第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループの主要事業は、菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業でありますが、その中でも主力商品は製菓関連の包装資材及び食材であります。その主な販売先は、個人経営の和洋菓子店(以下「BtoB」という。)及び一般消費者(以下「BtoC」という。)であります。

また、当社の商品販売は、インターネット、電話及びファックスによる通信販売の形態であり、特に当社インターネット通販サイト「cotta」(以下「コッタ」という。)を介した販売が中心となっております。当社連結子会社の株式会社ヒラカワにおきましても、主に生協の会員向け通信販売への企画提案型の商品販売を行っております。

当社は、創業以来、BtoB向けを中心として「小ロット」「短納期」「低価格」をコンセプトに菓子・弁当関連の包装資材及び食材等の商品を提供しており、その経営方針は今後も継続してまいります。

さらに、BtoC向けにつきましては、「だれかを想う。またつくりたくなる。」そんなお客様の気持ちを支える会社でありたいとの願いを込めて、お客様のニーズに沿った付加価値もしくは利便性の高い商品及び動画配信などのサービスを提供してまいります。

これらの経営方針のもと、企業価値の向上を目指し、株主様をはじめとしたすべてのステークホルダーの皆様の期待に応えていきたいと考えております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、収益の源泉となる「売上高」及び収益力の基礎指標である「売上総利益率」及び「営業利益」並びに経常的な企業の収益力を示す「経常利益」を用いております。また「営業キャッシュ・フロー」も重要な経営指標としており、営業キャッシュ・フローの獲得拡大を目指すことで、財務体質の強化、成長のための投資及び株主還元の充実を図ってまいります。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経営環境は、原材料価格、人件費及び運送費等の上昇に伴い、当社グループの仕入コスト及び物流コストの上昇傾向が続いており、加えてオンラインモールを含めた同業者間の販売競争及び価格競争も激しさを増していることから、安定的に収益を確保することが厳しい状況であります。

そのような経営環境の中で、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであると認識しております。

 

① 中期経営計画の推進

2023年5月に発表した「中期経営計画(2023-2026)」の初年度となる第25期は当社の事業展開の方向性を大きく変化させる事業年度となりました。

アフターコロナの経済状況、全世界的な情勢不安と異常気象等が交差する中で、「たくさんのつくりたいをかなえる」、「つくる喜びと食べる幸せを世界にめぐらせる」を新たなビジョン、パーパスに掲げ、今後も製菓・製パン業界におけるマーケットリーダーの地位を確立し、お菓子・パン作り=「cotta」と想起させる圧倒的なブランドを構築してまいります。

 

② 物流体制の効率化と従業員のワークライフバランスの充実

当社の主要事業である菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業において、高まる需要に対する供給体制の確立が重要な課題であります。その課題克服のために新潟からの出荷体制の構築と拡大、本社出荷体制を2部制にし、出荷能力の向上を図ってまいりました。それにより、最繁忙期であるクリスマスやバレンタインの時期においても、急増する需要に対し対応できる体制がとれております。しかしながら、今後も拡大する需要や、物流の2024年問題に対して、さらなる物流の効率化を行いながら、従業員のワークライフバランスも重視し、より良い職場環境を構築してまいります。

 

③ 内部統制及びコンプライアンス体制の強化

当社グループは、企業の社会的責任と継続的発展を図るために、内部統制及びコンプライアンスに徹底して取り組んでまいります。関係法令・規則の遵守はもとより、お客様の情報管理等に対するセキュリティーポリシーを確立し、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指して社内教育を行ってまいります。また、反社会的勢力との関係に対しては、断固とした対応で臨むことにより一切の関係を遮断し、コンプライアンスに則った経営を行ってまいります。

 

④ リスクマネジメントへの取組み

昨今の事業環境においては、想定を上回る規模の自然災害や未知の感染症の発生、さらには緊迫する社会情勢等により事業継続計画の重要性が増しております。いかなる状況においても、被害を最小限にとどめ、正常な事業活動に復旧するまでの時間を最短にできるよう、事業インフラ、緊急時対応策、各設備の見直しを行ってまいります。また、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックの発生に関しては社会全体での取り組みが必要となりますが、当社グループとしても、感染症の発生早期→感染拡大期→蔓延期→回復期を想定し、役職員に向けて適切な対策を検討してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「つくる喜びと食べる幸せを世界にめぐらせる」というパーパス、「たくさんのつくりたいをかなえる」というビジョンのもと、事業活動を通じて、環境、社会、経済との共生を図ってまいります。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティを巡る課題への対応は、重要なリスクの減少のみならず企業の長期成長にもつながる重要な経営課題の一部であると認識しております。

 当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク及び機会を管理するためのガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載のコーポレート・ガバナンス体制と同様であります。

 サステナビリティの推進活動の適切な実施の判断については、経営会議にて審査を行い、そのうち経営上重要な事項については取締役会にて承認を行っております。

 

(2)戦略

(サステナビリティについて)

 サステナビリティに関する戦略として、環境に配慮した商品の提供を推進しております。2023年5月には、資本業務提携先の不二製油株式会社と共同で立ち上げた新ECメディア「cotta tomorrow」をリリースいたしました。

 「cotta tomorrow」では、以前より多かった「グルテンフリーやプラントベースのメニューを用意したい」、「子どものアレルギーを気にせずおやつを作ってあげたい」といったお客様の声にお応えし、体にやさしい植物由来の食材を中心としたお菓子や料理素材を販売しており、従来の動物性由来食品よりも環境負荷の少ない植物性由来食品の販促普及に努めております。

 

(人的資本について)

 人的資本に関する戦略として、多様な人材の確保や育成、労働環境の改善等に取り組んでおります。必要とする専門的知見や能力を持った人材については、性別や年齢等の条件の制約は一切設けずに採用を行っております。また、自律的な自己研鑽やキャリア構築を支援する風土と枠組みを整備しております。さらに、働き方の多様性を尊重した労働環境の改善等を実施しており、当社グループの持続的な成長を支える人材に対して、積極的な投資を行っております。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティリスクは、環境への影響、社会的影響、及び経済的影響の面で当社グループに対してリスクをもたらす可能性があることを認識し、特定したリスクは潜在的な影響の大きさを評価し、最小化に向けた方針やその対応策を当社グループの関係部署に指示しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、現時点において多様性に関する属性別の指標及び目標の設定は行っておりません。

 また、人的資本に関する指標及び目標の設定についても現時点では行っておりませんが、今後、当社グループのパーパス、ビジョンの実現に向けた人材戦略の整備を図る過程で、必要に応じて検討をしてまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本報告書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

① 在庫リスクについて

当社グループの主要事業である菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業(以下「資材及び雑貨等の販売事業」という。)においては、商品を仕入れて、注文の都度、出荷しており、取扱商品の在庫リスクが常に存在しております。当社グループにおいては、販売動向、コールセンター経由での顧客ニーズ、売れ筋情報等を徹底的に分析し、また、戦略的なキャンペーン等による販売計画を慎重に精査し、常に適正在庫を継続できるように努めております。なお、近年の傾向としては、顧客ニーズの多様化に対応するため、プライベートブランド商品の開発などにより取扱商品が拡大し、商品アイテム数は約2万点となり、またボリュームディスカウントをメリットとする大量仕入により、在庫数量及び金額が増加傾向にあり、倉庫スペースの確保、商品管理の効率化にも取り組んでおります。

しかしながら、販売分析や需要予測が実際と大きく異なった場合、キャンペーンや販促活動、当社通販サイトやカタログ・広告の効果が十分でなかった場合、在庫管理上の不備が発生した場合は、過剰在庫又は在庫不足の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 売上原価等の上昇について

当社グループの主要事業である資材及び雑貨等の販売事業においては、商品の仕入原価は勿論、宅配便等の商品発送費用、ピッキング作業(在庫商品の取り出し及び発送先ごとの梱包)に要する人件費等が、利益率に影響を与えるため、常に、最適な方法及び新たな調達先の検討・選択をしております。

しかしながら、発送業者での発送料金体系の変更、ピッキング作業の非効率化等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの取扱商品及びその製造材料については、プラスチック製品及び海外製品も多く、原油価格又は為替の変動により、当該仕入原価が変動する可能性があります。当社グループにおいては、当該製品について、主に商社経由で仕入れており、直接的な原価高騰及び為替変動リスクの多くはこれら商社が負っております。

しかしながら、当該リスクを商社で吸収できず、当社グループにおける仕入原価の上昇という形でリスク転嫁された場合、又は、販売価格の上昇を余儀なくされ、販売状況の悪化につながった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 子会社による事業拡張について

当社は、従前、菓子・弁当関連の包装資材や鮮度保持剤の販売事業が主要事業でありました。その後、事業の多様化及び取扱商品の拡張を図る目的で、2010年6月に菓子・パン用食材の加工製造及び販売事業を行う子会社として株式会社プティパを設立し、2014年1月に当社インターネット通販サイト「cotta」(以下「コッタ」という。)の運営を行う目的で株式会社TUKURUを設立いたしました。さらに、2015年1月には、製菓・製パン用食材の卸売事業を行う周陽商事株式会社を、2016年8月には、生活用雑貨用品の企画及び販売事業を行う株式会社ヒラカワを子会社化いたしました。

今後も、顧客の潜在ニーズを探り、事業の多様化、取扱商品の拡張を図る目的で、新たな子会社を擁する可能性があります。当社グループとしては、子会社の業務管理には万全を尽くす方針であります。

しかしながら、事業の進捗状況が芳しくなかった場合、また、事業環境の変化、事業計画のミスマッチ、業務管理の悪化等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 食材及び食品の品質について

子会社の株式会社プティパでは、食材及び食品を加工・製造しております。したがって、近年、社会的関心を集めている「食の安全性」を確保するために、品質管理の強化、食品衛生法等の関連法令の遵守に取り組んでいく必要があると考えております。また、万が一、食材及び食品の品質の悪化が発生し、製品の回収及び損害賠償責任を負うこととなった場合に備えて、生産物賠償責任保険等にも加入しております。

しかしながら、関連法令の規制が強化された場合、又は生産物賠償責任保険等によって損害額もしくは賠償額を十分に補填できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 電子商取引(EC)を取り巻く事業環境に関するリスクについて

当社グループは、資材及び雑貨等の販売事業において、コッタを介した電子商取引(EC)による受注・販売が事業基盤の主力になっております。それゆえに、当社グループが今後も成長を続けていくためには、電子商取引(EC)市場の拡大が必要不可欠であります。

当社グループとしては市場動向等の情報収集を行い、状況に変化が発生した場合には速やかに対応を行うこととしておりますが、今後、社会構造の変化、インターネット取引のトラブル増加等によりその拡大を阻害する要因が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 季節要因による業績偏重について

当社グループの上半期においては、クリスマス、バレンタイン及びお花見といった時期を含むため、これらに伴う需要に影響を受ける当社グループといたしましては、業績が季節的な変動を受けて、上半期に偏る傾向があります。

そのため、当社グループにおきましては、生活雑貨用品の取り扱いの拡充もしくは定期販売の取り組みなどを行うことにより、通年での業績の安定化を図っております。

しかしながら、今後も業績の偏重が予想されることから、当社グループの業績判断をする際には留意していただく必要があります。

当連結会計年度の上半期及び下半期の業績推移は、次のとおりであります。

項目

2023年9月期

上半期

下半期

通期

売上高

(千円)

4,949,335

3,666,470

8,615,805

年間比率

(%)

57.4

42.6

100.0

営業利益

(千円)

604,668

193,207

797,875

年間比率

(%)

75.8

24.2

100.0

 

⑦ システムの障害について

当社グループの主要事業である資材及び雑貨等の販売事業においては、コッタにて、インターネットを介して販売する形態が主流であります。社内の基幹システムにおいては、仕入、在庫、顧客情報、注文、決済、出荷、製造等に関する情報が一元管理され、自動処理されております。当社は、今後の情報データの膨大化や複雑化、IT技術の高度化に対応できるよう、また、セキュリティや安定性等を一層向上できるよう、システムの性能及び機能の強化に積極的に取り組んでおります。さらに、バックアップや非常事態時のリカバリー体制の構築にも取り組んでいるのと同時に、当社ではサイバーリスク保険に加入しております。

しかしながら、システムの不具合、ダウン等により収益の機会損失が発生した場合、外部からの不正アクセスによるシステムダウン、データ改ざん、情報漏えい、コンピュータウイルスの侵入等が発生した場合、すべての損害を保険でカバーできる保証はなく、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 法規制等のリスクについて

当社グループの主な受注・販売方法である電子商取引(EC)では、「特定商取引に関する法律」、「不正競争防止法」、「割賦販売法」、「個人情報の保護に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、食品の製造・表示では、「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」及び「製造物責任(PL)法」等、様々な法的規制を受けております。

したがって、今後、これら法規制等の強化もしくは新たな法律の制定等によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 顧客情報及び個人情報の管理について

当社グループの主要事業である資材及び雑貨等の販売事業においては、従前、個人経営等の菓子店及び弁当店が主要顧客でありましたが、最近では、自宅でのお菓子作りブームも背景として、一般個人の顧客も増加しております。現在、当社グループが保有する顧客情報及び個人情報は約200万件に達しており、今後さらに増加することが予想されます。

当社グループでは、顧客情報及び個人情報を経営上の重要な資産と位置づけており、厳格かつ緻密な情報管理に努めております。なお、当社は、2008年9月にプライバシーマークを取得しており、情報管理教育も積極的に行っております。なお、現在まで、顧客情報及び個人情報の悪用又は社外流出等につきまして重大な問題は発生しておりません。

しかしながら、今後、役員及び従業員等の故意又は悪意により、顧客情報又は個人情報の悪用又は社外流出等により重大な問題が発生した場合には、当社グループの信用の失墜もしくは損害賠償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 自然災害等のリスクについて

当社の商品センター(物流施設)は大分県津久見市、大分県大分市、新潟県見附市(日本郵便株式会社への委託による。)及び新潟県長岡市(ヤマト運輸株式会社への委託による。)の4箇所であり、また連結子会社である株式会社プティパの製造工場は宮崎県宮崎市の1箇所であり、特定地域に集中しております。

したがって、大規模な地震等の自然災害及び火災等が発生し、当該施設が被害を受けた場合、さらに商品配送のための運送手段の断絶が生じた場合には、物流及び製造機能の停止による事業の停止等が考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは、火災リスク低減のため、定期的に消防設備の点検を行っております。

 

⑪ 小規模組織であることについて

当社グループの従業員数は、当連結会計年度末において96名(非常勤者、休職者及び臨時雇用者を除く。)と少なく、内部管理体制も事業規模に応じて小規模となっております。

そこで、今後の事業拡大を図るにあたり、システム開発及び内部管理体制強化などのために、優秀な人材の確保・育成及びシステム改善を図っております。

しかしながら、優秀な人材の確保・育成及びシステム改善がタイムリーに行えなかった場合、あるいは相当数の(特にシステム開発担当)従業員が短期間のうちに退職もしくは休職をした場合、事業運営及び事業拡大等に重大な支障をきたす恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 特定の人物への依存について

当社の代表取締役会長である佐藤成一は、当社の創業者であり、当社グループの事業推進に中心的な役割を果たしておりましたが、2020年1月より当社の代表取締役社長に黒須綾希子が就任し、当社の事業推進の役割を明確にし、経営方針、営業方針及び財務戦略等の意思決定についても、分散化しております。

当社グループとしては、佐藤成一に対する過度の依存は継続企業としてのリスクと捉えており、今後は、権限委譲や組織的活動の推進、人材の育成等により、当該リスクを軽減していく必要があると考えております。

しかしながら、現時点において、同氏は当社グループにとって余人をもって代えがたい存在であり、同氏に対する依存度は依然高いものといえます。そのため、同氏が何らかの事由により経営活動を行えなくなった場合、もしくは現在の地位から退いた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 関連当事者との取引について

当社グループは、役員及びその近親者が議決権の過半数を所有している会社(関連当事者)である株式会社鳥繁産業との間で商品仕入等の取引がありますが、関連当事者取引が適正に行われているかの管理を行っております。

このうち重要な取引の内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載しております。

 

⑭ 有利子負債への依存について

当社グループにおいては、設備投資及び運転資金等を使途として、有利子負債を有しております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は1,425,413千円(リース債務を含む。)であり、総資産に占める割合は22.2%となっております。当社グループは、合理的かつ実行可能な資金計画に基づき、円滑な有利子負債の弁済に努めてまいります。

しかしながら、今後の金融政策の動向、市場金利の相場、当社グループに対する格付信用力の低下によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ 知的財産権について

当社グループは、主にインターネットを中心とした事業活動を行うにあたって、第三者の著作権等知的財産権を侵害することがないように十分な注意を払っておりますが、万が一、第三者から知的財産権の侵害を受けたとして損害賠償請求などを受けるような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限が徐々に緩和され、経済活動の正常化が進む兆しが見られたものの、ウクライナ危機の長期化や円安の進行に伴う原材料価格やエネルギー価格の高騰等により、生活防衛意識の高まりが個人消費に影響を与える等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 そのような状況のなか、当社グループは、客単価上昇を重視する経営戦略に切り替えており、特に客単価が2倍程度高いBtoB事業へ人的リソースや広告宣伝費を優先投入することによって、BtoB事業が順調に推移いたしました。それに伴い、運賃コストが当初の予想より大幅に改善いたしました。さらに現場の出荷作業も効率化が進み、残業や派遣社員等にかかる人件費も大幅に削減できたことで、利益率の大幅な向上につながりました。

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、6,419,955千円となり、前連結会計年度末に比べ424,204千円増加しました。

 当連結会計年度末における負債は、2,514,909千円となり、前連結会計年度末に比べ127,627千円減少しました。

 当連結会計年度末における純資産は、3,905,046千円となり、前連結会計年度末に比べ551,831千円増加しました。

 なお、詳細につきましては、下記「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は8,615,805千円(前年度比2.6%減)、営業利益は797,875千円(同44.6%増)、経常利益は830,898千円(同42.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は570,906千円(同42.7%増)となり、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を達成いたしました。

 なお、当社グループは、菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業(以下「資材及び雑貨等の販売事業」という。)を主要な事業としており、その他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入金の返済による支出146,844千円などがあったものの、税金等調整前当期純利益832,755千円の計上に加えて、減価償却費124,470千円の計上及び短期借入金の純増額100,000千円などにより、前連結会計年度末に比べ125,903千円増加し、当連結会計年度末には1,787,203千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、445,581千円(前年度比0.3%減)となりました。これは、主に法人税等の支払額216,995千円及び棚卸資産の増加額173,126千円などによる資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益832,755千円及び減価償却費124,470千円の計上などによる資金の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、242,573千円(前年度比77.4%増)となりました。これは、主に貸付けによる支出100,000千円及び保険積立金の積立による支出83,624千円などによる資金の減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、78,044千円(前年度比40.3%減)となりました。これは、主に短期借入金の純増額100,000千円などによる資金の増加に対し、長期借入金の返済による支出146,844千円及び配当金の支払額42,843千円などによる資金の減少によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、資材及び雑貨等の販売事業を主要な事業としており、その他の事業セグメントの重要性が乏しいことにより、セグメント情報の開示を省略しているため、以下の生産実績、販売実績については、取扱商品区分別により記載しております。なお、受注実績については、当社グループは需要予測に基づく見込生産を行っているため、記載をしておりません。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を取扱商品別に示すと、次のとおりであります。

取扱商品別

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

菓子関連の食材等(千円)

1,283,816

103.0

合計(千円)

1,283,816

103.0

(注)上記の金額は、製造原価によっております。

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績を取扱商品別に示すと、次のとおりであります。

取扱商品別

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

鮮度保持剤(千円)

330,051

106.0

菓子関連の包装資材及び生活用雑貨等(千円)

4,086,326

94.0

菓子関連の食材等(千円)

3,873,402

100.1

弁当関連の資材等(容器等)(千円)

167,263

101.1

その他(千円)

158,761

106.3

合計(千円)

8,615,805

97.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1) 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、6,419,955千円となり、前連結会計年度末に比べ424,204千円増加しました。これは主にクリスマス商戦のために棚卸資産が173,126千円増加したことや、現金及び預金が125,903千円増加したことなどによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、2,514,909千円となり、前連結会計年度末に比べ127,627千円減少しました。これは主に短期借入金が100,000千円増加した一方で、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が146,844千円減少したことや、支払手形及び買掛金が130,053千円減少したことなどによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、3,905,046千円となり、前連結会計年度末に比べ551,831千円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益570,906千円を計上したことなどによるものであります。

 

 2) 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度は、巣ごもり需要の鎮静化や、値上げによる家計の圧迫等の影響により、ここ数年事業全体を牽引してきたBtoC事業に対する投資対効果の見通しがつきにくい状況となってまいりました。そのような事業環境の変化を鑑み、お客様一注文当たりの客単価が2倍程度高く、比較的堅調に推移しているBtoB事業へ経営資源を優先投入する経営戦略に切り替えております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は8,615,805千円(前年度比2.6%減)となりました。

 なお、当社グループは、資材及び雑貨等の販売事業を主要な事業としており、その他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。取扱商品別の売上高につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績」に記載のとおりであります。

 

(営業利益)

 当連結会計年度におきましては、ウクライナ情勢及び円安などの影響により仕入価格の上昇が続きましたものの、BtoB事業優先の経営戦略が運賃や現場人件費の削減につながったことなどにより、当連結会計年度における売上原価は5,687,298千円(同6.8%減)、販売費及び一般管理費は2,130,631千円(同2.8%減)となり、営業利益は797,875千円(同44.6%増)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は830,898千円(同42.2%増)となりました。支払利息7,667千円などにより営業外費用13,203千円を計上したものの、営業利益797,875千円の計上に加えて、カタログ協賛金19,541千円などにより営業外収益46,225千円を計上したことによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の税負担261,848千円を計上した結果、570,906千円(同42.7%増)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制及び法的規制など、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 特に、事業環境におきまして、オンラインモールを含めた同業者間による競争激化と消費者の嗜好の多様化並びに人手不足による人件費及び運賃の上昇など、厳しさは依然として増しております。

 そこで、当社グループは、常に消費者のニーズに合った商品及びサービスを展開していくことを始めとして、物流体制の強化及びコスト削減を含めて様々な検討及び対策を行い、経営成績に重要な影響を与えるこれらのリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、事業運営上必要な資本の財源及び資金の流動性を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 資金の調達源は、営業活動により得られた資金を主とし、加えて短期運転資金は金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、原則として金融機関からの固定金利の長期借入もしくは社債発行としております。

 当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,425,413千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,787,203千円となっております。

 資金の流動性の確保としまして、当社グループは、複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)6」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り、判断及び仮定の設定を行っております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、「売上高」、「売上総利益率」、「営業利益」、「経常利益」及び「営業キャッシュ・フロー」としております。

 なお、当連結会計年度における「売上高」は、8,615,805千円となり、「売上総利益率」は、34.0%となりました。また営業利益は797,875千円、経常利益は830,898千円となり、過去最高益を達成いたしました。さらに「営業キャッシュ・フロー」につきましては、445,581千円の獲得となりました。

 これらの分析・検討内容等につきましては、上記「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2023年8月14日開催の取締役会において、アスコット株式会社の全株式を取得して連結子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。