第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「気高く、強く、一筋に」の経営理念のもと、最優良のサービスをお客様に提供し続け、社会に貢献することを事業目的としております。技術の進歩やトレンド変化の激しい情報サービス業界において、社会にとって、またお客様にとって何が必要なのかを見極め、総合的で高品質なサービスを提供することで社会に貢献してまいります。

当社グループは「シェアクラウド(共同利用型クラウド)」をキーワードに、高機能かつ安価なサービスを提供することでITコストを削減し、顧客企業だけでなく、業界全体の活性化に貢献できるものと考えております。このような考えに基づき、アプリケーションから仮想化技術を利用したITインフラまで、クラウド事業者として様々なサービスを提供しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、開発、設備、人材について積極的に先行投資を行うことのできる安定した財務体質を構築するため、情報処理料収入や保守料収入など継続的に得られる事業収入を柱とするストック型ビジネスモデルを経営の根幹として考えております。この継続的に得られる事業収入額は、「定常収入」として経営上の重要指標と位置付けております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2021年2月12日に公表した「中期経営計画(2021年度~2025年度) トランスフォーメーション2025」に基づく取組を着実に進めてきましたが、当初2か年の経常利益が計画を上回るペースで順調に成長したことに加え、M&Aの実施により経営資源が一層強化されたことなどを踏まえ、2023年2月14日に、成長スピードの加速を織り込んだ「見直し版」を公表いたしました。以下の重点戦略及び数値計画に基づき、着実に取組を進めてまいります。

 

 (重点戦略)

①流通クラウド事業 「企業間連携プラットフォームの立上げにより業界DXを実現」

「@rms基幹」のシェア拡大に向け、高速処理化など基本機能のブラッシュアップを図るとともに、AI・自動判断機能など機能拡充にも取り組みます。また、「クラウドEDI-Platform」について、効率的な運用・導入の仕組みを確立することにより普及を加速します。さらに、2021年にリリースした企業間連携プラットフォーム「C2Platform」の機能拡充と普及を進め、商談や見積などの効率化により、食品流通業界全体のDX(注)に貢献します。

 

②官公庁クラウド事業 「大きく進展するデジタル化を、地方自治体の立場に立ってサポート」

2022年7月に完全子会社化した株式会社シナジーの自治体向け文書管理システム「ActiveCity」や、自治体電子認証サービス「マイナサイン」、自治体デジタルサービス「Open LINK for LIFE みんなの窓口」等により、全国各地で自治体DXを力強くサポートしていきます。

 

③トラスト事業 「マイナンバーカードベースのサービスを中核に「人、物、コト」全方位に展開」

マイナンバーカードを利用する信頼性の高い電子契約システム「マイナトラスト」について、サービスの事業化と普及を進めます。また、ブロックチェーンを利用するデジタル証明書発行サービス「CloudCerts」について、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が運営する「TOEIC® Program」公開テストの公式認定証への提供開始(2023年4月)を足掛かりに、デファクトスタンダードとなることを目指します。

 

④モバイルネットワーク事業 「激変する競争環境で、地域シェアの確立とリアル店舗の価値拡大を」

株式会社NTTドコモよりエリア毎のドコモショップを適切な店舗数・店舗規模に見直す方針が打ち出される中、当社は、和歌山県下のシェアを高め、また、店舗の効率化による収益力向上等に努めることにより、エリアにおける強力なパートナーとしての地位を確立していきます。

 

(数値計画)

 

2020年12月期(実績)

2023年12月期(実績)

2025年12月期(計画)

定常収入

64億円

76億円

95億円

売上高

127億円

150億円

170億円

経常利益

9.5億円

10.6億円

16.8億円

ROE

13.7%

6.2%

13.0%以上

 

 

(注)上記に用いられる用語は以下のとおりであります。

DX:デジタル・トランスフォーメーション。企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

コロナ禍を契機とした生活様式や働き方の多様化に伴い、あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ったこれまでにないビジネスモデルの展開が加速しております。各企業は競争力維持・強化のために、DXをスピーディーに進めており、足元では、クラウドサービス、AI等に関する投資需要が旺盛な状況が続いております。また、総務省より「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」が示されるなど、官公庁・自治体においても、生産性向上や業務効率化を目的とした投資が続くものとみられます。一方、労働市場においては、DXの進展に伴い、デジタル人材の需要が高まっており、当社グループを含む情報サービス業界においては優秀な人材の確保が課題となっております。働き甲斐のある職場環境の整備などにより人材の確保に努めるほか、アプリケーションを迅速に開発するローコード、ノーコード開発手法を積極的に活用するなど開発効率向上への取組の推進が求められております。

このような経営環境のもと、当社グループはさらなる成長を実現するため、2023年2月14日に公表した「中期経営計画(2021年度~2025年度)トランスフォーメーション2025(2023年2月見直し版)」に基づき、「LINK Smart~もたず、つながる時代へ~」というブランドコンセプトのもと、「シェアクラウド(共同利用型クラウド)」による安心、安全、低価格で高品質なクラウドサービスの充実と積極的な展開を図りつつ、以下の項目を対処すべき重要課題として取り組んでまいります。

 

① 安心、安全なクラウドサービスの提供

ITは幅広く経済活動を支える情報基盤であり、特にクラウドサービスにおいては自然災害、サイバー攻撃、システム障害、電力トラブルなどにより、万一停止した場合における企業活動等への影響は大きく、社会的に深刻な事態を招くおそれがあります。

当社グループのクラウドサービスが、流通サプライチェーンや地域住民の安心安全にかかわる重要な役割を担っていることを強く認識し、サービスの安定性、安全性を高めることを目的に、災害対策のほか、災害時等においてもサービスを継続して提供するためのシステム復旧体制の構築、テレワーク活用による運用・開発体制の分散化、クラウドサービスの基盤となるハードウェア・ミドルウェアの運用管理の強化、オフィス立地の見直し等により安定的かつ継続的なサービス提供を実現してまいります。

 

 

② クラウドサービスの拡充

当社グループは、顧客が必要とするすべての機能をクラウド上で連携し、安価で高機能なサービスを提供することが使命と考えております。クラウドへの関心が高まる中、各分野において、積極的なサービス開発に取り組むとともに、サービス拡充のスピードアップを図るため、資本提携や業務提携等の可能性を検討しながら進めてまいります。

また、当社グループのサービスの提供を通じて、顧客における生産性向上の実現に取り組んでまいります。

 

③ IT技術の蓄積・応用

より高度で付加価値の高い競争力のあるサービスを提供していくため、機械学習・AIや、認証連携基盤等の先進的なIT技術に加え、ローコード、ノーコードをはじめとした開発効率向上につながる新たな開発手法への取組が重要であると認識しております。当社グループは、事業環境の変化にいち早く対応し、新たな価値を創造していくため、これらのIT技術の蓄積・応用に取り組んでまいります。

 

④ 人材の確保及び育成

当社グループの事業が継続して成長していくためには、これを支える優秀な人材の確保と育成が不可欠であると考えております。特に次世代を担う人材の育成が重要であると認識し、認知度向上施策の実施等による採用力の強化や多様な働き方への対応、また、待遇面の向上に努めるとともに、戦略立案力やリーダーシップを最大限に発揮できる人材育成に努めてまいります。

 

⑤ 生産性向上と働き甲斐のある職場づくり

従業員一人ひとりが能力と熱意を最大限に発揮することが、事業の健全な成長に不可欠であると考えております。「一人ひとりが主役~働き甲斐のある職場を作る~」をビジョンに掲げ、働く環境戦略「Work Smart」に基づき、豊かに、効率よく働ける環境づくりに取り組んでまいります。具体的には、DXの推進による生産性向上、これまでの仕事のあり方や働き方の見直し、柔軟な勤務体系の導入による業務効率化、テレワークが定着する中で顕在化してきた会社への帰属意識の醸成等の課題への対応を進めてまいります。

 

⑥ グループ連携の強化

当社グループ企業との相乗効果を発揮するため、営業面、技術面での連携や人事交流を推進し、事業拡大に努めてまいります。また、データセンターや業務システム等の社内インフラの共通化により、コストの最適化やコミュニケーションの円滑化を図ってまいります。

当社グループ企業に対するマネジメントにつきましては、取締役及び監査役の派遣を行うなど、経営全般を支援してまいります。

 

⑦ 内部管理体制の強化

内部統制システムの適正な維持を重要な対処すべき課題と認識しております。引き続き、財務情報の精度及び正確性確保を目的に、経理体制の整備、適切な業務プロセスの構築に取り組んでまいります。

 

 

⑧ サステナビリティへの取組

当社は、「気高く、強く、一筋に ~皆で創り出す仕事を通じて社会の発展に貢献を~」を経営理念として掲げ、事業に取り組んでおります。この経営理念に基づき、当社の提供する情報技術やサービスを通じて、すべてのステークホルダーの皆様とともに、持続可能な社会の実現に貢献し続ける企業を目指しております。当社は、優先的に取り組むべき課題として、環境、社会、ガバナンスの観点から以下のとおり、7つの「重要課題(マテリアリティ)」を設定し、取組を推進してまいります。

 

環境

地球環境への貢献

安全でロスのない食の流通

社会

デジタル化の推進による効率的で豊かな社会

文化と教育を通じて子供たちの成長を

健康で活き活きと働きがいのある職場づくり

安心・安全な地域のくらし

ガバナンス

ガバナンス機能の強化

 

 

⑨ 資本コストや株価を意識した経営の実現へ向けた対応

当社グループは、「効率的に稼ぐ力の底上げ」と「将来への期待の醸成」により企業価値向上を図る必要性を認識しております。資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

○サステナビリティに対する基本的な考え方

当社は、「気高く、強く、一筋に ~皆で創り出す仕事を通じて社会の発展に貢献を~」を経営理念として掲げ、事業に取り組んでいます。

地球上の人々がさまざまな仕事を分担しながら、社会活動を行っており、当社の事業もその社会活動の一つです。私たち一人ひとりの仕事が、よりよい社会の発展のために存在する崇高な社会活動であることを心から理解し、仕事を通じて社会に貢献していかなければならないと当社は考えています。

この経営理念に基づき、当社の提供する情報技術やサービスを通じて、すべてのステークホルダーの皆様とともに、持続可能な社会の実現に貢献し続ける企業を目指します。

当社は、「サステナビリティ基本方針」を定め、7つの「持続可能な企業活動における重要課題(マテリアリティ)」を設定し、取り組みを推進していきます。

 

○サステナビリティ基本方針~豊かな社会の実現に向けて~

サイバーリンクスグループは、今後もさらに成長を続ける企業であり続けるために、環境と社会におけるさまざまな課題への対応を重要な経営課題のひとつと位置付け、特定したマテリアリティ(重要課題)を設定し、事業活動を通じて、すべてのステークホルダーの皆様とともに、豊かな社会の実現に努めます。

 

○持続可能な企業活動における重要課題(マテリアリティ)

当社は、優先的に取り組むべき課題として、環境、社会、ガバナンスの観点から、7つの「重要課題(マテリアリティ)」を設定し、取り組みを推進しています。

ESG

重要課題(マテリアリティ)

当社の取組み

E

地球環境への貢献

エコで省電力なシェアクラウド

省エネなデータセンター

使用電力を再生可能エネルギーへ

エコカーで環境負荷低減

マイナトラストでペーパーレス社会へ

オフィスのエコ活動

安全でロスのない食の流通

食品ロス削減を支援

安心・安全な食品の提供

S

デジタル化の推進による効率的で豊かな社会

クラウドサービス提供により顧客の業務効率化を支援

地域のデジタル化推進に繋がるサービス提供

安心・安全なトラスト基盤の提供

安心・安全なデータセンターの運営

スマホ教室でデジタル支援

文化と教育を通して子供たちの成長を

子どもたちの健全な育成と、質の高い教育の普及

文化活動への支援

健康で活き活きと働きがいのある職場づくり

多様な働き方の推進、女性の活躍推進、ワークライフバランスの充実

人権の尊重、人材育成、適切な人事評価制度、待遇向上の実施

健康経営の取り組み

デジタル化推進による業務効率化

安心・安全な地域のくらし

防災・減災でレジリエントなまちづくりを

 

ESG

重要課題(マテリアリティ)

当社の取組み

G

ガバナンス機能の強化

ガバナンスの充実

 

 

(1) サステナビリティに関するガバナンス

当社グループでは、グループ全体のサステナビリティ経営の推進のため、常勤取締役、執行役員及び部門長によって構成されるサステナビリティ委員会を設置しています。当委員会は、各事業部門・グループ会社から報告を受けたマテリアリティの項目ごとの進捗状況や課題改善について四半期に一回協議・決定し、取締役会に報告することとしています。気候変動課題が当社に与える影響の評価や、それを踏まえた戦略の検討についても同プロセス上で実施しており、取締役会ではこれらの報告を踏まえた審議及び決定を行います。取締役会での決定事項は、サステナビリティ委員会、各事業部門・グループ会社の順に通達され、各施策の実行に移されています。

 

(2) サステナビリティに関するリスク管理

当社グループは、サステナビリティに関するリスク及び機会については、サステナビリティ委員会において協議されます。気候変動に関するリスクと機会については、将来世界の複数の温度帯シナリオを用いたシナリオ分析を通して当委員会が識別・評価しています。サステナビリティ委員会は、経営戦略会議並びにリスクマネジメント・コンプライアンス委員会と同メンバーで構成されており、サステナビリティ委員会で討議されたリスクのうち、緊急性の高さやリスク発生後の対策面でも準備を要する影響は、必要に応じてリスクマネジメント・コンプライアンス委員会でも取り上げ、グループ全体のリスク管理プロセスに統合することとしています。これらのプロセスを経て検討された対応策などの決定事項は、各委員会を通して各事業部門・グループ会社へ指示として下り、各施策を実行することでリスクの回避、低減及び移転に努めています。なお、これら一連のプロセスはサステナビリティ推進体制のもと、四半期に一度取締役会へ報告され、重要な事項については取締役会にて決議・指示を行うなど、全社的なリスクマネジメント活動の監督が適切に図られるよう体制を整えています。

 

(3) 気候変動に関する取組

①戦略

当社グループでは、将来の不確実な気候変動リスク・機会による影響を、国際エネルギー機関(IEA)並びに気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表している複数のシナリオを使用して特定・評価しています。産業革命期と比較して2100年までに気温が4℃上昇する4℃シナリオと、脱炭素化の取り組みが推進され1.5℃目標が達成されるとした1.5℃シナリオの2つのシナリオを設定し、2030年と2050年時点での気候変動リスク・機会による影響について定性・定量的にシナリオ分析を実施しています。以下は2023年10月までに実施したシナリオ分析で使用した設定シナリオと分析結果、並びに取り組み方針の説明です。

4℃シナリオ

1.5℃シナリオ

産業革命期と比較して2100年までに気温が4℃も上昇すると想定したシナリオ。脱炭素化に向けた取り組みが現在から強化されないため、地球温暖化が成り行きに進み、異常気象などの災害の規模や頻度が拡大すると見込まれる。

産業革命期と比較して2100年までの気温上昇を1.5℃~2℃までに抑えられると想定したシナリオ。カーボンニュートラル実現に向けて、各国の政府や市場が脱炭素化に向けた取り組みを強化すると見込まれる。

参考シナリオ

・RCP8.5(IPCC)

・STEPS(IEA2021-2022)

参考シナリオ

・RCP2.6(IPCC)

・SDS/NZE2050(IEA2019,2021-2022)

 

 

4℃シナリオでは、豪雨や台風をはじめとする自然災害の激甚化や、慢性的な気温上昇が予測されています。当社グループでも洪水によって操業を支えるインフラや自社施設が物理的被害を受けることが想定され、ハザードマップ上で最大3m程の洪水被害が示されている地域に所在する自社保有拠点が和歌山県和歌山市に集中していることを確認しているほか、気温上昇に伴い空調コストが増加するというリスクを確認しています。ただし、事業継続の面で最も懸念される当社保有のデータセンターについては、その殆どがハザードマップ上で洪水並びに高潮被害の想定域外に位置しており、また万が一被災する場合にも当社が保有する複数のデータセンター間でバックアップが可能であることから、気候変動による物理的被害に対するレジリエンス性については現状十分に確保されているものと評価しています。一方、総合防災システムサービスへの需要や、BCPやセキュリティ意識の拡大によるクラウドサービス全般への需要が増加するという機会についても認識しています。

1.5℃シナリオでは、脱炭素に関わる政策や規制の厳格化が見込まれる中、当社グループではデータセンターの保守運用にあたって多くの電力消費を伴うことからも、カーボンプライシング制度の導入による支出の増加や、エネルギーミックスの変容による電力価格の高騰などエネルギー支出面でのコスト増加が想定されます。 一方で、サプライチェーン全体での脱炭素化、脱炭素化に向けた業務効率化、ペーパーレス化、食品ロス削減、などの取り組みを推進する顧客に向けたクラウドサービスの需要が増大することも想定しており、当社グループの重要な戦略上の課題の1つとして認識しています。

現在の取り組み状況として、洪水被害などの物理的リスクに対しては、大規模な自然災害などが発生した場合に備え、緊急事態の通報体制や緊急事態対応体制を整備するなど、BCPの強化を行っています。移行リスクについては、多くの電力消費を伴うデータセンターでは仮想化技術や省エネ装置の導入から積極的に省エネルギー化を推進しているほか、従業員の行動面でもテレワークやフリーアドレス導入、服装の自由化や週に一度の定時退社推進などから、業務効率化を通した省エネ化に取り組んでいます。販売するサービスについても、上述の通り地域社会の防災支援や食品小売事業者様の適正な仕入・在庫管理に貢献しており、社会的要請を踏まえた更なる開発努力を通してお客様の業務効率化と環境負荷低減への貢献を目指してまいります。

 

項目

区分

事象

評価

4℃

シナリオ

1.5℃

シナリオ

脱炭素への移行に伴う影響

政策・規制

リスク

炭素税導入による操業コスト増加

機会

ペーパーレス化や省エネ、食品ロス削減の推進による、システムサービスやクラウドサービスの需要増加

技術

リスク

高効率な設備機器の普及による設備導入及び切り替えコストの増加

市場・評判

リスク

再生可能エネルギーの開発に伴う購買電力価格の高騰

リチウム等の価格高騰にによるスマートフォンやタブレット端末の高騰に伴う買い替え需要の低迷

脱炭素対応のための諸費用の圧迫による、システムサービス利用に対する投資意欲低下

機会

サプライチェーン全体での脱炭素化を目指す企業のクラウド化および環境配慮型データセンターの需要増加

気候変動による物理的影響

急性

リスク

洪水や高潮の発生による自社施設への直接的被害

インフラの被災によるネットワーク機能の停止とCATVケーブルの破損

機会

総合防災システムサービスやクラウド化需要の拡大

慢性

リスク

主にデータセンターにおける空調利用量の増加

 

(注)影響度評価の指標は以下の通りです。

大:影響額が経常利益対比で±1%を超えると想定されるもの

中:影響額が経常利益対比で±1%未満のもの

小:影響が軽微なもの

 

2023年中に実施したシナリオ分析では、財務影響試算を実施した項目の中でも炭素税リスク並びに洪水による物理的影響が特に影響が甚大であると評価しています。

炭素税影響についてはIEAのWEO2022にて報告されている主に先進各国における2030年時点で想定されるカーボンプライス価格140USDを参考に、2022年12月期のScope1,2排出量実績である2,306.2t-CO2が2030年時点においても同程度排出されるものと仮定してインパクトを試算しています。なお、資産にあたって影響金額を円換算するにあたっては、同報告書中にて使用した為替レートとして示されている109.75円/USDを使用しています。

洪水被害については、国土交通省の公表する「治水経済調査マニュアル(案)」で示された直接・間接被害額算定のロジックを参考に、当社グループの事業所別にハザードマップを調査し、その最大浸水深予想に基づいて想定される最大の被害想定額を試算しています。そのうえで、他のリスク項目のインパクト評価との相対的な重要性評価の観点で、各拠点の氾濫が予想される近隣河川の河川等級に基づく年超過確率(洪水が発生する確率)を乗じることで、 2030年時点における保有リスク評価額に均しています。最後に、同じく国土交通省の公表する「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」にて示された各シナリオにおける洪水発生頻度倍率を乗じることで、各シナリオにおける洪水被害による被害のインパクトを推計しています。

項目

事業インパクト(百万円)

4℃シナリオ

1.5℃シナリオ

移行リスク

炭素税

35.4

物理リスク

洪水による直接被害額

38.9

13.6

洪水による営業停止損失

23.8

 8.3

 

(注)1.上記の試算結果は2030年時点における財務インパクトを想定したものです。

2.洪水リスクについては、2023年8月時点のハザードマップに基づいて試算しています。

3.上記試算結果については、外部のコンサルティング会社に委託して試算したものです。

 

②指標及び目標

当社グループでは、シナリオ分析により特定した影響やサステナビリティに対する基本的な考え方に基づき、温室効果ガス排出量をはじめ、以下一覧に示した定量情報を気候関連課題に関する取り組み指標として管理しています。また、目標としては温室効果ガス排出量を、2022年比で2032年までに42%削減することを掲げており、その実現に向けて、当社グループのデータセンターで使用する電力を順次CO2フリー電力へと切り替える、社用車の電動化を推進する等の対応を進めております。

項目

2022

温室効果ガス排出量

Scope1+2

2,306.2

t-CO2

Scope1

170.2

t-CO2

Scope2

2,136.0

t-CO2

エネルギー使用量

総エネルギー使用量

19,578.3

GJ

系統電力の割合

87.0

%

再生可能エネルギーの割合

※地熱、風力、太陽光、水力、バイオマス由来

0.5

%

気象災害起因のサービス中断

発生件数

0.0

総ダウンタイム

0.0

時間

 

 

(4) 人的資本・多様性に関する取組

①人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

<方針>働く環境戦略 Work Smart、効率よく働ける環境づくり

当社が、魅力あるサービスを生み出し、持続的に成長しつづけるためには、一人ひとりが心身ともに健康で、活き活きと働けることが重要であると考えております。一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮でき、豊かで充実した人生を実感できる、多様で働きがいのある環境整備を行います。

また、企業間競争を勝ち抜いていくためには、「いかに効率よく働けるか」を追求し実践していくことが重要な要素であり、効率性を向上させることで、企業競争力を強くするとともに、一人ひとりの生活の充実や待遇の向上につなげてまいります。

具体的な取組は以下の通りであります。

 

 

a.多様な働き方ができる環境整備

社会環境の大きな変化のなか、従業員のライフスタイルの多様化が拡大しています。当社では、一人ひとりのライフスタイルの変化に柔軟に対応し、より豊かで充実した生活となるよう、新しい制度の導入や仕組みづくりに取り組んでおります。

(具体的施策)テレワーク制度、時差出勤制度、時間休制度(時間単位の年次有給休暇制度)、健康休暇制度、社宅・単身赴任・オフィスのあり方の見直し、服装(ドレスコード)の自由化、テレワーク下でのコミュニケーション機会の提供

 

b.多様性、女性活躍推進

中核人材の多様性確保に向け、多様な経験やスキルを有する優秀な人材の確保に努めています。また、社内に多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得るとの認識に立ち、多様性確保の取り組みの一つとして「女性の活躍推進」を掲げております。

女性の活躍促進においては、キャリア継続、意識向上にむけた取り組みのほか、未経験業務へのチャレンジの促進、多様なキャリアパスの検討を行ってまいります。

(具体的施策)女性管理職・管理職候補者への登用、キャリア意識向上のための支援、法定以上の育児休業期間・育児短時間勤務期間の設定、男性の育児休業取得の支援

 

d.健康経営の推進

従業員の健康維持・増進を重要な経営課題の一つと位置付け、健康経営を積極的に推進しております。

(具体的施策)健康休暇制度、健康診断・ストレスチェック結果の有効活用、ワーク・エンゲイジメント、プレゼンティーイズムの測定、団体長期障害所得補償(GLTD)制度の拡充

 

e.効率よく働ける環境づくり、ワークライフバランスの充実

効率よく働ける環境づくりを推進し、ワークライフバランス充実につながる取組を実施しています。

(具体的施策)サイバーセル経営(注)の推進、DXの推進、月平均実労働時間の削減、有給休暇取得の促進(有休取得奨励日の設定)

 

g.未来の成長に向けた人材投資

人的資本投資を、中期経営計画の内部戦略として位置づけ、多様な経験やスキルを有する優秀な人材の確保と、人材育成が重要であると考えております。特に次世代を担う人材の育成が重要であると認識し、認知度向上施策の実施等による採用力の強化や多様な働き方への対応、また、待遇面の向上に努めるとともに、戦略立案力やリーダーシップを最大限に発揮できる人材育成に努めてまいります。

また当社では、従業員一人ひとりがそれぞれの分野のプロフェッショナルとして活躍し、企業として総合力を発揮することを大切にしています。事業にかかわる技術や知識を、それぞれの職種や業務内容に応じて教育するとともに、「資格取得報奨金制度」と「職種別資格取得支援制度」により、従業員の自発的な能力開発を奨励することで、一定水準以上のスキルを有し、事業の発展に貢献するIT人材の育成を行っております。

今後、経営戦略の達成に必要なスキルと、従業員のスキル習得度や資格取得の状況を把握し、スキルギャップを埋める教育訓練の実施を行うとともに、人事異動等による人材の流動性向上を含む適材適所の人員配置により最適化を図ってまいります。

(具体的施策)経営戦略塾、チームビルディング研修、グループ間の人材交流・社内の人材流動性向上、採用体制の強化、資格取得の推進、待遇向上、ストックオプション付与

 

(注)サイバーセル経営

組織を小さなグループ組織「サイバーセル」に細分化し、メンバー全員が「セル経営」に参画し、スタッフ一人ひとりが経営者目線を持ち、自らのセルの採算を追求するために皆の知恵を集め、日々改善活動を行う管理会計。各セルの採算性は、各セルの「売上-経費」/「労働時間」で求めらる「時間当たり収益」で評価する。

 

②指標及び目標

a.多様性、女性活躍推進

中核人材としての女性の活躍をより一層推進するため、女性の中核人材候補の拡充を図ってまいります。なお、2023年12月31日時点における、各指標の状況は以下の通りです。

女性主任職比率 23.6%(2025年度末目標 25.0%)

女性管理職比率  8.2%(2030年度末目標 10.0%)

 

b.効率よく働ける環境づくり、ワークライフバランスの充実

DX推進等による効率性を向上させることで、労働時間を短縮するとともに、有給休暇取得を推進し、月平均実労働時間を指標とし取り組んでまいります。なお、2023年12月31日時点における、指標の状況は以下の通りです。

月平均実労働時間/人 168時間53分(2025年度末目標 162時間)

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、事業等のリスクを、中長期的な経営方針・経営戦略との関連性や、将来の経営成績に与える影響の程度、発生の蓋然性等に応じて「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1) 顧客の投資、購買意欲等による影響について

流通クラウド事業の顧客である食品流通業界は、国民生活を支える重要な産業であり景気変動の影響を受けにくい性質がありますが、中長期的には、少子高齢化・人口減少等により、消費者の購買活動減退や、合従連衡による大手集約といった環境変化が生じる可能性があります。当社グループとしては、常に魅力的なサービスを追求するとともに、様々な規模の顧客と取引関係を築くべく戦略的な事業展開を図っておりますが、業界における情報システムに対する投資意欲が低下した場合は、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの追加サービスの受注減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

官公庁クラウド事業においては、国や自治体等の政策の動向を注視し、適時に適切なサービスを提供できる体制を整えておりますが、公共事業にかかる予算削減、情報システム投資の見送り、規模縮小、方針変更、市町村合併等による自治体数の減少、自治体間におけるシステムの統合、入札制度の見直し等の影響を受けます。特に「デジタル・ガバメント実行計画」(令和2年12月25日閣議決定)に掲げられている地方自治体情報システムの標準化・共通化が推進されると、自治体基幹システムのビジネスモデルが大きく変容し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

トラスト事業においては、マイナンバーカードを利用した信頼性が高くかつ低廉なサービスを提供していく方針ですが、マイナンバーカードの普及や利活用が進まない等の理由により、顧客の投資意欲が活発化しない場合には、見込んでいる収益を計上することができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

モバイルネットワーク事業においては、リアル店舗の特性を活かした顧客満足度の高いサービスを強みとしておりますが、人口減少・少子高齢化による市場の縮小や、オンラインでの携帯電話端末購入の普及などの影響による販売代理店の整理統合や役割の見直し、携帯電話端末の高価格化による買い替えサイクルの長期化、通信キャリアの施策変更による携帯電話の買い控え等に起因する携帯電話端末の販売台数の減少等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 市場のニーズや環境の変化と、技術革新への対応について

流通クラウド事業、官公庁クラウド事業及びトラスト事業においては、顧客や市場のニーズに対応した競争力のあるサービスの提供を目的として、継続的なバージョンアップ開発や、当社グループの成長を牽引する新サービスの開発に取り組んでおります。中でも、大幅なバージョンアップ開発や新サービス開発については、時流を先読みし、将来の市場におけるニーズを分析した上で取り組んでおり、戦略上の必要に応じてM&Aなどの手法とも組み合わせて、適切な時期に、顧客や市場にサービスを提供しております。しかしながら、時流を読み誤り、予想以上の急速な技術革新や代替技術・競合商品の出現、依存する技術標準・基盤の変化等が生じた場合には、新サービス開発等を適切な時期に行えず、市場投入のタイミングを逸する可能性や、顧客ニーズや市場動向の変化への対応が遅れ十分な競争力を確保できない可能性があり、新サービス等の投入による効果を十分に得ることができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、開発体制の強化による開発期間の短縮化や、開発ニーズに柔軟に応えるための開発手法の採用などに取り組んでおりますが、新サービス等の開発中における急速な技術革新や、市場が要求するサービスの内容が変化することに伴う仕様の大幅な変更、予期し得ない不具合等が発生した場合には、開発工数が大幅に増加し、採算が悪化する等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(重要なリスク)

(1) 競合他社による影響について

流通クラウド事業においては、食品流通業界を対象とするSI事業者やサービス事業者と競合しております。官公庁クラウド事業においては、全国展開する大手SI事業者に加え、地域に密着した中小のSI事業者とも競合しております。トラスト事業においては、電子申請や電子契約等のトラストに関するサービスを提供する事業者が競合となります。また、モバイルネットワーク事業においては、他の通信キャリアの代理店のみならず、株式会社NTTドコモの他の代理店とも競合しております。

当社グループは、市場選択にあたり、業種や地域をセグメントし、そのセグメントにおけるナンバーワンを目指す方針を採用しており、資本を集中投下することで、競合他社に対する競争優位性を維持し、また向上させるよう努めております。しかしながら、競合他社との価格競争がさらに激化した場合や、競合他社の技術力やサービス力が向上すること等により、当社グループのサービス力が相対的に低下した場合は、当社グループが提案している営業案件の失注や、販売数の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) システム導入・開発作業の遅延や不具合について

流通クラウド事業、官公庁クラウド事業及びトラスト事業においては、サービス導入時に、マスタ設定等の導入作業に加えて、機能追加や動作安定化のための改善、さらにはインターフェース等のシステム開発を行う場合があります。当該導入作業や開発においては、作業工程等に基づき発生コストを予測し見積を行い、プロジェクトごとに進捗管理を行っておりますが、その性質上すべてのコストを正確に見積もることは困難であり、見積の誤りや作業の遅れ、仕様変更等の要因により、当初の見積を上回る作業工数が必要となる場合があり、想定以上の費用負担、開発の遅延等による採算性の悪化が生じる可能性があります。また、顧客との間で定めた期日までに導入、開発作業を完了し、納品できなかった場合、システムの不具合等により品質に問題が発生した場合、あるいは製品やサービスの欠陥が発覚した場合には、補修作業に伴う費用の増加、信用の低下、損害賠償、受注損失の発生等の要因により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) システム障害について

当社グループは、顧客へのサービス提供においては、コンピュータシステム及びそのネットワークに多くを依存しております。安全・安心のサービス提供を維持するため、ISO27001情報セキュリティ適合性評価制度及びISO20000ITサービスマネジメントシステム適合性評価制度の認証を取得していることに加え、バックアップセンターを含む複数拠点のデータセンターを分散稼働させる等の対策を講じており、それらの施策を支える基盤系技術者の充実も図っております。さらに、IT事業賠償保険への加入を行い、万一のための対策も講じております。しかしながら、地震、火災等の自然災害、コンピューターウィルスの感染、サイバーテロ等に起因するシステムトラブル、また、公衆回線等ネットワークインフラの障害により当社グループのシステム等が正常に稼動しない状態の発生や顧客データの喪失等が生じた場合には、当社グループに直接損害が生じるほか、サービスの品質低下や損害賠償責任の負担、社会的信用の失墜、顧客企業との契約解除等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 情報漏洩に関するリスクについて

当社グループは、業務に関連して多数の個人情報及び企業情報を保有しているため、情報リスク管理規程をはじめとする諸規程を制定しているほか、個人情報に関しては個人情報保護方針を公表しております。また、社内教育により情報管理への意識向上を図っており、モバイルネットワーク事業においては、加えて株式会社NTTドコモが実施する研修への参加や、同社による業務監査を受けることなどを通じて情報漏洩の防止に努めております。さらに、ISO27001情報セキュリティ適合性評価制度の認証を取得し、社内の情報資産に関するリスク分析と改善を通じて、情報資産の漏洩や改ざん、不正利用等の防止に取り組むとともに、個人情報に関してはプライバシーマークを取得しております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず、機器の誤動作や紛失、操作ミス、サイバーテロ等により個人情報や企業情報が漏洩した場合、損害賠償責任の負担、社会的信用の失墜、得意先や仕入先との契約解除等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(5) 法的規制、コンプライアンスについて

官公庁クラウド事業は、電気通信事業法、建設業法、放送法等の関連法規の規制を受けております。安全管理、安全教育などを実施する専任者を設置し法令遵守を徹底しておりますが、これら法令の違反が生じた場合や、法的規制が追加・変更された場合は、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。今後新たな法令等が施行され、または既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業が制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。

また、コンプライアンスに関しては、役員及び社員に対して法令を含む社会的規範への準拠を求める規程の制定、社内外における相談窓口の設置、定期的な意識調査とテストの実施等により、その定着に取組んでおりますが、個人的な行為を含む違法・不正行為の発生等により、社会的信用の低下、ブランドイメージの棄損、損害賠償責任の負担、入札停止等が発生する可能性があります。

 

(6) 知的財産権について

当社グループは、ソフトウェアの開発を自社で行っておりますが、開発されたソフトウェアにかかる知的財産については、アプリケーションとして販売されるソフトウェアと異なり、クラウドからのサービス提供であることから模倣されるリスクは少なく、逆に特許申請による公開を避けるため、原則として特許権等の取得はしない方針であります。また、新たな取組を開始するに際しては、知的財産権に関する調査を行い、また、外注先等との契約にも知的財産権の取扱いを明瞭に定める等、紛争回避に努めており、これまで、当社グループは第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたことはありませんが、ソフトウェアに関する技術革新の顕著な進展により、当社グループのソフトウェアが第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確に想定、判断できない可能性があります。また、当社グループの業務分野において認識していない特許等が成立している場合、損害賠償及び使用差し止めの訴えや、当該訴えに対する法的手続諸費用の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 特定人物への依存

当社の代表取締役会長である村上恒夫は、長期にわたり当社グループの経営を牽引しておりましたが、2024年3月に東直樹が代表取締役社長に就任し、当社グループの事業計画の立案や実行における意思決定についても、分散化しております。

当社グループとしては、村上恒夫に対する過度な依存は継続企業としてのリスクと捉えており、今後、当該リスクを軽減していく必要があると考えております。当社グループでは、役員や幹部社員に向けた教育の実施や、権限委譲を進め、計画的に後継者の育成を図っております。また、取締役会や経営会議における情報共有の深化や議論の活発化、経営企画部門の強化を図るなど、同氏に過度に依存しない組織体制の整備を進めております。しかしながら、同氏が、何らかの理由により突然当社グループの経営活動を行えなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 内部統制システムの不備

当社グループは、内部統制システムの強化を図るべく継続的な検討・見直しや、システム化によるリスクの低減を進めておりますが、内部統制上の重大な欠陥や弱点、あるいは内部統制からの逸脱等が認められた場合には、追加的なコストが発生することに加え、適時開示が不十分となること等により社会的信用が損なわれ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 子会社の管理体制について

当社は、連結子会社の運営について、適切な管理及び支援を行っております。しかしながら、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 人材の確保と育成について

当社グループは、顧客に対して最適な商品やサービスを提供できる戦力となる優秀な人材を確保するため、待遇の継続的な向上や、多様な働き方への対応、認知度向上に向けた取組を進めるとともに、社員教育の徹底や資格取得の支援など、一定水準以上のスキルを有し、事業の発展に貢献する人材の育成を行っております。しかしながら、人材の確保や育成が計画どおりに進捗しない場合、あるいは優秀な人材が多数離職してしまう場合には、顧客へのサービス提供や新サービスの開発等が十分に行えず、その結果、営業案件失注や販売数の減少、サービス開発の遅延等の発生により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 自然災害等について

当社の本社、事業所、店舗は、一部を除き、和歌山市を中心とした和歌山県内に集中しており、東南海地方における大規模な地震が発生した場合には、物的・人的被害の発生により、事業継続が困難になる可能性があります。また、その他の災害、事故、事件等によっても、同様の状況が生じる可能性があります。このため、当社は事業継続計画を策定するとともに、耐震・免震構造のデータセンターの建設や高台への移転、和歌山・東京・大阪の国内3地域にバックアップセンターを設置する等の措置を講じ、重要業務の中断を防ぎ、また、中断したとしても速やかに復旧させる体制を整備しております。今後は、オフィス等の立地の見直しをさらに進めることに加え、災害による影響を考慮した社員居住地の調整や、管理部門の業務のオンライン化にも取り組んでいく予定です。しかし、このような備えにも関わらず、災害等により物的・人的被害が発生した場合には、事業機会が減少し、また、サービス体制に支障が生じることにより損害賠償責任の負担、社会的信用の失墜、顧客との契約解除、管理業務の停滞、決算の遅延等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 疫病の蔓延について

当社グループは、疫病が蔓延した場合であっても、事業継続計画に基づき事業を継続できる体制を整備しております。

しかし、疫病の蔓延が長期化、深刻化する場合には、商談機会の減少による新規取引案件の減少、出勤や客先訪問が困難になることによるサービスレベルの一時的・部分的な低下、機器や資材の生産・物流の停滞に伴う調達の遅延と、それによるシステム導入、工事進行、設備投資の遅れ、また、ドコモショップにおける来店客数の減少や店舗の臨時休業等が生じるおそれがあり、これらが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13) 減損損失の発生

当社グループは、サービス充実の観点から、M&Aに柔軟に取り組んでおります。M&Aに際しては、対象企業の財務・法務・事業等についてデュー・デリジェンスを行い、十分にリスクを吟味し、正常収益力を分析した上で機関決定を行っており、また、買収会社の業績管理の徹底を図っております。しかしながら、企業価値評価の検討が十分でなく、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する等、事前に把握できなかった問題が発生し買収企業の事業計画が未達となった場合には、のれんの減損損失が発生する可能性があります。また、所有する有形固定資産やソフトウェアについて、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できない事態が発生した場合には、これらの資産の減損損失が発生する可能性があります。これら減損損失の発生が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(14) 特定の仕入先・取引先への依存について

モバイルネットワーク事業は、コネクシオ株式会社との代理店契約に基づく株式会社NTTドコモの二次代理店としてのドコモショップの運営及び携帯電話端末等の法人向け販売等であり、当社グループのモバイルネットワーク事業における仕入及び販売のほぼ100%がドコモブランドに依存しております。当社は株式会社NTTドコモ及びコネクシオ株式会社とは良好な関係を維持しており、提出日現在において解除事由等は生じておりませんが、両社の事業方針が変更された場合や、代理店契約が解除・解約等により終了した場合、又はその内容が大幅に変更された場合は、モバイルネットワーク事業の存続に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

流通クラウド事業のうち専門店向けのretailproについては、規模は相対的に小さいものの、米国Retail Pro International LLC社の代理店事業であり、仕入のほぼ100%を同社に依存しております。また、得意先についても特定の大口顧客への売上が4割程度を占めている状況にあります。仕入先、得意先とは現在のところ良好な関係を維持していますが、仕入先、得意先において施策の変更等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

官公庁クラウド事業のうち連結子会社である株式会社南大阪電子計算センターは、「NEC情報サービス事業グループ」に属しており、仕入のほとんどを日本電気株式会社に依存しております。同社とは現在のところ良好な関係を維持していますが、同社において施策の変更等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(15) 業績の変動について

当社グループは、定常収入を経営上の重要指標と位置付けており、その規模は毎期安定的に増加しておりますが、定常収入以外の収入につきましては年度によって変動があります。とりわけ、官公庁クラウド事業については、国や自治体の予算の内容により需要が大きく変化するため、年度ごとの収益が安定しにくい性質があります。

また、大型の通信システムの施工やシステム導入・開発等の案件について、工事の完了やシステムの稼動、検収の時期が変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、可能な限り顧客との調整によって導入時期の調整を図っておりますが、案件の進捗状況や、納期の集中によって、収益が一時期に偏重することがあります。このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。なお、2023年12月期の当社グループの業績は以下のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

当連結会計年度
(自  2023年1月1日  至  2023年12月31日)

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高

4,215

3,459

3,371

3,977

15,023

営業利益

335

236

160

307

1,040

経常利益

351

238

167

305

1,062

 

(注)第2四半期連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、第1四半期に係る数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。

 

(16) 敵対的買収

当社は、株式を資本市場に公開しており、経営権の支配を目的に敵対的買収が行われる可能性があります。経営権を取得した株主の方針によっては、経営方針、業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 暗号資産の価格変動について

トラスト事業においては、ブロックチェーン技術を利用した証明書発行サービス「CloudCerts」を提供しており、ブロックチェーン利用による手数料支払い、その他入出金などのために暗号資産を使用しております。暗号資産に関しては短期的な時価の変動が激しいことから、暗号資産の時価が著しく高騰した場合には、サービス提供における原価の上昇を招きますが、売上価格に転嫁できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に足踏みもみられるものの緩やかに回復しております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要があります。

当社グループがサービスを提供する市場におきましては、人口減少等の社会構造の変化や、ウィズコロナへの対応等から、DXやデジタル化が急速に進んでおります。

流通食品小売業においては、原材料や物流費の高騰を背景とする仕入価格の上昇に加え、足元では光熱費等の高騰にも直面しており、コストの吸収に苦慮しています。中長期的な視点に立てば、人口減少に伴う市場縮小の脅威にさらされており、また、業種・業界の垣根を越えた競争の激化や既存企業間の出店競争、人材不足や人件費上昇といった問題に直面しております。このように厳しさを増す経営環境を打開するには、DXの推進等により、店舗運営の効率化や、卸売業・製造業との連携によるサプライチェーンの最適化など、生産性向上に向けた取組を進めることが不可欠となっております。また、「2024年問題」をはじめとする物流危機が迫るなか、企業間の壁を越えた物流の効率化に取り組む動きがあるなど、非競争領域における協業や共同利用の考え方が広がりつつあります。

官公庁においては、総務省から示されている「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、官公庁・自治体のDXの進展が期待されます。具体的には、ガバメントクラウド(注)を活用した自治体の基幹業務システムの統一化・標準化や、マイナンバーカードと健康保険証の一体化をはじめとするマイナンバーカードの普及・利用促進により、住民サービスの向上と行政の効率化が加速するものと考えられます。

さらに、コロナ禍を契機にはじまった商慣習の変革に伴い、紙・対面に基づく様々なやりとりをサイバー空間において実現するためのデータ流通基盤となる「トラストサービス」へのニーズは飛躍的に高まっており、簡易かつ信頼性の高いサービスが急速に普及していくと考えられます。また、デジタル庁における令和5年度予算において、「Web3.0(注)の推進に向けた環境整備に係る経費」が盛り込まれるなど、分散型のデジタル社会の実現に向けて、国を挙げての環境整備が進もうとしています。

携帯電話販売市場においては、通信キャリア各社がオンラインショップで端末をユーザに直接販売する動きを活発化させております。また、株式会社NTTドコモによるエリア毎のドコモショップを適切な店舗数・店舗規模に見直す方針の発表や、ドコモショップへのインセンティブ体系の変更など、依然として厳しい環境が続いております。一方で、5Gサービスの拡大による新たな需要や、2026年3月に予定される3Gサービス終了に向けた端末買い替え需要などの事業機会も見込まれます。また、ドコモショップが地域のICTサポート拠点としての役割を担うことも期待されております。

このような状況のもと、「LINK Smart~もたず、つながる時代へ~」をブランドコンセプトに、「シェアクラウド(共同利用型クラウド)」による安心、安全、低価格で高品質かつ高機能なクラウドサービスの提案を積極的に進めてまいりました。

また、昨今の物価高が続く情勢等を踏まえ、社員が安定した生活を送ることができるよう、全従業員を対象に給与水準の引き上げ(ベースアップ及び昇給)を行いました。今後も引き続き、「健康で活き活きと働きがいのある職場づくり」を重要課題(マテリアリティ)と捉え、人的資本投資等の取組を進めてまいります。

なお、当社は2023年4月1日施行の株式会社東京証券取引所の規則改正に伴い、スタンダード市場への上場の再選択の機会が得られたことから、同年9月15日付でスタンダード市場への選択申請を行い、同年10月20日に上場市場を移行いたしました。これは、株主の皆様が不安を持つことなく、安心して当社株式を保有・売買いただける環境を確保することが重要であると判断したためであります。

以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高15,023百万円(前期比22.9%増)、営業利益1,040百万円(前期比7.7%減)、経常利益1,062百万円(前期比6.9%減)、また、モバイルネットワーク事業に係るのれんの減損損失等、特別損失259百万円を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益445百万円(前期比51.1%減)となりました。

 

「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社グループは定常収入を経営上の重要指標と位置づけております。当連結会計年度における定常収入は、サービス提供の拡大により774百万円増加し、7,692百万円(前期比11.2%増)となり、順調に推移しました。

なお、当連結会計年度より、2022年7月に完全子会社化した株式会社シナジーの損益計算書の連結を開始いたしました。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

<流通クラウド事業>

流通クラウド事業におきましては、小売業向けEDIサービス「BXNOAH」やネットスーパーシステム「@rmsネットスーパー」等のクラウドサービス提供拡大により定常収入が増加しました。費用面では、中大規模顧客向け「@rms基幹」に係るソフトウェア償却費が減少した反面、ウィズコロナ下での営業活動等の活発化に伴い旅費交通費が、開発力及び営業力強化のための採用に伴い人件費及び労務費が、さらに電気料金が上昇し水道光熱費がそれぞれ増加いたしました。

2023年5月には、一般社団法人日本加工食品卸協会(日食協)や日食協加盟の食品卸6社等が基本合意した「EDIプラットフォーム」に関して当社がEDI基盤サービスベンダーの1社に採択されました。

また、主力サービスである食品小売業向け基幹システム「@rms」については、中大規模顧客からの受注を獲得いたしました。同サービスについては、高速処理化等の開発投資を進めており、さらなる展開加速に向けて注力してまいります。他方、流通業界における商談のDXを実現する企業間プラットフォーム「C2Platform」の商談支援サービスについて、大手食品小売業での稼働を開始いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,622百万円(前期比7.9%増)、セグメント利益(経常利益)は958百万円(前期比17.9%増)となりました。

 

<官公庁クラウド事業>

官公庁クラウド事業におきましては、ネットワーク工事案件等が増加したことに加え、前連結会計年度に連結子会社となった株式会社シナジーの寄与もあり、売上高は前期を大幅に上回りました。一方、株式会社シナジーの子会社化に伴う取得原価の配分にあたり識別した無形資産及びのれん等の償却費248百万円を計上したことにより、減益となりました。

また、電子認証サービス「マイナサイン」について、株式会社トラストバンクが提供する「LoGoフォーム」と連携し、2023年4月より同サービスを利用する自治体向けへの本格展開を開始しました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は6,778百万円(前期比28.0%増)、セグメント利益(経常利益)は524百万円(前期比26.4%減)となりました。

 

<トラスト事業>

トラスト事業におきましては、2023年5月よりデジタル証明書発行サービス「CloudCerts」を用いた「TOEIC® Program」公開テストのデジタル公式認定証発行を開始する等、サービス提供拡大により定常収入が増加し、増収となりました。

一方、既存事業であるタイムスタンプサービスに関する設備投資等により売上原価が増加しました。

2023年8月には株式会社サムポローニアと共同開発をした、マイナンバーカード認証を活用した司法書士向け電子署名サービス「サムポロトラスト電子署名」がリリースされました。引き続き、不動産取引のデジタル化に貢献すべく取組を進めてまいります。

「CloudCerts」については、展示会(ブロックチェーンEXPO)に出展する等、さらなるサービス展開に注力いたしました。また、日本ブロックチェーン基盤株式会社が運営・管理するパブリックチェーン(注)「Japan Open Chain」のバリデータ(注)として参画いたしました。Web3.0に取り組む企業や団体が安心して利用可能なブロックチェーンインフラを提供するとともに、社会課題解決につながるWeb3.0サービスの展開を推進してまいります。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は99百万円(前期比108.6%増)、セグメント損失(経常損失)は235百万円(前期はセグメント損失236百万円)となりました。

 

<モバイルネットワーク事業>

モバイルネットワーク事業におきましては、2022年12月に実行した吸収合併により店舗数が拡大し、総販売台数が増加したため増収となりました。一方、株式会社NTTドコモによるインセンティブ体系変更の影響等により、減益となりました。

今期より法人営業の体制強化を実施しており、今後、DXソリューションの提供等の新たな収入の獲得に向けた取組を進めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,523百万円(前期比35.7%増)、セグメント利益(経常利益)は45百万円(前期比72.8%減)となりました。

 

(注)上記に用いられる用語は以下のとおりであります。

ガバメントクラウド:政府共通のクラウドサービスの利用環境。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とするもの。

 Web3.0:次世代インターネットとして注目される概念。巨大なプラットフォーマーの支配を脱し、分散化されて個と個がつながった世界。電子メールとウェブサイトを中心としたWeb1.0、スマートフォンとSNSに特徴づけられるWeb2.0に続くもの。

パブリックチェーン:暗号資産の取引情報の記録に用いられるブロックチェーンにおいて、特定の管理主体を置かず、不特定多数の参加者により取引情報の合意形成を行う仕組みのこと。

バリデータ:ブロックチェーン上での取引(トランザクション)を承認する役割のこと。

 

 当連結会計年度における生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

(生産実績)

当社グループは生産活動を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

(仕入実績)

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

流通クラウド事業

358

104.8

官公庁クラウド事業

1,891

115.9

トラスト事業

0

124.4

モバイルネットワーク事業

2,421

145.1

合計

4,672

128.2

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

(受注実績)

当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績の記載を省略しております。

 

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

流通クラウド事業

4,622

107.9

官公庁クラウド事業

6,778

128.0

トラスト事業

99

208.6

モバイルネットワーク事業

3,523

135.7

合計

15,023

122.9

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

コネクシオ㈱

2,574

21.1

2,829

18.8

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は13,053百万円となり、前連結会計年度末に比べ307百万円増加しました。

流動資産は、80百万円の増加となりました。これは主に売掛金が642百万円、商品及び製品が98百万円、流動資産のその他に含まれる前払費用が70百万円増加したことと、契約資産が427百万円、現金及び預金が324百万円減少したことによるものです。

固定資産は、226百万円の増加となりました。これは主にソフトウエア仮勘定が385百万円、取得等により有形固定資産のその他に含まれる工具、器具及び備品が125百万円、ソフトウエアが117百万円、建設仮勘定が100百万円増加したことと、償却等によりのれんが373百万円、建物及び構築物が88百万円減少したことによるものです。

負債は、18百万円の減少となりました。これは主に返済により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が436百万円、契約負債が115百万円減少したことと、借入により短期借入金が300百万円、流動負債のその他に含まれる設備未払金が119百万円、未払消費税等が111百万円増加したことによるものです。

純資産は、326百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により445百万円増加し、剰余金の配当により144百万円減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ324百万円減少し、1,934百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは1,155百万円の資金の増加(前連結会計年度は、1,046百万円の資金の増加)となりました。資金の増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益804百万円、減価償却費649百万円、減損損失256百万円、のれん償却額176百万円となっております。資金の減少の主な要因は、法人税等の支払額397百万円、売上債権の増加額215百万円、棚卸資産の増加額112百万円となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは1,164百万円の資金の減少(前連結会計年度は、2,267百万円の資金の減少)となりました。資金の減少の主な要因は、無形固定資産の取得による支出697百万円、有形固定資産の取得による支出514百万円となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは315百万円の資金の減少(前連結会計年度は、534百万円の資金の増加)となりました。資金の減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出436百万円、配当金の支払額143百万円となっております。資金の増加の主な要因は、短期借入金の純増額300百万円となっております。

 

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料及び商品の仕入のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、長期資金需要は設備投資及びM&A投資であり、設備資金需要の主なものは、データセンター設備の増強のためのサーバー機器等への投資、ソフトウェア開発に係る費用などであります。

当社グループは、運転資金については自己資金より充当し、不足が生じた場合は金融機関からの短期借入により調達を行っております。また、長期資金については、自己資金で不足する場合は長期借入金等により調達を行っております。

当社グループの当連結会計年度末における設備の新設、改修等に係る投資予定金額とその資金調達の方法については、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除去等の計画」に記載のとおりであります。

当社グループは複数の取引金融機関との間で当座貸越契約を締結し、資金需要を鑑み必要に応じて資金の借入を行える体制を整えております。これにより、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,974百万円となっております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 販売に関する契約

当社は、取引条件の軽微な変更に伴い、コネクシオ(株)との間で、新たにドコモショップの業務再委託契約を締結いたしました。また、本契約を締結したことに伴い、第59期有価証券報告書で開示しております同社との契約(2019年9月12日締結)は失効いたしました。

会社名

 相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

当社

コネクシオ㈱

日本

ドコモショップの業務再委託

2023年
4月1日

2023年4月1日から
2024年3月31日まで
以降、1年毎の自動更新

ドコモショップ業務の許諾

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、急激に変化するビジネス環境において、顧客ニーズへの対応、顧客の企業活動の価値向上及び競合他社に対する優位性確保を目的に、流通クラウド、官公庁クラウド、トラスト事業において既存サービスの改善、新規サービスの開発、最新技術の調査・研究等の研究開発活動を行っております。なお、研究開発費としては、新サービスの取得費用、開発費用、調査目的等で購入するハードウェア及びソフトウェア等が計上されております。

当連結会計年度における研究開発費は、新サービスの開発等により、総額は217百万円であります。