第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは1946年の創業以来、美を通じて人々に夢と希望を与え続けることを使命としてまいりました。1991年には、CIの導入を契機にこの想いを存在理念:「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する」として明文化し、現在に至るまで着実に成長を続けてまいりました。また、同時に発信した「美しい知恵 人へ、地球へ。」というコーポレートメッセージの中にも、「美の創造企業」として、「美」にまつわるあらゆる知恵を出し合い、人々のために、そして大切な地球のために役立てるという強い決意を込めております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、売上高営業利益率及び総資産事業利益率(ROA)、自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。

注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100

自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、創業80周年に向けて更なる成長ステージを目指した中長期ビジョン「VISION 2026」を推進しております。

 

◇◇コーセーグループの将来像:世界で存在感のある究極の高ロイヤルティ企業◇◇

「日本を代表する化粧品メーカーとして、日本独自の化粧文化を創造する」という自覚を持ち、“一人ひとりのきれい”を追求し、世界に先駆けて“独自の価値”を創出し続け(唯一無二の存在)、オリジナリティと魅力あふれる多彩なブランドをお届けすることで、一人でも多くのステークホルダーの皆さまに選ばれる企業(憧れの存在・かけがえのない存在)となることを目指しております。

 

■コーセーグループ中長期ビジョン「VISION 2026」

◆定量目標

・売上高 5,000億円

・営業利益率 16%以上

・ROA 18%以上

・ROE 15%以上

◆ロードマップ

・PhaseⅠ:「グローバルブランド拡充と顧客接点の強化」

・PhaseⅡ:「世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」

・PhaseⅢ:「世界のひとりひとりに存在感のある顧客感動企業への進化」

◆基本戦略

① 3つの成長戦略

1) ブランドのグローバル展開加速

2) 独自性のある商品の積極的開発

3) 新たな成長領域へのチャレンジ

② 2つの価値追求

1) デジタルを活用したパーソナルな顧客体験の追求

2) 外部リソースや技術と連携した独自の価値追求

③ 3つの経営基盤

1) 企業の成長を支える経営基盤の構築

2) ダイバーシティ&インクルージョン経営の実践

3) バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略「コーセー サステナビリティ プラン」

①ガバナンス

当社グループでは、経営課題の一部としてサステナビリティに関連する課題を捉え、その解決に向けた推進体制を整えております。代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ戦略を経営会議に提案、承認を受け、取締役会に報告を行う体制を構築しております。取締役会では、サステナビリティ戦略に関する各種重要課題を審議・決議し、企業全体のサステナビリティ推進活動の監督機能を担っております。また、当社グループのサステナビリティ戦略に基づき、「サステナビリティ推進委員会」 において個別テーマごとの分科会やプロジェクトを設置し、全社部門横断の取り組みとして実効性を高めた活動を推進しております。委員長は代表取締役社長が務め、主な議題は気候変動や人権等の社会課題の対策検討、施策推進及び全社サステナビリティ推進状況の情報共有であります。なお、サステナビリティの推進体制は以下のとおりであります。

 

サステナビリティ推進体制

 


 

②戦略

当社グループは、コーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」をサステナビリティ指針とし、創業以来の企業精神の根幹である「正しきことに従う心」に則り、人々や地球環境の未来をよりよいものとするための「コーセー サステナビリティ プラン」を策定いたしました。本プランの策定にあたっては、社会・環境課題の確認や外部ステークホルダーの意見などを取り入れ、当社グループが取り組むべき重要課題の特定、取り組みテーマの設定を行いました。当社グループは、グローバル社会の一員として責任を果たしながら持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。「コーセー サステナビリティ プラン」の全体像は以下のとおりであります。

 


 

 

③リスク管理

当社における「コンプライアンス」とは、法令遵守のみならず、「正しきことに従う心」をもって社会的倫理に則った行動をとることを示しております。コンプライアンス推進体制及び活動は、「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を通じて、定期的に取締役会に報告され、「コンプライアンス推進委員会」は取締役・従業員に対する研修などで啓蒙を行います。社内外に相談窓口を設け、報告・相談に対応する体制も整えております。また、当社の持続的発展を脅かすリスク、特にコンプライアンス・品質・情報セキュリティ・市場の問題や、災害発生など様々なリスクに対処すべく、リスクマネジメント・コンプライアンス規程を定め、「リスクマネジメント推進委員会」を設置してリスク管理体制の充実に努めております。危機管理規程のもと、重大なリスクが顕在化した場合に被害を最小限に抑制する体制を構築しております。

 

 

④指標及び目標

「コーセー サステナビリティ プラン」では、2030年までの中長期目標を定めております。目標の達成に向け、年度ごとに取り組み状況をまとめ、進捗状況を公表しております。

 

「コーセー サステナビリティ プラン」取り組みテーマの中長期目標とSDGsとの連動(人へ)

取り組み
テーマ

コミットメント

指標

目標値

達成年

具体的方策例

アダプタブルな
商品・サービス
の提供

肌の色、ジェンダー、社会的・文化的・地理的背景、生活環境、宗教や信条、身体的特徴など、多様なバックボーンを持つ人々が、自信を持って美しく生きる
社会に貢献します。

アダプタブル
発想での
商品・サービス提供率

100%

2030

・多様な肌色・肌質に沿った商品設計
・ユニバーサルデザインの採用
・デジタルを利用したアクセシビリティの向上
・多様性に応えるビューティテクニックの開発

美しく健康的で幸せな生活の
サポート

QOL(生活の質)の向上や、
次世代への教育啓発活動、フェアトレードなどサプライチェーンを含む労働環境の向上など、誰もが健康的で幸せな生活を送れるよう、社会的課題に
積極的に取り組みます。

具体的な
取り組み実現

30件
以上

2030

・技術開発イノベーション
・健康経営による従業員の健康向上
・スポーツ振興支援での健康啓発
・次世代への健康教育と啓発
(紫外線防御・保湿)

責任ある
パーム油の
調達

100%

2030

・認証パーム油の調達と使用
・調達先との人権側面での協働
(児童労働などのない調達)

ジェンダーに
とらわれず
活躍できる
社会への貢献

社内・社外を問わず、日本はもちろん、世界のジェンダーギャップが解消されるための取り組みと、啓発活動を
行います。

ジェンダー
平等の啓発

10万人以上

2030

・社内ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・ジェンダーギャップに関する教育啓発への取り組み
・女子教育支援への取り組み

 

 

 

「コーセー サステナビリティ プラン」 取り組みテーマの中長期目標とSDGsとの連動(地球へ)

取り組み
テーマ

コミットメント

指標

目標値

達成年

具体的方策例

ビューティを

通じた

環境課題

への貢献

ビューティを基軸としながら、環境課題解決への取り組みを促進します。また、その取り組みを世の中に広く伝え、多くの生活者に環境課題への気づきを与え、ビューティを通じて課題解決の輪を広げます。

植サンゴ

面積

20,000m2

25m公認プール

面積約53倍

2030

・雪肌精「SAVE the BLUE」活動の進化

※目標値は2009年からの累積面積

商品・サービスを通じた環境課題の啓発

1,000万人

以上

2030

・雪肌精「SAVE the BLUE」活動の進化
・各種事業を通じた環境保全、啓発
・ロングセラー製品の育成による、間接資材の節減

事業地域の

環境保全

地域と共存共栄し、地域環境へ影響を与えうる生産拠点を中心に、環境保全に対する取り組みを行います。

地域環境

保全活動

20件

以上

2030

・南アルプス周辺など、関連会社も含む生産、研究拠点などを中心とした事業地域での環境保全活動

事業活動

全体での

環境負荷

低減

CO2排出量の削減

Scope 1・2

▲55%
2018年比・
総量目標

2030

・再生可能エネルギーの利用
・エネルギー効率のよい設備などの導入
・革新的技術の活用
・燃料転換の実施
・バリューチェーン全体でのCO2削減

カーボン
ニュートラル

2040

Scope 3

▲30%

2018年比・
総量目標

2030

プラスチック容器包装資材についての

サステナビリティに配慮した設計

100%

2030

・4R※に適合した容器包装資材の採用
※Reduce/Reuse/Recycle/Renewable
・2030年までにバイオマス/リサイクル樹脂の採用比率(樹脂量)を50%まで高める

責任ある資源利用のための廃棄物削減

廃棄物削減
及び資源循環の
新規取り組み
20件以上

2030

・廃棄時に分別やリサイクルしやすい環境配慮設計の推進
・調達先と廃棄物削減面での協働

リサイクルさ
れない廃棄物
ゼロ*

2025

・廃棄物削減の3R※の推進など  
※Reduce/Reuse/Recycle

責任ある水資源利用のための使用量削減

▲12%*

2018年比・
生産原単位

2030

・水資源の3R※の推進など
※Reduce/Reuse/Recycle

環境保護を推進し、社会と共に発展すべく、持続可能なパーム油調達を実現します。

責任ある

パーム油の

調達

100%

2030

・認証パーム油の調達と使用
・調達先との環境面での協働

 

* 当社グループ生産部門

 

(2) 気候変動への対応 ~TCFD提言に基づいた対応~

 当社グループでは、2019年度に自社を取り巻く社会・環境課題のマテリアル分析を行いました。その結果、グループ全体のサステナビリティに関する取り組みと2030年までの目標をまとめた「コーセー サステナビリティ プラン」の中で、環境・気候変動問題への対応を「事業成長」と「持続可能な社会の実現」の両立を図るために、欠かすことのできない重要な経営課題の一つとして認識しております。

また、2020年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同するとともに、国内賛同企業などによる組織「TCFDコンソーシアム」に加入し、2021年にはTCFD提言に基づいた対応を実施いたしました。

 

①ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ戦略に組み込まれているため、(1)コーセーグループ サステナビリティ戦略「コーセー サステナビリティ プラン」をご参照ください。

 

②戦略

当社グループは、気候変動における移行リスク及び物理的リスクを検討するため、シナリオ分析を実施し、1.5℃/2℃及び4℃の気温上昇がもたらす世界の気候変動が与える財務的な影響を評価、企業としての取り組み情報の開示を行うと同時に、将来の社会と地球の姿を実現するための経営戦略などを検討する材料としても活用しています。更に、シナリオ分析の結果から、事業活動によるCO2排出に対して気温上昇の削減目標を設定する重要性を強く認識し、2022年に「低炭素移行計画」を策定、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しております。

 

③リスク管理

組織の気候変動に関連するリスクは、ERM(統合型リスク管理)におけるコーポレートレベルでの評価を「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を中心に特定・評価しております。気候変動に関する課題の監視は、これらの枠組みをもとに、「サステナビリティ委員会」及び「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」によってモニタリングしております。

 

 

コーセーグループの捉えるリスクと機会

分類

リスク・機会

影響項目

自社への

影響の大きさ

概要

対応策

1.5℃

2℃

4℃

リスク

(移行)

消費者の環境配慮商品への需要シフト/
消極的な対応による
レピュテーション低下

売上高減

++

1.5℃/2℃シナリオでは、消費者の環境意識の高まりに伴い、消極的な環境対応が自社製品の販売減につながる。

・低炭素、節水、プラスチック削減やサステナブル素材の採用など環境配慮型製品開発の強化

・先端技術の導入による製品開発、販売方法等の検討と推進

GHG排出量規制の強化/
カーボンプライシング
の導入
(自社・サプライヤー)

コスト増

++

1.5℃/2℃シナリオでは、サプライヤーを含めて炭素税が課され、自社の運営コスト及び調達コストが増加。

・SBT認定の中期排出量削減目標の設定と削減策の実践

・環境配慮に関する設備投資計画の策定と計画的な投資(省エネ設備の順次入れ替えなど)

プラスチック規制の導入
によるプラスチック資材
の代替

コスト増

++

1.5℃/2℃シナリオでは、プラスチック規制の強化によりバイオマスプラスチックや再生プラの調達の必要が生じ、コスト増につながる。

・プラスチック削減やサステナブル素材の採用

・規制に対応した資材の開発、リサイクルシステム構築の検討

取水排水制限の導入に
よる商品の生産制限

売上高減

++

気候変動により操業地域の水ストレスが増加し、取水制限が生じると、操業停止による販売機会損失につながる。1.5℃/2℃でも影響が生じるが、特に4℃シナリオで顕著な影響を想定。

・水使用の更なる効率化(節水・水のリサイクルシステム導入検討など)

リスク

(物理)

気候の変化による
原材料調達リスクの上昇

コスト増

++

パーム油などの自社製品や容器に使用する原材料において、グローバル各地での収穫量が温度上昇により変化すると調達コストが変化する。

・原材料コストの上昇の可能性に関して、グループ会社や他社との共同購買

・代替原材料の開発や調達をサプライヤーとのエンゲージメントにより推進

洪水等災害に伴う製造・
物流設備の機能停止

売上高減

++

浸水などによる自然災害の影響が自社における生産・物流拠点に及んだ場合、機能停止により自社製品の売上高が減少する。

・BCP対応の強化(現状より更に悪化が想定される環境への対応検討。気候変動適応に向けたソリューションの活用)

異常気象を原因とする
製造施設損壊やサプライ
チェーンの混乱

売上高減

コスト増

++

温暖化が引き起こす影響で自社施設が損壊した場合、修繕費用や建て替え費用などのコストが発生する。また、サプライヤーの生産・物流拠点でも同様に自然災害の影響が発生した場合、自社の製品供給が停止するリスクがある。

・BCP対応の強化(現状より更に悪化が想定される環境への対応検討。製造拠点の分散化)

・災害に強いサプライチェーン体制の構築(主要サプライヤーにおける強固なBCPの確立、調達先の複線化など)

 

 

分類

リスク・機会

影響項目

自社への

影響の大きさ

概要

対応策

1.5℃

2℃

4℃

機会

紫外線増加に伴う
日やけ止め製品や
紫外線ケア商品の
需要増

売上高増

++

日常生活における紫外線の増加に伴い、紫外線ケアを必要とする人の数や使用頻度が増加することで、当該商品の売上が増加する。

・紫外線ケア商品などの積極的な製品開発と展開

・日焼け止めの習慣化など消費者への訴求の強化

気温上昇による
冷感商品・
化粧崩れ止商品の
需要増

売上高増

++

気温上昇に伴い、化粧水やファンデーションなどの化粧関連商品において、冷感性や化粧崩れ防止に対するニーズが増加することで、当該商品の売上が増加。

・冷感性や化粧崩れ防止商品の積極的な製品開発と展開

自社製品の環境フットプリント削減による
ブランド価値向上

売上高増

++

社会全体の環境配慮の意識が高まる中で、自社の環境フットプリントを削減し訴求していくことがマーケティング上もプラスの効果をもたらす可能性がある。

・低炭素製品要求等に対応(製品ごとのカーボンフットプリントなどの計算、使用時における節水可能な商品の開発)

環境負荷低減商品、
サービスの
開発及び拡大

売上高増

++

脱炭素型や脱プラスチック型の商品やサービスを提供していくことが付加価値となり、収益にプラスの効果をもたらす可能性がある。

・アダプタブルな商品への対応
 (エシカル消費等への対応)

・協業や先端技術の導入による製品開発、販売方法の推進(ビューティパートナーシップ)

・低炭素、プラスチック削減やサステナブル素材の採用など環境配慮型商品開発の強化

・デジタル先端技術を積極的に取り入れた販売方法の確立

再生可能エネルギー、
省エネルギー策の
導入による
コスト競争力強化

コスト減

++

再生可能エネルギー(再エネ)の購入や省エネ設備の導入により、自社のエネルギーコスト削減につながる。特に1.5℃/2℃シナリオにおいて、電力価格は現在より上昇する一方で再エネ調達価格は低減することで、再エネ調達によるコストメリットが発生。

・再生可能エネルギーの調達(各種PPAなどの導入)

・自家発電、自家消費の再生可能エネルギーの開発

 

※ -:影響は軽微 +:一定の影響がある ++:大きな影響がある

 

 

指標と目標

気候変動のシナリオ分析の結果から、事業活動によるCO2排出に対して、精力的な削減目標を設定する重要性を強く認識いたしました。そして、「コーセー サステナビリティ プラン」の中で、当社グループが排出しうる温室効果ガスとしてCO2の排出削減を取り組みテーマの一つとして掲げ、2030年までのGHG排出量削減目標をScope1・2で55%削減(SBT1.5℃目標※に準じた設定)バリューチェーン全体(Scope3)で30%削減と設定(いずれも2018年度を基準)いたしました。

※SBT:Science Based Targetsイニシアチブが提唱する、パリ協定が求める水準と整合した目標。

世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えるための科学的な根拠に基づき設定。

 

2023年度CO2排出量目標に対する実績

コミットメント

指標

2023年度実績

目標値

達成年

CO2排出量の削減

Scope1・2

▲45.1%*

(2018年比・総量)

▲55%

(2018年比・総量目標)

2030

14,089.4 t-CO2*

カーボンニュートラル

2040

Scope3

▲26.5%*

(2018年比・総量)

▲30%

(2018年比・総量目標)

2030

 

* 2023年度実績については会社算定値であり、第三者検証後、2024年8月に下記「コーセー サステナビリティ プラ
    ン 実績報告データ」(https://corp.kose.co.jp/ja/sustainability/plan/)にて更新予定

 

 

具体的な取り組み

当社の主力生産工場である群馬工場(群馬県伊勢崎市)において、2021年1月より、購入している全ての電力を再生可能エネルギーへ切り替えました。年間で調達すると、2018年度を基準とした場合、コーセーグループ全拠点におけるエネルギー・購入電力由来の温室効果ガス排出量のうち約23%分に相当いたします。また、2023年2月からは狭

山工場(埼玉県狭山市)の再生可能エネルギー切り
替えも実施しております。 

 更に、コーセー化粧品販売株式会社では、営業車
の利用台数を削減するために、カーシェアリングの
活用を推進するとともに、営業業務の抜本的見直し
を行い、利用数を削減する取り組みを実施いたしま
した。

 


コーセーインダストリーズ株式会社 群馬工場

 

 

商品・サービスにおけるCO2排出量可視化

当社グループでは、「コーセー サステナビリティ プラン」中で、2040年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル、2030年までにSBT1.5℃目標に準じたCO2排出量削減目標を掲げ、脱炭素戦略を推進しております。また2022年には、環境省が実施した「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参加し、カーボンフットプリント算定・表示における実務上のノウハウの蓄積や、サステナブル対応の効果測定、ライフサイクルにおける環境負荷ホットスポットの特定を行いました。2023年には、『雪肌精』の新商品でも算定を行い、情報発信を実施しております。今後も本取り組みを通じ、バリューチェーン全体のCO2排出量削減を加速させ、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

 


 

(3) 人的資本への取り組み

① ガバナンス

人的資本への取り組みに関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ戦略に組み込まれているため、(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略「コーセー サステナビリティ プラン ①ガバナンス」をご参照ください。

 

 戦略及び指標と目標

◆人材戦略の基本方針

中長期ビジョン「VISION 2026」で定めているように、お客さま一人ひとりの“きれい”の価値を創造し、「世界で存在感のある企業」を目指すためには、世界の変化を先取りして独自の価値を創出し続ける、世界に通用する人材の力が必要です。「VISION 2026」の達成に向けた人材戦略の柱として、「豊かな人間性と創造性を発揮できる人材育成」と「社員の多様性を活かす働きがいある組織づくり」を推進するとともに、各種施策に取り組んでおります。

 

(ⅰ) 人材育成理念と育成方針

当社グループでは、「コーセーグループ行動指針」の中で、各人の人権と多様な能力・個性・価値観を尊重することを明記しております。それを前提として、下記の「人材育成理念」・「人材育成方針」を定めております。

人材育成理念

コーセーは「豊かな人間性と創造性」を発揮できる社員とともに未来を拓きます。

人材育成方針

一人ひとりの向上心と主体性を尊重し「自ら磨く」を基本とする。

「自ら磨く」人を積極的に支援する職場環境をつくる。

段階に応じて幅広く、そして継続的に「自ら磨く」機会を提供する。

「専門領域」の実践的教育・研修は、各部門で実施する。

 

 

 

◆人材育成とイノベーションの創出

当社では、人材育成方針に掲げられた「自ら磨く」を実践するために、理念や目標を共有しながら、一人ひとりの多様性を活かして自ら学び成長する姿勢を重視しております。その支援のための制度として、自らキャリアを考察し実現させる「人材公募制度」「自己申告制度」などを活用し自身の夢の実現を叶えた社員が多くおります。また成長のための各種研修制度や通信教育補助等も充実しております。人材育成のプログラムとしては、階層別研修として新卒~中堅~管理職とキャリア段階に応じた研修を行っている他、次世代リーダー育成のためのイノベーション創出プログラム「Link※」、シニアのためのキャリア支援などを実施しております。タレントマネジメントシステムの導入や360度評価の実施も行っており、各自の適性に合わせた人材育成に努めております。また、各部門の特性に応じた実務研修の機会を設け成長を促しております。その他、化粧品の新しい価値提供の検討と立案を行う組織横断プロジェクト形式の研修なども実施し、ダイバーシティ・インクルージョンによるイノベーションの創出を目指しております。

※Link(Leadership and Innovation program for New KOSÉ):2017年に発足した社内ベンチャー制度

 

人材育成プログラム

 


 

 

◆従業員の働きがいを向上するために

当社では、従業員は企業価値向上を支える大切な財産であり基盤と捉えております。従業員のエンゲージメントや貢献意欲が高まることが、組織の活性化につながり、競争力強化につながると考えております。そのため、働きやすく、働きがいのある職場づくりを目指して、定期的に社員意識調査や360度評価を実施しております。調査の結果は、経営層や政策検討会議などで報告し、調査結果の分析、課題の整理、施策の検討・実施を進めております。2022年度の調査では、会社へのロイヤルティや仕事への充実感が、社会全体の平均値と比べて高い傾向にあることがわかった他、前回の調査と比較して、女性社員の会社に対する満足度が有意に向上していることがわかりました。

また、2017年度からは「働きがい創出実行委員会」を設置し、委員長・副委員長は主に経営幹部や人事部門責任者が務め、活動メンバーは部門横断型の多様な社員を選出し、従業員の更なるエンゲージメント向上に向けた様々な取り組みを推進しております。

 

◆ビューティコンサルタントの活躍のために

 店頭などで活躍するビューティコンサルタントに対しては、販売職としての職務のスキルアップはもちろん、将来的に教育職や店舗責任者などへキャリアパスが選択できるように支援してまいりました。

<取り組みの一例>

2019年度

営業職、本社スタッフ職などへとキャリアチェンジ制度を導入

2020年度

キャリアデザインを考える研修の計画をスタート。美容教育職に対し、キャリア意識の調査、キャリア意識の醸成、個々のキャリア形成支援の3つのステップで実施。

2021年度

独自のオンライン接客プラットフォーム「WEB-BC SYSTEM」による遠隔地のお客さまへの接客業務など、多様な働き方やキャリアの継続につながる職場環境を提供

2022年度

社内キャリアコンサルタントがキャリアデザインにむけてカウンセリングをする「キャリアデザインルーム」の運用を開始

 

 


 

 

◆採用の多様化と早期登用・抜擢の推進

 グローバル化とボーダーレス化が進み、市場環境や顧客ニーズが急速に変化する中においては、多様な個性やバックボーンを持つ人材の育成が必要不可欠であります。そこで当社ではキャリア採用を強化し、多様な人材の獲得に取り組んでおります。また2022年度には総合職の評価制度を見直し、年功的な昇格モデルから脱却し、早期登用・抜擢が可能な制度に改定を行い、社歴や年齢にとらわれず能力ある社員が活躍する組織づくりを推進しております。

 

<人材育成関連指標>

指標

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度

実績

対象範囲

能力開発・スキル向上研修延べ参加者数(人)<管理職・非管理職(美容職除く)>

1,135

2,893

3,996

国内グループ会社

能力開発・スキル向上研修時間(合計/h)<管理職・非管理職(美容職除く)>

20,624.5

50,386.0

38,289.0

国内グループ会社

能力開発・スキル向上研修時間(一人平均/h)<管理職・非管理職(美容職除く)>

13.1

17.8

11,6

国内グループ会社

社員意識調査 総合満足度(点数/満点) <管理職・非管理職>

※4年に1回実施予定

3.78/5

※2018年度調査より、0.6%上昇 

㈱コーセー・コーセー化粧品販売㈱・コーセーインダストリーズ㈱・コーセーコスメポート㈱

 

 

(ⅱ) ダイバーシティ&インクルージョン

「世界で存在感のある企業」を目指すためには、世界の変化を先取りして独自の価値を創出し続ける、世界に通用する人材の力が必要であります。一人ひとりのダイバーシティ(多様性)をお互いにインクルージョン(包摂)することで、企業の推進力へつなげるために、当社グループでは、「VISION 2026」の達成に向けた3つの経営基盤のひとつとして 「ダイバーシティ&インクルージョン経営の実践」 に取り組んでおります。

当社は美の創造企業として、「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。」を存在理念として掲げております。全ての働く仲間の多様性を尊重し活かす(=ダイバーシティ&インクルージョン)ことは、グローバル社会や市場の変化に対応し、多様なお客さまに向けた独自の価値を創造し続けるための源泉となると考えております。そのため、経営戦略の一環として、全社でダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進しております。
 「コーセー人権方針」を前提とした「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」に基づき、性別、年齢、国籍、ライフスタイルなどに関わらず、一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮できる基盤づくり(処遇制度や教育体系の整備)と、互いの個性を尊重して高め合う風土(意識)醸成とを実現することで、美しさを提供するリーディングカンパニーとして、世界で存在感ある企業への進化を目指してまいります。

ダイバーシティ&インクルージョン宣言

多様性をチカラに変える

コーセーは、独自の価値創造の源泉として、ダイバーシティ&インクルージョンを推進します。

一人ひとりの“Individuality(個性)”によって構成され、“Individuality(個性)”が結束することで、

最高のチカラを発揮し独自の価値をグローバルに生み出す組織、企業を目指します。

 

 

 

◆ジェンダーにとらわれずに誰もが活躍するために  

1946年の創業以来、全ての社員が、性差に関わらず自分らしく自信をもって生きる社会へ貢献したいと思いを一つにして、お客さま一人ひとりのための“きれい”を提供できる化粧品をお届けしてまいりました。社内では、1999年の「男女共同参画社会基本法」の施行に先駆け、1985年には当社グループで初めて女性の取締役が就任するなど、多様な価値観を企業のチカラへ反映する企業文化が、現在に至るまで根付いております。現在、当社グループでは、美容職を含めた女性の割合が従業員全体の約8割を占めております。そのため、性差に関わらず、それぞれのライフイベントに合わせた柔軟な働き方ができる環境を整備し、安心して自身の能力を発揮できるための様々な取り組みを実施しております。

また、「コーセー サステナビリティ プラン」の取り組みテーマの一つ、「ジェンダーにとらわれずに活躍できる社会への貢献」を実現するために、社内に対して、女性活躍を含めた性差に関わらず自分らしさを最大限発揮できる環境整備の推進はもちろん、社会に対しても、女性のエンパワメントなどの支援の輪を広げていきたいと考えております。

 当該方針について以下のKPIを設定し、目標達成に向けて取り組んでおります。

 

<ジェンダーダイバーシティ関連指標>

指標

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度

実績

2026年度

目標

対象範囲

女性管理職比率

28.8%

28.9%

30.8%

33.0%

コーセーグループ

指導的地位にある社員の女性比率

34.7%

35.2%

33.2%

50.0%

コーセーグループ

有給休暇取得率

66.9%

69.2%

62.6%

80.0%

国内グループ会社

育児休業取得率(女性)

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

国内グループ会社

育児休業取得率(男性)

67.1%

88.2%

82.4%

100.0%

国内グループ会社

育児休業後の復職率(女性)

96.9%

96.7%

97.2%

100.0%

国内グループ会社

育児休業後の復職率(男性)

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

国内グループ会社

 

 

◆障がい者と健常者がともに働く環境づくり

 障がい者と健常者がそれぞれの役割を果たしながら、いきいきと働ける環境づくりを進めています。本人の意欲と適性をもとにさまざまな部門に配置され、健常者とともに活躍をしております。専門的なサポートが必要な場合は、障害者職業生活相談員や産業医へ気軽に相談を行うことができる体制はもちろん、社外にも健康相談窓口を設け、安心して働くことができる環境を整備しております。

 また、化粧品会社として初めて設立された特例子会社「アドバンス」においても、障がいをもつ人と健常者が、同じミッションを果たすために働いております。

 

◆シニア層の活躍と技術伝承

 長年、各分野で培った経験を活かして、本人の意欲と能力に合わせて働き続けられるように、定年後の再雇用制度を導入しております。50代の従業員に向けたライフプランセミナーや、定年退職時の各種制度等を理解できる機会を設け、自分らしい人生選択ができるよう、サポートを行っております。また、再雇用制度を通じて熟年層ならではの技能やノウハウを次世代社員へと引き継ぎつつ、当事者の働く意欲を活かす体制にしております。

 

③リスク管理

人的資本への取り組みに関するリスク管理は、当社グループのサステナビリティ戦略に組み込まれているため、(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略「コーセー サステナビリティ プラン ③リスク管理」をご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響が及ぶ可能性のあるリスク並びに投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が主要なリスクと判断したものでありますが、ここに掲げられているものに限定されるものではありません。

 

当社では、将来にわたる事業の継続性と安定的発展の確保のため、全社横断的な組織として、「リスクマネジメント推進委員会」を設置し、リスクを網羅的に洗い出し、定性的な分析・評価を行うとともに、甚大な影響を及ぼす可能性のあるリスクに対し、必要な対策を講じております。具体的には、毎年、関係会社及び各部門の責任者へのアンケートを通じて、リスク項目を抽出するとともに、「リスクが顕在化した場合の経営成績等の状況に与える影響」「リスクが顕在化する可能性の程度」の2つの評価軸で優先付けを行っております。

 

リスクアセスメントで抽出したリスクは、リスクカテゴリーごとに集約し、「戦略リスク」「事業・財務リスク」「政治・経済リスク」「事故・災害リスク」「人事・労務リスク」「法令違反・賠償リスク」に分類し、定期的にそれぞれのリスク対応の現状と進捗状況をモニタリングする仕組みを構築・運用しております。

 

2024年の世界経済においては、各国の中央銀行による金融引き締めの影響に加え、緊迫した中東情勢やウクライナ紛争の長期化が、経済活動の重しとなることが予想されます

 

日本については、昨年に景気を押し上げてきたコロナ禍明け後の需要回復がほぼ一巡するも、景気の緩やかな回復が続くことが見込まれます。しかしながら景気の下押し要因として、物価高による個人消費の伸びの鈍化に加え、海外経済減速や人手不足の影響が挙げられ、経済成長は鈍化する可能性があります。

アジアにおいては、中国本土では不動産不況の長期化や雇用情勢の悪化により、個人消費の復調に時間を要すると予想されます。

 米国では、昨年までの利上げの影響が今後顕在化していく可能性があるものの、労働市場および個人消費は底堅く推移すると予想されます。その結果、景気後退は回避され、緩やかな回復が見込まれます

 

 

リスクカテゴリー

主要リスクの内容

主な取り組み

戦略リスク

価格競争

ブランド価値の毀損

市場シェアの低下

マーケットニーズ・顧客志向の変化を考慮した商品開発・マーケティング・販売活動を行うとともに、機能的・情緒的な付加価値での差別化により、競合優位性を維持・向上させるべく取り組んでおります。

競合の新規参入

異業種からの参入や競合他社の新たなチャネル進出による市場シェアの低下

お取引先や営業・販売現場からの情報を随時把握するとともに、定期的な消費者調査により、市場の情報をタイムリーに把握することに取り組んでおります。また、積極的に異業種と協業し、外部リソースや技術と連携することで、独自の価値追求にも戦略的に取り組んでおります。

研究開発の遅れ

ブランドの市場競争力の低下

イノベーションの減退

先端技術研究所においては、データサイエンスを用いた基礎的・応用的な研究を行うとともに、フランスのリヨンに分室も開設し、最先端の皮膚科学研究に取り組んでおります。また、外部リソースを活用したオープンイノベーションにも積極的に取り組んでおります。

消費者嗜好の変化

消費者ニーズとの乖離によるブランド価値の低下

消費者の情報を適切に入手するための市場調査の定期的な実施と、日本国内の消費者調査に加え、海外進出国における調査も強化しております。またデジタルの積極的な活用による新たな顧客体験を追求しております。

 

気候変動対応への遅れ

低炭素化社会に対応できないことによる事業収益性の低下

 

温室効果ガス削減をはじめとした気候変動の緩和に向けた様々な取り組みを積極的に行っております。また「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に基づく気候変動が事業に及ぼす「リスク」と「機会」についての情報開示など、国際的な動きへの対応にも努めております。

 

人権問題・雇用差別対応の遅れ

人権リスクに対応できていないことによる事業収益性およびレピュテーションの低下

 

「国連ビジネスと人権の指導原則」などの国際規範に基づき、「コーセーグループ人権方針」を策定し、取締役会の監督のもと、サプライチェーン・自社グループ・消費者および社会の各段階における人権リスクを毎年調査の上、適切な対応の後、結果を積極的に情報開示しております。さらに、コンプライアンス遵守の側面から、各種ハラスメントや個別人権課題に関する教育啓発活動に加え、社内外に向けた相談窓口を設置しております。

 

 

 

リスクカテゴリー

主要リスクの内容

主な取り組み

事業・財務リスク

原材料の価格高騰

原料高騰による利益率の低下

市場リスクを最小限にするために、海外を含めたグローバル調達を推進しております。また、サプライヤー様と良好な関係を保ちながら、必要な原材料や外注生産品を適切な価格でタイムリーに調達できるよう努めております。更に、「原価在庫廃棄低減推進委員会」の設置により、適切な原価の維持や在庫を確保するための取り組みも行っております。

原材料の供給途絶

製品の安定的な供給への支障

売上高・利益率への影響

当社の信用の低下

政治・経済リスク

法的規制の改変・対応

需要変動のリスク

商品の輸出への影響

事業に関連する法規制の情報を日々収集するとともに、製品開発においては、法規制変更に伴う原料規格内容の見直し、代替原料の確保に向け、国内外の情報ネットワークを有効活用し、対応を進めております。

海外進出国エリアの政治情勢の急変

需要変動による売上への影響

従業員の安全リスク

海外現地法人・取引先様との連携を高め、各国、各エリアの経済・政治・社会的状況についてタイムリーな情報収集を通じて、必要な対策を講じております。

事故・災害リスク

自然災害(地震・噴火・津波など)

生産・物流機能の停止による事業活動の停滞や中断

災害発生や感染症が蔓延した場合、速やかに対策本部を設置し、対応策を協議の上、実行いたします。また、災害時に備え、危機管理規程・防災マニュアル・BCP(事業継続計画)等を作成し、職場安全性の確認及び不具合箇所の是正、代替手段の確保にも努めております。

強毒性の感染症の蔓延

生産・供給・販売など事業活動の停滞や中断

人事・労務リスク

優秀な人材の確保

企業競争力の低下

多様な人材が活躍できる環境づくりの取り組みを進めるとともに、採用活動においては、職種別採用の実施による専門人材の獲得や、ビューティーコンサルタント職の処遇制度の改定による優秀な人材の獲得を進めております。

法令違反・賠償リスク

製品事故に関わる問題

重篤な製品事故発生による、お客様からの信用損失と企業

ブランド価値の低下

お客様に安全・安心な商品をお届けすることを第一に考え、商品づくりに取り組んでおります。当社グループの品質に対する考えを「品質方針」として表現し、それを象徴する品質方針メッセージと5つの活動宣言を定め、日々活動しております。

機密漏洩・個人情報の漏洩

情報の漏洩による信用損失・損害賠償

「コンプライアンス推進委員会」によるコンプライアンスの啓蒙に加え、個人情報については法律や経済産業省のガイドラインに基づき「個人情報管理委員会」を設置するとともに、情報セキュリティの強化により、万全な管理体制の構築に取り組んでおります。また、社内研修を定期的に実施し、リスクの共有、防止を徹底しております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 

セグメントの名称

2022年12月

2023年12月

前期比較

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

化粧品事業

234,969

81.3

240,450

80.0

5,481

2.3

コスメタリー事業

52,234

18.1

57,656

19.2

5,422

10.4

その他

1,933

0.7

2,299

0.8

366

18.9

売上高計

289,136

100.0

300,406

100.0

11,269

3.9

 

 

区分

2022年12月

2023年12月

前期比較

金額

(百万円)

売上比

(%)

金額

(百万円)

売上比

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

営業利益

22,120

7.7

15,985

5.3

△6,134

△27.7

経常利益

28,394

9.8

20,252

6.7

△8,141

△28.7

親会社株主に帰属する
当期純利益

18,771

6.5

11,663

3.9

△7,108

△37.9

 

 

当期(2023年1月1日から2023年12月31日まで)における日本経済は、コロナ禍からの経済活動の正常化が進み、内需の押上げ効果により、景気の回復基調が続きました。飲食などのサービスを中心に個人消費が持ち直し、円安を背景としたインバウンド需要が好調に推移いたしました。一方、物価の高止まりによる消費者マインドの冷え込みや、人手不足の深刻化による供給面の制約が不安材料となりました。

当社グループが主に事業展開しているアジア・米国経済においては、中国では景気回復の動きに足踏みがみられ、政府が景気支援を強化するものの、不動産市場の低迷などにより、成長率は鈍化いたしました。それ以外のアジア経済では、回復基調が続きました。

米国においては、高止まりする市場金利やインフレによる景気後退が懸念されましたが、個人消費は堅調に推移し、米国経済を下支えいたしました。

 

 日本の化粧品市場においては、百貨店、化粧品専門店及びドラッグストアなどのマス市場を含めて着実に回復しており、インバウンドの増加も、化粧品需要の回復を後押しいたしました。

アジアの化粧品市場においては、中国では、景気回復の遅れ、競争環境の激化に加え、8月の福島原発処理水の海洋放出の影響により、売上に大きく影響を与えました。

それ以外のアジア各国については、一部地域では弱さがみられるものの、全体では回復基調にありました。

米国の化粧品市場は、底堅い個人消費に支えられ、順調に成長いたしました。

 

このような市場環境の中、当社グループは中長期ビジョン「VISION2026」を推進しており、「世界で存在感のある企業への進化」を目指しております。当期は「PHASEⅡ:世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」の2年目に入り、基本戦略の下、グローバルな事業展開の促進、事業領域及び顧客層の拡大、デジタルコミュニケーションの強化、成長を支える経営基盤の構築に取り組んでおります。

 

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,057百万円増加し、371,657百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,368百万円増加し、88,619百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,688百万円増加し、283,038百万円となりました。

 

b. 経営成績

当期における当社グループの業績については、中国及び韓国での売上が大幅に減少した一方、日本や、欧米を中心に展開する「タルト」が実績を大きく伸ばしたことにより、売上高は前期比3.9%増の300,406百万円(為替の影響を除くと前期比1.7%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の割合は36.8%となりました。

利益については、利益率の高い中国及び韓国のトラベルリテール事業における大幅減収に加え、マーケティング費用及び人件費が増加した結果、営業利益は15,985百万円(前期比27.7%減)、経常利益は為替差益の減少により20,252百万円(同28.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,663百万円(同37.9%減)となりました。

 

1) 化粧品事業

化粧品事業においては、ハイプレステージの主力ブランド「コスメデコルテ」が日本国内では引き続き好調に推移いたしましたが、中国及び韓国のトラベルリテール事業における苦戦に加え、中国の景気回復の遅れや競争環境の激化等により、大幅に減収いたしました。それ以外では、㈱アルビオンの「エレガンス」や、「ジルスチュアート」などが伸長いたしました。欧米で展開する「タルト」は、主力商品とともに新商品が寄与した結果、過去最高の売上となりました。

プレステージでは、「雪肌精」や「ONE BY KOSÉ」の回復基調が継続し、同カテゴリーの増収に大きく貢献しました。

これらの結果、売上高は240,450百万円(前期比2.3%増)、営業利益は17,868百万円(同29.7%減)となりました。

 

2) コスメタリー事業

コスメタリー事業においては、「ヴィセ」や「メイク キープ シリーズ」、コーセーコスメポート㈱の「クリアターン」などが好調に推移した結果、売上高は57,656百万円(前期比10.4%増)、営業利益は2,941百万円(同167.0%増)となりました。

 

3) その他

その他の事業は、ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売が増加したため、売上高は2,299百万円(前期比18.9%増)となりました。営業利益は売上原価率が低下したことにより978百万円(同8.4%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より11,605百万円増加105,669百万円(前期比12.3%増)となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、30,443百万円の収入となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益19,506百万円、非資金費用である減価償却費9,557百万円、退職給付に係る資産の増加3,161百万円、売上債権の減少8,711百万円、仕入債務の増加1,591百万円、その他の資産の減少1,414百万円及び法人税等の支払い7,872百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、11,227百万円の支出となりました。主な要因は、定期預金の増加による純支出4,673百万円、有形固定資産の取得による支出3,383百万円及び無形固定資産の取得による支出2,143百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、9,677百万円の支出となりました。主な要因は配当金の支払い7,987百万円等であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

化粧品事業

170,872

107.7

コスメタリー事業

36,560

105.6

その他

1,286

113.9

合計

208,718

107.3

 

(注) 金額は製造会社販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
 

 

b. 受注実績

重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

化粧品事業

240,450

102.3

コスメタリー事業

57,656

110.4

その他

2,299

118.9

合計

300,406

103.9

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。

当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計上の見積り及び見積りに用いた重要な仮定は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 財政状態

当連結会計年度末の流動比率は365.6%、前連結会計年度末に比べ3.8ポイント増加、当座比率は252.4%、前連結会計年度末に比べ 2.3ポイントの増加となりました。主な理由は下記のとおりであります。

資産は、前期末に比べ12,057百万円の増加となりました。現金及び預金の増加16,310百万円、商品及び製品の増加2,935百万円、リース資産の増加916百万円、退職給付に係る資産の増加4,248百万円、受取手形及び売掛金の減少8,046百万円、原材料及び貯蔵品の減少1,662百万円、建物及び構築物の減少1,762百万円、機械装置及び運搬具の減少813百万円、工具、器具及び備品の減少615百万円、投資有価証券の減少2,140百万円等によるものであります。

負債は、前期末に比べ4,368百万円の増加となりました。支払手形及び買掛金の増加714百万円、未払費用の増加710百万円、未払法人税等の増加580百万円、未払消費税等の増加830百万円、長期リース債務の増加871百万円、繰延税金負債の増加622百万円、短期借入金の減少861百万円等によるものであります。

なお、有利子負債残高は10,215百万円、デット・エクイティ・レシオは0.04倍となりました。

 

2) 経営成績
(売上高)

当連結会計年度の売上高は、300,406百万円(前期比3.9%増11,269百万円増)となりました。

これをセグメントごとに分析すると、当社グループの主力事業である化粧品事業及びコスメタリー事業の売上高がそれぞれ240,450百万円(同2.3%増5,481百万円増)、57,656百万円(同10.4%増5,422百万円増)となりました。その他の事業の売上高は2,299百万円(同18.9%増366百万円増)となりました。

(営業費用)

当連結会計年度の売上原価は、89,209百万円(前期比6.7%増5,588百万円増)となりました。

販売費及び一般管理費は、195,211百万円(同6.4%増11,815百万円増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高比率は1.6ポイント増加いたしました。

(営業外損益)

当連結会計年度の営業外損益は、4,266百万円の利益(前期比32.0%減、2,007百万円減)となりました。当連結会計年度は為替差益1,978百万円(同54.0%減、2,328百万円減)を計上しております。

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益は、745百万円の損失(前期比41.7%増、219百万円増)となりました。事業整理損336百万円を特別損失に計上しております

 

3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より11,605百万円増加105,669百万円(前年比12.3%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

当社グループは「VISION 2026」実現に向け、生産設備の新設及び更新、新規市場進出のための投資、デジタルトランスフォーメーション推進への投資などを実施してまいります。それぞれの投資のタイミングにつきましては、資金残高及び資金調達のバランスを検証し、優先順位をつけて実施してまいります。

自己資金による事業運営、設備投資、株式投資、配当などを行っておりますが、金融機関とは28,000百万円のコミットメントラインを締結しており、事業運営上必要な投資などへの資金につきましては、外部調達も可能となっております。

当社グループの財務状況、安定した業績については、金融機関及び金融市場からの評価は高く、自己資金が不足した場合においても外部調達は可能と判断しております。

利益配分につきましては安定配当を基本としておりますが、今後の事業拡大のための内部資金の確保に配慮しつつ、財政状態、業績、配当性向などを勘案し、配当金額を決定しております。

 

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

化粧品市場においては、国内外におけるEコマース売上規模の拡大などにより回復基調にありますが、一部地域の景気回復の遅れ、競争環境の激化に加え、8月の福島原発処理水の海洋放出が、トラベルリテール事業の売上に大きく影響を与えました。

今後につきましては、各国の中央銀行による金融引き締めの影響に加え、緊迫した中東情勢やウクライナ紛争の長期化が、経済活動の重しとなることが予測され、市場変化に対するタイムリーな対応の成否が、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが想定されます。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。

今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。

 

d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高営業利益率、総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の前連結会計年度、当連結会計年度推移と「VISION 2026」でのそれぞれの目標に対する進捗については、以下のとおりです。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

「VISION 2026」

総資産事業利益率(ROA)

6.7%

4.7%

18%以上

自己資本当期純利益率(ROE)

7.5%

4.4%

15%以上

売上高営業利益率

7.7%

5.3%

16%以上

 

 

 

当連結会計年度は全て前連結会計年度を下回りました。その要因は、経営成績が前連結会計年度を下回ったことによります。当連結会計年度における各重要な経営指標につきましては、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況で述べたとおりであります。

(注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100

自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100

 

e. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態
(化粧品事業)

セグメント資産は、現金及び預金の増加3,579百万円、売掛金及び受取手形の減少5,658百万円、棚卸資産の増加3,688百万円、有形固定資産の減少1,805百万円、無形固定資産の減少397百万円、退職給付に係る資産の増加4,248百万円等により、前連結会計年度末に比べ4,397百万円増加248,070百万円となりました。

(コスメタリー事業)

セグメント資産は、現金及び預金の増加4,700百万円、売掛金及び受取手形の減少2,277百万円、棚卸資産の減少1,817百万円、有形固定資産の減少990百万円等により、前連結会計年度末に比べ457百万円減少43,454百万円となりました。

(その他)

セグメント資産は、現金及び預金の増加485百万円、売掛金及び受取手形の減少93百万円等により、前連結会計年度末に比べ360百万円増加4,108百万円となりました。

 

2) 経営成績

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績で述べたとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、お客様のニーズに合った化粧品を市場に提供するために、主に、以下の国内二拠点を中心として研究開発活動に取り組んでおります。

コーセー製品開発研究所‥‥‥‥‥‥‥製品開発研究・管理、海外市場研究、薬事戦略、

サステナビリティ研究、研究戦略・管理

コーセー先端技術研究所‥‥‥‥‥‥‥先端技術研究、皮膚科学研究、基盤技術研究、品質保証研究、

IT関連技術開発・管理

当連結会計年度におきましては、更なる顧客価値創出のための技術開発力と品質保証体制の強化、グローバル化への対応を進め、研究開発活動のより一層の向上に努めました。

当連結会計年度における研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

製品研究分野の研究成果として、当連結会計年度において開発いたしました主な製品は以下のとおりであります。

 

スキンケア製品・ヘアケア製品

製品名称等

特徴

セグメントの名称

コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアアイセラム

バリア機能が低く乾燥しやすい目元専用に開発した美容液。セラミドをナノサイズでカプセル化したナノバイセルと、リポソームとを共存させたダブルカプセル処方で1滴(0.1mL)に合計1.6兆個のカプセルを配合した。乾燥によるくすみ、肌あれ、乾燥小じわなど複合的な悩みを持つ目元に働きかけ、滑らかな明るい肌に整える。

化粧品事業

コスメデコルテ AQスキンケアライン

世界有数の植物研究施設と共同開発した金香木の花のエキスをはじめとする厳選した美容成分、肌の内側から輝くようなツヤ感にこだわりぬいて開発した独自処方、金香木の香りと幸福感についての研究を応用したフレッシュフローラルムスキーの香りを組み合わせ、全9品種を開発。

化粧品事業

ONE BY KOSÉポアクリアオイル

独自に開発した角栓クリア技術を初めて応用し、メイクアップ料だけでなく毛穴に詰まった角栓までもやさしくスルンと落とし、毛穴の黒ずみやざらつきの無いすべすべの肌に導く。

化粧品事業

ONE BY KOSÉセラムシールド

肌の水分保持能改善とシワ改善の2つの効能を持つ、日本で初めての有効成分ライスパワー®No.11+を固型バームの中に閉じ込めた独自処方。みずみずしい使用感と高いシールド効果の両立を実現。

化粧品事業

雪肌精クリアウェルネス 日やけ止めシリーズ

コーセーサステナビリティプランに基づき、海で使用してもサンゴの成育に影響を与えないことを目指して開発。ジェルタイプ、ミルクタイプ、マイルドタイプ、トーンアップタイプなど様々な使用シーンに対応した4製品をラインアップ。

化粧品事業

スティーブンノル ブリーチケアシリーズ

鮮やかな髪色を楽しむトレンドに対応し、独自に開発したカラーキープ成分と、高浸透補修カプセルを配合し、カラーリングによるダメージの補修とヘアカラーの持続の両立を具現化した。

コスメタリー
事業

 

 

 

メイクアップ製品

製品名称等

特徴

セグメントの名称

アディクション ザ ファンデーション リフトグロウ

頬等に光を集めてリフレクトさせ、リフトアップしたような立体感を叶えるグロウ系ファンデーション。高化粧持ち技術も併用し、ツヤがありながらテカらずよれない美しい仕上がりの持続も実現。

化粧品事業

メイク キープ パウダー

メイクキープシリーズとして化粧崩れ防止に特化したフェイスパウダーを開発。撥水性と肌付着性を両立する新規開発粉体によりこれまでにない高機能性を具現化した。

コスメタリー
事業

ヴィセ

ネンマクフェイク ルージュ

マスクを着けても外してもツヤと色の仕上がりが続く口紅を開発。唇上で分離するカラー層とツヤ高いフィルムコート層により高機能を実現。

アフターコロナの顧客ニーズにマッチした品質でセルフマスメイク売り上げV字回復に大きく貢献、ベストコスメ受賞多数。

コスメタリー
事業

ジルスチュアート ブルーム 

リップ キャンディ

立体お花型多色充填の口紅。新規紅型開発、それをかなえるベース開発、充填設備導入、充填技術開発において多部署が連携して初めて優れた外観審美性を実現。コーセーの高い「ものづくり力」が発揮された一品。多くの「かわいい」モノ好きの顧客のハートをつかんで、発売後即完売、SNSでも話題の大ヒットとなった。

化粧品事業

ファシオ ウルトラ WP 

マスカラ (ボリューム)

“落ちない”機能をより一層強化。まつ毛にふさふさとしたボリュームをあたえ、にじまずにくっきりと濃密なまつ毛を演出するボリュームマスカラを開発。

コスメタリー
事業

 

 

基礎研究分野では様々な研究を進めております。同一供与から年代別に得られた細胞を使った研究を通じて、真皮線維芽細胞の老化運命を左右する因子が存在することを発見いたしました。また引き続きフランスリヨンとグラッドストーンへ研究員を派遣し、美白や老化メカニズムの解明を進め、皮膚の若返りを目指す研究を進めております。またマイクロバイオーム(細菌叢)研究では菌種の比率を見るだけでなく、実際の肌上菌数の多寡が肌の赤みと関係があることや、肌に塗った化粧塗膜中の成分分布を質量分析機を用いてビジュアライズする手法を開発し発表しております

一方でデジタル技術を駆使した先端的な研究にも取り組んでおります。2018年から開始した量子コンピュータの処方開発への応用に関する研究において、初めて具体的な成果を上げております。超高速な計算処理が得意な量子コンピュータと既存のコンピューティング技術を掛け合わせ、何億通りもある原料の組み合わせの中から、自動で優れた化粧品処方を生成するオリジナルの計算システムを開発いたしました。今日まで、量子コンピュータの現実社会での活用事例は未だ稀であり、この研究成果は化粧品分野における代表的な国際学会であるIFSCCにおいて高い注目を集めております。今後、これらの研究から得られる成果を、新製品の開発や製剤のパーソナライズサービスなどに随時応用していく予定であります。また、ウェルビーイング領域やサステナビリティ推進に向けた研究も、今後強化していく方針であります

 

以上の結果、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は6,459百万円であり、セグメントごとの内訳は、化粧品事業5,167百万円、コスメタリー事業936百万円であります。また、各事業部門に配分できない基礎研究費用は355百万円であります。