第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、「報恩」を合言葉に「喜びや成長の糧となる環境を人々から与えられている事に感謝し、不撓不屈の精神で価値ある未来の創造に挑戦し続ける」ことを経営理念として掲げ、「不動産IT革命により不動産取引に関わる全ての人の満足を創造する」ことを事業理念としております。

当社は30年以上にわたって三大都市圏における新築マンションに関するパンフレット等の資料を収集し不動産データベースとして蓄積することで、新築マンションデベロッパー、不動産仲介事業者、不動産販売事業者、戸建て業者等の不動産に関わる事業者様に不動産マーケティングシステムを提供しております。一物四価と言われ価値の測定が困難な性質を持つ不動産に対して、顧客が不動産取引を行う上で、正確な不動産価値分析により選択に確信を持っていただけるよう、正確な裏付けのある不動産データベースを整備し長年にわたりご活用いただいております。

また、当社は新築マンションのデータベースを日々更新・蓄積しており、保有する不動産データベースは、データ棟数64,209棟、住戸数2,793,354戸、パンフレット数45,025通、間取り数672,092件(2024年2月29日現在)となっております。当社では、この不動産データベースとAI(人工知能)や画像解析等のテクノロジーを活用し、不動産業界に変化を起こすイノベーターを目指し今後も新たな付加価値の創造に向けたチャレンジを続けてまいります。

 

(2)目標とする経営指標等

当社は持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な指標として売上高及び営業利益を重視しております。

また、当社は主力事業と位置付けるプラットフォーム事業において目標とする経営指標を設定しております。主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)においては平均顧客単価、平均顧客数、ARR及び解約率を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては売上高及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。

新築マンション事業者向けの月額課金制サービスは、売上高に連動して増加する変動費が少ない収益構造であることから、ARRを伸長させることが営業利益確保のために重要であると考えております。従ってARRを目標とする経営指標に設定するとともに、ARRの構成要素として平均顧客単価、平均顧客数及び解約率を目標とする経営指標に含めております。平均顧客単価を上げるためには、既存顧客に対して利便性の高いサービスを訴求するアップセルに注力するとともに、SaaS型サービスへ移行していない賃貸サマリ、売買サマリ、統計サマリ等のSaaS型サービスへの移行を推進することで顧客単価向上を図ってまいります。

不動産仲介事業者向けのデータダウンロードサービスは従量課金制であり、当サービスの売上高と平均顧客数を目標とする経営指標に設定しております。当サービスにおいては、現在はパンフレット画像を中心に提供を行っておりますが、今後は顧客が求めるコンテンツをサービスに追加することで利用頻度を高めて一顧客当たりの売上高を伸ばし、全体として売上高の増加を図ってまいります。

 

(注)サマリネット・リアナビ及びデータダウンロードサービスの経営指標の算定方法は以下のとおりです。

サービス名

経営指標

算定方法

サマリネット・リアナビ

平均顧客単価

(サマリネット)

各月の顧客単価(売上高 ÷ 顧客数)の平均値

平均顧客数

(サマリネット)

各月の顧客数の平均値

ARR(サマリネット・リアナビ)

月額課金制サービスの契約額の年間合計額

解約率(サマリネット・リアナビ)

期中解約金額 ÷ 前期のARR × 100

データダウンロード

サービス

売上高

データダウンロードサービスの売上高

平均顧客数

各月の顧客数の平均値

 

 

(3)経営環境

当社は、不動産マーケティングソリューション事業を行っており、当社の主要な顧客は新築マンションデベロッパー、不動産仲介事業者、不動産販売事業者、戸建て業者等であり、その大半が不動産業に関わっております。不動産業は、国民生活や経済活動の基礎となる住宅・オフィス・商業施設等の開発・流通・管理等を通じ我が国の豊かな国民生活経済成長等を支える重要な基幹産業であり、その産業規模は2017年度では売上高43.4兆円、法人数約33万社、従業者数134万人、国内総生産61.8兆円であります。(出典:不動産業ビジョン2030、国土交通省 社会資本整備審議会産業分科会不動産部会)

居住用不動産を取り巻く環境として、昨今少子高齢化に伴う人口減少及びそれに伴う空き家問題などが将来的な懸念として社会問題化しておりますが、政府が閣議決定した「住生活基本計画」(2021年3月)において「新たな日常」やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現や脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成等の目標が掲げられ、住宅の供給の在り方の大きな転換点を迎えております。

足元では、雇用・所得環境の改善が見られ、各種政策の効果もあって景気の緩やかな回復が続くことが期待されている中にあって、低金利環境の継続と建築資材や人件費の高騰を受けて新築マンションの平均価格は2018年 5,786万円、2019年 5,955万円、2020年 6,039万円、2021年 6,517万円、2022年 6,413万円、2023年 8,118万円(首都圏の各年に発売された新築マンションが対象、当社調べ)と堅調な推移を見せております。新築マンションの価格高騰により、中古マンション業界も活況を呈しており、首都圏の中古マンションの価格は、2010年を100とする不動産価格指数において2018年 136.4、2019年 141.6、2020年 147.2、2021年 159.1、2022年 176.0、2023年 185.6(南関東圏におけるマンションが対象、出典:国土交通省)と値上がりが続いております。

また、金融政策においては日銀の物価上昇見通しは2%程度の緩やかな推移を見込んでおり、当面、緩和的な金融環境が継続すると想定され、引き続き既存住宅流通の拡大が後押しされる環境にあると認識しております。

かかる環境を踏まえ、当社ではプラットフォーム事業において新築マンション事業者(新築マンション領域)向けのサービスと不動産仲介事業者(中古マンション領域)向けの両方において売上高及び営業利益の向上を目指してまいります。

 

(4)経営戦略等

上記の経営環境を踏まえたそれぞれの領域における具体的な経営戦略は以下のとおりであります。

新築マンション領域においては、不動産マーケティングシステムとしてサマリネット及びリアナビを提供しておりますが、これらのサービスは主に用地仕入れや企画・マーケティング部門においてご活用いただいております。用地仕入れ時の事業計画策定、市場調査レポートの作成、競合物件調査等を短時間で行うことができる利便性の高いシステムであることから、新築マンションの年間供給戸数ランキング(2023年度、当社調べ)における上位20社中20社全てに導入いただいております。

2021年2月期より、従来クライアントサーバ型システムにて提供しておりました不動産マーケティングシステムの主力サービスである「マンションサマリ」のSaaS型サービスへの切り替えを進めて、顧客が場所や端末を選ぶことなく業務を行うことができる環境を整備いたしました。当社の顧客企業においても多様な働き方を推進する観点からリモートワーク等のオフィス以外で業務を行うニーズが急速に高まっており、そうしたニーズへの対応としてSaaS型サービスをご活用いただいております。このSaaS型サービスへのリプレイスにより、月額課金制サービスの年間売上高(ARR)の増加を実現することができております。今後は、「マンションサマリ」以外のサービスについても順次SaaS型サービスへのリプレイスを進めていく予定ですが、SaaS化により当社サービスの利用者(利用アカウント)の増加を図ることによってアップセルの機会として活用し、平均顧客単価の向上を推進してまいります。

中古マンション領域においては、当社が長年収集してきた新築マンションの販売時のパンフレットを仲介業者向けにデータとして提供しているものです。当社は新築マンション分譲時のコンセプトブックと図面集を含むパンフレット画像を提供しており、不動産仲介事業者様には物件チラシや重要事項説明書の作成、顧客への営業資料作成、広告出稿用の間取り作成、物件査定等にご活用いただいております。類似サービスを提供している競合企業が1社ございますが、サービスのコンセプトが若干異なること及びそれぞれが従量課金制のサービスを提供していることから、共存可能な状況であると認識しております。また、独自性の高いサービスであることから、競合企業の新規参入は想定しておりません。

中古マンション領域における今後の成長戦略としては、①契約社数の増加、②提供コンテンツの増加の二つの軸での成長を見込んでおり、提供コンテンツのラインナップを増やすための新規サービス開発に引き続き注力してまいります。

 

①契約社数の増加について

現在2,989社(2024年2月29日現在)のサービス契約社数を引き上げることにより、データダウンロードサービスの売上拡大を図ってまいります。当サービスを共同運営している株式会社ワンノブアカインドと協力しながら、三大都市圏でのサービス認知度を高めて利用を促進していく方針です。三大都市圏における宅地建物取引業者数は約74,000業者(注1)ございますが、中古マンションの仲介事業を積極的に行っている約36,000業者(注2)をターゲットとして想定しております。

 

②提供コンテンツの増加について

データダウンロードサービスの契約社数を増やす活動と並行して、ご利用いただけるコンテンツを追加することにより顧客単価の向上を図ってまいります。当社が保有しているデータベースを元に、仲介事業者様が広告作成用の素材として利用可能なコンテンツの追加を計画しており、現時点では顧客の広告用の図面作成業務を不要とする間取り図面や広告・資料等に利用できる新規サービスの追加を予定しております。また、将来的には仲介事業者様の業務効率向上に貢献するコンテンツを提供するためのプラットフォームとして発展させていく方針です。

(注)1.一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表データから埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県の宅地建物取引業者数を集計しております。

2.三大都市圏にて中古マンションの仲介事業を行っている事業者を、当社独自に抽出・集計しております。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 安定的な収益基盤の強化

当社は長年かけて収集・蓄積してきた不動産データベースを不動産業界に提供するプラットフォーム事業を主な事業としております。今後の持続的な成長実現のためには、顧客のニーズにフィットした新たなサービスの開発・提供を通じて収益基盤を一層強化していくことが必須であると考えております。

新築マンション領域においては、引き続きシステムの継続的なアップデートを実施して付加価値の高いサービスを提供し、ライセンス追加営業によりARRの向上を推進し収益の拡大を継続してまいります。

また、中古マンション領域(不動産仲介業界)及びデジタルマーケティング事業においては、新サービスの開発・提供を通じて市場シェアを拡大し、安定した収益基盤を構築していく所存です。

 

② 優秀な人材の確保によるシステム開発力の強化

当社サービスの一層の充実を図るうえでは、システム開発力の強化が欠かせません。現状では十分な開発リソースの確保ができておらず開発の大部分を外注により実施している状況ですが、システム開発力強化のためシステム開発要員の採用を積極的に実施し必要な人材の確保を進めております。今後は、開発基盤の構築及び開発組織の強化を通じて、システム開発力の一層の強化と開発業務の効率化を図ってまいります。

当社は、四半期毎の人事評価制度の運用改善及び社内研修制度の見直し等により、従業員が主体的かつ柔軟に勤務できる魅力ある職場づくりを推進しております。こうした制度上の改善に加えて、福利厚生制度及びインセンティブの充実により、引き続き優秀な人材の確保及び育成に取り組んでまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

当社は、今後より一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性確保のためにコーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築・運用を通じて、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

当社は「Big Data × Technology で不動産の未来は私たちが動かす」というビジョンのもと、不動産業界のDX化を推進することが、持続可能な社会につながるものと捉えております。

 

(1) ガバナンス

当社は、サステナビリティ推進の役割を担う特定の部門を設けておりませんが、サステナビリティに関連した課題については、取締役会やリスク・コンプライアンス管理委員会の中で適宜、その内容及び課題に対する取組みについて議論し、監査等委員会の意見を交えながら、対応策の検討を行っております。

 

(2) 戦略 (人的資本)

当社は、人的資本においては、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでおり、人材の育成や働きやすい職場づくりに注力しております。主な取組みとして、資格取得のための全額補助や動画研修等による従業員のスキルアップを図る取組みに加え、フレックス制度やリモートワークを活用した従業員一人ひとりが働きやすい環境を整備しております。また、勤務時間のモニタリングによる長時間労働の防止、メンタルヘルスケア、衛生委員会の実施など、健康的な働き方を推進する様々な施策を実施しております。

 

(3) リスク管理

当社は、企業活動におけるリスク管理を重視しており、リスクの防止及び会社損失の最小化を図ることを目的として、「リスク管理規程」及び「リスク・コンプライアンス管理委員会規程」にてリスク管理に関する必要な事項を定めております。
 具体的には委員長を代表取締役社長が務め、四半期に1回または必要に応じて適宜同委員会を開催し、各部門及び部室のリスク管理担当者と連携しつつ、リスクの洗い出し・識別・評価を行い、適時適切な対応や改善策の検討を実施しております。

 

(4) 指標及び目標

当社は、「(2) 戦略(人的資本)」において記載した、人材の育成や社内環境整備を積極的に取組んでいるものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。
 今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標及び開示項目を検討してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1)事業環境等に関するリスク

①業界及び顧客の動向に関するリスク

当社は不動産業界に特化したプラットフォーム事業及びデジタルマーケティング事業等を行っており、当社顧客は不動産業界に集中している状況にあります。不動産業界の中でも新築マンションデベロップ事業者、新築戸建て事業者及び不動産仲介事業者等に向けたサービスを創業以来提供しておりますが、不動産業界全般の景気や、不動産業界におけるシステム投資の状況によって、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後において、不動産業界に対する規制環境の変化や業界各社の対応に何らかの変化が生じた場合、同様に当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②インターネット広告商品の変化について

当社がデジタルマーケティング事業で取り組んでいるインターネット広告は、その手法が日々進化しておりますので、当社の取り扱うリスティング広告及びディスプレイ広告等のインターネット広告商品の相対的価値が低下することで、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。その対応策として、当社ではスマートフォンなどの新たなデバイス向けの広告商品やFacebook広告やYouTube広告等のSNS広告の取扱いもスタートして、顧客ニーズをいち早く捉えるべく新規広告商材への取り組みを進めるなど対応を図っております。しかしながら、これらの広告商品への対応が著しく遅れてしまった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③システムリスクについて

当社の事業はインターネット環境において行われており、サービスの安定供給のために当社として適切と考える以下のセキュリティ対策を施しております。

イ.ISO27001情報セキュリティマネジメントシステムの認証取得による情報管理体制の整備

ロ.各サービスの運用サーバ及びネットワーク等の冗長化

ハ.ウイルスやアタックを防止するファイアウォールの設置

ニ.SSL(Secure Socket Layer)等を用いた外部との通信の暗号化

ホ.継続的な脆弱性診断の実施

ヘ.セキュリティの担保された通信を実施するためのVPN設置

ト.セキュリティリスクに対応したソフトウエア及び機器の定期的なアップデート

チ.メール誤送信防止ソフトの導入

リ.ウイルス対策ソフトの導入

ヌ.大規模クラウドサービスプラットフォーム AWS(Amazon Web Service)環境におけるサービス運用

こうした対策にもかかわらず、ハードウエア・ソフトウエアの不具合、人為的なミス、コンピュータウイルス、第三者によるサーバやシステムへのサイバー攻撃、AWSの不備や障害、自然災害等の予期せぬ事象の発生によって、当社の想定しないシステム障害等が発生した場合は、当社の事業活動に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業内容等に関するリスク

 ①新規サービスについて

当社は、事業規模の拡大及び収益源の多様化を実現するために、新規サービスの拡充への取り組みを進めていく方針であります。新規サービスの拡充にあたっては、当社の不動産業界における顧客基盤や当社の保有データ・技術等を踏まえて確度の高いサービス開発に取り組んでまいりますが、新規サービスが安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。

また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社としましては、顧客とのヒアリング及びリサーチを実施することによりサービスに対する顧客ニーズを明確に把握し、優先順位づけを適切に行うことで本リスクを軽減させていく方針です。

 

 ②パンフレット画像の利用に係る契約について

当社のプラットフォーム事業におけるデータベースにおいては、新築マンション販売時のパンフレット画像等を契約に基づき収集しておりますが、当該契約の解消または変更等により当該パンフレット画像等が利用できなくなった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、新築マンションのパンフレット画像等の提供元である新築マンションデベロッパーの顧客満足度向上に努め、関係維持を図ることにより本リスクを軽減させていくこととしております。

 

(3)組織体制等に関するリスク

 ①人材の確保及び育成について

 当社は、事業の拡大に伴い、継続的な人材の確保が必要となるため、優秀な人材を適切に確保するとともに、人材の育成に努めてまいります。しかしながら、人材の確保及び育成が計画どおりに進まなかった場合は、当社の事業展開に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社としては、人材の確保の遅れが生じないように採用ルートの多様化を推進するとともに、適宜外部リソースを活用することで本リスクの軽減を図っております。

 

 ②コンプライアンス体制について

当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのためコンプライアンスに関する社内規程として「コンプライアンス規程」、「リスク・コンプライアンス管理委員会規程」、「内部通報規程」、「インサイダー取引防止規程」、「広告・広報等管理規程」及び「知的財産管理規程」等を策定するとともに四半期に一度コンプライアンス研修を実施し、社内規程の周知徹底とコンプライアンス意識の醸成を図っております。

しかしながら、これらの取り組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の事業及び業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

 ③大株主について

当社代表取締役社長である陣隆浩の当事業年度末における議決権所有割合は、直接所有分として41.68%であります。また、同氏の資産管理会社である株式会社JINXの議決権を合算した所有割合は62.61%となっております。同氏及び株式会社JINXは引き続き当社の株式を保有する見通しでありますが、議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに少数株主の利益にも配慮する方針であります。

しかしながら、何らかの事情によって、同氏または当該資産管理会社が当社株式をやむを得ず売却することとなった場合、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④小規模組織であることについて

当社は小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)事業に関する法的規制等に関するリスク

 ①個人情報の保護について

当社は、当社の提供するサービスを通じて、利用者本人を識別することができる個人情報を一部保有しております。当社は、JISQ15001プライバシーマーク認証を取得の上、信頼性の高い外部サーバで当該個人情報を保護するとともに、個人情報保護に関するフローを整備し、個人情報の保護に努めております。

こうした対策にもかかわらず、個人情報が当社の関係者等の故意または過失により外部に流出した場合には、当社が損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社の運営するサービスの信頼性等が毀損し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 ②法的規制について

現時点において、当社事業そのものを規制する法的規制はないものと認識しておりますが、情報サービス業界の変化は激しいことから、今後新たな法令等の整備が行われる可能性は否定できず、当該内容によっては当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産に関わる分野におけるインターネット上の表示項目等が規制の対象になる可能性も否定できず、その場合には当社の事業の一部が制約される可能性があります。

 

(5)その他リスク

 ①ソフトウエアの減損について

当社は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた開発費用をソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)として資産計上しております。このうち、プラットフォーム事業に係るソフトウエアについては、技術革新のスピードの早いインターネットを使ったSaaS型サービスであることを鑑み、見込利用可能期間を3年と保守的に設定しております。このソフトウエアについて、クライアントニーズへの適切な対応を実施することにより減損を発生させないよう努める方針ですが、重大な将来計画、使用状況等の変更やサービスの陳腐化等により、収益獲得又は費用削減効果が大幅に損なわれ、ソフトウエアの減損が必要となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ②繰延税金資産について

繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果が予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

   当社では、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、当事業年度末時点における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は5.1%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

 ④当社株式の流動性について

当社は、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末時点において25.88%であります。

今後は、当社主要株主等への一部売出しの要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加、従業員持株会による定期的な株式買付等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が向上しない場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑤配当政策について

   当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する配当による利益還元は重要な経営課題として認識しております。しかし、当社は現在成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当の実施時期については未定であります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当事業年度における我が国の景気動向は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束し経済活動の正常化が進んでおります。

当社の顧客が属する不動産業界におきましては、全体としては住宅建設は横ばいの推移となっております。その一方で、当社が事業展開している三大都市圏の新築マンション業界においては資材価格や人件費等の建築コストの高止まり及び円安の進展による海外からの不動産需要の拡大等を背景として新築マンションの平均価格が年々上昇を続けており、底堅い動きが継続しております。

このような事業環境のもと、不動産情報提供サービスを行う当社はサービスの拡大を積極的に推進しております。当社の主力事業である新築マンション事業者向けのマンションサマリにおいては、当社サービスの利用アカウントの増加に向けた機能強化及びサービスの拡充等を推進しております。

また、不動産仲介事業者向けのサービスであるデータダウンロードサービスにおいては、新規サービスの開発に引き続き注力しております。

コスト面におきましては、システム開発力の充実のためのエンジニア職の採用及び新規サービスの開発等の投資を先行させたことにより、利益面では前事業年度を下回る結果となっております。

この結果、当事業年度の売上高は1,437,040千円(前事業年度比1.6%増)、営業利益は56,818千円(同59.1%減)、経常利益は59,088千円(同58.2%減)及び当期純利益は48,380千円(同47.6%減)となりました。

なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は679,073千円となり、前事業年度末に比べ16,022千円減少しました。これは主に、法人税等の納税及び借入金の返済により現預金が34,402千円減少した一方で、売上高の伸長に伴い売掛金が13,694千円増加したこと等によるものであります。

固定資産は272,579千円となり、前事業年度末に比べ822千円減少しました。有形固定資産は2,388千円増加しておりますが、これは主に東海支社のリフォームに伴うものであります。無形固定資産は14,042千円減少しておりますが、これはソフトウエアが25,241千円増加した一方で、ソフトウエアの完成による勘定振替及び「マンションサマリ」の一部機能について、開発計画の変更により、開発再開の時期が決まっていないことから遊休資産としたことに伴う減損損失9,993千円の計上によりソフトウエア仮勘定が39,284千円減少したことによるものであります。投資その他の資産は10,831千円増加しておりますが、これは主に繰延税金資産が16,799千円増加した一方で、保有株式の一部売却に伴い投資有価証券が4,178千円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は951,652千円となり、前事業年度末に比べ16,845千円減少しました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は185,974千円となり、前事業年度末に比べ57,905千円減少しました。これは主に前期分の納税により未払法人税等が44,453千円減少したこと及び返済により借入金が17,000千円減少したこと等によるものであります。

固定負債は1,975千円となり前事業年度末に比べ13,322千円減少しております。これは主に、返済により長期借入金が15,000千円減少した一方で、資産除去債務を1,975千円計上したことによるものであります。

この結果、負債合計は187,950千円となり、前事業年度末に比べ71,228千円減少しました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は763,702千円となり、前事業年度末に比べ54,383千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上等により利益剰余金が45,430千円増加したこと及び従業員のストックオプションの権利行使に伴い自己株式が5,920千円減少したこと等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ34,402千円減少し、当事業年度末には445,319千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は61,353千円となりました。これは主に、減価償却費が86,808千円及び税引前当期純利益が65,872千円あった一方で、法人税等の支払に76,971千円を使用したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は65,628千円となりました。これは主に、有価証券の売却により21,004千円の資金を獲得した一方で、無形固定資産の取得により83,687千円を使用したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は30,128千円となりました。これは主に、借入金の返済による支出が短期と長期を合わせて32,000千円あった一方で、従業員のストックオプションの権利行使に伴う自己株式処分により2,970千円を獲得したことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を行っておりません。

セグメントの名称

第33期事業年度

(自 2023年3月1日

2024年2月29日

前年

同期比
(%)

不動産マーケティングソリューション事業(千円)

1,437,040

+1.6

合計(千円)

1,437,040

+1.6

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.  経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は、1,437,040千円(前事業年度比1.6%増)となりました。事業別にはプラットフォーム事業939,035千円、デジタルマーケティング事業404,968千円及びその他93,036千円でありました。

プラットフォーム事業においては、新築マンション領域が増収となる一方で、中古マンション領域は減収となっております。新築マンション領域におきましては、ライセンス追加に伴うアップセル等により既存顧客の売上が伸長したことにより前事業年度比3.1%増の売上高増加となりました。中古マンション領域におきましてはデータダウンロードサービスの顧客数は順調に増加しているものの、顧客単価が伸び悩んでいるほか予定していた新サービスの遅延等の影響もあり前事業年度比17.3%減の売上高減少となっております。

デジタルマーケティング事業では、既存顧客の深耕が順調に進み受注件数が増加したこと及びSNS広告などの新商材への取り組みを強化した結果、前事業年度比14.3%増の売上高増加となりました。

その他事業は前事業年度比32.0%減となりましたが、その主な要因は前事業年度においてリフォーム案件の取扱いを中止したことによる売上高減少です。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、既存サービスのユーザビリティ向上のための追加機能開発コストの増加とそれに伴う減価償却費(ソフトウエア償却)の増加により、865,731千円(前事業年度比16.1%増)となりました。

この結果、売上総利益は571,309千円(前事業年度比14.6%減)となりました。

なお、当事業年度における減価償却費の増加が利益を圧迫しておりましたが、新規のソフトウエア開発投資は概ね終了しており2025年2月期以降は新規のソフトウエア開発が抑制される見通しであるため、2026年2月期以降には減価償却費が減少に転じるものと見込んでおります。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、514,490千円(前事業年度比3.0%減)となりました。主な要因は、新サービスの開発のための研究開発活動を前事業年度から23,069千円減少させたこと等によるものであります。

この結果、営業利益は56,818千円(前事業年度比59.1%減)となりました。

(営業外損益、経常利益)

当事業年度における営業外収益は、2,428千円(前事業年度比15.9%減)、営業外費用は158千円(前事業年度比72.9%減)となりました。営業外費用の減少は、前事業年度の自己株式取得費用404千円が当事業年度には発生しなかったためであります。

この結果、経常利益は59,088千円(前事業年度比58.2%減)となりました。

(特別損益、当期純利益)

当事業年度における特別利益は16,837千円、特別損失は10,053千円となりました。特別利益は主に投資有価証券売却益であります。また、特別損失は主にソフトウエアの減損損失ですが、これはソフトウエア仮勘定に計上していたマンションサマリの開発中の一部機能について、開発計画の変更により開発再開の時期が決まっていないことから遊休資産とし、当該資産の帳簿価額を回収可能額まで減額したことによるものです。

法人税等(法人税等調整額を含む)は17,492千円となりました。

この結果、当事業年度の当期純利益は48,380千円(前事業年度比47.6%減)となりました。

 

目標とする経営指標等の達成状況について

当社は、全社的に重視する指標として売上高及び営業利益を設定しております。

また、サービス毎には、主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)における平均顧客単価(サマリネット)、平均顧客数(サマリネット)、ARR(サマリネット・リアナビ)及び解約率(サマリネット・リアナビ)を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては売上高及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。

 

それぞれの指標の推移は下表のとおりであります。

 

 

 

第32期事業年度

(自 2022年3月1日

2023年2月28日

第33期事業年度

(自 2023年3月1日

2024年2月29日

売上高

(千円)

1,414,567

1,437,040

営業利益

(千円)

138,969

56,818

サマリネット・リアナビ

平均顧客単価

(千円)

233

241

平均顧客数

(社)

267

281

ARR

(千円)

755,925

800,636

解約率

(%)

0.6

0.5

データダウン

ロードサービス

売上高

(千円)

65,681

54,327

平均顧客数

(社)

2,420

2,817

 

 

サマリネット・リアナビについては平均顧客数が267社から281社へ増加すると同時に、ライセンス追加等のアップセルを推進したことにより平均顧客単価が上昇し、ARRは順調に増加しております。また、解約率は0.5%と依然として低い水準に抑えられております。

データダウンロードサービスについては、平均顧客数は堅調に増加しておりますが、売上高は大幅な減少となっております。売上高の減少要因としましては、データダウンロードサービスの利用件数が減少したことが主要因ですが、当該減少を補うために注力している不動産仲介業者向け新サービスのリリースが遅延したことも影響していると考えております。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金の手許流動性や財務健全性を考慮したうえで、原則として自己資金を財源とする方針に基づき事業運営、設備投資を実施しております。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の財政状態及び経営成績の分析については、前記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、新規住宅及び既存住宅の流通動向や不動産会社の販売促進活動の動向等があります。また、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針

当社が今後更なる成長を遂げるために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。そのため、当社の経営成績等に重要な影響を与える要因に対応すべく、当社では新規住宅及び既存住宅を含めた不動産全体の市場動向を鑑みて、顧客のニーズに合わせたサービスを開発・提供していく方針であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、顧客に対して新たな価値を提供するための新サービスの開発のために、自社において研究開発を行っております。

なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

当社の主たる研究開発活動は以下のとおりです。

①マンションバリュー開発

当社が所有する不動産データを元に、すでにマンションを購入しているマンションオーナーに対して情報提供を行っていくサービスを開発しております。

②データダウンロードサービス開発

不動産仲介事業者向けに、サービス内で物件を選択し、間取り図面、物件写真等をダウンロードできるサービスを開発しております。

 

以上の結果、当事業年度の研究開発費の総額は41,506千円となっております。