第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、企業理念を以下のとおり定めています。また、企業理念に謳われた使命を果たし、持続的な成長を遂げるために、社員一人ひとりが持つべき考え方、価値観、行動規範をKDDIフィロソフィとして定め、心をひとつにしてこれらを共有し実践していくことに努めております。

 

■企業理念

 KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。

 

 

(1)中長期的な会社の経営戦略

 新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。KDDIは生活者の新たなライフスタイルをサポートし、経済発展と社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造に向けた取り組みを推進します。

 

 このような事業環境の変化に対応しながらありたい未来社会を実現するため、「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げ、長期的な視点で社会課題とKDDIグループの経営の重要度を総合的に網羅した新重要課題(マテリアリティ)を策定いたしました。これらを踏まえ、以下のとおり「中期経営戦略(2022-24年度)」を推進していきます。

 

<中期経営戦略(2022-24年度)>

■企業理念

KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。

■ブランドメッセージ

  Tomorrow, Together KDDI / おもしろいほうの未来へ。au

■目指す姿

  ①お客さまに一番身近に感じてもらえる会社

  ②ワクワクを提案し続ける会社

  ③社会の持続的な成長に貢献する会社

■KDDI VISION 2030

「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。

■財務目標

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持続的な成長に向け、成長投資・株主還元を引き続き強化します。EPS※については、2018年度対比1.5倍を引き続き目指します。株主還元については、安定的な配当を継続し、配当性向40%超、成長投資の状況などを鑑み、機動的な自己株式取得を実施します。

※ 「Earnings Per Share」の略で、1株当たり当期利益。

 

 

(2)対処すべき課題(中期経営戦略 ―サステナビリティ経営―)

「中期経営戦略(2022-24年度)」では、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指す-サステナビリティ経営-を根幹としました。5Gの特性を活かすことにより「つなぐチカラ」を進化させ、あらゆるシーンに通信が「溶け込む」ことで、新たな価値が生まれる時代を目指します。5Gによる通信事業の進化と通信を核とした注力領域の拡大、さらにそれを支える経営基盤を強化します。

 

<事業戦略 ~ サテライトグロース戦略 ~>

5Gによる通信事業の進化と、通信を核とした注力領域の事業拡大を図ります。特に以下の5つの注力領域を中心に、KDDIグループの企業価値の最大化を図ります。

(1)DX(デジタルトランスフォーメーション)

・ 通信をIoTという形であらゆるもの(車、工業設備、各種メーターなど)に溶け込ませ、お客さまが意識することなく5Gを活用できる環境を整備します。そのために、さまざまな業界ごとの個別ニーズに応じたビジネスプラットフォームを提供し、お客さまのビジネス創造をサポートします。新たに生まれた付加価値により、人々の暮らしがトランスフォームされていくDXの好循環を目指します。

(2)金融

・ 金融クロスユースの拡大を推進し、通信と金融によるエンゲージメント向上へ寄与します。また、金融各機能のさらなるスケール化を推進し、KDDIグループの金融各社の成長を実現します。

(3)エネルギー

・ 電力小売事業を引き続き強化するとともに、カーボンニュートラル関連事業の新規参入を図り、カーボンニュートラルへ貢献します。

(4)LX(ライフトランスフォーメーション)

・ KDDIのテクノロジー戦略である「ライフトランスフォーメーション テクノロジー(LXテクノロジー)」により、モビリティ・宇宙・メタバースなど、多様化が進む消費・体験行動に革新を起こす新たなビジネスの創出を実現します。

(5)地域共創 -CATV等-

・ 過疎化・高齢化などによる地域社会が抱える課題に向き合い、デジタルデバイド解消・地域共創を実現します。また、全国の地域CATV局や地域を支える企業に対する経営支援により地域共創の取り組みを推進します。

 

<経営基盤強化>

KDDIグループは、社会と企業の持続的な成長に貢献するため、特に以下の3つの経営基盤を強化します。

(1)カーボンニュートラルの実現

・ KDDI単体で2030年度、グループ全体で2050年度のカーボンニュートラル達成を目指し、省エネルギーの取り組みと再生可能エネルギーへの切り替えを組み合わせて、CO2排出量実質ゼロを実現します。

(2)人財ファースト企業への変革

・ 「人財ファースト企業」への変革を、「KDDI版ジョブ型人事制度」・「社内DXの推進」・「KDDI 新働き方宣言の実現」の3つの柱で進めるとともに、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行します。

(3)グループ一体経営の推進とガバナンスの強化

・ KDDIグループの持続的な企業経営に向け、事業活動における人権尊重の徹底、リスクマネジメント体制・情報セキュリティ体制を強化し、サテライトグロース戦略推進に伴うグループ会社の増加と事業の多様化を踏まえたガバナンスを強化します。

 

 昨年7月の通信障害発生以降、通信基盤強化に向けた検証を徹底的に行うことに加え、品質・サービス向上に向けた推進体制の整備や、全社対策訓練の実施などを通じて、再発防止・品質改善に努めてまいりました。

 今後も、社会インフラを支える通信事業者として、より一層、お客さまに安心して快適にご利用いただける通信ネットワークの提供に全社を挙げて取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 「サステナビリティ経営」を根幹とし、サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化としては、社会的な重要課題であるカーボンニュートラルの実現、人財ファースト企業への変革、人権尊重や、グループガバナンス等への取り組みも推進してまいります。まず、地球規模で大きな課題となっているカーボンニュートラルについて積極的に取り組みます。KDDI単体で2030年度、グループ全体では2050年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、携帯電話基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推進していきます。また、変化の激しい事業環境の中で持続的に成長し続けていくためには、イノベーションの推進、社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠です。イノベーションの推進においては、5Gおよび Beyond 5Gの研究開発および設備投資を強化します。また、サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発・ AI・先進セキュリティ技術への取り組みを加速し、スタートアップとのコラボレーションなどパートナーシップをより深化させていきます。

 

①ガバナンス

サステナビリティ推進体制

 委員長を代表取締役社長、委員会メンバーは全事業・統括本部長、KDDI財団理事長、ならびに監査役で構成し、サステナビリティを全社経営戦略の柱として取り組んでいます。なお、サステナビリティ推進の達成度は全社重点KPIに織り込まれており、役員報酬ならびに全社員の賞与に連動します。

サステナビリティ関連のリスク及び機会はサステナビリティ委員会におけるKPIの進捗確認等を通じて管理し、同委員会から取締役会へ定期的に報告することで取締役会がそれらを監視する体制をとっています。

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マテリアリティ再選定プロセス

 当社グループは、中期経営戦略(23.3期-25.3期)の策定に伴い、次のプロセスにてサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を見直しました。

1.サステナビリティ情報開示の国際的なガイドラインであるGRI要請項目および情報通信業界に対するESG評価機関の要請事項から、重要課題を抽出

2.「長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項(縦軸)」と「事業へのインパクト(横軸)」をそれぞれ点数化し、優先順位を設定

3.社外有識者等へのヒアリングによりいただいたご意見を反映し、6つの最重要課題(マテリアリティ)を特定

4.サステナビリティ委員会および取締役会で妥当性を審議し、確定

 

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②戦略

6つの重要課題(マテリアリティ)

 長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と事業へのインパクトを軸に、中期経営戦略における課題をマッピングし集約いたしました。当社の事業変革に必要なイノベーションの推進、事業の多様化に伴う人財強化やガバナンス強化、気候変動など国際社会の課題意識の高まりに対応した点が変化点です。

 

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 当社グループの6つの重要課題(マテリアリティ)に対処するための取組(実施内容)、指標及び目標は次の

とおりです。

提供価値

サステナビリティ中期目標(23.3期-25.3期)

実施内容

指標

23.3期実績

25.3期

①未来社会の創造

サテライトグロース戦略に

基づく事業創造・研究開発

プロジェクトの推進

プロジェクト数(累計)

20件

60件

自治体さまと連携した

LXサービスの提供

LXサービス提供地域・施設数の拡大

イノベーションの推進

による知的資本の強化

5G/Beyond 5G+サテライトグロース

関連領域の保有特許件数

対前年28%増

対前年20%増

②サステナブルな

産業・インフラ環境

の実現

産業・インフラDXへの貢献

IoT回線数(累計)

3,240万回線

4,400万回線

お客さまの働き方改革を

推進

KDDIのお客さま(法人)に占める、

ゼロトラストソリューションの導入率

7%

35%

5Gエリアの拡大

5G人口カバー率

政府目標95%(24.3期)への貢献

重大事故撲滅

重大事故発生件数(設備障害)

※総務省の事故報告判断基準

ガイドライン等に準ずる

2件

0件

③地域共創の実現

地域のデバイド解消支援

支援者数(累計)

※スマホ教室、店頭サポート、使い方サポート、交通オンデマンド、地域教育支援(講義・セミナーなど)、かんたんTV電話、自治体・中堅・中小組織デバイド解消等

567万人

1,500万人

地域体験応援サービス

の構築

地域体験応援サービス

のご利用者数(累計)

金融格差の解消

決済・金融取扱高

14.3兆円

16.3兆円

④グローバルでの

地域・経済格差の解消

新興国における

グローバル事業の拡大

新興国の国民の人権を尊重し、

国民の生活に不可欠な社会インフラの維持に取り組む

モンゴルにおける

通信を活用した

教育や次世代の育成

次世代を担う13歳以下向け

通信サービス「Stars」の加入者数

(累計)

13万人

18万人

⑤カーボンニュートラルの実現

通信設備を含むKDDIの

カーボンニュートラル化

KDDIのカーボンニュートラル実現
Scope 1+2(KDDI単体)

FY2030

カーボン

ニュートラル

の達成

全世界のKDDIデータセンターの

カーボンニュートラル実現

※他社のデータセンター施設や設備を

一部借り受けてサービス提供する形態は除く

FY2026

カーボン

ニュートラル

の達成

お客さまへの

再生可能エネルギー

(再エネ)提供

法人契約に占める再エネメニュー率

22%

60%超

次世代再エネソリューションの提供

法人お客さま向けへのカーボンニュートラル支援ソリューションの提供拡大

※グリーンICT/通信、電力SL、DX-SL、コンサルティング等

⑥KDDIグループ全体の経営基盤強化

グループ全体のガバナンスと

情報セキュリティの強化

重大事故発生件数※1

・サイバーセキュリティ起因の個人情報の

漏えいおよび重大なサービスの停止

・個人情報の不適切な利用

・上記以外の重大事故

0件

0件

先進セキュリティ技術への

取り組み件数※2(累計)

7件

15件

⑦人権の尊重

人権を尊重した事業活動の実施

グループ会社を含めた事業活動における人権リスク評価の実施と

その結果に基づく改善

人権デューデリジェンス

※3

人権侵害の恐れがある

高リスク取引先の活動改善率

リスク先を

選定し、

個別対話と改善提案を開始

改善率100%

⑧多様なプロ人財の活躍とエンゲージメント向上

プロ人財育成の

ためのキャリア開発

各専門領域のプロ人財比率

(KDDI単体)

35%

※戦略領域

30%

※全領域

全社員におけるDX基礎スキル

研修修了者(KDDI単体:累計)

※習得機会はグループ会社へ拡大

6,222人

全社員

社員エンゲージメント

サーベイの実施

社員エンゲージメントスコアの

維持向上(KDDI単体)

73

※四半期ごと

(4回/年)の

サーベイ結果平均

72以上を維持

多様性を重視した人財の

活躍推進(DE&I関連)

女性取締役の構成比率

(KDDI単体)

16.6%

20%以上

女性経営基幹職の構成比率※4

(KDDI単体)

10.6%

15%以上

※1 主務官庁への報告・届け出等レピュテーションを著しく棄損する事案

※2 KDDI単体、KDDI総合研究所によるニュースリリース・トピックス件数

※3 当社グループ調達額90%および人権リスクが把握された取引先が対象

※4 受入出向者・在籍出向者ともに含まず集計

   経営基幹職:組織のリーダーならびに専門領域のエキスパート、実績値は2023年4月1日時点の比率

 

③リスク管理

KDDIのアプローチ(リスクマネジメント・内部統制の考え方)

 企業を取り巻くビジネス環境が常に変化する状況において、企業が直面するリスクも多様化・複雑化しています。当社は、経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題だと認識しています。事業を継続し社会への責任を果たしていくために、グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。

 

KDDIのリスクマネジメント・内部統制活動

 当社は、コーポレート統括本部を中核として、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社のみならずグループ会社などを含むグループ全体でのリスクマネジメント活動を推進しています。当社に44名、グループ会社各社に計44名の「内部統制責任者」を配置し、さらにそれを統括する5名の「内部統制統括責任者」を任命しており、同責任者のもと、内部統制システムの整備・運用およびリスクマネジメント活動を推進するとともに、リスクが発現しにくい企業風土を醸成するため業務品質向上活動を展開しています。

 

リスクマネジメント活動サイクル

 当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発現時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。

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リスク特定プロセス

 当社は、リスク情報を定期的に洗い出し、会社事業に重大な影響を与えるリスクを重要リスクと位置付け、これらの重要リスクの発現およびその発現した際の影響を可能な限り低減するための対応策を検討し、対策を講じています。2022年度は、経営目標を確実に達成するために、過去に顕在化した課題のほか、事業環境の変化を踏まえ、重要リスク29項目を選定し、リスクの予見、重要リスクの低減活動およびリスクアプローチによる内部監査を実施しました。情報セキュリティ活動においても、グループ全体の統一基準を制定し、グループ全体で情報セキュリティレベルの向上を推進し、情報セキュリティリスクの低減を図っています。これら重要リスクの状況については、財務影響との関係から当有価証券報告書の「事業等のリスク」にも反映しています。

 

内部統制システム構築の基本方針

 当社は、会社法第362条第5項の規定に基づき、「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議し、決議内容および運用状況を対外的に公表し、会社業務の執行の公正性、透明性および効率性を確保するとともに、企業クオリティの向上にむけて、実効性のある内部統制システムの整備を図っています。

 

内部統制報告制度(J-SOX)への対応

 2008年度から適用された金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応として、財務報告の信頼性を確保すべく、当社および国内・海外の主要なグループ子会社11社の計12社に対して、内部統制評価を実施しました。評価結果については内部統制報告書として取りまとめ、2023年6月に内閣総理大臣に提出し、投資家の皆さまに開示しています。

 

業務品質向上活動

 当社は、内部統制報告制度への対応に併せて、企業クオリティ向上の観点から内部統制部を全社の業務品質向上活動の推進事務局とし、各部門の内部統制責任者が推進役となり、業務の効率化、標準化を図りながら、業務の質を高める業務品質向上活動に取り組んでいます。この活動による業務改善案件は、全てデータベース化され、全従業員が自部門の業務品質向上活動に活用できる仕組みを整えています。また、優秀で意欲的な業務改善案件に対して表彰する制度「業務品質向上賞」を導入し、従業員一人ひとりの業務品質に対する意識・モチベーションの向上を図っています。さらに、業務品質の向上と生産性・効率性の向上を両立させる取り組みとして、RPA (Robotic Process Automation)に係るシステム環境および体制(制度・教育)を整備し、全社でのRPA導入を推進しています。

 

業務品質向上の浸透活動

• eラーニングの実施

• メールマガジンおよび社内報における役員メッセージや好事例の共有

• 表彰制度の実施(年1回)

 

④指標及び目標

上記に記載の②戦略の項目をご参照ください。

 

 

(2)人的資本・多様性

①ガバナンス

(1)に記載の「サステナビリティ全般」における①ガバナンスの項目をご参照ください。

 

戦略

「サステナビリティ経営」を根幹とし、サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。

 

[人材育成方針]

a.事業を支える組織・プロ人財の実現

グループ会社全体の持続的な成長の実現に向けて事業戦略を推進するにあたり、動的な人財ポートフォリオを用いたマネジメントにより、必要となるプロフェッショナル人財を質・量の両面でモニタリングし、充足していきます。

人財採用では、キャリア採用を促進し、新卒においても専門性深耕を目指すコースを拡充することで、プロフェッショナル人財の割合を高めていきます。入社後は、KDDI版ジョブ型人事制度により職務・スキルを明確化し、成果・挑戦・能力を評価することで、プロ人財を創り、育てていきます。特にDX領域については、全社員が基礎スキルを習得するとともに、グループ内に順次拡大していきます。また、グループ会社全体の事業戦略に合わせた公募等による異動やグループ内副業の実施により、適所適材を実行していきます。

 

[社内環境整備方針]

b.多様な人財が生き生きと働く環境の整備

一人ひとりの社員が生き生きと、エンゲージメント高く、健康に働くことがグループ会社全体の持続的成長につながると考え、データドリブンで各種施策を実行し、グループ会社全体の環境整備を図っていきます。

当社では、四半期ごとに全社でエンゲージメントサーベイを実施の上、各組織の結果を踏まえて、職場の課題や解決策について継続的に対話を行います。また、グループ会社各社では、同様の従業員満足度調査を実施しています。

DE&Iを事業戦略に活用し、多様な人財が個性や能力を発揮するための環境整備、風土醸成を継続的に行います。

また、全社員に対するカウンセラー面談とデータに基づく健康施策の実行により心身の健康面のフォローを行います。

 

リスク管理

(1)に記載の「サステナビリティ全般」における③リスク管理の項目をご参照ください。

 

指標及び目標

[人材育成方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]

a.事業を支える組織・プロ人財の実現

各専門領域のプロ人財比率、DX基礎スキル研修修了者の各指標の目標及び実績は、(1)に記載の「サス

テナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。DX基礎スキル研修修了者については、KDDI単

体全社員が習得するとともに、グループ会社へ順次拡大しています。

 

 

[社内環境整備方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]

b.多様な人財が生き生きと働く環境の整備

社員エンゲージメントスコア、女性取締役の構成比率、女性経営基幹職の構成比率の各指標の目標及び実績は、(1)に記載の「サステナビリティ全般」における②戦略の項目をご参照ください。社員エンゲージメントスコアについては、同様の従業員満足度調査をグループ会社へ順次拡大しています。

 

 

(3)気候変動

気候変動については、TCFDフレームワークに準拠して記載しております。

 

①ガバナンス

当社は、事業を通じた社会課題の解決(SDGs)・社会貢献・気候変動対策などのサステナビリティ(持続可能性)に関する課題を審議する機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役会の主要メンバー等で構成するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、当社における気候変動に関する重要な課題や取り組みについて確認および議論を行い、リスクと機会に関する監視、監督を行うとともに報告事項などの承認を行う責任を担っています。上期には「前年度目標達成状況の確認」と「目標未達の場合はその要因分析と対策確認」、下期には「当年度目標進捗状況の確認」と「次年度目標の設定」を行います。また、取締役会は四半期ごとに気候変動に関するサステナビリティ委員会からの報告を受け、重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。

 

②戦略

当社は、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDI Sustainable Action」を2020年5月に発表し、その中で地球環境の保全を社会課題の一つとして考え、エネルギー効率の向上と2050年までにCO2排出量実質ゼロの達成を目指すことを公表しました。具体的には、COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する2℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が2℃未満)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析を行いました。その結果、2017年3月に策定したKDDI環境保全計画「KDDI GREEN PLAN 2017-2030」を「KDDI GREEN PLAN 2030」に改称し、「KDDI環境憲章」のもと、「気候変動対策」「循環型社会の形成」「生物多様性保全」を推進し、地球環境保全により一層貢献することを発表しました。

さらに2022年4月、より積極的なカーボンニュートラルの実現に向けた検討を行った結果、従来の目標を20年前倒しし、2030年度までに自社の事業活動におけるCO2排出量実質ゼロ実現を目指すことを発表しました。

 

シナリオ分析結果

・急速に脱炭素社会が実現する2℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃未満とする目標が達成される未来)

参照:IEA(International Energy Agency)World Energy Outlook 2018 Sustainable

Development Scenario(SDS)、IEA Energy Technology Perspectives 2017 Beyond 2℃ Scenario(B2DS)、ETP(Energy Technology Perspectives)2017、2020

移行リスク分析

KDDIとしてのリスク内容

KDDIの対応

政策・

法規制

炭素税

炭素税課税リスク※1

化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画中

都条例
排出規制

削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク

第三計画期間の削減未達見込み排出量(約5万t-CO2)への対応として、第二計画期間排出権を購入

消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入

基地局におけるAI技術や各種設備における省エネ化新技術の開発、CCUS※2開発等のコスト増加リスク

各種技術開発への投資

市場・評判

KDDI GREEN PLAN 2030目標未達や再生可能エネルギー化の取り組み遅れによるKDDI企業評価低下および加入者減のリスク

化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画中

※1 2030年度のCO2排出量見込みは約50万t-CO2 のため、炭素税7,700円/t-CO2の場合、年間約38.5億円の課税を想定

※2 Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO2回収・貯留技術)

 

 

・気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)

物理的リスク分析

KDDIとしてのリスク内容

KDDIの対応

急性

(台風や洪水等の)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇

迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費等のコスト増加リスク

BCP※3の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え

慢性

平均気温上昇

お客さまからお預かりしたサーバを冷却するための、KDDIデータセンターの空調電力使用量の増加リスク

高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換

3 Business Continuity Plan(事業継続計画)

参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書

 

③リスク管理

当社グループのリスク管理を主管するコーポレート統括本部は、気候変動を含め、当社の財務上および経営戦略上、重大な影響を及ぼすすべての事業部門のリスクの抽出を年2回、半期ごとに実施しています。抽出されたリスクの中で、気候変動に関するリスクについては、環境ISOの仕組みを活用し、環境マネジメントシステム(EMS)のアプローチで管理しています。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定し、四半期ごとに進捗評価を行います。進捗評価で指摘された改善内容については、サステナビリティ委員会傘下の部会であるカーボンニュートラル部会で報告され、全社・全部門に関係するリスクと機会については、サステナビリティ委員会で議論のうえ承認されます。

 

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④指標及び目標

当社は、2012年度よりKDDI単体、2021年度より当社グループの温室効果ガス排出量を算出し環境負荷の定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。以下の指標と目標を掲げ、今後も温室効果ガス排出削減にむけ活動を進めていきます。

 

CO2排出量

2022年度(推定値、連結)

目標

Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)

90,920 t-CO2

単体で2030年度、連結で2050年度のカーボンニュートラル達成

Scope2(他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計値

1,307,873 t-CO2

最新情報は、9月以降に公表予定のサステナビリティ統合レポート2023における温室効果ガスScope1+2の排出量(実績)に関する記載をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

また、現時点では必ずしもリスクとして認識されない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

当社は、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社のみならず子会社などを含むグループ全体でのリスクマネジメントの推進に取り組んでいます。当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発見時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。当社は、これらのリスクによる問題発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適時適切な対応に努める所存であります。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意ください。

 

(1)他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化

新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。当社は生活者の新たなライフスタイルをサポートし、経済発展と社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造に向けた取り組みを推進します。

なお、他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化により、主に以下の事項に不確実性が存在し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの期待通りの需要が存在するかどうか

・当社グループの期待通りに契約数を維持拡大できるかどうか

・人口減少、高齢化に伴い期待通りの収入をあげられるかどうか

・新規事業への参入等により期待通りの収入をあげられるかどうか

・競争激化に伴う料金値下げによる通信料収入の低下、販売コミッションやお客さま維持コストの増大

・契約者のサービス利用頻度が下がることによる通信料収入の低下

・不測の事態が発生した場合であってもネットワーク及びコンテンツの品質等がお客さまの満足度を維持できるかどうか

・他の事業者と比較して、常により魅力のある端末やコンテンツ等の商品、サービスを提供できるかどうか

・物販事業拡大に伴う商品不具合への対応

・端末の高機能化等に伴う端末価格の上昇販売コミッションの増加

・迷惑メール、主にスマートフォンのセキュリティ脆弱性がもたらす脅威によるお客さま満足度の低下や防止対応コストの増加

・新周波数対応による基地局建設やデータトラフィック急増に伴うネットワークコストの増加

・当社の必要に応じた周波数を獲得できるかどうか

・新たな高速データ無線技術による競争激化

・通信方式、端末、ネットワーク、ソフトウェア等における特定技術への依存による影響

・無料通話アプリ等の拡大に伴う音声通話料収入の縮小

・他の電気通信事業者との接続料金値上げの可能性

・異業種との提携、通信と電力等のその他商品とのセット販売、MNO、MVNO事業者の新規参入、他事業者の事業領域の拡大等の事業環境の変化に伴う競争の激化

・金融事業における競争において期待通りの収入を上げられるかどうか

・金融事業の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により、不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じることによる貸倒引当金の追加計上

・燃料高騰等による通信設備コストの増加及びエネルギー事業における電力調達コストの増加

 

(2)通信の秘密及び顧客情報の不適切な取り扱いや流出、及び、当社の提供する製品・サービスの不適切な利用等

近年、第三者によるサイバー攻撃等によって、重要な機密情報が外部流出する事故やサービス不正利用が世界的に発生しており、大きな社会問題となっています。地政学的な緊張の高まりを背景に、政府ではサイバーセキュリティ対策に向けた法整備も進められております。

当社は電気通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、取り扱う情報資産の保護、管理に関して、情報セキュリティ委員会を設置し、内部からの情報漏洩防止及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定及びGDPR等グローバル法制度の対応を実施しております。

「KDDI行動指針」の制定、「KDDIセキュリティポリシー」及び「KDDIプライバシーポリシー」の制定、企業倫理委員会の設置等、KDDIグループとしてコンプライアンス体制を確立し、顧客情報を管理している顧客情報システムの利用権限の管理、利用監視の強化、アクセスログの保存、社内データの持ち出しや業務パソコンから外部メモリーへのコピーの禁止等、技術的、組織的、人的の観点から各種安全管理措置を強化しております。

これらの啓発活動として、当社全社員に対しては継続的に通信の秘密及び顧客情報の保護に関する教育を行い、また、業務委託先、特に販売店であるauショップに対しても、店舗業務の改善、定期的な監査、並びに教育を徹底し、管理強化を図っております。さらに、適正な顧客情報の取り扱いを行うために、社内組織の整備、第三者による評価の実施、サービス導入前のプライバシー影響評価(PIA)の導入等の対応を実施しております。

また、サイバー攻撃による事業影響の回避や低減に向け、事業を担うシステムが守るべきセキュリティ対策の基準をセキュリティ規程として定め、規程への準拠状況を審査しています。本審査を、システムの企画から開発への移行フェーズにおいて厳格に実施することで、企画・設計段階からセキュリティ対策を考慮した「セキュリティバイデザイン」を実現するだけでなく、AI技術を活用した監視機能を導入することによりシステムのセキュリティを強化し、安心・安全なサービスの提供に努めています。

更に、KDDIでは、フィッシング詐欺を検知し関連機関と連携することで偽サイトによる被害の拡大抑止を図るとともに、サービスにおける認証等の不備を発生させないことを目的として、サービスセキュリティに特化したKDDI-SSIRT (Service Security Incident Readiness & response Team) を設置し、被害の未然防止の取組みを推進しています。

フィッシング詐欺の手口は日々巧妙化しているため、継続的に各サービスのプロアクティブなセキュリティ強化を進めると共に、新たな脅威への対策にも取り組んでいきます。

これらの取り組みにもかかわらず、従業員の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃等により、通信の秘密及び顧客情報の漏洩、サービス停止・サービス品質低下した場合、もしくは、当社の提供する製品・サービスが不適切に利用された場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護、サイバー攻撃防護体制の整備のため、更なるコストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)通信障害・自然災害・事故等

当社グループは音声通信、データ通信等のサービスを提供するために、国内外の通信ネットワークシステム及び通信機器等に依存しております。ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、大規模な誤請求・誤課金、販売代理店の閉鎖や物流の停止に伴う商品・サービスの提供機会損失、SNSなどの媒体を通じた風評被害等が発生した場合も同様の影響が生じる可能性があります。

当社グループは通信障害・自然災害・事故等によるサービスの停止、中断等のリスクを可能な限り低減するため、ネットワークの信頼性向上とサービス停止の防止対策に取り組んでおります。具体的には災害時においても通信サービスを確保できるよう、防災業務実施の方針を定め、災害に備えた対策を図り、国内外の関係機関と密接な連絡調整を行っています。災害が発生した場合には、各社組織の各機能を最大限に発揮して24時間365日、通信の疎通確保と施設の早期復旧に努めております。

 

当社連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.は、ミャンマー運輸通信省傘下組織であるミャンマー国営郵便・電気通信事業体の通信事業運営のサポートを行っておりますが、2021年2月に発生した政変によって事業活動が制限されるなどした場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

ウクライナ情勢等について、現時点における当社グループへの影響は軽微と考えておりますが、先行きが不透明な状況にあり、今後の内外経済に与える影響等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の影響による当社グループの業績への影響は現時点で軽微と考えておりますが、今後の感染拡大の状況によっては当社グループの事業活動及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループのサービスの提供が停止する主な事由として以下のものが考えられます。

・地震及び津波、台風、洪水等の自然災害やそれに伴う有害物質の飛散等の2次災害

・感染症の世界的流行(パンデミック)

・戦争、テロ、事故その他不測の事態

・電力不足、停電

・コンピューターウィルス、サイバー攻撃、ハッキング

・オペレーションシステムのハード、ソフトの不具合

・通信機器等の製品やサービスに係る欠陥

 

(4)電気通信事業等に関する法規制、政策決定等

電気通信事業をはじめ、電気事業や金融事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定等が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのブランドイメージや信頼性に影響を与える社会的問題を含め、こうした法規制や政策決定等に対して当社グループは適切に対応していると考えておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後の競争政策の在り方について、総務省等における様々な審議会や研究会、意見募集等を通じて、他の電気通信事業者等との公正競争を有効に機能させるための措置の必要性を訴えておりますが、この取り組みに関わらず結果として当社の競争優位性が相対的に損なわれた場合にも、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

電気通信事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定や当社グループの競争優位性等の観点で、以下の電気通信事業をはじめ、電気事業や金融事業等の政策決定等に限らず、不確実性が存在しています。

・事業者間接続料金の算定方式、会計制度の見直し

・指定電気通信設備制度、禁止行為規制の見直し

・ユニバーサルサービス制度の見直し

・MNO、MVNO等による移動通信事業への新規事業者参入

・周波数割り当て制度の見直し

・電波利用料制度の見直し

・電波の健康への影響に関する規制

・NTT東・西の固定電話網のIP網への移行に関するルール

・NTTグループの事業の在り方に関する規制

・独占禁止法及びそれに関するルール

・消費者保護に関するルール

・有害サイト等の増加等によるインターネットに関するルール

・インターネットのサービス品質計測及び広告表示に関するルール

・電話リレーサービス制度の見直し

・電気小売に関するルール

・金融事業に関するルール

・データの管理・利活用に関するルール

・プラットフォーマーに関する規制

・経済安全保障の確保に関するルール

 

(5)公的規制

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、さまざまな政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止法、特許、消費者、租税、為替、環境、労働、金融、電力等の法規制の適用を受けております。当社グループはこれらの法規制に係る情報を早期に収集し、必要な手続・対応を行っております。なお、これらの規制が強化された場合や当社グループ及び業務委託先等において規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。

 

(6)訴訟・特許

当社グループは、国内外で事業活動を行っており、その遂行に当たっては、各国の法令その他社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行っております。また、保有する商品、技術またはサービスに係る知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めています。なお、予期せぬ知的財産権を含む各種権利等の侵害を理由とする訴訟が提訴され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)人材の確保・育成・労務管理

当社グループは、技術革新に即応すべく全社をあげて人材育成、キャリア形成の支援に注力しておりますが、期待通りの効果が出るまで一定の期間を要することがあり、将来的に人材投資コストが増加する可能性があります。また、当社グループは法令に基づき適正な労務管理、働き方改革の推進に努めております。なお、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)退職給付関係

当社グループは、確定給付企業年金制度(基金型)、退職一時金制度(社内積立)ならびに確定拠出年金制度を設けております。定期的に退職給付債務の将来予測に基づく資産運用方針、運用機関の見直しを行っております。なお、今後当社グループの年金資産の運用利回り低下により年金資産の時価が下落した場合、または、退職給付債務を計算する上での前提条件(割引率、人員構成、昇給率等)が大幅に変更になった場合に損失が発生する可能性があります。

 

(9)減損会計

当社グループは、IFRSに準拠して資産の減損の兆候の判定や減損テスト等を行い適切な処理を行っております。将来において事業状況が悪化した場合、回収可能価額の低下により、保有するのれんを含む資産の減損損失が発生する可能性があります。

 

(10)電気通信業界の再編及び当社グループの事業再編

当社グループは、市場環境の変化に対して、事業戦略の着実な推進や必要に応じて事業再編を行っておりますが、国内外の電気通信業界の再編が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

業界動向と当社の状況

当社は、昨年7月の通信障害発生以降、通信基盤強化に向けた検証を徹底的に行うことに加え、品質・サービス向上に向けた推進体制の整備や、全社対策訓練の実施などを通じて、再発防止・品質改善に努めてまいりました。

今後も、社会インフラを支える通信事業者として、より一層、お客さまに安心して快適にご利用いただける通信ネットワークの提供に全社を挙げて取り組んでまいります。

 

 

新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。

 

当社は昨年5月、事業環境の変化に対応しながら「ありたい未来社会」を実現するため、「KDDI VISION 2030:「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げ、長期的な視点で社会課題とKDDIグループの経営の重要度を総合的に網羅した新重要課題(マテリアリティ)を策定しました。

 

加えて、同時に発表した「中期経営戦略(2022-24年度)」では、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指す「サステナビリティ経営」を根幹に据えました。5Gの特性を活かすことにより「つなぐチカラ」を進化させ、あらゆるシーンに通信が「溶け込む」ことで、新たな価値が生まれる時代を目指します。また、こうした5Gによる通信事業の進化と通信を核とした注力領域の拡大を図り、さらにそれらを支える経営基盤を強化します。

 

具体的には①DX(デジタルトランスフォーメーション)②金融 ③エネルギー ④LX(ライフトランスフォーメーション)⑤地域共創(CATV等)からなる5つの注力領域を中心とした「サテライトグロース戦略」を推進していきます。特にDXでは、通信がIoTという形であらゆるモノ(車、工業設備、各種メーターなど)に溶け込み、お客さまが意識することなく5Gを活用できる環境を整備するとともに、さまざまな業界ごとの個別ニーズに応じたビジネスプラットフォームを提供し、お客さまのビジネス創造をサポートしていきます。その中で新たに生まれた付加価値によって、人々の暮らしがトランスフォームされていくようなDXの好循環を目指します。

 

また当社は、地球規模で大きな課題となっているカーボンニュートラルをはじめとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組みます。KDDI単体で2030年度、グループ全体では2050年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、携帯電話基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推進していきます。なお、KDDIグループは昨年2月、国際的な気候変動イニシアチブ「SBTi(Science Based Targets initiative)」によるSBT認定を取得しました。2021年4月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しています。

従来、財務領域と非財務領域を掲載していた「統合レポート」と、サステナビリティに関する情報を主に掲載していた「サステナビリティレポート」を合冊し、昨年10月には「サステナビリティ統合レポート2022」を発行しました。

 

さらに、変化の激しい事業環境の中で持続的に成長し続けていくためには、イノベーションの推進、社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠であり、イノベーションの推進においては、5G及びBeyond 5Gの研究開発、設備投資を強化していきます。また、サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発・AI・先進セキュリティ技術への取組みを加速し、スタートアップとのコラボレーションなどパートナーシップをより深化させていきます。加えて、「人財ファースト企業」への変革については、「KDDI版ジョブ型人事制度」「社内DXの推進」「KDDI 新働き方宣言の実現」の3つの柱で推し進め、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行していきます。

当社では創業以来、経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として「KDDIフィロソフィ」の浸透と実践を図ってきました。こうした企業姿勢と、人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。

 

連結業績

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

比較増減

 

増減率(%)

 

 

売上高

 

5,446,708

5,630,024

183,316

3.4

 

 

売上原価

 

2,984,589

3,227,717

243,128

8.1

 

売上総利益

 

2,462,119

2,402,307

△59,812

△2.4

 

 

販売費及び一般管理費

 

1,422,539

1,427,437

4,898

0.3

 

 

その他の損益(△損失)

 

15,221

65,907

50,686

333.0

 

 

持分法による投資利益

 

5,791

4,569

△1,223

△21.1

 

営業利益

 

1,060,592

1,045,346

△15,246

△1.4

 

 

金融損益(△損失)

 

2,457

1,517

△940

△38.3

 

 

その他の営業外損益(△損失)

 

1,448

612

△836

△57.7

 

税引前当期利益

 

1,064,497

1,047,475

△17,022

△1.6

 

 

法人所得税費用

 

331,957

336,803

4,846

1.5

 

当期利益

 

732,540

710,672

△21,867

△3.0

 

 

親会社の所有者

 

672,486

649,747

△22,739

△3.4

 

 

非支配持分

 

60,054

60,926

872

1.5

当期の売上高は、前期と比較し、エネルギー事業収入や金融事業収入の増加等により、5,630,024百万円3.4%増)となりました。

営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等があったものの、燃料高騰、減損損失及び通信障害による影響により1,045,346百万円1.4%減)となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、649,747百万円3.4%減)となりました。

当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進及び経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、当期における業績においては重要な影響を与えておりません。

 

b.セグメント別の状況

パーソナルセグメント

パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。

 

日本国内においては、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心に、金融、エネルギー、LXなどの各種サービスを連携し拡充することで、新たな付加価値・体験価値の提供を目指しています。

また、過疎化・高齢化などによる地域社会が抱える課題に向き合い、地域のパートナーとともに、デジタルデバイド解消とサステナブルな地域共創の実現を目指しています。

 

一方、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーとモンゴルの個人のお客さま向けに、通信サービス、金融サービス及び映像等のエンターテインメントサービスの提供にも積極的に取り組んでいます。

 

<当期のトピックス>

 

●お客さま一人ひとりのニーズに合った料金を自由にお選びいただけるよう、ブランドスローガンの異なる3つのブランドを5Gにも対応して提供しています。「おもしろいほうの未来へ。」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「君にピッタリの自由へ、一緒に。」の「povo」のマルチブランドで、ブランドごとの特長を生かした取組みを進めています。

auでは、データ使い放題(※1)の料金プラン「使い放題MAX 5G」をはじめ、人気の動画サービスがセットになった「使い放題MAX 5G Netflixパック(P)」など、5Gの高速・大容量通信を生かした、auならではの5Gサービスを提供しています。また、本年2月より、データ通信をあまり使われないお客さま向けに、ご利用のデータ容量に応じた月額料金が自動的に適用される「スマホミニプラン」の提供を開始しました。そのほか、スマートフォンを初めてご利用になるお客さま向けには、月間データ容量が20GBの「スマホスタートプラン」と4GBの「スマホスタートプランライト」の提供を新たに開始するなど、お客さま一人ひとりのライフスタイルにあわせたご利用を提案しています。

UQ mobileでは、余ったデータ容量を繰り越しできるお得なプランを月額990円(税込)から提供するなど、お一人でもご家族でもお得にご利用いただける料金プランを提供しています。また、本年2月からオプションサービスの「安心セキュリティセット」を提供開始し、より安心・安全にスマートフォンをご利用いただけるよう取り組んでいます。

オンライン専用ブランド「povo」では、お客さまのご利用形態に合わせて選べる通常ラインアップのトッピングに加え、多様な使い方ができる期間限定のおトクなトッピングや、対象店舗やサービスのご利用でデータ容量を貯めることができる「#ギガ活」などを提供しています。また、本年3月からご自宅に眠っているスマートフォンをデータ容量に交換する買い取りサービス「スマホギガトレード」を開始するなど、さまざまなご利用スタイルを提案しています。

 

●サテライトグロース戦略の中核を担う通信の基盤となるエリア構築では、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をスローガンに、より多くのお客さまに5Gを快適にご利用いただけるよう、生活動線を重視し、主要な鉄道路線や商業地域などの5Gエリア化を進めています。

衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」をau通信網のバックホール回線として利用することにより、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や島しょ地域など全国約1,200カ所へ基地局の展開を進めていきます。さらに今後、「Starlink」を利用した車載型基地局と可搬型基地局を全国に順次導入し、地震や台風などによる自然災害が発生した際、通信の圏外地域に本基地局を展開することで、迅速な通信の復旧の実現を目指していきます。

また、本年3月から、ソフトバンク株式会社と連携しauまたはUQ mobile回線の通信がつながりにくい時にも通信サービスをご利用いただける「副回線サービス」の提供を開始しました。「副回線サービス」は他社で別途回線を申し込みいただく手間なく、ワンストップの簡易なお手続きでお申し込みいただけます。

 

●ポイント・決済領域では、「たぬきの吉日」として、毎月5のつく日(5日・15日・25日)と8日に、auまたはUQ mobileのお客さま向けに、対象加盟店でau PAYのポイント還元率が最大5%(※2)となる特典を提供しています。auスマートパスプレミアムにおいても、au PAYで使える「毎月毎週もらえるクーポン」を提供し、今後も日常がもっと楽しくなるおトクなサービスで、お客さまとの接点を強化していきます。

また、本年1月から、環境省が推進する「グリーンライフ・ポイント」事業に参画しており、環境に配慮した取組みを行っているau PAY加盟店でのお買い物や、フードロスの削減に貢献するau PAY マーケットでのお買い物などに対するポイント還元を通じ、お客さまとともに環境に優しいライフスタイルを目指していきます。

 

●金融事業では、昨年8月にau PAY カードの会員数が800万人に、昨年12月にはauじぶん銀行の預金口座数が500万口座に到達しました。本年2月には、月額保険料の1%相当のPontaポイントを還元する「auの生命ほけん」を開始するなど、金融サービスの更なる魅力向上を図っていきます。

また、エネルギー事業では、本年1月にauリニューアブルエナジー企画株式会社(現:auリニューアブルエナジー株式会社)を設立し、「カーボンニュートラルの実現」に貢献するため、再生可能エネルギー発電の事業化を目指し取り組んでいます。さらに同月、auエネルギー&ライフ株式会社では太陽光パネル所有の家庭向けに「auでんき 太陽光電力買取サービス」を提供開始するなど、再生可能エネルギーの普及促進の取組みも進めています。

 

●LXでは、本年3月から、現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス「αU(アルファユー)」の提供を開始しています。「もう、ひとつの世界。」のコンセプトのもと、αUを冠として、メタバースでエンタメ体験や友人との会話を楽しめるαU metaverse、デジタルアート作品などのNFTを購入できるαU market、NFTや暗号資産を管理できるαU walletを商用サービスとして提供するほか、360度自由視点の高精細な音楽ライブを楽しめるαU live、実店舗と連動したバーチャル店舗でショッピングができるαU placeなど、メタバース・Web3でのお客様体験を拡張しています。

 

●ミャンマーでは(※3)、今後も、現地情勢を注視しつつ、関係者の安全確保を念頭に、生活に不可欠な通信サービスの維持に努めていきます。

また、モンゴルでは、連結子会社であるMobicom Corporation LLCが、他者に先駆ける形で本年2月にインターネット上での契約手続きが可能となるポストペイドプラン「hyper」の提供を開始しました。今後はショップがない地域でもモビコム公式アプリで手続きが出来ることとなり、地域格差の解消に貢献しています。引き続き、同国第1位の通信事業者として、同国の経済発展と国民生活の充実に寄与していきます。

 

※1 データ使い放題のスマートフォン料金プランの場合も、テザリング・データシェア・国際ローミング通信 (世界データ定額) には、データ容量の上限があります。大量のデータ通信のご利用時、混雑時間帯の通信速度を制限する場合があります。動画などの視聴時には通信速度を制限します。

※2 ベースポイント還元0.5%と合わせ、auのお客さまは最大5%還元、UQ mobileのお客さまは最大3%還元となります。本特典は毎月エントリーをしていただいたお客さまが対象となります。

※3 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っています。

 

 

パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。

 

業 績

 

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

比較増減

 

増減率

(%)

売上高

4,669,208

4,791,830

122,622

2.6

営業利益

867,092

849,905

△17,187

△2.0

 

当期の売上高は、前期と比較し、エネルギー事業収入や金融事業収入の増加等により、4,791,830百万円2.6%増)となりました。

営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等があったものの、燃料高騰、減損損失及び通信障害による影響により849,905百万円2.0%減)となりました。

 

 

ビジネスセグメント

ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク、クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。

 

さらに、当社は、「中期経営戦略(2022-24年度)」において、5Gによる通信事業の進化と、通信を核とした注力領域の事業拡大を図る「サテライトグロース戦略」を発表しました。ビジネスセグメントでは、5G通信を中心としてIoTやDXなど、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションを、パートナー企業との連携によってグローバルにワンストップで提供していきます。

 

また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。

 

<当期のトピックス>

●当社のIoT累計回線数は、昨年12月に当社単独で3,000万回線を突破するなど順調に拡大しており、国内ではトップシェアとなっています。とりわけ社会インフラ(コネクティッドカーや電力、ガス、スマートメーター等)とグローバルの領域で大きく伸長しており、このような重要インフラでのIoTの活用について、約20年にわたる豊富な運用実績と保守管理体制を有していることが強みです。中期的には2025年度内に4,400万回線の到達を目指しており、通信その他の社会インフラ・つながるクルマに対して革新的なソリューションを提供することで、サステナブルな産業・インフラ環境の実現に貢献していきます。

海外においては、ローカライズとグローバル標準の最適な組み合わせにより、支援範囲はコネクティッドカーに留まらず、お客さまの海外拠点のDXや、幅広い産業へのプラットフォーム提供など、大きな拡がりを見せています。

今後、新たな付加価値をさらに生み出していくために、さまざまな業界ごとのプラットフォームを提供し、お客さま企業のDXを加速していきます。

 

●当社は、企業のDX支援を強化するため、昨年5月に中間持株会社であるKDDI Digital Divergence Holdings株式会社(以下「KDH」)を設立しました。KDHはDX推進に必須となるケイパビリティを持つ事業会社をグループに有しており、今後さらにM&Aや業務提携などの実施も検討し、お客さま支援体制を強化していきます。

また、昨年6月には三井物産株式会社と共同で、AI・人流分析で都市DXを推進する株式会社GEOTRA(以下「GEOTRA」)を設立しました。GEOTRAではAIやau位置情報を活用して、人々の移動手段・時間・目的などを把握・予測可能とするプラットフォーム・分析サービス「GEOTRA Activity Data」の提供を開始しており、スマートシティ開発などに関わる企業や自治体など、さまざまな事業者の企画・政策に関する意思決定高度化への貢献を目指します。

 

●KDDIスマートドローン株式会社(以下「KDDIスマートドローン」)と、株式会社補修技術設計(以下「補修技術設計」)は、昨年6月にドローンを活用した橋梁点検サービスの提供を開始しました。現在、日本にある約73万橋(橋長2m以上)の橋梁のうち、2025年には約42%(約30万橋)が建設後50年を迎え、橋梁の老朽化対策が急務となる一方、近年では事業者の人手不足などが課題となっています。また、道路における橋長2m以上の橋梁である道路橋の点検は5年に1回の頻度での近接目視点検を基本とすることが定められていますが、2019年3月からはドローンで撮影した映像での点検も認められるようになりました。

本サービスは、KDDIスマートドローンがこれまで培ったドローンの運用ノウハウに加え、補修技術設計が長年取り組んできた社会基盤構築物(橋梁、トンネル、上下水道など)の補修・補強分野における工事サポートや、調査・補修設計技術のノウハウを組み合わせたものとなります。ドローンを遠隔自律飛行させ、一度のフライトで点検作業を行うことや、橋梁撮影画像の3Dモデリングにより老朽化インフラの補修箇所をAIで瞬時に判定し、橋梁の損傷個所などを細部まで確認することが可能となる本サービスを通じて、事業者の作業効率化に加え、日本の橋梁の安全性の確保に貢献していきます。

 

●当社の欧州現地法人であるTelehouse International Europeは、昨年3月に英国ロンドン市内のTELEHOUSEで5棟目となるCO2排出量実質ゼロのデータセンター「TELEHOUSE South」を開業しました。当データセンターは接続性、拡張性、セキュリティを求めるお客さまのニーズに対応していることから、英国最大手の通信事業者やISPなど、合計900社以上が接続している世界有数のインターコネクションデータセンターで、風力、太陽光、バイオマス、水力発電から調達した再生可能エネルギー100%で運営しています。昨年4月には、この「TELEHOUSE South」を含め、TELEHOUSEブランドで展開している全世界のデータセンターについて、2026年度までにCO2排出量実質ゼロ実現を目指すことを発表しました。

当社は30年以上にわたって世界10カ国以上において「TELEHOUSE」ブランドでデータセンター事業を展開してきた実績があり、ビジネスセグメントにおける成長分野と位置付けています。2023年度には、バンコク、パリ、フランクフルトにも新棟の開業を予定しており、拠点数は合計47拠点となります。今後も最新設備とコネクティビティを生かしたデータセンター事業で、お客さまのビジネス成長をサポートしていくとともに、グローバルで高品質なデータセンターを展開するTELEHOUSEの経験を生かし、データセンター事業のさらなる拡大を図っていきます。

 

当社は、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただくことを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。

 

 

ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。

 

業 績

 

 

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

2023年3月期

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

比較増減

 

増減率

(%)

売上高

1,042,120

1,108,807

66,687

6.4

営業利益

187,072

190,808

3,736

2.0

当期の売上高は、前期と比較し、コーポレートDX・ビジネスDX・事業基盤サービスで構成されるNEXTコア事業の成長によるソリューション収入の増加等により、1,108,807百万円(6.4%増)となりました。

営業利益は、前期と比較し、燃料高騰及び通信障害による影響はあったものの、売上高の増加等により、190,808百万円(2.0%増)となりました。

 

 

c. 財政状態の状況

 

2022年3月期

2023年3月期

比較増減

資産合計(百万円)

11,084,379

11,849,715

765,336

負債合計(百万円)

5,573,715

6,249,357

675,642

資本合計(百万円)

5,510,663

5,600,358

89,695

親会社の所有者に帰属する持分(百万円)

4,982,586

5,057,987

75,401

親会社所有者帰属持分比率(%)

45.0

42.7

△2.3

1株当たり親会社所有者帰属持分(円)

2,249.27

2,344.79

95.51

有利子負債残高(百万円)

1,600,104

1,651,437

51,332

 

(資産)

資産は、現金及び現金同等物等が減少したものの、金融事業の貸出金、営業債権及びその他の債権等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、765,336百万円増加し、11,849,715百万円となりました。

 

(負債)

負債は、コールマネー等が減少したものの、金融事業の預金、債券貸借取引受入担保金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、675,642百万円増加し、6,249,357百万円となりました。

 

(資本)

資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、5,600,358百万円となりました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の45.0%から42.7%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期

2023年3月期

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,468,648

1,078,869

△389,780

投資活動によるキャッシュ・フロー

△761,593

△732,480

29,112

フリー・キャッシュ・フロー ※

707,056

346,389

△360,667

財務活動によるキャッシュ・フロー

△727,257

△669,837

57,420

現金及び現金同等物に係る換算差額

7,012

7,087

74

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△13,189

△316,361

△303,172

現金及び現金同等物の期首残高

809,802

796,613

△13,189

現金及び現金同等物の期末残高

796,613

480,252

△316,361

※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、金融事業の貸出金の増加幅が大きくなったこと等により、389,780百万円減少し、1,078,869百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、金融事業の有価証券の売却または償還による収入の増加等により、29,112百万円減少し、732,480百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、社債発行及び長期借入による収入の増加等により、57,420百万円減少し、669,837百万円の支出となりました。

また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により7,087百万円増加した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、316,361百万円減少し、480,252百万円となりました。

 

③ 営業実績

 当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

パーソナル

4,791,830

2.6

ビジネス

1,108,807

6.4

その他

89,465

4.7

セグメント間の内部売上高

△360,077

 合計

5,630,024

3.4

(注)金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。

 

 前連結会計年度末においては、新型コロナウイルス感染症による影響は、少なくとも2022年度を通して影響を及ぼすとの仮定をおいておりました。当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症による翌連結会計年度以降の影響は軽微との仮定を置いて、会計上の見積りを行っております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 前期と比較し、エネルギー事業収入や金融事業収入の増加等により、5,630,024百万円3.4%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 24.売上高」をご参照ください。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

前期と比較し、エネルギー事業原価や通信設備使用料及び賃借料の増加等により4,655,154百万円5.6%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.費用の性質別内訳」をご参照ください。

 

(その他の収益及びその他の費用)

 補助金収入等55,392百万円、賠償金等2,366百万円の計上等により65,907百万円の利益(333.0%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。

 

(持分法による投資利益)

 持分法適用関連会社のauカブコム証券株式会社における投資利益の減少等により、4,569百万円(21.1%減)となりました。

 

(営業利益)

 以上の結果、営業利益は1,045,346百万円1.4%減)となりました。なお、営業利益率は、18.6%0.9ポイント減)となりました。

 

(金融収益及び金融費用)

 受取配当金7,910百万円、支払利息7,142百万円の計上等により、1,517百万円の利益(38.3%減)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.金融収益及び金融費用」をご参照ください。

 

(その他の営業外損益)

 負ののれん発生益584百万円の計上等により、612百万円(57.7%減)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.その他の営業外損益」をご参照ください。

(法人所得税費用)

 将来減算一時差異の解消の増加等の影響により336,803百万円1.5%増)となりました。なお、2023年3月期の法人税等負担率は32.2%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。

 

(非支配持分に帰属する当期利益)

 主にauフィナンシャルホールディングス株式会社の利益増加等の影響により、60,926百万円(1.5%増)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は649,747百万円3.4%減)となりました。

 

 なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。また金融事業については、資金調達やリスクアセットの削減を目標として、債権流動化を行っております。

なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,651,437百万円、現金及び現金同等物の残高は480,252百万円となっております。

流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記31.金融商品」に記載しております。

 

c.経営上の財務目標の達成状況について

当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営戦略(2022-24年度)を策定しております。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。

当連結会計年度においては、通信障害や燃料価格高騰等、事業を取巻く環境が激しく変化しましたが、5Gによる通信事業の進化と、通信を核とした注力領域を拡大していくことで、事業戦略の中核となる「5Gを中核に据えた事業変革の推進」を進めたことにより、過去最高益を更新するとともに、配当性向40%超を達成いたしました。

今後もサテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 

株式会社KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズ株式会社の経営統合について

当社と三井物産株式会社(以下「三井物産」)は2023年1月13日に、当社の完全子会社である株式会社KDDIエボルバ(以下「KDDIエボルバ」)と、三井物産の持分法適用会社であるりらいあコミュニケーションズ株式会社(以下「りらいあ」)の対等な精神に基づく経営統合(以下「本経営統合」)に関する取引基本契約書及び、本経営統合後の統合会社(以下「本統合会社」)の運営などに関する株主間契約書を締結しました。(注1)

 

本経営統合の概要

①三井物産は2023年1月6日に、Otemachi Holdings合同会社を設立しました。Otemachi Holdings合同会社は、本経営統合を実現するためにりらいあの普通株式の全て(注2)を対象とした公開買付け(以下「本公開買付け」)を2023年5月30日に開始しました。

 

②本公開買付けが成立したものの、りらいあの普通株式の全て(注2)が取得されなかった場合には、本公開買付けの成立後、Otemachi Holdings合同会社と三井物産がりらいあの普通株式の全て(注3)を所有することを目的として、株式等売渡請求又は株式の併合を実施します。また、本公開買付けに応募されなかったりらいあの株式についても、株主の個別の承認を要することなく取得することができるスクイーズアウト手続きを行います。

 

③スクイーズアウト手続きの完了後、りらいあとOtemachi Holdings合同会社の間において、りらいあを存続会社とし、Otemachi Holdings合同会社を消滅会社とする吸収合併 (以下「本合併」)を行います。

 

④本合併の効力発生後、KDDIエボルバを存続会社としりらいあを消滅会社とする吸収合併による経営統合を行い、当社と三井物産の議決権所有比率がそれぞれ51.0%と49.0%となるような合併比率にします。

 

当社と三井物産の両社は、KDDIエボルバ及びりらいあが培ってきた企業文化や経営の自主性を最大限に尊重しつつ、本統合会社グループの企業価値向上を実現すべく、新たな施策の決定を支援していきます。

 

近年、労働人口の減少に伴う人材不足や企業の働き方改革を受けて、BPO(注4)の重要性が益々増しております。また、企業や社会においてDXの必要性が高まり、デジタル化の更なる加速が顕著となることで、BPO業界そのものが構造変革期を迎えており、お客さまのニーズの多様化や企業活動の変化に対応したサービスの高度化や事業領域の拡大などが求められております。

このような環境に対応し、コンタクトセンター業務を強化するとともに、お客さまの事業課題を解決するサービスの提供と更なるカスタマーサクセスを実現するため、本経営統合を行うことになりました。本経営統合により、KDDIエボルバとりらいあの両社が保有するデジタルチャネル領域におけるDX推進サービス、業務設計・運用力に加え、当社グループ、三井物産グループの有する法人お客さま接点、ITや海外ビジネスの知見などのケイパビリティを組み合わせることで、お客さまの真の課題解決に貢献し、国内・海外に拡がるデジタルBPO(注5)サービスの展開を目指します。

 

(注1)本経営統合は、各国の競争法の法令上必要な手続き及び対応を終えること等を条件とし、「本経営統合の概要」に記載する取引が予定されています。

(注2)三井物産が所有するりらいあ株式及びりらいあが所有する自己株式を除く。

(注3)りらいあが所有する自己株式を除く。

(注4)Business Process Outsourcing (ビジネスプロセスアウトソーシング) の略で、企業活動における業務プロセスの一部について、業務の設計から実施・運用までを一括して専門業者に外部委託すること。

(注5)人的なリソースのみで業務受託するのではなく、AIなどのデジタル技術を活用の上、受託業務の効率化を実現した上で一連業務のアウトソーシングを受託するBPO手法のこと。

 

カナダにおけるデータセンターについて

     当社は、2023年6月21日開催の取締役会において、Allied Properties REIT(本社:Toronto,Canada、代表取締役社長:CECILIA WILLIAMS)から、カナダにおける土地・建物・設備等の資産を譲り受けることを決議し、同日付で契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 40.後発事象」に記載しております。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、2030年頃に開始が予定されている次世代通信システムBeyond 5G/6Gを見据え、先端技術の研究開発を推進してきました。また、2030年頃の新しいライフスタイル実現に向け、ライフスタイルのトランスフォームにつながる技術をLife Transformation(LX)テクノロジーと銘打ち、あわせて研究開発を推進してきました。こうした活動を通して、当連結会計年度における研究開発費の総額は、26,373百万円となりました。なお、当社グループにおける研究開発活動は各セグメントに共通するものであり、各セグメントに関連づけて記載しておりません。

 以下、Beyond 5G/6G時代に向けた先端技術として、ネットワーク、セキュリティ、AI及びXRの各分野の主なトピックスをご紹介します。また、LXテクノロジーに関する主なトピックスをあわせてご紹介します。

 

1.ネットワーク

 あらゆる場所でお客さま一人ひとりに応じた最適な通信を提供するため、Beyond 5G/6G時代のネットワークに資する技術として、無線通信技術、光通信技術の研究開発を進めております。

 例えば、2022年5月には、「Cell-Free massive MIMO技術(注1)」において、局舎に分散配置された基地局の無線信号処理機能(CPU)を連携させ、干渉抑制効果と無線信号処理の計算量の削減を両立する「CPU間連携技術」を考案し、同技術を用いたエンド・ツー・エンド通信の実証実験に成功しました。

 また、同月、名古屋工業大学と共に、テラヘルツ帯で電波の放射方向を変更できる、高利得なマルチビームレンズアンテナと、小型な平面型マルチビームアンテナの開発に世界で初めて成功しました。

 さらに、同月、京都大学大学院工学研究科と共に、フォトニック結晶レーザーを用いた高出力自由空間光通信の実証に世界で初めて成功し、宇宙空間での利用を目指しております。

(注1)複数の基地局アンテナを連携させ、個々のお客さまに対する無線信号の品質を最適化する基地局構成技術。

 

2.セキュリティ

 Beyond 5G/6G時代の安心・安全を実現するため、AIへの攻撃に対応する技術の研究開発を推進しています。

 例えば、2022年12月には、深層学習による自然言語処理に対する代表的な脅威のひとつである敵対的テキスト攻撃(注2)への対策技術を提案し、自然言語処理分野の最難関国際学会「Findings of EMNLP 2022(The 2022 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing)」で発表しました。

 また、AIに対する代表的な脅威のひとつである敵対的サンプル攻撃(注3)に着目して、AIを利用した動画の圧縮符号化へ与える影響を体系的に評価し、セキュリティ分野の最難関国際学会である「NDSS(The Network and Distributed System Security) 2023」に採択されています。

(注2)文章に対し、人間が気づきにくい変更(単語の置き換え等)を加えることで、AIに誤分類を引き起こす攻撃。敵対的テキスト攻撃に利用される文章を敵対的テキストという。

(注3)人間には分からないようなわずかなノイズを加えた画像により、AIに誤分類を引き起こす攻撃。

 

3.AI

 Beyond 5G/6G時代にサイバー空間と現実空間(フィジカル空間)の融合が進むことを想定し、現実空間特有の課題解決を行う「フィジカル空間指向AI」の研究開発を行っています。2022年4月には、KDDI総合研究所内にHuman-Centered AI研究所を設立し、人とAIが共生し、インタラクションを通じて共に成長する技術の研究開発を推進しております。

 同研究所の成果として、同年4月、スタンフォード大学Jure Leskovec准教授の研究グループと共に、画像情報と人の共通概念を融合することでより確からしい答えとその判断根拠を導き出す手法を開発し、「視覚情報に基づいた常識推論(Visual Commonsense Reasoning)」タスクで世界1位の精度を達成しました。

 また、同年9月、AI・データマイニング分野の難関国際会議「ECML PKDD(European Conference on Machine Learning and Principles and Practice of Knowledge Discovery in Databases)2022」が主催する国際コンペティション「Lung Cancer Survival Prediction Challenge」における、実データ特有のデータ欠損という課題に対し、正解のデータや余命情報を統計的に仮定し高精度な予測を実現することで、同コンペティションに優勝しました。

 

4.XR

 XRは、サイバー空間と現実空間を融合させた結果を人間の知覚にフィードバックする技術の総称です。当社グループは、Beyond 5G/6G時代のコミュニケーションスタイルに変革をもたらす本分野の研究開発を行っています。

 例えば、2022年11月には、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所と共に、昭和基地と国立極地研究所立川キャンパスを結ぶ衛星通信回線(最大7Mbps)を利用し、南極域としては世界で初めて8K映像のリアルタイム伝送に成功しました。

 また、2023年1月に、三次元点群圧縮技術(注4)の最新の国際標準方式であるPCC(Point Cloud Compression)に対応したリアルタイムコーデックを用いた伝送実験に世界で初めて成功しました。加えて、現実空間の人が発する音の向きや動きを、仮想空間でも遜色なく体感できる音場のインタラクティブ合成技術を開発しました。このように、三次元空間情報のハンドリングについても研究開発を推進しています。

(注4)三次元物体を点の位置と色の集合で表現するデータ形式を、点群と呼ぶ。高精細な三次元データである点群を用いた臨場感のあるコンテンツは、データ量が1Gbpsなど非常に大きくなるため、伝送するには圧縮技術が不可欠。

 

5.LXテクノロジー

 「ロボティクス」「モビリティ(含ドローン)」「ヘルスケア」など、様々な分野で生活者目線に立ち、ライフスタイルを変革に導く研究開発を推進しています。

 

● ロボティクス:

ロボットの活用により日本の労働力不足の解消に貢献するため、様々な取り組みを進めております。

例えば、2022年11月、クラウド上でメーカーや用途を問わず多様なロボットを一元管理する「ロボットプラットフォーム」の実証を開始しました。これにより、管理者の負担が軽減され、円滑なロボット運行が可能になります。

 

● モビリティ(含ドローン):

点検業務などの作業負荷、地域による移動・物流格差および災害時の緊急物資輸送などの課題を解消するため、ドローンを含むモビリティ技術の検討を進めております。

例えば、2022年6月、三重県鳥羽市と、水上ドローンを活用しブルーカーボン(注5)算定に必要な藻場調査の実証実験を行いました。鳥羽市で海草や海藻の分布面積調査を実施する場合、従来はダイバーによる潜水目視を行っていますが、これらを水上ドローンにより効率的に行うことを目指したものです。なお、本取り組みは第31回地球環境大賞 総務大臣賞を受賞しております。

また、2023年3月、自動運転車からドローンが離着陸し、ラストワンマイルの物流を担うという実証を、アイサンテクノロジーと共に長野県塩尻市の中山間地域で実施しました。移動する自動運転車の位置に合わせてドローンが離着陸することに、日本で初めて成功しました。

(注5)海草や海藻、植物プランクトンなど、海洋生物の作用によって海中に取り込まれる炭素。

 

● ヘルスケア:

人生100年時代における健康的な生活の支援に向け、パートナー様との連携やデータの活用を通じて健康寿命の延伸を目指しています。

例えば、2022年11月から、当社が開発する健康アプリ「ポケットヘルスケア」とApple Watchを組み合わせて、不整脈の一種である心房細動の早期発見を目指す実証研究を開始しました。

また、2023年2月、岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構、慶應義塾大学医学部と共に、今回初めて日本人の血液のエピゲノム(注6)情報から年齢を推定する手法を開発しました。その成果は国際科学雑誌 The Lancet Healthy Longevity誌に2023年2月1日付(オンライン公開)で掲載されました。

(注6)ゲノムに加えられた修飾のことで、後天的に変化するもの。