第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 下記の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、経営理念に「価値ある豊かさの創造」を掲げ、時代に即した「お値打ち」と店舗で楽しい時間を過ごしていただくという真の豊かさを他に先駆けて創り出していくことをめざします。

 

経営理念  価値ある豊かさの創造

 

パーパス(存在意義)

食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する

 

ミッション

ひとりでも多くのお客様に、安くておいしい料理を、気持ちのよいサービスで、快適な空間で味わっていただく

 

2030年長期ビジョン

一人ひとりの豊かな生活の実現/豊かな社会づくりへの貢献/環境への配慮

 

2025年戦略ビジョン

強固な基盤を構築し、一人ひとりの挑戦で地域一番店となり、連続成長を達成する

~すべてはお客様の笑顔のために~

 

バリュー

① お客様:      お客様の笑顔が私たちのやりがいです

② 現場主義:     いつも現地、現物、現実を観て行動します

③ 職場環境・働きがい:働く仲間と協力して明るい職場をつくります

④ 知識・技術の向上: 仕事に誇りを持ち、日々知識と技術の向上に努めます

⑤ 目標達成:     スピードを大切に、よい店づくりのために挑戦し続けます

 

 これらの基本方針のもと、当社グループでは、お客様の幅広いニーズと期待に確実にお応えするため、和洋中を中心とした多様なテーブルサービスレストランを約3,000店舗展開しています。安全で高品質な食材を、当社グループの購買・製造・品質管理・物流・店舗の垂直統合されたインフラを活用して、毎日お客様のテーブルにお届けしています。国内で年間約3億人ものお客様にご利用いただいており、企業としての社会的責任の大きさを重要な課題と捉えております。一人ひとりのお客様の生活がより豊かになり、より快適に過ごしていただけるよう、地域に根ざした店舗作りを通じ、社会への責任を果たしていきます。

 当社グループは、このような経営の基本方針に基づいて事業を展開し、株主利益の拡大を図ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、キャッシュ・フロー経営を重要視し、成長のための投資、株主還元、有利子負債返済へバランス良く配分することで、株主へのリターンを最大化することを目指しています。ITデジタル、業態転換やリモデルなど成長に向けた投資を継続し、適切なレバレッジを考慮しながら有利子負債の水準を下げることで、バランスシートの体質を強化します。調整後当期利益に対して約30%の還元を配当政策の基本方針と定めており、株主還元の最大化も重要視してまいります。

 以上のことから、当社グループでは、事業利益、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益(損失)を重要な経営指標として位置づけております。

 

 なお、事業利益、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益(損失)を以下の算式により算出しております。

事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費

EBITDA=税引前利益(損失)+支払利息+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+その他の金融関連費用(期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益を除く)-受取利息-その他の金融関連収益+減価償却費及び償却費+長期前払費用償却費+長期前払費用(保証金)償却費

・その他の金融関連費用は、連結純損益計算書上はその他の費用として記載しています。

・その他の金融関連収益は、連結純損益計算書上はその他の収益として記載しています。

調整後EBITDA=EBITDA+固定資産除却損+非金融資産の減損損失-非金融資産の減損損失の戻入れ+株式発行関連費用等

調整後当期利益(損失)=当期利益(損失)+株式発行関連費用等+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)+調整項目の税効果調整

 

(3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の分類で5類に移行して以降、消費動向の全体的な回復とともに順調に回復が進みました。コロナ禍で顕著になった、外食の際のより厳しい商品や店舗の選定、家では体験できないモノ・コト・空間への需要、テイクアウトや宅配など外食以外の選択肢の利活用は定着しています。物価高騰のため、消費に対してよりシビアな消費者が増加しているとともに、円安の想定以上の長期化、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢などを背景とした地政学上のリスクなどの影響による原材料費・物流費・光熱費の高騰などのコスト高の状況が継続しています。ただ、今後は賃金の上昇を伴うよいインフレ環境への転換が期待されており、当社もそのような市場環境の中、さらなる顧客支持の拡大に向けて取り組んでまいります。

 

 当社グループが描くポストコロナのロードマップでは、下記に記載の3段階のフェーズで更なる成長を目指しております。全てのフェーズに於いて基軸となるのは、1.デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 2.人的資本の充実、オペレーション改革 3.ESGの推進 の3軸です。

 

■ 第1フェーズ(2021年~2022年)

 コロナ禍により急変した事業環境に迅速に適応しました。不採算店舗の閉店や、コスト削減を実施したことでキャッシュアウトを抑制し、DXを活用して生産性向上に繋げました。また、デリバリーやテイクアウトなど店内飲食以外の事業を拡大し、価格戦略を通じて売上を確保しました。

■ 第2フェーズ(2023年~2024年)

 消費者のライフスタイルの変化や原材料費、エネルギーコスト、人件費の高騰などポストコロナの課題に対応しながらビジネスを拡大いたします。既存店成長のため、メニュー開発やプロモーションの戦略的な実施や価格戦略により客数・客単価を増加させるほか、収益構造改革も継続し、週末売上の最大化を図ります。店舗改装や誘導看板の拡充により店舗の居心地や視認性を改善するとともに、業態転換を進め、より時代に即したストアポートフォリオに変更します。新規出店についても国内・海外とも加速し、事業基盤を拡大します。また、次世代ビジネスモデルである外販・通販事業の拡大を図るとともに海外事業の本格的な多店舗展開を準備します。M&Aも積極的に検討します。

■ 第3フェーズ(2025年~)

 M&Aによる事業規模拡大、第1・第2フェーズで着手・実行した事業の収益拡大をさらに推進するなど、外食に加え、内食の事業領域においても業界シェア拡大を目指します。

 

 約3年間に及ぶコロナ禍を経て、お客様の選択眼はより厳しいものとなりました。足元では円安の進行や地政学上のリスクなどの影響による原材料費、物流費、光熱費の高騰などコストプッシュの事業環境の継続が懸念されます。この厳しい事業環境の先にある淘汰の時代を乗り越えていくには、堅牢な経営基盤を作り上げることが不可欠です。

 消費行動の変容や物価高騰の継続を踏まえた厳しい事業環境の中で当社経営資産を最大限活用し、収益を拡大することを目的として当社グループは経営戦略の主軸として、①業態転換によるストアポートフォリオの最適化、②リードサイン(誘導看板)の設置と駐車場入り口のIN看板のデザイン変更、③週末のピークタイム売上最大化、の3つを、④その他の収益拡大策と並行して着実に実行してまいります。

 

① 業態転換によるストアポートフォリオの最適化

 当社が成長を続けるために、直近の伸び率が低下しているような地域では当社グループの多彩なブランドポートフォリオを活かし、その地域の最新の消費動向や人口動態などを分析した上で、より適したブランドへの業態転換を実施することで売上を再び最大化する、という業態転換を積極的に実施してまいります。

 各地域のマーケットポテンシャルを引き上げて売上拡大に寄与するブランドとして、しゃぶ葉(しゃぶしゃぶ、カレー、デザートの食べ放題レストラン)やLa Ohana(ハワイアンリゾート気分を楽しめるレストラン)やむさしの森珈琲(高原リゾートをイメージしたゆとりと癒し空間のカフェ)など、お客様から高い支持をいただいている専門店ブランドへの業態転換を継続して実施してまいります。

 自社競合の解消を目的とした業態転換も積極的に推進しております。当社業態が複数存在している地域においては、そのうち1店舗を業態転換することにより、新たな需要を喚起するとともに自社競合を解消し、地域全体としての売上拡大を狙います。

 2024年度は約70~80店舗の業態転換を実施予定です。

 

② リードサイン(誘導看板)の設置と駐車場入り口のIN看板のデザイン変更

 売上拡大の手立てとして、車や自転車などを含めた通りがかりのお客様に向けた店舗視認性の向上があり、そのための戦術としてリードサイン(店舗敷地よりも手前に設置する、店舗の存在を伝える誘導看板)の追加設置と、駐車場の入り口を示すIN看板のデザイン変更を実施します。

 

・リードサインの設置

 店舗周辺へのリードサインの設置はこれまでも実施してきましたが、2024年度はすべてのリードサインについて最適な場所に設置されているかを再確認するとともに、より効果の高い場所にリードサインを追加設置いたします。

2023年度の後半に実施した実験店でのリードサインの追加設置は売上改善効果が平均2%ありました。2024年度はリードサインの追加設置を約500店舗分、実施予定です。

 

・駐車場入り口のIN看板のデザイン変更

 車を運転中の方に店舗駐車場の入り口がどこにあるのかを明示することはご来店を確実なものにする上で大変重要です。駐車場入り口のIN看板についても再確認し、駐車場入り口の場所を示すデザインに修正することにより、入店確率を上げ、売上拡大に繋げます。

 2023年度の後半にいくつかの実験店において駐車場入り口のIN看板のデザイン変更を実施したところ、売上改善効果が平均1.5%ありました。2024年度は駐車場入り口のIN看板のデザイン変更を約1,000店舗分、実施予定で、そのうち約500店舗分は2023年の終わりに実施済みです。

 

③ 週末のピークタイム売上最大化

 既存店の収益力改善のため、週末のピークタイムの回転率向上に取り組んでいます。週末のピークタイムに積極的に従業員を配置することにより、お客様の入り口でのお待たせ時間や料理提供時間を短縮し、お客様の満足度を高めるとともに回転率も向上し、売上増に繋げます。

 

④ その他の収益拡大策

 上記3点を2024年度の重点施策として実行していく一方で、それ以外にも以下の項目に継続的に取り組み、収益拡大に繋げます。

 

・店舗収益力の改善

 高収益体質への変革に向けて、既存店1店1店の収益力の大幅改善に努めています。2023年度は前年に実施した各業態のモデル店舗で実施した収益改善実験の検証結果を踏まえ、利益増大に効果的に寄与する取り組みや成功事例をマニュアル化してブランドごとに全店に展開し、店舗収益構造の底上げを進めました。2024年も継続して店舗営業経費の削減や、土日祝日のピークタイムの売上を最大化するための従業員のトレーニングなどを進めてまいります。

 

・店舗生産性向上

 これまで積極的に実施してきた店舗へのDX投資も実を結び始めています。店舗のDX投資を当社は積極的に実施してきており、2023年度は8月に約2,400店舗でテーブル決済を導入しました。10月からは既存の現金対応有人レジへのセルフ機能追加も順次展開しており、2024年度中にはすべての有人レジにセルフ機能が実装される予定です。既に導入済みのフロアサービスロボットや独立型キャッシュレスセルフレジ、刷新したPOSレジシステムなども活用し、お客様の利便性向上とともに従業員の接客作業の簡略化と効率化を進めてまいります。

 店舗内キッチンでの調理作業についてもメニュー数の絞り込みや付け合わせ食材の統一、商品調理手順の共通化などにより簡略化するとともに、多言語対応の動画マニュアル作成などを通じて、新人トレーニングも含め、調理スタッフの習熟度を短期間で向上させる環境を整備し、店舗生産性向上に貢献しています。

 

・原価低減

 高騰する食材価格の打ち返しにも真摯に取り組んでいます。購買・生産・メニュー開発の3部門横断の原価低減プロジェクトで大量購買や長期契約による調達価格のコントロール、外注品の内製化や製造工程の見直し、レシピの見直しなどの取り組みを進めた結果、2023年度は年間で約49億円分の利益改善を達成しました。価格高騰は今後も継続する見込みのため、2024年度も引き続きこのような原価低減策を部門横断で進めてまいります。

 

・商品及び価格戦略

 インフレ対策の一環で2022年7月と10月にガストをはじめ、主要各ブランドでプライシングを実施しました。これにより客単価の上昇に加え、人件費率の低下と売上総利益率の維持を実現しています。

2023年度も前年のプライシングからの好影響を享受しましたが、10月以降はコロナ明けの新しい消費動向を踏まえ、ガスト、バーミヤン、夢庵などファミリーダイニングカテゴリーの各ブランドでグランドメニューを抜本的に見直しました。一部商品の値下げも実施するとともに、安価な小ポーションメニューやセットメニューを導入し、お客様にメニューを選ぶ楽しさをご提供するとともに併売率向上にも繋げることができています。

 注文皿数の増加による客単価上昇と、手頃な価格で多様な商品ラインナップから選べることで幅広いオケージョンに対応できる新グランドメニューによる来店頻度増の両方を追求してまいります。

 

・プロモーションの再開

 コロナ禍で一時的に抑制していたプロモーションも2023年に本格的に再開しました。年金や児童手当の支給日にあわせたチラシ配布やクーポン配信、母の日やハロウィーンにあわせたキャンペーンの実施、人気キャラクターを活用したファミリー向け施策など、オウンドメディアと外部メディア、デジタルとアナログ施策をバランスよく組み合わせて戦略的なプロモーションを展開し、客数回復を加速させました。

 2024年もお客様がお金を使いたくなるタイミングや、消費が活発化するタイミングにあわせて様々なキャンペーンを展開し、他社ではなく当社店舗にお客様を誘引する施策を実行してまいります。

 

・出店戦略

 コロナ禍で抑制していた新規出店も本格的に再開しました。2023年度は27店舗の新規出店を実施しましたが、2024年度は約40~50店舗の出店を計画しております。

 しゃぶ葉やむさしの森珈琲など好調な専門店ブランドでの出店以外に、駅前や都心部の商業地区を中心に、ガストやバーミヤンなど日常使いのブランドでの出店も積極的に検討してまいります。

 

・海外ビジネスと外販通販ビジネス

 海外ビジネスと外販通販ビジネスも着実に事業規模を拡大しています。海外ビジネスでは、現在69店舗を展開する台湾は、コロナ前の売上を上回る水準まで回復しています。2023年4月に1号店をオープンした「むさしの森珈琲」も好調で、2024年度中に追加オープンすることが決まっています。マレーシアでは「しゃぶ葉」4号店が2月にオープンしました。米国でも「しゃぶ葉」1号店の売上が順調で、2号店の出店を計画中です。

 外販は現在、90以上のスーパーや量販店ですかいらーくの人気メニューを商品化して販売しております。通販は楽天とアマゾンでの販売に加え、自社サイトでの販売も強化しているほか、ふるさと納税返礼品としての販売や、Yahoo!ショッピングやauPAYマーケットでの販売も開始しており、売上拡大に力を入れています。2023年度は外販通販合計で前年比約1.5倍の売上を達成しており、2024年度はさらなる売上成長を計画しています。

 

・M&A

 双方にメリットがあるM&Aも積極的に検討してまいります。当社グループの事業基盤を活用することでシナジー効果を生み出すことができる機会を国内・海外で模索し、今後の成長戦略の柱の一つとして事業規模拡大を目指します。

 

⑤ ESGへの取り組み

 当社グループの事業活動は「持続可能な開発目標(SDGs)」と深い関わりがあることを認識しています。国連が定めるグローバル目標に則した施策の実行など、持続可能な社会の実現に向けて当社が果たすべき責務をグループ横断で推進する体制を強化するため、2020年12月に「グループサステナビリティ委員会」を設置しました。

 2021年には当社グループのパーパス(存在意義)を「食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する」、2030年長期ビジョンを「一人ひとりの豊かな生活の実現、豊かな社会づくりへの貢献、環境への配慮」と定めたほか、当社が優先的に取組むべき課題であるマテリアリティについても、「食」を通じた持続的な社会と企業価値の向上の実現とのサステナビリティ方針に基づき、当社グループにとっての重要度とステークホルダーにとっての重要度の両面からの分析を行い、マテリアリティとして特定し、一覧及びマテリアリティ・マトリクスとしてホームページに開示しております。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/management/materiality/

 

 当社グループのESGへの取り組みは、調達・生産から店舗運営まで、当社の商品・サービス・企業活動を通じた地球環境保全と持続可能な社会の発展に貢献し、当社グループの成長を同時に実現するものです。

・宅配・テイクアウトの包装容器やカトラリー、レジ袋などの使い捨てプラスチック製品について、バイオマス素材や紙原料、木製、竹製への切り替えを進め、石油由来プラスチック使用量の削減を推進しています。2023年1月からはレジ袋の有料化を通じて使用量全体の抑制を推進しております。

・CO2削減の取り組みとして、節電活動や省エネ化、物流の最適化等を進めるとともに、2023年8月に、太陽光発電設備とCO2フリー電力、カーボンニュートラル都市ガスを導入し、当社で初めて、CO2排出量実質ゼロで運営するガスト東村山市役所前店をオープンしました。また、12月には、酒々井マーチャンダイジングセンターにおいて、太陽光発電を開始。今後代替エネルギーや再生エネルギーへの移行のためにさらなる準備を進め、脱炭素に向けての取り組みを加速させていきます。当社グループでは『2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする』ことを目標に設定しました。同時に、2030年までに2018年比50.4%削減を目標として、毎年のCO2排出量目標を設定しております。

・当社グループは事業を通じて社会的責任を果たすべく、購買管理規程を設け、法令を遵守することはもとより、安全で高品質な食材購買の推進、社会的課題への対応を取り組んでいます。現在調達先は世界40カ国に及びますが、各地の法律・習慣・現状で判断するのではなく、該当する日本国法に照らして著しい乖離があるか否かで判断しています。問題のある場合は取引を開始しない、という厳格なポリシーを実行することで責任ある調達に努めています。

・厳しい調達基準に基づき、環境・社会・人権への配慮、生物多様性につながる持続可能な原材料調達に努めています。紙製品におけるFSC/PEFC認証取得製品を積極的に採用(紙ストローやトイレットペーパー、コピー用紙等)している他、主要業態のガストをはじめ複数業態で提供しているコーヒーは、レインフォレスト・アライアンス認証豆30%配合を使用しています。さらにフライ用オイルはRSPO認証を取得したパーム油導入に向けサプライヤーと協議しています。今後は国産野菜・米におけるJGAP認証またはそれに準じる農場管理基準を持つ産地比率を増やす新規産地開発を行っていく方針です。また、2022年6月に一部カテゴリにおいて、持続可能な調達の国際規格ISO20400認証を取得。2023年9月には登録範囲を広げて取得しました。

・お客様に安心してお食事を楽しんで頂けるよう、塩分値やカロリー、アレルギー物質の表示、主要食材原産地情報の開示などに取り組んでいます。また、アレルギー反応の重篤性を鑑み、メニューからも、指定アレルゲンからもアレルギー物質情報を検索いただけるアレルギー情報サイトをご提供しております。

・「食」を扱う企業として、食品ロス問題への対応も重要な責務です。当社は全国10か所の工場で必要な分だけ生産し発注された分だけをほぼ毎日店舗に配送する仕組みを導入したり、工場の食品廃棄物をおよそ90%リサイクルしたりするなど、食材廃棄の低減に努めています。

・店舗では、ご飯の量を選択可能にし、単品メニューをご提供するなど、お客様に残さず召し上がっていただける工夫をしています。また、2020年9月には、持ち帰り専用容器「すかいらーくもったいないパック」®を導入し、店内のデジタルメニューブックやホームページで食べきれなかった料理のお持ち帰りを推奨するなど、食品ロス削減への取り組みを強化しています。

・ダイバーシティを推進し、すべての従業員にとって働きがいのある職場環境を整備します。

・健康経営宣言のとおり、社員の健康診断受診100%、禁煙運動の継続実施、BMIコントロール対策を中心に健康経営の推進を行っております。

 

※当社のESGに関する各種取り組みは、ホームページに開示しています。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/

※健康経営については、以下のサイトに開示しています。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/basic_policy/health/

 

⑥食の安全・安心に向けた取り組み

 すかいらーくグループで提供する食材は、調達から加工・流通・調理・提供に至るすべての工程で予見されるさまざまなリスクに対して、品質・衛生管理に関する基準を設け、徹底した管理を行うことを基本方針とすることを「品質憲章」に定めています。

 国内の自社セントラルキッチン(10工場)、購買部門、メニュー開発部門、品質管理部門、内部監査部門を対象に、国際的な食品安全マネジメント規格であるISO22000の認証を取得し、店舗ではHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手法を取り入れることで、サプライチェーン全体の食品安全管理体制を構築しています。

 

 財務面では、こうした不透明な外部環境に対応し財務の安定化を図るため、当社は主取引銀行を中心とする銀行団と協議し、2024年2月に期限となる極度額350億円のシンジケートコミットメントライン契約の後継契約として、2023年12月27日に期間3年、同額の契約を締結するとともに、次期以降に返済期限が到来する借入金の返済に備え、資金調達手段の多様化を進めております。

 

 当社グループは、経営理念に「価値ある豊かさの創造」を掲げ、時代に即した「お値打ち」と店舗で楽しい時間を過ごしていただくという真の豊かさを他に先駆けて創り出していくことをめざしています。

 「ひとりでも多くのお客様に 安くておいしい料理を 気持ちのよいサービスで 快適な空間で味わっていただく」という私たちが果たすべきミッション(役割)を実現し、お客様の生活がより豊かになり、より快適に過ごしていただけるような店舗づくりとサービスを目指し、企業価値の向上に努めてまいります。その実現のため、当社は「すかいらーくグループ企業行動憲章」を制定して全役職員で共有し、法律、国際ルール及びその精神を遵守するとともに、社会的良識をもった行動に努めております。また、経営の健全性、効率性及び透明性を確保するためのさまざまな取り組みを実施し、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

 当社は取締役会による監督のもと、サステナビリティに関わる取り組みの意思決定機関として代表取締役会長、代表取締役社長及び全執行役員、グループ各社の社長で構成される「グループサステナビリティ委員会」を設置しています。同委員会では国内外含むグループ全体のサステナビリティに係わる方針や目標、施策の策定、重要課題(マテリアリティ)の特定、モニタリングと定期的な見直し、及び、サステナビリティ推進体制の構築や整備などを継続的に実施しています。

 サステナビリティ推進活動については取締役会への報告を行っております。なお、同委員会には、社外役員もアドバイザリーとして関与し、社外の視点での指摘、アドバイスを受ける体制としています。

その概要は提出日現在で以下のとおりであります。

 マテリアリティ及びKPIは、財務指標と同軸で目指すべき指標として、取締役会の監督のもとサステナビリティ委員会にて決定されました。KPIの進捗状況は、同委員会や取締役会等を通じ、経営レベルで監督が行われています。

 また、サステナビリティの取組や目標達成に対する経営責任を明確にするため、取締役や執行役員の報酬の評価体系にESG指標を組み込んでいます。2022年度からは業務執行社内取締役及び執行役員が対象となるファントムストックにおいて、一定期間の在籍及び当社株価に関する要件に加え、「国際的なESG評価機関である、CDP気候変動及びDJSI評価」を追加し、当社のサステナビリティ経営の推進と役員報酬が連動する仕組みを導入しております。

 詳細については「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。

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②戦略

 当社グループでは、「食の未来を創造し 豊かな生活と社会の発展に貢献する」とのパーパスを従業員一人一人の行動レベルに落とし込んでいくために、「ひとりでも多くのお客様に安くておいしい料理を気持ちの良いサービスで快適な空間で味わっていただく」とのミッションを掲げています。

 これらの価値観に基づき、「食の安全・安心」「健康・栄養」「お客様志向」「脱炭素」「脱プラスチック」「食品ロスの削減」「水資源の保全」「生物多様性」「DX」「働き方改革」「責任ある調達」をマテリアリティとして特定しました。

 当社の最大の強みは、従業員約9万名が、10拠点のセントラルキッチンと約3,000店の直営店舗で、年間延べ約3億人のお客様と食を通じてコミュニケーションをしていることです。すなわち、日々、店舗で得られる情報から消費者ニーズを分析し、ニーズに合致するよう商品、サービスを見直し、10拠点のセントラルキッチンと約3,000店舗でスピーディーに展開できることです。

 当社はこの強みを活かして、2030年の目指す姿を、①年間5億人のお客様への食事の提供を通じた「一人ひとりの豊かな生活の実現」、②雇用への貢献、人権の尊重等を通じた「豊かな社会づくりへの貢献」、③50%の環境負荷の削減を通じた「環境への配慮」の実現としています。

 この実現のためのビジネスモデルとして、年間延べ約3億人のお客様との取引をベースにした「データマーケティング」でお客様志向の商品・サービス・店舗開発を行い、デジタルトランスフォーメーションにより、お客様の利便性と生産性の向上を図りながら、自社工場、自社配送、直営店舗を中心とした「垂直統合型サプライチェーン」により、国内外約3,000店舗で豊かな食生活を提供し、社会的価値と当社の企業価値を創造、拡大しています。

※重要課題(マテリアリティ) 及びKPI並びに価値創造モデルに関するより詳しい内容は当社ホームページをご覧ください。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/management/materiality/

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/management/model/

 

③リスク管理

 サステナビリティに関連するリスクを含むグループ全体のリスクマネジメントを統括する組織として、代表取締役社長を委員長、代表取締役会長や全執行役員を委員とする「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会ではさまざまなリスクを一元的に洗い出し、リスクの影響度合いなどを勘案して対処すべきリスクを特定しており、その中でサステナビリティ関連リスクは、サステナビリティ委員会に共有し、同委員会内で検討を行っております。

 また、サステナビリティ関連リスクにおいては、消費者から社会課題、重要課題への対応が消極的と見られることにより消費者から選ばれなくなることが最大のリスクと考えております。一方で、社会課題、重要課題に対して適切に対応し、評価を得ることができれば、お客様を拡大する「機会」につながると考えています。このため、消費者ニーズに応えられる、データマーケティングとデジタルトランスフォーメーション、垂直統合型サプライチェーンからなるビジネスモデルを構築しています。

 なお、リスクの影響度合いは内部環境・外部環境の変化に応じて常に変動するため、年に1度、再評価を行っています。気候関連のリスクと機会については当社対応状況や環境変化の状況を踏まえ、年に1度、グループリスク・コンプライアンス委員会で見直しするプロセスを設定し、そのように運用しています。

 グループリスク・コンプライアンス委員会での審議内容は社外役員へも情報共有されており、リスクマネジメント体制の透明性確保に努めています。 また、社外役員を同委員会のアドバイザリーとしており、社外の視点での指摘やアドバイスを受ける体制としています。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、重要課題(マテリアリティ)を「一人ひとりの豊かな生活の実現」「豊かな社会づくりへの貢献」「環境への配慮」をテーマに特定し、重要課題(マテリアリティ)ごとに定量指標(KPI)及び目標を設定し、モニタリングしています。これらの指標と目標は、サステナビリティ委員会で年1回重要性分析を行い、見直しを実施しています。

 

※重要課題(マテリアリティ)に基づく目標に関するより詳しい内容は当社ホームページをご覧ください。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/management/materiality/

 

(2)気候変動への取組

 当社グループでは以下のとおりTCFD提言が求める情報開示に対応しております。関連情報は当社ホームページで詳しく掲載しております。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/

 

①ガバナンス

 気候変動対応に関するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」に記載のとおりであります。

 

②戦略

 当社が認識している短期・中期・長期の気候関連リスクと機会、それらリスクと機会が当社のビジネスに及ぼす影響は以下「気候変動による主なリスクと機会」(抜粋)の表に示したとおりです。気候関連リスクと機会への対応策については年1回、内容を確認し、対応状況のアップデートを実施し、当社戦略のレジリエンスについてご説明しております。

2023年度は2℃(1.5℃)及び4℃の将来気候シナリオに基づいて想定される主要なリスクが当社グループの事業に与える影響に関する定量評価を実施しました。

 スコープ1及び2に関する炭素税導入による財務影響額(以下(a))を試算したところ 、当社の炭素排出量が2022年と同等の排出量の場合、44.5億円のコスト増になるという結果になりましたが、2030年までの目標としている、対2018年比で排出量50.4%減を達成できると炭素税影響は32.2億円まで削減されます。さらに、2050年目標であるCO2排出量実質ゼロを実現することで炭素税の負担は軽減されると見込んでおり、省エネ活動や店舗への太陽光発電導入をはじめとする再生可能エネルギーへの切替を通じ、今後も排出量削減に向けた取組を積極的に推進してまいります。

 また、電力価格の変化による影響(以下(b))、洪水による影響(以下(c))、高潮による影響(以下(d))についても財務影響額を算出しました。財務影響額の詳細は以下の表に示したとおりです。

なお、これら主要な気候関連リスクへの当社対応策についても当社コーポレートサイトに開示しております。

 

「気候変動による主なリスクと機会」(抜粋)

 

主なリスク

当社事業への影響度

主な機会

当社事業への影響度

短期・中期

■異常気象や気象災害による調達コスト増加
■環境課題への対応の遅れによるブランドイメージ低下

■サステナビリティ推進によるブランドイメージ改善

長期

■炭素税導入による原材料価格や物流費の高騰
■電力価格上昇
■気温上昇による原材料価格高騰、電気使用量増加、従業員生産性低下

■消費者嗜好の変化に応じた商品・サービス開発による売上増加

※短期(0~2年)、中期(3~5年)、長期(5年超)

※影響度については、2030年時点のものとして検討しています。

※対象範囲は当社グループ全社としています。

※より詳しい内容は当社ホームページをご覧ください。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/

 

(a)炭素税導入による財務影響額

項目

シナリオ

2030年の事業への影響額(試算)

炭素税導入による影響

4℃シナリオ

2℃(1.5℃)シナリオ

△32.2億円

想定炭素税額:2030年4℃シナリオ 0ドル/トンCO₂、2℃(1.5℃)シナリオ 140ドル/トンCO₂

(IEA『World Energy Outlook 2023』より)

 

(b)電力価格の変化による影響

項目

シナリオ

2030年の事業への影響額(試算)

電力価格の変化による影響

4℃シナリオ

3.0億円

2℃(1.5℃)シナリオ

△6.4億円

想定電力価格:2030年4℃シナリオ 209 USD/MWh、2℃(1.5℃)シナリオ 231 USD/MWh

(IEA『World Energy Outlook 2019』よりグラフから読み取り)

 

(c)洪水による影響

項目

シナリオ

2030年の事業への影響額(試算)

洪水による影響

4℃シナリオ

△26.3億円

2℃(1.5℃)シナリオ

△14.9億円

想定洪水発生倍率:2030年4℃シナリオ 3倍、2℃(1.5℃)シナリオ 1.7倍

(グループ各社の店舗、工場、本部など全事業所の位置を地図にプロットした上で国土交通省『気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言』や環境省『TCFDガイダンス』等から推計)

 

(d)高潮による影響

項目

シナリオ

2030年の事業への影響額(試算)

高潮による影響

4℃シナリオ

△3.4億円

2℃(1.5℃)シナリオ

△3.3億円

想定高潮発生倍率:2030年4℃シナリオ 約1.08倍、2℃(1.5℃)シナリオ 約1.06倍

(グループ各社の店舗、工場、本部など全事業所の位置を地図にプロットした上でCLIMATE ANALYTICS『Climate impact explorer』より)

 

※洪水や高潮による資産への影響の試算ではトマトアンドアソシエイツ社のフランチャイズ店は試算対象外

※洪水による営業停止損失の試算ではトマトアンドアソシエイツ社、すかいらーくレストランツ社のフランチャイズ店舗は試算対象外

 

③リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般③リスク管理」に記載のとおりであります。

 

④指標及び目標

 気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標は以下「気候関連指標、目標、実績一覧」に示す内容を当社ホームページに掲載しております。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/

 

「気候関連指標、目標、実績一覧」

1)脱炭素、水資源の保全、脱プラスチックに関する指標及びKPI

2)マテリアリティごとのKPI

3)当社スコープ1、スコープ2、スコープ3の温室効果ガス排出量

4)当社の温室効果ガス排出量に関連するリスクと機会

5)脱炭素、水資源の保全、脱プラスチックに関する目標 については以下のページに掲載しております。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/

6)各指標の2022年度までの実績は以下のページに開示しております。2023年度の実績については2024年3月中に速報値を、6月中に確定値を開示予定です。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/achievements/

 

(3)人的資本

 当社グループでは「食」を通じて、持続的な社会の実現とグループの企業価値の向上を目指しています。その根幹となるのが人財であり、多様な人財が活躍できるよう、社内環境の改善に努めています。また、大切にすべき価値観 (バリュー)のひとつとして、「職場環境・ 働きがい」を掲げ、従業員一人ひとりが働く仲間と協力し、明るい職場づくりに取り組んでいます。

 さらに、人財の成長こそが最大の成長戦略と考え、 すべての従業員の知識やスキル向上と教育機会を最大化するため、様々な形態による研修を社員・パートタイマー及びアルバイトの従業員向けに用意し、従業員自身が学びたい時に学びたいものを負担なく学べる環境を整備しております。

 詳細開示データは当社HPのESGデータブックを参照ください。

 https://corp.skylark.co.jp/sustainability/data_collection/

 

①ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」に組み込まれています。取締役会による監督のもと、「グループサステナビリティ委員会」 で人的資本に係わる全社方針や目標、施策の策定、重要課題であるマテリアリティの特定、モニタリングと定期的な見直し、及び、推進体制の構築や整備などを継続的に実施しています。また、取締役会への報告も行っており、アドバイザリーとして参加する社外役員から社外の視点での指摘、アドバイスを受ける体制としています。

 

②戦略

 すべての従業員の成長と、安心して生活ができる環境づくりへの投資を積極的に行っています。経営戦略と人財戦略の連動を行えるよう、グループ各社の人事部門とも密に連携をとりながら、人財戦略の取り組みを進めております。

 当社グループでは「すかいらーくグループ労働組合」が組織され、すかいらーくグループ各企業と労働組合各支部が労使関係や人事・労働条件を規定する労働協約を締結しています。グループ経営トップと組合本部幹部による協議会・連絡会も定期的に開催し、情報共有を行うことで、相互理解と信頼・協力関係のもとに円滑な事業運営と働く環境の維持向上を図っています。

 少子高齢化が進行している日本の総人口は減少局面を迎え、それに伴い生産年齢人口も減少している状況下で、テーブルサービスレストランを担う優秀な人財の確保は当社の成長に不可欠な要素です。働き手が不足する一方で、子育て後に働く意欲のある方が希望の職に就けない事案も発生しており、私たちはそうした潜在ニーズに対し、全国での雇用の創出と安定的な就労環境を提供していきます。働き手を確保する意味でも、多様な方に職場として選んでいただけるよう、ダイバーシティを推進しており、女性活躍推進、障がい者雇用推進、高齢者雇用推進、外国人雇用を積極的に取り組むとともに、従業員の知識または個人のスキル向上を目的とした「従業員開発トレーニング」、「やりがい」をもって働くことのできる環境づくりを目的とした「ワークエンゲージメントの向上」を推進しております。

 なお、各テーマの具体的な取り組み事項は以下をご参照ください。

■人材の確保

(正社員採用)

 ・2023年度168名、2024年度152名入社予定とコロナ前水準に戻っており、女性比率も50%を上回っております。

 ・中途採用では40代~50代の子育て後のセカンドキャリアの方も積極的に採用(2023年度40代~50代の入社実績

20名)。

(アルバイト採用)

 ・コロナ5類移行後は応募数、採用数ともに好調で2023年度第四半期では前年比150%水準で推移

 ・多様な人財を受け容れることを目的に身だしなみ基準を緩和(髪色自由)

 ・友人紹介制度の拡充

 ・従業員ポイントプログラムの導入(予定)

 ・年収の壁の正しい理解により勤務時間を最大化

 ・社会保険加入促進手当の導入によりアルバイトの社会保険の新規加入人数が前年比150%を上回っております。

■多様な人財が働きやすい環境づくり

 ・配膳ロボットの導入

 ・新POSレジシステムの導入

 ・セルフレジの導入拡大

 ・テーブル決済の導入(実験中)

 ・座席ご案内システムの開発

 ・配膳ロボットとオーダー端末の連携(実験中)

■女性活躍推進

 ・育児目的の特別休暇制度、子育て支援制度の運用

 ・転居のない雇用区分の設定

 ・ライフイベントに応じて選択できる雇用区分運用

■障がい者雇用推進

 ・全国約180の支援学校への実習紹介

 ・障がい者雇用専用相談窓口の設置

■高齢者雇用推進

 ・65歳定年、アルバイトは75歳までの再雇用制度の設定

 ・東京都が主催する「シニアしごとEXPO2023」への接客・調理体験ブースの出展

■外国人雇用の推進

 ・約26ヶ国、およそ2,000人の外国籍の従業員が就業

 ・やさしい日本語を使用した多言語対応の採用サイトや教育ツールの整備

 ・外国籍のインストラクターによる集合面接の実施

■教育環境整備

 ・現場でのオペレーション研修をベースに、集合型・WEB・オンデマンド・e-ラーニングなど内容と目的に応じた研修整備

 ・トレーニングマニュアルの電子化や多言語化、トレーニングセンターの活用

 

■ワークエンゲージメントの向上

 ・性別や年齢、国籍に関係なく、誰もが活躍できる職場環境の整備

 ・従業員サーベイ、多面評価によるモニタリングの実施と活用

 ・適正な労務管理の実施

 ・ハラスメント撲滅に向けた取組

 ・健康経営の推進

 

③リスク管理

 従業員の安全と心身の健康を重視し、当社グループでは「適正な労働時間管理」と「ハラスメント撲滅」を重要なリスク項目と捉えております。2020年4月1日に労働時間の上限規制が設けられる前の2018年より、独自に単月80時間未満(休日労働含む)、複数月平均60時間(休日労働含む)を限度に設定し取り組んできましたが、2022年からは全店マネジャーに対して2ヶ月に1回の頻度で正しい勤怠管理に関する知識教育を行い、法令順守を目的とした啓蒙と監視を続けています。また2021年3月には「ハラスメント防止に関する労使共同宣言」を宣言し、労使共同で安心安全な職場環境の整備に向けた取り組みを進めています。詳細については「第2 事業の状況 3事業等のリスク(6)労務関連、(7)人材確保等」に記載しています。

 人的リスクに関するリスク管理についても「(1)サステナビリティ全般③リスク管理」に組み込まれており、「グループリスク・コンプライアンス委員会」にて対処すべきリスクを特定し、年に1度、リスクの再評価を行っています。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、上記「戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、「女性管理職比率」「喫煙率」「平均月間残業時間」「有給休暇取得率」の指標を用いております。

 当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります 。

主な指標

2022年

(注1)

2023年

(注1)

KPI(注2)

2030年

2050年

女性管理職比率

14.0%

14.3%

30%

50%

喫煙率

25%

21%

10%

ゼロ

平均月間残業時間

29時間

30時間

20時間

ゼロ

有給休暇取得率

62%

64%

80%

100%

(注1)「女性管理職比率」は連結グループの数値を記載しておりますが、その他の指標は、連結グループにおける記載が困難なため、当社及び株式会社すかいらーくレストランツの数値を記載しております。

(注2)連結グループの数値を記載しております。

 

(4)責任ある調達

 当社グループは、事業を通じて社会的責任を果たすべく、購買管理規程を設け、法令を遵守することはもとより、安全で高品質な食材購買の推進、社会的課題への対応に取り組んでいます。サプライヤーの選定においては、財務的な信頼性、品質の安定性のみならず、サプライヤーの従業員管理(労働安全衛生確保等)、人権配慮(児童労働、 強制労働、差別、結社の自由、団体交渉、長時間労働等)、環境への配慮(エネルギー、気候変動、水資源、生物多様性、その他環境問題、食品ロス、資源利用等)、その他の反社会的行為の状況について確認し、社会的責任を果たしているサプライヤーから優先して選定しています。またサプライヤースタッフに対して、当社環境方針に関する情報提供や当社とのコミュニケーション、トレーニング等への理解と協力を求め、共に企業活動と社会・環境の共存共栄を目指します。

 現在、当社グループの調達先は世界40カ国に及びますが、持続可能な調達を行うために社内チェック体制・プロセスを構築しており、その結果、2023年10月6日付で外食業界初となる持続可能な調達の国際規格、ISO20400認証を食材購買グループが所管する18分類の食材調達業務について取得しております。これは、当社購買部門がCSR調達を推進する方針を持ち、購買部門が一体となって取り組む姿勢や環境が構築されていることや、CSRチェックを通じて取引先や産地を直接確認し、現場でのリスク確認や対策を進めていること、また、研修等を通じて当社購買部門の各食材チームのバイヤーが持続可能な調達に関するマネジメントシステムや法規制、CSRチェックの方法などの知識や力量を取得することに努めていること、そのような知識や力量を保有していることなどが認定機関によって確認されたことを意味します。

 当社食材購買グループのISO20400取得により、当社グループは調達食材の品質や安全性、トレーサビリティを認証食材の購入だけではなく、独自に担保することも可能になりました。今後も様々な方法で責任ある調達に努めてまいります。

3【事業等のリスク】

 当社は、代表取締役会長、代表取締役社長及び全執行役員で構成される、グループリスク・コンプライアンス委員会を随時開催し、当社グループのコンプライアンスに係る重要事項の審議及び基本方針の決定を行っております。

 当委員会では、会社に関係する様々なリスクを一元的に洗い出し、その中でもグループとして事業に与える影響が大きなリスクを特定して対策を講じています。リスクの影響度合いは、様々な環境の変化に応じて常に変動しているため、毎年見直しを行っています。

 当社グループの事業内容、経営成績及び財政状態等に関する事項のうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、主として以下のものがあります。

 なお、下記の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。

 下記事項は当社グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(1)経済状況の変化

 当社グループは日本国内におけるレストラン事業を中心としているため、日本国内の景気の変動や、政府の経済政策の影響により、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。特に、近時の物価高騰に賃金の上昇が伴わないことによる個人消費の低迷や、原材料価格・人件費・水道光熱費の上昇は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは経済政策や市場環境の変化、消費動向を常に注視し、様々な営業政策、投資政策及び生産性向上策に反映することで、環境変化に対応できる安定的な収益体質の維持を図っています。

(2)国内市場環境の変化及び他社との競合

 当社グループは、外食市場において、レストラン・居酒屋チェーンを展開する企業やファストフードチェーンを展開する企業に加え、個人又は家族経営等の飲食店とも競合しており、更に中食・内食市場において惣菜や弁当等を販売するコンビニエンスストアやスーパーマーケットを展開する企業とも競合する可能性があります。これらの当社グループの競合他社は、食品の価格、味や品質、メニューの豊富さ、店舗の立地、施設の魅力、雰囲気や居心地のよさ、デリバリー・テイクアウトへの対応、スタッフの熟練度、レストランのブランドに対する社会的な評価、ポイントカード等の特典、軽減税率の適用等の税務上の取り扱い等において、当社グループより高い競争力を有する可能性があり、当社グループがこれらの競合他社に対して優位に立てない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、日本では、現在のところ、レストランチェーンを展開する企業のレストラン店舗数が国内のレストラン店舗数全体に占める割合は、ファストフードやコーヒーショップのチェーンを展開する企業の店舗数が全体の店舗数に占める割合と比較して相対的に低く、当社グループを含むレストランチェーンが更に成長する余地があると認識しておりますが、国内においてレストランチェーンが今後も成長を続けるとの保証はありません。

 新型コロナウイルス感染症の流行を経て、消費者の外食機会の選定動機に変化が見られ、デリバリー・テイクアウトの需要が定常化する等の競争環境の変化が生じています。当社グループはこのような環境に対応してデリバリー・テイクアウトの拡充等の施策の実施、拡大を行っておりますが、今後、日本でのデリバリー市場が拡大しデリバリーサービス等がさらに普及する場合には、従前では競合とならなかったレストランによるデリバリー市場への参入が増加し、デリバリー市場での競争が激化する可能性や、当社グループにおいて第三者が提供するデリバリーサービス等への依存度が高まり、当該サービスの条件・品質等の影響を受けやすくなる等の影響が生じる可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは店内でのお食事の提供にとどまることなく、デリバリー・テイクアウト需要への対応を強化しております。また、既存ブランドの店舗網活用として1つの店舗で他ブランドの商品をも販売する「複合業態」という新しい経営手法を導入する等、ブランド・ストアポートフォリオ及び店舗網の最適化を図るとともに、インターネットを通じた通販事業やスーパーマーケット等での外販事業にも着手しております。

 

 

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(3)消費者の嗜好の変化

 当社グループが展開するレストラン事業における売上は、飲食に関する消費者の嗜好や社会的な流行の影響を強く受けます。

 特に、新型コロナウイルス感染症の流行を経験したことにより、消費者の外食機会及び外食意欲が減少し、外食機会が従来よりも特別な機会となる中で、消費者の嗜好として、より満足度の高い食事機会を求め、専門店の需要や高品質・高単価のメニューの人気が高まる等の変化が見受けられます。

 当社グループが消費者の嗜好等を正確に把握又は予測できない場合、ブランド転換や出店予定地域の調査等の施策が功を奏さない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、当社グループのレストラン事業における主力ブランドであるガストは、当社グループにおいて最大の店舗数を有しており、当社グループの売上及び利益でも大きな比率を占めているため、ガストのメニュー・価格帯・サービス等のコンセプトが顧客からの支持を得られない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは常に消費者のニーズやお客様からのメニューに対するご意見の把握に努め、これらをブランド開発、出店政策及びメニュー開発に反映しています。また、お客様のPOSデータ、モバイルアプリのクーポンデータ等のビッグデータの分析により、ライフスタイルや嗜好の変化に迅速に対応するように努めています。

(4)食品事故の発生

 当社グループの中心事業であるレストラン事業及び通販・外販事業においては、食品の安全性確保が極めて重要です。食品事故の発生を防ぐための施策にもかかわらず、当社グループを原因とする集団食中毒等重大な食品事故が発生した場合は、お客様に多大なご迷惑をおかけするばかりか、行政処分はもとより、ブランドイメージや社会的信用の低下、売上の減少、対応費用の発生、民事訴訟の提起等が発生する可能性があります。

 特に、当社グループが新型コロナウイルス感染症の流行への対応を機に拡充を進めているデリバリー・テイクアウトについては、当社グループから消費者又は外部のデリバリー業者に食品を提供した後に、適時に食事に供されない又はデリバリーがなされない等、当社グループの管理が及ばない状況下で不適切な食品の取扱いがなされることにより、店舗における飲食と比較して食品事故が生じるおそれが高まる可能性があります。

 さらに、通販・外販事業への参入により、当社グループが販売した商品に係る食品事故及び食品衛生法・食品表示法への抵触又はそのおそれを理由とする商品回収等が発生する可能性があります。

 また、仮に、競合他社において食品事故等が発生した場合であっても、レストラン業界全体に対する評判・信用の低下や消費者の外食意欲の低下、事故の原因となった食材の在庫廃棄、業界全体での一斉の在庫廃棄及び再調達に伴う当該食材の一時的な価格高騰等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは食品事故を防ぐために、食材の調達を担う購買部門、メニュー開発部門、内部監査部門、品質管理部門、すべての自社セントラルキッチンでISO22000を取得し、予見される食品安全上のリスクに対し検証を行い、安全・安心のための厳格な衛生管理ルールを策定し運用しています。例えば、セントラルキッチンで製造する製品については、加工条件が妥当であるかの検証を行い、製造中は重要管理点をモニタリングし、基準の逸脱がないことを確認できた商品のみを出荷しています。また、食材の調達においては厳格な取引基準を設け、購買管理規程に則り現地の工場及び工程の視察を実施した上で、基準に適合したお取引先からのみ仕入れています。

 店舗では「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理手法」を用いて、安定した品質を提供できる体制を整えております。一般衛生管理である手洗い、従業員の体調管理の徹底等を含むルール遵守の監視体制として、専管組織である品質管理グループが抜き打ちで、工場から店舗に至る工程を視察し、発見されたリスクについては関連部門と共同で改善を進めます。製品については、自社製造の製品以外の外注品も、配送機能を持つ自社のセントラルキッチンに原則集約しているため、セントラルキッチンにおいて、製品の製造時又は調達時だけでなく、定期的な抜き取り検査を行い、基準を満たした製品が流通しているか確認しています。これらの細菌検査は自社の検査室で行うことにより、迅速に判断・対応できる体制を整えており、検査数は年間で10万検体以上となります。

(5)食材・間接材の調達困難・価格高騰

 当社グループにおいては、国内外のインフレーションの進行、疫病(豚コレラ・鳥インフルエンザ等)の発生、天候不順・異常気象・自然災害・感染症の発生、エネルギーの不足、物流上の障害、政府による輸入制限処置の発動、国際的な漁獲制限、取引先の倒産又は事故・災害による供給停止、食品衛生上の問題又は放射能汚染等による出荷制限・風評被害、為替・原油価格の変動、増税等により、原材料等の調達不安や価格高騰が発生した場合には、原価率の上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは、各食材、間接材の原産地や生産地の分散や取引先との長期契約の活用、関係強化や新たな取引先の開拓や分散といった調達戦略による対策を実施しております。

 

 

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(6)労務関連

 当社グループでは、正社員、嘱託社員、多くのパートタイム及びアルバイトの従業員が、店舗や工場、物流施設及びデリバリーでの業務に従事しております。働き方改革に関連して2019年4月以降に大企業から順次導入された時間外労働の上限規制、2019年4月に施行された年次有給休暇の取得義務化及び36協定特別条項の見直し、2020年4月に導入された同一労働同一賃金の実現に向けた均等・均衡待遇に関する法規定の整備に加え、2023年度改定後の地域別最低賃金の全国加重平均額が史上初めて1,000円を上回る等、有期・無期双方の従業員を取り巻く法規制や労働環境には重大な変化があります。こうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な従業員の雇用を維持することが極めて難しくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。また、当社グループにおいて労働関連法規制の違反が発生した場合は、規制当局から当社グループの業務改善が命じられること又は従業員からの請求等により、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは労働関連法規制への違反を未然に防げるよう週次単位で管理者に労務データを提供し対策を講じております。また、毎月取締役、人事担当執行役員、営業担当部門長が出席する労務改善会議にて、現状確認と対策を検討し即実行する体制を維持しています。さらに営業時間短縮による長時間労働の抑制、有給休暇の計画的な取得等具体的な対策を実施することで、雇用の継続を図っています。

(7)人材確保等

 当社グループでは、多くのパートタイム及びアルバイトの従業員が、店舗及びマーチャンダイジングセンター等での業務に従事しております。今後において、賃金の上昇、求人費の増加、国内の労働力需要の増加に伴う従業員の確保困難等により採用環境が悪化した場合、当社グループが必要とする数の従業員を適切なコストで確保することができなくなり、必要な数の従業員を確保するための人件費の増加、出店計画等の見直し、一部店舗の一時営業停止等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは「人財」を最も重要な経営資源と位置付け、年末年始の営業時間短縮、長時間労働の抑制、有給休暇の確実な取得、健康経営の推進、働きやすい職場の提供等、従業員の満足度向上に向けた各種の施策にあわせ、DX推進による業務の効率化、生産性の向上にも積極的に取り組んでいます。

(8)不動産の賃借

 当社グループの店舗の多くは、土地及び建物を第三者から賃借しており、敷金や保証金を賃貸人に対して差入れております。賃貸人に係る与信調査及び与信管理は行っておりますが、予期せぬ賃貸人の破産等が発生した場合は、当該敷金や保証金が回収不能となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、既存店舗の賃貸借の更新時において交渉が不調となった場合に閉店となる可能性や不動産の賃借に係る費用が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは、社内の専門部署が土地又は建物の賃貸人との連携を密に行うと同時に、不動産関連取引先からも与信情報等を入手することでリスクの低減を図っています。

(9)気候変動

 世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策のための法規制等、気候変動抑制のための動きが強まっており、気候変動は、当社グループのビジネスの持続性に影響を及ぼす重要なリスクの1つと認識しております。気候変動に関する移行リスク(炭素税の導入や電力価格の引上げ等の地球温暖化対策の環境規制等によって調達コストやエネルギーコストが上昇するリスク、当社が環境に配慮していないとみなされて当社グループのブランドイメージ及び社会的信用が低下するリスク等)及び物理的リスク(台風や洪水・高潮による工場や物流の稼働停止、店舗休業等の急性的リスクや、平均気温の上昇や気象パターンの変化による食材の品質低下や価格高騰等の慢性的リスク)は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは、炭素税導入による影響への対応として、エネルギー使用量の削減、再生可能エネルギーの使用の推進、環境配慮型店舗の開発などを進めております。また、電力価格の変更による影響への対応として、各拠点(店舗、セントラルキッチン、本部)に適した形で電力使用量を抑制する活動を行っています。さらに、洪水・高潮等の自然災害による影響についても、全社員安否確認システムの活用や、グループ緊急事態対応規程に基づく情報共有、災害ポータルサイトの設置などにより、緊急時の連絡体制の構築及び運用を行っており、また、一部のマーチャンダイジングセンター及びオフィスには移動可能な発電機を配備するなど、対策を進めております。

 また、当社グループでは、これらリスク及び対応策について、グループサステナビリティ委員会を中心とした推進体制に基づき、適宜審議・レビューしております。また、その内容は、必要に応じて取締役会に報告しております。

 

 

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(10)感染症等

 外食市場における需要は、新型コロナウイルスをはじめとする感染症等の発生等による消費者の外食機会及び外食意欲の減少等に伴って変動する場合があります。また、感染症等の発生等に伴い、行政機関からの要請等により店舗営業が制限される可能性があります。

 これによる来店客数の減少やその長期化は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの店舗における感染の可能性等に関する、当社グループに否定的な風評が生じた場合、当社グループのブランドイメージや社会的信用が毀損され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは、自社レストランを「地域社会におけるライフラインの一環」と認識し、感染症に対する無秩序な対応による混乱を避けつつ、感染防止及び感染拡大防止対策を徹底しながら営業を継続することで、社会機能の維持に貢献するとの方針のもと、お客様と従業員の安全を最優先に営業を継続するための体制と事業継続計画を策定しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症への対応では、グループ横断の対策本部を立ち上げ、政府及び業界のガイドラインに従って、お客様及び従業員の安全を第一に接触感染・飛沫感染防止対策を徹底し、また、コロナ禍のライフスタイルの変化に応じた商品・サービスの提供、デリバリー・テイクアウトの拡充、マルチブランドの強みを活かしたストアポートフォリオの実現、DXの推進による生産性向上など、迅速かつ柔軟な施策を実行しています。

(11)IT(情報システム)への依存

 当社グループは、食材の仕入れ、配送、食品加工、店舗オペレーション、店舗内外からの受注等のレストランの運営及び業務を、情報システムに依存しております。プログラムの不具合等やコンピュータ・ウイルス、外部からのサイバー攻撃等により、当社グループの情報システムに様々な障害が生じた場合には、レストランの効率的な運営や消費者に対する食品の適時の提供が阻害され、重要なデータを喪失し、又は対応費用が発生すること等により、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは、各種システムが安定的に稼働できるように、システムに冗長性を持たせるとともに、セキュリティ対策を行っております。また、社内に専門部門を設置して、外部からの攻撃の防止及び様々な障害に対して迅速に対応するための体制を構築し、リスク低減を図っています。

(12)財務報告に係る内部統制

 当社グループでは、財務報告の信頼性に係る内部統制の構築及び運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制を構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは、適切な内部統制の整備、運用を充実させるべく、会計コンプライアンス意識を保持し、監査法人を含む社内外の関係者とより深度あるコミュニケーションを図ります。

(13)多額の借入金及び財務制限条項への抵触

 当社グループは、金融機関より多額の借入れを行っております。当社グループは、既存の借入れがあることから新たな借入れや投資が制約されたり、景気の下降に脆弱であったり、自己資本比率が当社グループよりも高い競合他社と比較して競争力が劣ったりする可能性があります。

 また、当社グループの借入金のうち、シンジケートローン形式による融資契約及び同形式によるコミットメントライン契約に基づく借入金については、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、貸付人の請求があれば本契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入れについても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは、財務制限条項に抵触する可能性がある場合には金融機関と協議し、事前にウエーバー合意(金融機関が、当社グループの財務制限条項への抵触により行使可能となる契約上の権利等を放棄する旨の合意)を取り付けることで、財務の安定化を図っております。なお、2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により第2四半期以降の各四半期末において財務制限条項に抵触いたしましたが、各金融機関より期限の利益の喪失に係る請求を行わない旨のウエーバー合意を得ることで対応いたしました。また、当該財務制限条項につきましては、新型コロナウイルス感染症の事業への影響を踏まえた収支計画に基づき各借入金融機関と協議を行い、2021年2月12日付ならびに2023年2月13日付で見直しを行っております。

 

 

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(14)減損会計の適用

 当社グループは現時点で合理的と考えられる業績回復の想定等に基づき店舗資産の評価を実施しておりますが、回復に要する期間やインフレの見通し等の想定に大きな影響を及ぼす事象が発生した場合には、店舗資産につき減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、2023年12月31日現在、1,417億90百万円ののれんを連結財政状態計算書に計上しております。主要なブランドの内訳はガスト(741億44百万円)、バーミヤン(159億94百万円)、ジョナサン(136億97百万円)となっております。 店舗資産と同様に、想定に大きく影響を与える事象が発生した場合には、のれんの減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、のれんは個別財務諸表上においては20年の償却期間で償却されており、2023年12月31日現在の残高は590億92百万円となっております。

 これらリスクに対して、当社グループは、事業及び店舗の収益管理を強化するとともに、中期計画を策定し、単年度計画の達成状況のみならず中期計画の進捗度に対するモニタリングの強化にも努めております。

(15)外国為替相場の変動

 当社グループは、食材の仕入先が世界各地にわたっており、現時点で外貨建で取引されている食材は全体の一部に留まっておりますが、かかる食材等の価格その他の調達費用は、直接的又は間接的に、為替の影響を受けます。当社グループは、現時点では為替リスクを軽減するためのヘッジは行っていないため、為替相場の変動により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪化する可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは取引先との連携を密にしながら、原産地や生産地を分散させる等によりリスクの低減を図っています。

(16)自然災害等

 当社グループは、全国に店舗やマーチャンダイジングセンター等を配置しているため、大規模な地震・風水害・津波・大雪・感染症の大流行等が発生した場合、当社グループの本社や店舗・マーチャンダイジングセンター等の建物・機械設備等が被災し、又は店舗の営業、マーチャンダイジングセンター等の稼動、原材料の物流若しくは従業員の出勤に支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、そうした自然災害等により、ライフライン(水道、電気、ガス)の供給制限や供給停止、物流網の遮断、ガソリン等の調達難による配送・デリバリー業務の停止、取引先工場・倉庫等の被害、エネルギーや物資の不足、従業員の大規模な欠員等や公共交通機関の障害が発生した場合も、当社グループの店舗やマーチャンダイジングセンター等の稼動に支障をきたし又は顧客が当社グループの店舗に来店できないことにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、当社グループの店舗及びマーチャンダイジングセンター等は、首都圏に集中しているため、首都圏において大規模な災害が発生した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、自然災害等には至らないものであっても、天候不順が発生した場合には、当社グループを含む外食市場における需要は、消費者の外食機会及び外食意欲の減少等の影響を受ける可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループではグループ緊急事態対応規程に基づき、災害対策本部を立ち上げ、同対策本部を中心に、BCP(事業継続計画)に基づく速やかな対応を行う体制を整えております。

 

 

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(17)知的財産権

 当社グループは、「ガスト」、「バーミヤン」、「しゃぶ葉」、「ジョナサン」等、当社グループが展開するレストランに係るロゴや、「ガスト チーズINハンバーグ」等のメニューに関する商標権について、ブランドイメージやマーケティング上、非常に重要性が高いものと考えております。当社グループは、当該商標を保護するため、適切な国や地域での商標権取得に努めていますが、一部の国・地域においては十分な商標権の取得がされていない可能性があります。

 また、当社グループは、自らの知的財産権を保全するため、当社グループの商標等を不正に使用する第三者等に対し訴訟等を提起しなければならない事態が生じる可能性がありますが、当社グループの商標等を不正に使用する第三者等を適時に発見できない可能性や、当社が提起した訴訟等において当社の主張が十分に認められない可能性があり、これらの場合には、当社グループの事業、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは社内の専門部署において適切な商標等の管理、運営を図っています。また、これらのリスク管理に加え、当社グループのメニューのレシピ情報、メニュー価格に関する情報、店舗オペレーションのノウハウ等の独自の営業情報、技術、データ等の技術情報について、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護を行っております。

(18)風評被害等による社会的信用の毀損

 インターネット等における当社グループ及びその関係者に関連する不適切な書き込みや画像等の公開等、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用に否定的な評判や評価が発生した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用が毀損され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの競合他社等に関する否定的な評判や評価であっても、外食市場全体の社会的評価や評判が下落するものであれば、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは、外部の専門コンサルティング会社と連携して危険な兆候の早期発見に努めると同時に、インターネット上で不適切な投稿が確認された場合は、迅速かつ適切な対応を図っています。

(19)個人情報の漏洩等

 当社グループでは、モバイルアプリの運営、デリバリー事業、テイクアウト事業、代金の決済等において、多くの顧客の個人情報を保持しております。当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、関連法令の遵守に努め、適切な情報管理を行っていますが、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用、意図しない法規制への違反等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらの個人情報が外部へ流出した場合や法規制の違反が生じた場合、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性や、対応費用の発生、当局からの処分、顧客からの訴訟の提起等により当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは外部からのシステム攻撃に備え、24時間365日システムの運用・監視を行う最先端のセキュリティ監視センター(SOC)の設置、ファイアウォール・IDS/IPS・WAFの設置、アンチウイルスソフトウェアのインストール等のセキュリティ対策を実施しております。また、社内の専門部署における防止対策によりリスクの低減を図っているほか、情報セキュリティ委員会を中心に、情報セキュリティに関する管理体制を整え、また、各種情報セキュリティ関連規程においてセキュリティインシデント発生時の各種対応を細かく定めることで、インシデント発生時の影響を抑制するための対策を講じています。

(20)法規制

 当社グループの事業は、食品衛生法、労働基準法、食品表示法、景品表示法をはじめとする様々な法規制による制約を受けております。今後の社会情勢の変化等により、諸法令等の改正や新たな法令等の制定、法令解釈の変更や規制範囲の拡大が行われることで、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。また、当社グループの役職員による法令違反や不正行為等が発覚し、当社グループが監督官庁等からの行政処分や第三者からの訴訟等の提起を受ける可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは、各種業界団体に参加し情報入手に努めているほか、専門家、取引先、各省庁のホームページ等を通じて当社グループの事業に関連する法規制をモニタリングし情報収集を行う体制を構築し、各種法令の改定が行われた際、各主管部門が連携して改定内容等の周知徹底とその遵守のための態勢を整えています。

 また、当社グループでは、すかいらーくグループ企業行動憲章・行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動、行動の徹底を図るとともに、当社グループ内外にコンプライアンスに関連した相談・通報を受ける窓口を設置して、法令違反行為等の早期発見に努めております。さらに、コンプライアンス教育を含む不正防止策の強化・徹底及びその不断の見直しによる改善のほか、平時より業務プロセスの機能不全に繋がるような潜在的リスクの把握に努めております。

 また、外国公務員等への不適切な接遇に関して「贈収賄防止方針」を策定し、不正競争防止法への対応も整備しております。

 

 

リスク項目

リスク概要

リスクへの対応

(21)人権問題

 当社グループ及び当社グループの取引先において人権侵害行為が行われたり、当社グループのサプライチェーンにおける人権侵害行為が発覚したりした場合には、当社グループに対するお客様及び取引先からの信頼低下などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは2023年2月に、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、「国際人権章典」(「世界人権宣言」及び「国際人権規約」)及び「児童の権利に関する条約」、並びに国際労働機関の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」を人権に関して遵守されるべき原則・基準と理解し、支持すること等を示した「すかいらーくグループ人権方針」を策定しました。

 また、当社グループは、人権デューデリジェンスの仕組みを実践することで、サプライチェーン全体での人権侵害の防止に取り組んでおります。

 当社グループでは、人権デューデリジェンスの一環として、すべてのステークホルダーを対象に人権侵害リスクをリストアップした後、それらの評価を実施し、リスクマップの作成を通じて対処の優先度の高い人権侵害リスクを抽出しており、2023年より具体的な施策を進めています。

 また、2023年12月には、国連が提唱するサステナビリティ・イニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」への賛同を表明する署名を行い、同団体が提唱する4分野(「人権の保護」、「不当な労働の排除」、「環境への対応」、「腐敗の防止」)に関する10原則を遵守の上、サステナビリティ施策を推進しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(a)財政状態

 当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は以下のとおりであります。

 流動資産は510億85百万円で、主に現金及び現金同等物の増加により、前連結会計年度末に比べ92億46百万円増加いたしました。非流動資産は3,750億7百万円で、主に有形固定資産及びのれんの減少により、前連結会計年度末に比べ79億25百万円減少いたしました。

 総資産は4,260億93百万円で前連結会計年度末に比べ13億21百万円増加いたしました。

 また、流動負債は1,096億2百万円で、主に短期借入金の減少により、前連結会計年度末に比べ477億9百万円減少いたしました。非流動負債は1,542億1百万円で、主に長期借入金の増加により、前連結会計年度末に比べ444億48百万円増加いたしました。

 負債は合計2,638億3百万円で、前連結会計年度末に比べ32億61百万円減少いたしました。

 資本は合計1,622億90百万円で、前連結会計年度末に比べ45億82百万円増加いたしました。これは主に当期利益の計上による増加(47億81百万円)によるものであります。

 

(b)経営成績

 当連結会計年度の我が国経済は、3月13日にマスクが「屋内では原則着用」ではなくなったことや、5月8日に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の分類で5類に移行して以降、消費動向が全体的に回復し、外食産業全体としても順調な回復が見られました。一方、円安の想定以上の長期化、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢などを背景とした地政学上のリスクなどの影響による原材料費・物流費・光熱費の高騰などコスト高の状況が継続しており、外食産業にとって厳しい経営環境が続いております。

 

 このような状況下で、当社グループの当連結会計年度の既存店売上高は前年比118.4%となりました。2022年に実施した値上げ効果の影響が2023年に入っても継続して寄与しており、二度目の値上げ実施から一巡した10月以降も前年比既存店客単価は100%超の水準を維持しています。3月中旬の春休み以降は回復基調が強まり、ヤングファミリー層の来店頻度回復、ガソリンなどの物価高騰影響を強く受けていた地方ロードサイド店舗の売上回復、ファミリーダイニング業態(総合型レストラン)の回復などが見られています。

 4月のメニュー改定では各ブランドで小さいおかずやハーフサイズ商品、ミニデザートなどを導入するとともにアルコール商品もさらに訴求し、併売率の向上と幅広いオケージョンでの利用拡大を図り、客数増と客単価上昇の両方を追求しました。

 6月中旬にはガストで「半額クーポン祭」と銘打った折込チラシを配布したところ、各種SNSでクーポン画像が拡散されたことも奏功し、キャンペーンが終了した7月下旬までの間、客数増に大きく貢献しました。その後の類似キャンペーンの効果や猛暑の好影響もあり、8月以降も売上は堅調に推移しています。

 更なる売上増に向けて10月下旬には夢庵、11月中旬にはガストとジョナサン、12月初旬にはバーミヤンのグランドメニューの大刷新を行いました。直近の消費動向を反映させた「コストパフォーマンスの高いメニュー」を各ブランドに導入、低単価のサイドメニュー拡充やアルコール商品の値下げ、割安な価格でのセットメニューの提供などでお客様が選ぶ楽しみを演出したとともに「もう一品」の注文を喚起し、注文皿数増による客単価上昇に貢献しています。この改定では小皿商品充実により、様々なオケージョンでの使い勝手が向上したことによる来店頻度の増加についても企図しており、この結果については今後の各ブランドの客数動向を注視してまいります。

 

 売上総利益率は、値上げによる各メニューの粗利益率の改善や店舗での食材ロスの低減、部門横断の原価低減プロジェクトで講じた対策などにより、鶏卵などの価格高騰の影響を一定程度抑制しました。結果、当連結会計年度の売上総利益率は67.6%と前年同期比で0.5%の悪化となりましたが、依然として業界の最高水準を維持しています。

 

 販売費及び一般管理費は前年同期比で増加したものの、全社レベルのプロジェクトである収益改善プロジェクトの取り組みにより、実質的には大幅な経費抑制を実現しています。全店舗の経費執行のムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除し、売上増による純増分を除いて水道光熱費の使用量を約6%、食器費・消耗品費を約10%削減するとともに、売上の安定的な回復に伴い店舗の労働時間も適正に管理できるようになっています。結果、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,234億65百万円で、前年同期比で78億99百万円増加しました。

 

 また、その他の営業費用は、当連結会計年度に閉店店舗に係るのれんの除却損を30億25百万円計上しました。これは当連結会計年度に107店舗が閉店したことによるものであり、これらは主に前期において閉店の意思決定をした店舗となります。ただし、業績回復により閉店を撤回した店舗も出てきており、のれんの除却損の計上金額は想定よりも減少しています。

 

 当連結会計年度の新規出店は27店舗、業態転換は41店舗でした。新規出店27店舗のうち7店舗は海外での出店で、台湾で「しゃぶ葉」「横濱牛排(ステーキ)」「むさしの森珈琲」を、マレーシアで「しゃぶ葉」をオープンしました。店舗改装(リモデル)も継続して行っており、当連結会計年度では104店舗の店舗改装を実施しました。

 また、アフターコロナを見据えて開発を進めてきた新業態については、2023年12月末までに「八郎そば」は2号店まで、「飲茶テラス 桃菜」は13号店までをそれぞれオープンしており、お客様から高い評価をいただいております。

 「八郎そば」は日常の食を手頃でおいしいお蕎麦と天ぷらで応援する業態として、「飲茶テラス 桃菜」は中国茶を楽しみながら点心を味わう食文化とライフスタイルを提案する業態として、どちらも今後の新規出店や業態転換の新たな業態候補として収益構造を固めていく予定です。

 

 なお、当連結会計年度より、主に新型コロナウイルス感染症に関連した時短協力金やのれん除却損等を除いた経常的な収益力を示す指標として、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出した「事業利益」を採用しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上収益は3,548億31百万円(前年同期比511億26百万円増)、事業利益は(注2)164億20百万円(前年同期事業損失86億56百万円)、営業利益は116億88百万円(前年同期営業損失55億75百万円)、税引前利益は86億91百万円(前年同期税引前損失82億25百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は47億81百万円(前年同期親会社の所有者に帰属する当期損失63億71百万円)となりました。

 EBITDA(注3)は604億53百万円(前年同期比184億79百万円増)、調整後EBITDA(注4)は664億74百万円(前年同期比174億16百万円増)、調整後当期利益(注5)は47億81百万円(前年同期調整後当期損失63億71百万円)となりました。当連結会計年度末時点での店舗数は2,976店舗(転換準備の為の未開店店舗0店舗。期首時点は3,056店舗)となりました。

 

(注1)(注2)から(注5)の指標は、IFRSで定義されている指標ではありません。

(注2)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

(注3)EBITDA=税引前利益(損失)+支払利息+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+その他の金融関連費用(期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益を除く)-受取利息-その他の金融関連収益+減価償却費及び償却費+長期前払費用償却費+長期前払費用(保証金)償却費

・その他の金融関連費用は、連結純損益計算書上はその他の費用として記載しています。

・その他の金融関連収益は、連結純損益計算書上はその他の収益として記載しています。

(注4)調整後EBITDA=EBITDA+固定資産除却損+非金融資産の減損損失-非金融資産の減損損失の戻入れ+株式発行関連費用等

(注5)調整後当期利益(損失)=当期利益(損失)+株式発行関連費用等+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)+調整項目の税効果調整

(注6)株式発行関連費用等とは、当社の株式発行並びに株式の上場及び売出し時に発生したアドバイザリー報酬額等の一時的な費用であります。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

ⅰ レストラン事業

 レストラン事業につきましては、外部顧客に対する売上収益は3,449億67百万円(前年同期比510億43百万円増)となりました。

 

 

ⅱ その他

 その他につきましては、外部顧客に対する売上収益は98億64百万円(前年同期比83百万円増)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ115億15百万円増加し、267億90百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、707億17百万円(前年同期比250億2百万円増)となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の増減額が73億70百万円減少したこと等の資金減少要因と、税引前利益86億91百万円(前期税引前損失82億25百万円)を計上したこと、営業債務及びその他の債務の増減額が49億64百万円増加したこと、棚卸資産の増減額が47億73百万円増加したこと等の資金増加要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、148億61百万円(前年同期比7億14百万円減)となりました。これは主に、新店・転換・改装の店舗投資を含む有形固定資産の取得による支出が5億70百万円減少したこと及び無形資産の取得による支出が3億71百万円減少したことによるものであります。なお、当社においては、投資活動による資産の増加から、現金及び現金同等物の支払が行われるまでの期間は、通常1~2ヶ月となります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、444億71百万円(前年同期比88億円減)となりました。これは主に、短期借入れによる収入が230億円増加したこと、短期借入金の返済による支出が270億円増加したこと、長期借入れによる収入が129億83百万円増加したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)仕入実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載いたします。

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比

(%)

レストラン事業(百万円)

91,698

115.3

その他(百万円)

3,477

96.3

合計(百万円)

95,174

114.5

 (注)金額は仕入価格によっております。

 

(b)受注実績

 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(c)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比

(%)

レストラン事業(百万円)

344,967

117.4

その他(百万円)

9,864

100.8

合計(百万円)

354,831

116.8

 (注)上記金額は外部顧客に対する売上収益を示しております。

 

(参考)最近2年間の主要ブランド別販売実績

 当社グループの売上及び店舗数を主要なブランドごとに示すと次のとおりであります。

ブランド別売上

セグメントの名称

ブランド名

2022年12月期

2023年12月期

店数

金額

比率

店数

金額

比率

レストラン事業

 

 

百万円

 

百万円

ガスト

1,309

126,100

41.5

1,273

143,963

40.6

ジョナサン

201

22,060

7.3

184

23,963

6.8

バーミヤン

355

34,914

11.5

353

41,191

11.6

しゃぶ葉

276

31,369

10.3

279

41,909

11.8

夢庵

173

15,663

5.2

167

18,854

5.3

ステーキガスト

99

10,168

3.3

85

9,438

2.7

その他

526

53,650

17.7

519

65,650

18.5

その他

その他

115

9,781

3.2

116

9,864

2.8

合計

3,054

303,705

100.0

2,976

354,831

100.0

 (注1)ブランドごとの店数は期末日の直営店舗数を表示しています。フランチャイズ店舗は「レストラン事業その他」に含まれます。転換準備の為の未開店店舗は含んでおりません。

 (注2)ブランドごとの売上金額は直営店舗の合計金額となっております。フランチャイズ店舗への売上金額は「レストラン事業その他」に含まれます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に関する状況は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要性がある会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積りと予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針及び 4.重要な会計上の判断及び見積り」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績等の状況

(ⅰ)当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。

 

(ⅱ)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

(b)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの売上は、経済情勢、消費者の嗜好の変化、他社との競合、天候不順、出店計画等による影響を受け、また当社の費用は、原材料価格、光熱費、不動産賃料、人件費等による影響を受けます。したがって、これらの変動要因が発生し、当社グループによる対応策が功を奏さなかった等の場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの経営成績に影響を与える他の要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(c)当社グループの資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要は主として原材料等の棚卸資産の購入費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店、ブランド転換工事及び既存店舗の改修(リモデル)といった設備投資等によるものであります。

 当社グループは、短期運転資金に関しましては自己資金及び短期の借入により、設備投資や長期運転資金に関しましては自己資金及び長期の借入により、各々調達することを基本としております。

 

(参考情報)

 当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA等を重要な経営指標として位置づけており、当連結会計年度及び過去4年間の事業利益、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益(損失)の推移は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、経常的な収益力を示す指標として、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出した「事業利益」を当社グループの重要な経営指標に追加しております。

(単位:百万円)

回次

国際会計基準

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2019年

12月

2020年

12月

2021年

12月

2022年

12月

2023年

12月

事業利益(△損失)(注1)(注5)(注6)

24,418

△15,490

△20,361

△8,656

16,420

税引前利益(△損失)

16,729

△26,433

14,325

△8,225

8,691

(調整額)

 

 

 

 

 

+ 支払利息

3,816

2,813

2,938

2,549

2,484

+ その他の金融関連費用

31

605

962

114

534

- 受取利息

△12

△14

△9

△9

△16

- その他の金融関連収益

△2

△2

△3

△5

△5

+ 減価償却費及び償却費

51,061

51,168

47,293

47,398

48,649

+ 長期前払費用償却費

317

246

200

152

117

+ 長期前払費用(保証金)償却費

1

0

0

0

0

EBITDA(注2)(注4)(注5)

71,941

28,384

65,706

41,974

60,453

(調整額)

 

 

 

 

 

+ 固定資産除却損

793

302

185

1,592

3,752

+ 非金融資産の減損損失

3,503

8,232

6,225

5,491

2,473

- 非金融資産の減損損失の戻入れ

△204

+ 株式発行関連費用等(注6)

215

調整後EBITDA(注3)(注4)(注5)

76,237

36,919

72,331

49,058

66,474

 

(単位:百万円)

回次

国際会計基準

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2019年

12月

2020年

12月

2021年

12月

2022年

12月

2023年

12月

当期利益(△損失)

9,487

△17,214

8,742

△6,371

4,781

(調整額)

 

 

 

 

 

+ 株式発行関連費用等(注7)

215

+ IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(注9)

882

調整額小計(税引前)

882

215

調整額に対する税額(注8)

△301

△67

調整額小計(税引後)

581

148

調整後当期利益(△損失)(注4)(注5)(注6)

10,067

△17,214

8,890

△6,371

4,781

 

(注1)事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費

(注2)EBITDA=税引前利益(損失)+支払利息+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+その他の金融関連費用(期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益を除く)-受取利息-その他の金融関連収益+減価償却費及び償却費+長期前払費用償却費+長期前払費用(保証金)償却費

・その他の金融関連費用は、連結純損益計算書上はその他の費用として記載しています。

・その他の金融関連収益は、連結純損益計算書上はその他の収益として記載しています。

 なお、支払利息、その他の費用、受取利息、その他の収益(債務時効消滅益を含む)については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 28.受取利息・支払利息及びその他の収益・費用」をご参照下さい。

(注3)調整後EBITDA=EBITDA+固定資産除却損+非金融資産の減損損失-非金融資産の減損損失の戻入れ+株式発行関連費用等

(注4)調整後当期利益(損失)=当期利益(損失)+株式発行関連費用等+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)+調整項目の税効果調整

(注5)事業利益、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益(損失)は国際会計基準により規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標であります。当該財務指標は、非現金収支項目や株式発行関連費用等、期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益並びにIFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)等の非経常的な費用項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、あるいは競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。

(注6)当社グループにおける事業利益、EBITDA、調整後EBITDA、調整後当期利益(損失)は、競合他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。

(注7)株式発行関連費用等とは、当社の株式発行並びに株式の上場及び売出し時に発生したアドバイザリー報酬額等の一時的な費用であります。

(注8)適用税率はそれぞれ、第9期34.15%、第11期31.06%であります。

(注9)第8期よりIFRS第9号「金融商品」(2014)を適用しております。これに伴い、金融負債の認識の中止を伴わない条件変更に係る会計方針の変更を行っておりますが、過年度において公表した経営指標の比較可能性を担保するために、IFRS第9号「金融商品」(2014)の適用後の会計方針に従って計算した支払利息(第9期1,296百万円)と、適用前の会計方針に従って計算した支払利息(第9期415百万円)との差額(第9期882百万円)を調整しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式会社みずほ銀行等との借入契約及び関連する金利スワップ契約

株式会社みずほ銀行等との借入契約

 当社は2018年2月2日付で、既存借入金の返済のため株式会社みずほ銀行をエージェントとする銀行団と以下の金銭消費貸借契約を締結し、2021年2月12日付、2021年7月16日付ならびに2023年2月13日付で、財務制限条項に関する変更に合意しております。

 当該変更を含む主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社

 

2.借入金額

総額1,070億円 (トランシェA 80億円、トランシェB 990億円)

 

3.借入実行日

2019年6月24日

 

4.返済方法

利息については2019年7月31日より毎月末に後払い、元本については以下のとおり分割返済

トランシェA:2019年12月31日より6ヶ月ごとに弁済 (最終弁済日2024年12月31日)

トランシェB:2019年12月31日より6ヶ月ごとに弁済 (最終弁済日2027年12月31日)

 

5.金利

TIBOR(東京銀行間取引金利)プラススプレッド

 なお、スプレッドの計算方法の概要については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

6.主な借入人の義務

① 本契約において許容されるものを除き、書面による事前承諾なく第三者に担保提供を行わないこと

② 財務制限条項を遵守すること

 財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との金利スワップ契約

 当社は2018年2月2日付で、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行と金利スワップ契約を締結しております。

 主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行

 

2.取引期間

自 2019年6月24日 至 2024年12月30日(想定元本80億円)

自 2019年6月24日 至 2027年12月30日(想定元本990億円)

 

3.想定元本

各社合計 1,070億円(想定元本は金利リスク減殺対象のローンの元本返済に対応し2019年12月より6ヶ月ごとに減少します。)

 

4.取引形態

変動金利受取及び固定金利支払

 

(2)株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との限度貸付契約

 当社は2017年2月9日付で、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行と限度貸付契約を締結し、2019年3月27日付、2021年2月12日付、2021年7月16日付ならびに2023年2月13日付で財務制限条項に関する変更に合意しております。

 当該変更を含む主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行

 

2.貸付限度額

合計 300億円

 

3.資金引出(借入)累計額

300億円(2023年12月31日現在)

 

4.コミットメント期間

自 2017年2月9日 至 2020年2月7日

 

5.借入金残高

90億円(2023年12月31日現在)

 

6.返済方法

利息については2017年9月末日以降、元本については2020年9月末日以降、6ヶ月ごとの各応当日に分割返済(但し最終返済日は2025年2月9日)

 

7.金利

借入時の基準金利プラススプレッドの固定金利

 

8.主な借入人の義務

① 本契約において許容されるものを除き、書面による事前承諾なく第三者に担保提供を行わないこと

② 財務制限条項を遵守すること

 財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

(3)株式会社日本政策投資銀行との借入契約

 当社は運転資金を調達することを目的として、2020年5月29日に株式会社日本政策投資銀行と金銭消費貸借契約を締結しております。

 主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社日本政策投資銀行

 

2.借入金額

合計200億円 (うち「あ」債務100億円、「い」債務100億円)

 

3.返済期限及び返済方法

利息については2020年11月30日より毎年5月、11月の末日に後払、元本については「あ」債務は2024年5月末日に、「い」債務は2025年5月末日に一括返済

 

4.金利

固定金利

 

5.主な借入人の義務

財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

 

(4)株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社との長期コミットメントライン契約

 当社は新型コロナウイルス感染症の事業への影響が長期化した場合に備え、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することを目的として2021年2月12日に株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社とのコミットメントライン契約を締結し、2021年7月16日付ならびに2023年2月13日付で財務制限条項に関する変更に合意しております。当該変更を含む主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社

 

2.コミットメント額(極度額)

350億円

 

3.借入残高

2023年12月31日現在、残高はありません。

 

4.コミットメント期間

自 2021年3月31日 至 2024年2月12日

 

5.貸付期間

各貸付につき1ヶ月

 

6.元本及び利息弁済方法

貸付毎に弁済期日に一括弁済

 

7.金利

TIBOR(東京銀行間取引金利)プラススプレッド

 スプレッドの計算方法の概要については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

8.主な借入人の義務

① 本契約において許容されるものを除き、書面による事前承諾なく第三者に担保提供を行わないこと

② 財務制限条項を遵守すること

 財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

(5)株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社との金銭消費貸借契約および関連するスワップ契約

 当社は設備投資資金の確保を目的として、2023年5月29日に株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社と金銭消費貸借契約を締結しております。主な契約内容は以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社

 

2.借入金額

100億円

 

3.借入実行日

2023年5月31日

 

4.返済期限及び返済方法

利息については2023年6月30日より毎月末に後払い、元本は2023年9月30日より6ヶ月毎に弁済。(最終返済日は2028年3月31日)

 

5.金利

金利条件に関しましてはTIBOR(東京銀行間取引金利)プラススプレッドで、スプレッドは直近の四半期又は決算期における損益の状況(適時開示される損益の見通しを含む)及び直近の関連期間(※1)におけるネット・レバレッジ・レシオ(※2)の値に応じて変動する契約となっております。

(※1)関連期間とは、当社の会計年度の最終日に終了する12ヶ月の各期間及び当社の会計年度の各四半期の最終日に終了する12ヶ月の各期間を意味します。

(※2)ネット・レバレッジ・レシオとは、特定の日(※3)における連結純負債の、当該日に終了する関連期間についての連結EBITDA(※4)に対する割合を意味します。

(※3)特定の日とは、2023年6月30日以降の各3月31日、6月30日、9月30日及び12月31日を意味します。

(※4)当該注記における連結EBITDAは、国際会計基準における連結営業利益に連結営業利益の計算において控除される減価償却費、償却費、非現金支出項目の調整の他、本ローン契約における借入先である金融機関等との契約上の取決めによって調整される項目を含んでおります。

 

6.主な借入人の義務

① 本契約において許容されるものを除き、書面による事前承諾なく第三者に担保提供を行わないこと

② 財務制限条項を遵守すること

 財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

 また、当社は2023年5月29日付で、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行と金利スワップ契約を締結しております。

 主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行

 

2.取引期間

自 2023年5月31日 至 2028年3月31日

 

3.想定元本

各社合計 100億円(想定元本は金利リスク減殺対象のローンの元本返済に対応し2023年9月より6ヶ月ごとに減少します。)

 

4.取引形態

変動金利受取及び固定金利支払

 

(6)株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社との長期コミットメントライン契約

 当社は、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することを目的として2023年12月27日に株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社とのコミットメントライン契約を締結しております。主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.契約の相手先

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫及び三井住友信託銀行株式会社

 

2.コミットメント額(極度額)

350億円

 

3.借入残高

2023年12月31日現在、残高はありません。

 

4.コミットメント期間

自 2024年2月9日 至 2027年2月9日

 

5.貸付期間

各貸付につき1ヶ月

 

6.元本及び利息弁済方法

貸付毎に弁済期日に一括弁済

 

7.金利

TIBOR(東京銀行間取引金利)プラススプレッド

 スプレッドの計算方法の概要については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

8.主な借入人の義務

① 本契約において許容されるものを除き、書面による事前承諾なく第三者に担保提供を行わないこと

② 財務制限条項を遵守すること

 財務制限条項の主な内容は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金(その他の金融負債を含む)」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。