文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「M&A Techにより未来のM&A市場を創造する」という企業理念のもと、従来のM&A仲介サービスに存在するアナログな手法をテクノロジーにより刷新することにより、「成約スピードの向上」と「価格の抑制」を実現し、多くの会社がM&Aという選択肢を検討できる社会を創ることを目指しております。これらの取り組みを通じ、企業価値の最大化を図ることを経営方針としております。
(2)経営環境
①市場動向及び当社グループの取り組み
現在の日本では経営者の平均年齢が高く、2011年において60.03歳であった平均年齢はその後の10年間で右肩上がりに上昇し続け、2020年では62.49歳となっております。また、2022年における後継者不在企業の割合は53.9%となっており、高齢化に伴う後継者不在問題を背景に中小企業の統合・再編促進が不可欠であることから、M&Aはさらに活発化する見通しです。(帝国データバンク全国企業「後継者不在率」動向調査(2023年))
2011年より増加を続けていた国内M&A件数は、新型コロナウイルス感染症の発生、拡大により新規営業の中断や対面でのやり取りの回避を余儀なくされたこと、買収意欲の減退等により2020年に減少に転じました。しかしながらオンラインでの新規営業やM&Aの進行が全国的に浸透したこと、買収意欲が復調したことにより2021年より再度増加傾向となっております。今後も国内M&A件数は増加するものと判断しております。
休廃業・解散企業件数は、2022年が49,625件であり、休廃業企業の代表者の約4割が70代で、60代以上でみると8割(構成比86.4%)を超えており、代表者の高齢化が休廃業・解散を加速する要因になっております(出典:㈱東京商工リサーチ 2022年「休廃業・解散企業」動向調査)。
これらの問題に対する解決策としてM&Aによる第三者への事業承継が挙げられます。しかしながら、M&Aは成約するまでの時間的ハードルや、着手金等の金銭的ハードルがあります。また、M&A仲介業は専門性が高い業務であるため、M&Aアドバイザーの絶対数が少なく、遅々としてM&Aが進んでおりません。休廃業・解散企業数に比べると圧倒的に少ないことから、今後もM&Aの件数が増加していくと予測しております。
中小企業庁も事業承継を促進するため、種々の施策を実施しており、2029年頃に官民合わせて年間6万者のM&Aが行われることを目標としております(出典:中小企業庁 第三者承継支援総合パッケージ 2019年) 。
当社グループは「M&A Techにより未来のM&A市場を創造する」という企業理念のもと、AIの開発やDXの推進により従来のM&Aを効率的に進めることで成約期間の短縮化、仲介手数料の抑制、仲介件数の増加に取り組んでおります。M&A仲介事業者として適切な事業承継を支援することにより、当事者企業のみならず社会全体に貢献すべく取り組んでおります。
②競合優位性
当社グループでは、譲渡希望企業と買手候補企業のマッチングにおいてAIマッチングアルゴリズムを使用しております。
これにより、以下の競合優位性が生じております。
・完全成功報酬制の料金体系
当社グループはM&Aが成約するまで譲渡企業から報酬を頂きません。競合他社ではアドバイザリー契約の締結時に着手金を収受し、成約までの途中段階で中間報酬(成功報酬の内金)を収受する報酬体系が採用されることがあります。そのため、譲渡企業からすると当社グループとアドバイザリー契約を締結するハードルが下がり、結果として多くの譲渡企業からM&Aに関する依頼を請け負うことが可能となっております。

・6.6ヶ月の平均成約期間
当社グループはM&A仲介業務における「ソーシング」「マッチング」「エグゼキューション」の非効率な作業をAIやDXにより効率化しております。特に、マッチングフェーズにおいては、従来はM&Aアドバイザーが自身の経験をベースに買手候補企業のリストを作成し、該当企業に対し電話や手紙、メールによる営業を行うことでマッチングを行っておりました。当社グループではマッチング可能性の高い買手候補企業のリストをAIマッチングアルゴリズムが自動作成するため、リストの作成から営業活動までの時間が大幅に短縮され、かつ、マッチング可能性が高い企業のみに打診することができるためマッチングに要する時間を短縮できています。
AI及びDXシステムは全て自社開発であり、すでに9,000回を超える改修を行い参入障壁を築いております。業務の効率化を推し進めた結果として、2023年9月期に成約した全案件の平均成約期間(譲渡企業とアドバイザリー契約を締結してからM&Aがクロージングするまでの期間)は6.6ヶ月となり、業務時間の削減を可能にしたことで採用上の強みにも繋がっております。

・AIならではのマッチング提案
AIマッチングアルゴリズムは過去のM&A事例や当社グループが独自で蓄積したデータを学習し、譲渡希望企業を買収する可能性が高いと判断した企業を提案するため、属人的な判断に依存することなく、データに基づいて買手候補企業を抽出することを可能にしております。
このアルゴリズムの開発のためには膨大な企業情報の適切なデータベース化が重要であり、当社グループはデータベースを構築するため、基幹業務システムをゼロベースで開発しました。従前は市販のパッケージソフトを使用しておりましたが、カスタマイズの柔軟性やスピード感において自社開発に劣る部分が大きく、データの突合が適切に行われなかったため社内で開発いたしました。競合他社が同様のアルゴリズムを構築するには、情報を集約している基幹業務システムの抜本的な改修もしくは新規システムへの移行が必要であると考えており、模倣困難性が高いと判断しております。
・高い採用力
M&A仲介事業は継続的に優秀な人材を獲得することが事業成長のドライバーとなります。当社グループは採用活動上の強みが主に4つあり、これらの点を転職者へアピールすることで人材を獲得してまいりました。
また、AIやDXにより効率化は平均成約期間の短縮化に繋がり、入社した人材が早期に成長することで新たに入社した人材を指導することができ、組織の拡大に耐えうる設計となっております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について
当社グループは顧客に対するサービス品質向上と投資家との適切なコミュニケーションが企業価値向上において重要であると考えており、主な課題として以下を認識しております。なお、当社グループのビジネスモデル上、キャッシュ・フローは安定しているため優先的に対処すべき財務上の課題は無いものと判断しておりますが、今後多額の投資アクションを起こす場合にはデット、もしくはエクイティによる資金調達により対処する方針です。このような対応が求められる可能性は現時点では低いと判断しております。
①案件の進捗管理(投資家との適切なコミュニケーション)
適切な業績管理、また、業績予想の精度向上のため、案件ごとの進捗を適時に把握し、管理することが重要であると認識しております。しかしながら、M&Aの案件進捗は当事者企業における意思決定手続等による影響を受けるため当社グループが掌握しきれない面があります。当社グループにおきましては、案件の開始時に譲渡希望企業と買手候補企業それぞれの成約希望時期を確認し、M&Aアドバイザーが随時両社の意思を適切に汲み取りながら案件をコントロールすることにより、見込成約時期が大幅に変動しないように努めております。成約時期が大幅に変動した案件については原因と対策を全社で共有し、さらなる改善を進めてまいります。
②システム開発への積極的な投資(顧客に対するサービス品質向上)
当社グループの競争力の源泉であるAⅠマッチングアルゴリズムが確度の高い買手候補企業を抽出することで、効率的にM&Aを成約させることが重要であります。そのため、AIマッチングアルゴリズムの継続的な開発を行うことで、買手候補企業の精度を向上させることが必要であると認識しております。システム投資は競合他社との差別化をより一層強固なものとし、当社グループの企業価値の向上に寄与するものであるため、積極的に行っていく方針であります。
③情報管理体制の強化(顧客に対するサービス品質向上)
当社グループは多くの企業の機密情報を預かるため、人員増加局面において情報漏洩やデータの紛失等の事故が起きないように社内の管理体制を強固にする必要があると認識しております。情報管理規則の徹底に加え、運用状況を内部監査により詳細に確認することにより対処してまいります。

(4)今後の成長戦略
M&A仲介事業の売上を拡大させるため、売上高の構成要素を分解し、各要素に対して継続的に改善施策を繰り返すことで急成長を図ります。
①M&Aアドバイザーの採用及び教育体制の強化
当社グループが持続的な成長をするにあたり、優秀なM&Aアドバイザーを中心とした人材を採用し、育成していくことが最重要であります。
人材の採用については、様々なバックグラウンドを持つ方々のうち、M&A仲介に必要な専門知識を有する人材、優れた営業力を有する人材、多種多様な業界やビジネスモデルに精通した人材を発掘し、その中で「AI・DXを駆使したテクノロジーによりM&A業界を変革する。」という当社グループのビジョンに共感する方に絞って採用することとしており、今後もその方針に沿って採用活動を継続してまいります。当社グループの強みであるAIを用いた買手候補企業の抽出により、M&A未経験者においても効率的に買手候補企業へアプローチすることで案件を成約に導くことが可能なため、未経験者であっても優秀な人材と判断した場合には、積極的に採用することとしております。
既存の人材紹介会社との関係、ダイレクトリクルーティングプロセスのPDCA、新卒採用及び採用広報の3つの点を強化していくことにより優秀な人材を採用してまいります。
人材の教育については、入社時の研修に加え、継続的な勉強会を開催し、また、M&Aに関する情報を全社に共有することにより、M&Aアドバイザーに求められる能力の開発を続けております。
②1人あたり売上高の向上及び成約期間の短縮
M&A仲介事業の1人あたり売上高は受託案件数、成約率、成約単価の3つに分解されます。受託案件数についてはM&Aアドバイザーの教育制度のシステム化を進めることで譲渡希望企業とのアポイントからアドバイザリー契約受託率の改善を図ります。成約率についてはAIマッチングの精度を向上させること及びマッチングを担当する部署である法人部の人数を増加させることにより対処してまいります。成約単価は成功報酬総額1億円以上の大型案件を獲得するため、社内で専門のプロジェクトチームを結成し、案件獲得に向けて動いていく方針です。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として売上高と営業利益を重視しております。また、これらの経営指標に影響する成約件数、1件あたり平均成約手数料、M&Aアドバイザー数の推移を把握しており、これらの指標につきましては今後も継続的に増加させるよう努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、サステナビリティという観点から、今後も継続的にあるべき体制と管理すべきリスク、戦略の方向性を検討してまいります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「M&A Techにより未来のM&A市場を創造する」という企業理念の下、当社グループを取り巻くステークホルダーの利益を守り、ステークホルダーの期待に応えていくため、経営の健全性、効率性、透明性の視点からコーポレート・ガバナンスの強化に努め、さらなる改善を図り、持続的な企業成長を目指すことを基本方針としております。法令遵守を徹底し、内部統制システムの整備・強化を図り、当社グループはもちろん、業界全体の社会的な信用を高められるよう企業倫理を追求・確立して参ります。
当社グループでは、会社法上の機関として、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しております。また、有効な内部統制を構築するために内部監査室を設置し、コンプライアンス体制を強化するためにコンプライアンス委員会を設置しております。さらに、必要に応じて、弁護士等の外部専門家に助言を頂くことで、コーポレート・ガバナンス体制を補強しております。
当社グループのガバナンスに関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。
当社グループは市場リスク・信用リスクを始め、様々なリスクにさらされています。これらのリスクは、予測不可能な不確実性を含んでおり、将来の財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と認識し、リスクマネジメントの基本方針を定め、必要なリスク管理体制及び手法を整備しています。具体的には、コンプライアンス・リスク管理規程を定め、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置するとともに、日常的に発生するリスクについては取締役会において報告・検討され、未然防止及び早期対応を図る体制を構築しております。
当社グループの事業運営に伴うリスクは、取締役会による監督の下、管理部部門長がコンプライアンス及びリスク管理の取り組みの責任者となり、コンプライアンス委員会が取締役会への報告、未然の防止や早期対応を図る体制を構築しております。コンプライアンス委員会の委員長は代表取締役が務め、月次で会合を開いております。また、定例の会合以外でも、当社においてリスクと考えられる事項や社内のコンプライアンスに関する事象が発生した場合は適宜会合を開催し、対応を図っております。コンプライアンス委員会で議論、収集した情報は取締役会に報告され、的確な認識を持って経営判断に反映させ、業務運営を適正に指揮、監督しております。
当社グループのリスクに関する詳細は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
SASB(サスティナビリティ会計基準)やGRIスタンダード、SDGs (国連の持続可能な開発目標) といった国際的な指標を参照し、当社グループの事業活動や企業文化に関連性の高い社会課題を抽出、リストアップした課題について、日本・米国・欧州・アジアの機関投資家の投資の際に意識するESG項目に関する開示情報の調査や、株主・投資家、取引先などの社外のステークホルダーとの意見交換を参考に重要性を評価いたしました。
また、当社グループの企業理念、経営方針、成長戦略との関連性を評価し、課題の優先順位や妥当性を検証、ステークホルダー及び自社視点で評価した課題を経営陣で議論を重ね、優先的に取り組むべきマテリアリティを特定いたしました。
当社グループはマテリアリティへの取組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。なお、特定したマテリアリティについては、サステナビリティに関連する世界的な動向や業務の進捗等に合わせて適宜見直しを行い、効率的な取り組みを推進してまいります。
(特定したマテリアリティ)

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
(方針・基本的な考え方)
当社グループにとって人材は最も重要な経営資産であり、人材なくして当社グループの持続的な成長は実現できません。また、当社グループが取り組むべきマテリアリティとして「競争力のある人材の強化」を特定しているとおり、人材の成長が当社の持続的な成長の根幹であると言っても過言ではありません。社員それぞれの成長は、それぞれの「現場」での経験を通じて起こりますが、必要な知識・スキル等を整理し、社員が必要なタイミングで学習・習得できるように社内システムを整えています。
また、当社グループは、高いパフォーマンスをステークホルダーの皆様に提供するためには、従業員が心身ともに健康であることが不可欠だと考えています。 従業員が高いパフォーマンスを持続的に発揮できるよう、労働安全衛生法、社内の安全衛生管理規程などを遵守し、安心安全な労働環境を提供することで、集中して仕事ができる快適な環境づくりに取り組んでまいります。
(人材配置の最適化)
当社グループは多様なプロ人材が最大限活躍し、組織戦力の最大化を図るため、適材適所の人材配置を実施しています。経営方針として攻めるべき成長分野に重要かつ限りある経営資源である人材を機動的に異動・配置することで、攻めを加速する人材配置の施策を継続的に行い、プロ人材による事業推進を実現しています。適宜、上司と部下が面談を実施し、社員の人物特性・専門性・業務能力・得意分野・経験等を考慮しながら育成・活用計画を確認の上で、最適な人材配置を検討しています。また、組織の強化や人財の適材適所への配置と補充、社員のキャリア支援の一環として、社内公募制度を整えております。
(従業員に対する中長期インセンティブの提供)
当社グループでは、従業員に対する中長期インセンティブとして持株会制度(M&A総研ホールディングス社員持株会)を採用しています。M&A総研ホールディングス社員持株会は、社員(グループ会社含む)が持株会へ任意で加入し、毎月の給与からの天引きにより、一定金額を持株会に拠出し、毎月M&A総研ホールディングス株式を買付け、中長期的な財産形成に資する目的で福利厚生制度の一環として運営されています。また、全社員を対象とした表彰制度を導入し、社員のモチベーションアップ、連帯感の向上を図っています。
(ワークライフバランス)
当社グループは、AI・DXシステムを活用することにより業務負担を軽減しています。また、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるよう労働法令を遵守した労務管理を行っております。過度の労働時間と時間外労働の削減し、健康的で安全に働ける職場環境整備に向けて、関連部署と連携を図っております。
・健康診断の実施
・勤務時間のモニタリングや従業員へのヒアリング
・長時間勤務となりうる従業員とその上長への通知、指導
当社グループでは、多様性の確保の重要性を認識し、性別・国籍・入社時期に関わらず、能力を本位とする人材登用を行っており、人材の多様性の確保に努めております。現状は、多様性の確保に向けての測定可能な目標の設定に至っておりませんが、社内でその状況を注視し取締役会で議論してまいります。
なお、当社グループにおける有給取得は次のとおりです。
平均有給取得日数 7.3日
(注)新規採用の従業員は計算に含めておりません。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
当社グループのリスク管理体制としては、リスク管理規程を定めるとともに、日常的に発生するリスクについては取締役会において報告・検討され、未然防止及び早期対応を図るよう努めております。例外的又は突発的なリスクに関しては、代表取締役社長がリスク対応体制を発動し、対応を図る予定としております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅しているものではありませんので、この点にご留意下さい。
(1)事業環境に関するリスク
(M&A市場の低迷)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:3年以内
影響度:大
M&A市場は、後継者不在企業の増加に伴う事業承継型M&Aやノンコア事業を切り離す戦略型のM&A、中長期の成長戦略手法としてのM&Aといったニーズの拡大を受け、今後も成長していくものと考えております。しかしながら、景気の悪化や自然災害等により、買収ニーズが縮小する場合や後継者不在企業が減少する場合には、M&A市場が低迷し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(同業他社との競合)
発生可能性:高
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:大
M&A仲介業務は許認可や資格、大規模な設備投資が不要であるため、参入障壁は比較的低いと考えております。当社グループでは、これまでの経験により蓄積されたナレッジやノウハウを社内で共有するためのシステムを自社開発することにより、新入社員が成果を出すスピードを上げるなど、種々の施策を講じて対応を図っておりますが、同業他社との競争が激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(法的規制)
発生可能性:中
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:大
現状、M&A仲介業務を直接的に規制する法令等は存在せず、許認可や資格も不要であります。しかしながら、今後、法令等の制定・改定により、M&A仲介業務に対して何らかの規制がなされることになった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、中小企業庁がM&A支援機関登録制度を発足し、一定の要件を満たす仲介事業者やアドバイザリー業者が公開されています。当社グループも登録事業者となっておりますが、今後、登録要件の変更や制度の改定等により登録事業者でなくなった場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、M&Aに関連する法改正が行われた場合には、社会におけるM&Aニーズも変化する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、M&Aの取引やスキームに関連する会社法、金融商品取引法、税法等の法改正がM&A取引の推進に影響する場合、当社グループの経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
現在においてはリスクが顕在化するような具体的な法改正は行われていないと認識しておりますが、リスクが顕在化する可能性が生じた場合、早急に必要な対応を図る予定としております。
(2)事業内容に関するリスク
(業績の変動)
発生可能性:中
発生する可能性のある時期:1年以内
影響度:大
当社グループの提供するM&A仲介サービスは、譲渡希望企業に対しては完全成功報酬制であるため、成約時に報酬の大部分を受領することとなります。そのため、案件の成約時期によって業績が大きく変動する可能性があります。
また、受託する案件の規模により、成功報酬も異なるため、受託案件数を増やすことにより、業績が大きく変動しないよう取り組んでおりますが、案件成約数の一時的な変動や成約案件規模の大小により、業績が大きく変動する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(技術革新)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:3年以内
影響度:中
当社グループの事業に関連するAI技術は、日々研究開発が進んでおり技術革新の速度が非常に速い分野であります。当社グループもこのような技術革新に対応し、AIを活用した事業基盤の強化に努めていきますが、技術革新への対応が遅れた場合には競争力が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(訴訟)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:中
当社グループは、サービス品質の向上とコンプライアンス体制の構築に努めており、本書提出日現在において提起されている訴訟等は発生しておりません。しかしながら、今後、何らかの要因により訴訟を提起される可能性があり、この結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(M&A仲介事業への依存)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:3年以内
影響度:中
当社グループは、収益の大部分をM&A仲介事業に依存しております。事業承継ニーズや成長戦略のためのM&Aニーズの高まりによりM&A市場は今後も拡大していくものと考えておりますが、経済情勢の変動や社会問題の発生等によりM&A市場に著しい変化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(自然災害等)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:大
当社グループは、保有するデータの多くを外部サーバー上に保管しているため、自然災害等に起因してこれらに保管しているデータが利用できなくなった場合や、当社グループ自体に甚大な被害が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
(人材の採用・育成)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:3年以内
影響度:大
M&A仲介業務は、人材に依る部分が大きく、人材の獲得と育成は、最も重要な経営課題の一つであると考えております。しかしながら、雇用情勢の変化等により人材を適時に獲得できない場合、人材が大量に社外流出してしまった場合、育成が計画通り進展しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(情報セキュリティ管理)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:大
当社グループは、法人の機密情報を扱うことが多いため、顧客との間で秘密保持契約を締結しており、守秘義務を負っております。当社グループでは、顧客情報が漏洩しないように社内規程を整備し、情報管理を徹底しております。しかしながら、不測の事態によって守秘義務の対象となる顧客情報が漏洩した場合、損害賠償請求や信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、M&Aに関連するニーズやメールマガジンの登録時に、個人情報を取得する場合があります。当社グループでは、個人情報の保護に関する法律及びその関連法令に基づき、個人情報保護に関する規程等を定めることで、個人情報を厳正に管理しております。しかしながら、このような対策にも関わらず、不測の事態により、個人情報の漏洩や不正利用等が生じた場合には、当社グループの信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(代表取締役社長への依存)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:中
当社代表取締役である佐上峻作は、当社グループの創業者及び経営の最高責任者であり、2023年9月30日時点で当社株式の63.63%を所有する大株主であるとともに、経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度な依存を回避すべく、取締役会及び経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有を行い、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、現時点において当該役員に対する依存度は高い状況にあるといえます。そのため、何らかの理由により同氏が当社グループの経営を行うことが困難な状態となり、また、後任となる経営層の採用・育成が進展していなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(急速な組織の拡大)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:1年以内
影響度:中
2023年9月30日時点で、当社は取締役5名、監査役3名、当社グループの従業員は258名で事業を運営しておりますが、引き続き積極的に採用活動を行い、組織を拡大させていく方針です。今後の人員構成において最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築するための人材の採用や育成を行う方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
(新株予約権の行使による株式価値の希薄化について)
発生可能性:高
発生する可能性のある時期:3年以内
影響度:低
当社グループは役員及び従業員等に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブを目的として、上場後5年間に渡るベスティングを付したストック・オプションを付与しております。また、今後の優秀な人材確保のため信託型ストック・オプションを発行しております。新株予約権について行使が行われた場合には、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。なお、2023年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は6,294,564株であり、発行済株式総数株57,983,115の10.86%に相当しております。
新株予約権の詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照下さい。
(当社株式の流動性について)
発生可能性:中
発生する可能性のある時期:1年以内
影響度:中
当社の流通株式比率は2023年9月30日時点で35.94%であります。
今後は、当社グループの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達や代表取締役佐上峻作への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(大株主との関係について)
発生可能性:中
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:中
当社の代表取締役社長である佐上峻作は、当社の大株主であり、2023年9月30日時点で発行済株式総数の63.63%の議決権を所有しております。同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。また、当社グループと致しましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(配当政策について)
発生可能性:低
発生する可能性のある時期:特定時期なし
影響度:低
当社グループは株主に対する利益還元を経営上の重要課題として捉えておりますが、現時点では事業の拡大と持続的成長に向けて積極的に資本を投下していくことが株主に対する最大の利益還元に繋がると判断しており、創業以来配当は実施しておりません。
今後、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元策を実施していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその時期については未定であります。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
a.経営成績の状況
(売上高)
当連結会計年度の売上高は8,642,517千円となりました。これは成約件数が136件、平均成約手数料が60,819千円と堅調な結果であったことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は4,579,256千円となりました。これは主にM&Aアドバイザーの新規採用により、売上原価や販売費及び一般管理費は増加しているものの、売上がそれらを上回る増加となったことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は2,958千円となりました。これは主にクレジットカードのポイント還元等によるものであります。
営業外費用は97,715千円となりました。これは主に東京証券取引所の市場変更に伴う費用によるものであります。
その結果、経常利益は4,484,500千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等は1,837,635千円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,646,864千円となりました。
なお、当連結会計年度より、当社グループの報告セグメントを単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載を省略しております。
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は、7,653,851千円となりました。これは主に、現金及び預金7,430,428千円であります。
当連結会計年度末における固定資産は、673,610千円となりました。これは主に、差入保証金437,788千円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は、2,672,622千円となりました。これは主に、未払法人税等1,572,255千円、未払消費税等447,124千円であります。
当連結会計年度末における固定負債は、55,206千円となりました。これは主に、長期借入金48,415千円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、5,599,632千円となりました。これは主に、資本金629,678千円、資本剰余金629,668千円、繰越利益剰余金4,340,136千円であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,430,428千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,959,791千円となりました。これは主に、法人税等の支払額が1,078,008千円あったものの、税金等調整前当期純利益を4,484,500千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は400,202千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の返還による収入が70,507千円あったものの、敷金及び保証金の差入による支出が400,008千円、有形固定資産の取得による支出が62,879千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は110,481千円となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入が23,641千円あったものの、市場変更費用の支出が92,878千円、長期借入金の返済による支出が38,445千円あったことによるものであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社グループは、M&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
2.当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が緩和され、社会経済活動も緩やかに持ち直しが見られた一方で、各種物価の上昇によるコスト高や為替相場の変動が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの事業ドメインである日本国内の中小企業によるM&A市場は、経営者の高齢化及び後継者不在企業の増加という実態と、M&Aによる事業承継を推進する行政の政策により拡大を続けております。当社グループは1社でも多くの企業の事業承継を支援すべく、AIマッチングアルゴリズムの精度向上、業務のDⅩ推進という2軸で効率的なM&Aの実現に取り組んでおります。事業の成長ドライバーであるM&Aアドバイザーの採用も順調に進んでおります。
その他、新規事業の立ち上げを見据え、今後の柔軟な事業展開を可能にすべく2023年3月にホールディングス体制へ移行しております。
このような事業環境下において、当社グループにおいては着実に案件を進捗させ、成約件数136件と堅調に推移しました。
また、今後の業績拡大を図るため引き続き積極的な採用を進めており、当連結会計年度においてM&Aアドバイザーを107名増員しております。
この結果、当連結会計年度における売上高は8,642,517千円、営業利益は4,579,256千円、経常利益は4,484,500千円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,646,864千円となりました。
b 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高と営業利益を重視しております。また、これらの経営指標に影響する成約件数、1件あたり平均成約手数料、M&Aアドバイザー数の推移を把握しております。
当連結会計年度における売上高は8,642,517千円、営業利益は4,579,256千円となりました。また、成約件数は136件、1件あたり平均成約手数料は60,819千円、M&Aアドバイザー数は181名とそれぞれ増加しており、今後の各指標の向上の施策については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)今後の成長戦略」に記載しております。
c 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境等の様々な要因が変動することによる影響を受ける可能性があると認識しております。そのため、当社グループを取り巻く外部環境と内部環境の変化に留意しつつ、内部統制の強化や人材の確保と育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスクの発生を抑え、適切な対応を図ってまいります。
d 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要の主なものは、人材の獲得、維持にかかる人件費、業容拡大に伴う物件維持費、将来の顧客獲得のため又は顧客の利便性や当社グループのサービス向上のための広告宣伝費及びシステム改良費等の営業費用であります。
当社グループとしては、不測の事態も想定し、十分な資金を自己資金で確保しながら、必要に応じて銀行借入による調達を行う方針であります。
e 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、将来の課税所得見積りを慎重に検討しておりますが、その見積りの前提となる条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産の一部又は全額の回収が困難と判断した場合には、繰延税金資産を取り崩し、同額を法人税等調整額として計上することで、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(新設分割による持株会社体制への移行)
当社は、2023年1月13日開催の取締役会及び2023年3月14日開催の臨時株主総会の決議に基づき、2023年3月17日をもって、新たに設立する株式会社M&A総合研究所に対して、当社のM&A仲介事業を承継させる新設分割を行いました。
なお、新設分割に伴い、従来の株式会社M&A総合研究所を株式会社M&A総研ホールディングスへ商号変更し、新設会社の商号を株式会社M&A総合研究所としております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。
当連結会計年度の研究開発活動は、M&Aの当事者に資するサービスの提供を基本理念とし、売手と買手のマッチングアルゴリズムの開発を中心に、本社の開発部門において研究開発を進めております。
なお、当社グループはM&A仲介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
M&A仲介事業における研究開発は、次のとおりです。
売手と買手のマッチングにおいて、自然言語処理(NLP)技術及び機械学習を用いたアルゴリズムの開発に取り組んでおります。
①自然言語処理(NLP)技術
買手候補をピックアップする際に、インターネット等の社外に散在する膨大なデータの中から特定のキーワードを自然言語処理技術により解析、抽出することで売手と親和性の高い候補企業を高速・高精度にピックアップすることを可能にしております。
②機械学習
自社内に蓄積した企業情報、過去のM&A情報を学習させ、売手に対する親和性の高さを自動で判断し、買手候補をピックアップしており、その結果に対する評価を再度学習させることで常にピックアップ精度の向上を図っております。
これら2点の技術を組み合わせることで、人間が同様の作業を行った際に生じる抜け漏れや誤謬を防ぎ、幅広い買手候補の提案を実現しております。
また、M&Aのソーシングからエグゼキューションまでの一連のプロセスに関して、業務効率化を図るシステムの開発に取り組んでおります。従来は人間の手によって行われていたアナログな活動をシステムにより自動化することで、本来注力すべき、顧客とのコミュニケーションに時間を割くことが可能になりました。