第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 (1)経営の基本方針

  当社グループは、「顧客第一主義」を企業理念として掲げ、業務用厨房機器並びに大型製パン機械の総合メーカーとして、「適正な価格で、より質の高い製品並びにサービスを提供し、お客様に貢献すること」を使命とし、実現のために次の基本方針を掲げております。

 「株主の信頼と期待に応えられる魅力ある企業を目指します。」

 「お客様の信頼に応え、感謝の気持ちを大切にして、相互の発展に努めます。」

 「良き企業市民として、地域社会に貢献します。」

 「社員の能力を最大限に引き出す企業風土を創造します。」

 

 (2)目標とする経営指標

  当社グループでは、株主利益重視の観点からEPS(1株当たり当期純利益)を重視しており、売上高の拡大と利益の拡大に努め、EPS上昇を目指します。また、ROE8%を目標に設定し、中長期的に成長する中で利益を引き上げることにより、この達成を目指してまいります。

 

 (3)中長期的な経営戦略

  当社グループの主な販売先であります外食・中食産業のマーケットは年間約30兆円の市場規模と言われていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により大きく減少しました。新型コロナの規制解除により市場規模は回復基調にありますが、原資材価格、光熱費の高騰や人手不足の深刻化などのマイナス影響も大きく、先行きは不透明な状況です。

  これに伴い、熱機器と冷機器を合わせて年間約6,000億円といわれる業務用厨房機器業界の年間総需要の先行き見通しも不透明であり、同業各社による競合はより激しさを増しております。

  業務用厨房機器業界の熱機器分野においては、当社グループを含めた大手7社の市場占有率はまだ低く、単品メーカーや地元設備業者が多く存在しております。その一方で、ユーザーからの機器購入基準はますます厳しくなっているため、総合的なサービス体制を整える大手企業への依存度が高くなりつつあります。また、大型製パン機械業界においてもその競合は激しくなるばかりであります。

  この認識のもと、当社グループは競争激化の中シェアアップを図り、適正利益率を維持しながら業界トップとなる売上高700億円の達成を目標としております。

  この目標を実現するために

  ①メーカーとして技術開発力の強化を進め、より安全でより高品質、高機能、また、省エネ・省資源や作業環境の向上などSDGsの達成に寄与する自社製品の開発を積極化し、かつ生産の合理化によりお客様のご要望に応えられる体制作りに努めております。

  ②幅広い情報収集とユーザーへの提案営業、並びにマルゼンブランドの認知度を高めるよう直接販売の強化とともに、当社グループの強みである業界随一の豊富で多種多様な製品を活かしたルート販売の強化も進め、積極的な営業展開に取り組んでおります。

  ③販売マーケットについては、一般外食をはじめ、当社が主要な攻略先として定めた集団給食関係、並びに中食産業を手掛けるスーパーマーケットに対して販売を強化し、幅広く新規顧客の取り込みを行ってまいります。

  ④アフターサービスにおける保守契約が顧客満足度を高め、業績の向上に大きく寄与すると考え、日本全国を網羅するメンテナンスサービスの体制を強化してまいります。

  ⑤当社グループの製造部門でありますマルゼン工業株式会社は九州工場、東北工場、首都圏工場の3工場体制であります。各工場とも、安全性が高く高品質、かつリーズナブルな製品作りという基本姿勢のもと、コスト低減や生産性向上等、それぞれの工場の特長を活かした効率的な生産体制の充実を推進しております。

  ⑥大型製パン機械の総合メーカー、株式会社フジサワ・マルゼンはグループによる協力体制のもと、従来顧客の繋ぎ込みとともに、異業種の食品メーカーや海外顧客の開拓を積極化してシェアアップを図ってまいります。一方、製造部門においては生産設備を積極活用して内製化、コストダウンに努め、収益力の向上に取り組んでまいります。

 

 (4)経営環境および優先的に対処すべき課題

  主たる販売先である外食・中食市場におきましては、新型コロナによる行動規制が解除されたことから客足の回復傾向が見られますが、原材料価格や光熱費の高騰、人件費の上昇などにより業界を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いています。

  当社グループの販売先は、レストラン・ラーメン・居酒屋チェーン等の外食産業、学校・病院・福祉施設等の集団給食、さらにはスーパー・コンビニ・ドラッグストア・弁当惣菜等の中食産業に至るまで非常に幅広く、多品種少量が特徴であります。

  当社グループといたしましては、これら幅広い業種業態のお客様に対応するため、時代のニーズにマッチした自社オリジナル製品のラインアップ拡充とあわせ、営業提案、短納期、アフターサービス、お客様専用の特注製品対応にいたるまでの総合的なサービス体制の充実に努めております。また、東南アジアを中心とした海外販売への取り組みも強化してまいります。

  さらにはメーカーとして高品質・高機能・低価格で安全性も高い厨房機器や、省エネ、作業環境の向上などSDGsにも貢献する厨房機器の開発・製造を行って自社製品比率の向上につなげ、かつ、サービスメンテナンス体制の強化、消耗品・保守契約等の販売を強化して、収益力の向上につなげてまいります。一方では、業務効率化、生産性の向上等、効率経営を強化してコスト削減を推進してまいります。

  なお、厨房機器の主力製品は、①フライヤー②スチームコンベクションオーブン③食器洗浄機④ガスレンジ⑤麺釜⑥小型ベーカリー機器等であり、これらの製品を中心に拡販を強化し、自社のブランド力を高めて、利益に貢献してまいります。

  また、同業他社との競争の優位性につきましては、価格競争力を軸として、販売先に折衝を行い、同業他社にはない営業提案や迅速な販売体制の構築により、優位性を保ちます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「顧客第一主義」、「メーカーに徹する」という企業理念のもと、サステナビリティに資する厨房機器の開発などを通して持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的な成長を目指しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、株主の信頼と期待に応えられる魅力ある企業を目指しており、企業価値の増大、並びに経営の透明性向上が重要と認識しております。サステナビリティに関する取組みについても、経営環境の変化に迅速に対応できるスピード経営をモットーに、毎月定例の取締役会および経営会議等の重要会議において十分な議論を行っております。その際、社外取締役、社外監査役が社内取締役とともに、透明性を図り十分なコーポレート・ガバナンスを構築しております。識別されたサステナビリティに関する課題への取組み・検討・推進に当たっては、当社グループおよび各部署と連携を図るとともに、各関連機関とも連携を図り、実効性の向上に努めております。

 

(2)戦略

・当社グループは、環境負荷を低減する厨房機器などを開発することにより、気候変動リスクの低減などに貢献してまいります。

・「人材育成方針」:当社グループは、入社時より新入社員研修を実施、「ブラザー制度」等OJTを軸として人材育成を図っており、入社6カ月後には新入社員フォローアップ研修を実施しております。また、従業員の知識および技能の向上を目的とし、営業・設計担当者向け製品研修、サービスエンジニア向け修理研修、設計担当者向け設計CAD研修、物流センター所長向け物流所長研修を実施しております。さらに、厨房に関わる資格について取得を奨励し、厨房に関するプロフェッショナルとして従業員一人一人が企業理念を元に食の世界を通じ社会貢献を行っていけるよう育成の充実を図っております。

・「社内環境整備方針」:人的投資として従業員自身が株主となることにより、従業員の経営参画意識を向上させ、役員と従業員が一丸となって企業価値向上に取り組むことを目的に、2023年度より株式給付信託制度(J-ESOP)を導入いたしました。また、従業員の活躍後押しを目的に、昇給による処遇向上を進めておりますが、この取り組みを持続的なものとしてまいります。多様な従業員の活躍推進のために、全職種における女性従業員の積極的採用を行っており、女性の働きやすい環境の整備を行っていきます。また、定年退職後に継続雇用を希望する従業員を嘱託従業員として再雇用し、後進の育成を含め活躍を続ける環境を整えております。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに関するリスクについては、他のリスクとともに「危機管理委員会」が中心となり、発生リスクの早期発見と把握、並びに対処の迅速化を図ることによって、リスクの未然防止と拡大化を防ぎ、当社グループの経営の安定性の保全に努めております。危機管理委員会は社内取締役の他、社外監査役や関係会社の取締役を構成員として毎月実施しており、把握されたリスクについて質的・金額的な重要性を評価、検討し、リスクに対する対応方針を決定しております。

 

(4)指標および目標

①環境

 環境に関する指標および目標は特段定めておりませんが、「第2 事業の概況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」並びに「第2 事業の概況 6.研究開発活動」に記載のとおり厨房機器を開発する研究開発センターにおいて、製品の設計、試作機の製作時にSDGs等を考慮し、省エネやエコロジーによりCO2など温室効果ガスの排出を低減させて、気候変動リスクの低減などを図り、環境問題に貢献してまいります。

②人的資本

 人材育成方針、社内環境整備方針に関する指標および目標、実績は次のとおりであります。

(主要資格保有者人数)

 

2024年2月期:実績(人)

1級厨房設備施工技能士(国家資格)

241

2級厨房設備施工技能士(国家資格)

67

1級厨房設備士((社)日本厨房工業会認定資格)

158

2級厨房設備士((社)日本厨房工業会認定資格)

194

1級管工事施工管理技士(国家資格)

21

2級管工事施工管理技士(国家資格)

16

 

 上記資格について、資格に対する教育等を行い、毎年増加させることを目標としております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、本項目における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)販売先市場の動向について

当社グループの製品の主な販売先は外食・中食産業であります。外食産業に含まれる福祉・老健施設や中食産業の市場は年々拡大傾向にあり、当社グループはこれらの業種に対する拡販体制を強化する営業政策を採っております。しかしながら最も大きな市場は外食産業の一般飲食店市場であり、当市場において経済情勢やBSE等の外的要因または新型コロナウイルス感染症などの治療法が確立されていない感染症等が流行したことにより当該市場の休業期間が長期化し、民間設備投資が大きく減退する局面においては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクに係る対応策は、一部の業種で業績等が悪化しても、販売先を様々な業種に分散することにより、当該リスクを回避しております。

(2)製品の安全性・品質について

当社グループでは、社内検査体制の強化等により製品の安全性と品質確保に努めておりますが、万が一、製品の安全性等でトラブルが発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2003年に当社グループの製品の一機種についてリコールを実施いたしました。改修作業に関しましては、そのほとんどについて完了しておりますが、一部不明分は現在も探索を続けており、一方では社内の安全対策を強化し再発防止に全力で取り組んでおります。これらのリスクに係る対応策は、完成品の検品作業を強化し、ガス機器につきましては、一品一品検品を行い、当該リスクに対応しております。

(3)法的規則について

当社グループの事業においては、製造物責任法、消費生活用製品安全法、電気用品安全法等、様々な法的規制の適用を受けております。これらの法的規制が変更、強化された場合、または予測し得ない法的規制が新たに施行された場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの対応策は、当社グループの各部門(本社、営業、工場、研究開発、物流)で、専門的情報を有する団体等が主催するセミナー等に参加して早期に当該情報を得ること、また、会計監査人、顧問弁護士、顧問税理士等に相談をして、法律の改正、変更および強化された場合に対応しております。

(4)自社製品の販売比率について

当社グループはメーカーでありますが、営業政策上、自社製品の販売だけでなく仕入商品の販売も併せて行っております。しかしながら利益確保の観点からは、当社グループにおける自社製品の販売強化が要諦であり、全売上高に対する自社製品の販売比率が何らかの事情により著しく低下した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクの対応策は、営業部門において、当社グループの強みである業界随一の豊富で多種多様な自社オリジナル製品のラインアップや価格競争力等で同業他社を上回り販売先を獲得して、当社自社製品の拡販の強化を図ってまいります。

(5)調達資材の価格変動について

当社グループの製品の生産活動に当たっては、鋼材や部品等の資材を適宜に調達しておりますが、原油や原資材の価格が高騰する局面においては、取引業者から仕入価格の引き上げ要請があるものと予想されます。当社グループといたしましては、常に市況価格に留意しながら、随時価格交渉を行っておりますが、市況価格が大幅に高騰し、かつ製品の販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクの対応策は、常に市況価格に留意しながら、随時価格交渉を行い、また、仕入価格低減の競争力を高めるため、新たな取引業者の選定も視野に入れますが、当該施策でも自社努力で利益が確保できない場合は、販売価格に転嫁等を行いリスク回避いたします。

(6)災害等について

当社グループの製造工場は福岡県、青森県、埼玉県および兵庫県に立地しておりますが、これらの地域において何らかの災害が発生した場合、または新型コロナウイルス感染症などの治療法が確立されていない感染症等が流行した場合で、かつ他の製造工場で生産をカバーできなかった場合には生産活動のみならず営業活動にも支障を来し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの対応策は、災害の発生や感染症等が流行した場合、災害時においては、災害地以外の他工場での生産体制の構築、営業活動の地域ごとの分散活動等、感染症等の流行においては、在宅勤務や時差通勤等により、人流の抑制による感染リスクの低減等により当該リスクを回避いたします。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動規制が解除されたことなどにより経済活動は改善基調にあります。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢など国際情勢の悪化により、資源価格の高騰など厳しい状況も続きました。当社グループの主要顧客の一つである外食産業におきましては、消費活動や旅行など人流の回復が見られ、またインバウンド需要も回復して業況は大きく改善しています。一方、中食産業におきましては、光熱費や諸物価の値上がりの中で顧客の節約志向が高まるなど、業種・業態によりその状況は様々です。

このような状況の中、当連結会計年度の売上高は、605億96百万円(前期比5.3%増)、営業利益は48億57百万円(同35.7%増)、経常利益は53億円(同29.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては37億8百万円(同31.7%増)となり、売上、利益とも過去最高となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

業務用厨房部門「業務用厨房機器製造販売業」

  主たる事業の業務用厨房部門では、当社グループの多岐にわたる販売先業種・業態のお客様に対し、業界随一の豊富で多種多様なオリジナル製品の中で、高品質・高機能・低価格で安全性も高い厨房機器や、省エネ、作業環境の向上などSDGsにも貢献する厨房機器の提供、またサービスメンテナンス体制の強化等に積極的に取り組みました。新型コロナの規制が解除されたことにより、インバウンドを含めた人流や消費活動の回復を受けた外食チェーンやホテル・旅館向け販売、一般飲食店向けなどへのルート販売が好調に推移し増収となりました。また、2023年1月の製品価格の値上げが浸透したことや営業部門による荒利改善活動などにより、高止まりしている原資材コストや人的投資に伴う人件費の増加を吸収することが出来て、利益ベースでも大きく改善いたしました。

  以上の結果、売上高は573億73百万円(前期比4.8%増)、営業利益は51億73百万円(同27.5%増)となりました。

大型製パン機械部門「大型製パン機械製造販売業」

  大型製パン機械部門では、国内外の製パンメーカーや異業種の各種食品工場に向けて拡販に取り組みました。その結果、売上高は26億61百万円(前期比20.4%増)、営業利益は1億8百万円(前年同期は営業損失1億18百万円)となりました。

ビル賃貸部門「ビル賃貸業」

  5物件を有する土地と資金の有効活用を目的としたビル賃貸部門の業績は計画通り推移し、売上高は5億86百万円(前期比0.5%減)、営業利益は3億98百万円(同2.0%減)となりました。

 

②財政状態の状況

資産の部は、売上債権の回収が順調に推移したことで現金及び預金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ23億25百万円増加の678億83百万円となりました。

負債の部は、業績が好調で課税所得が増加したため未払法人税等が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4億43百万円増加の226億11百万円となりました。

純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴い利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ18億81百万円増加の452億72百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億90百万円増加の330億67百万円(前期比4.7%増)となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は46億61百万円(前期比13.8%増)となりました。

 主な要因は、税金等調整前当期純利益52億93百万円が計上されたこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は7億59百万円(前期比19.1%増)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出で7億18百万円を使用したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は24億11百万円(前期比146.4%増)となりました。

 自己株式の取得による支出11億6百万円および配当金の支払い12億97百万円等によるものであります。

④生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業は、「業務用厨房機器の製造、仕入および販売」、「大型製パン機械の製造、仕入および販売」並びに「ビルの賃貸」を主たる業務としております。

当連結会計年度の「生産、受注及び販売」の実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであり、「業務用厨房機器製造販売業(熱機器、作業機器規格品、作業機器オーダー品、部品他、冷機器および調理サービス機器)」並びに「大型製パン機械製造販売業(大型製パン機械および大型製パン関連機械)」については品目別の実績を提示しております。

なお、ビル賃貸業については、「生産実績、製商品仕入実績および受注実績」の該当事項はありません。

a.品目別生産実績

区分

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

前年比(%)

熱機器(千円)

14,833,139

103.6

作業機器規格品(千円)

3,121,896

99.3

作業機器オーダー品(千円)

3,943,590

107.0

大型製パン機械(千円)

1,485,922

72.0

合計(千円)

23,384,549

100.7

 (注)金額は販売価格により記載しております。

b.品目別製品仕入実績

区分

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

前年比(%)

熱機器(千円)

52,163

94.8

作業機器規格品(千円)

284,131

87.6

大型製パン機械(千円)

712,574

132.6

合計(千円)

1,048,870

114.4

 (注)金額は販売価格により記載しております。

 

c.品目別商品仕入実績

区分

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

前年比(%)

冷機器(千円)

10,918,098

104.5

調理サービス機器(千円)

18,927,196

106.4

大型製パン関連機械(千円)

132,692

171.1

合計(千円)

29,977,987

105.9

 (注)金額は販売価格により記載しております。

d.品目別受注実績

区分

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

受注高(千円)

前年比

(%)

受注残高

(千円)

前年比(%)

作業機器オーダー品(注)1

3,860,674

103.0

146,826

63.9

大型製パン機械

1,241,672

47.0

1,764,167

87.8

合計

5,102,346

79.9

1,910,993

85.4

 (注)1.業務用厨房機器製造販売業受注の作業機器オーダー品であり、規格品および部品他については見込生産を行っているため、該当事項はありません。

2.金額は販売価格により記載しております。

e.品目別販売実績

区分

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

前年比(%)

当社製品

 

 

熱機器(千円)

14,889,579

99.8

作業機器規格品(千円)

3,272,652

100.6

作業機器オーダー品(千円)

3,863,744

104.8

部品他(千円)

5,403,165

112.7

大型製パン機械(千円)

2,504,162

119.4

小計(千円)

29,933,304

104.2

他社仕入商品

 

 

冷機器(千円)

10,952,559

105.1

調理サービス機器(千円)

18,992,027

107.3

大型製パン関連機械(千円)

132,692

171.1

小計(千円)

30,077,279

106.6

製商品計(千円)

60,010,584

105.4

ビル賃貸業計(千円)

586,163

99.5

合計(千円)

60,596,747

105.3

 (注)1.主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。

2.「大型製パン機械」には、アフターメンテナンスサービス分を含んでおります。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要とされる見積りにつきましては、合理的な基準に基づき実施しております。

 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

②経営成績の分析

a.売上高

 売上高は、前連結会計年度より30億64百万円増加し、605億96百万円(前期比5.3%増)で、増収となりました。

 業務用厨房機器製造販売業においては、外食産業・スーパーマーケット・コンビニエンスストア・病院・福祉施設および一般飲食店等の幅広い業種業態のお客様に対し、業界トップクラスの4,000種類を誇る豊富な自社オリジナル製品をベースとして、人手不足対応や作業環境改善などお客様の問題解決やご要望に沿ったソリューション営業を推進いたしました。その中で、新型コロナの規制が解除されたことにより、インバウンドを含めた人流や消費活動の回復を受けた外食チェーン、ホテル、旅館向け販売、一般飲食店向けなどへのルート販売が好調に推移したこと、また、2023年1月の製品価格改定により収益力が向上いたしました。一方で業界随一の豊富で多種多様なオリジナル製品の中で、高品質・高機能・低価格で安全性も高い厨房機器や、省エネ、作業環境の向上などSDGsにも貢献する厨房機器の提供や、サービスメンテナンス体制の強化等への積極的な取り組み、Web調理セミナーの実施など、お客様の安心安全と顧客満足度の向上に注力しました。これらの影響により、売上高は前連結会計年度に比べ26億4百万円増加の573億73百万円(同4.8%増)となりました。

 大型製パン機械製造販売業においては、国内外製パンメーカーや異業種の各食品工場に向けて拡販した結果、売上高は前連結会計年度に比べ4億62百万円(セグメント間の内部売上高を除く)増加の26億36百万円(同21.3%増)となりました。

 ビル賃貸業においては、計画通り推移した結果、売上高は前連結会計年度に比べ2百万円減少の5億86百万円(同0.5%減)となりました。

b.売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費並びに営業利益

 売上原価は、前連結会計年度より12億34百万円増加し、443億43百万円(前期比2.9%増)となりました。業務用厨房機器製造販売業および大型製パン機械製造販売業ともに売上高が増加したことに伴い仕入高が増加したこと等により増加しました。

 売上総利益は、当連結会計年度にて原資材の購入価格が下落傾向に推移したことや、前連結会計年度の原材料価格上昇分を価格転嫁したこと等により、前連結会計年度に比べ18億29百万円増加の162億53百万円(同12.7%増)となりました。また、売上高総利益率は、製品価格の値上げ等により26.8%となり、前連結会計年度より1.7ポイント改善いたしました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より5億50百万円増加し、113億96百万円(前期比5.1%増)となりました。主な増加要因は、人件費で定期昇給や従業員等への株式給付で報酬が増加したこと、経費は売上高が増加したこと等に伴い運送費用等が増加したこと等によるものであります。

 この結果、営業利益は前連結会計年度より12億79百万円増加し、48億57百万円(前期比35.7%増)となりました。

c.営業外損益および経常利益

 営業外損益は、前連結会計年度5億1百万円の利益(純額)から、当連結会計年度4億42百万円の利益(純額)となりました。主な減少要因は、非連結海外子会社からの配当金がありましたが、一方で原材料の端材の売却収入が減少したことや、株式給付に係る信託手数料が発生したこと等によります。

 この結果、経常利益は、前連結会計年度に対し、29.9%増加の53億円となりました。

d.特別損益

 特別損益は、前連結会計年度4百万円の損失(純額)から、当連結会計年度6百万円の損失(純額)となり前連結会計年度並みに推移しました。

e.法人税等(法人税等調整額を含む。)

 法人税等は、前連結会計年度12億59百万円から、当連結会計年度15億84百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が52億93百万円(前期比29.9%増)となり、課税所得が増加した影響であります。

 

f.親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、当連結会計年度は売上高、利益ともに増加し過去最高となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は37億8百万円(前期比31.7%増)、1株当たり当期純利益金額は230円48銭(同32.6%増)となりました。

③財政状態の分析

 財政状態の状況については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

⑤資本の源泉および資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、他社からの商品の仕入代金のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金および設備投資や長期運転資金の調達については、自己資金を基本としております。

 なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は21百万円となっております。

 また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は330億67百万円となっております。

⑥重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積は、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは多様化するニーズに応え、かつ、持続可能な社会貢献を目的としたオリジナリティがあり、高付加価値製品を合理的な価格で提供することを基本方針としております。この目的の達成のために次の項目を主眼において研究開発活動を進めております。

(1)顧客ニーズに合致した製品の開発

(2)高効率な加熱方式や自動化を取り入れた作業環境および作業効率を向上させるSDGsへの取り組み

(3)人手不足対策に対応した自動化・省人化製品の開発

(4)IoT化に対応した製品の開発

(5)省エネ・エコロジー・合理化製品の開発

(6)職場環境の衛生改善に対応した製品の開発

(7)既存製品の改善において新技術を取り入れた信頼性の高い製品への改良

(8)原価低減のため、海外の協力工場への丹念な技術指導により、高品質低価格製品提供のための基盤を構築

このような方針のもと、当連結会計年度の業務用厨房機器製造販売業においては、新型コロナウイルス対感染症の位置付けが5類感染症へ移行することとなり、経済活動や消費行動も回復の兆しを見せておりますが、まだ不透明な状態が続いていることには変わりなく、このような社会情勢の大きな変貌を踏まえた製品開発を積極的に進めました。また、昨今の人手不足対策に対応するため、自動化・省人化機器の開発、コロナウイルス感染対策に貢献出来る衛生関連機器の開発に努めました。

これら研究開発活動に携わるスタッフは、グループ全体で40名にのぼり、これは総人員数(従業員および臨時雇用者の合計)の2.4%に相当しております。

当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要な課題、研究成果および研究開発費は全て業務用厨房機器製造販売業におけるものであり、主な内容は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は422百万円となっております。

(1)新製品の開発

①強制排水仕様カウンター器具洗浄機(熱機器) 発売日 2023年3月1日

庫内寸法を広げ、専用ラックを付属したことで欧州天板やミキサーボウル、トングなどの器具が洗浄出来ます。除湿排気装置を搭載した機種では、庫内で発生した蒸気を給水と熱交換することで、水道直結で使用が可能となり、給湯設備(湯沸かし器等)が不要となります。また、除湿装置が排気を回収するので、排気フードも不要となります。給湯設備およびガス接続工事が不要なので、設置工事のコストを大幅に削減します。低温洗浄禁止モードで、洗浄槽と貯湯タンクの温度が設定温度に到達するまで洗浄が開始されないので、給湯温度が低い場合でも衛生的な洗浄が可能です。主力製品である食器洗浄機シリーズをより一層充実させる製品であります。

②IH餃子焼器横2口仕様(熱機器) 発売日 2023年6月1日

高熱効率のIH加熱で立ち上がりが早く調理時間を短縮。更に1口2人前という小ロット調理対応なので、オーダーにも即時対応が出来、お客様をお待たせしません。2口の鍋を横にレイアウトし、省スペース化を実現。また、鍋は均一過熱を保持する特殊材質の整磁鋼板を採用し、加熱時間は4メニューまで登録が出来るので、誰にでも簡単に調理が出来ます。フタ・鍋・鍋ガイドは簡単に取り外して洗え、天板もフラットで汚れも拭き取りやすく清掃性も抜群です。餃子焼器シリーズをより一層充実させる製品であります。

③電気ピッツァ窯「Carino(カリノ)」100Vタイプ(熱機器) 発売日 2023年6月1日

最高設定温度は500度を実現。圧倒的な高温で本格ナポリピッツァが90秒でスピーディに焼成出来ます。扉には耐熱ガラス窓を設け、遠赤外線ランプが庫内を明るく照らすので、焼成の様子が確認出来るだけでなく薪窯で焼いているような臨場感を演出します。庫内を自動で立ち上げる通電予約機能やアイドルタイムの消費電力を抑えるエコモード、10メニュー登録機能などを搭載し、機器本体の表面温度を抑えた低輻射仕様とコンパクト設計で、オープンキッチンにも映えるデザイン性も加味した製品であります。

④IHフライヤー低油量タイプ(熱機器) 発売日 2024年1月4日

槽内には部品類が何も無いので、油槽底部まで簡単に手が届き掃除が簡単です。清掃作業も短時間で行えるので人件費の削減につながります。油槽内にヒーターや中間加熱管が無いため油槽スペースが削減出来ました。その結果、同等の調理能力のフライヤーと比較し、約15~17%も節油となり、より少量の油で調理が可能です。また、油量を少なくしたことで加熱に要する消費電力も大幅に削減し、電気容量の限られている施設でも使用出来ます。独自の安全設計により、空焚きや油量の低下、急激な温度上昇や油漏れなどのイレギュラーな事態も検知を可能としました。異常を素早く検知して、直ちに加熱を停止させる最高水準の安全機能も搭載しています。「何も無い湯槽」が生み出す数々のメリット。全てに優れる新時代のフライヤーです。

 

⑤電気スーパースチームシンプルシリーズ06,10型(熱機器) 発売日 2024年2月1日

蒸気発生方法を簡略化し、リーズナブルなイニシャルコストが魅力。ダンパー機能や5段階風量切替機能も搭載し、滴下式ながら調理は本格派のシンプルシリーズに06型、10型をラインアップしました。当社主力製品である電気スーパースチームシリーズをより一層充実させる製品であります。

⑥リヒートマイスター(熱機器) 発売日 2024年2月1日

チルド状態で皿盛りした料理をリヒートマイスターでチルド保存し、予め決めた時間に再加熱運転をすることで、再加熱終了後はトレイメイクのみで配膳及び提供が可能です。ピーク時に負担の大きい盛り付け作業に追われることなく、料理の適温提供が可能となり、喫食率の向上にもつながります。視覚的にもわかりやすい業界最大サイズの8.4インチカラー液晶タッチパネルを装備し、マイメニューや調理予約などの様々な機能が設定しやすく、庫内温度や設定温度の確認も一目瞭然です。熱風循環方式で温度ムラを抑え、スピーディな立ち上がりを実現しました。加湿は5段階切換で、サクッとした食感や適度な加湿でパサつきを押さえるなど食材に合わせた加湿量で、幅広いメニューを美味しく再加熱出来ます。病院・福祉施設、ホテル、レストランなど大量調理施設などで、作業効率の向上や省人化を実現する製品であります。

 

(2)既存製品の見直しおよび改良

①包丁殺菌庫壁掛けタイプ(熱機器) 発売日 2023年7月1日

「間口300㎜壁掛けタイプ機種追加、収納包丁サイズを大きくする、扉取手変更、底板形状の変更」などの改良を行い、より優れた性能向上を図った製品であります。

②NEWパワークックガスレンジ立消え安全措置搭載タイプ(熱機器) 発売日 2023年9月1日

「クイック点火基板への電源供給を単相100Vから乾電池方式へ変更」「熱板の二重化及び棚板の形状変更により、自然対流オーブンの調理能力向上」などの改良を行い、より優れた性能向上を図った製品であります。