(1) 中期経営計画の取り組みを継続
2025年2月に発表した中期経営計画において、当社グループの海外事業の業績回復が最も大きな課題であると位置付けました。その実現に向けて「不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築」「事業戦略のフォーカス」「株主価値・資本効率を重視した経営及び財務方針」を推進しております。最優先で取り組むべき収益性・競争優位性の回復に向けた中期的な取り組みに変更はなく、今後も継続します。一方で、事業環境の変化及び足許の業績を鑑み、中期経営計画については、具体的な戦略及び施策を更新し、一部の主要財務目標及び財務方針を見直しのため取り下げ、改めて設定いたします。
(2) 不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築
収益性の回復に向けて当社グループが継続して取り組んでいるのが、不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築です。
まず、累計投下資本が100億円超のマーケットのうち赤字が続くマーケットの見直しを進めており、2023年度より赤字が続いていた中国とオーストラリアにおける事業を、徹底したコスト効率化と報酬の見直しにより、調整後営業利益ベースで黒字に転換しました。いずれも2025年度通期では依然マイナス成長となりましたが、中国においてはオーガニック成長率が第3四半期以降プラスに転じ、収益の改善に貢献しています。不振ビジネスの見直しは最新の実績を基に継続して行っており、2026年度の赤字マーケットゼロという目標に向けて収益性回復の歩みを進めております。また、特定された不振ビジネスの一部は、既に縮小・撤退・売却プロセスを開始しており、進捗については適切なタイミングで速やかに公表いたします。
経営基盤の再構築として、2027年度に年間500億円規模のコスト削減を目指しており、東京とロンドンに分散・重複していた本部機能の見直し、各リージョン本部の役割再定義による業務簡素化、マーケットのコストコントロール、AIやアウトソーシングの活用も含めた効率化を進めております。具体的には750件の施策を立ち上げ、2026年1月時点でそのうち8割以上が実行中又は実行済のステータスとなっております。この結果として、2025年度に年間約140億円のコスト削減を実現し、2026年度は追加で年間約280億円のコスト削減を実現する見込みです。また、以前より進めてきた資本構造の簡素化を継続して推進し、2021年1月時点では海外事業において1,000以上あった法人を2026年1月時点で半分にまで削減いたしました。この取り組みは2026年度も継続し、更なる効率化と同時にクライアントに迅速に価値を提供できる組織の実現を進めます。
(3) 事業戦略のフォーカス
当社グループがクライアントに提供するサービスは、マーケティング、テクノロジー及びコンサルティングが融合する領域並びにスポーツ&エンターテインメント領域にて保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、クライアントの持続的な成長を実現する「Integrated Growth Solutions(インテグレーテッド・グロース・ソリューション)」です。中期経営計画においては、各マーケットにおけるクライアントのグロースパートナーとなることを目指しており、各マーケットでの成功を積み上げることでグローバルでの成長を実現していきます。
マーケット戦略においては、スケールとユニークな事業アセットがある日本・米国への注力を特に進めております。
当社グループの売上総利益の約4割を占める日本においては11四半期連続の成長を実現できています。2026年度においても引き続き堅調な成長を見込んでおり、グループ全体を牽引するマーケットとして、さらなる競争力の強化を行ってまいります。
2025年度はマイナス成長となった米国については、メディアをコアとした成長を目指してデータ&テクノロジー領域でのツール開発やAI活用等の内部投資を進めております。また、CXM事業の業績回復に向けパイプライン(見込み案件)の受注率改善等を進めており、2025年度の第3四半期及び第4四半期での回復基調から、2026年度は米国のCXM事業が2022年度以来のプラス成長に回帰することを予想しています。
海外事業においては、コアとなるメディア領域の付加価値向上に向けた取り組みを進めており、海外3地域の売上総利益の過半を占めるメディア事業の2025年度のオーガニック成長はプラスとなりました。クリエイティブ事業、CXM事業では厳しい事業環境が続く地域もありますが、両事業においてメディアとの親和性が高い領域のケイパビリティ強化を継続していきます。
将来の柱となる事業創出の取り組みも並行して進めており、ビジネストランスフォーメーション(BX)に加え、これまで主に日本事業の中でビジネスを行ってきたスポーツ&エンターテインメント事業のグローバル展開を2025年度より本格的に開始しました。2026年度も大規模スポーツイベント等のビジネス機会が複数控えており、戦略的な事業拡大を進めてまいります。
(4) 株主価値・資本効率を重視した経営及び財務方針
大幅な減損損失の計上により財務基盤が影響を受けたことを踏まえ、従来に増して規律ある財務方針の下で事業の管理・運用を行います。必要となる資金の規模を厳密に見極め、資本と負債のバランスなどを慎重に管理し、財務の健全性を改善してまいります。
その上で、キャピタルアロケーション(資本配分)においては、収益性及び競争優位性の回復に向けて、経営基盤の再構築に係る費用、及び事業成長のための内部投資を継続して優先してまいります。一方で、買収などの投資については、一層厳格なリスク管理の下で事業戦略に整合した案件を選択的に実施してまいります。
株主還元については、誠に遺憾ながら、2025年度は中間配当に続いて期末配当も無配とし、2026年度の年間配当予想も無配としました。今後、重点マーケット・領域への経営資源の集中や、経営基盤の再構築及び不振ビジネスの見直しにより、競争優位性及び収益性の回復を進め、EPS(1株当たり当期利益)の向上とTSR(株主総利回り)の最大化を図るとともに将来的な復配に向けた取り組みを推進します。
(5) ガバナンス及び内部統制の向上
当社グループは、One dentsuオペレーティング・モデルの適切かつ効率的な運用に向けて、グループ横断でのガバナンス体制の構築、地域ごとの意思決定に対する監督機能の強化、責任者の明確化、事業運営の簡素化等を通じたガバナンス及び内部統制の向上に引き続き努めてまいります。当該取り組みの進捗は、取締役会、監査委員会等でも定期的に確認しております。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する独占禁止法違反による当社の起訴を受け、dentsu Japanでは、問題の再発防止のために役員・従業員一同が意識行動改革へ取り組み、2023年度に策定した改革の17施策は2024年度に全て完了しました。そして、2025年1月からは、それまでの取り組みを発展させ、従業員調査や外部アドバイザー評価などを通じて確認された課題への対応を進めております。
当社は、2025年1月30日に東京地方裁判所より有罪判決を受け、同年7月31日に東京高等裁判所より控訴棄却の判決、同年12月10日に最高裁判所より上告棄却の決定を受領いたしました。当社は、これらの判決及び決定を厳粛に受け止め、意識行動改革を始めとしたガバナンスと内部統制の向上への取り組みを更に進めて、適切な業務プロセスに基づいた事業運営及び企業活動を行ってまいります。
(6) その他の課題
当社は、当事業年度の個別決算において、海外事業の持株会社となるDentsu International Limitedの株式に実質価額の著しい低下が確認されたこと、また、同社傘下の海外子会社において貸付金の回収リスクが高まったことから、当事業年度の個別財務諸表において、関係会社株式評価損286,714百万円及び貸倒引当金繰入額171,858百万円を計上いたしました。
その結果、当社は、当事業年度の個別財務諸表において債務超過の状況となり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しておりますが、当事業年度末における資金残高の状況や多様な資金調達手段、グループ全体の資金繰り等の観点から、当社及び当社グループの事業活動において継続性に関する懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
電通グループのサステナビリティとは、パーパスに掲げる社会や企業の持続的な発展を実現することです。2025年6月、変化する社会情勢を見据えたより強固な経営基盤構築を目的に、当社グループは「2030サステナビリティ戦略」を経営方針B2B2Sの実行プランと位置付けた「2030価値創造戦略」に改訂し、①インテグリティ、②ピープル&カルチャー、③イノベーション、④環境、の4つをマテリアリティとしました。マテリアリティに取り組むことが、サステナビリティ推進の戦略です。
2030価値創造戦略
マテリアリティは、パーパスの実現とともに、ステークホルダーに対する企業価値を最大化するため、「経営視点での重要性」と「ステークホルダー視点での重要性」の2軸の分析によって策定したものであります。策定の過程では、当社グループの現状と将来を見据えた経営戦略やビジネスモデル、グループリスク委員会が管理するグループ経営上のリスク項目、さらには取締役会やサステナビリティ関連会議資料等、SASBをはじめとする情報開示基準などを分析対象としております。マテリアリティ策定過程の詳細については、HPをご覧ください。
外部環境を踏まえたマテリアリティと企業価値との関連性については、下記の通りであります。
2030価値創造戦略の進捗と、各マテリアリティの取り組みの状況は、グループサステナビリティ委員会(GSC)を通じて管理しております。全てのアクションプランとKPIが達成されるよう、委員会メンバーと担当部門は相互に連携しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① ガバナンス
サステナビリティに関する当社グループのガバナンス体制は以下の通りであります。

・取締役会(BOD)
当社グループのサステナビリティを巡る取組みについての基本的方針を定め、グループ・マネジメント・ボード(GMB)が決議・承認したサステナビリティに関連する経営上の重要な事項に関して報告を受け、監督する責任を担います。
・グループ・マネジメント・ボード(GMB)
当社グループのサステナビリティに関してグループサステナビリティ委員会(GSC)が策定する戦略、KPI、アクティベーション等について、GSCからの報告を審議し、決議・承認するとともに、その事案を取締役会に報告する責任を担い、GSCの活動をモニタリングします。
・グループサステナビリティ委員会(GSC)
当社はサステナビリティを経営の中核テーマの1つと位置づけており、執行機関としてグループ・マネジメント・ボードの直下にグループサステナビリティ委員会を設置しております。
当社グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーを議長とした同委員会は、当社グローバルCEOをはじめとする8名の多様な専門性と地域性を持つメンバーで構成されており、重要な経営戦略の1つである「2030価値創造戦略」の進捗や、米国を除く当社の役員報酬制度の構成要素となっている温室効果ガス(GHG)排出量削減や女性リーダー比率などの指標の進捗を管理しております。また、人権のテーマは常設議題として取り扱っております。
<2025年度 グループサステナビリティ委員会メンバー>
2025年度において取締役会とグループサステナビリティ委員会で審議・議論された議題は以下の通りであります。
役員報酬との連動
2022年度より、当社グループの役員の年次賞与にサステナビリティ指標を採用しております。詳細は、
② リスク管理
当社グループにおけるサステナビリティに関連するリスクは、既存の経営戦略や事業等のリスクを反映して策定したマテリアリティによって識別され、年4回実施されるグループサステナビリティ委員会においてマテリアリティをベースとした「2030価値創造戦略」の推進の進捗状況を評価、管理しております。
推進に当たっては、マテリアリティ毎にグループサステナビリティ委員会のメンバーであるグループ・マネジメント・チームがその責任を負うとともに、グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーが全体統括を行います。
なお、同戦略に掲げた目標達成が計画通りに進捗しなかった場合等のリスクについては、グループリスク委員会で評価、管理しております。
③ 指標及び目標
2030価値創造戦略のマテリアリティに定めたアクションプランとKPI、及び2025年度の進捗は以下の通りであります。
2025年度の進捗
インテグリティ:
・研修:コンテンツを新規制作・更新し、全従業員向け研修を実施(※一部テーマは計画立案中)
・窓口:専門人材が対応する運用体制を継続/通報件数・重大インシデント有無等を定期確認
・第三者評価:評価の向上又は維持を確認/ギャップ整理を実施
ピープル&カルチャー:
・女性リーダー比率(米国を除く):25.4%(当社グループが定める等級において、日本ではJapan Job Level 55以上、海外ではJob Level 55以上をリーダーと定義しております。なお、日本におけるリーダーの定義は2025年度に改定されております。)
・グループ・エグゼクティブ・マネジメントの後継者準備率:100%(緊急カバーを含む)
・Check In(CI)サーベイの[成長]スコア:スコア維持(目標達成)
・Check In(CI)サーベイの[エンゲージメント]スコア:スコア維持(目標達成)
・Check In(CI)サーベイの「リスペクト」スコア:2ポイント上昇(目標達成)
イノベーションに導くリーダーシップ:
・社会の明るい未来のための投資と研究開発:6件
・社会のより持続可能な未来に向けた行動を促すソートリーダーシップコンテンツ:(件数非公開)
・社会の未来のためのパートナーシップやエコシステムのイノベーション:9件
環境
・GHG Scope1+2排出量:10,937tCO2e(基準年比69.6%削減)
・GHG Scope3排出量:308,783tCO2e(基準年比43.0%削減)
・再生可能エネルギー比率:86.4%
当社グループは、気候変動を含む環境に関わるリスクと機会、レジリエンスを事業戦略に組み込み、将来にわたって安定的な事業成長を実現することを目指しております。そのためGHG排出量ネットゼロ目標を掲げ、2024年10月には短期・長期の目標がSBTiの企業ネットゼロ基準に照らしてSBTi認定を受けました。この目標を確実に達成するため、2025年度は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が示したIFRSサステナビリティ開示基準 IFRS S2号(気候関連開示)を参照して分析・報告を行い、その結果を踏まえて2025年9月には「ネットゼロ実現に向けた移行計画」を策定・開示しました。詳細は、電通グループ
https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/climate-related-report2025.pdf
https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/net-zero-transition-plan2025.pdf
① 気候変動に関するガバナンス
気候変動は、「2030価値創造戦略」におけるマテリアリティの1つであり、ガバナンスの体制はサステナビリティ全般と共通であります。
② 気候変動に対する戦略
「電通グループ環境方針」は気候変動がもたらす環境影響(資産やサプライチェーンへの物理的リスク、規制変更による事業運営の移行リスクなど)を軽減するための取組方針を定めております。その根底には、グローバルに事業を展開する当社グループの、世界各地の環境関連法規制の遵守に対する強い責任があります。本方針は、私たちの事業のパーパスである新しいソリューションの創造と、クライアントと社会の持続的な成長を支えるものであります。詳細は当社ウェブサイト
https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/common/pdf/environmental-policy.pdf
1-1 事業及びバリューチェーン全体の気候リスク・機会の評価
当社グループでは、気候変動が短期・中期・長期的に当社グループの事業にインパクトを与えるものと想定し、クライアント、サプライヤー、生活者、その他の主要なステークホルダーに影響が及ぶ可能性があると考えております。このため、当社グループの性質、規模、複雑性に見合った方法で、入手可能な合理的かつ裏付け可能なあらゆる情報を用い、バリューチェーンの上流・下流へのインパクトも考慮して、①1.5℃目標に沿ったシナリオ(2050ネットゼロ排出)、②無秩序な移行シナリオ(移行遅延)、③物理的リスクが最も高いシナリオ(現行政策)、を気候シナリオとして気候リスクの評価を行っております。
採用したシナリオは以下の通りであります。
またシナリオ分析では、気候関連のリスクと機会が、以下の時間軸において電通グループの事業にどのようなインパクトを与えるかを検討しました。
・ 短期:2025~2029年。短期的な事業リスクと即時的な方針変更を想定。
・ 中期:2030~2039年。市場の期待の変化、生活者の行動の変化、技術革新、カーボンプライシング、当社グループのサプライチェーン全体における脱炭素化への取り組みなど、移行によるインパクトの多くが増大すると見込まれる期間を想定。
・ 長期:2040~2050年。経済の構造的な変化、物理的な気候リスク、事業環境を根本的に変える可能性のある抜本的な脱炭素化への軌道を想定。
下表は、さまざまな気候シナリオの下で、各気候リスクと機会に割り当てられた財務的インパクトと評価の結果をまとめたものであります。これらのインパクトと評価が、特に時間軸が短期(2025~2029年)から長期(2040~2050年)にどう変化するかについても示しております。
リスク/機会の区分:
事業及びバリューチェーン全体の気候リスク/機会の評価:
特定したリスクが電通グループのビジネスモデルに及ぼす影響及びリスクの詳細と、その緩和策については、電通グループ
https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/climate-related-report2025.pdf
1-2 ネットゼロ実現に向けた移行計画
上記のようなシナリオの元、2030価値創造戦略のKPIとなっているGHG排出量の削減と再生可能エネルギー使用比率100%を確実に達成するため、「ネットゼロ移行計画」を策定しております。今後はこの計画に則り、各地域・マーケットにおいて優先度の高い課題から順次実行に移していく予定であります。詳細は、電通グループ
③ リスク管理
気候変動に関連したリスクは、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述のサステナビリティ全般のリスク管理において統合的に管理しております。
④ 目標と実績
前述の気候関連のリスクと機会の分析に基づき、当社グループでは最もインパクトが大きいと考えられる5つの領域に注力して気候変動に取組みます。
‐私たち自身のサステナビリティ・トランスフォーメーションを加速する
‐業界の変革を推進する
‐異業種間でパートナーシップを組む
‐社会の持続可能な選択を促す
‐社会の仕組みを変える提案をする
1-1 気候変動に関する目標と実績
当社グループは、2040年までにバリューチェーン上の温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロ達成を目標に掲げており、当社グループの科学に基づく短・長期的なGHG排出削減目標値は、SBTi(Science Based Targets initiative)の企業ネットゼロ基準に従ってSBTiに認定されております。
当社グループのGHG削減目標は次の通りであります。
●短期目標(~2030年)
当社グループは、2030年までにScope1とScope2のGHG絶対排出量を2019年ベースラインから46.2%削減します。また、グループ全体の購入した製品・サービス、出張、雇用者の通勤から発生するScope3のGHG絶対排出量を、同じ期間内に46.2%削減します。
●長期目標(~2040年)
当社グループは、Scope1とScope3のGHG絶対排出量を、2019年ベースライン比で2040年までに90%削減します。さらに、Scope3のGHG絶対排出量も同じ期間内に90%削減します。
2040年までにネットゼロを達成するために、当社グループはまず追加的な排出削減活動を実施しますが、残りの排出量(10%未満)は、信頼できる検証可能な GHG 削減スキームを通して削減します。
●再生可能エネルギー比率100%
当社グループは、2030年までに再生可能エネルギー比率を100%にすることにコミットしております。
2025年度のGHG排出量、及び再生可能エネルギーの導入実績は以下の通りであります。なお、㈱電通グループの経営支配力が及ぶ日本国内・海外連結子会社(「電通グループ」)を対象としております。従業員数・拠点の利用形態等により影響が軽微と判断できる連結子会社は対象外としております。
GHG排出量(tCO2e)
(注)1.マーケット基準は、Scope2について適用しております。
2.2025年実績に含まれるScope1、Scope2及びScope3の各合計数値については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しております。
再生可能エネルギー使用量(kWh)
(注)1.当社グループのサステナビリティ戦略とコミットメントにおける再生可能エネルギーとは、再生可能な資源から発電された電力を指します。この定義は、当社グループもメンバーである国際的なイニシアチブRE100に準拠しています。
2.再生可能エネルギー使用量に関するデータは、第三者保証対象外です。
1-2 事業における取り組み
上記の方針に基づく2025年度の主な事業の取り組みは、以下の通りであります。
●日本の広告・マーケティング業界におけるカーボンカリキュレーターの共同開発を始動
2023年、当社グループは国内広告業界標準の温室効果ガス(GHG)排出量可視化と削減を目指すマーケティング領域の脱炭素化イニシアティブ「Decarbonization Initiative for Marketing(DIM)」を立ち上げました。2025年には、一般社団法人 日本広告業協会(JAAA)、一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)、一般社団法人 日本イベント産業振興協会(JACE)とともに、日本の広告・マーケティング業界における炭素削減を目指し、広告制作やイベント等の広告に関わる炭素(カーボン)排出量を可視化・算出する「カーボンカリキュレーター」の共同開発に参画しました。現在、国際的な算定基準や国内外の実務に基づいて設計を進めており、今後は精緻化と実証を重ねながら、業界全体での実運用を目指します。
●サステナビリティに配慮したイベントの実現を支援するワークショップの試験運用を開始
株式会社電通ライブは、株式会社丹青社、株式会社乃村工藝社、株式会社博報堂プロダクツ、株式会社ムラヤマの5社で構成される「サステナブルイベント協議会」を立ち上げ、イベント業界におけるサステナビリティ促進と業界全体のリテラシー向上を目的に活動してきました。2025年度は、イベントに関わる全ての人々にサステナビリティに配慮したイベントについて考えるためのオリジナル・ワークショップツールを開発し、イベント業界全体のサステナビリティ推進に貢献しました。詳細はプレスリリースをご覧ください。
●国内グループ8社で企業間の資源循環で地域と企業の成長促す「産業共生コーディネーション」サービスの提供開始
株式会社電通と国内電通グループ8社(株式会社電通総研、株式会社電通ライブ、株式会社電通北海道、株式会社電通東日本、株式会社電通西日本、株式会社電通九州、株式会社電通沖縄、株式会社電通名鉄コミュニケーションズ)は、企業と地域のサーキュラーエコノミーを支援する「産業共生コーディネーション」の提供を開始しました。これは、BtoB企業が排出する廃棄物や副産物を資源として相互活用する異業種間の連携機会を特定・マッチングし、企業成長と地域経済の活性化の実現を支援するものであります。「産業共生」の実現に向けて特につまずきやすい「共生機会の特定」や「マッチング」に関して、国内電通グループ各社のサーキュラーエコノミーやビジネスコンサルティングの専門人財の経験を生かして支援し、社会全体での循環型経済の実現を目指します。詳細はプレスリリースをご覧ください。
(3) 人権の尊重
電通グループにとって人権の尊重は自社グループの存立基盤、倫理的かつ持続可能なビジネスの根幹をなす重要事項です。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権の擁護に努めてまいります。
① 戦略
電通グループ全体のガバナンス体制と部門横断的な取組みを推進し、法令遵守とあらゆるステークホルダーからの要請への準備を開始しております。また、「2030サステナビリティ戦略」との整合も図ってまいります。
② ガバナンス
電通グループでの人権への取組みの統括はグローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサーが担っており、業務上の人権対応は専門部署の担当者が行っております(グループ全体をカバーするべく、日本及び海外の両方に配置して連携しております)。対応状況については、個別事案も含めて取締役会にも報告しております。
また、グループサステナビリティ委員会では各回必須で「人権」を議題として取り扱い、日本固有の課題についてはdentsu Japanのマネジメントで構成する「電通グループ人権委員会」で対応しております。
③ リスク管理
2024年にグループ全体を対象にした人権課題の特定(人権デューディリジェンス)を外部専門家を交えて実施。その結果以下の6項目を特定しております。
(1) 業務における平等と無差別の原則
(2) 思想、意見、宗教、信仰の自由、表現の自由、情報へのアクセスに基づいたビジネス
(3) 労働上の権利とハラスメント
(4) 業務上のプライバシー・個人情報の保護
(5) 子どもの権利
(6) 健康的で持続可能な環境への権利
④ 指標と目標
指標と目標は、以下の2項目となっております。
・ グループ全体での人権デューディリジェンスの実施を通じた課題の更なる明確化とそれらを反映した人権啓発活動の更新(人権方針、研修等)。
・ 人権に関する取組みの積極的な情報公開と外部ステークホルダーとの対話。
当社グループとしての人権の取組みは、
① 基本方針
当社グループのビジョン<「人起点の変革」の最前線に立ち、社会にポジティブな動力を生み出す>には、「人」が創り出す可能性を信じ、そこから生まれる新たな力で社会に貢献していきたいという思いが込められております。この実現のためには、我々の最大の資産であるユニークで多様な人財の力を解き放ち、その力を掛け合わせていくことが重要と考えております。
こうした前提のもと、当社グループの人的資本のとらえ方の根幹にあるのは「人は誰でも『貢献したい。成長したい。』という気持ちを持っており、仕事を通じて自身の成長を実感することに喜びを感じる」という信念であります。こうした人の自律的な成長意欲を信じ、誰もがチャレンジし成長する機会が得られる環境を実現することで、人的資本、つまり「人」の可能性に投資し、そのケイパビリティを拡張していく経営を進めてまいります。
② 戦略
「人起点の変革」を推進し社会に貢献していくために、当社グループは従業員のユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、顧客の持続的成長を実現する「インテグレーテッド・グロース・ソリュ―ション(IGS)」に注力しております。
この経営戦略と関連する重要課題に応えていくためには、「人」の可能性をどのように拡張していくかが大きな焦点ですが、これには、大きく二つの望ましい状態の実現が必要と考えております。まず、様々な人財が繋がり合い、ともに学び、互いの専門性を掛け合わせることで組織・個人ともに高いケイパビリティを持っている状態であります。これは当社グループならではの「統合」されたソリューションの提供に不可欠なものであります。そしてもう一つは、従業員一人ひとりがインテグリティを持ちチームに前向きに貢献しようとする意識、つまりエンゲージメントが高まっている状態であります。この二つの状態をグローバルに実現することが、One dentsuで「人」の可能性を高め、経営戦略実現を支援している姿であり、我々の目指すところでもあります。
これを実現すべく2023年度から始まったOne dentsu体制を人事部門にも取り入れ、チーフ・HR・オフィサー(CHRO)を中心としたグローバル横断的な人事リーダーシップチームが組成されております。この体制のもと、グローバルで一貫した戦略体系を構築・実行しております。
・人事ミッションと戦略概要
グローバル人事戦略の起点となるのは、人事領域の担当者が何を目指して仕事をするのかを定めたミッションであります。人事リーダーシップチームで議論し確立したものが、「1つのチームになり、仲間の力を引き出す」です。これには、人事領域の各チームが垣根無くそれぞれの力を出し合い、従業員一人ひとり、そして組織全体の秘める可能性を解き放つ、という我々の役割を明確に表しております。この人事ミッションのもと、経営戦略の支援・ビジョンの実現に向けた具体的な注力領域などを定めた三つの柱から成る人事戦略体系を構築しております。
この基本戦略のもと、2025年度には特に優先的に投資する領域を定め、グローバルリーダー人財育成、インテグレーテッド・グロース・ソリューション(IGS)領域のケイパビリティ強化、AIを活用した生産性向上といった領域を加速させてきました。これらの投資により、当社グループならではの「人の可能性の拡張」を推進してまいります。
・人事戦略1: People Growth(人の成長)
人の成長をどのように実現するかは、言うまでもなく人財戦略の最重要な柱であります。従業員一人ひとりの成長はもちろんのこと、組織が変革を求められている状況においては、リーダーがいかに成長をドライブできるかが重要であります。組織が発揮できる能力は、それを率いるリーダーの行動が与える影響により、大きく異なると考えるためです。
当社グループにおいても、人と組織の成長を加速する鍵となるのはリーダーシップの在り方であると考え、人的資本投資の中でも優先的に取り組みを進めております。
ⅰ) dentsu Leadership Attributes
「dentsuの目指す姿」を牽引するリーダーシップを見極め、育てることを重点課題と捉え、dentsuのリーダーが持つべきリーダーシップ行動要件を「dentsu Leadership Attributes(dLA)」として言語化・定義しています。dLAは組織としてどのような行動が推奨され評価されるべきなのかを示す6つの要素と全ての素地となるインテグリティから構成されております。具体的には、未来を切り拓くための戦略的思考とイノベーション、強いチームを作るための人財育成と組織文化醸成、結果を出すための顧客中心主義の実践と仕事の推進力といった項目であり、それぞれに対して従業員がどのように行動を発揮しているかを確認するツールとしても活用できるものです。2025年度にはdLAを各種人事制度に組み込み、人財選定・評価・育成の指針として活用を推進しつつ、グローバルで社員への浸透活動を行いました。
ⅱ) 人財を見極め、育てるためのディスカッション
今後のリーダー人財候補者の特定・育成に向けては、dLAに基づいた「People Discussion」(人財についてレビューし、育成方針を議論する場)をグループ・各リージョンで実施しました。活動の3年目となる本年度には前年より議論の対象となる従業員層を更に広げ、仕組みとして定着させることができました。この活動の結果、2025年度におけるグループ・エグゼクティブ・マネジメントの全ポジションについて、少なくとも1名以上の後継者候補が特定できている状況(緊急カバー含む)を担保しております。また各部門における有力人財の可視化、後継者候補の選定を行うとともに、育成投資について議論を推進し、人財パイプラインの強化を行っております。
この活動が定着してきたことで、人財を見極めるプロセスにリーダーシップの観点を、グループ一貫して反映させることができました。これにより、業績とリーダーシップの両面からの人財評価・育成を実現しつつあります。
ⅲ) 高ポテンシャル人財、戦略領域人財への投資
People Discussionを通じて可視化された人財に対してはそのポテンシャルを最大化すべく、グローバルで多様な環境で自身をストレッチさせる業務の経験機会、スキルや視野を広げる育成プログラムを提供しております。One dentsuオペレーティング・モデルをより強固に体現すべく年間を通じてグローバルリーダーの登用、組織再編を行っておりますが、新リーダーの抜擢の際には、重点人財の成長につながる体験をさせることも意図されております。また育成プログラムの代表的なものとして、本年度は重点地域である日本人財のグローバル活躍を支援する、新たな育成プログラムを立ち上げました。また、将来のグループ経営層の育成を目指した人財の配置・派遣計画も推進しております。また、経営戦略として掲げるIGSの提供力強化を目指し、特に海外各地域でのケイパビリティ強化を推進しました。地域・市場ごとに異なる顧客状況、ケイパビリティ成熟度に応じ、ローカライズした投資を行っています。
並行して、従業員のキャリアの選択肢を増やすことで長く働けるキャリアを形成することも目指しております。その基盤として、グループ統一の職務・等級フレームの導入を進めており、特に等級(ジョブレベル)の共通化に向けた取り組みが進捗しています。これにより、グループ内で「リーダー層」として定義されるべき人財を可視化し、そこから得られるデータによって人財育成課題をさらに明確化することができました。この基盤を継続して固めていくことで、地域や個社を超えた人財の流動化を促進し、従業員一人ひとりのキャリアアップを支援していくことを目指します。
ⅳ) 人を育てる仕組みと文化の定着に向けて
今後継続的に十分な効果を出していくため、ここまでに挙げた各種施策は継続的なサイクルの仕組みとして設計されており、今後はこれを通じた「リーダーがリーダーを育てる」文化を定着させていくことを目指します。具体的には、dLAの各種人事施策への組み込みと定期的なPeople Discussionの運営・対象範囲の拡大を通して、人財の可視化や戦略的人財配置などの直接効果にとどまらず、議論に参加する各リーダー自身の人財育成意識に働きかけてまいります。今後はこの成果を確認するべく、プロセスとしての対話時間や結果としての後継者準備率をモニタリングする一方で、エンゲージメント調査を通じ、従業員側の成長実感がどの程度得られたのかも併せて計測してまいります。これら複合的な指標を用いて、People Growthの進捗を確認してまいります。
・人事戦略2:Winning as One Team(ワンチームとなって勝つ組織)
当社グループの強みは、多様でユニークな個の力が掛け合わさり、そこから我々ならではのクリエイティビティ、そしてイノベーションが生まれることであると考えます。その価値の実現に向け、グローバルに存在する人財の一人ひとりが強みを発揮するに留まらず、同じ目的に向かってコラボレーションすること、つまりワンチームになることを重視しております。その素地となるのはインテグリティに基づくdentsuらしいカルチャーづくりと生産性高く活性化された組織であると捉えて、重点的に活動を行っております。
ⅰ) エンゲージメント調査と組織カルチャーへの取り組み
従業員がチームとして前向きに協力し合う文化の形成には、エンゲージメントは最も重要な要素の一つです。当グループでは毎年の調査で、従業員の満足度と推奨度からエンゲージメントスコアを算出しており、全グループ単位と地域・会社などの部門単位で課題を特定した上で改善に取り組んでおります。また役員報酬のKPIにも組み込んでおります。
前年度の調査結果からは、経営戦略やメッセージの明確性・透明性などの項目が重点課題であると捉えられ、それらに対する打ち手として経営からのコミュニケーション改善に取り組みました。具体的には、国内・海外ともに経営層からメッセージなどの情報発信・Town Hall Meetingなどの直接インタラクションの機会を数多く設定しました。
他方、ガバナンス観点で重視される個人のインテグリティやコンプライアンス意識についての回答は、日本・海外とも経年で高いスコアを記録しました。これを前向きな機会と捉え、更なる意識向上や活動改善の取り組みを進めてまいります。
ⅱ) フレキシブルで生産性の高い働き方ができる環境の整備
従業員が十分に活躍できる環境整備として、労働環境の改革にも継続的に取り組んでおります。ハイブリッドワークから得られる柔軟性の高い働き方を継続しつつ、当社が目指す「人起点の変革」にはリアルコミュニケーションも重要であることから、各地域・部門ごとに最適な出社バランスを検討し、対面での社員交流機会も増やしております。ワンチームとなって能力を最大限発揮するには、生産性の高い働き方を志向し、テクノロジーも取り入れた新しい方法を積極的に取り入れる姿勢も欠かせません。日常業務へのAI活用を通じた現場レベルでの学びやアイディア創発の支援は、引き続き重視してまいります。
日本で継続してきた労働環境改革においては、勤務管理や従業員見守りなどに関する意識・活動のベースを保ちつつ、ハイブリッドな働き方などの現場実態に即し、今後の持続的成長に向けた活動を継続しております。
ⅲ) 多様な能力のコラボレーションを高める従業員意識
多様な従業員が安心して能力を発揮し、コラボレーションを通じてより良いソリューションを生み出していく組織文化では、それを育む従業員の意識が重要であります。様々な「違い」のある従業員同士がその差を理解し、互いに尊重し合いながら働くことができる意識と、そのための場づくりの活動にも注力しております。この成果を確認するべく、エンゲージメント調査に盛り込んでいる「敬意/Respect」のスコアを指標とし、各従業員が職場で他者から尊重されていると感じられているかどうかを注視しております。
同様に、コラボレーションに対する意識、インテグリティに対する意識についても、対応するエンゲージメント調査のスコアをモニタリングし、関係施策のPDCAに繋げてまいります。組織文化の状況を一つの指標で定量的に測定していくことは困難ではあるものの、当社グループの目指す状態を構成する要素として、互いへの敬意、コラボレーション意識、インテグリティ意識の水準を把握し、総合値としてのエンゲージメントとの関係性にも着目することで、Winning as One Teamの推進に活用してまいります。
・人事戦略3:HR Service Excellence(最良の人事サービスとパートナーシップ)
People Growth、Winning as One Teamの各戦略に基づく一連の施策を具現化していく際、人事部門は事業領域と質の高いパートナーシップを築くことが重要であります。この実現のため、人事部門の専門性と生産性を高め、人と組織の面から経営戦略や意思決定を支えていくグローバル体制を構築しております。具体的には、経営・事業に寄り添うHRビジネスパートナー(HRBP)と、人財マネジメントや報酬設計などの専門チームから成るCenter of Excellence(CoE)を両輪とし、組織的なケイパビリティを高めております。
ⅰ) 事業変革に対応したHRBPサポート
ビジネスに最も近い位置で様々な支援を行うHRBPは、人事パートナーシップの要であり、その能力を向上させることが人事サービスの質に直結します。2025年度は当社を中心とした日本におけるHRBP活動を本格化し、サービスの幅を広げてきました。引き続き人事パートナリングの範囲を広げつつ、日本における機能の定着化を図ります。
ⅱ) HRサービスインフラの整備
人事部門の活動やサービスを支える人財データ領域への投資・活動も継続しており、直近では特にデータの精度向上、及びグループ共通のデータ項目整備に注力しております。中でも日本には数多くの法人が存在するため、他地域と比べて人財情報の共通定義を設けることが困難な状況でしたが、過去数年で統一データテンプレートの開発と各社導入を進め、徐々にデータベースを確立してまいりました。これにより、2025年度の各種人事KPIモニタリングの精度の向上、開示情報の拡大を実現することができました。今後は、グループ単位での戦略的な意思決定に寄与できる情報基盤への活用に向けて、データの精度とカバー範囲を継続的に向上させてまいります。
もう一つ重要な柱として日常業務の効率性を高める取り組みも継続しており、作業量の多いオペレーション業務についてはプロセスの最適化や自動化、コスト効率の高いニアショア・オフショア地域でのシェアードサービスの活用を推進しております。2025年度は海外地域において、AIをプロセスに組み込んだ効率化、従業員からの問い合わせへのチャットボット活用などに取り組みました。今後も地域間の業務の違いも考慮しながら、全体最適化が望ましい業務についてはプロセスやシステムを見直し、グローバルでの統合、標準化などを通じ、更なる生産性の向上を進めていく考えであります。
当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の投資判断上重要であると考えられる主要な事項を以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、当社グループは、グループの持続的成長と価値提供のための重要課題としてマテリアリティを策定しております。マテリアリティに関する詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。後述のとおり、公表したマテリアリティも念頭においた当社グループの全社的リスク評価(Enterprise Risk Assessment、略称ERA)を2024年に実施いたしました。
また、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのリスク管理体制
当社グループでは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のコーポレート・ガバナンス体制図にあるコーポレート・ガバナンス体制の下、リスク管理を所管するグループリスク委員会を設置してERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防及び顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク対応の責任者となるリスク・スポンサーを選定し、リスク対応計画の策定と実施を委任しております。対応すべきリスクとその評価は、グループリスク委員会で定期的に見直しその対応状況とともにグループ・マネジメント・ボード並びに取締役会に定期的に報告しております。
2024年より、グループリスク委員会によるOne dentsuとしてのガバナンス強化を目的に、日本、Americas、EMEA、APACの各CEOをグループリスク委員会の委員に加えました。また、グループ・マネジメント・ボード傘下に4つの地域別リージョナル・ガバナンス委員会を設置し、各地域におけるリスク、コンプライアンス及び内部統制等の管理を行っております。リスクについては、グループリスク委員会が、4つのリージョナル・ガバナンス委員会を活用して、グループ横断的にリスク管理を統括できる体制を整備しております。さらに、グループ・マネジメント・チームからグローバル内部統制&リスク責任者を任命し、リスク管理活動を強力に推進しております。
主なリスク項目とその対応策
当社グループでは、2024年に実施したERAの一環として、グループのリーダー、リージョン・主要マーケットのリーダー、社外取締役へのリスクに関する広範なインタビューを行い、そこから得た洞察をグループリスク委員会及びグループ・マネジメント・ボードで検討し、重要と判断するリスクの一覧であるリスク・レジスターを更新しました。その後、2025年のリスク・レジスターの更新においては、ブランディングとレピュテーション・リスクを新たに認識しました。
また、グループリスクの網羅性をより確実なものにするために、用語整理を含めたリスクの体系化も同時に行いました。本項では、当該体系に基づき重要であると考えられる主要なリスクを記載しております。
(1) 戦略リスク
当社グループは、戦略リスク領域として「事業開発と成長リスク」、「事業変革リスク」、「サステナビリティ・リスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「競争力・長期戦略」、「事業変革」、「ブランディングとレピュテーション」、「2030価値創造戦略目標の未達」などに係るリスクがあります。
① 競争力・長期戦略
2025年2月、当社グループは中長期に渡る成長を実現していくための基本的な方針として、2025年度から2027年度までの3年間を対象とした「中期経営計画」を策定し、公表しました。本計画は、競争優位性及び収益性の回復を目標として掲げており、その実現に向け、事業戦略のフォーカス、経営基盤の再構築、不振ビジネスの見直しに取り組んでまいります。当社グループがまず着手する取り組みは、不振ビジネスの見直し・事業モデルの再構築を中心とした収益成長力の回復です。併せて、経営基盤の見直しを行い、計画的かつ持続的なコスト改善にも取り組みます。
当社グループは各マーケットにおける顧客のグロースパートナーとなることを目指しております。そして、その成功を積み上げることでグローバル全体での成長を実現していきます。そのために、マーケット、顧客及びケイパビリティの各戦略を更新し、当社グループの競争力を明確化した上で、事業戦略のフォーカスを加速してまいります。
さらに、将来の柱となる事業創出の取り組みも並行して進めます。その一環として、これまで主に日本事業の下でビジネスを行ってきたスポーツ&エンターテインメント事業をグローバルに展開し、非連続的な成長を目指します。
しかしながら、メディアプラットフォームなど巨大プレーヤーの台頭や、テクノロジー企業・コンサルティング企業他によるAI等への巨額の投資など、業界内外での競争環境の激化等によって当社グループのポジションも相対的に変化していくことが想定されます。このような環境下において、当社グループが競争力を維持できず、既存顧客の維持や新規顧客獲得に影響が出ることにより、戦略目標や財務目標を達成できず、市場シェアの喪失、協賛権・放送権並びにコンテンツの価値の低下、財務上の損失につながる可能性があります。
② 事業変革
当社グループは2024年1月、クライアントに提供するサービスと価値を最大化するためのフレームワークである「One dentsu オペレーティング・モデル」を導入し、意思決定の迅速化、責任の明確化、権限委譲を可能にする簡素化された組織構造への変革を進めております。
しかしながら、同事業変革が想定どおりに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業環境の急速な変化に構造改革が追いつかない場合、内部統制の脆弱化、管理体制の不備が顕在化するリスクがあります。
③ ブランディングとレピュテーション
当社グループは、ネガティブなメディア報道、ソーシャルメディア上のスキャンダル、広報上の失敗などをブランディングとレピュテーションに係るリスクとして認識し、その影響や対応について検討しております。
しかしながら、その影響が継続することにより、当社グループのブランドイメージが毀損する場合、クライアントからの信頼喪失、収益減少、従業員のモチベーション低下や退職者の増加、新規雇用の困難などの悪影響が生じる可能性があります。
④ 2030価値創造戦略目標の未達
変化する社会情勢を見据えたより強固な経営基盤構築を目的に、当社グループは2025年6月において「2030サステナビリティ戦略」を「2030価値創造戦略」に改訂し、マテリアリティを「インテグリティ」「ピープル&カルチャー」「イノベーション」「環境」としました。
2030価値創造戦略の進捗と、マテリアリティへの取り組み状況は、年4回開催されるグループサステナビリティ委員会を通じて管理し、全てのアクションプランとKPIが達成されるよう、委員会メンバーと担当部門は連携して推進しています。また、推進統括にはグローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーを任命しております。
しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループのレピュテーションなどに悪影響が生じる可能性があります。
(2) オペレーショナル・リスク
当社グループは、オペレーショナル・リスク領域として「ガバナンスと監督リスク」、「第三者に係るリスク」、「レジリエンス・リスク」、「人的資本リスク」、「データ管理リスク」、「テクノロジー・リスク」、「情報セキュリティ・リスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「人財の獲得、育成、リテンション」、「エンタープライズ・テクノロジーの統合及び導入」などに係るリスクがあります。
① 人財の獲得、育成、リテンション
当社グループは、創業以来一貫して「人が資本」の企業であり、創造力と実行力に長けた多様な人財こそが持続的な企業価値向上の源泉であると考えております。そのため、必要な人財を十分に獲得、維持できない場合、顧客への高度なサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは「People Discussion」と呼ばれる人財についての議論を毎年実施し、人財の可視化を行うとともに、部門ごとの人財課題に応じた獲得・育成・リテンションの打ち手を議論します。その結果明らかになったポテンシャル人財の成長を加速すべく、グローバル/ローカルのさまざまな環境で自身をストレッチできる機会、スキルや視野を広げるプログラムを戦略的に提供しています。また、当社グループが求めるリーダー像を定義した「dentsu Leadership Attributes」を人財マネジメントのバックボーンとして設定・活用し、リーダーシップについてのあるべき育成投資を行います。
人財獲得については特に人財流動性の高い海外市場において注力しており、採用業務の効率化と精度向上を目指したテクノロジー活用を進めています。これにより、募集から採用までの期間短縮などの成果も現れています。上級職の採用に特化した専門チームを設置し、コストを抑えつつ社内に専門知見を蓄積する活動も進めています。「人的資本の開発」は、当初グループのマテリアリティの1つでもあります。
② エンタープライズ・テクノロジーの統合及び導入
当社グループは、2024年1月に導入したフレームワークである「One dentsu オペレーティング・モデル」によって、ビジネス・オペレーションとエンタープライズ・テクノロジーの強化及び高度化を目指しています。これらは、組織の簡素化と統合の実現(部門の垣根をこえた協働を可能にすることで、オペレーショナル・エクセレンスを実現する組織の構築)とスピードの向上(ITインフラへの投資と拡張を実現することで、俊敏で柔軟性のある組織を実現)を推進する鍵となります。
しかしながら、適切なテクノロジーソリューションへの投資が実行できない場合、また、グループとしてのITマネジメントが適切に実行できない場合、業務の管理及び事業の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティに係るリスク
当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客の未公開の商品・サービスや事業に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、仮に情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループに対する信頼が損なわれ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員又はサプライヤーによって、重大なビジネスシステム及びデータの機密性、完全性又は可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の問題、又は顧客への影響が生じる可能性があります。
当社グループでは、セキュリティ・リスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設けて、進化する脅威の重大性を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理・統制の有効性評価を行っております。
④ 個人情報等に係るリスク(データ・ガバナンス)
当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客にとってのエンドユーザーに関する個人情報を受領することがあります。また、顧客からエンドユーザー一人ひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。
当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法及びEU一般データ保護規則等の法令又は諸規制を遵守し、これら法令又は諸規制の改定に迅速に対応しております。また、グループ共通の「グローバルデータ保護原則」を制定しており、現時点においてこれらの法令又は諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。
しかしながら、仮に個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令又は諸規制が改定され、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) コンプライアンス&法務リスク
当社グループは、コンプライアンス&法務リスク領域として「コンダクト・倫理リスク」、「クライアント契約の遵守に係るリスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「企業文化」、「コンプライアンス」などに係るリスクがあります。
① 企業文化
当社グループの人財は、困難な課題に前向きに取り組み、多様な個性が互いの強みを活かしながら、チームの力で複合的な視点からアイデアを出し、クライアントの課題を解決へ導く力を持っています。顧客企業やステークホルダーの皆さまとともに、「人が生きる喜びに満ちた活力ある社会」の実現を目指してイノベーションを進めていく企業文化は、当社グループのDNAであり、世界中のチームに浸透しています。
しかしながら、人財を管理するリーダーたちが自らの責任を果たさない、人的資本に関する適切な経営を実行しない、「倫理」や「インテグリティ」を企業価値のトップに据えて適切な社内浸透を図らない等の場合、当社グループの企業文化が損なわれ、従業員のモチベーションや生産性に悪影響が生じる可能性があります。
② コンプライアンス
当社グループは、当社グループのマテリアリティ及び「2030年価値創造戦略」において、「企業倫理・コンプライアンス」「データプライバシーとサイバーセキュリティの強化」「リスクマネジメントの強化」「コーポレート・ガバナンスの強化」「人権の尊重」を含む「インテグリティ」を重要課題に掲げ、「インテグリティを最優先に仕事に取り組む」ことをこの課題に対応するゴールイメージとしております。社会をはじめすべてのステークホルダーに対して、企業倫理とコンプライアンスを順守し、インテグリティを実践することは、当社グループが企業活動を行う上での大前提です。
しかしながら、故意又は過失不注意により、当社グループの事業において法規制や会社方針を無視する、或いはこれに違反した行動が発生した場合、当社グループのレピュテーションが低下し、企業価値を著しく損なう可能性があります。
③ 訴訟等に係るリスク
当社グループが広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求・課徴金等を受けるリスクを内包しております。
当社グループでは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事案に関して、2023年5月15日に「dentsu Japan改革委員会」を設置し、意識行動改革に取り組んでまいりました。そして、同委員会の下で進めてきた再発防止のための17施策については、2024年12月18日に全ての施策を完了しました。2025年1月からは、インテグリティを最優先する組織風土の定着、高いレベルでのコンプライアンスの徹底などを目的に、これまでの取り組みを発展させ、「意識行動改革プロジェクト」を推進しております。
(4) 外部リスク
① 景気変動及び社会的変革に伴うリスク
当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。世界経済は緩やかな回復基調にあるものの、地政学上のリスクの顕在化やインフレ再燃懸念等により、未だ不確実な状況にあると言わざるを得ません。
また、2020年以降のコロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、より個人化された体験が重要になっております。企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装、生成AIの活用など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超えて高度化・複合化しており、データとテクノロジーを活用した顧客体験の設計や体験価値の向上に拡大しております。これらのニーズに当社グループが適切に対応できない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 災害、事故並びに地政学に関わるリスク
当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病の爆発的な流行、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、リージョン・マーケット等で想定される上記の問題に対し、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。2025年においては、南海トラフ地震を想定した事業継続対応策を策定しました。
(5) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、2025年12月期 (2025年1月1日~2025年12月31日) (IFRS)に実施したのれんの減損テストにおいて、直近の経済環境を踏まえた様々な将来リスクを反映した結果、当社グループの4事業地域に含まれるEMEA及びAmericasにおいて、のれんの減損損失396,074百万円を計上いたしました。これに伴い、当社の個別決算では、海外事業の持株会社となるDentsu International Limitedの株式において実質価額の著しい低下が確認されたこと、また、同社傘下の海外子会社において貸付金の回収リスクが高まったことから、当事業年度において関係会社株式評価損286,714百万円及び貸倒引当金繰入額171,858百万円を計上いたしました。
上記の結果、当社は、当事業年度の個別財務諸表において債務超過となり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しておりますが、当事業年度末における資金残高の状況や多様な資金調達手段、当社を含むグループ全体の資金繰り等の観点から、当社及び当社グループの事業活動において継続性に関する懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当社及び当社グループは、このような状況を解消すべく、中期経営計画に定めた施策である不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築を中心にグループ全体の収益体質を改善していくとともに、必要な投資等を通じて競争力を強化することにより利益成長を実現してまいります。加えて、その他の施策と併せバランスシートの健全化に取り組むことで、個別財務諸表における債務超過を早期に解消してまいります。
なお、当社は、2026年1月に実施した固定資産の譲渡により、翌事業年度の個別財務諸表において固定資産売却益270億円を計上する見込みです。詳細は、「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
(経営成績等の状況の概要)
2025年の世界経済は、米国の関税政策の引き上げなどの通商政策や不安定な国際情勢の長期化など先行き不透明な状況が続きました。
こうした環境下、当期(2025年1月1日~12月31日)における当社グループの業績は下表の通りであります。売上総利益のオーガニック成長率は0.5%でしたが、2024年7月に譲渡取引が完了したロシア事業の業績が前期に計上されていたため、売上総利益は前期比0.3%減となりました。調整後営業利益は同2.1%減、オペレーティング・マージンは同40bps減でしたが、法人所得税の減少により、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は同0.7%増となりました。また、減損損失の計上などにより営業損失は2,892億12百万円(前期は営業損失1,249億92百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は3,276億1百万円(前期は当期損失1,921億72百万円)となりました。
調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。
買収行為に関連する損益 :買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用
一時的要因の例示 :構造改革費用、減損損失、固定資産の売却損益、割増退職金など
親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、当期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社の所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。
当期の連結業績(単位:百万円、△はマイナス)
当期の主要な利益指標(単位:百万円、△はマイナス)
※ ロシア事業については2024年7月に譲渡取引が完了していますが、譲渡が完了するまでの期間に発生したロシア事業に係る営業損益は、一時的要因として調整後営業利益には含めておりません。
<当期の連結業績のポイント>
売上総利益については、連結オーガニック成長率は0.5%でしたが、2024年7月に譲渡取引が完了したロシア事業の業績が前期に計上されていたため、売上総利益は前期比0.3%の減収となりました。調整後営業利益は前期比2.1%の減益、オペレーティング・マージンは前期比40bps減少し、14.4%となりました。
一方、第2四半期及び第4四半期に海外事業で396,074百万円ののれんの減損損失を計上したため、営業損失289,212百万円(前期は営業損失124,992百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失327,601百万円(前期は当期損失192,172百万円)となりました。
中期経営計画に基づき、当期は日本事業の好調に加え、海外事業の経営基盤の再構築及び不振ビジネスの見直しによる収益性回復に注力した結果、内部投資で費用が増加したにも関わらず、当社グループ連結のオペレーティング・マージンは前期をわずかに下回る水準にとどまりました。売上総利益の40%以上を占める日本事業において、売上総利益で5年連続、調整後営業利益で2年連続の過去最高業績を維持しています。また、海外事業でも営業キャッシュ・フローがプラスに転じました。
<当期の連結業績:地域別>
1.日本
インターネット広告をはじめとするマーケティング事業、ビジネス・トランスフォーメーション(BX)、デジタル・トランスフォーメーション(DX)が成長 し、売上総利益のオーガニック成長率は6.2%、売上総利益は4,955億92百万円(前期比6.2%増)となりました。人財リソース強化による人件費等の増加はあったものの 、トップラインの伸長などにより、調整後営業利益は1,211億5百万円(同6.1%増)となり、オペレーティング・マージンは24.4%(前期は24.5%)となりました。
2.Americas(米州)
Americasにおける売上総利益のオーガニック成長率は△3.0%となりました。主要マーケット別にみると、米国は厳しい状況となっています。
米ドルに対して為替レートが円高となっていること及び一部子会社の売却により、Americasの売上総利益は、3,157億46百万円(前期比5.6%減)でしたが、販管費抑制により減収を一部吸収し、調整後営業利益は723億10百万円(同3.8%減)となり、オペレーティング・マージンは22.9%(前期は22.5%)となりました。
3.EMEA(ロシアを除くヨーロッパ、中東及びアフリカ)
EMEAにおける売上総利益のオーガニック成長率は、△1.8%となりました。主要マーケット別にみると、英国、ドイツ、イタリア、オランダなどは厳しい状況となっていますが、スペイン、ポーランドは堅調でした。
英ポンドやユーロに対する為替レートが円安となっていることにより、EMEAの売上総利益は、2,719億42百万円(前期比1.0%増)となったものの、為替影響を除いた減収に加えて内部投資などの販管費増加 により、調整後営業利益は338億32百万円(同12.0%減 )、オペレーティング・マージンは12.4%(前期は14.3%)となりました。
4.APAC(日本を除くアジア太平洋)
APACにおける売上総利益のオーガニック成長率は△6.8%となりました。主要マーケット別にみると、オーストラリアは厳しい状況となっておりますが、インド、タイ、台湾などは堅調でした。
APACの売上総利益は、1,072億62百万円(前期比7.9%減)となったものの、徹底した販管費抑制により、調整後営業利益は27億20百万円(前期比159.0%増)、オペレーティング・マージンは2.5%(前期は0.9%)となりました。
地域別のオーガニック成長率(△はマイナス成長)
<当期における中期経営計画の進捗について>
2025年度から2027年度を対象期間とした中期経営計画に基づく、当社グループが設定した主な経営目標等は、以下のとおりです。
① 不振ビジネスの見直し、経営基盤の再構築(収益性の回復)
・資本効率を踏まえた不振ビジネスの特定、改善策の早期実行・売却などを迅速に進めることで将来における業績悪化リスクを排除する。2026年度には海外事業全体が株主価値向上に貢献している状態、2027年度には全4事業地域(リージョン)がそれぞれ株主価値向上に貢献している状態を目指す
・経営基盤の再構築のため、組織の簡素化、業務の標準化・高度化を徹底して進めることで、2027年に最大500億円の持続的かつ計画的なオペレーティングコスト削減を実現する
② 事業戦略(競争優位性の回復)
・各マーケットにおいて、クライアントのグロースパートナーを目指し、グローバルで成長する。特に、大きな収益規模と多様な事業アセットが存在する日本と米国に集中する
・海外事業においては、IGS(Integrated Growth Solutions)の提供に向けてコアとなるメディア事業の付加価値向上に注力する
③ 主要財務目標・キャピタルアロケーション
・2027年度に向け、オペレーティング・マージンとして16%を目指す
・重点マーケット、重点領域に対して3年間で450億円の内部投資を実行する
なお、足元の業績及び事業環境の変化を鑑み、2025年2月に公表した中期経営計画で設定した主要財務目標等に関しては、2026年2月13日において一部を取り下げました。新たな主要財務目標等については、改めて設定を行う予定です。
④ コーポレート・ガバナンス、サステナビリティ、 人的資本経営
詳細は、「サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 電通グループにとってのサステナビリティ ③指標及び目標」をご参照下さい。
以上の経営目標等に対し、2025年度の結果は以下の通りでした。
① 不振ビジネスの見直し、経営基盤の再構築
・2023年度より赤字が続いていた「中国」「オーストラリア」を調整後営業利益ベースで黒字に転換させました。なお、一部の不振ビジネスに対しては、既に縮小・撤退、売却のプロセスを開始しています。
・3,400人の人員削減計画においては、2025年度に2,100人分の人員整理を実行しました。また、経営基盤の再構築に向け、当社グループ内部で設定した750件の施策において、8割以上が実行中または実行済のステイタスとなりました。
・組織構造の簡素化及び経営の効率化のため、2021年1月時点で1,000以上存在した海外事業の法人数を、2026年1月時点において半分程度まで削減しました。
・経営基盤の再構築のため、200億円の一時的費用を負担することで、およそ140億円のコスト削減効果を認識しました。
② 事業戦略
・米国事業において、グローバルクライアントとの強固な関係を通じたトランスフォーメーションパートナー型の成長、メディアとCXMを両輪とした米国ローカルアカウントの統合的な成長、AIを軸としたコンテンツ・サプライチェーンの実装と高度化、クライアントの持つデータを中核にマーケティングと事業運営をつなぐ最先端のCRM強化という4つの基軸においてモメンタムを確認しています。なお、2023年度以降、大きなマイナス成長を続けてきた米国CXM事業では底打ちの兆しを見せています。
・海外メディア事業は、2年連続でプラスのオーガニック成長を実現しました。なお、海外メディア事業は、2025年度においてはリージョン単位でもプラス成長となりました。また、2025年度は、新規メディア案件のネットウィンも上期及び下期ともにプラスを継続しました。
③ 主要財務目標・キャピタルアロケーション
・2025年度のオペレーティング・マージンは、14.4%となりました。
・内部投資に関しては、2025年度はメディアをコアとした成長戦略の実行にフォーカスし、dentsu.Connectなどのデータ&テクノロジーツールの開発・AI導入向けに80億円の投資を実行しました。
④ コーポレート・ガバナンス、サステナビリティ、人的資本経営
詳細は、「サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 電通グループにとってのサステナビリティ ③指標及び目標」をご参照下さい。
<財政状態の状況について>
当期末は、前期末と比べ、主に「営業債権及びその他の債権」が増加したものの、「のれん」及び「その他の金融資産」が減少したことなどにより、資産合計で3,004億73百万円減少し、3兆2,067億87百万円となりました。一方、負債については、主に「社債及び借入金」が減少したものの、「営業債務及びその他の債務」及び「売却目的で保有する非流動資産に直接関連する負債」が増加したことなどにより、負債合計で206億7百万円増加し、2兆7,588億32百万円となりました。また、資本については、主に当期損失の計上などにより「利益剰余金」が減少したことなどから、資本合計は3,210億80百万円減少し、4,479億54百万円となりました。
2025年2月に発表した中期経営計画では、新たな財務方針として、収益性・競争優位性の回復を通じたバランスシートの健全性の改善を設定しました。また、併せて政策保有株等、非事業資産の売却も継続していく方針です。キャピタルアロケーション(資本配分)として経営基盤の再構築に係る費用、事業成長のための内部投資を継続して優先していく一方、買収などの投資においては、一層厳格なリスク管理の下、事業戦略に整合した案件を選択的に実施してまいります。
当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」)は、2,951億83百万円(前期末3,719億89百万円)となりました。主に財務活動による支出などにより、前期末に比べ768億6百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果により得た資金は、前期に比べ579億87百万円増加し、1,179億72百万円となりました。主に運転資本の増減額が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、前期に比べ280億52百万円減少し、28億56百万円となりました。主に子会社の取得による支出が減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は、前期に比べ1,147億58百万円増加し、1,804億73百万円となりました。主に長期借入金の返済による支出の増加、社債の償還による支出の増加などによるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度におけるセグメントの販売実績(収益)は次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
① 資本政策・財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、2027年度を最終年度とする中期経営計画の戦略と施策により、利益成長を通じて中長期的な株主価値の向上を目指します。
この目標達成を下支えするため、具体的には、必要となる資金の規模を厳密に見極め、資本と負債とのバランスなどを慎重に管理し、バランスシートの健全性を改善することにより、高い信用格付を目指し、規律を持って管理・運用してまいります。また、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、債権流動化、又はコミットメントライン等により、十分な手元流動性を確保することとしております。さらに、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で追加の銀行融資枠を設定しております。これらにより、急激な事業環境の変化等に対するリスク耐性が高い状態を維持できるよう努めてまいります。
投資については、経営基盤の再構築に係る費用、及び事業成長のための内部投資を優先し、業績の再建を進めてまいります。
株主還元に関しては、これらの活動を通して得られる利益の適切な配分と本源的な企業価値の向上を通じて株主の皆様への利益還元に努めることとし、中長期的な企業価値の向上に必要な成長投資及び財務健全性を確保した上で、安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としております。なお、2025年度の連結決算では、米州及びEMEA地域でのれんの減損損失を計上し、当社の個別決算においても関係会社株式評価損等を計上した結果、利益剰余金が減少し、会社法上の配当可能額が大幅なマイナスとなりました。そのため、2025年度の期末配当及び2026年度の年間配当予想につきましては、無配とさせていただきました。
② 資金需要の主な内容
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金及び制作費の支払等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。
また、2027年度を最終年度とする中期経営計画においては、不振ビジネスの見直しと、経営基盤の再構築による収益性の回復に集中するため、競争力及び収益性の回復のための投資に係る資金需要を見込んでおります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
④ 資金調達及び流動性の状況
当社グループは、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、又は債権流動化等の多様な手段の中から、その時々の市場環境や長期資金の年度別償還額も考慮した上で、有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。なお、長期資金については、原則として当社で一元的に資金調達しております。
また、緊急時の流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額1,000億円のコミットメントラインを設定しております。加えて、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で追加の銀行融資枠を設定しております。
さらに、グループ内の資金調達の一元化・資金効率の向上・流動性の確保の観点から、資金余剰状態にある子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題と認識しており、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。また、主要な内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、当社グループの事業の維持拡大、必要な運転資金の確保、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能であると認識しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会により公表されたIFRSに基づき作成されております。
また、当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務等オフバランス取引の開示、報告期間における財政状態及び経営成績について影響を与える見積りを行わなければなりません。経営陣は、例えば、投資、企業結合、退職金、法人税等、偶発事象や訴訟等に関する見通しや判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、資産・負債の簿価、収益・費用の報告数字についての根拠となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。
当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。
これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
のれんの減損テストにおける主要な仮定や感応度分析等の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表注記 14.のれん及び無形資産 (3)のれんの減損テスト」をご参照ください。
当社グループは、借手としてのリースについて、リースの開始日において、使用権資産及びリース債務を認識しております。使用権資産は開始日において取得原価で測定しております。開始日後においては、原価モデルを適用して、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。
当社グループは構造改革の一環として不動産の適正化を行っており、一部の不動産リース契約について、サブリースの活用を見込んでおります。当該リース契約に関する使用権資産の残高は、基本サブリース料、リース期間におけるリース支払料の想定増加率、リースインセンティブ及びサブリース開始時期を含む空室期間に仮定をおいて算定しております。市場環境の変化や予測不能な事象の発生等により上記仮定の見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度において使用権資産に係る追加の減損又は減損の戻入れが発生する可能性があります。
当社グループは有価証券やデリバティブ等の金融資産を保有しており、当該金融資産の評価に当たり一定の仮定を用いております。公正価値は、市場価格の他、マーケット・アプローチやインカムアプローチ等の算出手順に基づき決定しております。具体的には、株式及びその他の金融資産のうち活発な市場が存在する銘柄の公正価値は市場価格に基づいて算定し、活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は観察可能な市場データを用いて算定した金額、観察不能なインプットを用いて主としてインカムアプローチやマーケット・アプローチで算定した金額で評価しております。
企業結合の結果生じる条件付対価及び株式買取債務の公正価値等は、観察不能なインプットを用いて割引キャッシュ・フロー法で算定した価額で評価しております。
当社経営陣は金融商品の公正価値等の評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により見積りの変更が必要となった場合、認識される公正価値等の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
確定給付制度債務及び退職給付費用は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率等が含まれます。
当社経営陣はこれらの前提条件は合理的であると判断しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、認識される費用及び計上される債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、債務の決済を要求される可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に引当金を認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。
これらの引当金は、決算日における不確実性を考慮した最善の見積りにより算定しておりますが、予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、計上される債務の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。
当社グループは、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用及び計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
㈱電通総研を中心とする情報サービス業では、同社グループの中期経営計画(2025年~2027年)の2030年に向けた基本方針「Ⅰ. 企業変革・社会変革起点での価値提供」「Ⅱ. ソリューションの強化」「Ⅲ. 経営基盤の強化」を推進するため、各種技術研究に加え、独自ソリューションの開発・強化を実施しました。主な研究開発活動の概要は以下のとおりであります。
金融ソリューションの研究開発活動の金額は418百万円であります。
主な活動内容は、地域金融機関向けCRM/SFAシステム「D-NEXUS」の開発、およびオルタナティブ資産を対象としたファンド管理ソリューションの開発に向けた技術検証に関する研究であります。
ビジネスソリューションの研究開発活動の金額は38百万円であります。
主な活動内容は、会計ソリューション「Ci*X」シリーズの第5弾となる資金管理システム「Ci*X Treasury」の開発に関する研究であります。
製造ソリューションの研究開発活動の金額は18百万円であります。
主な活動内容は、PLM(Product Lifecycle Management)領域における新規ソリューション開発に関する研究であります。
コミュニケーションITの研究開発活動の金額は45百万円であります。
主な活動内容は、自治体向けCRMシステム「minnect cBase」の開発、及びデジタル地域通貨を活用したまちづくりを支援する地域共創型アプリサービス「Cuuvel」の機能拡張に関する研究であります。
上記に属さない研究開発活動の金額は2,011百万円であります。
主な活動内容は、生活者の意識調査や先端技術に関する研究、HCM(Human Capital Management)領域における新製品開発に向けた技術検証、エンタープライズIT基盤の機能拡張等に関する研究であります。