文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 会社の経営の方針
当社グループは、「良い商品」「良いサービス」をお客様に提供することを通じて、社会に貢献することを基本理念としております。
また、株主・顧客・取引先の皆様及び従業員など、すべての関係者と共存共栄を図り、企業価値を高めることを行動の指針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、通信販売事業における業績の安定化を実現するために事業構造改革を進めております。
2020年度は、オペレーション改革として機会損失低減と余剰在庫抑制の両立を実現するための在庫適正化の運用と、粗利率の改善の取り組みを引き続き実施し、収益基盤の強化を図っております。さらに、これらの事業構造改革に加え、再成長に向けた施策として、新たなマーケティング戦略による販売力強化と顧客基盤の再構築に注力した結果、減少傾向にあった主力のベルメゾンにおける購入会員数が293万人と前期から55万人の増加に転じ、効果が発現してきております。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたブライダル事業の大幅な減収により、連結営業損益はマイナスとなりましたが、通信販売事業においては、売上高674億65百万円(前期比10.1%増)、営業利益26億24百万円を計上し、事業構造改革の成果が着実に表れております。
(参考)2020年12月期実績
・連結売上高 83,286百万円、連結営業損失 389百万円
(3) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による個人消費の低迷や経済活動の停滞により大幅に悪化しました。また、同感染症が収束するまで一定の時間を要することが想定されるなど、国内外の景気の先行きは極めて不透明な状態が続いております。
また、新しい生活様式に合わせた消費者の価値観・消費行動の変化が発生しており、今後、当社グループを取り巻く環境はより厳しいものになると認識しております。
このような状況のもと、当社グループは企業価値の向上を実現するため、環境変化に対応しながら中長期的な視点で経営課題の解決に取り組んでおります。各事業の対処すべき課題は以下のとおりです。
① 通信販売事業
デジタル化の進行に伴うカタログ通販市場の縮小、消費者が受け取る情報量の大幅な増加による顧客接点の減少、物流コストの上昇等により、通信販売事業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況となっております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いリアル小売からオンライン通販への参入など、他業種からの参入増加による競争激化の進展や、消費者の価値観・消費行動も大きく変化している状況にあります。
このような環境の中、通信販売事業の収益基盤を強化することを目的として、当連結会計年度においては、在庫水準の適正化及び粗利率の改善を目的としたオペレーション改革を推進するとともに、顧客基盤の再構築に注力し、一定の成果が得られました。
しかしながら、ベルメゾンの会員基盤の強化は継続的に取り組むべき課題であり、会員数増加に向けた施策や会員継続率の改善及び会員のファン化を目的とした育成プログラムの整備を進めてまいります。また、新しい生活様式の浸透により、消費者の価値観・消費行動も大きく変化しており、この消費構造の変化に対応するために、改めてお客様視点に立って特徴と必要性を訴求できる商品群の企画と提案、お客様と継続的な関係性を重視するマーケティングを推し進めてまいります。
② ブライダル事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、挙式披露宴の延期等の発生や営業活動自粛の影響が大きく、非常に厳しい経営環境が続いております。
このような厳しい環境の中ではありますが、継続的に販売費及び一般管理費の削減・効率化を図りつつ、館内での衛生管理の徹底をはじめ「withコロナ」を前提とした取り組みを一層進めるとともに、挙式披露宴に対する消費者意識の変化に対応した新規プランの販売や、企業へのイベント貸し等店舗資産の有効活用などポストコロナを見据えた取り組みを推進することにより、業績の改善を図ってまいります。
③ 法人事業
安定的に黒字を確保しておりますが、顧客ニーズの複雑化・多様化や他社との競争激化により、事業環境は年々厳しくなっております。既存顧客との関係性強化によるニーズ把握と提案型営業を基本戦略としつつ、事業パートナーとの連携強化による新規顧客の開拓を目的とした営業活動を推進してまいります。
④ 保険・クレジット事業
ベルメゾン会員を中心に保険選びのサポートやポイント率の高いクレジットカードをご紹介するサービスを提供しております。保険事業においては、独身者の増加と晩婚化等、保険市場全体の縮小に影響を及ぼす要素が中長期に続くことに加え、業界の垣根を越えた異業種からの参入や再編の進展に伴う競争激化により、事業環境は年々厳しくなっております。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴いセミナー等の営業手法の見直しも必要となっております。
このような厳しい状況ではありますが、営業ルートの再検討を行い、子育て世代へのアプローチなど新たな営業手法の開発やベルメゾン会員のライフステージの変化に伴うニーズに沿った商品提案を強化し、収益性の向上を目指してまいります。
⑤ その他
2014年度から立ち上げた保育事業に注力しております。子ども達一人ひとりの笑顔を守る為に、各ご家庭と一緒に新型コロナウイルス感染症に対する感染予防に努めて保育施設の運営を進めております。
保育園では、お子さまの発達と成長の過程で、乳児期、幼児期という人間形成の基礎となる大切な時期に関わるにあたり、毎日子どもたちが「よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ」時間を過ごし、一人ひとりの子どもたちがこれから歩む人生の「根源となる生きる力」を育めるよう寄り添いたいと考えております。
また、女性が「育児期」を笑顔で過ごせることを目指し、保育園に限定することなく、付加価値を追求した学童保育等の周辺事業の新規展開も引き続き進めてまいります。
また、当社グループは、企業活動において株主、顧客、従業員、取引先、地域社会といった様々な利害関係者との調和による企業価値の向上を図るためにコーポレート・ガバナンス(企業統治)への取組みを必要不可欠なものと認識し、内部統制システムの整備を行うとともに、透明性の高い経営システムの構築を図り、有効に機能させることが重要であると考えております。
そのため、取締役の監督責任の明確化、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示に努める一方で、内部統制システムの改善と充実を図りながら、コーポレート・ガバナンスを強化してまいります。
今後とも、当社グループ一丸となり、更なる企業価値の向上に全力を尽くす所存でございます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2019年度より始まり2021年度を最終年度とする中期経営計画を策定しておりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした社会環境・消費環境変化、及び東日本旅客鉄道株式会社との資本業務提携の締結等の社内環境変化を踏まえ、計画を見直すことといたしました。
長期展望のもと、新・中期経営計画(2021~2023年度)を策定、2021年7月に公表する予定です。
[方針]
当社グループは、経営の健全性の維持・確保及び当社グループの信用の維持を図るため、リスク管理体制の強化は経営の最重要課題の一つであると位置付け、全役員及び全従業員に対して、リスク管理重視に取り組む姿勢の周知徹底を図るとともに、あらゆるリスクに対応できる体制作りを目指しております。
リスクを総合的、全社的に管理する機関として、リスク管理統括委員会(以下、「統括委員会」という)を設置し、統括委員会の委員長は社長、委員は経営会議の構成メンバーとし、統括委員会の事務局には、リスクマネジメント部を設置しております。
統括委員会の下部専門組織及び各リスクを管理する所管部署は、リスクの発生やそのおそれがあると判断するとき、及びリスクに関する重要な情報を得たときは、速やかにかつ適切に報告を行うとともに統括委員会事務局に対し、毎月、リスク管理の状況について定例報告を行います。(リスク管理体制(リスク管理規程の別表)参照。)
統括委員会事務局は、リスク管理の状況について経営会議及び取締役会において定例報告を行います。報告周期は、経営会議においては毎月、取締役会においては毎四半期としております。(全社リスク管理(月次)と評価(四半期)のプロセス参照。)
[個別のリスク]
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 生産国の政治情勢及び経済状況等の変化に関するリスク
当社グループが販売する商品の大半は中国などアジア各国からの輸入によるものであります。このため中国などアジア各国の政治情勢、経済環境、自然災害等により当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。
(2) 為替変動に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業において、取扱商品の一部は海外から外貨建で輸入しております。そのため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 個人情報漏洩に関するリスク
当社及び一部の子会社は個人情報保護法に規定する個人情報取扱事業者に該当しております。当社グループでは、法律を遵守すると共に、情報漏洩防止のため顧客情報管理担当を置き、内部管理体制を強化しております。なお、当社はプライバシーマークの認証を取得しております。
しかしながら、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合については、当社グループの信頼の失墜につながり、企業イメージの悪化が業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 自然災害等に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業において、受注処理及び商品出荷業務などは、万一自然災害等が発生した場合多大な影響があります。その影響を最小限にするためシステムの二重化や耐震対策、物流センターの分散化を行っております。また、危機管理委員会を設置し災害発生時の対応ルールなどを策定しております。
しかしながら、大規模災害の発生により当社の設備等に被害が生じた場合については、受注処理及び商品出荷業務に影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症は世界中に蔓延しており、日本においても、2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、都市部を中心に全国に感染が拡大しております。
当社グループは同感染症拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等を実施しつつ、事業活動を継続しておりますが、さらに感染が拡大した場合、従業員の感染による業務遅延やサプライチェーンの停滞等のリスク並びにブライダル事業における挙式組数及び挙式単価の減少に伴い、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システムに関するリスク
当社グループが保有するコンピュータシステムにおいて地震、台風のほか洪水、ハードウェア及びソフトウェアの障害、テロリズム、サイバーテロ等、様々な要因がシステムに影響を及ぼす可能性があります。業務はほとんどすべてにおいてコンピュータ処理を行っているため、コンピュータトラブルが発生し復旧等に時間を要した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 法的規制等に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業においては、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商取引に関する法律」、「薬事法」、「製造物責任法」等による法的規制を受けております。そのため、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。
しかしながら、これらに関連する法令の規制の改正や新たな法的規制が設けられる場合、あるいはこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの企業イメージの悪化など、当社グループの事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 天候不順に関するリスク
当社グループの主たる事業である通信販売事業において、冷夏や暖冬、長雨といった天候不順や異常気象により売上が変動するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 企業買収、戦略的提携に関するリスク
当社グループは、既存の事業基盤を拡大するため、あるいは新たな事業への進出のため、今後も事業戦略の一環として企業買収や資本提携を含む戦略的提携を行なう可能性があります。企業買収や戦略的提携にあたっては、十分な調査・分析検討を行ないますが、買収・提携後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する場合などが考えられます。また、買収・提携後の事業計画が当初計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 在庫に関するリスク
当社グループでは、仕入・販売・在庫計画の精緻化や在庫コントロールの強化など、在庫の抑制、商品回転率の向上に努めておりますが、販売の予期せぬ変動により在庫が過剰となった場合、その削減が進まなければ廃棄処分や評価損によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 商品の安全性に関するリスク
当社グループの提供する商品については、関連法規の遵守はもちろんのこと、法規制以上の自社基準・自社規制を設け、全グループを挙げてその品質向上に取り組んでおります。しかし、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において、安全上の問題や表示上の問題が発生する可能性があります。このような問題が発生した場合、多額のコストの発生や当社グループのイメージ低下による売上の減少等が想定され、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11) インターネット等による風評被害に関するリスク
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながらインターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 通信販売市場におけるリスク
当社グループが主たる事業とする通信販売市場において、近年インターネットやスマートフォン等、情報通信インフラの充実や携帯端末の普及により、通信販売市場自体は今後も拡大が見込まれます。当社グループはこうした購買環境の変化に対応し、カタログを中心とした従来型スタイルからECへと軸足をシフトし、EC販売の強化を図っています。しかし、通信販売市場の拡大に伴うさらなる競争激化が予想され、既存事業者との競合、新規参入事業者による新たな高付加価値サービスの提供等が行われた場合、当社グループにおける競争力が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 固定資産の減損に関するリスク
当社グループでは、事業の用に供する様々な有形固定資産や企業買収に伴うのれん等の無形固定資産を有しておりますが、事業収益の急激な悪化や買収事業の推移が当初計画を下回ることなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社は、2019年度より始まり2021年度を最終年度とする中期経営計画に基づき、通信販売事業を中心に事業構造改革を進めており、計画初年度である前連結会計年度においては、通信販売事業における在庫適正化等のオペレーション改革を進めるとともに、資産・組織のスリム化の推進により固定費を削減したことにより、連結営業損益の黒字化を果たしました。
計画2期目の当連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたブライダル事業の大幅な減収により、連結営業損益はマイナスとなりましたが、通信販売事業においては、顧客基盤の再構築に注力した結果、減少傾向にあった主力のベルメゾンにおける購入者数が増加に転じ、売上高674億65百万円(前期比10.1%増)、営業利益26億24百万円を計上し、事業構造改革の成果が着実に表れております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ブライダル事業の挙式披露宴組数は当該影響が発生する以前の2019年と比較し今後も減少を見込んでおりますが、同事業は国内地方中堅都市を中心に出店を行っていることもあり、予定されていた挙式披露宴のうち実施されなかった大多数がキャンセルではなく延期となっていること、翌連結会計年度以後の成約者数も一定程度獲得できていることから、挙式ニーズは持続しており、同感染症の収束に伴い業績は改善するものと見込んでおります。今後も引き続き感染動向を注視しつつ、販売費及び一般管理費の削減・効率化を図り、政府及び地方公共団体からの要請等を踏まえた対策を講じていくとともに、転換点を迎えているブライダルマーケットにおいて、常に時代を捉え一歩先を行くサービスを創出してきた企業風土や経験、対応力を活かし、事業戦略の見直しや新規サービスを検討する等、同感染症収束後を見据えた対応を進め、強固な収益基盤の構築と再成長を実現し、業績の安定化に努めてまいります。
(15) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において、営業利益7億72百万円、親会社株主に帰属する当期純利益81億82百万円を計上したものの、2017年12月期及び2018年12月期において、営業損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したこと、当連結会計年度において、ブライダル事業が新型コロナウイルス感染症の影響を受けて営業損失3億89百万円、親会社株主に帰属する当期純損失39億46百万円を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
しかしながら、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」、「2 事業等のリスク (14) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、当該重要事象を解消するための対応策を実施しており、当連結会計年度においては、当初業績予想を上回る連結営業利益を計上しております。
また、当連結会計年度末において現金及び預金195億92百万円を保有しております。さらに、取引金融機関との総額100億円(当連結会計年度末における未使用枠79億円)のコミットメントライン契約を締結しており、十分な運転資金が確保できている状況であることから、資金繰りの懸念はありません。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による個人消費の低迷や経済活動の停滞により大幅に悪化しました。足元では感染が再び拡大する傾向が見られるなど、同感染症は未だ収束の兆しが見えず、国内外の景気の先行きは極めて不透明な状態が続いております。
小売業界におきましては、「巣ごもり消費」によるオンライン通販の利用が拡大する一方、リアル店舗では来客数が大幅に落ち込むなど、消費行動が大きく変化している状況にあります。新たな生活様式の浸透に伴う消費者の価値観・消費行動の変化は一過性ではなく、不可逆的な構造の変化と捉え、新しい生活様式に合わせた顧客価値の提供・提案を行っていくことが、小売業に求められていると考えております。
またブライダル業界におきましては、同感染症拡大防止のため、これまでのような多人数での飲食を控える等の消費者意識の広がりにより、引き続き非常に厳しい経営環境が続いております。
このような経営環境の中、通信販売事業において巣ごもり需要への迅速な対応や販促施策の奏功により増収となったものの、ブライダル事業において2020年に予定されていた4割強の挙式披露宴が翌年へ延期となったことによる減収の影響が大きく、当連結会計年度の売上高は、832億86百万円(前期比6.6%減)となりました。
利益面に関しましては、通信販売事業における事業構造改革による粗利率の改善効果はあったものの、ブライダル事業の落ち込みが大きく、営業損失は3億89百万円(前期は7億72百万円の営業利益)となり、持分法による投資損失の計上により、経常損失は38億円(前期は14億18百万円の経常利益)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は、39億46百万円(前期は81億82百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。なお、前期は固定資産売却益及び投資有価証券売却益等の特別利益を計上しております。
なお、セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
〔通信販売事業〕
カタログ及びインターネットを中心とする通信販売事業の当連結会計年度の売上高は674億65百万円(前期比10.1%増)、営業利益は26億24百万円(前期は8億5百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度においては、一定期間ご購入がないお客様や、過去に一度ご購入いただいたお客様に対するアプローチ内容を再検討し継続購買を喚起するなど、顧客基盤の再構築に注力してまいりました。また新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活様式の変化における新たな需要をお客様視点で検討し、日々の暮らしをより豊かに心地よく、大切に過ごしていただけるように商品の提案に努めてまいりました。この他、オペレーション改革による原価低減推進等の効果もあり、前期と比較して大幅な増収増益となり、黒字転換を果たしました。
〔ブライダル事業〕
ハウスウエディングを中心とするブライダル事業の当連結会計年度の売上高は84億円(前期比59.4%減)、営業損失は37億28百万円(前期は9億71百万円の営業利益)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、挙式披露宴の延期等の発生や営業活動自粛の影響が大きく、前期と比較して大幅な減収減益となっております。今後、継続的に販売費及び一般管理費の削減・効率化を図りつつ、衛生管理の徹底をはじめ「withコロナ」を前提とした取り組みを一層進めるとともに、挙式披露宴に対する消費者意識の変化に対応した新規プランの販売や、企業へのイベント貸し等店舗資産の有効活用などポストコロナを見据えた取り組みを推進することにより、業績の改善を図ってまいります。
〔法人事業〕
法人向けの商品・サービスを提供する法人事業の当連結会計年度の売上高は50億92百万円(前期比7.0%増)、営業利益は4億64百万円(前期比29.4%増)となりました。
新規顧客の獲得と既存顧客の取引拡大に注力した結果、ノベルティ事業での新規顧客の獲得、ECの需要増に伴う物流受託業務の売上増加、及びお届け商品にチラシを同梱する等のサービスを展開するサンプリング事業での売上増加の成果が得られるなど、全般的に好調に推移し増収増益となりました。
〔保険・クレジット事業〕
ベルメゾン会員を中心に保険選びのサポートやポイント率の高いクレジットカードを紹介するサービスを提供する保険・クレジット事業の当連結会計年度の売上高は4億46百万円(前期比22.3%減)、営業利益は2億6百万円(前期比32.8%減)となりました。
営業ルートの再検討を行い、ブライダル事業との連携や子育て世代へのアプローチなど新たな営業手法を実施しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う営業活動自粛の影響により減収減益となりました。
〔その他〕
子育て支援事業、化粧品の製造販売事業等を行うその他の事業の当連結会計年度の売上高は18億81百万円(前期比2.2%増)、営業利益は40百万円(前期は60百万円の営業損失)となりました。子育て支援事業においては、2019年4月に開園した保育園2園と付加価値を追求した周辺事業として開始した学童保育事業の事業運営が順調に推移しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は195億92百万円となり、前連結会計年度末と比較して31億20百万円の減少となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、24億28百万円の収入(前期は29億11百万円の収入)となりました。主なプラス要因は、持分法による投資損失35億15百万円、減価償却費18億13百万円、たな卸資産の減少額13億99百万円であり、主なマイナス要因は、税金等調整前当期純損失40億2百万円であります。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、15億57百万円の支出(前期は86億85百万円の収入)となりました。主なマイナス要因は、無形固定資産の取得による支出12億13百万円、有形固定資産の取得による支出6億44百万円であります。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、39億95百万円の支出(前期は60億27百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、短期借入金の増加額21億円、自己株式の処分による収入19億99百万円であり、主なマイナス要因は、自己株式の取得による支出80億5百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため記載を省略しております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
通信販売事業 |
32,414 |
+3.5 |
|
ブライダル事業 |
509 |
△65.2 |
|
法人事業 |
328 |
+41.0 |
|
保険・クレジット事業 |
- |
- |
|
報告セグメント計 |
33,251 |
+0.8 |
|
その他 |
53 |
+27.8 |
|
合計 |
33,305 |
+0.8 |
(注)1.金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
通信販売事業 |
67,465 |
+10.1 |
|
ブライダル事業 |
8,400 |
△59.4 |
|
法人事業 |
5,092 |
+7.0 |
|
保険・クレジット事業 |
446 |
△22.3 |
|
報告セグメント計 |
81,405 |
△6.8 |
|
その他 |
1,881 |
+2.2 |
|
合計 |
83,286 |
△6.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.数量については、品目が多岐にわたるため、表示を省略しております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績の分析
a.売上高
売上高につきましては、832億86百万円(前期比6.6%減)となりました。売上高をセグメントごとに分析すると、通信販売事業は674億65百万円(前期比10.1%増)、ブライダル事業は84億円(前期比59.4%減)、法人事業は50億92百万円(前期比7.0%増)、保険・クレジット事業は4億46百万円(前期比22.3%減)、その他の事業は18億81百万円(前期比2.2%増)となりました。
b.売上原価
売上原価は409億73百万円となり、前連結会計年度と比較して29億95百万円減少(前期比6.8%減)となりました。これは主として仕入原価率の改善や在庫の最適化の実現等通信販売事業におけるオペレーション改革の推進によるものであります。
c.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は427億2百万円となり、前連結会計年度と比較して17億5百万円減少(前期比3.8%減)となりました。
これは、全般的なコスト見直しによる各費用の削減によるものであります。
d.営業損失
通信販売事業は堅調に推移したもののブライダル事業の減収に伴い、営業損失は3億89百万円(前期は7億72百万円の営業利益)となりました。
e.営業外損益及び経常損失
営業外収益は、助成金収入4億23百万円(前期は1百万円)、債務勘定整理益1億66百万円(前期比34.7%減)、貸倒引当金戻入額58百万円(前期は0百万円)、受取配当金41百万円(前期比18.6%増)及び受取利息21百万円(前期比9.5%減)等を計上したことにより、8億31百万円(前期比9.5%減)となりました。
営業外費用は、持分法による投資損失35億15百万円(前期は-百万円)、支払手数料4億14百万円(前期比971.8%増)及び支払利息1億41百万円(前期比11.8%増)等を計上したことにより、42億42百万円(前期は2億73百万円)となりました。
以上により、経常損失は38億円(前期は14億18百万円の経常利益)となりました。
f.特別損益、税金等調整前当期純損失及び親会社株主に帰属する当期純損失
特別利益は、補助金収入18百万円(前期比94.4%減)及び持分変動利益13百万円(前期は-百万円)を計上したことにより、32百万円(前期比は99.6%減)となりました。
特別損失は、減損損失1億41百万円(前期比484.1%増)及び投資有価証券評価損40百万円(前期は3百万円)等を計上したことにより、2億35百万円(前期比63.3%減)となりました。
以上により、税金等調整前当期純損失は40億2百万円(前期は税金等調整前当期純利益80億11百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は39億46百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益81億82百万円)となりました。
② 当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ97億30百万円減少し、639億33百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ46億81百万円減少し、376億12百万円となりました。これは、現金及び預金が31億20百万円、商品及び製品が14億67百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。また固定資産は、無形固定資産が7億30百万円増加した一方で、有形固定資産が11億69百万円、投資その他の資産が46億10百万円それぞれ減少したことにより前連結会計年度末に比べ50億48百万円減少し、263億21百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ12億36百万円増加し、213億30百万円となりました。これは、未払金が3億61百万円、電子記録債務が3億37百万円それぞれ減少した一方で、短期借入金が20億22百万円増加したことが主な要因であります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ5億63百万円減少し、105億14百万円となりました。これは、長期借入金が2億86百万円増加した一方で、繰延税金負債が7億8百万円減少したことが主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ104億2百万円減少し、320億88百万円となりました。これは、2020年7月30日開催の取締役会決議に基づき、2020年7月31日付でA種優先株式5株及びB種優先株式9株の取得及び消却を行い、また、2020年9月16日開催の取締役会決議に基づき、2020年10月12日付で第三者割当による自己株式の処分を行った結果、資本剰余金が92億80百万円、自己株式が32億74百万円それぞれ減少したこと、親会社株主に帰属する当期純損失39億46百万円を計上したことが主な要因であります。この結果、自己資本比率は50.2%となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入原価や運賃・販売促進費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。当連結会計年度におきましては、東日本旅客鉄道株式会社に対する第三者割当による自己株式の処分を行い、手取概算額合計1,836百万円を資金調達いたしました。これにつきましては、資本業務提携の推進・実現のために必要となる設備投資資金並びに広告宣伝費及び販売促進費にそれぞれ充当する予定であります。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は129億15百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は195億92百万円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しており、経営成績又は財政状態に重要な影響を及ぼす見積り・判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる要因を考慮して行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在することから、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報(会計上の見積りの不確実性について)」に記載しているとおりであります。
(A種及びB種優先株主との投資契約の変更)
当社は、2020年7月30日開催の取締役会において、当社発行のA種優先株式及びB種優先株式(以下A種優先株式とB種優先株式を併せて「本優先株式」といいます。)の取得を目的として、REVICパートナーズ株式会社が無限責任組合員として運営管理する地域中核企業活性化投資事業有限責任組合との間で、2018年2月26日付で締結した投資契約を変更すること及び本優先株式の取得を条件として会社法第178条の規定に基づく消却を行うことを決議し、同日付で変更合意書を締結いたしました。なお、2020年7月31日付で本優先株式を取得するとともに消却いたしました。
(資本業務提携、第三者割当による自己株式の処分)
当社は、2020年9月16日開催の取締役会において、当社及び東日本旅客鉄道株式会社との間で資本業務提携を行うこと、及び同社に対する第三者割当による自己株式の処分を行うことを決議し、同日付で契約を締結いたしました。なお、2020年10月12日に自己株式の処分に係る払込が完了しております。
詳細につきましては、2020年9月16日公表の「東日本旅客鉄道株式会社との資本業務提携に基づく第三者割当による自己株式の処分、及び主要株主である筆頭株主の異動(予定)に関するお知らせ」をご参照ください。
(コミットメントライン契約の変更)
当社は2017年12月28日付で締結した取引金融機関との総額100億円のコミットメントライン契約(2018年10月31日付の変更契約を含む)について、2020年8月11日付で契約内容の一部を変更しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照ください。
当連結会計年度の研究開発活動は、主として通信販売事業のオリジナル商品の開発に係るものであります。当連結会計年度の研究開発費の総額は