当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営理念として「お客様に心から喜んでいただける企業になる」「プロとしての倫理観と実行力を備えたプロフェッショナル集団になる」「お客様に可愛がられること、優れた人材を創出することを通じて社会に貢献できる企業になる」という3つを掲げ、また当社ミッションとして「IT障害をゼロにする」、当社ビジョンとして「IT活用で永続的に成長し、事業・社会へ貢献する」と定め、これらを実現することを経営方針としております。
(2)経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスに係る行動制限の解除を受けて社会活動が回復傾向の兆しが見え始めました。一方ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や円安、中国の不良債権問題の悪化による不動産市場の低迷等により、景気の先行きは依然として不透明な厳しい状況になりました。
企業においては、これまでの少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き手ニーズの多様化に加え、働く場所にとらわれない新しい働き方の定着、AIの急速な進展等に伴い、業務プロセスの効率化や自動化等の推進によるデジタルトランスフォーメーション(DX)や、さらには地球にやさしい環境を追究するグリーントランスフォーメーション(GX)がますます重要になってきています。
自動車や鉄道等の交通産業、金融機関、電力・ガス等のインフラ産業、自治体をはじめとする公共機関など、すべての事業体でITを活用したトランスフォーメーションの重要性がさらに高まるとともに、セキュリティ対策が併せて最重要テーマとなっております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、今後も「System Answer シリーズ」のライセンス販売による事業拡大を図るとともに、ITシステムのライフサイクルに応じたきめ細やかなコンサルティングやソリューションサービスの提供、さらにマーケットの変化に対応したサービスを積極的に展開することで、事業領域の拡大を図ってまいります。また、経営の安定化に向けたストックビジネスの拡大により、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。
当社グループでは、持続的成長により中長期的な企業価値の最大化を図るうえで、以下の項目を対処すべき重要な経営課題として考えております。
① お客様に寄り添ったITシステム運用課題の把握と的確な運用ソリューションの提供
ITシステムの規模及び適用業務範囲が拡大し、構成が複雑化する中で、その信頼性・可用性・保守性・完全
性・機密性を十分に維持・向上させることがお客様のITシステム運用における課題となっております。このよ
うなお客様のITシステム運用における課題を、お客様に寄り添うことにより適切に把握し、その課題に対する
的確な運用ソリューションサービスの提供を行うべく、運用に関するコンサルティング能力を継続的に強化・
向上させてまいります。
② 「System Answer シリーズ」のブランディング強化、認知度向上、提供形態拡充、新機能実装及び次世代開発
当社が独自に開発し、製造・販売する「System Answer シリーズ」のブランディングを強化し、また認知度
を向上させるため、今後も積極的に展示会への出展やセミナーの開催を行うとともに、当社のWEBサイトを充
実してまいります。
また、「System Answer G3」の販売促進をクラウドサービスでの提供も併せて積極的に展開するとともに次世
代製品開発を検討してまいります。
System Answer G3の予防保守、安定稼働の促進、カスタマーサクセスという三つの強みを更に強化し、最新の
技術と組み合わせることで、よりお客様のニーズにマッチした製品の提供と持続的な収益の向上をめざしてまい
ります。

③ 次世代MSP*サービス「SAMS」とAIを融合した次世代型新サービスの開発
24時間365日の有人監視体制でお客様システムの安定稼働や障害対応、分析等をサポートする次世代MSPサー
ビス「SAMS」は2017年8月のリリース以来、多くの企業に導入され、翌年には統合ログ管理ツールをクラウド
サービスとして提供する「LOG on SAMS」の開始などサービスの充実を図る中、日々膨大なデータが蓄積される
ようになってきました。今後は「IT障害ゼロ」を目指す運用サービス実現のため、当社ならではの性能分析ノウ
ハウや積上げてきた運用データを活用しながら、AIを融合した次世代新サービスの開発を推進してまいります。
(*) Management Service Provider(マネジメント・サービス・プロバイダー)の略。企業の情報システムの
運用管理を代行する事業者。
④ インテグレーション事業の本格展開
働き方改革によるワークスタイルの変化やクラウドシフト/リフトなどによる企業 IT インフラの変化への対
応を支援するために、2022年5月31日よりITインフラを中心に NI(Network Integration)/ CI(Cloud
Integration)サービス「IBC-Integration」を本格的に提供開始しております。「IBC-Integration」は、当社
が20年間に亘り蓄積したインフラ環境の分析・解析ノウハウをもとに、小規模から大規模まで、高信頼・高可用
なネットワークおよびクラウドを設計・構築するサービスです。お客様のお悩みに寄り添い、現状の課題分析に
基づくシステムの構築から “攻めのIT” 提案まで、幅広くご支援します。パートナー企業との連携により、ネ
ットワーク構築に特化した専門部隊を編成し、さまざまな規模の案件に対応できる体制を整備しており、本事業
をトリガーに「System Answerシリーズ」事業のライセンス販売や次世代MSPサービス「SAMS」等の他事業への展
開による規模拡大を目指してまいります。
⑤ デジタルマーケティングの導入
働き方改革によるワークスタイルの変化に加え、新型コロナウイルス感染症まん延による行動変化を受けたリ
モートワークへの対応等を背景に、お客様の業務のあり方も大きく変化しております。当社はお客様の業務・ニ
ーズの変化に応じ、マーケティングオートメーションツールの導入等、DXによる効果的かつ効率的なマーケティ
ングを導入しております。これらにより、お客様の課題をより的確に把握し、適切なソリューションの提供を目
指してまいります。
また、障がいを持つ方の自立支援団体「NPO法人AlonAlon」運営のオーキッドガーデンへ訪問取材を行い、支
援の輪がひろがるよう当社ホームページやSNS等で発信するなど社会貢献に向けた活動も実施しています。
⑥ 人材の確保と育成強化
事業の拡大及び中長期的な成長のためには、より高い専門性を有する人材の確保とともに、既存社員の能力及
びスキルの底上げが重要な課題となります。この課題に対処するために、有能な人材を採用するとともに、ネッ
トワークやクラウドの資格取得に向けた育成を積極的に推進してまいります。
また、働き方が変化していく中、仕事と子育てを両立し、すべての社員がその能力を十分に発揮できるよう環
境の整備を推進してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、継続的な収益向上の為、売上高・売上総利益・営業利益の成長とともに、ROE(*)を経営指標として重視しております。
また、製品やサービス、ビジネスモデルの変革を全社で進めていくうえで経済産業省が推進するDX推進指標を活用してまいります。
(*)ROE(Return on Equity) 株主資本当期純利益率
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、ビジョン「IT活用で永続的に成長し、事業・社会へ貢献する」のもと、企業や社会課題に対応
することで社会の持続可能な発展に貢献します。当社提供の製品を使用することにより、適切なリソース計画・配
備が可能となり、ユーザは資金面(コストの削減)のみならず過剰なハード設備をすることが無くなる(物理的な
IT資源の削減)と共に、システムの使用電力を抑制(CO2削減)することができ環境負荷の低減が図れます。
また、自らも社会、自然との共生を目指し、地球環境や人々の暮らしに関する課題に取り組むことで持続的な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指します。
(2)ガバナンス
当社グループは、お客様ITシステムの監視を行うライセンス提供を主としており、環境負荷の高い事業を行って
いないことから、気候変動問題に関しては今後の課題としております。しかしながら、地球環境の保全に配慮した
環境負荷の低減が、社会共通の重要課題であると認識し、以下の取り組みを実施しており、コーポレートサービス
部門が監視管理を行っています。
・社員の在宅勤務(通勤によるCO2発生の削減)
・WEB会議を推進(移動によるCO2発生の削減)
・廃棄していた広告FAXや雑誌の裏面を利用し、メモ帳としてリサイクルする「メモ帳運動」
の実施(資源の有効活用によるCO2発生の削減)
・調達品をグリーン購入への切り替え(環境影響に与える負荷の少ない製品の調達)
(3)人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針
ビジョンを実現すべく、一人ひとりがプロとしての倫理観と実行力を備えたプロフェッショナル集団になるべ
く、常に個を磨き、チーム力を高め、お客様への最大貢献を果たすべく「7つの価値基準を有した人材」を育成方
針として社内環境整備に取り組んでいます。
育成のポイントを整理したうえで、一人ひとりが成長し自ら学べる環境の整備につとめています。
|
7つの価値基準 |
育成ポイント |
社内環境整備 |
|
1.顧客志向 2.未来志向 3.柔軟性/スピード 4.協創 5.協調 6.プロフェッショナルリズム 7.愉快適悦 |
・お客様対応力/技術力 ・コンピテンシー /リーダーシップ力 ・マネジメント /チーム推進力 ・エンゲージメント/ES向上 |
・人事/評価制度 ・教育資格取得制度 ・社内DX整備 ・マネジメント研修 ・e-ラーニング制度 |
また、従業員の誰もがいきいきと働ける社内環境の整備として各種福利厚生制度を設定し、組織
の生産性向上、社員の柔軟な働き方を推進しております。
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産前・産後休暇 |
在宅勤務制度 |
アニバーサリー祝い |
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育児・介護休業 |
永年勤続表彰 |
養老保険 |
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短時間勤務制度 |
従業員持ち株会 |
各種諸手当等 |
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時差出勤制度 |
リフレッシュ休暇 |
誕生日祝い |
今後の取り組みとして以下2点を重点的に取り組んでまいります
①子育てサポート企業「くるみん認定」取得に向けた行動計画の推進
従業員へのヒアリング/要望/アンケートの実施、ノー残業デーの設置検討、学校行事休暇等
の設置検討、男性の育児に関する休暇取得推進等
②従業員エンゲージメント向上に向けた調査、分析、行動
・エンゲージメント診断(アンケートから組織の状態、従業員の状況を数値化)
・管理職へエンゲージメント結果のフィードバック
・マネジメント研修(施策立案含)
・施策実行
(4)戦略・指標・リスク
企業価値向上に向けて当社グループの戦略は、サステナビリティにおける重要課題について指標とリスクを明確
化し対応を推進しております。なお、各指標の目標は現在検討中です。子育てサポートと従業員エンゲージメント
については今後、重点課題に取り込み推進してまいります。
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重要課題 |
指標 |
リスク |
対策 |
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企業価値向上 |
ユーザの物理的 IT資源の削減 |
System Answer 売上 |
お客様IT資源の膨張に伴うCO2増大 |
ITシステムの運用監視状態から最適な構成を提案、導入 |
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環境負荷の低減 |
CO2削減施策数 |
投資コストの増加、 規制の変化への対応 |
予防、対策および予見の共有 |
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子育てサポート(今後推進) |
施策対応件数 |
従業員の流出、学生から選ばれない企業 |
従業員アンケートから施策を立案、実行 |
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従業員エンゲージメント向上 (今後推進) |
エンゲージメントスコア |
モチベーション低下、従業員の流出、マネジメントの低下 |
エンゲージメント診断から施策を 立案、実行 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境及び事業活動等に関するリスクについて
① 特定の製品への依存について
2023年9月期において、当社グループの売上高のうち、主力製品であり、かつ利益率の高い「System Answer G3」等のライセンス販売による売上高の割合が44.4%となっており、これらの製品において有力な競合が出現すること等により売上高が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② ライセンス契約の更新率について
当社は、「System Answer G3」等をライセンス販売しており、機能追加等によるバージョンアップを適宜実施し顧客に安心して継続的にご利用いただける環境構築に努めております。その結果、直近のライセンス更新率は高い水準で推移しておりますが、今後、契約更新率が急激に低下するような場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 業績の季節偏重について
当社は、案件進捗管理を行うことで売上計上時期が平準化するように努めておりますが、顧客の検収時期の影響を受けて、当社の売上計上時期は3月、4月及び9月に集中する傾向があります。一方で、販売費及び一般管理費は会計年度末以外は毎月ほぼ一定額の発生であることから、営業利益につきましては第1四半期連結会計期間において低くなる傾向があります。なお、当連結会計年度における各四半期連結会計期間の売上高及び営業損益は以下のとおりであります。
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
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第1四半期 連結会計期間 |
第2四半期 連結会計期間 |
第3四半期 連結会計期間 |
第4四半期 連結会計期間 |
通期 |
|||||
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金額 (千円) |
比率 (%) |
金額 (千円) |
比率 (%) |
金額 (千円) |
比率 (%) |
金額 (千円) |
比率 (%) |
金額 (千円) |
比率 (%) |
|
売上高 |
375,481 |
19.8 |
482,971 |
25.4 |
460,143 |
24.2 |
582,288 |
30.6 |
1,900,885 |
100.0 |
|
営業利益 |
14,283 |
- |
88,509 |
- |
71,848 |
- |
37,570 |
- |
212,212 |
- |
(注)1.比率は、通期に対する四半期連結会計期間の割合です。
2.四半期連結会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく四半期レビューは受けておりません。
④ 長期売上債権の与信リスクについて
当社のライセンス販売の一部の取引については、契約期間に基づき長期にわたり代金を回収する取引があります。当社では、与信リスクの低減を図るために与信管理関係の規程整備や債権管理システムを導入する等施策を講じておりますが、取引先の信用状況の悪化や経営破綻等が発生した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2023年9月30日現在において回収予定日が1年超の当社グループの売上債権残高は69,365千円あり、売掛債権全体の10.8%を占めております。
⑤ 景気変動、業界動向による顧客のシステム投資環境の変化について
セキュリティ強化、「働き方改革」の進展及びデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進・展開等の社会的な要因によるITインフラ投資の加速やクラウド利用の拡大を背景にIT業界は継続的に成長しており、当社の「System Answer シリーズ」の今後の販売も順調に推移するものと見込んでおります。また、サービスの提供(ネットワークコンサルティング等)についても堅調に推移するものと見込んでおります。
但し、景気変動や業界動向の急激な変化により、顧客のシステム投資の環境が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 製品の不具合(バグ等)の発生可能性について
当社グループは、顧客から喜ばれる製品やシステムの性能/情報分析に係るサービスを念頭に置いて製品の開発及び改良を行っており、不具合等の発生防止に日頃から努めておりますが、一般的にソフトウエア製品は高度化、複雑化すると、不具合を完全に解消することは不可能と言われており、当社グループの製品においても、各種不具合が発生する可能性は否定できません。現時点まで当社グループの責任による不具合の発生により、業績に多大な影響を与えたことはありませんが、製品や提供サービスに致命的な不具合が発生し、その不具合を適切に解決できない場合、当社グループの信用力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 知的財産権について
当社グループは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っておりますが、IT分野における急速な技術進歩やグローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であります。現在までのところ、当社グループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと、及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後当社グループの調査・確認漏れ、不測の事態が生じる等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 情報の取扱いについて
当社グループは、情報セキュリティ及び情報保護を経営の最重要課題の一つとして捉え、情報セキュリティ基本規程を定め、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしております。しかし、万一情報漏洩などの事故が発生した場合には、損害賠償等による予期せぬ費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 技術革新について
ネットワーク関連機器の技術革新は日進月歩で進化しており、当社グループでは、顧客ニーズに適時に応えることができる技術力の保持と迅速なサービス提供を目指しておりますが、対応の遅れによっては当社のライセンス製品の更新率やサービスの提供率が低下する等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 災害等について
当社グループでは、地震を含めた防災対策を徹底しており、当社の最重要資産であるソースコード等のデータは、本社から離れた場所にファイルサーバーを設置しバックアップを取得することで、地震により本社が被災した場合でも通常営業ができるように備えております。しかし、予想を超える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 半導体サプライチェーン等について
当社の事業領域はネットワーク等を中心としたITインフラであり、当該ITインフラは半導体を多数利用したハードウェアにより構成されております。これらのITインフラのハードウェアは一定の耐用年数を経過すると劣化するため、常時ハードウェアのリプレース等にITインフラが支えられております。
しかしながら、今後サプライチェーンの停滞や分断等により、ハードウェアの供給に支障が生じて取引先のITインフラが整わない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 事業の運営体制に関するリスクについて
① 特定人物への依存について
当社の創業者であり、創業以来の事業推進者である代表取締役社長CEO加藤裕之は、当社グループ事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定など、当社グループの事業活動全般において、極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、幹部職員の拡充、育成などに取り組んでおりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 内部管理体制の強化・充実について
2023年9月30日現在における当社の組織は、取締役7名、監査役3名、従業員77名(連結ベース86名)と比較的小規模であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。今後の持続的な成長を実現させるために人員増強を図るとともに人材育成に注力し、内部管理体制の一層の強化、充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が適時適切に行えなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 当連結会計年度の経営成績の概況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスに係る行動制限の解除を受けて社会活動が回復傾
向の兆しが見え始めました。一方ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や円高、中国の不良債権問題の悪化によ
る不動産市場の低迷等により、景気の先行きは依然として不透明な厳しい状況になりました。
企業においては、これまでの少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き手ニーズの多様化に加え、働く場所にと
らわれない新しい働き方の定着、AIの急速な進展等に伴い、業務プロセスの効率化や自動化等の推進によるデジ
タルトランスフォーメーション(DX)や、さらには地球にやさしい環境を追究するグリーントランスフォーメー
ション(GX)がますます重要になってきています。
自動車や鉄道等の交通産業、金融機関、電力・ガス等のインフラ産業、自治体をはじめとする公共機関など、
すべての事業体でITを活用したトランスフォーメーションの重要性がさらに高まるとともに、セキュリティ対策
が併せて最重要テーマとなっております。
このような環境下で当社は、長年当社の製品をご利用いただいているお客様へのサービス拡充およびネットワ
ークやセキュリティ対策のコンサルティングの強化をおこない、さらにパートナー企業様との連携分野では自治
体・教育委員会・大学をはじめとしたお客様におけるITシステム管理強化支援も実施してきました。特に当社の
強みであるお客様の既存IT環境の見える化・安定化により、昨年から本格的に提供している将来を見据えた最適
なITインフラを構築するためのインテグレーションサービスも、数多くのお客様からご採用いただいておりま
す。
また、「ITコストの最適化」「IT資産管理の効率化」に寄与する、自社開発のITシステム性能監視/情報管理
ツール「System Answer シリーズ」の機能拡充も図ってまいりました。具体的には、性能監視の分野と親和性の
高い他社製品との連携機能を提供し、日ごろの監視業務の効率化やトラブルシューティング時間の短縮に繋げ、
ユーザーの皆様の「IT障害をゼロにする」企業努力をアシストしております。また、本年9月にはPCやスマート
フォンなどのユーザー端末からクラウドサービスまでのレスポンス体感を可視化するオプション機能「CX監視オ
プション」をリリースいたしました。これにより、通信遅延の発生原因などを調査する際の原因切り分けや、改
善すべき箇所の絞り込みなどを素早く行うことができ、情報システムのご担当者様の業務負担を大きく軽減する
ことができる機能となっております。また、24時間365日の有人監視サービス「SAMS」でも、ランサムウェアへ
の対応および運用体制の強化を図りました。
当社グループは、ソフトウエア・サービス関連事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載
を省略しております。ソフトウエア・サービス関連事業の内、当社におけるITシステム監視関連に係る売上区分
別の業績は以下のとおりです。
ライセンスの販売については、昨年からの半導体不足やコロナ禍によるサーバーやネットワーク機器の納期問
題も回復傾向となり、新規案件の獲得が大幅に伸長しました。また、昨年度はライセンス更新時期のお客様の
97%がSystem Answerをそのまま更新していただけたとともに、System Answerから抽出した既存ITインフラの課
題からネットワークの見直しやセキュリティ対策等のビジネス案件を数多く頂くことができました。その結果、
ライセンス販売については売上高844,391千円(前期比33.5%増)、サービスの提供については売上高621,515千
円(前年比33.5%増)、その他物販等については売上高284,901千円(前期比1.4%減)となりました。また、連
結子会社の株式会社サンデーアーツにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から回復し、損益も若干
の黒字で推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,900,885千円(前期比26.6%増)、営業利益212,212千円(前期は48,017千円の営業損失)、経常利益は234,145千円(前期は22,606千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は70,369千円(前期は17,544千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、3,264,088千円(前連結会計年度末は3,255,762千円)となり、8,325千円増加しました。これは主に、現金及び預金が215,420千円、売掛金が12,683千円それぞれ増加した一方で、未収還付法人税が50,207千円、投資有価証券が157,407千円、のれんが19,899千円それぞれ減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,436,894千円(前連結会計年度末は1,424,947千円)となり、11,946千円増加しました。これは主に、買掛金が25,532千円、未払金が40,278千円、未払法人税等が62,107千円、それぞれ増加した一方で、長期借入金が109,996千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,827,194千円(前連結会計年度末は1,830,815千円)となり、3,620千円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い、利益剰余金が48,252千円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が51,872千円(前連結会計年度末は106,319千円)減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,621,738千円となり、前連結会計年度末に比べ215,420千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは431,645千円の収入(前連結会計年度は342,787千円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益139,598千円、仕入債務の増加25,532千円、未払金の増加40,278千円、法人税等の還付額50,207千円、減価償却費の計上37,710千円、のれん償却費19,899千円により資金が増加した一方で、売上債権の増加12,683千円、契約負債の減少32,510千円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは76,363千円の支出(前連結会計年度は199,383千円の支出)となりました。この主な要因は、無形固定資産の取得による支出27,945千円、保険積立金の積立による支出58,804千円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは139,860千円の支出(前連結会計年度は42,197千円の支出)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出116,896千円、配当金の支払22,056千円により資金が減少したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
イ 生産実績
当社グループは、生産活動は行っていないため該当事項はありません。
ロ 受注実績
当社グループの事業は、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であります。したがって、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
ハ 販売実績
当社グループはソフトウエア・サービス関連事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、当社グループの売上高の大半を占める当社におけるネットワークシステム監視関連事業に係る販売実績を提供区分別に示すと、次のとおりであります。
|
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ライセンスの販売 |
844,391 |
33.5 |
|
サービスの提供 |
621,515 |
33.5 |
|
その他物販等 |
284,901 |
△1.4 |
|
合計 |
1,750,808 |
26.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析
当社グループの財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載のとおりであり
ます。
ロ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度において、売上高1,900,885千円の主な内容は、アイビーシー株式会社におけるネットワークシステム監視関連に係る業績であります。なお、当社グループの当連結会計年度における売上高の詳細は次のとおりであります。
ライセンスの販売については、昨年からの半導体不足やコロナ禍によるサーバーやネットワーク機器の納期問題も回復傾向となり、新規案件の獲得が大幅に伸長しました。また、昨年度はライセンス更新時期のお客様の97%がSystem Answerをそのまま更新していただけたとともに、System Answerから抽出した既存ITインフラの課題からネットワークの見直しやセキュリティ対策等のビジネス案件を数多く頂くことができました。その結果、ライセンス販売については売上高844,391千円(前期比33.5%増加)、サービスの提供については売上高771,592千円(前年比33.2%増加)、その他物販等については売上高284,901千円(前期比1.4%減少)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度において、売上原価は564,884千円(前期比88,305千円の増加)となりました。主に、アイビーシー株式会社におけるライセンスおよびサービスの前期比売上増にともなう売上原価の増によるものです。その結果、売上総利益は1,336,001千円(前期比311,455千円の増加)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,123,788千円(前期比51,225千円の増加)となりました。販売費及び一般管理費について主なものとして、給与及び手当が373,135千円(前期比18,959千円の減少)、業務委託費が77,313千円(前期比3,551千円の増加)及び派遣社員費61,569千円(前期比23,301千円の増加)によるものであります。その結果、営業利益は212,212千円(前期は48,017千円の営業損失)となりました。
(営業外収益及び営業外費用)
当連結会計年度において、営業外収益は25,528千円(前期比4,000千円の減少)、営業外費用は3,596千円(前期比523千円の減少)となりました。営業外収益及び営業外費用について主なものとして、持分法による投資利益が11,905千円(前期比1,549千円の減少)によるものであります。
その結果、経常利益は234,145千円(前期は22,606千円の経常損失)となりました。
(特別利益及び特別損失)
当連結会計年度において、特別利益は発生しておらず、特別損失は94,547千円(前期比87,359千円の増加)となりました。その内訳は、投資有価証券評価損94,547千円を計上した結果によるものであります。その結果、税金等調整前当期純利益は139,598千円(前期は29,794千円の税金等調整前当期純損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度において、法人税住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は69,228千円(前期比81,478千円の増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は70,369千円(前期は17,544千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
ハ 経営戦略の現状と見通し
当社は自社開発の情報管理/性能監視ソフトウエア「System Answer シリーズ」の機能拡張やサポート強化によるITインフラ性能支援に加え、顧客のITインフラ環境へのセキュリティ診断や各種ソリューション提供を強化し、総合的なITインフラ運用支援により事業の顧客提供価値を一層高めてまいります。また、次世代に対応する開発製品への投資および人財への投資をより一層強化し、中長期的な成長の実現を目指します。
2024年9月期の連結業績予想といたしましては、売上高2,000百万円(当期比5.2%増加)、営業利益220百万円(当期比3.7%増加)、経常利益243百万円(当期比3.8%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は166百万円(当期比135.9%増加)を見込んでおります。
なお、上記に記載した予想数値は、現時点で入手可能な情報に基づいており、実際の業績等は、今後様々な不確定要素により大きく異なる可能性があります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用に係る費用、人件費、その他営業費用への資金需要があります。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達された資金を財源としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。