(1)経営方針、経営環境
国内の経営環境は、新型コロナウイルス感染症流行禍(以下、「COVID-19パンデミック」といいます。)の行動制限解除により経済社会活動が正常化する中で、個人消費活動やインバウンド需要の回復等で景気は緩やかに回復いたしました。一方、これらCOVID-19パンデミックからの回復ペースは徐々に鈍化し、物価高によるコスト上昇や労働需給の逼迫等が見込まれるなど、引き続き景気動向は不透明な状況が続いております。また、当社グループ企業が属する米国の経営環境は、COVID-19パンデミックや地政学的緊張、財政刺激策等に起因するインフレが過去数十年で最高水準に達したほか、サプライチェーンの混乱や労働力不足等が続いており、景気動向は依然として不透明な状況が続いております。
インターネットを取り巻く環境は、Eコマース市場や各種インターネット関連サービス市場等が成長を続けております。また、IoT、AIに代表されるデジタル技術は進化し続けており、様々な場面においてデジタル化が加速しております。ゴルフ市場においては、ゴルフ大国と言われる米国を中心にIT技術を取り入れること等でゴルフ場以外の場所でゴルフを楽しむ「オフコースゴルファー」が台頭する等、ゴルファーの需要スタイルは日々変化しております。
このような環境の中、当社は、新たに「中期経営計画2024-2026」(以下、「新中計」といいます。)を策定いたしました。この新中計においては、「全サービスの改善・改良・モダン化を進めて、生産性の向上と効率化を推進することで、利益率の改善に集中」するというテーマを設定いたしました。引き続きゴルフ市場の成長著しい米国において、当社グループの米国事業の更なる成長を加速させるべく、米国の既存ビジネスの早期立て直し及び新規事業を早期に成長軌道に乗せること、及び国内事業の安定的な成長により、グループ全体の収益基盤の拡充及び財務基盤の立て直しを図ることに注力してまいります。「新中計」の詳細につきましては、当社ウェブサイト上に掲載しております資料をご参照ください。
「中期経営計画2024-2026」:https://company.golfdigest.co.jp/ir/docs/earnings/
① 財務体質の改善
2022年8月に連結子会社における新規事業の買収代金やその諸費用、連結子会社への出資持分追加取得代金やその諸費用等に充当するべく、シンジケートローンによる資金の借入契約を締結いたしました。また、連結子会社の出資持分追加取得に伴う連結貸借対照表上の純資産減少を補強すべく第三者割当の方法でA種優先株式を発行いたしました。「(1)経営方針、経営環境」に記載のとおり、新中計に沿って利益率の改善に集中すると共に投資効率を重視した経営によりキャッシュ・フローの増大に努めることで、有利子負債の圧縮・優先株式の償還を進め、財務体質の改善を図ってまいります。
② マーケティング戦略の強化
当社グループの事業拡大を進めるためには、マーケティング戦略の強化が不可欠であり、事業の根幹を成す「GDOクラブ会員」との関係強化に重点を置いております。また、日々進化するマーケティングソリューションを効果的かつ迅速に展開するためにも事業サービスを超えた横断的な連携の強化に集中してまいります。
③ システムの安定稼働
当社グループにとって、ビジネスの基盤であるシステムの安定稼働は今後も重要な課題であります。コンピュータウイルスなどの侵入、近年高度化・複雑化する情報改ざんや不正侵入などの不正アクセス等の脅威に対して、適切なセキュリティ対策を講じてまいります。また、システムの可用性の向上等に関する取組みを積極的に進めることで、高度な情報システム環境の維持・運用を行ってまいります。
④ ステークホルダーとの関係強化
当社グループは、株主の皆様のみならず、お取引先企業、お客様及び従業員との間に生まれる信頼と共栄の関係を継続させることが、長期的に株主価値の最大化を実現するものと考えております。制度開示における重要事実公開手順を踏まえた上で、業績結果、財務内容、将来ビジョンや経営戦略などについて、ステークホルダーに対し迅速かつ的確に情報発信してまいります。また、CSR活動やサステナビリティを意識した経営を通じてステークホルダーの信頼と満足を得る企業価値の向上を図ってまいります。
⑤ 個人情報の保護管理強化
当社グループの事業は、当社サービスの顧客の様々な活動により支えられており、顧客の個人情報の保護管理において大きな責務を負っています。個人情報保護法を遵守すべく定めた、情報セキュリティ基本方針及び個人情報保護方針に基づき、あらゆる管理体制強化を図ってまいります。当社グループが保有する情報資産をあらゆる脅威から保護し、適切な安全管理を実現するために構築した、情報セキュリティマネジメントシステムを最大限活かし、情報資産を安全かつ適正に管理・運用してまいります。
⑥ ゴルフ業界における確固たる地位の構築
競合する企業との差別化を図り、当社グループならではの付加価値を示していくためには、今以上に認知度を高めていかなければならないと考えております。ゴルフ業界の中でオンリーワンの存在として業界の繁栄に貢献していけるような企業を目指します。そのためには、テクノロジーとデータを駆使した革新的なゴルフビジネスの開発と共に国内外ビジネスでこれまで以上の売上規模を獲得していくことが重要であると認識しております。
⑦ グローバル展開の推進
当社グループは、今後の持続的な成長のために海外事業展開を重要な戦略と位置づけております。2019年以降、米国を中心に本格的な事業展開に着手しており、これら事業の売上・利益拡大に向けて、引き続き海外子会社の経営管理面での充実を図ってまいります。またこれに関連して、海外事業展開に不可欠なグローバル人材の開発・育成を進め、海外事業の飛躍的成長のための土台を構築してまいります。
当社グループは「ゴルフで世界をつなぐ Connect the world with GOLF」というミッションを掲げ、ゴルフ専門のITサービス企業として事業を行っております。人々の心と身体の健康に寄与できるゴルフの可能性を信じ、より多くの人にその楽しさに触れてもらうことを使命ととらえ、テクノロジーとエンターテインメントを融合させた各種サービスをグローバルに展開しております。当社グループでは、サステナビリティ経営のテーマとして、「ゴルフ、スポーツを通じて人々の心身の健康に働きかける」ことを掲げ、あらゆるステークホルダーにとって重要でありかつ当社グループの強みを活かしながら、社会と企業のサステナビリティに貢献できることは何か、という基準に照らし、「社会」、「環境」、「健康」、「人」の4項目を、サステナビリティ活動の柱として定義しました。また、当社グループはサステナビリティ活動への取組みに際して常にパートナーシップを重視し、社会地域コミュニティ、取引先、パートナー、ゴルフ業界全体、従業員等あらゆるステークホルダーと協力して持続可能な社会の実現を目指してまいります。

当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする部門横断機関であるサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、当社グループにおけるサステナビリティ全般に係る課題やこれに対する取組みを検討し、その進捗を取締役会に報告しております。取締役会では、サステナビリティ委員会からの報告に基づき必要な議論を実施した上で、サステナビリティ活動の承認、モニタリング及び必要な助言を行っております。

当社グループは、サステナビリティ経営の柱として、「社会」、「環境」、「健康」、「人」の4項目を設定しております。それぞれについて、リスクと機会を識別し評価及び管理すべくサステナビリティ委員会が主導し検討しております。
資本・イデオロギー格差の広がりにより社会の分断化が進み、ゴルフレジャーの硬直化、ゴルフレジャー参加者の画一化、参加人口の減少、ゴルフスポーツへの偏見が増長され、ゴルフそのものの人気が低下するなどのリスクが考えられます。反面、多様性を尊重する社会において、様々な形でのゴルフの楽しみ方を提案し、ゴルフ場を活用して多種多様な人々が交流できる場として提供するなど、ゴルフというスポーツを通じて地域コミュニティのハブとなることでゴルフレジャー参加者のすそ野を広げることも可能であると考えられます。
② 環境
気候変動に伴う災害の発生や、異常気象の激甚化によりゴルフを含むアウトドアスポーツの低迷というリスクが考えられます。当社グループでは既存のゴルフ場が環境に与える良い影響・悪い影響がどのようなものかを把握し、ゴルフ場を活用した環境保護が可能かを検討しております。またリスクに対する重要度及び影響度を確認するために自社を中心とするCO2排出量の算定を始めております。
日本国内では少子高齢化が進行し、現役ゴルファーの高齢化によるゴルファー人口の減少が懸念されております。もっとも、ゴルフは高齢になっても継続できる数少ないスポーツであり、ゴルフを通じた健康寿命の伸長、高齢者のみならず多種多様な方が楽しめるゴルフ場・ゴルフレジャー施設の活用及び提案を行うことにより、人々の平均寿命が延び続けている社会において当社グループがゴルフスポーツの健康優位性を周知していくことが可能であると考えております。
人的資本については、人材の流出、人材の硬直化による事業の硬直化、事業革新性の低下、生産性の低下などのリスクが考えられます。これに対する戦略及び指標・目標については後述いたします。
当社グループが社会に対して継続的に価値を提供していく上で、最も重要な資本は人材であるとの認識のもと、継続的な価値提供には当社グループの理念に共感し、これを実践する人材を多く有することが不可欠なものであると考えております。2022年には、各部門の長を中心とする人材マネジメントプロジェクトを発足し、「多様性を認め合い、人生を楽しむことに寛容な社会を目指して挑戦し続ける仲間を称賛し、応援する」という「人事ポリシー」を定めると共に、「こんな社員の集まりでありたい」という宣言である「人物像」を定めました。また、これらを体現するための新たな人事制度を設計し2023年1月より運用を開始し、「人事ポリシー」や「人物像」を当社の採用、評価、人材育成の基準にすると共に、一人ひとりが多様性を認め合い、人生を豊かにする働き方を実現することに日々挑戦しています。
さらに、性別や年齢、国籍で職種や役職を規定することなく、それぞれの多様な価値観を尊重しながら、全ての従業員が働きやすく能力を発揮しやすい職場環境を整えることを目指して、従業員がイキイキと働き、主体的にキャリア形成できる環境の整備に努めております。
・レイアップ勤務(私用を含む非連続の勤務)が可能
・スルー勤務(6時間以内であれば休憩なしで勤務)が可能
・アーリーバード(早朝に業務を開始、早くに終了する勤務)が可能
・ゴルフ休暇(年4日)
・私傷病休暇(年10日)
・子の看護休暇(未就学児一人につき年5日(最大10日))
・自己啓発支援制度(業務外を含む自己啓発活動に対して最大10万円を補助)
・GDOアカデミー(選択型研修制度)
・社内インターンシップ制度(他組織の業務が経験できる制度)
・成果とプロセスの2軸による評価制度(成果だけでなく成果に至るシナリオも重視した評価)
・制度の理解浸透、実践に向けたワークショップの実施(2023年度のべ55時間)
人材の多様性及び働き方の多様性に関する指標については、第1「企業の概況」の5「従業員の状況」の(4)「管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。なお、目標につきましては現在策定中であります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ゴルフ市場について
① ゴルフという特定分野への依存
当社グループは、専門性の高いサービス提供を行うために、ゴルフというジャンルに特化したサービス提供を行っております。このような当社グループにとっては、国内・海外のゴルフ業界の成長性は、当社グループのビジネスの成長と密接な関連性を有しますが、ゴルフ業界においては、ゴルフ場利用者数の減少やゴルフプレーヤーの高齢化が問題視されており、業界全体として若年層や女性ゴルファーの開拓に取組んでおります。その具体的なあらわれとして、乗用カートの利用やセルフプレーの増加が進んでおりますが、ゴルフプレー料金は昨今増加傾向にあります。また、当社をはじめとした企業が提供するインターネットを利用したゴルフ場予約の普及等により、ゴルフプレーを手軽に生涯スポーツとして楽しむ環境も整いつつあります。今後これらの取組みにもかかわらずゴルフプレー者数が急激に減少した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゴルフプレー料金の増加傾向に加えて、ゴルフ用品の価格競争は長期化しており、業界各社の事業リスクは増加する傾向があります。国内・海外のゴルフ業界が今後予測どおりに成長しない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 季節変動及び天候によるリスク
ゴルフは屋外スポーツであるため、気候の穏やかな春・秋にゴルフプレー者数は増加し、気候の厳しい夏・冬に減少する傾向があります。このため、当社グループの四半期ごとの経営成績は、これら季節変動の影響を受ける可能性があります。また、冬場における予想外の降雪や夏場における台風又は落雷等により、ゴルフ場の営業日数や利用者数が変動し、当社グループのゴルフ用品販売やゴルフ場送客人数等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害及び感染症等によるリスク
国内・海外において大規模な自然災害等が発生した場合、国内ゴルフ用品販売サービスや国内・海外ゴルフレッスンサービスにおいては、店舗及び物流センターの設備の損壊、ライフラインや交通網の壊滅等により当社グループの事業活動に支障をきたすリスクが考えられます。国内ゴルフ場予約サービスにおいては、被災地域の状況により交通網の寸断、提携ゴルフ場の施設の崩壊等により復旧までに相当の時間を要することも予想されます。また、COVID-19を含む感染症等の発生や蔓延により、遠距離移動や日々の行動が制限される等のリスクが考えられます。これら自然災害や感染症等に伴う状況が長期化する場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)インターネットビジネスの事業リスクについて
① Eコマース及びインターネット
当社グループは、国内のインターネット利用環境において「ゴルフ関連の総合ポータルサイト」としてEコマースによるビジネスを展開しております。総務省発表(2023年7月)の情報通信白書のデータによれば、国内のインターネットの人口普及率は引き続き80%を超え、スマートフォンの利用率がパソコンの利用率を上回る状況となっております。こうしたインターネット利用者に対する快適な利用環境が維持・拡大され、Eコマース市場も共に成長していくことが当社グループにとっても重要となります。しかしながら、何らかの理由により、長期にわたりインターネット接続環境の悪化や利用停止となる状況が生じた場合、又はEコマースをめぐる法的な規制によりEコマースの優位性が喪失し、Eコマースの市場成長が鈍化した場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② モバイル端末及びソーシャルメディア
スマートフォンやタブレット端末の急速な浸透により、モバイル端末を通じた情報の取得やEコマース(モバイルコマース)は普及が進んでおります。また、FacebookやX(旧Twitter)に代表されるソーシャルメディアの急成長やサービスのクラウド化等、通信・端末・コンテンツを含めた環境は構造変化の途上にあります。当社グループでは2005年2月よりモバイル端末でのサービス提供を開始し、その対応を強化すると共にソーシャルメディアを通じたマーケティングを積極的に進めております。しかしながら、モバイル端末利用の衰退や当社グループのモバイル端末向けサービスへの対応の遅れ、サービスの不具合等により当社グループのモバイル端末向けサービスが長期間提供不能に陥った場合や、ソーシャルメディア関連の規制等により、マーケティング戦略の見直しを余儀なくされた場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インターネット広告及びデジタルマーケティング
インターネット広告事業は、将来の国内・海外の市場規模を正確に予想することは困難であり、当社グループの各サービスに対する今後の需要も不確定であるといえます。また、広告市場は景気動向の影響を受けやすいものと考えられることから、市場が拡大したとしても景気が悪化した場合には当社グループの広告事業が順調に成長しない可能性もあります。
さらに、デジタルマーケティングの手法は高度化が進んでおり、インターネット広告の中でも、リターゲティング広告や行動ターゲティング広告等、その手法は多様化を見せております。そのため、新たな広告商品の開発費用やこれら広告商品の取扱企業との提携にかかる費用負担等が必要な場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報保護
当社グループは、国内・海外のウェブサイト上の各サービスの中で、各会員情報等の個人情報を取得しております。当社グループでは、国内・海外における個人情報の保護に関する法律を遵守すべく徹底した情報管理を継続的に行い、高度なセキュリティ技術の活用、各種社内教育及びガイドラインの充実等、個人情報の保護に関する研究及び対策の徹底を行っております。また、国内においてウェブサイト上の個人情報保護の第三者認証機関である一般社団法人日本プライバシー認証機構より「TRUSTeマーク」を取得しております。
これらの個人情報については、利用目的を限定した上で業務委託先企業等と共有することがあるため、個人情報管理体制の強化、理解促進、委託先企業の監督を継続的に行い、かつ内部監査を定期的に実施する等、個人情報の適切な利用と保護の徹底に努めております。しかしながら、以上のような対策を講じたとしても、当社グループ・業務委託先企業等の過失等により、個人情報の漏洩等の事象が発生した場合には、損害賠償請求や社会的信用の下落等によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブル
国内・海外における当社グループのサービスの多くはインターネット環境下において稼働しているため、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しております。当社グループは主要なシステムを強固なセキュリティ対策が施されているクラウドデータセンター内に設置しておりますが、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断又は電力が長期間供給停止の事態に陥った場合には、当社グループの営業やサービス提供は一時的に不可能となるおそれがあります。また、日々のシステムを管理している会社が倒産や業務継続不能となる等のほか、ハードウエアやソフトウエアの不具合、当社グループへのインターネットアクセスの急激な増加、その他予測不可能な様々な要因によってコンピュータシステムが使用不可能となった場合にも、当社グループは営業やサービス提供を行うことができなくなり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、ハッカーによる外部侵入等を要因として、システム停止を余儀なくされた場合、又は機密情報の漏洩等が引き起こされた場合には、損害賠償請求や社会的信用の下落等によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産
国内・海外において当社グループが行う事業の中には、特許権、著作権等の様々な知的財産権が関係しております。必要な知的財産権が取得できなかった場合や、適切な利用許諾を得られない場合には、技術開発やサービスの提供が困難となる可能性があります。
当社グループは有価証券報告書提出日現在において、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたり、またそのような通知を受けておりません。しかしながら、将来当社グループの事業活動に関連して第三者が知的財産権の侵害を主張する可能性がないとはいえません。当社グループの属する市場がさらに成長し、ITの進展とあいまって、事業活動が複雑多様化するにつれ、競合も進み、知的財産をめぐる紛争件数が増加する可能性があります。このような場合、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求、又はロイヤリティの支払請求を受けることにより、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来当社グループにて重要な知的財産を保有する可能性もあり、その際には適切な保護管理策を講じる予定でありますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する可能性を完全に排除することは困難でもあり、当社グループの重要な知的財産権が第三者に不当に侵害された場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 許認可及び法的規制
当社グループは、国内のEコマース事業における景品表示法にかかる規制をはじめとした、国内・海外での事業運営に関して多様な法的規制を受けております。また、国内における中古用品販売事業活動においては古物商の許認可を、旅行事業活動においては旅行業登録(第2種)を、また当社独自のポイントサービス事業活動においては資金決済法に基づく前払式支払手段(第三者型)発行者登録をそれぞれ取得し事業を行っております。当社グループはこれら国内・海外の関連法令の遵守に努めており、有価証券報告書提出日現在において事業運営上に支障をきたす事態は生じておりませんが、違反その他の事由により改善勧告を受けた場合やこれら許可等が停止や取消となった場合及び当社グループの事業に関わる各種法的規制の見直しや新たな制定等による規制強化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合リスクについて
当社グループの属する国内・海外のインターネット及びゴルフ市場において、当社グループと競合する企業は多数存在しております。今後も市場の拡大に伴い、新規事業者の参入や既存ゴルフメーカー等のインターネット事業への進出等、競合状態は一層厳しくなることが予想されます。これら同業他社との価格競争やその他景気動向の影響により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、急激な為替の変動により生産コストが上昇して商品価格が高騰した場合、ゴルフクラブ等の仕入価格の上昇が予想されますが、競合下においての消費者への完全な価格転嫁は困難なものと予想され、その場合にも当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)在庫リスクについて
当社グループでは、適切な在庫管理と販売予測により、品切れによる販売機会ロス削減と過剰在庫の防止を行っておりますが、販売予測を誤った場合には在庫不足又は過剰在庫となるリスクや、COVID-19を含む感染症等の発生や蔓延による生産拠点の不稼働、原材料確保の困難等によるサプライチェーンの混乱が生じ、これによる各種メーカーにおける商品供給量低下のリスクは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)設備投資に係るリスクについて
当社グループは、国内・海外それぞれの事業戦略に則り、自己資金及び借入金による設備投資を実行しておりますが、投資対象が期待とおりの投資リターンを生まない場合、借入過多によるバランスシート悪化及び成長のための再投資資金の枯渇をもたらし、結果として当社グループの成長力に影響を及ぼす可能性があります。また、固定資産は減損会計対象であることから、投資した資産から減損損失が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)業務提携・M&Aに係るリスクについて
当社グループでは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、当社グループのサービスと親和性の高い国内・海外企業との業務・資本提携やM&Aを通じた事業の拡大に取組んでおります。しかしながら、被買収企業との融合又は提携先との関係構築・強化が予定どおり進捗しない場合、統合又は提携により当初想定した事業のシナジー効果等が得られない場合、何らかの理由により当該業務提携が解消された場合には、投資に要した資金、時間その他の負担に見合った利益を回収できない可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、会計基準に従ってかかるのれんを今後一定の期間にわたり償却いたしますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該のれんについて減損損失を計上する必要があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)カントリーリスクについて
当社グループは、北米、アジア等の各国で事業を行っており、今後も海外市場での事業展開及び拡大は当社グループの重要な経営課題であります。また、海外事業展開においては、各国の法令、政治・社会情勢、文化、宗教、商慣習の違いに起因するリスクに対処する必要がありますが、これらのリスクに適切に対処できず、想定どおりの成果を上げることができない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)優秀な人材の確保及び育成について
当社グループは、引き続き成長を続ける段階にあり、国内・海外における事業戦略の構築と推進、新たなマーケティング施策の構築等、会社運営を円滑に行う上で貴重な人的資源を適宜確保し、育成していく必要があります。しかしながら、これらの人材が社外に大量に流出した場合には、業務運営に支障が生じ、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)財務・会計に係るリスクについて
① 金利及び流動性・調達リスク
国内・海外の当社グループの設備投資及び経常運転資金は主として自己資金の他、借入金による間接調達によりまかなっております。将来的に金融市場において、政府の経済政策や金融政策等の影響により基準金利としている長短金利が上昇することで、借入残高にかかる金利支払負担が増大した場合には、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、突発的な内部及び外部環境の変化等により、資金調達ができなかった場合には、事業の継続ができなくなる等、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 会計リスク
繰延税金資産は、将来にわたり十分な課税所得を得る前提にて計上を行っておりますが、内部及び外部要因にて前提とする課税所得の確保が困難と判断された場合、その取崩しにより当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、国内・海外において訴訟等が提起された場合、偶発損失引当の計上により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。
③ 為替リスク
当社グループの海外取引のうちアジア向けは原則日本円建、欧米向けは原則米国ドル建でありますが、当社グループの今後の海外取引の拡大に伴い米国ドル建取引が増加する場合には、為替予約を活用したとしても為替変動リスクを被る可能性があり、為替変動が当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは外貨建資産(未予約の現預金等)を保有しており、これを円建資産に転換する場合、財務諸表作成のために換算する場合には、為替変動の影響を受ける可能性があります。
(10)継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、一部の借入金及びÅ種優先株式について、純資産及び利益等に関する一定の条件の財務制限条項が付されております(契約ごとに条項は異なります)。本条項に抵触し、金融機関及び優先株主より債権行使がなされた場合には、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末において、親会社株主に帰属する当期純利益を1,250百万円以上の金額とするという利益維持基準を下回ったことにより複数の金融機関及び優先株主と締結しているシンジケートローン及び優先株式投資契約に付されている財務制限条項に抵触しましたが、期末日後において、シンジケートローン残高13,216百万円及び優先株式6,000百万円の当該抵触を理由とする期限の利益喪失請求を行わないことについて金融機関及び優先株主より承諾を得ており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)における当社グループは、ゴルフ専門のITサービス企業として、圧倒的な情報量とゴルフに特化したサービス力を強みに、ゴルファーにより快適で楽しいゴルフライフを提供してまいりました。
これらの結果、当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)の業績は売上高52,918百万円(前年同期比14.8%増)となりました。また、国内セグメントにおいてゴルフ用品販売サービスを中心に売上総利益率が低下したこと、及び海外セグメントにおいて前年に取得したゴルフ弾道測定器事業ののれん及び無形資産償却費が増加したこと等により営業利益380百万円(前年同期比68.0%減)となりました。また、為替差益379百万円及び助成金収入249百万円があった一方で支払利息637百万円等があり経常利益353百万円(前年同期は経常損失175百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益158百万円(前年同期比53.2%減)となりました。
主要セグメント別の業績は次のとおりであります。
「国内」セグメント
当連結会計年度における「国内」セグメントの業績は、売上高28,493百万円(前年同期比3.3%増)となりました。また、ゴルフ用品販売事業において物価上昇の影響や在庫調整を進めたことで売上総利益率が低下したこと等からセグメント利益は1,762百万円(前年同期比12.6%減)となりました。
「海外」セグメント
当連結会計年度における「海外」セグメントの業績は、2022年8月に取得したゴルフ弾道測定器事業において2023年5月に発売した新モデル機種の販売が進捗し売上高24,424百万円(前年同期比32.1%増)となりました。一方、当該事業ののれん及び無形資産償却費が増加したこと等によりセグメント損失は1,382百万円(前年同期はセグメント損失825百万円)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状況は、総資産46,700百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,175百万円増加しました。負債は、前連結会計年度末に比べ3,041百万円増加の44,967百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ133百万円増加し、1,732百万円となりました。
主要な勘定残高は、建物及び構築物が1,458百万円、使用権資産が1,639百万円、短期借入金及び1年内返済長期借入金が1,146百万円、長期リース債務が1,575百万円増加しました。また、資本剰余金が111百万円、為替換算調整勘定が59百万円増加しました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度と比較して372百万円増加し2,793百万円(前連結会計年度末比15.4%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,564百万円の収入(前年同期は1,412百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益427百万円のほか、非資金項目である減価償却費2,941百万円、のれん償却額1,142百万円が、利息の支払額617百万円による資金の減少を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,542百万円の支出(前年同期は12,793百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,925百万円、無形固定資産の取得による支出1,570百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、692百万円の支出(前年同期は11,914百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額1,016百万円があった一方、長期借入金の返済による支出1,533百万円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
該当事項はありません。
ロ.仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は、仕入価格によっております。
当社グループは、受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。また、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性及びリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので留意ください。
当連結会計年度の売上は、前年に開始したゴルフ弾道測定器事業が通年で寄与したことで売上が大きく成長し、創業以来初めて500億円を突破しました。国内セグメントでは、COVID-19パンデミックの行動制限解除により制約を受けていた他のレジャーが活性化したことでゴルフプレー需要が落ち着きを見せる中、インターネット需要の高まりを背景に、当社オリジナルサービスの強化等により売上は前年同期比3.3%増と、前年並みを維持することができました。海外セグメントでは、ゴルフ弾道測定器事業における新モデル機種、ネットやマットといった周辺機器の販売が進んだことから売上は前年同期比32.1%増となりました。
以上の結果、売上高は前年同期比14.8%増加し52,918百万円となりました。また、売上総利益は国内セグメントのゴルフ用品販売サービスにおいて売上総利益率が低下したこと等から前年同期比11.4%増の17,823百万円となりました。
国内セグメントでは、売上の減少に応じてマーケティングコストのコントロールを実施した他、固定費の見直しを実施しました。また、海外セグメントでは、米国内における物価高の影響を受けたコスト高に加え、ゴルフ弾道測定器事業取得によるのれん及び無形資産償却費が増加しました。
以上の結果、販売費及び一般管理費は前年同期比17.8%増加し17,443百万円、営業利益は380百万円となりました。
営業外損益は27百万円の損失(純額)となりました。為替差益379百万円、助成金収入249百万円等を計上したことにより、営業外収益は655百万円となりました。また、支払利息637百万円、資金調達費用2百万円等を計上したことにより、営業外費用は682百万円となりました。
以上の結果、経常利益は353百万円となりました。
特別損益は74百万円の利益(純額)となりました。固定資産売却益33百万円、新株予約権戻入益44百万円等を計上したことにより特別利益は78百万円となった一方、特別損失は4百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は427百万円となりました。
法人税等は268百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は158百万円となりました。1株当たり当期純損失は、12円98銭となりました。
当社グループは当社ウェブサイトの総ビジター数、ユニークビジター数(注)を、当社グループの成長に重要な影響を与える指標と位置づけております。
2024年2月末における当社ウェブサイトの総ビジター数は1,219万人、ユニークビジター数は376万人となりました。当社ウェブサイトを視聴しながら、「GDOゴルフショップ」においてゴルフ用品を購入したり、当社ゴルフ場予約サービスを利用してゴルフ場予約を行い、また当社の媒体価値が高まっていくことで新たな広告収入を喚起することが見込まれます。
(注)当社ウェブサイトを特定の期間のうちに訪れた正味の人数
当連結会計年度末における総資産は46,700百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,175百万円増加しました。流動資産は売掛金が増加したこと等により14,772百万円となり、前連結会計年度末に比べ628百万円増加となりました。固定資産は使用権資産増加により31,927百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,546百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における負債は、流動負債が22,961百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,035百万円増加となりました。これは主に短期借入金及び1年以内長期借入金が増加したこと等によります。固定負債は22,006百万円となり、前連結会計年度末に比べて6百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における純資産は1,732百万円となり、前連結会計年度末に比べて133百万円の増加となりました。
なお、主な事業内容における資金需要とそれに対する施策は以下のとおりです。
ゴルフ用品販売サービスにおける運転資金需要は、通常、売掛金年齢、在庫回転率及び仕入規模に多大な影響を受けますが、当社グループの場合は、インターネットによる販売を主なものとしているため、仕入から売上計上のサイクルが極めて近く、在庫回転率は概ね月商の2~3ヶ月前後で推移しております。
ゴルフ場予約サービス及び、広告サービスについては、仕入コストが極めて少額であり、売上金額の大部分が売上総利益となるため、営業キャッシュインフローとなります。売上計上と資金回収の期間は概ね2ヶ月以内であると同時に、ほぼ毎月において定額的な収入となるため、当社の安定的な資金源として大きく貢献しております。なお、昨今のゴルフ場の経営破たんにより、貸倒れとなるケースが一部ありますが、金額としては極めて少額であり、当社の財政に大きな影響を及ぼす要因にはなっておりません。
経費面において、人件費やシステム投資等の固定費に加え、インターネットマーケティング費用の増大から変動販売費の割合が増加する傾向にありますが、更なる変動販売費比率の厳格管理により、適度な資金を維持しております。
当社の資金需要に対しては、自己資金及び金融機関からの借入金により充足されており、今後は売上成長に伴う更なる運転資金需要も見込まれております。現在、当社と金融機関との関係は極めて良好であり、資金運用面及び情報提供において、金融機関から積極的な支援を得ております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。