第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループ(当社及び連結子会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、医療を中心としたヘルスケア全般をITで支援し、それに関わる「国民の安心・安全な生活」や「社会や事業者が抱える課題解決」に寄与することで、企業価値の向上を目指しております。

 

(2) 経営戦略等

当社は新たに2024年9月期(2023年10月)からの3ヶ年計画である「中期経営計画 2026」を策定し、2023年11月27日に発表いたしました。「中期経営計画 2026」では、2022年11月16日に発表いたしました「中期経営計画 2025」で設定した以下の3つの成長戦略を着実に推進してまいります。

 成長戦略1:既存事業の収益拡大

 成長戦略2:既存事業の強みを生かした新たなサービスビジネスの創出

 成長戦略3:既存事業に次ぐ、成長事業の創出

 

(3) 経営環境

当社グループが事業を展開しております医療業界は、「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる「骨太方針2023」(2023年6月16日)において、日本は今、本格的な「少子高齢化・人口減少時代」を迎える歴史的転換期であり、これからも続く「超高齢社会」に備えて持続可能な社会保障制度を構築する必要があるため、医療DXの推進に向けた取り組みや、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めることとされております。また、デジタル庁が策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2023年6月9日アップデート)において、「健康・医療・介護」分野の国による関与(予算措置等)が、他の民間分野への波及効果が大きい準公共分野として指定されており、医療利用者数の急増が見込まれる中、担い手の負担軽減の観点からも、デジタル化とデータの利活用が重要な課題とされております。これらのことから、その中核を担う電子カルテシステムを含む医療情報システムは今後も普及拡大していくものと考えております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上の課題

当社グループは、医療を中心としたヘルスケア全般をITで支援し、それに関わる「国民の安全・安心な生活」や「社会や事業者が抱える課題解決」に寄与することを企業理念としております。この理念を実現し企業価値を最大化していくためには、グループ規模や事業領域を拡大するとともに、コンプライアンスや企業の社会的責任への取り組みを推進していくことが必要であり、以下に示す課題に対処してまいります。

① 既存事業の収益拡大

当社グループの主力製品は、医療機関向けの電子カルテシステム「MI・RA・Isシリーズ」であり、当社グループは、医療に関わるすべての人々のために、さらなる利便性や診療の効率化の追求、未来を見据えた柔軟性・発展性を念頭においた製品づくりを行い、院内から他施設、そして患者やその家族へつながる連携力のあるシステムを提供しております。

電子カルテシステムのみならず、当社グループの各製品・サービスにおいて製品力・営業力を強化し、また導入作業効率化や仕入れ品の集中購買等により原価低減を図っております。これに加え働き方改革や社員エンゲージメント向上への取り組みを強化し生産性向上を実現することにより、収益拡大を図ってまいります。

② 既存事業の強みを生かした新たなサービスビジネスの創出

当社グループのコア・コンピタンスは、医療をはじめとするヘルスケア領域全般における現場のニーズを理解し、中長期にわたり価値を提供しつづけることができる製品と人材を保有していることであります。このコア・コンピタンスを生かし、既存の顧客基盤や経営資源を活用・発展させ、新たな価値を継続的に提供し続ける高収益なサービスビジネスを創出してまいります。

一例として、2023年9月からスマートフォン向けPHR[1]サービス「からだメモ」・「ドクターメモ」[2]のパイロット実証を複数の医療機関で開始しておりますが、当該サービスは基本機能を無償とすることで広く普及を目指し、電子カルテシステム等の院内情報システム連携や予約/決済機能等の機能追加を順次実施(一部有償化)、更なるユーザー利便性を高めてゆくことで2024年のサービス開始から向こう1年間で利用者100万人獲得を目指しております。

 

③ 既存事業に次ぐ、成長事業の創出

当社は、新会社設立・出資・M&Aによりグループ会社を増やし、ヘルスケアを中心に事業領域を拡大しており、引き続き成長性が見込まれる事業の発掘と立ち上げを進めます。

M&Aについては積極的な展開が必要と考えており、将来的なM&A資金を確保するため、2023年10月に新株予約権 約15億円分を発行しております。

④ 内部管理体制の強化について

企業が社会的責任を誠実に果たすことは、安定した経営を継続するための必須条件です。

当社グループは、法令、定款、社会規範を順守するため、経営理念・経営方針に基づき、企業行動憲章、企業行動規範、コンプライアンス規程、リスク管理基本規程を制定し、グループ各社への周知を徹底するとともに、内部統制システムの構築・維持・向上に取り組んでおります。

また、監査等委員会設置会社として、取締役会の議決権を持つ監査等委員である取締役の監査により、コーポレート・ガバナンスの充実、取締役会の監査・監督機能の強化、経営の公正性・効率性の向上を図っております。

その他、情報セキュリティの管理を徹底し、当社グループに関わる情報資産を様々な脅威から守るとともに、製品やサービスを中心とした事業全般の品質管理についても、適切な運用・管理・維持・改善に取り組んでまいりたいと考えております。

 

[1]PHR:Personal Health Record

[2]からだメモ:患者が自身の健診情報や体調管理情報等を入力し、本人や家族が正確に把握。診療の際にも担当医師に伝達可能にする。

 ドクターメモ:「からだメモ」に対応するアプリケーション。患者が入力した情報を診療前に参照するとともに、医師個人向けに自動生成された診療メモを用い患者管理業務の負荷軽減を図る。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2024年9月期(2023年10月)からの3ヶ年計画である「中期経営計画 2026」において、2026年9月期までに、売上高20,000百万円、営業利益2,100百万円(営業利益率10.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,150百万円の達成を中期目標としています。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 人々の健康の維持・増進は持続可能な社会を築く上で根源的なものであり、また日本の財政や社会保障制度を持続可能なものとするためには、増大する国民医療費をどのように抑制していくのかも重要な課題です。当社グループは医療情報システムの提供や医薬品・医療機器の開発支援等を通じて引き続きこれらに貢献してまいります。加えて、人権・環境等のサステナビリティ課題についても重要な経営課題として取り組んでまいります。

 SDGsに関しては、当社グループが中期経営計画で目指している世界を実現するための取組みが、SDGsのいくつかの目標と完全に合致すると考えております。当社グループは、新生児から高齢者まで、そして日本だけでなく世界の人々に健康と福祉を届けるため事業を推進してまいります。また、日本では医療従事者の働き方改革が求められておりますが、医療現場の生産性を上げ、働きがいのある職場とするためには、情報技術やデータを活用した「仕組み」が必要であり、この「仕組み」が次世代の新たな基盤となり、多くの国々で利用されるよう取り組んでまいります。詳細については当社ホームページの「SDGsの取り組みについて」をご参照願います。

 

(1)ガバナンス

 当社は、子会社及び当社の業務執行を行う各部門責任者から、代表取締役社長並びに情報取扱責任者(管掌取締役)に適時報告がなされ、各取締役が発生事実を把握・対処しております。

 また、月1回開催される定時取締役会及び必要に応じ随時開催される臨時取締役会において、発生事実に対して協議などを行った上で、適宜対処しております。

 

(2)戦略

① 気候変動

 気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、当社グループは気候変動問題による事業への重大な影響はございません。

 一方、当社グループは気候変動問題に重大な影響を与える事業を行っておりませんが、同問題への対応は世界中の人々の持続的な生活、社会、経済活動において重要な取組みであるととらえており、当社は省エネやDX化等を加速し、企業活動による消費エネルギーの最適化を進め持続可能な社会の実現を目指してまいります。

② 人材

 当社グループは、人材の多様性が重要な経営課題であると認識しており、採用・昇進において、性別、国籍、新卒・キャリア採用等の違いによる差別はありません。しかしながら、当社グループは結果として多様性が十分に確保されているとはいえず、特に当社事業領域を勘案すると、女性の中核人材への登用を積極的に進めていく必要があると考えております。

 

(3)リスク管理

 当社は「リスク管理基本規程」をはじめとした各種規程の整備と内部牽制体制の充実を図るとともに、定期的な内部監査を実施することにより、サステナビリティを含めた、リスク顕在化を未然に防止するよう努めております。

 また、万一リスクが生じた場合、当社はその解決に向けて迅速に情報収集・分析を行い、リスク管理統轄機関を中心としたリスク管理体制のもと、的確な対応を行うこととし、法律上の判断が必要な場合は顧問弁護士と適宜連携できる体制を整備しております。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動

 当社グループは気候変動問題に重大な影響を与える事業を行っていないため、評価指標や目標は特に設定しておりません。一方、グループ全体での電力使用量や出張、通勤などに関わるCO2の排出量の定期的な把握も進めており、節電等、排出量の削減を引き続き、推進してまいります。

② 人材

 当社グループ管理職のうち女性は1割強にとどまっておりますが、引き続き、女性社員が働きやすくかつ士気が上がる職場作りを進めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。

 

リスク

具体例

取り組み

製品・サービスの品質

(システム障害)

・自社製品の電子カルテシステムに他社から仕入れた複数の部門システム(医事会計システム等)を組み合わせて医療機関に提供しているため、自社・他社製品を問わず、品質に問題が生じた場合、対応コストが発生する。また、システムの品質低下や機能強化の遅滞により、競争力が低下する。

・医薬品や医療機器等の臨床開発支援において、当社グループの責任下で、安全性に影響する情報の不適切な取り扱い、治験薬の不適切な管理、実施計画書や手順書の不遵守等が発生した場合、信用に影響し、将来の営業活動に影響を及ぼす。

・品質上の問題によりトラブルが生じ、賠償責任を負う。

・品質の維持向上についての教育を継続的に実施する。また、品質の保証・管理に関する体制を維持・強化する。

・各事業・製品において、その内容に応じた認証を取得し、又はガイドラインに適合し、品質の保全に努める。

人材の確保・育成

・人材確保や戦力化が計画通りに進まず、市場の成長に当社グループの人員体制が追いつかない。

・ICT技術の進歩への対応や顧客・業界の専門知識習得に遅れが生じた場合、相対的にスキルが低下し、競争力も低下する。

・全国から積極的かつ継続的に優秀な人材を採用し、魅力的な職場環境の提供に努める。

・進化する開発技術や顧客・業界の専門知識習得のための教育を継続的に行う。

情報セキュリティ

(コンピューターウイルスなど)

 

・コンピューターウイルスの侵入や役職員の過誤、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等により、重要データの漏洩、コンピュータープログラムの不正改ざん等の損害が発生する。

・昨今、医療機関を狙ったランサムウェアなどサイバー攻撃による被害が増加しており、当社作業に起因し感染した場合は、賠償責任を負う。

・情報セキュリティ教育を実施するとともに、事故防止の体制を構築する。

・また、各子会社において、その事業内容に応じて認証を取得し、その規格に則り適正な運用を行う。

・医療機関のシステムにアクセスするネットワークの安全性を高める。

・顧客医療機関に対し、万一感染した場合に備えた対応(バックアップの取得・復元等)について提案し、被害を最小限にとどめる。

法規制等

(政府の施策)

・電子カルテシステムや医薬品・医療機器の臨床開発に、新たな仕様・規格等についての法規制・ガイドライン・業界基準等が課せられた場合、それを満たすためのシステムや手順の改変、体制整備等の対応コストが発生する。

・行政機関や業界団体から情報収集し、適宜必要な手当を検討し、効率的で早めの対応を行う。

知的財産権

・第三者が当社グループの知的財産権を侵害し、当社グループに機会損失が生じる。

・第三者が当社グループによる知的財産権の侵害を主張し、訴訟等を提起する。

・知的財産に関する教育を行うとともに、当社グループの事業から生み出された知的財産権の特許取得や商標登録を行い、対抗要件を備える。

顧客の動向

(経営環境)

・当社グループの主要顧客である国内の医療機関や製薬企業の経営環境に大きな変化(診療報酬や薬価の大幅な減額、感染症の流行等)が生じ、当社グループとの取引額や件数が減少する。

・事業・顧客・地域(国内・国外も含め)の分散を図る。

取引先・競合先との関係

・競合先との競争激化により、売上高や利益率が低下する。

・新たな製品・サービスや販路を持った新規参入者が現れ、市場を奪われる。

・当社グループ役職員が、談合、カルテル、贈収賄、営業秘密の不正取得、優越的な地位の濫用等の法令違反行為に関与することにより、取引停止処分や信用失墜を招き、受注が減少する。また罰金により損失が発生する。

・原価構成要素を分析し、低減を図ることにより、競争がさらに激化しても利益を維持・向上できる体質を構築する。

・競合と同等以上のスピードや品質で、新たな製品・サービスを投入する。

・コンプライアンス教育を実施し、組織全体に浸透を図る。

新規事業

・「既存事業の強みを生かした新たなサービスビジネスの創出」、「既存事業に次ぐ、成長事業の創出」を、成長戦略の施策として掲げているが、これらの規模・時期・採算が計画より悪化した場合、売上や利益が減少し、中期経営計画が達成できない可能性がある。

・市場調査、開発・投資計画、販売戦略など、様々な観点から検討を重ねて新規事業に取り組む。

・新規事業の進捗を管理し、状況が悪化しそうなものを早期に把握し対応策を講じる。また、撤退ルールを定め、回復の見込みが立たないものについては早期に撤退し、損失を最小限に抑える。

業務提携、M&A

・業務提携やM&Aを通じて、積極的に事業や事業領域拡大を図り、グループ全体の企業価値向上を目指しているが、進捗に遅れが生じる。

・関係会社や投資先において、事業の収益性が著しく低下した場合や、財政状態が著しく悪化した場合、のれんの減損損失や株式の評価損等が発生する。

・事業企画機能の拡充により、情報収集・企画立案・業務遂行能力を上げ、事業や事業領域の拡大スピードを向上させる。

・関係会社については、経営状況をモニタリングし、必要に応じた経営支援を行う。

・投資先については、投資リターンや時価を分析し、売却等を含む対策を講じる。

取引先の破産

・当社グループの取引先において、破産手続開始申立等の事実が発生し、債権を回収できなくなる。

・新規取引先の与信調査を厳重に行うとともに、既存取引先の財務状況に関しても毎年調査を実施する。

収益認識

・収益認識基準に基づき、履行義務の充足に係る進捗度(見積総原価に対する発生原価の割合)を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する案件について、見積工数の変動やハードウエア・部門システムの納品遅延等の理由により見積りと実績が乖離した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

・受注時の見積精度向上を図るとともに、プロジェクトの進捗を継続して管理し、また、納期に遅延が生じそうなものは事前に把握し、調達の早期化等の対応策を講じる。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当期における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループが事業を展開しております医療業界は、「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる「骨太方針2023」(2023年6月16日)において、日本は今、本格的な「少子高齢化・人口減少時代」を迎える歴史的転換期であり、これからも続く「超高齢社会」に備えて持続可能な社会保障制度を構築する必要があるため、医療DXの推進に向けた取り組みや、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めることとされております。また、デジタル庁が策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2023年6月9日アップデート)において、「健康・医療・介護」分野の国による関与(予算措置等)が、他の民間分野への波及効果が大きい準公共分野として指定されており、医療利用者数の急増が見込まれる中、担い手の負担軽減の観点からも、デジタル化とデータの利活用が重要な課題とされております。これらのことから、その中核を担う電子カルテシステムを含む医療情報システムは今後も普及拡大していくものと考えております。

このような状況の中、当社グループの連結売上高は、前期第2四半期末に連結対象に追加した株式会社サンカクカンパニーの業績加算により増加した一方、電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ(ミライズ・エーズィー)」の販売において、前期に複数の大型案件の導入・更新があったことから、ほぼ前期並みの水準となりました。利益面におきましては、電子カルテシステムの売上減はあったものの、採算性の高い物件の販売に伴う利益の増加等により、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ前期比で増加しました。その結果、当期の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当期末の資産合計は、前期末に比べ338百万円増加し、11,244百万円となりました。

当期末の負債合計は、前期末に比べ162百万円減少し、4,660百万円となりました。

当期末の純資産合計は、前期末に比べ500百万円増加し、6,583百万円となりました。

 

b. 経営成績

当期の経営成績は、売上高13,632百万円(前期比0.5%減)、売上総利益3,690百万円(前期比16.8%増)、営業利益1,254百万円(前期比21.7%増)、経常利益1,257百万円(前期比20.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益687百万円(前期比16.9%増)となり、売上高を除いた各段階利益は過去最高となりました。

また、受注状況につきましても、受注高13,634百万円(前期比9.6%増)、受注残高は5,400百万円(前期末比18.3%増)となり、それぞれ過去最高となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

なお、当期より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

〔ヘルスケアソリューション事業〕

電子カルテシステムは、医療機関向けの自社パッケージ製品である「MI・RA・Isシリーズ」を中心に、他社の医事会計システム等の部門システムや、ハードウエア等を組み合わせ、主に中小病院向けに販売しております。当期におきましては、電子カルテシステムの販売において、受注高は過去最高だったものの、前期において複数の大型案件の導入・更新があったことから、売上高は前期をわずかに下回りました。

なお、電子カルテシステムの保守サービスや、製薬会社・医療機器メーカー等向け医薬品・医療機器等の臨床開発支援に係る売上高は増加しました。

これらに加え、医療情報システムの受託開発・運用管理、医療機関向け料金後払いシステムの開発、企業や健保組合からの健康相談窓口や特定保健指導の受託、人材事業等を行っている他、患者が自分の疾患を管理し担当医師との情報共有を促進するスマートフォン向けサービス「からだメモ」・「ドクターメモ」や、企業向けオンライン相談サービス「もこすく相談所(旧カラココ相談所)」等、新たな製品やサービスの開発にも取り組んでおります。

当社グループの大半を占めるヘルスケアソリューション事業の経営成績につきましては、前記の状況により、受注高13,208百万円(前期比8.4%増)、受注残高5,301百万円(前期末比19.5%増)、売上高13,168百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益1,396百万円(前期比23.3%増)となりました。

 

〔マーケティングソリューション事業〕

デジタルマーケティング支援は、企業や組織向けのWebサイト再構築(リブランディング)やWebプロモーション支援(Web広告の企画・制作・運用。SNSを含む。)、並びにデジタルマーケティング人材の育成等を行い、デジタルサイネージは、公共・商業施設向けの販売等を行うことにより、当セグメント業績の売上拡大に貢献しております。

前期第2四半期末に連結対象に追加した株式会社サンカクカンパニーの業績加算により売上高の増加があったものの、利益面につきましては、デジタルマーケティングにおいて前期に採算性の高い案件が多かったことなどにより前期比で減少しました。

マーケティングソリューション事業の経営成績につきましては、受注高425百万円(前期比60.3%増)、受注残高98百万円(前期末比23.1%減)、売上高464百万円(前期比69.8%増)、セグメント損失15百万円(前期セグメント利益8百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上等の要因により一部相殺されたものの、売上債権の増加、法人税等の支払額、長期借入金の返済による支出などにより、前期末から820百万円減少し、当期末には3,138百万円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は795百万円(前期は1,550百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額939百万円、法人税等の支払額612百万円があったものの、税金等調整前当期純利益1,262百万円、減価償却費392百万円、賞与引当金の増加額88百万円、棚卸資産の減少額114百万円、仕入債務の増加額176百万円、未払金の増加額89百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は861百万円(前期は763百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出275百万円、無形固定資産の取得による支出566百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は754百万円(前期は306百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出567百万円、配当金の支払額180百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

前期比(%)

ヘルスケアソリューション事業(千円)

9,928,018

92.4

マーケティングソリューション事業(千円)

246,653

175.7

合計(千円)

10,174,671

93.4

(注) 1  生産実績は当期製造費用で表示しております。

  2  セグメント間の取引については相殺消去しております。

  3  当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。

 

b. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期末比(%)

ヘルスケアソリューション事業

13,208,437

108.4

5,301,871

119.5

マーケティングソリューション事業

425,970

160.3

98,917

76.9

合計

13,634,408

109.6

5,400,788

118.3

(注) 1  金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

       2  当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期比及び前期末比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

前期比(%)

ヘルスケアソリューション事業(千円)

13,168,016

98.1

マーケティングソリューション事業(千円)

464,088

169.8

合計(千円)

13,632,104

99.5

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

       2 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。

  3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、最近2連結会計年度において、総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

(資産合計)

当期末の総資産は11,244百万円となり、前期末に比べ338百万円増加いたしました。

流動資産は7,055百万円となり、前期末に比べ45百万円減少いたしました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が939百万円増加したものの、現金及び預金が820百万円、仕掛品が114百万円減少したことによるものであります。

固定資産は4,188百万円となり、前期末に比べ383百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が151百万円、無形固定資産が209百万円増加したことによるものであります。

 

(負債合計)

当期末の負債合計は4,660百万円となり、前期末に比べ162百万円減少いたしました。

流動負債は3,620百万円となり、前期末に比べ357百万円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が40百万円、未払法人税等が43百万円減少したものの、買掛金が176百万円、短期借入金が100百万円、未払金が74百万円、賞与引当金が88百万円増加したことによるものであります。

固定負債は1,040百万円となり、前期末に比べ520百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が526百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産合計)

当期末の純資産合計は6,583百万円となり、前期末に比べ500百万円増加いたしました。これは主に自己株式の取得により99百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益687百万円の計上及び剰余金の配当180百万円などにより利益剰余金が506百万円、非支配株主持分が46百万円増加したことによるものであります。

 

b. 経営成績

当期の経営成績は、売上高を除いた各段階利益は過去最高となりました。

(売上高)

当期の連結売上高は、前期第2四半期末に連結対象に追加した株式会社サンカクカンパニーの業績加算により増加した一方、電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ(ミライズ・エーズィー)」の販売において、前期に複数の大型案件の導入・更新があったことから、13,632百万円(前期比0.5%減)とほぼ前期並みの水準になりました。

 

(営業利益)

当期の営業利益は、前記の電子カルテシステムに係る採算性の高い物件の販売に伴う売上総利益の増加等により、1,254百万円(前期比21.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、主として営業利益の増加により、687百万円(前期比16.9%増)となりました。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

2023年9月期(2022年10月)からの3ヶ年計画である「中期経営計画 2025」では、2025年9月期までに、親会社株主に帰属する当期純利益930百万円(2026年9月期には1,150百万円)、流通株式時価総額11,000百万円(同15,000百万円以上)、顧客医療施設数1,150施設(同1,200施設以上)とすることを目標としておりました。当期の実績と2025年9月期目標に対する進捗率は、親会社株主に帰属する当期純利益687百万円(進捗率73.9%)、流通株式時価総額6,960百万円(進捗率63.3%)、顧客医療施設数917施設(進捗率79.7%)となりました。

2024年9月期(2023年10月)からの3ヶ年計画である「中期経営計画 2026」においては、これらを更新し、2026年9月期までに、売上高20,000百万円、営業利益2,100百万円(営業利益率10.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,150百万円とすることを目指します。なお、当社は2023年10月20日付で東証プライム市場から東証スタンダード市場に移行し、同市場における上場維持基準を充足しているため、「中期経営計画 2026」においては、流通株式時価総額の目標を設けておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループの当期におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

(財務戦略の基本的考え方)

当社グループの資金需要は、主として事業活動に必要な外部仕入、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金と事業伸長・生産性向上及び新規事業の創出を目的とした投資資金の二つに大別されます。

短期運転資金は営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入れで賄っており、M&A・設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入れにより調達しております。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループの経営資源の配分に関しましては、上記の基本的な考え方を基に、新規事業の創出に向けた備えと事業開発費用及び設備投資等に、経営資源を重点的に配分してまいります。また、当社グループでは株主還元についても経営における重要課題のひとつと考えており、2023年9月30日を基準日とする1株当たり配当金を前期12円から14円に増額しました。加えて、2022年12月5日開催の取締役会において、東京証券取引所における市場買付による自己株式の取得を決議し、2023年2月までに累計で99百万円(179,400株)の自己株式を取得いたしました。なお、当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りにつきましては、過去の実績・現状・将来計画に基づく合理的な判断を基礎として行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年9月25日開催の臨時取締役会において、第三者割当により発行される第4回新株予約権の募集を行うこと、並びに割当予定先とのコミットメント条項付第三者割当契約を締結することについて決議いたしました。その後、2023年10月11日に第4回新株予約権証券の発行価額の総額の払込みが完了しております。

第4回新株予約権証券の発行につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは医療に関わる様々なニーズに応えるべく、ヘルスケアソリューション事業において、主力である電子カルテシステムの製品価値向上に向けた最新技術の導入や新規システムの開発に取り組んでおります。

 現在の研究開発体制は、複数の連結子会社が中心となり、新製品の開発及び既存製品の改良に取り組んでおります。

 ヘルスケアソリューション事業における当期の主な研究開発活動は、患者と医師の情報共有を促進するスマートフォン向けサービスの開発を中心に行ってまいりました。

 当期の研究開発費の総額は137百万円であります。