第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

① 当社グループが目指す姿 ~A One-of-a-Kind Global Technology Company~

当社グループは、新しい時代環境に適応し、事業環境の変化を捉えて成長することで社会に貢献していくことを目指して、2022年に当社グループの「Mission, Vision and Values(注1)」を制定いたしました。

当社グループは、この「Mission, Vision and Values(注1)」に則り、X線技術を中心とした最先端の分析ソリューションを顧客や社会に提供し、様々な活動分野で生まれる技術イノベーションを支援していくことを通して、「視るチカラで、世界を変える」を実践し、企業理念である「科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献する」を追求しております。

また、当社グループは、かかる経営の基本方針に則り、持続可能な社会の実現に貢献し、それによる企業グループとしての持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、強みとする技術資産、人材資産及び顧客資産を最大活用します。

さらに、そうした社会への貢献とあわせて、世界各地の拠点が有する多様性を武器に「グローバル・ワン・リガク(注2)」の総合力を結集し、それらを最大活用することで、優れた技術力をベースとしたリガクらしいユニークな成長モデルを創造する「A One-of-a-Kind Global Technology Company」を目指しております。

 

A One-of-a-Kind Global Technology Company


(注) 1.「Mission, Vision and Values」の詳細は、ウェブサイトをご参照ください

https://rigaku-holdings.com/group/

2.リガクで働く全世界の多様性を持つ仲間がグローバル企業としての全体最適を共有・尊重し、役割に応じてそれぞれが持つ能力を結集した「One Team」で、その統合された能力を最大発揮するリガクの企業スピリット。

 

② 事業ポートフォリオ戦略の基本方針

当社グループは、理科学機器の専門メーカー(注3)として、事業ポートフォリオに「多目的分析機器」、「半導体プロセス・コントロール機器」、「部品・サービス」の3つの製品カテゴリーを持ち、当社グループの経営資源は、これらに集中配分しております。

当社グループは、この事業ポートフォリオ戦略の基本方針に基づいてさらなる選択と集中の推進を図り、X線技術を利用したソリューション力をより一層強化するための外部とのパートナーシップの確立やM&A投資、さらにX線を補完する他の分析技術分野への参入・事業拡大等の機会に対しても、これらを排除することなく、選別的に取り上げていきます。

(注) 3.リガクの開示上の事業セグメントは「理科学機器の製造・販売」の単一セグメント。

 

(2) 経営環境

① 当社グループが事業を行う市場の動向とそれぞれの市場における地位

当社グループの事業において主要な市場となるX線回折機器(XRD)、蛍光X線分析機器(XRF)及び半導体X線計測機器の市場の動向とそれぞれの市場における地位につきまして、以下に説明いたします。

X線回折機器(XRD)のグローバル市場の規模は、2024年の965百万米ドルから2027年には1,086百万米ドルに成長すると予想されており、これらから同期間における年間平均成長率は4.0%と算定されております(注1)。また、蛍光X線分析機器(XRF)のグローバル市場の規模は、2024年の1,364百万米ドルから2027年には1,579百万米ドルに成長すると予想されており、これらから同期間における年間平均成長率は5.0%と算定されております(注1)。これらのX線回折機器(XRD)と蛍光X線分析機器(XRF)のグローバル市場の規模からそれらの合計値をベースに算定される2024年から2027年までの年間平均成長率は4.6%であり、堅調な成長が予想されております(注1)。当社グループは、その主力製品であるX線回折機器(XRD)において、国内では2024年に76%と第1位の市場シェア(注2)を、またグローバルでは2024年に26%と第2位の市場シェア(注3)を、それぞれ獲得しております。

さらに、半導体X線計測機器の需要につきましては、2024年に約498百万米ドルとされているグローバル市場の規模が2027年には643百万米ドルに拡大すると予想されており(注4)、これらから同期間における年間平均成長率を8.9%と算出することができます(注5)。当社グループは、半導体X線計測機器のグローバル市場において2024年に38%の市場シェアを有するマーケット・リーダーとなっております(注6)。

(注) 1.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2025」に基づく機器販売額とサービス等の関連売上高を含むグローバル市場規模及びその年間平均成長率。

2.株式会社アールアンドディ「科学機器年鑑 2025年版」に基づく機器販売額による2024年国内市場シェア。

3.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2025」に基づく機器販売額とサービス等の関連売上高を含む2024年グローバル市場シェア。

4.Yole Group「Wafer Fab Equipment Market Monitor - Q4 2025」におけるX-Ray Metrology(総売上高(USDMM)、暦年)の市場規模を参照。

5.Yole Group「Wafer Fab Equipment Market Monitor - Q4 2025」におけるX-Ray Metrology(総売上高(USDMM)、暦年)の市場規模を参照して算出。

6.Yole Group「Wafer Fab Equipment Market Monitor - Q4 2025」におけるX-Ray Metrology(総売上高(USDMM)、暦年、販売企業毎)の販売企業毎の売上高を参照して算出。

 

② 市場ニーズの変化に伴う技術イノベーションの進展

X線技術を利用した分析・計測機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、半導体製造のためのプロセス・コントロール、ライフサイエンスの発展に寄与する医薬品の研究開発等、アカデミア、産業分野を問わず、幅広く利用され、科学技術の発展に伴うX線分析ソリューションへの需要の高まりにより、その市場が拡大しております。

さらに、人類社会の豊かで便利な暮らしへの欲求、また健康や環境保全の追求は、それらの新しいニーズに応えるための技術イノベーションを様々な活動分野で促進しております。こうした市場ニーズの変化に伴う技術イノベーションの進展は、X線技術の新たなアプリケーションの開発を通じて当社グループがさらに成長と発展を続けていくための好機となっております。

当社グループの提供ソリューションが貢献できる、先端的な技術イノベーションへのニーズが高い分野として、次の例を挙げることができます。

先端的な技術イノベーションへのニーズが高い分野


 

X線技術を中心とした当社グループの既存の技術の深掘りとその周辺領域にある新しい技術の獲得、市場需要の成長性に加えてプレゼンスの浸透による販売シェアの拡大余地が大きい海外市場におけるさらなる成長の加速、足下で引き合いが増している上記のような先端的な技術イノベーションへのニーズが高い分野における新しいソリューションの提供機会の取り込み等により、将来に向けた事業拡大の機会と潜在性は豊富にあるものと考えております。

 

(3) 当社グループの強み

① 差別化された高度なX線要素技術力

当社グループは、X線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、X線分析・計測機器の能力を左右する要素技術の研究開発に重点的に投資し、そうした要素技術をパーツ製品化した要素部品を自社で生産することにより、製品の高性能化、開発サイクルの短縮化、量産効果等を実現するアドバンテージを有しております。

当社グループの研究開発は、PhD学位保持者をはじめ、高度な専門性を有する約300名のX線技術者をグループ内に擁し、加えて世界各国の著名な研究機関とも緊密なパートナーシップを構築しております。こうして生まれる他社とは差別化された高度なX線要素技術力は、それらの要素部品を搭載する製品の技術優位性と市場競争力の源泉となっております。

さらに、当社グループの要素部品は、自社の製品に搭載するほか、その高度なX線要素技術力を評価する他社の技術ニーズにも応えて、一部を外販しております。例えば、当社グループの先端多層膜ミラーは、半導体製造のためのEUVマスク検査機器に不可欠な技術パーツとして半導体製造機器メーカーに供給されております。

また、自動化/ロボティクス、AI(人工知能)/マシンラーニング等の新たな能力についても、外部とのパートナーシップの確立等を通じてその獲得を図り、X線要素技術力とともに、当社グループの成長を加速する原動力としていきます。

当社グループは、その製品の技術優位性と市場競争力をさらに強固なものとするため、「グローバル・ワン・リガク」の技術開発力を結集し、それらを最大活用する一方、外部研究機関との協働を積極的に推し進めて、当社グループの強みの源泉であるX線要素技術への重点的な研究開発投資を継続していきます

 

リガクのX線要素技術


 

 

② 強固な顧客基盤

X線回折機器(XRD)、蛍光X線分析機器(XRF)、X線イメージング機器(X線CT)を製品ラインアップに持つ多目的分析機器は、当社グループの歴史的な事業ドメインであり、大学・研究機関等のアカデミア/ガバメントや産業分野の幅広いエンドマーケットの多様な研究開発ニーズに応えることで、国内外に1万超の製品ユーザーを数える強固な顧客基盤を構築し、なかでも主力製品であるX線回折機器(XRD)では、国内市場においては圧倒的No.1シェアを、グローバル市場においてもNo.1に迫る高いシェアを、それぞれ獲得しております。

 

多目的分析機器エンドマーケット別

売上収益構成(2025/12期)

X線回折機器(XRD)市場シェア(2024)

国内(注1)

グローバル(注2




 

(注) 1.株式会社アールアンドディ「科学機器年鑑 2025年版」

2.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2025」

 
(4) 会社の中長期的な経営戦略(成長戦略)

① Lab to Fab 戦略の推進

当社グループは、強みとする卓越したX線要素技術の開発力と内製力、強固な顧客基盤と各業界の技術動向に対する深い知見、さらに顧客とのパートナーシップに基づく共同開発とそれを通じて顧客の顕在・潜在ニーズを解決するソリューション提供力等を活かし、大学・研究機関や産業分野の研究開発部門(Lab)との協働から発展して、社会が必要とする新たな分析技術・手法を確立し、それらを産業分野の生産プロセス(Fab)における標準技術として導入し、幅広く展開していく「Lab to Fab 戦略」の推進により、事業領域を拡大しております。

この「Lab to Fab 戦略」は、当社グループが持つ固有の強みを活かして、3つのPillarから成る戦略をグローバル・スケールで展開することで当社グループの成長をドライブする中長期的な経営戦略の中心となっております。

 

リガクの成長戦略コンセプト(3本の矢)


 

A. Pillar 1「多目的分析機器」

~先端的なX線分析ソリューションの提供と海外市場における成長の加速~

当社グループは、その歴史的な事業ドメインである多目的分析機器について、大学・研究機関等のアカデミア/ガバメントや産業分野の幅広いエンドマーケットに構築する強固な顧客基盤と高い顧客ロイヤルティをレバレッジとして、卓越したX線要素技術力を武器に得意分野である新材料の発見・開発に貢献する先端的なX線分析ソリューションを提供し、高度化する顧客の研究開発ニーズに応えることで、市場のサイクルと米国政策の影響を受けて成長の踊り場となった2025年から、再びその売上収益と利益率を拡大基調に回帰させていくことを計画しております。

当社グループは、市場需要の成長性に加えてプレゼンスの浸透による販売シェアの拡大余地が大きい海外市場における成長をさらに加速するため、セールス、サービス、アプリケーション・サイエンティスト等の要員やラボ等、海外のコマーシャル・インフラへの積極的な投資と「グローバル・ワン・リガク」のチーム力の発揮により、グローバル市場での販売シェアをさらに伸ばし、多目的分析機器の分野でX線回折機器(XRD)市場と蛍光X線分析機器(XRF)市場の年平均成長率4.6%(2024年~2027年)(注1)を上回る平均年率約7%の売上収益成長を目指しております。

多目的分析機器の業績推移と

売上収益成長計画


 

(注) 1.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2025」

 

 

 

B. Pillar 2「半導体プロセス・コントロール事業」

~半導体の技術進化に貢献するX線技術の応用を通じた事業領域の拡大~

a. 半導体X線計測機器市場における高成長と分散ポートフォリオの構築

「Lab to Fab 戦略」の推進とその成果により、当社グループの製品は、半導体製造におけるプロセス・コントロールでその採用が拡がり、近年高成長を遂げております。当社グループは現在、半導体X線計測機器市場でグローバル・リーダーの地位を確立しております。

また、当社グループは、半導体設備投資額でグローバル上位10社(注2)のうち、全社との間で取引関係を有しているほか、メモリ、ロジック、パワーデバイス等、アプリケーションでもバランスのとれた売上収益構成を形成しており、そうした分散ポートフォリオの構築により、半導体業界のシリコンサイクルに対して強い耐性を持つ事業の安定性を有しております。

 

半導体X線計測機器

グローバル市場シェア(注3)(2024)

半導体プロセス・コントロール機器

アプリケーション別売上収益構成(2025/12期)



 

(注) 2.TechInsights, Inc.「Capital Expenditure Forecast June 2025」

3.Yole Group「Wafer Fab Equipment Market Monitor - Q4 2025」

 

 

b. 半導体の技術進化を捕捉する光学・CD計測機器市場への事業領域の拡大

半導体は、日進月歩の技術革新により微細化や積層化が進展し、内部構造がますます複雑化しております。こうした半導体の技術進化は、ナノスケールの微細構造を非破壊で解析できる強みを持つX線技術にとって、その応用領域を拡大する好機となっております。

当社グループは、高度なX線要素技術力を武器に半導体の技術イノベーションを支援する新しいX線計測機器を開発し、市場に供給することで、これまでのX線計測の市場から、光学計測やCD計測等、他の計測技術分野への事業領域の拡大を目指しております。さらに、この分野では、光学技術とX線技術が相互に補完し合うことで、より高度化・複雑化する半導体計測ニーズに対して優れたソリューション(Hybrid Metrology)を提供できることが期待されており、それを実現するための外部とのパートナーシップの模索についても積極的に取り組んでおります。

当社グループの半導体プロセス・コントロール機器事業は、半導体X線計測機器市場でのさらなる販売シェアの獲得に加えて、こうした半導体プロセス・コントロールの分野におけるX線技術の応用領域の拡大を通じた事業領域の拡大により、半導体X線計測機器市場の年平均成長率8.9%(2024年~2027年)(注4) を上回る平均年率約18%、あるいはそれをさらに超える売上収益成長を目指しております。

X線計測機器市場から光学・CD計測機器

 市場への事業領域の拡大余地(注4)(2024)


 

半導体プロセス・コントロール機器の

業績推移と売上収益成長計画


 

(注) 4.Yole Group「Wafer Fab Equipment Market Monitor - Q4 2025」

 

c. アドバンスト・パッケージング検査市場への参入

AI(人工知能)技術の普及や進化により、今後新しい技術イノベーションの進展が期待されている次世代AIチップの製品化のために不可欠な技術とされ、高い需要成長が予測されているアドバンスト・パッケージングの分野においても、新しい品質検査製品を開発・供給し、その市場に参入することを計画しております。AIチップの進化を実現するためには、さらに大型化・立体化が進む次世代パッケージにおいて、マイクロバンプやTSV等の複雑な構造の欠陥検査が課題となっております。当社グループは、これを解決する高度な測定技術とAI応用検査アルゴリズムの開発に取り組んでおり、近い将来の実用化に向けた製品化を進めております。

 

 

C. Pillar 3「多目的分析機器」

 ~X線技術の新たなアプリケーションの開発を通じた新市場の創出~

当社グループは、幅広いエンドマーケットに拡がる強固な顧客基盤を活かして、技術イノベーションが活発な半導体・電子部品、電池・電池材料、ライフサイエンス等、X線技術の新たなアプリケーションの開発を通じてその応用領域の拡大が期待される有望市場への重点的なマーケティング活動を展開しております。

当社グループは、各業界の技術動向に対する深い知見と顧客ニーズを解決するソリューション提供力を活かして、これらの業界で生まれる最先端の技術イノベーションを支援する新たな分析技術とアプリケーションの開発に精力的に取り組み、多目的分析機器の新市場を創出しております。

当社グループは、半導体プロセス・コントロール機器での成功に続いて、これらの技術イノベーションが活発な産業分野への「Lab to Fab 戦略」の拡大展開とそれを通じた多目的分析機器のFabへの浸透を強力に推進することで、新たな成長機会を開拓し、同事業の売上収益成長を加速していきます。

Pillar 3 製品の販売拡大による

多目的分析機器の売上収益成長への貢献


 

 

新市場を創出するリガクの最先端ソリューション製品


 

 

② 顧客セグメントに応じたサービス戦略

当社グループの成長戦略をその基盤として下支えするサービス事業では、アカデミア、一般産業、半導体産業等の顧客セグメントに応じて、それぞれの異なるニーズに適応した事業展開を行いその強化を図ることで、安定的なリカーリング収益を創出し、リガクの成長と発展に貢献しております。例えば、半導体産業向けサービスでは、24×7対応のハードウェア保証とパーツ保証にアプリケーション・サポートを加えてパッケージ化したCCS(注5)を提案し、製造ラインのダウンタイムの予防を求める顧客ニーズに応えております。

顧客セグメントに応じた注力サービス


 

 

サービス売上収益成長計画(注6)

部品・サービスの業績推移と売上収益成長計画



 

(注) 5.Comprehensive Customer Support

6.サービス売上収益は、部品・サービスに含まれるサービス売上収益のほか、多目的分析機器及び半導体プロセス・コントロール機器に含まれるサービス売上収益を含む。

 

③ コマーシャル・インフラや生産能力等への基盤増強投資

市場需要の成長性に加えてプレゼンスの浸透による販売シェアの拡大余地が大きい海外市場における成長をさらに加速するため、セールス、サービス、アプリケーション・サイエンティスト等の人材投資を増強し、各地域の顧客の声からグローバルな市場ニーズを捕捉してそれに応えるプロダクト開発体制を拡充することで、製品販売力の強化を目指します。

さらに、主要市場に営業拠点、ラボ、テクノロジーセンター等の新設投資を行い、これらのコマーシャル・インフラの有効活用を通じて製品販売の促進を支援します。

 

 

コマーシャル・インフラ投資の実績


 

また、当社グループは、国内に4拠点、海外5ヶ国に8拠点の生産拠点を有しており、要素部品生産の特定工場への集約や製品機種に応じた生産分業を通じて生産効率を高め、それに生産の一部を外部委託する協力会社を加えて、高品質の製品を安定的に供給できる体制を確立しております。

近年の売上収益成長に伴い、市場の旺盛な需要に適切な納期で応えるため、2024年~2025年の期間で、当社グループの主力工場である山梨工場の生産能力を大幅拡大する増強投資を実施し、2025年5月に製造棟を竣工いたしました。この山梨工場の増強投資は、それとともに実施する生産性向上のための各種施策とあわせて、市場の旺盛な需要に応えるための当社グループの生産能力を2022年比で倍増させることにより、その成長戦略を下支えする製品供給基盤となります。


 

 

(5) 中期計画目標

当社グループは、(3)に掲げる強みを武器に、(4)に掲げる成長戦略を推進することにより、以下に示す中期計画目標の達成を目指しております。


(注) 1.レンジ幅は売上収益の中期計画目標の5%の範囲内に設定(調整後EBITDA、調整後営業利益及び要員数のレンジ幅についてもそれぞれ同様)。売上収益の中期計画目標におけるYoY成長率は、2023年12月期を基準とする2027年12月期までの4ヶ年における売上収益の年間平均成長率で、2027年12月期の売上収益は想定為替レートを1米ドル145円、1ユーロ156円として算出。

2.調整後EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費+減損損失-受取利息及び配当金+支払利息+一時費用(IFRS導入費用、コンサルティング・フィー、中国免除申請関連費用、上場関連費用等)

  調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA/売上収益

3.調整後営業利益=営業利益+PPA償却費+減損損失+一時費用

  調整後営業利益率=調整後営業利益/売上収益

4.研究開発費比率=研究開発費/売上収益

5.CAPEX比率=CAPEX/売上収益    CAPEXは使用権資産を除いた設備投資の金額により算出。

6.2027年12月期のCAPEX比率目標は、その分子となるCAPEXに現在時点で計画されていない山梨工場に続く大型の工場改修・増強投資を含まない。

7.要員数は年度末の就業人数と年度平均の臨時雇用人数の合計により表示。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

 

① 外部とのパートナーシップの確立

当社グループは、その事業ポートフォリオ戦略の一環として、X線技術を利用したソリューション力をさらに強化するための外部とのパートナーシップの確立を推進しております。当社グループの高度なX線要素技術力について、外部パートナーが持つそのユニークな技術力と融合することで、さらなる差別化を図るとともに、新材料開発の分野で注目されているラボラトリー・オートメーションやマテリアル・インフォマティクスでの協業、高度化・複雑化する半導体計測の分野において革新的なソリューションを提供するためのHybrid Metrologyでの協業等に積極的に取り組んでおります。

 

② 生産キャパシティの増強

当社グループは、その製品に対する市場の旺盛な需要に適切な納期で応えるとともに、当社グループの成長戦略を下支えする製品供給基盤を増強するため、生産体制の中核を担う山梨工場について、大阪工場や外部パートナーの生産スペースの拡張、その他生産性向上のための各種施策の実施とあわせて、生産キャパシティを2022年比で倍増させる投資計画を実施いたしました。この投資計画は、2025年5月に山梨工場において新たな製造棟を竣工し、当事業年度の業績に大きく貢献しております。

当社グループの主力工場である山梨工場の増強により、東京工場と山梨工場に分散していたX線回折装置の製造・組立・出荷工程を広大な山梨工場に集約することが可能となり、業務効率の飛躍的な向上と高品質な製品の安定供給の実現に大きく寄与するものとなります。

 

③ 品質の改善

当社グループは、市場に供給する製品に対してお客さまにご満足を頂けるよう、品質の改善を最優先課題の一つと捉え、品質保証部と生産本部を中心にKPIを設定して様々な施策を実施しております。具体的には、お客さまのサイトで生じた不良(納入時の不良、1年間の保証期間内の不良)と自社内で生じた不良(生産工程での不良、外注先での不良)とに分けて不良の要因を分析し、改善に結び付けるための諸施策を実施しております。不良の発生、改善の進捗、KPIに対する実績等の状況を週次で品質保証部が経営層や関係者に報告しております。

 

④ 成長投資の拡大と一時的な市況変動リスクに備えた財務基盤の強化

当社グループは、今後とも継続的な成長のための投資を見込む一方、一時的な市況悪化リスクに備える必要からも、強固な財務基盤の整備が必要不可欠と考えております。具体的な取組みとして、製品利益率と資産効率の改善によりキャッシュ創出力を高めるとともに、規律ある資金残高管理と機動的なコーポレート・ファイナンスの実施により財務基盤の強化を図ってまいります。

 

⑤ 人材確保・育成

当社グループが各戦略を推進するにあたっては、国内外を問わず、優秀・多様な人材の確保とその育成が必要不可欠と考えております。そのために、将来を担う人材の確保を目的とした新卒採用、即戦力となる人材の確保を目的とした経験者採用、優秀な開発人材の確保、海外展開の強化を目的とした海外人材の採用等、様々な必要人材を確保するための採用活動を活発に展開する一方で、経営幹部候補の育成を目的とした研修制度の充実化、リスキリングや技能伝承等の人材開発にも注力してまいります。また、人材の定着や活性化に向けて、働き方改革の推進による生産性向上や業務効率化、さらに従業員満足度の向上に対する取組みについても積極的に推進いたします。これらの基礎となる当社グループの「Mission, Vision and Values」を会社の文化として定着させる施策を今後とも継続的に実施してまいります。

 

⑥ 経営基盤の強化

当社グループは、企業価値を高めるとともに、株主の皆さまをはじめ、様々なステークホルダーから信頼され、支持される企業となるために、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取組みが不可欠と考えております。そのために、内部統制システムの整備強化、人材の育成、損益管理を含む戦略達成状況の管理の徹底等、持続的な成長を支える経営基盤の強化に引き続き取り組んでまいります。

 

(7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業を継続的に発展させていくために、安定した財務基盤を維持しつつ売上収益を着実に増加させ、適正な利益の確保を図っていくことが必要と考えております。そのために、売上収益成長率(年間平均成長率(CAGR))、調整後営業利益率、調整後EBITDAマージン、研究開発費比率、CAPEX比率及びNet Debt/調整後EBITDAレシオを重要な経営指標として位置付け、その向上に努めてまいります。「調整後営業利益率」、「調整後EBITDAマージン」、「研究開発費比率」、「CAPEX比率」及び「Net Debt/調整後EBITDAレシオ」の算出方法につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般

1951年の設立以来、当社グループの使命は、科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献することにあります。顧客をはじめとした多様なステークホルダーと共存する上で、サステナビリティに関する取り組みは必要不可欠なものだと考えております。

当社グループは、「科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献する」という企業理念のもと、当社グループの有する技術を集約した製品を通じて、社会全体のサステナビリティ推進に貢献しております。

 

① ガバナンス

当社グループでは、その経営方針に沿ってサステナビリティ経営を実現することを目的として、サステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ分野の経営課題、リスク及び機会、実施方針、計画について審議し、進捗状況をモニタリングしております。同委員会は取締役会の諮問機関としての役割を担い、当社及び株式会社リガクの代表取締役社長を委員長とし、当社及び株式会社リガクの取締役、エグゼクティブオフィサー、その他当社グループ会社の役職員で構成されております。

また、同委員会の傘下には、サステナビリティに関する活動の会社横断的な定着を目的として、サステナビリティ推進連絡会を設置しております。


 

② 戦略

当社グループは、企業理念を「科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献する」とし、社是に「顧客を大切にする 人を大切にする 技術を大切にする」を掲げてきました。世界的な環境問題が私たちの日常生活や社会・経済の持続可能性に影響を与える中、当社グループは重要課題(マテリアリティ)の特定を以下のとおり行い、サステナビリティ推進委員会や経営会議等での議論を通じ、2023年7月取締役会にて承認されました。

 

持続可能な社会発展への貢献

・技術進歩への貢献

-    脱炭素社会への貢献

-    半導体・デジタル産業への貢献

-    健康・医療分野への貢献

企業の社会的責任

・人的資本への投資及び多様な人材の採用と定着

・製品の信頼性向上

・環境負荷の最小化

ガバナンス

・リーダーシップとコーポレートガバナンス

 

 

当社グループのマテリアリティの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

https://rigaku-holdings.com/sustainability/#materiality

 

③ リスク管理

当社グループの経営におけるサステナビリティに関するリスク及び機会については、取締役会の監督のもと、サステナビリティ推進委員会にて特定を行い、経営会議及びサステナビリティ推進委員会の連携をもって評価・管理する体制をとっております。サステナビリティ関連を含め、全社横断的に対応が必要となるリスクについては、取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会が特定・評価し、必要な措置を講じる体制となっております。当社グループにおけるリスク管理体制に関しては、後掲の「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」において、取締役会、監査役会、経営会議、指名評価報酬委員会、サステナビリティ推進委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会の構成と活動状況について詳述しております。

 

(2)気候変動

当社グループは、持続可能な未来に向けた取り組みに力を注ぎ、気候変動がビジネスにもたらすリスク及び機会の分析を行うとともに、気候変動に対応する自社の目標を定めております。また、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures; 気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、関連情報の開示に努めております。

 

① ガバナンス

当社グループは、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、中長期的な企業価値向上の両立を図ることの重要性を考慮し、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進するため「サステナビリティ推進委員会(委員長:代表取締役社長)」を設置しました。同委員会は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を踏まえ、サステナビリティの基本方針や戦略・計画の策定、目標とすべき指標の設定等について審議を行うとともに、取組状況のモニタリング等を実施しております。

 

② 戦略

当社グループは、2100年における世界の気温上昇が1.5℃上昇、4℃上昇の世界観を想定してシナリオ分析を実施し、様々な気候変動によるリスク及び機会の中から、当社に関連する項目の洗い出しを行いました。

リスクとしては、顧客要求や関連規制の厳格化に伴う開発・調達コスト等の増加、関連規制への対応の遅れによる当社製品の需要減等が特定されました。一方で、低炭素化のための新技術開発に貢献する製品需要の増加や、顧客との対話・他社との協業を通じた新市場の開拓等を機会と捉えており、低炭素排出に向かう社会環境変化に対応できる開発・販売体制の維持・強化や、顧客・サプライチェーンとのエンゲージメント強化に取り組んでまいります。

 

③ リスク管理

当社グループは、気候変動関連のリスク及び機会の識別、優先的に対応すべきリスク及び機会の絞り込みについて、主にサステナビリティ推進委員会で検討を行い、その対応状況をモニタリングして取締役会へ報告しております。また、気候変動関連の重要なリスクについてはリスク管理委員会へも報告を行い、全社リスクとの連携を図っております。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、2021年度のScope1、2を基準値として、2050年におけるカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、当社グループのScope1、2削減目標を設定しております。

「2030年度Scope1、2 50%削減(2021年度比)」

https://rigaku-holdings.com/sustainability/environment/sustainable-energy-initiatives/

 

(3)人的資本

① 戦略

1. 人財育成方針

当社グループは、従業員の主体的なキャリアデザインや能力・キャリア開発を支援しており、「リガク・コンピテンシー」の浸透と促進やジョブ型人事制度の導入を進めております。リガク・コンピテンシーでは、その求める人財について、セルフスタートで変革をリードできる人財、多様性に富んだチームで成果を出せる人財、市場の先を行き、イノベーションを生み出せる人財、継続的に学習し、自己変革を続けられる人財と定義しております。これらは、従業員一人ひとりの成長やキャリアを支える行動のヒントとなるとともに、グローバル市場での持続的成長と顧客への付加価値提供を実現するために不可欠な取り組みとなっております。また、ジョブ型人事制度については、グローバル共通の等級制度、役割定義、職務記述書を通じて、期待される役割を明確化するとともに、環境変化の中で主体的にキャリアをデザインするためのスキルの習得を期待しており、外部講師を招いたキャリア自律セミナーや研修によって理解・浸透を図っております。

 

2. 社内環境整備

多様性と公平性、健康管理に重点を置いた施策を展開しており、ワークライフバランス向上の支援やグローバルで実施する社員エンゲージメント調査、階層別研修や従業員の自律的なキャリア形成を促す社内公募制度等、全ての従業員がその能力を十分に発揮できる環境整備に努めております。

健康管理については、健康管理システムにより健康管理体制を推進し、社員が自身の健康状態を容易に把握できるようにすることで意識の醸成を図っております。

 

② 指標及び目標

人的資本におけるKPIとしては、従業員、管理職に占める女性割合の向上を図るとともに、定期的に行う社員エンゲージメント調査結果を通じて、重点課題の特定や全社施策、部門別施策の策定と実行、進捗確認を継続的に行っております。当社においては、人的資本に関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社でのデータ整備がまだ十分といえない状況です。このため、次の指標に関する実績及び目標値は、当社リガク・ホールディングス株式会社(RH)と主要な事業を営む連結子会社である株式会社リガク(RC)のものを記載しております。

 

項目

区分

2023年度実績

2024年度実績

2025年度実績

目標値

女性管理職比率

RH単体

13.33%

18.00%

23.64%

前年実績以上

RC単体

1.53%

2.32%

2.79%

前年実績以上

女性正社員比率

RH単体

40.16%

45.04%

46.55%

前年実績以上

RC単体

13.10%

14.55%

13.28%

前年実績以上

女性取締役比率

RH単体

20.00%

25.00%

28.57%

2027年迄に30%

RC単体

0.00%

0.00%

0.00%

前年実績以上

障がい者雇用率

RH単体

0.75%

2.26%

3.11%

前年実績以上

RC単体

1.38%

1.80%

2.19%

前年実績以上

離職率

RH単体

1.20%

0.00%

2.73%

前年実績より改善

RC単体

2.71%

1.37%

1.12%

前年実績より改善

 

 

(4)知的財産

① ガバナンス

中期経営計画に掲げる「Lab to Fab戦略」を中心とした全社戦略を支える知的財産戦略として、グローバルR&Dユニットリーダーを委員長とし、RC事業部門及び同X線研究所の代表が参加する知的財産委員会を設置しております。同委員会は知的財産の最高決定機関として、「Lab to Fab戦略」や「顧客課題」を踏まえた発明・創作の磨き上げ、戦略的な活用、並びに要素技術の社内展開について議論しております。各分野の専門知識を結集し、事業・研究・知的財産の三位一体による戦略的な知的財産活動を推進しております。

 

② 戦略

中期経営計画に掲げる3つのPillarから成る成長戦略のもと、知的財産戦略を立案し、実行しております。

リガクの成長戦略コンセプト(3本の矢)

 

中期経営計画に対応した知的財産戦略


 

1. Pillar 1 自社技術を多面的に保護することによる知的財産ポートフォリオ拡充

創出された発明等に関して、事業戦略との整合性を高めた知的財産の創出・選別を行うとともに、網羅的かつ確実な権利取得を推進する

・知的財産委員会を活用した知的財産戦略に関する議論の高度化

・報奨制度及び社内表彰制度を通じた知的財産創出文化の醸成

2. Pillar 2 半導体でのLab to Fab戦略の推進

・半導体分野への新規事業領域拡大(シェア拡大、新規領域への参入)に備えた特許網構築による競争優位性の確立及び知的財産情報を用いた新規事業領域の探索

・競争が激しい半導体メーカーを顧客とする事業では、知的財産リスクが高いため、知的財産面での営業支援や契約対応を通じて、事業・知的財産リスクの最小化を図る

3. Pillar 3 Lab to Fab戦略の拡大展開を通じた新たな価値創出及びイノベーションの推進

・知的財産インテリジェンス活動による事業戦略立案支援

・Fabにつながる新規ビジネス創出活動の支援

 

報奨制度及び社内表彰制度による知的財産創出文化の醸成

高度な知的財産マインドを持つ人材を継続的に育成・輩出するため、報奨制度や発明表彰制度を定めております。

当社は、2023年に両制度を全面的に改定し、以降、特許出願件数は2023年から連続して増加しております。この取組みの一環として、2025年には、当社入社後に初めて特許出願を行った発明者を対象とする初出願賞を新設しました。初出願賞をはじめ、多数出願賞、新たな機能・製品・事業に貢献する特許網構築の基礎となる重要特許への表彰となる発明特別賞の受賞者は合計32名となりました。

 

知的財産の確保

当社は、グローバル・スケールでビジネスを拡大しており、グローバル市場における特許網による参入障壁の構築を進めております。近年における当社の日本特許出願に対する外国特許出願率は9割を超えており、製品を販売する主要国を中心に、19カ国・地域に784件の特許権、15カ国・地域に347件の商標権を保有しております(2025年12月末日時点)。

さらに、当社で開発、製造、販売するX線測定装置に関する発明を権利化するだけではなく、顧客において用いられる解析技術に関する発明も権利化することで、幅広いソリューションの提案が可能となります。

 

知的財産インテリジェンス活動による事業戦略立案支援

当社では、社内外の知的財産情報を分析することで、新規ビジネス領域を特定し、既存事業領域における新用途開拓の支援等の知的財産インテリジェンス活動を行っております。

2025年には先端材料に関する分析や、新技術を搭載した装置が適用可能な開発領域の探索を実施しました。

 

これらの取り組みを知的財産戦略として全社一体で推し進めていること、特許・商標・意匠・営業秘密等の複数の知的財産を戦略的に組み合わせる知財ミックスによるブランド強化を図っていること等が評価され、2025年4月に当社グループの株式会社リガクが令和7年度「知財功労賞 経済産業大臣表彰 知財活用企業(特許)」を受賞しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

当社グループにおけるリスク管理体制に関し、後掲の「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」において、取締役会、監査役会、経営会議、指名評価報酬委員会、サステナビリティ推進委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会の構成と活動状況について詳述しております。

 

<業界・市場に関するリスク>

1.国内外の市場の動向に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループが販売するX線分析機器は、国内外の半導体・電子部品、ライフサイエンス、化学等の幅広い産業分野や大学・研究機関で使用されており、当社グループの製品やサービスの需要はこれらの各産業等の市場動向や対象となる国・地域の経済情勢の影響を受けます。とりわけ、その需要は、研究開発予算及び設備投資計画の内容や、その資金源となる企業の業績、資金調達の状況や各国政府の予算編成、補助金政策等に影響されます。特に米国においては、近時、学術・研究用途に使用される研究機器に対する学術資金の投資が削減され、当社グループの顧客である大学・公的研究機関等による製品購入が減少しております。これらの動向によっては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

品質検査用の装置の需要は、一般に設備投資額の増減の影響を受けます。当社グループが販売している品質検査用の装置は、一度導入されると工場の稼働率の影響は受けにくいため、変動リスクは限定的であり、過去の傾向を踏まえても設備投資額の増減による業績への影響は大きくないと判断しておりますが、設備投資額の水準が著しく悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、当社グループの主力事業として近年成長している半導体プロセス・コントロール機器の需要は、半導体業界の動向の影響を受けます。半導体デバイスは、急速かつ複雑な技術革新と製品の陳腐化の影響を受け、その需要は、主にマクロ経済と業界動向に基づく需要の変化に大きく影響されます。そのため、当社グループの事業は、半導体メモリ分野に代表される大幅な景気変動の影響を受ける可能性があります。当社グループが販売する半導体プロセス・コントロール機器はメモリ等の特定のアプリケーション向けに集中しないようバランスを考慮しており、また、半導体製造に関する研究開発投資は全体として今後も堅調に推移すると考えておりますが、半導体を利用した最終製品の需要が著しく減少した場合、又は想定どおりに成長しなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、日本や米国等による半導体製造に対する補助金支給等の政策は、製造設備開発の促進を通じて、当社の半導体プロセス・コントロール機器に対する需要の増加をもたらしてきました。しかしながら、このような政府の政策が縮小又は終了した場合、製造設備開発が減少し、その結果、当社の半導体プロセス・コントロール機器への需要が減少する可能性があります。

 

 

2.競合(価格/非価格競争)の激化に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループが販売している科学分析機器は顧客が求める性能や利便性を備えていることが購買条件です。個別商談においては競合により販売価格を下げるケースもありますが、販売価格を下げたことをもって売上が大きく伸びる製品ではないため、基本的には赤字販売は行わない方針としております。また、当社グループは、常に先端技術を開発し、かつ顧客の利便性に配慮した製品を提供することで、競合他社、新興企業や新興国との競争に対応する方針としております。しかしながら、価格や技術の競争が激化し、当社グループが顧客の要求や業界・市場動向の変化にうまく対応できず競合他社に遅れを取った場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、昨今の物価上昇を受け、販売価格の引き上げによる採算の確保・向上を図っております。しかしながら、コストの上昇を転嫁するに足りる販売価格の引き上げが実行できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

加えて、X線分析機器の業界では、ある業者の機器が顧客の製品ラインに選定された場合、その保守やアップグレード等の継続的な取引関係が構築される傾向がありますが、その場合、当該顧客が他の業者との取引を切り替えることは費用の観点を含めて困難な場合があります。このような構造から、当社グループが、競合他社の機器を使用している先を潜在顧客として市場シェアを拡大することが困難なおそれがあります。

 

<事業活動に関するリスク>

3.海外での事業活動に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)

当社グループは、海外に多くのグループ会社を保有し、また、一部の地域については販売代理店を通じた販売を行っており、製品を米州・欧州・中東・中国その他のアジア等の海外の顧客にも販売しております。日本以外の研究・生産拠点は米国・欧州・イスラエルに分布しており、その他、米国・欧州・中国・台湾・シンガポール・インド・ブラジルに販売とサービスの拠点を有します。これまでは、当該地域における当社グループの事業活動に重大な悪影響を及ぼす事態は生じておりませんが、海外で事業活動を行うにあたっては、地政学的リスク、為替の変動、輸出入管理規制の動向、各国政府の補助金政策動向、許認可等の取得状況、法規制の新設又は変更、税制の変更、販売代理店への依存、サプライチェーン及び販売代理店を含む海外オペレーションのガバナンス及びモニタリングリスク等が内在しております。予期していないこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループのガバナンスに関しては、グローバル企業としての強みを最大限に発揮し、各社がそれぞれの利益を最大化する部分最適化の枠組みを超えて、グループ全体としての最大の成果を追求するために「グローバル・ワン・リガク」体制を採用しております。「グローバル・ワン・リガク」体制を採用するにあたり、各ユニット内及びユニットをまたぐ各種会議体の多層コミュニケーションによりガバナンス体制を浸透させております。また、各社の取締役会を基本的に毎月(一部は四半期ごとに)開催することで、市場動向、業績、内部監査指摘事項の対応状況等をモニタリングしております。各グループ会社の取締役会には当社から取締役(非常勤)を派遣しており、毎月(ないし四半期ごと)の取締役会を通じて業績面、内部管理面から多面的に情報収集・分析によるモニタリングと課題への対応を行っております。また、グループ会社には共通の行動規範(Code of Conduct)とグループ会社管理規程(権限体系)を導入しており、これらにより遵守すべき事項や責任を明確にしております。しかしながら、これらの当社グループによる施策が奏功せず、ガバナンス上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4.取引先・製品・技術への依存に関するリスク(仕入先への生産依存) (顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループでは半導体や関連製品の不足による原材料や部品の仕入れ難が一時期見られましたが、当社グループのみの現象ではなく、科学分析機器のみならず幅広い業界で見られた現象でありました。当社グループでは、同様の事態が再発した場合に備えて、極力複数社購買等によるリスク分散を図っております。技術面や仕入れ面で特定の会社に大きく依存している購買先はありません。しかしながら、原材料や部品の仕入れ難が再度発生した場合には、代替先からより高価格の原材料や部品を購入しなければならなくなる可能性があり、また仕入先の予期せぬ変更により、製品設計の変更を実施することになる可能性があるほか、輸送能力の不足が生じた場合にも追加費用や遅延が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5.法令・規制に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの事業は、事業自体に関して許認可が必要とされるものではありませんが、主力のX線分析機器においては各国毎に安全基準や取り扱いについての届出や登録が必要です。また、当社グループが事業活動を行っている国・地域により電気規格や環境汚染物質の使用制限等があり、基準を満たしている必要があります。そのほか、各国及び地域における安全保障、外国貿易管理、競争政策、腐敗防止、労働及び税制等に関連する様々な法律及び規制の対象となっております。本書提出日現在では中国向けの輸出規制を含め、法令・規制による事業上の重大な影響はありませんが、予期していない法令・規制の新設や変更等により、当社グループの事業の一部が制限され、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

規格や環境規制に関しては、該当製品について規制を満たしている製品を開発することで対応しております。

輸出規制に関しては、軍事転用リスクへの懸念を踏まえた安全保障の強化を目的として、日本政府による2025年10月の制度改正により、補完的輸出規制(キャッチオール規制)を含む輸出管理制度が見直され、軍事転用の可能性のある品目の管理が強化される等、規制が一段と強化されました。これを受け、当社グループでは貿易管理部による当社グループの製品の輸出プロセスについて適切なデュー・ディリジェンスを実施し、外国為替及び輸出貿易管理令等を遵守する体制を継続的に整備・運用しております。

また、当社グループは最新の輸出規制動向に関する社内教育・研修を定期的に実施するとともに、専門部門による監査を通じて輸出手続の運営や規制遵守状況を点検・改善し、必要に応じて経済産業省や外部専門機関の知見を取り入れることで、実務対応の精度向上に努めております。

しかしながら、これらの施策が奏功せず、法令・規制上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

6.外注管理に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループでは、外注先を自社工場の延長線にあるパートナーと位置付けており、品質、コスト及び納期が要求水準を満たしているかのモニタリングが必要であると認識しております。予期していない外注先でのトラブル等により当社の製造プロセス全体が中断又は遅延する等のおそれがあり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、外注先については、品質管理を最優先に連携して対応しており、課題のある外注先には数人で訪問して課題把握と改善指導をする品質パトロールという制度により、外注先の管理を行っております。

また、コンプライアンスやサステナビリティの観点から、外注先が取引相手として相応しいかという点の確認を行っております。しかしながら、これらの当社グループによる施策が奏功せず、外注先での問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

7.原材料の価格高騰や供給停止に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

レアメタルを含む当社製品の製造に使用する主要な原材料は、限られた購買先からしか調達できません。当社は購買先と強固な関係を築いておりますが、購買先が当社の要求水準を満たさない場合には、原材料の供給不足が生じる可能性があります。原材料の供給不足により、高い価格の市場品の購入を余儀なくされ、また他社の製品に切り替えるために設計変更費用が発生するおそれがあります。当社グループは、厳しい供給不足の事態が発生した場合には、採算性の良い事業・製品について優先的に部品を確保し、会社全体への影響を極力抑えるよう対応する方針としておりますが、想定を超える原材料の長引く供給不足や急激な価格高騰が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

8.コスト(設備)に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)

当社グループにおいては、製品を生産するにあたり、専用ライン等の大型の設備投資は通常必要となりませんが、重要部品を生産するための加工機や半導体事業向けの部品・製品等を生産するために、クリーン・ルームへの投資が必要です。クリーン・ルームについては、極力設備を有する先への外注・組立て委託により能力拡大を図っておりますが、要素部品として自社生産が望ましい検出器等は、自社でクリーン・ルームを整備しております。

また、近年の売上の成長に伴い、生産能力の拡大に関しては、山梨工場、大阪工場や外部パートナーの生産スペースの拡張、その他生産性向上のための各種施策の実施とあわせて、生産キャパシティを増加させる投資計画を実施しており、2027年までに2022年度比で倍増させることを目標に設定しております。生産キャパシティ拡大後には、事業継続計画(BCP)やグローバルな地政学的な観点、及び物流コストの最適化を踏まえて、海外での生産能力の拡大を検討する予定です。また、加工機については、外注化が困難なもの、当社グループの技術やノウハウが集約されており自社生産が望ましいものに限定し、加工機への投資を抑えていく方針です。

かかる設備投資について、想定外の設備投資費用が嵩んだ場合や、生産能力の拡大が大幅に遅れた場合等には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

9.品質に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループの製品は高度な分析・検査装置であり、仕様どおりに機能することが購買要因となるため、当社グループでは品質の確保を最重要課題の一つと位置付けております。また、X線の漏洩防止や取扱いにおける注意喚起といった安全性の確保は極めて重要となります。そのため、品質保証部と生産本部を中心にKPIを設定して品質の向上・改善に取り組んでおります。具体的には、客先での初期不良(納入時の不良、1年間の保証期間内の不良)、自社での不良(生産工程での不良、外注先での不良)に分けて不良の要因を分析して改善に結び付ける施策を行っております。また、不良の発生、改善の進捗、KPIに対する実績等の状況を、週次で品質保証部が経営者層や関係者に報告しております。

しかしながら、このような取組みにもかかわらず品質不良や製品安全への懸念等が発生する場合には、当社グループの信頼性やブランド力の低下に繋がり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの製品に欠陥や安全性に関する懸念が発生した場合、顧客からの信頼を毀損する可能性があるほか、当社又は当社顧客に対して損害賠償請求がなされ、多額の訴訟費用の負担や顧客への補償を求められる可能性もあります。

 

 

10.研究開発に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループが属する市場や業界においては、新しい技術や、それを採用した製品を継続的に市場に投入することが長期的な成長要因となるため、新しい技術の開発は当社グループにとっての生命線となっております。予期していない市場動向の変化や当社グループの技術を代替しうる技術革新が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、市場動向を反映した迅速な製品開発と、X線コア技術の深化を目指す長期的開発を並行して進めております。開発リソースに関しては、新卒や中途で優秀な学生・研究者等の人材を採用する他、国内外の研究機関・大学・企業と提携した研究開発を多数手掛けております。また、当社グループは、技術を有する企業について積極的にM&Aを実施しており、海外のグループ会社の半数以上はM&Aによりグループ会社化したものです。このように、当社グループは、今後も幅広いオープン・イノベーションの文化を維持して世の中に貢献する技術や製品を生み出していく方針ですが、技術の発展に追いつけず、又は顧客のニーズを満たす新製品の開発に成功できない場合には、市場シェアや収益が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

11.知的財産権に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの事業は技術が競争力の源泉であり、積極的に特許・意匠・商標の登録を行っております。しかしながら、知的財産権に対する十分な保護が得られない法域もあり、当社グループの知的財産が他社により不正利用されるおそれもあります。他社との間に知的財産紛争が生じた場合、解決までに相当な時間と費用を要し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではより多くの新しい特許性を有する技術を開発すべく、知的財産部が中心となって出願や権利化活動を行っております。知的財産部では、競合分野での他社特許の動向を監視しており、他社特許侵害をしていないかの確認を行うとともに、必要に応じて他社特許への異議申し立てや特許回避技術の開発を促しております。

本書提出日現在において、第三者特許を利用して当社グループの主要な技術・製品・事業が行われている事実、又は当社グループが第三者の知的財産を侵害しているとの主張を受けている事実はありませんが、当社が第三者の知的財産権を侵害していると第三者が判断した場合、当該第三者から差止命令又は損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<政治・社会情勢・環境に関するリスク>

12.国際情勢に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)

当社グループは世界的に事業展開を行っているため、当社グループの事業は国際情勢や地政学的リスク、例えばサプライチェーン分断による調達・物流・販売規制等の影響を受けます。予期していない地政学的リスクが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

中国による両用品目の対日輸出規制強化や、米国によるAI・半導体をめぐる対中輸出規制の継続は、当社ビジネスに少なからず影響を及ぼしうるリスク要因であると認識しております。米国商務省産業安全保障局による規制の強化により特定の顧客への米国原産品の販売制限や半導体製品及び関連技術の輸出に対するライセンス要件が追加され、これらの規制は米国域外にも及んでおります。これらの各国における輸出規制の拡大は、半導体等の関連する産業とそのサプライチェーンに重大な混乱を引き起こすことに伴う影響等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのほか、国際的な貿易摩擦により、関税や貿易障壁、その他の保護主義的措置が強化され、当社グループの製造コストの上昇、当社グループの製品の競争力の低下、国境を越えた当社グループの製品の移動の支障や遅延が生じる可能性もあります。特に2025年1月発足の米国新政権による日本を含む各国からの輸入品に対する関税の大幅な見直しは当社グループの事業にも影響を及ぼしており、現時点ではかかる米国を含む各国の関税政策は不確定要素が多い状況です。ここまで当社グループでは輸出販売価格への転嫁や現地法人・販売代理店との調整等により影響の緩和を図っておりますが、これらの施策が奏功しない場合や、今後の政策動向によっては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

13.為替変動に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは世界的に製品販売を行っているため、当社グループの業績は為替変動の影響を受けます。当社グループでは、為替による調達コストや販売価格の変動は期ずれ現象と判断しているため、調達・販売に当たって為替予約は行っておりませんが、今後の市場動向を鑑みながら、為替予約の必要性を検討していきます。

また、当社グループでは、売上収益における海外比率に対して日本国内での生産・輸出の割合が多いため、円高は減益要因になりますが、引き続き生産性の効率化と販売価格の適正化を中心に対応し、円高が長期に継続する場合は、海外生産能力の拡大や海外からの部品調達の促進等で対応し、マクロベースでの為替ポジションが中立的になる対策も検討してまいります。

しかしながら、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、円高が急激に進んだり長期に及んだりする場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

14.自然災害等に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループの主力工場は日本国内の東京都昭島市、東京都武蔵村山市、山梨県北杜市、大阪府高槻市に所在しております。その他海外(米国テキサス州・同マサチューセッツ州・同ミシガン州・ポーランド・チェコ・オランダ・イスラエル)にも製造拠点を有しております。予期していない自然災害等により、当社グループの施設、特に生産工場が稼働できなくなる場合、製品の出荷が停止又は遅延し、施設の修理や交換のために多額の損失及び費用が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、国内及び海外の施設について災害リスク分析を行っており、今後も災害リスクのより正確な把握と保険によるカバーの適正化を進めていく予定ですが、災害リスクは完全にコントロールできるものではなく、保険によるカバーが十分になされない可能性もあります。

 

 

15.環境保全に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループにとって、化学物質及び有害物質の適切な管理は、環境保全に関わる事業リスクの一つです。装置の製造、据付、保守、廃棄の各段階においては、X線管や検出器に含まれる重金属、真空系や冷却系で使用されるオイル類、洗浄工程で用いられる有機溶剤等、多様な化学物質を取り扱っております。これらのリスクに対応するため、化学物質の使用状況を把握する管理台帳の整備や、SDS(安全データシート)に基づく取扱い基準の策定を行うとともに、廃棄段階では法令に基づく分別・保管・委託処理を徹底し、適正処理を確認しております。これにより、環境汚染リスクの低減及び関連法令への適合を図っております。

また、EUのRoHS指令やREACH規則に代表される製品含有化学物質規制に対応するため、設計段階から製品含有化学物質の把握・管理を行い、部品・材料調達時にはサプライヤーからの化学物質情報を確認しております。さらに、規制対象物質の使用削減や代替材料の検討を継続的に進め、将来的な規制強化による事業影響の低減に努めております。

加えて、環境規制の未遵守や環境問題を防止するため、関係法令や規制動向のモニタリング、専門部門による監査及び是正活動を実施しております。これらの取り組みにより、想定外の対策費用の発生や社会的信頼の低下、生産・操業停止といった事業リスクの最小化を図り、業績及び財政状態への悪影響を抑制するよう努めております。

以上の対応策が奏功せず、環境規制への未対応や環境問題の発生に伴い、想定を超える対策費用の支出、事業遂行への影響、環境規制への適応が極めて困難となった場合には、当社グループへの社会的信頼が損なわれることにより顧客の喪失等が発生するおそれがあるほか、環境規制に違反した場合には損害賠償責任、刑事罰、生産・操業停止等のおそれもあり、これらにより当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

16.パンデミックに関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

新型コロナウイルスの蔓延等パンデミックにより人の動きに制約が生じることは、人流停滞を補うためのIT/DX促進という社会的な潮流により半導体や電子部品・材料の研究や製造を促進する面があり、当社グループの受注・売上にとってプラスの要因になりえますが、他方で、受注活動、外注先の生産活動、販売・購買における物流等への影響や、社員が出社できないことによる業務停滞といったリスクも生じさせます。新型コロナウイルスをはじめとする感染症の流行等により、世界レベルでの経済活動の停滞が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

その対策として、当社グループでは様々な業務の電子処理化を進めることで人の動きに制約が生じた場合でも業務が進むような業務執行の基盤や方法を構築しております。

また、製造や物流といった業務は実際に人がいないと進まない面はありますが、当社グループの製造拠点は比較的「密」になることを回避しやすい職場環境であると判断しており、加えて自動化の推進や環境整備で対応する方針です。しかしながら、社員の安全を確保するために施設の閉鎖や操業停止が必要になる可能性は否定できず、このような閉鎖や操業停止に関連して発生する費用や生産性の悪化は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<内部統制・システムに関するリスク>

17.コンプライアンス・内部統制に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

法令違反による事業への制約や制裁、社員の不正による経済的損失、ハラスメント等による社風の乱れやモラールの低下等のコンプライアンス問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、グループ共通の行動規範を導入してコンプライアンス遵守を促しております。

また、コンプライアンス委員会を設置し、発生した問題の対応に加えて、定期的にコンプライアンス教育を行うことで法令、社内規程、社会規範等の遵守の定着を図っております。

加えて、会社を経由しない弁護士への内部通報制度を整備しており、海外のグループ会社においても当該内部通報制度を利用できる仕組みになっております。しかしながら、これらの取組みが奏功せず、コンプライアンス問題が発生する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループは財務報告に係る内部統制を構築しておりますが、内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全に防止又は発見することができない可能性があります。また、当社グループが適正な財務報告に係る内部統制を維持できなかった場合、適時適切な財務報告の実施ができず、当社の財務報告に対する投資家の信頼性が低下し、当社の株式価格に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

18.情報セキュリティに関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループでは、事業活動全般に亘り情報システムを利用しており、情報セキュリティの確保は重要な課題です。また、当社グループはその事業活動において、顧客情報や個人に関する機密情報又は個人情報を保有しております。情報セキュリティ対策としては、情報セキュリティ全般の体制について定期的に分析・評価を実施し、抽出された課題に対応すべく情報システム部が改善に向けた対策を実施しております。加えて、情報セキュリティ委員会が、情報システム部が管轄していない領域についてもセキュリティ対策を強化すべく対応しております。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃や、予期していない不正利用等が発生した場合、対応のために多額の費用負担が発生するだけでなく、当社グループの社会的信用に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、全社的な情報セキュリティのレベルを向上すべく、全社セキュリティ体制の構築、ITインフラの整備、全社員に向けたセキュリティ教育を実施しております。将来的にはISO27001取得を目指す計画です。

社内メールへの侵入に関してはシステム上の対策とともに役職員に対して年数回Phish Mailのテストを実施し、定期的に啓蒙と注意喚起を促しております。

また、海外のグループ会社は、当社で制定した情報セキュリティ規程の内容をベースに自社の実態や規制状況を踏まえて、社内ルールの整備を行っております。しかしながら、これらの取組みが奏功しない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<人材に関するリスク>

19.人材確保に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:高)

当社グループは、成長に向けた様々な活動や新しい技術の開発・獲得を支えるため、また既存の技能やノウハウの承継等の必要性から、人材の確保が事業継続上の大きな課題となっております。有能な人材の確保ができない場合や、人材流出が生じた場合又は人材育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、毎年の新卒採用の他、必要な事業・部門で積極的に中途採用を実施しており、海外のグループ会社の多くも業容の拡大に応じて人材増強を図っております。

短期では習得できない技術・技能に関しては早期に承継ができるよう後継者育成を行い、また、新入社員から中堅層や経営幹部に至るまで階層別に研修・教育のプログラムを用意し、役職員の成長を積極的に支援しております。しかしながら、このような当社グループの教育努力やプログラムが十分でない可能性があり、そのような不足を補強するために、追加的な費用や時間等を必要とする可能性があります。

 

20.ビジネスと人権に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループの事業は世界的に展開しており、ビジネス遂行の過程で人権問題が顕在化するリスクがあります。当社グループ内のみならず、取引先を含めた当社グループ事業に関わる領域全体で人権を侵害する行為が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは共通の行動規範を制定しており、人権を含む差別や権利侵害を禁止し、また当社ホームページにおいて「リガク・グループ人権方針」を掲載して開示しております。併せて、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権への負の影響を未然に防ぐとともに、万が一影響が生じた場合には、是正や影響の軽減に取り組んでおります。

加えて、原材料や部品の購入に関して人権侵害に関与しているサプライヤーからの購入を回避すべく、直接の購入先には人権侵害の無いサプライヤーからの調達であることの証明を求める等の施策を推進しております。しかしながら、これらの取組みが不十分で人権問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

21.ステークホルダーの信頼及び企業価値に関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

事業運営に際してステークホルダーからの信頼は重要であり、何らかの理由でステークホルダーからの信頼を失った場合には、企業価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではMission/Vision/Values(MVV)を制定し、理念・社是の他、顧客・仲間(社員)・社会・株主といったステークホルダーとの関係を詳細に定めており、それを実効的に推進するために、MVVの定着に向けた施策を実行しております。特にMVVを具体的行動として体系化、言語化した「リガク・コンピテンシー」を全社に展開し、各部門における振り返りや対話の機会、コンピテンシーの各組織や個人の目標への反映等を通じて社員の行動変容をいっそう促進しております。しかしながら、これらの価値観を実現し、ステークホルダーとの良好な関係を維持することができない場合には、当社グループの社会的信用が低下し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

22.労務に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

労務に関するリスクは基本的人権に関わるため、短期的な影響に留まらず長期的な会社の風土の問題に繋がり、良質な人材が長期に定着する事の阻害要因になると考えられます。

当社では36協定の遵守により過大な残業が発生することを防止するとともに、分単位での勤務時間管理によりサービス残業を回避しております。

加えて、労働者の健康や安全に関しては、産業医制度、安全衛生委員会によるモニタリングと改善等を行うことで、働く環境の整備と質の向上に努めております。

しかしながら、労務管理が不十分な事態が生じた場合には、当社グループの社会的な信用低下を招き必要な人材の確保に支障をきたす等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<経理・財務・会計に関するリスク>

23.財務資本に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:3年以内、影響度:高)

2025年12月31日現在、当社グループの借入金総額は55,556百万円であり、当社グループの資本合計88,396百万円の62.8%に相当します。借入金の大部分は、当社グループがThe Carlyle Group(関係会社及びその他の関連事業体を含め、以下「カーライル」といいます。)からの出資を受入れたことに関連するLBOローン契約によるものです。当該LBOローン契約には、連結ベースの経常利益が二期連続で赤字となる状態を生じさせない、及び連結ベースの純資産を前期実績の75%以上に維持しなければならないという2つの財務制限条項が含まれており、当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等成長資金の確保に制約が生じることで当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの有利子負債は全て変動金利付であり、金利変動のリスクが存在します。調達した資金のうち一部の借入金については、金利スワップにより金利を固定化するヘッジ取引を実施しております。

なお、当社グループは2022年9月末にLBOローンの借換えを実施しました。借換え後も上記の財務制限条項は残るものの、その他条件は一般のコーポレート・ローンと同水準に改善しております。また、当社グループは、成長に伴う増産実現のため山梨工場を増設しており、工事に係る必要資金を従来よりも有利な条件で新規借入しております。2025年12月31日現在、新規借入が借入金総額に占める割合は限定的であり、当社グループの財務資本に関するリスクに及ぼす影響は限られると判断しております。

 

24.税制に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは世界的に事業を展開しており、国境をまたぐ取引やグループ会社間取引も多く存在するため、移転価格税制の対象となる場合があります。

事業を展開する国毎に税制や税率が異なることから、税務効率の悪化、取引形態によっては付加価値税の還付が受けられない等により、予期せぬ税負担が発生する可能性もあります。

グループ会社間取引は税理士法人等の専門家に相談しながら適正な取引形態や取引価格を設定して行っております。

また、配当や付加価値税還付についても税務効率が阻害されないよう専門家のアドバイスを得ながら進めております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、各国の税制の変更や、移転価格税制及び上記還付に関する論点を含む税務当局との見解の相違等によっては、追加的な税負担等が発生するおそれがあり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

25.固定資産の減損損失に関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、事業の性質上、不動産や機械設備等の固定資産を多く保有しているため、特定の事業の業績悪化に伴い、不動産や機械設備あるいは投資に関わるのれんの減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、事業に対する投資をする前に採算性や回収可能性を十分に検討して実行することとしており、また事業の採算が悪化した場合は、直ちに立て直しの措置をとるとともに、会計監査人とも協議の上で適正な時期に適正な金額の減損損失を計上する方針としております。

なお、現在において業績が計画どおりに推移していない等の事業は既に減損損失計上済みであり、将来における減損損失発生のリスクの影響は少ないと見込んでおりますが、将来、当社の固定資産の相当額が減損損失の対象となった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

26.のれんについてのリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:高)

当社グループは株式会社リガク及びその子会社群を買収した際、並びにその後の新規買収時に多額ののれんが計上されており、その総額は2025年12月末時点において51,876百万円となっており、当社グループの資産合計の28.0%を占めております。のれんに関しては、毎期減損テストを実施しており、のれんの対象となっている事業の将来予測キャッシュ・フローの現在価値が買収時の評価を下回る場合には減損損失が計上されます。2025年度において減損損失は計上されておらず、今後も業績の向上に努めて参りますが、当社グループの見通しが悪化した場合には、減損損失又は追加的な償却費を認識する必要が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

27.中国製品免除認証届出対応に関する費用の財務影響リスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)

中国においては輻射安全許可証制度があり、放射線装置の製造・販売・使用について許可証の取得を行う必要があります。また許可制度の例外として製品の免除認証届出制度が存在します。当社グループの製品について免除届出が認証されたモデルとして販売を行った事案において、中国規制当局から免除認証を得られなかった場合、顧客や代理店が中国規制当局から罰金や制裁金を課される可能性があるほか、中国での販売活動が制限され、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、一部の製品について代理店名義で免除認証を取得したものの、装置のモデルチェンジをしたモデルが、その免除認証の対象外と認定されて輻射安全許可証を取得していない顧客による利用が継続できない可能性が高いことが判明したため、当該対応に関連する費用として、2024年12月期において218百万円の引当金を計上しておりました。もっとも、当該事案については、収束を図るべく、既納製品の認証を満たす装置への置換えや顧客の装置利用継続の確保等の対策を中国規制当局の指導を仰ぎながら順次進めていることを踏まえ、引当金については2025年12月期において40百万円まで減額しております。また、代理店名義で取得していた免除認証を、新型装置から当社中国現地法人名義で取得することで、免除認証に関する以下のリスク軽減を図ってまいります。

・認証について問題が発生した場合に対応が遅れるリスク

・代理店が認証の権利(主権)を主張するリスク

・代理店が事業を停止した場合の認証の取扱いが不透明となるリスク

 

<外部関係に関するリスク>

28.訴訟等についてのリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)

当社グループは、事業活動において、各種契約違反、労働問題(労働組合紛争を含む。)、製造物責任、知的財産権侵害、機密情報漏洩等の請求に関連して、顧客、取引先、競合他社、従業員、規制当局等の当事者から訴訟その他の法的手続を提起されるリスクに晒されております。本書提出日現在において、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、今後、当社グループが契約違反や特許権侵害等を理由とする訴訟を第三者から提起された場合や、当社グループに対して多額の損害賠償の支払いを命ずる判断がなされた場合、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

特許権については知的財産委員会において第三者の特許権を侵害しないよう個別案件別にチェックをする体制をとっており、また、上記リスクに備え、製造物責任保険や損害賠償責任保険を付保しておりますが、これらによっても上記リスクに十分に対応できる保証はなく、その場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

29.サステナビリティに関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

社会的公器としての企業活動が一層意識されてきており、ステークホルダーからの信用や理解が十分に得られなかった場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、気候変動対策に関連する新たな法令や規制の導入がなされた場合には、対応費用の増加により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではサステナビリティ推進委員会が中心になってサステナビリティ推進活動を行うことで、社会的信用を維持するとともに、当社グループの分析装置を利用して顧客のサステナビリティ推進活動に貢献することを通じて当社グループの事業にもプラスになるという好循環を生んでおります。

当社ホームページにおいて、サステナビリティ全般や、サステナビリティに関するマテリアリティについて開示しております。しかしながら、ステークホルダーからのサステナビリティに関する企業への期待や要求は急速に変化しており、将来において当社グループがそれらの期待や要求に適切に対応できない場合、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

30.配当政策に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)

当社は、中長期の経営視点から成長投資の推進と財務健全性の確保とのバランスを考慮しつつ、各期の業績に応じて当期連結利益の30%を目途に株主への配当を実施していくことを、資本政策の基本的な方針としております。

当社は健全な業績成長を続けており、かかる成長から創出される利益とキャッシュ・フロー、さらに剰余金を原資として、成長投資や借入金返済等とのバランスを考慮した株主への配当支払いを実施することについて、その支障が生じる可能性は低いと考えておりますが、配当の実施が必ずしも保証されているわけではありません。

 

31.買収や提携・共同開発に伴う業績や財政状態の変化に関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)

当社グループは、M&Aや他社(大学や研究機関を含む。)との連携・共同開発により、X線に関する要素技術や要素部品の開発・製造能力を取り込むことで、既存製品の改善や新しい製品の開発に繋げてきましたが、今後も新たな技術を取り入れるべくM&Aや他社との提携・共同開発を実行する方針です。

引き続きM&Aや他社との提携・共同開発を行うことでオープン・イノベーションを促進していく方針ですが、事前の調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&A等の実施後に発生又は判明する場合や、M&A等の実施後の事業展開が計画どおりに進まず、当初期待した成果が実現しない場合には、新技術や新製品の開発が遅れ、さらには減損損失を計上し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

32.新株予約権の行使による株式の希薄化に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループは、当社の取締役、監査役及びエグゼクティブオフィサー、並びに当社の子会社の取締役及びエグゼクティブオフィサーに対して、企業価値増大への意欲を高めるためのインセンティブとして、ストック・オプション制度を導入し、これらの者に新株予約権を付与しております。2025年12月末時点において行使された新株予約権は25,532個で、それにより発行済株式は5,106,400株増加いたしましたが、2025年12月末時点における当社の発行済株式総数230,375,000株を基準とした希薄化率は2.21%であり、希薄化の影響度は低いものでした。

なお、2025年12月末時点における新株予約権の付与数は11,594個、新株予約権による希薄化性潜在的普通株式数は2,318,800株であり、2025年12月末時点における当社の発行済株式総数230,375,000株を基準として全ての新株予約権が行使された場合でも希薄化率は1.0%にとどまり、希薄化の影響度は低いものと考えております。

 

 

<大株主に関するリスク>

33.資本関係についてのリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:高)

2025年12月末日現在において、当社の発行済株式数(自己株式を除く。)の42.08%はカーライルがGeneral Partnerとして支配・運用するAtom Investment, L.P.により保有されております。かかる大株主が今後においても相当数の当社株式の保有を継続した場合、大株主と少数株主との間で潜在的な利益相反関係が生じる可能性があります。そうした大株主と少数株主との間で生じうる利益相反関係に対して、当社では、社外取締役4名及び社外監査役3名を独立役員として指定し、経営の透明性を確保するとともに、取締役会の諮問機関として任意設置している指名評価報酬委員会の構成員のうち過半数を独立社外取締役とすることで少数株主の利益の確保に向けた体制を強化しております。また、大株主が保有株式を売却する際には株価への影響、すなわち、株式売買の需給関係に伴う株価形成への影響あるいは特定の株主への売却に伴う事業運営上の影響が生じる可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済状況は、堅調な雇用・所得環境を背景とした内需の拡大に支えられ回復基調を維持したものの、外需の弱さや物価上昇に伴う不透明感から、成長は緩やかなものとなりました。株価は、米国を中心とした半導体需要の拡大を背景に、半導体関連・電子部品・データセンター関連等が強く買われ、また、円安進行により輸出企業の業績期待が高まり、自動車や機械等外需セクターの株価を押し上げ、年末に向けて史上最高値圏に迫る展開となりました。

海外におきましては、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、トランプ政権による追加関税をはじめとした各種政策、米中間の重要鉱物や半導体関連製品等への輸出規制や関税措置、中東情勢の高い緊張状態等、地政学的な不確実性は依然として高い水準で推移し、世界経済及び企業活動に影響を与えました。

このような環境下ではありましたが、新材料開発等の技術革新への戦略投資は継続し、当連結会計年度の後半では、米国を除く地域で分析機器への需要が成長軌道に戻ってきました。また世界の半導体市場は引き続きAIやデータセンター向け等の先端技術への需要が市場を牽引しており、当社グループのソリューションに対し高い需要を生み出しております。これらの需要を的確に捕捉したことで、第4四半期において対前年同期比及び対第3四半期比で大幅な売上増を実現することができ、第3四半期累計で対前年同期比マイナス成長であった状況から、通期では対前期比3.9%の成長まで回復することができました。

当連結会計年度における各事業別の売上収益の状況は以下のとおりです。

・ 多目的分析機器事業においては、米州や中国での売上収益が減少したことで、通期で対前期比2.2%の減収となりました。主たる要因は、米国ではトランプ政策の影響が特にアカデミア及びガバメントの市場で生じたこと、中国では前年上半期の売上収益に大きく貢献した補正予算案件が剥落したこと、そしてEV向けSiC需要急増の2025年からの反動がグローバルで生じたことによります。しかしながら欧州、日本、その他のアジア地域で特に第4四半期で高い成長を実現し、全体の回復に寄与しました。

・ 半導体プロセス・コントロール機器事業においては、半導体市場における分析・計測需要が量産目的から開発目的にシフトしたことから、売上や高利益率の案件が第4四半期に集中しましたが、確実にクローズすることができ、売上収益は通期で対前期比19.0%の増収となりました。高いAI需要を背景とした、DRAM及び3D NANDの需要拡大による半導体メモリ向け及び次世代技術開発案件を中心とした半導体製造装置向けの販売が大きく増加しました。

・ 部品・サービス事業においては、EUV用多層膜ミラーの需要低下に伴う顧客在庫調整の長期化による売上減がありましたが、サービス及びその他分析機器は堅調に売上を伸長させ、対前期比で同水準となりました。

営業利益に関しましては、製造キャパシティの増強を行ったことや戦略的な研究開発投資を継続した一方で、半導体プロセス・コントロール機器事業における製品・地域ミックス変化の影響、利益率の高いEUVの需要減、トランプ政策の影響を受けた米国サービス売上減等により、通期で対前期比9.0%の減益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は94,193百万円(前期比3.9%増)、営業利益は16,709百万円(同9.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は11,401百万円(同16.3%減)となりました。

 

なお、2025年12月期第1四半期連結会計期間より、従来、販売費及び一般管理費で計上していた販売先での修理・納入等フィールドサービス関連費用(労務費・旅費等)を、売上原価で計上する方法に変更しております。この変更は、システム改修が完了したことを契機として、売上収益と売上原価の対応関係を明確にし、経営成績をより適切に表示するために行ったものです。前年同期における当該費用2,923百万円については販売費及び一般管理費に含まれております。

 

当社グループは、「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から7,662百万円増加し、185,209百万円となりました。主な要因は、売上収益増加等で営業債権及びその他の債権が8,159百万円増加、山梨工場増設に伴う設備投資等で有形固定資産が3,332百万円増加、現金及び現金同等物が3,716百万円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から1,035百万円増加し、96,812百万円となりました。主な要因は、売上収益増加に伴う仕入増加等で営業債務及びその他の債務が1,883百万円増加、賞与引当金の増加等で短期従業員給付が359百万円増加、4,000百万円の借入金返済、2,168百万円の山梨工場増設に伴う新規借入及び2,000百万円の運転資金の借入等で借入金が168百万円増加、売上収益の実現で流動負債の契約負債が1,473百万円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ6,627百万円増加し、88,396百万円となりました。主な要因は、当期利益の計上により11,401百万円増加、自己株式の取得により4,030百万円減少したこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から1.7ポイント増加し、47.7%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は24,275百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,716百万円の減少となりました。

当連結会計年度における各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は9,387百万円(前年同期は14,604百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前当期利益15,971百万円(前年同期は17,977百万円)、減価償却費及び償却費5,127百万円(前年同期は4,868百万円)があった一方で、12月単月の売上が大幅に増加したことによる営業債権及びその他の債権額の増加8,007百万円(前年同期は554百万円の増加)、法人所得税の支払額4,648百万円(前年同期は5,674百万円)があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は6,628百万円(前年同期は6,053百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,829百万円(前年同期は5,867百万円)、無形資産の取得による支出824百万円(前年同期は495百万円)があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は6,595百万円(前年同期は2,442百万円の資金の減少)となりました。これは主に、新株予約権の行使による収入1,315百万円(前年同期は無し)があった一方で、自己株式の取得による支出4,043百万円(前年同期は4百万円)、配当金の支払額2,827百万円(前年同期は無し)があったこと等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

41,312

116.8

 

(注) 金額は、売上原価によっております。

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

41,071

113.2

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

c 受注実績

当連結会計年度における受注実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

88,861

110.1

26,727

82.7

 

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、以下のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

理科学機器の製造・販売

94,193

103.9

 

(注) 販売先の販売割合が総販売実績額の10%以上を占める販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による主要な経営指標に基づく当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

 至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

 至 2025年12月31日)

売上収益

90,652

百万円

94,193

百万円

売上収益成長率

13.5

3.9

営業利益

18,367

百万円

16,709

百万円

調整後営業利益(注)1

20,917

百万円

18,664

百万円

調整後営業利益率(注)1

23.1

19.8

調整後EBITDA(注)2

23,462

百万円

21,707

百万円

調整後EBITDAマージン(注)2

25.9

23.0

Net Debt/調整後EBITDAレシオ(注)3

1.4

1.7

研究開発費比率(注)4

7.5

7.8

CAPEX比率(注)5

7.0

7.1

 

 

売上収益、売上収益成長率及び営業利益につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

調整後営業利益(注1)は18,664百万円(前期比10.8%減)、調整後EBITDAマージン(注2)は23.0%(前期比2.8ポイント減)、Net Debt/調整後EBITDAレシオ(注3)は1.7倍(前期比0.3ポイント増)となり、調整後EBITDAは前期より減少した一方で、先行投資に伴う借入金及びリース負債の増加が影響し、レバレッジ指標が上昇する結果となりました。

研究開発費は当社の成長の源泉となるため戦略的な研究開発投資を継続し、対前期比で7.6%増えたものの、売上の成長率も大きく、研究開発費比率(注4)は7.8%となり対前期比で0.3ポイント上昇しました。CAPEXは主に山梨工場増設に伴う設備投資等でCAPEX比率(注5)7.1%の支出になり、対前期比で同水準となりました。

 

(注) 1.調整後営業利益=営業利益+PPA償却費+減損損失+一時費用(IFRS導入費用、コンサルティング・フィー、中国免除申請関連費用、上場関連費用等) 

         調整後営業利益率=調整後営業利益/売上収益

2.調整後EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費+減損損失-受取利息及び配当金+支払利息+一時費用 

    調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA/売上収益

3.Net Debt/調整後EBITDAレシオ=(短期借入金+長期借入金+リース負債(流動)+リース負債(固定)- 現金及び現金同等物)/ 調整後EBITDA

4.研究開発費比率=研究開発費/売上収益

5.CAPEX比率=CAPEX/売上収益    CAPEXは使用権資産を除いた設備投資の金額により算出

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

また、流動性リスクを管理するために、以下の指標を用いて、それぞれの数値の変化を毎月モニタリングし、原因を分析することにより流動性リスクを管理しております。

 

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

 至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

 至 2025年12月31日)

DSO(注)1

72

101

DIO(注)2

219

184

DPO(注)3

74

72

Net Debt/EBITDAレシオ(注)4

1.44

1.74

 

 

当社グループは、売上増加に対応するために設備資金の借入調達により生産能力の拡張投資を実行しておりますが、その他の必要な資金は、運転資金の改善やグループ内での資金集約等の資金効率化を通じて、原則として手元資金で賄うことを基本方針としております。さらに必要な資金繰りに対しては、金融機関とのコミットメントライン契約を活用いたします。

(注) 1.DSO=売掛債権残高/売上収益(12ヶ月)*365

2.DIO=棚卸資産残高/売上原価(12ヶ月)*365

3.DPO=買掛債務残高/売上原価(12ヶ月)*365

4.EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費-受取利息及び配当金+支払利息

    Net Debt/EBITDAレシオ=(短期借入金+長期借入金+リース負債(流動)+リース負債(固定)- 現金及び現金同等物)/ EBITDA

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRS会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(重要な資金の借入)

当社は、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行をマンデーテッド・リード・アレンジャーとする銀行団との間で、総額60,000百万円のタームローン契約を2022年9月27日に締結しております。

(1)シンジケートローン契約締結の目的

タームローンA、B

㈱リガクを頂点とした企業グループの買収にかかる既存LBO借入金のリファイナンスを目的としております。

(2)シンジケートローン契約の概要

契約形態

金銭消費貸借契約

契約金額

タームローンA 24,000百万円

タームローンB 36,000百万円

合計 60,000百万円

契約日

2022年9月27日

実行日

2022年9月30日

利率

タームローンA Tibor+0.7%

タームローンB Tibor+0.9%

借入金残高

当連結会計年度末

(2025年12月31日)

タームローンA 12,667百万円

タームローンB 36,000百万円

合計 48,667百万円

返済期日

タームローンAは毎年3月末、9月末を期日として分割返済、最終返済日は2028年3月3日

タームローンBは2028年3月3日

担保

㈱リガクが保有する不動産

特約の内容

各決算期末における借入人を頂点とする連結ベースの経常利益が二期連続で赤字となる状態を生じさせないこと。

各決算期末の借入人を頂点とする連結ベースでの純資産の部の合計金額を、直前の各決算期末における借入人を頂点とする連結ベースでの純資産の部の合計金額の75%以上、かつ、0円以上に維持すること。

参加金融機関

㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行 計3行

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発を進めるにあたって、先ずは顧客や学会との綿密な接触によって、潜在的なニーズを把握することに努めております。それに基づいた既に長年を通じて磨き上げてきた要素技術を長期的な視野をもって、更に深化させます。その要素技術を使って、製品・ソリューションを開発し、顧客のニーズにこたえます。特に製品化・システム化の際はスピード感を持って、早い開発サイクルで進めることを重要視しております。

当社グループの研究開発は、当社グループの強みであり、製品競争力の源泉であるX線源、光学素子、検出器、解析ソフトウェア等のX線要素技術の優位性を、それらの強化投資によりさらに強固なものとし、かかるX線要素技術の優位性を原動力とした、他社が真似ることのできない革新的な製品・サービスを生み出すことにより、科学技術イノベーションに対する顧客や社会のニーズに応えていくことを、その方針としております。

また、X線分析機器の将来を見据えて、これまでにない革新的な製品・サービスを生み出すための技術基盤となるX線による先端解析技術の研究やX線の新応用分野の開拓、その他X線技術を深掘りした先進的な研究に取り組んでおります。

さらに、当社グループの研究開発活動が結実した独自技術に関する知的財産権の保護、管理及び活用により当該独自技術の知的財産権の確実な保全を図る一方、先進的な研究に取り組む国内外の大学・研究機関や独創的な技術力を有する企業との提携、あるいはそれらのM&Aを通じて、当社グループの技術力を強化するオープン・イノベーションを積極的に推進しております。

当社グループは、グローバル・ワン・リガクの技術開発力をグローバルで活用する一方、外部研究機関等との協働も進め、研究開発費比率(注)を引き上げることを経営の目標としております。2025年12月期における当社グループが支出した研究開発費の総額7,355百万円で、研究開発費比率7.8%となりました。

(注) 研究開発費比率=研究開発費/売上収益

当社グループの研究開発体制は、X線による先端解析技術の研究やX線要素技術の開発・製品化を担うグローバルR&Dユニット傘下のRCX線研究所、RIT及びRITE、そしてグローバルな製品戦略に基づく製品の開発・競争力強化を担うグローバルプロダクトユニット傘下のRCプロダクト本部XRD、ライフサイエンス、XRF、X線イメージング、熱分析及び要素部品、RC薄膜デバイス事業部、ART、NSI、NIC、RSI並びにMILabsの各組織で構成されております。

 

当社グループにおける主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

研究開発体制

研究開発活動

国内

X線研究所

先端解析技術研究部

長期的な視点から、将来の技術基盤となるX線による先端解析技術の研究やX線の新応用分野の開拓、その他X線技術を深掘りした革新的かつ先端的な研究に取り組んでおります。

X線研究所

X線発生装置開発部

検出器開発部

製品の実用化に直結するX線源や検出器等のX線要素技術の開発・製品化を行っております。各製品の競争力強化に寄与するためのX線要素技術の高性能化を推進しております。

グローバルプロダクトユニット(RC各製品所管・設計部門)

所管製品の競争力強化や新分野への進出を図るため、新製品の開発や既存製品の機能向上・新機能追加等に関わる開発を推進しております。

国内・海外子会社

自社事業の強化を目指した開発や当社グループのX線の製品に搭載される要素部品の開発を行っております。

 

 

当連結会計年度の研究開発活動の主要課題・成果は以下のとおりです。

(1) 研究開発の主要課題

研究分野

主要課題

粉末・薄膜解析

X線回折・散乱を用いた構造解析の主要分野であり、電子部品、電池材料、医薬品、セメント、化学製品等の幅広い産業分野において必要とされる高度な材料構造解析技術を開発し、複雑化する材料開発に役立てることができる評価方法を提供しております。

近年はLab to Fab体現するSemi規格製品や自動化機能を有する製品の開発にも力を入れております。

ライフサイエンス

従来からの強みであるX線を用いた単結晶構造解析の製品の機能強化に向けた開発に加えて、電子線を用いた回折装置を開発することで微小サイズの結晶を解析する技術を提供しております。

X線では不可能とされていた、溶液中のタンパク質を結晶化することなく観察できる装置を開発し、複数の大学や研究者と提携して具体的なアプリケーションの提供に向けて取り組んでおります。

蛍光X線分析

当社グループが展開する蛍光X線分析事業は、材料中の元素組成及び微量元素を迅速かつ簡便に測定できる分析手法として、幅広い産業分野で需要が拡大しております。一方で、同市場には多くの分析機器メーカーが参入しており、技術競争が一段と激化しております。

このような事業環境のもと、当社グループは他社が容易に到達できない精度・感度の実現を競争優位性の源泉と位置づけ、継続的な技術革新に取り組んでおります。具体的には、分光素子、検出器といった主要コンポーネントの性能向上を継続的に推進するとともに、従来の分析装置にはない新たな付加価値機能を備えた製品開発を進めております。

これらの取り組みにより、当社グループは蛍光X線分析分野における技術的リードの強化と市場シェア拡大を図り、中長期的な企業価値向上につなげてまいります。

X線透過(イメージング)分析

高電圧化と高分解能化を進めることが、当社グループのX線透過(イメージング)分野における課題と考え、これらに対応するための技術の開発を推進しております。高電圧化は、当社グループの従来製品では困難な電子材料等の重元素材料の透過及びCT撮影を実現するため、高電圧X線源とそれに対応した検出器の開発を行っております。高分解能化は、材料内部のより微細な構造や欠陥を感度良く検出するための高感度検出器やX線レンズの開発を行っております。

薄膜デバイス

半導体デバイスは、コンピューターやスマートフォンだけでなく、自動車や家電等生活のあらゆる分野に浸透しております。さらに、スマートグリッド等エネルギーの効率的活用にも重要な役割を果たしており、今日では人類のより良い生活にとって欠かすことのできないものとなっております。半導体デバイスは、引き続きその使用量の増大が見込まれているとともに、技術開発や製造プロセス管理が求める技術要求は高度化の一途を辿っており、これまでの光や電子線では応えることが困難となる微細化・積層化・新材料の採用等に対して、透過性、非破壊、微小部計測等のX線の特長を活かした計測技術を継続的に進化させることで対応し、半導体産業の発展に寄与してまいります。

熱分析

当社グループの熱分析分野では、最先端の感度性能等を持つ製品の開発を引き続き推進するとともに、品質管理での利用や海外顧客のニーズに即した製品のラインアップの充実に向けて取り組んでおります。

自動化

ロボットや搬送機を使って、分析対象の試料を自動的に装置の中に取り入れるシステムの開発を進めております。特に粉末・薄膜回折や蛍光X線分析において、自動化に対する顧客のニーズが高い状況にあります。自動化ソリューションの提供により、工場やラボのオートメーション化をサポートし、顧客の効率性向上を支えてまいります。自社で技術を持たない場合には、積極的に外部パートナーとのコラボレーションによって、ソリューションの開発を進めております。

 

 

 

(2) 研究開発の主要成果

主要製品・

サービス

実用化

概要

検出器

XSPA-400ER

2023年3月より出荷開始

高いエネルギー分解能により試料由来の蛍光X線をカットし、バックグラウンド成分を低減することで、従来機よりも高感度な測定を実現させております。

0、1、2次元に対応しているため、一般的なX線回折パターンの取得からデバイリングの形状測定まで、対応することができます。また、全てのピクセル形状が同一であるため、IC境界補正が不要となり、一様な画像の取得も可能となっております。

X線トポグラフ

XRTmicron

Hybrid

2023年3月より

出荷開始

XRTmicronは開発から約10年が経っておりますが、SiCによるパワーデバイスの本格活用が始まっており、年間10台程度と高額機ながら堅調な販売実績を上げております。他方で、ユーザーから短時間測定へのニーズが高まっており、これに対応するため、当社グループのピクセル型検出器を活用した高速測定と高分解能測定の切換えが可能な装置(XRTmicron Hybrid)を開発しております。これにより、分解能において劣るものの、10倍以上の高速化を実現し、6インチウェーハを2~3分の短時間で測定することを可能とし、研究開発用途のみならず生産現場での利用も視野に入れております。

波長分散型蛍光X線装置

Supermini200

2024年7月1日より出荷開始

波長分散型蛍光X線分析では通常、試料を真空雰囲気下で測定しますが、液体試料等真空雰囲気に投入できない試料については、ヘリウム雰囲気での測定が必要です。

そこで、試料室を大気雰囲気、分光室を真空雰囲気で測定可能とする隔壁機構を開発しました。これにより、真空雰囲気下で測定できない試料についても、ヘリウムガスを使用せずに測定することが可能となりました。本機構は、特に真空雰囲気下で測定できないオイルや微粒粉末のコークス等を扱う石油業界において活用されております。

ヘリウムガス使用のための設備やスペースの削減、ガス置換に要する時間短縮によるスループット向上に加えて、近年不足が懸念され価格が高騰しているヘリウムガスへの支出が不要となることで、顧客の利便性向上に大きく寄与しております。さらに、本機構は環境省からの要請である「ヘリウム使用の削減やヘリウムを使用しない測定方法への変更」にも応えるものであり、環境面での貢献も果たしております。

溶液分子投影装置MoleQlyze

2024年11月より販売開始

バイオ医薬品(抗体医薬等)はタンパク質で構成されており、その機能は分子レベルの三次元構造と密接に関連しております。特に、タンパク質の構造変化(ダイナミクス)を理解することは、医薬品としての作用機序の理解につながります。

タンパク質の構造解析には単結晶X線構造解析やクライオ電子顕微鏡法等の手法がありますが、結晶化や凍結といった前処理が必要であり、溶液中における本来の状態をそのまま可視化することには制約がありました。

当社は、溶液中のタンパク質を対象とした分子構造を可視化する新手法として「電子密度トポグラフィー法」を開発しました。本手法により、バイオ医薬品等のタンパク質溶液をそのまま測定し、溶液中における構造を解析することが可能となりました。

2024年11月には米国ボストンにデモ測定が可能なラボを開設し、2025年8月には1号機となる装置を納入いたしました。メガファーマをはじめとするバイオ医薬品関連企業から国内外で多数の引き合いをいただいており、デモ拠点での受託分析を通じて顧客接点を拡大し、装置販売へ展開してまいります。

 

 

マイクロスポット高分解能X線回折システムXTRAIA XD-3300

2025年7月より本格商業生産開始

生成AI・データセンター需要を背景に、半導体はかつてないスピードで微細化・三次元化が進み、HBM(High Bandwidth Memory)、3D DRAM等の次世代メモリや2nm世代以降のロジック半導体へのニーズが高まっております。これらのデバイスでは性能確保のため、Si/SiGe(シリコンゲルマニウム)プロセスを用いたナノスケール積層構造(超格子構造)の採用が進んでおります。その高度化した内部構造を適切に制御するには、Si/SiGeの組成や膜厚を正確に把握できる計測技術が欠かせません。これが製品の性能や歩留まりを高める鍵となります。

XTRAIA XD-3300は、こうした課題に応えるべく、独自のX線光学系と高度な解析ソフトウェアにより、ウェーハ上の複雑な超格子構造の解析を、非破壊、高スループット、高精度で可能にします。

全反射蛍光X線(TXRF)分析装置XHEMIS TX-3000

2025年8月より販売開始

半導体製造におけるウェーハ表面の汚染分析は、プロセス微細化で厳しくなる品質基準のもとでも不良品率を低減するだけでなく、数百工程に及ぶ製造ラインの安定稼働や製品品質の信頼性確保に欠かすことができません。その代表的な分析手法であるTXRFで、リガクの技術は事実上の業界標準の地位を築き、長年にわたり業界の品質基準を牽引してきました。

最新モデル「XHEMIS TX-3000」は従来機能をさらに進化させ、計測精度・操作性・生産性を飛躍的に高めております。

本ハイエンド機の投入により大手半導体メーカーでの採用拡大が進み、この製品セグメントは半導体市場の持続的成長を支える安定的な基盤として毎年二桁程度の成長が期待されます。

微小部蛍光X線分析装置Qualana

2025年9月のJASIS展にて発表

Qualanaは、最小20µmに集光したX線を試料に照射し、局所的な元素情報を得る微小部蛍光X線分析装置です。小さな部品や素材の組成・膜厚分布といった管理分析、故障品の解析、異物の探索等に力を発揮します。電子デバイスや電池、材料科学、化学、考古学、法科学等、多種多様なアプリケーションでの活躍が期待できます。2026年春の販売開始を予定しております。

QualanaはX線レンズと試料観察カメラの両方を試料直上に配置する光学系を採用しており、試料の高さが変わっても画像上で指定した照射位置がズレることはありません。電子基板のような凹凸のある試料に対しても、測定したい場所を精確に分析することができます。

半導体製造工程向け計測装置XTRAIA MF-3400

2025年12月より販売開始

半導体製造工程でウェーハの膜厚と組成を計測する「XTRAIA MF-3400」の販売を開始しました。本装置は、次世代メモリチップやAI向け高速デバイスの量産に不可欠な材料の評価を高精度に行うことができ、急拡大する半導体市場の生産性の向上に大きく貢献します。

X線の強さを約2倍に高め、新しい搬送システムと組み合わせることで、1時間あたりのウェーハ測定枚数が大幅に増加しました。

本装置は、X線を使った3つの分析機能(蛍光X線、X線反射率、X線回折)を搭載しております。極薄膜の組成、膜厚、結晶性等の目的に応じた最適な測定解析条件をレシピに登録することで、自動的な測定が可能です。

また、DRAM及びロジック半導体メーカー各社でも採用検討が進んでおります。

本装置は用途に応じてモジュールを自由に選択できるため、各メーカーの製造プロセスに最適な計測環境を構築することが可能です。この高い柔軟性と拡張性の強みもあります。

 

半導体向け計測装置ONYX3200

2025年12月より販売開始

近年、AI、データサーバー、スマートフォン等へ搭載される半導体チップの高性能化に伴い、内部の配線や接続構造はより微細かつ複雑になっております。その結果、BEOLやパッケージングの工程では、髪の毛より細い金属層や10マイクロメートル以下の極小バンプを、非破壊で正確に計測する必要性が高まっております。

「ONYX 3200」はこうした要求に応えるとともに、「従来は複数の装置を使い分けていたバンプの複雑な金属層の計測を1台で完結できる」という大きな利点を持ち合わせております。

本装置はすでに1号機をファウンドリー顧客のパッケージング工程向けに出荷済みです。また、すでに世界有数の半導体企業から多数の引き合いをいただいております。