第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2024年3月31日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、創業以来、社会に貢献する開発型企業としての役割を強く認識し、常に時代に求められる企業を標榜してまいりました。化学のプロ集団として、常に技術開発にチャレンジし、独自の新しい発想や技術力をもとに、高付加価値製品の創出に取り組んでまいりました。私たちの生活が豊かに、そして快適になればなるほど、化学メーカーの果たす役割は日に日に広がりを見せております。私どもはそこに当社の存在価値を見出すことができると自負しております。

また株主の皆様に適正な利潤を還元すること、従業員が安心して意欲的に働ける社内環境の整備、また地域社会との共存を図り、環境に対する配慮を十分に行い、コンプライアンスを推進することで、さらに企業価値を高めてまいります。

化学は、私たちの生活に欠くことのできないものであり、その製品を担う化学メーカーとして、常に未知なるものへのチャレンジをし続ける姿勢にこそ、当社の真の姿があると考えます。今後も人にやさしく、社会の繁栄に寄与するケミプロ化成製品をグローバルに展開していきたいと願っております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社は、2025年3月期を初年度とする第3期中期経営計画『ケミプロ化成経営革新プランⅢ~Flexible for Sustainability~』を策定し、推進しております。その内容は、次の通りであります。

 

[ケミプロ化成経営革新プランⅢ(2024年度~2026年度)]

1.本計画の位置付け

当社は、2018 年度より初の3ヶ年中期経営計画『ケミプロ化成経営革新プラン〔Reborn(再生)プラン〕』を稼働させ、第1目標であった売上高100億円の突破を2020年3月期において実現しました。その後、2021年度より3ヵ年で推進する第2期中期経営計画「ケミプロ化成経営革新プランⅡ Reborn to Flexible」を立ち上げ、Reborn(再生)を完了し、Flexible(しなやかな)企業を目指す取り組みを進めてまいりました。しかしながら、数々の逆風や課題に阻まれ、経営目標や業績計画については目指す水準を達成できませんでしたが、逆風や課題への対応を通じ、変化に柔軟に対応する意識や企業風土の醸成は確実に進みました。

本計画は、2024年度より3ヶ年で推進し、これまで培ってきたものを活かし、さらに進化させ、経営目標と業績の向上と達成を目指すものであります。

2.本計画の基本コンセプト 《Flexible for Sustainability》

「Flexible(しなやかな)な企業となり、 Sustainability(持続可能性)を追求する」

社名の由来であるケミストリー(化学)によるプロスペリティ(繁栄)実現に向け、「いいなと思われる、自慢できることがある会社になろう!」という中長期ビジョンのもと、社会から必要とされ、お客様から頼りにされ、社員と家族が誇らしく思う会社を目指します。

*Flexible(しなやかな)の意味

消費者(顧客)目線の「し」

社会性が高い企業

なくてはならない「な」

永続性が高い企業

役割分担が上手い「や」

応用力が高い企業

環境順応性が高い「か」

柔軟性が高い企業

永く稼げる安定収益モデルを持つ「な」

強靭な企業

 

3.重点方針とタスクフォース活動

「稼ぐ力の向上」、「収益体質の強化」、「持続可能性の追求」の3方針を本計画の重点方針とし、これらに基づき実施する施策を具体化し、以下のタスクフォース活動に落とし込んで推進すると同時に、SDGsの推進にもつなげるよう実践してまいります。

具体的な内容は下表をご参照ください。

 

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<重点方針とタスクフォースおよび主な具体的な取り組み内容>

重点方針

タスクフォース名

主な具体的な取り組み内容

稼ぐ力の向上

NEWフロンティアR&D

マーケットに訴求できる製品の開発、新規事業の

展開・強化、次の主力事業となり得る製品開発検討

パートナービジネス拡大

受託製品の展開強化

新規事業の展開・強化

メインビジネス強化

既存事業・製品の販売強化、マーケットに訴求できる

製品の開発、低環境負荷製品の開発

ホーム産業事業強化

既存事業・製品の販売強化、低環境負荷製品の開発、

受託製品の展開強化

収益体質の強化

購買体制強化

安定・安価な原材料購入による工場操業の安定化

利益向上への貢献

財務基盤の健全化

抜本的な在庫圧縮・回転率向上

有利子負債の圧縮

IT化推進

全社基幹業務システムの再構築

生産性向上に寄与する業務改善、コスト削減

持続可能性の追求

プラントサステナビリティ追求

同一製品製造可能ラインの複数化

将来の適正生産体制検討

廃棄物高度処理法の確立

 

革新的な廃水処理技術の探索、確立

工場ピッカ美化

作業環境改善

汚染源特定による効果的な美化推進

公正なQCA活動の推進

QCA力量の向上

環境に配慮できる分析技術の確立

働き方改革

報酬水準の見直し

人員・組織体制の適正化

 

4.経営目標(最終年度:2027年3月期)

経常利益率

5%以上

自己資本利益率(ROE)

7%以上

自己資本比率

39%以上

*ご参考:2024年3月期実績(経常利益率:1.4% ROE:2.7% 自己資本比率:34.1%)

5.業績計画

(単位:百万円)

2024年

3月期

2025年

2026年

2027年

3月期

3月期

3月期

売上高

9,236

9,800

10,500

11,000

経常利益

132

200

500

600

当期純利益

126

140

300

360

 

(注)文中の業績計画等の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(3)会社の経営環境

世界経済は、原油高等コスト上昇に起因した物価の高止まり、金利差などに基づく為替変動、地政学的リスクの長期化等により、引き続き不安定かつ不透明な状況が続くものと思われます。一方、わが国経済では、政府主導による雇用・所得環境の向上政策を背景として個人消費の押し上げが期待されるものの、当社を取り巻く事業環境においては為替動向、資源・エネルギー価格、人件費の上昇などが大きく影響を及ぼすものと思われます。

当社といたしましては、主力製品を中心とした既存取引先との関係・維持強化に加え、環境配慮型新規製品の開発を含めた各製品の販路拡大を図るとともに受託製造製品ラインナップの拡充などにより、安定収益の持続的な確保を図ってまいります。また、官学連携の製品開発改良活動の展開や環境配慮型製品への計画的なシフトのほか、原材料や設備見直しなどを実施することにより、一層の事業安定化を図ってまいります。

加えて、優秀な人材の確保・育成に努めるとともに、利益確保と在庫削減などにより内部留保を充実させるとともに資金調達可能枠の確保に繋げ、強靭な財務基盤を構築します。そして、それらに基づく安定配当の継続により、株主満足度の向上を目指してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。

 

①事業上の対処すべき課題

・化学品事業    主力製品の受注量変動リスクを最小化するため、既存取引先との関係維持・強化を図るとともに、環境配慮型新規製品の開発を含めた各製品の販路拡大と、設備の稼働状況の安定化を目的とした受託製造製品ラインナップの拡充を追求する。これにより、直販・OEM・受託の最適プロダクトミックスの一刻も早い実現を図り、安定収益の永続的な確保に繋げる。

・有機EL      営業活動から生ずる損益の早期黒字化を実現するため、電子材料関連分野での官学連携の製品開発改良活動を展開し、市場規模の拡大局面にシェアを確保するための顧客と一体となった潜在ニーズの発掘と機動的販売強化、盤石な販売ルートの構築を図る。

・ホーム産業事業  受託加工品の取り込みを含めた販売網の一層の拡充と、環境配慮型製品への計画的なシフト、原材料及び設備の見直しを実施することにより、一層の事業の安定化を図る。

 

②財務上の対処すべき課題

財務上の優先的に対処すべき課題は、下記の通りであります。

 

・株主満足度を高めることに繋がる、安定配当の継続と内部留保の充実。

・利益確保と在庫削減などによる、強靭な財務基盤の構築。

・金融機関からの信任を前提とした、資金調達可能枠の確保。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は化学のプロ集団として、高付加価値製品を創出し、社会に貢献する事を念頭にイノベーションを通じて社会に有用で安全な商品を開発、提供し、環境負荷低減に向けた技術開発を継続的に取り組むことで持続可能な事業成長を目指しております。

上記のほかに人的資本に関して、人材採用、人材育成ならびにこれら人材が意欲的に働ける社内環境整備も重要な課題であると認識しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当社が有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいております。

(1)ガバナンス

当社が常に社会と顧客から必要とされ、事業成長を続けるためには、長期的視点で課題をとらえ取り組むことが重要との認識から、第3期中期経営計画において重要方針と必須実施施策を設定し、各本部が設定した12のタスクフォースを設置し、解決に向けた取り組みを推進しております。

また当社は、国際標準の環境マネジメントシステム(ISO14001)と品質保証システム(ISO9001)を運用しており、各本部が環境及び品質に関するリスク及び機会の特定や、それらを考慮した年度毎の目標を設定して事業活動を行っております。

これらの取り組みで特定された事業活動に関わるリスク及び機会については測定評価し、その進捗状況を定期的に取締役会などにおいて報告、確認される仕組みになっております。

(2)戦略

1.環境戦略

当社の事業活動においては、化学反応をともなう製造工程において、様々な化学薬品が使われ、また様々な産業廃棄物が発生します。環境負荷低減のため、また従業員の安全及び健康維持のため、各本部が事業活動で生じる様々なリスクと機会を管理し、対応を実施しております。

特に重要な戦略として、設備の自動化・省力化・高効率化戦略、排水処理の技術革新戦略、及び環境配慮型分析技術の確立に向けた取り組みを行っております。

CO2排出削減に関して、現時点では特定の事業所で測定管理のパイロット的な取り組みを行っている段階で、全社レベルでは測定管理はできておりませんが、将来的に測定結果をモニタリングし、排出削減に向けた展開に繋げていくことを見据え、測定管理手法の検討・確立を進めております。また省エネ法等の法令を遵守するために、環境マネジメントシステムにて監視し、環境評価を行い環境負荷の低減に引き続き努めてまいります。

2.人的資本戦略

人的資本は、サステナブルな企業活動の源泉であり、変化に柔軟かつ果敢に対応していくため、その採用、育成並びに意欲的に働ける社内環境整備を一体的かつ継続的に実施しております。

当社は、特にワークライフ・バランスに着目し、長時間労働の撲滅や年次有給休暇取得促進などで仕事とプライベートにメリハリをつけ、仕事に一層、意欲的に取り組む意識醸成、企業風土づくりを推進しております。

このほか、60歳到達の定年時点で、65歳までの定年延長または1年単位の有期雇用契約を選択できる定年制度を導入しており、高齢者層の活用に加え、個人の生活とそれに合った多様な働き方の両立も図っております。

人材の確保にあたっては、性別や地域、国籍、学歴などを問わず、職種の特性に合った多様な人材の採用するよう努めております。

人材育成並びに意欲的に働ける社内環境整備にあたっては、適材適所や将来を見据えた人事異動、武者修行制度(従業員の内部異動を促進する制度)の導入、全方向性マトリックスコミュニケーション(よりよい組織運営を実施していくための部門や階層を超えたコミュニケーション)を推奨し、従業員の満足度向上に努めております。

また、社員の処遇ややりがい向上に向け、ベースアップや賞与支給などについても、世間動向や政府からの要請などに対応し、適切な水準で持続的に実施していく考えです。

(3)リスク管理

当社は特定されたリスクへの対応として、法令で要求される水準を遵守することはもちろんのこと、中長期的にグローバルで要求される水準を勘案し、既存製法の改良、高効率設備への更新等の活動を実施しており、各本部が事業活動を通じてモニタリングを行うことで、継続的に環境負荷の低減を図っております。同時に、企業成長の源泉たる社員の働きがいの向上につながる施策についても重要なリスクと考え、全社体制で管理、対応を行っております。

 

(4)指標及び目標

サステナビリティに関する環境面での指標及び目標については、現在具体的に設定しておりませんが、今後事業所レベルでのパイロットの結果を踏まえて、全社レベルでのあるべき指標及び目標を設定してまいります。

また人的資本に関する指標及び目標については、一部を除いて目標設定は行っていないながらも下記指標が参考となり、今後人的資本に関する戦略を十分に実現するために必要な目標の設定を行っていく所存です。

No

人的資本に関する取り組み

具体的な指標

実績

人材採用

・男女別採用比率 (%)

男性80%/女性20%(直近3年実績)

人材育成

平均継続勤続年数 (

15.0年(2023年度実績)※

意欲的に働ける社内環境の整備

平均所定外労働時間 (時間/月)

5.4時間/月(2023年度実績)

平均有給休暇取得日数 (日/年)

15.6日/年(2023年度実績)

※人材育成の目標としては、女性男性ともに全労働者の平均継続勤続年数を15年以上にしております。

 

3【事業等のリスク】

 当社の経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2024年3月31日)現在において当社が判断したものであります。

1. 当社の事業内容について

〔特定販売先への依存度について〕
 当社の柱となる化学品事業における製品は、主力の紫外線吸収剤など各種添加剤と各種化成品により構成されております。化学品事業における販売はOEM販売が主流であり、主要顧客であるBASF社については総売上高の約3割の依存関係となっております。当社にとって高い依存関係にある同社とは、主力製品である紫外線吸収剤の安定的な供給を当社が保証する供給基本契約を取り交わしております。

 従って、BASF社の販売戦略によっては、当社の業績に重要な影響を受ける可能性があります。

 これに対応するため当社は第二、第三の柱となる事業の確立を目指しており、新規製品の拡大と受託製造製品ラインナップの充実を図るべく積極的な営業活動を展開しております。

〔原材料の市況変動について〕
 当社は原材料を主として国内から、複数購買にて調達しておりますが、その他に国内代理店等を通じた輸入があります。これらの取引先とは安定的な品質と供給量の基本契約を取り交わしてはおりますが、政治・経済情勢の変動により供給が不安定になる可能性があります。
 また、当社が使用する原材料には原油の国際的な動向や資源輸出国の経済情勢などの影響を受けて価格変動するものが含まれているため、当社の業績に影響を受ける可能性があります。

〔法的規制等について〕
 当社の製造する製品・消費する原材料のうち、有機化学工業薬品類は、国内においては消防法、毒物及び劇物取締法、高圧ガス保安法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等の規制を受けております。また、ストックホルム国際条約やREACH規制等の環境規制の動向も無視できません。今後これらの法律等が改正された場合、製品の製造・販売などに影響を受ける可能性があります。これらに迅速に対応するため、関連部門において最新の法改正等の動向について随時把握するよう心がけております。

〔為替リスクについて〕

 当社の取引には、外貨による取引が含まれており、為替相場の変動が当社の業績に影響を与える可能性があります。これに備えるため、当社は外貨による取引に為替予約によるヘッジを行うとともに、円建てでの取引契約の締結を積極的に行っております。

2. 今後の事業について

〔今後の事業計画に重要な影響を与える要因〕
 (1)材料価格及び販売価格の変動

当社の原材料価格は、原油価格の国際的な変動、資源輸出国の経済情勢などにより大きく変動することがあります。当社の主力製品である紫外線吸収剤は世界各国で使用されており、その販売価格はグローバル競争の中にあります。当社は、販売シェアの確保・収益性向上の為、コスト競争力の強化に努めていますが、急激な原材料価格の変動は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の取引には外貨による取引が含まれており、為替相場の変動は原材料価格及び販売価格の変動を通して、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 (2)有機EL等電子材料関連製品の動向

当社は、有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)等の電子材料関連事業を、将来の成長事業に育成すべく注力しております。有機EL関連特許(出願中含む)も相当数保有していますが、最先端分野であり、競合各社も新規製品開発に取り組んでおります。

これらに対応するため、当社は官学との連携の強化を図っており、市場拡大局面における販売シェア獲得を目的としたさらなる開発に取り組んでおります。

〔業界の動向、法規制強化による業界環境の激変等の可能性について〕
 化学品事業に係わる業界動向は、自動車や家電製品等工業製品の市場変化よりも遅れた形で現れる傾向にあります。当社製品はこれらに使用される有機工業製品には欠かせない添加物であり、有機工業製品への添加規制や、新規添加物質への切替等、環境の激変がないかぎり、急激な需要下落はないと判断しておりますが、市場環境の急激な変化が起こった場合、業績が大きく左右される可能性があります。
 ホーム産業事業に係わる業界動向は環境配慮型製品の開発が加速されることから、地球環境保全を最重点課題とした有害な元素を含まず、厳しい環境下においても長期にわたり優れた性能を示す新規成分を配合した水性の木材保存薬剤等の開発に取り組んでおります。また、急激な市場環境の変化や気候変動等により業績が左右される可能性があります。

〔環境負荷について〕
 当社の製造する製品の多くは、有機化学工業薬品に分類されるものであり、事業活動に伴う環境負荷に対するリスク管理については、環境マネジメントシステムを導入し、環境評価を行い環境負荷の把握と環境リスクの低減に努めております。しかしながら環境負荷が発生しないという保証はなく、環境汚染などの問題が生じた場合には、業績・財政状態などに影響を受ける可能性があります。

〔固定資産の減損会計適用による影響について〕

当社では、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によっては、当社の業績・財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社の当事業年度の貸借対照表において計上されている有形固定資産には、有機EL製品を取り扱う福島工場の有形固定資産が含まれておりますが、当該事業は、今後の市場の拡大が期待される分野であり、将来の当社の収益獲得に相当程度の貢献をもたらす可能性がある一方、競合他社も新規製品開発に取り組んでおり、今後の当社製品の採用状況や条件によっては、十分な収益を獲得できないリスクを含んでおります。

現状、当社の福島工場では、供給数量が限定的であることから稼働効率が上がらず、営業活動から生ずる損益が継続的にマイナスとなっており、現時点では社外の不動産鑑定士による鑑定評価結果に基づく回収可能価額(=正味売却価額)が帳簿価額を上回っているものの、将来において一定規模の減損損失の計上を余儀なくされるリスクがあります。

当社では、将来におけるリスクを回避するため、当該事業に係る営業活動から生ずる損益の早期黒字化を実現し、確実に投資回収を遂行するという観点から、下記対応策を実行しております。

 

①製品開発改良活動においては既成概念に囚われず官学連携のもとで研究開発・製造・販売の三位一体となった活動を展開し、新規製品のラインナップ強化と生産性改善に注力しています。

②福島工場の稼働率を向上させる施策として、受託製造製品を含めた様々な案件を積極的に取り込むことで、福島工場固定費の吸収・製造ノウハウの蓄積を図ってまいります。

 

〔繰延税金資産の回収可能性について〕
 税効果会計における繰延税金資産の回収可能性については、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

〔訴訟などの影響について〕
 当社では、現在係争中の訴訟事件はございませんが、将来において当社の事業活動に関して重要な訴訟が提起された場合には、当社の業績・財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

〔大規模災害等による影響について〕
 当社のコア事業である化学品事業の生産拠点は、兵庫県の瀬戸内海沿岸に位置しております。製造拠点の分散化に配慮はしておりますが、南海トラフ地震や甚大災害に指定されるような台風等に起因する大規模災害が発生した場合には、製品の著しい損傷、生産設備の損耗、物流網の麻痺、サプライチェーンの寸断等により、当社の業績・財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度末における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当事業年度における世界経済は、米国が底堅さを維持する一方で、欧州や中国の景況は依然として低調な状況が続き、また、地政学的リスクの一層の高まりもあり、全体としては不安定な状況が続きました。

このような経済環境の中、当社の属するファインケミカル業界につきましては、円安の進行に伴う原材料、エネルギー価格の高騰等から、厳しい収益環境が続きました。当社においては、昨年度から続くグローバルマーケットにおける主力製品の在庫調整局面に大きな変化はなく、特に年度前半は大きく売上が落ち込みました。これらの状況は、年度末にかけ、わずかに改善が見られたものの、総じて売上・利益両面で強い逆風下にありました。

具体的な当事業年度における当社の売上高は、化学品事業では、受託製造製品、酸化防止剤、写真薬中間体が増収となりましたが、主力製品である紫外線吸収剤に加えて、製紙用薬剤などの減収の影響が大きく、全体では減収となりました。ホーム産業事業でも市況の低迷により、主に木材保存薬剤の販売が振るわず、減収となりました。結果、売上高全体では、前年同期比524百万円減の9,236百万円(前年同期比5.4%減)で着地いたしました。利益面では、一部の製品について価格改定による収益性の改善があったほか、不安定な需要動向に柔軟に対応し、需給バランスを調整するために一部の工場で生産調整を行い、経費の一部を生産休止費用に計上したこともあり、営業利益は482百万円(同34.8%増)となりました。経常利益は先述の生産休止費用を営業外費用として281百万円計上しましたが、収益改善の効果もあり、132百万円(同9.7%増)となりました。税引前当期純利益については、保険解約返戻金により特別利益を27百万円計上し、160百万円(同32.7%増)となりました。当期純利益については、法人税、住民税及び事業税が52百万円、法人税等調整額が△17百万円となり126百万円(同77.5%増)となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(化学品事業)

当事業年度の売上高は、主力製品である紫外線吸収剤が前年同期比555百万円減の4,939百万円(前年同期比10.1%減)となったことに加えて、製紙用薬剤が同127百万円減の211百万円(同37.6%減)、電子材料が同30百万円減の63百万円(同32.3%減)となる一方で、受託製造製品が同126百万円増の2,132百万円(同6.3%増)、酸化防止剤が同79百万円増の593百万円(同15.5%増)、写真薬中間体が同25百万円増の291百万円(同9.5%増)となり、全体では同481百万円減の8,298百万円(同5.5%減)となりました。また、セグメント利益では870百万円(同22.8%増)を計上いたしました。

(ホーム産業事業)

当事業年度の売上高は、木材保存薬剤の売上高が前年同期比39百万円減の755百万円(前年同期比5.0%減)となり、その他でも同3百万円減の182百万円(同1.7%減)となったことから、全体では同43百万円減の937百万円(同4.4%減)となりました。また、セグメント利益では45百万円(同22.3%減)を計上いたしました。

 

 

品目別売上高の状況は、次のとおりです。

 

    (品目別販売実績)                                (単位:千円、%)

セグメント別

 期別

前事業年度

当事業年度

増減

 

2023年3月期

2024年3月期

     区分

金額

構成比

金額

構成比

金額

化学品事業

 紫外線吸収剤

5,495,110

56.3

4,939,961

53.5

△555,148

 写真薬中間体

266,046

2.7

291,447

3.2

25,401

 製紙用薬剤

338,599

3.5

211,137

2.3

△127,461

 酸化防止剤

514,016

5.3

593,631

6.4

79,615

 電子材料

93,214

1.0

63,110

0.7

△30,104

  受託製造製品

2,005,657

20.5

2,132,521

23.1

126,864

 その他

66,996

0.7

66,445

0.7

△550

(小 計)

8,779,640

89.9

8,298,255

89.8

△481,385

ホーム産業事業

 木材保存薬剤

795,496

8.2

755,598

8.2

△39,898

 その他

185,501

1.9

182,303

2.0

△3,197

(小 計)

980,997

10.1

937,901

10.2

△43,095

合  計

9,760,638

100.0

9,236,157

100.0

△524,480

 

②資産、負債及び純資産の状況

当事業年度(以下「当期」という。)の総資産は、前事業年度末(以下「前期末」という。)比69百万円減少し、13,713百万円となりました。流動資産は同42百万円減少の8,376百万円、固定資産は同27百万円減少の5,337百万円となりました。

流動資産の減少の主な要因は、商品及び製品が477百万円、原材料及び貯蔵品が446百万円、未収入金が130百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が926百万円、売掛金が90百万円それぞれ増加したことなどによるものであり、固定資産の減少の主な要因は、機械及び装置(純額)が45百万円、リース資産(純額)が75百万円それぞれ減少した一方で、投資有価証券が88百万円増加したことなどによるものであります。

当期の負債は前期末比153百万円減少し9,034百万円となりました。流動負債は同256百万円減少の6,197百万円、固定負債は同102百万円増加の2,836百万円となりました。

流動負債の減少の主な要因は、電子記録債務が255百万円、買掛金が244百万円それぞれ減少した一方で、その他の流動負債が211百万円増加したことなどによるものであります。固定負債の増加の主な要因は、長期借入金が140百万円増加したことなどによるものであります。

当期の純資産は前期末比84百万円増加し、4,679百万円となりました。純資産の増加の主な要因は、当期純利益126百万円を計上したことに加えその他有価証券評価差額金が67百万円増加した一方で、配当金の支払33百万円があったこと、自己株式が84百万円増加したことなどによるものであります。

この結果、自己資本比率は、前期末の33.3%から34.1%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては1,177百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては213百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローにおいては43百万円の支出となった結果、前事業年度末に比し920百万円増加し、1,873百万円となりました。

当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は1,177百万円(前年同期は694百万円の使用)となりました。

これは主に、税引前当期純利益が160百万円計上されたこと、減価償却費が414百万円計上されたこと、棚卸資産の減少額941百万円、仕入債務の減少額499百万円などの要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、213百万円(前年同期比7.7%減)となりました。

これは主に、老朽設備の更新を目的として設備投資を行ったことに伴う、有形固定資産の取得による支出が276百万円計上された一方で、保険積立金の解約による収入58百万円を計上したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、43百万円(前年同期比49.0%増)となりました。

これは主に、長期借入れによる収入1,200百万円、長期借入金の返済による支出1,025百万円、自己株式の取得による支出99百万円、リース債務の返済による支出109百万円が計上されたことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 

前年同期比

(%)

化学品事業(千円)

7,660,016

79.4

ホーム産業事業(千円)

611,043

105.2

合計(千円)

8,271,060

80.8

(注)金額は販売価格によっております。

2)商品仕入実績

当事業年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 

前年同期比

(%)

化学品事業(千円)

5,834

77.9

ホーム産業事業(千円)

276,736

94.5

合計(千円)

282,570

94.1

(注)金額は仕入価格によっております。

3)受注実績

当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

4)販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 

前年同期比

(%)

化学品事業(千円)

8,298,255

94.5

ホーム産業事業(千円)

937,901

95.6

合計(千円)

9,236,157

94.6

(注)最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

BASFジャパン㈱

2,637,529

27.0

2,254,646

24.4

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2024年3月31日)現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。この見積り及び仮定の設定に関しては、過去の実績や状況に応じた合理的かつ妥当な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りと異なる場合があります。

なお、当社の採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。また、重要な会計上の見積りの仮定については、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は、創業以来培ってきた有機化学合成の高い技術力を背景に、特定の大口取引先の協力を得ながら成長、発展してまいりました。しかしながら、主力販売製品のコモディティ化に伴うコンペティターの台頭や環境対応に関する国内外の法的規制の強化といった外部要因による停滞、産業の成熟化に伴う市場規模の成長の鈍化といった、事業環境の変化により引き起こされる数々の問題に直面しております。

このような状況下、持続的な発展を裏付ける磐石な経営を実現させるために、特定取引先との協力関係を維持する一方で、新たな柱の構築を目指し、当社は有機ELをはじめとする研究開発体制の強化と販売チャネルの多様化を目的とした受託ビジネスの強化を行ってまいりました。

こうした中、受託ビジネスについては取引量が徐々に増え、紫外線吸収剤をはじめとする化学品事業において取引高ベースで30%程度となるなど確かな手ごたえが出てきましたが、有機ELをはじめとする新規ビジネスについては成長の半ばであり、更なる対応が急務でございます。また、地政学的リスクに起因する原材料調達リスク等への対応は、事業活動を継続していくうえでの喫緊の課題と考えております。

上記を踏まえ、当社は今後既存製品に関しては対面にとらわれない対話を活用し、品質改善による顧客満足度の向上と生産効率の改善、適正な価格転嫁等を推進し、既存の取引先との協力関係を維持・強化していく方針であります。

受託ビジネスに関しては既存受託先との取引関係を強化する一方で、新規顧客を開拓するとともにリピート需要を取り込む等、新たなビジネスチャンスを逃さないように外部機関等も活用し、持続的な成長を実現していきます。

有機ELをはじめとする新規ビジネスに関しては市場拡大局面にあり、新たなステージにおける販売シェア獲得を必達するために、既成概念にとらわれず産学協同で研究開発・製造・販売の三位一体となった変革へのチャレンジを実践していきます。

当社は以上のような取り組みを通じて企業の永続的な発展を実現し、企業価値・株主価値向上を達成し、株主の皆様のご期待に応えるよう努める所存でございます。

 

当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、受託製造製品等の販売の増加等があるものの特定販売先への依存度が高いこと、有機ELをはじめとする新製品については将来の成長事業に育成すべく注力しておりますが、競合各社も新規製品開発に取り組んでいることが挙げられます。

また、当社の継続事業にかかる棚卸資産は主として将来需要および市場動向に基づく見込み生産によるものでありますので、重大な地政学的リスクや大規模自然災害等による実需および予測せざる市場動向次第では在庫増加を要因とした生産調整を実施する場合があり、それに伴う生産休止費用が業績に与える影響も無視できません。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性については、以下の通りであります。

 

1)資本の財源

当社は、運転資金及び設備投資資金の原資につきましては、当社の財務状況を勘案して、手許現金の使用・銀行借入・リースの利用等の中から最もふさわしい方法を採ることとしております。銀行からの借入による資金調達については、短期借入金に関しては変動金利により、長期借入金に関しては主として固定金利により行っております。

 

2)資金需要の主な内容

当社の資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容であります。投資活動については、事業伸長・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投資が主な内容であります。

日銀がマイナス金利政策を解除し利息負担の増加が見込まれますが、成長の原資たる設備投資や研究開発投資等については当期も継続していく所存です。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向を注視しつつ、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定であります。

 

3)キャッシュ・フロー計算書に基づく資金の流動性についての分析

当社のキャッシュ・フローにつきましては、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比920百万円増加し、1,873百万円となりました。当事業年度における状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要」をご覧ください。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、当事業年度は以下の通りとなりました。

売上高経常利益率            現状: 1.4%  (中長期目標: 5.0%以上)

ROE(自己資本利益率)  現状: 2.7%  (中長期目標: 7.0%以上)

自己資本比率                現状:34.1%  (中長期目標:39.0%以上)

当社といたしましては、創業以来の成長と実績を礎に上記指標を一層改善することを通じて、永続性のある更なる盤石な経営の実現を目指し、鋭意取り組んでいく所存でございます。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

化学品事業

化学品事業における販売はOEM販売や受託製造製品等の販売が主流であり、特定販売先については総売上高の約3割の依存関係となっております。既存の販売先については安定的な供給を継続しつつ、有機合成技術を駆使した新規製品の販売を展開することにより、直販比率を向上させることで安定収益に繋げていきます。

 

ホーム産業事業

ホーム産業事業における販売は木材保存薬剤を主力とし、ホームセンター向け塗料、室内用および業務用塗料の新規開発、受託販売等による販売拡大を目指して安定収益に繋げていきます。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 

当社との供給契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

BASFジャパン㈱

日本

紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)

2021年

10月20日

1.当社より、BASFジャパン㈱への紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)の安定的供給についての基本契約。

2.当社製品である紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)の

国外における実質的独占販売権をBASFジャパン㈱に許与する。

3.BASFジャパン㈱は、当社より紫外線吸収剤(ベンゾトリ

アゾール系)を一定量以上購入する。

2021年

10月1日から

2024年

9月30日まで

 

 

6【研究開発活動】

 当社は、将来の事業拡大と経営基盤の強化・安定化を図るため、官学との連携強化を推進し、紫外線吸収剤及び有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)材料をはじめとする電子材料関連等、各種分野にわたって研究開発に取り組んでおり、独自技術を駆使して新製品の開発を進めております。
 研究開発に従事する人員は総勢20名であり、総従業員数の8.9%となっております。また、当事業年度における研究開発費の総額は209百万円(対売上高比2.3%)となりました。
 当事業年度におけるセグメント別の研究開発成果は次のとおりであります。

〔化学品事業〕
 当事業年度において、紫外線吸収剤などのプラスチック添加剤及び有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)材料をはじめとする電子材料関連等の新製品及び新製法の開発を継続しております。紫外線吸収剤においては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系をはじめとする各種新製品の開発と、既存製品の生産効率の向上を、有機EL材料においては、電子輸送材料、ホール輸送材料、発光材料及びホスト材料等の新規材料合成や物性評価、及び既存製品の生産効率の向上等の研究開発を行っております。また、産業技術総合研究所とのペロブスカイト太陽電池等の共同開発を行っております。当事業に係る研究開発費は179百万円であります。

〔ホーム産業事業〕
 前事業年度に引き続き、環境にやさしい木材保存薬剤等の研究開発を継続しております。当事業に係る研究開発費は29百万円であります。