文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社が掲げる企業理念は「日本一質の高いスーパーマーケットをめざします」であります。
消費者ニーズは多様化しています。そのニーズにできる限りきめ細かく対応していくことでお客様の満足度を引き上げたいとの考えによるものです。
道内のスーパーマーケット業界は、長くオーバーストア状態が続いており競合店との競争は激化する一方となっています。また、食品の売り手、という目線で俯瞰すれば、以前から競合しているコンビニエンスストアに加え、ドラッグストアが食品を本格的に扱うようになってきたことやネットスーパーの台頭など新たな競争相手が登場しています。さらに「お客様の食事」という目線で見れば、食品スーパーの総菜は飲食店と競合することとなります。
そのような経営環境下、当社は、「よりおいしくより豊かに」「健康と安心」を不変のこだわりとし次のような取り組みを行うことを決意いたしました。これを実現していくために失敗を恐れずトライを続け、新たに策定した中期経営計画のタイトルとした、「チャレンジャー」として課題に挑んでまいります。
当社は、お客様の多様なニーズに対応するため、「きめ細かな品揃え」「提案型の商品開発」「新たな仕入ルート開発」に力を注ぎ、価格と品質をバランス良く展開してまいります。そのポイントは、高頻度アイテム(生活必需品)と付加価値アイテム(生活充実品)を同時に展開する売場提案にあります。その上で「よりおいしくより豊かに」「健康と安心」にこだわった品揃えを志向していきます。これらの運用に当たり後述する6MDを商品政策の柱としながら営業に当たります。
出店につきましては、生鮮食料品を中心に衣料品を組み合わせたコンビネーションタイプのSSM(スーパー・スーパーマーケット)を主力業態とし、標準タイプといたしましては店舗面積が約1,000坪の店舗を指向しております。出店地域といたしましては札幌市を中心としたその近郊圏、道央・道東圏を優先エリアとしております。また、新たな店舗フォーマットとして人口5千人規模の町村立地への出店を想定し、少人数・低コスト運営で地域密着をテーマとする小商圏タイプの食料品店舗の展開を計画してまいります。
これら設備投資につきましては当面堅実な範囲にて実施することとしており、競合状況及び投資効果等を勘案し、新規出店の検討と並行し既存店の改装を進めてまいります。
当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことにより、インバウンド需要の回復や個人消費が持ち直し、景気は緩やかな回復の傾向が見られました。一方、急激な円安進行や海外経済の減速懸念、ウクライナや中東の不安定な情勢、資源及び資材価格の高止まりが続いており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
スーパーマーケット業界では、原材料の高騰による商品の値上げを背景に、既存店の売上高前年比は回復基調となりましたが、人件費や電気代をはじめとしたコストの高騰は継続しており、極めて厳しい状況が続いております。
当社はこのような状況の中、以下の経営環境の認識のもと、地域顧客のライフラインとしての役割を担いつつ、持続的な事業運営に努めております。当社は北海道全域、札幌市及びその周辺地区に19店舗、また道東地区の網走市、紋別市、美幌町、遠軽町、訓子府町、大空町、湧別町に各1店舗、道北地区の稚内市に1店舗、道南地区の函館市に2店舗、後志地区の岩内町、倶知安町に各1店舗、合計31店舗において生鮮食品、加工食品及び衣料品を主要商品とする地域密着型スーパーマーケットとして事業を展開しております。お客様の年齢層は、現状50代以上のシニア層を中心としておりますが、次世代にあたる30代・40代ファミリー層の顧客開拓にも取り組んでおります。北海道においてスーパーマーケットはすでにオーバーストア状態にあり、いずれの店舗においても競合店やネット通販など異業態との競争にさらされております。当社としましては、商品政策の原則としている6MDの深化により競争相手との差別化を進めお客様の満足度向上に努めてまいります。
当社は、企業の永続のため収益力の強化にフォーカスします。
重点課題として、以下の項目について重点的に対応してまいります。
・ラッキー商品政策の根幹である6MDを深掘りし、お客様のニーズに合致した商品の開発、商品選定基準の設定等により他社との差別化を図ります。
・当社が掲げる6MDとは、
(1) テイスティラッキーMD(おいしさの追求)、
(2) ナチュラルラッキーMD(健康、安心の追求)、
(3) ジャスト適量パックMD(使い切りから大容量まで)、
(4) クイックMD(即食・簡便)、
(5) 地元マルシェMD(ふるさとの味)、
(6) パワープライスMD(暮らしを応援する価格)
の6つとなります。
この中で特に「テイスティラッキー」「ナチュラルラッキー」の2つは当社を当社たらしめる、大原則ととらえています。この2つにこだわり続け、よりおいしいものを、より安心できるものをお届けすることが当社の営業の生命線と認識しています。
・お客様にとって分かり易く、買い易い売場を構成することを徹底します。また、当社独自の商品開発を通じお客様にダイレクトに訴求していくことも目指します。このため、当事業年度より、組織変更を行い、主に新商品開発を担当する「フードコーディネート部」を設置しております。
・魅力のある商品提案、楽しく買いやすい売場構成により、お客様の満足度を上げ、買上点数増加や来店頻度向上を図ります。
・果実・鮮魚などの旬商品やパワープライス商品による価格訴求など、お客様にわかりやすい売場構成を目指します。
・来店いただくにあたり、気持ちよく買っていただける接客の維持も心掛けてまいります。
・30代から40代の世帯形成層をターゲットとして、フードコーディネート部を中心に新商品開発及び商品提案を進めてまいります。
・引き続きターゲット年代を明確にしたSNSを通じたデジタル販促を進めます。
・レシピ動画配信(デジタルサイネージ)を売場各所で展開し、提案型の販売促進を行っています。
・2021年11月のラッキー生鮮・デリカセンター棟の新設に伴い、旧ラッキーデリカセンター棟跡を改装し精肉加工設備を移設いたしました。2022年3月より食肉加工品の製造・供給を開始、法令を遵守した、安心安全な商品供給を最優先としております。
・各店で別々に行っておりました、調理や加工を当センターに集約することでコスト圧縮を実現いたしました。
・当センターでは惣菜を中心に当社オリジナル商品の開発に取り組んでおります。加えて当事業年度から設置した「フードコーディネート部」による、新商品の開発を実施しております。
・業務推進室による継続的なチェックにより、当社全体のオペレーション効率の分析を進めました。ムリムラのあぶりだしを行い、商品の自動発注やシフトの自動作成、従業員退店後の警備作動の自動化などを通じ当社全体の労働時間を数パーセント削減いたしました。作業の見直しによるもののほか、ラッキー生鮮・デリカセンタ―の稼働率上昇も効率化に大きく寄与しております。
・マニュアルの動画化を通じ、人によってやり方にばらつきのあったオペレーション手順を統一し、品質をそろえる取り組みを実施しております。
・2023年10月以降、セルフレジの導入を実施いたしました。このレジ更新により待ち時間の短縮、経費の軽減及びコスト体質改善に取り組んでおります。
・「日本一質の高いスーパーマーケットを目指す」という企業理念実現は、テイスティラッキーMD、ナチュラルラッキーMDによる商品力強化とともに、「感動を与えるサービス」「仕事に対する向上心」が柱となります。
・人的資本充実のため、従業員に対する研修制度を充実してまいります。
・従業員一人一人に対し毎年行っている育成面接を通じ、成長のための課題を個人別に明確化していきます。
・2024年2月期以降、中期経営計画を踏まえ、組織構成の見通しを作成し、社内でどのように必要な人員を育成していくか見える化を行います。また、社内育成が間に合わない見込みとなった部門については早めの中途採用を検討いたします。
・当社は安定的な成長維持のため、2024年2月期から2026年2月期まで、3か年の中期経営計画を策定いたしました。
・この中期経営計画を策定することで3年後、当社がどのような姿になっているかを明確にし、その実現のための課題を浮き彫りにいたしました。
・中期経営計画には、基本となる「収支計画」のほか、「販売計画」「投資計画」「人員計画」「財務計画(調達と返済)」を含んでおります。
・中期経営計画を常に参照することで当社の現在位置や、あるべき姿となるために必要なことを常に確認してまいります。
当社は、目標の達成度を客観的に測定するため、経常利益を経営指標として最も重視しております。そのほか、財務的な安定度を示す自己資本比率、投資効率を示す総資産利益率、投下資本利益率等を重点指標として、中期経営計画において目標値を設定しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
地域密着型のスーパーマーケット事業を主体とする当社にとって、環境、社会、経済に配慮した事業展開を行ったうえで企業価値の向上を目指すサステナビリティ経営の推進は、今後の持続的な企業成長における大きな経営課題であると認識しています。当社におきましては、サステナビリティに係るガバナンスは、従来の企業統治におけるガバナンスと密接に関係しているとの判断のもと、サステナビリティに関する重要事項に関して、月に1回開催される経営会議で審議し、急速に変化し続ける事業環境に対応できる体制を構築しております。経営会議においては、サステナビリティ関連のリスクである気候変動、環境の変化や人的資本、多様性等の課題について、対応策等を検討してまいります。また、取締役会は、当該体制からのサステナビリティに関するリスクや対応策の報告を受け、自社の課題の認識を共有しモニタリングを行い、課題解決推進を図る提言を行うことによる課題解決の役割を担っております。また、当社では次年度以降、社内の各部署担当者によって構成された、サスティナビリティ委員会の設置を検討しております。なお、企業統治におけるガバナンス体制につきましては、「
① サステナビリティに関する戦略
当社は中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題への対応は重要な経営課題であると認識しております。「今も未来も地域のお客様と共にあり続けたい」という北雄ラッキー環境方針のもとに、リサイクル活動の推進や食品ロスの削減、照明のLED化に取り組んでおります。このような取り組みを継続し、サステナブルな社会の実現に貢献出来る様努めてまいります。
② 人的資本に関する戦略
当社は人的資本の多様性は中長期的な企業価値の向上につながる重要な要素であると考えております。当社はスーパーマーケット事業として接客を重視しており、従業員の質の向上こそお客様が本当に望むサービスの提供に資するものと捉えております。そのためには、老若男女を問わない、多様性に富んだ社内人的資本の充実及び全ての従業員が働きやすい社内環境を整備する必要があると考えております。また、残業時間の削減、有給休暇の取得促進など労務環境の改善を継続的に行っております。
当社は、当社経営に係わるリスクを適切に認識・評価するため、「リスク管理規程」を定めており、サステナビリティ経営の推進において想定されるリスクをその他のリスクと合わせて一元的に管理し、必要な対策を講じることとしております。
当社では、人的資本の多様性の確保を図るため、社内環境整備に努めており、人的資本に関する指標及び目標については、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の店舗の新規出店及び既存店の増床等については、「大規模小売店舗立地法」の規制を受けております。同法において店舗面積が1,000㎡以上の新規出店または既存店の売場面積等の変更に対しては、都道府県知事(政令指定都市においては市長)に届出が義務付けられており、届出後、駐車場台数・プラットフォーム面積・悪臭の防止・出入口規制・騒音対策・開閉店時間等、多岐にわたって周辺住民への生活環境に与える影響について審査が求められます。従って、審査の状況及び規制の変更等により、計画どおりの出店や改装ができなくなる場合には当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は、現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、出店及び改装案件について、立地条件や商圏分析の調査と合わせて法規制の内容を詳細に検討し、計画通りに出店するためのリスク管理と進捗管理を適切に実行し、対象地域において良好な関係が築けるよう努めております。
当社は北海道全域に店舗を展開し、札幌市及びその周辺地区に19店舗、また道東地区の網走市、紋別市、美幌町、遠軽町、訓子府町、大空町、湧別町に各1店舗、道北地区の稚内市に1店舗、道南地区の函館市に2店舗、後志地区の岩内町、倶知安町に各1店舗、合計31店舗を擁しております。これら店舗を通じ生鮮食品、加工食品及び衣料品を主要商品とする地域密着型スーパーマーケットとして事業を展開しております。北海道においてスーパーマーケットはすでにオーバーストア状態にあり、いずれの店舗においても競合店やネット通販になど異業態との競争にさらされております。当社といたしましては競合店対策に全力であたることは勿論、当社の特徴を活かした店舗づくりに、これまで以上に力を注ぎ、影響を最小限に留めるべく努力する所存でありますが、今後、当社各店舗の商圏内に更なる新規競合店が出店した場合などには、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性については、その時期を予測することは困難でありますが、当該リスク顕在化の可能性は一定程度あるものと認識しております。当社では、価格・販促政策や顧客サービスの充実及び商品の差別化などの店舗競争力の強化により、当該リスクに対応しております。
近年、輸入食品の安全性、原材料の偽装、産地の偽装、製造年月日の付替え、口蹄疫や鳥インフルエンザ等の家畜伝染病の発生など、消費者の「食の安全」に対し信頼を損ねる事例が発生しております。当社は安全・安心な商品を調達すべく仕入ルートの確保に努めておりますが、このような問題が今後も発生した場合、仕入ルートの変更や価格の変動にさらされる可能性があります。その場合、商品調達が十分にできなくなる場合や相場の高騰による売上不振を招く場合も想定され、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当該リスクが顕在化する可能性は、現時点では一定程度あるものと考えております。当社では、食品の安全性に常日頃から十分な注意を払い、品質管理体制に万全を期しております。また、口蹄疫や鳥インフルエンザ等の不可抗力な疫病が発生する場合は、消費者に正しい情報を掲示等で速やかに示すことで、当該リスクに対応しております。
当社の店舗で販売する商品は、品質保持期限が比較的短い食料品や店内加工を要する食料品が多いため、商品の温度管理や取扱い等をはじめとする衛生管理について厳格な注意を払っており、「食品衛生法」等の法令遵守の徹底及び衛生管理マニュアル、鮮度管理マニュアル、販売基準マニュアルを整備しています。また、社内に安全衛生室を設置し、商品や調理器具の細菌検査などを独自で実施し、食中毒等の未然防止に取組んでおります。
しかし、以上の取組みにもかかわらず、将来食中毒等が発生する可能性は否定できません。食中毒等が発生し、当社の食の安全・安心に対し信頼を損なうような問題が生じた場合には、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性については、時期について予測することは困難でありますが、顕在化する可能性は一定程度あるものと認識しております。当該リスクへの対応については、仕入商品の厳格な検品と品質管理、衛生管理及び鮮度管理などの管理マニュアルに基づくチェック体制の徹底により食中毒の未然防止に努め、万一食中毒が発生した場合には顧客最優先の対応をすることとし、従業員に対する法令や社内ルールの周知徹底を図っております。
マイナンバーを含む個人情報の保護につきましては、根拠法である個人情報保護法等に基づき、個人情報に関する社内規程の整備や従業員教育、管理責任者の設置などを行っております。これらの手立てにより、個人情報保護の徹底を図っておりますが、万一、個人情報が流出した場合には、損害賠償に加え、社会的信用が低下し、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当該リスクへの対応については、「個人情報保護法」の趣旨に則り、社内規程の整備、情報システムのセキュリティ向上、従業員教育の充実等により、管理体制の強化に努めております。
当社では、基幹システムをはじめ各種情報システムを導入し受発注取引情報、顧客情報、従業員の個人情報並びに取引先情報等を管理しております。これにより当社の通常業務のほぼすべてにわたりコンピュータやサーバー、クラウドを用いた処理がなされております。そのため自然災害の発生など不可抗力の事象により通信が途絶し情報システムが機能を失うことや、近年発生が増加しているウイルス感染、不正アクセスによりデータへのアクセスが失われる場合には、各種業務が滞り、経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は、一定程度あるものと認識しており、当社では、これらリスクの対応として、データバックアップ体制の整備、不正アクセスに対する防御システムの構築を中心に安全性を高める試みを行っています。また外部からシステムが攻撃され、損害が発生した場合に備え賠償保険に加入しています。
当社における営業活動は、実店舗での店頭販売が主体であるため、大規模な地震や台風等の自然災害の発生や不慮の事故等により店舗の営業継続に支障をきたす可能性があります。
こうした災害等の発生に対しては、緊急社内体制及び災害対策マニュアル等の整備や事故防止教育を実施しておりますが、大規模な災害等が発生した場合には、当社の営業活動が停止するなど経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当社では、事業活動を継続し社会インフラとしての役割を果たすため、BCPの基本方針や災害対策マニュアル等を整備し、災害による不測の事態に備えるため、避難・防災についての教育訓練を定期的に実施しております。
(8)感染症等に関するリスクについて
① 当該リスクの内容及び当該リスクが経営成績等の状況に与える影響
新型コロナウイルス等の感染症の大規模流行によって当社において人的被害が発生した場合には、お客様や従業員等の人命・安全の確保を最優先事項として、蔓延状況に応じて感染拡大防止のため、店舗営業時間の短縮・一時休業等の措置をとる可能性があります。また、感染予防のための外出自粛及び風評被害などにより客数が著しく減少した場合や取引先企業の事業活動の停止・縮小等により商品供給に支障をきたした場合、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
感染症の大規模流行のリスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、新型コロナウイルス感染症以後も同様の感染症が発生する可能性は一定程度あるものと認識しております。当社では、新型コロナウイルス等の感染症が当社に重大なリスクを与えるものと認識した場合、リスク管理規程に基づき対策本部を設置いたします。感染症予防対策として、従業員の日々の健康チェック、手洗い、消毒、マスクの着用を徹底することとしており、感染者が発生した場合の対策マニュアルを策定しております。また、店舗においては、定期的換気、消毒器の設置、ソーシャルディスタンス確保のためのレジガードの設置などによりお客様及び従業員の安全・安心を優先した予防対策を実施することで当該リスクに対応しております。
「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、当社は当事業年度において74百万円の減損処理を実施いたしました。今後も実質的価値が下落した保有資産や収益性の低い店舗等について減損処理が必要となった場合、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は、常に一定程度あるものと認識しております。当該リスクへの対応については、定期的に減損兆候の判定を行い、実質的価値が下落した保有資産の保有継続可否の検討や不採算店舗の発生把握及び当該店舗の収益性低下の原因究明を行い、速やかな改善計画の策定・実行に努めております。
(10) 差入保証金について
当社では、賃借により出店する場合があります。このため、土地・店舗用建物の契約時に賃貸人に対して保証金を差し入れております。当該店舗に係る差入保証金の残高は、2024年2月末現在7億43百万円(総資産に対し4.2%)であります。
賃貸借契約において、当該保証金は期間満了による契約解消時に一括返還されるか、一定期間経過後数年にわたって均等返還されるのが通例であり、契約毎に返還条件が異なっておりますが、賃貸側の経済的破綻等不測事態の発生により、その一部または全部が回収できなくなる可能性もあります。また、賃借側の都合により期間満了前に中途解約した場合は、契約内容に従って契約違約金の支払いが必要となります。いずれの場合も当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクへの対応については、定期的に賃借条件を見直すこと及び賃貸人の信用状況の把握に努めております。また、店舗の閉店検討の際には、差入保証金の没収、契約違約金等を比較勘案のうえ決定することにより、当該リスクの軽減に努めております。
当社においては、総資産及び売上高に占める有利子負債額が比較的高い水準にあります。総資産額に占める有利子負債の比率は、2023年2月期39.3%、2024年2月期39.1%であり、売上高に対する支払利息の比率は、2023年2月期0.06%、2024年2月期0.06%となっております。そのため、資金調達において、景気動向、金融政策及び海外情勢等による為替相場の影響で、金利の大幅引上げが実施された場合には、支払利息が多額に計上され、当社の経営成績等の状況に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は、一定程度あるものと認識しております。
当社では、金利変動リスクを回避するために、店舗等に係る設備資金は長期借入金又は社債発行による資金調達とし、金利動向を見ながら有利な条件で調達する方針としております。また、設備投資計画において、有利子負債が過度にならないよう配慮し、金利変動リスクが業績に与える影響を低減しております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことにより、インバウンド需要の回復や個人消費が持ち直し、景気は緩やかな回復の傾向が見られました。一方、急激な円安進行や海外経済の減速懸念、ウクライナや中東の不安定な情勢、資源及び資材価格の高止まりが続いており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
スーパーマーケット業界では、原材料の高騰による商品の値上げを背景に、既存店の売上高前年比は回復基調となりましたが、人件費や電気代をはじめとしたコストの高騰は継続しており、極めて厳しい状況が続いております。
このような経営環境下、当事業年度は、以下の重点項目について取組みを行いました。
・競合他社との優位性確保のための商品力強化(6MDの深耕)
・マーケティング力の強化によるストア・ロイヤリティの向上
・ファミリー顧客層の拡大のための商品投下
・ラッキー生鮮・デリカセンターの本格稼働による経費削減効果の顕在化
・適切な設備投資を行うことにより業務効率を改善しローコスト経営を実現
・財務体質の強化
この結果、当事業年度の売上高は379億19百万円(前期比100.5%)、前期と比較し2億4百万円の増加となりました。売上総利益は107億16百万円(同100.8%)、88百万円の増加となりました。売上総利益率は、28.3%と前期比0.1%改善いたしました。
販売費及び一般管理費では、販売手数料が前期比12百万円の増加、賞与引当金繰入額が同13百万円増加、水道光熱費が同12百万円増加しました。一方、雑給が前期比34百万円の減少、地代家賃が同57百万円の減少となり、合計では、前期比99.5%となり55百万円減少しております。
経常利益は、5億35百万円(前期比128.0%)、1億16百万円の増加となりましたが、減損損失74百万円、固定資産除売却損24百万円を特別損失に計上したことで税引前当期純利益は4億36百万円(同215.9%)、2億34百万円の増加となりました。
設備投資につきましては、2023年4月にシティ稚内店、同年10月にシティ紋別店の改装を実施しております。また、経営資源の最適化を図るため、2023年5月にラッキー衣料館手宮店、2024年2月にラッキー発寒店を閉店しております。2024年2月29日現在の店舗数は、31店舗であります。
これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高379億19百万円(前期比0.5%増)、営業利益5億9百万円(同35.5%増)、経常利益5億35百万円(同28.0%増)、当期純利益3億6百万円(同138.8%増)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当事業年度末には5億67百万円(前事業年度の期末残高は6億45百万円)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、5億81百万円(前事業年度は10億90百万円の資金獲得)となりました。
これは主に、預り金の減少が1億23百万円、未払消費税等の減少が1億17百万円、棚卸資産の増加が93百万円であった一方、税引前当期純利益による資金獲得が4億36百万円、減価償却費の計上が4億40百万円であったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、720千円(前事業年度は5億17百万円の資金獲得)となりました。
これは主に、定期預金の預入による支出が1億円、有形固定資産の取得による支出が2億3百万円であった一方、定期預金の払戻による資金獲得が1億円、差入保証金の回収によるものが2億35百万円であったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、6億59百万円(前事業年度は15億54百万円の資金使用)となりました。
これは主に、長期借入れによる資金獲得が12億6百万円であった一方、短期借入金の純減少額が4億円、長期借入金の返済による資金使用が12億57百万円、リース債務の返済による資金使用が1億45百万円であったことなどによるものであります。
当事業年度の販売実績を商品別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当事業年度の仕入実績を商品別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格によっております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(資産合計)
当事業年度末における資産合計は、179億16百万円(前事業年度末176億95百万円)となり、2億20百万円増加いたしました。
その主な要因は、現金及び預金が1億77百万円減少、差入保証金が2億6百万円減少したものの、商品及び製品が86百万円増加、リース資産(純額)が4億19百万円増加したことなどによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計は、123億1百万円(前事業年度末123億66百万円)となり、65百万円減少いたしました。
その主な要因は、リース債務が5億5百万円増加、未払金が87百万円増加したものの、短期借入金が4億円減少、未払消費税等が1億17百万円減少、預り金が1億23百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計は、56億15百万円(前事業年度末53億28百万円)となり、2億86百万円増加いたしました。
その主な要因は、株主配当により63百万円減少したものの、当期純利益の計上が3億6百万円、その他有価証券評価差額金が43百万円増加したことによるものであります。
(売上高)
当事業年度の売上高は、379億19百万円(前期比2億4百万円増加)となりました。当事業年度は前年度からの物価上昇基調が継続となった影響により、客単価及び点単価が上昇いたしました。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、107億16百万円(前期比0.8%増)となりました。売上高と同じく物価上昇基調が継続された影響により、売上総利益、同利益率とも改善しております。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、104億57百万円(前期比0.5%減)となりました。その主な要因は販売手数料が前期比12百万円増加、賞与引当金繰入額が同13百万円増加、水道光熱費が同12百万円増加した一方、雑給が前期比34百万円減少、地代家賃が同57百万円減少となりました。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は、5億35百万円(前期比28.0%増)となりました。売上総利益率が改善したこと、販売費及び一般管理費が減少したことによります。
(特別損益)
当事業年度の特別損失は、減損損失74百万円、固定資産除売却損24百万円、合計では98百万円となりました。これは前期比1億17百万円減少であります。特別利益の計上はありませんでした。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、前事業年度と比較し1億78百万円増加し、3億6百万円(前期比138.8%増)となりました。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、店舗の新装及び改装等の設備投資、ソフトウェア投資等によるものであります。
ロ.財務政策
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用と金融機関からの借入などによる資金調達を行っております。
運転資金につきましては、内部資金の充当及び短期借入金による資金調達を基本としております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金調達計画を作成し、金利動向及び既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の充当で不足する場合は長期借入金又は社債等により資金調達することを基本としております。
一方で、有利子負債を圧縮するため、棚卸資産の適正化により資産効率の改善に取組んでおります。なお、当事業年度においては新規出店はないものの、紋別店及び稚内店の店舗改装の他、全店へセルフレジ導入を実施しており、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、前事業年度末と比較して55百万円増加し、70億8百万円となっております。
2023年度における経営上の目標の達成・進捗状況は以下のとおりです。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5〔経理の状況〕 1〔財務諸表等〕 (1) 財務諸表〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当事業年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
該当事項はありません。