第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「技術と信頼と挑戦で、健全で活力にみちた企業を築く。」を企業理念として、お客様や社会のニーズに応え、独創的で高品質な製品やサービスを創造し、提供することにより、社会にとってかけがえのない存在になることを目指しています。さらに、企業の持続的な価値創造と、より良い社会の実現を目指し、社会的責任を果たすことを経営の基本としています。

 ダイカストと完成商品をあわせもつ企業として発展させ、お客様はもとより、株主、取引先の皆様や社員など、当社グループと関係を持っていただいている方々に、当社グループと関わってよかったと思っていただけるよう最善の努力を尽くします。

 また、CSRやESG、SDGsの重要性を認識し、コーポレートガバナンス、環境保全、社会貢献活動、健康経営、安全で働きやすい職場づくり、積極的な企業情報の開示などを推進します。

 

(2)目標とする経営指標

 企業が社会から求められる要件は多様化し、業績の向上はもとより、様々な社会的責任を果たすことなど、いろいろな面に及んでいます。当社グループはこれらに対する取り組みを強化し、充実をはかっています。

 業績の面では利益を伴う売上高の拡大と原価低減に注力しながら、積極的な技術開発や新商品開発を進めるとともに、自己資本利益率の向上、フリーキャッシュ・フローの増大を目指しています。

 

(3)経営環境、中長期的な経営戦略と対処すべき課題

 当社グループが将来へ向けて成長・発展し続けるためには、競争力を強化し、収益力を向上することが不可欠です。当社グループならではの技術、製品、サービスを提供し、それぞれの事業分野で一層存在感のある企業になるよう、種々の取り組みを行っています。

 また、ESG経営を推進し、経営環境の変化に対応して安定した利益を出すことのできる企業になるよう、事業活動から生じる環境負荷を低減するための取り組みを強化し、品質保証能力、技術開発力や生産性の向上、積極的な営業活動、魅力ある製品作りやサービスの提供に引き続き努めていきます。

 なお、2025年から2027年の3ヵ年を対象とする中期経営計画において、次の3項目を基本方針として取り組んでいます。

基本方針A

(事業の面)

市場におけるプレゼンスの向上

・収益性の向上

・効率性の向上

・成長力の強化

基本方針B

(組織の面)

安全で働きやすく健康で活力ある職場づくり

・労働安全衛生、心とからだの健康推進

・多様な人材活躍推進

・ICTやAIなどのデジタル技術活用

基本方針C

(環境・社会の面)

環境・社会問題への対応

・環境負荷低減活動の推進

・持続可能なサプライチェーンとの共創

・ガバナンスの強化

 

 セグメント毎の事業環境及び事業展開の方向性は次のとおりです。

 

①ダイカスト事業

 ダイカスト事業の主要市場である自動車産業においては100年に一度の変革期と言われており、CASE(Connected/接続、Autonomous/自動化、Shared/共有、Electric/電動化)の進展や燃費規制による軽量化ニーズの高まりが進み、当社グループが現在主力としている製品群の需要が将来的には変化していくことが予想されます。

 そのような環境の中で、当社グループは世界中の取引先のニーズに対応できる開発・供給体制のもと、グローバルな自動車部品サプライヤーになることを目指しています。

 日本、米国、メキシコ、英国、中国及びタイに拠点を構え、世界トップクラスのダイカストメーカーとしてのノウハウを活かして、グローバルに自動車メーカーなどとの関係を強化しています。営業力の強化、新工法の開発、価格競争力の強化、生産現場での自動化推進、生産性の向上などに取り組みながら、国内・海外での受注拡大を進めています。また、今後は超大型部品の需要が高まると予想し、2025年3月にダイカスト専業メーカーとしては日本で初めて型締力6,500トンのダイカストマシンを導入しました。また、「ギガキャスト」と呼ばれる超大型ダイカストの技術開発にも取り組んでいきます。自動車市場は、国内は中長期的に縮小が予想されますが、海外は拡大が期待されるため、収益性を考慮しながら積極的な受注活動と設備投資を進めています。

 リサイクル性に優れたアルミニウムダイカストは、軽量かつ耐久性に富み、自動車の軽量化に貢献し、省エネルギー・省資源など環境保全にも有効な技術としても注目されています。当社グループは高品質な製品、付加価値の高い製品の開発に一層注力していきます。自動車の軽量化ニーズに応えるための工法開発を進めるとともに、次世代車のパワートレイン部品や電装部品、また、車体部品や足回り部品等のダイカスト化にも積極的に取り組んでいきます。

 

②住建機器事業

 住建機器事業の主力市場である国内市場においては、住宅市場は長期的に緩やかに縮小し、ビル市場はテレワークの普及によるオフィス需要の減少が予想されます。

 そのような環境の中で、当社グループは国内ドアクローザ市場のマーケットリーダーとして、施工性や快適性を追求した商品開発と事業全体の収益性向上を目指しています。主力商品であるドアクローザや引戸クローザの機能性や意匠性を追求して、ビル市場、住宅市場でお客様に満足していただける電動開閉装置などの高機能な新商品開発に取り組みながら、施工現場の要求にもきめ細かく対応し、更なるシェア拡大に取り組んでいきます。

 また、国内での顧客対応力向上などを目的に、生産体制の見直しを進めています。海外については、各地域のニーズに応じた商品開発や販売力の強化に取り組んでいきます。

 

③印刷機器事業

 印刷機器事業においては、紙離れ、省人化のニーズが高まる一方、パッケージ印刷を中心とした高付加価値印刷の需要は堅調に推移すると予想しています。

 そのような環境の中で、当社グループは「ともに、世界へ彩りを。」をテーマに、独創的な技術をもとに、高品質な印刷機やサービスをグローバルに提供し、豊かな社会づくりに貢献することを目指しています。

 小型から大型まで豊富なバリエーション(サイズ・機能・仕様等)を取り揃えるオフセット枚葉印刷機を中心に、環境に配慮した商品を開発・製造し、国内及び海外で幅広く販売しています。また、需要が拡大している印刷通販市場、包装印刷市場での拡販を進めるとともに、国内、海外のお客様のニーズに最適なソリューションを提供するため、印刷にかかわる自動化にも注目して、印刷業界への提案力の強化とサービスの提供により信頼関係を深めることに取り組んでいきます。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

 当社グループは、企業理念「技術と信頼と挑戦で、健全で活力にみちた企業を築く。」のもとで、持続的な価値創造と持続可能な社会の実現をめざし、社会的責任を果たすことを経営の基本としています。また、「リョービ企業行動憲章」「リョービ自主行動規準」を定め、全ての法律、国際ルール及びその精神を遵守するとともに社会的良識をもって行動し、単に公正な競争を通じて利潤を追求する経済主体であるだけでなく、広く社会から有用な存在として信頼され、持続的な成長と企業価値の向上が実現できる企業風土と組織体制づくりを進めています。

 

 

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 当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組む重要課題として10項目のマテリアリティを特定しました。ステークホルダーの意見を反映させて事業を取り巻く現状を認識し、環境・社会・ガバナンスの視点からマテリアリティの検討を行い、社会課題に対して「ステークホルダーにとっての重要度」と「自社にとっての重要度」の2軸から評価・優先順位付けを行い、妥当性の検証を経て特定しました。そして、これらマテリアリティとSDGsとの関連性を明確にして当社グループのサステナビリティに関する取り組みを決定し、施策を策定して中期経営計画に落とし込んで実行しています。

 当社グループのサステナビリティに関する重要事項の意思決定(審議・決議)及び取り組みの監督は取締役会で、サステナビリティに関する取り組み状況と進捗の確認は執行役員を中心とする業務執行に関する諸会議の中で行っています。また、取締役会のもとに、代表取締役社長を委員長とするリョービCSR推進委員会・リョービコンプライアンス委員会・リョービリスク管理委員会を設けてガバナンス体制の強化を図り、環境保全、社会貢献、コンプライアンス、適正な取引、情報開示、リスク管理等を主管する部署・委員会が横断的に連携しながら、サステナビリティに関する活動を推進しています。

 

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マテリアリティ

特定理由

指標

2027年12月期計画

関連するSDGs

自動車の軽量化

・電動化への

対応

アルミダイカスト製品の適用領域・可能性の拡大により、お客さまの

軽量化ニーズに応えることが、社会全体のCO₂排出量削減につながる。

軽量化部品(ボディ・シャシー)、電動化部品の売上高

構成比率

37%

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気候変動への

対応

気候変動は世界中の人々の生活環境を脅かす深刻な問題であり、製造業である当社もまた、環境負荷の低減に取り組む責務を負っている。

Scope1+2のCO₂排出量

276千t-CO₂

Scope3のCO₂排出量削減に向けた取り組み推進

環境負荷の低減

廃棄物を最小限に抑えることは、

企業の大きな責任と位置付けら

れる。

廃棄物再資源化率(注1)

99%以上を維持

多様性の推進

多様性を認めることは、強みを増幅させ、弱みを補い合うことになり、高い競争優位性の確保につながる。

女性社員における管理・監督職者比率(注2)

23%以上

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管理職に占める女性社員比率(注2)

10%以上

男性の育児休業等取得率

(育児目的休暇を含む)(注2)

90%以上を維持

人材育成

ノウハウの蓄積、組織力の強化は、競争優位性の強化や生産性の向上につながる。

一人当たり研修費用

(教育訓練費)(注2)

20%以上増(2023年比)

働きやすい

職場環境の構築

安全かつ健康で活力のある働きやすい職場は持続的成長の基盤と位置付けられる。

ワークエンゲージメント

スコア(注2)

50以上

休業災害件数(注1)

0件

休業災害度数率(注1)

1.2以下

ICTやAIなどの

デジタル技術の活用

デジタル技術は、私たちのビジネスモデル、生産プロセスを根本から変えうる力を持っている。

・DX推進会議において全社横断的なDX推進に向けた取り組みを推進

・社員一人ひとりのDXリテラシー向上を目的とした教育を実施

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コーポレート

・ガバナンス

の強化

環境変化に即した取締役会の監督体制を構築し、コーポレート・ガバナンスを高度化することは、マテリアリティの目標達成を支える基盤となるため。

年1回取締役会の実効性評価を行い、継続的な評価と対応を行う

 

コンプライア

ンスの取り組み強化

社会との信頼関係が大切であり、「信頼」はリョービの経営の基本と位置付けられる。

法令や自主的規範への重大な違反(品質不正・不適切な取引等)の件数

0件の継続

人権の尊重

社員ならびに取引先の人権への配慮は、事業の長期的な持続には必要不可欠と位置付けられる。

サステナブルガイドライン(人権方針や調達方針など)の制定と周知

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(注)1.対象はリョービ株式会社と国内グループ会社

2.対象はリョービ株式会社

 

②リスク管理

 当社グループでは、2008年に「リスク管理規程」を制定し、サステナビリティに関するリスクをはじめ経営・事業全体を取り巻く様々なリスクを統括して管理する組織として、代表取締役社長を委員長とする「リョービリスク管理委員会」を設置しています。当委員会では、リスク管理の基本方針を策定し、全部署・国内外の全グループ会社と連携して、毎年、横断的にリスクの抽出・識別・評価を行い、リスクレベル(影響度×発生頻度)の特定と対応策の立案・実施、対応結果の検証と残存リスクのモニタリングを通じてリスクの低減・未然防止・発生時の影響緩和を図っています。

 リスクへの対応状況は、当委員会とISO14001運営組織が連携を図りながら四半期ごとに進捗を確認してPDCAを回しています。さらに、年に1回以上、リスクレベルの高い重要リスクの種類と対策状況を取締役会へ報告し、監督・助言を通じて経営に反映させることでリスクを管理する仕組みを構築しています。

 リスクの発現により危機的かつ緊急を要する事態が発生した場合には、「危機管理取扱規程」に基づいて「危機対策本部」を設置し、グループが一体となって危機的事態を回避するための組織体制を整えています。

 なお、気候変動リスクについては、2023年6月にTCFD提言への賛同を機に、リスク管理委員会の中にTCFD部会を新設してシナリオ分析を行い、リスク及び機会を特定して影響度を議論し、対応策を策定してカーボンニュートラルや循環型社会の実現に向けた取り組みを進めています。

 

(2)気候変動

 気候変動や自然災害の増加がグローバルな喫緊の課題として認識される中、国連におけるパリ協定の採択を契機として、気候変動問題に対して持続可能な社会の構築に向けた企業行動の重要性は高まっています。

 当社グループは社会の様々な負荷を軽減していきたいという思いを込めて、中期的テーマ「セカイヲ軽クスルカンパニー」を掲げており、ダイカスト技術による自動車の軽量化への貢献をはじめ、カーボンニュートラルや循環型社会の実現に向けた様々な取り組みを行っています。また、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の枠組を活用し、気候関連財務情報の開示を推進します。TCFD提言に沿って特定した機会の実現及びリスク管理のための対応を行い、カーボンニュートラルに向けた貢献及び企業の持続的な発展を目指していきます。

 

①ガバナンス

 取締役会の監督のもと、気候変動に関するリスクは「リョービリスク管理委員会」で全社のリスクに統合・管理しており、機会の管理については経営戦略の策定や進捗を管理する「業務執行諸会議」において行っています。

 「リョービリスク管理委員会」は、リスク管理規程に基づき、代表取締役社長を委員長とし、リスクを統括して管理するために設置しており、気候変動関連及び全社リスクの評価・管理及び対応の立案や取り組み遂行状況のモニタリングなどを実施しています。また、取締役会に年に1回、リョービとして特に重要と認識した気候変動及びそれらリスクへの対応を報告し、取締役会は同委員会に対して監督・助言をし、経営に組み込んでいく体制を構築しています。

 「業務執行諸会議」は、すべて代表取締役社長を議長として月1回以上開催しています。その中で、取締役会メンバー参加のもと、年に1回以上経営戦略の策定会議を、四半期に1回以上経営戦略の進捗会議を開催し、気候変動に関する問題を重要な要素の1つとして考慮し、総合的に審議・決定しています。

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②戦略

 TCFDが提唱するフレームワークに則り、「ダイカスト事業」「建築用品事業(住建機器事業)」「印刷機器事業」を対象として、全社として取り組むべき事項と事業別に取り組むべき事項の観点で検討を行い、気候変動関連のリスク及び機会を特定しました。なお、気候変動関連のリスク及び機会の分析にあたり、移行面での影響が顕在化する「2℃シナリオ」及び「1.5℃シナリオ」、物理面での影響が顕在化する「4℃シナリオ」を想定し、シナリオ分析を実施しました。

 

設定シナリオと社会像

主な参照シナリオ

4℃シナリオ:

現状を上回る気候変動対策が取られず、物理リスクの影響が顕在化する

物理面

Representative Concentration Pathway

(RCP 6.0,8.5)、IPCC*1

移行面

Stated Policies Scenario (STEPS)、IEA*2

2℃シナリオ、1.5℃シナリオ:

現状を上回る気候変動対策が取られ、

移行リスクの影響が顕在化する

物理面

Representative Concentration Pathway

(RCP 1.9,2.6)、IPCC*1

移行面

Sustainable Development Scenario (SDS)、IEA*2

Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)、IEA*2

*1:気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)

*2:国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)

 

 当社グループが特定した、短期・中期・長期的に重要な気候関連のリスク及び機会と、中期的影響度及び今後の戦略的対応については次の表のとおりです。

*短期:1年以内、中期:2030年を想定、長期:2050年を想定

 

 

分類

要因

財務影響

影響度*

時間軸

対応策

1.5、

2℃

4℃

移行

リスク

政策・規制

炭素税導入による原材料コスト増加

中~長期

製品設計時の軽量化や材料置換、材料リサイクル率の向上、製品不良率低減による使用原材料の削減

炭素税導入による

エネルギーコスト増加

中~長期

・ダイカスト溶解炉における燃焼効率改善や非化石燃料への転換等の省エネルギー施策の推進

・ダイカスト製品の小型化、デジタル技術の活用による生産効率化や工程改善、生産技術改善や最適材料選定による製造エネルギー削減

・工場への再生可能エネルギー利用(太陽光、水力発電設備等)の推進

・設備投資判断におけるインターナルカーボンプライシングや省エネ性判断の導入

炭素税導入による輸送

コスト増加

中~長期

需要に応じた適切な生産拠点の選定や梱包歩留まり改善等の効率化による輸送コスト削減

政策・規制

技術

市場

ZEV・低炭素自動車への移行による、ICE向けダイカスト製品(エンジンブロック・トランスミッションケース等)の売上減少

中~長期

軽量化部品(ボディ・シャシー)、電動化部品の販売拡大:

2027年までに戦略製品である軽量化部品、電動化部品の売上高構成比率を41%まで引き上げる目標を設定し製品構成をシフト

技術

競合材料の低炭素化(樹脂・低炭素鉄・バイオ素材)によるアルミニウム需要低下に伴うダイカスト製品の売上減少

中~長期

環境配慮型製品・材料の研究開発

(軽量化部品(ボディ・シャシー)への非熱処理系リサイクル材開発等)

市場

原材料の需要拡大に伴う、価格高騰・調達コスト増大

中~長期

・需要に応じた適切な調達先の選定や、原材料調達に関するリスクマネジメントの推進

・製品設計時の軽量化や材料置換、材料リサイクル率の向上、製品不良率低減による使用原材料の削減

印刷資材価格高騰やエネルギー消費量削減を起因としたデジタル化の加速による、印刷機器事業の売上減少

中~長期

印刷機の自動化、省力化、他社機連携によるスマートファクトリー化の実現

物理

リスク

急性

異常気象(台風、洪水、大雨等)に伴う、災害によるサプライチェーン分断、生産拠点の製造能力の低下に伴う売上減少

短~長期

・各拠点の洪水リスク分析・モニタリングの実施、浸水対策計画・マニュアルの策定、水害訓練実施

・BCP(事業継続計画)の強化

・調達先の分散・多様化によるサプライチェーン強化

慢性

気温上昇に伴う電気使用量増加による、エネルギーコスト増加

中~長期

主に、「炭素税導入によるエネルギーコスト増加」に対する対応策にて対応

*2030年を想定した中期的影響度

 

 

分類

要因

財務影響

影響度*

時間軸

対応策

1.5、

2℃

4℃

機会

エネルギー源

再生可能エネルギー設備等の価格低下による、生産拠点における再生可能エネルギー導入コスト低減

中~長期

工場への再生可能エネルギー利用(太陽光、水力発電設備等)の推進

製品及び

サービス

・ZEV・低炭素自動車製品(バッテリー、軽量化部品)の需要拡大や、サステナブルなアルミダイカストへの材料置換推進に伴う、ダイカスト製品の売上増加

・アルミと他の軽量材とのマルチマテリアル接合技術による部品の多様化ニーズ拡大に伴う、ダイカスト製品の売上増加

中~長期

軽量化部品(ボディ・シャシー)、電動化部品の売上増加に向けた技術開発力強化(レーザー溶接などの接合技術を用いた高機能化)

高気密のビルの需要増加に伴う、電動式ドア開閉装置の売上増加

中~長期

電動式ドア開閉装置の売上増加に向けたマーケティング及び商品開発力の強化

デジタル印刷への移行加速に伴う、デジタル印刷機及び周辺ビジネスの需要拡大

中~長期

他社との連携強化を生かした商品開発による、デジタル化への対応

アルミ大型一体製品ニーズを取り込むことによる、ダイカスト製品の売上増加

中~長期

・アルミ一体型製品受注に向けた低圧力・鋳造機のダウンサイジング技術蓄積

・超大型鋳造機導入による大型鋳造部品の製造技術・金型技術の確立

*2030年を想定した中期的影響度

 

 

③リスク管理

 「リョービリスク管理委員会」は、リスク管理の基本方針に沿って、経営が関与すべき中長期を含む重要な気候関連リスク及び全社のリスクを特定し、対応方針を示して当該リスクの所管部門、グループ会社へ対応を指示しています。当該リスクについては、年に1回グループ全体で影響度と発生頻度のレベルなどに基づいてリスク特定・評価の見直しを実施し、当委員会に報告されます。特定した重要リスクのうち緊急を要するような危機的な事態については、危機管理取扱規程に基づき、危機対策本部を中心とした推進体制によって取り組んでいます。

 

④指標と目標

炭素税に係るリスクを評価する際の指標

 気候関連のリスクとして特定した、炭素税導入に関連するリスク・機会を評価するため、「Scope1+2排出量」を指標とします。当社では、マテリアリティの一つとして「気候変動への対応」を掲げており、2050年までのカーボンニュートラルの達成を目指しています。

 

CO2削減目標

 当社グループはCO2削減に取り組んでおり、省エネルギー設備の導入促進や再生可能エネルギーの利用(太陽光発電、水力発電等)を進め、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指しています。

・長期目標:2050年までにカーボンニュートラルを達成する

・中期目標:2030年までにCO2排出量を2018年度比で47%以上削減する*(国内・海外とも)

 *CO2削減量は、Scope1とScope2の絶対量

 

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ZEV・低炭素自動車への移行に関するリスク・機会を評価する際の指標

 気候関連のリスクとして特定した、ZEV・低炭素自動車への移行に関連するリスク・機会を評価するため、ダイカスト事業における「軽量化部品(ボディ・シャシー)、電動化部品の売上高構成比率」を指標として用います。なお、ダイカスト事業は連結売上高の88.7%(2025年12月期)を占めており、当社にとって主要な事業セグメントとなります。

 

軽量化部品(ボディ・シャシー)、電動化部品の売上高構成比率目標と実績

・2027年12月期の目標:41%

・2025年12月期の実績:23.4%

 

 

(3)人的資本に関する取組

①人事戦略の基本方針

 安全かつ健康で活力のある働きやすい職場こそ持続的成長の基盤です。人事戦略の基本方針は、「社員が心身ともに健康で、それぞれの個性や能力を最大限に発揮し、企業価値を高める」です。

 これは当社の企業理念である「技術と信頼と挑戦で健全で活力にみちた企業を築く」をベースにしたものです。お客様や社会のニーズに応え、独創的で高品質な商品やサービスを創造し、提供することにより、社会にとってかけがえのない存在になることを目指しています。それは、社員をはじめ、リョービに関わった人たちがリョービファンになってくれることにつながると考えているためです。

 人事戦略の基本方針を実現するために、「人材育成の強化」と「ワークエンゲージメントの向上」に取り組んでいきます。

 

a.人材育成の強化

<人材育成方針の概要>

(ⅰ)広い視野(知識を広げ深めていく)

 専門分野の知識だけでなく、幅広い分野の知識の習得、グローバルな視野を持たせる

(ⅱ)知性

 論理的にものごとをとらえ、状況を的確に把握・分析・判断し、問題解決につなげる

(ⅲ)感性

 感じ取る力を高め、視野を広げ、個々のレベルアップにつなげる

(ⅳ)知性と感性を磨く

 問題意識をもち、自分の力(“前向きにとらえる力”、“自分らしく活躍する力”)を伸ばす

(ⅴ)勇気を持って未来に挑戦

 常に問題意識を持ち、役割や使命を認識し、新しい目標に挑戦する勇気と行動力を併せ持つ

 

<人材育成のための教育>

 新入社員研修、中堅社員研修、各種階層別研修、異文化適応研修、ダイバーシティ研修、マネジメントレビューミーティング、マイクロラーニングなど

 

<人材育成のための仕組み>

 キャリア開発委員会、社内公募制度、人事考課制度(役割発揮やチャレンジ度の評価)、昇格審査、総合サーベイ(ストレス・エンゲージメント調査)、360度評価など

 

b.ワークエンゲージメントの向上について

 当社では、2018年9月に掲げた「リョービグループ健康宣言」に基づき、健康経営で解決したい課題を明確にし、その課題を解決するための取り組みと期待する効果のつながりを整理し、健康経営に取り組んでいます。

 社員が心身ともに健康で、それぞれの個性や能力を最大限に発揮し、いきいきと働ける会社を目指す上で、仕事に関連する前向きで充実した心理状態として、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)の3つが揃った状態として定義される「ワークエンゲージメント」を重要な指標と捉え、ワークエンゲージメントを調査できる調査機関に2023年から変更しています。取り組みにあたっては、エンゲージメント、メンタルヘルス、生活習慣といった「心の健康」「からだの健康」を総合的に改善するために「いきいき社員割合の向上」についても取り組んでいます。なお、当社では、「いきいき社員」は「心の健康が保たれ、熱意を持って前向きに仕事に取り組み、自分の力を十分に発揮している社員」としています。

 当社は、経済産業省と日本健康会議が進める、健康経営優良法人認定制度において、社員の健康課題を踏まえた具体的な取り組みなどが評価され、「健康経営優良法人 2026」の認定(7年連続7回目)を受けました。

 

<健康経営の取り組み事例>

(ⅰ)からだの健康(生活習慣病予防対策・疾病予防対策)

・定期健康診断、生活習慣病予防健診(35歳以上全員)の実施

・定期健康診断後の精密検査受診率の向上

・特定保健指導の積極的な推進(対象者全員、業務時間内に社内での実施)

・リスク保有者及び若年層への保健指導の実施

・任意がん検診(乳がん検診、子宮頸がん検診、PSA検査、胃部内視鏡検査など)の実施

(費用全額会社負担)

・生活習慣(運動、食事、睡眠)の改善のための啓蒙、教育の実施

・禁煙支援(禁煙外来費用の全額会社負担、禁煙補助薬購入費用の補助)

 

(ⅱ)メンタルヘルス対策

・社内相談窓口の活用(産業医、カウンセラー、保健師など)

・外部カウンセリングサービスの活用(対面、オンライン、電話、メールなど)

・メンタルヘルス教育の実施(セルフケア研修、ラインケア研修など)

・職場環境改善(いきいき職場づくり)の取り組み

・長時間労働による健康障害の防止

 

(ⅲ)安心して働ける環境づくり

・出産・育児と仕事の両立支援(男性社員の育児休業取得の促進、柔軟な勤務制度など)

・介護と仕事の両立支援(介護休業や介護休暇、柔軟な勤務制度など)

・治療と仕事の両立支援(基本方針やガイドラインの作成・周知、相談窓口の設置、職場復帰など)

・年次有給休暇の取得促進、所定外労働時間の削減

・家族の健康管理支援(配偶者健康診断費用の補助、カウンセリングサービス利用など)

 

②指標及び目標

a.人材育成について

指標

目標

(1)当社の各種階層別研修の受講率

100

(期間:2026年1月1日~2026年12月31日

(2)管理職に占める女性社員の割合

10以上

(期限:2027年12月

(参考)管理職に占める男性社員の割合 91.1%

    (2025年12月31日現在)

(3)女性社員における女性の管理・監督職者比率

23以上

(期限:2027年12月

(参考)男性社員における男性の

    管理・監督者比率 30.4%

    (2025年12月31日現在)

 

b.健康について

指標

目標

定期健康診断の受診率

100維持

(期間:2026年1月1日~2026年12月31日

定期健康診断後の精密検査受検率

85以上

(期間:2026年1月1日~2026年12月31日

特定保健指導実施率

(対象者:生活習慣病予防健診受診者)

95以上維持

(期間:2026年1月1日~2026年12月31日

年次有給休暇取得率

60以上維持

(期間:2025年11月16日~2026年11月15日

所定外労働時間(月平均)

20時間/人以下維持

(期間:2025年11月16日~2026年11月15日

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えています。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)自動車市場の構造変化

 脱炭素社会の実現に向けて自動車の電動化が進み、当社グループが現在主力としている製品群の需要が変化し、事業構造に影響を及ぼしつつあります。

 当社グループとしては、エンジンやトランスミッションなどの動力系・駆動系の部品以外にも、電動化に伴う変化に応えるため、電動化部品、ボディ・シャシー部品等のダイカスト化にも積極的に取り組んでいます。しかしながら、自動車市場の構造に想定外の変化があった場合には、受注の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)海外事業活動における障害

 当社グループが進出している国や地域において、政治・経済の不安定化や法律・規制・税制等の急激な変更、大規模な労働争議の発生、テロや戦争等による社会的混乱等が生じる可能性があります。そのような事象が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)得意先の状況

 当社グループの売上高はダイカスト事業の自動車向けの比率が高く、ダイカスト事業は受注生産であり、自動車業界の生産及び販売の状況により売上高が変動する可能性があります。日本、北米、欧州、アジアをはじめとする世界市場において景気後退及びそれに伴う需要の縮小があった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の品質不具合

 当社グループは、ISO9001やIATF16949の認証を取得し、厳正な品質管理基準に基づいた品質管理体制の下、生産活動をしておりますが、万一、大規模な賠償に繋がるクレームが発生した場合には、多額のコストの発生や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5)自然災害、事故等

 当社グループは、自然災害・事故等の発生による事業活動への影響を最小限に抑えるため、危機管理体制や事業継続計画(BCP)の整備等の対策を通じてリスク低減に努めております。しかしながら、リスクを完全に回避することは困難であり、想定を超える規模の自然災害や事故等に起因する当社グループ及び取引先の生産・納入活動の遅延・停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)システムダウン

 当社グループは、災害等に起因するシステムダウンに備えて、データセンターを利用してサーバー機の設置場所を分散する等、リスクの分散・早期復旧対策に努めております。しかしながら、サイバー攻撃やマルウェア感染、大規模なネットワーク障害、想定を超える災害の発生等により重要なシステムがダウンした場合、事業活動の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7)情報漏洩

 当社グループは、秘密情報の保護及び適正な管理のために社内規程の整備や社員教育の実施とあわせ、セキュリティ監視システムの導入等情報漏洩の防止に努めております。しかしながら、不正アクセスやマルウェア感染等により秘密情報が漏洩した場合には、損害賠償や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)法的規制

 当社グループは、事業を展開する各国において、競争法、労働法、環境規制法等の様々な法的規制を受けています。

 当社グループは、コンプライアンス体制の構築を通じてこれらの法的規制の遵守に努めておりますが、予期せぬ事態等により法令違反が発生した場合、又は、遵守・適応のために多額のコストが発生する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)固定資産の減損

 当社グループが保有している工場の建物や生産設備等の固定資産については、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、投資額の回収が困難となった場合、減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)為替レートの変動

 当社グループは、グローバルに事業活動を展開しているため、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、海外の各子会社の財務諸表は現地通貨で作成し、連結財務諸表作成時に日本円に換算しているため、日本円に換算する際の為替レートの変動により連結財務諸表上の金額が変動し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(11)金利の変動

 当社グループは事業活動のための資金調達に関して、主として自己資金により充当した上で、必要に応じ、不足分について金融機関等からの借入を行っています。金利が大きく変動した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(12)投資有価証券の保有

 当社グループは、金融機関や販売又は仕入に係る取引会社の株式を保有しているため、株式相場の下落等により評価損が発生する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、有価証券に係る時価に関する情報は「第5 経理の状況」の有価証券関係の注記に記載しています。

(13)人材の確保と育成

 当社グループは、企業理念を具現化できる多様な視点を持った人材を積極的に採用・育成しています。しかしながら、雇用情勢の変化に伴う人材獲得競争の激化や、技術の高度化に対応した専門人材の不足、さらには離職率の上昇等により、質の高い労働力を継続的に確保できないリスクがあります。加えて、熟練技能の継承が円滑に進まない場合、製品の品質や生産効率の低下を招く恐れがあります。これらの事態が現実化し、事業の維持・成長に支障をきたす場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、各国の通商政策の影響や世界経済の減速懸念、不安定な為替相場、資源・エネルギー価格の高止まりなど、先行き不透明な状況が続きました。

このような状況の中、当社グループは積極的な販売活動を進め、原価低減や生産性の向上、業務の効率化などの諸施策を推進しました。

その結果、当連結会計年度の業績は、次のとおり前連結会計年度に比べて増収、増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却に伴う売却益の計上もあり、大幅に増加しました。

<連結経営成績>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

増 減(百万円)

売上高

293,314

 

 

 

309,111

 

 

 

15,797

(

5.4

%)

営業利益

9,494

(

3.2

%)

12,665

(

4.1

%)

3,170

(

33.4

%)

経常利益

11,551

(

3.9

%)

14,620

(

4.7

%)

3,069

(

26.6

%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

6,935

(

2.4

%)

11,182

(

3.6

%)

4,247

(

61.2

%)

( )内は売上高利益率、ただし増減欄は増減率

 

セグメントの状況は次のとおりです。

<セグメント別売上高>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

増 減(百万円)

ダイカスト

257,909

(

87.9

%)

274,310

(

88.7

%)

16,400

(

6.4

%)

住建機器

11,040

(

3.8

%)

10,874

(

3.5

%)

△166

(

△1.5

%)

印刷機器

24,120

(

8.2

%)

23,667

(

7.7

%)

△453

(

△1.9

%)

( )内は構成比率、ただし増減欄は増減率

 

<セグメント別営業利益又はセグメント別営業損失>

 

 

 

 

 

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

増 減(百万円)

ダイカスト

8,994

(

3.5

%)

11,257

(

4.1

%)

2,263

(

25.2

%)

住建機器

△413

(

△3.7

%)

119

(

1.1

%)

532

(

 )

印刷機器

934

(

3.9

%)

1,321

(

5.6

%)

386

(

41.4

%)

( )内は売上高利益率、ただし増減欄は増減率

 

ダイカスト事業は、前連結会計年度に比べて増収、増益となりました。売上高は、自動車生産の回復が進んだことで当社グループにおいても生産量(重量)が増加したことや、原料(アルミ)価格の影響により、国内、海外ともに増収となりました。利益については、増収による効果で固定費の増加を吸収し、増益となりました。

住建機器事業は、前連結会計年度に比べて減収、増益となりました。売上高は、国内、海外ともに減収となりました。利益については、生産性向上の取り組みに加えて、前連結会計年度に子会社化した中国の製造子会社の業績が寄与したことによって増益となりました。

印刷機器事業は、前連結会計年度に比べて減収、増益となりました。売上高は、国内は減収でしたが、海外は増収となりました。利益については、原材料価格高騰の影響もありましたが、生産性向上などにより増益となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ105億48百万円増加し、3,437億34百万円となりました。増加は主に受取手形及び売掛金59億34百万円、投資有価証券38億96百万円、退職給付に係る資産24億46百万円、現金及び預金18億86百万円等によるものです。その一方で、減少は棚卸資産37億70百万円等がありました。

負債は、前連結会計年度末に比べ20億24百万円減少し、1,541億84百万円となりました。減少は主に支払手形及び買掛金122億24百万円、未払法人税等26億43百万円等によるものです。その一方で、増加は借入金127億75百万円等がありました。受取手形割引高及びリース債務を除いた有利子負債残高は、747億42百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ125億73百万円増加し、1,895億50百万円となりました。増加は主に利益剰余金81億88百万円、その他有価証券評価差額金27億53百万円、為替換算調整勘定13億70百万円等によるものです。純資産から非支配株主持分を差し引いた自己資本は、前連結会計年度末に比べ121億16百万円増加し、1,794億69百万円となりました。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.0ポイント増加し、52.2%となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増 減

総資産

333,186

 

 

 

343,734

 

 

 

10,548

3.2

%)

自己資本

167,352

(

50.2

%)

179,469

(

52.2

%)

12,116

7.2

%)

有利子負債

61,966

(

18.6

%)

74,742

(

21.7

%)

12,775

20.6

%)

( )内は対資産比率、ただし増減欄は増減率

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7億34百万円減少し、272億92百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ152億74百万円減少し、138億88百万円の資金増加となりました。資金増加は主に減価償却費192億55百万円、税金等調整前当期純利益158億76百万円等によるものです。その一方で、資金減少は仕入債務の減少124億36百万円、法人税等の支払63億62百万円等がありました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ88億5百万円支出が増加し、225億29百万円の資金減少となりました。資金減少は主に有形固定資産の取得による支出205億66百万円等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ225億52百万円増加し、76億51百万円の資金増加となりました。資金増加は主に借入金の増加125億26百万円等によるものです。その一方で、資金減少は配当金の支払29億91百万円、自己株式の取得による支出15億円等がありました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増 減

(百万円)

営業活動による

キャッシュ・フロー

29,162

13,888

△15,274

投資活動による

キャッシュ・フロー

△13,723

△22,529

△8,805

財務活動による

キャッシュ・フロー

△14,901

7,651

22,552

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

ダイカスト

264,562

6.3

住建機器

8,299

61.1

印刷機器

19,441

△17.7

(注) 金額は、販売価格によっています。

 

b.受注実績

ダイカスト事業の生産は、ダイカスト生産方式の特殊性により連続受注生産を主体としています。

連続受注生産による取引は、一般的には取引先より示された数ヶ月の内示をもとに生産を行い、短納期で受ける確定注文により出荷するという形態をとっています。

一般的には内示を受注ととらえていますが、取引先によりその確度に差があるため、画一的な受注高の金額表示は困難です。

また、ダイカスト事業以外の事業の生産は、主に需要予測を考慮した見込生産を主体としています。

そのため、受注高の金額表示は行っていません。

 

c.販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

ダイカスト

274,310

6.4

住建機器

10,874

△1.5

印刷機器

23,667

△1.9

 

 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

フォード・モーター

38,176

13.0

38,790

12.5

ゼネラルモーターズ

33,400

11.4

34,032

11.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績の分析

イ 売上高

 ダイカスト事業は、自動車生産の回復が進んだことで当社グループにおいても生産量(重量)が増加したことや、原料(アルミ)価格の影響により、国内、海外ともに増収となりました。住建機器事業は、国内、海外ともに減収となりました。印刷機器事業は、国内は減収でしたが、海外は増収となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に対して157億97百万円増加(5.4%増)し、3,091億11百万円となりました。

 

ロ 営業利益

 ダイカスト事業、住建機器事業、印刷機器事業のすべての事業で増益となりました。

 ダイカスト事業は、増収による効果で固定費の増加を吸収し、増益となりました。住建機器事業は、生産性向上の取り組みに加えて、前連結会計年度に子会社化した中国の製造子会社の業績が寄与したことによって増益となりました。印刷機器事業は、原材料価格高騰の影響もありましたが、生産性向上などにより増益となりました。

 この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に対して31億70百万円増加(33.4%増)し、126億65百万円となりました。

 

ハ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、営業利益の増加により、前連結会計年度に対して30億69百万円増加(26.6%増)し、146億20百万円となりました。

 

ニ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却に伴う売却益の計上もあり、前連結会計年度に対して42億47百万円増加(61.2%増)し、111億82百万円となりました。

 

②財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

イ.キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

自己資本比率(%)

50.2

52.2

時価ベースの自己資本比率(%)

22.1

25.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.1

5.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ

18.2

10.2

 (注) 自己資本比率:(自己資本)÷(総資産)

時価ベースの自己資本比率:(株式時価総額)÷(総資産)

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:(有利子負債)÷(営業キャッシュ・フロー)

インタレスト・カバレッジ・レシオ:(営業キャッシュ・フロー)÷(利払い)

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている負債を対象としています。(受取手形割引高及びリース債務を除く)

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。

5.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

ロ.資金需要

 当社グループにおける主な資金需要は、生産能力向上や生産性向上のための設備投資などの長期資金需要と、製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要です。

 

ハ.財務政策

 当社グループは事業活動のための資金調達について、主として自己資金により充当した上で、必要に応じ、設備投資などの長期資金需要に対しては長期借入債務、運転資金需要に対しては短期借入債務により対応することを基本方針としています。

 なお、借入債務は主に金融機関からの借入によって調達し、また、負債による調達を優先することにより、資本規模の抑制及び全体の資本コストの低減に努めています。

 当社では将来の資金安定確保及び事業環境の悪化による資金需要の増加に備えて150億円のコミットメントライン契約を取引金融機関と締結しており、これを維持継続することにより、資金流動性を確保しております。なお、当連結会計年度末において当該契約に基づく実行残高はありません。

 また、配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

5【重要な契約等】

 当社は、2025年8月27日付で財務上の特約が付されたシンジケートローン契約(以下、「本契約」という。)を締結いたしました。

 

(1)本契約を締結した年月日

2025年8月27日

 

(2)本契約の相手方の属性

都市銀行

 

(3)本契約に係る債務の期末残高及び弁済期限並びに当該債務に付された担保の内容

①本契約に係る債務の期末残高

 20,000百万円

 

②弁済期限

 2032年8月31日

 

③当該債務に付された担保の内容

 該当事項はありません。

 

(4)財務上の特約の内容

 本契約には以下の財務制限条項が付されており、これに抵触し、貸付人から請求があった場合には期限の利益を喪失します。

 

①各事業年度の末日の連結貸借対照表における純資産の部の合計金額を、直前の事業年度末日における純資産

 の部の合計金額の75%以上に維持すること。

 

②各事業年度末日における連結損益計算書に記載される経常損益が2期連続して損失とならないようにするこ

 と。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、リョービならではの独創的で高品質な製品やサービスを創造し提供するために、ダイカスト企画開発本部研究開発部及び建築用品本部技術部が中核となり、グループ内で連携をとりながら行っています。また、印刷機器事業の研究開発活動は、当社子会社のリョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社の技術本部で行っています。

 当連結会計年度の研究開発費は1,862百万円で、事業別の主な研究開発の状況は次のとおりです。

 

[ダイカスト事業]

 当事業では、アルミ合金等の材料、金型設計、鋳造・加工技術、工法などの開発を通じて、ダイカスト製品の軽量化、高品質化、用途拡大等に関する研究開発を行っています。また、生産性向上に関する技術開発にも取り組んでいます。

加えて、当連結会計年度には、自動車のさらなる軽量化や高品質化、電動化などの時代のニーズに応えるために、新技術・新工法の開発を推進しており、型締力6,500トンの大型ダイカストマシンを導入し、自動車の車体部品など、大型部品(ギガキャスト)の試作品の提供を開始しました。

 当事業に係わる研究開発費は1,421百万円です。

 

[住建機器事業]

 当事業では、ドア周りをいっそう便利に使いやすくする特長ある商品の開発を行っています。利便性、施工性および安全性はもとより、高付加価値商品の開発やバリアフリーなどのユニバーサルデザイン等についても研究開発を行っています。

 当事業に係わる研究開発費は154百万円です。

 

[印刷機器事業]

 当事業では、オフセット印刷機の高品質化、自動化、省力化に加えて、IoT等を活用した印刷周辺機器の研究開発を通じて、高精度で多機能なプリンティングシステムの提供に取り組んでいます。

 当事業に係わる研究開発費は286百万円です。