当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ)の消費税等に係る会計処理は、税抜方式によっているため、この項に記載の売上高、生産実績、販売実績等の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
2030年ビジョン「Change the Future~技術と創造力で新時代に新価値を提供します~」の実現に向け、20-22中期事業計画(2021年3月期~2023年3月期)を策定し、経営方針に「グループの総合力で新価値を創造する」、重点方針に「新価」、「深化」、「真価」の3つのシンカをキーワードに掲げ、次世代事業構築に向けての事業開発強化と、既存事業における体質強化の重点施策をグループ一丸となって強力に推進してまいります。
(経営環境と経営戦略)
当社を取り巻く環境である自動車業界は、100年に1度と言われる大変革期の到来に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済は急速に悪化し、予断を許さない状況が続いております。
自動車業界における電動化の急速な拡大、また自動運転やインターネットを介して社会インフラと繋がるコネクティッドカーなどの車の知能化、そして、車の所有から共有化の拡大など、自動車に対するニーズや価値観の変化が急速に進んでいることより、この様な変化に対し、「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」各セグメントにおいて、短期的には既存製品の顧客シェア拡大と事業体質の再構築、中期的にはメガサプライヤーを含む新たな商品販路の拡大、更には、2030年を見据えた長期的課題に対しては、自動車進化ならびに自動車以外の分野での社会貢献を実現すべく強力な取り組みが必要と認識しております。その対応の基本的な方向性を下記の通り明確化しました。
(1)車の電動化に貢献すべく、既存アルミダイカスト技術の進化を軸とした軽量化部品の開発
(2)同じく電動化社会に貢献する次世代小型高効率モーターの要素技術及びその製造技術の開発
(3)拡大が見込まれる新環境対応型エンジン(HEV・PHEV)への適用を視野に新しい動弁系システムの開発
(4)既存部品の系列外メーカー及びメガサプライヤーへの販路拡大
(5)持続可能な社会の実現に向けた新価値創出と、そのビジネスモデルの構築
(6)上記活動を下支えする、外部環境変化に強い高収益体質を目指した生産改革
上記の課題にスピードをもって対応する為、2019年度より新たな組織体制をスタートしております。次世代の新価値創出をリードする機能本部の下に事業開発部を、既存事業領域における体質再構築を目的に生産本部の下に生産改革プロジェクト及び生産業務部を設置。また企業価値の更なる向上を目的に総合的経営戦略を担う経営企画室を設置し、それぞれ推進力を強化してまいります。
また、セグメントごとの短期課題対応は次のとおりであります。
1.日本
日本では、軽自動車向け等のロッカーアームの適用車種拡大及びアルミダイカスト技術を活用した軽量化部品の売上拡大を順次図って行く計画であります。
2.米国
米国では、自動車のモデルチェンジ等に伴う減収が続いておりますが、既存製品の適用拡大やアルミダイカスト技術を活用した軽量化部品の売上拡大に努めてまいります。
3.タイ
タイでは、日米で量産を開始しているアルミロッカーアームのアセアン地域への適用拡大に伴う現地生産により、今後成長を続けるアセアン地域において売上拡大を目指してまいります。
4.ベトナム
ベトナムでは、引き続き、製造原価の低減及び品質の向上に努め、売上拡大に努めてまいります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
世界経済の先行きにつきましては、新型コロナウイルスの感染拡大により急速に悪化し、予断を許さない状況が続いております。
当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の急速な悪化に対し、未曽有の局面を乗り切る対応を行ってまいります。
優先的に対処すべき事業上の課題として、社内での新型コロナウイルス蔓延防止対策強化による事業停止回避ならびに、世界経済低迷による急激な売上減少の下での生き残りを「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」各セグメントにおいての課題として認識し、それらの課題への対応として「COVID-19対策本部」を設立し、感染拡大予防ならびに総費用の圧縮、最小限の設備投資の運用ならびに手元資金の積み増しを行ってまいります。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループが目標とする経営指標は効率性と収益性を示すROAとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の変化について
様々な要因による経済の低迷、消費者の購買意欲低下は、四輪車、二輪車及び汎用製品の需要低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」で事業展開をしており、全世界の市場に当社の製品を供給していることより、各々の国における経済悪化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、国をまたぎ複数拠点を持つ強みを生かし、一部市場低迷による影響の最小化に向けた、相互補完体制を強化してまいります。
(2)特定の産業への依存について
当社グループは自動車部品の製造販売を主な事業内容とし、「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」において自動車部品の製造販売を行っており、また、併せて日本において自動車販売事業を営んでおります。連結売上高に占める比率は自動車部品製造事業が大きく、当社グループの業績は生産拠点各国の自動車生産台数の影響を受ける可能性があり、また自動車販売事業につきましても国内自動車販売台数の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、組織体制として生産本部の生産改革プロジェクト及び生産業務部において、既存事業領域における生産体質の再構築を行い収益基盤を強化してまいります。また、次世代の新価値創出をリードする機能本部の事業開発部において、自動車進化ならびに自動車以外の分野への取り組みを推進してまいります。
(3)特定の取引先への依存について
当社グループの主な販売先は本田技研工業株式会社及びその関係会社であり、連結売上高に占める同グループ向けの販売は高い比率を占めております。したがいまして、同グループの四輪車、二輪車及び汎用製品の販売状況により当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、既存部品の系列外メーカー及びメガサプライヤーへの販路拡大に努めてまいります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
連結売上高に |
金額(千円) |
連結売上高に |
|
|
ホンダ オブ アメリカ マニュファクチュアリング・インコーポレーテッド |
9,274,130 |
24.3 |
8,260,740 |
25.8 |
|
本田技研工業㈱ |
8,890,532 |
23.3 |
8,083,148 |
25.3 |
|
その他本田技研工業㈱の関係会社 |
10,567,460 |
27.7 |
8,926,658 |
27.9 |
|
合計 |
28,732,123 |
75.4 |
25,270,547 |
79.0 |
|
連結売上高 |
38,115,790 |
100.0 |
32,004,514 |
100.0 |
(4)特定の製品への依存について
当社グループは自動車部品の製造販売を主な事業内容としております。当社グループが取り扱う自動車部品には四輪車、二輪車、汎用のエンジン部品、ミッション部品、シャーシ部品等、多数の品目があります。それぞれの品目及び新規製品での受注拡大を図るための活動を推進しておりますが、連結売上高に占める自動車部品の四輪エンジン部品におけるロッカーアームASSYの割合が大きく、2019年3月期65.3%、2020年3月期65.3%となっております。したがいまして、当社取引先がロッカーアームに替わる新機構や、内燃機関に替わる新動力源を大幅に適用した場合、また競合他社との競争により受注を失った場合には、当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。
当社グループは、車の電動化に貢献すべく、既存アルミダイカスト技術の進化を軸とした軽量化部品の開発、次世代小型高効率モーターの要素技術及びその製造技術の開発、また、拡大が見込まれる新環境対応型エンジン(HEV・PHEV)への適用を視野に新しい動弁系システムの開発への取り込みを推進してまいります。
(5)品質問題について
当社グループは、製造工程等での予期せぬ品質不具合の発生が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グローバル規模での品質保証体制を構築し、品質の維持、向上に努めてまいります。
(6)為替変動について
当社グループで製造及び販売する製品は、国外へのグループ間での直接取引及び商社を通じての国外取引を行っており、各生産拠点での通貨にて決済をしていることより、連結決算を組む際、海外子会社の業績を期末の為替レートで邦貨換算するため、為替変動が大きく影響を受ける可能性があります。
(7)災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響について
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、それらの事業は自然災害、疫病、戦争、テロ、ストライキ等に影響されやすく、これらの事象が発生した地域においては、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、海外生産拠点における生産の分散化、仕入先との連携強化を図るとともに、生産管理体制の強化を行うことにより、リスクの最小化に努めてまいります。
(8)特定の地域における事業所の集中について
当社グループは、国内の生産拠点及び自動車販売事業の販売店はすべて富山県下に集中しております。また、外注加工先につきましても同じく富山県下に集中しております。したがいまして、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止を生じさせる自然災害等がこの地域に発生した場合、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、グローバル規模での生産管理体制の強化を推進しており、海外生産拠点における生産の分散化、仕入先との連携強化を図ることにより、リスクの最小化に努めてまいります。
(9)新型コロナウイルス感染拡大について
当社グループは自動車部品の製造販売を主な事業内容としております。新型コロナウイルス感染拡大は当社グループにおいて売上高の減少や感染者発生による工場の稼働率低下等により、経営成績、財政状態等に影響をもたらすため、下記の通り対応を策定し、事業リスクの最小化に努めてまいります。
(当社グループの対応策)
①売上高減少への対応策
・総費用の圧縮
・設備投資の最小化や手元資金の確保
・当グループにおいて影響をもたらす自動車業界における生産動向調査
・お取引様への製品の安定供給のための生産調整
②感染者発生による稼働率低下への対応
・集会やイベント、会食の参加の禁止
・出張の禁止(テレビ会議等の活用)
・テレビ会議の活用、対面必要時は30分内及び席間隔2メートルでの対応
・在宅勤務
・消毒資材、体制の整備
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社を取り巻く環境は、取引先である自動車業界において、日本では消費税増税前の駆け込み需要はありましたものの、増税後の販売落ち込みにより一旦は横ばいで推移いたしました。一方海外においては、米中における貿易摩擦による経済の停滞及びインドにおける市場の冷え込みにより販売が減少したことに加え、昨年末からの新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に大きく影響し、全世界の自動車販売台数が軒並み減少いたしました。
このような環境の中、売上高につきましては、自動車販売子会社の決算期変更による減収及び日本、タイからの国外(主にインド)向け製品の減収に加え、昨年末からの新型コロナウイルスの感染拡大による市場の冷え込みに伴う減収等により、32,004百万円(前期比16.0%減)となりました。損益につきましては、米国における減価償却費等の減少はありましたものの、先述の減収影響等により、営業損失320百万円(前期は1,440百万円の営業利益)、経常損失162百万円(前期は1,652百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失670百万円(前期は484百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
1.日本
売上高につきましては、軽自動車向けロッカーアーム等の増収はありましたものの、自動車販売子会社の決算期変更による減収及び国外(主にインド)向け製品の減収に加え、昨年末からの新型コロナウイルスの感染拡大による市場の冷え込みに伴う減収等により、14,843百万円(前期比19.7%減)となりました。損益につきましては、先述の減収影響及び棚卸資産評価損の増加、また自動車販売子会社の決算期変更により、1,074百万円のセグメント損失(前期は593百万円のセグメント利益)となりました。
2.米国
売上高につきましては、主要顧客の新規車種立上げによるロッカーアームの適用拡大はありましたものの、その他ロッカーアームにおける減収に加え、昨年末からの新型コロナウイルスの感染拡大による市場の冷え込みに伴う減収等により、10,643百万円(前期比8.9%減)となりました。損益につきましては、先述の減収影響はありましたものの、減価償却費の減少により、186百万円のセグメント利益(前期は53百万円のセグメント損失)となりました。
3.タイ
売上高につきましては、国外(主にインド)向け四輪製品の減収に加え、昨年末からの新型コロナウイルスの感染拡大による市場の冷え込みに伴う減収等により、5,544百万円(前期比20.1%減)となりました。損益につきましては、先述の減収影響により、301百万円のセグメント利益(前期比59.8%減)となりました。
4.ベトナム
売上高につきましては、国外(主にインドネシア)向け二輪製品の減収により、973百万円(前期比3.3%減)となりました。損益につきましては、減収影響により、208百万円のセグメント利益(前期比15.3%減)となりました。
なお、前連結会計年度において、子会社であったタナカオートパーツインディア・プライベート・リミテッドを連結の範囲から除外したことにより、当連結会計年度における当社の報告セグメントは「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」の4セグメントとなっております。
総資産につきましては、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ2,590百万円減少し、36,840百万円となりました。負債の部では、支払手形及び買掛金の減少等により764百万円減少し、15,589百万円となりました。なお、純資産の部では、利益剰余金の減少により、1,826百万円減少し、21,251百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度と比較して607百万円増加し、当連結会計年度末には5,613百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,608百万円(前期比21.2%減)となりました。主な内訳は、減価償却費3,149百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,068百万円(前期比23.5%増)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出3,362百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,181百万円(前年同期は1,276百万円の支出)となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入6,700百万円、短期借入金の減少3,705百万円、長期借入金の返済による支出1,468百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(千円) |
9,897,646 |
84.1 |
|
米国(千円) |
10,710,275 |
90.9 |
|
タイ(千円) |
5,463,952 |
79.2 |
|
ベトナム(千円) |
993,592 |
99.9 |
|
合計(千円) |
27,065,466 |
86.1 |
2.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
10,255,893 |
84.7 |
563,193 |
70.7 |
|
米国 |
10,249,805 |
87.8 |
648,584 |
62.2 |
|
タイ |
5,557,631 |
79.1 |
340,594 |
67.3 |
|
ベトナム |
1,437,338 |
95.7 |
214,823 |
91.1 |
|
合計 |
27,500,668 |
85.1 |
1,767,195 |
68.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
3.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(千円) |
14,843,566 |
80.3 |
|
米国(千円) |
10,643,579 |
91.1 |
|
タイ(千円) |
5,544,118 |
79.9 |
|
ベトナム(千円) |
973,250 |
96.7 |
|
合計(千円) |
32,004,514 |
84.0 |
(注)1)セグメント間の取引については相殺消去しております。
2)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
ホンダ オブ アメリカ マニュファクチュアリング・インコーポレーテッド |
9,274,130 |
24.3 |
8,260,740 |
25.8 |
|
本田技研工業㈱ |
8,890,532 |
23.3 |
8,083,148 |
25.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、自動車販売子会社の決算期変更による減収及び日本、タイからの国外(主にインド)向け製品の減収に加え、昨年末からの新型コロナウイルスの感染拡大による市場の冷え込みに伴う減収等により、売上高は32,004百万円(前期比16.0%減)となりました。損益につきましては、米国における減価償却費等の減少はありましたものの、先述の減収影響等により、営業損失320百万円(前期は1,440百万円の営業利益)となりました。詳細につきましては、前述の「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、総資産につきましては、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ2,590百万円減少し、36,840百万円となりました。負債の部では、支払手形及び買掛金の減少等により764百万円減少し、15,589百万円となりました。なお、純資産の部では、利益剰余金の減少により、1,826百万円減少し、21,251百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える主要因として、主要顧客の販売状況及び当社主力製品の販売状況が挙げられます。
その対応といたしましては、直近課題として新型コロナウイルス感染拡大による急激な売上減少の下での、感染拡大予防ならびに総費用の圧縮と最小限の設備投資の運用を推進し、ミニマム体質対応を推進してまいります。
また、自動車に対するニーズや価値観の変化が急速に進んでいることより、この様な変化に対し、短期的には既存製品の顧客シェア拡大と事業体質の再構築、中期的にはメガサプライヤーを含む新たな商品販路の拡大、更には、2030年を見据えた長期的課題に対しては、自動車進化ならびに自動車以外の分野での社会貢献を実現すべく強力な取り組みが必要と認識し、2030年ビジョン「Change the Future~技術と創造力で新時代に新価値を提供します~」を掲げ推進してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループでは生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるもののほか、投資活動において、設備保全、品質向上及び生産能力の増強、更に今後の課題対応に向け、情報化及び新機種先進ライン等新技術構築への投資を適宜行う予定としております。
これらの資金に対しましては、安定した収益基盤を確立し一層の利益追求を図ると同時にたな卸資産の回転率向上、固定資産の稼働率向上を通して資産の効率化に取り組んでまいります。また、不足分の資金は有利子負債による調達を基本にしており、取引銀行との安定した調達体制の維持に努めてまいります。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は9,906百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び預金は6,340百万円であります。
資金は原則として当社で管理しており、当社グループの設備投資資金の調達につきましては、全て当社の事前承認の上実施しております。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、当社グループの目標はROAとしており、実績は△1.8%となりました。引き続き、効率的な資産の活用をし、長期目標として6.0%を目指してまいります。
また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
経営成績の分析につきましては、前述の「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
検討内容につきましては、前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(経営環境と経営戦略)」に記載のとおりであります。
前述の通り各セグメントにおきましては検討を努めてまいりますが、「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」各セグメントにおいて、新型コロナウイルス感染の拡大による市場の冷え込みに伴う減収が昨年末から影響を受けており、この影響は本事業年度末まで影響が継続するものと予測されます。その対応として「COVID-19対策本部」を設立し、感染拡大予防ならびに総費用の圧縮、最小限の投資設備の運用ならびに手元資金の積み増しを行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資本の流動性については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値には不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について毎期回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、外部の情報源に基づく情報等を含む、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を加味した見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」の「追加情報 新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(たな卸資産)
当社は、顧客に対する供給義務を果たすために保有する補修用部品等に係るたな卸資産について、入庫あるい生産から一定の期間を超える場合に一定の率に基づいて規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。なお、これらのたな卸資産の評価減の判定は、当社が過去より蓄積してきた製品等の出荷データにより、当該ライフサイクルの実態を把握できていることを基礎としております。
経営者は、たな卸資産の評価にあたり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、将来需要や市場状況などの変化により、追加の評価減が必要となる可能性があります。
技術供与契約
|
契約先 |
契約年月日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
エフ・ティ・プレシジョン・インコーポレーテッド (注) |
2015年4月1日 |
技術支援及び、ノウハウと工業特許権を使用するライセンスの提供 |
自2015年4月1日 至2017年3月31日 (以後、毎年自動更新) |
|
タナカ・プレシジョン(タイランド)カンパニーリミテッド (注) |
2016年4月1日 |
技術支援及び、ノウハウと工業特許権を使用するライセンスの提供 |
自2016年4月1日 至2018年3月31日 (以後、毎年自動更新) |
|
タナカ・プレシジョン・ベトナム・カンパニーリミテッド (注) |
2016年4月1日 |
技術支援及び、ノウハウと工業特許権を使用するライセンスの提供 |
自2016年4月1日 至2018年3月31日 (以後、毎年自動更新) |
(注)ロイヤリティとして売上高の一定率を受け取っております。
当社グループは、顧客ニーズに対して性能、品質及びコストパフォーマンスに優れる製品をタイムリーに生産すると同時に、将来の製品化を見据えた研究活動が重要と考えており、新製品の開発、既存製品の改良・改善によって、その製品価値を高め、コストダウンを図ることにより、競争力ある製品造りに取り組んでおります。そして、それを実現するための要素技術として新素材・新製造方案・新機構・新規設備・新試験測定方法などの開発に取り組んでおります。
研究開発活動は、主に当社の技術部が行っており、開発テーマを効率良く短期に完結させるために、必要に応じてプロジェクト体制で取り組んでおります。また、顧客の研究開発部門や、その他の産学機関との密接な連携のもと研究開発を進めております。
当連結会計年度の研究開発活動の成果としては、当社主力部品であるロッカーアームにおいては海外工場での新型番の量産開始に向けて、更に製造費用削減可能な増産ラインの準備を進めてまいりました。更に、各種アルミ部品の開発にも注力しており、新規に数点の量産開発を推進するとともに将来を見据えたダイカスト技術の開発に取り組んでおります。
また、電動分野製品開発の一つとして既に特許を取得した接着積層モーターコアの生産性向上に寄与する製造技術開発を推進するとともに、更なる性能向上を目指した次世代モーター要素技術開発に取り組むべく、本分野における開発体制を強化しております。
今後も既存製品技術の競争力強化と共に、電動化時代のニーズに対応できる新技術の構築に向け引き続き研究開発に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、