当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「情報コミュニケーションに感性と体温を。」をパーパス(企業としての存在意義)として定め、より良い情報やサービスを正しく、わかりやすく、必要な人に届けることで、誰もがよりよい未来と出会える社会を目指しております。
(2)軸となる戦略
当社グループは、クライアントと顧客を繋ぐ「ハイブリッド型マーケティング支援」に特化したビジネスポートフォリオを展開しております。特に、マーケティング領域におけるラストワンマイルを埋める存在として、多様な情報があふれる社会で、その社会的役割を果たしていきたいと考えております。具体的には、訪問コンサルティング型マーケティングとウェブコンサルティング型マーケティングの双頭を強みとして、情報格差が生じている産業の隙間を埋めていきたいと考えております。
(3)当社のこれまでの経営環境と大きな変革
当社グループは創業以来、NHKを主要クライアントとしたNHK業務を主軸として大きく成長し、2018年に東京証券取引所に上場しました。しかしながら、2023年9月をもって、当社グループの主軸であったNHK業務は完全に終了しました。当社グループとしては、NHK業務で培った競争優位性のある個人向け大規模組織営業に関するノウハウや経験があったため、役員・従業員が一丸となり、短期間で新規事業展開を一気呵成に行い、NHK業務の次の核となる「ハイブリッド型マーケティング支援」事業を確立し、徐々にポートフォリオの転換を図ることができました。その証左として、2024年2月期におけるNHK業務の売上高割合は3.5%に留まり、残りはNHK業務以外で構成しております。また、NHK業務の影響がない第4四半期連結会計期間の損益状況においても営業利益は64,680千円となり、利益を出せる体制を構築できております。
(4)対処すべき課題(中期経営計画の推進)
当社グループは、2024年4月12日に中期経営計画「CORREC Innovation 2029」を公表しました。NHK業務がなくなり、これまでの経営環境から大きく変化したことに伴い今後の成長戦略をお示ししたものになります。中期経営計画に記載のとおり、当社グループのコアコンピタンスである「全国のリアルチャネル」と「マッチングテクノロジー」を駆使して、人とテクノロジーが共創する社会を創造するとともに、事業の深化と拡大・多角化を進めてまいります。今後は以下の5つの戦略骨子に基づいて中期経営計画を推進していく予定です。
①事業戦略
「安定収益モデルの確立」をテーマに、ストック型商材の拡販に注力していきます。また、OEMを含めた自社ブランドの企画・販売も行うことで、利益率の向上を目指します。
②DX戦略
2023年12月に立ち上げたコレックAI研究所にて、AI実装化に向けた研究と試験導入を行っており、ウェブメディア事業とコールセンター事業において、「AIとの協働・AIの実装化」を目指しております。
③投資戦略
Debt Capacity余力(有利子負債の調達余力)に基づく新規の資金調達を活用した、既存事業のロールアップ型M&A(規模の経済性によるシナジーを追求)や新規領域のM&A(事業ポートフォリオの多角化及び特定事業に依存する経営からの脱却を企図)を推進していきます。2024年2月期は3件のM&A実績があり、M&Aは新たな事業ポートフォリオを構築し、当社の成長を加速させるための重要な手段だと認識しております。
④財務戦略
株主還元と事業投資のバランスを意識したキャッシュフローリソースの適正配分を行っていきます。特に、D/E(有利子負債/株主資本)レシオ0.5倍、DOE(株主資本配当率)5%を中長期的に目指した財務戦略を構築していきます。また、2024年2月期から復配を行い、今後も継続的に株主の皆様への安定配当を予定しております。
⑤組織戦略
今後の着実かつ継続的な成長を見据え、2024年9月1日に持株会社体制への移行を予定しております。権限と責任の委譲により、経営のスピードアップを図る一方、ガバナンス体制の強化により、更なる企業価値の向上を企図しております。
上記で掲げた各戦略及び予定している各種コーポレートアクションを通じて、引き続き中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、2023年10月にESG推進部を設置し、重要課題の特定、サステナビリティ開示の充実に向けた取組及び取組状況のモニタリングを行っております。またESG推進部で議論された事項のうち特に重要なものは、取締役会へ報告のうえ決定しております。さらに、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスクマネジメント委員会を月1回開催しており、全社的なコンプライアンス管理及びリスク管理に関わる課題並びに対応策を協議及び決定しております。
(2)戦略
① サステナビリティ全般
当社グループでは、企業活動とそれを取り巻く社会・環境との相互作用をはじめとする複数の視点から課題を網羅的に洗い出し、当社グループが優先して取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しております。また、特定したマテリアリティに基づく取組のひとつとして2023年11月に気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(TCFD提言)への賛同を表明し、TCFD提言に基づく気候関連リスク及び機会の適切な評価・管理、並びに気候関連財務情報の開示に向けた準備を進めております。
a. マテリアリティ特定プロセス
|
ステップ1 |
課題の抽出 |
国際的に重要な社会・環境課題、サステナビリティ情報開示ガイドライン、ESG評価機関の評価項目、社内外のステークホルダーの声及び当社の経営理念や戦略を踏まえ、考慮すべき課題を抽出。 |
|
ステップ2 |
課題の重要性評価と整理 |
抽出した各課題と当社の各部門の事業内容との関連性を把握したうえで、社内外のステークホルダーとの対話を通じて、各課題について「ステークホルダーにおける重要性」と「当社における重要性」の両軸から重要性の評価を行い、優先して取り組むべき課題を整理。 |
|
ステップ3 |
マテリアリティの特定 |
整理した課題の妥当性について経営陣による議論を行い、取締役会決議を経てマテリアリティを特定。 |
b. マテリアリティ・マップ
c. 今後の運用方針
特定したマテリアリティについて具体的な取組を推進し、目標達成に努めてまいります。また、ステークホルダーとの対話を通じ、その時々の社会課題の変化や経営戦略に沿って、マテリアリティの見直しを随時行ってまいります。
② 人的資本(人材の育成及び社内環境整備に関する方針及び取組)
当社グループは、MISSIONとして掲げる「人とITのちからで、ヒト・モノ・コトの繋がりをアップデートする。」を推進するための価値基準として以下11項目のVALUEを定めており、これらを軸とした人材育成及び社内環境整備を推進しております。
VALUE
|
1 |
礼儀とモラルがはじめの一歩 |
|
2 |
昨日の自分を超えていく |
|
3 |
他責にせず、自ら動く |
|
4 |
できる理由を想像し、改善し続ける |
|
5 |
チャレンジ・スピード・コミット |
|
6 |
期待値のその先へ |
|
7 |
巨人の肩に乗る |
|
8 |
人の魅力と可能性を引き出す |
|
9 |
深い対話と身近な会話がある組織 |
|
10 |
感謝と称賛の×1.1コミュニケーション |
|
11 |
達成こそが仕事の流儀 |
a. 人材育成に関する取組
当社グループは、「人の魅力と可能性を引き出す」価値観の下、年齢、学歴、性別、入社歴等を問わない人事評価制度及び柔軟なキャリア構築を支援する社内異動制度を運用することで、多様な人材が個々の能力を発揮し活躍できる場の提供を推進しております。また必要に応じ各種研修及び資格支援を実施し、より付加価値の高い人材の育成を目指しております。
b. 社内環境整備に関する取組
当社グループにおいて「深い対話と身近な会話がある組織」の構築のためには、従業員が互いを尊重し安全・安心に働くことができる健全な社内環境の整備が不可欠であります。この認識の下、勤務時間のモニタリングによる長時間労働の防止、安全衛生管理の徹底、産休・育休等各種休業制度の適切な運用、内部通報制度による差別・ハラスメント等の防止、福利厚生制度の拡充等を推進することで、より良い社内環境の実現を目指しております。
(3)リスク管理
当社グループでは、経営に大きな影響を及ぼすリスクの発生防止及び発生時の迅速かつ適切な対応のためコンプライアンス・リスクマネジメント委員会にて総合的なリスク管理を行っており、議論された中で特に重要な事項については取締役会へ報告しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、人的資本に関する指標及び目標として以下の項目の進捗をモニタリングしております。今後も持続可能な社会の実現及び企業価値の向上のため、すべての従業員が働きやすい環境づくりを推進し、目標達成に努めてまいります。
|
指標 |
2022年2月 |
2023年2月 |
2024年2月 |
|
|
女性管理職比率(%)(注)2 |
4.2 |
8.8 |
13.4 |
|
|
男性育休取得率(%)(注)3 |
19.0 |
42.9 |
70.0 |
|
|
男女間賃金格差(%)(注)4 |
全労働者 |
61.6 |
64.7 |
70.2 |
|
正規雇用労働者 |
83.6 |
82.2 |
81.6 |
|
|
非正規雇用労働者 |
60.2 |
62.3 |
65.5 |
|
(注)1.いずれも提出会社及び連結子会社における比率であります。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出したものであります。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
4.「女性平均年間賃金 ÷ 男性平均年間賃金 × 100(%)」により算出しております。また賃金に関しては、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防回避及び発生時の対応に努める方針ではありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業に関するリスク
(セールスプロモーション事業)
① 営業社員の雇用確保について
当社グループの収益は、営業社員の人数と一定の相関関係があります。
当社グループは、社内に採用チームを設け、毎月積極的な採用を行っており、また、公正な評価制度に基づく待遇及び福利厚生の充実により営業社員の士気向上と職場環境の活性化を図り、優れた営業社員の確保に努めております。
しかしながら、採用活動が当社グループの想定以上に振るわなかった場合、また、労働環境の変化や行政処分等により当社グループのイメージが低下し、予定どおり営業社員の確保を行えなかった場合には、当社グループのセールスプロモーション事業における競争力及び業務運営上の効率性が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 不正・不祥事について
当社グループの主力業務であるセールスプロモーション事業の一部の業務については、個々の営業員が個人宅等を個別に訪問することにより実施しております。営業活動中、営業員は、1人で行動することが多くなっており、その行動について、常に責任者等による監視が行われているわけではありません。したがって、このような業務の特性上、営業員による不正行為や不祥事等が発生する可能性を完全に否定することはできません。当社グループでは、営業員等に対して、危機管理講習を入社後3か月間は毎月、その後は半年に1回実施しており、また、毎月取締役がコンプライアンス研修を行い、不正行為や不祥事等の防止に努めております。さらに、これらが実際に発生してしまった場合には、都度、再発の防止策を講じております。
このような当社グループの取組みにも関わらず、万一、営業員等による不正行為や不祥事等が発生した場合には、取引先企業より業務停止処分を受ける可能性があるほか、契約の解除が行われる可能性があります。その後において当社グループが新たな取引先企業と契約を締結しようとする場合等においても、当社に不利な取扱いを受ける可能性があります。さらに、当社グループに対する評判が悪化することにより、当社の営業員による営業活動が困難になる可能性もあります。このような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ クレームやトラブルの発生について
当社グループのセールスプロモーション事業の一部の業務は、個々の営業員が個人宅等を個別に訪問することにより実施しており、その際に、夜間に個人宅等を訪問する場合があります。このような営業活動の中で、訪問先のお客様等との間でのやり取り等に起因して、クレームやトラブルが発生する場合があります。
当社グループは、営業員等に対する各種研修等を行い、クレームやトラブルの防止に努めております。また、万一これらが発生した場合には、迅速かつ丁寧な対応を行うことを心掛けており、速やかに取引先企業に対してクレームやトラブルの内容を報告するとともに、役員及び管理者が発生したクレームやトラブルの内容を共有し、再発防止策を策定・実行して、クレームやトラブルの再発防止に努めております。
しかしながら、今後、重大なクレームやトラブル、あるいは訴訟等が発生し、当社グループの評判が低下した場合や、取引先企業との契約に影響を及ぼした場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報保護について
当社グループが行うセールスプロモーション事業において、当社グループは個人情報を一時的に保管する場合があり、不正アクセスによる個人情報の流出等の可能性が存在しております。
当社グループは、徹底した個人情報の管理体制を構築しているため、現在まで個人情報の流出による問題は発生しておりませんが、今後、個人情報の流出等が発生した場合には、当社グループに対する損害賠償の請求、訴訟、行政官庁や取引先企業等による制裁、刑事罰その他の責任追及等により、社会的信用を失う可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 大規模な災害等の発生について
当社グループは、東京を中心に名古屋、大阪、福岡等の全国で業務を展開しております。今後、地震、津波、台風、洪水、大雪等により、社会的インフラに重大な障害が起こった場合又は当社グループの支店や設備に重大な被害が発生した場合には、正常に業務を行うことが困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(メディア事業)
① 個人情報保護について
当社グループのメディア事業が提供するサービスにおいて、当社グループは個人情報を保管する場合があり、不正アクセスによる個人情報の流出等の可能性が存在しております。
当社グループは、徹底した個人情報の管理体制を構築しているため、現在まで個人情報の流出による問題は発生しておりませんが、今後、個人情報の流出等が発生した場合には、当社グループに対する損害賠償の請求、訴訟、行政官庁等による制裁、刑事罰その他の責任追及等により、社会的信用を失う可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制について
当社グループの運営する家AGENTは、不動産の仲介業務を行っており、かかる業務を営むには宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣又は都道府県知事の免許が必要であります。
当社グループは、同免許を2014年6月13日に取得しておりますが、今後、何らかの理由により業務停止処分あるいは免許取消処分を受けた場合には、当社グループの業務遂行及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 風評等の影響について
当社グループのメディア事業は、当社グループのサービスをご利用いただいている方々からの信頼のもとに成り立つものと認識しており、従業員には安定的かつ質の高いサービスを提供するよう指導、教育を行っております。
しかしながら、従業員の不祥事等何らかの理由で、社内、社外を問わず当社グループに対して不利益な情報や風評が流れた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ インターネット関連市場について
当社グループのメディア事業は、インターネットを介してサービスを展開しており、インターネットの利用環境が整備されていくとともに、インターネット関連市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。
しかしながら、インターネット環境やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信事業者の動向等の要因により、今後のインターネット関連市場の発展が阻害される場合や当社グループの提供するサービスの事業遂行が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティ及びシステムトラブルについて
当社グループのメディア事業は、サービス及びそれを支える情報システム並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。したがって、定期的なデータバックアップやセキュリティ対策を実施しているほか、複数のデータセンターへシステムを分散配置することで、安定的なシステム運用体制の構築に努めております。
しかしながら、予期せぬ自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)、ユーザー数及びアクセス数の急増によるサーバーへの過剰負荷、ソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウイルスへの感染などのトラブルが発生した場合には、サービスの安定的な提供が困難となり、また復旧等に時間を要した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 検索エンジンへの対応について
当社グループが運営するWebメディア、コンテンツはGoogle等の検索エンジンから多くのユーザーを集めております。
今後も、検索エンジンからの集客を強化すべくSEO等の必要な対策を行ってまいりますが、検索エンジン側がロジックを変更し検索結果の表示順が変更された場合、当社グループのWebメディア、コンテンツへの集客に影響が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 顧客の嗜好への対応について
当社グループが運営するWebメディアやコンテンツは、市場変化などの要因に加え、一部ライフスタイルの変化や顧客嗜好の変化による影響を受けやすい状況にあり、その動向に合致した企画が行われなかった場合、需要が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 競合について
当社グループが属するメディア業界には、複数の競合企業が存在し、非常に厳しい競争環境にありますが、当社グループはBtoCに特化したウェブメディアサービスを展開し、また、セールスプロモーション事業で培った営業力を生かし『ウェブ×リアル』という当社グループ独自の強みを打ち出すことで、他社との差別化を図っております。
しかしながら、今後、大規模法人の参入等により、競争が激化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 季節変動について
不動産関連業においては、新年度が始まる2月、3月に転勤・引越に伴う需要が高まり、売上高が増加する傾向にあります。これらの需要増に対応できる業務体制の構築に努めていますが、当社グループの想定を上回る需要が発生し、業務対応が間に合わない事態になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 市場の動向について
当社グループのメディア事業は、その業容上、国内における経済情勢の変化等に一定の影響を受けます。当社グループは、市場の動向を先んじて的確に把握し、その対応策を常に講じておりますが、経済情勢の変化及び国内の景気低迷等により、国内の消費が減少した場合は、新規顧客開拓の低迷や既存顧客の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営体制に関するリスク
① 内部管理体制について
当社グループは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令・ルールの遵守を当社の行動基準として定めるとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。
しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生する可能性は皆無ではないため、これらの事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な人材の確保や育成について
当社グループは、急激な事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、内部での人材育成と外部からの人材登用に努めております。
しかしながら、当社グループの属する市場が今後拡大し、競争が激化した場合、競合他社との人材獲得競争も激化し、当社グループの人材が外部に流出することや、人材確保に支障をきたす可能性があり、競争力が失われ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 配当政策について
当社グループは、株主のみなさまに対する利益還元を最重要経営課題の一つとして取り組んでおり、安定的な配当の実現を基本方針としております。
しかしながら、当社グループの事業が計画通り進展しない等により、当社グループの業績が悪化した場合には配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。
④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、役員及び従業員に対し新株予約権を付与しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
2024年2月29日現在、新株予約権による潜在株式数は98,142株であり、発行済株式数の1.34%に相当しております。
⑤ のれんの減損に関するリスク
当社グループは、2024年2月末時点で139,313千円ののれんがございます。今後、取得した会社及び事業の収益性が著しく低下し追加の損失の計上が必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、創業時よりNHKから受託する放送受信料の契約収納代行業務を事業運営の中心としており、これまでNHKはセールスプロモーション事業における主要取引先となっておりました。
このような状況の中、2022年1月13日付の当社のIRニュース「2022年1月12日の一部報道について」にてお知らせしましたとおり、NHKが「戸別訪問をして受信料の契約をする外部業者への委託契約を2023年9月までに全廃する方針を明らかにした」との報道がございました。当該報道以降、新規入札案件や既存案件の契約延長がなく、2023年9月末において、当社が受託するNHK業務は全廃となりました。
その結果、当社主要事業であるセールスプロモーション事業の売上高は減少傾向にあることから、当社グループは当連結会計年度において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
しかしながら、当社グループは、以前よりNHK1社に対する依存度が高い状況にあることはリスクと捉え、早急に対処すべき課題であると認識し、以下の対応を行ってきました。
a.セールスプロモーション事業~NHK業務以外の業務の強化
当社グループは、2022年1月12日の上記報道以前よりセールスプロモーション事業において積極的に新規取引先様の開拓及び取扱い商材の多角化を進めるとともに、デジタルメディアとミックスさせた営業手法等を行うことにより、NHK業務以外の業務を拡大し、NHK1社への依存度の軽減を推進しております。
b.メディア事業~事業規模等の拡大
当社グループのもう1つの主要な事業であるメディア事業におきましても、当社の強みであるSEOの知見を活かした新規メディアサイトの展開、法人向けストックビジネスの拡大を行うとともに、M&Aの積極推進や成長分野への投資を行うことにより、事業規模・事業領域を拡大し、NHK1社への依存度の軽減に努めております。
このような取組みにより、NHK業務が終了しても問題のない新たな収益基盤・事業ポートフォリオが確立されつつあります。そのような対応の結果、2024年2月期において、売上高3,938,768千円、営業利益119,772千円、親会社株主に帰属する当期純利益88,788千円となりました。また、2023年9月末にて、NHK業務の契約がなくなったことに伴い、2024年2月期におけるNHK業務が占める連結売上高割合は3.5%となり、当社グループのNHK業務に対する依存度は低減しております。そのため、当面は事業活動の継続性に特段の懸念はなく、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年3月1日~2024年2月29日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が「第5類感染症」へ移行し、活動制限の緩和により、経済・社会活動の正常化が進む一方、日本銀行による金融政策の変更、円安による為替相場の変動やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰など依然として先行き不透明な状況が続いております。他方、生成AIをはじめとしたDX化などのテクノロジーの進化は世界的に進んでおり、デジタルテクノロジーに対する期待感は高まっております。
こうした経営環境のもと、当社グループにおきましては、主力事業であったNHK業務が2023年9月をもって完全に終了しました。当社グループとしては、従前よりNHK業務に代わる、安定的な収益基盤の確保に向け、事業の拡大及びコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいりました。
特に、NHK業務に依存しない収益機会の創出を念頭に、セールスプロモーション事業における商材・顧客の多様化、メディア事業のポートフォリオの多角化・収益基盤の拡大に取り組んでまいりました。そうしたことから、当連結会計年度における連結売上高に対するNHK業務の売上高が占める割合は3.5%まで減少しており、NHK業務に対する依存度を減少させてきました。さらに、NHK業務の影響がない第4四半期連結会計期の損益状況においても営業利益は64,680千円となり、NHK業務以外での収益基盤の構築ができております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の業績につきまして、売上高は3,938,768千円(前年同期比4.4%減)、営業利益は119,772千円(同55.5%減)、経常利益は117,325千円(同56.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は88,788千円(同56.0%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a.セールスプロモーション事業
当セグメントにおきましては、太陽光関連商材の販売やテレマーケティングによる新規営業代行の拡大に努めた一方、NHK業務の縮小により売上高は1,900,608千円(前期比17.4%減)となりました。費用関連におきましては、太陽光関連商材等の販売に係る売上原価が467,504千円(同121.7%増)となりました。また、給料及び手当が583,435千円(同30.1%減)、募集・採用費が62,091千円(同9.6%増)となったことから、販売費及び一般管理費の合計は1,409,271千円(同20.3%減)となりました。この結果、セグメント利益は23,831千円(同92.6%減)となりました。
b.メディア事業
当セグメントにおきましては、売上高が2,005,669千円(前期比13.9%増)となりました。費用関連におきましては、給料及び手当が853,703千円(同0.3%減)、広告費が234,534千円(同234.8%増)となり、販売費及び一般管理費の合計は1,729,406千円(同14.9%増)となりました。この結果、セグメント利益は276,263千円(同7.8%増)となりました。
c.アプリ開発・運営事業
当セグメントにおきましては、売上高が8,738千円(前期比78.3%減)となりました。費用関連におきましては、売上原価9,051千円(同83.8%減)を計上した結果、営業費用の合計は10,613千円(同95.2%減)となりました。この結果、セグメント損失は1,874千円(前年同期はセグメント損失179,258千円)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は2,377,695千円(前期末比30.9%増)となりました。主な内訳は、現金及び預金が1,413,905千円(同34.8%増)、営業未収入金が576,765千円(同59.6%増)、のれんが139,313千円(同155.5%増)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は1,274,881千円(前期末比58.0%増)となりました。主な内訳は、有利子負債が640,000千円(同102.1%増)、未払人件費を含めた未払費用が393,819千円(同14.6%増)であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は1,102,814千円(前期末比9.1%増)となりました。主な内訳は、利益剰余金が455,687千円(同24.2%増)、資本金が326,090千円、資本剰余金が316,090千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,413,905千円となり、前連結会計年度末に比べ465,352千円増加しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は175,049千円(前年同期は41,212千円の減少)となりました。これは主に、営業未収入金の増減額が212,757千円減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上117,325千円、法人税等の還付額119,783千円によって資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は33,649千円(前年同期は22,109千円の増加)となりました。これは主に、定期預金の増減額100,000千円の増加があったものの、子会社株式の取得による支出9,835千円、事業譲受による支出116,500千円によって資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は323,952千円(前年同期は23,698千円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出13,332千円があったものの、短期借入金の純増減額136,664千円、長期借入れによる収入200,000千円によって資金が増加したものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、営業代行等の業務を行っており生産を行っておらず、また、当社グループの事業において受注という概念は存しないため、生産実績及び受注状況について記載しておりません。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
売上高(千円) |
前期比(%) |
|
セールスプロモーション事業 |
1,900,608 |
△17.4 |
|
メディア事業 |
2,005,669 |
13.9 |
|
アプリ開発・運営事業 |
8,738 |
△78.3 |
|
その他の事業 |
23,752 |
56.9 |
|
合計 |
3,938,768 |
△4.4 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
|
売上高(千円) |
割合(%) |
売上高(千円) |
割合(%) |
|
|
NHK |
1,234,538 |
30.0 |
- |
- |
|
株式会社ラストワンマイル |
- |
- |
507,115 |
12.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。NHK業務以外の売上高及び利益が順調に拡大した結果、2023年4月に公表した着地予想を上回る経営成績となりました。
a.財政状態
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、セールスプロモーション事業及びメディア事業の拡大に努めた一方、NHK業務の縮小により3,938,768千円と前期と比べ179,538千円(4.4%減)の減収となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、人件費関連費用として、給料及び手当を1,471,506千円(前期比14.8%減)、賞与及び賞与引当金繰入額を184,893千円(同5.8%減)、法定福利費を266,034千円(同2.2%減)計上したこと等から、販売費及び一般管理費の合計は3,342,439千円(同6.7%減)となり、この結果、営業利益は119,772千円(同55.5%減)となりました。
(営業外収益及び営業外費用)
営業外収益につきましては5,278千円(前期比17.0%減)となり、営業外費用につきましては7,725千円(同51.0%増)となりました。この結果、経常利益は117,325千円(同56.6%減)となりました。
(特別利益及び特別損失)
該当事項はありません。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計を28,537千円(前期比27.3%減)計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は88,788千円(同56.0%減)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主要な資金需要は、運転資本及びM&Aや資本提携等のための戦略投資資金になります。運転資金については、原則として自己資金の活用等により調達し、戦略投資資金等については、自己資金の活用に加えて借入金等により調達しております。今後の資金調達に際しては主に銀行等金融機関からの借入により調達する方針であり、今後5年間の間にNet Debt/EBITDA 1.0倍、DEレシオ 0.5倍を目途に資金調達を行う予定です。これらの資金調達により、企業価値を大きく上昇させる安定財源の確保及びWACCの最適化を図る一方、財務健全性の維持を同時並行的に努めていく予定です。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制、法的規制等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営戦略と見通し
今後の経営戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2024年4月に公表した中期経営計画「CORREC Innovation 2029」の実現に向けて各種取組みを推進していきます。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
当社は、2023年9月30日付けでNHKから受託していたNHK業務に関する契約について、契約期間が満了し、同受託契約は終了しております。
該当事項はありません。