当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営方針
(1)中長期的な会社の経営戦略
2023年1月、旧昭和電工㈱と旧日立化成㈱(旧昭和電工マテリアルズ㈱)は統合し、レゾナックグループとして新たなスタートを切りました。
<経営理念>
当社は以下を経営理念と定めております。
存在意義(パーパス) 「化学の力で社会を変える」
私たちが大切にする価値観(バリュー) 「プロフェッショナルとしての成果へのこだわり」
「機敏さと柔軟性」
「枠を超えるオープンマインド」
「未来への先見性と高い倫理観」
レゾナックグループは、パーパス「化学の力で社会を変える」のもと、先端材料パートナーとして時代が求める機能を創出し、グローバル社会の持続可能な発展に貢献します。長期ビジョンの目指す姿実現に向けて、サステナビリティを経営の根幹に据えることが必要と考え、執行体制を構築し、マテリアリティの特定やKGI・KPIの設定を行い、グローバルでの浸透を図っております。
<レゾナックが目指す姿>
当社は、人々が幸せに暮らせる社会と美しい地球を次世代に手渡すために共創し「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指します。その実現に向け、グループ一丸となって事業に取り組むとともに、人材育成の強化、人事評価の透明性や実力主義の徹底を進めてまいります。その姿として、質的な面、計数的な面それぞれを兼ね添えた「世界で戦える会社」、イノベーションと事業開発力で「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」、さまざまなステークホルダーからも注目されるような「共創型人材創出企業」となることを掲げ、実現してまいります。
(2)長期数値目標
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2025年実績 |
目標 |
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売上収益 |
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1.35兆円 |
1兆円超 |
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EBITDAマージン |
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15.1% |
20% |
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ROIC |
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6.2% |
10% |
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ネットD/Eレシオ |
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0.83倍 |
1.0倍以下 |
目標数値の達成により、TSR(株主総利回り)は中長期的に化学業界で上位25%の水準を目指します。
2.経営環境及び当社グループの対処すべき課題
世界経済は、各国のインフレ率推移やアメリカの通商政策の動向等による先行き不透明感は残るものの、需要の持ち直しを背景に、緩やかな回復が続くことが想定されます。
このような状況下、当社は半導体需要の成長を背景に、コア成長事業である半導体・電子材料への積極的な設備投資を続けるとともに、引き続き事業ポートフォリオ改革、諸施策を進めてまいります。
企業価値最大化のためには、石油化学を中心とする伝統的な総合化学メーカーから、顧客のニーズに応じた機能を発揮する機能性化学メーカーへの変貌を遂げることと、それを支える共創型で自律的な人材の育成が不可欠であり、そのための施策に精力的に取り組んでいます。
また、従業員のエンゲージメントを高め、様々な社会課題や顧客のニーズを把握し、社内外のステークホルダーとの共創を推進することを通して、「世界トップクラスの機能性化学メーカー」となり、イノベーションを生み出していきます。
私たちは、パーパスに込められたサステナビリティの理念を根幹におき、先端材料の提供を通じた省エネルギーや環境負荷の低減、高度循環型社会の実現に貢献してまいります。
なお「コーポレート・ガバナンス基本方針」については当社ホームページをご参照ください。
https://www.resonac.com/jp/corporate/governance.html
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関わる開示
当社は、パーパス「化学の力で社会を変える」のもと、社会や環境に貢献するために共創し、世界トップクラスの機能性化学メーカーになるという目指す姿を定めています。その実現に向けて、サステナビリティを経営の根幹に据えることが必要と考え、執行体制を構築し、マテリアリティの特定やKGI・KPIの設定を行い、グローバルでの浸透を図っています。
<レゾナックが目指す姿>
私たちは、人々が幸せに暮らせる社会と美しい地球を次世代に手渡すために共創し、「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指します
① サステナビリティ全般に関するガバナンス
当社グループのサステナビリティは、CEOが統括、CSuOが推進責任を担い、方針や計画をはじめとする重要事項については、経営会議での審議・決定の上、取締役会に付議・報告する体制としています。CEOを含む最高職務責任者(CXO)と各事業領域を統括する事業責任者(BU長)が集まるサステナビリティ推進会議を年6回開催し、幅広いアジェンダを議論しています。毎回必ずいずれかの事業における取り組み(例:TCFDシナリオ分析に沿った気候変動による事業機会・リスクの分析、Resonac Pride 製品・サービスの検討、顧客のサステナビリティ戦略分析など)を議論しています。
また、同会議の下に複数のプロジェクトを設置し、具体的な課題に対して機動的かつ組織横断的に対応する体制としています。さらに同会議での審議事項を組織運営に結び付け、従業員に浸透させるため、事業部門・CXO部門にサステナビリティパートナーを設定しています。サステナビリティパートナーを通じたコミュニケーションにより、各部門の現状や課題、関心を把握するとともに、各部門でのサステナビリティの取り組みを促進しています。また、サステナビリティパートナー同士の横のコミュニケーションの場を設けることで、対面する業界の違いを超えた顧客要求の変化や対応などについて情報交換や議論を活発に行っています。
サステナビリティ推進会議で議論した重要事項については都度、経営会議で審議・決定の上、取締役会に付議・報告しており、サステナビリティに関する方針や計画の妥当性・有効性など取締役会から適宜必要な指示・助言を受け、監督される体制です。
また、当社は、役員報酬のうちの短期業績連動項目へサステナビリティ評価項目を入れ、報酬に連動させています。2025年度のサステナビリティ評価は、従業員エンゲージメントスコア、パーパス・バリューの実践度スコア、及びResonac Pride 製品・サービス認定数の達成状況などに応じて決定しました。目標管理制度(MBO)を通じて、従業員の評価とも連携する仕組みとなっています。
サステナビリティ推進体制(2026年3月25日現在)
② サステナビリティ全般に関する戦略
当社グループのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)は、パーパスを起点として社会からの期待と当社にとっての重要度の両面から検討した長期ビジョン達成に向けた経営課題です。マテリアリティとその機会とリスク、そして施策とKPIは現場の意思を反映し、サステナビリティ推進会議で全経営陣が議論して決定しました。取締役会に報告し、社内外のステークホルダーとも意見交換しながら不断の見直しをしています。社会と環境のサステナビリティに貢献しながら、長期的に成長できる環境を整えていくことで、企業価値を最大化していきます。
③ サステナビリティ全般に関するリスク管理
マテリアリティに紐づく機会とリスクについては、サステナビリティ推進会議で議論し、当社の経営環境を踏まえて、施策や非財務KPIに反映しております。検討した機会とリスク、生み出そうとしている価値の一覧は、下図のとおりです。
なお、サステナビリティの各テーマを含む、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があるリスク情報は、全社的に展開するリスク棚卸を通じて、リスクマネジメントシステムに一元的に登録されます。重要度や優先度の非常に高いリスク(重要リスク)については、専門委員会(リスクマネジメント委員会)で審議します。重要事項は経営会議で審議・決定の上、取締役会に報告されます。詳細は「
④ サステナビリティ全般に関する指標と目標
3つのマテリアリティを16の構成要素に分解し、各々の施策と重要項目(非財務KPI)と2025年目標を定めて、取り組みを進めてきました。非財務KPIの半期ごとの進捗や課題をサステナビリティ推進会議において審議、確認することで、マテリアリティへの取り組みを着実に推進するとともに、適宜見直しております。
サステナビリティの取り組みのうち、社会にとって喫緊の課題であり、かつ機能性化学企業として重要度の高い気候変動と自然関連、そして共創型人材を当社の価値の源泉として位置づけ、注力している人的資本の取り組みを重要事項とし、「
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マテリアリティ |
構成要素 |
重要項目 (非財務KPI) |
2025年目標 |
2025年実績 |
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イノベーションと事業を通じた共創力&競争力の向上と社会価値の創造 |
事業を通じた社会価値の創出 |
Resonac Pride 製品・サービス*1 |
各事業部における主要製品のオープンプロセスによる認定 |
・社外有識者(サステナビリティアドバイザー)からのご意見収集など、オープンプロセスにより対象5事業の製品の認定完了(24~25年で全事業1製品・サービスの認定完了) |
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CFP*2への取り組み |
主要製品のCFP算出 |
・対象製品100%算出完了 |
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マーケティング |
課題解決型マーケティングの浸透による大型案件創出 |
新規テーマ創出プロジェクトを事業領域ごとに始動 |
・CTO組織との新規テーマ創出プロジェクト「新規創出HUB」にて、4領域を注力領域として創出活動を開始。共通クライテリアの運用開始 |
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デジタルプラットフォームの活用 |
デジタルマーケティングを活用した海外・地域情報発信強化 |
・Linkedin等を活用した米国半導体市場へのナーチャリング施策を開始 |
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CRM*3ツール上の顧客データと案件情報を活用した営業の効率化と事業拡大への貢献 |
・国内外拠点と連携し新規需要案件創出 ・新規案件や営業活動に関連するデータの可視化を実現し、事業拡大支援と間接業務の効率化を推進 |
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オープンイノベーション・R&D・知的財産戦略 |
社内外との共創 |
オープンイノベーションや社外協業テーマ割合向上/論文・社外発表件数の対前年増加 |
・オープンイノベーション・社外協業:75件(2024年56件) ・論文・社外発表:262件(2024年196件) |
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R&D戦略と知財戦略の強化 |
CFP算出割合向上及びMC(市場的価値)・TR(技術的価値)など知財指標の向上 |
・CFP算出割合 81%(2024年32%) ・知財指標 MC:0.82(2024年0.76)、TR:1.15(2024年1.09) |
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人材育成 |
リーダーとプロフェッショナルの適正比率での配置/共創の場の完成 |
・一部組織へのプロジェクト型組織適用を決定。ピープルマネージャーとプロジェクトマネージャーに役割を分離・再配置を実施 ・共創の舞台での大規模イベント150件を含め450件以上の開催・交流 |
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デジタル変革 |
データドリブン経営 |
・財務KPI第一階層を自動収集できるレベルのマスターデータの整備完了 ・温室効果ガス(GHG)可視化・データの取得プロセス構築完了 |
・データ活用基盤を構築し、各組織のデータ利活用ニーズに応じて、随時マスタ収集・整備を推進 ・温室効果ガス(GHG)可視化・データの取得において各種データ精度向上及び事業所業務効率化を目的とした、業務システム改善完了 |
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DX推進とプロフェッショナルの育成 |
・IT/DXビジネスパートナーの活動知見の横展開と事業部側でのBPRプロジェクト推進活動の自走化開始 ・CDO組織人材のスキル・コンピテンシーを活用した人材配置最適化の実現 |
・業務プロセス改善効果の目標達成と横展開 ・2025年に策定したIT戦略に基づきIT人材モデルをアップデート。スキルベース人材マネジメント実現に向けた人材DB構築の企画構想フェーズが完了 |
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IT/デジタルリテラシー向上 |
業務におけるIT/デジタルツールの活用定着 |
・基礎知識習得、日々の業務への適用などのレベル定義とそのレベルに合わせた「生成AI,データ処理,RPA」教育を全社展開し、従業員のIT/デジタルリテラシーの向上に寄与 |
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マテリアリティ |
構成要素 |
重要項目 (非財務KPI) |
2025年目標 |
2025年実績 |
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責任ある事業運営による信頼の醸成 |
安全 |
・安全文化の醸成 ・重大労働災害*4発生件数 ・休業災害度数率 ・重大設備事故*5発生件数 |
・事故災害ゼロに向けた安全文化の確立 ・重大労働災害0件(連結・協力企業含む) ・休業災害度数率0.1以下(国内連結・従業員) ・重大設備事故0件(連結) |
・安全文化の確立施策実施(トップの安全メッセージ配信、コーポレートによる事業所訪問、困りごと支援、安全教育実施、レゾナック安全文化診断方法構築、対話型安全巡視(SCP*6)の展開) ・重大労働災害1件(連結・協力企業含む) ・休業災害度数率0.39(国内連結・従業員) ・重大設備事故0件(連結) |
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品質保証 |
・重大製品事故*7件数 ・重大品質コンプライアンス違反件数 |
・重大製品事故0件(連結) ・重大品質コンプライアンス違反0件(連結) |
・重大製品事故1件(連結) ・重大品質コンプライアンス違反0件(連結) |
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化学品管理 |
プロダクトスチュワードシップ推進 |
優先評価対象物質のリスク評価実施率100%(国内連結) *当社が選定した物質を対象として安全性要約書を発行することにより評価 |
・優先評価対象物質のリスク評価実施率100% ・既存の安全性要約書について 改定要否の確認実施 ・ 安全性要約書の定期見直しに関するルール制定 |
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環境 |
・温室効果ガス排出量の削減 ・産業廃棄物埋立量の削減 ・重大環境事故*8発生件数 |
・温室効果ガス(GHG)排出量 2013年比30%削減(Scope1+2)(連結)(2030年目標) ・廃棄物埋立量を2024年比で削減(連結) ・重大環境事故0件(連結) |
・Scope1+2:2024年 2013年比8.3%削減(連結) ・産業廃棄物埋立量:2024年8,655トン(2023年10,845トン)(連結) ・重大環境事故0件(連結) |
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人権 |
人権尊重 |
人権デューデリジェンス(DD)運用体制の確立 |
・人権推進体制再構築完了 ・欧州電池規制対応DD完了(段階的に高リスク地域・事業を中心にサプライヤー向けDDを開始) |
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調達 |
サプライヤーとのコミュニケーションの質の向上 |
・CSRアンケートの回答率 90%以上を維持 ・基準点以上のサプライヤーの比率向上85%以上(2028年目標 90%以上) |
・CSRアンケート回収率93%(2024年93%) ・基準点以上のサプライヤー比率90% (2024年91%) |
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コンプライアンス |
・「私たちの行動規範」の浸透 ・グローバル・コンプライアンス・スタンダードの徹底 ・内部通報の件数増加 |
・「私たちの行動規範」の浸透度向上 ・海外グループ会社への規程導入100% ・内部通報制度の周知による通報件数の増加 |
・浸透施策を計画通り推進 ・海外グループ会社への規程導入100% ・重大なコンプライアンス違反0件 ・内部通報件数:127件(2024年101件) |
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リスクマネジメント |
・統合リスクマネジメント体制の運営 ・セカンドディフェンスラインの機能強化 |
・新統合リスクマネジメント体制の構築 ・グループ内部統制基盤の拡充 ・海外展開着手とリスクデータの一元化 |
・全社重要リスクのモニタリング基盤にAI・多言語対応・テンプレート化を実装し、高度化 ・サイバー攻撃初動フローを実インシデントの行動データを使って実務レベルで再構築。BCPを整備 ・トライアルでのリスク棚卸を展開。BCMユースケース導入とAIによるBCPチェック精度向上で、現場評価の高い効率的なBCP運用を実現 |
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自律的で創造的な人材の活躍と文化の醸成 |
「 |
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*1 Resonac Pride 製品・サービスの認定
当社は、バリューチェーンの川上から川下に至るまでの幅広い領域において、当社の製品・サービスが顧客や社会にどのような価値を、どの程度提供できたかを可視化することを重要と考えております。
認定にあたっては、パーパスに基づき社会に変化をもたらすことで顧客や社会に提供した価値に加え、当社が重視する4つのバリューの発揮状況の妥当性、製品環境アセスメントやレピュテーションを含むリスク評価、売上・利益計画や市場シェアなどの将来性・インパクト、さらには世界共通の目標であるSDGsとの関連性といった観点から、第三者の視点を取り入れて総合的に評価しております。
*2 CFP(Carbon Footprint of Products):製品ライフサイクル全体又は対象領域において排出されるGHG排出量を、CO2に換算して算出したもの
*3 CRM(Customer Relationship Management):顧客関係管理
*4 障害認定の対象(労働基準法障害等級1~7級)となる場合、又は死亡を重大労働災害と定義する
*5 火災、漏えい、設備損傷等のうち、以下を伴うものを重大設備事故と定義する
①事業所内で休業災害以上が発生
②事業所外で緊急搬送、避難勧告、環境汚染等が発生し、社会的影響が大きい
*6 SCP(Safety Communication Program):管理監督者が行う指摘を目的としない安全巡視活動。管理者自らが、現場の状況観察や現場の方との会話を通じてリスクを認識し、問題解決の責任をもつことを求めております。
*7 定義は当社事故基準による
*8 定義は当社事故基準による
(2)TCFD*及びTNFD提言に沿った情報開示
(TCFD及びTNFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示)
当社グループは、長期ビジョンの主要戦略を実行するため、気候変動対策を含むサステナビリティ重要課題を特定し、社内浸透を進めることを明確に定めております。2019年には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、2024年には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に賛同しました。株主・投資家などのステークホルダーと当社の気候変動取り組みについてのエンゲージメントを強化するため、TCFD及びTNFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の4つの項目に基づいて、当社グループの気候関連及び自然関連への取り組みを開示します。
* 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は2023年10月に解散し、その機能はIFRS財団に引き継がれております。
① 環境に関するガバナンス
(取締役会の役割・監視体制)
当社グループは、気候変動をはじめとする環境に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取り組み施策については、CEOが統括、CSuOが推進責任を担い、サステナビリティ推進会議や経営会議で協議・決定するとともに、進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて対応策・是正策を検討します。
取締役会は、サステナビリティ推進会議や経営会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、企業価値の最大化の観点から議論・監督を行っております。また、長期視点での経営を強く促し、当社グループの持続的な成長を促すため、2022年から長期ビジョンにおける取り組み・気候変動を含むサステナビリティ課題への対応などについて、社内取締役と執行役員の業績評価指標に含めています。また、2024年3月に取締役会の気候変動対応や生物多様性保全に関する役割を明確にするため、コーポレートガバナンス基本方針を改定しております。
なお、カーボンニュートラルへの対応については、全てのCXOと事業部門が参画する全社横断型のカーボンニュートラルプロジェクトにおいて、取り組みを進めています。
② 気候変動に関する戦略
(短期・中期・長期の気候関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、気候変動を「事業機会」と「リスク」の両面で捉え、企業としての社会的責任の実践とさらなる競争優位性の構築を図り、「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」「パートナーとの共創」「エネルギー効率の改善」「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでまいります。そのような中で、気候変動が当社グループの事業に及ぼす影響(事業機会・リスク)について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の二つのシナリオでリスクと機会を分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。事業における影響評価については、2023年に半導体・電子材料セグメント、2024年にモビリティセグメント及びイノベーション材料セグメント、2025年にケミカルセグメントで実施し、全ての事業セグメントにおいて評価を完了しました。
(気候関連、自然関連のリスク・機会と主な対応)
・想定期間:2030年度まで
・採用シナリオ(気候関連のみ):・4℃シナリオ:IPCC/RCP8.5, IEA/STEPS
・1.5/2℃シナリオ:IPCC/RCP2.6, IEA/SDS(一部IEA/NZE)
・時間軸の定義:短期:3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年
・シナリオ分析対象:既存事業
③ 自然に関する戦略
(短期・中期・長期の自然関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、ネイチャーポジティブの実現に向けて、事業を通じた気候変動への対応や循環経済の実現を進めながら、自然への依存・影響を鑑み、影響低減、管理・保全活動に取り組んでいます。その中で、直接操業とバリューチェーンにおける、自然への依存・影響及び自然関連のリスクと機会を、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。2024年は、当社グループの主要事業及び主要サプライヤーについての評価を行いました。
自然と接点の発見(Locate)
Locateフェーズでは、当社グループの製造拠点及び主要サプライヤー拠点の位置情報を把握して、その周辺にある自然の状態などを評価しました。国内外にある計59の製造拠点と計40の主要サプライヤー拠点を評価対象としました。評価作業は、拠点周辺のバイオームを特定した後に、TNFDが定義している5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、生態系の完全性の急激な劣化、水関連の物理リスク、生態系サービスの重要度)に沿って、外部ツールなどで得られるデータを用いて、拠点ごとに実施しました。
評価結果の傾向を見ると、当社の製造拠点の中で保全重要度や生態系の完全性が高い拠点がいくつか見られました。国内1カ所にてKey Biodiversity Area(KBA)と重複、保護地域と近接しており、生態系の完全性も高いと評価されました。また、東南アジアではKBAと重複している拠点が1カ所あり、今後優先して自然への影響の管理を進める必要があることを認識しました。さらに、水リスクは東南アジアの製造拠点で高い傾向があり、水使用量の削減や水害対策などの対応を優先して進める必要があることを認識しました。その他の基準については、特に高い拠点は見られませんでした。
※5つの基準に沿った評価は、以下のデータ及びツールを用いて実施しました。
・保全重要度…保全重要度が高い地域(保護地域、Key Biodiversity Area、Critical Habitat Screening Layer、WWF Global 200)との近接状況を確認して評価。
・生態系の完全性/生態系の完全性の急激な劣化…GLOBIO MSA、Natural History Museumが提供する、Biodiversity Intactness Indexを確認して評価。
・水関連の物理リスク…AQUEDUCTを用いて、ベースライン水ストレス、洪水リスク(河川・沿岸)を確認して評価。
・生態系サービスの重要度…Global Forest Watchを用いて、先住住民・地域コミュニティ(IPLCs:Indigenous People and Local Communities)が管理する地域との近接状況を確認して評価。
依存と影響の評価(Evaluate)
Evaluateフェーズでは、当社グループの主要事業における重要な自然への依存と影響を特定し、その大きさを評価しました。TNFDが推奨するツールであるENCOREや社内情報などを参考に評価を実施し、ヒートマップで結果を整理しました。直接操業では、製造工程に伴う大気汚染や温室効果ガスの排出、水・土壌への有害物質の排出、騒音、光害などの攪乱に関する影響が大きいことが分かりました。また、水資源の供給や水質浄化などの水に関する依存が大きいことが分かりました。
上流では、有機材料や金属材料などの調達において土地利用や水利用、汚染や攪乱など、多くの項目で自然への依存・影響が大きいことを再確認しました。当社では、サステナブル調達基準、及びその理解を促すためのサステナブル調達ガイドラインを作成していますが、引き続きサプライチェーン全体における自然への依存・影響の把握・対処を進めていきます。
リスクと機会の評価(Assess)
Assessフェーズでは、LocateフェーズとEvaluateフェーズの評価結果を踏まえて、当社事業における自然関連のリスク・機会を特定して整理しました。
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機会・リスクの種類 |
分類 |
顕在 時期 |
当社への 影響 |
領域 |
対応策 |
気候 影響度*1 |
自然 影響 *1 |
|
|
1.5/2℃ |
4℃ |
|||||||
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移行機会・リスク |
リスク |
中期 |
カーボンプライシング(ICP)導入による、税負担(コスト)の増加 |
全ての 事業 |
・2030年GHG排出量削減目標の見直しとロードマップ策定 ・事業ごとの目標設定/削減取り組みの実施 ・再生可能エネルギーの導入拡大 ・設備変更/原燃料転換 ・GXリーグへの参画 |
大 |
大 |
- |
|
リスク |
短期~ 中期 |
GHG排出規制強化による再生可能エネルギーへの切り替え・調達コスト増加 |
・太陽光発電の導入や水素混焼ガスタービン導入等の自家発電設備活用 |
中 |
- |
- |
||
|
機会 |
短期~ 中期 |
政府による企業の脱炭素取り組みに対する政策上の支援 |
・次世代グリーンパワー半導体用8インチSiCウェハー開発計画(NEDOグリーンイノベーション基金事業採択) ・革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発計画(NEDOグリーンイノベーション基金事業採択) ・半導体材料グローバルサプライチェーンを強化(経済産業省海外市場調査等事業費補助金(インド太平洋地域サプライチェーン強靱化事業)採択) |
○ |
○ |
- |
||
|
機会・ リスク |
短期~ 中期 |
気候変動に関する消費者の行動・意識変化に伴う、売上の増加・減少 |
・低炭素社会のニーズに対する製品拡販、新製品開発、競争力強化 ・共創の舞台での長期研究開発促進 |
○ |
○ |
- |
||
|
機会・ リスク |
中期 |
プラスチック汚染・資源循環に関する消費者の行動・意識変化に伴う、売上の増加・減少 |
・自社の製造過程の廃棄物の削減及び循環利用による廃棄コストの削減 ・リサイクル原料やバイオ原料の利用、技術開発 ・リサイクルの容易性向上や製品寿命の延長 ・海洋プラスチックゴミの再利用などの地域と連携した資源循環の取り組み |
- |
- |
○ |
||
|
リスク |
中期 |
保全上重要な地域における取水や水質・大気汚染などの自然への影響の低減に向けた規制強化への対応コスト増加、レピュテーションの低下 |
・化学物質管理の徹底 ・水質環境負荷低減に向けた取り組み ・水の効率的な利用や使用量の削減 |
- |
- |
○ |
||
|
リスク |
短期~ 中期 |
お客様からの低炭素化に対する取り組みと開示要求の増加 |
・CFP算定体制を整備し、炭素排出量の見える化、削減計画策定 |
○ |
○ |
- |
||
|
リスク |
中期 |
原材料の持続可能性対応、トレーサビリティ把握などに伴うコスト増加 |
・持続可能な方法で生産された原材料の調達 |
- |
- |
○ |
||
|
機会・ リスク |
短期~ 中期 |
社会や顧客からの環境課題解決ニーズの獲得状況に伴う投資家からの評価の変化 |
・社会や顧客の課題解決に貢献するための当社製品/サービス(Resonac Pride 製品・サービス)の付加価値向上 ・積極的な気候変動/循環型社会に向けた対応を進めることによる投資の呼び込みなど |
○ |
○ |
- |
||
|
機会 |
中期 |
生物多様性保全に資する製品の展開による需要獲得 |
・バイオスティミュラント資材の販売など、自然への影響低減や自然の保全・復元・再生に寄与する製品の販売 |
- |
- |
○ |
||
|
機会・ リスク |
中期 |
取水・排水域を中心とした生物多様性保全活動による水資源の調達におけるレジリエンス強化、レピュテーションの向上 |
・拠点内及び拠点周辺における生物調査、希少生物の保護や地域の生物多様性保全 ・工業用水として利用する霞ヶ浦流域の環境再生事業の継続と推進(自然共生サイト認定エリアの維持・拡大) |
- |
- |
○ |
||
|
機会・リスクの種類 |
分類 |
顕在 時期 |
当社への 影響 |
領域 |
対応策 |
気候 影響度*1 |
自然 影響 *1 |
|
|
1.5/2℃ |
4℃ |
|||||||
|
移行機会・リスク |
リスク |
短期~ 中期 |
原材料の高騰化、素材の切り替えによる調達コスト増加 |
半導体・電子材料 |
・生産性改善による原材料消費量の削減 ・資源循環に貢献する材料、部材の開発促進 ・原材料の調達先・リソースの多様化 ・リサイクル原料の活用検討 ・供給不安原料の内製化・地産地消型生産シフト ・サプライチェーン(サプライヤー/顧客)とのGHG削減に向けた協働 ・主要原材料の価格変動に対するフォーミュラ制(原料価格変動分を製品価格に自動反映)の適用 ・原材料価格上昇分の製品価格への反映 |
小 |
小 |
- |
|
モビリティ |
中 |
小 |
- |
|||||
|
イノベーション材料 |
中 |
小 |
- |
|||||
|
ケミカル |
小 |
小 |
- |
|||||
|
リスク ・機会 |
短期~中期 |
ナフサ由来の原料の価格変動による調達コストの増加・減少 |
イノベーション材料 |
・販売動向予測に基づく生産計画の調整及び在庫管理の徹底 |
大 |
中 |
- |
|
|
リスク |
短期~中期 |
顧客の行動・意識変化に伴う、売上減少 |
半導体・電子材料 |
・半導体気候コンソーシアム(SCC)各ワーキンググループへの参加 |
中~大 |
- |
- |
|
|
モビリティ |
・環境配慮型製品の拡充 |
小~中 |
- |
- |
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|
イノベーション材料 |
・顧客のSCOPE3削減に寄与する製品の開発促進 |
小 |
- |
- |
||||
|
ケミカル |
・環境価値の高い低炭素アンモニア及びその誘導品の生産量拡大 |
小 |
- |
- |
||||
|
全ての 事業 |
・製造工程におけるGHG排出量削減及び顧客への情報開示 ・製品・技術の活用を通じて、社会でどの程度の量のGHGが削減されたかを定量的かつ科学的に算定 (GHG削減貢献量・CFP算定) ・環境配慮型製造工程の検討 |
- |
- |
- |
||||
|
機会 |
短期~ 中期 |
EV/自動運転の需要増に伴う売上増加 |
半導体・電子材料 |
・SiCパワー半導体需要増大への対応 ・部品の小型化・軽量化に貢献する材料開発 |
大 |
大 |
- |
|
|
モビリティ |
・EV拡大地域への拠点拡充、オンサイト開発、現地生産 ・リサイクルアルミ技術に関する顧客共創の推進 |
中 |
中 |
- |
||||
|
イノベーション材料 |
・エンドユーザーとの密な連携による適時の要求性能確認 |
小 |
小 |
- |
||||
|
全ての 事業 |
・パワーモジュールインテグレーションセンターにおける顧客共創 ・軽量化に貢献する材料、部材の開発・拡販 |
- |
- |
- |
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機会・リスクの種類 |
分類 |
顕在 時期 |
当社への 影響 |
領域 |
対応策 |
気候 影響度*1 |
自然 影響 *1 |
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|
1.5/2℃ |
4℃ |
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移行機会・リスク |
機会 |
短期~ 中期 |
顧客のScope3排出量削減に寄与する低消費電力半導体、環境配慮型製品の需要増による売上増加 |
イノベーション材料 |
・リサイクル原料を活用した製品の販売促進 ・顧客の工程短縮や製品CFP減少に寄与する製品の開発促進 ・半導体の製造工程やエネルギー削減に寄与する製品の開発促進 |
小 |
- |
- |
|
ケミカル |
・環境価値の高い低炭素アンモニア及びその誘導品の生産量拡大 ・ライセンスを活用した技術の横展開 ・電炉鋼需要増加に向けた黒鉛電極の安定供給 |
小 |
- |
- |
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|
半導体・電子材料 |
・環境適合製品設計アセスメント ・SiCパワー半導体需要増大への対応 ・顧客製品の高機能化・低消費電力に貢献する材料開発 ・次世代グリーンパワー半導体用8インチ化SiCウェハー開発 ・低GWP値の半導体用エッチングガス開発 ・GHG削減プロセスに貢献できる封止材の開発 ・メモリ用途接着フィルムの薄膜化への対応 ・共創型プラットフォームJOINT活動の推進(日本及び米国) ・半導体気候コンソーシアム(SCC)各ワーキンググループへの参加 ・先端半導体コンソーシアム「TIE(Texas Institute for Electronics)」参画 |
大 |
中 |
- |
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|
機会 |
短期~ 中期 |
テレワーク化・自動化・データ化普及による、サーバー関連設備・データセンターの脱炭素化に伴う売上増加 |
大 |
小 |
- |
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物理リスク |
リスク |
短期 |
気候変動・生態系の劣化起因の自然災害による製造拠点の操業停止、設備の修復費用の増加、顧客製造拠点の操業停止・原材料の調達不安定化による収益減少 |
全ての 事業 |
・各拠点及び主要顧客/サプライヤーの洪水リスク分析実施 ・定期的なリスクの抽出/低減活動、BCP(事業継続計画)の強化 |
中*2 |
中*2 |
○ |
|
リスク |
短期 |
気候変動や生態系の劣化に起因する、水不足による操業停止、対策費用の増加による収益減少 |
・水の効率的な利用や使用量の削減 ・地元のステークホルダーとの水の利用、節水について積極的に対話 |
- |
- |
○ |
||
*1 気候変動については全ての事業セグメントにおいて評価を完了していますが、生物多様性に関する機会とリスクの財務的影響については算定を順次進めているため、段階的に開示してまいります。このため同じリスク・機会でも前年度開示した影響度と異なる場合があります。
大:気候変動に対する規制・政策等により今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が100億円以上と試算されます
中:気候変動に対する動きが既にあり、今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円以上100億円未満と試算されます
小:気候変動に対する動きがあり、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円未満と試算されます
〇:気候変動及び生物多様性への影響があると評価しています
-:気候変動及び生物多様性への影響がないと評価しています
*2 物理リスクについては、本年度、国内及び海外のグループ会社56拠点について、ハザードマップ及びAQUEDUCTを活用した分析を追加で実施し、累計で96拠点を対象とした評価を行いました。その結果、100年に一度の災害が発生した場合、昨年度までの分析結果を含め、38拠点が物理的リスクに曝される可能性があることが確認されました。あわせて、主要サプライヤー85拠点及び主要顧客21拠点についても分析を実施しています。1.5℃、2℃及び4℃の各シナリオにおいて、再現期間を考慮した年間影響額はいずれも「中」であることを確認しました。
④ 気候変動及び自然関連のリスクと影響の管理
(リスクを評価・識別・管理するプロセス)
当社グループは、各事業の気候変動や自然関連のリスク評価を順次実施し、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」、自然関連の依存・影響・リスク評価を実施し、当社グループにとって重要なリスクを特定して対応策を立案しております。リスクの特定、対応策の立案にあたっての重要事項は取締役会へ報告しております。今後もリスク評価を継続し、リスク・対応策を更新していくとともに対応策の進捗状況のモニタリングを実施してまいります。
(全社リスクマネジメントへの統合状況)
リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取り組みを行っております。気候変動・自然関連のリスクを含め当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があるリスク情報は、全社的に展開するリスク棚卸を通じて、リスクマネジメントシステムに一元的に登録されます。重要度や優先度の非常に高いリスク(重要リスク)については、専門委員会(リスクマネジメント委員会)で審議します。重要事項は経営会議で審議・決定の上、取締役会に報告されます。リスクマネジメント体制の詳細は「
⑤ 気候変動における指標と目標
(GHG排出量目標及び実績)
長期ビジョンで掲げる「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」を目指して、「2050年カーボンニュートラル」にチャレンジしております。また、そのマイルストーンとして「Scope1・2:2030年GHG排出量30%削減(2013年比)」を目標としております。再生可能エネルギーを含む非化石電気への切り替えは、2020年より実施済のパッケージングソリューションセンター(新川崎)に続き、先端融合研究所(つくば)、共創の舞台(横浜)、及び2023年に移転した汐留本社でも完了しました。さらに、黒鉛電極を生産するResonac Graphite Austria GmbH(オーストリア)では、2023年より風力発電由来の電力へ切り替えています。これら購入電気の非化石化に加え、Resonac Materials (Thailand) Co., Ltd.(タイ)における太陽光発電の導入などにより、2024年には、レゾナックグループ全体で196.7千MWhの非化石電気を使用しました。今後は、目標達成に向けた取り組みの加速、情報開示をさらに進めてまいります。Scope3についても、算定が完了したカテゴリーから順次当社ウェブサイト(https://www.resonac.com/jp/sustainability/index/data.html)で開示しております。今後も算定の精度向上を図るとともに削減に取り組んでまいります。
(GHG排出量削減ロードマップ)
「2050年カーボンニュートラル」に向けて、2030年までは徹底した合理化、高効率化、省エネルギー、ガス燃料への転換(高効率コージェネレーションシステム)、再生可能エネルギーを活用した製品製造などを進めます。2030年以降は2050年に向けて、アンモニア・水素への燃料転換・混焼なども積極的に推進してまいります。目標達成に向けては各事業部での目標設定・削減施策立案・実行を進めるほか、カーボンニュートラルプロジェクト主導のもと、全社横断施策も実行し、科学的根拠に基づく削減目標の設定も進めており、2025年6月には、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減の中長期目標設定を推奨する国際的イニシアチブ「Science Based Targets initiative(SBTi)」に対し、コミットメントレターを提出しました。また、自社の事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標に、新たに使用電力の再エネ化のロードマップも作成しました。加えて、CO2分離・回収技術と回収CO2の化学品原料としての利用により、カーボンニュートラルを達成してまいります。
カーボンニュートラルへの道筋
⑥ 自然関連の指標と目標
当社グループは、環境パフォーマンスをモニタリングし、目標を設定しております。現時点で開示できていないTNFDが推奨するグローバル中核開示指標については、今後開示に向けて準備を進めます。
(3)人的資本に関する情報開示
① 人的資本に関する戦略
AI技術が急速に進展するなか、「人としての幸せ」の価値はこれまで以上に高まっています。当社は、全従業員が心身の健康を大切にしながら個性を発揮し、志をともにする仲間とパーパスの実現に挑戦し、成長できる環境を重視します。従業員が「心身の健康」「同僚・仲間とのつながり」「達成感」を通じて得られる幸福(ハピネス)を追求でき、その積み重ねが持続的な事業成長と企業価値向上につながる状態を目指します。
その中心となるのは、2022年に導入した「パーパス・バリュー」を基盤とする、レゾナックならではの共創文化の醸成です。企業統合から3年目となる2025年は、「バリューベースのさらなる共創実践」を目指し、共創型人材*の創出と、事業成長に向けた挑戦を積み重ねました。
*共創型人材:社会課題の解決に向け、社内外の人々と自律的につながり、共創を通じて創造的に変革と課題を解決できる人材
施策として、全世界のラインマネージャーが企業のバリューを理解し、日々のマネジメントに反映できるよう、グローバル共通の育成プログラムを展開しています。「共創型コラボレーション力強化研修」では、心理的安全性の向上やアンコンシャス・バイアスへの理解をはじめ、発信力・傾聴力・ファシリテーション力など、協働の基盤となるスキルの習得を図ります。また、「共創型リーダーシップ研修」では、1on1、フィードバック、コーチングの理解を通し、部下の成長を支援するための実践的なコミュニケーション力を強化します。これらの取り組みを通し、バリューに根差したマネジメントの浸透と、グローバルでの共創文化定着を進めます。
加えて、FFS(Five Factors & Stress)理論を活用し、従業員一人ひとりの行動特性を踏まえたチームづくりにも取り組んでいます。個々の行動特性を定量的に把握し、個性を考慮した関係性や役割分担を設計することで経験と感覚に頼りがちな組織マネジメントを補完し、従業員の持つ強みを最大限に活かせる組織を目指します。
また、従業員一人ひとりのキャリアオーナーシップに対する意識を育み、自律的なキャリアを築く仕組みの整備にも注力しています。2022年に導入した「社内公募制度」では、従業員が自ら異動に手を挙げ、新たな挑戦に踏み出せる後押しを行うことで、多くの人材の成長実現につながっています。加えて2025年からは、現業を継続しながら他部署のプロジェクトに一定期間参加できる、「社内副業制度(プロジェクトチャレンジ)」の運用も開始しました。これらの制度は、従業員の潜在的な能力を発揮する機会となると同時に、多様な経験を通じたキャリア自律の後押しにも繋がります。
予測困難で変化の激しいVUCAの時代においては、一律的な階層別研修だけでは、従業員の多様な学びのニーズを十分に捉えることは困難です。こうした認識のもと、越境的な学びを通じた共創の促進と、自律的な共創型人材の育成をテーマに「ラーニングフェス」を企画しました。2025年の初回開催時は、国内従業員約12,000名のうち1割強が参加し、専門領域を越えた交流や学びを深めました。本フェスは、主体的な学びと成長機会の拡大を後押しするプラットフォームとして機能しています。
今後もこれらの仕組みを継続的に磨き上げることで、従業員の自律的成長と学習文化の定着を図ります。
当社は従業員の声をタイムリーに汲み取り、各種施策を通して経営に反映することを重視し、エンゲージメント調査を毎年実施しています。2023年の法人格統合以降、エンゲージメントスコアの肯定回答率は継続的に向上し、2025年の調査では前年比3ポイント増の60%となりました。一方で、職場によっては心理的安全性やインクルージョンの観点から向上の余地が残ることも明らかになっています。2026年以降は、働きがいの実感も重視し、ワークエンゲージメント施策にも注力する計画です。施策の効果を検証するだけでなく、因果関係の分析を行い、現状把握と予測を行うことで、データに裏付けられた効果的な施策を計画・実行しています。こうした取り組みを通し、全社的な課題を明確化し、継続的な改善に取り組む方針です。
当社の人的資本に関する戦略及び取組の詳細については、当社Webサイトに掲載している最新の統合報告書をご参照ください。
https://www.resonac.com/jp/sustainability/report/report.html
② 人的資本に関する指標及び目標
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構成要素 |
重要項目 (非財務KPI) |
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2025年実績 |
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事業が求める人材の供給 |
将来人材ポートフォリオの策定 (提出会社及び㈱レゾナック) |
対象部門のポートフォリオ策定 |
対象2部門策定 |
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後継者計画準備率 (提出会社及び一部国内グループ会社) |
150%*1 |
123.2% |
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ポートフォリオのロールモデル・職種・育成計画の策定(提出会社及び㈱レゾナック) |
対象部門のロールモデルほか策定 |
対象2部門策定 |
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選び選ばれる魅力構築と発信 |
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対前年比改善*2 57% |
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85%以上 |
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男性育休取得率・取得日数 (提出会社及び㈱レゾナック) |
取得率:100% 日数 :2030年60日以上を目標とし各年目標定めず |
取得率:100% 日数 :40.4日 |
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男女賃金格差(提出会社及び㈱レゾナック) |
- |
74.0% |
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自律的なプロフェッショナルの創出 |
共創型リーダーシップトレーニングに参加したラインマネージャーの割合 (提出会社及び㈱レゾナック) |
90% |
91% |
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共創を生む 企業文化作り |
パーパス・バリュー実践度のサーベイスコア(連結) |
対前年比改善*2 パーパス実践:57% バリュー実践:63%*3 |
パーパス実践:56% バリュー実践:63% |
|
パーパス・バリュー共感度のサーベイスコア(連結) |
対前年比改善*2 パーパス共感:71% バリュー共感:74% |
パーパス共感:71% バリュー共感:74% |
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対前年比改善*2 71% |
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対前年比改善*2 61% |
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対前年比改善*2 59% |
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意思決定層の多様性(連結) |
検討中 |
検討中 |
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障がい者雇用率(㈱レゾナック) |
2.50% |
2.62% |
*1 後継者計画準備率:(後継者プール人数÷事業部長及びCXO-1以上のポジション数)×100
*2 下段数値は2024年実績値
*3 集計方法を見直して再掲載
なお、当社グループにおいては、指標及び関連するデータの管理とともに具体的な取り組みの展開を進めておりますが、連結グループに属する全ての会社が対象となっていない指標もあります。そのため、一部指標においては当社及び㈱レゾナック、一部国内グループ会社を対象に記載しております。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると考えられる主要なリスクには、以下のものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクを最小化するためにリスク管理体制の整備・充実に努めており、詳細は以下「(1)リスクマネジメントの取組み」に記載しております。
なお、これらの事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
また、米国の諸施策及びウクライナや中東における不安定な政治情勢等による事業への影響について、今後も注視してまいります。
(1) リスクマネジメントの取組み
①リスクマネジメント体制
当社グループでは、事業経営に与えるリスクとその影響を明確化し、経営資源の適正配分を実現するため、ISO31000に準拠したリスクマネジメント体制を整備しております。
CEOが議長を務めるリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント体制及びグループの重要リスクやその対応策など、トップマネジメントによる組織横断的な審議を行っております。リスクマネジメント委員会での審議事項は経営会議で審議・承認された後、取締役会でも報告され、取締役によるリスクマネジメント体制の妥当性及び有効性の評価や推進状況の監督等が行われます。
また、国内の事業部・事業所及び主要なグループ会社に、各部門のリスクの識別やリスクの対応策の推進などの実行責任を負うリスクオーナー、リスクオフィサー、リスクマネージャーを配置するとともに、各CXO組織は、各部門によるリスク評価や対応策について、全社を横断し俯瞰する視点からレビューや支援などを行い、相互に連携を図りながら、経営と現場が一体となって統合的なリスクマネジメントを推進する体制を構築しております。
〔リスクマネジメント体制図〕
②当社で管理するリスクの区分と対応方針
リスクは外部環境リスクとオペレーショナルリスク、ハザードリスクに区分することができます。企業価値の持続的成長のためには、従来の安全・コンプライアンス重視の“守りのリスクマネジメント”だけでなく、適切なリスクテイクを促す“攻めのリスクマネジメント”が必要であり、リスクを総合的に判断し、経営戦略に反映してまいります。
③リスク棚卸の実践
年に1回、課・グループといった組織単位で事業活動の潜在リスクを含めた網羅的なリスクの洗い出しと評価(リスク棚卸)を実施しております。リスク棚卸の結果は、事業部・事業所・グループ会社の拠点単位でトップによるレビューを行い、システムに登録されます。登録されたリスクの中から、発生頻度と影響度の観点から分類を行い、重要度や優先度の非常に高いリスクを重要リスクとして位置づけ、リスクマネジメント委員会へ報告し、グループの重要リスクとその対応策などを審議します。
④全社重大リスクテーマの特定・更新と優先順位付け
当社では、従前から継続して取り組んでいる、年次の「リスク棚卸」(ボトムアップ・リスクアプローチ)に加え、2024年から、経営会議メンバーによる「全社重大リスクテーマの特定・更新」(トップダウン・リスクアプローチ)のプロセスを導入し毎年更新しております。全社重大リスクテーマの特定と優先順位づけを行い経営陣の膝詰めの議論により、全社重大リスクを発生可能性と事業への影響でプロットし、Sランクリスク(会社経営上の最重要リスク)及びAランクリスク(会社目標達成上の重要リスク)に特定し優先順位付けを行っております。これらリスクに関し、Sランクリスクは、最も厳重な監視や即時の対応策の実施、Aランクリスクは、定期的なレビューと迅速な対応計画の準備を行っております。
(2) 個別事業の経営成績における大幅な変動
当社グループは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカル、クラサスケミカルの各セグメントの事業領域において様々な製品の製造・販売を行っております。主要事業において想定されるリスクとして以下のようなものがありますが、リスクはこれらの事業に限定されるものではありません。
①半導体・電子材料セグメント
当社グループの半導体・電子材料セグメントの各種製品は、モバイル機器、データセンタ、パワーモジュール、ITインフラストラクチャ、電気自動車や先進運転支援システム搭載車などに使用され、世界のマクロ経済や業界動向等に基づく最終製品需要の変化により、その需要は大きく影響を受けます。また、これらの市場は、急激な技術変化や製品の陳腐化による価格低下などの影響を受ける国際的競争が厳しい事業です。更に、市場ニーズに合致した製品を適時・適切に開発・提供するため、グローバルなサプライチェーン網を整備しておりますが、地政学リスク等による原材料・エネルギー・物流コストの高騰、サプライチェーンの寸断などの可能性があります。
こうしたことから、需要や競争環境の大幅な変動、サプライチェーン上の重大なリスクの発生、あるいは、為替の大幅な変動などの場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
そのため、顧客のニーズや市況動向の把握に努め、新製品や技術の開発及び製造プロセスの改善などに取り組むとともに、リスクの早期検知及び顧客への安定供給を実現すべく、サプライチェーン・マネジメント体制の強靭化に継続的に取り組んでおります。
②モビリティセグメント
当社グループは、地球環境保護を目的とした燃費・CO2排出量の規制強化及び地政学的リスクの高まりなど、グローバルなモビリティ市場の動向に影響を受けます。モビリティ市場は、カーボンニュートラルの実現やCASE(※)の進展などに伴い、自動車の電動化、軽量化、電装化、安全性・快適性向上のための商品開発が求められており、中長期的な拡大が見込める有望な市場です。一方、競合他社、新規参入者との競争環境も激化しており、新たな技術・製品の開発や開発リードタイム短縮など顧客の要求水準やニーズの変化への対応が遅れるリスクに加え、新しい技術・製品により、既存事業が陳腐化し、市場競争力を失い、販売価格が下落することがあります。また、EVシフトによる内燃機関車市場の縮小により、既存事業の収益性が低下するリスクもあります。こうしたことから、需要や競争環境の大幅な変動などにより、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
そこで、当社グループでは、当社グループが有する材料技術を活用することでモビリティの基本性能である「走る・曲がる・止まる」を大幅に向上させる材料や部品、及びそのモジュール化などのソリューションを提供することで、既存顧客における採用モデル拡大や新規顧客開拓を一層推進します。
※CASE(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリング/サービス、Electric:電動化)
③ケミカルセグメント
〔グラファイト事業:黒鉛電極〕
当社グループは、北米及び欧州において黒鉛電極を生産するとともに、アジア市場においては日本を中心とした生産・供給体制のもと、グローバルに製品の販売を行っております。
このような事業構造のもと、日本及び世界経済の大きな変調等により黒鉛電極の需要が急激に減少した場合には、需給バランスの悪化により、販売価格と原材料調達価格との間に十分なスプレッドを確保できず、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、特定地域における生産・供給体制への依存度が高まることにより、当該地域における事業環境の変化や操業上の問題が生じた場合には、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
〔グラファイト事業:負極材〕
当社グループの負極材はEVやハイブリッド車用のリチウムイオン電池を中心に販売しておりますが、EVやハイブリッド車の成長鈍化による影響を受ける可能性があります。また、負極材の主な原料調達先は中国であり、中国の輸出規制強化等によりサプライチェーンが影響を受ける可能性があります。
こうしたことから、定置型蓄電池や民生用品向けの市場の開拓、原料調達先の多様化に努めております。
④クラサスケミカルセグメント
〔石油化学事業〕
当社グループは、大量の原料用ナフサ等を購入(輸入を含む)しており、原油価格の変動や需給バランス、為替等の要因によりナフサ価格等が変動し、販売価格との間に十分なスプレッドが確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、石油化学事業の収益は、需給バランスによるところが大きく、他社による大型プラントの建設等により需給が緩和した場合や、日本及び世界経済の大きな変調により需要が急激に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。さらに、気候変動影響への懸念による世界的なカーボンニュートラル化推進への対応のスケジュールによって、要求される投資や費用支出が影響を受ける可能性があります。このようなリスクに対して、コストダウンの推進や販売方法の見直し等収益の安定化に努めております。
⑤グローバルな事業活動
当社グループは、アジア、北米、欧州等にて生産及び販売活動を行っておりますが、海外での事業活動には、予期しえない法律又は規制の変更、政治・経済情勢の変化、テロ・戦争等による社会的混乱等、国内における事業運営とは異なるリスクが存在します。ウクライナ及び中東における不安定な政治情勢が長期化し、その影響が他の地域へ波及することにより、原燃料価格や物流コストの更なる上昇に繋がるリスクがある他、経済安全保障をめぐる国際情勢の変化によるサプライチェーンの途絶などの可能性もあります。
こうしたリスクにより、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑥企業買収、資本提携及び事業再編
当社グループは、事業領域の拡大や収益性向上を目的として国内外における企業買収、資本提携及び事業再編を実施しております。当社グループでは、買収検討の対象企業のデューデリジェンスを慎重に行い、買収後の事業統合の計画を入念に検証することでリスクの低減に努めておりますが、当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、当初期待していた成果が得られない場合には、のれん及び無形資産の減損等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(3) 財務状況及びキャッシュ・フローの予想以上の変動
①為替相場の大幅な変動
当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引については、為替予約等を通じてリスクの最小化に努めておりますが、為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。特に、米ドルをはじめとする他の通貨に対する急激な円高は、国内から海外市場に輸出される製品の価格競争力を弱め、一方、円安は、海外から輸入する原材料価格を上昇させ、それぞれ当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また、為替相場の変動は、海外グループ会社の財務諸表の円貨への換算を通しても、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
②金融市場の動向や調達環境の変化
金融市場の動向や当社グループの財務指標の悪化が、一部借入金等の財務制限条項への抵触による期限前弁済を含め、当社グループの資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当初想定された業績及び財務状況並びに財務指標等が実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、財務体質の改善・強化に加えて、取引金融機関とのコミットメントライン契約等による流動性の確保、返済・償還額の平準化や固定金利・変動金利のバランス等を考慮した適切な資金調達に努めております。
③退職給付債務
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等が、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
④固定資産の減損
当社グループの連結財政状態計算書に表示されるのれん、無形資産、土地等の固定資産について、事業環境の悪化による収益性の低下や、保有資産時価の著しい下落等が生じた場合、固定資産に減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
また、日立化成㈱に対するTOBの結果、のれん及び無形資産の金額が増加しており、当社グループの業績が悪化した場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑤繰延税金資産
当社グループは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(4) 特有の法的規制
当社グループが行っている事業は国内外の各種の法規制を受けます。その規制内容は、「石油コンビナート等災害防止法」「消防法」「高圧ガス保安法」「労働安全衛生法」等の保安・安全に係るもの、「大気汚染防止法」「水質汚濁防止法」「廃棄物処理法」「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」「毒物及び劇物取締法」等の環境や化学物質に係るもの等があり、当社グループはこれら法規制の遵守を徹底しております。特に製造設備等に関連する法規制については、グループで法規制情報を共有するとともに、設備の新設・変更等に際し遵守状況を確認しております。しかしながら、万一遵守できなかった場合は、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、これら法規制が一段と強化された場合には、コストの増加につながり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(5) 重要な訴訟事件
当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、広範な事業活動の中で、訴訟の提起を受ける可能性があります。
(6) その他
①研究開発
当社グループは、川中の素材技術と川下のアプリケーション技術を併せもつハイブリッド型の先端材料企業グループとして、技術融合によるイノベーションの実現に重点を置いております。川中素材の「作る化学」と、川下アプリケーションの「混ぜる化学」、そして評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の「考える化学」、この3つの技術の融合によって市場に幅広い機能を提供し続けて事業を強化・創出する研究開発に注力しております。これらの研究開発活動の結果が目標と大きく乖離するような場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
②知的財産
当社グループは、産業財産権やノウハウ等の知的財産権が事業の競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、自社権利の取得、活用及び保護、並びに他社権利の尊重に努めております。しかしながら、自社権利を適切に取得、活用できなかったり不当に侵害されたりした場合、又は、第三者の知的財産権を侵害する事象が発生した場合、若しくは保有するノウハウ等が不当に第三者へ流出した場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
③品質保証・製造物責任
当社グループは、「品質保証・品質管理規程」の制定や、品質保証を所管・統括・推進する組織の整備、ISO9001等の積極的な取得により、品質管理に万全を期すべく努めております。しかしながら、重大な製品欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生した場合、社会的信用の失墜を招き、顧客に対する補償などによって、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは、確実な工程管理を行うための設備維持、適切な測定機器設置、作業マニュアル整備、従業員教育等に努め、必要十分な検査実施による不良品流出防止の体制を構築するとともに、国内外を対象とした生産物賠償責任保険に加入しリスク顕在時の影響の極小化に努めております。
④事故・災害
当社グループは、安全・安定操業の徹底を図り、製造設備の停止や設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、製造設備について定期的な点検を実施しております。しかしながら、事故、大規模な自然災害等の発生により、製造設備で人的・物的被害が生じた場合、当社グループの社会的信用が低下し、事故災害への対策費用や生産活動停止による機会損失により、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、リスクアセスメントを含む適切なリスクマネジメントを実施し、事故防止及び事故発生時の被害の極小化を図っております。
⑤環境に対する影響
当社グループは、製品の開発から製造、流通、使用を経て廃棄に至る全ライフサイクルにおける「環境・安全・健康」を確保することを目的とした「レスポンシブル・ケア」活動を推進しております。しかしながら、周囲の環境に影響を及ぼすような事象が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、補償などを含む対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償などによって、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、全事業場において網羅的なリスク棚卸による環境リスク評価を行い、環境施設の安全対策を進めるとともに、経年劣化が原因による環境汚染防止のための点検・補修等を計画的に実施しております。また近年益々高まっている環境問題に対する社会的要求や将来的な環境法規制の強化へ適応するために、経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑥感染症の蔓延
世界的な感染症の流行が発生した場合、製造拠点における生産停止や営業拠点を始めとするサプライチェーンでの当社製品供給の停滞により、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
世界的な感染症の流行に対しては、グループ従業員、協力企業従業員の健康を最優先事項とし、健康経営や産業保健の施策企画・実行統率を管掌するCHRO部門が統括産業医の意見を踏まえ、リスクマネジメント部と連携し、当社グループ従業員への注意喚起、感染防止対策の指示を行います。平時より基本的な感染症対策を中心に、従業員の健康と事業活動の両立に向けた取り組みを進めてまいります。
⑦気候変動の影響
当社グループは、2050年までのカーボンニュートラルに向けて真摯な取り組みを進めております。当社グループが提供する各種製品は製造過程で化石原燃料を使用し、温室効果ガス(GHG)を排出しており、2030年GHG排出量2013年度比30%削減(Scope1・2)に向けた施策を進めております。顧客との共創によるカーボンニュートラルへの取り組みも取引上重要性を増しているため、省エネルギー・炭素循環に貢献する製品の更なる効率性向上や開発等を事業・技術戦略に組み込むとともに、主要製品のカーボンフットプリント算定を完了し、技術開発段階でのカーボンフットプリント算定も順次進めております。しかしながら、顧客要求に加え加速度的に厳しくなる各国の法規制への対応、それに伴う設備投資、再生可能エネルギーの外部調達といったカーボンニュートラルに向けた移行リスクや、自然災害への備えを含む物理リスク対応のアセスメントや対応コスト増も見込まれます。
このようなリスクと機会の両面を重要な経営課題と捉え、2019年には「気候変動情報開示タスクフォース」(TCFD)に賛同し、シナリオ分析を通し、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会を評価して対応策を検討・実行し、レジリエンスを強化すべく、事業毎に順次取組みを進め、情報開示を行っております。また2023年にはGHG排出量削減に向けて経済産業省が設立したGXリーグに参画しました。また、2025年6月には、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の中長期目標設定を推奨する国際的イニシアチブであるScience Based Targets initiative(SBTi)に対し、コミットメントレターを提出しました。2年後の認定に向けて引き続き準備を進めるとともに、SBTiの考えに沿って温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。
※「気候変動情報開示タスクフォース」(TCFD)の要請に沿った情報開示については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)TCFD及びTNFD提言に沿った情報開示」をご参照ください。
⑧人権への取り組み
当社グループは、2021年に国際規範に基づいた人権方針を策定し、事業を展開するあらゆる国や地域において、事業活動の根幹として人権を尊重することを宣言しました。当該方針を全従業員が自らの規準とするべく「行動規範」(2022年改訂)に盛り込んでおります。しかしながら、製品の開発から調達、製造、流通、使用そして最終消費を経て廃棄に至るバリューチェーンの各プロセスにおいて、レゾナックグループ及びサプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーのビジネスが、直接又は間接的に、人権に影響を及ぼす可能性があります。また、組織運営に伴う人権リスクに対して、自社グループ内の従業員にむけた人権サーベイを実施するなど人権デューデリジェンスを開始し、人権研修を行いました。また、サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーに当該方針を遵守頂くため「サステナブル調達ガイドライン」(2022年改訂)を通じた働きかけを開始し、海外リスク予備調査を実施しました。更に、従業員のみならずサプライヤーを含むビジネスパートナー、地域コミュニティなどあらゆるステークホルダーが利用可能な通報窓口を設けることでリスクの把握や救済措置の提供に努めております。
⑨人材・労務
当社グループは世界トップレベルの機能性化学メーカーになることを目指しており、2030年を見据えたサステナビリティ重要課題の一つに「自律的で創造的な人材の活躍と共創文化の体現」を掲げております。その解決のためには、経営又は技術に関する能力に優れた共創型人材を採用、確保し、育成することが重要であると考えますが、優秀な人材の採用及び確保に関する競争は激化しております。
そこで当社グループでは、長時間労働に起因する効率低下やエンゲージメント低下が社内外に及ぼす影響を考慮し、労働時間の適正把握と長時間労働の予防により、従業員の心身の健康管理・維持を推進するとともに、パーパス/バリューのもと、従業員エンゲージメントを高めつつ、共創文化を実践してまいります。加えて、企業が求める人材と個人のスキルをマッチングし、従業員が成長を通して「ハピネス」を感じられる状態を目指します。また、それらの実現に向けたKGI・KPIを設定し、定期的なモニタリングを行ってまいります。
※KGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)
⑩サプライチェーン
当社グループの事業継続における安定調達を実現するためには、サプライヤーとの良好な取引関係が不可欠ですが、サプライヤーにおける不法・反社会的行為、人権尊重・環境保全の欠如等、当社のみならず社会全体にとって好ましくない事態が発生することが想定されます。こうした事態の発生を抑え、当社と共に社会的責任を果たすことを目的に、「サステナブル調達ガイドライン」を作成・公開しており、サプライヤーがこれを遵守するよう要請するとともに、その遵守状況を把握するために定期的なアンケートや訪問調査を実施しております。
また、自然災害・事故・感染症等によるサプライヤー操業停止、物流網寸断などで当社事業活動が影響を受ける可能性があります。これらの影響を最小限に留めるため、調達部門では有事におけるサプライヤー被災状況の情報収集と当社事業活動への影響を把握する手順を定めたマニュアル整備とこれに基づいたBCP(事業継続計画)訓練を実施しております。
⑪情報セキュリティ(サイバーリスク)
当社グループは、社内システムや製造設備に対するサイバー攻撃等による被害や情報漏えいが生じた場合、社会的信用の低下や、対策費用や生産活動停止の発生により、経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、世界標準のセキュリティソリューションを導入することで、日々高度化・巧妙化するサイバーリスクに対する防御網を実現するとともに、当社グループの情報セキュリティグローバルスタンダード運用を確立し、教育・モニタリングによる改善活動を行うことで、情報管理の徹底及びインシデント発生時の影響を最小限に抑える対応策を講じております。
(経営成績等の概要)
(1)経営成績全般
当連結会計年度(2025年1月~12月)の世界経済は、米国の通商政策等による影響が懸念されるなか、全体としては緩やかに回復しました。半導体業界については、AI等の先端用途を中心に着実な成長が見られました。国内経済は、個人消費や企業の設備投資に持ち直しの動きが見られ、全体として緩やかに回復しました。
当連結会計年度における売上収益は、半導体・電子材料セグメントは販売数量増により増収となりましたが、その他の4セグメントでは減収となり、総じて減収となる1兆3,471億25百万円となりました。コア営業利益は、半導体・電子材料セグメントは増収に伴い増益となりました。その他の4セグメントは減益となりましたが、全体としては増益となる1,091億45百万円となりました。営業利益は、旧本社土地建物の固定資産売却益があった前期に対し、Fiamm Energy Technology S.p.A.などの複数事業譲渡の意思決定に伴う減損損失の計上等により、減益となる466億76百万円となりました。営業利益の減益等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は、290億31百万円となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
1,391,480 |
1,347,125 |
△44,355 |
△3.2% |
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コア営業利益 |
92,145 |
109,145 |
17,000 |
18.4% |
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営業利益 |
89,036 |
46,676 |
△42,360 |
△47.6% |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 |
73,503 |
29,031 |
△44,472 |
△60.5% |
(注) コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(その他の収益、その他の費用及び減損損失(売上原価、販売費及び一般管理費に含まれます。))を除いて算出しております。
(2) セグメントの経営成績
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.セグメント情報」をご参照ください。
[半導体・電子材料セグメント]
当セグメントでは、半導体前工程材料は、NANDの需要の回復ペースが緩やかなことや、排ガス処理装置事業の事業譲渡の影響等で若干の減収となりました。半導体後工程材料は、主にAI等の先端半導体向けの販売数量増加により増収となりました。デバイスソリューションは、HDメディアはデータセンター向け需要が堅調に推移し増収、SiCエピタキシャルウェハーはEV市場の成長鈍化を受けて横ばいとなりました。
この結果、当セグメントは前期比で増収増益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
445,139 |
506,336 |
61,197 |
13.7% |
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コア営業利益 |
73,718 |
108,365 |
34,647 |
47.0% |
[モビリティセグメント]
当セグメントでは、当1~3月期の二次電池外装材・食品包装材等の事業譲渡の影響や、一部国内顧客の需要減により、前期比で減収減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
200,311 |
178,430 |
△21,881 |
△10.9% |
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コア営業利益 |
6,343 |
4,396 |
△1,947 |
△30.7% |
[イノベーション材料セグメント]
当セグメントでは、一部製品の需要が自動車市場低迷の影響等で減少し、前期比で減収減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
97,001 |
92,202 |
△4,799 |
△4.9% |
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コア営業利益 |
11,268 |
10,352 |
△916 |
△8.1% |
[ケミカルセグメント]
当セグメントでは、化学品は、炭酸ガスの数量増加や一部製品の値上げにより増収増益となりました。グラファイトは、黒鉛電極の市況低迷の影響を受け販売数量、販売価格ともに下落し減収、赤字拡大となりました。
この結果、当セグメントでは前期比で減収減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
202,730 |
174,358 |
△28,372 |
△14.0% |
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コア営業利益 |
1,751 |
△5,484 |
△7,235 |
- |
[クラサスケミカルセグメント]
当セグメントでは、ナフサ価格下落に伴う販売価格の下落により減収、製品市況の下落や在庫受払差の悪化によりコア営業利益が減益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
増減率 |
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売上収益 |
329,680 |
300,302 |
△29,378 |
△8.9% |
|
コア営業利益 |
8,614 |
4,698 |
△3,916 |
△45.5% |
(生産、受注及び販売の実績)
(1)生産実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産の状況については、「経営成績等の概要 (2) セグメントの経営成績」におけるセグメントの経営成績に関連付けて示しております。
(2)受注実績
当連結会計年度において受注実績は、金額に重要性がないため記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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半導体・電子材料 |
506,336 |
13.7 |
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モビリティ |
178,430 |
△10.9 |
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イノベーション材料 |
92,202 |
△4.9 |
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ケミカル |
174,358 |
△14.0 |
|
クラサスケミカル |
300,302 |
△8.9 |
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報告セグメント計 |
1,251,628 |
△1.8 |
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その他 |
95,497 |
△18.1 |
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合計 |
1,347,125 |
△3.2 |
(注)1 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない製造・販売等の事業を含んでおります。
2 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び現金同等物やのれん等の無形資産が減少したことなどにより、前期末に比べ659億3百万円減少の2兆1,067億23百万円となりました。負債合計は有利子負債が減少したほか、その他の金融負債も減少したことにより前期末に比べ1,015億10百万円減少の1兆3,791億10百万円となりました。資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加し、前期末に比べ356億7百万円増加の7,276億13百万円となりました。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
増減 |
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資産合計 |
2,172,626 |
2,106,723 |
△65,903 |
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負債合計 |
1,480,620 |
1,379,110 |
△101,510 |
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資本合計 |
692,006 |
727,613 |
35,607 |
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益の減少等により、前連結会計年度に比べ333億67百万円の収入減少となる1,302億86百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の増加等により、前連結会計年度に比べ348億17百万円の支出増加となる871億23百万円の支出となりました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ681億84百万円の収入減少となる431億63百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出の減少があったものの、前期は転換社債型新株予約権付社債の発行による収入があったこと等の影響により、前連結会計年度に比べ494億27百万円の支出増加となる698億95百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ326億85百万円減少となる2,619億71百万円となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年 通期 |
2025年 通期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
163,653 |
130,286 |
△33,367 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△52,306 |
△87,123 |
△34,817 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
111,347 |
43,163 |
△68,184 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△20,468 |
△69,895 |
△49,427 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
294,656 |
261,971 |
△32,685 |
(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、必要な資金について、自己資金の利用に加え、長期資金を主に設備投資計画等に基づき銀行借入及び社債の発行等によって調達するとともに、短期的な運転資金を銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等により調達しております。
当連結会計年度においては、㈱日本格付研究所より50%の資本性が認められている劣後ローンのうち1,375億円をシニアローン等で期限前弁済したことにより、ネットD/Eレシオが0.83倍とやや上昇しています。企業価値向上のため、コア成長事業向けを中心とした設備投資を積極的に行うとともに、引き続き財務体質強化を進めてまいります。
当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により、フリー・キャッシュ・フローの拡大を進めております。また、グループ各社の資金集約化等により、資金の効率的な活用も行っております。資金の流動性については、当連結会計年度末に保有している2,619億71百万円の現金及び現金同等物に加え、600億円のコミットメント・ラインを確保しており、資金需要にタイムリーに対応ができる状態を維持しております。
(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
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2025年実績 |
目標 |
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売上収益 |
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1.35兆円 |
1兆円超 |
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EBITDAマージン |
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15.1% |
20% |
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ROIC |
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6.2% |
10% |
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ネットD/Eレシオ |
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0.83倍 |
1.0倍以下 |
目標数値の達成により、TSR(株主総利回り)は中長期的に化学業界で上位25%の水準をめざします。
各種指標の算定式
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指標 |
算定式 |
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EBITDAマージン |
(コア営業利益 + 減価償却費及び償却費)÷ 売上収益 |
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ROIC |
(コア営業利益 ± 持分法投資損益 - 法人所得税費用)÷(有利子負債 + 資本合計) |
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ネットD/Eレシオ |
{(借入金 + コマーシャル・ペーパー + 社債 + リース負債) - 現金及び現金同等物 - 劣後ローン × 50%}÷(親会社の所有者に帰属する持分 + 劣後ローン × 50%) ※劣後ローン(借入金に含まれます。)の50%の資本性は、2024年7月29日付の㈱日本格付研究所の格付に基づきます。 |
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」といいます。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要性のある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針についての概要」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
(力森諾科汽車配件(鄭州)有限公司の資産譲渡に関する契約の締結)
当社の連結子会社である㈱レゾナック(以下、「REC」といいます。)は、RECの連結孫会社である力森諾科汽車配件(鄭州)有限公司(以下、「対象会社」といいます。)の保有する資産を広東鴻図科技股份有限公司(以下、「鴻図」といいます。)の子会社に譲渡することを決定し、対象会社と鴻図は、2025年6月27日付で資産の譲渡に関する契約を締結し、譲渡対象のうち設備の譲渡が以下のとおり2025年6月30日に実行されました。
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譲渡対象 |
対象会社資産(土地使用権、建屋、設備) |
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資産譲渡実行日 |
2025年6月30日(土地使用権及び建屋は後日譲渡実行を予定) |
(F2 Chemicals Ltd.の譲渡に関する契約の締結)
当社の連結子会社であるRECは、2025年6月30日付で、RECの完全子会社であるF2 Chemicals Ltd.の全発行済株式をRcapital Partners LLP.へ譲渡する株式譲渡契約を締結し、2025年9月4日付で、当該譲渡が実行されました。
(欧州自動車用及び産業用鉛蓄電池事業の譲渡に関する契約の締結)
当社の連結子会社であるRECは、2025年8月1日付で、RECの完全子会社であるFiamm Energy Technology S.p.A.の全発行済株式を、AURELIUS INVESTMENT LUX ONE S.À R.L.傘下の特別目的会社に譲渡する株式譲渡契約を締結し、2025年12月1日付で、当該譲渡が実行されました。
(連結子会社における会社分割(吸収分割)並びに日本及びタイにおける自動車成形部材事業の譲渡に関する契約の締結)
当社の連結子会社であるRECは、2025年9月24日付で、RECの日本及びタイにおける自動車成形部材事業を、森六㈱(以下、「森六社」といいます。)に譲渡すること(以下、「本件取引」といいます。)を決定し、同日付で森六社と本件取引に係る株式譲渡契約を締結しました。なお、本件取引は、以下に記載する各手続を実施することにより行う予定です。
会社分割(ⅰ) :RECの完全子会社である㈱レゾナック・オートモーティブプロダクツ(以下、「RAP」といいます。)が、同社の関西事業所において営む事業を、吸収分割によりRECに対して承継させます(以下、「本会社分割(ⅰ)」といいます。)。
会社分割(ⅱ) :RECが、RECの自動車成形部材事業、RAPの全発行済み株式及びResonac Automotive Products (Thailand) Co., Ltd.のREC保有持分の全て(以下、「対象事業」といいます。)を、吸収分割によりRECが新たに設立する完全子会社(以下、「新会社」といいます。)に対して承継させます(以下、「本会社分割(ⅱ)」といいます。)。
新会社株式の譲渡:本会社分割(ⅰ)及び本会社分割(ⅱ)を通じて対象事業が集約された新会社の株式の全てを、森六社に譲渡します。
(1) 本件取引の目的
当社グループは、2020年12月10日付で公表した「統合新会社の長期ビジョン(2021~2030)」で示したとおり、世界トップクラスの機能性化学メーカーとして、持続可能な社会へ貢献することを目指しております。その実現に向けて、継続的にポートフォリオの見直しを図ることで、持続的な成長を実現することを目標としております。
こうしたビジョンに基づき、最適な経営資源の配分及び事業ポートフォリオマネジメントを検討する中で、対象事業の在り方について、あらゆる選択肢を慎重に検討しました。その結果、対象事業の成長を支える戦略適合性/ベストオーナーの観点から、高い技術力とグローバルな生産体制等を有し、自動車用樹脂成形部品の製造販売事業に豊富な知見と経験を持つ森六社の下で事業拡大を図ることが、対象事業の取引先様、同社の関連製品をご利用いただいている最終消費者の皆さま及び当該事業に従事する従業員を含む各ステークホルダーにとって最適であると判断し、森六社との間で本件取引を推進することを決定いたしました。
(2) 本会社分割(ⅰ)の概要
①本会社分割(ⅰ)の方式
RAPを吸収分割会社とし、RECを吸収分割承継会社とする吸収分割です。
②本会社分割(ⅰ)の効力発生日
2026年4月1日(予定)
③承継する資産・負債の状況(2026年4月1日見込み)
資産:1,960百万円
負債:671百万円
④本会社分割(ⅰ)に係る割当の内容
RECは、分割会社であるRAPの全株式を保有しており、本会社分割(ⅰ)に際し、RAPに対して金銭その他の財産の交付は行いません。
⑤本会社分割(ⅰ)に係る割当の内容の算定根拠
本会社分割(ⅰ)の効力発生時点においてRAPがRECの完全子会社であること、その他諸般の事情を総合的に考慮し、協議・検討を行った結果、上記④記載の割当の内容が相当なものであるとして合意しました。
⑥本会社分割(ⅰ)後の吸収分割承継会社の資本金・事業の内容等(2026年4月(予定))
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1)名称 |
株式会社レゾナック |
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2)所在地 |
東京都港区東新橋一丁目9番1号 |
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3)代表者 |
取締役社長 髙橋 秀仁 |
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4)事業内容 |
半導体・電子材料、モビリティ部材、機能材料、化学品などの研究・開発・製造・販売 |
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5)資本金 |
15,554百万円 |
(3) 本会社分割(ⅱ)の概要
①本会社分割(ⅱ)の方式
RECを吸収分割会社とし、新会社を吸収分割承継会社とする吸収分割です。
②本会社分割(ⅱ)の効力発生日
2026年4月1日(予定)
③承継する資産・負債の状況(2026年4月1日見込み)
資産:1,629百万円
負債:69百万円
④本会社分割(ⅱ)に係る割当の内容
本会社分割(ⅱ)に際して、新会社は、RECに対して普通株式1株を交付します。
⑤本会社分割(ⅱ)に係る割当の内容の算定根拠
本会社分割(ⅱ)の効力発生時点において新会社がRECの完全子会社であること、その他諸般の事情を総合的に考慮し、協議・検討を行った結果、上記④記載の割当の内容が相当なものであるとして合意しました。
⑥本会社分割(ⅱ)後の吸収分割承継会社の資本金・事業の内容等(2026年4月(予定))
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1)名称 |
成形部材分割準備株式会社 |
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2)所在地 |
東京都港区東新橋一丁目9番1号 |
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3)代表者 |
代表取締役 平田 知広 |
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4)事業内容 |
自動車用樹脂内外装成形品の製造及び販売事業 |
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5)資本金 |
10百万円 |
当社グループは、「世界トップクラスの機能性化学メーカー」へと変革することを目指し、技術の染み出しによるイノベーションの実現、事業本部を横断する技術開発の牽引、社会を変える長期R&Dの推進、という3つのミッションを掲げ、私たちの強み(コアコンピタンス)である、「作る化学」「混ぜる化学」「考える化学」の技術共鳴(レゾナンス)によるシナジー創出を図りながら、最短かつ確実に社会課題にお応えできるよう、研究開発活動に取り組んでおります。またオープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社内外から積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
(半導体・電子材料)
半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進しております。
一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(電子材料用高純度ガス、半導体回路平坦化用研磨材料(CMPスラリー))、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(HDメディア、SiCエピタキシャルウェハー(以下、「SiCエピウェハー」といいます。))等の付加価値を高める開発をしました。
半導体前工程では、当社グループは各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料、CMP、洗浄剤、さらには超高純度溶剤といった半導体製造プロセス材料の開発と市場展開を進めてまいりました。今後も、低環境負荷かつ高性能化に資する材料技術の研究開発を継続し、持続可能な半導体産業の発展に貢献してまいります。
一方、半導体後工程では、AI半導体をはじめとした高性能デバイス向けに、パッケージ基板用積層材料(MCL)の供給確保、絶縁接着フィルム(NCF)及び放熱シート(TIM)の生産能力を増強し、市場での競争力を一層強化してまいります。先端半導体パッケージ製造向けに、高解像度の感光性フィルムを新たに開発し、有機インターポーザーにおける線幅・配線間隔1.5マイクロメートルの微細銅配線形成を実現しております。この高解像度技術は、計算情報科学研究センター、先端融合研究所、感光性材料開発部、パッケージングソリューションセンターの4部門が連携し、新規ポリマー樹脂を創出することで達成したものであり、当社グループの総合的な材料開発力を象徴する成果です。
次世代半導体パッケージでは、従来より進めてきた日本・米国の企業を中心とした共創コンソーシアム「JOINT2」「US-JOINT」の取り組みを発展させ、日本、米国、シンガポールなどの材料・装置・設計企業27社による新たな共創型評価プラットフォーム「JOINT3」を設立いたしました。下館事業所(南結城)内に活動拠点を開設し、2026年中の稼働開始に向けて準備を進めております。
当社グループは、前工程から後工程まで一貫した材料技術と共創ネットワークを強みに、急速に進化する半導体産業のニーズに応える先端パッケージ技術の確立と、持続可能な産業発展への貢献をこれからも続けてまいります。
HDメディアでは、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しております。世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式の高性能化を進めるとともに、次世代ハードディスク向け高密度記録方式であるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクに関して米国シーゲイト・テクノロジー社と共同開発を進めております。シングルド記録方式では、アルミ基板を用いて当社グループの最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最高の記録容量となる1枚あたり3.1テラバイトの製品を出荷しております。
SiCでは、パワー半導体向けSiCエピウェハーの世界最大級の外販メーカーとして、電動車(以下、「xEV」といいます。)、交通インフラ、産業機器などに用いられるSiCパワーデバイスの高性能化・高信頼性化に貢献しております。独自のエピタキシャル成長技術により、低欠陥化と高均質化を高水準で両立させ、6インチ(150mm)に加え8インチ(200mm)SiCエピウェハーの量産対応を進めております。2026年稼働予定の山形新建屋建設をはじめ、国内複数拠点において生産体制を強化し、急拡大する市場需要に対して安定供給を実現しております。第2世代ハイグレードエピは欠陥密度を大幅に低減し、高級車や鉄道用途などで要求される高電流デバイスの信頼性向上に寄与しております。これらの技術成果は高く評価され、第24回GSC賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。また、カーボンニュートラル社会の実現に向け、SiCパワーデバイス用エピウェハーの更なる普及を進めるとともに、東北大学との共同研究により、CO2及びシリコンスラッジを活用したSiC原料化技術の開発を推進し、更なるCO2排出削減にも取り組んでおります。
当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、
(モビリティ)
モビリティ分野では、「走る・曲がる・止まる」というモビリティの基本性能の向上を目指し、材料技術や加工技術、シミュレーション技術を活用してモビリティのイノベーションに貢献します。また、顧客との共創を推進し、持続的な成長を実現します。環境規制強化やカーボンニュートラルに向けた社会的要請の高まりを事業機会と捉え、有機・無機・金属材料及びその組合せ技術を活かした分野で成長を目指します。
特筆すべき技術開発の代表例として、EV向け高性能ディスクブレーキパッドを開発中で、欧州Tier1ブレーキシステムメーカーへサンプル提供を進めております。このブレーキパッドは高い制動力と耐摩耗性を持ち、環境負荷が低く、静粛性にも優れております。また、カーボンニュートラル実現に向けた取り組み例として、計算科学を活用しリサイクル材の高含有を実現したアルミニウム合金を開発しております。
当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、
(イノベーション材料)
イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、エネルギー領域、インフラケミカルズ、高機能ゲル、及びセラミックスの研究開発を推進しております。
テレビなどの大型液晶ディスプレイ、スマートフォン端末などの有機ELに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けております。市場が中国シフトする中で2020年6月に増設を完了した上海においても生産・供給を開始し、現地需要の取り込みに向けお客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入しております。また、電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズMOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリルFAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続しております。特に「ファンクリルFA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱性及び高信頼性の特徴を生かし、電子部品材料用途への横展開を行い、事業拡大を図っております。
エネルギー領域では、電力モーターの高性能化に伴う高電圧・耐サージ性に対応できる、xEV向け高耐熱絶縁ワニスの技術開発を継続して進めております。また、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾールLBシリーズ」につきましては、その低抵抗性や優れた温度特性などが評価され、急速充電対応が求められるHEV用途への国内納入を開始いたしました。今後は、市場動向を注視しつつ、xEV向けリチウムイオン電池全般への展開を推進してまいります。
インフラケミカルズでは、耐用年数が寿命を迎えた下水道管補修用不飽和ポリエステル樹脂「リゴラック」の光硬化タイプに注力しております。下水道管補修市場においては、熱硬化タイプから環境負荷が小さく、短時間施工が可能な光硬化タイプへの転換が進んでおり、この変化に対し樹脂技術で貢献してまいります。
高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックスカラム」では、グループ会社の㈱レゾナック・テクノサービスで販売している「Gelpack」を2026年1月より「Shodex」ブランドに統合することを決定いたしました。より統一された製品戦略のもと、分離材事業のさらなる強化を推進してまいります。環境関連では国際的に規制強化が進むPFASやハロゲン酸化物の高感度分析を可能とする各種カラムの市場展開を推進しております。今後もバイオ・医薬分野、迅速・省溶媒、高感度・高分離に重点を置いたゲル(充填剤)やカラムの研究開発を促進してまいります。
セラミックス関連では、電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素等)の開発を行っております。また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の更なる小型化・高容量化に貢献すべく、酸化チタンの微粒子化に向けた課題をお客様との共創により解決し、量産化を実現しました。
当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、
(ケミカル)
ケミカル分野では、基礎化学品でさまざまな産業の起点・インフラとなる製品、機能性素材を提供するとともに、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでおります。
機能性素材では、接着用途やコーティング用途でラテックス素材の新設計による機能付与を進めており、お客様での作業性改善等の期待が高くなっております。化粧品原料では、新製品の開発に加えて、既存の製品での新たな価値を見出しており、お客様での新規化粧品企画の重要成分としての評価・利用が進んでおります。カーボンニュートラルの取り組みとして、社会的な強いニーズを受けてプラスチックリサイクルの処理能力強化、派生製品への展開を進めてまいります。
長期R&Dの取り組みとして、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、岐阜大学、三菱化工機㈱とともに、アンモニア燃焼器用改質器ユニット及び燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働し、アンモニア分解技術を活用した化学品事業のビジネスモデルの創出を目指します。また、日本製鉄㈱、日鉄エンジニアリング㈱、富山大学の4者で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」といいます。)が公募した「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」において、「CO2由来メタノール経由青酸、グリシン製造の研究開発」に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、
(クラサスケミカル)
クラサスケミカル分野では、オレフィン事業、有機化学品事業、合成樹脂事業の3事業を営んでおり、主要な誘導品事業であるアセチル製品群の更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を目的とした触媒性能の向上、運転条件の最適化に取り組んでおります。コア技術である触媒技術を活用し、最先端の技術開発を完成させ、事業強化に貢献します。
また、人々の暮らしに欠かすことができない石油化学産業で、カーボンニュートラルと循環型社会の構築をリードし、サステナブルな社会の実現に貢献することを基本方針としております。そのため、研究開発は当社グループにとって重要課題の一つであると認識しており、十分な人員、資金を配することで新たな競争力の源泉を確立し、地域・社会と共生する共創型グリーンコンビナートを目指していきたいと考えております。
長期的な取り組みとして、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」において、日本製鉄㈱とともに、低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発、及び回収したCO2を原料に化学品を製造する技術検証に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるクラサスケミカルセグメントの研究開発費は、
(その他)
計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んでまいりました。材料検査において、ディープラーニングを活用した画像解析技術を導入し、検査精度の向上と自動化による検査時間の短縮を推進し、AI画像解析で精度を約4割改善しました。
共創の舞台では、宇宙空間での高機能半導体材料の研究・開発・製造に関して、微小重力及び低軌道の真空条件下で、半導体や半導体パッケージング向けの次世代半導体材料製造の可能性を探ります。また、宇宙線に起因する電子機器の誤動作(ソフトエラー)を低減する半導体封止材の評価実験を国際宇宙ステーション(ISS)で開始しました。
当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め13,669百万円であります。