当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念及び行動規範を次のとおり制定し、これらの実践をとおして、一層の企業価値向上を目指してまいります。
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[SPIRIT of Kantsu]
~働く人を大切にする~ ・業界No.1の報酬を目指す ・業界No.1の品質を目指す ・業界NO.1の生産性を目指す
~お客様を大切にする~ 最高のパートナーシップを目指す ・最高のスピード ・最高の品質 ・最高の提案
~より具体的な社会貢献~ ・多様性に対応した雇用機会の提供 国籍や文化、言語、そしてさまざまな生活背景を持つ人々に対し、平等な雇用機会を提供し、社会統合と経済的自立を支援することを目指す。 ・保育施設の提供または支援 社内保育施設の設置や、社外の保育サービスへの補助を通じて、従業員の育児負担を軽減する。 ・フレキシブルな勤務体制の導入 柔軟な勤務時間や在宅勤務制度を導入し、子育て中の従業員が仕事と家庭を両立しやすくする。 ・エコフレンドリーな輸送手段の利用 電気自動車やハイブリッド車など、環境に優しい輸送手段の積極的な利用。 輸送効率を最大化するための共同物流や時間指定なし配送などを推進し、CO2排出量の削減を図る。
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(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、経営者及び従業員等の「人的経営資源」、設備及び資金等の「物的経営資源」、並びに情報、ノウハウ等の「情報的経営資源」の展開を、当社グループの事業ドメインである「物流サービスを中心とした事業活動の改善サービスの提供」に集中的に展開する「集中戦略」を採用してきております。
当社は、持続的な成長の観点から、物流サービスの一層の市場開拓を図り、これらの改善や省人化活動をとおして獲得したノウハウ等を、ソフトウエアや新たなサービスとして商品化し、お客様の声を改善に活かして品質向上を推進することにより、より多くのお客様を獲得し、またより多くのサービスをご利用いただくことによって、事業の拡大を図ってまいります。
今後においても、「物流サービスを中心とした事業活動の改善サービスの提供」に経営資源を集中することにより、またM&Aによる事業拡大に積極的に取組むことにより、新しい経営資源を効率的に獲得し、有効に活用することによって、既存サービスとの相乗効果によるサービスの提供機会の増加を図り、異業種への事業多角化を図るよりも低リスクで利益貢献の可能性が高い事業展開を推進してまいります。
(3) 経営環境
当社グループは、物流サービスの提供を主たる事業とし、物流サービスの中でも、主にEコマース及び通信販売事業を営む企業様向けの配送センター代行サービス「EC・通販物流支援サービス」の提供に係る事業を展開しております。経済産業省がまとめた「令和4年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によりますと、当社の主たるサービスにかかわりの深いEC市場について、2022年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は22.7兆円(前年20.7兆円、前年比9.91%増)となった一方で、EC化率はBtoC-ECで9.13%(前年比0.35ポイント増)となっており、物販系分野におけるBtoCのEC市場規模は2021年の13.2兆円から2022年には14.0兆円(伸長率5.37%)に増加し、引続き物販系分野のBtoC-EC市場の規模が拡大基調となっております。
(注)EC化率とは、電話、FAX、Eメール、相対(対面)等も含めた全ての商取引金額(商取引市場規模)に対するEコマースによる商取引の市場規模の割合をいいます。
(4) 目標とする経営指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標は、売上高、経常利益であります。
現在の経営環境においては、2023年度の日本国内の最低賃金の上昇率が4.5%と過去最高の上昇率を計上する等、
労働賃金の拡大は2024年2月期の弊社業績に大きな影響を及ぼし、計画に対して下方修正を行うに至りました。
他にも、いわゆる2024年問題の影響がどの程度今後の事業環境に影響を及ぼすか不透明であり、M&Aを積極的
に進め、事業展開やそれに伴う組織体制の変化の可能性なども含めて考慮すると、今後の当社グループ業績への
影響を3か年の計画に織り込むことは、プラスにもマイナスにも変わり得るリスク要因が多く、適切ではないと
判断し、現時点では投資者の投資判断に適切かつ合理的な中期経営計画の策定が困難であることから、ローリング
後の中期経営計画の決議を見送ることにいたしました。
2027年2月期以降の目標指標として、売上高30,000百万円、経常利益1,500百万円を掲げております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長年にわたる物流サービス事業、並びにITオートメーション事業で蓄積したノウハウを活かし、
今後においても持続的な成長を遂げるため、次の事項を対処すべき課題と認識しております。
① 人材の獲得及び育成
当社グループの事業拡大には、優秀な人材の獲得が欠かせず、また、品質の維持向上には人材の育成が欠かせません。人材の獲得にあたっては、高校及び大学の卒業生を対象とした新卒採用、外国人技能実習生の受入れに継続的に取組むことで、現場スタッフの人材確保及び本社機能の充実を図っており、引続きこれらの方法により人材獲得に取組む方針です。
また、人材の育成面では、経営理念、会社の各種方針、及びルール等を記載した「SPIRIT of Kantsu」を従業員に配布し、これに基づく勉強会を開催する等して会社の基礎となる事項の徹底を図るほか、長年の物流サービス事業で培ったノウハウを活用した当社独自の教育プログラムを計画的に実施しております。
人事評価制度においては、毎月の上司との面談等を通じて従業員の達成意欲の向上を促進するほか、パート従業員を含め、働きやすい労働環境の整備に努め、効率的に業務に取組んでいただく環境を整え、その戦力化に努めております。
物流品質の維持向上には、教育プログラムを更新し、また、評価制度として結果の評価だけでなく、プロセス評価の充実を図ることで、高度化する顧客ニーズに対応した人材育成に取組む方針です。
② 持続的な事業規模の拡大
当社グループは、メーカー様や輸入業者様の製品・商品の在庫管理から、卸売業者様、Eコマース事業者様への流通、ご購入者様への発送までの物流を一拠点で管理運営する統合物流サービスのご提案強化のほか、BtoB及びBtoC市場向けのニーズに対応した新サービスを創出することで、事業規模の一層の拡大を図り、企業価値を高める方針です。
当社は、社内で実際に実施し成果が出た取組みを、新サービスとしてお客様に提供することを基本としております。倉庫管理システム「クラウドトーマス」及びチェックリストシステム「アニー」等のITオートメーション事業は、これらの代表的な事例であり、現在も規模を拡大して、当社グループの利益に貢献しております。
また、2023年4月に、ITオートメーション事業において、スパイスコード株式会社と資本・業務提携を行い、主に当社が提供する倉庫管理システム「クラウドトーマス」とフル連携することで、完全自動運用を実現した「次世代OMS(受注管理システム)」の開発を共同して推進しています。加えて、2023年12月には、当社が新設した子会社である関通ネクストロジ株式会社が、物流サービス事業において出版物の物流サービスを提供する河出興産株式会社から事業を譲受け、当社グループのお客様獲得機会の増加と顧客基盤の拡大に取組んでおります。
今後においては、これらの取組みを継続することに加え、M&Aによる事業拡大にも積極的に取組んでまいります。
③ 継続した改善活動による物流品質・生産性の向上及び新しいノウハウの蓄積
当社グループは、業務の効率化、品質の向上を目的とした環境整備活動を継続して実践しております。今後においても、これらの環境整備活動を継続し、主に物流サービス事業において、新しい概念を取り入れた活動の高度化を図り、また当社独自の知見に基づく効率化のための新しい設備の導入や改善活動等により、物流品質・生産性の向上、新しいノウハウの蓄積及び持続的なコスト最適化に取組む方針です。
(注)環境整備活動とは、「仕事をやりやすくする環境を整えて備える活動」であり、当社の教育・企業文化形成の柱としております。毎日決まった時間に全従業員が30分の時間を使って実施します。整理、整頓、清掃等を基本として、仕事とそのやり方を学び、気付く感性を育て、円滑なコミュニケーションを図る機会を生み出だすものです。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、物流サービス事業として、主にEコマースや通信販売で商品を販売されているお客様に、商品の入庫、在庫管理、並びに商品のピッキング、梱包等のEC・通販物流支援サービスを提供し、また、ITオートメーション事業として、倉庫管理システム「クラウドトーマス」の利用サービスを提供する等、商品を販売されるお客様に、物流関連を中心としたサービスを提供しております。
拡大するEコマース市場において、日々変動し続ける情勢に対応し、リスク低減と事業機会の創出によるレジリエンス強化に取り組んでまいりました。その一環として、従業員の幸福と成長を支え続ける取り組みを継続しております。
企業主導型保育園や放課後デイサービス、就労移行支援事業所の運営や外国人技能実習生の受け入れ、就労継続支援B型事業所の運営を活用した障碍者雇用の推進、女性管理職の増加等は、多様性と包摂性を促進する方針の具体的な表れです。
今後も従業員の幸福と成長を支え続ける取り組みを、社員一丸となって継続してまいります。
(1)ガバナンス
ガバナンスに関して、サステナビリティ経営を推進するために部門間をこえたメンバーによるESG委員会を発足し、当社が取り組んでいる事業や強みを、ESGを切り口に再定義して推進活動に取組む方針であり、その活動内容については定期的に取締役会に報告してまいります。
取締役会はESG委員会に関するモニタリングを行い、その報告等も踏まえ、サステナビリティに関する課題や取組み等を議論・監督してまいります。
(2)戦略
当社グループは、環境と安全に配慮した価値ある物流サービスの提供と、新しい事業開発を通じて、真の顧客満足を実現し、企業の発展と社会への貢献を果たします。また、その目的を達成する為、2025年2月期より新たなミッションとして、『For Employee 業界ナンバーワンの報酬を目指す・業界ナンバーワンの品質を目指す・業界ナンバーワンの生産性を目指す』を掲げております。このミッションをバックボーンとし、「全体を捉え経営参画意識が高く、提案力を持った専門性の高い人材」や、「目標を掲げてチャレンジし、スピード感を持って仕事に取り組む人材」を当社グループが求める人材として育成及び採用活動を実施しております。
評価体系は、「目標達成のためのプロセス」「目標の達成度」から構成される人事考課を年2回実施、部門ごとにそれぞれ詳細な考課項目を設けて公正な評価に努め、従業員のスキルアップ、業績管理を充実させることはもちろんのこと、当社グループ全体の業績向上及び業務の効率化を目指しております。
教育体制は上司との面談を四半期に一度実施し、上司と部下が目標達成のための課題を克服するために個人ごとの達成目標を共有し、必要なスキルを獲得するための自己啓発目標等を設定、また各人の資格等級や役職に応じた研修・勉強会を行っております。
健康管理は毎年健康診断を実施すること等により、社員の疾病予防や健康づくりを行っております。
(3)リスク管理
サステナビリティに関するリスク及び機会は、ESG委員会の活動や各部門により識別されます。識別されたリスク及び機会は、顕在化した場合に当社グループに与える財務的影響、環境や社会に与える影響、発生確率を踏まえて重要性を評価され、重要な事項は取締役会へ報告されます。
取締役会は、報告を受けた重要なリスク及び機会について議論し、その対応策の決定、実行を行います。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の育成及び社内環境整備の内容として女性が活躍できる職場環境の構築を進めており、2024年2月期の女性管理職比率(部長以上の管理職に占める女性の割合)は25.0%となりました。今後も女性リーダーを積極的に育成し、役職の人数を増員し、目標として女性管理職の人数を2028年までに2023年2月時点の2倍とすることを掲げております。組織の活性化や女性がキャリアアップし易い環境作りに努めてまいります。
なお、管理職に占める女性労働者の割合は、
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)公的規制強化のリスクについて
当社グループは、物流事業を中心とする3PL(企業物流の包括的受託)企業として、物流事業に関する各種事業法の規制を受けています。そのような中、当社は、法令遵守の徹底を図るため、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、事業活動の適法性の確保に努めておりますが、環境対策及び安全対策の規制強化などを遵守するために一層の費用負担を求められるリスクや、法令等違反した場合に事業の停止、許認可の取消等を受けるリスクがあります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
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セグメント区分 |
許認可 事業 |
法律 |
監督官庁 |
許認可等 の内容 |
有効期限 |
取消事由 |
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物流サービス事業 |
倉庫業 |
倉庫業法 |
国土交通省 |
登録 |
- |
同法第21条 |
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第一種貨物 利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
登録 |
- |
同法第16条 |
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その他の事業 |
指定障害児 通所支援事業 |
児童福祉法 |
厚生労働省 |
指定 |
6年 |
同法第21条の5の24第1項又は第33条の18第6項 |
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指定障害福祉サービス事業者 |
障害者総合支援法 |
厚生労働省 |
指定 |
6年 |
第36条の第3項又は第2条の第6項 |
(2)設備投資に関するリスクについて
当社グループは、3PLを主たる事業としており、顧客から物流業務を受託する際に、物流センター、設備機器及び情報システムなどについて先行的に設備投資を実施することがあります。投資に際しては、事業収支計画を策定するとともに、慎重に投資判断を行っていますが、国内の経済状況の悪化などにより、顧客の業績悪化や支払停止などが生じれば、投資資金の回収に支障が生じ、将来の成長と収益性を低下させる可能性があります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)コスト上昇リスクについて
当社グループは、物流業務において輸配送サービスを外部の専門業者に委託しておりますが、原油価格や為替レートの変動により燃料費が高騰した場合や、車両・ドライバー不足、関連法令の改正等により庸車費用が上昇した場合は、輸配送コストが上昇する可能性があります。輸配送コストの上昇分は、お客様にご理解いただき、値上げ対応させていただく方針であり、また輸配送サービスの委託先については、佐川急便株式会社及びヤマト運輸株式会社の占める割合が相対的に大きいため、他の輸配送サービス業者との関係構築等に努めております。加えて、物流センター運営等にかかわる水道光熱費等の経費のほか、従業員の賃金及び労働力の確保のためのコストが上昇する可能性があり、作業の効率化による残業の削減、空調設備の充実、リフレッシュ休暇(注)の取得促進、社員教育等をとおして働きやすい環境の構築に努めるとともに、新しい物流設備の導入等による生産性の向上に取組んでおります。しかしながら、これらの対策が奏功しない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(注)リフレッシュ休暇とは、社員若しくはパート社員として半年以上勤務した者が、半年に1度の頻度で5から6連休の休暇を取得できる制度です。
(4)甚大な災害発生のリスクについて
当社グループは、物流センターを運営する等、顧客の商品やそれらの管理にかかわる情報を取り扱っていること等から、BCPや災害発生時のマニュアル整備・火災予防対策など、事前対策の推進に取り組んでいます。しかしながら、地震・風水害などの天災地変により、停電・輸送経路の遮断などの事態が発生した場合、物流業務の停滞を招く恐れがあります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報漏洩のリスクについて
当社グループは、物流業務受託、ソフトウエアの提供に際し、顧客などの情報を取扱っています。コンプライアンスや個人情報管理の徹底など、内部監査や社内研修等を通じて適切な情報資産管理に努めていますが、情報の外部漏洩やデータ喪失などの事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下を招くだけでなく、顧客からの損害賠償請求を受ける可能性があります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6)M&A及び資本業務提携等のリスクについて
当社グループは、持続的な成長のため、M&Aや資本業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等審査を十分行い、リスクを検討したうえで決定していますが、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断した場合や、資本業務提携等を解消・変更する場合、のれんや持分法で会計処理されている投資の減損損失等、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)金利変動のリスクについて
当社グループは、物流センターの新設や事業展開に必要な資金を借入等により調達しています。変動金利の借入金は、金利の変動リスクに晒されているため、固定・変動調達比率の調整を、主に可能な範囲での低金利による固定化等でリスク管理していますが、リスクを完全に回避できるものではなく、予測を上回る金利の上昇等があった場合、調達コストが増加し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材確保のリスクについて
当社グループの展開する物流サービス事業は労働集約型産業の一面があり、人材の確保や管理職の育成強化が、ITオートメーション事業においてはソフトウエア開発者等の専門職の確保や専門職の育成強化が重要となります。当社の事業計画を遂行する上で必要な人材を継続的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等により人材の定着を図ることが、当社グループの持続的な成長にとって必要となります。これらが達成できなかった場合、また、達成のために人件費等増加が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)システムダウンによるリスクについて
当社グループでは、物流センター業務の生産性向上のため、倉庫管理システム「クラウドトーマス」等を使用し、またITオートメーション事業においてはお客様に倉庫管理システム「クラウドトーマス」等をご利用いただいております。外部からの攻撃等による被害を予防し、または最小限に抑えるべく、セキュリティ対策を講じております。しかしながら、万が一、災害や外部からの攻撃、その他の原因によりシステムがダウンまたは破壊された場合、業務に多大な被害を受ける可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10)取引関係の大幅な変動に対するリスクについて
当社グループは、アパレル、化粧品、日用雑貨、食品を取り扱うインターネット通販事業者が主要顧客であり、新規顧客の獲得に当たっては、SEO対策をはじめとするWEBマーケティングを強化する等、効果的な新規顧客の獲得に継続的に取組んでおります。Eコマース市場は大手企業による自動倉庫、無人倉庫の展開や協業等、現在も拡大基調にありますが、国内景気の大幅な落ち込み等によりEC市場の競争激化や成長の停滞若しくは縮小局面へと入った場合、当社グループの取扱業務が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)業績変動のリスクについて
当社グループが得意とするインターネット通販事業者向けのEC・通販物流支援サービスでは、お客様が開催する各種セールや、入学や進級等のライフイベントに伴う季節的な時期において、需要が増加し売上が集中する傾向にあります。そのため、当該時期における人材や資材等の確保が必要となり、また、それに伴う売上高及び営業利益の増加を見込んでおり、それらは当社グループの季節要因として経営成績に影響を与える傾向にあります。経済や業界の動向、取引先の業況による景気変動などにより、季節要因等影響が計画通り進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12)創業者への依存リスクについて
当社の代表取締役社長である達城久裕は、当社設立以来の代表取締役社長であります。同氏は経営方針や経営戦略等、当社の事業活動において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。当社グループにおいては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、担当役員や本部長等に権限委譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(13)減損リスクについて
当社グループが物流サービスを提供する倉庫物件については、主に賃貸借契約により、貸主から貸借しており、それぞれの倉庫で固定資産を取得しております。当社は管理会計上の区分を基礎に損益管理を行う一方で、物流センターを兵庫県尼崎地区、埼玉県和光・新座地区、及び大阪府東大阪地区の3つの地域単位に分け、地域単位内でお客様の繁閑に合わせて保管スペース、物流スタッフを融通しあい、地域単位で利益が確保できるように相互補完の関係を構築することで、より効率的な物流センター運営を推進しております。しかしながら、固定資産の減損に係る会計基準および適用指針を適用し、所有する固定資産に減損損失が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(14)投資成果に関するリスクについて
当社グループは、生産性向上や顧客ニーズに対応した物流拠点の整備、物流設備の取得、並びにソフトウエアの開発等、事業拡大のための設備投資を継続して行う方針であります。しかしながら、計画どおりに設備投資を行った場合でも、設備にかかる投資効果が得られず、想定どおりの効果を上げることができない可能性があります。したがって、これらの事象が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(15)資金調達にかかるリスクについて
当社グループは、顧客ニーズの高まり等を背景に物流センターの増設などの設備投資を持続的に行っておりますが、それらは主に金融機関からの借入金等により資金調達を行っており、2024年2月29日時点の有利子負債は56億21百万円(総資産に対する比率は54.9%)となっております。現時点では金融機関との関係が良好であることから必要な資金の新規調達に懸念はございませんが、将来、経営成績の急激な悪化や社会環境及び金融情勢の大きな変動等、何らかの理由により金融機関との関係が悪化して資金調達に支障が生じた場合、これらの事象は当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(16)競合リスクについて
当社グループは、EC・通販物流支援サービスを中心とした物流サービス事業を展開し、主にインターネット通販事業者の配送センター業務を受託しており、また倉庫管理システム「クラウド・トーマス」の利用サービスの提供を中心としたITオートメーション事業を展開し、多種多様な業種の法人に対し、主にソフトウエアの利用サービスを提供しており、それぞれ同種のサービスを提供する企業と競合しております。当社グループは、物流サービス事業においては、お客様のご要望に応じたサービスを提供し、お客様の成長に応じたご提案を行い、生産性の向上に努める等により、またITオートメーション事業においては、当社の物流現場でソフトウエアを利用することで、一層利便性の高いソフトウエアとなるようバージョンアップを重ねること等により、それぞれ競合他社との差別化を図っております。しかしながら、これらの取組みが奏功せず、将来にわたって競争優位を維持できなくなる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(17)賃借している物流サービス拠点の賃貸借契約を継続できないリスクについて
当社グループは、EC・通販物流支援サービスの提供に当たって、その物流サービス拠点を主に貸主と賃貸借契約を締結し賃借しております。普通賃貸借契約においては、一定の解約予告期間が設けられておりますが、貸主の都合によって中途解約が可能となっております。また定期建物賃貸借契約においては、当該賃貸借契約期間は解約できない旨が定められておりますが、当該賃貸借契約期間満了後は、当社に契約更新の意思があっても貸主の意思によって必ずしも更新できるとは限りません。普通賃貸借契約においては、何らかの要因で貸主から解約通知を受ける等により、物流サービス拠点の賃貸借契約が継続できない状況となった場合、及び定期建物賃貸借契約においては、何らかの要因で契約が更新できない状況となった場合は、新拠点の開設や既存他拠点を活用し、サービス提供の継続を図る方針です。しかしながら、これらの対策が奏功せず、賃貸借契約の終了に当たって適当な代替拠点が見つからなかった場合や顧客との契約を継続できないこと等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(18)賃借料上昇のリスクについて
当社グループは、(17)に記載の通り、EC・通販物流支援サービスの提供に当たって、その物流サービス拠点を主に貸主と賃貸借契約を締結し賃借しております。これら賃貸借契約においては主に契約更新時に、近隣相場の上昇等を背景として、物流サービス拠点の賃借料が引き上げられる可能性があります。賃借料の引上げに当たっては、その妥当性を検証して貸主と適正な賃借料の設定を協議し、また、顧客には賃借料の上昇分の負担についてご理解を求める方針です。しかしながら、これらの対策が奏功せず、賃借料が上昇したことを契機に顧客との契約を継続できないこととなった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(19)訴訟・クレームのリスクについて
当社グループは、事業運営において、サービス品質等のトラブルや問題が生じた場合、当社グループの瑕疵の有無にかかわらず、サービス品質等のトラブルや問題に起因する損害の賠償請求、訴訟(以下「訴訟等」といいます。)の提起を受ける可能性があります。当社グループは事前に取引基本契約書を締結する等により訴訟等のリスクを低減し、またトラブルや問題等が発生した場合は可能な限り迅速に対応する等して訴訟等のリスクに対する対策を講じていますが、万が一訴訟等が生じた場合は、訴訟等の内容や損害賠償請求額によっては、社会的信用が低下また当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(20)サービス品質の低下リスクについて
当社グループは、主にEC・通販物流支援サービスの提供に当たって、環境整備活動、従業員教育による社内ルールの徹底、物流業務に係る作業ミスに関するアセスメント(注)による改善の横展開等によるサービス品質の維持・向上を図り、お客様満足度の向上に努めております。しかしながら、これらの取組みが奏功せず、サービス品質の低下を招く等、お客様満足度が低下することがあった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(注)物流業務に係る作業ミスに関するアセスメントとは、当社グループでは「事故報告アセスメント」と呼んでおり、物流業務の改善や対策を共有するため、定期的に開催する教育機会です。当社グループでは誤出荷等のお客様からクレームをいただいた業務上のミスの再発防止のため、同じミスが起こらないように真因を理解し、その改善や対策を社長が直接従業員へ教育することにより、全社で共有しております。
(21)国際展開のリスクについて
当社グループは、外国人技能実習生教育サービスや受注管理業務代行サービスの一部を、ミャンマー等に所在する外注先の施設等を利用して提供しております。ミャンマー等の諸外国における法規制の強化、テロ、紛争その他予期し得ない政治または社会情勢の変動、景気動向及び為替等の経済情勢の変化、言語、文化及び商慣習の違いによるトラブル等業務上の非効率が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(22)新株予約権のリスクについて
当社グループは、取締役及び従業員に対して、業績向上への意欲と士気を一層高めることを目的として、新株予約権を発行しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は380,050株であり、発行済株式総数10,308,150株の3.69%に相当しております。
(23)資本市場から調達する資金の使途について
当社グループは、資本市場から調達する資金について、その投資効果を慎重に検討する方針でありますが、新技術を用いた新しい設備等の登場、新規顧客の獲得動向、既存顧客の出荷数量の大幅な増減等、ITオートメーション事業におけるお客様ニーズの大幅な変動等の影響を受け、これらの予定と異なる設備の購入、若しくはその他の使途に、手取金を充当する可能性があります。また、現在計画している設備資金に充当した場合においても、想定どおりの投資効果が得られない可能性があります。
(24)楽天グループ株式会社との資本・業務提携のリスクについて
当社と楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社、以下同じ。)は、物流分野においてそれぞれの経営資源を活用した連携を図ることを目的として、2019年1月に資本・業務提携に係る契約を締結しました。当社は、楽天株式会社が主に楽天市場の出店者向けに提供する物流サービスである「楽天スーパーロジスティクス」の業務を受託し、これまでのEC・通販物流支援サービスで培ったノウハウを活用し、同サービスの提供を図っております。しかしながら、2021年2月期に18.4%であった楽天株式会社に対する売上高比率は、2023年2月期に5.6%、2024年2月期には3.9%まで減少しており、その重要性は徐々に低下しております。
当社と楽天株式会社のいずれか若しくは両者によって、それぞれの強みを生かすための適切な施策が実行されない場合、法規制の強化や深刻な人材不足等外部環境の変化により資本・業務提携において予定した便益を享受することができないと判断された場合、その他当該資本・業務提携に係る契約締結当初に予期していなかった事業上の問題の発生や物流サービス提供に係る方針変更による資本・業務提携の解消等が生じた場合は、限定的ではありますが、一定の範囲で当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(25)キヤノンITソリューションズ株式会社との資本・業務提携のリスクについて
当社とキヤノンITソリューションズ株式会社(以下「キヤノンITS」という。)は、ソフトウエアの開発・販売においてそれぞれの経営資源を活用した連携を図ることを目的として、2022年4月に資本・業務提携に係る契約を締結しました。当社は、当社が提供する倉庫管理システム「クラウドトーマスPro」を、キヤノンITSが提供する基幹システム「AvantStage」に連携させること等により、キヤノンITSと共同して、基幹システムの導入若しくは基幹システムのリプレイスを検討されているお客様に対して、「クラウドトーマスPro」のご利用を提案する機会の増加を推進しております。しかしながら、当社とキヤノンITSのいずれか若しくは両者によって、それぞれの強みを生かすための適切な施策が実行されない場合、法規制の強化や深刻な人材不足等外部環境の変化により資本・業務提携において予定した便益を享受することができないと判断された場合、その他当該資本・業務提携に係る契約締結当初に予期していなかった事業上の問題の発生やサービス提供に係る方針変更による資本・業務提携の解消等が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(26)スパイスコード株式会社との資本・業務提携のリスクについて
当社とスパイスコード株式会社(以下「スパイスコード」という。)は、ソフトウエアの開発・販売においてそれぞれの経営資源を活用した連携を図ることを目的として、2023年4月に資本・業務提携に係る契約を締結しました。当社及びスパイスコードは、スパイスコードが提供するセントラルキッチンサービス「ロカルメ・オーダー」をベースに、当社が提供する倉庫管理システム「クラウドトーマス」とフル連携することで、完全自動運用を実現した次世代OMS(受注管理システム)の共同開発、人工知能等の最適化技術を取込むことによる世界で戦える倉庫管理システム共同開発等を推進しております。しかしながら、当社とスパイスコードのいずれか若しくは両者によって、それぞれの強みを生かすための適切な施策が実行されない場合、法規制の強化や深刻な人材不足等外部環境の変化により資本・業務提携において予定した便益を享受することができないと判断された場合、その他当該資本・業務提携に係る契約締結当初に予期していなかった事業上の問題の発生やサービス提供に係る方針変更による資本・業務提携の解消等が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当該資本・業務提携に当たり、当社はスパイスコードの第三者割当増資を引受け、同社株式を保有し、さらに2023年9月にスパイスコードの既存株主から株式の譲渡を受けることによって、同社株式の保有比率が20.7%となり、スパイスコードは当社の持分法適用関連会社となりました。スパイスコードが想定した事業計画を達成できず、同社の財政状態及び経営成績等が悪化し、かつ合理的に改善が見通せない場合は、当社は保有するスパイスコード株式に係る評価を見直し、評価損を計上する可能性があります。これらの事象が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(27)大株主のリスクについて
当社創業者の代表取締役社長である達城久裕の当連結会計年度末現在での議決権所有割合は、直接所有分として0.06%であります。また、達城久裕の資産管理会社であるロジ・エステート株式会社、及び達城久裕の二親等内の親族である株主の議決権を合算した所有割合は50.67%となっております。達城久裕は議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに非支配株主の利益にも配慮する方針であります。しかしながら、何らかの事情によって、達城久裕が当社株式をやむを得ず売却することとなった場合、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
(28)配当方針にかかるリスクについて
当社グループは、株主に対する利益還元を経営上の重要な課題と認識しており、剰余金の配当については、将来の事業展開及び財務体質の強化のために必要な内部留保金を確保しつつ、安定した剰余金の配当を実施していく方針であります。
しかしながら、剰余金の配当につきましては、長期的な視野に立った事業展開の中で、設備投資資金の確保及び財務体質の強化のための内部留保の充実を優先する考えであり、当社グループの業績が何らかの理由で悪化した場合は、安定した剰余金の配当を継続できない可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年3月1日から2024年2月29日まで)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・ハマス紛争などの地政学的リスク、欧米における政策金利の高止まり等大きな動きを伴う中で今後の見通しに対する不透明感が高まっております。日本経済ではコロナ禍明けの需要回復もひと段落する中で日経平均株価が史上最高値を更新し、コスト増の価格転嫁の進展やインバウンド需要の拡大により物価が上昇に転じ、雇用の拡大や賃金上昇が見受けられデフレ脱却の素地が整いつつあります。
当社グループと関わりの深い物流業界におきましては、コロナ禍からの脱却による訪日外国人観光客の回復などによる小売やサービス分野での流通量の増加がみられる一方、Eコマース市場ではアパレル分野における外資系ファストファッションの進出加速の影響が徐々に波及し始め、国内物価高や円安による調達コストの上昇、2024年問題の影響など、今後の動向を注視していくべき状況にあります。
このような環境のもと、当社グループは物流サービス事業、ITオートメーション事業それぞれの事業で、「お客様がやりたいことを実現できるサービスを提供する」ことを第一に、サービスレベルの向上に取組み、また協力先及び仕入先とのパートナーシップを強化し、事業拡大につなげるとともに、当社グループの中長期的な企業成長に寄与いただける企業のM&Aを実行し、持続的な企業価値の向上に取り組んできました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が11,938,208千円(前期比13.8%増)、営業利益は410,384千円(前期比4.7%増)、経常利益は406,135千円(前期比12.6%増)、クラウドトーマスのバージョンアップ開発に伴う旧バージョンの除却として179,705千円・物流センター内における特定機器の使用終了に伴う除却として129,237千円をそれぞれ特別損失として計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は49,693千円(前期比92.1%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、各セグメントの売上高は外部顧客への売上高を表示し、セグメント損益は連結損益計算書における営業利益をベースとしております。
(物流サービス事業)
物流サービス事業におきましては、EC・通販物流支援サービスを中心に、引続き品質及び生産性向上のための改善活動に取組み、お客様満足度の一層の向上を推進しました。一方、倉庫内で作業する人員の人件費が国内賃金上昇の影響を受け下期を中心に拡大、特に派遣関連費用は大きく上昇することとなりました。
加えて、東京主管センターを中心とした貸借料負担額の増加(前期比735,146千円増)により、売上総利益率が低下する結果となりました。お客様には物流事業の環境を踏まえ、作業料金の値上げ交渉を既にはじめております。
これらの結果、物流サービス事業に係る当連結会計年度の売上高は11,197,640千円(前期比13.8%増)、セグメント利益は100,796千円(前期比46.7%減)となりました。
(ITオートメーション事業)
ITオートメーション事業におきましては、倉庫管理システム「クラウドトーマス」及び「クラウドトーマスPro」について、新規のお客様獲得は堅調に推移しました。一方、お客様の規模の大型化により設計・テストにかかる時間が大幅に長くなっており、月額利用料の発生が数か月遅くなるケースも発生することとなりました。これに対応するべく、クラウドトーマスのバージョンアップ開発をすすめており、今後は外部システムとの連携について汎用性を拡大していくことが可能となっております。
これらの結果、ITオートメーション事業に係る当連結会計年度の売上高は634,373千円(前期比16.1%増)、セグメント利益は314,646千円(前期比59.2%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、障がい者のお子様向けの放課後等デイサービスが堅調に推移しました。
この結果、その他の事業に係る当連結会計年度の売上高は106,194千円(前期比3.2%減)、セグメント損失は5,058千円(前期は5,354千円のセグメント利益)となりました。
[2024年2月期 セグメント別連結経営成績] (単位:千円,%)
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セグメント区分 |
売上高 |
セグメント損益(営業損益) |
|||||
|
|
サービス区分 |
実績 |
百分比 |
前期 増減率 |
実績 |
売上高営業利益率 |
前期 増減率 |
|
|
EC・通販物流支援サービス |
10,955,555 |
91.8 |
13.9 |
- |
||
|
|
受注管理業務代行サービス |
175,298 |
1.5 |
38.7 |
- |
||
|
|
その他 |
66,786 |
0.6 |
△28.0 |
- |
||
|
物流サービス事業 |
11,197,640 |
93.8 |
13.8 |
100,796 |
0.9 |
△46.7 |
|
|
ITオートメーション事業 |
634,373 |
5.3 |
16.1 |
314,646 |
49.6 |
59.2 |
|
|
その他の事業 |
106,194 |
0.9 |
△3.2 |
△5,058 |
△4.8 |
- |
|
|
セグメント合計 |
11,938,208 |
100.0 |
13.8 |
410,384 |
3.4 |
4.7 |
|
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は10,309,473千円(前連結会計年度末比837,959千円の増加)、負債は7,284,494千円(前連結会計年度末比1,072,795千円の増加)、純資産は3,024,978千円(前連結会計年度末比234,836千円の減少)となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は4,828,705千円(前連結会計年度末比325,559千円の減少)となりました。主な要因は、売掛金が287,084千円増加した一方で、現金及び預金が、有価証券及び投資有価証券、有形固定資産及び自己株式の取得、並びに法人税等の支払、事業譲受けによる支出等により、1,071,742千円減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は5,480,768千円(前連結会計年度末比1,163,518千円の増加)となりました。主な要因は、投資有価証券が192,010千円増加したほか、物流センターの新設にともなう敷金の支出により敷金及び保証金が422,550千円増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,957,629千円(前連結会計年度末比202,780千円の減少)となりました。主な要因は、買掛金が250,490千円、1年内返済予定の長期借入金が170,354千円増加した一方で、未払法人税等が306,665千円、事業構造改善引当金が321,967千円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は5,326,864千円(前連結会計年度末比1,275,576千円の増加)となりました。主な要因は、長期借入金が1,230,720千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の部の残高は3,024,978千円(前連結会計年度末比234,836千円の減少)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益49,693千円を計上した一方で、配当金の支払額が103,080千円あったこと等により利益剰余金が54,941千円減少し、また自己株式が173,894千円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ1,085,981千円減少し、2,128,241千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は54,305千円(前連結会計年度は216,642千円の資金を獲得)となりました。主な要因は、減価償却費357,094千円及び固定資産除却損309,293千円を計上した一方で、売上債権の増加額310,751千円、事業構造改善引当金の減少額201,088千円、法人税等の支払額490,775千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,120,759千円(前連結会計年度は1,005,532千円の資金を獲得)となりました。主な要因は、事業譲受けによる支出699,634千円、有価証券及び投資有価証券の取得による支出602,143千円、有形固定資産の取得による支出450,505千円、敷金及び保証金の差入による支出320,701千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,089,084千円(前連結会計年度は1,020,907千円の資金を使用)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,098,926千円、自己株式の取得による支出182,184千円があった一方で、長期借入れによる収入2,500,000千円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社のサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
前年同期比(%) |
|
物流サービス事業(千円) |
11,197,640 |
13.8 |
|
ITオートメーション事業(千円) |
634,373 |
16.1 |
|
報告セグメント計(千円) |
11,832,014 |
13.9 |
|
その他の事業(千円) |
106,194 |
△3.2 |
|
合計(千円) |
11,938,208 |
13.8 |
(注)1.セグメント間の取引については該当事項ありません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループは物流サービス事業を主たる事業としておりますが、これらのサービスにかかわる分野は競合他社との競争に優位性を獲得する必要があり、サービスラインアップ、サービスレベル、サービス品質及び価格等の面において、お客様に常に新しい価値を提供することが求められます。当社グループは、新しい価値の創造のため、継続的な教育を通じた物流サービスの品質向上はもとより、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)への取組み、物流ロボットをはじめとする自動化機器の導入、倉庫管理システム「クラウドトーマス」のバージョンアップ等の省人化を目的とした設備投資を積極的に推進し、人と物流ロボットとの組み合わせの最適化を推進するほか、M&Aによる事業の拡大を図ることで、当社グループの持続的な発展を図ってまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。
④ 経営成績の分析
(売上高)
物流サービス事業においては、既存のお客様に係る売上高が前年同期を約15%上回って推移する中、2022年12月に新設のアグリベース(兵庫県尼崎市、総床面積約4,300坪)、2023年11月に新設のDXセンター(兵庫県尼崎市、総床面積約8,700坪)を中心に、新規のお客様獲得のためSEO対策等のインターネットを通じた効果的なお客様の獲得を推進し、またITオートメーション事業においては、倉庫管理システム「クラウドトーマス」について、新規のお客様獲得はお客様の規模拡大に伴うテスト・設計期間にかかる時間が長くなったことに伴い、月額利用料の発生が数か月遅くなるケースが発生しながらも堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は前年同期比13.8%増の11,938,208千円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、前年同期比14.9%増の10,486,673千円となりました。
これは主に、労務費2,314,343千円、発送運賃及び運送費用3,180,472千円、賃借料3,063,605千円を計上したことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前年同期比6.7%増の1,041,150千円となりました。
これは主に、人件費392,002千円、広告宣伝費51,463千円、賃借料71,187千円、租税公課88,105千円、減価償却費51,215千円、支払手数料67,977千円を計上したことによるものです。
(営業外収益)
当連結会計年度の営業外収益は、前年同期比33.8%増の52,276千円となりました。
これは主に、受取利息24,767千円、助成金収入8,958千円を計上したことによるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度の営業外費用は、前年同期比19.8%減の56,524千円となりました。
これは主に、支払利息37,797千円、持分法による投資損失10,133千円を計上したことによるものです。
(特別利益)
当連結会計年度の特別利益は8,802千円となりました。
これは、事業構造引当金戻入額8,802千円を計上したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は311,932千円となりました。
これは主に、クラウドトーマスのバージョンアップ開発に伴う旧バージョンの除却、及び物流センター内における特定機器の使用終了に伴い固定資産除却損309,293千円を計上したことによるものです。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、発送運賃費及び運送費用、賃借料等があります。また、設備投資需要としては、物流センターの新設または増床、ソフトウエア開発及びマテハン機器の導入等があります。
当社グループは、これらの資金需要に機動的に対応するため、内部留保を蓄積すること、資本市場からの資金調達並びに金融機関からの借入を行うことで、流動性を確保することとしております。
⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、ROE(自己資本利益率)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉え、ROE15%以上を維持し、かつ中長期的に向上させることを目標としております。
最近3事業年度におけるROEの推移は次のとおりです。
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指 標 |
2022年2月期 |
2023年2月期 |
2024年2月期 |
|
ROE(自己資本利益率)[連結] |
- |
21.0% |
1.6% |
|
ROE(自己資本利益率)[個別] |
21.5% |
- |
- |
(注)2023年2月期から連結財務諸表を作成しているため、2023年2月期以降は連結財務諸表を用いて、それ以前については個別財務諸表を用いて算出しております。
(1) 資本提携に係る契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
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楽天株式会社 (現 楽天グループ株式会社) |
投資契約書 |
2019年1月31日 |
当社が実施の第三者割当増資を楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社)が引受け |
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キヤノンITソリューションズ株式会社 |
資本業務提携契約書 |
2022年4月14日 |
当社代表取締役である達城久裕が所有する当社普通株式125,000株を、キヤノンITソリューションズ株式会社へ譲渡 |
|
スパイスコード株式会社 |
投資契約書 |
2023年4月14日 |
スパイスコード株式会社が実施の第三者割当増資を当社が引受け |
(2) 業務提携に係る契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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キヤノンITソリューションズ株式会社 |
資本業務提携 契約書 |
2022年4月14日 |
以下の各項目に関する業務提携 a.当社が提供する「クラウドトーマスPro」の製品力強化とキヤノンITソリューションズ株式会社が提供する「AvantStage」との連携強化 b.両社での共同プロモーションの実施 c.両社の顧客基盤を活用した製品・サービスの相互提案 |
2022年4月14日から 2026年4月13日まで 上記期間中は当事者間の合意解約、期間経過後は3か月前に書面で相手方に通知することにより解約可能としております。 |
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スパイスコード株式会社 |
投資契約書 |
2023年4月14日 |
a.次世代汎用OMS(受注管理システム)の共同開発 b.食品取扱事業者の顧客・物流・販売チャネルのシェアリング c.クラウドトーマスの機能強化 |
2023年4月14日から、 以下のいずれかの場合まで ・株式市場においてスパイスコード㈱が株式上場した場合 ・スパイスコード㈱が解散(合併による解散を除く。)した場合 ・当社がスパイスコード株式等を全く保有しなくなった場合 ・本契約の当事者が本契約の終了を書面により合意した場合 |
該当事項はありません。