第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、『仕事を通じ社会に寄与する』『会社に関係するすべての人々の幸福を追求する』という「創業の理念」のもと、セキュリティ事業を中核事業として、お客さまから信頼される良質なサービスを提供することにより、社会の安全に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、安心と信頼を創造する技術サービス企業を目指し、セキュリティ事業を中心とした事業の拡大及び業務全般における効率化と合理化の推進による、収益力の向上に取り組んでおり、経営指標としては「連結売上高」と「連結営業利益率」を重視しております。中期的には連結売上高「1,000億円」、連結営業利益率「10%」を目指すとともに、当社グループの従業員一人あたりの営業利益の向上を重要な指標の一つとして、一人あたり「100万円」を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 ①ブランドコンセプトと中期経営計画「Creative 2025」の推進

 当社グループは、ブランドコンセプトを「Creative Security Partner」(CSP)として、単なる警備会社ではなく技術サービス企業へ「人と技術の融合」を推進し、前中期経営計画に引き続き4つの基本戦略を(「技術力の強化」「収益力の向上」「基盤の最適化」「グループ連携の強化」)を基に、「労働集約型企業」から「技術サービス企業」を目指します。

 

4つの基本戦略は、以下の通りであります。

 a. 技術力の強化 ~ DXの推進による機能向上と新たなビジネスへの展開 ~

 b. 収益力の向上 ~ 高収益事業への経営資源の選択と集中 ~

 c. 基盤の最適化 ~ 安心・やりがいのある職場環境と業務の効率化の追求 ~

 d. グループ連携の強化 ~ グループ全体としての連結経営の強化と収益力の向上 ~

 

 また、当社グループは2019年4月に中期経営計画「Creative 2023」(対象期間:2020年2月期から2024年2月期まで)を公表し、その取り組みを推進してまいりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期となるなど、計画に多大な影響を受けることとなったため、中期経営計画を見直しすることと致しました。

 その結果、2021年4月に新たな中期経営計画「Creative 2025」(対象期間:2022年2月期から2026年2月期まで)を公表致しました。

 

■最終年度の経営目標

 

項 目

最終年度の目標数値

 

売 上 高

800億円

 

営業利益

68億円

 

営業利益率

8.5%

 

 

以下の取り組み事項の推進により、最終年度目標の達成を目指してまいります。

 a.画像関連サービスの拡販 (画像解析サービス「VACSシステム」の活用)

 b.大型開発事業に向けた取り組み (大規模な開発事業へのセキュリティコンサルの提供)

 c.プラットフォーム・ビジネスの推進

 d.多様なニーズに応える新サービス (サイバーセキュリティの拡充、ドローンを活用した事業への展開)

 e.生産性向上を図る取り組み (業務改善の推進、警備ロボットの拡販)

 f.M&Aの推進

 g.サスティナビリティ推進活動

 

 

(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題

 今後のわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響など、現時点では先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。

 こうした情勢のもと当社グループの見通しは、いまだに続く物価上昇に配慮するとともに、今後の持続的な成長を実現するために必要な人材を維持・確保することを目的として、昨年と同水準の処遇改善を実施いたします。本取り組み実現に伴う人件費の増加により、厳しい業績が予想されますが、中期経営計画「Creative 2025」の最終年度に向け、品川地区を中心とした大規模開発事業への次世代セキュリティサービスの提供を目指してまいります。また、新型コロナウイルス流行以降の変則的な環境変化にも柔軟に対応し、引き続き持続的な成長と更なる企業価値の向上に努めてまいります。

 

 当社は昨年に引き続き、4月1日付で従業員への給与水準の引上げ(ベースアップ)や各種手当の見直しにより、固定給において対前年比平均3%アップの処遇改善を実施致します。これにより、従業員の更なるモチベーションの向上及び離職防止を図ってまいります。

 昨今の人口減少に伴う労働力不足への対策が急務であり、世の中では多くの企業が定年延長を実施し、また、改正高年齢者雇用安定法の施行により、70歳までの雇用が努力義務となりました。このような状況を踏まえ、当社としましては従業員が60歳以降も安心して働ける環境づくりを目指し、定年年齢の引上げに向けて検討を重ねており、2025年4月から現行の60歳から段階的に引き上げる予定です。

 人員の採用難や処遇改善の実施など厳しい事業環境下にありますが、当社が提供する警備サービスは安定的な施設警備(常駐警備・機械警備)が中心となります。今後も安定した収益確保を実現し、当該収益を原資として事業譲受及びM&Aを推進することで、更なる事業拡大を図ってまいります。

 中期経営計画「Creative 2025」の推進により、経営基盤を確固たるものとし、警備会社として大切な安全・安心・信頼をお客さまにお約束するとともに「安心と信頼を創造する技術サービス企業」を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループはサスティナビリティに関する取り組みを推進するため「サスティナビリティ委員会及び同推進室」を設置し、以下のサスティナビリティ基本方針を策定し、さらにマテリアリティを選定しました。

 

(1)サスティナビリティ基本方針

当社では、「仕事を通じ社会に寄与する」「会社に関係するすべての人々の幸福を追求する」を創業の理念(=志)とし、当社グループの全社員がこの“志“を胸に、「安全・安心」な社会づくりに向けて日々の業務に取り組んでいます。

当社グループは、この先も「安全・安心」な社会に寄り添い続けるため、「社会的課題の解決」と「事業の持続的成長」の両立を目指し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(2)マテリアリティ

サスティナビリティに関する取り組みの一環として、ステークホルダーからの期待や影響度の観点、当社グループの成長や社会の持続化の可能性への寄与の観点から6つのマテリアリティ(持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて対処すべき重要課題)を選定し、優先的に取り組んでいくテーマを明確化しました。

 

マテリアリティ

ESG区分

具体的な取り組み

技術サービス企業の実現

S:社会(顧客)

・セキュリティプラットフォーム「梯」の開発と活用の推進

・画像解析監視サービス「VACSシステム」

・先端技術を取り入れた新しい警備

安全・安心・快適なまちづくりへの貢献

S:社会(顧客)

・社会インフラへの安全・安心の提供

・労働人口減少に対応した生産性向上を実現する警備サービ

 スの提供

・日常の暮らしに寄り添うサービスの提供

・社会的脅威・BCPへのサポート

・警備品質の向上

人づくりと職場環境の整備

S:社会(従業員)

・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進

・働き方改革、ワーク・ライフ・バランスへの取り組み

ガバナンスの強化

G:ガバナンス

・ISMS認証の確立と強化

・コーポレートガバナンス体制

・取締役のスキル・マトリックス

・グループガバナンス

環境への配慮

E:環境

・BEVなど脱炭素車へのシフト

・制服におけるサスティナブルな取り組み

地域社会への貢献と連携

S:社会(地域)

・地球環境に優しい施設の運営

・地域における取り組み

 

 

 

(3)ガバナンス

当社グループは、サスティナビリティに関する取り組みを重要な経営戦略の一つとして認識しています。サスティナビリティ推進室が中心となり、社内の関連部署・子会社と連携し、取り組みの検討と対応策の進捗管理を行っています。その内容はサスティナビリティ委員会へ報告され、当委員会での審議を経て取締役会へ報告されます。

 

(ガバナンス体制図)


 

【環境課題への取り組み】

(1)戦略

気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し戦略の策定を進めるため、当社グループの事業を対象にTCFDが提言する気候変動シナリオ分析と気候関連リスク・機会の選定、財務インパクトの評価を、2030年までの期間をタイムホライズンに実施しました。

なお、シナリオ分析においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書に示されている、最も気温上昇の低いシナリオ「SSP1-1.9(約1.5℃)」「SSP1-2.6(約2℃)」と最も気温上昇が高くなシナリオ「SSP5-8.5(約4℃)」のシナリオに基づき、当社における気候関連のリスクと機会について主に定性的な手法を用いて分析しました。

識別した気候変動関連リスクが顕在化する可能性や時期、顕在化した場合の影響と現在の対策の状況等を評価した結果、いずれの項目についても重要な影響はありませんでした。しかしながら、喫緊の課題である温室効果ガス排出量削減に向け、2030年や2050年を見据えた中長期計画を策定し、オフィス照明のLED化による消費電力の削減、業務車両のEV・HV化など、各種施策を推進しています。

今後も継続的にリスク評価を行うとともに、適切なリスク管理やビジネス機会を検討し、「安全・安心・快適なまちづくり」への貢献を目指します。

 

(気候関連リスクに関する影響度の分析表)

分類

リスク内容

影響度

(2030年時点)

対応策

機会

移行リスク

(1.5℃シナリオ)

政策

/規制

炭素税導入に伴うガソリン等の燃料価格や電力価格の増加

化石燃料電力から再生可能エネルギー電力へのシフト

公共交通機関の利用者増加に伴う警備需要の増加

電力消費量削減のため、照明設備・空調設備・OA機器の省エネ機器へのシフト

節電によるコスト低減

現場使用車両をEV車、PHV車、EVスクーターを導入、電動キックボードの導入を検討

EV車、FCEV車の普及に付随したサービス需要の増加

警備用車両の排ガス規制の強化に伴うEV車両等への切り替えによるコスト増加

現場使用車両の一部をEVスクーター等へ切り替えることによるコストの抑制

物理的リスク

(4℃シナリオ)

慢性

気温上昇に伴う警備隊員の熱中症のリスクへの対策費用の増加

新制服への切替に伴う新素材の導入

カメラシステム等の最先端機械警備の推進(屋外活動の抑止)

最先端警備機器を活用した警備需要の増加

感染症発生頻度の増加

・BCPの見直しによる、業務継続運用の確保

・検査キット、感染予防対策の拡充

ホームセキュリティー需要の増加(在宅勤務の増加による)

急性

異常気象の発生に伴い警備体制・警備業務への支障(警備対策施設が存在するエリアでの風水害被害の発生に伴う異常対処業務の増加による警備体制の維持困難)や契約先に設置している警備機器損傷による修理・交換等の対応コストの発生

・BCPの見直しによる、業務継続運用の確保

・気象情報等の早期入手による隊員の避難

・気象情報に基づく契約先への情報提供

・警備機器損害保険等の加入検討

・安否確認サービス内容の検討による提供情報内容の拡充

BCPソリューションズの提供(安否確認サービス需要の拡大・災害時のドローン活用)

 

 

 

(2)リスク管理

当社グループを取り巻くリスクは常に変化しており、外部環境等の変化により急激に顕在化するリスクへの対応や、危機発生時に迅速に対応するための体制強化は当社の重要課題であります。このため、経営会議をはじめとする諸会議の機動的運営やトップマネジメントとの緊密な意思疎通を行い、当社を取り巻くリスクに対する管理体制を整備しています。なお重大なリスクが発生した場合には、社長を中心にリスク軽減等に取り組み、会社全体として対応する体制をとっています。

気候関連リスクについては、サスティナビリティ推進室が中心となり、社内の関連部署・子会社と連携して当社グループに関連する気候関連リスクの識別・評価、対応策の検討と進捗管理を行っています。その内容はサスティナビリティ委員会での審議を経て、取締役会へ報告されています。

 

(3)指標及び目標

気候変動によるリスクを緩和し、機会を拡大するため、当社は中長期における温室効果ガス排出削減目標を定めています。

 

●中期目標:Scope1及び2のGHG排出量を2027年度までに2019年度比50%削減する

●長期目標:Scope1及び2のGHG排出量を2045年度までにゼロとする

 

(温室効果ガス排出削減目標)


 

【人的資本への取り組み】

(1)基本的な考え方

私たちは、社員をもっとも大切な財産”人財”と捉え、社員一人ひとりが生き生きと働き、「チャレンジを続けて未来を創造していく」ことが、持続的成長と企業価値を高める原動力と考えています。

人財の育成においては、社員の健康・意欲・働きがいを何よりも大切に考え、「多様な人財が働きがいを実感できる会社にする」の実現に向けて、全ての社員を対象としたダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進し、社員一人ひとりが能力を十分に発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。

2023年にはCSPグループ人権方針を制定し、人種・宗教・性別・年齢・性的指向・国籍・言語・障がい等を理由としてあらゆる差別やハラスメント、人権侵害を排除し、その人らしい生き方や働き方を認め合う組織風土の醸成に力を入れています。

 

(2)目指すべき人財像

当社では、創業の理念とともに、社訓「厳粛なる規律」「鞏固なる責任」「脈々たる創意」「渾然たる融和」「確乎たる矜持」を定めています。社訓は全員が共有するコアバリュー(価値観)として根付き、その価値観をベースに私たちの目指すべき人財像を定めています。

 


 

(3)人財の育成及び社内環境整備に関する方針

①人財育成体制

当社の人財育成は、「試験制度」による昇進昇格、「研修制度」によるOff‐JTの機会提供、「キャリア支援制度」によるキャリア形成で構成しています。

「試験制度」は経験や能力が一定の水準に達した社員に対して、定期的な昇格試験を実施しています。試験に合格した社員は、積極的に役職者に登用することで将来のリーダーを育成する制度です。

「研修制度」は、新入社員から管理職社員に至るまで、階層や職種に応じたプログラムを用意しており、全社員がOFF-JT、OJT両方で技能を高めることができる環境を整えています。なお、コンプライアンスに関わる研修は全階層で定期的に実施しています。

「キャリア支援制度」には、自己申告制度、社内インターンシップ制度、資格取得奨励制度、各種表彰制度など、社員の目標や希望を叶えるための人事制度を整備しています。さらに選抜された社員をそれぞれの育成計画に基づき、複数の職場経験を積みながら、役職者や管理職社員を育成する制度も運用しています。

 

 

②キャリア支援制度
 a.自己申告制度

社員のキャリア形成の希望、身上変化や仕事に対する悩みなどを把握することを目的として、年1回全社員を対象とした自己申告を実施しています。本制度の結果をもとに上司との面談を行い、個人的な相談を含め今後のキャリアへの希望を確認するなど、社員一人ひとりの声をしっかり聴く制度です。

 b.社内インターンシップ制度

2022年度から社内の他の職種に興味・関心のある、主に若手の社員を対象に、実際に各職域(警務・営業・技術・開発・事務)の業務を体験する社内インターンシップ制度を実施しています。各職域を超えた相互理解、ノウハウの共有、自身の知見を広め、自己実現と成長を促進する機会となり、今後のキャリア形成を支援する制度です。

 c.資格取得奨励制度

社員が技能向上に資する自己啓発を支援するため、資格取得奨励制度を実施しています。業務上必要な資格・免許の取得に限らず、個人の知識向上のための資格・免許の取得についても奨励しています。奨励する各種資格は社会やお客さまのニーズに合わせ、定期的に見直しを行っています。資格取得奨励制度は、会社の費用負担、及び一部補助により、多くの社員が本制度を利用して自己研鑽に励んでいます。

種類

内容

資格数(2024年2月現在)

職能別資格

業務遂行上、必要とするもの

警務職:45資格(各種警備業務検定など)

技術職:45資格(1級電気通信工事施工管理技士など)

営業職:13資格(セキュリティプランナーなど)

事務職: 8資格(衛生管理者など)

チャレンジ資格

個人の資質向上に有効で会社が奨励する資格

全職種共通:83資格

(防火管理者、ビジネス能力検定、ITパスポート、TOEIC、秘書検定など)

 

 

 d.各種表彰制度

会社の信頼を高める行動、災害・盗難などの発生時に功績があった行動、人命救助に関わる行動、及び安全運転の遂行などに対し、その功績を称える表彰制度があります。また、2015年から警備品質の向上を掲げてCS推進活動を展開しており、お客さまニーズに寄り添った行動や取り組みに対するCS推進表彰も行っています。

表彰は社長表彰・本部長表彰・部長表彰など段階的になっており、一人ひとりの尊い行動が社会の安全・安心につながる好事例として表彰が行われ、その表彰は社内報Web版により全社員が共有しています。

表彰制度は、警備会社の社員として常に仕事に誇りを持ち、モチベーション高く仕事に取り組む組織風土醸成に役立っています。

 

③指標と目標

 

2021年度

(実績)

2022年度

(実績)

2023年度

(実績)

2025年度

(目標)

2030年度

(目標)

政府目標

(参考)

女性管理職比率

3.7%

3.7%

6.0%

6.0%

10.0%

30%

(2030年)

女性係長級比率

12.9%

13.3%

12.8%

15.0%

20.0%

男性育休取得率

21.6%

51.2%

43.5%

50.0%

以上を維持

85.0%

以上

85%

(2030年)

有給休暇取得率

88.0%

89.0%

(※) ―

80.0%

以上を維持

85.0%

以上

70%

(2025年)

 

※(―)の箇所は集計中となります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に掲載しています。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努めてまいります。

 

(1) 法規制に関するリスク

 当社グループでは、業務管理及び社員教育を徹底し、コンプライアンス意識の維持、向上に努めておりますが、以下の関係法令に違反して罰則の適用を受け、営業停止等の行政処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

① 警備業法等

 セキュリティ事業の実施にあたっては、警備業法及び関係法令の規制を受けております。また、同法へ適確に対応すべく引き続き社員の資格取得を推進しております。

 なお、当社の他、子会社である関西シーエスピー㈱、新安全警備保障㈱、エスシーエスピー㈱、長野県パトロール㈱、長野県交通警備㈱、㈱特別警備保障、CSP東北㈱、㈱CSPクリエイティブサービス、東亜警備保障㈱、関連会社である㈱トーノーセキュリティが同様に警備業法及び関係法令の規制を受けております。

② その他の法律等

 機械警備業務及び工事・機器販売の業務においては、契約先の施設に警報機器を設置しており、この設置工事に関して建設業法等の規制を受けております。

 また運輸警備業務においては、契約先の要請に応じ、現金輸送車を利用して現金等を輸送しているため、貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。

(2) 情報管理及びプライバシー保護に関するリスク

 当社グループは、セキュリティ事業の各サービスの実施にあたって、業務運営上の必要から契約先の機密情報その他の情報を知り得る立場にあります。

 当社グループは、従来から徹底した管理体制と社員教育により、契約先の情報が外部に漏洩しないよう情報の管理及びプライバシー保護に努めております。当社はさらに、これらの情報管理体制をより強化して契約先との信頼関係を一層強固なものとするため、2003年5月に全社を挙げてISMS(情報セキュリティ・マネジメントシステム、2007年1月よりISO/IEC27001に移行)認証を取得いたしました。

 また、2005年4月から施行された個人情報保護法への対応については、当社内で「個人情報及び個人番号の保護に関する基本方針」(2015年11月1日改定)を定め、一連の個人情報保護に関する社内ルールを整備して、ISMSをベースにした情報管理を徹底させております。

 それらに加え、2020年1月には「CSPグループ情報セキュリティ基本方針」を制定し、情報セキュリティ事故の未然防止に努め、情報管理体制をより強化して契約先との信頼関係を一層強固なものとするため、グループを挙げて取り組んでおります。

 しかしながら、契約先の情報が外部に漏洩した場合には当社グループの信用が損なわれることとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 価格競争に関するリスク

 市場規模に比べて警備業者は大小とりまぜて10,524社(警察庁公表「令和4年における警備業の概況」より)と多数にのぼっており、同業者間の価格競争が年々激しくなっております。当社グループは、これらの同業他社と競合状態にあり、今後の価格競争の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材確保に関するリスク

 良質な警備サービスを継続して提供するためには、常に優秀な人材を確保し、不断の教育、研修を通じてその知識、技能の維持、向上を図ることが欠かせません。当社グループでは年間を通じて採用業務を展開するとともに、専用の施設と専属のスタッフを配置して社員教育に取り組んでおりますが、少子化の時代を迎え、質・量の両面で必要な人員を確保できなくなった場合、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、引き続き人材の確保に注力するとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進することで、女性の活躍の場を拡大し、すべての社員が働きやすい職場環境の構築を目指してまいります。

(5) 技術の陳腐化に関するリスク

 機械警備業務における最近の傾向として、IT技術の進展により、画像解析等を利用した機械警備など、新たなサービスが登場しています。

 また、情報ネットワークの拡大に伴い、各種情報の漏洩、コンピュータ・ウィルスによるデータの破壊などの脅威から重要な情報資産を守るため、サイバーセキュリティの分野での需要も増大しております。

 当社グループでは、当該技術分野の研究・開発により、既存の機器・装置の陳腐化や犯罪の高度化・凶悪化に対応しておりますが、急速な環境変化への対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 大規模災害等に関するリスク

 当社グループでは災害発生時の対応について、普段より対応マニュアルの整備及び定期的な教育・訓練の実施等により、対策を講じております。また機械警備部門では、万一に備えて東京と長野に相互にバックアップ機能を持たせた全国ネットワーク(機械警備統合システムS21)を構築しております。

 しかしながら、広範囲に亘って大規模な地震や火災などが発生した場合には、公共の通信インフラの機能停止、道路、鉄道などの交通インフラの遮断などにより、当社グループが提供する各種のセキュリティサービスの実行に支障をきたすおそれがあります。また、当社が契約先に設置している警報機器等(当社資産)が損傷した場合には、修理・交換等の対応を余儀なくされる可能性があります。

 したがいまして、大規模な災害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

(7) パンデミックによる感染拡大に関するリスク

 当社は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に基づき、「新型コロナウイルス感染症に対する対応要領」を作成し、予防に関する備品の整備、社員教育、各関係機関からの情報収集等の体制を整えるなど、感染予防及び危機管理体制の確立に努めております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症などの感染が広範囲に拡大し、警備を担当する社員の感染者が多数に至った場合には、お客さまへの感染を最大限防止するためにも、セキュリティサービスの実行を縮小及び停止せざるを得ない事態が発生する可能性があります。

 したがって、危険度の高い感染症が大流行した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

(8) 警備及び基幹システムに関するリスク

 当社グループでは、機械警備サービスの信号処理、警備サービスに係る契約の管理、代金の請求及び債権の回収・管理等の業務処理について、警備及び基幹システムを使用して統合的に管理しております。また、業務効率化、取引形態の多様化や制度改正に対応するため、随時、システムの改修を実施しております。
 システムの運用・改修については、システムの開発段階から納品までの品質管理の徹底を図っておりますが、災害の発生等によるシステム障害やシステムの改修に伴いプログラムの不具合が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)従業員による不適切事案に関するリスク

 当社グループの従業員による不適切な事案が発生した場合には、各サービスの解約、縮小等につながるとともに多額の損害賠償請求を受けるなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

 当社では、コンプライアンスに関する教育を定期的に実施することで、各従業員の意識の向上を図るとともに、グループ子会社においては、当社から取締役または監査役を派遣するなどして、厳正な指導、監督を行っております。

(10) 関連当事者との取引等に関するリスク

 当社グループと大株主(議決権所有比率25.3%)である東日本旅客鉄道㈱及びそのグループ会社との間の当連結会計年度における売上実績は、19,190百万円となり、全売上高の28.2%を占めております。

 当社は、1997年12月に東日本旅客鉄道㈱と「業務提携基本契約」を締結して以来、同社が管轄する各駅及び同社の本社ビル等の常駐・機械警備、同社及び同社グループの集配金業務(現金輸送等)などのセキュリティサービスの提供、並びに、新セキュリティシステムの共同開発等を行って、その提携関係を強化して参りました。また、今後もその提携関係は強化していく方針ですので、同社及び同社グループに対する売上比率は徐々に高まっていくものと思われます。

 したがいまして、同社の業績が著しく悪化した場合、あるいは当社との提携関係に変化が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (業績等の概要)

(1) 当期の業績の概況及び財政状態

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行し、インバウンド需要、雇用・所得環境などの国内経済活動の正常化が進んでいるものの、慢性的な人手不足の状態が続いております。また、世界的な金融の引き締め、エネルギー価格の高騰、各国における紛争の長期化、物価上昇による個人消費への影響など、依然として先行きは不透明な状況です。

警備業界におきましては、景気の回復とともに警備需要は安定的であるものの、少子高齢化に伴う労働力不足により、新卒及び中途採用ともに厳しい状況が続いております。また、離職防止並びに処遇改善に伴う人件費の増加は今後も続く見通しであり、引き続き厳しい事業環境下に置かれております。

このような状況の中、当社グループは中期経営計画「Creative 2025」の目標達成に向け、持続的な成長と更なる企業価値の向上に努め「安心と信頼を創造する技術サービス企業」を目指し、事業を展開してまいりました。

 

お客さまへ安心・安全を提供している従業員が持続的に働き甲斐を感じられる待遇を実現すべく、当社は給与水準の維持・向上を図ってきましたが、昨今の物価高騰に配慮し、採用時本給の大幅な引き上げを実施するとともに、現場第一線で日々の業務に取り組んでいる従業員を中心に、地域相場や年齢を考慮した処遇の改善を実施致しました。

昨年4月に東亜警備保障株式会社の株式を取得し、新たに連結子会社となりました。東亜警備保障は、栃木県内で機械警備をメインに事業を展開する企業であり、当社の直接の支社・事業部のないエリアの機械警備事業の強化を図るとともに、更なるグループ企業収益拡大を目指してまいります。

昨年の5月19日から21日の3日間、先進国首脳会議(G7広島サミット)が開催されました。期間中は広島市をはじめ全国の主要箇所で厳戒態勢が敷かれ、当社は鉄道関係施設における危険物探知犬や新幹線への臨時警乗業務、また開催会場となる宇品島エリア(広島市南区)における警備資機材の提供を実施し、これらを無事に完遂することができました。

当社は「セキュリティプラットフォーム“梯”(かけはし)」をはじめとした、これまでにないセキュリティサービスの提供を目指します。本サービスは、梯(かけはし)を中心に警備ロボットや画像解析システムなどの最新技術を集約した次世代セキュリティサービスであり、東日本旅客鉄道株式会社が開発を進めている「TAKANAWA GATEWAY CITY」をはじめ、大規模開発事業向けのサービス開始を予定しています。

当社は、昨年の1月に三井物産株式会社が設立した合同会社が実施する、りらいあコミュニケーションズ株式会社の普通株式に対する公開買付けに応募することを決定しておりました。本公開買付けが2023年6月28日に終了し、翌29日に当社の応募株式のすべてが買い付けられたとの結果公表を受け、投資有価証券売却益を特別利益に計上、これにより今年度は過去最高の最終利益となりました。

 

(セキュリティ事業) 

常駐警備部門につきましては、広島サミット関連の臨時警備が好調だったこともあり、売上高は33,552百万円(前連結会計年度比3.9%増)となりました。

機械警備部門につきましては、画像関連サービスが堅調だったこともあり、売上高は22,417百万円(同5.0%増)となりました。

運輸警備部門につきましては、集配金・精査サービスなどの販売に注力した結果、売上高は3,449百万円(同2.9%増)となりました。

工事・機器販売部門につきましては、防犯カメラの販売を中心とした画像関連システムなどが好調だったこともあり、売上高は6,788百万円(同13.2%増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度のセキュリティ事業セグメントの売上高は66,207百万円(同5.1%増)、セグメント利益(営業利益)は3,945百万円(同10.7%増)となりました。

 

(ビル管理・不動産事業)

ビル管理・不動産事業につきましては、清掃業務や電気設備の保安業務等の建物総合管理サービス及び不動産賃貸を中心に事業を行っております。当連結会計年度のビル管理・不動産事業セグメントの売上高は1,803百万円(同1.1%減)、セグメント利益(営業利益)は378百万円(同7.9%減)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は68,010百万円(同4.9%増)、利益面につきましては、営業利益は4,316百万円(同8.6%増)、経常利益は4,533百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,381百万円(同108.1%増)となりました。

 

また資産は、前連結会計年度末に比べ2,824百万円増加し、64,443百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ407百万円増加し、24,669百万円となりました。一方、純資産は、前連結会計年度末に比べ2,417百万円増加し、39,773百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の変動状況は次の通りであり、前連結会計年度末に比べ8,769百万円増加して、20,665百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは5,312百万円の増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益8,328百万円、減価償却費2,499百万円、主な減少要因は、投資有価証券売却損益4,548百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは6,326百万円の増加となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入9,073百万円、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,496百万円、無形固定資産の取得による支出838百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは2,868百万円の減少となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出1,479百万円、配当金の支払額804百万円、リース債務の返済による支出693百万円などによるものであります。

 

 (生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメントごとの契約件数は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度末において、契約件数の著しい増減はありません。

セグメント名称及び業務別名称

契約件数(件)

前年同期比(%)

(セキュリティ事業)

 

 

常駐警備

932

110.0

機械警備

128,987

101.1

運輸警備

3,126

95.3

小計

133,045

101.0

(ビル管理・不動産事業)

7,819

105.9

合計

140,864

101.3

 

 

(2) 販売実績

 当連結会計年度におけるセグメントごとの業務別販売実績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度末において、販売実績の著しい増減はありません。

セグメント名称及び業務別名称

金額(千円)

前年同期比(%)

(セキュリティ事業)

 

 

常駐警備

33,552,193

103.9

機械警備

22,417,682

105.0

運輸警備

3,449,287

102.9

工事・機器販売

6,788,189

113.2

小計

66,207,353

105.1

(ビル管理・不動産事業)

1,803,482

98.9

合計

68,010,836

104.9

 

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東日本旅客鉄道㈱

9,343,529

14.4

9,799,837

14.4

 

 

 

 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び今後の方針)

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績については以下のとおりです。

① 概要

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高68,010百万円(前連結会計年度比4.9%増)、営業利益は4,316百万円(同8.6%増)、経常利益は4,533百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,381百万円(同108.1%増)となりました。
 以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

② 売上高

 売上高は、前連結会計年度に比較して3,186百万円の増収となりました。セキュリティ事業の常駐警備部門において、1,251百万円の増収(同3.9%増)、機械警備部門において、1,067百万円の増収(同5.0%増)、運輸警備部門において、98百万円の増収(同2.9%増)、工事・機器販売部門において、789百万円の増収(同13.2%増)となったことが要因であります。

③ 売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益

 売上総利益は前連結会計年度に比較して1,319百万円の増益(同9.4%増)、売上総利益率は22.7%となり、前連結会計年度に比較して0.9ポイント増加しました。
 また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比較して979百万円の増加(同9.7%増)、売上高に対する販売費及び一般管理費の構成比率は16.3%(0.7ポイント増加)となりました。
 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比較して340百万円の増益(同8.6%増)となりました。

④ 営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度に比較して270百万円減少しました。また営業外費用は前連結会計年度に比較して19百万円の減少となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度に比較して88百万円の増益(同2.0%増)となりました。

⑤ 特別損益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、前連結会計年度に比較して4,556百万円増加しました。また特別損失は、前連結会計年度に比較して587百万円の増加となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比較して4,058百万円の増益(同95.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比較して2,795百万円の増益(同108.1%増)となりました。

 

 

(3) 当連結会計年度末の財政状態の分析

 当社グループの当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりです。

 総資産は、現金及び預金の増加8,679百万円、敷金及び保証金の増加726百万円、退職給付に係る資産の増加711百万円、投資有価証券の減少8,340百万円などにより、前連結会計年度末に比べ2,824百万円増加し、64,443百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。

 負債は、未払法人税等の増加2,909百万円、繰延税金負債の減少2,540百万円などにより、前連結会計年度末に比べ407百万円増加し、24,669百万円(同1.7%増)となりました。

 純資産は、利益剰余金の増加4,577百万円、その他有価証券評価差額金の減少2,682百万円などにより、前連結会計年度末に比べ2,417百万円増加し、39,773百万円(同6.5%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は57.9%、1株当たり純資産は2,554円61銭となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、5,312百万円の増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益8,328百万円、減価償却費2,499百万円、主な減少要因は、投資有価証券売却損益4,548百万円などによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6,326百万円の増加となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入9,073百万円、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,496百万円、無形固定資産の取得による支出838百万円などによるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,868百万円の減少となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出1,479百万円、配当金の支払額804百万円、リース債務の返済による支出693百万円などによるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8,769百万円増加し、20,665百万円となりました。

② 資金需要について

 当連結会計年度の設備投資として、機械警備先の増加に伴う警備先に設置する警報装置及びこれに対応するセンター装置の増設などに1,077百万円、総額2,667百万円の投資を実施いたしました。
 次期の当社グループの資金需要については、当連結会計年度に引き続き機械警備設備などに1,400百万円、総額3,100百万円の設備投資を予定しております。なお、この設備投資につきましては自己資金及び長期借入金によって賄う予定であります。

 

(5) 経営者の問題認識について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、少子高齢化に伴う労働力不足による採用難が挙げられます。新卒及び中途採用ともに厳しい状況が続いており、また、離職防止並びに処遇改善に伴う人件費の増加は今後も続く見通しであります。

 当社グループの業績への影響につきましては、警備契約を維持するだけの人員は確保できており、短期的な影響は受けづらいものと考えております。ただし、長期的な採用難及び従業員の離職増加などによっては、当社の成長が一時的に鈍化する恐れがあります。これは、人員不足により常駐警備を中心とした新規受注が困難となるためです。また、同様に協力会社についても人員不足が懸念されます。

 このような影響への対策といたしまして、当社グループはさらなる警備サービスの品質維持・向上に努めるとともに、従来から取り組んでまいりました、人による警備から“機械化・効率化”にもさらに注力してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携基本契約

契約会社名

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

セントラル警備
保障株式会社(当社)

東日本旅客鉄
道株式会社
(JR東日本)

業務提携基本契約書

当社との資本提携及びJR東日本グループに対する警備サービスの提供に関する業務提携(対価:物件ごとの個別警備契約書による)

1997年12月18日締結、以後1年ごとの自動更新

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

(1) セキュリティ事業

 当社グループの研究開発活動は、主に開発推進本部(開発企画部、研究開発部及び商品開発部)にて行っております。収益力の強化を目的としてネットワーク、無線通信、クラウド、AI及びロボットなど、様々な先進技術を警備サービスの高度化、高品質化のために活用し、付加価値の高いセキュリティシステムを開発することにより、多様化する市場ニーズを的確に捉え、お客さまの信頼を獲得することを基本方針としております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は81百万円であり、販売費及び一般管理費のその他に含まれております。また、研究開発に該当しない調査、企画、検証、品質管理等の活動においても研究開発と一体として行っており、これらの費用は別途、販売費及び一般管理費に含まれております。

① 汎用セキュリティサービスの開発

 IP通信やモバイルサービスを取り込んだセキュリティ商品、様々なシチュエーションに対応できる簡易・低価格なセンサーやカメラシステム(画像サーバー内蔵、無線通信、夜間撮影)を活用した警備サービスの開発を行っております。

② 画像セキュリティシステムの開発

 高感度カメラ、サーマルカメラなどを用いた画像解析システムや、ディープラーニングを活用したAI画像解析システム、次世代無線通信を利用したネットワークシステムなど、最先端技術をいち早く取り込み、人的警備サービスと融合した新たな画像監視システムなどの開発を行っております。

③ 情報セキュリティについての開発

 インターネット、イントラネット、企業内のサーバー・パソコンの電子化された情報の漏洩、外部からの侵入、改ざん、ウイルス等の人的脅威、地震等の災害から貴重な情報を確実に守るサイバー領域のセキュリティサービスの開発を推進しております。

 

(2) ビル管理・不動産事業

 当連結会計年度は、当事業の研究開発活動は行っておりません。