文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2025年度に経営理念体系の見直しを行いました。新しい経営理念である「縫製技術で築き上げた実績を礎に、衣・社会のサステナブルを支える企業で在りつづける」の下、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるべく、事業活動を推進しております。
その実現に向けた指針として、“Innovation for your Sustainable Future”をビジョンに、社員一人ひとりが 成長し、自らの行動として体現していくための共通の価値観として「8つの重」を掲げています。
当社グループは、これらを事業活動の基盤として、持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会課題の解決に取り組んでまいります。
(環境認識と課題)
2025年12月期における事業環境は、ウクライナや中東等における紛争の継続、資源高や世界的なインフレ等による諸コストの高騰、中国経済の回復遅延や設備投資の抑制に加え、米国の関税政策や日中の政治対立等、外部環境の不確実性から、依然として不透明な状況が継続しております。
市場においては中国企業との価格競争の激化、顧客においては自動化・省力化ニーズの高まり、これらを踏まえたビジネスモデルの構築が課題となっております。
また、AI/ロボティクス/IoE等の技術革新の加速や、サステナビリティ(脱炭素社会/環境負荷低減/人材流動/品質・安全/自動化/コーポレートガバナンス/人権尊重)への社会的ニーズが更に高まっております。
これらの環境変化を受けて、2025年より5か年中期計画「Building Sustainable JUKI」の推進をしております。
本計画は、急速に変化する事業環境を踏まえ、当社の強みを生かした事業競争力の強化と、持続的な成長の実現を目指しております。また外部環境の変化や自社施策の進捗状況を適切に反映するため、当社グループは本中期計画を毎年見直す方針としており、柔軟かつ機動的な事業運営を図っております。
(中期計画のビジョン)
最初の3か年で「“JUKIらしさ”を発揮し存在感のある戦略パートナー」となることを目指し、成長分野へのシフトにより新たなビジネスモデルを構築いたします。また、残りの2か年では「衣」と社会の未来を支える唯一無二のソリューションパートナーとなることを目指し、当初3年間で育てたビジネスモデルを更に深化し、持続的な成長を遂げることを目指してまいります。
(戦略)
中期計画初年度である2025年における事業環境の変化、ビジネスモデルの変革の進捗状況や課題、サステナビリティ課題への対応状況を踏まえ、一部戦略の見直し、節目となる各フェーズにおける目標値の見直しを実施しました。
基本方針とそれぞれの戦略は以下のとおりです。
基本方針
1)2大事業を軸とした成長
2)コスト競争力と財務基盤の強化
3) ESG経営の実践
1)2大事業を軸とした成長
縫製事業および産機事業の2大事業を成長の軸とし、持続的な成長を目指しております。縫製事業は、IoTの融合によるソリューション提案でハイエンド顧客(グローバル100)の囲い込みを加速することで、他社との差別化を図ってまいります。また欧米の職業用ミシン等で強みを持つ家庭用ミシンの拡大を進めます。
また産機事業のうち産業装置事業においては、重点領域・地域を絞った戦略「グローバルニッチ戦略」に転換します。また、主力事業の産業装置事業に加えて、受託事業においては当社の技術力を活かし高収益分野に注力しつつJUKI「第3の柱」を探索すべく取り組みを強化します。
2)コスト競争力と財務基盤の強化
当社グループは、不確実性の高まる事業環境を踏まえ、コスト競争力および財務基盤の強化に取り組んでまいります。コスト競争力の強化に向けては、グローバル調達の最適化やサプライヤーと連携したVE活動、生産工程の自動化、ストックポイント削減や直送化を含む物流の最適化、システムの統廃合やAI活用による業務DX等を推進してまいります。また在庫削減や売上債権の回収促進による運転資本の適正化を通じて収益力の向上を図るとともに、有利子負債の削減や保有資産の定期的な保有方針の見直しを進めることで、財務基盤の強化に取り組んでまいります。
3) ESG経営の実践
ESG経営の実践は、持続可能な社会の実現に向けて企業が果たすべき重要な責任であると認識しております。
事業活動を通じてマテリアリティへの対応を進めることで、社会課題の解決に貢献し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。主要なテーマとしては「カーボンニュートラルの実現」、「人事グランドデザインの実行」、「サステナブル調達」、「品質経営の徹底」、「ガバナンスの強化」としております。
(目標)
従来の売上偏重から利益重視とした経営の進捗、事業戦略の進捗を踏まえ、目標値の見直しを行いました。
売上・利益目標の変更概要は以下のとおりです。今後もより利益重視の経営を進めてまいります。
上記見直しを踏まえ最終年度の2029年のキャッシュコンバージョンサイクルは売上高の7.0か月まで短縮(うち売上債権3.0か月、在庫5.0か月)、 有利子負債は510億円まで削減し、自己資本比率は41%、ROEは23%を目指してまいります。
(資本コストや株価を意識した経営)
上記中期計画の推進を通じ、当社は資本コストや株価を意識した経営の強化に取り組んでおります。現状、ROEは改善傾向にあるものの、株主資本コストを十分に上回る収益水準には至っておらず、結果としてPBRは1.0倍を下回っており、株主・投資家の皆さまの期待に十分応えられていないと認識しています。
この認識のもと、ROE のさらなる改善および PBR1.0 倍以上の早期達成に向け、最優先課題は収益力の向上による利益の拡大であると考えています。2大事業を中心とした収益改善の加速に取り組むとともに、資本効率の最大化に向けた施策を推進し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
また、株主・投資家との建設的な対話を一層強化するため、個人投資家・機関投資家向け説明会の実施拡大や、Webサイトおよび統合報告書等を通じた情報開示の充実に取り組んでまいります。
当社グループはこれらの課題に一丸となって取り組み、株主の皆様のご期待にお応えできますよう努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
(1)サステナビリティ全般
(戦略)
当社は2025年度にマテリアリティ(重点課題)の見直しを実施しました。見直しにあたっては、サステナビリティ領域における主要なメガトレンド、国際的な基準・枠組み(IFRSサステナビリティ開示基準、TCFD、国連SDGs 等)、および当社の事業環境におけるリスク・機会を整理した上で、サステナビリティ課題を抽出しました。
抽出した課題については、自社にとっての重要性とステークホルダーにとっての重要性の双方を評価し、優先的に取り組むべきマテリアリティとして特定しています。
今後は、特定した各マテリアリティに応じた具体的な戦略・施策を推進し、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。
当社グループでは、各マテリアリティの特性に応じて重点的な取り組み事項やKPIを定めており、その進捗をフォローしております。マテリアリティについては、事業環境の変化・施策の追加等を踏まえ、定期的な見直しを進めていきます。詳細は各取り組みの詳細、進捗に関しては最新の
(2)テーマ別
≪気候変動≫
当社は、「地球環境との調和」を経営の根幹に据え、ものづくり企業として、地球環境を大切にし、資源の有効活用、リサイクル、エネルギー効率の改善に積極的に取り組んでいます。
さらに安全で環境負荷の少ない製品をお客様に提供し、地域の産業発展に貢献することで、お客様をはじめ広く社会から信頼され、社会にとって存在価値のある会社であり続けることを目指します。
また気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会を分析し、この分析を経営戦略並びに事業戦略へ反映し、開示情報の充足に努めるとともに、製品開発、生産活動、事業活動におけるCO2排出削減の取り組みをこれまで以上に高め、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを強化していきます。
(戦略)
当社グループの事業において、現在から将来に亘って影響を及ぼす可能性のある気候変動関連のリスクと機会について、気候関連のシナリオとして1.5℃シナリオ(注1)と4℃シナリオ(注2)の2つを想定したうえで、当社グループの事業におけるリスク(注3)と機会(注4)を特定しました。
注1:2050年カーボンニュートラルに向けた社会の変化が急速に進行することで、21世紀末の世界平均気温上昇が1.5℃に抑えられる。
<参照したシナリオ>
・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書 SSP1-1.9(共通社会経路SSP1/代表的濃度経路RCP1.9)
・RCP2.6(RCP2.6シナリオは2℃未満シナリオに近いものであるが、データを補うために一部参照している)
・国際エネルギー機関(IEA Net Zero by 2050)
注2:温室効果ガス排出削減のための社会の変化が進まず、21世紀末の世界平均気温上昇が4℃超となる。
<参照したシナリオ>
・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書 SSP5-8.5(共通社会経路SSP5/代表的濃度経路RCP8.5)
注3:移行リスク(政策・法規制、技術、市場、評判)と物理的リスク(急性、慢性)の観点から当社グループの事業内容に即して特定
注4:移行リスク・物理的リスクを踏まえ、資源の効率性、エネルギー源、製品/サービス、市場、レジリエンスの観点から当社グループの事業内容に即して特定
シナリオ分析の結果特定した、当社グループにおける気候変動関連のリスク・機会とその影響、対応策は以下のとおりです。
〈時間軸〉 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:10年超
シナリオ分析により、1.5℃シナリオにおいては、顧客工場の生産性や省エネ性能を高める製品・サービスの提供や、製品・部品のリサイクル推進といったサーキュラーエコノミーへの取組みが事業拡大の機会となる一方、材料調達コストの増加や生産設備の脱炭素化、製品の低炭素化に対応したコストの増加がリスクとなることが確認できました。また、4℃シナリオにおいては、自然災害の激甚化による自社の拠点やサプライチェーンの生産設備等の損害や操業停止、気温上昇による労働環境の悪化とその対応コストの増加がリスクとなる一方、サプライチェーンを含めた事業継続体制の構築が事業拡大の機会となることが確認できました。
今後、事業への影響度を踏まえつつ、財務上の影響の把握と開示を進めてまいります。
当社グループは、気候変動をはじめとした地球環境への対応として、CO2排出量を指標として、2050年のカーボンニュートラルの達成を目指すことをコミットメントしています。その実現に向けて、Scope1(自社での直接排出)、Scope2(自社で使用するエネルギー起源の間接排出)において、CO2排出量を2013年度比で2025年度は37%、2030年度を50%、2050年度を80%削減(カーボンオフセットにより実質100%削減)することを中期目標としました。事業全体での省エネ活動の推進や、サプライヤーとも連携、協働した生産設備の脱炭素化の推進とともに、再エネ発電設備や蓄電池、カーボンフリー電力等の導入などにより目標達成を目指してまいります。
Scope3(Scope1,2以外の、原料調達・物流・販売などバリューチェーンで発生する、自社の事業活動に関連した排出)については、2022年度よりその算定を開始しCO2排出量を2022年度比で2025年度は10%、2030年度は25%、2050年度を80%削減(カーボンオフセットにより実質100%削減)することを中期目標としました。
当社グループのCO2排出量(Scope1,2,3の合計)はScope3が全体の約9割超を占めており、事業構造上、CO2排出の大部分を占めるのはカテゴリ1(購入した製品とサービス)、カテゴリ11(販売した製品の使用)での排出です。今後、環境負荷の少ない材料の活用の促進、環境性能を高めた製品の開発・供給を通じ、Scope3の削減に努めてまいります。
[Scope1/2のCO2削減目標(2013年度比)]
[Scope1/2/3のCO2排出量実績と削減理由]
・Scope1/2: 28,035 t-CO₂(2024年度) 26,086 t-CO₂(2025年度)※2013年度比約40%削減達成
一部生産子会社の連結からの除外と、機種統廃合と生産規模適正化による低稼働率設備の整理/集約等によります。
・Scope3: 399,612 t-CO₂(2024年度) 338,011 t-CO₂(2025年度)※2022年度比約50%削減達成
主に機種統廃合によるカテゴリ11の削減効果がありました。今後も算定数値の精緻化に努めてまいります。
(―)は対象外
※1 カテゴリ1は2024年度まで生産台数分の購入材料を対象にしていましたが、2025年度は各工場における全ての購入材料(在庫/補用部品も含む)を対象にしました。
※2 カテゴリ11は2024年度まで電力排出係数を2021年度の値に据え置いていましたが、2025年度は算定年度の電力排出係数に置き換えました。
※3 カテゴリ4/9は2025年度は全輸送モード(トラック・鉄道・海運・空運)でトンキロ法を採用しました。
≪人的資本≫
[基本的な考え方]
逞しく柔軟な対応ができる人財を育成するため、グローバルベースでさまざまな価値観の違いを受入れた上で、一人ひとりの能力をさらに高める仕組みづくりを推進し、事業成長に貢献する人財力の強化を図っています。
そのために、「成長につながる機会の提供」⇒「多様な価値観の受入」⇒「職責の拡大/仕事の成果への対応」を循環させ、社員一人ひとりの成長と組織の活性化を図る取り組みを行っています。これらの循環のベースになるのが、「快適かつ働きがいのある職場環境づくり」です。社員の健康やモチベーションアップにつながる施策の実施により、ロイヤリティ、エンゲージメントの向上を図ります。今後も引き続き、一人ひとりの成長のため積極的かつ実効性のある人財育成投資等による強化を実施し、社員の視野を拡げ、組織としての活動領域・ビジネスチャンスに取り組む組織集団に変革します。
(戦略)
[人財力強化]
当社は、幅広い年齢層・組織で構成した人事グランドデザインプロジェクトのメンバーで広く意見を集め、「社員のハッピー」を核としたグランドデザインを策定しました。
当社がサステナブルな企業となるためには、「社員のハッピーを経営の根幹に据える」ことが極めて重要であると考えています。人事グランドデザインは社員自身が作り上げた「社員のハッピー」を実現するための施策であり、この人事グランドデザインに基づき、人的資本経営を力強く推進していきます。

[施策・取組み]
成長につながる機会の提供
社員一人ひとりの成長につながる自律的なキャリア形成とそれを実現させるための教育の機会を提供することで、組織や個人の持続的な成長につなげます。キャリアはじめ専門性に応じた人事制度、若手社員の海外研修や海外拠点を含めたローテーションを実施することにより、国内外の人材を循環させ、個人の能力の向上、多様性・価値観の共有を行います。幹部候補社員に対しては、次世代の計画的育成及び選定を目的に『次期幹部候補育成プログラム』を実施しています。

多様な価値観の受入れ
グローバルに事業を展開する当社グループには、さまざまな社会的背景や価値観を持った社員が働いています。優秀な人材を確保し、イノベーションを創出していくためには、性別・年齢・国籍にかかわらず、社員一人ひとりの多様性を互いに認め合いそれぞれが活躍できる魅力ある環境を整備することが必要です。ダイバーシティの推進は「女性活躍推進」「グローバル人材配置」「専門社員の活躍推進」等を通じて、組織パフォーマンスを最大化します。女性活躍においては様々な研修プログラムを実施するとともに管理職登用要件見直し及び同内容の開示により能力に応じた登用を積極的に進め女性管理職比率向上に繋げています。このような動きを通じて「くるみん」並びに「プラチナえるぼし」の認定を目指します。
職責拡大/仕事の成果への対応
失敗を恐れずに挑戦し、成果を出した社員に対して、ダイナミックな処遇が得られる制度です。給与については、管理職、一般職とも職務・職責成果に応じた人材マネジメント制度を導入し、賞与は評価期間を通年化とするとともに業績に連動したメリハリのある処遇制度にしています。特に管理職については業績結果の反映をより大きくすることにより成果へのこだわりを持った業務の進め方に変革しています。若手・中堅社員については早期戦力化を図るとともに、早期管理職登用に結び付けています。
快適かつ働きがいのある職場環境
快適に業務遂行ができるよう、サテライトオフィスの活用や職場でのフリーアドレスの導入、毎週金曜日を在宅勤務奨励日としています。また、勤務時間の短縮化、有給休暇取得推進を目的とした同休暇推奨日設定等ワークライフバランスの充実も進めています。年齢や性別等に関係なく平等に活躍できる機会や、個人の志向する働き方(時間、職種、地域等)に沿った様々な制度整備に注力しています。経営内容の共有化及び全社員とのコミュニケーション強化を目的に経営陣との直接対話によるタウンホールミーティングを地域、国ごとに定期的に実施しエンゲージメントの向上に繋げています。
(指標及び目標)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク及び対応は、以下のとおりであります。
当社ではリスク全般に適切に対応するため、戦略リスクを扱う経営戦略会議に加え、執行役員と事業部門・グループ会社責任者で構成するリスク管理会議を軸にリスクマネジメントシステムを構築・運営しております。
リスクを戦略リスク、財務リスク、ハザードリスク、オペレーショナルリスクの4つのカテゴリーに分け、さらに15の分類を設けて管理し、変化するリスクに対応するため、年度ごとの方針見直しや四半期ごとのリスク評価・モニタリングを行い、重大なリスクの顕在化の予兆をとらえ、それらへの対応を含め取締役会において報告・審議し継続的な改善を図っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
経営に関わる戦略や、戦略の前提となる事業環境の変化に伴って発生するリスクを管理しております。
① 経営戦略
新規事業に関わる投資リスクや設備投資に伴うリスク、研究開発活動に伴う新製品の市場投入リスク、知的財産保護、M&A(敵対的買収を含む)に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、敵対的企業買収リスクを低減する観点からも、収益性の向上や財務体質の改善など企業価値の向上を図るとともに、株主に信頼されるよう適時の情報発信・開示を心掛けております。また、顧客との緊密な関係性の構築による新たなニーズの発掘、市場でのユースケースの活用や、それを実現するためのマーケットに近い研究開発拠点の強化、オープンイノベーションの活用などにより、市場環境変化に強い研究開発を図っております。加えて、本社に知的財産部門を設置し適切な管理体制を構築し、自らの知的財産の保護並びに知的財産権抵触の防止に努めております。
② マーケティング戦略
原材料価格/物流費の大幅な高騰や競合先による低価格製品の出現、市場の需要の変化等に伴う価格戦略等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、各地域における需要変動について、年1回開催するグループ経営会議で各拠点から報告させるとともに、その間の変化点については都度報告を受け、適切な対策を実施することでリスクの最小化を図っております。
③ 人事戦略
少子高齢化や労働市場の急速な変動等に伴う人材の採用、離職対策、教育実施等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、国内外に20社以上の子会社及び関連会社を有しており、持続的な成長と健全な組織運営のために、グローバル規模で人材の確保と育成を図っております。
④ 政治
政治・経済情勢の変化による需要変動、法令・税制改正による事業活動への制限等の政治経済情勢や、貿易摩擦、通商問題、安全保障管理等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、年4回開催するリスク管理会議で各国の規制等について把握するとともに海外子会社等を通じて常に最新情報を入手するように努め、特別な対応が必要な場合は、社内に対応体制を構築し迅速な対応するなど、リスクの最小化を図っております。
⑤ 経済
景気変動や業界動向の変化に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、各地域におけるリスクについて、年4回開催するリスク管理会議で分析し施策に反映させるとともに、海外子会社等を通じて常に最新情報を入手するよう努め、特別な対応が必要な場合は、社内に対応体制を構築し迅速に対応するなど、リスクの最小化を図っております。
⑥ 社会・メディア
組織及び個人からの不買運動や風評、誹謗中傷、事実と異なる風説の流布、メディア対応等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、風説の流布を防止する観点からも、日頃より適正な業務運営を行うとともに、当該事案が発生した場合は、事実確認や法的手続を含め適切な対応を行ってまいります。
(2) 財務リスク
保有する資産や負債の価値の変動などに伴って発生するリスクを管理しております。
⑦ 資金調達
当社の信用格付けの変動や資金調達面でのリスクが中心となります。
当社グループは、信用格付けの変動を注視するとともに、毎月開催する為替会議で為替リスク発生状況を把握し、為替予約、各国の金利水準を踏まえた資金調達、有利子負債の抑制などによりリスクの最小化を図っております。
⑧ 与信
取引先、仕入先及びアライアンス先の信用不安、代金未払等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、取引先の財務情報を参考に与信管理を行い、取引先の信用リスクに備えております。
⑨ 価格変動
金融市場(為替変動、金利など)の変化により、販売する製品及び調達する材料の価格や支払利息の増加等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、主な為替変動の影響を本社に集約するとともに毎月開催する為替会議で為替リスク発生状況を把握し、輸出による外貨収入の輸入決済への充当などによりリスクの最小化を図っております。また減損に関しては、当社及び各子会社の業績モニタリングと兆候の有無を確認し、対応を図っております。
(3) ハザードリスク
自然災害や事故・故障など、予測困難な外的要因に伴って発生するリスクを管理しています。
⑩ 自然災害
自然災害や感染症の流行等の各種災害、戦争・テロによる事業活動の影響等に伴う事業活動への影響によるリスクが中心となります。
当社グループは、このような災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限に抑えるべく、平時の情報収集に加え、BCP(事業継続計画)の策定等、体制の整備を図っております。
⑪ 事故・故障、機械トラブル、サプライチェーンや情報通信上のトラブル
設備・機械トラブルによる生産停止や品質問題、設備老朽化、サプライチェーンの寸断、サイバー攻撃等による情報リスクが中心となります。
当社グループは、営業・生産戦略と連動した柔軟でスリムな物流体制を構築するとともにサプライチェーンの強化を図っております。また、各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るための管理体制を構築するとともに、適切な安全措置を講じております。
(4) オペレーショナルリスク
主に自らの瑕疵(かし)・怠慢などの内的要因に伴って発生するリスクを管理しています。
⑫ 製品・サービス
製造物責任、製品の瑕疵や業務運用ミス・属人化、悪質なクレーム等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、製造物にかかる賠償責任につきましては製造物賠償保険に加入するとともに、年6回開催する品質会議において品質対策の強化、並びに日常の品質改善活動を展開し、リスクの最小化を図っております。
⑬ 法務・コンプライアンス
コンプライアンス違反や人権侵害、社会制裁によるブランドイメージ毀損等のリスクが中心となります。
当社グループは、「コンプライアンス規定」に則りコンプライアンス体制の運用の徹底を図るとともに、「JUKIグループ社員行動規範」を制定し、グループ社員一人ひとりへの徹底を図る等、リスクの最小化を図っております。また、各国における法的規制の動向について、常に最新情報を入手するように努め、特別な対応が必要な場合は、法務部門を中心に迅速に対応するなど、訴訟リスクの最小化を図っております。加えて、公益通報制度として匿名で通報できる「社員相談窓口」を設け、運用状況についてはリスク管理会議で報告するとともに取締役会や監査役会でも報告し、リスクの早期解決、是正を図っております。
⑭ 環境
環境規制強化、環境汚染、廃棄物処理、ISO認証取り消し等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、年4回開催するリスク管理会議で各国の環境規制の状況を把握するとともに、法令遵守のみならず環境経営を宣言し、自社で定める環境理念、環境指針、グリーン調達ガイドラインに基づき環境負荷の低減を図っております。
⑮ 労務
労務管理、労働災害、メンタル不調、ハラスメント等に伴うリスクが中心となります。
当社グループは、日頃より法令を遵守し、社員の安全や健康面に留意した労務管理を行うとともに、年4回開催するリスク管理会議で労務管理状況のモニタリングを行い、必要に応じて対策を講じる等、リスクの最小化を図っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における事業環境は、ウクライナや中東等における紛争の継続、資源高や世界的なインフレ等による諸コストの高騰、中国経済の回復遅延や設備投資の抑制に加え、米国の関税政策や日中の政治対立等、外部環境の不確実性から、依然として不透明な状況が継続しました。
当社においては、縫製事業はインド以西、中国代理店経由の需要は堅調に推移し、欧米車載関連は第4四半期には急速に需要が回復しました。
一方で、産機事業は主要市場の中国は底打ち感がみられ徐々に回復しておりますが、欧米が低調に推移し、全体では伸び悩みました。
当連結会計年度の売上高は、従来の「売上偏重」から「利益重視」に大きく方針を変更したことから887億6千1百万円(対前年同期比6.7%の減収)となりました。
利益面につきましては、縫製事業のハイエンド市場への重点シフトによる粗利益改善や機種削減による生産能力適正化等の収益性改善を主因として、営業利益は26億6千2百万円(前年同期は9億6千2百万円の損失)、経常利益は14億1千2百万円(前年同期は33億2千7百万円の損失)となり大幅に改善しました。特別利益は政策保有株式売却等の資産効率改善等により33億2千万円を計上、特別損失は生産能力適正化や本社におけるネクストキャリアプログラムの実施等により26億3百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は13億9千9百万円(前年同期は32億3千5百万円の損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
縫製事業は、インド以西、中国代理店経由の需要は堅調に推移し、米国相互関税影響により顧客の設備投資に慎重な動きがみられたアジアでは底打ち感がみられ、欧米の車載関連は第4四半期に急速に需要が回復しました。
従来の「売上偏重」から「利益重視」へ大きく方針を転換したことから、当連結会計年度における売上高は666億1千6百万円(対前年同期比4.6%減)となりました。
一方、利益面においては、ハイエンド市場への重点シフトによる粗利益改善と機種削減による生産能力適正化により収益性が改善したことから、セグメント利益は、営業利益では50億1千万円(前年同期は10億9千5百万円の利益)、経常利益では32億3千1百万円(前年同期は7億1千万円の損失)と大幅に改善しました。
産機事業
産機事業は、主要市場の中国は底打ち感がみられ徐々に回復しておりますが、欧米が低調に推移し全体では伸び悩んだ結果、当連結会計年度における売上高は218億4千7百万円(対前年同期比12.7%減)となりました。
利益面においては、産業装置事業で売上減の影響はありましたが、受託事業は「売上偏重」から「利益重視」のビジネスモデルへの転換により収益改善が進んだことから、セグメント損失は、営業損失では11億1百万円(前年同期は11億9千8百万円の損失)、経常損失では5億3千4百万円(前年同期は9億7千1百万円の損失)と前年比で改善いたしました。
産業装置事業は、年央以降、市場の回復等の外部環境に頼ることなく、重点領域・地域を絞った「グローバルニッチ戦略」に方針を転換しており、それに伴う組織再編・工場規模適正化等の構造改革はほぼ2025年中に完了しております。これらの施策に加え、第4四半期は期末の売上増加もあり営業利益は黒字となりました。
その他
その他の連結売上高は2億9千7百万円(対前連結会計年度比2.1%減)、セグメント損失(経常損失)は4千2百万円(前年同期は2百万円の損失)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、運転資本削減施策による棚卸資産及び売掛金の減少や資産有効活用の観点から投資有価証券の売却等の財務規律強化により、前連結会計年度末に比べ216億2千5百万円減少して1,205億9千4百万円となりました。負債は、買掛金や財務規律強化による借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べ220億7千8百万円減少して879億6百万円となりました。純資産は、為替換算調整勘定や利益剰余金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ4億5千2百万円増加して326億8千7百万円となり、自己資本比率は26.8%と4.9%改善しました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物は前連結会計年度末より2千4百万円減少して、131億2千2百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産や売掛金の削減を進め上半期より改善を継続しており、117億1千2百万円の収入(前年同期は93億7千1百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったことなどにより、43億6千4百万円(前年同期は2百万円の支出)の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済を行ったことなどにより、161億4千5百万円の支出(前年同期は41億4千7百万円の支出)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、運転資金として原材料等の購入や製造費用、開発投資を含む販売費及び一般管理費の営業費用などであり、また、長期的資金として事業計画に基づく設備投資資金などがあります。これらの資金は自己資金及び金融機関からの借入金により調達することを方針としております。なお、当連結会計年度においては、本社セール・アンド・リースバックによる資金調達を行っております。
今後も盤石な事業基盤を構築すべく、積極的な開発投資、設備投資をしていくとともに、物流や生産効率の改善などにより、棚卸資産を圧縮することなどで、資金の効率化を図ってまいります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、主に見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(固定資産の譲渡)
2025年7月10日開催の当社取締役会において、下記のとおり、当社が保有する固定資産の信託設定及び信託受益権の譲渡並びに賃貸借契約の締結について決議し、契約を締結し実行いたしました。
1.譲渡の理由
当社は、2029年12月期を最終年度とする5か年中期経営計画「Building Sustainable JUKI」にて、収益基盤の強化と財務健全性の確保の両立に向けた財務規律の強化に取り組んでおります。重点取り組みとして、在庫削減/売上債権の回収促進によるキャッシュ・フローの改善、保有資産の売却等による手元資金の充実を図り、財務基盤の安定化に向けた努力を継続しております。本取引は、当社本社社屋を用いてセール・アンド・リースバックの手法による資金調達を行い、手元資金の充実を確保することを目的として実施するものです。
なお、本取引にあたっては本不動産に関わる信託受益権を譲渡した上で、所定の賃料を支払い、信託受託者から賃借することとなります。
2.譲渡および賃借資産の内容
※ 本譲渡資産を信託設定したうえで、同信託設定に基づく信託受益権を譲渡しております。
3.信託先および賃貸借契約締結先、譲渡先の概要
※ 当社は、不動産信託受託者としてのみずほ信託銀行株式会社に対して本譲渡資産を信託譲渡し、信託受益権を取得したうえで、当該信託受益権を、特定金外信託の受託者としてのみずほ信託銀行株式会社に譲渡しております。
4.譲渡の日程
・取締役会決議日 2025年7月10日
・契約締結日 2025年7月11日
・物件引渡日 2025年7月11日
(完全子会社の吸収合併)
2025年11月13日開催の当社取締役会において、当社の完全子会社であるJUKIオートメーションシステムズ株式会社及びJUKIテクノソリューションズ株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結、2025年12月31日付で吸収合併いたしました。
詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりです。
当社グループの研究開発活動は、お客様に価値を提供できる製品の開発、新規分野向けの製品の開発、そのために必要となる要素技術の開発を行っております。本活動の当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
お客様ニーズを基に、新製品を支える基盤技術の向上、差別化・付加価値技術の創出をはじめ、お客様の課題解決に向けた研究開発活動を推進しております。
「JUKIグループグリーン調達ガイドライン」に基づく有害物質及び高懸念物質不使用による環境安全・保全性の向上や、CO2排出削減に向け環境負荷の少ない材料の研究開発、環境性能を高めた製品開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における「JUKIエコプロダクツ」は2機種が認定され、2023年から取り組んでいる「JUKI Sustainable Products認定制度」では1機種が認定されました。
当社は今後ともカーボンニュートラルの実現に向け、サスティナブルな新製品や技術の開発に取り組んでまいります。
工業用ミシンでは、電子ベルト送り1本針本縫いソーイングシステム「DX-01」、自動テンプレート縫製マシン「PS-810シリーズ」、ダイレクトドライブ高速ロックミシン「MO-6800Aシリーズ」を開発しました。「DX-01」は、世界初の「6本ベルト送りアシスト機構」採用による難工程の縫製品質の安定化、脱技能化を実現することで工場の人材不足に貢献します。当機は「Texprocess Americas2025」に於いてInnovation Awardsを受賞いたしました。
家庭用ミシンでは、人気ファッションブランドとコラボレーションした職業用本縫いミシン「SL-3700 minä perhonen」を発売しました。
今後も「衣・社会のサステナブル」を支える製品開発、技術創出を積極的に展開し、お客様の課題解決に取り組んでまいります。
実装機ではマルチタスクプラットフォーム「JM-E01」、高速スマートモジュラーマウンタ「RS-2」のXL基板対応モデルを開発しました。「JM-E01」は業界初となる大型・異形部品の挿入とねじ締めの「2工程1台完結」により手作業工程の自動化と生産性向上に貢献します。「RS-2」XL基板対応モデルは、AI処理向け高性能サーバーや蓄電関連設備などの大型基板への対応力拡大と生産性向上を実現しました。今後も多様な生産品目へフレキシブルに対応する実装技術の構築や生産工程の自動化・効率化を進めていきます。
中国、ベトナムに開発拠点を設置し、自動化等の各種ニーズに応える製品開発により、お客様の課題解決に取り組んでおります。