第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、ヘアデザイナーを通じて、美しい生き方を応援する事業を展開しております。

 顧客と長期的な信頼関係を結ぶため、当社グループは顧客との約束をコーポレートステートメントに表し、

その象徴としてスローガンを制定しております。

 

―コーポレートステートメント―

 

すべては、美しく生きるために。

 

私たちは、一人ひとりに、

自分らしさ、心の豊かさ、人生の彩りを価値にして届けます。

ヘアデザイナーと向き合い、ともに教え育み、

今を超えようと、磨き上げた結晶から、生まれ落ちる美しさ。

それは、私たちだけが創れる確かな価値。

美しい髪を自信に、新しい世界にはばたけるよう、

私たちは、今ここにない未来を創り続けます。

 

 

―コーポレートスローガン―

 

                『美しさを拓く。』 Find Your Beauty

 

 当社グループにとって企業価値の源泉は、以下の①から③と考えています。

 

①販売力=フィールドパーソンシステム
 当社グループは、美容室とヘアデザイナーを支援するために、独自の営業体制を確立しています。単なる商品販売ではなく、美容室、エンドユーザーの声を真摯に聴き、課題を発見、対処法を考え提案します。美容室への教育活動を中核に、美容室の増収・増益に貢献します。当社グループでは、そのような活動を行う営業部員をフィールドパーソンと呼んでいます。
 フィールドパーソンを育てるために、9ヶ月間に及ぶ社内研修を実施しています。ヘアケアやカラーリング、パーマなどの基本的な美容技術に加え、美容業界の幅広い知識・経営分析・企画立案などの様々なスキルを習得しています。競合他社が真似のできない、当社グループ独自のビジネスモデルとなっています。

 

②商品開発力=TAC製品開発システム
 美容室の現場で成功しているヘアデザイナー、さらにエンドユーザーに学びながら、美容ソフトと製品を開発するのが当社グループ独自の「TAC(Target Authority Customer)製品開発システム」です。
 ヘアカラー客が他店と比べて飛びぬけて多い美容室、ヘアケア客が飛びぬけて多い美容室など、テーマによって顧客からダントツの人気を集めている美容室・ヘアデザイナーには、成功技術(哲学、考え方、ヘアデザイン、美容技術)が存在しています。その成功技術を一般の美容室でも使えるように標準化し、それをサポートする製品を創ります。

 

③市場戦略=フィールド活動システム
 どのような市場環境においても、成長する美容室は存在しています。当社グループでは、成長している、または、成長する可能性の大きい美容室にフィールドパーソンの活動を集約することで、市場環境が悪化しても、当社グループも一緒に成長できるマーケティングを展開しています。

 

(2)中期事業構想(2022-2026)

 当社グループは、2022年度(第63期)より、次の未来を見据えた中期事業構想(2022-2026)「Stage for the Future」を策定し、2022年2月10日に公表いたしました。

 中期目標として「本質的な社会・生活者視点での“プロフェッショナル価値”を生み出し、グローバルメーカーとしての企業体を創造し、アジアNo.1、世界ベスト5をめざす」と掲げました。

 また、中期目標の実現に向けて、グローバル戦略においては、グローバル市場を7つのリージョン(日本、韓国、中華圏、ASEAN、北米、EU,中東)として捉え、長期のグローバル戦略として、リージョン毎の開発・生産体制の構築に取り組み、髪質や文化・価値観の違いに対応し、地域の美容産業の発展に貢献します。

 一方、日本市場においては、事業基盤の強化から、時代に呼応した美容室のあり方改革「サロンソーシャルイノベーション」を掲げ、美容室の新たな形「ビューティプラットフォーム構想」と、美を通じた心の豊かさの実現を中核とした「サステナビリティコミットメント5つの最重要課題」の推進を連動させ、実現していきます。

 「ビューティプラットフォーム構想」においては、デジタルとリアルが融合した顧客体験の場をつくる「スマートサロン戦略」、そして、ヘアケア・スキンケア・ビューティヘルスケアという3つのケア構想による「ビューティライフケア戦略」の推進によりこれを実現していきます。

 「サステナビリティコミットメント5つの最重要課題」においては、①美しさを通じた心の豊かさの実現、②再生・循環型の生産・消費活動、③人にやさしい調達活動、④公正かつ柔軟な経営体制、⑤働きがいのある職場環境、の5つを最重要課題として設定し、取り組みを進めてまいります。

 そして、これらの実現の先に、美容室と共に地域の人々の美しい生き方を応援し、未来に繋がる豊かな社会と、住み続けられる街づくりをめざします。

 

<中期目標>

本質的な社会・生活者視点での“プロフェッショナル価値”を生み出す

グローバルメーカーとしての企業体を創造し、アジアNo.1、世界ベスト5をめざす。

 

<中期方針>

Stage for the Future

「サロンソーシャルイノベーション」×「サステナビリティコミットメント」

ミルボンは美容室と共に、地域の人々の美しい生き方を応援し、未来につながる豊かな社会と、

住み続けられる街づくりをめざします。

 

0102010_001.png

①美しさを通じた心の豊かさの実現

②再生・循環型の生産・消費活動

③人にやさしい調達活動

④公正かつ柔軟な経営体制

⑤働きがいのある職場環境

 

(3)対処すべき課題

 国内経済の先行きについては、物価上昇の継続が個人消費に影響を及ぼす可能性がある一方、雇用環境および所得環境の改善が続くことから、全体としては緩やかな回復基調が継続するものと見込んでおります。一方で、米国や中国など海外市場の動向については依然として不確実性が高く、米国におけるインフレの長期化、紛争や地政学リスクの継続、それらが消費マインドに与える影響などを踏まえ、先行き不透明な状況が続くものと想定しております。

 このような状況のもと、当社は2022年に公表した中期事業構想(2022-2026)の最終年度を迎えます。この間、国内外においては様々な環境変化がございましたが、海外市場においては、7つのリージョンにおける投資の優先順位をあらためて検証し、重点的な活動を推進した結果、高い成長力を維持しております。次期の海外売上高については、当期比9.2%増の成長を見込んでおり、当社の売上成長の軸となる計画ですが、あわせて海外事業全体の収益性改善にも取り組む方針です。

 一方、国内市場において、当社のヘアケア用剤はプレミアムブランド「オージュア」やプロフェッショナルブランド「エルジューダ」など、店販品を中心に安定した売上成長を維持しているものの、染毛剤など業務用品の競争環境への対応が課題となっております。特に競争環境が激しくなっている染毛剤市場においては、新たな高付加価値ブランドを投入することで売上回復を図る計画です。また、スモールマス市場の拡大に対応し、ターゲット顧客に適合した価値と価格が見合う商品の提案を進め、美容室および代理店と一体となった成長を実現してまいります。さらに、フィールドパーソンの生産性向上に向け、DXやAIなどの活用も含めた効率化にも取り組んでまいります。

これらと並行して、引き続きサステナビリティコミットメント5つの最重要課題の実現に向けた取り組みを推進し、社会課題の解決にも取り組んでまいります。

なお、昨今のコスト構造の大幅な変化および当連結会計年度における国内売上高の大幅な予想下振れを踏まえ、中期事業構想(2022-2026)の最終年度となる翌連結会計年度の連結売上高、営業利益の成長見通しにつきましては、計画値から引き下げることといたしました。見直し後の2026年度の目標値は下記のとおりであります。

 

 

2026年度中期末目標

(修正前)

2026年度中期末目標

(修正後)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

売上高

国内

海外

58,000

43,700

14,300

100.0

75.3

24.7

54,800

39,880

14,920

100.0

72.8

27.2

売上総利益

37,600

64.8

34,720

63.4

販管費

29,200

50.3

28,420

51.9

営業利益

8,400

14.5

6,300

11.5

経常利益

8,340

14.4

6,180

11.3

親会社株主に帰属する当期純利益

5,940

10.2

4,300

7.8

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)サステナビリティに関する考え方及び基本方針

 当社は、創業以来受け継がれる経営理念のもと美容市場に絞った事業を展開しております。持続可能な美容産業を創造していくことこそが、ひいては持続可能な社会の実現につながるものと信じております。経営陣を含めた一人ひとりが、持続可能な社会の実現に向けて考え、行動することでこれに取り組んでおります。

 

~サステナビリティ基本方針~

ミルボンは、ヘアデザイナーを通じて、

美と心の豊かさに繋がる美容産業を創造することで、

持続可能な社会の実現をめざします。

 

(2)サステナビリティ全般

①ガバナンス及びリスク管理

 当社は、サステナビリティに関する課題を重要な経営課題の1つとして捉え、その解決に向けた推進体制を整えております。具体的には、サステナビリティ推進担当取締役が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」を2ヶ月に1回開催しております。サステナビリティ推進委員会では、サステナビリティに関するリスク及び機会を特定し、当社に与える影響を評価しております。その評価をもとに対応方針や取り組みに向けた課題等を検討・協議し、その内容は必要に応じて、経営会議または取締役会へ付議または報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、対応の指示及び戦略への反映を行っております。

 

(サステナビリティに関するガバナンス体制図)

0102010_002.png

 

 

②戦略

1)「5つの最重要課題(マテリアリティ)」の設定

 当社は、2022年2月10日に公表した中期事業構想(2022-2026)において、「サステナビリティコミットメント5つの最重要課題」として以下の5つを設定し、持続可能な社会の実現に向けて優先的に取り組みを進めております。

 

1.美しさを通じた心の豊かさの実現

2.再生・循環型の生産・消費活動

3.人にやさしい調達活動

4.公正かつ柔軟な経営体制

5.働きがいのある職場環境

 

2)「5つの最重要課題」の選定プロセス

 「5つの最重要課題」の選定に向けては、ISO26000、SDGs17原則、ESGの3つの視点から当社で推進すべき課題の検討を行い、SDGs/ESGマトリックス(https://www.milbon.com/ja/uploads/docs/esg-sdgsmatrix.pdf)として整理しました。その際には、サステナビリティ推進委員会が中心となり、社内各部門、社外有識者、経営層の意見を集約しております。その後、マトリックスの中から当社事業活動と関連性が高く、ステークホルダーからの期待が高い課題を再評価し、「社会課題の解決」「持続的な事業の成長」「社内基盤の構築」の3つのポイントから、「5つの最重要課題」を選定しました。「5つの最重要課題」においては「美しさを通じた心の豊かさの実現」を最重要課題「1」とし、中核課題に設定しています。美しさを提供することは当社の事業活動そのものであると同時に、人々が美しくあることは心の豊かさにつながるものであり、人々が心豊かに生きる社会は持続可能な社会の実現につながるものであると信じております。そのために、当社自身が持続可能であり続けるための最重要課題「4」「5」、事業活動におけるサプライチェーン全体で持続可能であり続けるための最重要課題「2」「3」を設定しております。

 

 

③5つの最重要課題におけるテーマ毎の指標(KPI)及び目標

 当社は、5つの最重要課題それぞれに重点取り組みテーマを掲げ、テーマ毎にKPIと具体的な数値目標を設定しております。設定したKPIは、サステナビリティ推進委員会で定期的にモニタリングを実施し、進捗状況を確認するとともに、必要に応じてKPIの追加、見直しを検討しております。

 

重点取り組み

テーマ

KPI

2025年

実績

2026年

目標

2030年

目標

1.美しさを通じた心の豊かさの実現

リアルとデジタルを活用した知販ビジネスの確立

milbon:iD会員登録者数

104万人

100万人

ミルボン知販メソッド(スマートサロン)の

展開都市数(日本)

60都市

83軒

100都市

500軒

ライフタイムビューティーパートナー育成

スタジオ・イベント教育動画年間延べ利用人数

22.5万人

33.5万人

エデュケーションiD会員登録者数

6.5万人

10万人

2.再生・循環型の生産・消費活動

カーボンニュートラル生産体制の構築

ゆめが丘工場のCO2排出量削減率

(2019年比)

81.4%削減

75%削減

カーボンニュートラル実現

サステナブルな容器包装の設計

石油由来バージンプラスチック使用量削減率

(2020年比、売上高原単位)

16.4%削減

15%削減

30%削減

 

 

3.人にやさしい調達活動

サステナブルなパーム油の調達

RSPO認証パーム油採用率(MB+B&C)

50.8%

50%

100%

サプライチェーンにおける人権の尊重

デューデリジェンスによる人権侵害発生数

0件

可能な限り人権侵害ゼロ

可能な限り人権侵害ゼロ

4.公正かつ柔軟な経営体制

取締役会の多様性の推進

社外取締役の登用

5名(5/12)

継続的に3分の1以上登用

女性役員の積極登用

3名(3/15)

継続的に登用

国際性を含む、多様なスキルの確保

海外勤務経験を有する役員

6名(6/15)

確保の実現

取締役会の実効性向上

第三者機関評価を通じた、重要課題の選定と改善活動の進捗

継続実施中

毎年の課題設定に対して継続的な改善活動を行う

5.働きがいのある職場環境

働き続けられると感じる体制・制度の実現

若手社員の離職率(直近5年の若手社員(新卒~3年目)の離職率平均)

12.8%

9%

6%

有給休暇取得率

75.6%

70%

80%

エンゲージメントサーベイ

継続実施、

重要項目及び目標の設定

重要指標3領域が「強み」として機能している状態

 

(3)気候変動への対応

①ガバナンス及びリスク管理

 当社は、気候変動を中長期にわたり経営戦略や財務計画に影響を与える現実的なリスクと捉え、サステナビリティコミットメントにおいて最重要課題の1つとして位置づけております。

 サステナビリティに関する取り組みの内、気候変動に関するリスク及び機会については、サステナビリティ推進委員会が特定しております。活動状況は半期に1回サステナビリティ推進委員会を通じて経営会議及び取締役会へ報告し、取締役会の監督を受けております。

 

②戦略

 2023年度に実施したシナリオ分析では、ミルボングループの中核である株式会社ミルボン単体を対象範囲として、平均気温が1.5℃及び4℃上昇することを想定し、2025年時点(短期)・2030年時点(中期)・2050年時点(長期)の3つの時期に関して、気候変動によるリスクと機会を検討しました。分析にはIEA・IPCCが示したシナリオを使用しており、1.5℃シナリオでは脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による影響を、4℃シナリオでは急性の変化(大雨や洪水の発生等)、慢性的な変化(平均気温の上昇や年間降水量の変化等)の双方による物理的影響を分析しています。

 シナリオ分析では、約40のリスクと機会が存在することが明らかになったため、これらのリスクと機会に対する当社への影響の大きさを評価し、対応策を決定しました。シナリオ分析結果から、当社は1.5℃と4℃の双方のシナリオにおいて原料調達コスト増による影響を大きく受ける可能性があり、さらに1.5℃シナリオでは自社操業コスト増による影響も大きくなる可能性があることが分かりました。また、これらのリスクと機会については、5つの最重要課題にて設定した「再生・循環型の生産・消費活動」、「人にやさしい調達活動」の推進が、リスクの低減と機会の獲得に資するということも分かりました。今後は、定期的に状況をモニタリングし、必要に応じて新たな対応策を講じることでリスクの低減に努めていきます。

 

(シナリオ分析結果)

 

リスク機会の内容

リスク/機会

時間軸

影響度

1.5℃シナリオ

調

サプライヤーへのカーボンプライシングの導入・拡大による調達コスト増

リスク

2030年

森林保護への法規制による土地利用への制限に伴う調達コスト増

リスク

2025年

原料のトレーサビリティに関する法規制強化による調達コスト増

リスク

2030年

自社へのカーボンプライシングの導入・拡大による操業コスト増

リスク

2030年

電力小売価格の上昇によるエネルギーコスト増

リスク

2030年

各国拠点での法規制強化によるコンプライアンスコスト増

リスク

2030年

サーキュラーエコノミーへの対応コスト増

リスク

2030年

他社がカーボンプライシングの影響を受け、自社の競争が向上することによる売上増

機会

2030年

自家発電導入による排出量とエネルギーコスト減

機会

2030年

商品需要

環境配慮商品の売上増

機会

2030年

4℃シナリオ

原料調達

気候変動によるパーム油等植物由来原材料の調達コスト増

リスク

2050年

安定した原料調達のための取り組みによる調達コスト減

機会

2030年

自社操業

損傷した生産設備の修復にかかるコスト増

リスク

2050年

洪水や台風被害による配送への影響による、売上減や在庫毀損によるコスト増

リスク

2050年

(想定する対策等)

1.5℃シナリオ

調

植物由来

原料

・国際情勢リスク、気候変動リスクにおいて、調達ルートやトレーサビリティを調査

・原料確保のため、効率的な調達購買手法の検討

・カーボンプライシングによるサプライヤーへのコスト増を概算、商品価格への上乗せ検

討、代替原料の検討

・RSPO認証パーム油の積極採用。2030年までに認証パーム油、マスバランス品を100%採用目標

容器包装

原料

・石油由来バージンプラスチックを2030年までに30%削減する目標に向け、新製品容器への植物由来プラスチックや樹脂量削減の成型方法を積極採用

・プラスチック容器のリサイクル処理方法の研究

・カーボンプライシングによる容器包装原料のコスト増を概算、商品価格への上乗せ検討、代替原料の検討

自社の

エネルギー使用

・WEO2021,2022のNZEシナリオにおける炭素価格を用いて、Scope1・2にかかるカーボンプライシングコストを試算

・電力コスト上昇の見通しから自家消費発電の割合を拡大

法規制対応

・各種規制の把握、コスト増の影響度によっては、他原料への切り替えや製品への転嫁も想定

・EUを中心とした法規制への対応コストと社内体制の確立

商品需要

商品開発

・生活者ニーズに対応した、商品機能向上と環境負荷低減する商品開発

4℃シナリオ

原料調達

調達

・代替パーム油の研究や処方対応を検討

・気候変動によるパーム油調達価格変動を概算

・原料や調達ルート確保の研究

・原料毎の気候変動による影響度を確認

・主要天然原料の原産国における気候変動調査や保護活動

自社操業

災害対応

・被災によって生産設備が損傷した場合でも、保険の適用内で修復が可能であることを確認

・災害時は一部物流倉庫への影響が懸念される為、代替輸送を予め想定

 

③気候変動に関する取り組みの指標(KPI)及び目標

 気候変動に関する取り組みのKPIについては、1.5℃・4℃シナリオの分析結果から、最も影響が大きいと考えられる原材料調達コストの増加に対しては、5つの最重要課題に掲げている、石油由来バージンプラスチック容器包装の削減率や、RSPO認証パーム油採用率の達成を通じて引き続きリスク低減を図ります。

 また、カーボンプライシング導入や電力価格高騰等による操業コストの増加リスクに対しては、5つの最重要課題に掲げているゆめが丘工場における2026年、2030年のCO2排出量削減目標に加えて、2050年のミルボングループのカーボンニュートラル目標を設定しました。ミルボングループにおけるScope1・2排出について、まずは、国内事業所の中で最もCO2排出量が多い当社生産拠点である、ゆめが丘工場の2030年カーボンニュートラルを達成します。さらに、2050年までにミルボングループのカーボンニュートラルを目指します。

 当社グループの排出量算定範囲は、海外拠点を含む当社グループ全体を対象としており、2022年以降、Scope1、Scope2およびScope3のすべてについてカバレッジ100%で算定しています。

 今後も、定期的にカーボンニュートラルの達成へ向けた取り組み状況をモニタリングし、対応策を講じることでリスクの低減に努めます。

 

(ミルボングループにおける2025年度CO2排出量実績(単位:t)※マーケット基準)

Scope1

カバレッジ:全拠点のうち100%

1,437

Scope2

カバレッジ:全拠点のうち100%

3,875

Scope3

カバレッジ:全拠点のうち100%

313,204

合計

318,516

 

(CO2削減目標(Scope1・2))

ゆめが丘工場 ※2019年対比

ミルボングループ

2026年:75%削減(達成)

2030年:カーボンニュートラル

2050年:カーボンニュートラル

 

(4)人的資本、多様性に関する取り組み

①人的資本に関する基本的な考え方

 ミルボンには、「すべては、ヘアデザイナーとともに」という創業以来の想いとともに、「つぶれない会社を創る」という信念があります。これは創業者・鴻池一郎が当社の創業前、企業の倒産劇に巻き込まれた親しい方々の悲惨な姿を目の当たりにした際に固く誓った想いであり、そこには「社員とその家族の幸せと仕事のやりがいの実現」という決意が込められています。だからこそ当社では創業以来、一貫して「人」を大切にした経営にこだわり続けています。

 また、当社の美容室に徹底的に寄り添う独自のビジネスモデルの遂行には、「人」を起点とした独自の価値創造が不可欠であり、当社の歩みは、「人の成長こそが企業の成長につながる」ということを体現してきた歴史でもあります。そのため当社では、「人的資本」を経営及び企業の持続的成長に必要不可欠な最重要資本と捉え、 経営戦略と連動した人材戦略に取り組んでいます。

 

②中期事業構想(2022-2026)における人的資本に関する戦略、指標(KPI)及び目標

 中期事業構想(2022-2026)の実現に向け、人材戦略基本方針~社員一人ひとりがミルボンのエンジンになる~「社員一人ひとりが、自主自立の精神で、“やりがい”をもって、ミルボンの持続的成長を支え、働き続けられる企業風土を醸成する」を掲げ、「5つの人材戦略重要テーマ」を設定し、社員の“働きがい”の醸成と“働き続けられる環境”の整備を進めております。「5つの人材戦略重要テーマ」と中期事業構想(2022-2026)を密接に連携させることで、持続的な成長の源泉となる新たな付加価値を創造し続け、美容室の増収増益に貢献します。

 

0102010_003.png

 

5つの人材戦略重要テーマにおける具体的な取り組み内容、指標(KPI)及び目標は以下のとおりです。

 

1)次期後継リーダー育成

当社は、2014年に10年後の後継体制を見据え、独自の次期経営責任者育成プログラムである「ミルボンコーポレートユニバーシティ(以下、MCU)」を立ち上げました。2015年からの4年間で同プログラムを受講した42名のうち、これまでに取締役3名、執行役員8名の任命につながっており、計画していた体制移行は着実に果たされています。

現在は、次の10年、20年先を見据え、サクセッションプランの再構築を進めています。

本年は、次期MCUの開始に先駆け、30代の若手リーダー候補を対象とした「MCU-Prep」を実施しました。公募を通じて選抜された24名が参加しており、2026年も同様に24名を対象に実施する予定です。これにより、2年間で計48名の次期経営リーダー候補の育成を図っています。

また、2024年には代表取締役を委員長とした人材開発委員会を新設し、人材および組織に関する課題や施策について継続的に議論する体制を整えました。今後も、全社視点でのリーダー育成と、一人ひとりの働きがいと活躍につながる研修・配置を推進することで、リーダーが継続的に生まれる企業体の実現に向けた改革を進めていきます。

 

指標(KPI)及び目標

KPI

2025年度実績

2026年目標

次期後継リーダー育成

MCU-Prepの実施

サクセッションマネジメントの

仕組みを体系化

MCU-Prepの継続

 

 

2)働きがいの醸成

当社では、2022年からエンゲージメントサーベイを導入し、コンプライアンス意識調査を含め、経営会議及び各部門への報告・対話、アクションプランの作成・実践を行っています。総合のエンゲージメントスコアは他社と比較しても高い組織状態を維持しております。その上で当社では、そうした評価に驕ることなくサーベイ評価項目における「理念経営」「外部適応」「変革活動」という3つの領域を「つぶれない会社」を体現するための当社重要指標に定め、それらの3領域の「期待度」「満足度」の双方が高く、強みとして機能している状態を目指しています。

若手社員の離職率は、昨今の労働市場の流動性の影響もみられる中、目標との乖離もみられており、全体の実績値が上昇しました。これを受け、人事部内に対策プロジェクトを新設し、新たに営業現場での心の状態を可視化するツールの導入も進め、総合的に対策を強化し、当社サステナビリティ最重要課題の1つとしても改善に取り組んでいます。

 

同様に最重要課題のひとつである有給休暇取得率の向上は、多様な働き方を推進するために、人事部内でプロジェクトを設立し、2024年度の年次有給休暇の計画的付与制度の拡充、2025年度の取得率の低い管理職層のデータ及びヒアリングによる分析等、継続的な取得率の向上を図っています。2025年度実績としては、2024年度から2.7%増の75.6%に向上しました。

 

今後も、エンゲージメントサーベイを通じた定量・定性データから得られる結果を踏まえ、さらなる働きがいの醸成と働き続けられる環境づくりを進めていきます。

 

指標(KPI)及び目標

KPI

2025年度実績

2026年目標

2030年目標

若手社員離職率

※直近5年の若手社員

(新卒~3年目)の離職率平均

12.8%

9%

6%

有給休暇取得率

75.6%

70%

80%

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイの継続

重要指標3領域が「強み」として機能している状態

-

 

3)タテヨコナナメの対話増進

当社では、直近10年間で従業員数が連結ベースで約1.8倍に増加し、部門や階層の拡大、ならびに多様な属性を持つメンバーの増加が進んでいます。こうした組織規模の拡大に伴い、コミュニケーションの希薄化によりリスクに対応するために、当社社員がもつべき指針である「THE MILBON WAY」の浸透と共有を目的に、海外子会社を含むグループ全社において定期的な勉強会を実施しています。

また、2025年は昨年に引き続き、代表取締役の坂下秀憲が自ら国内各拠点を訪問し、全社員と直接対話を行う「ミルボンパーソンディスカッション」を実施しました。本取り組みを通じて全社員との対話を完了し、経営と現場の相互理解を一層深めることができました。合わせて、両立支援座談会、キャリアガイダンス勉強会、社員向けIR説明会の実施等、各部門より社内エンゲージメントの向上に資する様々な施策が実施されています。

2026年も同様に、坂下と数名の社員によるフリーセッションの場を設けることを計画しており、今後も継続的な対話を通じて、一体感のある組織づくりを進めていきます。

 

指標(KPI)及び目標

KPI

2025年度実績

2026年目標

社内コミュニケーションの円滑化

ミルボンパーソンディスカッションの実施(全21回)

坂下と数名の社員によるフリーセッションの実施

 

 

4)DE&Iの推進

当社では、多様性が尊重される時代における価値創造の実現には、当社自身が多様性に富む企業となければならないと捉えており、「DE&Iの推進」はそうした進化への不可欠な取り組みであると考えております。

2025年は、ワーキングマザー向け社外メンター制度やベビーシッター支援制度の導入、管理監督者向けのイクボス研修の実施など、各種取り組みを推進しました。また2030年の女性管理職比率20%という目標に対して、2025年の実績は14.7%であり、未だ目標との乖離は見られるものの、実績値としては確実に向上をしております。今後も目標実現に向け、継続的な検討と施策の実行を図っていきます。

 

指標(KPI)及び目標

KPI

2025年度実績

2030年目標

女性管理職比率

14.7%

20%

 

5)提供価値向上への人・組織の強化

 「提供価値向上への人・組織の強化」は、当社がサステナビリティ5つの最重要課題でも中心として掲げている「美しさを通じた心の豊かさの実現」に直結する重要なテーマであると捉えています。当社は1984年より、9カ月間に及ぶ新入社員研修をはじめとした人材育成に継続的に取り組み、40年にわたり「人」への惜しみない投資を重ねてきました。

 2025年10月には、社員が入社から定年退職まで生涯にわたり学び続ける風土づくりの拠点として、新入社員研修の新たな実施の場でもある小田原人材開発センターの研修棟が完成しました。これにより、秋入社社員を対象とした研修も新たにスタートしています。

 2026年からは、本研修棟の本格稼働が始まり、これまで以上の人材育成体制の充実化を図るとともに、グローバルビジョンの実現に向け、国内だけでなく海外子会社における社員研修の開発プロジェクトも発足しました。

 今後も、さらなる人材育成体制の発展を通じて、提供価値の向上を図ってまいります。

 

実績

2025年度実績

小田原人材開発センターの本稼働

 

 

(5)水資源に関する取り組み

①水資源に関する基本的な考え方

 当社では、主力であるヘアケア用剤をはじめとして、多くの製品において水を使用しており、お客様が製品を使用される際にはすすぎを必要とするなど、事業活動のあらゆる場面で水は切り離せない存在であると認識しております。水資源の保全においては、各事業地域の水ストレスの詳細把握や、節水、循環利用などの有効活用に努め、積極的な保全活動を推進していきます。

 2025年現在においては、ミルボングループのなかで水資源の利用が最も多い当社基幹生産拠点である「ゆめが丘工場」において、管理計画に基づいた取水・排水量の把握、所在地域における水ストレスの調査、保全活動の推進を行っています。

 今後は、連結子会社の生産拠点をはじめ、国内外の事業拠点を含めたグループ全体の取水・排出量の把握や所在地域ごとの水ストレス調査および対応策の検討に努めてまいります。

 

②水資源に関する具体的な取り組み

・ゆめが丘工場における水ストレス調査

 2023年から継続して、ゆめが丘工場における水ストレスの調査を実施しています。調査の結果、ストレス度は「低(Low)」と判定されています(Aqueduct Country RankingにおけるBaseline Water Stressを用いて評価)。

 今後は、国内だけでなく、タイや中国などの海外工場においても、水ストレス調査を実施する予定です。

・水消費量削減の取り組み

 ゆめが丘工場において、環境負荷軽減の観点から2021年に新たな純水装置を導入しました。以前の装置と比較して純水の回収率が20%向上したことで、製造に使用する純水の使用量が2022年の1年間で昨年対比約2,000m³の削減を実現しました。その後、生産設備部品の洗浄をより効率的、効果的に改善させることを目的として2023年に新たに部品洗浄機を導入しました。手洗浄と比較し、洗浄力の向上、節水及び洗浄時間の短縮に繋がり、生産性の向上と合わせ、水使用量の削減を実現いたしました。

・排水への配慮

 ゆめが丘工場では、公害を未然に防止し、地域住民の健康と生活環境の保全を目的とした環境保全協定を伊賀市と結んでおります。毎月、放流水が協定で定められた規制値内の値であるかの分析を第三者機関へ依頼しております。日常点検においては自社で検査を行い、規制値を下回る状態を維持するための取り組みを行っております。こうした対応のもと、河川放流と同等の処理基準をクリアした状態で下水への放流を行っております。

・排水経路の水質調査

 ゆめが丘工場がある三重県伊賀市において、市民団体「魚と子どものネットワーク」とともに、工場で使用した水が海へ至るまでの直接的な排水経路となっている久米川および木津川の水質調査活動を継続的に行っています。2023年より毎年パックテストによる調査を実施しており、2025年5月に行った調査結果においても前年同様久米川および木津川の水質は化学的酸素要求量(COD)測定において数値に異常がないことを確認しました。

 今後も、継続的に本調査をはじめとした実態把握及び環境負荷軽減に向けた活動に取り組みます。

 

③水資源に関する取り組みの指標(KPI)及び目標

 2024年に水使用量削減目標を設定し、2026年までに国内生産拠点のゆめが丘工場において、水使用量原単位(水使用量(㎥)/ 生産量(t))を2021年対比4%以上の削減を維持することを目指します。

 

 

(水使用量原単位の実績及び目標)

 

2021年

(基準年度)

実績

2024年

実績

2025年

実績

2026年

目標

ゆめが丘工場

4.900

4.366

4.623

2021年対比4%以上の削減を維持

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクを、リスクカテゴリマップとして抽出・分析しております。以下に記載している事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月27日)現在における状況です。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。

 

(1)リスクマネジメントの考え方と体制

 当社グループでは、経営理念の実現および事業継続に多大な負の影響を及ぼす事項を「リスク」と定義し、その発生可能性を低減することおよびリスクが顕在化し危機発生した場合の損害の拡大を防止し、当社グループの企業価値を向上することをリスクマネジメント基本方針と定め、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでおります。

 この方針に基づいて、当社グループで発生し得るリスクをまとめた「リスク事項一覧表」の見直しを行い、各部門および子会社は業務の遂行によって発生した事象を把握・対応し、社内取締役、常勤監査役および執行役員から構成される経営会議にて四半期毎に報告しております。当連結会計年度においては主に、地政学リスクへの対応プロセス、生産拠点における品質管理体制、製品および当社グループのブランド価値向上について各部門が連携し、これらのリスク低減のための現状把握、プロセスの検討、ルールの明確化および改善を実施するとともに、社員に対するコンプライアンス研修(会社資産の取扱い、ハラスメント、インサイダー取引)等の活動を実施しました。

 また、当社グループは、代表取締役 社長執行役員を委員長とし、取締役、常勤監査役および執行役員を委員とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、原則として年3回開催することとしております。この委員会では、当社グループを取り巻くリスクのうち、重要度と優先度、リスクの顕在化可能性や時期、中期事業構想の達成を阻害する可能性と影響度等を踏まえ、特に全社で対応を進めるべきリスクである「全社リスク」を選定し、リスクマネジメント委員会の委員の中から各全社リスクの責任者を選任し、対策を進めております。全社リスクの対応における進捗等は、リスクマネジメント委員会より、半期に一度、取締役会に報告し、同委員会が取締役会の監督・モニタリングを受ける体制を整えております。

 

0102010_004.png

 

(2)リスクの抽出と分析

 当社グループでは、2024年度に重要リスクカテゴリの見直しを実施しました。この変更内容を踏まえ、2025年度においてもリスクの抽出および分析を継続し、重要リスクカテゴリを影響度と発生可能性に基づきマッピングしたリスクマップについて、社内取締役、常勤監査役および執行役員による議論を経て改定を行いました。2025年12月時点における重要リスクカテゴリマップは下記のとおりであり、2026年度は当該リスクマップを基礎としてリスクマネジメントを推進してまいります。なお、重要リスクカテゴリは一般的な指標によるものではなく、当社グループの事業環境および特性を踏まえ、独自に定義・評価したものです。

 

(2026年度重要リスクカテゴリマップ)

0102010_005.png

                            ※◎は2026年度における全社リスクとなります。

 

(影響度の目安)

レベル

レベルの意味

(定量的)売上への影響

(定性的)影響範囲

重大な影響

1%以上の影響がある

社会全体

中程度の影響

1%未満の影響がある

業界・関係者

軽微な影響

ほとんど影響がない

社内のみ

※売上への影響、影響範囲の両方を満たすことが条件ではありません

 

(発生可能性の目安)

レベル

発生時期

1年以内に発生する可能性がある

3年以内に発生する可能性がある

5年以内に発生する可能性がある

 

(3)当社グループ重要リスクカテゴリ

 重要リスクカテゴリごとの当社グループにおける影響、2025年度に実施した主要な対応および今後の取組みについては以下のとおりです。これらの内容は、当社グループの事業環境の変化や将来の影響を踏まえ、重要リスクカテゴリごとに整理のうえ記載しております。

 

 

重要リスクカテゴリ①地政学

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

社会情勢や外交関係の緊張により、当社が事業および生産拠点を展開する国・地域においても不安定な状況が長期化しており、人的被害の発生やサプライチェーンの寸断によって事業継続が困難となる可能性があります。さらに各国の関税引き上げが売上高や利益に直接影響を及ぼす可能性が高まっています。

(対応)

当社が事業および生産拠点を展開する国・地域において、現地社員の安全を確保するとともに、国外生産拠点の操業停止による事業への影響を最小化するための対応策を検討しています。特に不安定な状況が続く地域では、情報収集および報告体制を見直し、変化により迅速に対応できる体制を構築しました。また、各国の関税による影響を把握し、影響範囲の特定とコスト構造の見直しを進めています。

 

 

重要リスクカテゴリ②災害・BCP

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

自然災害、異常気象、感染症などにより、当社社員やその家族への被害、営業拠点や生産拠点の建物・設備の損壊による業務停止が発生する可能性があります。また、営業拠点や生産拠点での事故により、従業員や周辺地域に被害が及ぶおそれがあります。

(対応)

拠点ごとの防災状況を確認し、特に生産拠点では自動倉庫保管品の耐震対策を実施するとともに、避難訓練や災害対策マニュアルの更新を行っています。さらに、物流拠点や受注拠点を分散することで、製品の安定供給を維持できる体制を整えていきます。

 

重要リスクカテゴリ③サステナビリティへの対応

影響度:小

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

カーボンプライシングの導入や再生可能エネルギー価格の高騰により、原材料などの調達コストが増加し、売上や利益が圧迫される可能性があります。また、気候変動に伴う異常気象による災害や物流停滞により、製品の安定供給に支障が生じるおそれがあります。

(対応)

法規制や国際的な動向を継続的に把握し、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証などに適合した原材料の使用を進めるとともに、石油由来プラスチックの削減や自家消費型発電の拡大を推進し、持続可能な事業体制の構築を進めています。

 

重要リスクカテゴリ④グループガバナンス

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

当社グループにおいて、人材・資金・情報といった経営資源に関する統制が十分に機能しない場合、ガバナンスの不整合や意思決定の遅延、経営資源の最適配分の阻害が生じるおそれがあります。特に、人材管理において人事制度が整備されていない、または運用が不透明な場合、コンプライアンス意識の低下や不正行為の発生につながり、企業価値を毀損するリスクがあります。また、海外子会社において、各国・地域の法規制に適合した体制が構築できていない場合、統制不備による不正リスク、法令違反、ガバナンスの形骸化が生じる可能性があります。これらが発生した場合、当社グループ全体として、一貫性が損なわれ、経営の健全性や企業価値に悪影響を及ぼす懸念があります。

(対応)

グループ全体で統制が適切に機能するよう、全社における人材・情報・業務プロセスの管理体制を順次整備しています。特に海外子会社や海外拠点においては、各国・地域の法規制や慣習に適合した制度構築を進めるとともに、現地法に準拠したコンプライアンス研修を実施し、不正防止やガバナンス意識の定着を図り、グループ全体で一貫性のあるガバナンス体制の確立を推進しています。なお、グループガバナンスは 2026 年度における全社リスクとして位置づけており、特に海外拠点におけるガバナンス強化を重点テーマとして取り組んでまいります。

 

 

 

重要リスクカテゴリ⑤労務・人事計画・人材育成

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

社員のモチベーション低下や心身の不調による休職・離職が増加した場合、人材不足や生産性の低下を招くおそれがあります。また、人材獲得競争が激化する中、キャリアや働き方に関する価値観の多様化に迅速に対応できない場合、優秀な人材の流出により事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

社員の職位や役割に応じた研修を提供し、受講を推進するとともに、採用手法や育成カリキュラムの見直しを進め、社員が最大限能力を発揮できる環境を整備しています。

 

 

重要リスクカテゴリ⑥金利・為替・税制

影響度:中

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

税制や会計基準の変更による負担増、主要取引先の信用悪化、関税率の引き上げ、為替変動などにより、当社の業績や財務状況が中期経営計画と乖離する可能性があります。また、事業環境や市場動向によっては、追加負担や減損が発生するおそれがあります。

(対応)

市場拡大による収益改善を図るとともに、税制変更には税額控除の活用、会計基準改正には少額リース契約の分割検討を進めています。さらに、取引先の与信管理を強化し、債権保険の補償額を見直すほか、為替動向や税制変更に応じた制度構築を行い、グループ全体で財務面の安定化に取り組んでいます。

 

重要リスクカテゴリ⑦事業投資

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

投資判断時に想定していなかった市場環境や経営環境の悪化により、当初の投資計画と乖離し、期待される効果が得られず資産の減損が発生する可能性があります。さらに、海外事業投資では、各国の政治状況や外交関係の緊張により事業継続が困難となり、売上や利益率の低下、資本効率の悪化、企業価値の低下につながる可能性があります。

(対応)

新規事業や投資状況を継続的にモニタリングし、その結果を取締役会や経営会議に報告しています。加えて、3,000万円以上の投資案件は投資委員会での審議を経て取締役会または経営会議で決議し、その後も投資完了報告や成果報告を行うことで、適切な事業投資の実施を確保しています。

 

重要リスクカテゴリ⑧海外事業・海外物流

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

貿易ルートにおける異常気象や現地状況の変化により物流が停滞し、輸送日数や費用の増加、余剰在庫の発生によって一時的な販売網の混乱や販路の喪失が生じる可能性があります。また、各国での薬事規制の変更により処方変更が必要となり、廃棄増加や欠品が発生し、コスト増や販売機会の損失につながるおそれがあります。

(対応)

物流環境の変化に対しては、物流会社との定期的な情報交換や輸送ルートの迅速な切り替えにより影響を最小化する体制を構築しています。また、各国の薬事規制情報を早期に収集し、規制対象成分の使用回避や現地法に対応できる海外工場への生産移管を進めています。

 

重要リスクカテゴリ⑨新規事業・研究・デジタル化の遅れ

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

新規事業の展開や研究開発が遅延した場合、新製品等の市場投入タイミングを逸し、開発費用等の回収が困難となり、収益性の悪化につながるおそれがあります。また、システムインフラの更新やAI等の先端技術の導入が遅れることで、業務効率化やデータ活用の高度化が進まず、中長期的な成長機会を逸失する懸念があります。

(対応)

新規事業や研究開発の遅延を防ぐため、社内横断の進捗管理体制を強化し、開発プロセスの可視化およびマイルストン管理の精度向上に取り組んでいます。また、市場投入の遅れによる機会損失を最小化するため、事業性評価を早期段階から多角的に実施し、優先順位の見直しや追加リソース投入の判断を迅速に行える体制を整えています。さらに、中長期的な成長機会を損なわないよう、AI 活用を含む先端技術を継続的に取り入れるための体制整備を進めています。

 

 

 

重要リスクカテゴリ⑩情報漏洩

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

不正アクセスや外部からのシステム侵入、社員の個人情報や管理者ID・パスワードの流出、SNSやメールの誤送信などにより、機密情報や個人情報が漏えいし、財産的損害や信用の失墜、顧客やステークホルダーからの信頼低下、さらには多額の賠償責任が発生する可能性があります。また、近年増加しているランサムウェアなどのサイバー攻撃により、システム停止や業務中断、データ暗号化による復旧コストの増大など、事業継続に重大な影響を及ぼす懸念があります。

(対応)

不正アクセスやマルウェアの検知、SOC(Security Operation Center)サービスによる監視強化など、IT基盤の強化を進めています。さらに、不正なネットワーク通信の遮断、特権ID・パスワードの再設定、パスワードポリシーの見直しを実施予定です。社員へのセキュリティ教育を継続的に行い、情報管理の徹底を図っています。また、攻撃手法の変化に対応するため、セキュリティ体制を継続的に改善し、バックアップ体制の強化やメール誤送信防止システムの導入も進めています。

 

重要リスクカテゴリ⑪品質管理

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

処方変更の管理ミスや生産工程での重大な不具合により、皮膚や毛髪に異常が生じ、大規模な自主回収が必要となる可能性があります。また、各国の薬事法規制に適合できない場合、日本から現地への輸出停止や現地法人への罰則につながるおそれがあります。これらの事象は、製品品質への信頼低下や追加コストの発生、ブランド価値の毀損を招き、事業継続や収益性に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

製品の使用方法に関する注意喚起を徹底し、導入講習やモニター会での指導を強化しています。品質管理については、軽微なミスを防止するため、2025年度より人員を増強し、海外工場製品や貿易出荷品の品質管理を強化しています。また、各国の薬事法規制に関しては、生産現場や現地法人と連携して情報収集を進めるとともに、品質委員会による逸脱管理やトラブル対応、定期的なGMP(Good Manufacturing Practice)教育および理解度テスト、設備メンテナンスプログラムの実施を通じて、品質問題の未然防止と市場対応力の向上に取り組んでいます。

 

重要リスクカテゴリ⑫表示・情報発信

影響度:中

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

開示情報の誤りや開示遅延、不適切な情報発信により、ステークホルダーからの信頼低下や株価の下落、金融商品取引法違反による課徴金や上場廃止といった重大な影響を受ける可能性があります。さらに、広告表現の不適切さによる評判の悪化、知的財産権侵害による訴訟、模倣品の流通による顧客の健康被害、ブランド価値の毀損、風評被害の懸念も高まっています。

(対応)

情報発信に伴う懸念事項を事前に洗い出し、広報による外部発信における危機管理体制を強化しています。特に事実関係、数値、表現の正確性を担保するため、多層チェック体制を構築し、適時開示フローの整理、責任者の明確化、承認プロセスの厳格化を実施しました。また、広告表現の適正化に向けた事前チェック体制の強化と社内教育を推進し、社員による情報発信や知的財産権の尊重を徹底できる環境を整備しています。さらに、模倣品流通による顧客の健康被害を防止するため、コーポレートサイト等で模倣品に関する情報や当社の見解を発信しています。

 

重要リスクカテゴリ⑬販売戦略

影響度:中

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

新製品の売上が計画を下回った場合や、ヘアカラー市場での競争激化や低価格化によりシェアが低下し、売上減少によって中期経営計画が未達となる可能性があります。また、並行輸入や模倣品の流通によるブランド価値の毀損、景気動向による高価格帯製品の需要減少も懸念されます。これらの要因は資産回転率や利益率の悪化につながり、企業価値や事業の継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

販売戦略の強化に向け、製品開発部門と営業部門が連携し、顧客や製品特性に応じた販促活動を実施しています。現場での販売・教育活動の選択肢を広げ、売上向上施策を推進しています。また、定期的なモニタリングを行い、その結果を経営会議で報告することで、迅速な戦略方針の決定を可能にしています。さらに、ビューティープラットフォーム戦略を基盤に、広告・デジタルマーケティング領域でのブランディング活動を強化し、販売領域の拡大とブランド価値の向上に取り組んでいます。

 

重要リスクカテゴリ⑭原材料・資材・物流コスト上昇

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

原材料費や物流費の高騰により製造原価率が上昇し、利益率が低下する可能性があります。特に原材料価格の上昇は製品コストに直接影響し、収益性の悪化や価格改定の必要性を招くおそれがあります。また、物流費の増加は国内外の輸送コストを押し上げ、販売戦略や在庫管理に影響を与え、利益率の悪化につながる可能性があります。

(対応)

処方や製品仕様の検討段階から原材料費を見直し、抜本的なコスト低減を図っています。さらに、資材をまとめて購入することで単価を下げる交渉を実施し、値上げの抑制に努めています。また、工場との連携を強化し、グローバル調達ネットワークの再構築を進めるとともに、協力会社と物流方針を共有し、コストダウンや業務効率化を実現するため、総合的なコスト最適化に取り組んでいます。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

①売上高及び売上総利益

 当連結会計年度の連結売上高は528億63百万円(前期比3.0%増)となりました。この主な要因して、海外市場における売上成長が加速したことがあります。特に米国では、人員強化および製品ブランディングの推進に注力し、代理店との連携が進展したことで、ヘアケア用剤・染毛剤ともに売上が大きく伸長しました。さらに、美容技術水準が高く市場規模も大きいEUでは、ドイツを中心に高い売上成長を継続いたしました。韓国では、第1四半期に政治的混乱の影響を受けたものの、その後は政府による消費刺激策もあり、売上成長トレンドを回復しました。

 国内においては、プロフェッショナルブランド「エルジューダ」が5月の価格改定後も堅調な販売を維持し、また「milbon:iD」の会員数拡大に伴い店販品売上が好調に推移するなど、ヘアケア用剤は順調な成長を続けました。一方、染毛剤については、カラー市場全体の停滞や、一部サロンにおける材料費抑制を目的とした低価格ブランドへの切り替えにより競争が続いております。このような状況下、当社は高付加価値カラー戦略を推進し、オーガニック認証機関ICEAの認証を有する「ヴィラロドラ カラー」は引き続き高い成長を維持したものの、「オルディーブアディクシー」などのファッションカラーの販売減により、染毛剤全体では減収となりました。

 売上総利益は331億76百万円(同1.8%増)、売上総利益率は62.8%となりました。この主な要因は染毛剤を中心に国内売上高が伸び悩んだこと、上期に計上した化粧品売上の減少に伴う商品評価損の影響があったことによるものであります。

 

②販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は275億23百万円(同6.9%増)、営業利益は56億52百万円(同17.4%減)となりました。この主な要因は人員増やベースアップに伴う人件費の増加、万博関連費用の計上による広告宣伝費の増加、海外売上の拡大に伴う物流費の増加などによるものであります。

 

③営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外収益は1億36百万円、営業外費用は3億33百万円となりました。この結果、経常利益は54億55百万円(同21.7%減)となりました。

 

④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の特別利益は固定資産の売却益などにより2億91百万円、特別損失は投資有価証券評価損の計上などにより、8億20百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は34億37百万円(同31.5%減)となり、1株当たり当期純利益は106円26銭となりました。

 

 連結品目別売上高、国内海外別売上高及び生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

 

(連結品目別売上高)

(単位:百万円)

 

品目

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

金額

構成比(%)

金額

構成比(%)

ヘアケア用剤

31,324

61.1

33,466

63.3

2,142

6.8

染毛剤

17,200

33.5

16,896

31.9

△304

△1.8

パーマネントウェーブ用剤

1,547

3.0

1,435

2.7

△111

△7.2

化粧品

868

1.7

664

1.3

△204

△23.5

その他

375

0.7

401

0.8

25

6.7

合計

51,316

100.0

52,863

100.0

1,546

3.0

 

(国内海外別売上高)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率(%)

金額

構成比(%)

金額

構成比(%)

国内売上高

38,684

75.4

39,206

74.2

521

1.3

海外売上高

12,631

24.6

13,657

25.8

1,025

8.1

合計

51,316

100.0

52,863

100.0

1,546

3.0

 

(生産、受注及び販売の実績)

①生産実績

 当連結会計年度の品目別内訳を示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

 

品目

当連結会計年度

(自 2025年 1月 1日

至 2025年12月31日)

増減率(%)

ヘアケア用剤

35,536,871

0.4

染毛剤

17,533,497

4.0

パーマネントウェーブ用剤

1,459,504

△8.9

その他

317,835

△53.5

合計

54,849,708

0.5

(注)金額は販売価格で表示しております。

 

②受注実績

 当社グループは見込み生産を行っておりますので、該当する事項はありません。

 

③販売実績

 当連結会計年度の品目別内訳を示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

 

品目

当連結会計年度

(自 2025年 1月 1日

至 2025年12月31日)

増減率(%)

ヘアケア用剤

33,466,507

6.8

染毛剤

16,896,102

△1.8

パーマネントウェーブ用剤

1,435,609

△7.2

化粧品

664,010

△23.5

その他

401,061

6.7

合計

52,863,291

3.0

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自 2024年 1月 1日

 至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年 1月 1日

 至 2025年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社トピー商事

5,781

11.3

7,587

14.4

株式会社ガモウ

4,384

8.5

5,293

10.0

株式会社MASS-HD

3,575

7.0

4,188

7.9

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して10億97百万円減少の578億1百万円となりました。

 流動資産は前連結会計年度末と比較して18億34百万円減少の291億1百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が20億13百万円減少した一方で、商品及び製品が1億86百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は前連結会計年度末と比較して7億37百万円増加の287億円となりました。

 流動負債は前連結会計年度末と比較して15億22百万円減少の76億85百万円となりました。主な変動要因は、未払金が5億55百万円、未払法人税等が7億93百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 固定負債は前連結会計年度末と比較して1億83百万円増加の10億57百万円となりました。

 純資産は前連結会計年度末と比較して2億41百万円増加の490億58百万円となりました。主な変動要因は、自己株式の取得及び消却により自己株式が4億13百万円減少(純資産は増加)したほか、退職給付に係る調整累計額が6億87百万円、為替換算調整勘定が4億98百万円それぞれ増加した一方で、自己株式の消却、剰余金の配当等により利益剰余金が16億56百万円減少、その他有価証券評価差額金が3億98百万円減少(純資産は増加)したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の82.9%から84.9%となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,499円20銭から1,543円67銭となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べて22億64百万円減少し、115億13百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は53億83百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益49億26百万円の計上、減価償却費23億17百万円、投資有価証券評価損8億6百万円、法人税等の支払額21億12百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は30億14百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出29億48百万円、有形固定資産の売却による収入4億円、無形固定資産の取得による支出3億85百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は48億65百万円となりました。これは主に自己株式の取得による支出20億円、株主さまへの配当金支払額28億64百万円によるものであります。

 

(4)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。

 連結財務諸表の作成に際し、決算日現在における資産・負債の報告事項及び偶発債務の開示並びに連結会計期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。ただし、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

 

(5)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備投資需要であります。

 運転資金需要のうち主なものは、当社グループの原材料の仕入れ等の製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。また、設備投資需要につきましては、主に新拠点設立、既存拠点の移転・増強、生産設備の取得等に伴う固定資産の購入によるものであります。なお、一般的な余剰資金の運用につきましては、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行っております。

 

 

(7)経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課

題等(1)経営方針」に記載しております。

 なお、文中の目標比及び表中の2025年度修正計画の数値は、2025年8月8日に公表しました「連結業績予想の修正に関するお知らせ」の数値に基づいて計算したものであります。

 2025年度の実績につきましては、売上高528億63百万円(目標比1.1%増)、営業利益56億52百万円(同6.6%増)、経常利益54億55百万円(同5.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益34億37百万円(同14.6%増)となりました。

 2026年度の目標につきましては、売上高548億円(前期比3.7%増)、営業利益63億円(同11.4%増)、経常利益61億80百万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益43億円(同25.1%増)を計画しております。

 2025年度の計画、実績及び2026年度の計画につきましては以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

2025年度

修正計画

構成比

(%)

2025年度

実績

構成比

(%)

増減額

増減率

(%)

2026年度

計画

構成比

(%)

売上高

国内

海外

52,300

38,900

13,400

100.0

74.4

25.6

52,863

39,206

13,657

100.0

74.2

25.8

563

306

257

1.1

0.8

1.9

54,800

39,880

14,920

100.0

72.8

27.2

売上総利益

32,926

63.0

33,176

62.8

250

0.8

34,720

63.4

販管費

27,626

52.8

27,523

52.1

△103

△0.4

28,420

51.9

営業利益

5,300

10.1

5,652

10.7

352

6.6

6,300

11.5

経常利益

5,180

9.9

5,455

10.3

275

5.3

6,180

11.3

親会社株主に

帰属する

当期純利益

3,000

5.7

3,437

6.5

437

14.6

4,300

7.8

 

 中期事業構想につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題(2)中期事業構想(2022-2026)」に記載しております。

5【重要な契約等】

 当連結会計年度において、重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、顧客から支持されるヘアデザイナーなど、高い美容のノウハウを持つ方に、顧客の代表として参画していただく「TAC製品開発システム」という仕組みで製品開発を行っております。ヘアデザイナーのデザインづくりなど、感性的な美容のノウハウを科学的な手法で解明し、製剤化技術によって製品に反映させることで製品を創り出しております。

 当連結会計年度におきましては、基礎・基盤研究に注力することでヘアケア分野を強化し、サステナビリティの観点から環境に配慮した研究開発活動に取り組みました。日本・米国・中国・タイの4拠点において、連携体制を強化したグローバルな研究開発にも取り組んでおります。また、2023年12月より長期的な視点での製品・サービス開発に向けた新たな研究拠点として、東京・羽田に「イノベーションセンター」を開設しました。他社協業、産官学連携などの推進や、最先端の研究技術を活用する場として、将来の事業の芽となる機密性の高い研究を推進しております。

 今後は、変化の早い市場ニーズにいち早く対応するため、海外市場に向けては、従来の日本発のグローバル製品に加えて、各地の特性に合わせたローカル製品の開発に取り組み、世界の美容師、その先の顧客に喜ばれる製品を創り出したいと考えております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は2,672百万円(売上高に占める割合は5.1%)であり、主な研究開発活動とその成果は次のとおりであります。

 

(1)ヘアケア分野

 最新の毛髪研究成果と革新的な製剤開発技術の融合によってサロン品質を実現し、美容師の施術によって悩みを本質的に解決するサロンケア製品と、お客様の価値観やライフスタイルに合わせた美しい髪の実現を提案するホームケア製品の開発に取り組んでおります。

 プレミアムブランドの「オージュア」からは、ブリーチダメージが重なったエイジング毛髪が著しく乾燥しやすい状態になっていることに着目し、芯のある柔らかな髪素材へ導く「アルティールライン」を発売。「ミルボン」からはグローバルブランドとして世界の多様な髪質への対応を強化するため「カールシリーズ」を海外専用品として発売。「ミルボンアンド」からは世界のデザイナーのデザイン創造力をサポートし、グローバル基準のヘアデザイン創りを叶える「モノクロマティックシリーズ」を発売しました。

 プロフェッショナルブランドからは、ブリーチやヘアカラー、熱処理を繰り返すことによる不均一なハイダメージ毛を高補修し、綺麗なカラーデザインを楽しむことが出来る「エルジューダ エクストラリペア」、根元から髪をやわらかく動かすことができ、一人ひとりの新たな個性を引き出す新スタイリングブランド「オーバイトーリ」を発売しました。

 

(2)ヘアカラー分野

 顧客に新たなヘアカラーデザインを提供する追加アイテムの開発と、最新の毛髪研究成果に基づいた付加価値の高い製剤開発に取り組んでおります。

 ヘアカラーブランド「オルディーブ」から、やわらかなじんわり彩度でトレンド質感のセミツヤを表現する寒色系2色相、全20色の「ミスティークライン」を発売しました。「オルディーブ クリスタル ハイブライト」からは、カラーデザインを楽しむ大人髪をうるおい感じるツヤ髪に引き上げる2色相、全6色の追加色と、エイジング毛髪特有の毛流れの乱れを整える「オルディーブ クリスタル オキシダン OC 2.4」を発売しました。

 また「ヴィラロドラ」からは、従来のヴィラロドラ カラーよりも明るく白髪を染め、透明感があり肌になじむカラーデザインを叶える「ヴィラロドラ カラー クリアヴェール」全16色を発売しました。

 

(3)ビューティヘルスケア分野

 ビューティライフケア戦略における重点分野の一つであり、顧客の健康的で美しい生活を支えるビューティヘルスケア商品について、臨床研究などによる安全性と効果を確認しながら開発に取り組んでいます。

 ビューティサプリメント「ラシカル」から、パーソナルな提案をさらに拡げるために「ラシカル スノウケア ショット」「ラシカル プロテクトケア ショット」「ラシカル グレイケア ショット」を発売しました。

 

(4)基礎研究分野

 最先端の研究を製品開発に応用するため、毛髪や細胞をナノレベルで観察できる大型放射光実験施設「SPring-8」の利用や、大学との共同研究を積極的に進めております。2025年度は、国際学会や国内学会で4件の賞を受賞し、これらの成果は、「オージュア」や「ミルボン」などの新製品開発に活かされております。今後、お客様に喜ばれ続ける製品を連続的に創造すべく、最先端の研究を製品開発に応用していきたいと考えております。

 

(5)イノベーション研究分野

 ビューティプラットフォーム構想の実現に向け、ヘア領域の深化だけでなく、研究開発における他分野の知見の獲得及び独自性を持った他企業との機密性の高い研究など、中長期的な視点での製品・サービス開発に向けた、当社のイノベーションにつながる研究を推進しております。

 

(6)その他の研究開発

 環境に配慮した研究開発活動として、2030年目標石油由来バージンプラスチック使用量30%削減目標に対し、4R(Reduce、Replace、Reuse、Recycle)の取り組みを実施しております。

 新製品では、ポンプ付きボトルと詰め替えパウチ仕様の採用によるボトルの継続使用の推進だけでなく、植物由来プラスチックや再生プラスチックの採用も推進しております。