文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社の経営方針としては、創業以来「人間性豊かな住まいと環境の創造」を目指し、住宅業界のトップ企業として最高の品質と技術の提供を図ることを基本とし、当社の根本哲学である「人間愛」を日々の活動に反映させ、常に「お客様本位」の家づくりに取り組んでいます。今後とも厳格な品質管理のもと、徹底した顧客満足(CS)の向上並びにアフターサービスの充実に努めます。商品寿命が超長期に及ぶ住宅という商品特性上、これら日頃の地道な業務の積み重ねにより確固たる信頼を構築することが、永続的な成長の基本であり不可欠な要素であると考えています。また、当社は顧客満足(CS)、従業員満足(ES)、株主満足(SS)の三位一体の中から真の企業経営が生まれるとの基本的な考えに立ち、企業市民としての義務の達成や、永続的に成長を続けるための先行投資及び安定性を考慮に入れつつ、業績拡大に邁進する所存です。
当社は、経営の効率化を促進するために、時機に応じてバランスシートの健全性を図るとともに、各事業の資産効率の向上に努めます。それらの結果として総資産利益率、株主資本利益率の改善を目指しており、ROA10%、ROE10%以上を安定的に確保することを目標とします。
当社は、経営方針を「事業ドメインを“住”に特化した成長戦略の展開」と掲げ、第4次中期経営計画(2017年度~2019年度)では、住宅が社会に提供できる価値を積水ハウスグループ全体で追求しながら、住宅・住宅関連ビジネスの強化及び新たな事業領域の拡大を推進しました。そして、今後の事業環境が大きく変化する中、持続的成長を図るため、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を掲げるとともに、2023年1月期を最終年度とする第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)を策定しました。
新たな中期経営計画では、基本方針を「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」と位置付け、ネット・ゼロ・エネルギー住宅等、付加価値の高い住宅・住環境の普及促進はもとより、「健康」「つながり」「学び」を住宅にインストールするプラットフォームハウス構想の推進や、中層住宅向けオリジナルβ構法で設計・建築されるホテルや保育園等の非住宅分野を積極的に展開します。また、国際事業も新たなステージを迎え、持続的な成長に向けさらなる推進を図ります。
各ビジネスモデルの事業戦略は下記のとおりです。
戸建住宅事業では、「プラットフォームハウス」等、新たな付加価値を提案するとともに、引き続き、「グリーンファースト ゼロ」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及や、当社のオリジナル外壁を採用する中高級商品の提案など、高品質・高性能な商品戦略に加え、新しいリビングのあり方を提案するコンセプトモデル「ファミリースイート」等、「幸せ」を研究する住生活研究所の研究成果(ソフト)と先進技術(ハード)が融合した新たな付加価値の提案をします。また、「積水ハウス ノイエ㈱」によるセカンドブランド販売により商品価格帯を広げます。
賃貸住宅事業、建築・土木事業では、都市部を中心としたS・Aエリアに特化したエリアマーケティングによる、高品質でホテルライクな賃貸住宅の提案をさらに進めます。また、当社オリジナルβ構法(3・4階建仕様)を活かした、ホテル、医療介護施設、保育園等の多用途展開に加え、CRE・PRE等の有効活用提案等も積極的に行い事業領域の拡大に努めます。さらに、「Trip Base 道の駅プロジェクト」の積極的な展開で地方創生に貢献します。
リフォーム事業では、環境型・提案型リフォームの積極展開を図ります。積水ハウスの戸建住宅では、積水ハウスリフォーム㈱による、断熱性能の進化に合わせた省エネルギー化リフォームや、家族の暮らしに合わせたフレキシブルな空間リフォームを推進します。また、賃貸住宅リフォームでは、積水ハウス不動産6社による資産価値向上、入居者満足の向上による安定した賃貸住宅経営のコンサルティングを進めます。
不動産フィー事業では、積和不動産各社を「積水ハウス不動産」各社へ社名変更し、積水ハウスブランドの統一化を図り、賃貸・仲介事業の強化を推進します。引き続き高い入居率を確保し、管理業務の質向上を図ることで物件の資産価値向上を目指すと同時に、今後さらに拡大する既存住宅の流通マーケットに対応するスムストック事業や不動産仲介事業の強化を図ります。
資産回転率の向上と優良土地の取得により安定経営を図ります。戦略的な土地仕入れの強化を行うとともに、投資バランスを図り、ROAを意識した物件の開発を進めます。
分譲住宅事業では、ターゲットエリアの選定や、積水ハウス ノイエ㈱の販売強化に向けグループ一体となった仕入れの推進を行います。
マンション事業では、東京・名古屋・大阪・福岡を中心とした開発を行い、住宅事業で培った環境戦略をマンション事業にも適用しZEHマンションの展開を進めます。
都市再開発事業では、資産回転率を高め利益創出を図るとともに、積水ハウス・リート投資法人に対し、引き続き安定した物件供給を行うべく都市部における高級ホテルやオフィス、賃貸マンションの開発を行うことによりパイプラインの構築を図ります。
国際事業では、IT産業が集積する米国西海岸を中心に高品質な賃貸住宅の開発及び出口戦略を行うマルチファミリー事業を引き続き展開し、毎年賃料が上昇するエリアに厳選した開発を行います。また、米国、豪州、そして2019年に進出した英国において、積水ハウスのテクノロジーをインストールした戸建住宅の建設を展開します。人口増加や住宅の供給不足が続く地域で、積水ハウスのテクノロジーと各国の建築様式を融合させることで、全てが高品質な戸建住宅を提供し、将来を見据えた事業推進を図ります。
世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立を進める動きが本格化し、新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みから回復基調を維持するものの、長期化する供給制約、原材料及びエネルギー価格の問題、物価や金利の上昇、地政学リスクに注視が必要な状況が継続すると見られます。そのような中、国内では、雇用・所得環境の改善及び生活様式の変化に伴う住宅取得意欲の高まりから住宅需要の回復傾向は継続し、政府のエネルギー政策や住宅性能表示基準の改正等を背景に、断熱性の高い住宅等、高品質な住宅へのニーズの高まりが期待できます。また、アメリカの住宅市場においては、金利上昇局面にあるものの、旺盛な住宅需要と供給不足を背景に、好調な市場環境が継続すると見られます。
このような事業環境の中、当社はグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”と第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)の基本方針「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」のもと、住を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業を目指す取り組みを加速します。その中では、感染症対策として、WEBやIT技術を駆使したお客様との関係構築、新しい生活様式に対応した商品開発・提案力強化を推進します。
請負型ビジネスでは、付加価値の高い住宅・住環境の追求による収益拡大を図ります。戸建住宅事業では、商品価格帯を広げ価格帯に沿った商品開発を強化・推進し、自宅時間の充実を実現する「ファミリー スイート」や温度変化を抑えながら換気・空気清浄する「スマート イクス」、間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」等の更なる普及を図ります。賃貸住宅事業では、ゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の拡販や各都市における重要戦略地として定めたS・Aエリアに特化したエリアマーケティングの徹底、街のシンボルとなるフラッグシップモデル「シャーメゾンプレミア」の展開を行います。また、非住宅(事業用建物)の分野では、CRE(企業不動産)・PRE(公的不動産)分野における不動産の有効活用提案を強化するべく、重量鉄骨を用いたオリジナル構法の強みを活かした多用途展開や、地球環境への配慮と経済性・室内の快適性を両立させたZEBオフィスの提案強化、子会社の株式会社鴻池組とのシナジー効果を高めます。
ストック型ビジネスでは、リフォーム事業において、在宅時間増加に伴う、より快適な生活ニーズに対応した提案型・環境型リフォームの積極展開を行います。また、不動産フィー事業では、新たに設立した中間持株会社積水ハウス不動産ホールディングス株式会社を中心に、賃貸住宅のオーナーサービス・入居者サービスの向上及び仲介事業の強化を図ります。
開発型ビジネスでは、資産回転率の向上とエリアマーケティングに沿った優良土地の取得を行うことで安定収益を確保します。分譲マンション事業では、ZEH、ZEH-M基準をクリアする分譲マンション等、差別化された開発を強化し、都市再開発事業では、回転率を重視し首都圏を中心とした賃貸マンション開発に注力します。また、当社の建築技術を生かし、地方創生に寄与する「Trip Base 道の駅プロジェクト」の推進を図ります。
国際ビジネスでは、積水ハウステクノロジーを各国へ移植していくステージとして、開発事業の安定成長と戸建住宅の供給強化に注力し、持続的な成長に向けた体制づくりを図ります。住宅販売が好調なアメリカにおいては、顧客中心のプレミアムブランドとして大きな成長を遂げているWoodside Homesと新たに買収したHolt Homesにより事業を展開し、日本で培った住宅技術とライフスタイル提案による高付加価値の提供を推進します。また、当社の木造住宅シャーウッドの技術を用いたパイロットプロジェクトを推進し、ブランド力向上を図ります。
財務面においては、成長投資、効率性、財務健全性、株主還元の4項目のバランスを重視し、強固な成長基盤の構築を図ります。成長投資については、資本効率を意識した投資回収を基本として国内外の不動産投資(2022年1月期6,827億円)を実施するほか、生産設備、プラットフォームハウス構想等への研究開発、M&A等への成長基盤投資を実施します。また、国内信用格付AA格の維持を前提に、D/Eレシオ(2022年1月期末0.37倍)等の改善を図り、高い財務健全性を維持しながら、利益率及び回転率の向上を通じてROE(2022年1月期11.0%)の向上を目指します。株主還元については、継続的な配当成長及び機動的な自己株式取得を実施します。
◆リスク管理体制について
当社グループの事業活動における重要なリスクを的確に把握し、当該リスクが適正に管理されているかをモニタリングするとともに、万一リスクが顕在化した際のグループ事業への影響を低減すべく、取締役会の諮問機関として、「リスク管理委員会」(委員長:代表取締役副社長執行役員)を設置しています。
当委員会は原則月1回開催され、対象リスク事案に関する本社専門部署や会議体に対するモニタリング内容を踏まえ、リスク管理体制の整備状況の集約・検証及び必要な助言を行い、その内容について定期的に取締役会へ報告しています。また、特に「品質管理」および「情報セキュリティ」の重要性を鑑み、傘下に「品質管理委員会」及び「情報セキュリティ委員会」を設置し、より専門的視点におけるリスク認識及び対応策について部署横断的に審議しており、両委員会における審議内容については、定期的にリスク管理委員会に報告されています。
リスク管理体制図

◆リスク管理のプロセスについて
当社グループの国内事業所・国内子会社・海外子会社を対象として、前年度に実施したモニタリング内容および本社各部署からのヒアリング内容をもとに、「労働法制・労働管理」「人権」「コンプライアンス」「品質管理」「情報セキュリティ」「環境」「危機管理」などにおいてリスク課題を抽出します。その中から発生可能性及びグループに対する影響度を、リスク管理委員会で評価し、その評価に基づいて重要リスク項目を選定しています。各重要リスク項目を主管する部署又は会議体は、期初にリスク管理基本計画を策定し、その進捗についてリスク管理委員会へ報告し、委員会で出た意見を踏まえ改善を進めるという、リスク管理におけるPDCAサイクルを推進しています。

当社単体のみならず、グループ各社におけるリスク管理も進めており、主要な子会社に関しては、一定以上の重要な業務執行について、当社の稟議決裁または取締役会決議を経ることとしています。グループ全体のリスク情報の把握に向けて、国内外のグループ各社における総務責任者による牽制機能の強化及び監査部・人事総務部・法務部など当社管理部門との情報共有の活性化に向けて、「ガバナンスネットワーク」の構築を進めています。
全社レベルで影響を及ぼすおそれのある事案が発生した際には、「クライシス対応マニュアル」に則って本社主管部署よりリスク管理委員会へ報告されます。本マニュアルに規定されたクライシスレベルにおいて一定レベル以上の重大な内容が認められる場合には、リスク管理委員会委員長の判断のもと、専門チーム「クライシス対策本部」を立ち上げて、事態の拡大防止と早期収束に向けて検討する体制を整えています。
◆個別のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を与える可能性のある事項については、以下のようなものが挙げられます。
なお、これらについては、提出日現在において判断したものです。
[特に重要なリスク]
(1)法令遵守について
当社グループは、宅地建物取引業法、建設業法、建築士法などの法令に基づく許認可を受けるとともに、建築、労働、環境その他事業の遂行に関連する各種の法令及び条例に則り事業活動を行っています。これらにおいて違反が生じた場合に、改善に向けて多額の費用が発生すること、または業務停止等の行政処分を受けることで当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対策として、設計における建築基準法上のチェックミス・手続き漏れを防ぐための法規制チェックシステムを導入し、また型式不適合の発生を抑えるために、支店及び本社でのダブルチェック体制を構築しています。また、建設業法上の専任の配置技術者の適正運用に向けて、配置状況のチェックを行うとともに有資格者の人財確保・能力向上に継続して取り組んでいます。
(2)品質管理について
当社グループは、設計・生産・施工上の品質において万全を期すとともに、主要な戸建住宅及び共同住宅においては、長期保証制度及び定期的な点検サービスを実施していますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ人的ミス等により重大な品質問題が生じた場合には、多額の費用発生や当社グループの評価を大きく毀損することになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対策として、リスク管理委員会傘下の「品質管理委員会」により、製品・設計・生産・施工・CSの5つの検討会をまとめる組織として、品質に関する一元的な管理を進めています。特に施工品質不具合の発生を抑えるために、期初に策定する「施工品質管理年間計画」に基づく「品質管理重点項目」に対する改善に取り組んでおり、その管理状況については定期的にリスク管理委員会へ報告されています。また、施工品質と密接な関わりのある「施工力の確保」に向けて、工事量の平準化、現場生産性の向上、外国人も含めた技能実習生の積極的な育成など多角的な取り組みを進めています。
(3)情報セキュリティについて
コンピューターウィルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、個人情報・機密情報の漏洩や改竄、システム停止等が生じることで、お客様等からの損害賠償請求やお客様及び市場等からの信頼を失い、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対策として、リスク管理委員会傘下の「情報セキュリティ委員会」において、ITセキュリティ及び情報管理に関する施策を検討・実施しており、情報セキュリティに関するグループ内の基本方針「情報セキュリティポリシー」や秘密情報管理規則に基づき、コンピューターウィルス等サイバー攻撃や秘密情報の漏洩・改竄を防止するために、社内外からのアクセス制御システムを強化するとともに、メール訓練や研修を通じてITリテラシーの向上を図っています。さらに、定期的に外部機関によるセキュリティアセスメントを実施して、更なるセキュリティガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
また、お客様情報の管理について、「お客様情報保護方針」に基づき、各組織において個人情報取扱責任者を定めて、安全対策の実施、周知徹底を図る体制を整えるとともに、全従業員を対象に個人情報の取扱いに関するEラーニングを継続的に推進し、個人情報保護に関する従業員一人ひとりの役割・責任の認識を高めています。
(4)人権について
国内外の当社を取り巻くステークホルダーへの人権リスクへの対応が不十分である場合、社会的評価が低下する可能性があります。
対策として、2020年4月に「積水ハウスグループ人権方針」を制定し、国際規範に基づく人権に対する考え方及び取り組みについて発信し、全従業員に繰り返し周知しています。また、人権方針の実践として、事業活動において「人権デューデリジェンス」のプロセスを採用し、人権リスクマップの作成を通じて事業ごとに重要な人権リスクを特定して、PDCAサイクルによりその対応を進めています。
(5)気候変動について
脱炭素社会に向けた炭素税などの様々な規制強化に伴い大幅なコストアップが生じる可能性や、気候変動による自然災害の激甚化により事業の継続が困難になる可能性があります。また、脱炭素商品や災害レジリエンス性の高い商品に対する顧客ニーズが高まることが予想されます。
対策として、シナリオ分析により主要なリスクを特定し、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)などのCO2削減効果と災害レジリエンス性の高い住まいの普及に努めています。事業活動においてもグループ全体で省エネ化を推進すると共に、卒FITを迎えたオーナー様から太陽光発電の余剰電力を購入し当社グループの事業用電力として用いる「積水ハウスオーナーでんき」の取り組みを進めています。サプライチェーンについても、2030年までに主要なサプライヤーのSBT(Science Based Targets)目標設定率80%の達成を目指して共同の勉強会を開催するなど、具体的な取り組みを始めています。さらに近年激甚化する気候災害に伴うリスクを軽減するため、事業周辺環境全体の検証を行い対策を進めています。
なお、気候変動に関する主要なリスクと機会については、本社部署・事業部門参画のもと洗い出しを行い、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会及びリスク管理委員会における審議を経て、取締役会に報告され、必要に応じてリスクの緩和・移動・受容・コントロールの決定を検討することとしています。
(6)労務管理について
従業員の長時間労働は、精神疾患を含めた健康障害につながる恐れがあり、場合によっては長期休業につながるリスクがあります。また、事務所及び施工現場における労働災害は抑制すべき課題であり、特に施工現場では作業手順・作業方法の誤りが負傷につながることも多く、死亡災害など重篤な事故が発生すると、損害賠償負担に加えて社会からの信用失墜を招く可能性もあります。
対策として、労務管理においては、長時間労働を抑制すべく働き方改革を推進する中で、本社、工場、事業所の組織ごとに勤務状況の確認を月次で行うとともに、必要に応じて人事総務部によるモニタリング、労務管理研修を実施して適正な労務管理を促しています。また、労働災害の抑制に向けて、各組織で安全衛生委員会を開催し、災害予防に向けた定期的点検及び災害発生事案に対する検証・再発防止策の推進などを行っています。特に施工現場では、「全社施工安全衛生年間計画」に基づき、安心安全な施工環境の整備に努めているとともに、発生頻度の高い事故の削減に向けて、本社施工本部の指揮のもと作業手順の遵守・確認体制の整備など対策に取り組んでいます。
(7)新型コロナウイルス感染症について
グループの全従業員に対して感染対策の徹底を図っていますが、グループ内各組織において、新型コロナウイルス感染者及び濃厚接触者が増大することにより、業務推進に影響が出る可能性があります。
対策として、新型コロナウイルス感染症対策本部において定例会議を開催し、各事業所の感染状況のタイムリーな把握、状況変化に応じて機動的に対応する体制整備を進めるとともに、感染者または濃厚接触者になった場合の対処方法をグループ全体へ明確に発信し、職場内クラスターの発生を抑止する施策・対応を推進しています。また、コロナ禍における働き方に関して、WEB会議システムの充実、在宅勤務者のモバイル端末の整備など環境整備を進めるとともに、従業員対象のアンケートに基づいた職種ごとの分析を進めて、一過性の対応ではなく、感染状況に応じた新しい生活様式への見直し、働き方改革を推進しています。
営業活動においては、WEB会議システムを利用したプラン提案等によるお客様との関係構築を進めるとともに、新しい生活様式に対応した商品開発を進めています。
[重要なリスク]
(1)住宅事業環境の変化について
当社グループは、日本国内において住宅を中心とした事業活動を行っているため、個人消費動向、金利動向、地価動向、住宅関連政策や税制の動向、それらに起因する賃料相場の変動、さらには地方経済動向等に影響を受けやすい傾向があり、今後これらの事業環境の変化により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対策として、事業環境の変化に対応した諸施策を機動的に実施するため、事業本部長・営業本部長を中心とした国内執行会議を月1回開催し、市場動向を踏まえた施策の進捗状況や現場で発見された課題を共有し、次の施策の立案に活かしています。
(2)保有する資産について
当社グループが保有している販売用不動産、固定資産、投資有価証券及びその他の資産について、時価の下落等による減損損失又は評価損の計上によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
対策として、当社グループでは、一定金額以上の案件の場合、積水ハウス本社における稟議審査ならびに経営会議での十分な議論を踏まえ、各案件に対する出資の可否を慎重に検討しています。不動産については、優良土地の取得及び資産回転率の向上による安定経営を図り、政策保有株式については、資本・資産効率向上の観点から必要最小限の保有を基本とし、保有の妥当性について、毎年、取締役会において検証しています。また、保有する資産の減損及び評価損のリスクを定期的に把握し、必要に応じ適宜会計処理を実施しています。
(3)原材料、資材等の調達について
調達先における異常気象による被害や、社会不安(戦争、テロ、感染症、地政学的リスク等)により調達が困難になった場合に、施工がストップして契約工期に影響が出る可能性があります。また、原材料やエネルギーの世界的な価格高騰により、調達価格が著しく上昇し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対策として、当社グループでは、一つの資材調達先が被災等で調達が困難になった場合などを想定し、3つの側面から備えを進めています。
①供給面の備えとして、部材ラインナップ複数化、複数社調達、複数生産拠点化を進めています。
②仕様面の備えとして、部材の汎用化など、調達の容易な材料や仕様への変更に取り組んでいます。
③情報面の備えとして、サプライヤー拠点のデータベース化により迅速な初動体制の仕組みを構築しています。
さらに、サプライヤーに対しても自社サプライチェーンの強化を求めることで、備えの輪を広げ、サプライチェーン全体の強靭化に努めています。また、資材の調達にあたっては、複数社調達による価格競合、調達先の再編や集約による有利購買、仕様の最適化などにより、調達価格の抑制に努めています。
(4)人財確保について
当社グループの持続的成長を実現するためには、既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う優秀な人財を国内外で獲得し、雇用を維持していく必要があります。採用競争力が低下した場合や離職による人財流出が深刻化した場合には、成長力が鈍化し、社会的評価が低下する可能性があります。
対策として、採用ブランディングの強化、採用活動における募集媒体・経路の多様化を積極的に進めています。また、人事制度改革においては、選択制の複線型キャリアコースをはじめ、公正で透明性の高い人事評価制度等を導入し、従業員の自律的なキャリア形成を支援しています。上司と部下が定期的に対話する機会である「キャリア面談」により、従業員のキャリア意識の涵養に加え、心理的安全性の高い組織風土の構築を目指します。引き続き採用機能の強化と成長機会の充実の両面で人財確保に取り組んでいます。
(5)退職給付債務について
当社グループの従業員に対する退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される基礎率や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されています。この基礎率が変更された場合、または期待運用収益率に基づく見積り計算が実際の結果と大きく異なった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
対策として、当社グループでは、退職給付債務については定期的に実績に基づいて見積りの検証と見直しを行っています。年金資産の運用については、外部コンサルタントの助言をもとに、リスク・リターン特性の異なる複数の資産クラス・運用スタイルへの分散投資を行っています。また、企業年金基金においてスチュワードシップ・コードの受け入れを表明し、運用機関に対するモニタリングを強化するとともに、企業年金基金の諮問機関である資産運用委員会では、市場環境や運用状況等について定期的に協議を行っています。
(6)BCP(事業継続計画)について
大規模自然災害の発生時などに対する対応計画が不明確なことにより初動対応が遅れた場合、各拠点における事業継続が困難になり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対策として、当社グループでは、大規模自然災害などの発生に対処するために「積水ハウスグループ災害対策基本方針」を策定するなど、BCPの整備を進めています。各組織の「災害マニュアル」を策定し、災害時の各事業拠点における事業継続に向けた準備を進めています。
また、大規模災害などにより本社での業務継続が困難となった場合に備え、本社災害対策本部の設置などを規定した初動対応マニュアルの整備を行っており、本社被災時には、東京拠点(東京都港区赤坂)と総合住宅研究所(京都府木津川市)を代替本社として、本社における重要業務を継続できる体制を整えています。
海外事業を展開する上において、海外子会社の従業員や出張者が自然災害やテロ・暴動などに巻き込まれるリスクに備えて、対応マニュアルを整備して迅速な情報共有体制の構築を図るとともに、海外専用の危機対応支援会社と提携して緊急事態発生時の現地従業員へのサポート体制も整えています。
(7)買収防衛策について
当社として、健全な経済活動における当社株式の取得及びそれに伴う株主権利の行使による経営支配権の異動に関して否定するものではありませんが、当社株式の大量取得を目的とする買付け又は買収の提案については、その買付行為や提案の適法性はもとより、当該買付者等の事業内容及び事業計画並びに過去の投資行動等から、当該買付行為又は買収提案が当社企業価値向上及び既存株主共同の利益に資するか否か、さらにはあらゆるステークホルダーに対する影響等を考慮して各々対応について判断するものとします。
現在のところ、上述のような買付行為等が具体的に生じているわけではなく、また当社として、当該買付者等を確認した場合の、いわゆる「買収防衛策」を予め定めていません。
しかしながら、株主の皆様から負託された当然の責務として、当社株式の異動状況を常に注視するとともに、当社株式を大量に取得しようとする者を確認した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置をとります。具体的には社外の専門家を含めて当該買付行為又は買収提案の検討及び評価を行うとともに、当該買付者等との交渉を行い、その結果、当社の企業価値を毀損し又は既存株主共同の利益を脅かすと判断した場合には、具体的な対抗措置の要否及び内容等を速やかに決定し、実行する体制を整えます。
また、当社株式が公開買付けに付された場合には、取締役会の立場や考え方を株主の皆様に明確に説明し、公開買付けに応じる権利を不当に妨げる措置は行いません。
(8)株主代表訴訟について
当社が被った分譲マンション用地取引での詐欺事件による5,559百万円の損害について、同一株主より2018年5月以降、順次、当時の取締役4名に対し、業務執行上の判断の誤り、他の取締役・使用人に対する監視監督責任を怠ったという任務懈怠及び当社に対する善管注意義務違反がある等の理由から、当社に対する同額の損害賠償及び遅延損害金の支払を求める株主代表訴訟が提起されています。本訴訟の動向次第では、当社グループに対するレピュテーションリスクが生じる可能性があります。
これに関して当社は、原告の請求には理由がなく、訴訟手続きに適切に関与することを通じて、原告の主張に対して明確に反論する必要があると判断し、当該訴訟に補助参加しています。なお、当時の取締役4名のうち2名に対する訴訟については、2022年1月に取り下げられたため、提出日現在、元代表取締役会長及び元代表取締役副会長2名に関する訴訟が継続中です。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という」)の状況の概要は以下のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は、国・地域や業種により状況は異なるものの、総じて新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により厳しい状況が継続しました。わが国経済においては、感染対策と社会経済活動の両立を進める中、所得や雇用環境の改善等の景気持ち直しの動きが見られました。また、国内及びアメリカの住宅市場では、コロナ禍での生活様式の変化を背景に、住宅取得需要は底堅い状況が続きました。そのような中、国内では、新設住宅着工は戸建住宅・賃貸住宅ともに持ち直しの動きが継続し、子育て世代の住宅取得支援制度の創設や環境性能等に応じた住宅ローン減税制度の導入等、住宅取得やリフォーム工事への政策面での追い風もありました。
このような事業環境の中、当社グループのグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)の基本方針を「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」とし、住を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業を目指す取り組みを着実に進めています。また、お客様、お取引先様、関係者の皆様、そして従業員の安全を最優先に、感染拡大の抑制に必要な対策、オンラインを活用した顧客折衝や新商品開発等の取り組みを継続しました。
人生100年時代の幸せの提供を目指し、住まいのビッグデータを活用して、「健康」「つながり」「学び」を軸にしたサービスを提供する「プラットフォームハウス構想」の第1弾として、業界初の間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」を販売し、外出先から住まいと家族を見守る、「つながり」を軸としたサービスの提供を開始しました。また、地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」セカンドステージとして、8道県14か所で計1,184室のホテルを2022年春より順次開業する計画が始動しました。
当連結会計年度における連結受注高は2,721,734百万円(前期比13.3%増)、連結売上高は2,589,579百万円(前期比5.8%増)となりました。
利益については、連結営業利益は230,160百万円(前期比23.4%増)、連結経常利益は230,094百万円(前期比24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は153,905百万円(前期比24.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次の通りです。
(戸建住宅事業)
当セグメントの売上高は352,732百万円(前期比9.1%増)、営業利益は42,475百万円(前期比31.8%増)となり、前期後半以降の好調な受注に加え、順調な工事進捗により増収となりました。
中高級商品・高価格商品の拡販に注力し、住まい手の様々なニーズやコロナ禍における生活様式の変化に対応した最新の生活提案「ファミリースイート おうちプレミアム」、採用率が91%(2020年度)に達したネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」に加え、採用率80%を超える次世代室内環境システム「スマート イクス」が好評で、受注は引き続き好調に推移しました。
また、全国5か所で展開する「住まいの夢工場」を「Tomorrow's Life Museum」へとリニューアルし、「共感」をコンセプトにリアルな暮らしが体験できる「ライフスタイル型モデルハウス」や「技術・構造館」「環境館」等をワンストップで体験し、楽しく学び納得することの出来る施設へと発展させ、顧客体験の満足度をさらに高めることとしました。
(賃貸住宅事業)
当セグメントの売上高は384,022百万円(前期比7.0%増)、営業利益は56,047百万円(前期比19.1%増)となり、順調な工事進捗により増収となりました。
徹底した都市部中心のエリアマーケティングとともに、強靭な構造と設計自由度を両立する当社オリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販に注力した結果、3・4階建て比率は79%に達しました。また、ゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」は脱炭素社会の実現、建築主及び入居者メリットを両立する新しいエシカルな住まいの選択肢として好評で、年間受注戸数は約8,500戸と前年度実績を大きく上回りました。加えて、ホテルライク仕様等の高付加価値提案、ならびに高い入居率と賃料水準を実現する積水ハウス不動産各社の物件管理が奏功し、法人向け事業も含め賃貸住宅の受注は引き続き好調に推移しました。しかしながら、小規模ホテル等の非住宅の受注は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により伸び悩みました。
(建築・土木事業)
当セグメントの売上高は261,930百万円(前期比13.5%減)、営業利益は15,146百万円(前期比5.6%減)となりました。
株式会社鴻池組の建築・土木事業においては、前期における複数の大型物件売上の反動や新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、減収となりました。また、当社建築事業におけるホテルや商業施設等の受注においても、同様に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。
(リフォーム事業)
当セグメントの売上高は156,167百万円(前期比10.7%増)、営業利益は25,546百万円(前期比24.7%増)となり、前期後半以降の好調な受注が増収に寄与しました。
より快適な住まいへの関心の高まりや生活様式の変化に対応した「ファミリースイート リノベーション」等の提案型リフォーム、リビングを中心とした生活空間の範囲に絞って断熱改修等を行う「いどころ暖熱」や創エネリフォーム等の環境型リフォームが好評で、大規模リフォームの受注割合が拡大する等、受注は引き続き好調に推移しました。
また、新築戸建住宅で好評の次世代室内環境システムを導入する「スマート イクス リノベーション」を12月より販売開始しました。
(不動産フィー事業)
当セグメントの売上高は584,969百万円(前期比4.9%増)、営業利益は50,480百万円(前期比15.1%増)となりました。
好立地に建築した高品質・高性能な賃貸住宅「シャーメゾン」の供給により管理受託戸数が堅調に増加するとともに、長期安定経営をサポートする質の高い建物管理と入居者の生活を充実させるサービス提供等により、高水準の入居率と賃料を維持し、増収に寄与しました。
また、積水ハウス不動産グループを統括する中間持株会社積水ハウス不動産ホールディングス株式会社を設立し、事業領域拡大も視野に見据え、事業推進を行うこととしました。
(分譲住宅事業)
当セグメントの売上高は191,488百万円(前期比37.6%増)、営業利益は14,548百万円(前期比91.8%増)となり、前期後半以降の好調な受注に加え、順調な工事進捗により増収となりました。
優良土地の積極仕入れを継続するとともに、高い需要に対応するため営業体制を強化することで、土地取得から検討中の顧客への拡販に注力し、受注は引き続き好調に推移しました。
(マンション事業)
当セグメントの売上高は90,612百万円(前期比17.5%増)、営業利益は12,486百万円(前期比41.6%増)となりました。
徹底したエリア戦略と戸建住宅事業で培った環境性能やライフスタイル提案によって付加価値の高い分譲マンション「グランドメゾン」(以下「GM」)の開発を行い、「GM新梅田タワー THE CLUB RESIDENCE」(大阪市北区)、「GM浄水ガーデンシティ セントラルフォレストⅠ」(福岡市中央区)等を中心に引渡しが計画通りに進捗し、増収となりました。また、「GM上町一丁目タワー」(大阪市中央区)、「GM薬院ザ・タワーレジデンス」(福岡市中央区)等の販売が好調に推移しました。
(都市再開発事業)
当セグメントの売上高は102,736百万円(前期比2.1%減)、営業利益は11,276百万円(前期比31.9%減)となりました。
「グランフロント大阪」(大阪市北区)および「W Osaka」(大阪市中央区)の持分を一部売却し、積水ハウス・リート投資法人に「プライムメゾン下北沢」(東京都世田谷区)等賃貸住宅を売却しました。また、当社が開発したオフィスビルや賃貸住宅「プライムメゾン」等の当社グループ保有物件の入居率は堅調に推移しました。しかしながら、ホテル収益は、新型コロナウイルス感染症の影響による旅行者減少等により減少しました。
(国際事業)
当セグメントの売上高は388,936百万円(前期比4.9%増)、営業利益は50,147百万円(前期比26.3%増)となりました。
アメリカでは、過去最低水準の住宅ローン金利の追い風もあり、コミュニティ開発事業及びWoodside Homes社の住宅販売事業が引き続き好調に推移し、賃貸住宅開発事業において「Zera」(ポートランド)、「Neon Local」(デンバー)及び「The Merian」(サンディエゴ)の引渡しが完了し、増収となりました。一方、オーストラリアでは、不動産市場の回復の遅れや新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、減収となりました。また、中国では、計画通りに進捗しましたが、前期に蘇州市のマンション引渡しが集中した反動により、減収となりました。
(その他)
当セグメントの売上高は75,984百万円(前期比6.4%増)、営業損失は1,208百万円となりました。
エクステリア事業では、戸建住宅、賃貸住宅等において、住宅と外構との一体提案の強化、在来種の植栽を提案する「5本の樹」計画の推進等を行いました。
ESG経営のリーディングカンパニーを目指す当社は、「積水ハウスグループに関わるすべての人が幸せであること」「事業を通じ、よりよい社会づくりに先進的に取り組み、貢献し続けていること」をテーマとし、全従業員の意識向上と理解浸透を図り、持続的な事業成長を目指し、ESG経営を推進します。
環境面では、2020年度における新築戸建ZEH比率が91%となり、第5次中期経営計画最終年度までの目標90%を前倒しで達成、累積戸数も6万戸を超えました(2021年3月末時点)。また、戸建住宅および賃貸住宅シャーメゾンでのZEH推進に加え、分譲マンション「グランドメゾン」を2023年度にすべてZEH仕様とし、家庭部門の脱炭素化に貢献することとしました。加えて、サプライチェーンの脱炭素化を推進するため、科学的知見に基づく温室効果ガス削減計画の認定であるSBT認定について、主要サプライヤーの目標設定率を引き上げることを目標として定めました。サプライヤーとの情報共有、取り組み意識の向上を目指し、説明会を開催し、先導的なサプライヤーや当社の取り組み事例を紹介する等、サプライヤーと協力してCO2削減の取り組みを進めています。また、お客様と共に取り組んできた「5本の樹」計画の成果を琉球大学と共同検証し、生物多様性の定量評価の仕組みをネイチャー・ポジティブ方法論として公開しました。
社会性向上に関しては、女性管理職登用促進に向けた研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」による計画的かつ着実な女性管理職育成に注力し、第5次中期経営計画最終年度の目標である260人を前倒しで達成しました。また、男性従業員の育児休業取得を推進し、「男性育休フォーラム」の開催や「男性育休白書2021」の発行等を行いました。これらの取り組みを含むジェンダーに関する情報開示と男女平等への取り組みが評価され、「ブルームバーグ男女平等指数」に2年連続で選定されました。また、東京大学大学院工学系研究科と当社は、「未来の住まいのあり方」をテーマとした研究および次世代の建築人材を育成する国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB)の研究施設「T-BOX」を新設し、運用を開始しました。
ガバナンス面では、4月の定時株主総会にて社外取締役比率を40%、女性取締役比率を30%とし、取締役会議長を社外取締役より選任することで、取締役会の独立性と多様性を向上させ、取締役会の経営監督機能をさらに強化しました。また、「経営監督機能と業務執行機能の緩やかな分離」を図るため、取締役会から経営会議に一部権限を委任し決議機能を新たに持たせるとともに、取締役会から執行役員等への業務執行に関する権限の委任も進めています。さらに、新市場区分におけるプライム市場への変更に伴い、改訂後のコーポレートガバナンス・コードへの対応を12月時点で完了しています。加えて、1月には、報酬決定プロセスの客観性・独立性の向上のため、取締役及び委任型執行役員の個人別報酬支給額決定権限を、取締役会から人事・報酬諮問委員会に委任しました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動により118,034百万円増加し、投資活動により113,706百万円、財務活動により111,701百万円それぞれ減少した結果、前連結会計年度末と比較して85,059百万円減少となり、当連結会計年度末の資金残高は515,174百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は118,034百万円(前期比73,937百万円資金減)となりました。税金等調整前当期純利益を234,334百万円計上したこと等により、資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は113,706百万円(前期比18,202百万円資金減)となりました。賃貸用不動産等、有形固定資産の取得による支出が82,951百万円(前期比4,538百万円資金増)あったこと等により、資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は111,701百万円(前期比34,086百万円資金減)となりました。配当金の支払額が55,608百万円(前期比3,117百万円資金増)あったこと等により、資金の減少となりました。
当社グループ(当社及び連結子会社)の展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額には消費税等を含んでいません。
2 受注残高には当連結会計年度に連結子会社化したHOLT GROUP HOLDINGS,LLC及びその他子会社の数値を、「国際事業」に含めて表示しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額には消費税等を含んでいません。
2 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しました。
(参考) 提出会社個別の事業の受注高、売上高、繰越高の状況は次のとおりです。
(注) 1 金額には消費税等を含んでいません。
2 前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、その増減額を「当期受注高」並びに「当期売上高」に含めています。
3 損益計算書において、住宅請負事業は「完成工事高」、不動産事業は「不動産事業売上高」として表示しています。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
当連結会計年度の連結売上高は、全てのビジネスモデルにおいて増収となり、前期比142,674百万円増加の2,589,579百万円(前期比5.8%増)となりました。
連結営業利益は、アメリカでの住宅販売や物件売却が進捗した国際ビジネスの増益、請負型ビジネス及びストック型ビジネスの増収効果が寄与し、前期比43,641百万円増加の230,160百万円(前期比23.4%増)となりました。
連結経常利益は、連結営業利益の増加等により、前期比45,396百万円増加の230,094百万円(前期比24.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比30,363百万円増加の153,905百万円(前期比24.6%増)となりました。
(参考) 連結売上高、連結営業利益をビジネスモデル及びセグメントごとに示すと、次のとおりです。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産総額は、前連結会計年度末と比較して6.7%増の2,801,189百万円となりました。流動資産は、主に販売用不動産の増加等により、1,952,729百万円と増加(前期比9.7%増)しました。固定資産は、有形固定資産の増加等により、848,459百万円と増加(前期比0.4%増)しました。
負債総額は、社債の償還等により減少する一方、借入金や未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末と比較して1.9%増の1,280,229百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を153,905百万円計上したことによる利益剰余金の増加等により1,520,959百万円と増加(前期比11.1%増)しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び不動産(たな卸資産を含む)の取得・開発をはじめとする投資資金等であり、運転資金については、自己資金の活用又は借入金、短期社債(コマーシャルペーパー)により調達し、投資資金等については、主に社債、借入金により調達しています。資金調達に際しては、これら多様な調達手段から時機に応じて最適な手段を選択することで、安定的な財源の確保及び調達コストの低減を図るほか、国内信用格付AA格の維持を前提に、D/Eレシオ0.45倍以下及び債務償還年数(Net Debt/EBITDA倍率)1年以下を中期目標として財務健全性の維持に努めています。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しています。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載の指標及び2023年1月期の業績目標(連結売上高27,870億円、連結営業利益2,360億円、連結経常利益2,340億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,580億円)です。
当連結会計年度においては、2021年9月に上方修正した2022年1月期の業績目標(連結売上高25,530億円、連結営業利益2,200億円、連結経常利益2,180億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,480億円)に対し、連結売上高は25,895億円、連結営業利益は2,301億円、連結経常利益は2,300億円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,539億円と目標を上回る結果となりました。また、ROAは8.6%(目標10%)、ROEは11.0%(目標10%)となりました。引き続き、目標数値の達成を目指します。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するために見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が会計上の見積りに与える影響に関する情報は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。
標章使用許諾に関する契約(提出会社)
当社グループ(当社及び連結子会社)では、住宅総合企業として、多様化・高度化する市場の要請に応え、持続可能な社会を構築するべく、顧客ニーズ・社会ニーズを的確に捉えるとともに、新たな住まいの在り方を提案する商品開発や住まいの長寿命化を実現する技術、その他工場及び建設現場の生産性向上、施工省力化、廃棄物リサイクル等に関する技術開発を推進しています。
また、住宅の高断熱化と省エネ設備の採用による徹底した省エネと太陽光発電などによる創エネで、1年間の一次エネルギー収支を概ねゼロとできる住宅「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の普及に注力しています。
加えて、2019年に「人生100年時代の幸せをアシストする家」として「健康」「つながり」「学び」といったサービスを次々とインストールができ、住まい手の生活サービスを長期に渡りアシストする当社独自の家づくり「プラットフォームハウス構想」を発表し、2020年には、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を掲げ、住を基軸に、ハード・ソフト・サービスを融合し、幸せを提案するグローバル企業への進化を目指しています。
2021年10月には、技術部門について攻めと守りの役割を組織体制上明確にする観点から、新たにR&D本部と技術管理本部に分割し、R&D本部において、建築新技術、住生活の研究開発、住を基軸としたデザイン、商品開発並びに知的財産戦略の立案に関する事項を掌握し、技術開発の更なる推進を図ることとしました。
連結子会社である㈱鴻池組では、「安全・安心」「品質確保」「生産性向上」「地球環境問題」といった課題や「ICT技術」の活用などに対応するための応用研究開発を進めており、2021年11月には、土木・環境関連技術の研究・開発拠点となる新研究施設として、「大阪テクノセンター」(大阪市住之江区)を開設しました。
当連結会計年度の研究活動の概況と成果は以下のとおりであり、研究開発費総額は
・生活環境の変化やライフスタイルの多様なニーズに応えるため、ライフスタイル型モデルハウスとして、全国5か所に「Tomorrow’s Life Museum」を展開しました。これまで蓄積してきたライフスタイル研究をベースに建築地に合わせて、そこに暮らすであろう家族像を設定し、リアリティーのある暮らしのシーンを表現しています。
・賃貸住宅「シャーメゾン」での新しい在宅ワークスタイル提案として、可動書斎収納「ノマド収納」を発売しました。場所を固定しない自由な働き方を住まいの中でも実現することを提案しています。
・2020年発売の次世代室内環境システム「SMART-ECS」について、さらに進化を続け、邸別換気・空気清浄シミュレーションの提供を開始しました。計画段階での室内空気洗浄の見える化により、住宅ごとに最適な空気環境の提供が可能となりました。さらに、既存住宅のリフォーム工事で設置を可能とした「SMART-ECSリノベーション」も発売しました。
・先端技術と住まい手のデータを活用し、幸せという無形資産を生み出し続ける家「プラットフォームハウス構想」の第一弾として「PLATFORM HOUSE touch」を発売しました。家の状況確認や住宅機器の操作を、どこからでもスマホひとつで可能とし、住まいとつながる、家族がつながる、新しい暮らし方を提案します。
・木造住宅「シャーウッド」のオリジナル小屋組技術を搭載した「KOKAGE LOUNGE」のバージョンアップを行い、大きな勾配屋根空間がもたらす豊かな暮らしの提案力を向上しました。
・当社の2021年度の新築戸建住宅ZEH比率が92%となり、第5次中期経営計画目標の90%を上回り、供給を開始した2013年以降の累積棟数も69,163棟(2022年3月末現在)となりました。また、集合住宅においても、「賃貸ZEH」をシャーメゾンブランドで展開し、受注は、2021年度(単年度)で8,501戸と2020年度の2,976戸を大きく上回り、累計も12,307戸となりました。
・文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」において、大阪市立大学(現 大阪公立大学)との共同研究プロジェクト「住まいにおける子どものオンライン学習スペースの研究」を開始しました。
・東京大学×積水ハウス「国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB)」内に、世界最高峰の「デジタル×建築」研究施設「T-BOX」を新設し、隈研吾・特別教授を中心に、次世代の人財育成および住宅イノベーションの実現に向け、2021年10月より運用開始しました。
・庭などに地域の在来樹種を中心とした植栽を行う「5本の樹」計画により累計植栽数は1,810万本となりました(2022年1月末時点)。また、この取り組みによる生物多様性保全効果を琉球大学と共同検証し、世界初の都市の生物多様性の定量評価の仕組みを構築しました。
・千葉大学「積水ハウス健やか住環境創造のためのシックハウス症候群対策研究部門」において、室内化学物質低減による健康効果に関する研究を継続しています。
・住宅インスペクション技術の一つとして、京都大学と木材の蟻害探知システムの共同研究を継続しています。
・積水ハウステクノロジーの海外移植を推進すべく、アメリカではラスベガスにおいてパイロットハウスの建設を進めており、オーストラリアではシャーウッド構法の品質再現性をさらに高める検証を行っています。