文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」という企業理念(PURPOSE)の下、お客様に最適なソリューションを提供し、新たなビジネス価値を創造するとともに、多様化への取り組みも推進してまいりました。これからも持続的で健全な成長の実現を目指すために、以下の施策を重点的に取り組んでいく所存であります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 対処すべき課題
当社グループは、パーパスである「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」の下、コーポレートボイス「その声に、どうこたえるか。」を策定し、これを体現する取り組みを推進してまいりました。
これからもお客様、従業員、そして社会の幅広い声(課題)に向き合い、多様な人材の活用とパートナーとの共創によりビジネス領域を拡げて、それぞれの声にこたえるとともに、持続的で健全な成長の実現を目指してまいります。

② 財務上の課題
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、2024年2月期の有利子負債依存度は47.7%となっております。市場金利が上昇した場合及び財務制限条項に抵触した場合には、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、2024年2月末現在、連結財政状態計算書にのれんを968億円計上しており、総資産の55.2%を占めております。事業収益性が低下した場合等にはのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(3)経営上の目標とする経営指標
中期経営計画2025で掲げた3つの重点施策「①人材(総力4万人の最大活躍)」「②型化(データ活用の高度化)」「③共創(NEW BPOの領域開拓)」の実現に向け、引き続き多様な人材が長期に渡り活躍できる環境の整備と、生成AI等の活用による新たな価値の創造、並びに当社グループの強みとパートナー企業の知見・技術を融合した新たなBPO領域の開拓を推進してまいります。

(3つの重点施策)
① 人材(総力4万人の最大活躍)
完全在宅オペレーションの推進、適性と仕事のマッチング強化による個の能力の最大化、多様で柔軟な働き方改革の促進等を通じ、成長機会の仕組み化と働く環境の次世代化を目指してまいります。
② 型化(データ活用の高度化)
すべての顧客体験に関わるデータであるCXデータを活用し、コンタクトセンター業務の高度化に加え、顧客ニーズにこたえるITツールのコーディネート、経営支援につながる業務改善へとCX業務を深化してまいります。
③ 共創(NEW BPOの領域開拓)
当社グループの強みである運用力と相互補完するパートナーとの提携を通じ、新BPO領域の創出と拡大を目指してまいります。
(定量目標数値)
2025年度の具体的な数値目標については以下の通りであります。

(1)ガバナンス
当社グループは、2022年6月に取締役会の諮問組織として「サステナビリティ推進委員会」を立ち上げ、最高サステナビリティ責任者(CSO)を配置し、同時にCSOの配下にサステナビリティ推進のための常設の専任組織となる「サステナビリティ推進部」を発足いたしました。また、2023年4月には「サステナビリティ推進基本方針」を制定いたしました。
サステナビリティにかかわるリスクマネジメントと、当社グループのリスクマネジメントを密接に連携させ、当社が2019年に制定したパーパスである「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」ことを実現できる推進体制を構築し、我々が生み出す様々な価値を社会へ還元してまいります。
当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制の状況を模式図で示すと以下の通りとなります。

(2)リスク管理
サステナビリティに関するリスクは年に1回以上、サステナビリティ推進委員会で議論され、全体リスクとともに代表取締役が議長である取締役会に報告が行われます。取締役会では総合的な当社グループのリスクを把握し、重要度を判断し、中長期のロードマップに反映させるとともに施策の実行状況の監督を行っております。
2023年度の開催実績と討議内容
(3)人的資本経営に関する取り組み
当社グループにとっては「人材」が最大の経営資本であり、「企業成長の原動力は従業員」と考えています。このため、サステナビリティ推進における経営上の最重要課題の1つに、「人と働き方の多様性拡大」「人材のパフォーマンス向上」を掲げ、その解決に注力しております。
① 戦略
企業の持続的な成長のために、働く『人』と『環境』に積極投資を行うことで、社員のワークエンゲージメントを最大化させ、『“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある職場の実現』に取り組んでおります。人的資本の数的・質的向上を図ることによって、サービスの質を上げ、顧客に提供し、収益の向上につなげ、社会に還元する、というサイクルを確立し、企業理念(PURPOSE)の実現を目指しております。

② 指標及び目標
当社グループでは、パーパスである「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」のもと、人的資本戦略として、「"プロフェッショナル"が集う、"働きがい"のある職場の実現」を掲げ、企業の持続的な成長・発展のために、働く「人」と「環境」に積極投資を行い、社員のワークエンゲージメント最大化に取り組んでいます。現場と人事部門が連携し、女性活躍推進や人材の多様性確保に関する方針や施策の立案、社員教育や健康経営推進など、様々な取り組みを実施しております。
なお、下記に示すとおり、人的資本戦略の実現に向けた取り組みと人事施策の充実度を評価され、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研及びMS&ADインターリスク総研株式会社が主催する「人的資本調査2023」において、回答企業233社のうち上位30位に入り、「人的資本経営品質2023シルバー」に認定されました。
a 女性活躍推進
人事部門にダイバーシティ・マネジメントの専任組織と全社横断のD&Iプロジェクトを設置し、人事部門と事業部門が一体となって、ダイバーシティに関する経営方針の策定、女性社員のタレント・パイプライン拡大に向けた施策の立案と実行を推進しております。具体的な取り組みとして、女性社員を対象とした、役員メンター制度やキャリアカウンセリング、ビジネス力強化研修を行う他、全管理職の目標管理(MBO)項目に、配下女性社員の育成プラン作成を必須化する等、女性管理職比率を高めるための活動を継続した結果、2024年3月1日時点で、女性役員比率18.2%、女性管理職比率21.2%と、2025年までの目標として掲げた指標を前倒しで達成することができました。これらの全社をあげたD&I推進体制と幅広い取り組みが評価され、D&Iに関する研修・コンサルティング、ダイバーシティ採用支援等を手がける株式会社JobRainbowが実施する「D&Iアワード」において、最高評価である「BEST WORKPLACE」に3年連続で認定され、併せて認定企業の中でもダイバーシティスコアが高く、ロールモデルになるような取り組みを行う企業に贈られる「D&Iアワード賞(大企業部門)」を受賞しております。
(ご参考)
■ベルシステム24、D&I認定制度『D&Iアワード2023』にて「D&Iアワード賞(大企業部門)」を受賞
(2023年12月)
b 多様性のある採用と雇用の維持
経営人材、DXなどの専門人材、営業・コンサルタントなどの中期経営計画2025の3つの重点施策を実現するためのBPO人材及び女性・外国人・シニアなど人材の多様性を強化すべく、キャリア採用にも注力しております。2024年3月時点で、在籍の約75%、管理職においては約70%をキャリア採用者が占めております。また障がい者雇用においても、全社横断のプロジェクトを設置し、障がい者雇用に係る情報・各職場の好事例を横展開する専用イントラサイトの開設や、障がい者雇用について専門家から学ぶカンファレンスの実施など、組織間で連携して障がい者の方々にとって働きがいを高められるような職場づくりに注力し、2024年3月1日時点で障がい者雇用率は3.19%となりました。
c 豊富なキャリアパスと専門力強化
人材育成方針として、「個人と組織のプロフェッショナル化」を掲げ、2025年までに、人材開発のための研修への投資を売上対比0.33%とすることを目標におき、中期経営計画2025の3つの重点施策を実現する人材の育成を後押しするとともに、これからのビジネスで求められるプロフェッショナルとリーダーの継続的な成長を支援しております。中期経営計画2025の実現を図る人材を育成するため、30種を超える多様な職種及び90種の専門研修コンテンツを設定した『キャリアマップ制度』を導入し、全ての職種・階層においてRE-SkillingとUP-Skillingを図っております。
また、オンラインを通じて教育機関が提供する講座を受講できる「MOOC(Massive Open Online Courses)」プログラムや、デジタル・データ活用を推進する専門人材育成プログラムの他、次世代経営幹部候補人材には将来を見据えた戦略思考や行動変容を促すため、他流試合形式のエグゼクティブプログラムや海外研修などの機会を設ける等、従来の階層別研修やフォローアップ研修に加え、人材や志向性の多様化にあわせ、教育制度を進化させ、人材の高度化に取り組んでおります。

中期経営計画2025重点施策の1つである「②型化(データ活用の高度化)」を推進する目的で、人事部門に「デジタル人材戦略部」を新設し、デジタル・データに関するスキル・ノウハウ・資格を有する人材を手上げ形式で公募し配置いたしました。当該部門では、クライアント企業から受けるデジタル・データに係る案件相談・営業提案のほか、サービス高度化に向けたデータ分析支援等を行うことで、事業成長の実現と社内人材の育成機関としても機能を拡充させております。
d 多様な経験の蓄積機会
組織と人材のアジリティを高め、VUCAの時代においても企業として成長し続けることを目的に、組織を跨ぐローテーションや異なる経験を積むための機会提供にも積極的に取り組んでおります。自らが思い描くキャリアを切り拓く機会としての「社内公募制度」「社内副業制度」「社外副業制度」を実施するほか、異なる環境下において自身のスキル・経験を再現できる汎用力を強化するための「本部間異動」、グループ会社出向や海外駐在、コーポレート部門への配置など多様な専門知識とスキルを身に付けるための「戦略配置」といった、各種ローテーション施策にて、自分の核となる深い専門性を備えた領域を持ちながらも、担当領域に直接・間接的に関係する周辺領域について幅広い知識・知見を持つ人材の育成を推進しております。
(注) 1.提出会社及び主要な連結子会社ベルシステム24の合算値であります。
2.割合は、提出会社及び主要な連結子会社ベルシステム24の2024年2月29日時点の正社員を母数としております。
e キャリア形成
従業員のキャリア意識の醸成に向け、年1回の「自己申告制度」に加え、業務から離れた視点でキャリアプラン形成のサポートとなるよう、二階層上の役職者もしくは組織ライン以外の役職者がメンタリングする『Skip Level Meeting』を年2回実施しております。
f 健康経営
多様な人材の働きやすさを向上させるためには、従業員の健康づくりが基礎であるという考えのもと、健康経営を積極的に推進し、生き生きと働くことのできる環境の創出を進めております。具体的には、経営トップによる健康経営宣言や健康経営戦略マップの策定など、当社グループの健康経営について明文化するとともに、健康投資に関する情報開示を積極的に行いました。
■健康経営戦略マップ

また、管理職向けに、健康経営に関連するeラーニングや、「女性の健康とウェルビーイング」をテーマとした社内セミナーの開催など健康に関する学びの機会を提供しております。加えて、社内ネットワーキングコミュニティでのチーム対抗ウォーキングイベントなどのスポーツ関連の取り組みや、社内での健康増進に関する発信、管理栄養士の資格を持つ従業員による食生活に関する発信などを定期的に行うことで、従業員の健康づくりを啓発しております。
これらの取り組みの結果、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2024」の大規模法人部門において、「健康経営優良法人2024」に2年連続で認定されました。
(ご参考)
■ベルシステム24、経済産業省と日本健康会議より「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に2年連続 で認定
(2024年3月)
g 有期契約社員・無期契約社員に関する人事制度
社員の働きがいを高めることは当社グループにとって重要なテーマと捉え、多様な人事制度の整備に努めております。具体的には、本人の希望にもとづき、入社6ヶ月経過等の条件を満たせば、無期契約社員として採用する「無期雇用制度」や、得意なことを活かしながらキャリアアップを目指す「スペシャリストコース」の設置、また向上心の高い有期社員向けに「昇進ステップを多段化」し、働き方に合わせた緩やかなスロープをつくるなど、様々な領域で能力・スキルを持つ人材を発掘するとともに、働きがいを高め、定着率を高めております。また「正社員登用制度」を導入し、全社として年1~2回選考・審査を行い、多様な職種で活躍する人材の雇用の創出にも取り組んでおります。
(4)気候変動/TCFD提言への取り組み
① ガバナンス
当社グループは、2019年にマテリアリティ及び環境方針を取締役会で議決いたしました。マテリアリティの中では解決すべき社会課題の1つとして環境保護を定義しております。気候変動への対応がグローバルで進む中、当社グループは気候変動が経営や社会に及ぼすインパクトを評価し、カーボン・ニュートラルを柱とした積極的な対応を推進しております。また、これらのマネジメントを適切かつ効果的に行うガバナンス体制を構築しております。気候変動関連課題の審議・議論を行うために取締役会が設置したサステナビリティ推進委員会の委員長は代表取締役 社長執行役員が務めており、取締役会は気候変動に関するリスクや課題のモニタリング及び監督を行っております。当委員会は主にサステナビリティ推進部及びCSO(最高サステナビリティ責任者)から報告を受け、気候変動関連の課題をモニタリングし、対応の方向性を議論しております。
当社グループの気候変動に関するガバナンス体制の状況を模式図で示すと以下の通りとなります。

② 戦略
当社グループのビジネスモデルは、いわゆるコール・センターのモデルが売上のほぼすべてを占めております。約40拠点のうち自社資産は2拠点であり、それ以外は賃貸契約のテナントとして、すべて屋内での操業を行っております。オペレーターは各拠点へ通勤して業務を行っており、一部は在宅型の業務となっております。売上と利益は基本的に従業員数及び拠点数に比例している度合いが大きいモデルとなります。将来の気温上昇が4℃のシナリオと2℃未満のシナリオを選び、リスク・機会の分析を行い、今後の戦略への影響を評価いたしました。戦略への示唆としては「移行コスト増加により生じる可能性のある、価格上昇を原因とする需要減少は軽微である」「拠点被災等の物理的被害の増加による稼働率低下はコントロール可能な余裕範囲に留まる」「気温上昇による当社グループのサービスへの需要及び収益への直接の影響は小さいが、気候変動への対応不足によるブランドや人材採用への影響はコントロールを強化すべき要素である」「総合的にみて当社グループが気候変動に対して積極的な経営姿勢を持つことにより機会がリスクを上回るととらえる」とし、いずれのシナリオにおいても、当社グループの財務に対する大きなマイナスのリスクは短期的(~2025年)にも中長期的(~2040年)にも無いと判断いたしました。当社グループの事業モデルは、環境への或いは環境からの影響が極めて小さいと考えております。一方で、社会的責任や営利事業の本来あるべき姿を真摯に考え、当社グループは気候変動について積極的な対応を今後も続けてまいります。
③ リスク管理
気候変動担当取締役は取締役会のメンバーとしてサステナビリティ推進委員会からの報告を受けることで課題のモニタリングを行います。また、当社グループのリスク管理を統括するCRO(最高リスク責任者)も配置され、CSO(最高サステナビリティ責任者)から気候変動を含めたすべてのサステナビリティのリスクからの報告を受けることによって、気候変動のリスクを管理しています。CSOは配下に常設の専任部門としてサステナビリティ推進部を持ち、CSOは当部を通じて日常的に気候変動に関する課題やリスクをモニタリング・監督しております。サステナビリティ推進委員会は代表取締役 社長執行役員を委員長として、メンバーは取締役 副社長執行役員、取締役 常務執行役員(経営企画、気候変動担当)、執行役員CFO、常勤監査役、常務執行役員CIO・CTO・CSO・CROで構成されております。当委員会の運営担当役員はCSOであり、運営事務局はCSO配下の常設専任部署であるサステナビリティ推進部が行っております。当委員会は主にサステナビリティ推進部及びCSOから報告を受け、気候変動関連の課題をモニタリングし、対応の方向性を議論しております。
④ 指標及び目標
当社グループは2022年に「気候変動に対する方針」を制定し、2040年までのカーボン・ニュートラル化(ネット・ゼロ)を目指しております。中期目標としては、2025年までに当社グループの温室効果ガス排出量を2019年対比で30%削減、2030年までに2019年対比で50%削減することを定めております。その実現に向けた具体的な各年度の目標値や実績値は定期的に開示を行ってまいります。
気候変動/TCFD提言への取り組みの詳細については、当社グループの公式ホームページに掲載しております。
(URL)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)経営リスクマネジメント体制
① 当社グループにおける経営リスクマネジメントは、「『経営戦略と経営リスクは表裏一体』という考えの下、マテリアリティを起点として、当社グループの健全で持続的な成長を妨げる重要な経営リスクを適切にコントロールし、マテリアリティの実現可能性を高めることにより、企業価値の向上を実現すること」を目的と掲げ、全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management : ERM)体制を整備しております。その体制といたしましては、CRO(最高リスク責任者)を担うリスクマネジメント管掌執行役員を任命するとともに、リスクマネジメント管掌執行役員が管掌するリスクマネジメント部を専任部署として設置しております。同部は、当社グループにおける経営リスクマネジメントにかかる運用を実施することにしております。また、リスクマネジメント委員会の役割を明確化するとともに、当該運用にかかる実効性を確保するため、『リスクマネジメント委員会規程』を制定しております。
② 当社グループの経営リスクマネジメント体制を模式図で示すと以下の通りとなります。

① 取締役会は、当連結会計年度において、CROが経営リスクの変動状況を把握し、必要に応じた対策を講じることを可能にするためのリスクマネジメントプロセスを構築いたしました。
平時における対応といたしましては、各部門・会議体・委員会において把握している経営リスクに関する情報をCROに連携するとともに、各リスクオーナー・リスク管理部門におけるリスク管理の状況をCROがヒヤリングすることで、CROが経営リスクの変動状況を把握することを可能にしております。
また、有事の際には、リスクマネジメント委員会を速やかに開催し、発生したリスクの関連部門で構成される対応組織(危機対応組織)を組成するとともに、CROが危機対応組織を指揮して、初動対応等を実施することにしております。

① リスクマネジメント委員会は、経営リスクアセスメントの結果を分析し、抽出された各リスクを適切に管理するため、次の通り分類することにしております。
ⅰ トップリスク:経営リスク及び主要リスクのうち、取締役会が特に注力を必要とするリスク
ⅱ 経営リスク :当社グループにおける当社グループの健全で持続的な成長やマテリアリティの実現を妨げるおそれのあるリスク
ⅲ 主要リスク :当社グループの各事業の運営において発生するリスクであって、定常的な管理を必要とするリスク
また、抽出された各リスクの「当社グループの事業に与える影響度」及び「発生可能性」の観点を踏まえたリスクマップを策定いたしました。有価証券報告書提出日現在におけるリスクマップは、下図の通りであります。

有価証券報告書提出日現在における当社グループにおけるトップリスクと判断したリスクは、次の通りであります。
トップリスクは、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクと考えております。なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種施策の効果もあり、個人消費や設備投資の持ち直しが続いていることから緩やかな景気回復の動きが見られました。一方で、中東地域をめぐる情勢の深刻化・長期化によって原油価格の更なる上昇につながり、我が国の物価・経済に影響を及ぼし得るため注意が必要な状況が続いております。また、各企業の業況が回復しているのに伴い業種や規模に関わらず人手不足への対応が課題となっております。
そのような環境の下、当社グループの主力事業であるCRM(Customer Relationship Management)事業は成熟期を迎えており、周辺領域への事業拡大が重要となっております。他社との差別化を図るために、顧客接点多様化に伴う対応領域の拡大とVOC(Voice Of Customer)などを駆使したデータ活用により、業務品質や付加価値の向上に努めるとともに、新たな事業への領域開拓が求められております。
当連結会計年度においては、中期経営計画で掲げた「人材(総力4万人の最大活躍)」「型化(データ活用の高度化)」「共創(NEW BPOの領域開拓)」の3つの重点施策を推進することで、持続的な成長の実現を目指してまいりました。
データ活用の高度化においては、コンタクトセンターに蓄積されるVOCに加えたあらゆる顧客接点のデータを利活用することで、最適なCX(Customer Experience)を一貫して実現するデータマーケティング事業の推進に向け、株式会社シンカー(以下、「㈱シンカー」)を子会社化いたしました。これまでのマーケティング領域での豊富な知見やソリューションを持つパートナーとの協業に加え、㈱シンカーとの連携により、当社グループが保有する年間5億件の膨大なVOCやCRMデータを活用した、あらゆる顧客接点での適切なアクションかつ、成果が持続するマーケティングモデルの構築を目指し、クライアント企業の最適なCXコミュニケーションを支援してまいります。
また、コンタクトセンタービジネスの変革に向け、日本マイクロソフト株式会社及びグーグル・クラウド・ジャパン合同会社とともに生成AIを活用したコンタクトセンター業務の実証実験を共同で実施いたしました。この実証実験における実績を基に、当社が目指す「ヒト」と「AI」の連携による「ほぼ自動化」を実現するハイブリッド型のコンタクトセンターオートメーションの構築を推進してまいります。さらに、最先端のAIプラットフォームの開発・提供事業を展開する台湾のIntumit Inc.と、顧客対応の自動化を実現するソリューションの開発・提供と運用連携を目的に、業務提携契約を締結いたしました。これにより、台湾を皮切りに日本・ベトナム・タイなどの各国に向けた新たな共同サービスの開発を行うことに加え、両社の顧客に向けた販路拡大を進めてまいります。
NEW BPOの領域開拓においては、株式会社Blueship(以下、「㈱Blueship」)とともに神奈川県藤沢市のデジタル市役所の実現に向けた「藤沢市コンタクトセンター」を開設し、2023年10月1日より運用を開始いたしました。㈱Blueshipは自治体の課題に沿ったDXサービスの提供を推進し、住民サービスの向上及び自治体職員の負担軽減を支援しており、当社グループの持つ業務改革支援や、生成AIや音声認識などの最新ソリューションの導入、DX人材育成サポートなどの知見と掛け合わせることで、自治体ならではの課題に沿ったDXサービスの提供を推進し、住民サービスの向上及び自治体職員の負担軽減を支援してまいります。
また、フィンテック事業を展開するナッジ株式会社とクレジットカード市場向けの新サービス提供に向けた資本業務提携契約を締結し、クレジットカード利用者向けのカスタマーサポートや提携クレジットカード発行先に向けた新たなサービス開発などの検討を共同で進めております。その他、一次産業において養豚業界のDX化を推進する株式会社Eco-Porkと養豚現場の課題を解決する新サービスの創出・展開に向けた資本業務提携契約を締結するなど、今後も当社グループの強みとパートナー企業の知見・技術を融合し、NEW BPOの領域開拓を推進してまいります。
海外においては、ASEANを海外拠点の重点エリアと位置づけ、ベトナム・台湾・タイでの事業拡大に注力しました。具体的にはグループ会社でベトナム国内12拠点にてコンタクトセンター事業を展開する「Bellsystem24-Hoa Sao Joint Stock Company」への追加出資により子会社化しました。また、それに伴い社名を「BELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.」に変更しました。また、先述の台湾のIntumit Inc.との顧客対応の自動化を実現するソリューションの開発・提供と運用連携を目的とした業務提携契約の締結により、台湾を皮切りに日本・ベトナム・タイなどの各国に向けた新たな共同サービスの開発を行うことに加え、両社の顧客に向けた販路拡大を進めてまいります。海外においては、今後も現地企業 のほか、現地に進出する多くのお客様企業の売上拡大・コスト最適化を支援するサービスを拡大してまいります。
総力4万人の最大活躍という点では、在宅コンタクトセンターの積極的な推進とともに、これまで担ってきた知見を活かし、コンタクトセンター業務の在宅化に課題を抱える企業に対して、最適な在宅化のグランドデザイン設計や具体的なプロセスの策定を行う「在宅業務コンサルティングサービス」の提供を開始いたしました。また、LGBTQ+(LGBTQ等の性的少数者)に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体work with Prideが策定した企業・団体等職場におけるLGBTQ+への取り組みの評価指標「PRIDE指標2023」にて、5年連続最高位である「ゴールド」を受賞しました。
さらに、D&Iに関する研修・コンサルティング、ダイバーシティ採用支援等を手がける株式会社JobRainbowが実施する「D&Iアワード」において、最高評価である「BEST WORKPLACE」に3年連続で認定され、併せて認定企業の中でもダイバーシティスコアが高く、ロールモデルになるような取り組みを行う企業に贈られる「D&Iアワード賞(大企業部門)」を受賞しております。当社グループは、多様なバックグラウンドを持つ従業員が安心して、長期に亘って勤務できる環境の創出に向け、社内外の環境整備にこれからも取り組んでまいります。
当社グループは、多様なバックグラウンドを持つ従業員が安心して、長期に亘って勤務できる環境の創出に向け、社内外の環境整備にこれからも取り組んでまいります。
その他、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みとしては、2040年のカーボン・ニュートラル化に向けて、気候変動方針での中期目標の対象施設である自社コンタクトセンターの松江ソリューションセンターと神戸ソリューションセンターの2拠点及びデータセンターに再生可能エネルギーを導入いたしました。当社グループは事業活動を通じた環境負荷の低減と、持続可能な社会の実現に向け「サステナブル・センター構想」を進めており、「ヒト」「エネルギー」「モノ」の3つの領域をテーマに、サステナブルな取り組みを推進しております。結果として、ESGのグローバル基準を満たす日本企業を対象とした株価指数「FTSE Blossom Japan Index」及び「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されました。当社として、「FTSEBlossom Japan Index」は初めての選定となり、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」は2年連続の選定となっております。
今後もESGへの取り組みを当社グループの成長戦略の重要な要素として位置づけ、社会への貢献と、その実践を通じた当社グループの成長の両方につなげてまいります。
各セグメントの業績は以下の通りであります。
(CRM事業)
前連結会計年度からの既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事株式会社及びTOPPAN株式会社との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したもののスポット需要による売上が減少したことにより、売上収益は前年同期比で減収となりました。また利益面では収益改善活動による効果等もありましたが、高収益のコロナ等国策関連業務が大きく縮小し、税引前利益は前年同期比で減益となりました。
この結果、CRM事業の売上収益は1,481億7百万円(前年同期比4.5%減)、税引前利益は109億85百万円(同21.0%減)となりました。
(その他)
コンテンツ販売収入が減少したため、その他のセグメントの売上収益は6億10百万円(前年同期比32.0%減)、税引前利益は2億40百万円(同6.7%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,487億17百万円(前年同期比4.7%減)、税引前利益は112億25百万円(同20.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は75億45百万円(同19.1%減)となりました。
当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億15百万円増加し、72億13百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、135億87百万円となりました(前年同期は181億72百万円の収入)。これは主に、税引前利益が112億25百万円、減価償却費及び償却費が91億71百万円、営業債権の減少が25億77百万円、法人所得税の支払額が49億42百万円、営業債務の減少が21億66百万円、段階取得に係る差益が8億38百万円及び未払消費税の減少が7億43百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、30億97百万円となりました(前年同期は18億3百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出が13億79百万円、無形資産の取得による支出が8億17百万円及び有価証券の取得による支出が6億51百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、102億86百万円となりました(前年同期は155億83百万円の支出)。これは主に、短期借入金の増加が44億円、長期借入れによる収入が40億円、長期借入金の返済による支出が70億43百万円、リース負債の返済による支出が69億11百万円及び配当金の支払額が46億44百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りであります。
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.3 重要性がある会計方針及び3 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及びTOPPAN㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したもののスポット需要による売上が減少したことにより、前連結会計年度に比べて73億37百万円減少(前年同期比4.7%減)し、1,487億17百万円となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、収益改善活動による効果等もありましたが、高収益のコロナ等国策関連業務が大きく縮小し、前連結会計年度に比べて、48億23百万円減少(前連結会計年度比15.1%減)し、271億39百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主に人件費等が減少したことにより、前連結会計年度に比べて、6億33百万円減少(前連結会計年度比3.7%減)し、165億98百万円となりました。
④ その他の収益及び費用
当連結会計年度のその他の収益及び費用の純額は、段階取得に係る差益8億38百万円の計上により9億38百万円の収益(前連結会計年度は1億86百万円の収益)となりました。
⑤ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、主に売上収益及び売上総利益が減少したことにより、前連結会計年度に比べて、34億38百万円減少(前連結会計年度比23.0%減)し、114億79百万円となりました。
⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益
当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益の純額は、2億54百万円の費用(前連結会計年度は7億60百万円の費用)となりました。
⑦ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の減少等により、前連結会計年度に比べて、29億32百万円減少(前連結会計年度比20.7%減)し、112億25百万円となりました。
⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の減少があったものの、税引前利益が減少したことにより、前連結会計年度に比べて、17億85百万円減少(前連結会計年度比19.1%減)し、75億45百万円となりました。
流動資産は、主に営業債権が20億37百万円及びその他の短期金融資産が7億59百万円減少したため、前連結会計年度末より23億76百万円減少し、282億97百万円となりました。
非流動資産は、主に有形固定資産が11億79百万円、持分法で処理されている投資が4億93百万円及び繰延税金資産が2億63百万円それぞれ減少しましたが、のれんが18億72百万円、無形資産が12億1百万円及びその他の長期金融資産が4億80百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より15億91百万円増加し、1,471億68百万円となりました。
これらにより、資産合計は前連結会計年度末より7億85百万円減少し、1,754億65百万円となりました。
流動負債は、主に営業債務が21億3百万円、未払法人所得税が18億8百万円、その他の流動負債が8億6百万円及び未払従業員給付が4億31百万円減少しましたが、借入金が64億円及びその他の短期金融負債が10億64百万円増加したため、前連結会計年度末より23億61百万円増加し、485億99百万円となりました。
非流動負債は、引当金が5億75百万円増加しましたが、長期借入金が49億87百万円及びその他の長期金融負債が17億78百万円減少したため、前連結会計年度末より59億74百万円減少し、591億27百万円となりました。
これらにより、負債合計は前連結会計年度末より36億13百万円減少し、1,077億26百万円となりました。
資本は、主に資本剰余金が50億94百万円減少しましたが、利益剰余金が75億45百万円及び非支配株主持分が3億22百万円増加したため、前連結会計年度末より28億28百万円増加し、677億39百万円となりました。
資金需要及び資金調達については、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、クライアント企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。
対応策といたしましては、当社グループが約40年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努めることで業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、併せて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、今後も戦略型のCRM事業の開発や新しいソリューションを提供し続け、顧客企業とともに成長できるパートナーへの進化を目指してまいります。
当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は1兆円を超え、2022年度以降年平均成長率5%程度で拡大すると予測されており、2026年度には1兆3,060億円になると推定されております。また、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続く中、2023年には大手コンタクトセンター事業者の経営統合が発表され、新たな付加価値を持つ事業体に変貌する期待が寄せられております。(出典:デロイトトーマツミック経済研究所株式会社「BPO総市場の現状と展望2022年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第17版)」)。そうした中にあり、上位の競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、海外市場の開拓、グループシナジーの活用、他社リプレイスの積極展開、「ヒト」と「AI」の連携によるハイブリッド型のコンタクトセンターオートメーションによって差別化を図ろうとしているものと考えられますが、当社グループにおいては、引き続き当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に軸足を置き、成長路線を描いていく方針であります。
当該市場は上述の通り上位数社で過半のシェアを占める一方、差別化を図るために、音声基盤を軸にした顧客接点の拡大と、オペレーション業務の効率化、VOCなどを駆使したデータ活用などが重要であるとともに、音声認識、感情解析、生成AIなどに対する従業員のリテラシーとスキルが必要不可欠になってくると言われております。このようなデータ活用の高度化を進め、業務品質や付加価値の向上に努め、高い利益率が見込めるソリューションモデルが新たな事業の柱となる可能性があります。
当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、約40年にわたり培った「対話力」、生成AIなどの新技術による「データの活用」、困難な課題にも一丸となって取り組む「チームワーク」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及びTOPPANグループ等、パートナーとの営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループやTOPPANグループの多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。
株主に対しては、利益還元を最重要課題の一つとして認識しており、剰余金の配当を安定かつ継続的に実施し、業績の進捗状況に応じて配当性向及び必要な内部留保の充実等を総合的に勘案した上で、中期的には親会社所有者に帰属する当期利益をベースに、連結配当性向50%を目標として、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。
また、従業員に対しては、“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある企業の実現に向けて、新たな人事制度、人材育成施策の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、D&Iと健康経営の更なる推進を図り、多様な人材の活躍を促進してまいります。
さらに、生成AI等の新技術を活用した自動化対応への取り組みと人特有のホスピタリティー溢れる価値提供を通じたハイブリッド運用により、クライアントが感動するCXを実現する他、クライアントへの最適なソリューション提供により、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。
「中期経営計画2025」に掲げた生成AI等の活用による新たな価値の創造、並びに当社グループの強みとパートナー企業の知見・技術を融合した新たな総合BPO領域の開拓を推進し引き続き事業基盤を強化してまいります。
当社及び株式会社ベルシステム24は、ベトナムにおけるCRM事業の拡大を目的に、2022年12月21日付で株式譲渡契約に基づき、Bellsystem24-Hoa Sao Joint Stock Companyの発行済株式31.0%を2023年3月30日付で追加取得いたしました。なお、 同日、Bellsystem24-Hoa Sao Joint Stock Companyは、商号をBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.に変更しております。
① 被取得企業の概要(株式取得時点の概要)
② 企業結合の法的形式
現金を対価とする株式の取得
③ 株式譲渡契約の相手先
Pham My Linh氏及び個人株主2名
④ 株式譲渡契約締結日
2022年12月21日
⑤ 取得日
2023年3月30日
⑥ 議決権比率
⑦ 被取得企業の資産負債の概要(2023年3月30日現在)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 33.企業結合等」をご参照下さい。
⑧ 取得資金の調達
自己資金を充当しております。
該当事項はありません。