第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、「新技術の社会実装を通じて世界を変革する」ことをミッションに掲げております。

創業以来、AI、データ活用、生成AI・AIエージェントをはじめとする先端技術をいち早く捉え、それらを実用的な形で企業活動や社会に実装することにより成長してまいりました。技術革新のスピードが加速する中においても、単なる技術開発や研究にとどまることなく、社会課題や企業課題の解決につながる形で価値を創出することを基本方針としております。また、技術とビジネスの双方を理解し、事業創造や課題解決を担うビジネスエンジニアの育成・輩出を通じて、新技術の社会実装を推進するとともに、持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループにおいては、受注生産方式による売上計上が中心であるため、生産性を向上させ、効果的に外注の協力を得ること、安価かつパフォーマンスの高いサービスを仕入れることにより原価を抑えつつ、売上高を上げていくことが重要になってきます。そのため、売上総利益率が重要な経営指針になると認識し、これを最も重要な指標として位置付けております。

 

(3) 経営環境

当社グループの主軸事業分野である情報通信産業は、生成AIのような新しい技術が加速度的に進化しており、特にAIに関する分野は大きな成長が見込まれる状況にあります。

株式会社富士キメラ総研が実施した国内AIビジネス市場の調査によると、2024年度の国内AIビジネス市場は1兆6,080億円となる見通しで、年平均9.3%の成長によって2027年度に1兆9,357億円まで拡大すると予測されております。国内AIビジネス市場は、3つの市場(AIプラットフォーム市場、AIアプリケーション市場、AIサービス市場)に分類されており、いずれの市場でも今後拡大見込みとなっております。

少子高齢化による労働人口の減少は、各企業にデジタル化・AI化の導入に向けたトリガーともなっており、企業はさらなる成長のため、経済状況が不透明な中であっても業界によってAI投資を優先的に行い、将来に向けた準備へいち早く取り組んでおります。当社グループがターゲットとするAIサービス市場は年平均8.9%の成長を予測、2027年度には1兆428億円と予測されております。また同様にターゲットとなるAIプラットフォーム市場も年平均10.1%の成長が予測され、2027年度には6,723億円と高い成長ポテンシャルを示しております。

 

(4) 対処すべき課題

当社グループは、以下の事項を対処すべき主要課題と捉えております。

 

① 先端技術の業務フィットに対する課題
AI技術の急速な進歩により、近年AI市場の規模拡大は著しいものがあります。進化を続けるIT技術を積極的に活用し、いかに現場で利用できる形へフィットさせることができるかが、AIソリューション事業の重要な成功の鍵と考えております。技術だけが先行しても、実際の業務で活用されないとAIは研究開発分野の1つでしかありません。
そのような環境の中で、顧客がAIに抱く期待値と技術的な限界のギャップが現場の大きな課題となっております。そのギャップを既存の技術や運用方法、アーキテクトなどで埋め合わせながら、顧客と併走して事業課題に取り組むことで、当社の顧客事業に対する理解と顧客のIT技術に対する理解を双方で行い、その結果が顧客の進めるデジタル化や内製化に繋がっております。
当社グループは常に最新の技術にアンテナを張りながら検証を行い、その業務用途を構想することで、どのような業種・業態に対して、どのような技術の活用方法があるかを探求しております。この技術のキャッチアップ力と柔軟な思考力、適用力が当社の強みであると考えております。重点分野は、「生成AI」を最重要分野と捉え、その他、画像認識、自然言語解析、機械学習などによる「マルチモーダルAI」、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(混合現実)などの「XRソリューション開発」となります。

 

② LTV(Life Time Value)と収益性の向上
当社グループが展開するAIソリューション事業は、年間で30%前後の新規顧客を毎年獲得できている一方で、新しい技術に取り組むため一定のリスクを織り込みながら案件を実施しております。その結果、収益性の低い案件が一定数発生する可能性や、案件が単発で終わってLTVが向上しないといった課題が顕在化しております。近年推し進めているロイヤルクライアント化によって顧客の最適化を行い、顧客に寄り添ったプロジェクト進行を行うことで顧客満足度を上げて顧客の離反を防ぎLTVの向上へ繋げるよう努めております。
また、フロー型ビジネスが売上の大半を占めており、エンジニア単価や契約条件が収益に大きな影響を与えます。当社の強みを付加価値として単価にしっかりと跳ね返し、案件管理の徹底によって効率化を計ることで、収益の向上を図ってまいります。

 

③ 優秀な人材の確保・育成
当社グループは、今後も事業を永続的に行っていくためには、新卒採用、キャリア採用において優秀な人材を確保し、育成することが重要な課題であると認識しております。人材の定着率を上げるために福利厚生制度の見直しや給与制度の改善を行い、併せて採用人材の戦力化と先端技術の習得に向けたリスキリングなどの人材開発に注力しております。日本国内においては生産年齢人口の減少問題は社会課題となっており、グローバル化への対応も鑑みて海外エンジニアについても同様に優秀な人材の確保と育成に力を注いでまいります。
当社従業員のみならずパートナー企業についても常に新規の協力会社を開拓しながら、既存の協力会社との協力体制も強化して、優秀なパートナーの安定的な調達を図ってまいります。

 

④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化

当社グループは、永続的に事業を展開し企業価値を高めるために、強固な内部管理体制の構築が重要な課題であると認識しております。当社グループでは、内部統制の実効性向上に向けた環境・体制を整備し、会計監査人や顧問弁護士といった外部専門機関と連携を取り、コーポレート・ガバナンスの充実に繋げていくよう内部管理体制の強化に努めてまいります。

 

⑤ M&A後の事業統合(PMI)における円滑な推進

 当社グループは、事業ポートフォリオの拡充や提供価値の高度化を図る手段の一つとして、M&Aや資本業務提携の活用が重要であると認識しております。その際、買収・提携の実行にとどまらず、グループ全体としての戦略やビジネスモデルとの整合を図りつつ、経営方針、組織文化、人事制度、業務プロセス及びシステム等を適切に統合し、シナジーを着実に発現させることが重要な課題であります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般への対応 

当社グループは、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、サステナビリティを重視した経営を行っております。その上で、事業特性、ステークホルダーの期待、社会的要請等を踏まえ、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定しております。特定したマテリアリティは、中長期的な経営戦略及び事業活動の中核に据え、持続的な企業価値の向上と社会課題の解決の両立を図る上で重要な基盤としております。当社グループは事業活動を通じて環境・社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会と経済成長の実現に寄与してまいります。また、マテリアリティに基づき、関連するリスク及び機会を的確に把握した上で、優先的に取り組むべき中長期的なテーマを定め、サステナビリティ施策を推進しております。そして、これらの取り組みを具体化するため、以下の中長期的テーマと主要推進事項に取り組んでまいります。

 

1.事業活動全体における環境負荷低減

2.健康経営

3.人と社会への配慮 

 

(2) ガバナンス 

当社グループはサステナビリティに関する基本方針や実施事項等を検討・審議する組織として、サステナビリティ担当取締役又は執行役員を委員長とし、経営企画本部が主体となり運営する「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する基本方針及び主要推進事項、組織及び体制の整備、計画の状況確認並びに情報の集計及び管理、当社グループの活動の社外に対する開示等について審議し、決定いたします。サステナビリティ委員会での議論内容を含む実施状況は取締役会に報告され、取締役会は監督と助言を行っています。

 

〔サステナビリティ推進におけるガバナンス体制図〕


〔サステナビリティ推進における会議体・組織の役割〕 

会議体・組織 

役割 

取締役会 

業務執行において協議・決定されたサステナビリティ課題(事業活動全体における環境負荷低減や人的資本などに関する課題)に関する取り組み施策の進捗を監督

経営戦略会議 

全社グループにまたがるサステナビリティ課題(事業活動全体における環境負荷低減や人的資本などに関する課題)に関する経営管理上の重要事項、業務執行に関する重要事項を協議・決定

サステナビリティ委員会 

(原則四半期に一回開催) 

サステナビリティに関する基本方針や対応方針の審議・決定 

 

主担当部門 

サステナビリティ課題に合わせて主導的に当該課題への対応推進、リスクと機会を特定(健康経営推進チーム:健康経営への取り組み、SDGs委員会:事業活動全体における環境負荷低減を中心としたSDGs活動の推進、管理本部・ダイバーシティ&インクルージョン委員会:人的資本など) 

 

 

 

(3) リスク管理 

サステナビリティ課題に関するリスクとその対応策及び機会に関して、テーマに合わせて主担当部門で内容を検討し、課題を各委員会及び事業本部と共有しております。各委員会及び事業本部は対応策に関して互いに連携し、主担当部門から「サステナビリティ委員会」に報告します。また、課題及びその対応策は、リスクマネジメント委員会にも連携を行い、適宜必要な指示を仰ぎます。一連のサステナビリティに関する重要な課題は「サステナビリティ委員会」より経営戦略会議に報告の上、取締役会に報告されることにより全社リスクを統合・管理しております。

 

(4) 人的資本戦略について 

一気通貫でのAIソリューション事業展開を行う当社グループの特性を踏まえ、当社グループにおける人材育成に関する方針及び社内環境整備に関しては、以下の通り取り組みを行っております。 

 

① 人材育成方針

当社グループでは、AIソリューション事業の各プロセスを担える人材を育成する上で、各職能及び職層に対しての研修の実施に加え、自律的な自己研鑽やキャリア構築を支援する風土と枠組みを保有している他、OJTを通じて、業務に必要な知識習得及び、顧客に寄り添い成果を上げるためのサポートを行う事で継続的な人材育成に取り組んでおります。 

 

② 社内環境の整備 

当社グループは、今後も事業を永続的に行っていくために、IT経験者のみならず多様な属性・採用・キャリア背景等をもった人材を積極的に採用しております。また、当社グループの事業特性を踏まえ、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できるよう、フレックス勤務、時短勤務、在宅勤務、育児休業などの多様な勤務形態と働き方を後押しして、多様な人材がやりがいをもって働ける組織の構築に努めております。

 

(5) 指標及び目標 

多用な人材の確保や柔軟な登用などに関する指標として全社員に占める女性社員の割合及び中核管理職層に占める女性社員の割合を重視し、中期的な目標に向けて継続的に人的投資を進めてまいります。

会社を成長させリードする原動力となる中核管理職層に占める女性社員の割合は、2023年12月末時点において11.1%でしたが、2024年12月末時点では26.3%に向上しました。また、2025年12月末時点においては、事業拡大やM&A等に伴う人員構成の変化を背景に、28.3%となりました。このような多様な視点を持つ管理職の増加は、新たな発想によるイノベーションの促進に寄与しています。また、多様な顧客層のニーズを的確に捉えることで、製品・サービスの質を高め、企業価値の向上に貢献しております。さらに、女性管理職の存在は若手女性社員のキャリア形成におけるロールモデルとなり、組織全体の活性化につながっております。引き続き、組織の多様性とイノベーション力を高め、中長期的に30%以上の比率達成を目指してまいります。

 

指標 

2025年12月末実績

中期的な目標 

中核管理職層に占める女性社員の割合

28.3% 

30%以上

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業等に関するリスクを網羅するものではございません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

(経済、市場の動向について)

当社グループのAIソリューション事業は、企業を主要顧客としております。従って、国内の景気及び顧客企業のシステム関連の設備投資動向が悪化した場合には、当社グループの事業展開、財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(競合、価格競争等について)

当社グループの属するAI関連の業界は、AIの普及による新規参入や他社との製品の差別化競争、価格競争が激化することが想定されます。当社グループでは当業界での知名度を上げ、実績等を積み重ねることにより製品の差別化競争や価格競争に勝てるよう対応を講じておりますが、想定した単価で契約ができない場合は、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスク

(開発工数の増加について)

当社グループが、システム開発を請け負う場合、仕様の大幅な変更、不具合の発生等、当初想定通りの品質が確保できない場合など、予期し得ない事由の発生等により開発工数が増加することで、当初グループの納入予定日が変更となり、開発工数増加による採算性悪化や、売上及び利益の計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする可能性があります。そのような採算性の悪化や期ずれが発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(技術革新への対応について)

当社グループの事業領域であるAI関連の業界は、全世界で研究開発が進んでおり、技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社グループはそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めておりますが、今後において技術革新のスピードに対応できない場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(外注先について)

当社グループにおけるシステム開発業務等については、人材の確保、開発業務の効率化、顧客要請への迅速な対応等を目的として、業務の一部について外注先への外部委託を活用しております。現時点では優秀な外注先との良好な連携体制を維持しており、今後も外注先の確保、及びその連携体制の強化を積極的に推進していく方針ではありますが、外注先から十分な人材を確保できない場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報システムのトラブルについて)

当社グループは社内システムの大部分をクラウドサービスにすることで、システムに必要なメンテナンスや故障対応を外部に委託しております。データのバックアップ、故障発生時のデータ保全、システムの可用性などクラウドサービスで定義されたSLA(Service Level Agreement)を確認して、障害発生時にも当社グループの業務がいち早く復旧できるよう備えております。

通常の通信回線とは別に副回線による冗長化も施しておりますが、大規模な地震や火災等の災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害等によるシステムトラブルが生じた場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 組織体制に関するリスク

(人材の確保と育成について)

当社グループの基幹事業であるシステム開発は、知的労働集約型の業務であり、一定水準以上の専門技術や知識を有する技術者やそれを販売する営業部員の確保と育成並びに当社グループへの定着が重要であると認識しております。また、管理部門の人員についても、会社の重要な業務を担う部門であるため、人材の確保と定着が重要であると認識しております。現在、採用の強化や社内での教育の実施、福利厚生の充実など離職防止策の導入を実施しておりますが、当社グループが必要とする人材が十分に確保できない場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報管理体制について)

当社グループは、顧客の秘密情報及び顧客が保有する個人情報を知りうる場合があることから、当該情報を漏えいするリスクがあります。当社グループはISO/IEC27001を取得するとともに、情報管理体制を構築し、情報管理の徹底を図っております。しかしながら、人為的ミス等により知り得た情報が漏えいした場合には、当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制及び知的財産等に関するリスク

(法的規制等について)

当社グループは、事業者との間で業務委託契約を締結し、業務を委任しておりますが、「中小受託取引適正化法」(取適法)が適用される場合があります。

当社グループは、法令を遵守し事業運営を行っておりますが、運用の不備等により法令義務違反が発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(知的財産権について)

当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、当社グループが認識していない第三者の知的財産権が既に成立している可能性や、使用しているフリーソフトウエアが第三者の知的財産権を侵害している可能性などから、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求及びロイヤリティの支払い請求等が発生した場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 継続企業の前提に関する重要事象等

 (継続企業の前提に関する重要事象等について)

当社グループでは、当連結会計年度末において、流動比率が63.4%となり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況を識別しておりますが、その主な原因は関係会社株式取得のための短期借入金1,900,000千円によるものであります。この短期借入金については、金融機関から借入の際に、1年後に長期借入金に借り換えをする前提で借入をしたものであるため、継続企業の前提に重要な不確実性はないと認識しております。しかしながら、この借り換えの前提は契約締結等確実に借り換えが約束されているものではないため、借り換えができなかった場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他

(新株予約権について)

当社グループは、当社グループの役職員に対してインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在におけるストック・オプションは443個(354,400株)であり、発行済株式数の9.2%に相当します。これらストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。

 

 

(訴訟等について)

 当社グループは、その事業活動の遂行過程において、取引先により提起される訴訟その他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。これらの手続きは結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2025年1月1日~2025年12月31日)における日本の経済は、米国が保護主義的な通商政策を公表したことを契機に、国内企業において輸出価格の見直しや原価の抑制、サプライチェーンの再構築といった動きが進んでまいりました。この影響により、当社グループが属するIT産業においても、開発・投資案件の中止や延期が一部でみられました。また、物価水準の高止まりに加え、日銀による金利政策の動向や、世界的な資源・原材料価格の上昇、地政学的リスクの高まりなどにより、企業の投資判断は慎重さを増している状況にあります。これらを背景に、国内景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。

このような経済環境の中、当社グループが属するIT業界は、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの技術革新により、急速な成長を続けております。とりわけ生成AIを基盤としたAIエージェントの登場・進化は、生産年齢人口の減少をはじめとする社会課題だけでなく、新たなビジネスモデルの創出やイノベーションの促進に大きく貢献しております。

当社グループの事業領域においては、生成AI技術の進展を背景に、マルチモーダル処理を活用したAIエージェント関連技術が顕著に進歩しております。これに伴い、処理速度、精度及びコスト面の改善が進んだ関連サービスが相次いで登場いたしました。一方で、企業が保有する大規模データとAIエージェント技術をどのように業務運用や経営判断へ結び付け、実効性のある成果につなげていくかについては、依然として解決すべき課題として認識しております。

上場以来推進しているアライアンス戦略においては、顧客のエンタープライズ化が順調に進んでおり、年商1兆円以上の規模を有する企業を主要な顧客層として位置付ける中で、当該顧客数は堅調に増加しております。また、生成AIからAIエージェントへとトレンドが変化する中、アライアンス先の拡充と、当社グループの成長に合わせた組織化が進んだことで、市場ニーズへの対応力がいっそう高まっております。

前連結会計年度に続き資本業務提携を行うとともに、事業拡大に向けた重点投資を選択的に実施し、将来の成長に向けた体制を強化した1年となりました。

当連結会計年度では、デリバティブ評価損による営業外損益が発生しております。このデリバティブ取引については、資本業務提携に伴う株式取得の一環として行われたものであり、投機的取引に該当するものではありません。

 

当社グループは、AIソリューション事業を以下の3つのサービス区分に分けて事業を推進しております。

 

AIインテグレーションサービス:

AIエージェント、AI駆動開発、データプラットフォーム 開発、フィジカルAIなどコンサルティング・開発案件

DXサービス:

Azureクラウド開発、アプリ開発、DXコンサルティング、ローコード開発など

プロダクトサービス: 

自社サービス、クラウド利用料などのライセンス・販売代理店モデル

 

 

 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,049,483千円増加し、3,849,872千円となりました。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,968,380千円増加し、2,496,173千円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ81,103千円増加し、1,353,699千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度末の売上高は3,900,040千円(前年同期比34.2%増)、営業利益は229,250千円(前年同期比25.6%減)、経常利益は128,516千円(前年同期比64.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は57,656千円(前年同期比78.9%減)となりました。また、重要な経営指針と位置付けている売上総利益率は、42.2%の目標値に対し、44.4%(前連結会計年度42.7%)となりました。

 

<AIソリューション事業を構成するサービスライン>

当社グループでは、AIエージェントをはじめとする新技術を積極的にキャッチアップして実業務で使われるサービス、ソリューションを展開しております。アライアンス戦略のパートナーから紹介された顧客に対してハンズオンワークを実施することで顧客へ伴走型の開発支援を提供しております。長年取り組んできた伴走型の開発支援が、近年FDE(フォワード・デプロイ・エンジニアリング)という形で表現されるようになり、当社においては、さらに様々な技術を掛け合わせて顧客へ伴走支援を行う「X-Tech FDE」を独自に推進しております。当社グループメンバーが新技術の活用(オンボーディング)を進めることで現場ニーズの拾い上げと各顧客から得たノウハウを相互に共有して、顧客の内製化やDX化を支援しております。

当連結会計年度は、AIエージェント案件が大半を占めており、AIによるワークフロー化(Agentic Workflow)案件やデータ活用を目的としたデータプラットフォーム案件、RAG精度向上案件などに分類されます。

このような案件の企画・提案といったコンサルティング領域から、その設計や顧客が提供するユーザーインターフェースの開発まで一貫したサービスを提供できる企業は非常に限られております。当社グループでは、これに内製化支援も含めた顧客伴走型のプロジェクト推進(ハンズオンワーク)を実践することで顧客深耕を図り、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の増加に繋げております。当連結会計年度におきましては、生成AI案件の売上拡大によってAIインテグレーションサービス売上高は2,626,396千円(前年同期比80.9%増)となりました。

 
[DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス]

<DXサービス>

当社グループのDXサービス案件では、Microsoft Azureを中心としたクラウドサービスのプラットフォーム開発やモダナイゼーション、マイグレーションと呼ばれる古いシステムを先進的な技術・手法に更新・改善する案件、企業のDX化に向けたコンサルティング及び支援業務、Microsoft Power Platformに代表されるローコードツールを活用した内製化支援を行っております。

当連結会計年度におきましては、複数年にわたって実施される大型案件が進捗しております。一方で、DXサービス案件においてもAIの活用が徐々に浸透しており、DXサービスの売上からAIインテグレーションサービスへの売上へと移行が進んでおります。その結果、DXサービス売上高は1,167,263千円(前年同期比11.0%減)となりました。

 

<プロダクトサービス>

プロダクトサービスは、人月に頼らない2つの収益モデルを軸としております。

 

自社サービスモデル:自社サービス「SyncLect」の初期導入費+月額ライセンス費

他社サービスモデル:クラウドサービス利用料(月額回収)やIoT機器の仕入れ販売による販売代理店

 

当連結会計年度におきましては、生成AI活用プラットフォーム「SyncLect Generative AI」を軸にサービス開発を進めております。モビリティAI基盤案件のほかにAIカメラに代表されるエッジAIのライセンス型ビジネスモデル案件などが売上を構成し、さらにAzureクラウドをベースとした開発によってクラウド利用料が増加したことから、プロダクトサービス売上高は106,380千円(前年同期比25.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ、218,088千円減少し、625,145千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、38,713千円(前連結会計年度は144,409千円の獲得)となりました。

主な要因は、税金等調整前当期純利益128,421千円、減価償却費27,468千円、仕入債務の増加47,603千円、持分法による投資損益の増加40,637千円、未払費用の増加65,355千円、デリバティブ評価損58,597千円があったものの、売上債権及び契約資産の増加231,774千円、法人税等の支払額148,923千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

    投資活動の結果使用した資金は、2,094,641千円(前連結会計年度は210,970千円の支出)となりました。

主な要因は、有形固定資産の取得による支出21,928千円、関係会社株式の取得による支出1,910,146千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

    財務活動の結果得られた資金は、1,914,022千円(前連結会計年度は10,250千円の獲得)となりました。

    主な要因は、短期借入金の増加1,900,000千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

AIソリューション事業

3,918,336

130.2

524,673

103.6

 

(注)当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであります。

 

c.売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前年同期比(%)

AIソリューション事業

3,900,040

134.2

 

(注) 当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

a.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
 当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

b.経営成績等

(売上高)

当連結会計年度の売上高は3,900,040千円となり、前連結会計年度に比べ994,059千円増加いたしました。主な変動要因については、本書「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況」に記載の通りであります。

 

(売上原価・売上総利益・売上総利益率)

当連結会計年度の売上原価は2,167,305千円となり、前連結会計年度に比べ501,397千円増加いたしました。この主な内訳は、売上高が増加したことによるものであります。

この結果、売上総利益は1,732,735千円なり、前連結会計年度に比べ492,661千円増加となりました。

    また、重要な経営指針と位置付けている売上総利益率は、44.4%となりました。

 

(販売費及び一般管理費・営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,503,484千円なり、前連結会計年度に比べ571,365千円増加いたしました。この主な内訳は、従業員の増加による人件費及び教育に係る費用等の増加によるものであります。

この結果、営業利益は229,250千円となり、前連結会計年度に比べ78,703千円減少しました。

 

(営業外損益・経常利益)

当連結会計年度営業外収益は主として助成金収入により15,480千円となり、前連結会計年度に比べ39,124千円減少いたしました。営業外費用は116,215千円となり、前連結会計年度に比べ116,088千円の増加となりました。

この結果、経常利益は128,516千円となり、前連結会計年度に比べ233,916千円減少しました。

 

(特別損益、法人税等、当期純利益)

当連結会計年度において、特別利益は発生しませんでした。特別損失は94千円となり、前連結会計年度に比べ94千円増加となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は128,421千円となり、前連結会計年度に比べ234,010千円減少しました。

また、法人税、住民税及び事業税は、33,126千円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は57,656千円となり、前連結会計年度に比べ215,131千円減少しました。

 

c.財政状態

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、3,849,872千円となり、前連結会計年度末と比較して2,049,483千円の増加となりました。

流動資産は1,580,604千円となり、前連結会計年度末と比較して120,791千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が218,088千円減少したものの、売掛金及び契約資産が265,799千円、仕掛品が13,393千円、前渡金が30,250千円、前払費用が6,827千円増加したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末と比較して1,928,691千円増加し、2,269,268千円となりました。主な要因は、のれんが154,603千円、関係会社株式が1,870,609千円増加したことによるものであります。

 

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は2,496,173千円となり、前連結会計年度末と比較して1,968,380千円の増加となりました。これは主に、未払法人税等が95,453千円減少したものの、買掛金が51,934千円、短期借入金が1,900,000千円、未払金が23,022千円、未払費用が83,121千円増加したことによるものであります。

なお、当連結会計年度において、流動比率が63.4%となり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況を識別しておりますが、その主な原因は関係会社株式取得のために短期借入金1,900,000千円によるものであります。この短期借入金については、金融機関から借入の際に、1年後に長期借入金に借り換えをする前提で借入をしたものであるため、継続企業の前提に重要な不確実性はないと認識しております。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は1,353,699千円となり、前連結会計年度末と比較し81,103千円の増加となりました。これは主に、資本金が11,548千円、資本剰余金が11,548千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が57,656千円増加したことによるものです。

 

d.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

e.資本の財源及び資金の流動性

主な資金需要は、労務費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で対応していくこととしております。

 

f.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

g.経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループが今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

5 【重要な契約等】

当社は、2026年1月26日付の取締役会決議において、BBDイニシアティブ株式会社を吸収合併することを決定し、合併契約を締結いたしました。なお、本件の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、日々更新されるAI技術を業務にフィットした形で提供するために、何ができ何ができないのか技術の限界を知ること、活用するサービスをどのように組み合わせて最適なソリューションを作り出せるか研究開発を進めております。IoT×AIとなるエッジAI領域をはじめ、生成AI領域でも研究開発結果を「SyncLect」サービスに集約しサービス提供することで、汎用的な利用を可能とするとともに多様化する先端技術の開発ライブラリとなることを目指しております。また、AI駆動開発が目覚ましい進歩を遂げており、どのような案件やフェーズにAI駆動開発を活用するのか、どのツールがどのような利用によって生産性向上に寄与するのか、さまざまな場面で利用して検証を行っております。

当連結会計年度において、当社グループが支出した研究開発費の総額20,298千円であり、次の技術分野に対する研究開発活動を行っております。

 

 

(1) SyncLect Generative AI

Microsoft社が提供する「Azure Open AI Service」をベースに独自のカスタマイズとアーキテクトの最適化を行うことで、企業向け生成AIの研究開発を行っております。個人利用向けのChatGPTとは異なり、情報セキュリティや情報の正確性をより求められる企業向け生成AIは、企業が保持するデータの活用が重要なキーとなっております。LLM(大規模言語モデル ※1)やRAG(Retrieval-Augmented Generation ※2)をはじめ、様々なサービス・機能が日進月歩で更新されていくため、技術に対するアンテナと顧客ニーズの双方にアンテナを張って対応しております。R&Dチームも営業や生産現場に参加することで現場ニーズを把握し、課題のキャッチアップと研究開発内容の現場反映を柔軟に対応できる体制で取り組んでおります。

 

(2) AI駆動開発

Microsoft社のCopilotやAnthropic社のClaudなどを利用したAI駆動開発では、実際のAIソリューション事業の中でどれくらいの効果を持って使えるものか、メンテナンス性は実運用に耐えうるものなのかなど、開発のみならず運用フェーズまで含めて課題の抽出と技術の習得に取り組んでおります。AI駆動開発によるスピード開発は、顧客のアイデアをいち早く形にするだけでなく、企画・提案段階で顧客との認識合わせにも十分活用できるものであり、引き続き活用の幅を広げるため、研究開発に取り組んでおります。

 

※1 LLM:膨大な量のテキストデータを学習し、人が話す言語の特徴とパターンを模倣することができるコンピュータモデルです。テキスト生成、文章の要約、質問応答、機械翻訳など、さまざまな自然言語タスクに使用され、これらのモデルは、学習に使用される巨大なデータセットと、高性能なコンピューターアーキテクチャを必要とします。

※2 RAG:自然言語処理の分野で活用される技術であり、情報の検索と生成を組み合わせて、より高度な文章生成や応答生成を実現します。具体的には、RAGは大規模な情報源(例:ウェブ上の記事、ドキュメント、データベースなど)から情報を検索し、その情報を基に文章を生成することができます。通常の生成AIモデルでは、文章生成に必要な情報をあらかじめ学習しておく必要がありますが、RAGでは動的に情報を検索することが可能であることから、特定のトピックや質問に関連する情報を検索し、それをもとに文章を生成することができます。これによって、より正確で適切な応答や文章が生成される可能性が高まります。