第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

① はじめに

当社グループは、持続的な成長を確かなものにするため、常に10年程度の長期的な展望が不可欠であると考えています。2020年に策定した長期ビジョン「E-Vision2030」のターゲット期間が残り5年となったことから、同ビジョン以降に顕在化した社内外の環境変化を10年先の展望に反映させ、新たな長期ビジョン「E-Vision2035」を策定しました。

 

② E-Vision2030の進捗と課題

E-Vision2030の進捗については、社会・環境価値の提供及び経済価値の創出の両面で順調に進展しています。「6億人に水を届ける」や「CO₂約1億トン相当のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)削減」、「14Åへの挑戦」といったマテリアリティ解決に向けた取り組みが着実に進捗したほか、売上収益1兆円以上、ROIC10%以上といった経済価値についても想定を上回る水準で進捗しています。

一方で、既存事業については、「ソリューションプロバイダー」へのシフトを掲げ様々な試みを通じ、一定の成果を創出しましたが、今後に向けては課題が残る状況です。新規事業については、水素関連事業プロジェクト、新事業開発部門による様々な種まきにより新たなビジネスの芽が生まれており、この実現のため、2025年以降刈り取りを行っていく必要があります。経営基盤の面では、コーポレートの各機能は、CxO制導入により対面市場別カンパニーに機能軸の横ぐしを通す基盤を構築しました。機能別横ぐし施策を通じて、グループとしての価値向上に結びつけていくことが課題です。こうした状況を踏まえ、E-Vision2030で定めた価値創造ストーリーは、より解像度が高く、荏原らしいものへと進化させる必要性が認識されるようになりました。

 

③ 価値創造ストーリーとスローガン Essential EBARA. Everywhere.

事業領域やコア技術の視点から、当社グループが「持続可能性」の解決に本業を通じて直接的に貢献できる立ち位置にあることを踏まえ、目指すべき「価値創造プロセス」の具体性と解像度を向上させるべく、改めて以下のとおり「価値創造ストーリー」を設定しました。

 


 

 

(2)2035年にありたい姿

① 2035年にありたい姿とその実現のための事業ポートフォリオ

2035年にありたい姿として、グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業となっている状態を目指します。

ありたい姿実現のための事業ポートフォリオにおいては、当社独自のポートフォリオで事業間シナジーを創出しつつ、全体最適を追求し、事業の総和を超えた企業価値を創造します。具体的には、グローバルビジネスセグメント(精密・電子、エネルギー、建築・産業)は、会社を支える3本柱として、一定以上の事業規模と高い収益性・効率性を実現します。また、日本起点ビジネスセグメント(インフラ、環境)は、課題先進国としての日本におけるソリューション提供ノウハウを、世界の必要な地域にも価値として提供することを通じて、安定したビジネス基盤を構築します。

 

(参考)E-Vision2035事業ポートフォリオ


 

② 事業ポートフォリオの合理性

2035年にありたい事業ポートフォリオがグループの中長期的な企業価値最大化に資する合理的な構成であると、以下に基づき判断しています。今後においても、この構成が当社グループにとって最適解であり続けるかを常に検証し、事業環境の変化に応じて、ポートフォリオの入れ替えを含めた柔軟な経営判断を行う姿勢を保持します。


 

③ ありたい姿実現のためのマテリアリティ

E-Vision2035におけるマテリアリティは、本業を通じた“社会の持続可能性への貢献”と、そのための“事業基盤の強化”の観点から「持続可能な社会づくりへの貢献」「進化する豊かな生活づくりへの貢献」「環境マネジメントの徹底」「人材の活躍推進」「ガバナンスの更なる革新」の5項目とします。結果的にE-Vision2030のマテリアリティと同一の項目ですが、それぞれの概念がもつ普遍性に鑑み、継続して注力すべき課題として設定しています。


 

④ 全社方針
(i)資源配分方針

資源配分については、過去に実施した成長投資の成果を刈り取りつつ、中長期的な企業価値最大化に資する成長分野に積極的に投資することで、回収・投資・成長の好循環を生み出すことを基本方針とします。上記前提のもと、成長投資については、目指す事業ポートフォリオ実現のため、精密・電子、エネルギー、建築・産業のグローバルビジネスセグメントに経営資源を優先的に投下します。併せて、グローバルで効率的なオペレーションを実現させるための基盤構築に投資します。

 

(ii)人事・情報システム・技術に関する方針

a.人事に関する方針:今後の当社グループに求められる人材像を「自らの意思で考え、行動するキャリアオーナーシップを発揮する“人財”」と定めます。このような個人と会社が互いに選び合い応え合う関係を通じて、価値創出の好循環の実現を目指します。その実現のために、個の成長と多様性を支えるグローバル人事基盤を整備するとともに、“人財”を「増やす」、「活かす」、「適切に評価する」ことを基軸とした環境を整備します。

b.情報システムに関する方針:AI技術と情報分析を新たなコア技術と位置づけIT機能を高度化させます。また情報基盤を整備し、オペレーショナルエクセレンスによって全体最適に寄与します。

c.技術に関する方針:流体解析・制御、振動・騒音制御、界面制御といったコア技術を掛け合わせることで社会・環境課題を解決していくとともに、事業の経験を通じ新たなコア技術を蓄積し、さらに新たな課題解決に活かす好循環を実現します。

 

(iii)事業方針

 a.事業共通方針

各事業はそれぞれの対面市場に向き合い、データから価値を生み出す枠組みを高度化することで、システム全体の最適化を目指します。当該方針の下、対面市場別の当社製品インストールベースをビジネス上の資産とし、適切にマネジメントするために必要なデータを収集・分析・活用し、顧客の省エネ・脱炭素化のサポート、故障予兆管理・稼働保証等のサービスを提供するソリューションプロバイダーを目指します。また、積極的にM&Aや外部パートナーとの共創・協業を検討・推進していきます。

 

 b.グローバルビジネスセグメント

精密・電子:半導体顧客の迅速な開発と効率的な生産を支える多様なソリューションを提供することで、先端半導体の発展に貢献するとともに、顧客の省エネ・脱炭素化をサポートし、サステナブルに進化するAI社会を支える業界で唯一無二の存在となります。

エネルギー:流体圧縮移送技術、アフターサービス、グローバルオペレーションを中核に据えた技術指向型ソリューションプロバイダーを目指します。人類の発展に資するエネルギー・基礎材料の安定供給に貢献すべく、既存市場において存在感と収益性を高めつつ、新エネルギー・サステナビリティ領域では、脱炭素化のトレンドをリードする技術・ソリューション開発を積極的に行い、収益基盤の一角として育成します。

建築・産業:「業界の『初』の要求を叶える機器・ユニットを届ける新機能メーカ」「既設を含む顧客設備に『初』の価値を提案する省エネ・省人化メーカ」「機器・技術の壁を越えて『初』のサービスを提供する安定稼働実現メーカ」の3つの姿を目指します。成長市場(データセンター・電子デバイス等)でトップの地位を獲得します。ポンプ・冷熱製品とIoT技術を組み合わせたソリューション提供による付加価値向上と、生涯収益を最大化するサービス事業への進化を図ります。同時に、継続的な事業・拠点の整理・統廃合と、高収益な分野・ビジネスモデルへの経営資源のシフトにより、事業構造全体を効率化します。

 

 c.日本起点ビジネスセグメント

インフラ:「水と共に」人を・生活を・社会を支え、未来を創ります。製品とサービスのイノベーションを通じて社会・産業インフラを効率的で強靭なものにします。国内は国土強靭化・老朽化対策等に貢献し、安定的な収益と揺るぎないブランド価値を確立します。海外はグローバル供給網全体の効率化を図り、収益の安定化とグローバルブランド価値の向上を実現します。

環境:廃棄物を高付加価値の資源に変える「アップサイクラー」として、リニア経済から循環経済への移行をリードします。中核事業の高収益化と資源循環、脱炭素、ネイチャーポジティブ領域へのドメイン拡大を目指します。ケミカルリサイクル(ICFG技術)を社会実装し、資源循環処理の重要プレーヤーとなります。

 

 d.新規事業

水素エネルギー領域のソリューションで世界トップシェアを獲得し、未来の水素社会の構築に貢献します。加えて、その他の水素利活用領域をはじめ、航空・宇宙や医療・バイオ、フードテック領域などの有望市場において、新たなビジネスを確立します。

 

(ⅳ)E-Vision2035で目指す、社会・環境価値と経済価値

E-Vision2035の中では、「グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業になる」ことを10年後のありたい姿として設定し、世の中に社会・環境価値を提供しつつ、同時に経済価値の最大化を目指します。

 

[社会・環境価値の代表例]

脱炭素社会

・エネルギートランジションをリードする

・CO₂約2.5億トン相当のGHG(温室効果ガス)を削減

安心・安全なくらし

・気候変動に伴う水害リスクから人々の生活を守る

・世界で8億人に水を届ける

進化する豊かなくらし

・半導体製造における高集積化とサステナビリティを支え、AI社会の進展に貢献する

 

[経済価値]

売上収益 :2兆円以上

営業利益率:20%以上

ROIC   :20%以上

ROE    :25%以上

 

企業価値向上の目安:時価総額6兆円規模

 

(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標

① E-Plan2028の位置付け

E-Plan2028は、E-Vision2035実現に向けた最初の3か年を担う中期経営計画として、2035年の「ありたい姿」からのバックキャストと、E-Plan2025の振り返りから見えた課題を踏まえて策定しました。

 

② E-Plan2025の総括

全社指標及び事業別指標については一部課題が残る項目もあるものの、全般に良好な進捗となりました。

 

   [全社]

指標

 

E-Plan2025目標

2025年度実績

収益性

営業利益率

10%以上

11.9%

ROIC

10%以上

11.9%

ROE

15%以上

15.6%

成長性

売上収益CAGR

7%以上

12.1%

健全性

D/Eレシオ

0.3~0.5

(管理目安)

0.44

財務方針

成長投資

(3か年)

成長投資 1,800~2,250億円

研究開発投資 650億円

成長投資 1,748億円

研究開発投資 619億円

基盤投資

(3か年)

500~850億円

818億円

株主還元

(3か年)

連結配当性向35%以上

機動的な自己株式取得

連結配当性向35%以上維持

自己株式取得200億円

 

 

   [事業別]

指標

 

E-Plan2025目標

2025年度実績

収益性
営業利益率

精密・電子

17%以上

16.9%

エネルギー

12%以上

11.9%

建築・産業

7%以上

6.3%

インフラ

6%以上

8.2%

環境

7%以上

13.3%

成長性
売上収益CAGR

精密・電子

15%以上

15.5%

建築・産業

6%以上

7.7%

 

 

   [非財務]

 

指標

E-Plan2025目標

2025年度実績

環境(E)

CDP評価(気候変動カテゴリ)

B以上を維持

A-

Scope 1,2 GHG排出量(CO2換算)

2018年比32%削減

149千t排出

(2018年度比46.3%削減)
(速報値)

Scope 3/削減貢献量/他(バリューチェーン)(注)1

バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立

バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立とそれぞれの指標に対する目標設定

社会(S)

競争し、挑戦する風土へ変革し、多様な社員が働きやすさを感じて活躍できる環境づくりを目指す

・グローバルエンゲージメントサーベイ

83以上

81

グローバルモビリティの向上を目指す

・Global Key Position(GKP)における非日本人社員比率(連結)

30%以上

26%

男女の賃金差異解消

 ①GKP女性ポジション比率(連結)

 ②女性基幹職比率(単体)

①8%以上

②8%以上

①8%

②8.6%

性別に関係なく仕事と育児を両立できる企業風土を醸成

・男性育児休業取得比率(単体)

100%

100%

障がいのある社員の活躍促進

・障がい者雇用比率(単体+グループ適用会社4社)

2.6%以上

2.57%

サプライヤ向けの人権DDの結果に基づく必要な施策の実施

国内外サプライヤへのCSR調査・教育と実地改善を通じた人権DD推進による事業継続リスクの最小化

ガバナンス(G)

取締役会のパフォーマンスの深化とG to Vへの貢献

取締役会実効性評価:評価プロセス(注)2 100%実施

社外取締役支援活動:社外取会議12回/視察2回

社外取締役によるステークホルダーとの対話:2件

 

(注)1. 2023年11月に表記変更。
      WBCSD (World Business Council For Sustainable Development)が2023年3月に発行した、
      Guidance on Avoided Emissionsを踏まえ、バリューチェーンにおける目標の記述に 
      「削減貢献量/他」を追記しました。「他」には、当社グループ製品が無害化する
      GHG排出係数の高い排ガスのCO₂換算相当量などを含んでいます。

   2. 評価プロセス:質問票、議長による個別インタビュー、取締役の自己評価・相互評価、
       議長の評価、課題の抽出、結果の開示

 

   [5つの重点領域]

 

評価

評価理由

対面市場・顧客起点

対面市場別組織は概ね定着し、製品横断の受注が増加するなど統合シナジーが発現。顧客起点での開発(例:建築・産業のセットメーカ営業等)も端緒につくも刈り取りは今後の課題である

新たな価値創発

水素関連事業プロジェクト、マーケティング部門による新規事業探索、建築・産業におけるEBARAメンテナンスクラウド等、顧客に入り込んだ新たな価値創出について萌芽がみられるも十分ではない。さらに顧客との共創が求められる

グローバル事業基盤の確立

拠点の新設・統廃合を進め、グローバルでの製造・サービス体制の最適化を推進した

経営インフラの高度化

ROIC経営による投資判断は深化した一方、ERPは計画より遅延しており早期挽回を図る。CxO制による機能軸運営は導入を完了し、具体的成果創出のフェーズへ移行する

ESG経営の更なる進化

E(環境)はScope1,2に関するGHG削減目標を達成した。また、製品・サービスを通じた顧客のGHG削減に貢献した。S(社会)は、社会課題解決に向けた事業展開を推進したほか、人材の活躍促進に向けGKP比率向上やHCM(注)1 導入、サクセッションプランの再構築を推進した。また、サプライチェーン人権DDを実施した。G(ガバナンス)は2023年にコーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーを受賞も、事業拡大に伴うグループガバナンス体制の再構築、下請法違反事案等の再発防止に向けた内部統制強化が課題である

 

(注)1. HCM:Human Capital Management
 

③ E-Plan2028における事業環境

E-Plan2028における事業環境は以下のように認識しています。

 

精密・電子(市場CAGR:CMP・ドライポンプ8.0%):生成AIが市場を牽引し、AIサーバー向け投資が加速し、先端パッケージング技術の重要度が増します。米中対立によるサプライチェーンの二極化が進む一方、インド等の新市場が台頭します。また、半導体工場においては、省エネやPFAS規制への対応ニーズが増加します。

エネルギー(市場CAGR:LNG6.0%、エチレン3.0%):低炭素燃料であるLNGは、液化・輸送・再ガス化に至るプロセス全般で堅調な需要が継続します。水素・アンモニア・CCUS等の新市場が本格形成され、脱炭素市場が拡大します。また、設備の老朽化・人員不足を背景に、保守・遠隔監視等の省人化ニーズが増大します。

建築・産業(市場CAGR:建築・産業向けポンプ3.5%):生成AIの普及により、データセンターの冷却需要が急増します。グローバル市場は緩やかに成長する一方で、中国市場は低迷が続きます。国内の人手不足を背景に、設備のIoT化やメンテナンス省人化のニーズが高まります。

インフラ(市場CAGR:国内ポンプEPC 横ばい):新たな国土強靭化中期計画が始まり、インフラ老朽化に伴う更新需要がさらに大きく高まります。インフラDXにより、維持管理分野でのAIやロボット等を活用した自動化・省人化が進展します。

環境(市場CAGR:一般廃棄物焼却施設の新設 横ばい):国内の一般廃棄物処理施設の老朽化に伴う延命化対策が進む一方、建替案件は広域化などにより、長期的に漸減します。廃棄物処理分野においては、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が促進されます。

 

④ E-Plan2028のテーマ・基本方針

2025年度は5期連続で過去最高の連結業績を達成しましたが、各カンパニーにおいては個別最適の追求が進む一方、急激な事業拡大に対応した共通基盤の整備に課題があります。全体最適による成長余地がある中で、その実現に向けた経営インフラの拡充が必要な局面にあることを踏まえ、E-Plan2028のテーマ及び基本方針を以下のとおり定めます。


 

⑤ 事業別基本方針

精密・電子:ドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきで市場シェアトップを目指し、テープ研磨装置等、新装置市場の確立・シェア拡大を図ります。他セグメントのコア技術も含めたOne Ebaraでのユニークなソリューション・パッケージ提案による競合との差別化を図ります。

 

エネルギー:脱炭素社会の実現をリードし、エネルギー市場向けのアンモニア、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)、水素、SAF(持続可能な航空燃料)、地熱、そして遠隔監視・故障予知などサステナビリティ領域への取り組みを推進します。また、世界の人口増加、生活水準向上に不可欠な、エネルギーの安定供給を支え、COTC(Crude Oil to Chemicals:原油から化学品へ)を含めたエチレンを中心とした石油化学分野でのリーディングポジションを確立します。これらを実現するため、人材開発、技術製品開発、DX領域への重点的な投資を積極的に行い、競争力を確保・強化します。

 

建築・産業:マーケットインの視点でポンプ・冷熱機器等のソリューションを提供しつつ、成長産業(データセンター・電子デバイス市場)で新市場を開拓し、迅速に供給体制を確立します。積極的にサービス事業を展開するため、各種機器・サービスを一体で提供し、メンテナンスクラウドを中心に新しいビジネスモデルを展開します。これらを支えるグローバルな製販/地域間連携体制とSCM最適化に向け、ERP活用など事業基盤のデジタル化を進め、組織の連携と業務の効率化・変革を推進します。同時に、事業・拠点の整理・統廃合を進め、事業全体の効率性を改善します。

 

インフラ:国内はトップシェア維持と、守りのDXによる業務効率化・ロスコスト削減で生産性を最大化し収益力を高めます。国内インフラ老朽化、気象災害、インフラDX等の社会的要請に対しプレゼンスの強化に向けた製品・サービス開発体制の強化と市場投入の迅速化を図ります。海外は拠点との連携深化と安定収益市場へのアクセス拡大で事業規模を拡大します。

 

環境:既存中核事業(EPC/DBO、O&M)では、官需・民需の案件パイプラインの確実な形成による安定受注と、自働化・予兆保全によるO&Mの更なる収益性向上を図ります。既存事業と並行して、リニア経済から循環経済への移行を捉え、ICFG技術、資源循環、脱炭素に資する技術・サービスの社会実装に向けた取組みを強化し、新規事業領域を通じた成長の道筋を明確にします。

 

⑥ コーポレートの基本方針

全事業オペレーションを一段高い視座から俯瞰して全体最適を追求します。その実行機能を、全社全体最適の実現を通じて企業価値を高める「純粋な本社機能」と、専門サービス提供・業務支援/代行を通じカンパニーを支援する「本社の拡張機能」の2つとして定義します。「純粋な本社機能」を強化しグループ経営を牽引します。また、「本社の拡張機能」は、受益者のニーズを踏まえて実施します。

ガバナンス:コーポレートガバナンスにおいて、取締役会はサステナビリティ経営を重視し、「執行」と両輪となって、将来を見据えた議論を一層強化します。グループガバナンスにおいては、事業の成熟度と市場の特性に応じた適切な権限委譲を通じて対面市場の対応力を高めるとともに、グループ会社の取締役選任プロセスを含む株主エンゲージメントと取締役会を通じた経営への関与により、執行としてのグループ会社監督機能の強化を進め、グループ全体のリスクを低減します。

成長投資の管理・推進:成長投資の確実な実行に向け全社的な検証プロセスを強化します。特に新規事業開発予算及び精密・電子セグメント中心の研究開発費予算は、戦略的な設定とモニタリングにより投資機会を逸することなく計画を完遂します。

EBARAソリューションプラットフォーム構築:世界中に展開されている製品群の運転データを「共通資産」と捉え、事業や製品の枠を超えて価値に変えていくための「全社的なデータ活用環境」を構築します。

 

⑦ 財務方針

E-Plan2028をさらなる成長期間と捉え、過去に実施した成長投資の成果を刈り取りつつ、中長期的な企業価値最大化に資する成長投資を優先的に実施します。残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保ちます。

投資戦略と規律:投資の優先順位は、EVA=(投下資本)×(ROIC-WACCスプレッド)の増加を判断基準とし、営業活動キャッシュフローを考慮のうえ、投資総額を決めます。

財務規律:格付「A」維持を前提とし、D/Eレシオ0.4~0.5かつ月商1.5~2か月の現預金保持を規律とします。

株主還元方針:配当は連結配当性向35%以上を維持しつつ、必要な投資を行い且つ財務規律の範囲内であることを前提に、ROE目標に沿った適正な自己資本水準への調整として自己株式の取得を継続的に実施していきます。これらをふまえ、3年間累計のフリーキャッシュフロー(資産売却・圧縮によるキャッシュインフローを除く)の100%以上となるよう株主還元(配当・自己株式取得)を実施します。

 

⑧ 目標指標

財務数値目標及び管理目安

   [全社]

分類

指標

2025年度実績

2028年度目標

収益性・効率性

ROIC(WACC)

11.9%(5.0~6.0%)

13.0%以上(8.0~9.0%)

ROE

15.6%

18.0%以上

営業利益率

11.9%

14.5%以上

規模・成長性

売上収益

9,582億円

1.2兆円規模

健全性

D/E レシオ

0.44

0.4~0.5(管理目安)

手元現預金水準(月商)

1.85か月

1.5~2.0か月(管理目安)

 

 

   [事業別]

分類

指標

2025年度実績

2028年度目標

収益性・効率性

事業別ROIC

(事業別WACC)

 

 

- 精密・電子

21.0%(7.0~8.0%)

25.0%以上(9.5~10.0%)

- エネルギー

12.2%(4.5~5.0%)

15.0%以上(8.0~8.5%)

- 建築・産業

5.5% (4.5~5.0%)

8.5%以上 (6.0~6.5%)

- インフラ

10.3%(4.0~4.5%)

12.5%以上(6.0~6.5%)

- 環境

19.1%(4.7~5.2%)

13.0%以上(6.5~7.0%)

営業利益率

 

 

- 精密・電子

16.9%

20.0%以上

- エネルギー

11.9%

14.5%以上

- 建築・産業

6.3%

9.0%以上

- インフラ

8.2%

9.0%以上

- 環境

13.3%

8.5%以上

規模・成長性

売上収益CAGR

(FY2022-2025)

(FY2025-2028)

- 精密・電子

15.5%

15.0%以上

- エネルギー

14.9%

8.0%以上

- 建築・産業

7.7%

8.0%以上

 

 

   [サステナビリティ]

マテリアリティ

提供する社会・環境価値(2035年度)

KPI(2028年度)

目標

M1

持続可能な社会づくりへの貢献

8億人に水を届ける(注)1

(建築・産業)水の供給状況

75%(2035年の提供価値に対する達成率)

気候変動に伴う水害リスクから人々の生活を守る

(インフラ)浸水回避換算流域面積(注)2

7,800ha(2026年~2028年の累計)

脱炭素化に伴うエネルギートランジションをリードする

(エネルギー)サステナビリティ向け(注)3 受注構成比(製品事業)

20%

CO₂削減と炭素の資源循環に寄与する技術を社会実装する

(環境)ICFG®/EUP®(ガス化)の受注

1件以上

(環境)ICFG®技術(油化)開発・社会実装進捗状況

油化技術の確立

CO₂約2.5億トン相当のGHGを削減する(2023年~2035年の累計)(注)4

当社製品・サービスによるGHG削減量(CO₂換算)(注)5

6,500万t削減(2023年~2028年の累計)

責任ある調達活動

重要サプライヤにおけるCSR調達要件適合率

75%

M2

進化する豊かな生活づくりへの貢献

“ダウンタイムゼロ“で世界の快適な暮らしの“流れ“を止めない

(建築・産業)
遠隔監視サービスへの接続機器台数の成長率

(EBARAメンテナンスクラウド、RISSA、RISS、JES)

50%以上
(2025~2028年のCAGR)

半導体製造における高集積化とサステナビリティを支え、

AI社会の進展に貢献する(注)6

(精密・電子)

半導体の微細化

7Å世代の半導体製造技術に対応した要素技術の開発進捗率

75%(注)7

M3

環境マネジメントの徹底

事業活動に伴う環境負荷の最小化

CDP評価(気候変動)

リーダーシップレベル

(A、A-)を継続

GHG(Scope 1,2)排出量(CO₂換算)

46%削減(2018年比)

GHG(Scope 1,2)主要事業の
売上収益あたり排出量 (排出原単位)(CO₂換算)

66%削減(2018年比)

GHG(Scope 3)カテゴリ11排出量(CO₂換算)

20%削減(2021年比)

水使用原単位

継続的な改善

国内における廃棄物の再資源化率

95%以上の維持

M4

人材の活躍推進

多様な人財の活躍促進

Global Key Position(GKP)を占める多様性

女性ポジション比率(連結)

国籍に関する多様性指標(連結)

 

 

11.0%

グローバルカンパニーとしての遜色のない水準

女性管理職比率(国内)

11.0%

男性育児休業取得率(国内)

100%

障がい者雇用比率(国内 単体+グループ適用会社5社)

2.80%

安全・安心・健康な職場環境の推進

グローバルエンゲージメントサーベイスコア

85

死亡事故・重大災害ゼロ

0件

健康経営優良法人の認定(注)8 (国内)

認定取得

M5

ガバナンスの更なる革新

コーポレートガバナンスの実践

取締役会の実効性評価の実施と課題対応

 

議長インタビュー、自己・相互評価、議長評価、課題抽出・改革等

社外取締役を支える活動の実施

社外取締役会議、事業所視察、勉強会等

社外取締役とステークホルダーとの対話の実施

継続的な対話

 

(注)1. E-Vision2030で目指した価値提供「6億人に水を届ける」の更新

2. 2026〜2028年に新規・更新受注を目指す排水ポンプの総能力を基に試算した24時間連続稼働時に、浸水を床下浸水基準(50cm)以下に抑制可能な面積(東京都23区の約13%に相当)

3. CO2、アンモニア、水素、SAFなど

4. E-Vision2030で目指した価値提供「CO₂約1億トン相当の温室効果ガスを削減する」の更新

5. 当社製品の導入前後で削減できるGHG排出量をCO₂換算で算定。一部WBCSDのガイダンスを参照して算定した削減貢献量を含む

6. E-Vision2030で目指した価値提供「14Åへの挑戦」の更新

7. 7Å世代半導体製造技術の開発が完了し、商用化され、世の中の豊かな生活を支えている状態を2035年の目標と設定

8. 経産省と健康経営会議が主催する健康経営会議優良法人ホワイト500の維持および健康経営銘柄の認定

 

⑨ E-Plan2028期間におけるキャッシュ・アロケーション

更なる成長に向けた投資へ経営資源を優先的に配分し、残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保持します。


 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは事業を通じて社会課題の解決に持続的に貢献し、社会・環境価値を創出するとともに中長期的企業価値向上目指しています。その実現に向け、環境(E)、社会とのつながり(S)、ガバナンス(G)を柱とするサステナビリティ経営を実践しています。

 

(1)サステナビリティ全般

① サステナビリティ全般に関するガバナンス

当社グループは、取締役会とサステナビリティ委員会を中心としたガバナンス体制のもと、監督と業務執行の両面からサステナビリティ経営の実効性を確保し、推進しています。また、ESG指標を役員報酬の評価項目に組み込むことで、サステナビリティ目標の達成に向けたインセンティブ構造を構築しています。

 

<サステナビリティ推進体制図>

 


 

(i)監督

当社は、機関設計として指名委員会等設置会社を採用し経営において監督と執行の明確な分離を実現することで、取締役会がモニタリング・ボードとしての役割を果たすと考えています。

 

a. 取締役会

取締役会は、当社グループがサステナビリティ経営を実践し、社会課題の解決に事業を通じて持続的に貢献することで社会・環境価値を向上させ、あわせてROIC経営・ポートフォリオ経営の実践により経済価値を向上させることが重要な経営課題であると認識し、そのための長期の事業環境を見据えた経営の基本方針を策定し、その継続的な実行を監督します。当社は、この考え方を「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」に定め、サステナビリティ経営に対する取締役会の役割・姿勢を明確に打ち出しています。また、取締役会では、議論すべき気候・自然関連・人権・人的資本などをはじめとするサステナビリティに関する審議を取締役会の年間議題に組み込み定期的に必要な時間を確保した上で様々な観点から議論を行い、その結果をサステナビリティ委員会へフィードバックしています。取締役は、サステナビリティ委員会に陪席する中で、執行のサステナビリティに関する取り組み状況を把握し、必要に応じて客観的な立場より的確な助言や後押しを行っています。

 

(ⅱ)業務執行

業務執行側の「サステナビリティ委員会」は代表執行役社長が委員長を務め、議題は長期ビジョンのマテリアリティに関わる環境、社会とのつながり、ガバナンス全般に及びます。サステナビリティ委員会で審議・報告がなされた事項は取締役会へ報告し、レビューを受ける仕組みとなっています。

サステナビリティ経営におけるリスクマネジメントは、全社のコーポレート・ガバナンス体制に包含されています。当社グループのリスク管理活動を統括し、審議、改善指導・支援を行う機関として、リスクマネジメントパネルを設置しています。全社リスクアセスメントで特定した重要リスクは、主管部門を明確にして対策を講じています。詳細は3[事業等のリスク]を参照ください。

経営会議・経営計画委員会・経営課題行動計画モニタリング会議は、中期経営計画について、各組織の年度ごとの予算と行動計画を明らかにすることを目的として運営しています。

さらに、全グループの労働安全衛生に関する方針を決定する中央労働安全衛生委員会と、当社グループの人権方針に則って人権マネジメントの継続的な改善を図る人権委員会が設置されています。

 

各委員会の役割と機能は以下の通りです。

 

a. サステナビリティ委員会

当社グループが事業活動を通じてサステナブルな社会・環境の構築に寄与し、企業価値を継続的に向上させるため、事業とそれを支える活動(生産活動等における環境保全、労働慣行、サプライチェーンマネジメント、情報の管理と開示、人権擁護、ダイバーシティ推進等)の対応方針の審議、KPI及び目標の決定、並びに成果の確認等を行うことを目的として設置しています。サステナビリティ委員会は代表執行役社長を委員長とし、執行役が委員を務め、サステナビリティ経営に関する社外有識者がアドバイザーとして参加しています。また、サステナビリティ委員会の目的に資する監督機能を発揮するため、同委員会への取締役の陪席を推奨し、取締役は必要に応じて提言等を行っています。サステナビリティ委員会の審議状況は取締役会に報告され、取締役会は情報を的確に捉えて、監督機能を発揮できる体制を整備しています。サステナビリティ委員会は四半期ごとに定期開催し、当事業年度は4回開催しました

 

b. リスクマネジメントパネル

当社グループを取り巻くリスクについては定期的に行うリスクアセスメントの結果に基づき、リスクマネジメントパネルが、サステナビリティに関するリスクを含む全社共通の重要リスクを特定しています。リスクアセスメントでは、想定し得るリスク項目の中から、全執行役およびカンパニー企画部門責任者等へのアンケートとヒアリングにより、対応すべきリスク項目を特定したうえで、リスク対応体制を再評価し、主管部門を明確にしてリスクに対応しています。

 

c. 経営会議・経営計画委員会・経営課題行動計画モニタリング会議

中期経営計画を年度別に具体化し、各組織の年度ごとの予算と行動計画を明らかにするため、経営会議及び経営計画委員会で審議・決定しています。また、経営課題行動計画の進捗をモニタリングする会議体として、経営課題行動計画モニタリング会議を設置しています。2023年からは、従来の予算達成のための目標設定に加えて、非財務目標達成のための行動計画も立案し、同会議でモニタリングをしています。

 

d. 中央安全衛生委員会

荏原グループ安全衛生方針に基づき、荏原グループで働く人すべてに対し、ワークライフ・バランスの実現や心の健康づくりを含む安全衛生を優先する職場環境を構築・維持するため、中央安全衛生委員会を設置しています。同委員会では、各部門の安全衛生計画を審議し、モニタリングしています。活動状況はサステナビリティ委員会に報告され、サステナビリティ委員会からの意見とともに取締役会に報告し、レビューされます。

 

e. 荏原グループ人権委員会

荏原グループ人権方針に基づき、人権方針の実践と人権マネジメントの仕組みを継続的に改善することを目的として、荏原グループ人権委員会を設置しています。同委員会では当社グループの人権に関する取り組み方針を設定し、人権マネジメントの継続的な改善を行っています。従業員とサプライヤの人権デューディリジェンスの結果と改善計画の進捗をモニタリングしています。活動内容はサステナビリティ委員会に報告され、サステナビリティ委員会からの意見とともに取締役会に報告し、レビューされます。

 

(ⅲ)報酬制度

当社の報酬委員会は、事業活動を通じて持続可能な社会に向けた高度なESG経営を実践するため、ESGに関する目標の達成度を役員報酬に反映することが適切であると考え、グローバルな役員報酬に関する外部専門家の意見も参考に議論を重ね、2022年12月期より短期業績連動報酬の一部をESG指標の達成度と紐づけています。
 
 評価項目は、“E”(環境):CDP(注)1(気候変動)の評価、売上収益あたりのGHG排出量(排出原単位)の削減目標達成率(注)2及び“S”(社会):グローバルエンゲージメントサーベイ(注)3の結果とし、評価ウェイトは短期業績連動報酬の10%としています。なお、これらの評価指標については今後も継続的に見直してまいります。

 

<短期業績連動報酬における評価指標について>

評価指標

評価ウェイト

業績指標

連結投下資本利益率(ROIC

45%

連結営業利益

MBO

担当事業ごとのKPIに基づき設定

45%

ESG指標

“E”(環境):CDP(気候変動)、GHG排出量(排出原単位)

10%

“S”(社会):グローバルエンゲージメントサーベイ

 

 

(注)

1.

気候変動対応の戦略やGHG排出量削減の取り組みなどを評価するESG評価機関。

 

2.

2018年のScope1,2の排出原単位に対する削減目標。2026年から項目として選定。

 

3.

国内外のグループ会社従業員を対象に、中長期的な目標達成に資する組織・従業員エンゲージメントの現状を測定・分析する調査。

 

 

② サステナビリティ全般に関する戦略 

当社グループは、マテリアリティへの取り組みを通じた社会・環境価値の創出が、当社の経済価値の増加に直接結び付くサイクルを荏原グループが目指す『サステナビリティ経営』と捉え、それを実践していきます。詳細については、1 [経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]を参照ください。

 

③ サステナビリティ全般に関するリスク管理

当社グループのサステナビリティに関するリスク管理は、リスクマネジメント体制に包含されています。当社グループのリスク管理活動を統括し、審議、改善指導・支援を行う機関である、リスクマネジメントパネルは、全社共通のリスクとして、「気候変動・自然災害」、「サプライチェーンリスク」、「人材のリスク」等を認識し、これらのリスクに対処する体制を整えています。詳細については、3[事業等のリスク]を参照ください。

 

④ サステナビリティ全般に関する指標及び目標

中期経営計画E-Plan2028においてサステナビリティ目標を設定し、モニタリングしています。詳細については、1 [経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]を参照ください。

 

また、E-Plan2025における非財務目標の実績も同様に、1 [経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]を参照ください。

 

(2)サステナビリティに関する個別テーマ

気候変動への対応

2050年にカーボンニュートラルを達成するため、自社製品・サービス提供を通じた環境負荷低減を進めています。

 

(i)戦略

荏原グループでは、2035年にありたい姿として、「グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業」を掲げています。社会・環境価値と経済価値の最大化を目指すこととし、脱炭素社会への貢献を提供価値の一つとしています。

持続可能な社会の実現とグループのさらなる成長を両立させるため、自社とバリューチェーンにおけるGHG(Greenhouse gas)排出量を低減することにより、2050年にカーボンニュートラルを目指しています。その実現に向け、サステナビリティ委員会において当社グループの方針、戦略、指標及び目標を審議し、成果や進捗の確認を行っています。

自社の活動によるGHG排出(Scope1,2)については、各拠点の省エネルギーに取り組むとともに、国内外の拠点で太陽光発電設備の設置や、CO2フリー電力の調達などを進めています。

バリューチェーンのGHG排出(Scope3)については、その大部分を占める当社製品の使用による排出(カテゴリ11)を対象に2030年の削減目標を設定しています。Scope3の削減策として当社製品の高効率化をはじめ、サプライヤとの連携を進めます。

2025年5月にはSBT短期目標の認定を取得しました。また、2024年のScope1,2,3排出量について第三者保証を受けています。

さらに、顧客のGHG削減への貢献目標として、「当社製品・サービスによるGHG削減量」、「カーボンニュートラル社会の実現をサポートするビジネス創出」という目標を設定し、取り組みを進めています。「当社製品・サービスによるGHG削減量」は、当社の製品・サービスの導入により削減できるGHGを算定しており、一部にWBCSDのGuidance on Avoided Emissionsを参照して算定した削減貢献量を含みます。省エネルギー型のポンプや地球温暖化係数の高いPFCs(パーフルオロカーボン)を分解する排ガス処理装置の製造販売に加え、脱炭素燃料への転換など、GHG排出削減に貢献する製品・サービスの開発及び提供を通じてカーボンニュートラル社会の実現に寄与します。

気候関連開示については、2019年にTCFD提言に賛同署名し、気候変動に伴うリスク・機会の分析を行い、経営戦略への反映を行っています。
 シナリオ分析については中期経営計画の策定サイクルに合わせて見直しを行うこととしており、2025年の見直し結果を中期経営計画E-Plan2028に反映させています。また、開示の質的向上を図るため、2024年はIFRS® S2号(気候関連開示)を参照しており、2025年はSSBJによる気候関連開示基準を参照しています。

 

(ⅱ)指標及び目標

・Scope1,2:2030年に2018年度比でGHG排出量をCO2換算で55%削減

・Scope3(カテゴリ11):2030年に2021年度比でGHG排出量をCO2換算で25%削減

・当社製品・サービスによるGHG削減量:2023年~2035年の累計でCO2換算で2.5億トン削減

・カーボンニュートラル社会の実現をサポートするビジネス創出

 

詳細はウェブサイトに掲載しています。

荏原グループのカーボンニュートラル

https://www.ebara.com/sustainability/environment/information/carbon-neutrality.html

気候関連開示(TCFD提言)

https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/think/tcfd/

ESGデータ集

https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/data/esg/

 

 

② 人的資本経営

当社グループは、長期ビジョン「E-Vision2035」におけるマテリアリティ4「人材の活躍推進」の実現に向け、人的資本を企業価値創出の原動力と位置づけています。社員一人ひとりを単なる経営資源ではなく、自らの意思で主体的にキャリアを形成し価値創出に挑戦する「キャリアオーナーシップ」を発揮する人財と定義しました。会社が挑戦の機会と環境を整備し、社員はその機会を通じて成果を創出するという、相互に選び合い応え合う関係を通じて、個人と会社が共に成長し、その成長がよい影響を及ぼし合ってさらなる成長へとつながっていく好循環の実現を目指しています。

 

また、人的資本経営の推進にあたり、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を重要な経営基盤と捉えています。多様なバックグラウンドや価値観を持つ人財が能力を最大限発揮できる環境を整備することが、イノベーション創出と持続的成長につながるという認識のもと、制度整備と風土改革の両面から取り組みを推進しています。

 

2025年までの期間において、人的資本経営の高度化とグローバル人財マネジメント基盤の整備を進めた結果、エンゲージメントの向上、女性基幹職比率の上昇、男性育児休業取得率100%の達成、障がい者雇用率の法定水準維持など、一定の成果を得ました。一方で、GKP(Global Key Positions)の非日本人比率が目標に届いていないことや、国内エンゲージメントサーベイスコアが海外と比較して相対的に低水準であることなど、解決すべき課題も認識しています。

 

(i)戦略

中期経営計画「E-Plan2028」における人的資本経営戦略は、以下の二つを柱としています。

 

a.キャリアオーナーシップ人財を「増やし、活かし、適切に評価する」仕組みの高度化

事業戦略と連動した人財ポートフォリオの設計・運用を進め、経営・事業を牽引する人財、高度専門人財、次世代経営人財を明確化し、計画的な育成・配置・登用を実行します。また、多様な人財が公平に挑戦機会を得られる仕組みを整え、DE&Iの観点からも持続的な人財活躍基盤を強化します。

 

b.グローバル人材マネジメント基盤の構築(データドリブン経営、健康経営の推進)

ア.HCM(Human Capital Management)プラットフォームを活用し、職務・スキル・評価・後継者準備状況等の情報を統合・可視化することで、データに基づく適所適材を図ります。これにより、人財戦略と事業戦略の一体化を進め、グローバル全体での最適配置と育成を実現します。

イ.社員一人ひとりが活き活きと高いエンゲージメントを持って働き続けるための基盤として、社員本人のみならず家族も含めた健康の維持・向上を推進します。心身の健康を支える環境と仕組みを整備し、個人の挑戦と成長を持続的に支えていきます。

 

(ii)目標

当社グループは、人的資本経営の成果を測る指標として、以下の二つを重視しています。

・人的資本ROI(人的投資と事業価値創出の連動)

・グローバルエンゲージメントサーベイスコア

これらがバランスよく向上している状態を、企業と個人が共に成長している姿と定義しています。

 

2028年に向けては、全社員が高いエンゲージメントのもとで主体的に挑戦し、個人の成長と事業の成長が連動する「人財と事業の成長の好循環」の実現を目標としています。そのために、以下の内容を取り組み、多様な人財が能力を最大限発揮できる人的資本経営を推進してまいります。

 

・キャリアオーナーシップの全社定着

・健康基盤の整備による活躍環境の強化

・人財ポートフォリオの明確化

・人財情報の可視化・高度化

・人財戦略と事業戦略の一体化

 

当社グループは、キャリアオーナーシップを発揮する人財を原動力として、

「Essential EBARA. Everywhere.」の実現と、経済価値・社会価値の両立を目指してまいります。

 

③ 人権の尊重
(ⅰ)戦略

a.「人権尊重の基本方針」

 荏原グループは、世界人権宣言の「すべての人間は、生まれながらにして尊厳と権利とについて平等である」との規定に基づき、荏原グループCSR方針に掲げる「人権と多様性を尊重する」経営を実践するために、「荏原グループ人権方針」を定め、社内外に公表しています。3つの基本方針とともに、それを実践していくための対応方針を定めています。荏原グループ人権方針は、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」と国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を尊重しています。

荏原グループ人権方針の全文は、ウェブサイトに掲載しています。

https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/social/respect/

 

b.「人権に関する救済」

国内外グループ会社においては、各社の社内通報窓口に加えて、当社の設置したグローバルホットラインが人権に関わるものを含む苦情を受け付け、対応しています。グローバルホットラインは、2025年12月31日時点で34か国に所在する国内外グループ会社67社(当社を含む)にホットラインを設置しており、引き続き、全グループ会社への整備を進めています。

当社グループのサプライヤーからの苦情や相談に対応する窓口として、2025年12月にサプライヤーホットラインを開設し、当社ウェブサイトに窓口を掲載しています。

また、その他の社外からの相談は、当社ウェブサイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。

当社は、2024年4月に一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟しており、全てのステークホルダーは、当社グループに関する具体的な事案を「ビジネスと人権」に関する苦情申し出としてJaCERの提供する対話救済プラットフォームを通じて行うことができます。

当社は、人権に関する苦情や相談が寄せられた場合、コンプライアンス部門が主担当となり、必要に応じて、関係部門等と連携しながら対応しています。

 

c.「2025年の取り組み」

外部との対話

人権委員会は、人権に対する課題認識の範囲を広げることや当社グループの人権マネジメントの改善につなげることを目的として、人権に関する社外有識者と対話を行っています。

2025年は、「ビジネスと人権」に造詣の深い、西村あさひ法律事務所の湯川雄介弁護士を招いて、EUのサステナビリティ関連規則(CSRD、CSDDD等)やそれらを簡素化等するオムニバス法案の動向など、最新の国際動向を踏まえ、「ビジネスと人権」に対する企業の取組みのあり方について意見交換を行いました。

人権デュー・
ディリジェンス

人権委員会では、従業員の人権に配慮することや、サプライヤにも人権尊重の意識を持って活動していただくことが当社グループの事業活動において特に重要であると考え、人権デューディリジェンスを行っています。

 

<従業員に対する人権デューディリジェンス>

人事部門が全グループ会社の従業員を対象に毎年行っているグローバルエンゲージメントサーベイを利用し、「職場の公正・公平性」「差別」「労働安全衛生」をグループ共通の人権項目として、約60組織のスコアをモニターしています。人権項目のエンゲージメントのスコアが一定水準に達していない会社に対して、人権委員会が人権アクションプランの策定を指示し、各社が改善策を実行します。活動の成果は翌年のエンゲージメントサーベイスコアにより評価しています。

 

2025年は、2024年のサーベイ結果に基づき、当社グループ4社に対して改善策を求め、それら各社はアクションプランを策定し、人権に係る改善策を実行しました。また、2025年のサーベイ結果、人権項目のエンゲージメントスコアが一定水準に達していない組織はありませんでした。

 

<サプライヤに対する人権デュー・ディリジェンス>

人権尊重を含む当社CSR調達ガイドラインについて、サプライヤの皆様に理解と実践を求めることを目的とし、グローバルの一次サプライヤに対して2025年にCSR調達アンケートを実施しました。

アンケートの内容には人権に関する設問が含まれており、人権委員会は、サプライヤにおいて児童労働や強制労働、差別が起きないような取り組みがなされているか、適正な労働環境が維持されているかなど、人権に関する設問の結果を調達部門と共有し、健全なサプライチェーンマネジメントの構築を推進しています。詳細について「(ⅱ)指標及び目標」をご覧ください。

 

 

(ⅱ)指標及び目標

目標

25/12実績

サプライヤ向けの人権デュー・ディリジェンスの結果に基づく必要な施策の実施

人権尊重を含む当社CSR調達ガイドラインについて、サプライヤの皆様に理解と実践を求めることを目的とし、グローバルの一次サプライヤに対してCSR調達アンケートを実施しました。主要取引先国内外1,917社から回答をいただき、集計とサプライヤへのフィードバック、および継続的な回収を進めています。

 

アンケートの内容には人権に関する設問が含まれており、人権委員会は、サプライヤにおいて児童労働や強制労働、差別が起きないような取り組みがなされているか、適正な労働環境が維持されているかなど、人権に関する設問の結果を調達部門と共有し、健全なサプライチェーンマネジメントの構築を推進しています。

 

2025年には、主に以下の施策を実施しました。

①国内外サプライヤへのアンケート配布、回収

②CSR調達に関する周知・教育資料の作成およびサプライヤ・当社グループ調達組織所属者への配布

③アンケート結果に基づく得点計算及びサプライヤへのフィードバックシートの送付

④低スコアのサプライヤを含む各サプライヤとのCSRに関する訪問対話および改善に向けた協議

 

 

 

3 【事業等のリスク】

(1) 当社のリスクマネジメントの体制

荏原グループのリスク管理活動を統括し、審議、改善指導・支援を行う機関として、リスクマネジメントパネル(RMP)を設置しています。RMPを中心としたリスクマネジメントの体制は下掲の図のとおりです。RMPは代表執行役社長を議長とし、全執行役により構成しています。また、リスク管理における監督機能を発揮するために非業務執行の取締役が陪席し、必要に応じて助言等を行っています。RMPの審議状況は取締役会に報告され、取締役会が情報を的確に捉えて、監督機能を発揮できる体制を整備しています。あわせて、リスク対応の重要度に応じ全社的に対応が必要な場合には代表執行役社長を本部長とする対策本部を立ち上げ、全社で迅速に報告・連絡・判断をとるようにしています。

当社グループの事業活動に関するリスクについては、執行役の職務分掌に基づき各執行役がそれぞれに管理し、重要事項については経営会議で審議します。事業活動を通じたサステナブルな社会・環境の構築にかかるリスクについてはサステナビリティ委員会で審議します。RMPはリスク管理活動を統括し、当社グループ全体のリスク対応体制を整備し、リスク対応活動を支援します。

 

これらの執行会議体とガバナンス体制の全体像は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」及びウェブサイトを参照ください。

https://www.ebara.com/jp-ja/ir/governance/Basic-Policy-and-Framework/


 

(2)事業継続マネジメント

大地震や大規模な感染症などの発生時において、国民の生命・財産にかかわる重要な施設の機能継続や早期復旧を支援するために製品・サービスを提供することは、当社グループの重要な責務であると認識しています。

この認識のもと、事業継続マネジメントシステムを構築し、組織体制や計画をまとめています。

当該体制においては、代表執行役社長を本部長とした統括本部を設置し、初動活動から事業継続及び事業復旧まで一貫して全社の活動情況を把握し、全社的な指示や情報発信を行っています。「初動活動」においては、地域毎に設置した現地本部が避難、救助、消火等を含む社員等の安全確保や資産の保全に関する活動を指揮します。「事業継続及び事業復旧活動」においては、重要業務の継続及び速やかな復旧を各カンパニーが指揮する体制としています。

2024年8月に南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを受け、改めて災害対応の重要性を認識するために、国内主要拠点長を対象にシナリオ非提示型の大規模地震対応訓練を実施しました。また、執行役と各カンパニーのRO(Risk Officer)を対象に有事対応能力の強化を目的としたBCP訓練を実施しました。災害対応における優先順位づけの重要性等の気づきを得る一方、本社が被災した際の代替本部への権限移譲が不明確であるなどの課題が明らかとなったことから、当該課題への対応を進めています。


 

(3)リスク分析と当社グループの重要リスク

当社グループの事業等に関するリスクについて、中長期的な社会情勢や市場環境の変動をシナリオプランニングによって分析しています。また、足下の当社グループを取り巻くリスクについては、事業特性に照らし想定し得るリスクの中から当社グループにとっての発生可能性、影響度及び対策後の残存リスクを分析する「全社リスクアセスメント」を3年ごとに実施しており、2025年はその実施年でした。また、近年は社会情勢の変化が著しいため、中間年でもグループ重要リスクを見直すために簡易的なリスクアセスメントの実施方法を検討し、2026年以降に実施することとしました。

2025年に実施したリスクアセスメントでは、前回用いたリスク目録に加えて、第三者的視点としてISO 26000(社会的責任)やGRI(Global Reporting Initiative)スタンダード等を参照し、リスクの網羅性を高めた上で、当社グループの事業運営において想定される約110のリスク項目を作成しました。当社グループにとっての影響度と発生可能性がともに大きいもの、さらに対策の十分性を評価した上で、全執行役及びカンパニー企画部門責任者等へのアンケートとヒアリングを行い、グループ重要リスク10項目を特定しました。あわせて、主管部門や報告先執行会議体などのリスク対応体制を再整備し、RMPに報告しました。なお、2025年2月20日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告を受けたことにより、改めて法令遵守の重要性を認識し、コンプライアンスリスクを選定しています。

全社共通のグループ重要リスクと、当社が対面している市場別のリスクは、以下の表の通りです。

 

① 全社共通のリスク

項目

影響度×起こりうる可能性

リスク内容

当社の対策

人材リスク

中×大

・事業ごとに求める人材像の多様化・専門化による採用戦略立案及びキャリア展望構築の困難化による、要員計画の未達。

・働き方の多様化や部下の成長支援など管理職の負担の急増とマネジメントスキル高度化によるチーム運営の質の低下や離職の増加。

・事業別の採用環境に即した統合的採用戦略の再構築と、社内公募制度等の活用によるグループ内人材の最適配置。また、人材の定着・成長を促す処遇制度や教育体系の継続的な強化・見直し。

・管理職の負担軽減とマネジメント教育の拡充や心理的安全性の醸成と健全な組織風土の構築。

国際情勢・地政学上のリスク

中×中

・政治情勢や国際関係の変化に関する戦略的情報の収集・活用体制の未確立による事業への悪影響。

・国際機関の影響力低下を背景とした地域紛争の増加及び各国に展開する当社グループ拠点の安全への影響。

・政治情勢や国際関係の変化に係る専門的な分析及び事業への影響評価を可能とする体制の構築と経済安全保障施策の推進。

・有事に備えたリスクシナリオの策定と、安全確保策の策定。

サプライチェーンリスク

中×大

・保護主義の高まりや地域紛争の増加による市場アクセスの制限やサプライチェーンの分断・不安定化。

・サプライヤの高齢化による事業承継リスク及び中小企業等保護に係る規制強化への対応不足。

・当社グループの経済活動が人権問題に波及する認識不足。

・サプライヤの地政学的分散や多重化の戦略的実施。事業承継リスクを加味した中長期かつ強靭なサプライチェーンの構築。

・人権デュー・ディリジェンス等への対応強化と社内教育の充実。

気候変動・自然災害

大×小

・当社グループ及び当社製品における脱炭素化への対応遅れによる国際市場での競争力低下及びビジネス機会の喪失。

・気象災害の激甚化等の自然災害による当社事業場やサプライチェーンへの直接的な損害の発生。

・長期的・多様なシナリオ分析に基づくリスクと機会の予測と対策を実施。

→気候関連シナリオ分析については当社ウェブサイト「気候関連開示(TCFD提言)」※1を参照ください。

・荏原グループの2050年カーボンニュートラルに向けた施策の着実な推進。

→詳細は当社ウェブサイト「荏原グループのカーボンニュートラル」※2を参照ください。

・国内地震対策を中心とした事業継続計画から、海外グループ会社を含めたオールハザード型の事業継続計画への転換。

市況等の変化リスク

中×中

・為替変動や金利上昇等による業績への影響。

・半導体産業を始めとしたビジネスサイクルの短期化による需要変動への対応遅れによる市場シェア喪失。

・対面市場別5カンパニー制によるリスク分散の継続、及びサービス・ソリューション事業の強化による安定的な収益基盤の拡大。

・景気変動に対応した生産体制の構築と意思決定の迅速化。

技術革新・研究開発の失敗

大×小

・変化の激しい市場環境において、技術革新を支える人材不足や研究開発と事業戦略との連携不足による顧客要求への対応遅延や競争優位性の喪失。

・チャレンジ精神に溢れる人材不足による新たな付加価値の創出不全。

・研究開発活動に関する知識・ノウハウの形式知化及びAI活用による開発効率と質の向上。事業部門トップとの連携強化。

・技術者・研究者のローテーションや社外共創・協業を通じた異文化・価値創造体験を増やし、次代を担う「失敗を恐れない人材」の育成。

サイバーセキュリティリスク

中×中

・外部からのサイバー攻撃、自社や委託先での人為的過失に加え、自然災害やインフラ障害など不測の事態により、重要な業務やサービスの長時間停止、機密情報・個人情報の漏洩、重要データの破壊・改ざんが発生する可能性、及びサプライチェーン全体に影響が及ぶリスクの誘発。

・多層的な技術的防御策の導入、及びISO 27001準拠レベル体制整備とそのPDCAサイクルの定着。

・情報セキュリティに関する人材の確保、及び攻撃トレンドの変化(アカウント乗っ取り型攻撃の増加等)に対する継続的な教育と訓練実施による防御力の向上。

・グループ社員のセキュリティ・リテラシーの向上。

・サプライチェーン管理能力強化

M&Aリスク

中×小

・デュー・ディリジェンスで買収対象会社の財務状況及び事業運営に重大な影響を及ぼす不適切な事項を発見できないことによる、当社への悪影響。

・買収後の統合プロセスの不備・遅滞に伴う、期待したシナジーの未達。

・案件実行の迅速化及びM&Aに関する知見の集約と人材育成を図る専門部署の設置。ならびに各領域の専門家による不適切事象の精査。

・カンパニーとコーポレートの担当部門間連携による、円滑な統合に向けた推進体制の構築とその進捗の確認。

品質リスク

中×小

・ベテラン社員の知識・ノウハウに過度に依存した製品開発が続くことで、退職による製品品質への負の影響。

・自社基準や組織の論理に基づく判断の恣意性による品質不正の誘発。

・過去データやノウハウなどをデジタルで見える化・共有化による品質保証プロセスの変革

・技術者倫理教育・ガバナンスの徹底及び、早期の予防・未然防止を徹底する品質重視文化の醸成。

10

コンプライアンスリスク

中×小

・法令遵守に対する意識の希薄化や制度の形骸化による当社役員や従業員による重大な法令違反等。損害賠償等による経済的損失、行政処分による受注機会の逸失及び社会的評価の低下。

・当社グループに大きな影響を与える法令の整理と主管部門の明確化、ならびに法令変更時等の予兆段階からの把握と影響調査とエスカレーション体制の運用による早期対応の徹底。

・部下への適切な指導・監督を可能とする組織体制の適正化、報告・相談が咎められない文化の醸成。

 

注1.気候関連開示(TCFD提言):https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/think/tcfd/

 2.荏原グループのカーボンニュートラル:
   https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/environment/carbon-neutrality/

 

② 対面市場別リスク

セグメント

対面市場

主要製品

主なリスク

当社の対策

建築・産業

建築設備・

産業設備

 

標準ポンプ(陸上ポンプ、水中ポンプ、給水ポンプ)、冷熱機械、送風機

・需要増加地域での規制強化と価格競争激化

・人口減少地域での建築設備需要減による市場縮小に伴う収益悪化

・輸出規制及び制裁への対応を含めたコンプライアンスリスク

・製品開発による差別化、S&S事業への注力や業務効率化による競争優位性の確保

・グローバル市場でのリソースの戦略的最適化

・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施

エネルギー

石油・ガス
電力
新エネルギー

 

カスタムポンプ、コンプレッサ・タービン、クライオポンプ・エキスパンダ

・石油価格の変動により、急激な需要変動が発生

・脱炭素社会への移行により、客先の需要動向が変化

・景気後退時に受注量や販売価格が下落し、生産能力の余剰が発生する等、損益を圧迫する一方、景気好転時にはサプライチェーン起因を含む生産能力不足等が生じ、シェアを低下させるリスク

・輸出規制及び制裁への対応を含めたコンプライアンスリスク

・水素等、次世代エネルギー関連事業の促進

・需要の変化に対し、先行指標の確認等による、高い予測精度での投資計画の策定・実施とリソース管理

・需要の変化に対し、リードタイム短縮や設計・製造の自動化等、効率化による損益分岐点の低下

・需要の変化に対し、S&S事業比率の上昇による安定収益の確保

・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施

インフラ

水インフラ
 

 

カスタムポンプ(農業用ポンプ、排水ポンプ、上下水道ポンプ)、トンネル用送風機

・海外市場での規制強化と価格競争激化

公共事業特有のコンプライアンスリスク

・製品開発による差別化、S&S事業への注力や業務効率化による競争優位性の確保

・グローバル市場へのリソースのシフト

・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施

環境

固形廃棄物処理

都市ごみ焼却プラント、産業廃棄物焼却プラント

・人口減少と循環経済への移行による焼却処理する廃棄物の減少

・労働市場の縮小による、施設オペレーションの人材不足の懸念

公共事業特有のコンプライアンスリスク

・リチウムイオン電池の発火等が原因の施設火災

・新技術やライフサイクルアセスメント(LCA)などによる差別化、業務効率化による競争優位性の確保

・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施

・火災の予防および早期検知と拡大防止をソフトとハードの両面で強化

精密・電子

半導体製造

 

真空ポンプ、CMP装置、めっき装置、排ガス処理装置

 

 

・半導体需要の変動に伴う、客先の投資・稼働の変化や需給不均衡による収益・シェアへの影響リスク

・輸出規制への対応を含めたコンプライアンスリスク

半導体業界の人財獲得競争による人材不足リスク

・先行指標の確認等による、高い予測精度での投資計画の策定・実施とリソース管理

・リードタイム短縮や設計・製造の自動化等、効率化推進による損益分岐点の低下

S&S事業の拡充による安定収益の確保

・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施

・人材戦略の再構築及びエンゲージメント向上施策の推進

 

 

(4)顕在化したリスクへの対応状況

経営に重要な影響を及ぼす恐れのある、全社的に対応が必要な事態が発生した場合には、リスク対応体制として代表執行役社長を本部長とする対策本部を立ち上げ、全社で迅速に報告・連絡・判断ができるようにしています。161期に顕在化したリスク及びその対応としては以下のとおりです。

 

① 法令遵守等のコンプライアンスリスクへの対応

当社は2025年2月20日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)に基づく勧告を受けました。下請法やその他関連する法令遵守に向けた再発防止とサプライヤとのより健全な関係構築に向けて「全社公正調達推進プログラム」に注力しました。具体的には、型管理の適正化、取引の適正化(支払遅延、代金減額、買いたたき、受領拒否、割引困難な手形の交付・受取拒否、協議に応じない一方的な代金決定等の防止)、価格転嫁への適正な対応、関連する業務プロセスや社内規程・制度の見直しや整備を実施しています。また、施策の履行状況については、RMPに対し定期的に報告を行い、実効性のあるモニタリング体制を維持しています。

下請法(2026年1月より製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)に関連する法令のみならず、当社グループが遵守すべき最新の法令を把握し、コンプライアンス経営を一層深化させるために、「法令改定対応委員会」を新設しました。法改正情報の早期捕捉および影響分析に基づき、必要に応じてタスクフォースを組織することで、適時適切な法令改正への対策を講じる体制としています。さらに、CRO(Chief Risk Officer)の主導により改正法の法令遵守方針を定め、各事業責任者およびグループ会社への周知徹底と、モニタリングに努めております。

 

② 地政学上のリスクへの対応

2025年4月から米中経済対立、米国関税政策、その他地政学上の懸念事項に対する、定期的な執行役等による情報共有および対策協議を実施しています。2025年6月のイスラエル・イランの両国間の緊張激化に際しては、駐在員及びその家族の退避方針を検討しました。国際情勢が大きな転換期を迎えるなか、貿易管理部門の機能を拡張し、経済安全保障施策の推進と経済制裁に対するコンプライアンス体制を整備しました。今後はリスクシナリオの策定やサプライチェーンへの影響分析などを通じ、当社グループの事業の戦略的不可欠性・自律性の実現を図っていきます。

 

③ 環境及び労働安全における課題への対応

2025年に当社事業所内で発生した事故の中には、重大な事態につながりかねない事案も見られました。これを受け、部門横断的な調査および検証を実施した結果、工程の進捗を優先するあまり工事審査の通過自体が目的化し、施工の計画・実施段階における安全意識が希薄化していることが判明しました。安全性の向上に向けた抜本的な改革を実施するため、2026年にEHS(Environment, Health & Safety:環境・衛生・安全)を統合的に推進する部署を設置しました。今後は、グループ全体で一貫した施策を展開し、安全を優先する組織文化の醸成を図ります。

 

④ 国内における巨大地震への対応

2025年12月9日に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されたことを受け、対象となる地域(1道6県)の勤務者に対し、地震への備えの再確認や迅速な避難態勢の準備を指示しました。特に津波避難対策特別強化地域の拠点では在宅勤務を原則とし、本社と防災担当者との常時連絡体制を整えました。特別な注意の呼び掛け期間の終了に伴い、業務遂行上の支障がないことを確認した上で、同月16日より通常体制へ移行しました。なお2025年8月に改訂された「南海トラフ地震臨時情報 防災対応ガイドライン(内閣府)」を参考に、2つの地震情報で齟齬が生じないよう、社内ガイドラインを作成しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営成績

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率 (%)

受注高

860,579

949,683

89,103

10.4

売上収益

866,668

958,285

91,617

10.6

営業利益

97,953

113,802

15,848

16.2

売上収益営業利益率 (%)

11.3

11.9

親会社の所有者に帰属する

当期利益

71,401

76,633

5,232

7.3

基本的1株当たり当期利益 (円)

154.62

166.31

11.69

7.6

 

 

当連結会計年度における我が国経済は、個人消費や企業の設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向が継続しました。世界経済は、中国経済の停滞による下振れリスクはあるものの、持ち直しの動きがみられました。一方で、米国の政策動向、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクには注視が必要な状況です。

このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とした3か年の中期経営計画「E-Plan2025」において、「顧客起点での価値創造」をテーマに対面市場別組織へ移行し競争力の強化を図り、経営指標の達成に向けた各種施策への取り組みを進めてきました。

当連結会計年度の受注高は、「エネルギー」においては、大型案件のあった前期を下回りました。一方で、「環境」においては、大型案件の受注があり前期を上回りました。「精密・電子」においては、生成AI向け等、半導体需要の回復により、一部顧客の工場稼働率の上昇や増産投資の再開を受けて前期を上回りました。この結果、全社の受注高は前期比で増加となりました。売上収益は全セグメントで増収となり、営業利益は「精密・電子」「環境」「インフラ」が寄与したことに加え、前期に「建築・産業」で計上したのれんの減損損失が生じなかったため増益となりました。

これらの結果、当連結会計年度における受注高は9,496億83百万円前期比10.4%増)、売上収益は9,582億85百万円前期比10.6%増)、営業利益は1,138億2百万円前期比16.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は766億33百万円前期比7.3%増)となり、いずれの項目においても過去最高額を更新しました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメント

受注高

売上収益

セグメント損益

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

(%)

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

(%)

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

(%)

建築・産業

244,401

249,285

2.0

238,182

241,938

1.6

10,341

15,251

47.5

エネルギー

222,743

194,777

△12.6

210,434

217,845

3.5

28,008

25,943

△7.4

インフラ

60,559

62,973

4.0

51,118

57,143

11.8

3,697

4,680

26.6

環境

71,594

135,392

89.1

87,438

97,864

11.9

8,445

13,003

54.0

精密・電子

260,059

303,447

16.7

278,378

342,267

23.0

50,133

57,773

15.2

報告セグメント計

859,359

945,875

10.1

865,552

957,059

10.6

100,625

116,652

15.9

その他

1,220

3,808

212.2

1,115

1,225

9.9

△2,826

△2,294

調整額

153

△556

合計

860,579

949,683

10.4

866,668

958,285

10.6

97,953

113,802

16.2

 

 

<建築・産業>

建築設備市場は、日本、中東、欧州は回復傾向にあるものの、その他の地域は弱含んでいます。受注高は、国内ではサービス&サポート需要の取り込みが寄与し、海外では中国は低迷したものの北米のデータセンター向けが堅調だったことにより、前年度を上回りました。売上収益は、国内ではサービス&サポートが好調で、海外では中国は低迷したものの北米、中東、欧州が堅調だったことにより増収となりました。セグメント利益は、増収効果に加え、トルコの子会社Vansan社に係るのれんの減損損失の計上がなくなったことにより、増益となりました。

これらの結果、受注高は前期から48億83百万円増2,492億85百万円、売上収益は37億56百万円増2,419億38百万円、営業利益は49億9百万円増152億51百万円となりました。

 

<エネルギー>

石油化学市場は全体的に落ち着いて推移した一方、LNG市場は北米において顧客の投資マインドが回復傾向にあります。受注高は、製品については、石油化学案件の減少により前年度を下回ったものの、中国の電力向けは堅調に推移しました。サービス&サポートについては、フィールドサービスやパーツの減少により前年度を下回りました。売上収益は、製品については前年度を下回ったものの、サービス&サポートは中東、アジアで堅調に推移したことにより、増収となりました。セグメント利益は、主に固定費の増加により減益となりました。

これらの結果、受注高は前期から279億66百万円減1,947億77百万円、売上収益は74億11百万円増2,178億45百万円、営業利益は20億64百万円減259億43百万円となりました。

 

<インフラ>

受注高は、国内の公共ポンプ市場の更新・補修に対する需要が堅調に推移したことに加え、海外では南米や北米の大型案件を受注したことにより、前年度を上回りました。売上収益は、国内公共向け、海外ともに受注残を順調に消化し増収となりました。セグメント利益は増収効果により増益となりました。

これらの結果、受注高は前期から24億13百万円増629億73百万円、売上収益は60億24百万円増571億43百万円、営業利益は9億83百万円増46億80百万円となりました。

 

<環境>

受注高は、ごみ処理施設の延命化や改修の大型案件4件を受注し、前年度を上回りました。売上収益は、O&M(Operation & Maintenance プラントの運転管理・メンテナンス)の増加により増収となり、セグメント利益も増収効果と収益性改善により増益となりました。

これらの結果、受注高は前期から637億97百万円増1,353億92百万円、売上収益は104億25百万円増978億64百万円、営業利益は45億57百万円増130億3百万円となりました。

 

<精密・電子>

半導体市場は、顧客の工場稼働率は生成AI向け需要を中心に引き続き回復傾向であるものの、増産投資の本格的な再開は当初の想定より遅れています。また、中国の半導体市場は従来の勢いが落ち着いたものの一定の規模を維持しました。受注高及び売上収益は、CMP、コンポーネントの需要回復により、製品、サービス&サポートともに前年度を上回りました。セグメント利益は、増収効果により、増益となりました。

これらの結果、受注高は前期から433億87百万円増3,034億47百万円、売上収益は638億88百万円増3,422億67百万円、営業利益は76億40百万円増577億73百万円となりました。

 

 

<セグメント別の事業環境と事業概況>

セグメント

2025年12月期の事業環境

2025年12月期の事業概況と

受注高の増減率 (注)1

建築・産業

 

<海外>

・北米は建設コストの高騰、労働力不足が引き続き重荷となり、市場の停滞が続いている。

・欧州はエネルギー供給の不安定さや地政学リスクが投資意欲を抑制し、建築設備市場は低迷が続いている。

・中国は不動産市場の調整が継続し住宅・商業分野の民間投資は抑制され、建築設備市場は減退している。

 

<国内>

・建築設備市場は、建設コスト上昇の影響により建築着工棟数は減少傾向にあるが、サービス市場での需要は引き続き増加傾向である。

・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。一方で、国内外の製造業・建設業の不振により鉄鋼需要が減退し、さらに輸入材の増加によって国内鉄鋼業界が低迷して、設備投資が停滞している。

<海外>

・欧米及びアジア地域では受注が堅調に推移しているが、中国の景気減退により、受注高は前期を下回る。

 

<国内>

・サービス&サポートの受注が堅調に推移しており、受注高は前期を上回る。

 


エネルギー

 

・製品分野は、オイル&ガス市場は中東地域の需要が増加傾向にある一方、石油化学市場は全体的に落ち着きがみられる。LNG市場では北米において顧客の投資マインドが回復傾向にあり、中国の電力市場も引き続き活発に推移している。

・サービス分野は、メンテナンスの需要が一巡し通常レベルに戻る兆しがみられるが、足元では堅調に推移している。

 

・製品の受注高は、前期を下回る。

・サービス分野の受注高は、前期を下回る。

 


インフラ

<海外>

・水インフラ市場は、東南アジアは経済成長によるポンプ需要が牽引し、北米においては施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。中国は、政府の財政出動による公共投資において減速傾向もみられるが、一定の需要は継続している。

 

<国内>

・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。

・公共向け建設市場は、例年どおりに推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。

<海外>

・水インフラの受注高は前期並み。

 

<国内>

・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取り組みにより堅調に推移しており、前期を上回る。

 


環境

(注)2

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年どおりに推移している。

・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。

・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。

・大型案件の受注により、EPCは横ばいながらO&Mが大きく伸び、前期を大きく上回る。

[大型案件の受注状況]

・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事(2件)

・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事及び長期包括運営契約(2件)

 


精密・電子

 

・顧客の工場稼働率は、生成AI向け需要を中心に引き続き回復傾向であるものの、増産投資の本格的な再開は当初の想定より遅れている。

 

 

・製品受注は、ロジック/ファウンドリ向けが好調に推移、メモリ向けは前期を上回ったものの顧客の本格的な投資再開は2026年以降を見込む。また、顧客の工場稼働率の回復に伴い、サービス&サポート受注も前期を上回る。

 

 


 

(注)

1.

矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。

 

 

 

+5%以上の場合は


、△5%以下の場合は


、±5%の範囲内の場合は


で表しています。

 

 

2.

EPC(Engineering, Procurement, Construction)

………プラントの設計・調達・建設

 

 

O&M(Operation & Maintenance)

………プラントの運転管理・メンテナンス

 

 

生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

報告セグメント

 

 

 建築・産業

235,367

3.1

 エネルギー

205,926

0.9

 インフラ

52,728

7.7

 環境

23,376

2.2

 精密・電子

248,503

15.5

  報告セグメント計

765,902

6.5

 その他

218

△8.8

合計

766,120

6.4

 

 

② 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

報告セグメント

 

 

 

 

 建築・産業

249,285

2.0

75,789

10.3

 エネルギー

194,777

△12.6

213,790

△10.6

 インフラ

62,973

4.0

83,453

8.5

 環境

135,392

89.1

384,675

11.7

 精密・電子

303,447

16.7

151,591

△19.3

  報告セグメント計

945,875

10.1

909,300

△0.8

 その他

3,808

212.2

2,719

1,882.1

合計

949,683

10.4

912,020

△0.6

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

報告セグメント

 

 

 建築・産業

241,938

1.6

 エネルギー

217,845

3.5

 インフラ

57,143

11.8

 環境

97,864

11.9

 精密・電子

342,267

23.0

  報告セグメント計

957,059

10.6

 その他

1,225

9.9

合計

958,285

10.6

 

(注)

上記①から③の金額は、いずれも販売価格によっており、セグメント間取引消去後の金額です。

 

 

 

 

(2)財政状態

① 資産

当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて現金及び現金同等物が275億46百万円、棚卸資産が82億65百万円減少した一方、有形固定資産が560億40百万円、営業債権及びその他の債権が388億97百万円、のれん及び無形資産が76億76百万円、その他の流動資産が75億65百万円増加したことなどにより、771億15百万円増加し、1兆822億1百万円となりました。

 

② 負債

当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて契約負債が262億80百万円、営業債務及びその他の債務が192億76百万円減少した一方、社債、借入金及びリース負債が743億3百万円、その他の流動負債が86億44百万円、引当金が32億円増加したことなどにより、407億85百万円増加し、5,605億34百万円となりました。

 

③ 資本

当連結会計年度末における資本は、配当金を277億18百万円支払い、自己株式を200億77百万円取得した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益766億33百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が75億円増加したことなどにより、前年度末に比べて363億29百万円増加し、5,216億66百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は5,088億75百万円で、親会社所有者帰属持分比率は47.0%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益は前期比11.1%増の1,109億77百万円となったものの、営業債権及びその他の債権の増加、契約負債の減少、営業債務及びその他の債務の減少等により、407億55百万円の収入超過(前期比601億84百万円の収入減少)に留まる結果となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出922億14百万円などにより、912億32百万円の支出超過(前期比426億77百万円の支出増加)となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、504億76百万円の支出超過(前期比1,028億62百万円の収入減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で886億62百万円増加したこと、配当金の支払い277億18百万円、自己株式の取得による支出200億77百万円、社債の償還による支出150億円などにより、168億36百万円の収入超過(前期比487億52百万円の収入増加)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から275億46百万円減少し、1,434億85百万円となりました。

 

② 財務戦略の基本方針

当社グループは、E-Plan2028において中長期的な企業価値最大化に資する成長投資を優先的に実施し、残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保つことを財務戦略の基本方針とします。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット」(注)の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律として0.4~0.5倍を基準に負債の活用を図ります。株主還元について、配当は連結配当性向35%以上を維持しつつ、必要な投資を行い且つ財務規律の範囲内であることを前提に、ROE目標に沿った適正な自己資本水準への調整として自己株式の取得を継続的に実施していきます。これらをふまえ、3年間累計のフリーキャッシュフロー(資産売却・圧縮によるキャッシュインフローを除く)の100%以上となるよう株主還元(配当・自己株式取得)を実施します。

  (注)1.格付投資情報センター(R&I)による格付

 

 
③ 資金調達について

当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.4~0.5を基準に負債の活用を進めます。

また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の1.5~2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融リスク等不測の事態に対応するためのコミットメントライン契約や季節要因等の手元資金変動に対応するための当座貸越契約を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。

 

契約の種別並びに当連結会計年度末の借入未実行残高は次のとおりです。

 

種別

金額

当座貸越契約

550億円

コミットメントライン契約

1,000億円

借入実行高

700億円

借入未実行残高

850億円

 

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

 

5 【重要な契約等】

(1)技術導入契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(2)技術供与契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(3)業務提携契約

記載すべき重要な契約はありません。

 

(4)買収に関する契約

当社は、2025年11月11日開催の取締役会において、三菱電機株式会社(以下、三菱電機)及びその子会社の一部の事業を譲受けることを決議し、2025年11月12日付で両社と事業譲渡契約を締結しました。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 42.追加情報」に記載のとおりです。

 

(5)財務上の特約が付された金銭消費貸借契約

当連結会計年度末において、当社が締結している財務上の特約が付された金銭消費貸借契約は次のとおりです。また、金銭消費貸借契約は、同種の財務上の特約が付されたものについてはそれぞれ合算しております。

締結日

2019年9月~2025年9月

相手方の属性

都市銀行、地方銀行

債務の期末残高

61,000百万円

債務の弁済期限

2026年1月~2030年12月

当該債務に付された担保

無担保

財務上の特約の内容

各連結会計年度末日の連結財政状態計算書における資本合計の金額を、直前連結会計年度末日の連結財政状態計算書における資本合計の金額の70%以上に維持する

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、2020年に策定した“価値創造ストーリー”である「E-Vision2030」の実現に向け、重要課題とした「5つのマテリアリティ」を解決するプロセスを通じて持続的に社会に貢献するため、各事業部門の研究開発組織、及びコーポレートの研究開発組織で研究開発に取り組んでいます。

各事業部門、及び各グループ会社では、新技術の実用化・新製品応用のための研究開発、及び技術や製品の高付加価値化に向けた研究開発を、業務提携などの外部との協業も活用して効果的に進めました。

コーポレート研究組織では、事業部門と密接に連携を取りながら、事業を支える共通基盤と重要なコア技術の開発を進めています。今期は前期に進めたナノ領域の研究人材強化を更に推進するため、カンパニーの基礎技術開発人材をコーポレート研究組織に移すとともに連携強化のための会議体を充実させることで、研究成果を効率的に、かつ速やかに事業移管できる体制としました。さらに「研究開発戦略策定委員会」にて、2030年以降を見据えた中長期の技術開発戦略策定のためのテーマ選定活動を継続的に実施しました。この活動は長期のメガトレンドを起点にして社会課題解決に必要なテーマを見出し、概念検証などを繰り返しながら研究テーマ化することで、将来の社会課題解決および当社の成長に不可欠な研究テーマを創出するものです。また、新事業創出のための制度であるEIX(Ebara Innovation for X)制度を活用した仮想・拡張・複合現実(xR)技術の開発は、既に複数の事業部門で実用段階となり、製造現場のDX化に貢献しています。また社内の技術情報や知識を学習して社員の技術・研究開発活動を支援する当社独自の「自律分散型AIエージェント」の開発も、順調に進んでいます。

水素関連事業は、全社が有する技術やノウハウを活かし、「つくる」「はこぶ」「つかう」のすべての分野でクリーン水素関連技術の社会実装に向けて活動をさらに強化してきました。2030年に向けて世界で検討されている液体水素サプライチェーンの構築には液体水素遠心ポンプが必要不可欠です。当社は、世界に先駆けてこれを開発し、実証プロジェクトへ参画し、検証を始めました。また、水素ステーション用のプランジャポンプの実液試験、水素焚吸収式冷温水機の長期運転実証など、これまで取り組んできたソリューション開発が進み、受注を伴う事業フェーズに入ってきました。航空宇宙産業領域では、衛星用ロケットや水素航空機用の燃料供給ポンプの開発や実液試験などが計画通りに進み、顧客との共同開発を通じて市場へ投入する段階になりました。水素関連事業では、水素および航空宇宙といった新市場探索および新たな技術開発を強力に推進し、将来の成長に資する事業創出を加速させています。

天然ガスを使ったターコイズ水素製造では、NEDO委託事業のステージゲート審査を通過し、2026年3月までの継続が決定しました。本決定は、当社の独自触媒を用いたプロセスで、メタンの94%以上を分解し、高純度の水素を生成することに成功した技術が評価されたものです。

マリン関連では、静岡県内に陸上養殖の実証施設が稼働し、2025年より生産と出荷を開始しました。実証施設で得た課題を開発製品に反映し「水や食べるものに困らない世界」への貢献につなげます。

バイオ関連では、細胞を大量培養可能な還流培養装置を開発し、有用性を実証するため外部機関においても性能評価を実施しています。本評価結果を踏まえ、装置のさらなる改善を行い、2026年度中のテスト販売を目指しています。

製造技術関連では、袖ヶ浦事業所内に設けたグループ全体の製造技術をサポートする実証開発環境「EMTAC(Ebara Manufacturing Technology Advanced Center)」において、鋳造・溶接/接合・機械加工・プレス・表面改質・3D(造形/計測)・非破壊(CT)技術を対象に、開発試作のスピードアップを推進してきました。「開発試作品を3日でお手元に」の実現に向け、新たにインクリメンタルフォーミング技術、バイオプラスチック射出成型技術など新製造技術も取り入れ、更なるスピードアップおよび新たな製造技術開発を推進しています。また、AM(Additive manufacturing)技術に関する部門を製造技術関連部門に集約し開発及び試作・製作の事業展開を加速させています。

生産プロセス技術関連では、生産ラインシミュレーションによる工程の最適化およびAI映像解析による自動分析を導入し、生産体制の強化を図っています。

当連結会計年度の研究開発費は23,233百万円です。

セグメントごとの研究開発活動の状況は、以下のとおりです。

 

(建築・産業)

建築・産業分野では、標準ポンプ、送風機、冷熱機器の各製品とサービスの開発に加えて、これら製品の組合せによるソリューション技術を模索、提案することで、より複雑化した顧客の課題解決に取り組んでいます。

標準ポンプでは、インバータ内蔵PMモーター(IVM:Intelligent Variable-speed Motor)を搭載した高効率可変速ポンプシリーズのラインナップを拡充しました。高い省エネルギー性(平均35%の電力削減)と既設ポンプからの取替容易性といった特長を生かし幅広い顧客のエネルギーコストの削減及びカーボンニュートラルの実現に貢献します。また、グローバル市場向けに、異物が詰まりにくい構造と高効率運転を両立した「ノンクロッグ汚水水中ポンプDKE型」の販売を開始しました。本製品は2023年から米国向けに先行販売しており、欧州、中国、東南アジア、中東などへ販売地域を拡大しました。

冷熱機器では、環境に配慮したヒートポンプなどの廃熱利用製品や、地球温暖化係数の小さい冷媒を採用したターボ・スクリュー式冷凍機のラインナップ拡充、応用範囲拡大を継続しています。

産業チラーでは、安定稼働と省エネルギー効果を検証するため、市場での評価を継続しています。半導体業界における先端エッチング装置では、ウエハー上の回路加工精度やエッチング速度向上のため、製造プロセスの極低温化が進行中であり、これに対応する製品開発を進めています。また、低消費電力化および脱フロン化などの市場ニーズに対し、消費電力・冷却水使用量の低減を追求し、自然冷媒を用いた装置の開発を継続しています。

送風機では、省エネルギー化に向けて送風機効率をより高める開発や、送風機に使用する材料をレアメタル含有量の少ない材料に変更するなど、持続可能な社会に貢献する製品の開発を継続します。

遠隔監視ソリューションでは、建築設備、生産設備および熱源設備全体において、状態監視の無人化、点検の省力化、ライフサイクルコストの最適化などの価値提供を目指し、遠隔監視システムである荏原メンテナンスクラウドの市場実装に注力しました。

当連結会計年度の研究開発費は5,505百万円です。

 

(エネルギー)

エネルギー分野では、市場を取り巻く環境が大きな変革期を迎える中で、エネルギートランジションに対応した水素、アンモニア、CCUSなどの次世代エネルギー向けの製品開発と製品ラインナップの拡充に取り組んでいます。

コンプレッサでは、サステナビリティ領域向けに高効率・省スペースのCO₂、水素コンプレッサの開発が進行しており、市場投入に向けた準備を進めています。

タービンでは、省エネ・省資源に貢献する新型高効率タービンの開発を完了し、販売を推進しています。また、コンプレッサ、タービン、クライオポンプの性能改善と信頼性向上に向けた要素技術の開発に関しても継続して進めています。

カスタムポンプでは、昨年開発を完了したアンモニアキャンドモータポンプが国内を中心に多くの引合いをいただいており、受注も始まっております。

また、顧客の保全コストやCO₂の削減、プラントの長期安定稼働などの課題を解決し、プラントの収益の最大化を支援するために、顧客現場のデータと当社が保有する回転機械技術を用いた遠隔監視・予知診断の商用化に向けて国内外の顧客とPoC(概念実証)を進めています。

当連結会計年度の研究開発費は2,678百万円です。

 

(インフラ)

インフラ分野では、製品、システム技術および建設に関して国内外の各顧客の特徴に沿った最適化を実現するための開発を行っています。用途、使用環境による様々な要望に応える設備の実現のみならず、管理・運営技術の高度化、省エネ・省資源・環境負荷低減を目指した継続的な開発を行っています。

一方でカスタムポンプ製品の製造を担う富津工場では、インフラカンパニーのみならず、エネルギー、建築・産業分野における海外工場での開発支援および脱炭素のニーズに応える製品の供給に関しても継続して進めています。

当連結会計年度の研究開発費は752百万円です。

 

(環境)

環境分野では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)から施設運営・維持管理(O&M)までを一括して行うDBO事業、既存施設の延命化を提案する延命化事業、既存施設の長期にわたる運営委託を受ける長期包括事業に取り組んでいます。こうした中、施設更新に伴う機能強化、ライフサイクルコスト低減を可能とする新技術・新製品開発、保守運営技術の改良開発に加え、運転自動化の実現を視野に入れたAI/ICT技術の活用を推進しています。また、再生可能エネルギーの需要拡大を見込み、廃棄物処理施設やバイオマス発電施設における発電効率や運転の安定性を向上するための要素技術の開発に取り組んでいます。さらに、最近の世界的な動きとなっているカーボンニュートラルやプラスチックによる海洋汚染抑制に寄与すべく、廃プラスチックのケミカルリサイクルに適用する資源化技術の開発を行っています。

当連結会計年度の研究開発費は2,287百万円です。

 

(精密・電子)

精密・電子分野では、半導体デバイス製造プロセスにおいて、チップの微細化や3次元集積化そして重要度が増している新しいパッケージング技術など急成長する生成AIや自動運転などの高性能コンピューティング分野に関する技術要求にも対応するよう、装置の改良・改善及び新機種の開発に取り組んでいます。コンポーネント製品においては、更なる省エネ・省スペース化及び環境負荷低減に貢献できる総合排気機器メーカの強みを活かした製品の開発、さらには、DX技術やxR技術による生産性や品質の向上及び顧客の安定稼働を支える状態監視・予知診断の商用化にも取り組んでいます。

また、顧客との共同開発・コンソーシアムへの参画、さらには各大学との共同研究などを通して、次世代半導体プロセス技術の研究も継続しています。

当連結会計年度の研究開発費は12,009百万円です。