当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、「人の成長に、すべてを。」を経営理念として掲げ、お客様への継続的な価値あるサービスを提供することを使命と考え、お客様のシステム・ソフトウェアの開発・運用保守を支援する事業を展開してまいりました。
今後もこの経営理念を踏まえ、顧客に良質で革新的なサービスをお届けする、個性豊かな価値を生み出し続けられる人材を育成することを経営の基本方針とし、これまで培った経験・技術力・サービス力を活かし、顧客サービスを一層向上させ、継続的な努力によって社業の拡大・発展を期します。そして、地域社会と共に発展できる地域の中核企業としての役割を目指します。
(2)経営環境及び経営戦略
①経営環境
当社が属する情報サービス産業においては、様々な産業におけるIT化・デジタル化への流れは継続してみられ、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する動きや、働き方改革に対応したデジタルツールの導入等、企業の旺盛なIT投資の流れは継続すると予測されます。一方で、需要に対してITエンジニアは慢性的に不足しており、企業のこうした動きが遅れる懸念も見られます。当社ではITエンジニアの需要は、今後も継続して拡大していくものと考えており、優秀なITエンジニアの採用・教育に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症がようやく落ち着きを見せ、アフターコロナに向けた動きが加速しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で経営環境は大きく変化しました。
テレワーク営業、テレワーク開発支援、テレワークサポートといった働き方の新たなスタイルの中、顧客のIT投資動向の変化、顧客とのパートナーシップの強化、個別プロジェクトの進捗状況、ビジネスパートナー・製品ベンダー企業との連携強化を図り、顧客満足度の向上に努め、継続的な受注確保・拡大に努めております。又、ITエンジニアの確保につきまして、新型コロナウイルス感染症の影響でWeb面接が主流になりましたが、広告媒体への掲載、エージェントの有効活用、リファラル採用、転職フェア・オンライン転職フェアへの参加等を行い積極的な採用活動を継続しております。
②経営戦略
顧客は大手メーカー系SIer、ユーザー系SIerからの受注が多い状況の中、上流工程における要件定義・設計の高付加価値業務へのシフトを図っていく方針であります。又、既存顧客の他領域、新規顧客の開拓に向けて営業活動を継続してまいります。
又、コスト面での優位性がこれまで以上に重要になりつつあることを踏まえ、ニアショア開発拠点の開発体制を更に強化してまいります。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社は経営上の目標を達成するために、常駐・開発に従事する人員数と稼働率と1人当たり平均契約単価を重要な指標として認識しております。そのため、質の高い人材の確保を目的とした積極的な採用活動、社内研修の充実、安定的な受注の継続と新規受注の確保に努め、企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①既存顧客の維持と新規顧客の開拓
安定的な売上・収益を確保するため、既存顧客とのリレーションシップの強化を図り、新規顧客の開拓を継続的に行ってまいります。
②プロジェクトマネジメントの強化
受託開発の強化に伴い、高品質・高生産性の確保が重要な課題であると認識しております。今後のプロジェクトの受託に備えて、管理スキル・技術スキル・分析問題解決スキル・顧客折衝スキル等のプロジェクトマネジメント力の強化を図っていく必要があると認識しています。
③人材(ITエンジニア)の確保及び育成
技術革新が続く情報サービス産業において安定的成長を維持するため、各サービス提供を支える優秀な人材(ITエンジニア)を確保することは重要な課題と認識しております。当社が求める人材(ITエンジニア)の確保に向けた採用と、将来を見据えた人材(ITエンジニア)育成に積極的に取り組んでまいります。
④ビジネスパートナーの維持・拡大
新規プロジェクト・増員プロジェクト発生時の迅速な体制構築、要員不足の解消、要求スキルに応じた人材(ITエンジニア)提案に向け、ビジネスパートナーの関係維持・拡大を継続的に行ってまいります。
⑤リスクマネジメントの強化
社会的責任を遂行する上で、リスク管理は極めて重要であると認識しております。あらゆるリスクに対して、経営理念・行動規範に則り、会社全体でリスクを共有し、人的・物的な経営資源の損失を最小限にとどめるため、コンプライアンス体制の整備・運用、情報セキュリティ対策の推進・強化を継続的に行ってまいります。
⑥財務基盤の安定
当社は本書提出日現在において、必要になった資金につきましては内部留保及び営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、財務上の課題はないと判断しております。
今後も財務上の課題が発生する可能性は低いと考えておりますが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上で、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)当社が目指すサステナビリティ経営方針
当社は「経営理念」と「行動理念」に基づく企業活動を通じて、当社を支えていただいている全てのステークホルダーと地域社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、当社の中長期的な企業価値の向上と持続的経営の実現に努めます。
①重要課題及び目標項目
当社はサステナビリティから考えられる機会とリスクを抽出し、経営上の重要課題及び目標項目を特定しました。
重要課題及び目標項目は以下の通りであります。
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重要課題 |
目標項目 |
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・ITソリューションによる社会課題の解決 |
・新商品・新サービスを開発する ・社会課題解決製品・サービスによる販路拡大 |
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・安心・安全な製品・サービスの提供 |
・顧客向けアンケート実施率向上 ・顧客向けアンケート回答結果の向上 ・インシデント発生件数0件 |
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・事業活動による環境負荷の低減 |
・ISO14001(環境マジメントシステム:EMS)の取得 |
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・未来に向けた人材創出とダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
・資格取得率の向上 ・資格取得人数の増加 ・新規採用数の増加 ・採用数のコミット率改善 ・2024年までに女性の役職者を増加させる |
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・SDGs経営の実践 |
・社員のSDGs理解率を高める ・SDGs経営の公表を行う |
②重要課題に対する取り組み
重要課題及び目標項目に対して専任の担当執行役員を任命し、長期的な価値の創造に向けて、重要課題及び目標項目への取組を推進しております。
重要課題への取組は以下の通りであります。
|
重要課題 |
取組内容 |
関連するターゲット・ゴール(注) |
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・ITソリューションによる社会課題の解決 |
・社会課題解決に貢献する新製品・新サービスを開発する |
SDGs9-1 |
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・安心・安全な製品・サービスの提供 |
・顧客とのコミュニケーション強化 ・顧客満足度の向上及びインシデントの低減を行う |
SDGs9-1 SDGs16-5 SDGs17-17 |
|
・事業活動による環境負荷の低減 |
・環境改善い向けた事業活動を推進・管理するための仕組みを構築する |
SDGs7-3 SDGs12-5 SDGs13-1 SDGs15-4 |
|
・未来に向けた人材創出とダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
・未来を担うIT人材を育成する ・ITエンジニア不足の改善 ・女性活躍促進 |
SDGs7-3 SDGs5-1 SDGs8-2,8-5,8-8 SDGs10-3 |
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・SDGs経営の実践 |
・社内へのSDGs浸透 ・取り組みの対外的公表を充実 |
SDGs4-4 SGDs17-17 |
(注)関連するターゲット・ゴールは、2015年9月の国連サミットで採択された、持続可能な開発のための2030アジェンダで掲げられた国際目標。
(2)ガバナンス体制
当社は中長期的な企業価値の向上と持続的経営の実現を重視しており、目標項目の取組状況等について専任の執行役員が担当しております。目標項目毎の取組状況について取締役会に適宜報告することにより、取締役会が当社のサステナビリティ経営に関しての監視機能を持つことになります。
(3)リスク管理
当社は重要課題及び目標項目を抽出する過程において、当社の代表取締役、執行役員、幹部社員により複数回の検討会議を開催しました。主に当社が属する業界動向や環境、社会・地域、経済・ガバナンス技術におけるリスクと機会を分析いたしました。担当執行役員が各重要課題及び目標項目に関連するリスクについて責任をもって対応方針を検討し、システム開発事業部、人事管理事業部、情報管理事業部及び社長室が中心となって対応しております。
当社ではコンプライアンス管理規程を制定するとともに、リスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス体制整備のための意思決定を行っております。また、コンプライアンスに関する教育・研修を適宜開催し、コンプライアンス意識の維持・向上に努めております。
(4)人的資本に関する取組
当社は持続可能な世界を目指し、社員教育・研修を充実させ、組織を構成する一人ひとりの業務に対するレベルアップを図るとともに、責任ある社員の育成を行い、多用な選択肢のあるキャリアプランを描くことができる制度を構築し、事業を通じた社会への還元を行ってまいります。
また、テレワークの普及・定着、オンライン化、非対面化等、新たな生活様式への対応を通じて、持続可能な地域社会の発展に貢献してまいります。
具体的な取組は以下の通りであります。
|
・女性の積極採用 |
・有給休暇の取得推進 |
|
・各種教育、研修制度の充実 |
・ハラスメントに関する防止規程の制定及び相談窓口の設置 |
|
・テレワークの推進 |
・定期健康診断の実施 |
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・労働時間管理や長時間労働抑制に関する社内意識の共有 |
・ストレスチェックの実施 |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
又、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
①経済動向及び市場環境による影響
(顕在化可能性:中、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
現状において、顧客企業におけるシステムやIT関連への投資意欲は旺盛であるものと認識しておりますが、今後、経済動向や情報サービス市場環境の変動により、顧客の情報システムへの投資抑制、予想を超える価格競争、技術革新への対応が遅れる等の事態が発生した場合、又、法律、税制、会計制度等の各種規制・制度の変動により顧客の業績悪化等の事業環境が悪化した場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
顧客企業に常駐し、開発業務のサービスを提供する同業他社は多く存在します。人材の確保、営業力等の質的な差別化が今まで以上に要求され、企業間の競争はさらに激しくなっていくものと考えられます。そのような環境のもと受注競争が激しくなり、同業他社の低価格戦略や顧客企業からの値下げ要求を受ける可能性もあります。顧客ニーズの変動への的確な対応ができる営業戦略・人材育成に取り組んでおりますが、競合が厳しくなるなかで受注が十分に確保できない、受注価格や利益率が低下すること等によって、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③新型コロナウイルス感染症の影響について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
新型コロナウイルス感染症の影響は、ワクチンの普及等により、ようやく落ち着きを見せ、国内外の景況感は回復に向かいつつあります。しかしながら、新たな変異型の発生・流行により経済環境が大幅に悪化した場合には、各産業のIT投資が低迷するおそれがあり、当社の顧客企業からの受注減少、稼働低迷により当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
又、当社役員、従業員及びビジネスパートナーの感染リスクや人材確保が滞る等、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性や時期を正確に予測することは困難ですが、当社ではアフターコロナ時代を見据えた対応を推進して参ります。
(2)事業活動に関するリスク
①顧客企業との契約期間について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社の顧客企業は、東京証券取引所プライム上場企業等大企業が多く、顧客企業との契約は単月又は3ヶ月、6ヶ月更新と短くなっているものの、契約継続率が高く、短期間における売上高の大幅な変動はないものと考えております。ただし、顧客企業の環境の変化及び事情により、顧客企業との契約継続率が低下し、長期間の受注が確保できない場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②人材確保、育成について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社は、システム開発の技術サービスを提供しているため、人材は重要な経営資源であり、優秀な人材の確保が事業の継続及び拡大の必要条件であります。
人材の採用については顧客企業のさまざまな設計・開発ニーズに対応すべく、オンライン説明会やWEB面談等の採用手法を取り入れ、積極的な採用活動を継続しております。今後の顧客ニーズに対応するため、特に他社でのエンジニア経験者等の即戦力人材の中途採用に力を入れ、併せて離職率の低下に取り組んでおります。人材の育成については最長4ヶ月の技術研修の実施、階層別研修の実施、有識者による勉強会の開催、1on1ミーティングの実施等を行い、人材流出防止に努めております。
しかしながら、人材の確保が十分に行えない場合や人材の流出が少なくない場合は、顧客企業からの設計・開発ニーズ、人材要請に対応できないことになり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ビジネスパートナーとの連携について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社は、事業運営に際して、ビジネスパートナー(外注先)との連携体制を構築しております。2023年3月期において、当社の総製造費用に占める外注費の割合は19.5%であり、ビジネスパートナーとの連携は事業の継続及び拡大において重要な位置づけを有しております。今後も信頼性、技術力が高いビジネスパートナーを増やし連携することが重要であると認識しております。
しかしながら、これらのビジネスパートナーと円滑な連携がとれない、あるいは関係に変化が生じる、もしくは何らかの理由で連携解消がされた場合、サービスの提供に支障が発生する等によって、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④一部顧客企業への依存について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社の顧客企業には、2023年3月期の売上高において全体の20.5%を占める株式会社アルディートと、15.7%を占める伊藤忠テクノソリューションズ株式会社があります。特定の顧客の経営状況の変化、経営方針の変更が、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、これら売上高上位先への依存度を低くするべく、新規顧客企業の獲得を進め、一部顧客に依存することによるリスクの軽減に努めておりますが、何らかの理由で顧客分散化が進展しなかった場合、当該リスクを完全に回避できるものではありません。
⑤機密情報の管理について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
当社の業務には技術的にも営業的にも高い秘匿性が求められる業務が多く、情報セキュリティの重要性が一層高まっています。当社では2012年6月に情報セキュリティの管理方法に関する国際標準であるISO/IEC27001の認証を取得し、運用管理を徹底しております。
しかしながら、情報漏洩が発生してしまった場合は、顧客等からの損害賠償請求の可能性が発生するほか、信用の低下による受注の減少等によって、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥検収による業績への影響について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
当社は、顧客企業から依頼される新規開発・保守開発等を受託しております。要件定義・設計・開発を請け負って完成すべき業務の遂行や成果物に対して対価を受領しております。請負契約で完成すべき業務や成果物に係る契約不適合責任等の追及を受ける可能性があります。当社では、契約不適合責任等に係るリスクを軽減するために、システム開発個別契約書において、完成すべき業務や成果物の仕様、検収方法を明確に定義しております。又、システム開発の要件定義等、顧客からの要望については必ず記録化のうえ、保管を行っております。
しかしながら、設計・開発スケジュールの関係で納品時期・顧客企業の検収時期等が何らかの事情により延伸した場合、契約不適合責任等の追及を受けた場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
①労働者派遣法等による規制について
(顕在化可能性:中、影響度:大、発生する時期:特定時期なし)
当社は、業務系システム開発とWeb系システム開発の業務知識・プログラミングスキルを保有した当社社員が顧客企業に常駐し、開発業務を行うサービスを提供しております。システム開発の契約形態は、当社社員を派遣する派遣契約、専門的な知識を活かし業務を実施する準委任契約があります。当社では関係法令の遵守に努め、労働者派遣又は準委任契約の遂行を行っておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当したり、法令に違反した場合には当該サービスの停止が命じられ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
又、労働者派遣と準委任契約により行われるサービスの区分に関しては、厚生労働省告知の『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分』に関する基準において指揮命令系統の明確化や請負の独立化等の点について示されています。当サービスにおける請負契約についても、実質的に労働者派遣とみなされ労働者派遣法に違反するような場合には当該サービスの停止が命じられ、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、業務の健全かつ適正な運営のため、業務の実態の内部監査を実施しており、労働法・労働者派遣法を含む各種法規と照らし合わせて違反となっていないか調査を実施しておりますが、新たな法規制の緩和や改正等が行われ、当サービスに不利な影響を及ぼす場合、又、これら法令等に抵触したことにより処分等を受けた場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
許認可の状況
|
許認可の名称 |
許認可番号 |
有効期限 |
所管官庁 |
|
労働者派遣事業許可 |
派01-300315 |
2025年10月31日 |
厚生労働省 |
②下請代金支払遅延等防止法について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社は当社の業務の一部を業務委託契約の締結に基づいてビジネスパートナーに委託することがありますが、当該行為においては「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)が適用される場合があります。当社は、当該法令を遵守して事業運営を行っておりますが、運用の不備等により法令義務違反が発生した場合には、行政処分を受ける等による、当社の社会的信用の失墜等で、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
①災害等について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
地震、火災、水害、テロ、コンピュータウイルス感染等による災害が発生した場合、当社は事業継続計画(BCP)に基づき、事業活動への被害を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、そのレベルによっては業務の全部又は一部が停止し、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②訴訟、係争の可能について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
当社では、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社の業績等に一定の影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いと認識しております。 当社では事業活動の遂行に際し、内部統制の充実やコンプライアンスの強化に努めております。
③配当政策について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
当社は、当社が持続的に発展することに加え、株主への利益還元を行うことも経営上の重要な課題の一つであると認識しており、業績及び資金の状況並びに株主への利益還元策等を総合的に判断し、配当の実施について決定しております。したがって、当社の業績及び資金の状況により、配当の実施及び配当額に影響を及ぼす可能性があります。
④資金使途について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
当社の新規発行による手取金の使途につきましては、人件費、人材採用費、人材教育費及び研究開発費に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金使途へ予定どおり資金を投入したとしても、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。
又、今後の事業環境の変化や、当社事業戦略等の変更等により、将来において調達資金に係る資金使途に変化が生じる可能性があります。又、計画通りに資金を使用した場合においても、期待通りの効果を得られない可能性があります。
⑤特定人物への依存について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社の創業者であり、創業以来の事業推進者である代表取締役会長の工藤雅之は、当社の事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定等、当社の事業活動全般において、極めて重要な役割を果たしております。
当社では過度に当該者に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化に取り組んでおります。しかしながら、何らかの理由による当該者による業務遂行が困難となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥大株主について
(顕在化可能性:低、影響度:中、発生する時期:特定時期なし)
当社の代表取締役会長の工藤雅之の資産管理会社である株式会社Kam Internationalが保有する議決権保有割合は本書提出日現在78.00%であります。
当該資産管理会社は引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら、何らかの事情によって、当該資産管理会社が、当株式をやむを得ず売却することとなった場合には、当社株式の市場価値及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦投資有価証券について
(顕在化可能性:低、影響度:小、発生する時期:特定時期なし)
当社は、各事業年度の資金計画に基づき余剰資金の一部を投資有価証券により運用しています。投資有価証券への投資に際しては、定期的に時価や発行体の財務状況等を把握するなど、その安全性にも十分留意しています。しかしながら、株式市場における大幅な株価下落、金利や為替レートの変動により投資価値が大幅に減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態の状況
a.資産の部
当事業年度末における流動資産は、1,986,899千円(前事業年度末比243,178千円の増加)となりました。これは主に現金及び預金の増加236,362千円、売掛金の増加28,208千円によるものです。
固定資産は、484,939千円(前事業年度末比1,604千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の減少11,958千円、ソフトウエアの減少744千円によるものです。
この結果、当事業年度における総資産は、2,471,839千円(前事業年度末比241,573千円の増加)となりました。
b.負債の部
当事業年度末における流動負債は、814,621千円(前事業年度末比86,290千円の増加)となりました。これは主に買掛金の増加10,385千円、未払費用の増加23,839千円、賞与引当金の増加29,000千円によるものです。
固定負債は、145,169千円(前事業年度末比52,931千円の減少)となりました。これは長期借入金の減少52,931千円によるものです。
この結果、当事業年度における総負債は、959,790千円(前事業年度末比33,360千円の増加)となりました。
c.純資産の部
当事業年度末における純資産合計は、1,512,048千円(前事業年度末比208,214千円の増加)となりました。これは主に利益準備金の増加1,510千円、繰越利益剰余金の増加203,342千円によるものです。
この結果、自己資本比率は、61.2%(前事業年度末は58.5%)となりました。
②経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス第8波の収束、政府による全国旅行支援策の効果、水際対策緩和や円安効果などにより個人消費やインバウンド消費など内需を中心に緩やかな景気回復がみられたものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による資源・原材料価格の高騰による物価の上昇、世界的なインフレ進行、金融引き締め等により、先行き不透明な状況で推移しました。
一方で、当社が属する情報サービス産業におきましては、新たなビジネスモデルの創出や変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが底堅く、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。
又、アフターコロナ期に移行する中で、働き方の多様化等の諸問題により、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連に取り組む企業はさらに増加することが見込まれます。
当社を取り巻く環境は、テレワークの定着、オンライン化、働き方の多様化への対応が求められる中、既存顧客との関係維持、満足度の向上を図るとともに、新規人材の採用・育成、新規顧客の開拓、新規案件の獲得及び既存案件の追加獲得に注力してまいりました。
その結果、当事業年度の経営成績につきましては、売上高3,654,259千円(前事業年度比8.1%増)、売上総利益は894,177千円(同3.8%増)、営業利益は430,875千円(同3.4%減)、経常利益は435,897千円(同1.4%減)、当期純利益は289,852千円(同4.2%減)となりました。
なお、当社はシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、1,517,358千円(前事業年度末比436,362千円の増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りでありあます。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、367,005千円となりました。(前事業年度は422,618千円の収入)となりました。これは主に売上債権の増加28,028千円などがあった一方で、未払費用の増加24,159千円、未払消費税等の増加40,105千円、賞与引当金の増加29,000千円、税引前当期純利益435,897千円などにより資金獲得したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果得られた資金は、198,955千円となりました。(前事業年度は326,648千円の支出)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入200,000千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、129,599千円となりました。(前事業年度は41,697千円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入100,000千円、長期借入金の返済による支出144,599千円、配当金の支払による支出85,000千円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度における受注実績は次の通りであります。なお、当社はシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
|
システム開発事業 |
3,799,475 |
112.3 |
168,021 |
736.7 |
|
合計 |
3,799,475 |
112.3 |
168,021 |
736.7 |
c.販売実績
当事業年度における販売実績は次の通りであります。なお、当社はシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
システム開発事業 |
3,654,259 |
108.1 |
|
合計 |
3,564,259 |
108.1 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
㈱アルディート |
816,064 |
24.1 |
749,500 |
20.5 |
|
伊藤忠テクノソリューションズ㈱ |
431,293 |
12.8 |
571,789 |
15.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
①財政状態の状況
財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」をご参照ください。
③キャッシュ・フローの状況・検討内容
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、人件費の支払いから販売代金の入金までの期間の運転資金が資金需要となり、当社のフリーキャッシュ・フロー並びに金融機関からの借入れによる資金調達を行うことを基本としております。効率的な人材配置と債権回収により営業キャッシュ・フローの増加に努めるとともに、借入金につきましては、長期資金の割合を高めて、財務健全性の維持を図り、当事業年度末における借入金の残高は273,101千円となっております。なお、資金調達の機動性と安全性を図るため、取引先金融機関6行(北洋銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、みずほ銀行、北海道銀行、楽天銀行)と取引をしております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥経営戦略と現状と見通し
当社の中長期における最大の課題は優秀なITエンジニアの確保・定着であります。生産年齢人口が減少している中、IT人材の需要は年々高まっており、人材獲得の競争はより一層激化するものと考えております。ITエンジニアの確保及び人材を中長期において成長させることが何よりも不可欠であることから、人材採用・教育をより一層充実させていくために、必要な施策を実施していく考えであります。
⑦経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑧経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標」に記載の通り、常駐・開発に従事する人員数と稼働率と1人当たり平均契約単価を重要な経営指標としております。なお、過年度の各指標の推移は以下となります。
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指標 |
前事業年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
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人員数(延べ人数) |
4,552人 |
4,893人 |
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稼働率 |
100.0% |
100.0% |
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1人当たり平均契約単価 |
611千円 |
621千円 |
該当事項はありません。
当事業年度の研究開発活動の状況は次の通りであります。なお当社事業は、システム開発事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
(1)研究開発目的と体制
当社の研究開発につきましては、システム開発事業部 研究開発本部において開発を行っており、当事業年度末の研究開発に従事する人員は、3名であります。
(2)研究開発の概要
①会計パッケージ開発
他にない独自のサービス・アプリケーションの提供に取り組むべく、社内企画開発の一環として類似性のない、又
は独創性のある企画を提案することを目的として、会計パッケージソフトの開発を行っております。
会計パッケージソフトの開発では、最低限必須となる機能について開発を行うものであり、市販パッケージと同等
以上のソフトを目指しております。
(3)研究開発の成果
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当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) |
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会計パッケージソフト開発 ・画面設計、サーバー機能(API)作成、データベー ス設計 ・クライアント機能検証 ・帳票様式等の変更の取り込み |
(4)研究開発費に関する基本的な考え
内製開発スキルを向上し、次期フェーズ・運用保守対応や顧客へのソリューション提案が本計画に関わった社員を
中心に実現できるという人材育成の目的もあります。
上記の考えに基づき、会計パッケージソフトの開発には、特定の人員の時間を割り当てておりますが、研究開発費
を売上高研究開発費率といった指標に基づき拠出はしておりません。
(5)研究開発費用
当事業年度において支出した研究開発費用の総額は、