第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、国内飲料事業を取り巻く経営環境が大きく変化する中、グループ一丸となって将来の持続的成長をめざすべく、2014年に「グループ理念・グループビジョン」「ブランドメッセージ」を制定しています。

「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」というグループ理念は、創業以来培ってきた「共存共栄」の精神を謳っています。お客様、従業員、取引先、地域社会、株主といったすべてのステークホルダーの皆様との共存共栄を図りながら、企業の成長とともに従業員が成長していくために、チャレンジする企業風土の醸成に取り組み、当社グループの文化である「共存共栄」の精神を未来へとつないでいきます。

そして、ブランドメッセージ「こころとからだに、おいしいものを。」は、グループ理念・グループビジョンを、当社グループに関わるすべての皆様にわかりやすく表現した言葉です。DyDoグループは思いを一つに、チャレンジとアイデアをもって、価値ある製品の提供や企業活動を通じて、人に社会に奉仕していきます。

 

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また、当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、清涼飲料という消費者の皆様の日常生活に密着した製品を取り扱っており、セグメント売上高の約90%は地域社会に根差した自販機を通じた販売によるものです。また、自社工場を持たず、生産・物流を全国の協力業者に委託するファブレス経営により、当社は製品の企画・開発と自販機オペレーションに経営資源を集中し、業界有数の自販機網は当社グループの従業員と共栄会(当社機のオペレーションを行うパートナー企業の総称)により管理しています。

このような当社独自のビジネスモデルは、ステークホルダーの皆様との信頼関係によって成り立っていることから、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」ことが会社としての責務であり、経営上の最重要課題であると認識しています。そして、その実現のために、「ダイナミックにチャレンジを続けていく」ための基盤として、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスを継続的に改善していくことが、株主共同の利益に資するものと考えています。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」のグループ理念のもと、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」“世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ”を定めています。2030年に向け、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしていきます。

 

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また、当社グループは、「グループミッション2030」実現への取り組みを通じて、サステナビリティ経営を推進しています。近年、地球規模での人口の増加や、それに伴う資源・エネルギー・食料の逼迫、環境問題、高齢社会の到来や格差の拡大等、企業が直面している課題は多岐にわたっています。このような環境や社会の変化による潜在的なリスクに備えるとともに、事業を通じて社会的課題の解決を図り、豊かで持続可能な社会の実現へ貢献していくことが、企業としての責務です。当社グループは、「中期経営計画2026」のスタートにあたり、サステナビリティの観点から、中長期的な経営課題について議論し、「グループミッション2030」の実現に向けた8つのマテリアリティを特定しました。当社グループのマテリアリティへの取り組みを通じて、世界中の人々が楽しく健やかに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

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「グループミッション2030」では、その達成に向けたロードマップを描いています。具体的には、2030年1月期までの期間を「基盤強化・投資ステージ」「成長ステージ」「飛躍ステージ」の3つに区分し、それぞれのステージに応じた事業戦略を推進することにより、競争優位性の高いビジネスモデルを構築していきます。現在は、将来の飛躍に向けた「成長ステージ」として、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」に取り組み、国内飲料事業の再成長および海外飲料事業戦略の再構築に注力しつつ、長期視点での事業育成に取り組んでいます。

 

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(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、「グループミッション2030」の経営指針として、社会価値・環境価値・経済価値の創出に向けた定性的・定量的な指標を以下の通り定めています。

 

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① 経済価値創出に向けた財務KPI

当社グループは、「グループミッション2030」における基本方針として、「国内飲料事業のイノベーション」「海外での事業展開の拡大」「非飲料事業での第2の柱の構築」の3つを掲げています。この基本方針のもと、事業の「稼ぐ力」の強化を図るべく、経済価値創出に向けた財務KPIは資本生産性指標である「ROIC」を採用し、「成長ステージ」と「飛躍ステージ」の最終年度における目標数値をそれぞれ設定しています。ROICを活用した事業ポートフォリオ戦略を推進するとともに、事業別ROICツリーを活用した各事業の資本効率の改善に取り組んでいます。

 

●ROIC目標値※1

 

 

国内飲料事業※2

海外飲料事業

非飲料事業※3

連結

成長ステージ

(2023年1月期~2027年1月期)

4%

13%

0%

4%

飛躍ステージ

(2028年1月期~2030年1月期)

17%

5%

17%

8%以上

 

※1 超インフレ会計適用前、投下資本はセグメントへの投下分

※2 サプリメント通販事業を除く

※3 国内飲料事業のうちサプリメント通販事業、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業

 

② 環境価値創出に向けた非財務KPI

近年、気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっています。また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクの高まり等、グローバル社会が直面する重要課題である気候変動問題への対応は、当社グループの持続的成長の実現に向けた大きな経営課題であると認識しています。このような状況を踏まえ、脱炭素社会へ貢献するべく、環境価値創出に向けた非財務KPIとして、グループとしてのCO2排出削減目標を設定しています。

なお、当社グループは、2022年1月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しており、TCFDのフレームワークに基づく気候関連情報は、当社ウェブサイトに掲載しています。

 https://holdings.dydo.co.jp/sustainability/eco/tcfd/

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」として、「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」を掲げています。そして、その実現に向けた「成長ステージ」として、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」を策定し、「国内飲料事業の再成長」「海外飲料事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」の3つの基本方針のもと、取り組みを推進してきました。

その結果、2023年1月にアサヒ飲料株式会社(以下、アサヒ飲料)との共同出資により自販機の直販チャネルを一体的に運営する新会社としてダイナミックベンディングネットワーク株式会社を設立したほか、2024年2月にはポーランドで清涼飲料の製造・販売を行うWosana S.A.(以下、ヴォサナ社)を子会社化するなど、中長期的な企業価値向上に向けた事業基盤を強化しました。また、2022年以降、国際情勢の変化などを背景に、グループ各社において原材料価格をはじめとするコストが上昇した一方、トルコ飲料事業においては急激なインフレが進行するなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。

このような内部・外部環境の変化を踏まえ、「中期経営計画2026」の残期間(2026年1月期~2027年1月期)における計画の見直しを2025年3月に実施しました。基本方針は維持しつつ、経営指標の目標値、事業戦略、投資資金/資金配分を見直しています。本中期経営計画において将来の成長に向けた投資を実行するとともに、収益体質への転換を図ることで、次の「飛躍ステージ」に向けた再成長軌道への道筋を確かなものへとしていきます。

 

●経営指標の目標※1

(単位:百万円)

 

 

最終年度(2027年1月期)目標

当初目標値

修正後目標値

売上高成長率(年平均成長率)※2

+3%※3

+9%

 

(参考)連結売上高

175,000

255,300

営業利益率

4%

3%

 

(参考)連結営業利益

6,800

7,800

連結ROIC※4

6%

4%

 

※1 超インフレ会計適用前

※2 2021年度比

※3 為替中立ベース

※4 投下資本はセグメントへの投下分

 

① 国内飲料事業の再成長

当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、創業来、「お客様の求めるものをお客様に身近なところでお届けする」独自のビジネスモデルによって発展してきました。そして、業界有数の自販機網と、直販と共栄会によって一体的に運営する品質の高いオペレーション体制を強みとしています。

コロナ禍を経て、消費者の行動様式は大きく変容し、自販機市場においては本格的な販売回復に至らない中、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢は二極化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなっています。また、各種原材料高騰によるコスト増や、価格改定に端を発した消費者の節約志向の高まりなど、自販機市場を取り巻く環境は厳しい局面を迎えています。このような状況の中、短期的には自販機ビジネスにおける着実な利益創出に注力するとともに、中長期的には市場における確固たる優位性の確立を最優先課題として取り組み、お客様の楽しく健やかな暮らしに貢献する「こころとからだに、おいしい商品」の開発・提供をめざしていきます。

足元では、アサヒ飲料との共同出資で設立したダイナミックベンディングネットワーク株式会社の子会社である「ダイドービバレッジサービス株式会社」を存続会社として「アサヒ飲料販売株式会社」を合併し、「ダイドーアサヒベンディング株式会社」に商号変更して運営を開始し、アサヒ飲料傘下にあった直販チャネルへのスマート・オペレーション※1の導入を完了※2させるとともに、混載オペレーション※3をはじめとした両社の直販チャネルの一体的運営を通じたシナジー効果の創出に努めています。また、AIをはじめとした最新のテクノロジーを活用し、スマート・オペレーションの高度化にも取り組んでいます。

今後については、国内飲料事業の2030年のありたい姿「自販機市場において、絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます」のもと、スマート・オペレーションのさらなる進化と展開先の拡大に取り組むとともに、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立していきます。

※1 デジタル技術を活用し効率化を実現した自販機オペレーションを示す当社の造語

※2 株式会社ミチノク、九州アサヒ飲料販売株式会社を除く

※3 1台のルート車両でDyDo機とAsahi機の両方をオペレーションすること

 

② 海外事業戦略の再構築

当社グループは、2010年代から海外展開を積極化し、現在は現地企業のM&Aを通じて進出したトルコとポーランドを中心に、中国、英国に拠点を設け、飲料事業を展開しています。海外飲料事業を将来の収益ドライバーとして育成すべく、既存事業の拡大・安定化を進めるとともに、海外飲料事業戦略の再構築に取り組んでいます。

足元では、トルコ飲料事業において高インフレやリラ安が継続していますが、戦略的な価格改定とサプライチェーンマネジメントによる収益性改善が進んでいます。ポーランド飲料事業では、2024年2月に買収したヴォサナ社において「自社製品の製造・販売」「他社製品の製造」「流通チェーンのプライベートブランドの製造」の3つのビジネスモデルを有し、変動の激しい市場環境の中でも安定した経営基盤を維持しています。また、中国飲料事業においては、2021年より無糖茶の現地製造を開始し、中国国内での拡販に注力しています。

今後については、海外飲料事業の2030年のありたい姿「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します」のもと、海外飲料事業戦略の再構築に取り組むとともに、健康ニーズの高まりに対応したグローバルブランドの育成にチャレンジしていきます。

 

③ 非飲料領域の強化・育成

当社グループは、中長期的な成長性・収益性向上に向けて、非飲料領域の強化・育成を基本方針の一つに掲げ、既存事業の強化と新規事業の長期視点での育成に取り組んでいます。

既存事業について、国内飲料事業を担うダイドードリンコ株式会社が運営するサプリメント等の通信販売事業では、主力商品である「ロコモプロ」を中心に定期顧客の獲得に向けた取り組みを進めています。医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、医薬品・医薬部外品のドリンク剤の受託製造企業としてトップシェアを誇りながら、新たな剤形の受託製造に取り組み、2020年に新たに製造を開始したパウチ製品の受注が好調に推移しております。こうした事業環境の変化を踏まえ、現在パウチラインの増設をはじめとした工場の再編を進めており、2026年度から2027年度にかけて順次稼働開始をめざしています。また、食品事業を担う株式会社たらみは、フルーツゼリー市場においてトップシェアを有し、多様化する消費者ニーズに応じた付加価値の高い商品開発とともに、安定供給と生産性向上に向けたサプライチェーン改革に取り組んでいます。

当社グループの新規事業領域拡大への取り組みとして、希少疾病用医薬品事業に参入すべく2019年に設立したダイドーファーマ株式会社は、2024年9月に、初の新薬となるランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、2025年1月に日本国内で販売を開始するなど、マテリアリティに掲げる「社会的意義の高い医療用医薬品の提供」に向けて、着実な歩みを進めています。

超高齢化社会・健康長寿社会が進展する中、人々の健康・予防・衛生に対する意識の高まりも相まって、今後、ヘルスケア関連市場は着実に成長していくことが想定されます。今後については、お客様の健康と生活の質の向上に貢献すべく、大きな成長が期待されるヘルスケア領域の事業の強化・育成を図り、非飲料事業での第2の柱の構築にチャレンジしていきます。

 

④ 財務規律と投資戦略

当社グループは、持続的成長の実現に向け、財務健全性を維持できる適正水準の自己資本比率を維持しながら、将来の成長が期待できる分野へ投資するとともに、株主の皆様への安定的な還元を基本的な考え方としています。そして、再投資した資本をもとに資本コストを上回るリターンへとつなげていくことで、さらなる成長投資と株主還元の実現をめざしています。

2025年3月に見直しを行った「中期経営計画2026」における資金配分の方針は、2026年1月期~2027年1月期の2年間で生み出されるキャッシュ・フロー260億円以上を元手に、自販機関連資産への投資を中心に既存事業の維持・強化に向けた投資と、安定配当方針のもと実施する株主還元へと振り向けていく考えです。

また、上記とは別に、ネットキャッシュ内の範囲を戦略投資枠として設定し、「飛躍ステージ」での飛躍的成長に向けた投資を検討していきます。投資判断にあたっては、当社グループの経営成績及び財政状態等への影響に十分注意を払いながら、定性的・定量的な基準をもとに、適切な投資判断を実行していきます。

 

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(5)経営環境についての経営者の認識

 

 

「中期経営計画2026」の期間中(2023年1月期~2027年1月期)において、計画立案当初には想定していなかった外部環境の変化が相次ぎ、期中での計画見直しを余儀なくされました。外部環境の変化が企業の経営戦略や業績に与える影響は従来より大きく、変化のスピードは一段と速くなっています。

当社グループにおいては、2022年以降のコーヒー豆をはじめとした原材料価格の高騰がコア事業である国内飲料事業の収益性を圧迫する一方、中東情勢の悪化を背景としたトルコ飲料事業の特需が発生するなど、事業への影響は多面的に及んでいます。

私たちは持続的成長の実現に向けて、中長期的な視点をもって重点課題として掲げている8つのマテリアリティへの取り組みを着実に推進していくとともに、外部環境の変化に対して柔軟かつ機動的な対応を講じていく必要があると考えています。

 

主力の国内飲料事業においては、原材料価格の上昇に加え、度重なる価格改定に伴う消費者の節約志向の高まりを受け、収益体質への転換を強く打ち出しました。コーヒー豆の高騰や消費者志向の変化に対応するため、コーヒーからソフトドリンクへのシフトを進めるとともに、収益性を重視した自販機ネットワークの構築に向け、不採算先の撤去を強力に推進しました。しかしながら、自販機ビジネス全体の立て直しは道半ばであり、収益構造の変革に向けた取り組みを継続していきます。

一方、海外飲料事業が2024年度に続きグループ業績を牽引しました。特にトルコ飲料事業は、ハイパーインフレやリラ安といった経営環境下にありながら、競合動向を踏まえた戦略的な事業展開により着実に業績を伸ばし、かつての低収益な状況から脱却し、確かな収益基盤を持つ事業へと成長しています。

 

中長期的な視点では、ダイドーグループの「こころとからだにおいしい商品の提供」をより高度に実現するため、2025年4月にグループ横断の研究開発機能として「ダイドーグループ未来共創研究所」を設置しました。インフレ環境下で付加価値創出の重要性が高まる中、飲料・食品を軸とした健康価値創出力を強化していきます。また、希少疾病用医薬品事業では、ダイドーファーマ初の新薬であるランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®」の本格販売を開始しました。まだ小規模な事業ですが、患者様のお役に立てる事業として育てていきます。

 

「中期経営計画2026」の最終年度である2026年度は、将来の成長に向けた投資を実行するとともに、国内飲料事業を中心に収益体質への転換を図り、次の「飛躍ステージ」に向けた再成長軌道を確かなものにしていきます。

 

ダイドーグループホールディングス株式会社

代表取締役社長 髙松 富也

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

 当社グループは、事業を通じて社会的課題の解決に貢献すべくサステナビリティ課題への取り組みを強化し、持続的成長の実現と中長期的な企業価値向上をめざしています。当社グループのサステナビリティ経営全体の方針の検討及び承認、全社的なサステナビリティプログラムの決定及び改善指示等を行うことにより、当社グループのコーポレートブランドの価値向上を図ることを目的として、「グループサステナビリティ委員会」を年2回開催するほか、必要に応じて都度開催することとしています。取締役会は、「グループサステナビリティ委員会」において検討・協議された内容について報告を受け、監督を行う体制としています。なお、代表取締役社長は、当社グループのサステナビリティ経営における最高責任者として、「グループサステナビリティ委員会」の委員長の職務を担っています。

 

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◇2025年度サステナビリティ委員会・リスク管理委員会の開催状況

会議体名称

開催回数

主な内容

グループサステナビリティ委員会

2

サステナビリティ戦略の進捗確認、気候変動・人的資本等の非財務課題に関する取り組み状況の報告および審議

グループリスク管理委員会

2

全社重要リスクの特定・管理状況の報告および審議

 

② 戦略

 当社グループでは、「グループミッション2030」を実現するために、重要な経営課題として8つのマテリアリティを特定しています。また、グループサステナビリティ委員会において各マテリアリティの進捗状況を評価し、PDCAサイクルを回すことで、マテリアリティに基づく各施策を推進しています。

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◇マテリアリティの進捗状況

2025年12月に開催したグループサステナビリティ委員会における、各マテリアリティの進捗状況に関する評価は以下の通りです。

マテリアリティ

評価

現状と課題

自販機ビジネスの進化による社会的価値の創造

・スマート・オペレーション体制の確立は順調に進んでいるものの、オペレーション生産性のさらなる向上に向けた継続的な改善が課題

・自販機を通した新たな価値創造に向け「Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)」にて、空間に調和する新しい自動販売機「HAKU」の1号機を設置し、次世代自販機ビジネスの創出に着手

・「ベビー用 紙おむつ自販機」が「フェーズフリー認証(※)商品」に選定

こころとからだにおいしい商品の提供

・飲料・食品を通じた健康価値創出力を高めるための基盤として、「ダイドーグループ未来共創研究所」を設置し、オープンイノベーション型の研究開発活動を推進

・サプリメント通販チャネルでは、「腹部の脂肪」「血糖値」「コレステロール」の機能を持った機能性表示食品のコーヒーとして、日本初の商品「スマートブラック」を上市

・海外飲料事業では、現地水ブランド「Saka」の輸出拡大や日本発健康飲料の販売に着手

・医薬品関連事業や食品事業では、新規カテゴリーへの参入や健康価値の創出、価値提供などが重大な課題と認識

社会的意義の高い医療用医薬品の提供

・2024年に製造販売承認の取得、2025年に日本国内で販売を開始したランバート・イートン筋無力症候群の筋力低下の改善を適応症としたファダプス®の疾患啓発並びに製品の適正使用に係る情報提供を適切に実施

・本製品による治療を選択する患者数が順調に進捗

脱炭素社会・循環型社会への貢献

・計画通りのCO₂排出量削減が進んでいないため目標達成に向けた方針の見直しが課題

・国内飲料事業では、一部の事業所で再生可能エネルギー由来の電力の使用が決定

・海外飲料事業では、製造工場の屋根に設置した太陽光パネルの稼働開始や一部商品に軽量化ボトルグラスを採用し環境に配慮した生産体制を推進

・食品事業では、製造工場の屋根に太陽光パネルの設置が決定するなど製造における無駄なエネルギーの削減を継続実施

DX推進とIT基盤の構築

・2023年9月に経済産業省が推進するDX認定制度の「DX認定事業者」に認定

・2024年10月に関西デジタル・マンス実行委員会主催「KANSAI DX AWARD 2024」において金賞(大企業部門)を受賞

・DX推進活動では業務改善・プロセス改善により、月間908時間もの時間創出に成功

品質の追求による安全・安心の提供

・グループ全体での品質管理強化に向け、グループ各社の品質管理担当者が参加する「品質向上連携会」を継続実施

・ファブレス経営の国内飲料事業では、委託先工場との連携による安全・安心の実現に向け、定期的な監査や啓発活動を実施

・医薬品関連事業と食品事業では、品質向上かつ生産性向上に向けた最新機器の導入を推進

・海外飲料事業において、製造体制の強化に向けた新ラインの稼働が開始

・食品事業において、外部倉庫の拡大に向けた在庫管理体制、配送ルートの構築およびシステムによる管理の効率化を推進

 

 

マテリアリティ

評価

現状と課題

従業員のワークライフシナジーの実現/ダイバーシティの推進

・国内飲料事業において「えるぼし認定」の3つ星を取得

・国内飲料事業におけるすべての部門の人財要件を専用ポータルサイトに公開し、社内公募の応募者数が増加

・DE&Iや人権における管理職向け研修を強化

・海外飲料事業では、年齢、性別、国籍、宗教などに依存しない能力に応じた公平な評価を継続実施

コーポレートガバナンスの強化

・グループ理念、グループミッション2030と事業セグメントごとに策定した「ありたい姿」の浸透に向けた、持株会社の代表取締役社長による海外子会社の訪問および従業員との対話を実施

・職務権限規程をはじめとする関連規程の再整備を完了し、グループガバナンスの体制を強化

(※)フェーズフリー認証とは、商品やサービスが日常時も非常時も価値を持つことを一般社団法人フェーズフリー協会が認証し、認証されることで「フェーズフリー認証マーク」が使用できるようになる仕組み

 

なお、マテリアリティの特定プロセスに関する詳細は、当社ウェブサイトをご覧ください。

https://holdings.dydo.co.jp/corporate/materiality/

 

③リスク管理

 当社グループでは、グループ全体を対象とした事業等のリスクの分析のほか、TCFDに基づくシナリオ分析を実施しています。詳細については、「第2 事業の状況」の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)環境」および「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(2)環境

(2-1)脱炭素・循環型社会

 当社グループは、環境に関するマテリアリティとして「脱炭素社会・循環型社会への貢献」を掲げ、2022年1月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明するとともに、グループとしてのCO2排出削減目標を設定しています。TCFD提言では、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループのTCFDのフレームワークに基づく気候関連情報は、以下の通りです。

 

①ガバナンス

  前記「 (1)サステナビリティ ①ガバナンス」に記載の通りです。

 

②リスク管理

ⅰ.気候関連リスクの特定・評価プロセス

 当社グループは、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて2050年時点における外部環境の変化を予測し、気候変動が事業に与えるリスクや機会についての分析を実施しました。2024年1月期には、国内飲料事業、医薬品関連事業及び食品事業に加え、海外飲料事業に関するシナリオ分析を実施したほか、当社グループのビジネスにおいて、最も影響度の高い国内飲料事業における財務インパクトを試算しています。シナリオ分析においては、2025年度に見直しを行っています。

 

ⅱ.気候関連リスクの管理プロセス及びグループリスク管理との統合状況

 事業の持続的成長を実現するためには、環境や社会の変化を適切に把握し、事業におけるリスクの低減と機会の最大化に取り組む必要があるものと認識しています。当社グループは、リスクマネジメントとサステナビリティ経営の推進の進捗管理(サステナビリティプログラム)を連動させるべく、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」「グループサステナビリティ委員会」を設置し、両委員会を中心としたそれぞれの取り組みを連動させながらマネジメントを行っています。

 気候関連リスクは中長期的に顕在化する可能性を有することから、短期のみならず、中長期の時間軸で低炭素社会への移行に伴うリスク及び気候変動の顕在化に伴う物理的リスクを評価する体制を構築すべく取り組みを進めています。

 

 

③戦略

ⅰ.当社グループの気候関連のリスクと機会の概要と事業及び財務への影響

 シナリオ分析に基づく気候関連リスク・機会の評価結果は、以下の通りです。

 

(移行リスク)注釈のない記載については、中核事業である国内飲料事業を対象としています。

↑:非常に大きな影響  ↗:やや大きな影響  →:軽微な影響  □:算定済み(非開示)  △:算定検討中

 

リスク/機会項目

考察

事業

インパクト

財務インパクト

現時点で実施している対応策

中分類

小分類

リスク

/機会

2030

2050

1.5℃

4℃

1.5℃

4℃

1.5℃

4℃

政策・

規制

カーボンプライシング

リスク

炭素税導入に伴う、自販機オペレーションコスト、自販機調達にかかるコスト、配送費の増加

約1.5

億円

約4億円

・スマート・オペレーションの推進

・EV・FCEVトラックの導入

・ダイドー・シブサワ・グループロジスティクス株式会社による配送の最適化

・自販機の長寿命化:2030年までに15年

リスク

炭素税導入に伴う、自販機設置先の電気代負担によるコスト増、自販機引上げリスク

・省エネ自販機の展開

・自販機ビジネスのカーボンニュートラルの検討

リスク

水使用量・消費量の削減規制により、各種飲料の生産量が減少

※海外飲料事業

・トルコ国外での水源および製造拠点の確保

リスク

炭素税の導入により、原材料コスト、包材コスト、エネルギーコスト、物流費など、製造に関連する全般的な費用が高騰

※医薬品関連事業・食品事業

・省エネに向けた改善活動及び再生可能エネルギーの導入検討

・調達先の分散などの検討

機会

炭素税導入に伴う、カーボンニュートラルに対応した自販機のニーズの上昇

・計画的な新品自販機の展開

・自販機ビジネスのカーボンニュートラルの検討

市場

需要の

変化

リスク

廃棄処理時に排出するCO2への炭素税導入に伴う、廃棄に関わる処理費用(商品・自販機)の増加

・容器のリデュース

・ラベルを極小化した商品展開

・自販機の長寿命化:2030年までに15年

リスク

消費者や自販機設置先から、環境負荷が高い商品や販売チャネルが選ばれなくなる

・自販機ビジネスのカーボンニュートラルの検討

・環境配慮型商品の開発

・「みんなの LOVE the EARTH PROJECT」の推進

機会

消費者や自販機設置先から、環境負荷が低い商品や販売チャネルが選ばれるようになる

従業員一人ひとりが事業活動のみならず、自身の日常生活においても環境配慮を意識した行動を促進する取り組み

(物理的リスク)注釈のない記載については、中核事業である国内飲料事業を対象としています。

リスク/機会項目

考察

事業

インパクト

財務インパクト

現時点で実施している対応策

中分類

小分類

リスク

/機会

2030

2050

1.5℃

4℃

1.5℃

4℃

1.5℃

4℃

慢性

平均気温上昇

リスク

コーヒー豆などの原材料において、調達先が限定されることによる調達コスト増、品質の低下

コーヒー豆の生育適地面積の減少率

・コーヒー豆の分散調達、生産地に対する情報収集

・コーヒーのみに依存しない品揃え

※1

※2

※3

※4

リスク

平均気温の上昇に伴い、特に植物由来の原材料において、調達量の制限並びに大幅な価格上昇

※医薬品関連事業・食品事業・海外飲料事業

・複数社購買・産地の分散等の検討

・代替方法の検討

リスク

自販機オペレーション活動が過酷な労働条件になることによる労働者不足

・スマート・オペレーションの推進

熱中症搬送人口の増加

機会

熱中症対策飲料のニーズが高まりによる、自販機設置要望の増加

・トリプルペット自販機の導入増

※ペットボトル飲料の販売構成比を上げることを可能にする自販機

汚染・水質悪化

リスク

・土壌汚染や水質の悪化により商品の品質に影響が生じ、製造の停止

・浄化設備の追加設置などのコスト増

※海外飲料事業

・複数製造拠点の確保

・製造委託の検討

急性

自然災害の激甚化

リスク

自販機調達先の稼働停止による供給停止

・自販機の長寿命化:2030年までに15年

リスク

・洪水・台風により自販機の浸水被害が多発し、収益へ影響

・サプライチェーンが寸断し、お客様へ商品を届けることができなくなり、売上・利益が低減

約1.5億円※5

約3億円※5

約5億円※5

約9億円※5

・スマート・オペレーションの推進

・拠点別ハザードマップの作成

リスク

異常気象(大型台風や局地的な豪雨など)により、工場や倉庫の崩壊、従業員の被災などが発生し、製造が長期間休止する

※医薬品関連事業・食品事業

・事業継続計画(BCP)の整備

・外部倉庫拡大検討

※1 ブラジル:△17%、ベトナム:△15%、インドネシア:△11%、コロンビア:△16%、その他:△19%

※2 ブラジル:△28%、ベトナム:△28%、インドネシア:△31%、コロンビア:△22%、その他:△25%

※3 ブラジル:△26%、ベトナム:△25%、インドネシア:△18%、コロンビア:△26%、その他:△31%

※4 ブラジル:△43%、ベトナム:△47%、インドネシア:△51%、コロンビア:△37%、その他:△41%

※5 被害額は2030年もしくは2050年までの累計金額

 

ⅱ.気候関連リスクと機会への対応・戦略のレジリエンス

 当社グループの中核事業である国内飲料事業を担うダイドードリンコ株式会社は、製造と物流を全国各地の協力企業に委託するファブレス経営を採用し、商品開発と主力販路である自販機のオペレーションに経営資源を集中しています。2050年の自販機ビジネスにおけるカーボンニュートラル実現をめざして、気候変動への緩和策と適応策を強化し、脱炭素社会・循環型社会の形成に貢献していくことが当社グループのサステナビリティに係る重要課題であると認識しています。

 低炭素社会への移行リスク(1.5℃シナリオ)といたしましては、炭素税の導入を含む規制強化により配送コストや自販機オペレーションにかかるコストの増加が見込まれるほか、自販機設置先の電気代負担増による引上げリスクが高まる等、国内飲料事業の売上構成比のうち約90%を占める自販機チャネルの事業運営に多大な影響が出ることが想定されますが、営業車両のEV化やスマート・オペレーションの推進による車両台数の削減に取り組むほか、省エネ型自販機の計画的投入やカーボンニュートラルに対応した“お客様と共にサステナブルな未来を創る”自販機「LOVE the EARTHベンダー」の展開等によりお客様とのパートナーシップを推進し、事業機会の創出につなげていきます。

 

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 気候変動の顕在化に伴う物理的リスク(主に4℃シナリオ)としましては、自然災害の激甚化により自販機の水没や生産工場・配送拠点の浸水等による被害が多発するリスクも想定されます。また、自販機ビジネスは労働集約型産業の側面を持つことから、夏季の平均気温の上昇が自販機オペレーションに係る労働環境に影響を及ぼし、労働力不足のリスクが高まることも懸念されます。

 気候変動による平均気温の上昇は、熱中症対策飲料の販売増が事業機会となり得る一方で、主要原材料であるコーヒー豆の調達に大きな影響が出るものと認識しています。

 当社グループは、これらのリスクと機会に対応していくために日頃からコーヒー豆等の生産地に対する情報収集を行い、分散調達できる体制を築き上げるとともに、コーヒーのみに依存しない魅力ある商品ラインアップの拡充に取り組んでいます。また、スマート・オペレーションの構築に加え、AIの導入によって現場における働き方の多様化を図る等、労働力不足の時代への対応を進めるほか、個々のロケーションの特性にあった品揃えの最適化に努める等、自販機の店舗としての魅力をより高めていきます。

 なお、国内飲料事業においては、全国各地の協力工場へ商品の生産を委託することや、全国広範囲に自販機を設置することによりリスク分散を図っています。

 

 

④指標及び目標

ⅰ.気候関連リスク・機会の管理に用いる指標及び目標

 当社グループは、2022年1月、サステナビリティの観点をより一層事業活動に組み込むため、「脱炭素社会・循環型社会への貢献」を環境に関するマテリアリティとして特定し、環境価値創出に向けた非財務KPIとして、当社グループにおけるCO2排出削減目標を設定しています。

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 また、国内飲料事業においては、循環型社会への貢献に向けて、以下の3つの重点目標を設定しています。

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ⅱ.CO2排出量

 当社グループの国内主要グループ会社におけるScope1、Scope2及び重要なScope3(自販機の電力消費による排出)のCO2排出量は、以下の通りです。

※ダイドードリンコ株式会社、ダイドーアサヒベンディング株式会社、ダイドービジネスサービス株式会社、大同薬品工業株式会社、株式会社たらみ

■ ダイドービバレッジサービス株式会社は、2025年1月21日付でアサヒ飲料販売株式会社を吸収合併し、社名をダイドーアサヒベンディング株式会社に変更しました。

 

CO2排出量実績(2024年4月1日から2025年3月31日)

単位:tCO2

(カッコ内の数値は基準年度からの増減率)

 

国内飲料事業

医薬品関連事業

食品事業

合計

Scope1

7,638

3,687

3,917

15,243

Scope2

1,752

4,379

4,691

10,821

小計

9,390

(97.8%)

8,066

(106.1%)

8,608

(105.5%)

26,064

(102.7%)

 

 

 

 

 

Scope3

(カテゴリ1)

43,137

20,452

10,590

74,179

Scope3

(カテゴリ4)

9,279

420

 

9,699

Scope3

(カテゴリ9)

7,142

73

15,139

22,354

Scope3

(カテゴリ13)

88,065

(90.4%)

 

 

88,065

(90.4%)

 

CO2排出量実績 売上高原単位(2024年4月1日から2025年3月31日)

単位:tCO2/百万円

(カッコ内の数値は基準年度からの増減率)

 

国内飲料事業

医薬品関連事業

食品事業

合計

Scope1

0.07

0.28

0.19

0.11

Scope2

0.02

0.33

0.23

0.08

小計

0.09

(102.7%)

0.61

(83.5%)

0.42

(106.8%)

0.18

(104.9%)

 

 

 

 

 

Scope3

(カテゴリ1)

0.39

1.56

0.51

0.52

Scope3

(カテゴリ4)

0.08

0.03

 

0.07

Scope3

(カテゴリ9)

0.06

0.01

0.73

0.16

Scope3

(カテゴリ13)

0.80

(94.9%)

 

 

0.61

(72.6%)

注1:国内飲料事業における排出量実績は、ダイドードリンコ株式会社、ダイドーアサヒベンディング株式会社及びダイドービジネスサービス株式会社が対象となります。

注2:ダイドードリンコ株式会社、ダイドーアサヒベンディング株式会社及びダイドービジネスサービス株式会社の国内99拠点における温室効果ガス排出量情報について第三者検証を受けています。

注3:売上高原単位は、対象グループ会社の排出量合計(期間=2024年4月1日~2025年3月31日)÷売上高合計(期間=国内飲料事業、医薬品関連事業:2024年1月21日~2025年1月20日、食品事業:2024年1月1日~2024年12月31日)にて算出しています。

 

 今後とも、「DyDoグループSDGs宣言」のもと、企業としての持続的成長と持続的社会の実現に向けた取り組みをさらに強化していきます。

 

(2-2)水資源

DyDoグループでは、工場を保有するセグメントにて水の使用量の把握と適正な利用に取り組んでいます。例えば、食品事業では、過剰な地下水の汲み上げとならないよう貯水タンクの水位に応じて地下水ポンプを自動制御するシステムを導入するとともに、定期的に水位を目視で確認することで水源の持続可能性に貢献しています。また、医薬品関連事業および食品事業では、第三者による水質検査を定期的に実施し、基準に適合しているか確認しています。

 

水の使用量(2024年4月1日から2025年3月31日)

(kl)

国内

海外

医薬品関連事業

食品事業

トルコ飲料事業

ポーランド飲料事業

284,010

415,846

1,988,381

680,350

3,368,587

 

 

(3)人的資本経営

 当社グループは、人財に関するマテリアリティとして「従業員のワークライフシナジーの実現/ダイバーシティの推進」を掲げ、以下の考え方や指標及び目標を設定し、人的資本経営を推進しています。

 

①戦略

〔人的資本経営の全体像〕

 グループミッション2030を達成するためには、社会の変化へ柔軟に対応しながら事業変革および新規領域獲得を推進することが重要課題であり、その実現には、多様な価値観や能力を有する人財からなる組織の構築と人財一人ひとりの主体的な成長と活躍が不可欠だと考えています。

 当社グループは、人財に求める資質として「志」を中心に、「チャレンジ精神」「成長意欲」「達成意欲」「自律心」を重視しています。この5つの資質を持つ人財の成長・活躍を支援するために、当社グループは、人財一人ひとりの主体的なキャリア形成を支援する仕組み(DyDoキャリア・クリエイト)を提供します。併せて多様な価値観が尊重され、誰もが能力を発揮できる心理的安全性を重視した組織開発を行い、またワークライフシナジー(心身ともに健やかで生産性高く働ける状態)を実現できる環境を提供します。

 これらの取り組みにより5つの資質を兼ね備え、高い成果を出し続ける人財、すなわち自律型プロフェッショナル人財を育成します。

 当社グループは、この人的資本経営の方針に基づき人財とのエンゲージメントを高めながら、国内外の事業において変化への対応力・価値の創出力を向上させ、事業の持続的な成長を実現していきます。

 

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②指標及び目標

 当社グループがめざす人的資本経営における目標は、多様な自律型プロフェッショナル人財からなる組織を構築し、個人の主体的な成長・活躍により社会の変化に柔軟に対応して、国内外の事業変革・事業創造に貢献することと設定しています。その実現度を図る重要な指標として「従業員エンゲージメントスコア」を設定していますが、その目標数値とその他の指標については「人財戦略」、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」、「労働環境・企業文化」における対応策の具体化に合わせて、順次適切に設定していきます。なお、現状設定したKPIに対する進捗は、以下の通りです。

※多様性を尊重し、個々の状況に合わせた公平性のある機会を提供し、全員が能力を発揮できる環境を実現するという考え方

 

 

2024年度

2025年度

2030年度目標

正社員女性比率

28.6%

29.2%

35

女性管理職比率

12.9%

14.4%

20

男性育児休業取得率

43.3%

57.6%

100

※ダイドードリンコ株式会社、大同薬品工業株式会社、株式会社たらみ、ダイドーファーマ株式会社の主要子会社を集計対象とし、4社を合計して算出しています。

※「女性管理職比率」は、雇用形態に関係なく、女性管理職の比率を示しています。

 

■人的資本経営の実現に向けた方針と取り組み

ⅰ.人財戦略に関して

 当社グループの人財戦略の方針は、主体的なキャリア形成の支援による、人財の能力とエンゲージメントの向上です。外部環境の変化に対応して目標達成するためには、多様な分野における専門性の強化と様々な環境における組織やプロジェクトのマネジメント力の強化が極めて重要となります。また、グループミッション2030では「海外での事業展開の拡大」を基本方針の一つに掲げており、グローバルな視点を持つ人財の育成・獲得が欠かせません。当社グループは、その実現に向けてこれまでの人財に関する取り組みを進化させ、従業員の主体的キャリア形成を支援する仕組み「DyDoキャリア・クリエイト」を導入しています。国内飲料事業では、すべての部署における人財要件およびそれに連動したオンライン学習のカリキュラムを設定しました。必要とされる要件の明確化や学習支援の強化により、社内公募の応募者数増加につながっています。今後も、グループ全体で個人のキャリア形成に主眼を置いた人事制度・育成プログラム・評価制度等を導入し、これらの運用を通じて求める資質を備えた人財一人ひとりの成長とエンゲージメントの向上を図り、最終的に能力の多様性に富む強い組織の構築をめざします。

 

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 また、国内飲料事業においては、人事総務部内に自販機事業本部専属のHRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)を配置し、自販機事業本部傘下の人財マネジメントや育成プログラムの展開を行っています。

 また、国内飲料事業と食品事業においては、副業制度を導入しビジネススキルの習得を支援しています。今後は、グループ全体でさらなる活用促進を図っていきます。

 

ⅱ.DE&Iに関して

 当社グループは、人財一人ひとりの活躍を後押しするために、多様な価値観が尊重され誰もが自由に意見を述べ、能力を発揮できる心理的安全性を重視した組織開発を進めます。多様性の実現に向けた課題は事業毎に異なりますが、2023年1月に新設した「ダイバーシティ推進グループ」を中心にグループ各社のDE&Iにおける課題を把握しながら、解決に必要な制度の拡充、業務プロセスの改善やテクノロジーを活用した効率化を実現し、多様な人財が活躍できる組織作りを推進しています。2025年度は、管理職を対象にDE&I研修の強化やアンコンシャス・バイアスをチェックするAIツールを取り入れ、新たな気づきや自身の言動を振り返る機会を創出しました。

 主要子会社であるダイドードリンコ株式会社では、2025年度に「えるぼし認定」の3つ星を取得しました。今後も、従業員がそれぞれのライフステージで仕事にも私生活にもベストを尽くせるよう、多様な働き方を実現するための制度を拡充するなど、ワークライフシナジーの実現とダイバーシティの推進に取り組んでいきます。

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 また、従来は男性中心だった自販機設置先の新規開拓を担う営業職において女性比率を向上させることで、自社における女性人財の活躍推進とともに、女性の視点を生かした新たな価値を提供する自販機の展開を通じて、女性が働きやすい社会・環境づくりへの貢献という付加価値の創出をめざすとともに、女性営業職比率の向上に伴い、女性社員同士でのネットワークの構築や営業スキルアップを目的とした交流会を開催するなど、研修制度の充実化にも取り組んでいます。

 

ⅲ.労働環境・企業文化に関して

 人的資本経営を実行するための基盤となるのが、労働環境・企業文化です。当社グループは、心身ともに健やかでかつ生産性高く働ける状況、すなわちワークライフシナジーを実現できる環境を整備すべく、健康経営の推進やリモートワークなど柔軟な働き方を推進しています。主要子会社ダイドードリンコ株式会社は、経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」において、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定されました。

 

 

 また近年、重要性が高まっているのが、自社やサプライチェーンにおける人権配慮です。当社グループは、創業以来大切にしている「共存共栄の精神」に基づき、一人ひとりの人権が尊重される社会の実現に向け、2024年3月に「DyDoグループ人権方針」を策定しました。これは、当社グループの企業活動における人権尊重を徹底するための最上位方針です。この方針に基づき、グループ会社従業員並びに主要なサプライヤーを対象とする「人権に関するアンケート」を実施し、そのアンケート結果に基づく対応策をグループサステナビリティ委員会の配下に位置する「グループ人権分科会」を中心に協議をし、人権尊重の責任を果たすため取り組みを推進しています。

 

 2024年度に、全従業員を対象に人権に関するアンケートを実施しました。アンケート結果から把握した課題を踏まえグループ共通で対応すべきリスクやセグメント特有のリスクを特定し、2025年度には管理職向けに実践型の人権研修を行いました。今後も、グループ人権分科会を起点としてリスク低減のための具体的な対応策を検討し、実行していきます。また、サプライチェーンにおける人権侵害の把握および是正・予防の取り組みを推進しています。

 人権リスクが特に高いと想定されるコーヒー豆や果物をはじめとする主要原材料調達元に対し、人権に関するアンケートを実施し、対応が不足していると考えられるステークホルダーには啓発や対話を継続的に行っていきます。

 

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(4)その他

(4-1)DX推進

 日本国内では人口減少による市場の縮小が見込まれるほか、私たちを取り巻く社会は、凄まじいスピードで変化し続けています。そうした事業環境や社会の変化に対応するためには、DX推進を通じてデジタル技術を活用し、お客様や社会のニーズの変化に合わせて、ビジネスモデルを進化し続けることが重要であると考えています。そこで、当社グループでは「グループミッション2030」の実現に向けたマテリアリティの一つに「DX推進とIT基盤の構築」を掲げ、DXビジョンと2030年のDXのゴールを定め、DX活動を推進しています。

 DXの推進体制や活動の内容はダイドーグループ統合報告書2025(P51-52)をご覧ください。

 https://ssl4.eir-parts.net/doc/2590/ir_material_for_fiscal_ym5/183265/00.pdf

 

(4-2)知財

当社グループは、「グループミッション2030」の実現に向けたマテリアリティの一つに、「こころとからだにおいしい商品の提供」を掲げており、飲料・食品を通じた健康価値創出力を高めるための基盤として、2025年3月に「ダイドーグループ未来共創研究所」を設置いたしました。

本研究所では、グループ内の研究開発の知見を有した研究員と、外部の力を活用したオープンイノベーション型の研究開発活動を推進し、飲料・食品に適用可能な新規機能性素材、並びに、それを活かす製造技術及び既存機能性素材の新規活用法などの創出をめざしてまいります。

ダイドーグループ未来共創研究所に関する詳細は、ダイドーグループ統合報告書2025(P27-29)をご覧ください。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2590/ir_material_for_fiscal_ym5/183265/00.pdf

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態などに重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下に記載している将来に関する事項は、当連結会計年度において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

当社グループでは、企業理念に基づく経営戦略達成において発生する様々な阻害要因をリスクと位置付け、「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づき、当社グループにおけるリスク管理体制に関する基本的事項を定め、リスク管理の効率的かつ確実な運用を図っています。常設委員会として、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を年2回開催するほか、必要に応じて都度開催することとしています。「グループリスク管理委員会」は、リスク管理の方針や重要リスクの評価及び対策の承認、統制状況の効果検証・是正指導等の役割を担っています。

グループリスク管理委員会においては、リスク項目を「グループ横断のリスク」と「事業特有のリスク」に分類して整理し、評価を行っています。さらに、2023年度より採用した新たなリスクマネジメントの手法として、TCFDのシナリオ分析の枠組みを活用した、人口動態の変化に伴う中長期的なリスクに対する評価並びに対応策の進捗確認を実施しました。

 

(1)グループリスク管理委員会で特に議論された重要リスク

当連結会計年度のグループリスク管理委員会においては、影響度・発生可能性の高い重要リスクを抽出し、足元の業績に影響を与えるリスクが高まっている「原材料・資材の調達」及び「海外情勢」について議論を行いました。また、独自で実施した人口動態の変化に伴う中長期リスク分析の結果により、グループとして「人財の確保・育成」に関するリスクについて、中長期的に対策を検討していくべきとの認識が示されました。

 

(2)経営成績等に与える影響の内容及び当該リスクへの対応策等

当連結会計年度のグループリスク管理委員会が評価した重要リスクと対応策等は、次の通りです。

 

①グループ横断のリスク

ⅰ.人財の育成・確保

当社グループは、国内の少子高齢化に伴う人口減少や労働市場の流動化などにより、新たな人財の確保等が進まず、当社グループの安定的な事業継続等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しています。その上で、当社グループの2030年のありたい姿である「グループミッション2030」を実現するためには、多様な価値観や能力を有する人財からなる組織の構築と、人財一人ひとりの主体的な成長と活躍が不可欠と考えています。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業において、少ない人数でもオペレーションができる「スマート・オペレーション」の確立に加え、人工知能(AI)の活用により自販機オペレーションの効率化並びに生産性の向上に取り組んでいます。また、事業戦略と連動した人的資本経営を体系的に特定し、人財一人ひとりの主体的なキャリア形成を支援する仕組み「DyDoキャリア・クリエイト」を導入しました。個人のキャリア形成に主眼を置いた人事制度・育成プログラム・評価制度等を導入し、これらの運用を通じて、当社グループが求める資質を備えた人財一人ひとりの成長とエンゲージメントの向上を図り、能力の多様性に富む強い組織の構築に取り組んでいます。

 

ⅱ.原材料・資材の調達

当社グループの商品には、多種多様な原料・資材が使用されていますが、中でも国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆は国際市況商品であり、その価格は、商品相場だけでなく為替レートの変動の影響を受けます。価格変動の影響を受けることについては、他の原材料・資材についても同様であり、直近のエネルギーコスト上昇も相俟って、原材料・資材の調達コストの高騰は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業及び食品事業において、2022年10月より段階的に商品の価格改定を実施したほか、海外飲料事業(トルコ飲料事業)においては、強いインフレ下にあるトルコにおいて戦略的な価格改定を継続的に実施する等、適正な限界利益率の確保による収益構造の改善に取り組んでいます。また、各事業において定期的に原料、資材及び調達先の見直し並びに複数調達先の検討等を進め、安定的な原料・資材の調達に向けて取り組んでいます。

 

 

ⅲ.海外情勢

ロシア・ウクライナ情勢やパレスチナ・イスラエル情勢に起因した資材価格・原油価格の高騰、為替相場の急激な変動等、近年、地政学リスクをはじめとする海外情勢の変化が日本国内での事業活動にも影響を及ぼす可能性が高まっています。また、海外における事業展開には、各国の法令・制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・商習慣の違いや為替レートの変動をはじめとした様々なリスクが存在します。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の海外事業統括部が海外子会社を管理・統括する体制としております。加えて、グループ各社が有する海外情勢に関する情報については、海外事業に限らず国内事業への影響も含めて経営会議等でタイムリーに共有・議論し、経営としての監督および意思決定に活用する体制を強化しています。

こうした取り組みを通じて、トルコ・ポーランド・中国飲料事業の基盤を活かしながら、安定した収益基盤をもつグループ体制の構築に向け、海外飲料事業戦略の再構築を進めています。

 

②事業特有のリスク

ⅰ.トルコ国内のハイパーインフレに関連するリスク

海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、2022年度以降の急激なインフレの進行を背景に、戦略的な価格改定と機動的な販売促進活動などを実施したことで、販売単価の改善を図りながら販売ボリュームを伸ばし、着実に業績を改善させており、中長期的にも成長が期待されています。一方、トルコにおける3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを示したため、当社グループは、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、超インフレ経済下で営業活動を行っていると判断しました。このため、当社グループは、トルコの子会社の財務諸表について、2022年度第2四半期連結会計期間よりIAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件およびトルコ現地会計基準に従い、会計上の調整を加えています。今後、トルコにおけるインフレがさらに深刻化した場合、会計上の調整が多額にのぼり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、商標権を含む固定資産の修正再表示額は、通常の固定資産と同様に減損の要否を検討し、その修正再表示額が回収可能価額を超過する場合は回収可能価額まで減損する必要がある等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクに対応するため、持株会社の財務部による、収益管理、キャッシュ・コンバージョンサイクルに関する管理体制を強化・拡充するとともに、トルコ現地子会社においては、継続的な価格改定の実施による適正な限界利益率の確保や、トルコからの輸出取引の拡大等によるリスクの低減に努めています。

 

ⅱ.既存の自販機ビジネスへの集中・依存

当社グループのコアビジネスである国内飲料事業の自販機チャネルは、従来、価格安定性・販売安定性が比較的高く、収益性の高い缶コーヒーを主力商材として、安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能でした。しかしながら、昨今のコーヒー豆をはじめとした各種原材料価格の高騰や消費者の節約志向の高まりにより、自販機チャネルにおける収益性の改善が課題となっています。来期以降もこの厳しい環境の継続が見込まれることなどから、2025年度第4四半期において、自販機等の事業関連資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとなりました。

中長期的に持続可能な収益構造への転換が不可欠と考え、その実現に向けて収益体質への転換に向けたプロジェクトを遂行しています。具体的には、パーマシン(PM)向上や原価率の抑制に向けた商品ポートフォリオの最適化や不採算先自販機の政策的な引き上げなどを進めていき、利益を生み出す筋肉質な自販機網を再構築していきます。

また、当社グループは、今後の労働力不足の時代に対応すべく、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むとともに、カーボンニュートラルに対応した“お客様と共にサステナブルな未来を創る”自販機「LOVE the EARTHベンダー」の展開を進め、持続可能な自販機ビジネスモデルの確立をめざしていきます。

 

 

ⅲ.希少疾病用医薬品事業への参入

当社グループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、その中でも希少疾病と呼ばれる国内患者数が5万人未満の難病に着目し、2019年1月にダイドーファーマ株式会社を設立しました。2024年9月には、ダイドーファーマ株式会社の新薬第1号となるランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、2025年1月に販売を開始するなど着実に歩みを進めていますが、希少疾病用医薬品の開発には不確実性を伴うことから開発の延長や中止を行う可能性、想定通りの内容で薬事承認が下りない、または薬事承認に想定以上の時間を要する可能性、想定した薬価を下回る可能性等があります。また、事業基盤が安定するまでの先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上しキャッシュ・フローはマイナスが続くことから、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため医薬品業界における豊富な知識と経験を有する独立社外取締役を選任し、個々の開発プロジェクトに基づくダイドーファーマ株式会社の事業計画に対するモニタリングを強化し、また医薬品業界の経験を長く積んだ事業開発、新薬開発、薬事、メディカルアフェアーズ、そして承認取得後の体制を含めたエキスパート人材を整え、外部の有識者、機関、企業等の協力や支援を仰ぎながら事業運営を推進していきます。

 

上記以外にも事業活動を進めていく上において、大規模災害、法的規制、情報セキュリティの様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスクの影響度・発生可能性を分析した「リスクマップ」を作成し、環境の変化に応じた重要リスクを決定・対策を講じることによりリスクマネジメントを推進しています。

 

 

(3)人口動態の変化による中長期的リスク

人口減少・少子高齢化が続く国内市場を中心に、人口動態の変化がビジネスに与える影響は、今後ますます高まっていくと当社グループでは考えています。2023年度よりシナリオ分析のフレームワークを応用し、サプライチェーン全体の中で注視すべき中長期的なリスクに対する評価並びに対応策の進捗確認を実施しました。

 

リスク項目

事業インパクト

↑:非常に大きな影響

 ↗:やや大きな影響

→:軽微な影響

現時点で実施している対応策

分類

サプライ

チェーン

考察

中期(2029年度)

長期

(2030~2040年)

生産年齢

人口の減少

営業・
販売

■国内飲料事業

オペレーション人財の不足により自販機稼働台数が減少するリスク

・スマート・オペレーションの推進

製造・
調達

■医薬品関連事業

適切なスキル・知識を持った専門人財の確保ができないリスク

・キャリア採用の強化

■食品事業

製造部門における人財確保が進まないことによる需要に応じた製造ができないリスク

・省人化に向けた設備の導入・更新

・EDI活用による業務効率化の推進

・多様な人財の確保

物流

■医薬品関連事業

スケジュール通りに商品を配送できないリスク

・新たな輸送・保管方法の検討

採用

■食品事業

未来の事業を支える新卒採用者の確保ができないリスク

・新卒採用者向けの新たな施策の実施

・グループ連携での人財育成の計画

 

人口減少の影響は、一部の分野で売上・利益への影響を及ぼすものの、事業の縮小に繋がる可能性は限定的で事業戦略による対応が充分可能だと考えています。しかしながら人財の確保においては、中長期的に重要な影響を及ぼす可能性があることを認識しています。

当社グループでは、これらのリスクに対応するために、人財育成や生産性の向上に向けた人財投資を強化しています。今後も継続的なリスクのモニタリングを実施するとともに、リスク低減に向けた対応策の検討を中長期的な視点で実施していきます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は、以下の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2025年1月21日~2026年1月20日)の我が国経済は、緩やかな景気回復が続く中で設備投資や賃上げが進むなど、明るい動きが各所に見られています。一方で、食料品など身近なものの価格の上昇が続き、個人消費の回復は、賃金・所得の伸びに比べて力強さを欠いた状況にあります。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることを期待されていますが、今後の物価動向や米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要な状況です。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、景気を下押しする可能性があります。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要があります。

 国内飲料業界においては、消費者の節約志向が高まる中、2024年10月および2025年10月に飲料メーカー各社が実施した価格改定により、市場全体の販売数量は前連結会計年度を下回り、当社が主軸を置く自販機市場においても飲料市場全体と同様に販売数量が減少しました。当社グループの海外主要市場であるトルコでは、2023年6月の政策金融会合以降、高インフレ抑制に向けた政策金利の段階的な引き上げが実施され、高い金利水準が維持されていますが、高インフレ、リラ安は継続しています。

 このような市場環境の中、当社グループは2030年のありたい姿「グループミッション2030」に掲げた「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」の実現に向け、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」を遂行しています。本中期経営計画では、「国内飲料事業の再成長」「海外飲料事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」を3つの基本方針のもと、取り組みを進めています。

 当連結会計年度の連結売上高は、トルコ飲料事業を中心とした海外飲料事業が好調に推移し、2,412億36百万円(前連結会計年度比1.7%増)、連結営業利益は、国内飲料事業と食品事業における減収および原価高騰による売上総利益の減少が影響し、41億63百万円(前連結会計年度比13.1%減)となりました。連結経常利益は、正味貨幣持高に関する損失や為替差損などを営業外費用に計上したことなどから、14億67百万円(前連結会計年度比51.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は、国内飲料事業において自販機等の事業関連資産の減損損失を計上したことなどから、303億22百万円(前連結会計年度は38億4百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 〈連結経営成績〉

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

実績

増減率(%)

増減額

売上高

237,189

241,236

1.7

4,046

営業利益

4,789

4,163

△13.1

△626

経常利益

3,023

1,467

△51.5

△1,556

親会社株主に帰属する当期純損益

3,804

△30,322

△34,127

 

 

 海外飲料事業の主要拠点であるトルコにおいて3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを受け、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」(以下、超インフレ会計)に定められる要件に従い、会計上の調整をしています。

 

(ご参考)超インフレ会計に定められる要件による会計上の調整額

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

IAS第29号

調整前

調整額

IAS第29号

調整前

調整額

売上高

233,124

4,065

238,360

2,876

営業利益

5,723

△933

4,942

△779

経常利益

4,972

△1,948

4,238

△2,771

親会社株主に帰属する

当期純損益

5,421

△1,616

△27,647

△2,675

 

 なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次の通りであります。

 

 ⅰ.売上高

当連結会計年度の売上高は、2,412億36百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。

国内飲料事業については、飲料の販売数量減少やサプリメント通販チャネルの定期顧客数減少などが影響し、減収となりました。海外飲料事業については、主力のトルコ飲料事業において高インフレが継続する中、販売価格や販売促進に関する機動的な施策の実行に加え、ブランドロイヤリティ向上のための広告投下などにより、販売ボリューム・金額ともに前連結会計年度を上回り、増収となりました。医薬品関連事業については、ドリンク剤の需要減退を好調なパウチ製品の受注が上回り、増収となりました。食品事業については、節約志向の高まりや記録的猛暑による外出控えなどを背景に販売数量が減少し、減収となりました。希少疾病用医薬品事業については、ダイドーファーマ株式会社の新薬第1号となる、ランバート・イートン筋無力症候群治療剤ファダプス®を2025年1月から販売し、増収となりました。

 

 ⅱ.営業利益

当連結会計年度の営業利益は41億63百万円(前連結会計年度比13.1%減)となりました。

国内飲料事業については、減収や原価高騰による影響を受けて売上総利益が減少したことなどから、前連結会計年度と比較して減少し、セグメント損失となりました。海外飲料事業については、主力のトルコ飲料事業において、リラ安や高インフレを背景とした各種コストの上昇による影響を受ける中でも、増収効果が上回り、増益となりました。医薬品関連事業は製品ミックスの改善や工場再編に伴って稼働停止中の製造設備にかかる減価償却費を営業外費用に計上したことなどから、増益となりました。食品事業については減収に加え、売上高に占める原材料価格や包材価格、労務費などが上昇し減益となりました。希少疾病用医薬品事業については、増収により販売費及び一般管理費を一部吸収したことで、赤字幅が縮小しました。

 

 ⅲ.経常利益

当連結会計年度の経常利益は、14億67百万円(前連結会計年度比51.5%減)となりました。

営業外収益は、前連結会計年度と比較して25百万円増加し、14億1百万円となりました。また、営業外費用は、超インフレ会計の適用による影響である正味貨幣持高に関する損失が前連結会計年度と比較して9億77百万円増加し、18億36百万円となったことなどから、前連結会計年度と比較して9億55百万円増加し、40億97百万円となりました。

 

 

 ⅳ.親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、303億22百万円(前連結会計年度は38億4百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

特別利益は、前連結会計年度に投資有価証券売却益51億33百万円を計上していたことなどから、前連結会計年度と比較して49億74百万円減少し、5億56百万円となりました。また、特別損失は、国内飲料事業において自販機等の事業関連資産の減損損失を計上したことなどから、298億26百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の1株当たり当期純損失は、957.83円(前連結会計年度は120.66円の1株当たり当期純利益)となりました。

 

〈セグメント別経営成績〉

(単位:百万円)

 

売上高

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率
(%)

増減額

国内飲料事業

147,519

142,651

△3.3

△4,867

海外飲料事業

56,263

65,341

16.1

9,077

医薬品関連事業

13,124

13,435

2.4

311

食品事業

20,651

19,570

△5.2

△1,081

希少疾病用医薬品事業

8

606

597

調整額

△378

△368

9

合計

237,189

241,236

1.7

4,046

 

 

(単位:百万円)

 

セグメント利益又は損失(△)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率(%)

増減額

国内飲料事業

986

△2,284

△3,271

海外飲料事業

5,083

7,547

48.5

2,464

医薬品関連事業

277

829

198.8

551

食品事業

1,157

487

△57.9

△670

希少疾病用医薬品事業

△621

△321

300

調整額

△2,093

△2,095

△1

合計

4,789

4,163

△13.1

△626

 

(注1)報告セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでいます。

(注2)報告セグメントごとの営業利益又は営業損失は、ロイヤリティ控除前の数値です。

(注3)海外飲料事業について、超インフレ会計に定められる要件に従い、会計上の調整をしております。この調整により、前連結会計年度において、売上高は40億65百万円増加、セグメント利益は9億33百万円減少、当連結会計年度において、売上高は28億76百万円増加、セグメント利益は7億79百万円減少しています。

 

ⅰ.国内飲料事業

国内飲料事業は、ダイドードリンコ株式会社とその傘下のグループ会社が担っています。自販機を主力販路とし、商品の製造や物流は外部に委託、自社の経営資源は商品の開発と自販機オペレーションに集中しています。自販機チャネルにおける2030年のありたい姿を「自販機市場において、絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます」と定め、自販機市場における確固たる優位性の確立に取り組んでいます。

当連結会計年度の国内飲料市場は、消費者の節約志向が高まる中、2024年10月および2025年10月に飲料メーカー各社が実施した価格改定により、市場全体の販売数量は前年を下回り、当社が主軸を置く自販機市場においても飲料市場全体と同様に販売数量が減少しました。

このような環境下において、当社グループの国内飲料事業の飲料部門では、収益重視の方針のもと、自販機の不採算先の政策的引き上げと優良ロケーションへの新規設置などを通じて筋肉質な自販機網の構築、スマート・オペレーションの導入と継続的な改善による自販機オペレーションの生産性向上に取り組みました。さらに、自販機を通じた新たな価値創造をめざし、トヨタ自動車株式会社およびウーブン・バイ・トヨタ株式会社が開発を進める実証実験の街「Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)」において、空間に調和する新しい自販機「HAKU(ハク)」の1号機を設置し、実証実験を開始しました。

また、商品戦略としては、「どんな時代でも、水やお茶などのくらしに近いエッセンシャルドリンクは、おいしさはそのままに、生活に寄り添った価格でお届けしたい」という思いのもと、価格優位性のある「ハートプライス」商品ラインアップを自販機チャネルにおいて展開しました。また、「振って飲める缶入りチーズケーキ」という新しいスタイルを楽しめる「バスクチーズケーキ」や、お米入り缶スープ飲料「旨辛ユッケジャンクッパ風スープ」など当社ならではのユニークな商品を発売し、新たな顧客層の獲得を図ったほか、ロングセラーシリーズ「デミタス」から「デミタスティーエスプレッソ紅茶仕立て」を発売するなど、既存ブランドによる価値提供も実施しました。しかしながら、消費者の節約志向の高まりなどを背景に販売数量が減少し、減収となりました。利益面においては、減収や原価高騰による売上総利益の減少などから、減益となりました。なお、当社グループでは、アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」)と自動販売機事業に関する包括的業務提携契約を締結しており、当社が設置する自販機においてアサヒ飲料の商品を販売するほか、アサヒ飲料が保有する一部自販機のオペレーションも担っております。2025年9月に発生したアサヒグループホールディングス株式会社へのサイバー攻撃によるシステム障害が当社グループの業績に与える影響は一定程度あったものの、期末時点では概ね解消しております。

サプリメント通販チャネルは前連結会計年度の下期以降に広告投資を抑制したことから、売上基盤となる定期顧客が減少し、減収となりました。現在は新規顧客の効率的な獲得を推進しつつ、定期継続促進策を展開することで、顧客基盤の再構築を進めています。利益面については、減収による売上総利益の減少が影響し、減益となりました。

なお、海外輸出チャネルについては組織改編に伴い、2024年9月24日以降の業績は海外飲料事業に計上していることから、前連結会計年度比では売上高の下押し要因となっています。

以上の結果、国内飲料事業の売上高は、1,426億51百万円(前連結会計年度比3.3%減)、セグメント損失は、22億84百万円(前連結会計年度は9億86百万円のセグメント利益)となりました。

※日常生活で欠かせない、基本的な飲料のこと

 

ⅱ.海外飲料事業

当社グループの海外飲料事業は、2030年のありたい姿を「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します」と定めています。中核となるトルコ飲料事業は、炭酸飲料やミネラルウォーターを中心とした自社ブランドの清涼飲料の製造・販売を行っています。2024年2月に子会社化したポーランドのヴォサナ社では、果汁飲料やミネラルウォーターを中心とした自社ブランドの清涼飲料の製造・販売に加え、大手小売企業のプライベート・ブランドや他社飲料ブランドの受託製造を担っています。その他、中国飲料事業、グループ会社商品の輸出入事業を展開しています。

当連結会計年度におけるトルコ市場は、高インフレ抑制に向けた高金利政策が打ち出されているものの、高インフレ・リラ安が続いています。このような状況の中、当社グループのトルコ飲料事業においては、戦略的な価格改定と機動的な販売促進活動を継続して実施したほか、ブランドロイヤリティ向上に向けた広告投資などにより、販売ボリュームと販売単価をともに伸ばし、大幅増収となりました。利益面においては、インフレやリラ安を背景とした原材料価格の高騰、人件費の上昇などの影響があったものの、増収効果が上回り、増益となりました。

当連結会計年度におけるポーランド市場は、物価上昇の長期化や2024年4月の食品に対する付加価値税の復活などによる影響で、消費者の節約志向が高まっています。また、2025年5月と8月には天候不順に見舞われ、飲料市場は一時的に停滞しました。このような状況の中、当社グループのポーランド飲料事業においては、2025年4月に新たな製造ラインを稼働し、受託製造品の受注を拡大したほか、インフレに伴う価格改定の実施により増収となりました。利益面については、原価上昇影響を増収により吸収したことに加え、前連結会計年度に買収に伴う一過性費用を計上していたことやポーランドズロチに対する円安も影響し、増益となりました。

中国飲料事業では、景気後退を背景とした消費者の節約志向の高まりや、一部小売店における販促要請の高まりなど事業環境が厳しくなる中で、利益重視の方針のもと、販促費の最適化を図りながら、現地生産品の無糖茶の拡販に注力しました。

以上の結果、海外飲料事業の売上高は、653億41百万円(前連結会計年度比16.1%増)、セグメント利益は、75億47百万円(前連結会計年度比48.5%増)となりました。

 

ⅲ.医薬品関連事業

医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、医薬品・指定医薬部外品をはじめとする数多くの健康・美容等のドリンク剤・パウチ製品等の受託製造に特化したビジネスを展開し、2030年のありたい姿を「健康・美容分野での製造受託企業No.1になります」と定めています。お客様ニーズにあった製品の開発と、奈良工場・関東工場の2拠点4工場を展開する充実した生産体制と高い品質管理体制を強みとして、医薬品メーカーから化粧品メーカーまでの幅広い顧客基盤を有しています。

当連結会計年度におけるドリンク剤市場は縮小した一方、パウチ容器入りの指定医薬部外品の市場は引き続き堅調な需要が続いています。

このような状況の中、当社グループの医薬品関連事業においては、市場縮小の流れを受けてドリンク剤の受注が減少しましたが、パウチ製品の受注が引き続き増加し、工場稼働日を増やすなど生産体制を強化しながら増産に対応したことから、増収となりました。セグメント利益は、製品ミックスの改善や工場再編に向けて稼働を停止している一部製造設備の減価償却費を営業外費用に計上したことなども影響し、増益となりました。

以上の結果、医薬品関連事業の売上高は、134億35百万円(前連結会計年度比2.4%増)、セグメント利益は、8億29百万円(前連結会計年度比198.8%増)となりました。

 

ⅳ.食品事業

食品事業を担う株式会社たらみは、様々な食感を自在に実現する「おいしいゼリー」を作る技術力とブランド力を大きな強みとして、ドライゼリー市場においてトップシェアを誇るほか、蒟蒻パウチゼリー市場においても一定のシェアを獲得しています。2030年のありたい姿を「フルーツとゼリーを通して、『おいしさ』と『健康』を追求し、すべての人を幸せにします」と定め、「たらみらしい、おいしい、楽しい」 商品をあらゆる販売チャネルで購入できる機会の創造に取り組んでいます。

当連結会計年度のドライゼリー市場は、消費者の節約志向が高まる中での各社の値上げに加えて、記録的猛暑による外出控えも販売面に影響し、前連結会計年度を下回りました。このような状況の中、当社グループの食品事業は、効果的な提案営業活動により自社ブランドの市場シェアは拡大したものの、厳しい市況の影響を受けて販売数量が減少し、減収となりました。セグメント利益は、減収に加え、売上高に占める原材料価格や包材価格、労務費が上昇したことにより、減益となりました。

以上の結果、食品事業の売上高は、195億70百万円(前連結会計年度比5.2%減)、セグメント利益は、4億87百万円(前連結会計年度比57.9%減)となりました。

 

ⅴ.希少疾病用医薬品事業

希少疾病用医薬品事業を担うダイドーファーマ株式会社(以下、ダイドーファーマ)は、当社グループの新規事業領域拡大への取り組みとして、2019年に設立されました。2030年のありたい姿を「治療選択肢のない希少疾病に苦しむ患者様へ治療薬を提供します」と定め、希少疾病を対象とした新たな治療薬の日本国内での製造販売承認を取得して患者様への提供をめざしています。

ダイドーファーマの新薬第1号となる、ランバート・イートン筋無力症候群治療剤ファダプス®が、2024年9月に製造販売承認を取得、2025年1月より販売しており、売上高が伸長しています。また、現在開発中のDYD-701の開発推進、および新たな治療薬候補となる優良なパイプラインの獲得に向けて活動を続けています。

以上の結果、希少疾病用医薬品事業の売上高は、6億6百万円(前連結会計年度は8百万円の売上高)、セグメント損失は、3億21百万円(前連結会計年度は6億21百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

なお、当社グループは、飲料・食品の製造販売を主たる業務としており、四半期単位での経営成績には、季節的変動があります。

(単位:百万円)

連結売上高

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

2025年1月期

53,164

64,413

62,594

57,017

237,189

通期に占める割合(%)

22.4

27.2

26.4

24.0

100.0

2026年1月期

52,963

64,737

67,249

56,286

241,236

通期に占める割合(%)

22.0

26.8

27.9

23.3

100.0

 

連結営業損益

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

2025年1月期

△628

2,911

4,102

△1,595

4,789

通期に占める割合(%)

60.8

85.6

100.0

2026年1月期

△1,445

2,827

3,836

△1,055

4,163

通期に占める割合(%)

67.9

92.2

100.0

 

〈ROIC実績※1

 

 

国内飲料事業※2

海外飲料事業

非飲料事業※3

連結

2025年1月期(実績)

0.4%

13.7%

4.1%

3.5%

2026年1月期(実績)

△10.4%

13.7%

4.7%

3.1%

 

(ご参考)グループミッション2030で掲げるROIC目標値※1

 

 

 

国内飲料事業※2

海外飲料事業

非飲料事業※3

連結

成長ステージ

(2023年1月期~2027年1月期)

4%

13%

0%

4%

飛躍ステージ

(2028年1月期~2030年1月期)

17%

5%

17%

8%以上

※1 超インフレ会計適用前、投下資本はセグメントへの投下分

※2 サプリメント通販事業を除く

※3 国内飲料事業のうちサプリメント通販事業、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業

 

「グループミッション2030」のKPIの一つとしてROICを設定し、現在遂行中の「中期経営計画2026」に該当する「成長ステージ」と最終ステージである「飛躍ステージ」の最終年度の目標値について、グループ連結目標とともに、「国内飲料事業」「海外飲料事業」「非飲料事業」でそれぞれ目標を設定しています。各セグメントにおいて、それぞれの事業特性に合わせた、利益率改善、資産回転率向上に向けたKPIを設定し、従業員それぞれが資本効率を意識した取り組みを進めることで、当社グループ全体の「稼ぐ力」を高めていきます。

 

〈財政状態〉

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

 

流動資産

92,044

94,152

2,108

固定資産

93,202

68,659

△24,543

資産合計

185,247

162,812

△22,434

 

流動負債

63,547

55,992

△7,554

固定負債

28,192

41,924

13,732

負債合計

91,739

97,916

6,177

純資産合計

93,507

64,895

△28,611

 

当連結会計年度末の総資産は、主力の国内飲料事業において自販機等の事業関連資産の減損損失を計上したことにより、前連結会計年度末と比較して224億34百万円減少し、1,628億12百万円となりました。

当社グループの連結財政状態の前連結会計年度末と比較した主な増減要因等は、次の通りです。

 

ⅰ.ネット・キャッシュ

当連結会計年度末の金融資産(現金及び預金、有価証券、投資有価証券(関係会社株式を除く)、長期性預金)は、前連結会計年度末と比較して7億45百万円減少し、511億60百万円となりました。また、当連結会計年度末の有利子負債(短期/長期借入金、短期/長期リース負債・債務、社債、長期預り保証金)は、前連結会計年度末と比較して、30億49百万円増加し、397億66百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末のネット・キャッシュ(金融資産-有利子負債)は、前連結会計年度末と比較して37億94百万円減少し、113億94百万円となりました。

 

ⅱ.運転資本

当連結会計年度末の売上債権は、前連結会計年度末と比較して32億67百万円増加し、296億54百万円となりました。また、当連結会計年度末の棚卸資産は、前連結会計年度末と比較して9億70百万円増加し、168億38百万円となりました。一方、当連結会計年度末の仕入債務は、前連結会計年度末と比較して42億76百万円増加し、294億47百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は、前連結会計年度末と比較して38百万円減少し、170億45百万円となりました。

 

ⅲ.固定資産

当連結会計年度末の有形固定資産は、前連結会計年度末と比較して250億77百万円減少し、348億72百万円となりました。無形固定資産は、前連結会計年度末と比較して4億59百万円減少し、114億6百万円となりました。これらの主な要因は、当連結会計年度に自販機等の事業関連資産の減損損失298億26百万円を計上したことが影響しています。また、投資その他の資産は、投資有価証券の時価変動などにより、前連結会計年度末と比較して9億93百万円増加し、223億79百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末と比較して245億43百万円減少し、686億59百万円となりました。

 

ⅳ.流動負債・固定負債

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比較して75億54百万円減少し、559億92百万円となりました。また、当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末と比較して137億32百万円増加し、419億24百万円となりました。これらの主な増減要因は、前連結会計年度末に計上されていた1年内償還予定の社債100億円を当連結会計年度に償還した一方で、新たに無担保社債50億円を発行したことや、長期借入金を前連結会計年度末と比較して78億56百万円増加させたことなどが影響しています。

 

 

ⅴ.純資産

当連結会計年度末の株主資本は、自販機等の事業関連資産の減損損失計上などにより、前連結会計年度末と比較して313億53百万円減少し、619億55百万円となりました。

また、その他有価証券評価差額金は、時価変動により、前連結会計年度末と比較して12億58百万円増加し、28億23百万円となりました。当連結会計年度末の為替換算調整勘定は、主にトルコリラの為替変動により、前連結会計年度末と比較して23億14百万円増加し、△16億98百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して286億11百万円減少し、648億95百万円となりました。

 

〈キャッシュ・フローの状況〉

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

10,824

11,409

584

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,595

△12,110

△515

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,708

300

2,008

現金及び現金同等物に係る換算差額

△899

△361

538

超インフレの調整額

△693

△1,003

△309

現金及び現金同等物の増減額

(△は減少)

△4,071

△1,765

2,305

現金及び現金同等物の期首残高

33,713

29,642

△4,071

現金及び現金同等物の期末残高

29,642

27,877

△1,765

 

 

②生産、受注及び販売の実績

ⅰ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月21日

至 2026年1月20日)

前年同期比(%)

海外飲料事業(百万円)

44,343

108.6

医薬品関連事業(百万円)

13,286

102.4

食品事業(百万円)

19,441

94.8

合計(百万円)

77,071

103.7

(注)金額は販売価格によっております。

 

ⅱ.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月21日

至 2026年1月20日)

前年同期比(%)

国内飲料事業(百万円)

66,858

103.5

海外飲料事業(百万円)

4,623

124.8

合計(百万円)

71,481

104.6

 

ⅲ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月21日

至 2026年1月20日)

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

海外飲料事業

19,002

108.4

121

143.4

医薬品関連事業

13,215

110.7

2,918

106.9

合計

32,218

109.4

3,039

108.0

 

ⅳ.販売実績

当連結会計年度の販売実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 2[財務諸表等](1)[財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は以下のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,248百万円となっております。

 国内飲料事業では、それぞれの分野において商品開発、マーケティングから販売管理までを一貫してマネジメントし、自販機という販売網を自社で有する強みを生かしたロングセラー商品の開発と育成に努めております。また、自販機を通じた新たな価値創造に向けて、「Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)」に、空間に調和する新しい自販機「HAKU(ハク)」を設置し、実証実験を行っております。

 国内飲料事業に係る研究開発費は、446百万円であります。

 海外飲料事業では、トルコ飲料事業において新商品開発及び既存商品の改良を行っております。また、国内飲料事業とのシナジーの発揮による飛躍的成長の実現にチャレンジしております。

 海外飲料事業に係る研究開発費は、55百万円であります。

 医薬品関連事業では、医薬品を中心とする数多くの健康・美容飲料等のドリンク剤やパウチ製品等の研究開発を重ね、お客様のニーズにあった製品の創造と厳格な品質管理や充実した生産体制により、安全で信頼される製品を製造しております。

 医薬品関連事業に係る研究開発費は、139百万円であります。

 食品事業では、生産から販売に至るまでの構造改革並びに意識改革を加速させ、お客様の多面的なニーズに対応した、驚きや感動を生む商品開発に努めております

 食品事業に係る研究開発費は、210百万円であります。

 希少疾病用医薬品事業では、製造販売承認を取得した新製品「ファダプス®錠10mg」の適正使用に係る情報提供と品質保証・安定供給で市場浸透を図るとともに、DYD-701の開発推進及び新たな治療薬候補となる優良なパイプラインの獲得に向けて取り組みを継続しております。

 希少疾病用医薬品事業に係る研究開発費は、341百万円であります。

 調整セグメントでは、グループミッション2030で設定したマテリアリティの一つである「こころとからだにおいしい商品の提供」に向けて、飲料・食品を通じた健康価値創出力を高めるための基盤として、2025年3月21日付で「ダイドーグループ未来共創研究所」を設置いたしました。本研究所は、グループの研究開発の知見を有した研究員と、外部の力を活用したオープンイノベーション型の研究開発活動を推進し、飲料・食品に適用可能な新規機能性素材、並びに、それを活かす製造技術及び既存機能性素材の新規活用法などの創出をめざし、複数のテーマに関する共同研究の準備を進めております。

 調整セグメントに係る研究開発費は、56百万円であります。