第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「永遠に、エネルギーに困らない地球」というビジョンのもとに、「日本のエネルギー自給率の向上を実現する」というミッションを掲げております。

日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入に取り組んでおります。一方、太陽光発電や風力発電等の出力が変動する再生可能エネルギーの大規模導入に伴い、余剰電力の発生や電力供給の安定性の確保が課題となっております。また、昨今、エネルギーを巡る問題は世界規模で不確実性が高まっている中で、再生可能エネルギーの主力電源化が鍵とされております。

当社グループでは、自然エネルギーの普及並びに蓄電、送電技術にイノベーションを起こし、脱炭素時代を担う次世代型のエネルギー企業を目指して社会に貢献してまいります。

 

(2) 経営環境・戦略

Bloombergが発表したデータによりますと、温室効果ガスの主要因である二酸化炭素の排出量は年々増加しており、1990年から2022年にかけて約1.7倍に増加しております。また、全国地球温暖化防止活動推進センターが発表したデータによりますと、日本の部門別の二酸化炭素排出量の主要因の約40%が電力の発電によるものとされております(発電及び熱発生に伴うエネルギー起源の二酸化炭素排出量を、電気及び熱の生産者側の排出として生産者側の部門に計上した排出量で算定)。

 


出典:(左)Bloomberg「Global total CO2 emissions」、(右)全国地球温暖化防止活動推進センター「日本の部門別二酸化炭素排出量(2023年度)」より当社作成

また、日本における2023年のエネルギー自給率はわずか15.3%(OECD中37位)にとどまり、先進諸国と比較しエネルギー資源の対外依存が高い状態が継続しております。

 


 

出典:国際エネルギー機関(2025年10月) 「World Energy Balances Highlights」より作成。エネルギー自給率は、当該国の国内エネルギー生産量(PJ)÷国内総エネルギー供給量(PJ)で算出。日本のエネルギー自給率のみ、「総合エネルギー総計(1990~2023年度確報)時系列表」(経済産業省 資源エネルギー庁)から引用。なお、国際エネルギー機関と経済産業省のエネルギー自給率算出手法には若干の差異があることに留意。

 

このようなエネルギー情勢の中、日本政府は2025年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定しております。当エネルギー基本計画では、2040年までに温室効果ガスの排出量を2013年度から73%削減することを目指すこととしており、また、エネルギーの安定供給の観点から再生可能エネルギーや原子力などエネルギー安全保障に寄与し、かつ脱炭素効果の高い電源を最大限活用することによりエネルギー自給率を向上させる必要がある旨が示されております。2040年には総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されており、その中でも太陽光発電と風力発電が再生可能エネルギー供給構成の大きな部分を占める見込みであります。


 

再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、電力安定化に不可欠な調整力に対する需要は増加することが見込まれています。今後、原子力の出力が増加したとしても、過剰供給による充電ニーズ、瞬時の放電(出力)ニーズに応えるための調整力は依然として必要であり、調整力を提供する蓄電池に対する需要がより一層高まることが想定されます。


 

当社グループの各事業を取り巻く経営環境は以下のとおりであります。

(BESS事業)

再生可能エネルギーの調達促進、有効活用のニーズ増加に加えて、エネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーを蓄えることができる蓄電池は導入が加速しており、今後も市場規模の拡大が見込まれております。当社試算による定置用蓄電池の導入ポテンシャルは、2040年までに累計291~337GWh(累計約10.1兆円)(注1)と見込んでおりますが、この2040年において必要と推定される蓄電池容量は、国内の原子力発電所すべての出力を上回る規模となります。このように、蓄電池は電力の重要な供給源となることから、日本の国家安全保障の観点からも、BESSのセキュリティ強化、堅牢な国内制御が重要となります。

 


 


(注1)経済産業省及び資源エネルギー庁を含む、様々な公表資料に基づき試算。2040年の数値は第7次エネルギー基本計画に基づく日本政府のエネルギーミックス予測値及び2040年の総発電量の日本政府の予測値を使用して推定。2050年の数値は、総発電量と2050年の洋上風力発電の発電量目標に関する日本政府の予測に基づいて推定されており、その他の再生可能エネルギー発電量の数値については独自の仮定を適用。特に2050年の数値を計算する際には、2021年の再生可能エネルギー量と2040年の日本政府の目標を比較して算出した成長率を適用。2050年の再エネ以外の電源について、原子力発電については現在建設済み・建設中の原発を超えた発電能力の増加は想定せず、水素・アンモニア発電の比率については政府想定の10%を前提とした。棒グラフの陰影部分は老朽化した揚水式水力発電が耐用年数を迎えた時点ですべて電力需要の調整機能を持つ蓄電システムに置き換わると推定した場合に必要となる蓄電容量を示しているが、様々な要因により想定したとおりに代替が進まない可能性がある。また、2040年までの価格変動が生じないと仮定し、蓄電池システムの単価を30,000円/kWhとして算出した。

(注2)GWh値を日本におけるリチウムイオン電池の一般的な放電時間である4時間で除して算出

(注3)日本に現在設置されている原子力発電所の平均出力(2025年時点で1,003 MW)に基づいて算出(出所: 日本原子力安全機構)

(注4)既存の国内原子力発電所の総認可発電容量(2025年時点で33.08GW)に基づき算出 (出所: 日本原子力安全機構)

 

BESS(Battery Energy Storage System)事業では、系統用蓄電池や再エネ併設蓄電池、産業・商業用蓄電池などの用途で利用可能な大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」や中型定置用蓄電システム「PowerX cube」の製造販売及びメンテナンスを行っております。当社製品は、自社開発のプラットフォーム(Power OS)で監視や制御、セキュリティサポートを行っており、ユーザーが自ら蓄電池の状態監視・充放電制御を管理することができます。また、このプラットフォームはAIアプリケーションと連携しており、蓄電池で生成された充放電データをAIモデルに学習させることで、バッテリーや周辺機器の制御、及び蓄電池に蓄えた電力の充放電制御の最適化を図り、その精度を向上させることを通じて卸電力市場取引の自動化や、より適切なタイミングで電力売買を行うことによる収益性の向上を図ることができます。

蓄電池製品の販売後においては、自社専門チーム及び外部の協力会社による保守メンテナンスや技術サポートを提供するとともに、運用面のサポートについても顧客ニーズに対応した提案を行っております。「PowerX Mega Power」は最長20年間の容量保証が付帯するなど、蓄電池製品は長期間の使用を想定していることから、購入後のサポート体制が充実していることは、顧客の製品購入の意思決定において重要なポイントであるとともに、当社としてもストック型収益を獲得することができる重要な事業機会であると認識しております。

このような高い付加価値を持つ蓄電池製品及びサービスを生み出すことで、来るべき蓄電池需要に対応した事業展開をしてまいります。

 

(EVCS事業)

EVCS(EV Charge Station)事業では、当社グループが独自開発している蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」(以下、「HC」)を急速充電ニーズが高いカーディーラーや企業へ販売するとともに、自社でもHC を複合商業ビルや空港、コンビニや道の駅の駐車場等に設置し、「PowerX Charge Station」を運営しております。

HCを使用することで、最大出力240kWの短時間充電を可能とし、商業施設等の短時間の滞在を見込む場所や経路での充電をサポートすることができます。急速充電ができることで、時間の制約により充分な充電を行うことができないといった課題を解決し、フル充電を行うことも可能です。また、当社グループでは、EV充電ネットワークを利用できるアプリを自社開発しており、いつでもどこでも充電を事前予約でき、待ち時間なくスムーズな充電を可能としております。スマホアプリによる分かり易い操作で、予約から決済まで高いユーザビリティを付与しております。

HCの設置場所については、バッテリー容量が大きく、急速充電ニーズの高い輸入車メーカーや商用車(バス・タクシー等)の利用が見込まれる立地を中心に展開しております。また、これまでHCは、EV向け充電のみ可能でしたが、HCに内蔵される蓄電池を産業・商業用蓄電池としても活用出来る「PowerX Hypercharger Pro」の販売開始により、自治体・商業施設等におけるエネルギーマネジメント需要や防災需要に応えられる商品展開を図っています。

昨今のEVの普及状況を踏まえて顧客が投資時期を来期以降に先送りする傾向が認められる一方で、電動化の流れは徐々に進んでいることから、マクロ環境・市場環境を見極めながら、事業戦略、商品戦略を図る方針です。

 

(電力事業)

再生可能エネルギーの活用を検討する企業においても、そのニーズは高い再エネ比率の実現や、より安価な再生エネルギー利用など様々です。電力事業では、こうした顧客のニーズに合わせて、再生可能エネルギーやその他の安定電源と蓄電池を組み合わせた様々な電力提供サービスを提供しています。

また、2025年には大手企業を中心としたオフテイカーの登場などにより、トーリング(蓄電池の充放電する権利を一定期間借り手(オフテイカー)に貸し出し、固定リース料を受け取るモデル)が広がり始めました。当社グループでは、主に自社で製造し販売した蓄電システムを使用して、蓄電所オーナ-等が所有する系統用蓄電所等の電力運用を行うアグリゲーションサービス(運用を基本とするマーチャントモデル、安定収入を保証するトーリングモデル、これらを組み合わせたハイブリッドモデルなど)の提供も行っております。当社グループの蓄電システムの特徴として、「Mage in Japan」の製品であり、自社開発のクラウドベースマネジメントシステムを使用することでセキュリティの確保もできており、顧客獲得の強みとなっています。これらの強みを活用して、安定的な収益(アグリゲーターとしての収益)の積み上げを図ります。

 

(量産型データセンター事業)

昨今、生成AI(人工知能)や機械学習技術の急速な普及に伴い、大規模な演算処理能力を持つGPUサーバーなどの計算資源を収容するデータセンターの需要が世界的に急増しております。これに伴い、データセンターにおける電力消費量は著しく増大しており、膨大な電力をいかに安定的かつ持続可能な形で確保するかが、デジタルインフラの拡充における喫緊の社会課題となっております。 また、電力系統への負荷軽減や遅延低減の観点から、従来の大規模集中型(ハイパースケール)データセンターに加え、需要地に近い場所に設置可能な分散型データセンターやエッジコンピューティングの重要性が高まっております。弊社の試算では、2040年における国内データセンターの推定市場規模は5.3兆円~10.4兆円(注)に達する見込みです。

こうした市場環境の変化を捉え、当社グループは、電力インフラ(Watt)と計算資源(Bit)を統合的に最適化する「ワット・ビット連携」の実現を目指し、量産型データセンター事業へ参入いたします。 具体的には、当社のコア技術である蓄電池システムによる調整力と演算基盤を一体化した量産型コンテナデータセンター「PowerX Mega Power DC」を開発・展開してまいります。本製品は、蓄電池を併設することで、再生可能エネルギーの発電ピーク時に安価な電力を蓄電し電力需給が逼迫する時間帯にサーバー稼働に充てることで、系統への負担を抑えながら安定稼働を維持するなど、電力需給バランスに応じた柔軟なエネルギーマネジメントを可能にし、エネルギー効率と脱炭素化を両立する次世代の計算インフラを提供します。まずは、以下図表におけるフェーズ0(委託モデル)からの事業開始を予定しております。

 


 

当社グループは、本事業を通じて、AI時代の電力課題を解決し、地域分散型の持続可能なデジタル社会の構築に貢献してまいります。なお、2026年12月期の連結業績予想において、収益面では売上高の計上を見込まない一方、費用面では研究開発に係る費用を織り込んでおります。量産型データセンター事業に係る製品開発と販売体制の整備、及び顧客からの需要が想定以上であった場合、追加での投資を行う可能性がございます。

(注)2040年国内データセンター年間需要電力量予測は、電力広域的運営推進機関「第10回 将来の電力需給シナリオに関する検討会」の報告書上の2040年電力需要シナリオを参照。平均電力は、国内データセンター年間需要電力量に8760時間を除して算出。2024年末時点の国内データセンターの電力容量はIDC Japanの調査(https://my.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ53203025)より2,365.8MVA。データセンターのIT負荷は力率が高いことから0.9とおき、有効電力では概ね 2.1 GW程度に相当と弊社独自で換算。国内推定市場規模については、2040年から2024年末時点の電力容量の差分 (3~5.9GW = 3000MW ~5900MW) に、弊社Mega Power DCの受電MWあたりのコスト (建設+5年OPEX)17.7億円/MWを乗じて算出。弊社Mega Power DCの受電MWあたりのコストの算出方法については2026年2月13日に公開の弊社決算説明資料 Appendix 「PowerX Mega Power DCの優位性」パート (p84)を参照。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、持続的な成長性と企業価値の向上の実現に向けた達成状況を測定するため、売上高、受注残高、EBITDA、ROA、ROE及び温室効果ガス(GHG)削減貢献量を重要な経営指標として位置付けております。

当該指標を重視する理由は下記のとおりであります。

売上高及び受注残高は、事業規模・成長性の目安であり、当社製品の市場シェアの動向把握にも適した指標であるためです。

 

EBITDAは、多額の初期投資を必要とする当社グループにおいて、減価償却費等の一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の向上を目指すために適した指標であるためです。なお、EBITDAの計算式は、「EBITDA=営業利益+減価償却費+株式報酬費用」としております。

ROA、ROEは、他人資本を取り入れながら資産効率・資本効率を最適化することを表す指標として有用であるためです。

温室効果ガス(GHG)削減貢献量は、カーボンニュートラルの実現のため自然エネルギーの爆発的普及を目指す当社にとって、重要な指標であるためです。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①成長戦略の推進

 当社グループは、中長期的な事業拡大と収益基盤の確立に向けて、既存事業の連続的成長及び非連続的成長をバランスよく遂行することが課題となっております。

 既存事業の連続的成長については、主にBESS事業の既存製品の改善・進化、製品ラインナップの拡大、ターゲット市場・顧客の深化・拡大、蓄電システムの設置・導入の効率化、保守・メンテナンス体制の更なる高度化等、電力事業における電力販売(小売、卸、仲介)や蓄電所開発の拡大、アグリゲーションの拡大等による収益及び収益性の拡大を図ってまいります。

 また、非連続的成長については、量産型データセンター事業の開始、BESS事業における海外進出等により収益及び収益性の拡大を図ってまいります。

 

② 生産キャパシティの確保

 当社グループは、主にBESS事業における受注の急拡大により、生産キャパシティの拡大による供給の安定化が課題となっており、これに対応するため、IPO時の増資や借入資金等により、工場及び生産設備の増強を図ってまいります。

 

③ 部材調達価格上昇への対応

 当社グループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールについては、現状中国の仕入先より輸入しております。2026年1月以降、リチウムの生産事業者の操業停止、EVや蓄電システムの好調な需要、中国によるVAT(増値税)輸出還付の段階的廃止による駆け込み需要が連動し、原料価格の高騰を招いており、仕入先からのモジュール価格が上昇する可能性が生じております。リチウムの価格が落ち着く可能性があり、受注済を含む販売契約について、価格転嫁やコスト競争力のある新製品への切り替えも行う予定であり、中長期での影響は限定的となるものの、短期的には業績に影響を与える可能性があります。

 また、当該電池モジュールを含む輸入品については、ドル建ての仕入を行っており、為替レートについては155円前後を想定しておりますが、直近の変動が激しく、一定の為替予約を行っているものの、ドル建て仕入価格の予測が困難となっております。この状況は他社も同様であり、為替レートの動向によっては販売価格に転嫁していく可能性があるものの、短期的には業績に影響を与える可能性がございます。

 これらに対応するため、販売価格への価格転嫁、コスト競争力のある新製品への切り替え、中国以外の会社を含む部材調達先の拡大、為替予約のカバレッジ拡大等により収益性の確保を図ってまいります。

 

④ 人材の確保と育成の強化

当社グループの継続的な事業の成長と発展のために、優秀な人材の確保と育成は重要な課題の1つと認識しております。当社グループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、社内教育の充実、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。

 

⑤ 財務基盤の強化

当社グループは、運転資金に加えて、優秀な人材の採用・育成、研究開発、および製造設備への積極的な投資を継続しており、将来の成長に向けた多額の事業資金を必要としています。これら成長投資に必要な資金を安定的に確保するため、増資や、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするコミットメントライン契約など金融機関からの借り入れにより、安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、持続可能な成長の実現と企業価値の向上に向けて、取締役会及び執行役会を中心としたガバナンス体制の下でサステナビリティに関する課題や具体的な取り組みの方向性等を審議するとともに、課題への取り組み実績を確認しております。

 

(2) 戦略

(サステナビリティ共通)

当社グループは、事業活動を通じて、「永遠に、エネルギーに困らない地球」を目指し、経済価値及び環境・社会価値を追求することにより、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な発展の両立を図るものです。「日本のエネルギー自給率向上に貢献する」というミッションを掲げ、自然エネルギーの普及並びに蓄電、送電技術にイノベーションを起こし、脱炭素時代を担う次世代型のエネルギー企業を目指しております。

 

(人的資本について)

当社グループが持続的な成長を遂げ、社会に貢献し続けるためには、経営戦略上「人」への投資が極めて重要であり、全社員が高度な専門性を備えた「プロフェッショナル」として、その能力を最大限に発揮することが不可欠であると考えております。

その考えに基づき、当社グループが目指すべき組織像は「自律したプロフェッショナル人材による少数精鋭の機動性の高い組織」と考えております。各人が大きな裁量を持って業務を遂行することでパフォーマンスを最大化できるよう、プロフェッショナル人材がその真価を発揮しやすい社内環境の整備に注力しております。

 

● 社内環境整備の方向性

多様な視点や経験を持つ人材の確保は、事業拡大とイノベーションの創出に不可欠です。当社グループでは、「日本のエネルギー自給率の向上」を目指し、当社のミッションやビジョン、事業に深く共感するプロフェッショナル人材の獲得を最優先しております。こうした高い志を共にする人材や国籍やバックグラウンドを問わず優秀なプロフェッショナル人材を惹きつけられる組織であるために、経営方針を共有する場を四半期に一度設けるほか、その専門性と貢献に見合った市場競争力のある適正な報酬水準で報いることで、持続的なエンゲージメントの向上を図っております。市場競争力のある報酬体系を構築しております。その結果、取締役7名のうち3名が外国籍であるほか、全従業員における外国籍比率、特にエンジニア組織においては51.5%(いずれも2025年12月31日時点)が外国籍人材となるなど、ミッションへの共感に基づいたグローバルかつ多様性に富んだ組織を実現しております。

こうした多様なプロフェッショナルが、それぞれのミッションに深くコミットし、パフォーマンスを最大化させるためには、画一的な時間や場所に縛られない自律的な働き方が最も効率的であると考えております。この考えに基づき、各人が一定の裁量のもとで自律的に業務を遂行できるよう、フレックスタイム制やリモートワーク制度を導入しております。これらの柔軟な勤務形態は、社内で定められた一定のルールと、チームをはじめとした社内外関係者との円滑な協調を前提として運用されており、プロフェッショナルが個々の専門性を最も発揮しやすい状況を自律的に選択し、成果を追求するための戦略的な制度と位置付けております。

同時に、入社初日から付与する法定日数以上の年次有給休暇や、病気休暇、夏季休暇等の特別休暇制度を充実させることで、心身のコンディション管理を徹底し、メリハリをつけて仕事にも取り組むことで、中長期的な高い生産性の維持を支援しております。今後も、性別やライフステージを問わず、全ての社員がプロフェッショナルとしての能力を存分に発揮し、自己実現と組織の成長を同時に達成できるよう、各種施策の深化と浸透に努めてまいります。

 

 

(3) リスク管理

サステナビリティに関するリスク及び機会については、取締役会及び執行役会を中心として、識別し、重要度を評価してまいります。識別したリスク及び機会については、必要なリスク管理体制及び手法を整備・審議し、管理体制の有効性をレビューして、当社グループ全体のリスクマネジメントを行ってまいります。

 

(4) 指標及び目標

本書提出日現在において、目標については公表をしておりません。今後、精査を踏まえ、開示内容を拡充していく予定です。

 

(サステナビリティ共通)

当社グループは、カーボンニュートラルの実現に向けて、主に以下の指標を用いております。

 

GHG削減貢献量の算定概要

 算定方法(ベースライン):

 比較可能性を担保するために、環境省公表の「全国平均排出係数(全電源平均)」を用いた想定排出量から、当社サービス・製品の実績に基づく実際排出量(調整後排出係数等を使用)を差し引いて算出しています。

 二重計上・配分について:

 本数値は、当社サービスの提供を通じて社会全体の排出削減にどれだけ寄与したかを示す『削減貢献量』であり、排出権取引等に用いられるクレジットや、当社自身のScope削減量とは性質が異なります。

 データ範囲:

 対象期間における実測放電データ、およびその稼働傾向に基づき算出した推計値を使用しています。

 

GHG削減貢献量(CO2削減量)実績((A)+(B)-(C))

(A) 電力及びEV充電サービスのリカーリング収益部分によるGHG削減貢献量:

 電力について、定置用蓄電池の顧客向けのみならず、当社電力事業において再エネ電力を販売することにより削減した量を集計しております。具体的には対象期間の顧客ごと電力使用量での全国平均排出係数における想定排出量から、当社の再エネメニューを含めた電力使用量における調整後排出係数による実際排出量を控除し、削減量を計算しております。

 EV充電サービスについて、対象期間におけるEVユーザー向けに再エネ電力を供給することにより削減した量を集計しております。具体的には対象期間の充電量での全国平均排出係数における想定排出量から、当社の再エネメニューを含めた充電量における調整後排出係数による実際排出量を控除し、削減量を計算しております。また、使用する電力の再エネ属性は、非化石証書等により裏付けられています。

(B) 蓄電池販売のスポット収益部分によるGHG削減貢献量:

 定置用蓄電池の顧客が対象年度において当社蓄電池を導入したことによる再エネ利用の促進により、削減した量を集計しております。具体的には対象期間において当社蓄電池の商用運転が開始されており、当社システムにて再エネ充放電量の全量把握ができる対象蓄電池での削減量を計算しております。

(C) 蓄電池製造時のGHG発生量:

 対象期間における蓄電池製品工場での製造時GHG発生量を集計しております。

 

    2025年12月期のGHG削減貢献量(CO2削減量)実績は、9,435tとなりました。

 

 

(人的資本について)

当社グループは、多様なプロフェッショナル人材が集まり、活躍できる組織の実現を課題の一つとしております。前述の「(2) 戦略」の実践を踏まえ、多様なバックグラウンドを持つ全ての社員が、能力を十分に発揮できるようにするためのベンチマークの一つとして、以下の指標を用いております。

2025年12月31日現在)

指標

直近実績

管理職に占める女性比率

7.6

女性従業員の割合

14.8

男女の賃金の差異

77.9

男性の育児休業取得率

50.0

全社員に占めるエンジニア職社員の割合

41.2

うち外国籍の比率:51.5%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

①日本の経済情勢に関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

再生可能エネルギーやその技術・製品に対する需要は、当社グループが事業を展開する日本の経済情勢によって影響を受けます。即ち、少子高齢化の進行、金利上昇やインフレの進行によって日本の経済活動が停滞し、電力需要全体が想定よりも伸び悩む可能性や、当社グループの顧客が定置用蓄電池の設置やEV急速充電器の展開等に対する投資余力を失う可能性、政府が税収減少により再生可能エネルギー関連の補助金を削減する可能性があります。

このように、日本の経済情勢の悪化により、蓄電池の使用やEV急速充電器の設置が当社グループの想定したとおりに進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 再生可能エネルギー市場に関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

2025年2月に政府が閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、2040年度に総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されています。そして、この目標を達成するため、国レベルと地方レベルの両方で補助金を活用する方針・施策が示されていますが、政府のエネルギー戦略が変更され、当該計画で示された方針・施策は改定される可能性があります。このような場合には、再生可能エネルギー市場が縮小し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、上記第7次エネルギー基本計画及び第三者のデータや当社独自の分析に基づき、当社グループの事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境・戦略」をご参照ください。)。しかしながら、脱炭素社会の実現に向けた政府及び企業の考え方の変化、炭素エネルギーにおける技術革新、原発の再稼働・新設による再生可能エネルギーへの依存の低下、老朽化した揚水式水力発電施設の蓄電池への移行の遅れ、送電網の整備不足等により、当社グループが想定するほど当該市場が成長しない可能性があります。さらに、当社グループの事業が展開可能な市場に関する市場規模の推定が正確であった場合でも、他社との競合等により、当社グループの事業が成長しない可能性があります。

 

③ 政府及び地方自治体による補助金に関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

日本の政府及び地方自治体は、再生可能エネルギー及びその関連技術の採用を促進するための政策を採用しています。特に、当社グループの蓄電池製品は、第7次エネルギー基本計画のもと、補助金の対象となっており、顧客が受け取る補助金の多寡は、顧客が蓄電池製品を導入する意思決定に大きな影響を与えます。しかしながら政府又は地方自治体が方針を見直したり、予告なく中止したりする等、補助金が現状と同じ水準で続く保証はなく、顧客が受け取る補助金が想定よりも少なくなる場合などには蓄電池製品等の需要に影響し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 気候変動に関するリスク

 (発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)

地球温暖化による気候変動は、異常気象による自然災害の甚大化や、森林の減少・砂漠化、生物の絶滅等、地球規模で深刻なリスクを生じさせます。これらのリスクは、当社グループが保有する生産設備の損壊、サプライチェーンの機能不全、規制強化等によるコスト増加等、当社グループの事業活動の多方面に影響を及ぼす可能性があります。

また、地球温暖化による気候変動が想定以上に進まない場合、国、社会及び企業の再生可能エネルギーへの関心が薄れ、補助金や設備投資の減少により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

⑤ EV充電サービス需要の変動リスク

 (発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)

脱炭素化を背景として、電気自動車(EV)が普及していくことを想定していますが、日本におけるEVシフトの遅れやEVに替わる移動手段の出現などにより想定よりも日本国内におけるEVの普及が遅れた場合や、新たな技術によるEVへの充電方法が出現した場合は、当社グループのEV急速充電器の販売やEV充電サービスの売上が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、過去、特定のEVメーカーの車両が当社グループのEV急速充電器を使用した場合に、当該車両が故障する事案が発生しましたが、今後類似の事案が発生した場合、当社グループのレピュテーション、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 競合リスク

 (発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)

当社グループは、再生可能エネルギーの普及のために蓄電池の活用は不可欠であり、蓄電池製品をより多く普及させるためには、蓄電池を導入する顧客がストレージパリティ(蓄電池を導入することにより経済的なメリットを享受できる状態)を達成できる、より魅力的な経済条件で製品及びサービスを供給することが重要であると認識しております。当社グループは、高品質の製品を競争力のある価格で供給していくことを基本方針として事業を行っておりますが、国内外の競合他社との価格競争が激化し、想定した利益を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、経済安全保障上の観点から、日本国内の蓄電池製品市場においては日本の製造業者が海外の製造業者よりも競争上の優位性があると考えておりますが、そのような優位性が将来にわたって継続する保証はありません。他方、現時点における国内の主要な競合他社の中には、当社グループよりも事業規模が大きい企業もあり、経営資源の配分によっては、当社グループよりも優位に事業を展開できる可能性があります。さらに、今後新規の競合他社が蓄電池製品市場に参入し、当社グループよりも強い競争力を有することとなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 技術革新によるリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、太陽光や風力等の電源から生成されるエネルギーの余剰分を蓄電池を用いて貯蔵し、不足する時間帯に電力を供給することにより、再生可能エネルギーの導入に不可欠な役割を果たすことができると考えております。

 

しかしながら、将来的には、蓄電池に代替する革新的な蓄電技術が開発される可能性は否定することはできないと考えております。また、現状では当社の採用するリン酸鉄リチウムイオン電池に優位性がありますが、将来的により低コストで高品質な技術・製品の登場によりかかる優位性が損なわれる可能性もあります。さらに、化石燃料発電における技術革新、原子力発電、地熱発電その他の再生可能エネルギーにおける技術革新や、蓄電池における技術革新により、当社グループの製品及びサービスの優位性が損なわれる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 原材料調達に関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールについては、集中購買により低い単価で調達することを目的として、全量を中国の仕入先1社から輸入しております。しかしながら、当該仕入先における供給能力の低下、当該仕入先との関係の悪化、サプライチェーンにおける障害の発生、品質問題の発生、地政学リスクの顕在化、中国国内の政治情勢の変化等により、当該仕入先からの調達が困難となる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループでは当該仕入先からの主要部品の調達が困難になった場合を想定し、研究開発部門及び調達部門が連携して、他の事業者が製造している電池モジュール等についても品質面及びコスト面での評価を行うといった対策を講じております。また、中国以外の東アジア及び東南アジア等からの調達についても以前から検討を進めており、一定の目途が立っております。しかしながら、主要部品の仕入先を変更する場合、変更までに追加的な工数及びコストを要し、円滑な製品製造及び顧客への販売を継続できないことで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 原材料価格の変動リスク

 (発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)

当社グループが製造する蓄電池製品の主要な部品は、需要動向や貿易政策の変化等を受け変動します。また、原材料調達の一部は主に米ドル建てで行っており、為替変動の影響により調達価格は変動します。こうした状況に対して、当社グループでは、今後の生産計画を踏まえた仕入量の合意に基づく仕入価格の低減を交渉するとともに、外貨建取引について為替予約を付すことによる為替リスクの抑制、顧客への価格転嫁を図るといった対応策を講じております。しかしながら、これらの対応策が不調となった場合や、当社の想定を上回る市場価格や為替相場の変化が生じた場合には、原材料の価格変動によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業運営・組織体制に関するリスクについて

① 契約締結・履行に関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの主力であるBESS事業における販売及び収益認識プロセスは以下のとおりであり、初回のコンタクトから見積もり・顧客社内での承認プロセスを経て契約書締結まで平均3-4か月の期間を、また正式受注から生産・納品・検収を経てクロージングまで平均6-7か月の期間を、それぞれ想定しております。

 


 

上記のとおり、当社蓄電池製品の販売は、商談から納品・クロージングまでに一定の期間を要するビジネスモデルとなっており、商談や要件の調整、及び顧客社内での承認や補助金申請などに想定よりも時間を要し、当社が想定したタイミングよりも収益計上や資金回収が遅れる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、正式に受注し売買契約を締結した案件についても、用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、当社製品以外の資材調達の遅れ、契約後の顧客の財務状況の変化、顧客による補助金申請に対する交付決定の動向等により、予定したとおりに契約が履行されない可能性があります。これらの事象が発生した場合には、契約に基づき期待される売上の全部もしくは一部が計上されない、又はその計上が遅れる結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループが納品する製品に不具合が発生した場合には、予定したとおりに顧客の検収を受けることができず、想定した時期に売上高を計上できない可能性や、契約に定める遅延損害金を当社が顧客に支払う可能性があります。なお、顧客への製品の納品及び稼働試験業務の提供が完了した後においても、顧客の財務状況が変化して製品販売代金の入金が得られない、又は遅延する場合や、顧客による補助金申請に対する交付が予定通りに得られない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

(注)「正式受注額」とは顧客から正式に発注され、売買契約が締結された拘束力のある注文金額を指します。

 

② 主要製品の製造委託に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、「5 重要な契約等」に記載のとおり、三井造船特機エンジニアリング株式会社との間で大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の製造委託契約を締結しており、当社が製造販売する「PowerX Mega Power」はその全量を三井造船特機エンジニアリング株式会社にて組み立てていることから、当該契約は当社グループの主要な事業活動の前提となる事項に該当しております。当該契約は1年ごとの自動更新となっていますが、当事者のいずれか一方が契約違反や期限の利益喪失事由に該当する場合には他方の当事者が契約を解除することが可能であるほか、双方のいずれかが契約期限満了の6か月前までに書面で通知した場合は期限を延長しないことが可能となっており、三井造船特機エンジニアリング株式会社の経営方針等が大きく変更された場合には契約を解除される可能性があります。本書提出日現在において、当該契約の継続に支障を来たす要因は発生しておらず、また当社グループでは「PowerX Mega Power」の自社工場での生産能力の増強を計画しており、完成後は本リスクを軽減できる見通しですが、仮に完成前に当該契約の継続が困難になった場合、「PowerX Mega Power」の製造に重大な支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 生産キャパシティに関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)

当社グループは、増加する製品需要に対応すべく生産能力の拡大を計画しております。自社保有施設の拡張に加え、第三者への製造委託契約を活用して生産能力を拡大していくことを予定していますが、資金調達や、契約の更新等が何らかの事由により進行せず、または建設関連コストの大幅な上昇や建設業者が確保できない状況などが生じることにより、生産能力を維持・拡張できなかった場合、事業拡大に遅延が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、代替施設を利用することが可能である場合であっても、当該代替施設への移転や生産開始に時間を要する可能性や、多額の追加費用を要する可能性があり、その場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 創業者への依存に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の取締役 代表執行役社長CEO伊藤正裕は、当社の創業者であり当社設立以来、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、会社の事業推進に重要な役割を果たしております。当社グループでは、執行役への権限委譲やコーポレート・ガバナンス体制の構築により、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの事情により同氏が当社グループの経営を継続することが困難になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 人材の確保と育成に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)

当社グループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。当社グループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 (人的資本について)」に記載のとおり、プロフェッショナル人材がパフォーマンスを発揮しやすい社内環境の整備や制度設計に注力するなど、人材投資を重視しております。一方、国内を含むグローバルな人材獲得競争は激化しており、予定していた人員の確保及び育成が計画どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出などがあった場合、及び人材の採用や育成に関するコストが増加する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、自社で開発した蓄電池製品を製造、販売しておりますが、これら蓄電池製品には電力の充放電を最適化するためのアルゴリズムや機器構成といった技術やノウハウが含まれております。また、蓄電池製品の稼働状況を監視、制御するためのアプリケーションシステムについても自社の研究開発部門で開発しており、これらは当社の事業運営において不可欠な知的財産であります。これらのうち、発電設備とその電力出力方法、急速充電装置及び関連するシステム、及び移動体を用いたエネルギー輸送システムなど、当社グループが重要であると判断したものについては国内外において特許出願を行っておりますが、第三者による当社知的財産への侵害がなされた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、本書提出日現在において、当社グループが他社の知的財産を侵害したこと等によって当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟を提起されている事実はございません。今後も知的財産に関連する法令を遵守して事業活動を行ってまいる所存ですが、見解の相違も含めて、他社の知的財産を侵害する可能性があり、こうした状況が発生した場合には、解決に時間と費用を要し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 災害等の発生リスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

地震、津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業拠点が被災し、当社グループの主要な事業機能が麻痺することにより事業継続が困難になるリスクがあります。 また、当社グループが販売する製品の主要な製造拠点は岡山県に集中しており、当該地域が被災した場合、生産活動に甚大な影響を及ぼし、顧客への製品供給停滞による販売収益の大幅な減少や、多額の設備復旧費用及び外部委託費用の発生等が生じるリスクがあります。当社グループは、災害や事故などで被害を受けた際に、重要な機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるように、事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を策定していますが、実際に自然災害等が発生した際にBCPが有効に機能しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 製造物責任及び製品保証リスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは自ら策定した管理基準に基づき製品の設計、製造を行っておりますが、将来にわたり製品に欠陥が生じる可能性を否定することはできないと考えております。また、当社グループが締結している売買契約の中には、検収後一定期間の無償保証期間を設けているものや、最長20年の容量保証等を提供しているものもあります。これらの耐用年数や製品保証期間は、電池モジュール等のメーカーから提示されている試験結果や過去の運用結果に基づいて設定しており、また保証期間における補償費用をカバーするための保証契約を保証会社と締結するなど、製品保証コストの抑制を図っております。しかしながら、実際の稼働可能期間が当社グループの想定を下回る、または保証対象事案の発生の頻度又は重要度が当該想定を上回る場合には、当社グループが想定する以上の保証責任が発生する可能性があります。加えて、電池モジュール等の原材料の一部についてはサプライヤーによる保証期間が20年よりも短いことから、当該期間の経過後は、当社グループが当該原材料に起因する損害についても責任を負担する可能性があります。当社グループの製品の欠陥は大規模な製品回収(リコール)や製造物賠償責任、無償交換・修理等により多額の費用を必要とするだけではなく、当社グループのレピュテーションに重大な影響を与える可能性があります。当社グループは製品の販売時に製品保証引当金を計上しておりますが、当該見積りを超過する費用が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 取引先との関係性に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは蓄電池製品の購入者、調達先や物流業者、EV急速充電器の設置及び事業展開について提携している自動車メーカー、外部委託先等、多くの取引先との関係性を築きながら、事業を拡大しております。しかしながら、取引先の全てが品質、価格、納期の観点で当社グループにとって有利な条件で取引を継続する保証はなく、他の取引先に変更する必要が生じ、取引条件が悪化した場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 内部管理体制に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、創業以来、事業の立ち上げ、業容拡大に応じて管理部門等の人員増強、各種規程・マニュアルの整備、システム導入等を進め、内部管理体制を構築してまいりました。今後も規模拡大、業容拡大に応じて内部管理体制の充実を図っていく方針でありますが、有効な内部管理体制が整備されなかった場合、または内部管理体制の整備及び運用に多額のコストを要する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 法規制等に関するリスク

 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループの事業は、環境関連、知的財産、製品及び原材料の品質・安全性、競争関連、労働関連、税務関連等の様々な法規制等の適用を受けており、それらの法規制等を遵守し、事業活動を行っていますが、法規制等について、遵守できなかった場合や変更・改正があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 情報セキュリティに関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループでは、事業遂行にあたり、顧客の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。不正アクセス、コンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩など、不測の事態が生じてこれらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 訴訟に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループでは本書提出日現在、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は認識しておりませんが、将来、当社グループの法令違反の有無に関わらず何らかの原因で取引先、同業他社、株主、各種団体等による訴訟等を提起される可能性があります。これらの訴訟等が発生した場合、及び当該訴訟等において当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ ブランド認知に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの事業推進において、ブランドイメージや社会的信用の維持・向上は重要であると考えております。一方で、当社製品の欠陥とそれに伴う製品回収(リコール)が発生した場合や、アフターメンテナンスが適切に行われなかった場合、及び当社グループ又はその役職員に不祥事が発生した場合、当社グループのレピュテーションに重大な悪影響を与える可能性があります。こうした状況に対して適切な対応を講じることができない場合や、マスコミによる報道やソーシャルメディアへの書き込みなどにより当社グループに対する否定的な風評が流布された場合には、当社グループのブランドイメージや社会的信用が著しく毀損され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 財務リスク等について

① 資金調達に関するリスク

 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、受注時に前受金を受領して原材料を発注することで運転資本の圧縮を図るとともに、設備投資、研究開発、不足する運転資本等で必要な事業資金については増資及び金融機関からの借入等により調達しております。今後、当社グループの経営成績、財政状態の悪化や金融情勢の変化等により、当社グループが希望する金額、時期、条件での資金調達ができない場合、当社グループの事業展開及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 また、当社グループが締結している借入契約に付された財務制限条項(「5 重要な契約等 (2)金銭消費貸借契約」をご参照ください。)に抵触する場合、当社グループの事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性や、当社グループの借入コストやその後の資金調達に悪影響を与える可能性があります。

 

② 金利変動リスク

 (発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)

当社グループは、運転資金及び設備資金について金融機関からの借入れにより資金調達を行っており、本書提出日現在における借入は全て変動金利型となっております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 固定資産の減損リスク

 (発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)

当社グループの事業を推進していくためには、今後も、工場設備の増強等を行うことで固定資産が増加していくことが想定されますが、当社グループの業績が想定したとおりに進捗しない場合、これらの固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項について

① 社歴が浅いことについて

 当社は2021年3月に設立された社歴の浅い会社であります。当社グループが属する蓄電池関連市場は、再生可能エネルギーの普及と日本のエネルギー自給率の向上に蓄電池が不可欠であることから急激に成長しております。一方で、同市場の成長には多くの不確実性があり、また、当社グループも依然として急速な成長過程にあることから、過年度の財務情報は期間業績比較を行うには不十分な可能性があるとともに、当社グループが今後の経営環境の変化を予測し適切に対応するための経験が不足している可能性があります。

 

② 業績の下期偏重について

 当社グループの主要顧客は12月決算や3月決算の会社が多く、また顧客が利用する補助金制度の多くが年度末(3月末)までに受給要件を充足することが求められていることから、顧客の予算執行時期が下期に偏重する傾向にあり、そのため当社グループの売上高も通常、下期偏重となります。これに対して販売費及び一般管理費はその多くが固定費であることから、当社グループが営業利益、経常利益、当期純利益を計上する場合も、その割合は下期偏重となります。

 2025年12月期連結会計年度における四半期連結会計期間ごとの売上高及び営業損益は以下のとおりです。なお、各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツのレビューを受けておりません。

 

2025年12月

第1四半期連結会計期間

(自 2025年1月1日

  至 2025年3月31日)

2025年12月

第2四半期連結会計期間

(自 2025年4月1日

  至 2025年6月30日)

2025年12月

第3四半期連結会計期間

(自 2025年7月1日

  至 2025年9月30日)

2025年12月

第4四半期連結会計期間

(自 2025年10月1日

  至 2025年12月31日)

売上高

(百万円)

1,757

2,889

2,675

11,983

営業損失(△)

(百万円)

△803

△759

△619

1,505

 

 

③ 業績の期ズレについて

当社グループの蓄電池製品及び関連する商品の販売については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (5)重要な収益及び費用の計上基準」に記載したとおり、収益認識会計基準の定めに則り、製品及び商品を引渡し顧客が検収した時点で顧客が当該製品及び商品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点において収益を認識しております。しかしながら、特にBESS事業における定置用蓄電池の販売においては、納品前の用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、当社製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること等の顧客都合により納品・検収の遅れが生じることがあり、このような場合、当初想定時期に収益を計上できず、収益計上時期が決算期末を超える場合(期ズレ)があります。事前の納期・検収時期の調整や、自社保管場所・寄託倉庫で納品・検収等を行う条項を契約に記載し合意することで、当初想定した時期に納品・検収される施策を行っておりますが、当該施策が適時適切に行えなかった場合や顧客に受け入れられなかった場合には、当該事業年度における売上高が翌事業年度以降に計上されることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員らに対して新株予約権(ストックオプション)を付与しております(本書提出日現在の新株予約権の発行状況については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。)。本書提出日の前月末現在における当社発行済株式総数に対する潜在株式数は5,717,600株となっており、発行済株式数37,924,300株との合計43,641,900株に対する割合は13.10%となっております。なお、当社グループは、今後においても役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストックオプションの発行を実施していく予定であります。今後、これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式価値の希薄化を生じ、また、行使の結果として交付される株式の処分の状況によっては、当社株式の需給に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国との相互関税の引下げの合意等の好材料は見られたものの、米国の政策動向、ウクライナや中東地域における地政学リスクの影響等により、先行きは不透明な状況で推移しました。日本経済においては、雇用・所得環境の改善もあり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。

このような事業環境の中、2025年2月に政府が発表した第7次エネルギー基本計画では、2040年には発電電力量の4-5割程度を再エネとする指針が示され、令和7年度補正予算でも系統用蓄電池への支援が継続されるなど、系統用蓄電システムの導入促進も本格化する動きが継続して見られております。こうした状況に対して当社では、コスト競争力のある蓄電システムの国内生産及び販売活動を基盤としながら、エネルギーインフラとして長期・安定的な稼働を実現するソフトウエアなど複数の製品、サービスを展開しております。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高19,306百万円(前期比213.4%増加)、営業損失677百万円(前期は4,942百万円の営業損失)、経常損失1,796百万円(前期は5,702百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失1,646百万円(前期は8,013百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

なお、当社グループの連結業績は、顧客が利用する蓄電池製品の購入に関する補助金制度の受給要件充足の都合上、下半期に売上高と利益が多く計上されるため、上半期と下半期の業績に季節的変動があります。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(BESS事業)

BESS(Battery Energy Storage System)事業では、系統用蓄電池や再エネ併設蓄電池、産業・商業用蓄電池などの用途で利用可能な大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」や中型定置用蓄電システム「PowerX cube」の製造販売を行っております。BESS事業を取り巻く事業環境としては、今後、我が国における再エネの主力電源化や電力の安定供給に向けて、余剰となる自然エネルギーの有効活用や、自然エネルギーの変動を電力需要に合わせて調整する調整力の確保が急務となっております。こうした状況を背景に、電力系統に直接連系する大型の定置用蓄電システムのニーズはますます高まっており、2026年出荷予定分を中心に受注は順調に積み上がっております。

このような環境下、当連結会計年度のBESS事業は主に「PowerX Mega Power」の納品が順調に推移したことから、売上高は17,102百万円(前期比312.8%増)、セグメント利益は3,870百万円(前期比352.6%増)となりました。

 

(EVCS事業)

EVCS(EV Charge Station)事業では、B2B顧客向けの蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」の製造販売や、B2C顧客向けの「PowerX Hypercharger」を活用した急速EV充電サービスを提供しており、急速充電ニーズの高い輸入車メーカーや商用車(バス・タクシー等)を中心に「PowerX Hypercharger」を設置しています。また、系統への双方向の接続が可能な「PowerX Hypercharger Pro」の販売開始により、自治体・商業施設等におけるエネルギーマネジメント需要や防災需要に応えられる商品展開を図っていきます。一方で、昨今のEVの普及状況を踏まえて顧客が投資時期を来期以降に先送りする傾向も認められております。

このような環境下、当連結会計年度のEVCS事業は「PowerX Hypercharger」の納品が前期から減少したものの、蓄電池製品全体の生産量増加に伴い共通部材の仕入価格が低下し製造原価が抑制されたことから、売上高は1,149百万円(前期比29.4%減)、セグメント損失は424百万円(前期は498百万円のセグメント損失)となりました。

 

(電力事業)

電力事業では、夜間太陽光や風力など、再生可能エネルギー由来の電力を中心に、顧客ニーズに合わせた最適な組み合わせによる電力販売を提案・提供しております。幅広い事業者に対して蓄電システムメーカーならではの電力プランの提案を行い電力供給を行っております。また、蓄電所事業を運営する事業者への「PowerX Mega Power」など蓄電システムの販売、及び系統用蓄電所等の電力運用サービスの提供も行っております。

 

このような環境下、当連結会計年度の電力事業は電力販売、製品販売がいずれも順調に推移したことから、売上高は1,054百万円(前期比170.6%増)、セグメント利益は35百万円(前期は55百万円のセグメント損失)となりました。

 

財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は26,236百万円となり、前連結会計年度末に比べて15,405百万円増加しました。これは主に、製品販売契約締結に係る前受金の受領及び新規上場に伴う株式の発行などによる現金及び預金の増加6,209百万円、増収による売掛金及び契約資産の増加3,720百万円、受注に対応した商品及び製品の増加1,147百万円、生産量拡大に伴う原材料及び貯蔵品の増加1,218百万円、原材料などの調達に際してサプライヤーへ支払う前払金の増加984百万円によるものであります。

当連結会計年度末における負債は19,587百万円となり、前連結会計年度末に比べて10,427百万円増加しました。これは主に、契約負債(主に製品の販売に関する前受金)の増加8,035百万円、増収に伴う商品仕入に対応した買掛金の増加618百万円、業容拡大に対応する運転資金としての短期借入金の増加1,307百万円によるものであります。

当連結会計年度末における純資産は、6,648百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,978百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失1,646百万円の計上、東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う株式の発行及び第三者割当増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ3,177百万円増加したことによるものであります。

なお、2025年8月8日開催の臨時株主総会の決議に基づき、資本金7,645百万円、資本準備金9,049百万円をそれぞれその他資本剰余金へ振替え、当該その他資本剰余金16,694百万円を繰越利益剰余金に振替え欠損填補を行っておりますが、これによる純資産合計の変動はございません。

 

キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して6,209百万円増加7,454百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は以下のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,369百万円の収入となりました(前期は6,971百万円の支出)。これは主に、税金等調整前当期純損失の計上2,278百万円、契約負債の増加8,065百万円、売上債権及び契約資産の増加3,720百万円、及び棚卸資産の増加2,381百万円によるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは1,466百万円の支出となりました(前期は1,458百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,275百万円、国庫補助金の受取額90百万円、及び無形固定資産の取得による支出32百万円によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは6,306百万円の収入となりました(前期は8,670百万円の収入)。これは主に、株式発行による収入6,355百万円、短期借入金の純増額1,307百万円、長期借入金の返済による支出750百万円、及び資金調達費用の支払による支出707百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品群ごとに示すと、次のとおりであります。

製品群

生産高

(百万円)

前期比

(%)

定置用蓄電池

9,529

301.9

EV急速充電器

807

41.8

合計

10,336

203.1

 

 

(注) 1.金額は、製造原価によっております

2.当連結会計年度において、生産実績が著しく増加いたしました。これはBESS事業におきまして、主に「PowerX Mega Power」2025年出荷分を中心に生産が順調に進捗したことによるものであります。

 

b 受注実績

当連結会計年度における受注実績(正式受注額)を製品群ごとに示すと、次のとおりであります。

製品群

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

定置用蓄電池

48,502

496.8

36,893

622.7

EV急速充電器

979

77.2

128

65.7

合計

49,481

448.5

37,022

604.9

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。なお、受注高は上記期間において顧客からの正式受注に基づいて売買契約が締結された拘束力のある注文金額であり、受注残高は上記期間の末日において受注済みでありかつ売上未計上の注文金額であります。

2.当連結会計年度において、受注実績が著しく増加いたしました。これはBESS事業におきまして、主に大型の系統用蓄電池製品に係る補助金採択案件の獲得、およびプロジェクトの大型化によるものであります

3.上記受注残高の売上計上予定時期は以下のとおりです。

製品群

第6期

連結会計年度

(自 2026年 1月 1日

  至 2026年12月31日)

第7期

連結会計年度

(自 2027年 1月 1日

  至 2027年12月31日)

第8期

連結会計年度

(自 2028年 1月 1日

  至 2028年12月31日)

第9期

連結会計年度

(自 2029年 1月 1日

  至 2029年12月31日)以降

合計

定置用蓄電池

28,785

3,852

2,732

1,523

36,893

EV急速充電器

128

-

-

-

128

合計

28,913

3,852

2,732

1,523

37,022

 

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品群ごとに示すと、次のとおりであります。

製品群

販売高

(百万円)

前期比

(%)

定置用蓄電池

17,539

417.6

EV急速充電器

1,090

62.7

その他

677

304.3

合計

19,306

313.4

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.当連結会計年度において、販売実績が著しく増加いたしました。これはBESS事業におきまして、主に「PowerX Mega Power」の納品が順調に推移したことによるものであります。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

エネルギーパワー株式会社

-

-

2,641

13.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、将来生じる実際の結果と異なる可能性がありますのでご留意ください。

 

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の状況の分析

経営成績の状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。

b.財政状態の状況の分析

財政状態の状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの主な資金需要は、岡山県玉野市にある自社工場「Power Base」における製造ライン及び製造管理システムへの投資、製品生産に用いる原材料等の購入、及び人件費等の諸経費の支払いであります。資金調達については現在、金融機関からの借入れ、または新株発行等によっております。資金調達の基本的な方針として、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入により調達し、設備投資の必要性が生じた際には投資金額、手元資金、資本コスト等を総合的に考慮して最適な手段により調達することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。経営者は債権、固定資産の減損、繰延税金資産、引当金等に関する会計上の見積り及び判断について、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、継続して評価を行っており、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。会計上の見積りは、その性質上、入手しうる情報や判断に基づいて行うため、実際の結果は異なる場合があります。重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、主な経営指標として、売上高、受注残高、EBITDA、ROA、ROE、及び温室効果ガス(GHG)削減貢献量を重視しております。各指標の推移は以下のとおりであります。

 

第4期連結会計年度

(自 2024年1月1日 

  至 2024年12月31日)

第5期連結会計年度

(自 2025年1月1日 

  至 2025年12月31日)

前期比増減(%)

売上高(百万円)

6,161

19,306

213.4

受注残高(百万円)

6,120

37,022

504.9

EBITDA(百万円)

△4,450

△137

-

ROA(%)

△82.9

△8.9

-

ROE(%)

△242.7

△43.0

-

温室効果ガス(GHG)
削減貢献量(t)

3,632

9,435

159.8

 

(注) 当社は、当連結会計年度より、収益性および現金創出能力をより適切に把握するため、EBITDAの算定方法を「営業利益+減価償却費」から「営業利益+減価償却費+株式報酬費用」に変更しております。これに伴い、前連結会計年度の数値についても、当該変更後の算定方法に基づき再計算した数値を記載し、比較分析を行っております。なお、当該変更による影響額は、前連結会計年度で166百万円、当連結会計年度で80百万円であります。

 

 

5 【重要な契約等】

(1)製品の製造委託に関する契約

契約の相手先

契約内容

締結日

契約期間

三井造船特機エンジニアリング株式会社

業務委託基本契約

大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の製造委託

2023年3月16日

2年間

以後1年毎自動延長

 

 

(2)金銭消費貸借契約

① 新生信託銀行株式会社との金銭消費貸借契約

当社は2024年1月17日付で、新生信託銀行株式会社と金銭消費貸借契約を締結しております(2025年8月7日に一部改定)。当該金銭消費貸借契約の主な契約内容は、以下のとおりであります。

1 契約の相手先

新生信託銀行株式会社

2 当初借入金額

3,500百万円

3 返済期限

2025年7月22日より6か月ごとに返済(最終返済日2027年1月19日)

4 担保

売掛金、棚卸資産、建物、土地、機械及び装置、関係会社貸付金

5 金利

  基準金利(全銀協TIBOR運営機関が公表する日本円TIBOR)+適用スプレッド

6 主な借入人の義務

  (1) 当社グループの年次事業報告、決算書等を定期的に提出すること

  (2) 財務制限条項を遵守すること(注)

 

② 株式会社みずほ銀行とのコミットメントライン契約

当社は2025年3月26日付で、株式会社みずほ銀行をエージェントとするコミットメントライン契約を締結しております。当該コミットメントライン契約の主な契約内容は、以下のとおりであります。

1 契約の相手先

エージェント:株式会社みずほ銀行

貸付人:株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社

2 借入枠

4,000百万円

3 コミットメント期間

2025年3月31日から2026年3月31日

4 担保

売掛金、建物、土地

5 金利

  基準金利(全銀協TIBOR運営機関が公表する日本円TIBOR)+適用スプレッド

6 主な借入人の義務

  (1) 当社グループの年次事業報告、決算書等を定期的に提出すること

  (2) 財務制限条項を遵守すること(注)

 

(注)詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載の通りであります。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、今後大幅な拡大が見込まれる蓄電池需要を背景に、コスト競争力があり、長期・安定的な稼働が可能な蓄電池製品の研究開発に取り組んでおります。

研究開発はエンジニアリング・研究開発部が中心に推進しており、分野ごとに各事業部や調達部門などの社内部門、及び外部の協力企業と連携しながら製品の企画・研究・開発・設計まで一貫して対応しております。エンジニアリング・研究開発部には2025年12月末時点で52名(臨時従業員6名は含まない)が所属しており、専門領域ごとにチームを編成しております。各チームとその対応領域は以下のとおりです。

(Series Development Team)

大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」や蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」などの蓄電池製品に係る継続的な機能改良や製造プロセスの改善、信頼性及び耐久性の評価、ユーザーインターフェース(UI)及び顧客体験(UX)の改善などを担当。またコンテナデータセンター「Mega Power DC」のプロトタイプ制作を行っております。

(Advanced Engineering Team)

今後展開する新製品に搭載するBMS(バッテリーマネジメントシステム)の機構設計、蓄電池システムやコンテナデータセンターに搭載する組込みソフトウェアの開発を担当。

(Information Technology Team)

各製品のフロントエンド/バックエンドシステムの開発、及びPower OS(「PowerX Mega Power」向け運用管理システム)やPowerX App(「PowerX Hypercharger」を用いたEVユーザー向け充電サービス向けアプリ)など製品運用に用いるアプリケーションの開発を担当。

(Life Cycle Management・Controlling Team)

研究開発活動におけるコストエンジニアリング及び必要な部材等の調達、及びエンジニアリング・研究開発部の全般的な運営サポートを担当。

各チームは担当する領域における研究開発をリードするとともに、案件単位では緊密に連携しながら当社グループが展開する製品の性能及び品質の向上や安全性の確保に取り組んでおります。

 

連結会計年度における当社グループの研究開発費は1,775百万円であり、主な内容は、冷却能力が高く温度管理に優れた水冷式の電池モジュールを用いた「PowerX Mega Power 2500」(本書提出日現在において販売している「PowerX Mega Power」では空冷式の電池モジュールを採用)のプロトタイプ制作といった陸用蓄電池製品や船舶用蓄電池に使用する水冷モジュール、コンテナデータセンター「Mega Power DC」の新規開発であります。

なお、上記の研究開発の金額は特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っておりません。