

・人財ポートフォリオの強化(研究戦略の実現、後継者育成、活躍人財など)

・役職員のキャリア自律の支援(個人別育成計画、キャリア申告、公募制など)

・役職員に期待する思考・行動様式の定義と制度反映(人事評価、人財開発など)

・意思決定の質を高め、価値創造につながるインクルージョン施策の推進

・健康経営の推進

社会課題
(環境、人権、食、働き方等)

・温暖化や地球環境の変化及びそれらへの対応による各種コストの上昇リスク

・人権デューデリジェンス

・グローバルに健康栄養課題の加速(高脂肪・高糖・高塩品の販売規制等)、 食のアクセシビリティ、食の多様性への配慮

・働き方への多様性に関する社会的要求

・社会課題への対応遅れによるGlicoブランドの毀損リスク

・「Glicoグループ環境ビジョン2050」の着実な実行(気候変動への対応・温室効果ガスの削減、持続可能な水資源の活用、持続可能な容器包装資源の活用、需給精度の向上やリサイクルの推進による食品廃棄物の削減、商品に使用する紙器を100%森林認証紙化実施)

・TCFDの枠組みの下、気温上昇に伴うリスクの理解とそのリスクへの対応等を検討

・Glicoグループ人権方針の推進

・適正糖質商品、減塩商品の提供、健康機能をもった商品の開発

・生活者が選択できる分かりやすい表示等情報開示の透明性向上

・アレルギー対応商品の開発、WEBで情報提供による選択肢の幅提供

・柔軟な働き方、子育て家庭への支援、多様な人財が活躍できる組織環境の整備・D&I推進

・情報開示を通じたGlicoブランドの信頼獲得

外部環境

・政治、経済、社会、技術等の分野における外部環境の変化に起因し、当社グループの中長期的な経営目標の達成等に影響を及ぼすおそれのあるリスク

・当社グループの外部環境の中長期的な動向について情報収集・分析・評価を行い、重要リスクを特定し、当該リスクについての対応戦略を検討・実施

・重大事象が急遽発生した場合には、速やかに情報収集・分析・評価を行った上で、必要な対応策について検討・実施

(注)各リスクの影響度及び発生可能性については、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの事業活動等に及ぼす影響の大きさ及び今後一定期間内における発生の蓋然性を総合的に勘案し、「高」、「中」、「低」の3段階で評価しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、物価上昇の継続、不安定な世界情勢、金融資本市場の変動等の影響による景気の下振れリスクには留意する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況の中で、当社グループは、存在意義(パーパス)である「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現のために価値創造を強化し、①健康価値の提供・お客様起点のバリューチェーンの構築、②注力領域への研究投資の集中、③海外事業の拡大に向けて取り組みました。

 その結果、売上面では、食品原料事業で前年同期を下回ったものの、前年にチルド商品出荷停止の影響を大きく受けた乳業事業及び国内その他事業並びに海外事業等で前年同期を上回ったため、当連結会計年度の売上高は361,390百万円となり、前年同期(331,129百万円)に比べ9.1%の増収となりました。

 利益面では、売上原価率は、主に乳業事業、海外事業における米国等で上昇したため、前年同期に比べ1.2ポイント上昇しました。販売費及び一般管理費は、販売促進費、減価償却費等が増加しました。

 その結果、営業利益は8,736百万円となり、前年同期(11,065百万円)に比べ2,329百万円の減益となりました。経常利益は営業利益段階での減益や為替差損等により11,645百万円となり、前年同期(13,348百万円)に比べ1,702百万円の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失等により5,036百万円となり、前年同期(8,113百万円)に比べ3,076百万円の減益となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

<健康・食品事業>

 売上面では、“パピコ”“アイスの実”等が前年同期を下回りましたが、前年にチルド商品出荷停止の影響を受けた“アーモンド効果”等は前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は47,859百万円となり、前年同期(46,682百万円)に比べ2.5%の増収となりました。

 利益面では、売上原価率の上昇等により、営業損失は1,513百万円となり、前年同期(営業損失167百万円)に比べ1,345百万円の減益となりました。

 

<乳業事業>

 売上面では、“パナップ”等が前年同期を下回りましたが、前年にチルド商品出荷停止の影響を受けた“プッチンプリン”“カフェオーレ”等は前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は66,492百万円となり、前年同期(56,077百万円)に比べ18.6%の増収となりました。

 利益面では、売上原価率の上昇等により、営業損失は7,145百万円となり、前年同期(営業損失6,368百万円)に比べ776百万円の減益となりました。

 

<栄養菓子事業>

 売上面では、“カプリコ”“神戸ローストショコラ”等が前年同期を下回りましたが、“プリッツ”や前年にチルド商品出荷停止の影響を受けた“とろ~りクリームon”等は前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は65,950百万円となり、前年同期(64,737百万円)に比べ1.9%の増収となりました。

 利益面では、売上原価率の上昇等により、営業利益は4,376百万円となり、前年同期(5,199百万円)に比べ822百万円の減益となりました。

 

<食品原料事業>

 売上面では、「小麦たん白」「ファインケミカル素材」等が前年同期を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は13,172百万円となり、前年同期(13,934百万円)に比べ5.5%の減収となりました。

 利益面では、売上原価率の低下等により、営業利益は2,256百万円となり、前年同期(2,090百万円)に比べ166百万円の増益となりました。

 

<国内その他事業>

 売上面では、前連結会計年度において株式会社Greenspoonを連結子会社化したことによる売上高純増のほか、前年にチルド商品出荷停止の影響を受けたキリンビバレッジ株式会社の受託販売及び卸売販売子会社の売上高等が前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は77,212百万円となり、前年同期(67,381百万円)に比べ14.6%の増収となりました。

 利益面では、増収に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は698百万円となり、前年同期(営業損失2百万円)に比べ701百万円の増益となりました。

 

<海外事業>

 売上面では、地域別において、中国等で前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は90,702百万円となり、前年同期(82,316百万円)に比べ10.2%の増収となりました。

 利益面では、売上原価率の上昇等により、営業利益は8,234百万円となり、前年同期(8,388百万円)に比べ153百万円の減益となりました。

 

財政状態については、次のとおりであります。

資産

 当連結会計年度末における流動資産は180,388百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,963百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金、原材料及び貯蔵品等が増加したことによるものであります。固定資産は213,741百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,394百万円増加しました。主な要因は、機械装置及び運搬具等が減少しましたが、投資有価証券等が増加したことによるものであります。この結果、総資産は394,129百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,357百万円増加しました。

 

負債

 当連結会計年度末における流動負債は95,252百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,639百万円増加しました。主な要因は、支払手形及び買掛金が増加したことによるものであります。固定負債は20,344百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,783百万円増加しました。主な要因は、繰延税金負債が増加したことによるものであります。この結果、負債合計は115,597百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,423百万円増加しました。

 

純資産

 当連結会計年度末の純資産合計は278,532百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,933百万円増加しました。主な要因は、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は70.5%(前連結会計年度末比1.5ポイント低下)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額(△は減)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

1,812

27,279

25,467

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△10,255

△13,852

△3,596

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△39,246

△7,037

32,208

現金及び現金同等物期首残高

(百万円)

94,691

56,610

△38,080

現金及び現金同等物期末残高

(百万円)

56,610

64,737

8,126

 

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ8,126百万円増加し、当連結会計年度末は64,737百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは27,279百万円となりました。主な要因は、棚卸資産の増加△9,328百万円があったものの、税金等調整前当期純利益8,099百万円、減価償却費19,603百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは△13,852百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入2,507百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出△10,126百万円、投資有価証券の取得による支出△4,665百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは△7,037百万円となりました。主な要因は、配当金の支払額△5,729百万円があったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

対前年同期増減率

(%)

健康・食品事業

(百万円)

38,184

4.3

乳業事業

(百万円)

53,051

20.6

栄養菓子事業

(百万円)

52,617

3.6

食品原料事業

(百万円)

10,029

△7.4

国内その他事業

(百万円)

16,282

27.7

海外事業

(百万円)

63,639

18.1

合計

(百万円)

233,804

12.0

(注)金額は、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

対前年同期増減率

(%)

健康・食品事業

(百万円)

47,859

2.5

乳業事業

(百万円)

66,492

18.6

栄養菓子事業

(百万円)

65,950

1.9

食品原料事業

(百万円)

13,172

△5.5

国内その他事業

(百万円)

77,212

14.6

海外事業

(百万円)

90,702

10.2

合計

(百万円)

361,390

9.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績の分析

当連結会計年度末の財政状態及び経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社グループの経営成績につきまして、当連結会計年度の計画達成状況は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

(参考)

当連結会計年度

当初計画

 

当連結会計年度

修正後計画

 

当連結会計年度

実績

 

対修正後計画

増減額

売上高

370,000

362,000

361,390

△609

  健康・食品事業

53,000

49,000

47,859

△1,140

  乳業事業

72,000

67,000

66,492

△507

  栄養菓子事業

68,000

67,000

65,950

△1,049

  食品原料事業

14,000

13,500

13,172

△327

  国内その他事業

72,000

77,000

77,212

212

  海外事業

91,000

88,500

90,702

2,202

営業利益

18,000

10,000

8,736

△1,263

経常利益

19,500

12,000

11,645

△354

親会社株主に帰属する

当期純利益

12,000

5,500

5,036

△463

 

当連結会計年度において、チョコレート製品の自主回収や健康・食品事業及び乳業事業におけるアイスクリームやチルド商品の不振等により、当初計画の見直しを行いました。修正後計画と比較して、当連結会計年度の経営成績は、売上高は修正後計画を609百万円、営業利益は修正後計画を1,263百万円下回る結果となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備の増設・更新等の設備投資によるものであります。

当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを重点事項と考えております。

運転資金は内部資金または銀行借入を活用し、設備投資資金等の中長期的な資金は、投資計画及びその他の長期的資金需要に照らして、内部資金の活用、銀行借入、または社債発行等により必要な資金を調達する方針であります。また当社及び主要な国内連結子会社における余剰資金の一元管理による資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、TMS(トレジャリーマネジメントシステム)を導入しております。

 

③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を存在意義(パーパス)として制定しました。存在意義(パーパス)を実現すべく、中期経営計画(2025年12月期~2027年12月期)を策定し、①健康価値の提供・お客様起点のバリューチェーンの構築、②注力領域への研究投資の集中、③海外事業の拡大に取り組むとともに、利益と資金を継続的に増加させながら成長加速に向けた投資を実行し、国内外における売上高及び営業利益の向上を継続的に目指すことを目標に活動を進めました。

 当連結会計年度の結果としては、売上高の対前年増減率は9.1%、営業利益の対前年増減率は△21.0%となりました。引き続き、存在意義(パーパス)の実現に向けた活動を進め、当該目標の達成に向けて邁進してまいります。

 

当連結会計年度

目標とする経営指標

売上高成長率

(対前年増減率)9.1%

年平均成長率+5~10%

営業利益成長率

(対前年増減率)△21.0%

年平均成長率+10~15%

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a.貸倒引当金

当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見積額を計上しております。取引先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

b.繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。

c.退職給付費用及び退職給付に係る負債

当社グループは、退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

d.有価証券の減損

当社グループは、投資有価証券を保有しており、市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。また、市場価格のない株式等以外のものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30%から50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。他方、市場価格のない株式等については、実質価額が取得価額と比べて50%以上下落したものについては「著しく下落した」ものとし、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。

当社グループは、投資有価証券について必要な減損処理をこれまで行ってきておりますが、将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現状の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が生じ、減損処理が必要となる可能性があります。

e.返金負債

 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

f.固定資産の減損

 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

合弁契約

契約先

国名

合弁契約の内容

契約の発効日

契約期間

ジェネラルビスケット社

フランス

社名:Generale Biscuit Glico France S.A.

目的:各種菓子、食料品類の製造販売

資本金:1,525千EUR

当社出資額:762千EUR(出資比率50%)

設立:1982年3月19日

:1986年5月9日 5百万フランスフラン増資(新資本金10百万フランスフラン)

:1987年2月18日 ジェネラルビスケット社は、ビー・エス・エヌ社(現ダノングループ)と合併しました。

:2007年11月30日 ジェネラルビスケット社は、株式譲渡によりクラフトフーズ社の傘下となりました。

:2012年10月1日 クラフトフーズ社は、モンデリーズインターナショナル社に社名を変更しました。

1981年10月27日

 

 

 

 

2008年5月28日

 

契約の発効日より10年間。

以降5年ごとに更新しております。

クラフトフーズ社と合弁契約の改定契約を実施しました。

PT. Mitorajaya Ekaprana

 

インドネシア

 

社名:PT. Glico - Wings

目的:アイスクリームの製造販売

資本金:1,681,600百万IDR

当社出資額:598,800百万IDR(出資比率35.6%)

設立:2013年9月27日

:2017年3月29日 120,000百万IDR増資

:2018年12月21日  30,000百万IDR増資

:2019年4月26日 650,000百万IDR増資

:2021年3月1日  47,600百万IDR増資

:2023年7月13日 260,000百万IDR増資

:2025年4月14日 224,000百万IDR増資

2013年7月30日

設定なし

 

6【研究開発活動】

当社では、事業戦略と研究戦略が一体となり、お客様起点の価値創造サイクルを回すことで、持続的な成長を実現するフレームワークを構築しております。「お客様との接点」から得た洞察を基に「価値定義」を行い、研究開発によって「価値創造」へと昇華させ、製品・サービスとして「価値伝達」を行います。そして、その反響を「フィードバック」として次の価値創造に活かすサイクルこそが、私たちの価値創造の核心であります。

 厳しい経済環境が続くなか、企業の成長に不可欠である新製品の開発は、当社グループの企業戦略における最重要課題のひとつであります。当社グループでは、エビデンスに基づいた「おいしさと健康」の実現を図るべく、研究・開発体制(イノベーション)の強化に取り組んでおります。

 当連結会計年度に支出した研究開発費は総額6,016百万円であります。セグメントごとの研究開発費は、健康・食品事業が1,434百万円、乳業事業が1,322百万円、栄養菓子事業が1,218百万円、食品原料事業が339百万円で、基礎研究等で特定のセグメントに関連付けられない研究開発費は1,703百万円であります。

 

当連結会計年度の主な研究の概要とその成果

(1)基礎研究、応用研究分野

基礎研究、応用研究では、価値創造サイクルを駆動させるために、研究価値起点、素材追求起点、食文化創造起点の3つの起点を柱としております。まず「研究価値起点」では、科学的エビデンスに基づき、お客様の健康課題に真に応える価値を創出するアプローチを採用しております。そのため、社会のニーズと当社の強みを踏まえ、中長期的な健康価値の創出を目指して5つの注力領域(①発育・栄養の最適化、②成長の支援、③運動能力の強化、④脳機能の向上、⑤ヘルシーエイジング)を設定し、専門性の高い研究開発を推進しております。次に「素材追求起点」では、事業の根幹である「おいしさと健康」を両立させるため、乳、カカオ、アーモンドといった重点素材の持つ価値を深く探求し、高品質な素材を追求し続けております。そして「食文化創造起点」では、素材の良さを最大限に引き出すため、発酵、添加・調理、製品加工といった製造技術を磨き上げるとともに、新しい食文化やライフスタイルを創造することを目指しております。

 

当社の研究戦略の枠組みで示した重点課題、特に「ヘルシーエイジング」や「成長の支援」といった現代社会のニーズに応えるべく、当社の基礎研究、応用研究では、直近の製品開発に留まらず、長期的な視点から将来の事業の柱を築くための重要な投資として、先進的な取組みに注力しております。

 

①老化細胞除去(セノリシス)技術の研究

 加齢に伴い体内に蓄積する「老化細胞」は、周囲の組織に炎症を引き起こすなど、様々な身体機能低下の要因となります。この老化細胞を選択的に除去する「セノリシス」技術は、健康寿命の延伸という現代社会の喫緊の課題に応えるものとして、世界的に注目されております。

 当社は、保有する約6,000種類の素材ライブラリーの中から、古くから食品として利用されてきた「ネムノキ」に、正常な細胞には影響を与えずに老化細胞だけを選択的に除去する効果があることを発見しました。この研究成果に基づき、本技術に関する国内初のネムノキの老化細胞除去剤に関する特許(特許第7659690号)を取得しております。

 さらに、ヒト培養細胞を用いた試験において、ネムノキの花部分は、正常細胞と比較して老化細胞を9.8倍効率よく除去することを確認しました。この効果は、セノリシス作用が報告されている機能性成分ケルセチンを上回るものであり、当社技術の優位性を示しております。

 本技術は、医薬品とは一線を画す「食品」として日常的な老化ケアを可能にし、成長著しい予防的ウェルネス市場において優位性を確立するものであります。現在、国際特許出願を進めており、ヒトでの有効性検証を経て、グローバルでの製品展開を加速させることで、将来の収益基盤を構築してまいります。

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②免疫調節乳酸菌GCL1815株の研究

 感染症予防の観点から、日々の免疫機能を維持・向上させることの重要性はますます高まっております。特に、優れた免疫調節能を持つ乳酸菌の探索は、食を通じた健康維持への貢献が期待される、社会的に意義の大きい研究テーマであります。

 当社は、保有する約1万株の菌株ライブラリーの中から、免疫機能における重要な3つの評価軸(IgA産生、樹状細胞活性化、IL-12産生)すべてにおいて極めて優れた性能を持つ乳酸菌 Lactobacillus helveticus GCL1815株を発見しました。ヒト免疫機能に関する試験では、顕著な結果が得られております。まず、病原体の感染防御に重要な抗体であるIgAの産生量が、対照群と比較してほぼ2倍に向上しました。次に、免疫システムの司令塔である樹状細胞の活性化指標(CD86)が対照群比で2倍以上となり、免疫システム全体を効率的に始動させる能力が高いことが示されました。さらに、感染細胞の除去を促進するサイトカインIL-12の産生量は、対照群と比較して45倍以上という極めて強力な誘導作用を示しました。加えて、摂取試験において風邪の自覚症状の発生頻度が低減する傾向が確認され、実生活における感染症予防効果を示唆しております。

 GCL1815株が持つ卓越した免疫調節能は、ヒトでの高い感染症予防効果を示唆しており、当社の製品ポートフォリオにおける科学的優位性と競争優位性を担保する重要な資産です。今後は摂取による作用検証を加速させ、市場投入に向けた開発を推進してまいります。

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③ビフィズス菌GCL2505株と短鎖脂肪酸に関する研究

 腸内細菌が産生する「短鎖脂肪酸」は、近年の研究で抗肥満作用や免疫調節など、全身の健康に多面的に寄与することが明らかになり、腸内環境を介した健康維持への関心が急速に高まっております。

 当社は、独自のビフィズス菌GCL2505株と、そのエサとなる水溶性食物繊維イヌリンを同時に摂取することで、腸内のビフィズス菌が増加し、便中の短鎖脂肪酸濃度が有意に高まることを、健常な成人男女120名を対象としたヒト試験で確認しました。さらに、本研究により、GCL2505株とイヌリンの摂取によってこれまで報告されてきた複数の健康機能が、短鎖脂肪酸の増加を介して発揮されるという作用機序の仮説が、科学的に強く支持されました。具体的には、内臓脂肪・体脂肪の低減、安静時エネルギー消費量の向上、血管の柔軟性改善、認知機能の改善など、多面的な健康効果が期待されます。

 本研究成果は、当社の腸内環境改善技術に科学的根拠を与え、ブランド価値を飛躍的に高めるものです。今後も短鎖脂肪酸の増加を軸とした研究を深化させ、科学的エビデンスに基づくマーケティングを展開することで、事業価値を最大化してまいります。

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(2)新製品開発分野

<健康・食品事業>

 冷凍幼児食ブランド“cotote(コトテ)”を新たに展開しました。本ブランドは、幼児期の成長に合わせた2段階のメニュー(STEP1、STEP2)を用意し、全メニューで50種類の素材を使用することで、栄養バランスと多様な食体験を提供します。さらに、定期宅配モデルを採用し、共働き家庭における食事準備の負担軽減と利便性向上を実現しました。

 アイスクリーム分野では、嗜好性とプレミアム感を重視した新商品を発売しました。“アイスの実”「とろけるカフェオレ」は北海道産生クリームとキリマンジャロコーヒーを使用し、やわらか2層仕立てによるとろける食感を実現しました。“アイスの実”「完熟マンゴー」はアルフォンソマンゴーの果汁・果肉を16%使用し、トロピカルな味わいを提供します。また、“パピコ”「レモン」は瀬戸内レモンとシチリアレモンの果汁に加え、レモンピールを使用することで爽やかな酸味とほのかな苦味を両立しました。これらの製品は、素材の産地や品質にこだわり、季節感を取り入れることで、消費者の「ちょっとした贅沢」や「気分転換」ニーズに応えております。

 また、プラントベース市場の拡大に対応するため、アーモンドミルクブランド“アーモンド効果”において、プロテイン入りシリーズや微糖タイプを新たに投入しました。これにより、健康維持や美容効果を求める幅広い層に対応し、日常的な飲用習慣の定着を促進しております。

 さらに、スポーツフーズブランド“パワープロダクション”では、Garminデバイスと連携する「パワープロダクションアプリ」を開発し、運動データに基づくコンディション管理を可能にしました。加えて、トレーニング内容に応じて全36通りから最適な組み合わせを提案するカスタマイズサプリ「Up&Rest」を提供し、アスリートのパフォーマンス向上を包括的に支援するサービスを開始しました。

 

<乳業事業>

 当社は、ビフィズス菌と食物繊維イヌリンを組み合わせることで短鎖脂肪酸を生み出す力を高める機能性ヨーグルト「BifiXヨーグルト」の研究を進め、「一般社団法人 短鎖脂肪酸普及協会」の認定を取得しました。さらに当社は、短鎖脂肪酸研究を基盤とした製品開発の一環として、“BifiX”からBMIが高めの生活者を対象とした機能性表示食品「BifiXヨーグルトα」を開発し、2026年1月より順次発売を開始しております。本製品は、ビフィズス菌BifiX(B. lactis GCL2505)と食物繊維イヌリンを組み合わせることで腸内のビフィズス菌及び短鎖脂肪酸を増加させ、安静時のエネルギー消費の向上と体脂肪の低減の双方を支援する機能が報告されている日本初のヨーグルトです。これらの機能性は、BMIが高めの成人を対象とした複数のヒト試験により科学的根拠が確認されたものであり、当社が長年取り組んできたビフィズス菌及び短鎖脂肪酸に関する研究の成果に基づくものであります。製品は国産乳原料を使用したシンプルな設計とし、ドリンクタイプ及び個食タイプの計5品を展開することで、多様な生活シーンでの摂取ニーズに対応しております。当社は、本商品の発売を通じ短鎖脂肪酸を介した健康価値の提供をさらに強化するとともに、今後も科学的エビデンスに基づく機能研究と製品開発を推進してまいります。

また、液体ミルクの「アイクレオ赤ちゃんミルク」では、品質検証の結果、これまでよりも長い賞味期限を安全に保証できることが確認されたため、賞味期限を製造日より9ケ月から製造日より10ヶ月に変更し、防災備蓄の容易化と食品ロス削減に貢献しております。

 

<栄養菓子事業>

 発売92周年を迎えた“ビスコ”をリニューアルしました。従来のスポロ乳酸菌に加え、当社独自の「つよさうみだすGCL1815乳酸菌」を配合した「W乳酸菌」戦略を採用し、さらに「旨味重ね製法」による風味向上を実現しました。これにより、子供の健やかな成長を願うブランドパーパスを現代の健康科学で再強化しております。

また、“ポッキー”の「ポッキーチョコレート」及び「ポッキー極細」では、カカオ豆の厳選や国産全粒粉、発酵バターの使用など品質を全面的に見直し、より上質な味わいを追求しました。さらに、大人層向けに「ポッキー2層仕立て<濃い渋み抹茶>」を投入し、2種の宇治抹茶と濃厚チョコレートの複層構造による奥行きのある味わいを提供しております。

 

<その他>

カカオが主役のチョコレートブランド“Tunmel(トゥンメル)”では、産地ごとに異なるカカオの個性ゆたかな風味を楽しめる「ボンボンショコラ カカオセレクション」を展開しました。スイスのOro de Cacao社が持つ、古代マヤから着想を得た独自技術「コールドエクストラクションTM」を採用し、カカオ、砂糖、生クリーム、水あめのみというシンプルな原料で、素材本来の風味を引き出すことにこだわっております。