第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、著作物を公正利用のもと、出来るだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッションに、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展、及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容拡大と企業価値の向上に取り組んでおります。また、日本国著作権法第一章 総則の第一条に謳われる『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化されて数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全なる創造サイクル”の構築を目指して事業を行っております。

 

(2)中長期の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2022年4月に、2023年2月期を初年度とする5カ年(2023年2月期~2027年2月期)の中期経営計画(※)を策定し、“Publishing Platformer”としてコンテンツ業界のDXを支えるべく事業を推進しております。

 当社グループが持つ最大の「強み」は、電子書籍流通における圧倒的なポジションだと考えております。具体的には、当社グループの取引先は、出版社2,200社以上、電子書店150店以上を数え、流通総額は1,700億円(2024年2月期時点)、電子書籍における流通シェアは約3割(いずれも当社試算)と流通の中核機能を担っていること、加えて、大手出版社の株式会社小学館、株式会社講談社、株式会社集英社等(保有株数順)や紙書籍取次大手の株式会社トーハンが当社株主として参画しており、業界からの支援を得られることなどがあります。当社グループの強みであり最大の資産でもある圧倒的なポジションを生かしながら、正規版を取り扱うことができる取引先との信頼関係とともに、電子書籍流通事業に次ぐ第二の収益軸の構築に向け戦略投資事業として4つの事業を展開しております。

(※)中期経営計画における業績目標数値については昨今の外部・内部環境を踏まえ見直し中です。

 

 [経営戦略]

 ① 紙書籍も含めた出版業界における地位固めと新規事業の収益化による第二の事業軸の確立

 当社グループは、各事業を電子書籍流通事業及び戦略投資事業の2つ、さらに戦略投資事業を4つのセグメントに分類し、中期経営計画において以下の取組みを進めております。

イ.電子書籍流通事業

 a)電子書籍流通事業

 アライアンスパートナーとの電子書店のシステム運営と、さらなる流通カロリー抑制と機能追加により、業界のインフラとしての役割の強化を目指すべく、以下の施策を実施。

・流通カロリーの抑制による電子書籍市場拡大

・顧客密着型対応、システム連携強化によるシェア拡大

・データマーケティングなど新たな機能追加

・新規商材の確立と文字もの電子書籍市場拡大

・アライアンス電子書店の運営

ロ.戦略投資事業

 b)インプリント事業

 グループ連携によるコンテンツ制作と出版プラットフォーム機能の強化・拡大を目指すべく、以下の施策を実施。

・出版社である日本文芸社や小説投稿サイトのエブリスタを中心として、コンテンツを生み出す強固な仕組みを確立

・出版プラットフォーム機能の強化

・メディアミックスの推進

 c)IP・ソリューション事業

業界連携による新たな事業機会模索を目指すべく、以下の施策を実施。

・ビジネス書の要約サイトを運営するフライヤーの法人契約強化

・トーハンとの連携による電子図書館の推進や、紙書籍も含めた出版DXの推進

・POD事業合弁会社設立など新たなアライアンス推進

 d)国際事業

 Publishing Service Platformとして、世界におけるメディアドゥグループの存在感の向上を目指すべく、以下の施策を実施。

・出版インフラ機能としてのグローバルでの地位確立

・新規サービスの世界展開/日本へのDX事例導入

・Media Do Internationalの機能・体制拡充

 e)FanTop事業

 IPホルダーやファンとのつながりの深化と日本発の正規版NFTコンテンツ流通の実現を目指すべく、以下の施策を実施。

・出版社との協業により、NFTデジタル特典付き出版物の流通を促進

・著者やクリエイターへの印税分配を可能にするNFTエコシステムの実現

・エアドロップ機能追加による出版業界以外へのアプローチ

・コンテンツホルダーとファンのダイレクトコミュニケーション

 

 ② 経営基盤の強化

イ.連結経営の強化

ロ.優秀な人材の確保

ハ.ミッション・ビジョンを軸にしたESG重点テーマへの対応

「環境」

・当社グループが事業活動において利用する資源・エネルギーの効率化

・電子書籍の利用拡大による紙使用量削減と物流に係るエネルギー消費量の抑制

「社会」

・企業理念に基づく事業活動の遂行(著作物の公正利用と頒布)

・著作者、出版社、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できるシステム基盤の構築と強化

・地方創生と地域社会活性化

「ガバナンス」

・サステナビリティ推進委員会による統合型リスク管理の推進と社会課題を踏まえた事業機会の最大化とリスクの極小化

・様々なステークホルダーとの対話を通じたコーポレート・ガバナンスの強化

・コンプライアンス及びリスクマネジメント強化

 

 [財務戦略・資源配分計画]

 当社グループは、高い資本効率と財務健全性のバランスを重視し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。また、中期的には事業の収益創出力の強化と規律あるキャッシュ・フローマネジメントにより、持続的な成長サイクルの実現を目指しております。

 引き続き、有利子負債の返済や利益積み上げを通じた自己資本比率の改善により財務健全性を向上させていくほか、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減を図ってまいります。また、財務レバレッジを考慮しつつ負債の規律ある活用も進めることにより、資本効率を向上させながら企業価値の創出に努めてまいります。

 設備投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資、特にシステム開発を積極的に推進してまいります。なお、各年度の設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、強固な財務体質を維持し、十分な水準の手元流動性を確保してまいります。

 

 ① 経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、当連結会計年度においては連結売上高の91.9%を電子書籍流通事業にて計上しております。電子書籍市場は将来にわたって拡大が見込まれることから、経営資源(人材、投資)は今後も一定程度、電子書籍流通事業に投下する方針であります。

 一方で、グループ全体における電子書籍流通事業への偏重がリスクにもなり得るとの認識から、戦略投資事業への経営資源の配分が、グループ全体の企業価値向上にも資するものと考え、回収可能性や、手元現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フローを十分に考慮したうえで、投資を実行してまいります。

 更に当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識するとともに、将来の持続的な成長に必要な設備投資等や経営基盤の強化も重要な経営目標と考えております。そのため、内部留保を確保しつつ、財政状態及び業績動向等、経営状態を総合的に判断して利益配当を行っていくことを基本方針としております。

 この方針に基づき、株主の皆様への利益還元については、配当及び自社株式の取得による総還元性向(注)30%以上を念頭に置き、配当と自己株式の取得の配分は、株価水準等に応じて判断いたします。

(注)総還元性向=(配当支払総額+自己株式取得総額)/親会社株主に帰属する当期純利益

 

 ② 資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、事業運営にかかる人件費や業務委託費、広告宣伝費などがあります。また、投資活動に係る資金支出は、競争力の維持・強化に向けたシステム開発などがあります。

 

 ③ 資金調達

 当社グループにおける設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としております。そのため、事業活動の維持拡大において外部資金が必要となる可能性は低いものと認識しております。

 一方、今後において、更なる企業価値向上に資するM&A等のための追加的な資金需要が生じる可能性もあります。その際には、内部資金及び外部資金を有効に活用することとしますが、外部資金が必要となる場合には、高い資本効率と財務健全性とのバランスを考慮のうえ、最適な資金調達手段を選択いたします。

 

 [経営目標]

連結

2023年2月期

実績

2024年2月期

実績

2025年2月期

計画

売上高

1,016億円

940億円

980億円

営業利益

23.9億円

20.6億円

23.0億円

EBITDA

38.6億円

33.9億円

35.6億円

親会社株主に帰属する当期純利益

10.5億円

△3.1億円

13.3億円

RОE

6.3%

△1.9%

8.0%

 

 [対処すべき課題]

 当社グループを取り巻く外部・内部環境はここ数年で大きく変化しています。具体的には、マンガをはじめとした電子書籍が広く人々の生活に浸透し、電子書籍市場は成長期から次第に成熟期を迎えております。こうした状況下において、取り扱うキャンペーン管理数の急増や運用の煩雑化によって取引先から当社に期待される役割も変化しています。

 

 ① 基盤システム・情報セキュリティの強化

 電子書籍流通事業における取次基幹システムは、出版社や電子書店がコンテンツ制作やサービス・プロモーションの強化に一層注力できる環境を整え、コンテンツの流通カロリーを低減する役割を果たすべく、両者間における契約手続き、売上印税管理、キャンペーン管理等、煩雑化する事務負担の軽減とオペレーションの効率化を目指した絶え間ない改善に取り組んでおります。また、各社からの要望に応えるためのシステム開発を実施しているほか、当社のエンジニアを出版社へ参画させることでシステム連携の強化を実施しており、当社の電子書籍取次への期待や高まる需要に応えるとともに、基盤システムの強化に努めております。

 このように当社グループが今後も安定した事業運営を行うためには、情報及びデータセキュリティの強化が重要であると認識しております。セキュリティ強化に向けた取組みとして、異常値やインシデントに対しては一定の基準を設け、担当部門がデータやシステムに対するアクセスを常に監視し、実際に異常が見られた場合には、情報セキュリティ管理統括責任者と密に連携を取りながら、問題への迅速な対処並びに再発防止に努める等の対策を進めてまいりました。これらに加えて、引き続き変化の多い市場環境や技術動向に対応すべく、情報セキュリティ規程の整備と施行、及び社内研修の実施、情報セキュリティリスクアセスメントの実施、EDR(Endpoint Detection and Response)やシャドウIT、情報漏洩等の不正監視の強化に向けたCASB(Cloud Access Security Broker)の導入等を遂行し、今後もより安全で最適なサービスの運営・開発・運用体制の整備に取り組んでまいります。

 

 ② 事業の基盤強化

 当社グループが市場での競争優位性を確立し企業として成長を持続するためには、経営資源の確保と高度化に努め、電子書籍流通事業の強化を図りながら、第二の収益軸の確立に向けた戦略投資事業に対する積極的な取組みが必須であります。そのための課題点と対応の方向性は、以下の通りであります。

ⅰ)電子書籍流通事業における付加価値提供及び効率的な運用

 当社グループの主力事業である電子書籍流通事業において、当社は国内最大の電子書籍取次事業者となっております。新型コロナウイルス感染症の影響による屋内エンタテインメント需要の高まりにより、マンガをはじめとした電子書籍が広く人々の生活に浸透したことで、電子書籍市場そのものは成熟期を迎えつつある一方で、話配信・巻配信等配信形態の多様化や、キャンペーン管理数及び取扱いコンテンツ数は6年間(2019年2月期~2024年2月期)で3倍超に増加しております。当社が出版社や電子書店からの高まるニーズに応えながら電子書籍市場の拡大に貢献し続けていくためには、技術革新やノウハウ共有等によって組織の効率化と強化を進め、オペレーショナル・エクセレンスを確立する必要があります。

 具体的には、電子書籍取次システムの機能拡充や、各書店で随時、かつ無数に展開されるキャンペーンや販促施策等の情報連携・管理等をよりスピーディかつ正確に実施するほか、電子のみならず紙出版も含めた売上・印税管理システムの開発提供等、出版バリューチェーンの上流・下流を問わない効率化・高度化の実現に注力いたします。加えて、業務プロセス見直しや社内DX、管理コスト抑制策を推進し、利益率の改善を図ってまいります。

ⅱ)M&A・資本提携・事業ポートフォリオ見直しへの取組み

 当社グループが事業を展開する電子書籍業界においては、縦スクロールコミックといった新たなスタイルの電子書籍の勃興やボーダレス化の加速等、市場環境や顧客ニーズ、競合の状況が常に変化しております。また電子書籍に限らず、当社が提唱するNFTテクノロジーを活用したデジタルコンテンツの新たなあり方も含めると、今後も変化の激しい事業環境になることが想定されます。このような事業環境において、電子書籍取次に次ぐ新たな収益軸の構築や非連続な成長を実現するためには、M&Aや他社との協業、資本提携も重要な課題であると考えております。

 当連結会計年度においては、事業の新陳代謝を図り、経営資源配分の適正化を図るべく、引き続き事業ポートフォリオの見直しと入れ替えを行うとともに、運営を厳格化し、見直し基準をROIC8%として設定しました。買収3年目以降に当該基準を下回ることが見込まれた場合は、対象会社又は事業のピボット、経営者交代、売却・撤退等の実施を検討いたします。

 この基準に基づき、当連結会計年度においては、子会社日本文芸社における役員体制の変更を行い、縦スクロールコミック事業については国内外の他社スタジオと協業したオリジナル作品の制作から撤退したほか、投資有価証券の売却を実施いたしました。

ⅲ)将来に向けた研究開発・戦略投資事業への取組み

 スマートフォンの普及にはじまり、5Gの高速通信環境整備、さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大により社会のあり方は大きく変わり、リモートワークの浸透等、人々の生活様式のデジタル化は一層進行しました。他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の生活を取り戻しつつある近頃においては、国内出版市場についても電子書籍市場は順調に推移する一方で、特に紙書籍出版と、それらを取り扱うリアル書店の衰退・減少は続いており、これらは出版業界の深刻な課題の一つとなっております。当社は、これまで電子書籍流通事業で培ってきた信頼と出版業界におけるポジションを活用し、第二の収益軸となる戦略投資事業の確立、ひいては出版業界の活性化と新たなビジネス機会創出を目指し事業に取り組んでまいります。

 具体的には、戦略投資事業のうち、一つはFanTop事業として、デジタルコンテンツの新たな在り方を提唱し、それらの流通に最適なNFTコンテンツプラットフォームを目指すべく、紙本にNFTテクノロジーを活用したデジタルコンテンツを付帯するサービス(NFTデジタル特典)を推進しております。FanTop事業を発表して2年半以上が経過しましたが、NFTデジタル特典付き出版物の発行部数は累計240万冊超にのぼります。

 その他、当社グループにおける原作創出機能を強化すべく、小説投稿サイトであるエブリスタや出版社である日本文芸社への取組みを強化してまいります。日本文芸社については紙資源や印刷費・運送費の高騰等、外部環境の影響による費用の増加や、営業力やマーケティング力の不足といった課題が顕在化してきております。このような状況から脱するべく、全社におけるコストコントロールや、営業力の強化、作品の制作プロセスの見直し、そして役員体制の変更による抜本的な改革に着手しております。

iv)海外事業展開の推進

 当社グループの主力事業である電子書籍流通事業は主に国内で事業を展開しており、依然として連結売上高のほとんどが国内市場からもたらされていることから、収益構造の事業的・地理的な分散を図る必要があると認識しております。

 一方で、現在の中期経営計画では、子会社であるMedia Do International, Inc.を通じたM&Aによりグループ化した企業群を軸に海外事業の一層の拡大を図る方針を掲げております。具体的には、2021年1月に買収した米Quality Solutions, Inc.(Firebrand Technologies)、米NetGalley, LLC及び2022年2月に買収した英Supadü Limitedを中心として欧米出版社とのネットワーク構築、日本及びアジアの出版業界への出版IT技術導入といった出版バリューチェーンを支えるSaaS型ソリューションビジネスの拡大を図り、Global Publishing Platformの確立を目指します。いずれもSaaS型のビジネスモデルで低いチャーンレートを誇り、法人契約数の積上げにより増収増益基調にあります。

 加えて、当社は2018年よりインターネット技術の世界的標準化推進団体である「W3C (World Wide Web Consortium) 」に加盟、さらにMedia Do International, Inc.にてPresident & CEOを務める塩濵大平氏は2019年2月よりW3C内のPublishing Business Groupの共同議長を、2021年1月からは日本人初となるW3Cのエヴァンジェリストを務めております。こうした海外ネットワークを活用し、当社グループは電子書籍の国際標準規格策定への提言活動をより強化することで、日本の出版文化の維持・保護に努めてまいります。また、アジアの代表として出版業界全体のデジタル化を推進することで存在感を発揮し、海外事業の成長につなげてまいります。

 

 ③ 優秀な人材の確保

 当社グループは、イノベーターとして電子書籍市場の成長促進、既存事業にとらわれない新規事業創出、グループ会社の経営管理体制強化に貢献する人材を確保し育成することが、さらなる業容拡大や業界におけるポジションの差別化、事業を通じた業界・社会貢献の継続のために、非常に重要であると考えております。また、サステナブルな事業体の実現に向けては、財務的な観点のみならず、人的資本や技術開発投資をはじめとした非財務的な観点を含めた経営資源の適正な配分が不可欠と認識しております。

 主力事業である電子書籍流通事業においても、その他の事業においても、そのほとんどがBtoBのサービス提供となっており、常に出版・コンテンツ業界における課題を解決し続けることで企業の付加価値を提供しております。社員一人ひとりが取引先をはじめとした目の前のステークホルダーと向き合い、課題を解決するためには、社員の成長が不可欠であり、当社としても成長を促す機会や制度を充実させる必要があります。係る中、2024年3月に新たな人事制度を導入いたしました。新たな制度は、自発的な行動変容と成果創出を促す仕組みとして実効性と整合性を高めるために整理・設計し、各等級における役割と責任、評価基準、育成方針等を明確化したほか、従来までの制度と比べ、各人のパフォーマンス次第でより柔軟性をもって昇降格ができるように設計いたしました。また、「人材基本方針」を踏まえ、働き方改革への対応、社内教育制度の整備を図ることで採用及び定着の強化につなげてまいります。

 

 ④ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、これまでに、執行役員制度及び取締役の任期1年制の導入による責任体制の明確化や、社外取締役3名を含む独立役員の要件を充足する社外役員の招聘による監督・監査機能の強化、取締役会付議基準の見直しによる意思決定の迅速化及び取締役会全体の機能向上等、コーポレート・ガバナンスの実践に努めてまいりました。加えて、経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上及びガバナンスの中核を担う取締役会全体のさらなる機能及び実効性の向上に向けて、当社グループにおける「コーポレート・ガバナンス基本方針」及び「コンプライアンス基本方針」の策定や取締役・監査役の資質の明示(スキルマトリックス)、ダイバーシティを意識した取締役構成を行い、2021年6月には任意の指名報酬諮問委員会を設置いたしました。2023年5月には当社初の社内昇格による女性取締役を選任し、当連結会計年度末における女性取締役比率は37.5%となりました。また、2022年6月からは、環境問題や社会課題を、事業活動及び企業価値創造にインパクトを与え得るファクターとして、より経営戦略に取り込むべく、リスク管理委員会を改組しサステナビリティ推進委員会を設置する等、不断の改善に取り組んでおります。

 今後も持続的な成長を遂げ、ひいては中長期的な企業価値の向上を図るためには、さらなるコーポレート・ガバナンスの実践・強化が重要な課題の一つであると認識しており、財務情報をより正確に、かつ分かりやすく提供することはもとより、経営戦略、ガバナンスや社会・環境問題に関する事項等いわゆる非財務情報を具体的かつ積極的に提供する等の情報開示の充実、株主との建設的な対話を促進することを含むIR活動のさらなる強化に努めてまいります。

 

 ⑤ サステナビリティ推進

 当社グループにとってのサステナビリティとは、自らの事業・提供サービスが健全な経済社会の形成と著作物がもたらす文化の発展に貢献するという責任と自負をもって、役職員が一丸となって積極的に企業活動に取り組むことであると考えております。こうした考えのもと、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境問題・社会課題に対してもミッション・ビジョンを軸にした経営・戦略を推進し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の切り口で事業機会とリスクを整理しながら、社会課題の解決と持続的な成長を両立させ、企業価値の向上を果たしていくことをサステナビリティ方針として掲げております。

 当社では代表取締役副社長CFOが委員長を務めるサステナビリティ推進委員会が主体となって社会情勢やステークホルダーからの要請を把握し、自社の中長期的なミッション・ビジョンとの整合を図りながら、経営企画部を推進部署としながら各部門とも連携し経営計画を立案しております。この経営計画及びESGにおける重点テーマに基づき、各部門やグループ会社が取り組むべき具体的なサステナビリティ戦略や目標を設定し、推進主体が定期的にモニタリングすることで推進を図っております。そのような活動の中で、2023年5月には長期的かつ持続的な企業価値向上を実現するにあたり、10個の対処すべき重要な経営課題(マテリアリティ)を特定いたしました。

詳細は、下記当社ウェブサイトをご覧ください。

https://mediado.jp/sustainability/

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティ共通>

 当社グループは、著作物を生み出す著作者や出版社、著作物を手にするユーザーとそのアクセスポイントの役割を担う電子書店、そしてそれらの媒介たる当社グループとの協創によって社会エコシステムの構築を目指していくことを、ミッション「著作物の健全なる創造サイクルの実現」、ビジョン「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」として掲げています。したがって、当社グループにとってのサステナビリティとは、自らの事業・提供サービスが健全な経済社会の形成と著作物がもたらす文化の発展に貢献するという責任と自負を持って、役職員が一丸となって積極的に企業活動に取り組むことだと考えています。 こうした考え方のもと、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境問題・社会課題に対してもミッション・ビジョンを軸にした経営・戦略を推進し、ESGの切り口で事業機会とリスクを整理しながら、社会課題の解決と持続的な成長を両立させ、企業価値の向上を果たしてまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社では環境問題や社会課題を、事業活動及び企業価値創造にインパクトを与え得るファクターとして、当社内により取り込んでいくべく、2022年6月よりサステナビリティ推進委員会を設置しています。サステナビリティ推進委員会は、代表取締役副社長CFOを委員長、コーポレート部門に属する部署を管掌する執行役員を委員として、その他事業部門責任者や委員長が指名する当社役職員で構成し、原則4回(四半期に1回)開催します。同委員会は、気候変動問題等を含む、当社の持続可能性向上に資する機会とリスクの検討・整理、サステナビリティ戦略や施策についての評価、監督及びモニタリング機能の強化を目的とし、開催ごと適切な時期に取締役会に報告します。また、同委員会事務局である経営企画部を通して社会情勢やステークホルダーからの要請を把握し、自社の中長期的なミッション・ビジョン及び経営戦略との整合を図りながら、当社グループにおける重要な経営課題(マテリアリティ)の特定、見直しを行います。同時に、マテリアリティの特定プロセスにおいて抽出・整理された機会とリスクを踏まえ、各部門やグループ会社が取り組むべき具体的なサステナビリティ戦略やマネジメントすべきリスク項目や対応方針を設定し、対応主体を定期的にモニタリングすることで推進を図っております

 

<サステナビリティ推進体制図>

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(2)戦略

 当社グループは、サステナビリティ基本方針を踏まえながら、会社のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化をより深化させ、長期的かつ企業価値向上を実現していくにあたって、2023年5月にマテリアリティとして10個のテーマを特定しました。いずれのテーマにおいても中期経営計画と連動したありたい姿と目標値を具体化すべく、サステナビリティ推進委員会と同事務局において、検討を進めております。

 

<マテリアリティマップ>

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<各テーマにおける機会・リスクの整理>

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(3)リスク管理

 上記のマテリアリティと中長期的な目標設定においては、国際的な報告フレームワーク、外部のESG評価機関による調査項目と、社内外のステークホルダーとの対話による要請等を統合的に把握・分析・整理するとともに、社会課題を含め、当社の企業理念の事業戦略達成に向けた機会・リスクと突合をし、特定しています。また、分析結果と全社の事業上のリスクを突合したロングリストを毎年見直すことに加え、特定したマテリアリティに関連するリスク項目の中でも、年度の中で特に優先的に取り組むべきモニタリングテーマを抽出することで、より重点的かつ効率的に、全社的なリスクの抑制につなげるとともに、当社におけるサステナビリティ活動の推進を目指しています。

 

<マテリアリティ特定プロセス>

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<2023年度におけるモニタリングテーマとその進捗>

 ① 人的資本戦略の立案・推進

 当社における人材基本方針や、求める人材像の整理をはじめとした、人的資本戦略の全体像を策定するとともに、採用関連・人事評価制度・研修体系・職場環境における各課題の解決に向け、単年度のアクションプランを制定しています。

 ② 子会社リスクマネジメント/グループガバナンス推進

 各子会社・関係各社における職務権限規程など各種規程類の制定状況など現状把握に加え、リスクが高いと判断された会社に対する重点的なアクションプランの策定や、各社におけるさまざまなインシデント発生時の報告ルートの整備の検討などを実施しています。

 ③ コンプライアンス強化

 J-SOXの確認項目等、あるべき姿とのギャップを把握するだけでなく、生産性や効率性の向上に資するプロセスを実現すべく、各関係部署と連携のうえ、当社の定めるコンプライアンス行動指針(17項目)に沿って適切な規定が整備・周知・運用されているかを精査し、改善が必要な項目については再整備を実施しています。

 ④ 情報/データセキュリティ強化

 社員のセキュリティに関する感度を上げるべく、情報セキュリティ管理規程及び関連細則の刷新とともに、社員向けの情報セキュリティハンドブックの作成・配布、セキュリティ関連の教育をe-ラーニングにて実施し、外部評価に基づくリスク項目の抽出、インシデント発生時の対応体制の整備、各デバイスにおけるセキュリティ強化を実施しています。

 

(4)指標及び目標

 各マテリアリティの詳細は以下の通りであります。いずれも課題解決に向けて2025年2月期におけるありたい姿(目標)と、目標を達成するための適切なKPIを策定し、しかるべきタイミングにて開示する予定であります。

 ① 自然資本の保護と最適活用

 環境への負荷低減は、持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくためにも、また、100年先まで続く企業体を目指す当社グループにとっても取り組むべき大きな課題の一つであります。当社グループは自らの事業活動で使用する自然資本の実態把握と効率的活用策を講じるだけでなく、業界全体のプロダクトミックス、資源利用の最適化にも積極的に寄与することで持続可能な業界・事業環境の構築を目指します。

(2025年2月期のアクションプラン)

 気候変動財務情報開示タスクフォース(TCFD)賛同に向けた社内体制の構築、Scope1,2の削減目標策定、Scope3の算定及び削減目標策定

 ② 著作物の創造サイクルと価値の最大化

 当社グループにとってのサステナビリティとは、自らの事業・提供サービスが健全な経済社会の形成と著作物がもたらす文化の発展に貢献する、という責任と自負を持って役職員が一丸となって積極的に企業活動に取り組むことであります。ミッション・ビジョンとも合致する、この実践と体現が企業価値創出の根源であるとの認識のもと、事業活動を遂行します。

(2025年2月期のアクションプラン)

 中期経営計画の数値見直しに連動しながら、当社の売上高に紐づく適切なKPIの策定

 ③ 働きやすい環境整備とwell-beingの実践

 社是において「人が成長し続ける限り、メディアドゥも成長し続ける」と示している通り、「人材」は持続的成長に必須の経営資源であります。社員一人ひとりの「人としての成長と可能性」を最大限に引き出し、自立を促しながら、自己の成長を実感し、自らの可能性を感じながら率先してチャレンジできる環境を創造します。

 

(2025年2月期のアクションプラン)

 働きがいと働きやすさの整備に向けたキャリアパスの複線化や報酬原資配分方針の検討と、社員向け研修の拡充等による職場環境(オフィス環境や福利厚生)・健康環境(残業時間の抑制や有給休暇取得促進)・D&I環境の整備

 ④ イノベーティブ人材の開発・育成

 社是に掲げる通り、従業員一人ひとりの可能性を信じ、自己成長や自身の挑戦が会社の成長につながるwin-winの関係となることを目指します。また、研修制度や評価システムの改善・充実により、イノベーションを武器として変化の中に機会を見出し、新たなアイデアを形にする、あるいは課題解決へとつなげていくアントレプレナーシップの醸成に努めながら人材の開発と育成に取り組みます。

(2025年2月期のアクションプラン)

 新たな人事評価制度に基づく、社員の挑戦機会・対話機会・研修機会の拡充

 ⑤ 地域のエンパワーメント

 当社グループは社会の持続可能性と当社グループの提供価値の同期化をより一層進化させていくために、社会と当社グループの関係性のあり方を常に意識します。同時に、社会や地域が抱える課題に対して、自らの枠を超えて、あらゆるステークホルダーと協働するコレクティブインパクト・アプローチに取り組むことで社会インパクトの創出に取り組みます。

(2025年2月期のアクションプラン)

 徳島を起点とした地域の社会課題への向き合いと経済成長への貢献を通じた社員成長機会の創出、及び各ステークホルダーとの良質な関係資本拡大に向けた取組みの実施

 ⑥ 先端テクノロジーの活用

 当社グループは、社会や業界が抱える課題に対して、テクノロジーファーストでのソリューション開発・提供に取り組みます。また、当社グループは自らのデジタルトランスフォーメーション(DX)への挑戦と実践によって、多様なステークホルダーの多様な価値観に応じたプロダクトやサービスを提供し、コンテンツ業界のDXを支える存在となることを目指します。

(2025年2月期のアクションプラン)

 情報集約用データベースを最大限に活用したBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを構築し、より有益な解析情報を取引先へ提供可能にするとともに、社内の業務効率化を推進すべく自社管理会計のダッシュボードの構築を推進

 ⑦ 情報セキュリティ強化

 当社グループでは、豊かな文化発展のための社会インフラを提供し、著作物の健全なデジタル流通と創造サイクルの構築というミッションを実現するためには、著作者、出版社、書店、ユーザー(読者)といった各ステークホルダーが安心・信頼して利用できる仕組みやシステムの構築が不可欠との前提に立ち、情報セキュリティの確保は経営上の重要事項として、全社課題としてその強化に取り組みます。

(2025年2月期のアクションプラン)

 高いセキュリティレベルを担保し、社員がオフィス以外の環境でも柔軟に働くことができる環境を実現すべく当社としてのゼロトラスト環境を策定し、リスクアセスメントスコア改善に向けた取組み、社員のセキュリティ意識向上に向けた取組みを実施

 ⑧ 戦略投資の実行と事業ポートフォリオ最適化

 当社グループは、資本コストや資本収益性を常に意識しながら規律ある投資行動と効率的な事業運営に努めることで、創出する事業価値の最大化を図ります。また、これら投資の実行と併せて、経営・事業の多角化を図りながら最適な事業ポートフォリオの構築に取り組み、ありたい姿として掲げる「Publishing Platformer」を実現していきます。

(2025年2月期のアクションプラン)

 適切なROIC、ROE基準を設定し、事業ポートフォリオ見直し基準に抵触する事業については事業計画の見直し・ピボット・経営者交代・売却・清算等の検討を実施

 ⑨ ガバナンス強化

 当社グループでは、経営のグローバル化が進む中で、さらなる業容拡大、企業価値の向上の観点から、コーポレート・ガバナンスの充実による経営の健全性と透明性の向上が重要な経営課題であると認識しています。公正かつ透明性、実効性の高い経営の実現に向けて、取締役会の監督のもと、適切な資源配分、意思決定の迅速化等、コーポレート・ガバナンスにおける不断の改善を図ります。

(2025年2月期のアクションプラン)

 プライム市場上場企業としてステークホルダーから求められるガバナンス水準到達に向けた仕組みづくりと、創業経営者の求心力に依存しない経営基盤の構築を目指し、取締役会の実効性向上、機関設計の検討、内部統制部門の強化を実施

 ⑩ コンプライアンス強化

 健全性の向上のためには、企業倫理の確立や意識の全社的な浸透が必須であり、これにより当社グループや各機関及び全役職員一人ひとりが的確、かつ公正な意思決定を行う風土が醸成されると考えます。同時に、企業市民として有する社会的責任を常に意識して行動することが様々なステークホルダーからの信頼の獲得につながるという認識のもと、事業活動を遂行します。

(2025年2月期のアクションプラン)

 重大法令違反件数及び通報件数の低減(0件)を目指すとともに、社員のコンプライアンス意識醸成・向上に資する計画的かつ継続的なe-ラーニングを活用した研修の企画・実施

 

<気候変動>

 当社にとって気候変動問題は、持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくためにも、また、100年先まで続く企業体を目指す当社グループにとっても取り組むべき大きな課題の一つと認識しており、マテリアリティの1つとして活動を推進しております。

 

(1)ガバナンス

 マテリアリティとして特定しているため、「<サステナビリティ共通>(1)ガバナンス」と同体制にて取組みを推進しております。

 

(2)戦略

 気候変動リスクの顕在化に伴う外部環境や事業環境の変化を想定し、リスク事象を洗い出すことで当社グループへの影響を特定・評価しています。今後は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく、長期的な気候変動リスクと機会分析を含む、詳細なシナリオ分析や目標設定、管理プロセス等について、サステナビリティ推進委員会において検討・審議のうえ、対応とその情報開示の拡充を図っていきます。

 詳細は、下記当社ウェブサイトをご覧ください。

 https://mediado.jp/sustainability/environment/

 

(3)リスク管理

 電子書籍流通事業を主たる事業とする当社グループにおいては、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。そのうえで、気候変動に関するリスクについては事業への影響度を鑑みた重要度を検討し、サステナビリティ推進委員会においてその他のリスクと統合的に管理を行い、リスクマネジメントを推進しています。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは温室効果ガスの削減に取り組むべく、機構関連リスク・機会の管理に用いる指標として、Scope1、Scope2を算定し、開示しております。今後の具体的な削減目標については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言賛同と合わせて設定していく予定であり、Scope3についても算出対象の特定、排出量の算出及び開示の拡充を目指し、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指します。

 Scope1、Scope2については、下記当社ウェブサイトをご覧ください。

 https://mediado.jp/sustainability/esg/

 

<人的資本>

 当社は、日本の文化の発展と豊かな社会づくりに貢献すべく、社会全体のデジタルシフトの流れの中で、電子書籍流通事業を中心に企業成長を続けてきました。出版社と電子書店の間に立ち、電子書籍を取り次ぐ役割を担っているため、メーカーのように製造設備を持つわけではないからこそ、当社が業界に付加価値をもたらすその最大の源泉は人材=当社の社員であると考えています。また、社是には「成長と可能性」を掲げており、社員の成長を促すことが当社の成長につながり、どのような時代になったとしても変化に適応し、社会に貢献し続けることを目指します。

 そのため、当社は「メディアドゥらしい人材の獲得と育成」及び「働きがいに溢れた働きやすいメディアドゥの環境整備」に取り組むことで、人的資本価値の持続的な向上を目指してまいります。

 

(1)ガバナンス

 マテリアリティとして特定しているため、「<サステナビリティ共通>(1)ガバナンス」と同体制にて取組みを推進しております。

(2)戦略

 当社は新たな人事ポリシーとして「役割を意識した貢献、貢献に応じた処遇」を掲げました。社員一人ひとりが自分の果たすべき役割を意識しながら挑戦をし、組織に貢献するよう促すことで年次に関係なく適切な処遇をすることを全社員に宣言しています。

 ① メディアドゥらしい人材の獲得と育成

 当社はこれまで、2017年に実施した㈱出版デジタル機構の買収をはじめとして、M&Aを活用しながら事業成長を図り、適宜発生する人事課題に対応する形で制度改定を実施してきたことから、人事制度においては部分最適が生じたほか、社員一人ひとりに対する事業戦略の要請に合わせた育成プログラムや動機付けが不足していました。そこで、2023年6月以降、代表取締役社長をプロジェクトオーナー、全執行役員以上をプロジェクトメンバーとする人事制度改定プロジェクトを発足し、当社が持続的に成長をし、業界に貢献し続けるために理想とする社員の成長をより一層促すための人事制度(等級・評価・報酬・育成)を半年かけて議論し、これまでの全制度が整合する形で再構築し、2025年2月期より新人事制度の運用を開始しました。

 新たな人事ポリシーを実現すべく、新人事制度では以下のような設計となっています。

等級

8等級に分けて役割期待を定義し、各等級間の差分を明示する

評価

業績評価は定量的に、行動評価は定性的に、等級に応じた明白な基準を設ける

報酬

役割と成果に応じて、半期ごとの昇降給を実施する

 さらに、人材育成を加速さえるべく、以下3つの機会拡充を図ることで基本マネジメントサイクルを強化します。

挑戦機会

事前期待での早めの昇格や、背伸びした業務アサインを積極化する

対話機会

マネジメント職はメンバーと定期的に1on1を実施し、メンバーの内省を促すと共に経験を概念化する

研修機会

基本マネジメントサイクル(目標設定~フィードバック)を適切に運用できるよう各等級に応じた研修機会を増やす

 その他、事業戦略やビジネスモデルに連動した採用の在り方を見直し、人事企画及び採用体制の強化を行い、採用プロセス(採用・最適化・定着)における各種KPIを定めて可視化することで、計画的な採用や配置転換に着手しています。

 

 ② 働きがいに溢れた働きやすいメディアドゥの環境整備

 当社はこれまでも、永年勤続表彰や、柔軟な働き方を可能とするフレックスタイムや在宅勤務制度の導入、ダイバーシティの推進、社員同士のコミュニケーション活性化のためのオフィス環境の整備等に力を入れてきました。これからも多様な社員がより一層働きやすく、より社員の志向に応じた働き方ができるよう、職場環境・健康環境・D&I環境の改善を図っていきます。特にD&I環境については、多様な人材がライフステージの変化に合わせて自分らしく働ける環境を整備することが重要だと考え、女性活躍推進及び障害者雇用を積極的に実施していきます。

 

(3)リスク管理

 当社の人材リスクについては、事業への影響度を鑑みた重要度を検討し、サステナビリティ推進委員会においてその他のリスクと統合的に管理を行い、リスクマネジメントを推進しています。

 

(4)指標及び目標

 当社では、各取組みにあわせて指標及び目標を以下の通り定めております。

メディアドゥらしい人材の
獲得と育成

1on1満足度、1人あたり研修時間、採用リードタイム、対売上総利益人件費率、離職率

働きがいに溢れた働きやすい
メディアドゥの環境整備

社員対象ストレスチェック数値、女性管理職比率、従業員サーベイスコア

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、リスク発生の抑制及び会社損失の最小化を図ることを目的として「リスク管理規程」を制定しております。それに基づき、持続的成長や事業活動の遂行に影響を与える可能性のあるリスクの抽出、評価及び対策について、サステナビリティ推進委員会(原則、四半期に1回開催)が主体となって全社リスクに関する検討並びに評価(アセスメント)を行うとともに、各リスクに対するリスクオーナーを指名、明確化することで対応の実効性の担保に努めております。またリスクアセスメント結果については、取締役会に報告することとし、取締役会は、経営目線でのリスク間の相対的な関連性を検討・考慮した上で、対処すべきリスクの優先順位を決定し、対策実施の指示をすることとしております。

 重要と判断したリスクについては、当社グループの各事業、コーポレート部門、マネジメント等の各レイヤーが当該リスクの内容に応じた対応・対策を検討・協議し、サステナビリティ推進委員会がその進捗をモニタリングのうえ、継続的な改善を図るよう努めております。監査役は取締役会への参加、重要書類の閲覧・確認、会計監査人との連携等を通じて、対処すべき優先順位の高いリスクについて有効な対策が実施されているかをモニターしております。加えて、コンプライアンスに関連する方針や規程を制定し、当社グループの役職員が遵守すべき法令、ルールを定め、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。

 

 なお、リスクの抽出においては、リスクを戦略遂行リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれは以下の通り定義しております

 

(1) 戦略遂行リスク

 経営方針の策定及び事業戦略の遂行にあたり、企図する成果や効果が予定通り獲得できない可能性の程度及びその発生可能性であり、持続的成長を実現するにあたり、影響の範囲・程度を認識しつつ、対応策も含め検討するリスク

 

(2) オペレーショナルリスク

 戦略遂行を支えるオペレーション上の事象・障害の発生可能性及び損失可能性であり、事業遂行上、一定以下に抑制すべきリスク

 

<リスクマネジメント体制>

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 上記を踏まえ、本書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については下記の通りであります。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、将来や想定に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、実際の結果と大きく異なる可能性もあります。以下の記載は、投資家に対する積極的な情報開示を目的として発生頻度や内外要因分析をマッピングするなどして記載しておりますが、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業環境等に関するリスクについて

① 電子書籍業界の成長性について

 当社グループにおける「電子書籍流通事業」は2024年2月期現在、売上高が86,402百万円で連結売上高全体の91.9%を占める基幹事業であります。電子書籍市場は拡大を続けておりますが、法制度や規制又は特許等による参入障壁は低く、またコンテンツ提供元である出版社等も非独占的にコンテンツ提供を行っております。

 一方で、「電子書籍取次」においては、多くの出版社等と取引関係を構築することに時間を要するため、新規参入には一定の障壁があると思われますが、「電子書店」や「出版事業」については今後、さらなる競合他社の参入増加や縦スクロールコミックといった新たな出版コンテンツ等の伸長も予想されます。また、ユーザーの嗜好の急激な変化への対応の遅れによりサービス・ソリューション提供機能や技術の陳腐化・コモディティ化を招いた場合や業界における取引慣行や価格体系が変化した場合など、計画策定時の想定を超える不確定要素が顕在化した場合には、当社グループの経営方針や経営戦略の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

競争環境の変化等によって、大きな業績影響(数億円~10億円超)が生じる可能性があります。

引き続き電子書籍市場の拡大に注力するとともに、流通カロリーの低減に向けた顧客密着型対応や、出版社や電子書店とのシステム連携の強化等、業界のインフラとしての役割の強化に向けて、コンテンツラインナップの充実や当社グループが提供する配信システムの強化、ユーザーニーズに適合したサービス・ソリューションの開発・提供や先進技術への対応等により、出版市場全体とユーザーのすそ野拡大への寄与だけでなく、競合他社との差別化を図ってまいります。

 

② 外的要因(自然災害等)による事業への影響について

 当社グループは、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しています。しかしながら、不測の大規模地震や台風・豪雨・大雪、及び火山活動などの自然災害、火災や停電・電力不足、テロ行為・コンピューターウイルス・不正アクセスなどの攻撃により、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合には、当社グループの事業活動・各種サービスの提供に支障をきたす可能性があります。これらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になり、また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧するために多額の費用負担が発生するなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

事業活動等に支障が生じることで、中~大程度の業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性があります。

当社グループは、出版コンテンツにおける社会インフラの役割を担う立場として、著作者、出版社、ユーザー(読者)が安心・信頼して利用できる仕組みの持続可能な提供を目指しており、システムや業務の冗長化に向けた対策の実施および対策組織の体制構築に取り組んでおります。また、リスク管理規程に紐づく経営危機管理マニュアルや危機管理広報マニュアル等、有事対応のマニュアル化やBCP策定について継続的に協議・検討を進めている等、不慮・不測の事態に備えた取り組みを進めております。

 

③ 海賊版サイト等の影響について

 電子書籍コンテンツは海賊版や模倣品が流通することによって出版社や著作権者等に不利益をもたらします。当社グループでは、当社と出版各社等が設立、初代代表理事を現当社顧問である新名新氏が務める一般社団法人ABJでの活動を通じて、出版社やインターネットサービスプロバイダー等と協働し、海賊版サイトの情報収集、正規版サービスの認定ならびに認定マークの付与、海賊版対策全般の啓蒙活動に取り組んでおります。他方、政府主導により著作権等の法制度改正・整備といった対応策も進んでおりますが、仮に電子書籍コンテンツの知的財産権について、長期にわたり大規模な侵害行為を受けた場合には、その侵害行為によって生じる機会損失が当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

海賊版サイト等の利用者が増加し、被害が拡大することで、中~大程度の業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性があります。

足元では、海外に拠点を置く中小規模のサイトの存在を多数確認しております。これらのうち上位サイトが同時に大量閉鎖する等、海賊版サイトへのアクセス数はピークの時期と比較して4分の1程度まで減少していながらも、完全に撲滅するには至っておらず、引き続き出版業界や政府とも連携しながら、運営者の特定やサイトの閉鎖といった対応を進めてまいります。

 

④ 特定業界・取引先からの仕入依存について

 当社グループは国内最大手の電子書籍取次事業者として出版業界を主たるマーケットとしております。したがって「電子書籍流通事業」では、各種コンテンツを様々な出版社を中心に仕入れております。特に、大手出版社にコンテンツが集中することなどから、当社グループの電子書籍コンテンツの仕入総額に占める大手出版社の比率は、ここ数年来高止まりの傾向が継続しております。中長期的には、電子書籍市場の拡大とともにユーザーニーズも多様化して、特定の仕入先への依存度は低くなっていくものと考えておりますが、当面の間はこれらの大手出版社等に対する仕入依存は高いまま推移すると予想しております。

 これらの大手出版社等とは電子書籍市場拡大に向けた協力体制を維持し友好関係を構築しておりますが、永続的な取引が確約されているものではなく、取引条件の変更等があった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

取引条件の変更等が生じることで、中~大程度の業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性があります。

取引先との条件交渉の頻度は高くないものの、定期的な見直しを取引先、当社の双方にて実施しております。引き続き、電子書籍市場拡大に向けた協力体制を維持する一方、電子書籍取次ビジネスに加えて、第二の収益軸の構築に取り組んでまいります。

 

⑤ システム・情報セキュリティリスクについて

 当社グループのサービスは、スマートフォン等の端末によるインターネット接続により行われておりますが、当社グループのサービスに対するアクセスの急激な増加等、一時的な負荷増大によって当社グループ又は通信キャリアのサーバが作動不能に陥った場合や、当社グループのハードウエア又はソフトウエアの欠陥により正常な情報発信が行われない場合には、システムが停止しサービス提供が不可能となる場合があります。さらには、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入や当社グループ担当者の過誤等によって、当社グループや取引先のシステムが置き換えられたり、個人情報や取引先情報等の重要なデータを消失又は不正に取得されたりする可能性があります。

 当社グループとしては、侵入防止策、担当者の過誤を防止する体制を採っておりますが、このような障害やアクシデント等が発生した場合には、当社グループに直接損害が生じる他、当社グループの社会的信用・信頼の低下を招きかねず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

影響度

対応策

当社の一部事業における停止や、当社への信頼・評判が毀損することにより、中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性があります。

当社では、IT統括部にて情報セキュリティ規程及び関連細則の整備と施行、情報セキュリティハンドブックの作成・配布、情報セキュリティ関連の社員教育をe-ラーニングで配信しているほか、情報セキュリティリスクアセスメントの実施、EDR(Endpoint Detection and Response)やCASB(Cloud Access Security Broker)の導入等を実施し、セキュリティ強化に努めています。引き続き、営業活動やシステム開発、バックオフィス業務などを含む全社横断の情報セキュリティ対策に継続して取り組んでまいります。

 

⑥ 投資や減損に関するリスクについて

 当社グループにおける2024年2月期現在の投資項目の計上額は、ソフトウエアが590百万円、のれんが5,765百万円、投資有価証券が5,870百万円となっております。

 当社は新規事業開発やシステム開発、他企業の株式取得等において、取締役会の下に設置された投資委員会等の会議体にて慎重な検討を行ったうえで投資判断を実行しておりますが、競争環境の激化等の要因によって当初計画通りの事業進捗が実現しない場合、減損や想定以上の費用等が発生するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

事業推進遅延等の影響が生じることで、中~大程度の業績影響(数億円~10億円規模)が生じる可能性があります。

当社グループは、資本コストや資本収益性を常に意識しながら規律ある投資行動と効率的な事業運営に努めることで、創出する事業価値の最大化に取り組んでおります。また、これら投資の実行と併せて、経営・事業の多角化を図りながら最適な事業ポートフォリオの構築に向けた事業や投資先の評価基準としてROIC基準を8%に定め、モニタリング体制等のプロセス全体の改善に取り組んでまいります。

 

(2)当社グループの運営体制等に関するリスクについて

① 人材の獲得について

 当社グループが今後さらに成長していくためには、事業推進者、コンテンツ拡充のための企画・開発・運営担当者、システム技術者及び拡大する組織に対応するための管理担当者など、各方面での優秀な人材をいかに育成・確保していくかが重要になります。当社グループでは優秀な人材の育成・確保に努めておりますが、適切な人材の獲得・配置及び育成が円滑に進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

事業推進遅延等の影響が生じることで、中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性があります。

事業推進やシステム開発等において、現時点で大幅な人員不足やプロジェクトの遅延等の影響は出ておりませんが、一層の事業成長を図るなか、エンジニアを中心に人材獲得需要はすでに高まっております。オフィスの一部をフルリニューアルする等、働きやすい職場づくりに取り組んでいるほか、社員一人ひとりが自分の果たすべき役割を意識しながら挑戦をし、組織に貢献するよう促すことで年次に関係なく適切な処遇を実施するために人事制度を刷新しました。引き続き、身体的、精神的、社会的に満たされる職場環境を整備することによって人材の獲得・定着を図ってまいります。

 

② 内部管理体制について

 当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。
 また、当社グループでは、役職員等の内部関係者の不正行為等が発生しないよう、コンプライアンスに関連する規程を制定し、当社グループの役職員が遵守すべき法令、ルールを定めており、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。

 しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追いつかない等の事態が生じる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

対応策

当社への信頼・評判が毀損することにより、中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性があります。

現時点でコーポレート・ガバナンス上の問題は生じておりませんが、将来の事態発生を抑止すべく、内部管理、内部統制体制の充実を図る必要があるものと認識しており、社員のコンプライアンス意識醸成を目的とした計画的なe-ラーニングの導入や、当社の定めるコンプライアンス行動指針(17項目)の見直しと再整備等、サステナビリティ推進委員会における全社リスクマネジメント活動と併せて実効性の強化に努めてまいります。

 

③ 特定人物への依存について

 当社グループの代表取締役社長CEOである藤田恭嗣は、当社グループの強みである事業モデルの創出や経営方針及び経営戦略において中心的な役割を果たしております。当社グループは、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し人材の育成・強化にとどまらず、経営体制の整備に注力しておりますが、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

発生時期

事業推進遅延等の影響が生じることで、中程度の業績影響(数億円規模)が生じる可能性があります。

特定人物への依存によって現在生じている影響はありませんが、取締役会及びその諮問機関である指名報酬諮問委員会において、後継者計画の検討と策定に向けた協議を進めており、代表取締役2名体制とすることで迅速な意思決定を可能とするほか、持続可能な企業運営及びボードガバナンスの確立に取り組んでまいります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 なお、当社グループでは展開する事業を『電子書籍流通事業』と『戦略投資事業』の2つのセグメントに区分しております。

 『電子書籍流通事業』は、電子書籍の流通拡大に貢献する役割を担い、当社の中核事業となっている取次事業に加え、自社運営電子書店“コミなび”を株式会社クレディセゾンとの業務提携によりリニューアルした“まんがセゾン”等の事業によって構成されています。『戦略投資事業』は、インプリント事業/IP・ソリューション事業/国際事業/FanTop事業の4事業によって構成され、電子書籍流通事業に比肩する第二の収益軸の確立に向けて、出版バリューチェーンの上流・下流の双方で多様なサービス・ソリューションを提供しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上5類に移行したことに伴う行動制限の緩和により、国内における個人消費やインバウンド需要が増加し、経済・社会活動の正常化の動きがみられたものの、ウクライナ情勢をめぐる地政学リスクの長期化や金利・為替相場の変動、物価上昇の進行等もあり、依然として景気動向の先行きは不透明な状況が続いております。

 電子書籍市場においては、行動制限の緩和による人流の変化を加味し、出版社や電子書店が広告戦略やマーケティング施策を見直した影響で市場の拡大ペースが鈍化しました。電子書籍市場は今後も成長を続けていくものの、成熟期に入ったものとみております。

 なお、2023年における電子出版市場規模は5,351億円となり、前年の5,013億円から338億円増加(6.7%増)いたしました。うち、電子コミックは7.8%増の4,830億円、電子書籍(文字もの)が1.3%減の440億円、電子雑誌が8.0%減の81億円となりました。(出所:公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所)

 このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下の通りとなりました。

 

 a)経営成績

 当連結会計年度においては、電子書籍流通事業における主要取引先であったLINE Digital Frontier株式会社が運営する「LINEマンガ」向けのバックエンド業務が株式会社イーブックイニシアティブジャパンへ移管されたことで、一過性の減収影響(約110億円)を受けております。2024年2月に新規商流を獲得したほか、その他の各電子書店向け売上高は順調に成長したものの、一過性の減収影響がその他各書店向けの売上高の伸びを超えるものであったことから連結売上高は前連結会計年度比で減収となりました。

 一方、海賊版サイトについては新型コロナウイルス感染症の感染拡大が本格化した2020年以降、アクセス数は増加傾向にありましたが、政府や出版各社、及びインターネットサービスプロバイダー等、関係各所との連携により約20の海外系の海賊版サイトが同時に閉鎖されたこともあり、アクセス数はピークとなった2021年末頃から足もと2024年2月時点では約4分の1の規模にまで減少する等明るい材料も見られます。

 戦略投資事業については、成長に向けた投資フェーズが一巡し、全体として赤字幅の縮小と黒字化に向けた事業進捗がみられるものの、事業環境の悪化により一部苦戦する事業もありました。FanTop事業においては事業方針を確立して投資の適正化を図ったことで赤字幅が縮小、SaaS型のビジネスモデルを展開する国際事業の各社及びIP・ソリューション事業のフライヤーにおいては、法人契約数の伸びによりリカーリング収益を着実に積み上げております。他方、インプリント事業の日本文芸社においては、紙資源や印刷費、運送費の高騰等の外部環境の影響も受け、期初予想に対して業績が悪化いたしました。これら戦略投資事業の業績改善や経営リソース配分の最適化のため、一部子会社の役員体制や事業方針の変更等を実施し、事業ポートフォリオの最適化を図っております。

 また、当連結会計年度においては、戦略投資事業に関連する特別損失として減損損失1,015百万円、投資有価証券評価損716百万円を計上しております。減損損失については、縦スクロールコミック事業におけるオリジナル作品の制作費用の回収が長期間にわたることを踏まえ同事業に係る無形固定資産の減損を識別するとともに、連結子会社Supadü Limitedにおいては収益面、利益面ともに成長が認められるものの買収当初の事業計画の進捗状況を踏まえ同社に係るのれんの減損を識別したこと等から計上額が多額となっております。投資有価証券評価損については、韓国の縦スクロールコミック制作スタジオへの出資や、メタバース領域における事業連携を企図して2022年に出資した株式会社HIKKYの保有株式等が対象になっております。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績については、次の通りとなりました。

  売上高                94,036百万円(前年同期比7.5%減)

  営業利益               2,066百万円(前年同期比13.7%減)

  経常利益               1,990百万円(前年同期比13.1%減)

  親会社株主に帰属する当期純損失     319百万円(前年同期は当期純利益1,057百万円)

  EBITDA             3,394百万円(前年同期比12.2%減)

  1株当たり当期純損失             21.08円(前年同期は1株当たり当期純利益68.35円)

 

 なお、営業利益の主な増減要因は下記の通りであります。

  売上高の減少            △7,630百万円

  著作料等の売上原価の減少        7,522百万円

  販売費及び一般管理費の増加      △219百万円

 

(電子書籍流通事業)

 電子書籍流通事業については、「コミックシーモア」「Amazon Kindle」等の電子書店へのディストリビューションや電子書籍配信ソリューションの提供を引き続き行いました。2024年2月末時点で、取引先としての出版社は2,200社以上、電子書店は150店以上、取扱コンテンツ数は210万点以上、出版社や電子書店とのキャンペーン管理数は年間1.7万件以上にのぼっており、当社グループは国内最大の電子書籍取次事業者として出版業界の発展に貢献しております。しかしながら上述の通り、当連結会計年度においては海賊版サイトの影響が薄まる一方で、主要取引先における取扱高の減少の影響や、人流の変化を加味した出版社や電子書店のマーケティング施策の見直しの影響を受けました。マンガをはじめとした電子書籍は広く人々の生活に浸透し、電子書籍市場は次第に成熟期を迎えているものの、電子書籍市場の規模が拡大するにつれ、取扱コンテンツ数やキャンペーン管理件数は6年間で3倍超に増加し、話配信の定着等サービス形態が多様化していることもあり、電子書籍の流通にかかる運用コストは年々増加しています。このような環境のもと、2024年2月には新規商流を獲得する等、電子書籍取次の存在意義と期待はさらに高まっており、取引先の業務効率化につながるサービスの改善や、出版社に当社のエンジニアを参画させシステム開発・連携を強化すること等により、流通シェアの拡大を目指してまいります。

 その結果、売上高は86,402百万円(前年同期比8.4%減)、セグメント利益は4,910百万円(前年同期比6.4%減)となりました。

 

(戦略投資事業)

 戦略投資事業については、成長投資が一巡し、赤字幅の縮小と黒字化に向けて着実に事業を推進しております。

 FanTop事業については、紙書籍に資産性のあるNFTデジタルコンテンツを付帯し、自社開発・運営を行っているNFTマーケットプレイス上にNFTデジタルコンテンツを流通させることで、出版業界及びコンテンツ業界の活性化を目指しております。当連結会計年度については累計発行部数の増加施策に注力し、発行部数の多い雑誌へのアプローチを強化いたしました。その結果、2024年2月末までの累計発行部数は240万冊を突破し、NFTマーケットプレイス上に流通するコンテンツ数及び会員数の増加に寄与しております。

 インプリント事業については、小説投稿サイトのエブリスタや出版社の日本文芸社から、有力な原作を輩出しマルチメディア化を推進することで、コンテンツ市場のさらなる拡大に貢献することを目指しております。当連結会計年度においては、ライセンス提案活動の強化やPR機能の強化等を実施したことで、計5作品のテレビドラマ化や作品のノベライズ、コミカライズ等の実績を積み上げることができました。一方で、紙資源や印刷費、運送費の高騰等の外部環境の影響や、一時的にヒット作が谷間になったことから、日本文芸社においては期初予想より業績が大きく悪化いたしました。

 IP・ソリューション事業については、出版社から消費者まで幅広く電子書籍に関するサービスを展開することで、主に国内出版市場の拡大を図り、相乗的な収益機会の獲得を目指しております。書籍の要約サービスを提供するフライヤーは、SaaS型のビジネスモデルを展開しており、累計の法人契約数は960社を超える等着実に顧客基盤を拡大し、戦略投資事業の赤字幅の縮小に貢献しております。また、電子図書館事業においては、マイナンバーカード利用促進に係る政府の補助金等の追い風から、導入自治体数が増加したことにより増収増益となりました。縦スクロールコミック事業については、今後世界的にも市場が拡大することが見込まれているものの、スタジオと協業したオリジナル作品の制作については、制作費用が大きいうえに回収に時間を要するビジネスモデルのため撤退を図り、今後は縦スクロールコミック作品の取次に注力することといたしました。

 国際事業については、米国の5大出版社を含む欧米の出版社に対して、DXサービスをSaaS型のビジネスモデルで提供しており、欧米の出版社とのネットワークを構築するほか、海外の出版DXのノウハウを将来的に日本の出版社に展開することを目指しております。顧客となる出版社の契約数が着実に増加する一方、既存顧客の解約率が低いため、法人契約数の積み上がりとともに売上が改善しており、当連結会計年度において戦略投資事業の赤字幅の縮小に貢献いたしました。

 その結果、売上高は7,435百万円(前年同期比1.4%増)、セグメント損失は1,291百万円(前年同期はセグメント損失1,462百万円)となりました。

 

 b)財政状態

(資産の部)

 当連結会計年度末における資産合計は、51,612百万円(前年同期比1.4%増)となり、前連結会計年度末に比べ730百万円増加しました。

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,570百万円増加し、36,396百万円(前年同期比7.6%増)となりました。

 主な要因は、現金及び預金が877百万円、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産)が1,588百万円、それぞれ増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,840百万円減少し、15,215百万円(前年同期比10.8%減)となりました。

 これは主に、無形固定資産に含まれるのれんが1,108百万円、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が576百万円、それぞれ減少したことによるものであります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債合計は、35,403百万円(前年同期比3.8%増)となり、前連結会計年度末に比べ1,294百万円増加しました。

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,596百万円増加し、31,386百万円(前年同期比9.0%増)となりました。

 これは主に、支払手形及び買掛金が1,654百万円、未払法人税等が691百万円、それぞれ増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,302百万円減少し、4,017百万円(前年同期比24.5%減)となりました。

 これは主に、長期借入金が1,286百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産合計は、16,208百万円(前年同期比3.4%減)となり、前連結会計年度末に比べ564百万円減少しました。

 これは主に、その他の包括利益累計額が204百万円増加した一方、資本剰余金が422百万円、利益剰余金が319百万円、それぞれ減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、11,004百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は3,171百万円(前年同期比65.5%増)となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益438百万円、非資金項目である減価償却費625百万円、減損損失1,015百万円、のれん償却額702百万円、投資有価証券評価損716百万円の調整、仕入債務の増加額1,651百万円が資金の増加要因となった一方、売上債権の増加額1,580百万円、法人税等の支払額344百万円が減少要因となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は688百万円(前年同期は3,070百万円の支出)となりました。

 これは主に、投資有価証券の売却による収入138百万円が資金の増加要因となった一方、有形固定資産の取得による支出113百万円、無形固定資産の取得による支出686百万円が減少要因となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は1,645百万円(前年同期は276百万円の支出)となりました。

 これは主に、長期借入金の返済による支出1,274百万円、自己株式の取得による支出499百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 a)生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

 b)受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。

 

 c)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

電子書籍流通事業

86,402

91.6

戦略投資事業

7,435

101.4

調整額

198

5,425.3

合計

94,036

92.5

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ㈱

21,079

20.7

24,196

25.7

Amazon Services International LLC

14,070

13.8

14,880

15.8

LINE Digital Frontier㈱

12,779

12.6

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-

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a)経営成績等に関する分析

 当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

 b)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 c)資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

 当社グループでは、中長期にわたり持続的な成長を図るべく、運転資金においてコンテンツ制作費のほか、優秀な人材確保のための採用費用及び人件費等の販売費及び一般管理費等への資金需要があります。加えて、M&Aや資本業務提携、新規事業開発といった戦略投資に係る資金需要があります。

 また、設備資金需要といたしましては、新規基幹システムの開発及び新規サービスのためのソフトウエアへの投資等があります。

 

(財務政策)

 当社グループの事業活動の中長期的な拡大と高度化に必要な資金を安定的に確保するとともに、財務・財政状態の健全性及び機動性に配慮しながら資本コストの最適化を図るべく、運転資金については内部資金の活用及び金融機関からの借入を中心として賄い、戦略投資に係る資金については、内部資金に加えて、金融機関からの借入やエクイティファイナンスといった多様な資金調達手段から調達時の状況に応じた最適な手段を選択し、資金調達を行ってまいります。

 

 d)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当連結会計年度につきましては、電子書籍市場の年間成長率が期初想定より低下したことから、連結売上高については当初の発表予想を下回ったものの、全社での適切なコストコントロールと、戦略投資事業における赤字幅の縮小や黒字化に向けた事業進捗がみられたため、連結営業利益については期初予想を上回り、経常利益については概ね期初予想通りの着地となりました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益については、戦略投資事業に関連する特別損失として減損損失1,015百万円、投資有価証券評価損716百万円を計上したため、期初予想を下回る着地となりました。

 当社が定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等、及び各々の指標等に関する業績予想の達成状況については下表の通りであります。

 

2024年2月期

計画

2024年2月期

実績

計画比

売上高

1,000億円

940億円

94.0%

営業利益

20.0億円

20.6億円

103.3%

EBITDA

36.0億円

33.9億円

94.3%

親会社株主に帰属する当期純利益

11.0億円

△3.1億円

ROE

6.4%

△1.9%

 

 e)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(電子書籍流通事業)

 「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載した要因により、売上高は86,402百万円(前年同期比8.4%減)、セグメント利益は4,910百万円(前年同期比6.4%減)となりました。

 

(戦略投資事業)

 「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載した要因により、売上高は7,435百万円(前年同期比1.4%増)、セグメント損失は1,291百万円(前年同期はセグメント損失1,462百万円)となりました。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者により、会計基準の範囲内で一定の見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの会計上の見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方の名称

契約の名称

主な契約内容

契約期間

株式会社メディアドゥ

(当社)

株式会社講談社

電子書籍配信業務委託基本契約書

講談社が管理する電子書籍を電子書店サイトを通じて配信するにあたり、講談社が配信に関する業務を当社に委託するために必要な事項を定める契約。

2020年5月1日から2021年4月30日まで(以降1年毎の自動更新)。

株式会社小学館

コンテンツ配信契約書

小学館が保有するデジタルコンテンツを、当社を通じて、配信サイトに利用許諾することに関する契約。

2010年2月1日から2012年1月31日まで(以降1年毎の自動更新)。その他各サービスサイトにて個別に契約期間を設定。

株式会社小学館

電子書籍販売・配信業務委託契約書

小学館が権利を有しもしくは管理し、または第三者に対し利用許諾をする電子書籍の販売・配信業務を当社へ委託することに関する契約。

2021年9月1日から3年間(以降1年毎の自動更新)。

株式会社集英社

電子書籍配信契約書

集英社が権利を有する電子書籍を電子書店にて利用者に配信することについての条件等を定める契約。

2021年6月22日から2022年1月31日まで(以降1年毎の自動更新)。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。