当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は不動産×ITを軸に、企業理念である「世界から「もったいない」をなくそう」にしていくことで、顧客と都市を豊かにしていきます。
この企業理念に基づき、不動産業界の既成概念にとらわれず、顧客が真に求めているものを追求し、ITを用いたソリューションを提供することで、企業としての持続的な成長を図ってまいります。
(2) 経営戦略等
(遊休資産活用事業)
① 駐車場サービスのさらなる強化・拡大
当社の月極駐車場検索ポータルサイト「カーパーキング」への問い合わせ件数増加を背景に、月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスの取引件数が拡大しております。
従来、ユーザーが月極駐車場を探す際には、不動産業者への訪問や現地で募集看板を見つけて電話等で問い合わせを行う方法が主たるものであり、月極駐車場の情報を集めることや満足できる駐車場を借りることには、時間と労力がかかっておりました。しかし、当社の有するカーパーキングを利用することによって、ユーザーは真に求めている駐車場をより効率的かつ効果的に見つけることができるようになっております。当社は、引き続きデータベースの強化を行い、カーパーキングをより魅力的なものにすることで、駐車場サービスをさらに強化・拡大してまいります。
また株式会社鉄壁は、月極駐車場特化型の賃料保証サービスを提供しております。
月極駐車場サブリースサービスにおいては、現在関東圏を主たる営業エリアとしているほか、福岡、大阪、名古屋、札幌にも営業拠点を有しておりますので、その拠点における営業活動の強化、さらには未開拓エリアへの拠点設置も検討し、事業規模の拡大を図ってまいります。
このように不動産(空き駐車場)×IT(ポータルサイト)を軸に、駐車場紹介に伴う手数料収入及びサブリースによる賃料収入を安定的に積み上げていくことにより、手数料収入(フロー)と賃料収入(ストック)を兼ね合わせた、盤石の収益基盤を確立してまいります。
② 駐車場サービス以外への進出
予約、決済、入金管理、鍵の自動付与などの機能により、貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営サポートを提供するWEB予約システム「スマート空間予約」をはじめとして、従前の駐車場サービスのみならず、WEBシステムを利用した遊休スペースの有効活用も推進しております。また、株式会社ダイバースは、当社グループへの人材紹介を中心に事業を行っております。このように、顧客が真に求めているものは何かを考え、ITを用いたソリューションを提供していきます。月極駐車場以外の収益基盤を生み出していき、たとえ厳しい経済環境下においても永続して安定的に発展し続ける企業を目指しております。
(ビジュアライゼーション事業)
3DCG技術・VR技術を活用し事業領域の拡大を図っております。360°VR内覧やバーチャル店舗の開発・制作を行うことにより、非対面型の営業ニーズに対するソリューションを提供しております。また、家具やプロダクト製品の精巧な動画を制作することにより、Webサイト掲載、製品プロモーション用動画の制作が可能となり、取引先の拡大に寄与いたします。
また、ベトナム子会社でのCGグラフィックデータのオフショア制作を行うことでコストを削減し、利益の最大化を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は持続的な成長に向けて、売上高、営業利益及び成長率を重視しております。また、月極駐車場紹介サービスに関してはポータルサイトにおける問い合わせ件数及び掲載物件情報数が事業の根幹であるため、その推移を重要な指標としており、月極駐車場サブリースサービスに関しては、マスターリース台数及びサブリース台数(稼働率)を重要な指標としております。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、遊休資産活用事業及びビジュアライゼーション事業を軸として経営を推進しております。世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっておりますが、市場動向をはじめとしたサービスに対する需要についてのモニタリングを強化する等、適切な対応を講じてまいります。
駐車場業界については、月極駐車場と時間貸駐車場に大別されますが、サービスが多様化し、ITを活用した駐車場状況を提供するシステム等が普及してきております。またビジュアライゼーション事業については、グラフィックデータ制作の発注元であるディスプレイ業界が、経済活動の制限が緩和されたことにより、市場環境に回復の兆しがみられております。このような経営環境下において、以下の3点を今後のさらなる事業拡大・展開における特に重要な対処すべき課題と認識し、解決に向けて取り組んでまいります。
① 継続的な成長について
当社グループは、上記の経営環境の変化をビジネスチャンスと捉え、遊休資産活用事業においては、これまで蓄積した駐車場オーナー・ユーザー情報等の駐車場運営ノウハウをもとに、自社運営サイトである「カーパーキング」のブランディング及び集客力アップを図り、駐車場紹介件数、受託台数、稼動台数の増加に取り組んでまいります。また、株式会社鉄壁による賃料保証サービス契約件数の増加に取り組み、継続的な成長を目指してまいります。
ビジュアライゼーション事業においては、グラフィックデータのクオリティ向上に取り組んでまいります。また、コロナ禍での経済活動が継続する中、リアルとバーチャルのすみ分けも進みつつあり、バーチャル関連サービスの需要も高まっておりますので、VR技術を用いた開発・制作を行い、顧客へのサービスを広げることで継続的な成長を目指してまいります。
② 組織体制及び内部管理体制の強化について
当社グループは、少人数で効率的な組織運営を行ってまいりましたが、事業のさらなる成長のためには、ノウハウの蓄積とともに、営業力や技術力など様々な能力を高めていく必要があります。そのため、優秀な営業人材の確保及び人材育成が重要な課題であると考えており、採用力向上と社内研修の充実等に取り組んでまいります。また、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、経営の公正性・透明性を確保するため、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。
③ システムの向上
当社グループの提供するサービスにおきましては、インターネット上でサービスを提供している関係上、安定したサーバー環境や通信環境を維持し、サイバー攻撃に対するセキュリティー対策を行う必要があります。
そこで当社グループでは、エンジニアの確保及び育成、利用者数の増加に伴うアクセス数増加を考慮したサーバー機器の整備、負荷分散システムの導入、セキュリティー診断等が重要となります。今後も設備投資等を継続的に行い、システムの安定性確保に取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「世界から「「もったいない」をなくそう」をミッションに掲げ、世の中にある「もったいない」を1つ1つ解決していくことで、社会貢献することを目指しております。
(1)ガバナンス
当社は、経営の効率化、健全性、透明性を高め、長期的、安定的かつ継続的に企業価値を向上させる企業経営の推進がコーポレート・ガバナンスの基本であると考え、経営上の重要課題であると認識しております。この取り組みをより強固なものとするため、2023年12月22日の定時株主総会の決議に基づき、監査等委員会設置会社に移行しました。これにより、取締役会の監督機能を強化し、さらなるガバナンス強化、意思決定の質及びスピードの向上を行ってまいります。
また、当社グループ全体として議論の場を定期的に確保し、より一層質の高い議論を推進、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上をさらに推進するため、当社代表取締役社長を委員長としたESG委員会を設置し、方針や考え方の整備、サステナビリティ推進体制の構築、取り組み状況のモニタリングを行っております。
(2)戦略
事業活動を取り巻く社会情勢が大きく変動する可能性がある中で、ミッションの遂行、安定的な経営を図るために、人的資本の重要性を認識しています。当社グループでは国内外問わず優秀な人材の確保をはじめ、評価制度の革新や育成、IT開発部門においては専門性の高い知識の習得、社員の労働意欲が高まる福利厚生・制度の整備・拡充に努め多様な人材が健康で、モチベーション高く、やりがいをもって働きやすい環境整備に取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社は、リスク及びコンプライアンスの状況を把握し、適切に管理を行うとともに迅速な対応のため当社代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。業務執行取締役、執行役員及び部門長で構成され、「コンプライアンス規程」等の社内規程に基づき、コンプライアンスに係る課題及びリスクの識別・評価・対応を行っております。
(4)指標及び目標
当社はダイバーシティ推進への取り組みとして、既に日本をはじめ、ベトナム、韓国などの国籍の社員が働いており、今後も継続的な採用活動を行ってまいります。女性の管理職の登用については、ここ数年で取り組みを進めており、徐々に上位への登用を推し進めております。これらを継続的に改善するとともに、多種多様な人材が活躍できる環境整備を進めてまいります。
また、在外子会社(AZOOM VIETNAM INC.、CGWORKS VIETNAM INC.)のように、新興国における雇用の創出に向けた取り組みを継続して行ってまいります。国内においては、障がい者雇用、育児や介護にかかる支援制度を充実させ、働きやすさの向上、社員満足度向上という環境整備に注力しております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標について、具体的な目標は設定しておりませんが、今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標及び開示項目を検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 法的規制や訴訟に関するリスク
① 法的規制について
遊休資産活用事業においては、駐車場の設置等に関する法令として定めた「駐車場法」をはじめ、都道府県公安委員会による交通規制等を定めた「道路交通法」並びに自動車保有者等に対して自動車の保管場所確保等を定めた「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」等があります。
現在、当社グループが営む月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスの運営上、直接的な影響はありませんが、これらの法律が変更された場合、若しくは今後、都市部の自動車利用の制限につながるような法改正等がなされ、駐車場需要が減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、宅地建物取引業法では、駐車場として利用することを目的とする土地の貸借の媒介は、原則として宅建業法の適用がありますが、車1台ごとの月極駐車場の貸借の媒介については、業法の趣旨及び規制の実益等を考慮して、業法上の問題としては取り扱わない運用がなされております。
ビジュアライゼーション事業においては、著作権や肖像権等の知的創造物についての権利に係る知的財産基本法に関する法律等がありますが、新技術の普及に合わせ、法整備の議論が活発的に行われているため法改正等がなされた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 訴訟リスクについて
遊休資産活用事業においては、駐車場を利用しているユーザーが機械式駐車場を破損した場合や事故等が生じた場合で、当社グループがユーザーへの使用説明を怠った場合等、当社グループの過失に起因する場合に、訴訟が発生する可能性があります。またビジュアライゼーション事業においては、著作権や肖像権などの知的財産権についての訴訟が発生する可能性があります。
なお、現在のところ訴訟等は生じておりませんが、今後、重大な訴訟事件等が提起された場合には、当社グループの信用力の失墜を招くとともに、損害賠償等によって当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
これらの法的規制や訴訟に関するリスクに対し当社グループでは、法令やその運用に係る改正が事業に与える影響を適時に把握すべく、また潜在的な係争案件に早期に対応すべく法務担当を設けるとともに、顧問弁護士からも適時に専門的な助言を受けることで、リスクの低減に努めております。
(2) 自然災害・気候変動などのリスク
営業地域の限定について
当社グループが提供するサービスは現在、全国の主要都市を主体とした営業活動を行っております。主要都市を対象とする営業方針であることから、今後の事業拡大地域が限定される可能性があります。なお、各地区において、地震等の大災害やその他の不測の事態が発生し、当社グループが管理運営する物件が破損し、あるいは閉鎖となった場合等には事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループでは各主要都市において綿密な管理を実施できるようにブランチ展開をし、人員を配置することで、事業活動が極度に一地区へ集中することを避け、リスクを分散させるよう努めております。
(3) 駐車場市場変化のリスク
① 駐車場需要の減少について
ガソリン価格の急騰等により、国内の自動車保有台数が急激に減少する等の外的要因により駐車場需要が急激に減少することとなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
月極駐車場紹介サービスにおいては、当社グループ以外の検索サイトや店舗型不動産業者等、複数の競合相手が存在していることから、今後もユーザー獲得に向け検索サイトの情報の充実や利便性の向上、信頼性の強化を図り、他社との差別化に努めてまいります。また、当社グループの月極駐車場サブリースサービスにおいては、ユーザー獲得が可能な自社サイトを有しているという月極駐車場紹介サービスにおける集客力の強みを活かし、マスターリース台数の増加を図る方針であります。
しかしながら、月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスそれぞれにおいて、資本力を有する企業が新規参入した場合や競合他社の増加によるユーザー獲得競争が激化した場合には、紹介手数料や貸出価格における価格競争、及びユーザー獲得コストの増加等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループでは、競合他社の動向を定期的にモニタリングする専属担当としてウェブマーケティング担当を設け、当社グループの競争力の向上につながるような適切なサービスが行えるよう努めております。
③ 駐車場オーナーに対する収入保証について
月極駐車場サブリースサービスは、土地や施設を保有せず、駐車場オーナーよりそれらを賃貸借契約により借り受ける形でサービスを行っております。また、月極駐車場サブリースサービスにおける駐車場オーナーとの契約の大半は、契約時に設定した固定賃料の支払いが毎月発生する内容となっております。当社グループは駐車場オーナーからの信頼獲得のため、契約上の義務ではないものの、可能な限り当社グループから賃貸借契約を解約しない方針をとっております。したがって、月極駐車場利用者のサブリース台数が計画どおり進まなかった場合や、月極駐車場利用者との既存契約の解約が増加した場合等には、当社グループの収入が減少する一方、駐車場オーナーへの固定賃料の支払は継続しなければならないことから、損失が発生する可能性があります。
このため当社グループでは、マスターリース台数、サブリース台数ならびに稼働率を業績管理指標として設定し、これらのバランスを適宜モニタリングすることにより、上記の損失発生リスクを管理しつつ、計画的にマスターリース台数を増加させております。
④ 預り保証金の返還について
サブリースしている駐車場を契約するユーザーから、契約締結時に1~2か月分賃料相当の保証金を受領しております。当該保証金については、保全措置の対象ではありませんが、一度に大量の解約等が発生した場合には、当社グループの資金繰りおよび財政状態に影響を与える可能性があります。
これに対し当社グループでは、適時に資金繰計画を作成・更新するとともに、手許流動性の維持等により流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)を管理しております。
⑤ ポータルサイト「カーパーキング」について
月極駐車場紹介サービスは、ポータルサイトである「カーパーキング」を中心とした事業を展開しており、事業の基盤は、多くのユーザーが「カーパーキング」に訪問することであります。
月極駐車場情報の掲載数増加やユーザーインターフェースの改善等によりユーザー数拡大を推進していく方針でありますが、ユーザー数が想定を下回る又は減少することにより、駐車場紹介件数及びサブリース件数が低下した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 月極駐車場掲載件数について
ポータルサイト「カーパーキング」において、駐車場オーナーのアクセス数の減少や認知度の低下、あるいは空き駐車場自体の減少により、月極駐車場情報の掲載件数が増加しない又は減少する場合、紹介件数減少に伴う駐車場紹介手数料売上の減少等が想定されます。このように月極駐車場掲載件数が増加しない又は減少する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤及び⑥に記載のリスクに対し当社グループでは、ユーザー数や掲載件数といったポータルサイトに関連する指標を毎月の取締役会で報告し、事業戦略への迅速な反映が行えるように努めております。
(4) ITシステムのリスク
① 「カーパーキング」への集客における外部検索エンジンへの依存について
「カーパーキング」への集客は、グーグルなどの検索サイトを経由したものが多くを占めており、検索エンジンの表示結果に左右されるといえます。
今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更等により、当社グループサイトが検索結果の上位に表示されない場合には、「カーパーキング」における集客効果が低下し当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループでは、外部検索エンジンにおける検索結果及びユーザー流入数を継続的にモニタリングし、検索エンジンの表示方針の変更に適時に対応できるよう努めております。
② システムについて
月極駐車場紹介サービスは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しています。したがって、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、サービスの提供が困難となります。また、当社グループの運営するポータルサイトへの予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社グループのサービスが停止する可能性があります。これまで当社グループにおいて、そのような事象は発生しておりませんが、今後このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社グループでは、システムの安定性を確保すべく必要に応じてサーバーの増設を行うとともに、事業上重要なデータについては定期的にバックアップをとることにより、リスクの低減に努めております。
(5) 顧客情報漏洩リスク
① 個人情報について
当社グループは、駐車場サービスの事業運営に当たり、多くの個人情報を保有しております。これらの個人情報が外部に流出するような事態が生じた場合は、当社グループの信用低下を招くとともに損害賠償請求訴訟の提起等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このため、個人情報管理につきましては管理部を担当部署とし、その保護に細心の注意を払っております。また、社内規程を整備し、2017年1月にはプライバシーマークの認証を取得するとともに、個人情報保護法に関する社内研修会を実施するなど情報セキュリティに対する社員の意識向上を図っております。
(6) コンプライアンス・組織体制のリスク
① コンプライアンス体制について
当社グループは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このためコンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに、適宜研修を実施し、コンプライアンス意識の向上及び周知徹底を図っております。
② 人材の確保及び育成について
当社グループでは、事業の性質上、営業人員及びシステムの増強・開発を行うエンジニアの確保及び育成が重要であります。しかしながら、十分な人材の確保及び育成を行えず、深刻なリソース不足が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、WEB媒体等を活用し継続的に人材を募集するとともに、福利厚生面の充実や必要な教育研修等を実施することで人員の確保及び育成に努めております。
③ 特定の人物への依存について
創業者であり代表取締役社長である菅田洋司は、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。しかしながら、同氏が何らかの理由により当社グループの業務を行うことが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、各部門長への情報共有のより一層の強化を図るとともに、権限委譲を適宜行っていくことで、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
④ 小規模組織であることについて
当社グループは、小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。これらの施策に対し十分な対応ができなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社グループは、今後の業容拡大および業務内容の多様化に対応するため、人員の増強および内部管理体制及び業務執行体制のより一層の充実を図ってまいります。
(7) その他のリスク
① 新規サービスや新規事業について
当社グループは、今後の事業規模の拡大と収益の多様化を図るため、積極的に新規サービスや新規事業に取り組んでいく方針であります。これにより、人材やシステムへの追加投資による支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規サービスや新規事業が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループは、新規サービス及び新規事業を開始する際には、事前に入念な予備調査を行い、事業の収益性・成長性やその潜在的なリスクを評価し、当初想定していた計画から新規サービス及び新規事業の実績が乖離しないよう努めてまいります。
② のれんを含む固定資産の減損損失及び子会社株式の評価損について
当社グループは、当連結会計年度末の連結貸借対照表に47,225千円ののれんを計上しております。当該のれんは2019年9月に事業譲受により取得した、貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営サポートを提供するWEB予約システム「スマート空間予約」に係るものであり、システムの新規導入室数の伸び悩み及びこれに伴うカスタマイズ対応案件の受注の低迷、解約数の増加により、将来事業計画で期待した成果が得られず、減損損失の計上が必要と判断される場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該のれんは遊休資産活用事業セグメントに含まれております。
また、当社が保有する子会社株式の評価基準は原価法によっておりますが、時価のない株式については財政状態の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の減損処理が必要となり、個別財務諸表の業績に影響を与える可能性があります。
これらに対し当社グループでは該当する事業の業績を定期的にモニタリングし、早期にリスクを把握することで、懸念事項に対して適時に対応してまいります。
③ 為替変動に係るリスク
連結決算において、海外子会社の業績に外国為替変動の影響が生じます。また、外貨建ての仕入・販売・サービスの提供など個別の取引においても、仕入高・販売高に為替変動の影響が生じ当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループでは海外子会社の業績及び為替変動を定期的にモニタリングし、リスクの増大を適時に把握し、必要な対応を行ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっております。物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等が当社グループに与える影響は不透明であり、今後も引き続き注視し、適切な対応を講じてまいります。
当社グループの経営環境としましては、遊休資産活用事業(当連結会計年度より「遊休不動産活用事業」からセグメント名称を変更)に主として関連する駐車場業界において、インターネットを活用した月極駐車場の紹介依頼需要は増加しており、オフィスビルや分譲マンション等における駐車場空き区画の収益化に対する需要も依然として拡大しております。さらに新型コロナウイルス感染症の影響により、従来は店舗型の不動産仲介業者にて月極駐車場を探していたユーザーが、当社が運営するポータルサイトを通じてインターネット経由で流入するケースがより増えてきております。また、2022年11月に月極駐車場業界のDX推進に向け、月極駐車場管理者向けサービス「CarParking One」、社用車契約管理サービス「Tomemiru(トメミル)」をリリースいたしました。2023年4月には電子契約締結サービス「SignOne」を開発し、社内全ての契約締結が自社システムで対応可能となりました。
このような経営環境のもと将来的な収益力の強化を目的として、引き続き既存社員の育成や新規の営業人員の獲得に努め、新規案件の獲得のための積極的なアプローチを行えるような営業体制の強化に注力するとともに、ベトナム子会社(AZOOM VIETNAM INC.及びCGWORKS VIETNAM INC.)でのシステム開発・グラフィックデータ制作の体制を強化するための投資やリモート環境等の制約に関わらず営業活動を継続できるようIT面での新たな技術の開発を引き続き行ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は8,273,705千円(前連結会計年度比28.9%増)、営業利益は1,282,384千円(前連結会計年度比46.0%増)、経常利益は1,279,921千円(前連結会計年度比46.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は878,897千円(前連結会計年度比47.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
① 遊休資産活用事業
遊休資産活用事業セグメントは、当社がインターネット上で運営する月極駐車場のポータルサイト「CarParking」(以下、「カーパーキング」といいます)を経由して、駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」と、駐車場オーナーから空き駐車場を当社がマスターリース(一括借り上げ)し、月極駐車場としてユーザーにサブリース(貸し付け)を行う「月極駐車場サブリースサービス」を中心として事業を行っております。当連結会計年度においては、カーパーキングを通じたインターネット経由でのユーザーの流入増加を背景に、引き続き既存社員の営業力強化やリモート環境下での営業活動推進に努め、マスターリース台数及びサブリース台数のいずれも堅調に推移し、当連結会計年度における駐車場問い合わせ件数は247,425件となり、当連結会計年度末におけるマスターリース台数(受託台数)は22,782台、サブリース台数(稼働台数)は20,859台となりました。あわせて、株式会社鉄壁が提供する月極駐車場特化型の賃料保証サービスの契約件数も堅調に推移しております。また、顧客による貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営をサポートするWEB予約システム「スマート空間予約」においては、広告宣伝活動の効果向上に注力した結果、システムの新規導入室数が増加しております。加えて、株式会社ダイバースは当社グループへの人材紹介を中心に事業を行っております。
その結果、当連結会計年度の売上高は8,060,857千円(前連結会計年度比29.3%増)、セグメント利益は1,267,371千円(前連結会計年度比46.4%増)となりました。
② ビジュアライゼーション事業
ビジュアライゼーション事業セグメントは、不動産の可能性をより視覚的に伝えることを可能にするため、3DCG技術等の専門的なスキルを活用し、建物や空間の利用方法及び完成イメージをグラフィックデータとして制作し、販売するとともに、VR技術を用いて顧客の要望に応じた空間デザインのサービスを提供しております。当連結会計年度においては、既存社員の技術力や営業力の強化に注力しつつ、多様な営業提案が可能となるように事業基盤の拡大に努めました。これにより、グラフィックデータ作成の発注元であるディスプレイ業者の景気回復と消費者行動のオンライン化に伴うVR技術の普及を背景に、事業規模は拡大しております。また事業の更なる成長に向け、2022年9月に設立した株式会社CGworksの子会社CGWORKS VIETNAM INC.での3DCG制作スタッフの確保、教育に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は212,848千円(前連結会計年度比15.0%増)、セグメント利益は15,013千円(前連結会計年度比19.6%増)となりました。
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a.生産実績
当社グループが営む遊休資産活用事業及びビジュアライゼーション事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループが営む遊休資産活用事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、また、ビジュアライゼーション事業は受注から売上高計上までの期間が短いため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前期比(%) |
|
遊休資産活用事業(千円) |
8,060,857 |
129.3 |
|
ビジュアライゼーション事業(千円) |
212,848 |
115.0 |
|
合計(千円) |
8,273,705 |
128.9 |
(注)1 セグメント間の取引はありません。
2 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,057,123千円となり前連結会計年度末に比べて765,855千円増加しております。その主な要因は、業績が堅調に推移したことに伴い現金及び預金が321,489千円増加したこと、月極駐車場の受託台数の増加に伴い前払費用が125,395千円増加したこと、中古住宅の仕入れに伴い販売用不動産が288,995千円増加したものによるものであります。固定資産は925,908千円となり、前連結会計年度末に比べて181,170千円増加しております。以上の結果、総資産は前連結会計年度末に比べて947,026千円増加し、3,983,032千円となっております。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,052,578千円となり、前連結会計年度末に比べて210,414千円増加しております。その主な要因は、稼働台数の増加に伴い月極駐車場サブリースユーザーからの前受収益が66,110千円増加したことによるものであります。固定負債は354,936千円となり、前連結会計年度末に比べて70,892千円減少しております。その主な要因は、株式会社鉄壁との賃料保証委託契約への切替に伴い月極駐車場サブリースユーザーからの預り保証金が56,458千円減少したことによるものであります。以上の結果、負債合計は前連結会計年度末と比べて139,521千円増加し、1,407,514千円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,575,518千円となり、前連結会計年度末に比べて807,504千円増加しております。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を878,897千円計上したことにより利益剰余金が同額増加したことによるものであり、自己資本比率は64.1%(前連結会計年度末は57.6%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,095,936千円となり、前連結会計年度末から321,489千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は621,099千円(前連結会計年度は620,279千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,279,921千円を計上したこと、販売用不動産の取得による支出288,995千円、法人税等の支払による支出375,761千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は200,062千円(前連結会計年度は143,786千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出146,383千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は99,802千円(前連結会計年度は188,460千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払による支出88,217千円によるものであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。また、余剰資金については、安全性の高い預金等に限定して運用を行っております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計上の見積りの詳細については「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。