文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
創業から、当社は、『ファッションにエンタテイメントを』を経営理念として、オリジナルバッグ・財布等の提供を通じて『お客様に非日常のワクワク感を提供すること』を目指しております。
当社は『トレンドに左右されない商品企画と、定番商品を人気商品化するノウハウ』を強みとして、O2O(※)の施策を活用しながら、自社が提供するオリジナルバッグ等の企画・販売を通してブランドの世界観を構築し、流行に左右されない『ブランドのファン』を生み出すことで長期的・安定的に収益を上げる事業の展開に取り組んでおります。これは、テーマパークのように統一された世界観の中で不変の定番商品や造形があり、お客様が非日常感を味わえる環境を創りだすことにも似ていると考えております。売れている商品を後追いするのではなく、自由な発想で独創的な商品を提案し、それらを人気の定番商品に育てるノウハウを使って、ブームで終わらない強固なブランド創りを目指しております。また、キャラクターとブランドを融合させたエンタテイメントビジネスの強化に向け、積極的な販売促進費の投資等を進めております。
当社は、店舗は原則として直営店による運営を行っております。店舗の販売スタッフをブランドPRの最前線の広告塔として考えており、販売スタッフは原則として正社員となっております。そして、創業者やデザイナーによる継続的な社内研修等を通じてブランドの本質を熟知した販売スタッフによる質の高いサービスを提供することによりリピーターの獲得に努めております。
さらに、O2Oの活用によるブランド戦略として、オフライン(店舗販売)とオンライン(インターネット販売)の連動及びそれを促進する販売スタッフによるブログ、SNS施策により、オンラインでブランドを知ったお客様がオフラインを訪れて買い物をしていただく一方で、オフラインでブランドを知ったお客様がオンラインを訪れて買い物をしていただくなどの双方向に回遊し、相乗効果を生むように取り組んでおります。
当社の主たる商品である鞄・袋物業界の小売市場規模は2022年度で約1兆3千億円であります(出所:株式会社矢野経済研究所「鞄・袋物市場に関する調査(2024年)」2024年3月13日発表)。上記当社の強みや戦略により、引続き当社グループの各ブランドの価値向上等に向けて取り組んでまいります。
※ Online to Offlineの略であり、オンライン(インターネット販売)とオフライン(店舗販売)が融合し、相互に影響を及ぼすこと。
当社は、「新規販売チャネルの展開」「店舗とECのOMOの実現」「生産体制の強化」「人材の確保・育成」「模倣品等への対策の強化」「内部管理体制の強化」「財務体質の強化」を対処すべき特に重要な課題としており、その実現に向けて、引続き積極的に取り組んでまいります。
当社は、継続的な成長及び企業価値の拡大を図り、より多くの消費者ニーズに応えるため、海外進出、キャラクタービジネス、ライセンス事業等の新規販売チャネルの開拓を推進してまいります。そのため、システム投資、広告宣伝費等の追加費用が発生する可能性がありますが、消費者の購買行動の変化に対して適時・適切に対応するとともに、事業拡大に伴う新たなお客様層の獲得を通じて、経営の安定化に取り組んでまいります。
OMO(※)の実現及びEC事業におけるさまざまな業務の効率化と最適化、一部内製化を実施することにより、各ブランド価値の向上を図るとともに売上及び利益を中長期的に拡大することに取り組んでまいります。
※ OMO(Online Merges with Offline)とは、店舗とECの融合を図ることにより、顧客体験を向上させることを目的としたマーケティング手法のことをいいます。
当社では、お客様のニーズにより早く、確かな品質で応えることができるような供給システムを構築するため、技術指導等による生産管理委託先及び生産工場の育成に取り組んでまいります。
当社にとって、店舗従業員等の確保・育成は重要な経営課題であり、優秀な人材確保のため、様々な採用チャネルを活用していく方針です。当期においても新卒採用を継続して行い、店舗やECサイトの運営に必要な人材の確保に努めております。また、転勤のない正社員の採用や時短勤務を取り入れる等、雇用形態や働き方の多様化も図ってまいります。
当社は、当社のブランドや商品と混同させてお客様に販売しようとする悪質な行為や当社の商品画像を悪用した詐欺サイト等については、お客様からの信頼を損ない、また、当社のブランド価値を毀損する可能性があると認識しており、この様な行為への対応を更に強化してまいります。
当社の円滑な拡大を支えていくために、業況推移を常時正確に把握し、適時・適切に経営判断へ反映させていくことが、重要であると考えております。こうした観点から、内部管理体制の一層の充実、管理部門の体制強化を図ってまいります。
当社は、経済環境の急激な変化等に備えるとともに、中長期的な安定成長を実現させるべく、財務体質の更なる強化を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視及び管理するための特別の組織は設置しておりませんが、取締役会において、環境問題等のサステナビリティに関する課題の特定、対応策の検討等について取り組んでいく予定です。
(2)戦略
環境負荷低減への取組
当社で使用している皮革は、全て食用牛の皮を活用して作られております。日本国内で生じる食用牛の皮は年間に約100万頭分と言われており、それらを活用しなかった場合、廃棄・焼却のために大量のCO2が排出されることとなります。そのため、当社は長いスパンで使用できる皮革製品を製造することが環境負荷低減の一環になるものと認識しております。
また、ペットボトルをリサイクルして製造される再生ポリエステル等、サステナブル素材の導入も進めており、海洋ごみの削減、脱炭素化といった地球環境への配慮を図っております。
人材育成方針
社内で行われている研修のほとんどは、代表取締役自らが行っております。経営方針、理念、ミッションを共有する事に加え、新商品の説明会を年2回実施しております。
また、モノづくりの現場を肌で感じるため、国内はもちろん、海外の工場や展示会を視察する研修や、一部専門的な外部の専門家による研修などもあり、全スタッフの継続的なスキルアップを目指しております。
社内環境整備方針
多くの女性が活躍する当社では、女性が職業生活において十分に能力を発揮しながら長く働ける職場を目指し、産休、育休などの環境を整備しております。女性だけではなく、男女ともに公平に尊重され、全スタッフが会社の成長に貢献できる環境の構築を目指しております。
また、当社は終身雇用を前提とした機関設計を目指しており、積立型の退職金に加え、譲渡制限付株式報酬制度など充実した福利厚生により、スタッフが長期キャリアを形成しながらしっかり資産形成できる仕組みを拡充しております。加えて、従業員割引や、予算達成によるインセンティブなどアパレルメーカーならではの福利厚生も導入しております。
(3)リスク管理
当社ではサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。リスクと機会については今後も定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及びその指標や目標を見直すなど適切に対応してまいります。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
(4)指標及び目標
当社は現時点では人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標及び目標は設定しておりませんが、今後、適切な指標や目標の設定について検討してまいります。
当社の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものでありますが、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社は、法令遵守違反などの不適切な行為が発覚した場合は、速やかに適切な対応を図って参りますが、当社に対する悪質な風評が、SNS等のインターネット上の書き込み等により爆発的に発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社のブランドイメージが毀損され、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社が属するファッションブランド業界は、一般に流行の変化が激しく、商品のライフサイクルが短い傾向にあります。当社は、流行に左右されにくい商品の開発や複数のブランドの展開等により当該リスクの低減を図っておりますが、ファッショントレンドの変化等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、出店を検討している地域にて期間限定ショップを展開し、お客様の動向・趣味嗜好等を総合的に判断して出店しておりますが、競合他社による出店等により売上業績が見込みを下回った場合等には、業態変更や店舗の退店または移転、収益性の低下等に伴う固定資産の除却損や減損損失の計上等が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
なお、2024年2月末時点の貸借対照表における有形固定資産の残高は269,608千円であります。
当社では、一定の季節変動があること及びインターネット販売におけるプロモーション戦略や出荷時期等の影響により、業績が大きく変動する可能性があります。第19期連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)及び第20期事業年度(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)における各四半期会計期間及び通期の当社の業績は、以下の通りであります。
(単位:千円、%)
(注) 比率は通期の金額に対する各四半期(連結)会計期間の金額の割合であります。
株式会社デジサーチアンドアドバタイジングは、当事業年度末現在において、同社の代表取締役及び同氏の資産管理会社が合わせて当社の議決権の17.76%を保有しており、同社は当社の関連当事者となっております。
当社と同社の間には、当社役員又は当社従業員と同社役員又は同社従業員との兼務関係、従業員の派遣出向及び受入出向ならびに営業外取引は発生しておりません。
また、当社の事業戦略、人事政策及び資本政策等について、何ら制約等を受けておりません。
当社は、株式会社デジサーチアンドアドバタイジングに対して、当社商品の直営サイトである「ATAO OFFICIAL WEB SITE」、「IANNE公式オンラインショップ」における当社商品の販売等を委託しておりましたが、店舗とECのOMOを実現し、ブランド価値の更なる向上、顧客サービスの強化、売上及び利益の一層の拡大を図るべく、当社グループが展開する各ブランドのオンラインショップが集積したモール型の新ECサイト「ATAOLAND+」を2022年5月にオープンしており、これに伴い同社との商品販売基本契約を2022年7月末をもって終了いたしました。ATAOLAND+において、顧客獲得コストやリピート率などの指標は改善傾向にあるものの、同社との商品販売基本契約において、インターネットサイトに関する知的財産権等及びインターネット販売に係る顧客情報が同社に帰属することとされていたこと、また、当社ブランドであるATAOと誤認させるマーケティングや酷似ブランド、商品などにより一般消費者からの継続的な問い合わせなどが想定以上に発生していること等から、インターネット販売の成長には一定の期間及び販売促進費等の投資が必要になると考えております。引き続き店舗とECのOMOの実現、ATAOLAND+のオープンによる業務の効率化及び最適化、コストの見直し等により、各ブランド価値の更なる向上、売上及び利益の中長期的な拡大を図ってまいりますが、ATAOLAND+における販売等が計画通り進捗しない場合等には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、生産効率や生産管理の観点等から、生産工場(メーカー)、資材業者、皮革業者等を一括で取りまとめる業務を株式会社サカタに委託しており、同社を通じた商品の仕入比率は、2024年2月期において全体の82.7%となっております。
当社は、同社に代替し得る取引先の確保や各生産工場等との直接契約への切替が可能な関係性の構築等によりリスクの低減を図っておりますが、今後何らかの理由により、安定的な商品の仕入が行えない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、個別のメーカーを取りまとめる生産管理業務を委託している株式会社サカタに対して仕入価格を提示して商品の大半を仕入れており、株式会社サカタは当社より提示された価格で納品できるように各メーカーと仕入価格の調整を行っております。このため、これまでは当社の商品の仕入価格は大きく変動せず、比較的安定した仕入価格で商品の供給を受けておりました。しかしながら、急激な円安や物価上昇などの影響により、メーカーからの値上げ要求を受け入れざるを得なくなると、商品の仕入価格が上昇する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は生産、販売拠点ともに主に日本に集約しているため、国内において大地震や津波、台風、洪水等の自然災害あるいは予期せぬ事故等が発生した場合、店舗施設等に物理的な障害が生じる可能性があります。また、自然災害、事故、感染症発生等によって当社の販売活動や物流、仕入活動において支障が発生した場合のみならず、人的被害等が生じた場合、通常の事業活動が困難となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社の代表取締役社長である瀬尾訓弘は、創業者であると同時に創業以来当社の事業推進において重要な役割を担ってまいりました。瀬尾は、商品の企画等、ブランド全体のプロデュースにおいて豊富な経験と知識を有しております。また当社設立以降は、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社では、人材の育成や権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、瀬尾に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により瀬尾が当社の経営執行を継続することが困難になった場合、或いは特定の役職員が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、取締役7名(うち監査等委員である取締役3名)及び従業員数が67名(2024年2月末現在)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社は、今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人材の採用を強化するとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、企業価値の継続的な向上を図るには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、商標権等の知的財産権の保全に努めていますが、第三者による権利の侵害により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発の阻害等を招いた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社では第三者の知的財産権を侵害しないよう監視・管理を行っておりますが、万一、第三者から損害賠償及び使用差し止め請求等がなされ金銭の支払い等が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業では、利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社は、個人情報の外部漏洩・改ざん等を防止するため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報管理規程を制定しております。併せて、全社員を対象とした社内教育を通じて関連ルールの存在を周知徹底し、個人情報保護に関する意識の向上を図ることで、同法及び関連法令等の法的規制の遵守に努めております。また技術的対応として、外部からの侵入を防ぐことができる社内回線(VPN)を使用しており、ウィルス対策、情報漏洩防止に繋げております。また、各店舗のすべてのパソコンに設定されているログインパスワードは厳重に管理され、スタッフのみがアクセスできる体制になっており、社内体制の管理、整備に取り組んでおります。
しかしながら、個人情報が当社関係者や業務提携・委託先などの故意または過失により外部に流出したり、悪用される事態が発生した場合には、当社が損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社の信頼性やブランドが毀損し、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。従って、常時データバックアップやセキュリティ強化を施し、安定的なシステム運用体制の構築に努めております。しかしながら、予期せぬ自然災害や事故、ユーザー及びトラフィックの急増やソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウィルスの感染など様々な問題が発生した場合にはサービスの安定的な提供が困難となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社では、路面店及び商業施設のインショップ店舗出店等に際し、賃貸借契約締結時に保証金を差し入れております。差入保証金の残高は2024年2月末現在、118,672千円であります。当該差入保証金は、期間満了等による賃貸借契約解約時に契約に従い返還されることとなっておりますが、契約に定められた期間満了日前に中途解約した場合は、契約内容に従って違約金の支払いが必要となる場合があります。また、保証金の差入先は原則として大手の商業施設等であるため可能性は低いと想定しておりますが、仮にオーナーまたは商業施設が倒産等の事態に陥った場合には、差入保証金の回収ができない可能性もあります。
当社は、各事業年度の業績、財務体質の強化、中長期事業戦略などを総合的に勘案し、株主価値を最大化させることを念頭に、資本政策を決定していく方針であります。中でも、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を勘案の上、配当及び自己株式の取得等、最適な時期に最適な手法で行ってまいりたいと考えております。引き続き、安定配当の維持を基本とし、事業拡大のための投資に資金を投じてまいりますことが、株主価値を最大化するものと考えております。当事業年度につきましては、当期の業績等を勘案して、2024年2月末を基準日として1株当たり5円の配当としております。今後の配当等株主還元の実施につきましても、業容拡大のスピード及び財務体質等勘案の上、適切に決めてまいりたいと考えております。
配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。なお、内部留保につきましては、財務体質の強化、及び事業拡大資金として、有効に活用してまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和され、経済活動は正常化に向かいつつある一方、円安の影響や物価の上昇、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に起因するエネルギー価格の高騰や世界的な金融引き締めを背景とした景気後退懸念等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社は、「ファッションにエンタテイメントを」を理念とし、オリジナルバッグ・財布等の提供を通じて「お客様に非日常のワクワク感を提供すること」を目指し、引続き販売促進費への投資やSNS活動の強化等を行っております。また、前事業年度にオープンした当社ブランドのオンラインサイトが集積したモール型の新ECサイト「ATAOLAND+(アタオランドプラス)」に係るプロモーション等を継続し、店舗とECのOMOの推進や当社が展開する各ブランド価値の更なる向上、顧客サービスの強化等を図っております。加えて、ATAOブランド初のライセンス展開として、2023年5月よりゴルフラインの販売を開始し、ライセンシーによる販路拡大等を行っております。更に、基幹ブランドであるATAOの更なる認知度の向上並びに売上及び利益の一層の拡大を図るべく、2023年9月に九州エリア初となる「ATAO博多店」、2023年10月に「ATAO楽天市場支店」をオープンいたしました。キャラクターブランドであるILEMERにつきましては、国内の有名動画クリエーターとコラボしたプロモーションを展開するとともに、2023年10月からサンリオが展開するキャラクターたち(サンリオキャラクターズ)とのコラボレーションを開始し、イルメールの新たな表現の可能性の追求とサンリオファンへのイルメールの魅力の訴求を図っております。また、ハッピードールの関連商品の拡充やアパレルラインの新規展開等、新商品の投入を強化しております。
その結果、当事業年度の販売業態別の売上高は、ATAO博多店の新規出店等により店舗販売が1,781,896千円(前事業年度比1.1%増)となり、また、ATAOLAND+への移行等に伴いインターネット販売が1,446,430千円(同24.0%減)となりました。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ248,535千円減少し、3,540,348千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ194,382千円減少し、1,040,382千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ54,152千円減少し、2,499,965千円となりました。
当事業年度の業績は、売上高が3,241,449千円(前事業年度比12.6%減)となり、ATAOLAND+に係る販売促進費の継続的な投資を行ったもののATAOLAND+への移行初年度である前事業年度に比してTVCM等を含むプロモーション費用をコントロールしたこと等により、営業利益123,693千円(前事業年度は営業損失257,449千円)、経常利益122,865千円(前事業年度は経常損失245,792千円)、当期純利益50,782千円(前事業年度は当期純損失229,162千円)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、1,920,812千円となり、前事業年度末より127,029千円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
営業活動の結果獲得したキャッシュ・フローは575,772千円となりました。これは主に、税引前当期純利益114,623千円の計上、棚卸資産の減少額211,552千円、未払金の増加額181,404千円による資金の増加があったことによるものであります。
投資活動の結果獲得したキャッシュ・フローは24,217千円となりました。これは主に、子会社の清算による収入39,942千円によるものであります。
財務活動の結果使用したキャッシュ・フローは472,959千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出359,772千円があったことによるものであります。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
仕入実績については、次の通りであります。
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社の事業セグメントは、バッグ及び財布等の企画・販売を主とするファッションブランドビジネスを行う単一セグメントであるため、販売実績について販売の業態別に示すと次の通りであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
財政状態の分析
当事業年度末の資産については、総資産3,540,348千円であり、前事業年度末と比較して248,535千円減少しております。主な減少要因は、商品が211,552千円減少したことであります。
負債につきましては、負債合計は1,040,382千円であり、前事業年度末と比較して194,382千円減少しております。主な減少要因は、長期借入金が358,332千円減少したことであります。
純資産は2,499,965千円であり、前事業年度末と比較して54,152千円減少しております。主な減少要因は、自己株式が35,780千円増加、利益剰余金が19,366千円減少したことであります。
経営成績の分析
当事業年度の売上高は売上高が3,241,449千円(前事業年度比12.6%減)となり、売上原価1,051,722千円(同17.1%減)を計上した結果、売上総利益は2,189,727千円(同10.3%減)となりました。
販売促進費699,309千円(前事業年度比21.7%減)、給料手当215,932千円(同4.9%減)、地代家賃246,226千円(同5.6%増)等を計上した結果、当事業年度の販売費及び一般管理費は2,066,034千円(同23.4%減)となり、営業利益は123,693千円(前事業年度は営業損失257,449千円)となりました。
受取保険金1,717千円等により営業外収益2,970千円(前事業年度比79.5%減)を計上し、営業外費用3,797千円(同33.5%増)を計上した結果、当事業年度の経常利益は122,865千円(前事業年度は経常損失245,792千円)となりました。
特別利益として関係会社清算益9,486千円、特別損失として減損損失等17,727千円を計上し、税金等調整前当期純利益は114,623千円(前事業年度は税金等調整前当期純損失243,436千円)となり、法人税等63,841千円(前事業年度は法人税等△14,273千円)を計上した結果、当期純利益は50,782千円(前事業年度は当期純損失229,162千円)となりました。
キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
当社は、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金等を確保するとともに、経済環境の急激な変化等に備えた財務基盤の強化を図ることを基本方針としております。当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、業容拡大に伴う仕入、販売促進費、人件費等の運転資本の増加であり、設備投資資金の需要は、主に新規出店や店舗リニューアルによるものであります。所要資金については、内部資金を活用するとともに、必要に応じて金融機関からの調達等により賄うこととしております。
当事業年度末における有利子負債の残高は556,668千円、現金及び現金同等物の残高は1,920,812千円であり、ネット・キャッシュは1,364,144千円となっております。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りでありますが、ブランド力の維持、ファッショントレンド、出店、特定取引先との関係等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、市場動向等に留意し、内部管理体制の強化、取引先との関係維持・強化、市場のニーズに合った商品の開発等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社の経営の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載の通りです。
今後の見通しにつきましては、引続き「トレンドに左右されない商品企画と、定番商品を人気商品化するノウハウ」を強みとして、O2O戦略の強化を図り、インターネット販売及び店舗販売等の継続的な成長を目指してまいります。また、キャラクターとブランドを融合させたエンタテイメントビジネスの強化に向け、積極的に先行投資を行い、中長期的に取り組んでまいります。
2022 年 8 月にグランドオープンした新 EC サイト「ATAOLAND+(アタオランドプラス)」において、顧客獲得コストやリピート率などの指標は改善傾向にあるものの、旧ECサイトに係る知的財産権及び顧客情報等が旧ECサイトの運営委託先に帰属する契約となっていたこと、また、当社ブランドである ATAO と誤認させる類似ブランドにより一般消費者からの継続的な問い合わせなどが想定以上に発生していること等から、インターネット販売の再拡大には一定の期間及び販売促進費等の継続的な投資が必要になると考えております。
2025 年 2 月期においては、当事業年度中にオープンした ATAO 博多店やオンラインの新しいチャネルとしての ATAO 楽天市場支店の年間を通した貢献、2023 年の年末商戦に生まれたヒット商品などの在庫の適正化などにより、既存顧客の売上を維持しつつ、各ブランドの戦略的なプロモーションの強化により、とりわけオンラインの新規顧客へのアプローチにより注力していきながら、売上高、利益の拡大を図ってまいります。
また、円安等による資材高騰等が課題となっている生産背景においても、これまでの体制にこだわることなく抜本的に見直し、製造期間の短縮および物流のスピード化を図り、お客様に最大限価値を感じていただけるようなモノづくりに集中してまいります。さらに、環境への問題にも配慮しながら、時代のニーズに合わせ広くお客様に受け入れていただけるブランドづくりをより一層強化してまいります。
ILEMERブランドに関しては、引続きサンリオキャラクターズとのコラボレーションアイテム等の新商品の投入等により、売上の拡大を図っていきたいと考えております。
引続き、店舗とECのOMOの強化、各種プロモーション施策の実施、新ECサイトのオープンによる業務の最適化及び効率化等により、各ブランド価値の更なる向上、売上及び利益の中長期的な拡大を図ってまいります。
※ OMO(Online Merges with Offline)とは、店舗とECの融合を図ることにより、顧客体験を向上させることを目的としたマーケティング手法のことをいいます。
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、新規販売チャネルの展開、店舗とECのOMOの実現、生産体制の強化、人材の確保・育成等が必要であると認識しております。
該当事項はありません。