文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションを掲げ、「iPSC再生医薬品を活用し、世界中の患者さんに治癒と希望を届ける。世界中に承認販売まで自社で行う体制を構築し、全ての人からRespectを受けるバイオ企業を確立する。」というビジョンに沿って、iPS細胞等の優れた幹細胞技術をもって、世界中の難治性疾患の罹患者に対して新たな治療法を届けるべく、研究開発から製造販売承認の取得、製造・販売までを自社、関係会社及び提携会社において実現する体制の確立を目指し、事業を進めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発推進には、多額の開発資金が必要となるため、当該製品が上市されるまでは研究開発費を中心に先行投資が続くものと想定しております。当社グループは、新たな提携・多面的な資金源の確保による財務の安定化を目指しており、早期の製品の上市に向け開発計画の着実な進捗に目標を置き事業を推進してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは上記(1)記載のミッション・ビジョンを実現するため
①短期戦略:日本国内において承認の目途が立つ開発パイプライン、または当社グループの経営基盤強化(収益体制、製造研究開発販売体制)に資する開発品
②長期戦略:世界でデファクトスタンダードの地位を築く革新的基盤技術
という事業拡大戦略に基づき、①で得られたノウハウ・収益を②へ戦略的に投資し、持続的な成長を果たす戦略を推し進めております。
まずは、短期戦略に基づき2016年に導入した体性幹細胞再生医薬品分野におけるパイプラインHLCM051の承認を目指し、現在ARDS及び脳梗塞急性期を対象疾患とした治験を実施し、その結果をもって規制当局と協議を進めながら、事業化を目指し開発を進めております。また、再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清について、安定した収益源とすべく、その活用に向けた取り組みを進めています。
一方、長期戦略の柱であるiPSC再生医薬品の実用化にむけては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞(eNK®細胞)を用いて、固形がんを対象にした次世代がん免疫療法の研究を進めております。また、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞の作製にむけた研究活動など、再生医療の産業化に向けて必要な次世代の技術プラットフォームの確立を目指してまいります。
また、当社グループはバイオ領域の投資に特化した米国Saisei Ventures LLCを設立し、国内外のバイオ領域への成長資金の提供と投資回収によるリターンのみならず、情報収集を通じて当社グループのパイプラインに貢献する技術や他ベンチャーとの連携を期待しています。
当社グループは、患者さんのアンメットメディカルニーズの高い適応疾患領域における複数かつ多層的な開発戦略により、リスク低減を行い、企業価値の向上を目指します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 既存パイプラインの開発推進
当社グループは、法改正で新設された、再生医療等製品に対する早期承認制度を活用し、日本国内においていち早く再生医薬品の承認を獲得すべく、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野にて開発を進めております。共同開発パートナーや提携先、治験実施施設等とのスムーズな連携により、着実に開発を進めることが課題と考えております。
② 開発におけるアライアンス体制の強化について
再生医療業界においては、常に新しい発見が重ねられており、目覚ましい技術の進展が見られます。またグローバル規模の製薬企業も再生・細胞医療に新たな可能性を見出し、企業買収等によって参入を図っています。このような競争環境のなか、当社グループは、世界でデファクトスタンダードの地位を築く可能性のある革新的なプラットフォーム技術の取得が重要と考えております。国際的な情報ネットワークを一層強化し、国内外の公的研究機関や企業等から新規技術・ノウハウを積極的に取り入れ、強固な提携関係を築くことが課題と考えております。
③ 資金調達・管理
当社グループのようなバイオテクノロジー企業は、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。そのため研究開発資金の確保は重要課題の1つであると考えております。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、今後の研究開発の継続に向けた事業体制の最適化に向け、経営資源の配分、固定費削減を中心とした合理化施策の継続的な実施を講じております。体性幹細胞再生医薬品分野、iPSC再生医薬品分野における固形がんを対象としたeNK®細胞、CAR-eNK細胞のパイプラインにおいて特に経営資源を集中して研究開発を進めます。さらにいずれのパイプラインにおいても、自社開発のみならず、国内外の有力製薬企業との連携等を目指し、社外のパートナーとの共同開発や提携の実現が重要と考えております。
以上に加え、iPS細胞株、医療材料(培養上清)、UDCの提供等による収入、既存パイプラインの開発進捗による共同開発先からのマイルストーン収入や、承認取得による早期の売上計上を目指すほか、リスクの分散や資金調達の多様性確保のため、新規提携先からの契約一時金やマイルストーン収入、金融機関等からの借入、株式市場からの資金獲得、補助金等多面的な資金源の検討も必要と考えております。
④ 人材の獲得
再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指し成長を続けるためには、人材が最も重要であると考えます。新しい産業を牽引できるポテンシャルの高い人材を世界中から確保し、活躍できる場を提供することが課題と考えております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに対する当社グループの考え方
当社グループは、「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションの下、幹細胞技術をもって難治性疾患を罹患された方々に治癒と希望を届けるべく、体性幹細胞再生医薬品分野及びiPS細胞に関連する技術を活用した再生医療等製品(iPSC再生医薬品)の研究・開発を推進しています。この活動を通じて人々の健康と福祉に貢献し、持続可能な社会の発展に資することが、当社グループのサステナビリティ経営であると考えております。
(2)具体的な取り組み
① ガバナンス
株主をはじめとしたステークホルダー(従業員、取引先、罹患者、債権者、地域社会等)の皆様の利益を重視した経営を行うことが当社グループの使命であると考えております。そのためには、当社グループ事業が安定的かつ永続的な発展を果たすことが不可欠であり、このような発展の基盤となる経営の健全性及び透明性の向上を目的とするコーポレート・ガバナンスの強化は重要な経営課題であると認識し、積極的に取り組んでおります。
当社グループは、監督と執行の分離による経営監督機能の強化、業務執行における権限・責任の明確化及び機動的な経営の推進、経営の透明性・客観性の向上等を目的に、指名委員会等設置会社制度を採用しております。
当社グループの機関及び内部統制の関係は、以下のとおりであります。
② リスク管理
当社グループが取り組む体性幹細胞再生医薬品分野及びiPS細胞に関連する技術を活用した再生医療等製品(iPSC再生医薬品)の研究・開発は、将来における実用化が期待される一方、技術開発の継続的推進、研究環境・従業員の安全確保、収益化に至るまでの資金維持、事業化後の収益実現など、将来の不確実性に基づくリスク等が想定されます。当社グループでは、これらの可能性を認識したうえ、その発生の回避及び発生した場合の対応に向けた体制を準備しています。
内部監査委員会等による、専門性をもった現状分析、リスクの想定、課題の抽出と対応の検討を定期的に実施しております。
また、各種の法令、国際基準、ガイドライン、社内規程等を厳守することを目的として、様々な社内委員会(研究倫理審査委員会、遺伝子組換え実験安全委員会、バイオセーフティー委員会、動物実験委員会)を整備しています。
③ 人的資本経営と多様性の推進
人的資本が当社の成長戦略における重要項目であると認識しており、以下の戦略を根底に据えております。一方、当社グループは、再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指して成長を続けるためには、人材こそが最も重要な資源であるとの考え方を一貫して持っておりますが、各連結会社のステージや事業内容が異なることから、人的資本に関する具体的な戦略をグループ全体で統合・展開しておりませんので、連結会社ベースでの開示は困難と考えております。
a.戦略
再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指し成長を続けるためには、人材が最
も重要であると考えます。新しい産業を牽引できるポテンシャルの高い人材を世界中から確保し、活躍できる場を提供し、企業価値向上に貢献する仕事と成果に応じて報い誇りをもって挑戦する従業員に対し、成長する場や機会を提供することで能力開発を促進します。
・タレントマネジメント:
高スピードな成長を目指し、自ら積極的に関わり、新たな価値創造のためにあきらめることなく推進し続け、再生医療にかかわるすべての競合企業との競争に勝ち抜く人材を育成し獲得します。
・ダイバーシティマネジメント:
高い専門性や多様な文化・背景・価値観を有する人材が、互いの能力を最大限発揮しあうことを促進し、切迫感と積極的なチャレンジを生み出す組織風土を醸成するとともに、タイムリーかつフレキシブルに人材を活用します。
b.指標及び目標
従業員の組織における役割に応じた「等級」、等級制度に合わせた「報酬」、目標設定及び面談を通じた「評価」、自律した個人が社内外の様々な機会を通じた成長を支援する「育成」、これら4要素によって人事制度全体を構成し、それを推進するための諸制度を整備・運用しているものの、当社は従業員数が100人未満の規模であるため、人的資本に関する指標の設定が困難であると考えております。具体的には、従業員数が少ないため、数値に基づく指標の振れ幅が大きく、実態を正確に反映しない恐れがあり、人的資本に関する指標について具体的な数値目標を設定・開示することは控えております。また上記の理由から連結グループにおける記載も困難であります。
④ 気候変動への対応
a.戦略
地球温暖化に代表される気候変動は、人類並びに他の生物を含めた生活環境に大きなインパクトをもたらし、新たな感染症の流行や疾患の発生等、当社グループが手掛ける再生医療等製品(iPSC再生医薬品)の研究・開発にも影響を及ぼす恐れがあります。環境負荷の低減に配慮した事業活動の推進に努めています。
オフィス及び研究所における再生可能エネルギーの導入、省エネルギー、廃棄物削減、リサイクル等に向けた目標設定と施策の策定に取り組んでまいります。
b.指標及び目標
当社グループでは、気候変動への対応について、a.戦略において記載した取り組みに関する目標及び実績は、現段階で未設定です。取り組みの進展に合わせて指標化できるように努めていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループではこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また当社グループに関連するリスクをすべて網羅するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野のリスク
① 開発期間が長期にわたることに伴う損失の計上と追加の資金調達の可能性について
当社グループは、iPSC再生医薬品分野に加えて、2016年1月より体性幹細胞再生医薬品分野においても研究開発を進めており、当社グループの事業成果は、両分野の今後の研究開発の進展及び事業展開の成否に依拠しています。
体性幹細胞再生医薬品分野のパイプラインは、骨髄由来体性幹細胞治療薬HLCM051を用いて急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び脳梗塞急性期並びに外傷を対象疾患とするもので、早期承認制度に基づいた承認の取得も想定し、治験を実施いたしました。
またiPSC再生医薬品は、前臨床試験段階であり、製品の上市までにはさらなる段階が必要となります。
このため、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野において、実際に上市されるまでは収益が上がらず、損失を計上し続ける見込みとなっております。また、当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発には多額の資金が必要となることから、当社グループは追加の資金調達を行う可能性があります。このように、当社グループが想定しない追加の費用が発生したり、資金調達が想定通り行えない場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、HLCM051を先行して上市させることにより、その販売からの収益を、iPSC再生医薬品分野の開発に充てる戦略を展開しております。ARDS及び脳梗塞急性期並びに外傷を対象とした医薬品の開発について規制当局と協議を進めております。
② 技術革新と競合について
当社グループが実施しているiPSC再生医薬品に係る研究開発の領域は、国内のみならず、世界的にも注目を集めている研究分野であるため、新しい知識や技術が発見されイノベーションが生まれやすい分野であります。ES細胞由来の細胞医薬品を含め、様々な治療法の開発が進展しているところであります。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、すでに様々な研究開発が進んでおり、より実現性の高い技術革新が行われる可能性があります。
これらの周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手が、当社グループの保有している知的財産権等を上回る新技術を開発し、関連特許を取得する場合や先行して上市した場合、また、当社グループで実施している再生医療分野に関する最新業界動向の収集・分析が不十分で環境変化への迅速な対応ができない場合などには、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大学や公的研究機関と連携し、常に最先端の技術開発に取り組んでおります。
③ 再生医療等製品に関する法規制について
2014年11月に施行された医薬品医療機器等法(以下、「薬機法」と言います。)は、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供を図るものであり、体性幹細胞/iPSC再生医薬品を含む再生医療等製品について早期承認制度に基づいた条件及び期限付承認制度を設定しております。この制度下での承認実績は既にあるものの、他家iPS細胞を由来とする製品はいまだ実績がない(2025年12月時点)ことから、他の細胞由来の製品とは異なる検証が必要となる可能性も考えられます。また、かかる薬機法を含む再生医療等製品に関する法規制については、技術の革新の状況や予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります(2025年5月、改正薬機法成立)。法規制の追加や法改正の内容如何によっては、これまで認められてきた品質管理基準を上回る品質管理が求められる等の理由によって、多額の設備投資や追加の開発費用が必要となり、また当社グループの想定よりも多数の試験が求められた場合、開発スケジュールが大幅に遅れるなどの事態が生じる可能性があります。このような場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、そうした見直しにいち早く対応すべく情報収集、関係規制当局との相談、社内体制の整備等に努めております。
④ 体性幹細胞/iPSC再生医薬品の製品特性について
体性幹細胞/iPSC再生医薬品は、ヒト細胞・組織を原材料とした細胞を人体へ移植・投与するという特性上、原材料の安全性に関するリスクや、様々な予期せぬ副作用・医療事故の発生などの可能性があり、そのために法制度上も厳しい規制がなされております。今後予期せぬ事態が発生する可能性を完全に防ぐことは難しく、そうした事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、そうした規制に対応し、事故を防止するためにも、再生医療分野における知見を有する人材や薬事制度に精通した専門家に関与いただくなど様々な施策を講じております。
⑤ 製造・販売体制の構築に関する不確実性について
当社グループの体性幹細胞/iPSC再生医薬品事業は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の製造及び販売についても事業として展開していくことを視野に入れております。しかしながら、医薬品の開発には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造方法の確立、製造体制の構築等が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、提携先企業等とともに細胞の大量培養技術の開発など製造方法の確立に向けて注力しております。
販売体制については、当社グループ単独で販売体制を構築するのか、あるいは製薬企業等との提携により販売体制を構築するのか、その方針はいまだ決定しておりません。今後、体制構築に何らかの障害が生じ、当社グループの計画より遅れた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発中の製品の上市に向け、営業・マーケティング組織の立ち上げを計画しており、国内医療用医薬品等卸売大手との契約締結など、販売開始に向けた準備を始めています。
⑥ 海外での事業展開について
当社グループは、当社グループの開発するiPSC再生医薬品が、国内のみならず、世界各国の難治性疾患の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社の設立等といった形で海外展開に向けた取組みを進めております。
しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 治験の実施について
当社グループは、将来的に、iPSC再生医薬品分野において治験の実施を検討しております。一般的に治験の実施において、いまだ再生医療等製品の治験実施例は多くはないことから、治験に必要とされる患者を適切に確保できないこと、治験実施施設における各種手続きが計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、安全性に関する許容できない問題が生じた場合や、期待した有効性を確認できない場合には、開発を中止するリスクがあります。
このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)やアメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)とも事前に相談し、綿密な計画を立て、治験を実施してまいります。
⑧ 治験データの解析・評価結果、承認申請の不確実性について
当社グループは、現在、体性幹細胞再生医薬品分野において治験を実施しております。一般的に治験データの解析・評価結果において、その結果の確たる予測は困難であり、当社グループの予期せぬ結果となることも想定されます。また、承認申請において、PMDAとの相談の経過によっては、当社グループの想定どおりに進捗せず、同様に当社グループが想定するスケジュールどおりに行うことができない可能性があります。このような場合、当社グループの今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、継続的にPMDAと相談を続けながら、製造・販売承認申請に向けた準備を進めております。
⑨ 投資に関するリスク
当社グループでは、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。また、これらとは別に、当社はSaisei Ventures LLCを通じて、国内外のバイオ領域に成長資金となる投資を行っております。
提携先または投資先において予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、提携先の選定やその投資価額の妥当性等において、第三者機関の評価を得たうえで慎重に進めております。
(2)医薬品の研究開発一般に関するリスク
① 薬価に係る法規制の改正等について
世界的な医療費抑制の流れの中で、薬価に係る法規制の改正により当社グループが想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 製造物責任について
当社グループが開発した医薬品が健康被害等を引き起こした場合、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負う可能性があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材及び組織に関するリスク
① 特定の個人への依存について
当社グループは、小規模な組織であります。また、代表執行役社長CEOである鍵本忠尚は、研究開発や経営方針、戦略の決定、提携先との関係構築等、当社グループの事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めておりますが、何らかの理由により、鍵本忠尚が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 社内管理体制について
当社グループの行う事業の性質上、他の役員及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分も大きく、今後、当社グループの業務の拡大に応じて人員の増強や社内管理体制の充実を図っていく方針でありますが、想定どおりに人材の確保ができない場合や人材の流出が生じた場合、又は社内管理体制に不備が生じた場合には、研究開発の推進や社外との連携関係の構築に支障が生じ、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他の事業リスク
① 大学等公的研究機関との関係について
当社グループでは、これまで、公的研究機関との連携や特許実施許諾契約の締結等を通じて、積極的な研究開発活動を実施して参りました。しかしながら、国立大学の法人化により大学の知的財産権に関する意識も変化しつつあるため、特許実施許諾契約の新規締結や更新が困難となる等の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
当社グループの事業を遂行していく中で、第三者が有する知的財産権を使用することがあります。当社グループでは適法な手続きのもとに知的財産権を使用することとしておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。当社グループでは、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施し、必要に応じて遅滞なく実施許諾契約(ライセンス契約)を締結しておりますが、今後、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われます。
当社グループは、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針でありますが、訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが有する知的財産権が第三者により侵害される可能性もあります。当社グループとしては、このような場合には当社グループの知的財産権保護のために必要な法的措置を検討していく方針ですが、費用対効果や第三者から特許無効審判等を提起される可能性なども勘案し、あえて法的措置に踏み切らない可能性も否定できず、その場合、当該第三者が当社グループと競合する事業を行う可能性も否定できないことから、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 風評上の問題の発生について
当社グループは、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループに関してマスコミ報道などにおいて事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 災害等の発生に関する不確実性について
当社グループが事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、当社グループの設備等に大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 資金繰りについて
当社グループのようなバイオテクノロジー企業においては、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社グループとしましては、新規に模索している提携先からの契約一時金及びマイルストーン収入や補助金の活用、金融機関等からの借入を実施することで資金確保に努め、必要に応じて増資による資金調達を実施する方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 配当政策について
当社グループは創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、現時点においては繰越利益剰余金がマイナスであるため、当分の間は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。
⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、役員及び従業員等に対し、モチベーションの向上を目的に新株予約権を付与しております。また、パイプライン開発や新技術開発等の資金需要に対応するため、新株予約権を発行しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2025年12月31日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、24,404,700株であり、発行済株式総数の21.1%に相当しております。
⑧ 為替変動のリスク
当社グループは、海外に子会社を設立しており、今後、海外企業とのライセンス契約の締結、海外での研究開発活動等において外貨建取引が増加する可能性があります。急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度末において、現金及び現金同等物を5,679百万円保有しておりますが、当連結会計年度における営業損失は3,340百万円、営業活動によるキャッシュ・フローは△3,165百万円となりました。これらの財務指標の状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。
当社は、当該事象を解消すべく2026年1月29日開催の執行役会において第三者割当の方法による新株式及び第
27回新株予約権の発行について決議し、2026年2月13日に払込が完了しております。また、これに加えて、以下の対応策を図ってまいります。
a.継続的な収益源の確保
UDCやiPS細胞株の提供による売上収益に加え、培養上清に関する共同研究を推進し、その成果としての製品の販売による収益の獲得に取り組みます。
b.ARDS治療薬の開発推進
開発が先行しているARDSを対象とする治療薬について国内における条件及び期限付承認申請に向けて速やかに準備を進めます。
c.既存パイプラインにおける提携先の開拓
体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野におけるパイプラインについて製薬会社とのパートナリング、また一部地域における独占的開発・販売権の製薬会社へのライセンスアウトを進めることにより、開発リスク、財務リスクの低減を図ります。
d.コスト削減
従来からの固定費削減を継続し、当社グループの資金状況を見ながら研究開発を進めてまいります。
e.資金調達
第21回、第22回、第26回及び第27回新株予約権の行使による資金調達、補助金等の活用、また他の対応策の状況に応じて必要な資金調達を行っていきます。
これらの対応策を講じること、奏功しない場合にはパイプラインの見直しによる研究開発費の削減、人件費の削減等のさらなるコスト削減を実施していくことから、現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性はないものと判断しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループが取り組む再生医療分野では、政府による健康・医療戦略推進における創薬力強化や基盤技術開発、産業化推進に向けた開発・製造受託(CDMO)の拠点整備等への支援が進められています。また、細胞医学の研究分野では、制御性T細胞の発見による大阪大学の坂口志文特任教授によるノーベル生理学・医学賞の受賞など、新たな治療法の開発に光が当たりました。
このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進しました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳梗塞急性期及び外傷の治療薬HLCM051(骨髄由来体性幹細胞/invimestrocel)の承認取得に向け、それぞれの治験結果に基づき、準備を進めています。
ARDSについては、既に日本国内で完了した第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、米国を中心として実施するグローバル第3相試験(REVIVE-ARDS試験)を検証試験とすることを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向けた準備を進めています。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と承認後の製品の製造法や品質管理、臨床パートに関しても概ね合意しています。2025年4月にはPMDAと、REVIVE-ARDS試験において、国内被検者の組み入れが可能である点について合意しました。同じく2025年4月には、米国Healios NA, Inc.のCSO(Chief Scientific Officer)として、HLCM051の開発に豊富な経験を有するSarah Busch博士を迎え、グローバル治験に向けた準備を含むARDS治療薬開発の体制強化を図っています。2025年12月に発表の通り、REVIVE-ARDS試験の最初の患者組み入れは日本国内で行う予定であり、その後米国を中心としたグローバルでの治験実施を加速してまいります。2026年1月には、REVIVE-ARDS試験の一部として日本国内で先行して実施する治験に向けた治験計画届出書をPMDAに提出し、提出後14日のレビュー期間を経て、本試験を開始する準備が整いました。条件及び期限付承認の申請並びに承認取得、その後の製品販売に向けた準備を継続して進めてまいります。
脳梗塞急性期については、日本国内での条件及び期限付承認申請につき、引き続き規制当局との協議を続け、日本及び米国での治験データに基づき治療薬の開発推進に向けた方針を検討してまいります。
外傷については、米国において米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、156人の患者を対象とした第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。外傷は米国における45歳未満の死亡原因の第1位、全死亡原因の第3位であり、HLCM051の承認後には、米軍等において大規模に採用される可能性があります。
2025年7月に、経済産業省 令和6年度補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業費補助金」において当社の申請事業が採択されました。当社グループは、今後、本事業における新技術導入促進枠としての助成を受けながら、プロセス開発等機能、製造機能、品質管理機能を有した再生医療等製品を製造するサービス提供(CDMO事業)を推進してまいります。なお、2017年2月に締結した株式会社ニコンとの業務・資本提携については、本事業への注力に鑑み、2025年10月をもって解消いたしました。また、2025年10月、Minaris Advanced TherapiesとHLCM051の商用生産に向けた協力体制について発表いたしました。当社独自の3Dバイオリアクター製造プロセスを利用し、コスト削減と大量生産により安定した細胞治療薬の商用生産を目指します。
iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(以下、「eNK®細胞」といいます。)を用いた次世代がん免疫細胞療法に関する研究を進めています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、「UDC」といいます。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めています。
2025年1月に、株式会社Akatsuki Therapeutics(以下、「Akatsuki社」といいます。)と、eNK®細胞を用いた次世代がん免疫細胞療法の研究・開発を推進するための共同事業契約及びライセンスオプション契約を締結しました。これまで当社が単独で実施してきたeNK®細胞の研究開発業務は、当社グループ全体の資源の効率的活用及び資金の機動的調達の観点より、Akatsuki社が主導し、当社はAkatsuki社より研究開発業務を受託します。
眼科領域において、株式会社RACTHERA(住友ファーマ株式会社(以下、「住友ファーマ」といいます。)より、再生・細胞医薬事業を承継。以下、「RACTHERA社」といいます。)とiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法開発を共同で進めています。
また、安定した収益源の確保を目指し、再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清の活用に向けた取り組みを進めています。2026年1月に、培養上清の本格生産に対応するため、神戸バイオメディカル創造センター(BMA)内に細胞加工製造用施設を本格稼働させました。一般社団法人AND medical group(以下、「AND medical社」といいます。)との間で、2024年4月に共同研究契約を締結し、2025年1月には原材料を当社からAND medical社に供給するための供給契約を締結しました。また、2026年1月には、アルフレッサ株式会社との間で、培養上清の継続的な売買に向けた取引基本合意書を締結しました。このほか、複数の有力な取引先との販売に向けた交渉を進めています。
なお、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化に向け、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に継続的に取り組んでいます。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,863百万円増加し、17,054百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ48百万円増加し、12,155百万円となりました。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,815百万円増加し、4,899百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上収益は104百万円(前期比81.4%減)、営業損失は3,340百万円(前期は2,843百万円の営業損失)、税引前当期損失は2,126百万円(前期は4,061百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は2,217百万円(前期は4,235百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて2,007百万円増加し、5,679百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は3,165百万円(前期は1,817百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前当期損失2,126百万円及び金融収益1,415百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,114百万円(前期は1,418百万円の資金の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出960百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は6,335百万円(前期は77百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、新株の発行による収入5,001百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当社は、医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
医薬品事業 |
104 |
△81.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
一般社団法人 AND medical group |
58 |
10.4 |
62 |
59.2 |
|
住友ファーマ株式会社 |
- |
- |
27 |
26.3 |
|
Atlas Biologicals, Inc. |
- |
- |
14 |
13.6 |
|
Astellas Institute for Regenerative Medicine |
470 |
84.0 |
- |
- |
(注)前連結会計年度における住友ファーマ株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRS会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,863百万円増加し、17,054百万円となりました。流動資産は2,166百万円増加し、6,441百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加2,007百万円であります。非流動資産は697百万円増加し、10,613百万円となりました。主な要因は、Saisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等によるその他の金融資産の増加709百万円であります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ48百万円増加し、12,155百万円となりました。流動負債は126百万円減少し、3,224百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の減少123百万円、社債及び借入金の増加450百万円、デリバティブ負債の公正価値の変動に伴うその他の金融負債の減少413百万円であります。非流動負債は174百万円増加し、8,932百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の減少450百万円、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加523百万円であります。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,815百万円増加し、4,899百万円となりました。主な要因は、新株の発行による5,036百万円の増加及び当期損失2,229百万円の計上であります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は104百万円(前連結会計年度比81.4%減)となりました。当社グループが認識している売上収益は、主に実施許諾契約等に基づく契約一時金及びマイルストン収入に関するものであります。前連結会計年度に計上したRPE細胞製造方法等に関するライセンス契約に基づく一時金収入の影響がなくなったこと等により、前連結会計年度と比較して売上収益が減少しております。
(研究開発費、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度においては、体性幹細胞再生医薬品分野におけるARDS、脳梗塞急性期及び外傷に対する治療薬、iPSC再生医薬品分野におけるがん免疫療法を中心とした既存パイプライン並びに培養上清の活用に関する研究開発を推進した結果、研究開発費は2,024百万円(前連結会計年度は1,960百万円)となり、販売費及び一般管理費は1,265百万円(前連結会計年度は1,374百万円)となりました。
(営業損失)
当連結会計年度においては、売上収益を104百万円計上した一方、研究開発費2,024百万円、販売費及び一般管理費1,265百万円、その他の収益69百万円、その他の費用6百万円を計上した結果、営業損失は3,340百万円(前連結会計年度は2,843百万円の営業損失)となりました。
(当期損失)
当連結会計年度においては、Saiseiファンドにおける外部投資家持分への損益振替額923百万円、デリバティブ評価益390百万円が発生したこと等により、1,415百万円を金融収益に計上いたしました。また、有価証券売却損106百万円が発生したこと等により、200百万円を金融費用に計上いたしました。さらに、持分法による投資損失2百万円、法人所得税費用を103百万円計上した結果、当期損失は2,229百万円(前連結会計年度は4,227百万円の当期損失)となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するとともに、資金需要に応じた資金調達を行うことを基本的な方針としております。当連結会計年度においては、主に既存パイプラインを進捗させるための研究開発活動に伴う営業活動によるキャッシュ・フローは3,165百万円の支出となりました。また、連結子会社であるSaisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは1,114百万円の支出となりました。さらに、新株式の発行、Saiseiファンドにおける外部投資家からの払込等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、6,335百万円の収入となりました。これらが資金の主な動きとなり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、5,679百万円となりました。キャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(1)再生医薬品分野に関する重要な契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
iPSアカデミアジャパン株式会社 |
実施権許諾契約 |
2013年2月1日 |
2013年2月1日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・網膜変性疾患の治療用途に使用するため、iPS細胞に由来する網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する細胞製品を開発、製造、使用、販売するための特許権の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
|
国立研究開発法人理化学研究所 |
特許実施許諾契約 |
2013年3月28日 |
2013年3月28日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・多能性幹細胞由来網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療製品を全世界で開発・製造・製造委託・使用・販売・販売委託するための特許権及びノウハウの再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
|
公立大学法人横浜市立大学 |
特許実施許諾契約 |
2014年10月24日 |
2014年10月24日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・多能性幹細胞に由来する細胞又はヒト組織より分離された細胞を有効成分として含む再生医療製品を全世界で研究、開発、製造、使用、販売、輸出入等を行うための特許出願等の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
|
株式会社RACTHERA |
共同開発契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から共同開発行為が終了するまで |
・滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性、網膜色素変性症その他共同開発委員会において合意した疾患を適応症として、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞を再生医療等製品とした製造販売承認の取得及び販売を目的として締結された2013年12月2日付の住友ファーマ株式会社との共同開発契約に関し、以下の変更等を目的として新たな共同開発契約を締結した。 - 共同開発における両社の分担業務につき、主として臨床試験の実施主体を当社から住友ファーマ株式会社へと変更し、これに伴い他の分担業務についても変更した。 - 製造販売承認申請は臨床試験の結果に基づき住友ファーマ株式会社及び当社がそれぞれ検討する。 - 開発費分担の枠組みを変更した。 ・2025年2月1日付で住友ファーマ株式会社の地位を株式会社RACTHERAが承継した。 |
|
相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
株式会社RACTHERA |
実施許諾契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から2039年6月12日まで |
・2019年6月13日付の共同開発契約の趣旨に従い、2013年12月2日付の住友ファーマ株式会社との実施許諾契約における許諾対価算定基準の変更を行った。 ・開発マイルストンとして網膜色素上皮細胞製品の開発の進捗により、総額10億円の実施料の支払いを受ける。 ・日本における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の独占的通常実施権(第三者から非独占的通常実施権を受けているものについては非独占的通常実施権)を住友ファーマ株式会社に許諾する。 ・日本を除く全世界における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を住友ファーマ株式会社に許諾する。 ・全世界における疾患の予防又は治療のためのその他の再生医療等製品の研究、開発、製造、使用、販売、輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を住友ファーマ株式会社に許諾する。 ・2025年2月1日付で住友ファーマ株式会社の地位を株式会社RACTHERAが承継した。 |
|
株式会社RACTHERA |
合弁契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から当社又は株式会社RACTHERAのいずれかが株式会社サイレジェンの株式の全てを保有しなくなった日又は同社を解散し清算結了登記をした日まで |
・株式会社サイレジェンの設立及び運営に関して締結された2013年12月2日付の住友ファーマ株式会社との合弁契約につき、2019年6月13日付の共同開発契約の趣旨に従い、以下の変更を行った。 - 当社と住友ファーマ株式会社の両社が製造販売承認申請を行う場合、株式会社サイレジェンに網膜色素上皮細胞製品の製造等を委託する。 ・2025年2月1日付で住友ファーマ株式会社の地位を株式会社RACTHERAが承継した。 |
|
株式会社RACTHERA、株式会社サイレジェン |
共同実施許諾契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から2019年6月13日付の株式会社RACTHERAとの実施許諾契約が終了するまで |
・住友ファーマ株式会社と締結した2019年6月13日付共同開発契約及び実施許諾契約の趣旨に従い、2014年5月28日付の共同実施許諾契約における以下の変更を行った。 - 株式会社サイレジェンが住友ファーマ株式会社及び当社に対し許諾の対価として支払う、正味売上高に対する料率を変更した。 ・日本における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を、住友ファーマ株式会社及び当社が共同で株式会社サイレジェンに許諾する。 ・2025年2月1日付で住友ファーマ株式会社の地位を株式会社RACTHERAが承継した。 |
|
相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
iPSアカデミアジャパン株式会社 |
特許実施許諾契約 |
2021年6月24日 |
2020年9月15日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・2013年2月1日付実施権許諾契約において当社に許諾されたiPS細胞に由来する網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する細胞製品を開発、製造、使用、販売するための特許権の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)の許諾分野追加に伴い、当社に対し新たに非独占的通常実施権を許諾する。 ・当社は許諾の対価として、一定の実施料を支払う。 |
|
国立大学法人広島大学 |
共同研究契約 |
2021年10月1日 |
2026年3月31日まで |
・他家iPS細胞由来NK細胞を用いて肝細胞がんに対する抗腫瘍効果をin vitroで特性解析した後に、担がんヒト肝細胞キメラマウスなどの動物モデルで評価する。 ・当社は研究経費を支払う。 |
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株式会社セルファイバ |
特許等ライセンス契約 |
2022年3月23日 |
許諾対象となる特許権等が消滅するまで |
・ファイバ形成装置を使用した製品の研究、開発、製造、使用、販売等するための特許権等の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は契約締結時に一時金として50百万円(税抜)を支払うとともに、将来的に一定の実施料を支払う。 |
|
RxCell Inc. |
License Agreement |
2022年9月21日 |
期限の定めなし |
・RxCell社が網膜前駆細胞、神経細胞、その他当社と競合しない特定の3種類の細胞を作製・販売するために、当社のGMPグレードの商業用iPS細胞株の一つを提供し非独占的に使用する権利を許諾する。 ・許諾の対価として、当社は契約締結時に一時金として50万米ドルを受け取るとともに、将来的に一定の実施料を受け取る。 |
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佐竹マルチミクス株式会社 |
資本業務提携契約 |
2022年10月18日 |
2026年9月30日 |
・当社が開発するeNK®細胞を用いた再生医療等製品の製造に利用するための佐竹マルチミクス社の培養装置の改良に向けた検討を行う。 ・佐竹マルチミクス社は生産培養装置カスタマイズ全般及びそれに付随する支援業務を分担し、当社は、eNK®細胞の生産培養条件等に関する情報提供並びに培養評価を分担する。 ・当社は、佐竹マルチミクス社に対して第三者割当方式によって当社普通株式を付与した。 |
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AND medical group |
共同研究契約 |
2024年4月9日 |
2024年4月5日から対価の支払いが完了する日まで |
・AND medical社が行う新たな治療法に関して当社が再生医薬品の技術及び原材料を提供する。 ・当社は契約締結時に一時金として60百万円(税抜)を受領するとともに、その後、契約の進捗に応じて対価を受領し、一時金と合わせ総額1億80百万円(税抜)を受領する。 |
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国立研究開発法人理化学研究所、国立大学法人大阪大学 |
特許実施許諾契約書 |
2024年4月17日 |
2024年4月17日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・網膜色素上皮細胞の製造方法に基づき取得される特許権を実施して得られる製品を全世界で研究・開発・製造・使用・輸出入・販売・製造委託・販売委託するための再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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アルフレッサ株式会社 |
業務提携基本契約 |
2024年6月5日 |
2024年6月5日から当社からアルフレッサ社への資産譲渡及び知的財産権の非独占的通常実施権の付与が完了する日まで |
・(1)当社のパイプライン製品の日本国内における独占的卸売販売権及び当該製品の治験薬の日本国内における独占的な輸送・配送に係る権利、(2)幹細胞培養上清液及び幹細胞培養上清液を原材料とする製品の事業化並びに本製品の日本における総販売代理店又は独占販売の権利及び(3)自動冷凍解凍在庫管理システムの日本における事業化及び日本における同製品の独占販売の権利をアルフレッサ社に付与する。 |
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Astellas Institute for Regenerative Medicine |
ライセンス契約 |
2024年6月19日 |
2024年6月19日から許諾した特許権全ての満了日まで |
・当社が国立研究開発法人理化学研究所及び国立大学法人大阪大学と共有する網膜色素上皮細胞の製造法ならびに大阪大学と共有する網膜色素上皮細胞の純化法に関する特許を、日本以外の全世界における出願国でAstellas Institute for Regenerative Medicineに非独占的に許諾する。 ・当社は契約締結時に一時金として3百万米ドルを受領するとともに、当該特許を用いて開発及び製造された製品が米国において承認を受けた時点で、マイルストンとして8百万米ドルを受領する。 |
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AND medical group |
培養上清供給契約 |
2025年1月17日 |
2025年1月17日から2028年1月16日まで |
・AND medical社が今後新たに提供する治療法や化粧品の原材料となる培養上清を当社が供給する。 |
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株式会社Akatsuki Therapeutics |
共同事業契約 |
2025年1月20日 |
2025年1月20日からライセンス契約の終了まで |
・eNK®細胞の研究開発業務をAkatsuki社が主導し、当社はAkatsuki社より研究開発業務を受託する。 |
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株式会社Akatsuki Therapeutics |
ライセンスオプション契約 |
2025年1月20日 |
2025年1月20日からライセンス契約及びEquity契約の両方が締結された時まで |
・当社はAkatsuki社に対して、がん領域を中心とするあらゆる領域におけるeNK®細胞についての研究・開発・製造・販売に関するライセンス契約を締結するオプション権を付与する。 |
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国立大学法人九州大学 |
共同研究契約書 |
2025年10月14日 |
2026年3月31日 |
・当社の開発するCAR-eNK細胞の脳腫瘍に対する抗腫瘍効果等をin vitroおよびin vivoにおいて評価する。 ・当社は研究経費を支払う。 |
(2)その他重要な契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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Maven Investment Partners Ltd、CVI Investments, Inc.、Panview Asian Equity Master Fund、Gemseki投資事業有限 責任組合、Benjamin Ferguson氏、James Paradise 氏、鍵本忠尚氏及びリチャード・キンケイド氏 |
Securities Purchase Agreement |
2023年7月19日 |
期限の定めなし |
・左記記載の8契約当事者に対し、第三者割当による新株式及び第21回新株予約権を発行した。 ・新株予約権行使可能期間は、2023年8月10日から2028年5月9日まで。 |
|
Athos Asia Event Driven Master Fund、New Holland Tactical Alpha Fund LP、BlueHarbour MAP I LP、OrbiMed Genesis Master Fund, L.P. |
Securities Purchase Agreement |
2025年1月27日 |
期限の定めなし |
・左記記載の4契約当事者に対し、第三者割当による新株式及び第26回新株予約権を発行した。 ・新株予約権行使可能期間は、2025年2月14日から2028年5月9日まで。 |
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Athos Asia Event Driven Master Fund、Oasis Investments II Master Fund Ltd.、Inicio Master SPC – Segregated Portfolio A |
Securities Purchase Agreement |
2024年1月25日 |
期限の定めなし |
・左記記載の4契約当事者に対し、第三者割当による新株式及び第22回新株予約権を発行した。 ・新株予約権行使可能期間は、2024年2月13日から2028年5月9日まで。 |
|
アルフレッサ株式会社 |
第1回普通社債及び第2回普通社債買取契約証書 |
2024年6月5日 |
2024年6月5日から第1回普通社債は2027年6月28日まで、第2回普通社債は2030年6月28日まで。 |
・当社は、アルフレッサ社に対して私募により第1回普通社債及び第2回普通社債を発行した。 |
当連結会計年度においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
(1)体性幹細胞再生医薬品分野
当連結会計年度において、体性幹細胞再生医薬品HLCM051を用いて、国内外でARDS、脳梗塞急性期及び外傷に対する治療薬の開発を進めました。
<炎症>
ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施し、2021年8月と11月に、HLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表しました。その中で、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。2024年9月に、米国を中心としたHLCM051のグローバル第3相試験(REVIVE-ARDS試験)の実施について、米国FDA(Food and Drug Administration)と協議を行い、REVIVE-ARDS試験のデザインについて、当社の要望に沿ったかたちで合意しました。REVIVE-ARDS試験の具体的なデザインを確定し、準備が整い次第、米国を中心としたグローバル治験を開始する予定です。日本においては、既に日本国内で完了した第2相試験(ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、検証試験としてREVIVE-ARDS試験を実施することを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向け準備を進めています。2025年4月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と、REVIVE-ARDS試験において、国内被検者の組み入れが可能である点について合意しました。2026年1月には、REVIVE-ARDS試験の一部として日本国内で先行して実施する治験に向けた治験計画届出書をPMDAに提出し、提出後14日のレビュー期間を経て、本試験を開始する準備が整いました。なお、ONE-BRIDGE試験の臨床データの一部に関する論文が、2025年3月、日本再生医療学会の査読付きジャーナル“Regenerative Therapy”に掲載されました。
脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第2/3相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施し、2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了しました。同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しましたが、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。2023年10月には米国・欧州で実施している治験(治験名称:MASTERS-2試験)の中間段階でのデータ解析を行いました。2025年4月には「日本語版医療特化型LLMの社会実装に向けた安全性検証・実証」がNEDOに採択され、本計画に当社も参画いたします。この計画内で用いられる脳卒中の患者さんに関する多施設共同脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry:FSR)の活用も含め、国内での条件及び期限付承認申請に向けた対応について、規制当局との相談を進めています。
外傷を対象とした治療薬の開発においては、米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、テキサス大学ヒューストン・ヘルスサイエンス・センター(UTH)及びメモリアル・ハーマン・メディカル・センターにおいて、156人の患者を対象に、外傷による多臓器不全/全身性炎症反応症候群へのHLCM051を用いたプラセボ対照二重盲検第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。MATRICS-1試験では、HLCM051投与後30日の腎機能の回復を主要評価項目としています。欧米において既に実施されたARDS患者に対する第1/2相臨床試験(治験名称:MUST-ARDS試験)のデータのうち、重度の腎機能障害を併発していた患者を抽出したサブグループ解析(20例)を行い、その結果を2025年10月に発表いたしました。それによると、プラセボ投与群と比較し、HLCM051投与群において腎機能障害の改善傾向が見られました。HLCM051が持つ抗炎症作用や免疫調節作用が、腎機能障害の改善に寄与する可能性を示唆しているものと考えています。
(2)iPSC再生医薬品分野
当連結会計年度において、がん免疫細胞療法(開発コード:HLCN061)、細胞置換に関する研究開発を進めました。
<がん免疫細胞療法>
eNK®細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫細胞療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK®細胞の作製に成功しており、さらに大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫細胞療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社の自社管理による細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手しております。2025年1月には、Akatsuki社と共同事業契約およびライセンスオプション契約を締結し、同社が研究開発を主体的に推進してまいります。
現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、国立がん研究センターが保有する複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)移植マウスを用いてヒト肺がん組織に対するeNK®細胞の抗腫瘍効果を確認しています。また、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、国立大学法人広島大学とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。2025年10月には、国立大学法人九州大学と、CAR-eNK細胞を用いた脳腫瘍に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究契約を締結しました。自社研究においては、eNK®細胞が中皮腫皮下移植モデルマウス、肺がん同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、及び胃がん腹膜播種モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*1においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。現在、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAや米国FDAと相談を進めています。なお、2025年7月、eNK®細胞の固形がんに対する抗腫瘍効果に関する学術論文が、がん免疫学および免疫療法分野における研究論文集である、“Stem Cell Research and Therapy”に掲載されました。
*1 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造をもつ組織・細胞
<細胞置換>
iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。研究開発の推進に向け、米国子会社(Healios NA, Inc.)を通じた補助金の活用等を進めています。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。2025年8月には、UDCに関する日本での特許が成立し、移植細胞の原材料となる再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームとして、その技術的独自性が正式に認められました。
眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発をRACTHERA社と共同で進めており、住友ファーマとも連携して、網膜色素上皮裂孔の患者を対象とする第1/2相試験を進めています。
従来より肝疾患領域において、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と進めていた、肝疾患に対する肝臓原基*2(開発コード:HLCL041)を用いた治療法の開発、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした研究につきましては、当社からカーブアウトした上でベンチャーキャピタル等の外部パートナーと共同で研究開発を推進する方向で準備を進めています。
新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対するさらなる治療法の研究を目的に、国内外の企業・研究機関10社以上にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を実施しています。
*2 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。