第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「熱・水・環境の分野で、環境に優しい社会、きれいで快適な生活の創造に貢献します」を企業理念に掲げ、その実現のため、エネルギーの有効利用や環境関連の分野で有用な製品やサービスを独自の技術力で創出し、世界のお客様のお役に立つことを目指しております。

そのうえで、企業価値の最大化を目指して透明性や効率性の高い経営に努め、株主をはじめとするステークホルダーの皆様の期待と信頼にお応えするとともに、健全な成長を図って企業の社会的責任を果たしてまいりたいと考えております。

さらに、当社グループは、「我々はわが社を最も働きがいのある、最も働きやすい職場にしよう」をモットーに信頼・連帯感・誇りで結ばれる風通しの良い職場の実現を目指し、働きがいのある企業風土づくりや人財育成などに取り組み、成長し続けるための基盤強化を図ってまいる所存です。

 

(2) 経営戦略等

① 中期経営計画

当社グループは、スーパーメンテナンス会社(商品やサービスを通じてお客様と持続的につながり続ける会社)を目指し、国内は、お客様に熱・水・環境の分野においても独自技術によるトータルソリューションをグループの総合力で進化させながら提供することにより、事業の拡大を図ってまいります。海外においては、省エネルギーと環境保全の提案など国内で長年培ったビジネスモデルを展開し、事業基盤の強化と収益力の向上に努めてまいります。また、グローバルな市場のニーズにマッチした新製品の開発や設計・製造一体となった品質の追求に取り組み、企業ブランドの浸透を図ってまいります。

 さらには、中長期的な企業価値向上を図るべくESG経営への取り組みを継続するとともに、働き方改革や生産性の向上に向けたIT技術の活用に取り組み、グループの成長基盤を強化してまいります。

 当社グループは、永続的な成長と安定的な収益を実現するため、3年分の中期計画を作成し、以下を目標に経営を行ってまいります。なお、中期計画は事業環境の変化等を考慮して毎年見直す「ローリング方式」により立案しております。

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

売上収益

151,500

158,900

167,500

営業利益

22,100

23,000

24,100

 なお、JENSEN-GROUP NVとの合弁契約によりアイナックス稲本株式会社は持分法適用会社となることから、上記の中期計画にアイナックス稲本株式会社の売上収益及び営業利益は含めておりません。

 当社グループ一丸となって目標の達成を目指してまいります。

 

② 経営指針

1.グループの総合力でグローバル化を推進する

ミウラグループ全部門の協力で積極的に海外展開を推進し、ミウラの商品とサービスが世界標準となるよう目指します。

2.テクノサービスで世界のベストパートナー企業を目指す

ボイラを通じて培ったお客様との信頼関係を活かして、お客様の抱える熱・水・環境に関する問題解決提案型の企業となります。それにより、お客様と更に強固な信頼関係を構築することを目指します。

3.社員の潜在能力が最大限に発揮できる職場作りを目指す

全ての社員に、より良い変化を求めてチャレンジできる機会を均等に与え、多様な価値観を尊重しつつ、公平で活力ある会社とします。そして、個人の能力を最大限に引き出すことにより、世界と戦える人材を育てます。商品開発・製造については、関係する各部門が機能的に協力する四位一体改革(設計・製造・調達各部門並びに協力会社との品質向上改革)を推進します。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、いかなる市場環境のもとでも利益を着実に拡大していくことが、企業価値の増大と株主利益の向上につながるものと考えており、さらなる営業利益の増加とROE(自己資本当期純利益率)10%を経営目標としております。

2024年3月期には、営業利益22,100百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益18,000百万円を年度経営目標として収益性の向上に取り組んでまいります。

 

(4) 経営環境

2024年3月期の当社グループを取り巻く国内の事業環境は、人件費やエネルギー価格上昇に伴う、原材料価格や物流コストの上昇に加え、半導体不足や地政学的なリスクも継続しており、経済環境は不透明な状況が続くと見込まれますが、人の動きの活発化による経済への好影響により、設備投資需要は回復していくと思われます。海外の事業環境は国や地域によって大きく異なるため、画一的な判断は困難でありますが、状況に合わせた営業活動を進め、当社のビジネスモデルを展開してまいります。

今後の見通しについて、国内においては、まずはエネルギー全体の使用量削減に向け、お客様視点での「トータルソリューション」提案活動を推進し、脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。

海外においては、国や地域によって状況は異なりますが、省エネや環境負荷低減に繋がるボイラの販売や有償保守契約の取得件数増加に努めてまいります。

 

(5) 対処すべき課題

当社グループは、「お客様との信頼関係をベースに一つでも多くの製品・サービスの提供を通じてお客様と持続的につながり続ける会社」の実現を目標に取り組んでまいりました。2023年3月期においては、国内海外ともに新型コロナウイルス感染症は収束しておりませんが、行動制限が以前に比べ緩和されていることもあり、営業活動への影響は徐々に小さくなっております。2024年3月期は、諸々の環境変化を踏まえ、新たな社会ニーズへの対応を加速化させながら、引続き環境負荷低減、トータルソリューション、ワンストップサービスをスローガンに既存事業の収益体質の強化、新たにより多くのお客様とつながりをもつことのできる製品・サービスの提供、日本で培ったビジネスモデルの展開に取り組んでまいります。そのために、新製品・新サービスの研究開発、独創的な技術を獲得するM&A、環境保全・安全・品質等を高めるための投資、生産性向上に向けた情報システムの再構築、そして従業員教育等に積極的に投資を行ってまいります。

 

①  新製品の開発・新サービスの開発

 国内においては、ボイラだけでなくランドリー機器、舶用機器、水処理機器、食品機器、メディカル機器、未利用熱回収装置、環境分析装置、燃料電池などの環境課題解決のための新製品の開発やメンテナンスをベースとした新サービスの開発で、あらゆるお客様の付加価値を最大化できるトータルソリューションを提供する新製品の開発を引続き積極的に進めてまいります。

 

②  海外への日本のビジネスモデルの展開

 世界のお客様に、日本と同等の品質のサービスを提供できるよう、人的投資を積極的に行い、各国の拠点網の拡充、従業員教育の充実を図ってまいります。

 

③  トータルソリューションによる事業の拡大

 当社グループは、中長期の経営戦略として、トータルソリューションに基づいた事業拡大を掲げております。具体的には、主力製品であるボイラを核として周辺機器をつなぐことにより、お客様の工場全体で抱えられている問題を解決し、お客様に更なる成長をしていただける環境作りを目的として活動しております。当社グループはこのトータルソリューションを拡大し、進化させるため、引続き他社との協業やM&Aも検討してまいります。

 

④  働き方改革への取組

 当社グループは、お客様の信頼を得るためには、経験を積み、質の高いサービスを提供することが必要不可欠であり、そのためには、従業員同士がしっかりとコミュニケーションをとり、意思疎通が図れて働きやすい職場にすることが必要であると考えております。これまで、継続的に人事制度の充実やワークライフバランスの推進などを行うことにより、育児・介護などの事情を抱えた従業員が活躍できるような職場の実現に注力してきておりますが、当社グループで働く外国人や障がい者の方々も増加していることから、今後はさらに従業員の多様性を尊重し、それぞれの個性が活かせる職場づくりを積極的に進めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 サステナビリティを巡る課題対応は、リスクの減少のみならず、収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組んでおり、情報開示を行います。

 なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とはさまざまな要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) サステナビリティ

① ガバナンス

a.サステナビリティマネジメント

 当社グループが考えるサステナビリティは、グループすべての従業員が企業理念とモットーを共有し、一人ひとりが活きいきと働き、お客様のお役に立ち、それが地球環境保全や社会貢献につながり、企業としても成長していくことであります。

 2021年3月期に、ミウラグループ企業理念とモットーのもと、サステナビリティ活動の方向性を「サステナビリティ基本方針」として決定しております。今後も、新たなマテリアリティへのチャレンジに取り組み、社会の持続可能性に貢献するサステナビリティ経営を継続してまいります。

<サステナビリティ基本方針>

 ミウラグループは、熱・水・環境のベストパートナーとして、企業活動を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献します。

 

b.サステナビリティ推進体制

 当社グループでは、サステナブルな経営を推進する仕組みとしてサステナビリティ推進会議を年4回開催し、サステナビリティの重要課題(マテリアリティ)の推進に取り組んでおります。推進会議は、社長執行役員CEOが指名するサステナビリティ推進担当役員を議長とし、関連部門の執行役員等で構成しております。推進会議では、方針・計画・施策の審議決定、進捗管理、各部門の取組の促進を行っております。経営会議及び取締役会には審議・決議事項等を定期的に報告するとともに、必要に応じ、重要事項を取締役会に付議・上程しております。

 2023年3月期のサステナビリティ推進会議は、経済産業省「GXリーグ基本構想」への賛同・参画表明、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示、温室効果ガス削減活動の報告、インターナルカーボンプライシングの設定、サステナブル調達に向けた活動などが協議され、各部門での活動に展開いたしました。

0102010_001.jpg

 

② リスク管理

 当社グループのサステナビリティに関する主なリスクは、当社グループ全体のリスク管理プロセスに組み込まれており、コーポレートリスクの一部として管理されております。詳細については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(2) 気候変動への取組

 当社グループは、気候変動を世界共通の重大な課題であると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づき、気候変動にかかるリスク及び収益機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響等について、2022年5月に当社ホームページにて開示いたしました。2022年度の活動におきましては、アクア事業に関連したシナリオ分析を実施し、主力のボイラ事業の影響を強く受けながらも新たな展開によりグローバルに成長するアクア事業の将来展望を確認いたしました。日本国内でも官民一体となったGX活動が活発化しており、気候変動問題への取組は、より重要度を増したと認識しております。世界的な共通目標であるカーボンニュートラルの実現に向けて、グループ一丸となって取り組んでまいります。

① ガバナンス

 当社グループは、気候関連課題が事業に密接に結びついており、事業活動に大きな影響を与えると考えておりますので、気候変動に関する取組は、サステナビリティ推進会議で検討・立案し、経営会議での審議を経て代表取締役社長執行役員CEOを議長とする取締役会で決議・監督する体制としております。サステナビリティ推進会議はサステナビリティ推進担当役員を議長とし、各部門から選任された推進責任者、推進担当者及び事務局で構成され、定期的に開催しております。

・取締役会は、気候変動問題に関する取組を決議・監督する。

・経営会議は、気候変動問題に関する取組を審議する。

・サステナビリティ推進会議は、気候変動問題に関する取組を検討・立案する。

 

② リスク管理

 当社グループは、各部門で抽出した気候変動による影響をサステナビリティ推進会議で検討し、従来のリスクマネジメント体制の枠組に気候変動リスクを追加した上で管理しております。

 気候変動リスク(移行リスク、物理リスク)を含むすべてのリスクは、経営会議で統括管理しており、事業リスク影響評価を確認の上リスク対応項目を決定し、特に重要な事項を取締役会に上程しております。取締役会は、リスクマネジメントに関する特に重要な事項を審議・決議し監督しております。

・BCP検討委員会は、経営会議の諮問機関として必要に応じて組織される。

・経営会議は、気候変動リスクを含むすべてのリスクを統合し、意思決定を担う。

 

 

③ 戦略

 当社は、シナリオ分析を行い、気候変動に関する重要リスク・重要機会を洗い出し、それらが及ぼす具体的な財務的影響額の評価を行っております。国内機器販売事業のボイラ事業については、売上収益の45%を占める主要事業であること、従来化石燃料を使用していることから今後のGHG(温室効果ガス)排出量削減規制の影響を強く受ける可能性があること、気候変動対策として、新技術の市場参入機会が存在すること、これら3つの事情を踏まえてシナリオ分析を行いました。シナリオ分析は、IEA(国際エネルギー機関)等が公表する「シナリオ」に基づき、4℃シナリオと1.5℃シナリオの2つのシナリオを用いて、2030年、2050年時点における影響を考察しております。

0102010_002.jpg

 

<国内機器販売事業のボイラ事業・アクア事業における特に重要な気候変動関連リスク・機会及び財務的影響>

0102010_003.jpg

 

<国内機器販売事業における戦略・具体的な取組>

Stage1(2022年~2030年):省エネの徹底と新技術の確立

脱炭素エネルギーインフラの整備が十分進んでおらず、現存技術で徹底した省エネ活動と低炭素燃料への転換、低炭素設備の提案を推進してCO2削減を図るとともに、脱炭素に対応した技術を確立するステージ

・省エネ診断を行い工場全体の省エネ・トータルソリューションを展開

・ヒートポンプ及び熱回収コンプレッサ等と既存機器のベストミックスの提案

 

Stage2(2031年~2050年):再生可能エネルギー等脱炭素対応商品の開発強化

脱炭素エネルギーインフラが浸透し、新エネルギーに対応した設備を提案するとともに、脱炭素への対応を高めるステージ

・水素関連製品の技術開発、拡販及びラインナップ拡充

・アライアンスによるソリューションの高度化と領域の拡大

 

④ 指標と目標

 当社グループは、気候変動に関わる影響を重要課題と認識しており、自社の事業活動及び販売する製品・サービスの環境負荷を低減させるために、長期的なGHG排出量削減目標を定めて取り組んでおります。GHG排出量削減目標に従って、継続的に各種取組を推進するとともに、達成状況の評価を行ってまいります。

0102010_004.jpg

 

 

(3) 人的資本・多様性への取組

① 戦略

 当社グループは、企業理念とモットーを実現するために、人的資本・多様性への取組において以下の方針を掲げております。

<人財育成方針>

~企業は人なり、教育は惜しみなく~

 当社グループでは、お客様に役立つ「技術・生産力」「営業・販売力」「メンテナンス力」とお客様に愛され信頼される「サービス力」を高める人財育成に力を入れております。また、今後の新たな事業展開に必要な新しい技術・専門知識の修得、更なるグローバル化へ向けた海外事業を牽引するグローバル人財の育成も重要であると考えております。「企業は人なり、教育は惜しみなく」の考えを基軸に、これからも人財への投資(人財育成)を積極的に行ってまいります。

<社内環境整備方針>

 当社グループでは、従業員が活きいきと働けるよう、働き方改革や仕事と家庭との両立支援制度、福利厚生の充実など、より働きがいのある、働きやすい職場の実現を目指して働きやすい職場環境の整備に取り組んでおります。

 

 詳細については、「統合報告書2022」 人財戦略・マネジメントをご参照ください。

https://www.miuraz.co.jp/assets/pdf/ir/integrated/2022/54.pdf

 

② 指標と目標

a.熱ソムリエ対象資格 資格保有数

 お客様に最適な熱利用を提案するミウラの熱のプロを象徴する「熱ソムリエ」の基盤を強化するために、そのバックボーンとなる資格を厳選し、取得を推進することを目的とした人財育成戦略活動を実施しております。対象資格をエネルギー管理士、電気主任技術者、電気工事士、管工事施工管理技士、高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)とし、2026年度末に2021年度末と比較して対象資格保有者数の30%以上の増加を目標に掲げております。

 

直近5ヶ年の熱ソムリエ対象資格 資格保有数

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

2021年

3月31日

2022年

3月31日

2023年

3月31日

熱ソムリエ対象資格 資格保有数

(個)

1,139

1,199

1,233

1,384

(注) 算定範囲は三浦工業単体となります。

 

b.研修受講者数(延べ人数)及び一人当たりの教育関連費用

 当社では、職種毎の教育分科会の代表者及び経営層で構成する検討会で次年度の教育方針を毎年決定し、教育計画を策定・実施しております。2022年度は「社員の強みを活かす」を教育方針に掲げ、取り組んでまいりました。近年は新型コロナウイルス感染症の影響により、研修の開催に制限がありましたが、今後は新たな事業展開に必要な新しい技術・専門知識が修得できる研修を更に充実させてまいります。

 

直近5ヶ年の研修受講者数(延べ人数)及び社員一人当たりの教育関連費用

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

2021年

3月31日

2022年

3月31日

2023年

3月31日

研修受講者数(延べ人数)

(名)

4,348

5,091

1,638

3,033

3,971

社員一人当たりの教育関連費用

(千円)

101

86

47

55

75

(注) 1 算定範囲は三浦工業単体となります。

2 教育関連費用には、自社及び外部の研修や講習を受講するために要した費用及び資格取得に要した費用等も

  含まれております。

 

c.女性管理職比率

 女性従業員のキャリア育成について支援強化を継続しており、外部研修受講奨励や女性技術者等の他社交流会による意識改革とあわせ、女性管理監督者比率目標を2025年度末に3%以上と掲げ、役職者登用の拡大と育成強化を進めてまいりました。

 近年では、従来の女性活躍領域を超えた社内公募制度の開始及び領域の拡大を実施し、活躍志向の人財発掘とキャリアアップ支援を強化しております。引き続き、主任・係長のジョブローテーションの推進、役員や女性上位役職者参画によるオフサイトミーティングの開催並びにフィールドエンジニア職、営業職の採用及び教育等を通じて、課長候補者の計画的な拡充、強みを活かした専門領域等での上位役職への登用に取り組んでまいります。

 

直前5ヶ年の女性従業員数、女性役職者数及び比率

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

2021年

3月31日

2022年

3月31日

2023年

3月31日

女性従業員

(名)

774

781

797

801

796

女性従業員比率

(%)

25.0

24.5

24.6

24.3

24.2

女性役職者

(名)

239

255

276

295

320

女性役職者比率

(%)

13.9

14.4

15.2

15.6

16.5

うち係長相当職

(名)

20

23

28

29

30

女性係長相当職比率

(%)

8.7

9.9

11.0

10.7

10.9

うち管理監督者(課長以上)

(名)

16

16

16

19

22

女性管理監督者比率

(%)

2.9

2.7

2.6

2.9

3.3

(注) 1 算定範囲は三浦工業単体となります。

   2 女性役職者比率は、当社の全役職者に対する女性の割合を記載しております。

   3 女性係長相当職比率は、当社の全係長相当職に対する女性の割合を記載しております。

   4 女性管理監督者比率は、当社の全管理監督者(課長以上)に対する女性の割合を記載しております。

 

d.有給休暇取得率

 働き方改革の一環として有給休暇取得率の目標を2026年度末に80%以上と定め、有給休暇取得促進に取り組んでおります。2023年3月期は、具体策として、計画有休の確実な取得、土日祝日と組み合わせた3連休・4連休の取得、メモリアル休暇(社員にとって大切な日の有給休暇利用)の取得を推進いたしました。

 

直近5ヶ年の有給休暇取得率

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

2021年

3月31日

2022年

3月31日

2023年

3月31日

有給休暇取得率

(%)

74.8

66.1

72.1

64.9

82.1

(注) 算定範囲は三浦工業単体となります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営目標の達成を阻害するさまざまなリスクのうち、特に品質、環境、情報セキュリティ、財務、コンプライアンス、労働災害、災害問題等を主要なリスクとして、これらの部門を担当する各執行役員が責任者となりリスク管理の推進と対応策の整備に努めております。また、事業リスク影響評価への対応・検証については、リスク管理の最高責任者である社長執行役員CEOにより年1回開催されるリスクマネジメント定例会で審議しております。審議内容は経営会議に報告され、次期の活動方針の承認を得ております。また、リスク管理に関する方針の策定やリスク対策等のうち、重要案件については取締役会で審議しております。

 

0102010_005.png

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 減損会計に関するリスクについて

 当社グループでは、事業の用に供する不動産をはじめとするさまざまな資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、将来のキャッシュ・インフローの状況により、減損処理を行う可能性があり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、企業買収・資本提携等を実施しております。当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業の環境等により、当初期待した成長シナジーが達成できなかった場合、のれん等の減損処理により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 知的財産権について

 当社グループは、知的財産権としての特許を重視しており、必要な特許の取得を積極的に努めております。しかし、特許取得により、当社グループの技術情報が開示され、それをもとに他社が関連技術、関連製品の開発を行う特許侵害の可能性があり、その場合は特許係争リスクを抱えることになります。また、製品開発に関しては特許侵害のないように注意を払っておりますが、他社からの特許侵害の訴訟を受ける可能性を完全に払拭することはできません。他社から特許侵害の訴訟を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品及びサービスの欠陥について

 当社グループは、顧客満足を第一にお客様に安心してお使いいただける製品及びサービスの提供に取り組んでおりますが、これらすべての製品及びサービスに欠陥がなく、リコールが発生しないという保証はありません。当社グループの製品は、ほとんどが生産財であり、また、主要機種は定期的な保守点検を実施しておりますので、大規模なリコールや賠償につながる可能性は少ないと考えております。しかしながら、賠償責任保険でカバーできる範囲を超えるような予想外の重大な欠陥が発生した場合には、直接的な損害にとどまらず、製品及びサービスへの信頼性や評価にも影響を与え、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 災害等について

 当社グループは、顧客満足を第一にお客様に安心してお使いいただける製品及びサービスの提供に取り組んでおりますが、大震災等の自然災害が発生した場合、生産、販売、メンテナンス体制等に混乱が生じる可能性があります。お客様に対する製品及びサービスの提供を維持するため、災害発生時の行動基準「ミウラグループ事業継続計画」を制定しており、随時見直しを行っておりますが、特に当社及びグループ企業の本社機能、生産設備に大きな影響を及ぼす災害が発生した場合には、直接的な損害にとどまらず、製品及びサービスへの信頼性や評価にも影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) カントリーリスクについて

 当社グループは、複数の国で事業活動を展開しております。各国の政治・経済・社会・法制度等の変化や暴動・テロ・疫病等(新型コロナウイルス感染症含む)の発生による経済活動の制約及びサプライ・チェーンや流通網の遮断等が発生した場合、当社グループの生産活動、販売活動及びメンテナンス活動に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、生産活動は、サプライ・チェーンの停滞等による部材調達懸念が把握されております。販売活動は、顧客の設備投資意欲減退の影響を受けて受注機会の減少や製品納入の延期等が懸念されます。今後、新型コロナウイルス感染症の影響が軽微に止まらない場合には、当社グループの生産活動、販売活動に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 原材料価格の変動について

 当社グループの主力製品である小型貫流ボイラは、主要缶体部分に鋼板・鋼管を使用しており、また、水管ボイラは受注生産のため、他の製品と比べ納期が長く、特殊な鋼板・鋼管を使用しております。このため、鋼材価格が急激に高騰した場合、製造コストの削減や販売価格への転嫁などで対応できない可能性があります。これら原材料価格の上昇は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) サプライヤからの部品供給について

 当社グループは、「ミウラグループ事業継続計画」の策定により安全在庫の確保、サプライヤの代替先の検討といった、有事に備えた対策を講じております。しかし、予期しない政治的・経済的要因の発生、災害や疫病等(新型コロナウイルス感染症含む)によるサプライヤからの部品供給停止といった不測の事態により、調達価格の高騰あるいは調達量、納期の確保が困難となる場合には、生産遅延、販売機会の損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 情報セキュリティについて

 当社グループは、生産管理・販売管理及び財務等に関する情報をネットワークを通して管理しており、情報システムの重要性が増大しております。コンピュータウイルスの感染、不正アクセスなどにつきましては、十分な予防措置を講じておりますが、予期し得ない外部からの侵入や攻撃がなされた場合、その内容や規模によっては、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 また、内部統制への対応として、財務報告の信頼性を維持し高めることが求められている中、IT全般統制の視点から情報システムの開発・保守・運用業務の品質向上活動を継続し、適正なIT業務運用に努めております。しかしながら、予期し得ない統制上の問題が生じた場合には、財務報告の信頼性を担保できないような状況が起こり得ることも考えられます。

 

(10) 法的規制等について

 当社グループは、事業活動を展開している各国において、さまざまな法的規制を受けております。グループ全体でこれらの規制を遵守すべく、リスク管理体制の整備を進めております。万が一これらの規制を遵守できない事象が発生した場合、当社グループの事業活動が制限される可能性や費用負担の増加につながる可能性があります。特に、関税・輸出入規制や圧力容器及び大気汚染防止規定などの改正により、機器の生産や販売に大きな影響を受ける可能性があります。

 

(11) 為替の変動について

 当社グループは、海外における事業も展開しております。各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの取扱商品の一部は、海外での取引を行っておりますので、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 

 

売上収益

 

(百万円)

 

営業利益

 

(百万円)

 

営業利益率

 

(%)

 

税引前

当期利益

(百万円)

 

当期利益

 

(百万円)

親会社の所有者に帰属する当期利益

(百万円)

基本的

1株当たり

当期利益

(円)

2023年3月期

158,377

21,928

13.8

23,467

16,986

16,876

149.52

2022年3月期

143,543

19,441

13.5

20,242

14,223

14,236

126.15

前期比

10.3%

12.8%

15.9%

19.4%

18.5%

18.5%

 

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的になっておりますが、エネルギー価格や原材料価格の上昇、半導体不足や地政学的な問題も発生し、先行きの不透明感は依然として継続しております。

 このような状況の中で当社グループは、国内では「熱・水・環境の分野で、環境に優しい社会、きれいで快適な生活の創造に貢献します」の企業理念のもと、お客様の抱えられている問題を解決する「トータルソリューション」の提案活動やワンストップサービスの提供に向けた、スーパーメンテナンス会社の実現を推進してまいりました。

 当連結会計年度の連結業績につきましては、国内においては、機器販売事業で主力の小型貫流ボイラの販売が堅調に推移し、ランドリー事業及びメンテナンス事業も堅調に推移しました。海外においては、機器販売事業で米州のボイラ販売が堅調に推移したことや為替の影響もあり、売上が増加しました。

 利益面につきましては、原材料価格の上昇や営業活動の活発化により経費は増加しましたが、増収効果や販売価格改定効果もあり、増益となりました。

 売上収益は158,377百万円(前期比10.3%増)、営業利益は21,928百万円(前期比12.8%増)、税引前利益は23,467百万円(前期比15.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は16,876百万円(前期比18.5%増)となりました。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ11.2%増の94,058百万円となりました。売上収益原価率は59.4%と前連結会計年度と比べ0.5ポイントの増加となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ7.2%増の43,116百万円となりました。

営業利益は、前連結会計年度に比べ12.8%増の21,928百万円となり、営業利益率は13.8%と前連結会計年度と比べ0.3ポイントの増加となりました。

この結果、税引前当期利益は前連結会計年度に比べ15.9%増の23,467百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、18.5%増の16,876百万円となりました。

また、基本的1株当たり当期利益は149円52銭、親会社所有者帰属持分当期利益率は10.3%となりました。

 なお、2022年1月5日のコベルコ・コンプレッサ株式会社の持分法適用会社化に伴い、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、第3四半期連結会計期間において暫定的な会計処理が確定したため、遡及修正した数値と比較しております。

 

 

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

売上収益

セグメント利益

2022年3月期

(百万円)

2023年3月期

(百万円)

前期比

(%)

2022年3月期

(百万円)

2023年3月期

(百万円)

前期比

(%)

国内

機器販売事業

63,122

66,199

4.9

5,831

6,803

16.7

メンテナンス事業

37,012

38,605

4.3

9,637

10,164

5.5

ランドリー事業

13,112

17,421

32.9

322

701

117.8

海外

機器販売事業

22,476

26,517

18.0

2,357

2,972

26.1

メンテナンス事業

7,761

9,573

23.3

1,310

1,394

6.4

その他及び調整額

58

59

0.9

△16

△108

合計

143,543

158,377

10.3

19,441

21,928

12.8

 

国内機器販売事業

 国内機器販売事業は、ボイラ及び関連機器、省エネ提案に伴う工事などが堅調に推移し、売上が増加しました。この結果、当事業の売上収益は66,199百万円と前期(63,122百万円)に比べ4.9%増となりました。セグメント利益は、増収効果や価格改定効果の影響もあり、6,803百万円と前期(5,831百万円)に比べ16.7%増となりました。

 

国内メンテナンス事業

 国内メンテナンス事業は、契約期間延長に伴う有償保守契約件数の増加や省エネ等の提案活動の推進により、売上を伸ばしました。この結果、当事業の売上収益は38,605百万円と前期(37,012百万円)に比べ4.3%増となりました。セグメント利益は、10,164百万円と前期(9,637百万円)に比べ5.5%増となりました。

 

国内ランドリー事業

 国内ランドリー事業は、新規連結の影響や人の移動の活発化に伴う設備稼働率の上昇により、停滞しておりました省人化や省エネを目的とした老朽化設備の更新需要に回復がみられ、売上が増加しました。この結果、当事業の売上収益は17,421百万円と前期(13,112百万円)に比べ32.9%増となりました。セグメント利益は、増収効果により701百万円と前期(322百万円)に比べ117.8%増となりました。

 

海外機器販売事業

 海外機器販売事業は、中国では新型コロナウイルス感染症の拡大による行動制限の影響により、営業活動が停滞し、機器販売が減少しましたが、米州での販売店との連携強化や販売価格改定効果により、売上を伸ばしました。この結果、当事業の売上収益は26,517百万円と前期(22,476百万円)に比べ18.0%増となりました。セグメント利益は、2,972百万円と前期(2,357百万円)に比べ26.1%増となりました。

 

海外メンテナンス事業

 海外メンテナンス事業は、有償保守契約の積極的な提案による契約件数の増加により、売上を伸ばしました。この結果、当事業の売上収益は9,573百万円と前期(7,761百万円)に比べ23.3%増となりました。セグメント利益は、保守契約に対する費用や人件費の増加がありましたが、1,394百万円と前期(1,310百万円)に比べ6.4%増となりました。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

国内機器販売事業

27,447

4.1

国内メンテナンス事業

4,070

6.4

国内ランドリー事業

2,858

9.4

海外機器販売事業

9,641

20.5

海外メンテナンス事業

1,210

3.6

合計

45,228

7.8

 (注) 金額は、製造原価により表示しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における国内機器販売事業の受注実績を示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

国内機器販売事業

6,723

△12.8

7,279

26.0

 (注) 1 金額は、販売価格により表示しております。

 2 受注生産は、舶用ボイラ及び舶用機器のみであります。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

国内機器販売事業

66,199

4.9

国内メンテナンス事業

38,605

4.3

国内ランドリー事業

17,421

32.9

海外機器販売事業

26,517

18.0

海外メンテナンス事業

9,573

23.3

その他

59

0.9

合計

158,377

10.3

 (注) 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。

 

③ 財政状態の状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

増減

資産合計

218,975

229,560

10,584

負債合計

58,919

60,648

1,729

資本合計

160,056

168,912

8,855

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ10,584百万円増加し、229,560百万円となりました。流動資産は、主に現金及び現金同等物が9,476百万円減少した一方、売却目的で保有する資産が20,366百万円、その他の金融資産が5,294百万円、その他の流動資産が4,439百万円増加したことにより、22,972百万円の増加となりました。非流動資産は、主に持分法で会計処理されている投資が770百万円増加した一方、のれん及び無形資産が10,047百万円、有形固定資産が1,764百万円、使用権資産が1,014百万円減少したことにより、12,387百万円の減少となりました。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,729百万円増加し、60,648百万円となりました。流動負債は、主に営業債務及びその他の債務が3,521百万円、未払法人所得税等が1,620百万円、その他の金融負債が1,110百万円減少した一方、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が8,286百万円、契約負債が3,111百万円増加したことにより、4,365百万円の増加となりました。非流動負債は、主に繰延税金負債が1,360百万円、リース負債が889百万円、その他の金融負債が545百万円減少したことにより、2,636百万円の減少となりました。

 なお、2023年3月にアイナックス稲本株式会社の株式の一部を現物出資することを決議し、JENSEN-GROUP NV(本社所在地:ベルギー)と業務用ランドリー機器等の製造販売に関する資本業務提携を目的とした出資契約及び合弁契約を締結しました。この契約締結に基づき、アイナックス稲本株式会社の資産及び直接関連する負債は、現物出資完了までの間、売却目的で保有する資産及び売却目的で保有する資産に直接関連する負債として記載しております。

 資本合計は、主に利益剰余金が11,955百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ8,855百万円増加し、168,912百万円となりました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は73.3%となりました。

 なお、2022年1月5日のコベルコ・コンプレッサ株式会社の持分法適用会社化に伴い、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、第3四半期連結会計期間において暫定的な会計処理が確定したため、遡及修正した数値と比較しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、17,844百万円の収入(前連結会計年度は19,442百万円の収入)となりました。主な増加は、税引前当期利益23,467百万円、減価償却費及び償却費7,033百万円、主な減少は、棚卸資産の増減額5,183百万円、法人所得税等の支払額7,899百万円によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、12,535百万円の支出(前連結会計年度は14,481百万円の支出)となりました。主な内訳は、定期預金の預入による支出42,767百万円、有形固定資産の取得による支出1,610百万円、定期預金の払戻による収入37,773百万円によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、13,766百万円の支出(前連結会計年度は3,389百万円の支出)となりました。主な内訳は、配当金の支払額4,634百万円、自己株式の取得による支出4,142百万円、リース負債の返済による支出3,172百万円によるものです。

以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ9,476百万円減少し、30,565百万円となりました。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に準拠して作成しております。

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。当社グループの判断、見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の実績は、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性の維持及び効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。当社は、運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図り、グループ内の資金管理を当社に集中させることで、グループ内の資金管理の一元化・効率化に努めております。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応のために十分な現金及び現金同等物を確保し、金融情勢等を勘案し、安全性並びに流動性の高い短期金融商品で運用しております。

当社は、株式会社格付投資情報センター(R&I)より発行体格付Aを取得しております。金融・資本市場からの必要な資金調達において、一定水準の格付の維持・向上は重要と考えております。

当社グループは、運転資金等の短期資金及び設備投資等の長期資金については、今後も引続き堅調な営業活動によるキャッシュ・フローを主な資金源と考えており、将来の事業拡大に伴う長期資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本と考えております。

なお、当連結会計年度末における借入金等有利子負債の残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 17.その他の金融負債」に、リース負債の残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ①連結財政状態計算書」に、また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.現金及び現金同等物」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

JENSEN-GROUP NV株式の取得及びアイナックス稲本株式会社株式の一部現物出資

 当社は、2023年3月6日開催の臨時取締役会において、JENSEN-GROUP NV(以下、「JENSEN-GROUP」という。)(本社所在地:ベルギー)の株式を第三者割当増資により取得すること及び当該第三者割当増資にあたり、当社の子会社であるアイナックス稲本株式会社(以下、「アイナックス」という。)の株式の一部を現物出資することを決議し、2023年3月9日にJENSEN-GROUPと業務用ランドリー機器等の製造販売に関する資本業務提携を目的とした出資契約及び合弁契約を締結しました。

 2023年4月3日にJENSEN-GROUPの第三者割当増資による株式の取得及び当社が保有するアイナックス株式の一部について、JENSEN-GROUPへの現物出資が完了しました。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39.後発事象」に記載のとおりであります。

6【研究開発活動】

 当社グループは、ボイラを中心として新事業開発・熱利用機器・水処理機器・メディカル機器・食品機械・舶用機器・環境分析機器・ランドリー機器などの事業を行っておりますが、研究開発部門においては、これらの事業に貢献できる環境に配慮した“ミウラならでは”の技術を取り入れた新商品開発を目指しております。近年では、サステナビリティ推進活動とともに、低炭素・脱炭素を実現する商品・サービスの開発への方向性を高めております。

 これらの研究開発活動は、R&D部門での要素・応用研究や長期課題に対する研究開発と並行し、新技術・新商品の実用化に向けた技術開発を事業部の技術・設計部門が行う形となっております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,353百万円であります。

 

 当連結会計年度の主な研究開発の概要、成果及び研究開発費は、以下のとおりであります。

(1) 国内機器販売事業

① ボイラ事業

 CO2を出さない水素燃焼かつ低NOx化が実現した水素焚き貫流ボイラ(相当蒸発量2T/H)の商品拡充の一環で、水素焚き高圧貫流ボイラを開発しました。また、密着設置で省スペース化が図れる電気蒸気ボイラシステム、ガスコージェネレーションの総合効率を高めて省エネに貢献できる復圧ハイブリッド排熱回収蒸気システム、アフターサービスの合理化に貢献できるメンテナンス通信の新情報システムなどを開発しました。海外市場向けに、中国で需要が高まっている大型6T/H蒸気ボイラ、ボイラ水処理用RO装置を開発しました。

② 新事業開発・熱利用事業

 これまで大気に排出していた熱を回収し、温水を取り出すことでボイラ給水などに有効活用できる熱回収式電動エアコンプレッサを販売して省エネ・低炭素に貢献しておりますが、さらに15KWの熱回収式電動エアコンプレッサを開発し、パートナー限定販売を開始しました。2023年8月1日より量産体制での販売を開始します。また、オンサイト水素製造水素ボイラ等へのエネルギー供給に期待できる電解オンサイト水素発生装置の開発を進めております。

③ アクア事業

 製薬用水向けのシステム・エンジニアリングを引き続き強化しており、ピュアスチームで製薬用純水供給設備を定置滅菌(SIP)できるシステムを開発しました。工場の熱冷却に使われる冷却水の薬品・水質管理、エネルギー管理のために独自センサを開発し、一層の省エネ・省水と労務管理の合理化を進めることができるクラウド通信システムへ改良しました。

④ メディカル事業

 前事業年度に上市したオゾンと過酸化水素の混合ガスを用いた滅菌器の対象物適合性調査や、用途展開の研究が進んでおります。省エネ活動としては、数十パーセントの節水となる産業向け大型蒸気滅菌器を開発しました。お客様の省人化支援では、クラウド通信を活用して病院の中央材料室の各機器を効率的に品質良く管理できるシステムの開発に取り組んでおり、段階的な実証試験をスタートしております。

⑤ 食品機械事業

 2025年の冷媒規制対応(GWP1500以下)の冷媒の冷水装置を発売しました。食品用の加熱釜・ニーダーの最適提案のためにシミュレーションできるソフトを開発して提案に活用しております。また、需要の増加に対応するため、自動扉付き大型レトルト殺菌装置を開発しました。フードロス削減・ロングライフフードに向けた食品機械の開発を進めております。

⑥ 舶用事業

 海運のGHG排出削減に向けてLNG燃料をはじめとする低炭素・脱炭素燃料対応ボイラの開発を進めており、舶用発電機の代わりに主機エンジン複合排熱で発電を行い、省エネを実現するバイナリー発電の開発にも着手しました。また、舶用機器のIoT化を進め、通信データを活用した質の高いメンテナンスサービスに向けたシステム開発が進んでおります。

⑦ 環境事業

 三浦環境科学研究所では、ダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)をはじめとする特殊環境有害物質の分析前処理を中核技術とし、農薬・シックハウス市場を新たな成長分野として位置づけた研究開発を進めております。世界で競争力のある次世代自動前処理・分析システムの開発を進めております。食品中の残留農薬分析関連の研究開発・商品化にも取り組んでおり、前処理が難しいカフェインやカテキンを多量に含む茶に対する効果的な薬剤を開発しました。

 

 当国内機器販売事業に係る研究開発費は、3,262百万円であります。

 なお、海外で販売されている機器についても、国内で開発を行っており、国内メンテナンス事業・海外メンテナンス事業についても、製品開発と不可分であるため、当事業に含めて記載しております。

 

(2) 国内ランドリー事業

 省エネや省水に対応する洗濯機・乾燥機・ロールアイロナー・排水リサイクルシステム、省人化やコスト低減に対応する自動化装置、リネン材の安全・安心に対応する殺菌システムなど、多様化するユーザニーズに応えるべく活動を行っております。

 当事業に係る研究開発費は、91百万円であります。