第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、酸化チタン事業を中心に当初計画よりも販売数量が落ち込みました。それを踏まえ当初計画よりも必要に応じて生産調整を実施し、在庫調整を進めました。その結果、売上高は前年同期比4.7%減の60,755百万円となり、営業利益は前年同期比59.2%減の1,705百万円、経常利益は前年同期比62.1%減の1,777百万円となりました。また、酸化チタン事業を中心とした減損処理の実施により、親会社株主に帰属する四半期純損失は7,469百万円となりました。

総資産は前連結会計年度末比3.4%減の123,665百万円となりました。

 

セグメントの業績は以下のとおりです。

なお、各セグメントの営業利益は全社費用等調整前の金額であります。

 

(化学)

売上高は前年同期比5.4%減の54,401百万円となり、営業利益は前年同期比42.8%減の3,135百万円となりました。

 

電子材料(成長事業)

積層セラミックスコンデンサ向け誘電体及び誘電体材料は、中国の景気低迷、及び業界全体での在庫調整の影響により、ともに出荷数量が減少し、売上・利益ともに減少しました。

 

化粧品材料(成長事業)

日焼け止め向けの超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、主に海外向けでの販売が振るわず、売上・利益ともに減少しました。

 

酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)

酸化チタンは、価格改定は進めているものの、景気後退の影響により前年同期に比べ出荷数量が大きく減少し、稼働率も低下したことで、売上・利益ともに減少しました。

なお、5次にわたる販売価格改定を行い、収益の改善をしてまいりましたが、輸入品との競争激化、原燃料価格高騰によるコスト上昇、設備老朽化により損益が悪化したことに伴い収益予測の見直しを行った結果、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスで、資産グループの帳簿価額を全額回収できる可能性が低いと判断したため、酸化チタン製造設備の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、3,578百万円を減損損失として計上しております。

亜鉛製品は、自動車タイヤ向けが堅調に推移したものの、高騰していた亜鉛建値が下落し、売上・利益ともに減少しました。

なお、無機・亜鉛事業のうち、硫酸バリウムについて積極的に投資してまいりましたが、原燃料価格高騰によるコスト上昇等により損益が悪化したこと、また、販売価格改定を段階的に行っていることから収益予測の見直しを行った結果、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスで、資産グループの帳簿価額を全額回収できる可能性が低いと判断したため、無機・亜鉛製造設備の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、1,947百万円を減損損失として計上しております。

 

 

樹脂添加剤(効率化検討事業)

国内向け塩ビ安定剤は、価格改定は進んでいるものの、昨年度好調であった半導体製造設備用PVC工業板用の荷動きの鈍化に加え、中国市場低迷の影響で住宅関連向けなど全般的に低調に推移し、販売数量が低下したことから、売上・利益ともに減少しました。一方海外については、タイ・ベトナム両現地法人ともに、非鉛系安定剤の出荷が好調に推移し、価格改定も進んだことから、売上・利益ともに増加しました。

なお、販売価格改定を行い収益の改善をしてまいりましたが、国内需要の低迷、原燃料価格高騰によるコスト上昇等により損益が悪化したことに伴い、収益予測の見直しを行った結果、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスで、資産グループの帳簿価額を全額回収できる可能性が低いと判断したため、樹脂添加剤製造設備の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、217百万円の減損損失を計上しております。

 

衛生材料(安定事業)

衛生材料事業は、インドネシア現地法人において、おむつ・サニタリー用品の客先での在庫調整を受け、売上は減少しましたが、価格改定や操業安定化などによるコスト削減が寄与し、利益は増加しました。

 

有機化学品(安定事業)

チオ製品は、プラスチックレンズ向けの販売が堅調で価格改定も進み、売上は増加しました。しかし、原燃料価格の高騰の影響を受け、利益は減少しました。

医薬品原薬・中間体の生産受託については、原薬は販売数量を伸ばしましたが、中間体が低調であったため、売上・利益ともに減少しました。

 

触 媒(効率化検討事業)

水添石油樹脂向けなどで使用されるニッケル触媒は、販売数量が伸び悩み、売上は減少しましたが、製品構成の差もあり、利益は微増しました。

火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、大型案件が一服したため販売数量が減少し、売上・利益ともに減少しました。

 

受託加工(安定事業)

加工顔料は、自動車関連向けが好調に推移しました。一方、焼成・混合・乾燥などの工程受託では好採算の大型案件が終了し、売上・利益ともに減少しました。

 

(医療)

売上高は前年同期比1.3%増の6,353百万円となりましたが、営業利益は前年同期比33.9%減の260百万円となりました。

 

医療用医薬品

バリウム造影剤は、国内・輸出ともに低調に推移し、原材料高の影響も受け、売上・利益ともに減少しました。

また、消化性潰瘍・逆流性食道炎治療薬「アルロイドG」は、薬価引き下げの影響もあり、売上・利益ともに減少しました。

なお、原燃料価格高騰によるコスト上昇等により損益が悪化したことに伴い、一部の設備について収益予測の見直しを行った結果、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスで、資産グループの帳簿価額を全額回収できる可能性が低いと判断したため、医療用医薬品製造設備の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、447百万円の減損損失を計上しております。

 

医療機器

内視鏡洗浄消毒器は、リニューアル品を上市し順調に販売台数を伸ばしましたが、一部消耗品の前年の値上げ前の駆け込み需要の反動減から、利益は前年同期を下回りました。

 

一般用医薬品・その他

かぜ薬「改源」など一般用医薬品は、好調に推移し、売上・利益ともに増加しました。また、紫外線対策サプリメント「ソルプロ」など美容医療機関向け製品は好調に推移し、売上・利益ともに増加しました。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の財政状態に関しては、以下のとおりです。

 

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における総資産は123,665百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,355百万円減少いたしました。

主な要因は、受取手形及び売掛金が1,962百万円増加したものの、機械装置及び運搬具が3,444百万円減少、土地が1,499百万円減少、繰延税金資産が1,364百万円減少したことによるものです。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は48,942百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,638百万円増加いたしました。

主な要因は、転換社債型新株予約権付社債が3,000百万円増加、支払手形及び買掛金が1,288百万円増加、長期借入金が1,143百万円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は74,722百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,994百万円減少いたしました。この結果、自己資本比率は59.5%(前連結会計年度末は62.9%)となりました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,045百万円です。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併)

当社は、2023年12月22日開催の取締役会において、2024年4月1日を合併効力発生日として、当社の完全子会社であるSC有機化学株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。

吸収合併の概要は以下の通りです。

 

1.合併の目的

SC有機化学株式会社は、プラスチックレンズの添加剤などの有機イオウ化合物を中心とする有機化学品を製造販売しております。

当社グループにおいては、2024年3月に中期経営計画「SAKAINNOVATION2023」が終了し、2024年4月から新中期経営計画がスタートする事に伴い、有機化学品事業を更に伸長させていく方針であります。当社と一体となることにより、機動的で柔軟な経営判断や各種リソース配分を可能とし、成長を加速させることを目的として、SC有機化学株式会社を吸収合併することといたしました。

 

2.合併の要旨

(1)合併の日程

 合併契約取締役会決議日 2023年12月22日

 合併契約締結日     2023年12月22日

 合併実施予定日     2024年4月1日

※本合併は、当社においては会社法第796条第2項に基づく簡易合併であり、SC有機化学株式会社においては会社法第784条第1項に定める略式合併であるため、いずれも合併契約承認に関する株主総会決議を経ずに行います。

 

(2)合併の方式

当社を存続会社とする吸収合併方式で、SC有機化学株式会社は解散いたします。

 

(3)合併に係る割当ての内容

当社の完全子会社との合併であるため、合併による株式その他の金銭等の割当てはありません。

 

(4)消滅会社の新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

該当事項はありません。

 

3.合併の当事会社の概要(2023年3月31日現在)

 

吸収合併存続会社

吸収合併消滅会社

(1)名称

堺化学工業株式会社

SC有機化学株式会社

(2)所在地

堺市堺区戎島町5丁2番地

堺市西区築港新町3丁目27番16号

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役社長 矢倉 敏行

代表取締役社長 加藤 聡

(4)事業内容

酸化チタン、樹脂添加剤、バリウム製品、触媒製品、電子材料、亜鉛製品、機能材料及びその他の化学品の製造販売

有機イオウ化合物及び有機リン化合物を中心とする有機化学品の製造販売

(5)資本金

21,838百万円

164百万円

(6)設立年月日

1932年(昭和7)年2月

1969年(昭和44年)10月

(7)発行済株式数

17,000,000株

378,000株

(8)決算期

3月31日

3月31日

(9)大株主及び

持株比率

日本マスタートラスト信託銀行  10.5%

株式会社日本カストディ銀行   10.3%

CGML PB CLIENT ACCOUNT/COLLATERAL

                7.4%

堺化学工業株式会社       100%

(10)直前決算年度の財務状態及び経営成績

決算期

2023年3月期(連結)

2023年3月期(単体)

純資産

84,717百万円

2,311百万円

総資産

128,021百万円

3,117百万円

1株当たり純資産

4,970.11円

6,114.55円

売上高

83,861百万円

3,584百万円

営業利益

4,407百万円

792百万円

経常利益

4,854百万円

792百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

2,344百万円

552百万円

1株当たり当期純利益

144.85円

1,461.34円

 

4.合併後の状況

合併後、当社の名称、所在地、代表者の役職・氏名、事業内容、資本金及び決算期に変更はありません。

 

5.今後の見通し

本合併は完全子会社との合併であるため、連結業績への影響は軽微です。