文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営理念は次のとおりです。
① 技術を極め、顧客の高い満足と強い信頼を頂く商品を提供する。
② 地球環境を守り、企業責任を全うし、社業を通じて社会に貢献する。
③ 世界を視野に高い目標に挑戦し、企業の発展と個人の成長を実現する。
当社グループとして経営理念に基づき、ものづくりを本業とするメーカーとしてPQCD(Productivity 生産性、Quality 品質、Cost 価格、Delivery 納期)について世界最高の体制を構築し、高いCS(顧客満足)を得ることを目標に、製品の開発・生産・販売から廃棄までの全工程で地球保護に積極的に取り組みます。また、個人を尊重し、相手の立場で考え、意欲・能力を最大限に発揮することで、世界に飛躍する製品・技術・人を創造することに挑戦します。エンジンバルブの専門メーカーとして低燃費技術の進化を通じて社会に貢献してまいります。
(2)経営環境と対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、長く続いた半導体不足による生産調整が回復に向かっているものの、長期化するウクライナ情勢や緊迫化する中東情勢などの地政学的リスクに伴う原材料価格、エネルギーコストの高止まりや各国の金融引き締め政策による景気後退などが懸念されます。
一方、エンジン搭載車を含む自動車業界自体においては、世界的なEV化・HV化への加速動向、またCO2排出問題(カーボンニュートラル)等の環境問題やバイオ燃料等の新エネルギー問題への対応、さらには情報化・自動化等といった、正に新時代へ向けた多種多様な変革の局面に立たされております。
このような状況のなか、当社グループといたしましては、新たな3ヶ年計画「2026中期経営計画」を策定し、本年3月28日に公表いたしました。
新中期経営計画は前中期経営計画で掲げた既存事業である自動車部品事業の収益力強化と新規事業の拡大を両輪に持続的成長を図るという方針を引き継ぐとともに、時代のニーズである資本コスト・株価を意識した経営や人的資本経営等の課題への取り組みを加えて、更に発展させる考えです。
2026年中期経営計画基本方針
1.自動車部品事業の安定収益確保
2.新規事業領域の育成および拡大
3.効率経営推進による社会貢献
定量目標
●エンジンバルブ事業の合理化推進による利益率向上
●新規事業、ESG関連中心の積極的な投資
●株主への利益還元目標は総還元性向40%、株主資本配当率1.7%を目安に実施
中期経営指標と実績 (単位:億円)
(社業について)
自動車業界において急速なEV化が進むなか、欧米の競合エンジン部品メーカーにおいてはエンジンの急激な減少を見込んで既に事業縮小に舵を切っております。これに対し、当社のメインの顧客である日系自動車メーカーはエンジン減少が比較的緩やかであり、当社が撤退する会社の受け皿となりやすい状況にあると言えます。
一方で、足元では世界的なEV化拡大の減速がみられます。理由は、補助金の打ち切り、インフラ整備不足、富裕層に行き渡ったなど様々挙げられておりますが、代わりに環境に配慮した自動車としてHV車の販売が伸びてきております。
このような状況のなか、当社は2030年のあるべき姿として、「The Best Survivor」をスローガンに自動車部品事業においてはグローバルシェアを現状の8%から12%に拡大することで生き残りを図り、同時に新規事業で売上高100億円体制を確立することを目標として掲げました。スローガンの「The Best Survivor」には激変する事業環境のなかで最善の残存者となって利益を享受するという意味を込めています。
新規事業については、M&Aの取り組みとして、2023年7月3日付けで1社を子会社化し、2024年3月28日に更に1社と株式譲渡契約を締結いたしました。
また、子会社の新事業展開についても順調に進んでおり、本社工場余剰地を利用したブランドミニトマト事業は2024年度栽培面積を400㎡から2,000㎡に拡大し、収益化を目指してまいります。
(CO2削減について)
2013年度と比較して2030年度までにCO2排出量50%削減をすることを目標に、2023年中期経営計画では20%削減を目指して全グループで再生エネルギーとして太陽光発電システムの導入や省エネ活動に取り組んでまいりましたが、2023年度でこの目標をほぼ達成することができました。
2026年中期経営計画では2013年度比で35%の削減を目標に掲げ、資材価格の高騰により一時中断していた太陽光発電システムの拡大再検討や更なる省エネ対策を継続して実施してまいります。
(2024年度の取り組み)
2024年度はスローガンと基本方針を以下のように定め、それぞれの重点課題への取り組みの具体化による年度目標の実現を目指してまいります。
スローガン
『自分のためにチャレンジしよう。皆のために助け合おう』
~個人の成長=会社の成長~
基本方針
1.自動車部品事業の安定収益確保
グローバルシェアUP機会の獲得とグローバル最適生産体制の整備を行いながら効率的生産体制を追求してまいります。
2.新規事業領域の育成および拡大
これまでにM&Aを行った企業とシナジーが期待できる企業に的を絞ったM&Aを行うことで新規事業領域を育成、拡大させ、また、保有技術を活用した社内新規事業の立ち上げを進めてまいります。
3.効率経営推進による社会貢献
資本コストや株価を意識した経営・DX推進等により経営基盤強化を図っていくとともに、多様な人材の獲得・育成を始めとした人的資本経営の推進、「CO2排出量35%削減」の目標を達成すべく、ESG経営を実践してまいります。
引き続き、会社全体の構造改革を推進するとともに、企業の社会的責任(CSR)を果たし、世界のなかで存在価値のある会社として認められる、理想を追求して行くことができる企業体質を目指します。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、事業活動を通じて当社および社会が得る利益の最大化を図るべく、SDGsが目標とする5つのP(People(人間)、Prosperity(繁栄)、Planet(地球)、Peace(平和) 、Partnership(パートナーシップ) )の内、Planet、Prosperity、Peopleの3つとの関連性を考慮し、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を整理しました。持続可能な社会の実現のため、各マテリアリティにおける課題を経営において解決してまいります。
詳細な取組み内容につきましては、以下記載の当社ウェブサイトをご参照ください。
統合報告書 https://www.oozx.co.jp/ir/library/integratedreport/
サステナビリティページ https://www.oozx.co.jp/sustainability/
当社は、サステナビリティ基本方針を定め、これに則り経営上の重要課題(マテリアリティ)を抽出し、課題解決に取り組んでおります。
代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティを含む全社リスクと機会の選定・抽出を行い、経営に及ぼす影響度合いの評価、施策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。
サステナビリティ委員会にて、政治、経済、社会情勢、気候変動等、当社グループを取り巻く環境を踏まえ、事業への影響度、発生可能性からリスクレベルを総合的に判断し、全社リスクを選定し、その対応策の検討を行っております。
(戦略)
当社グループは、環境負荷低減に寄与する製品の提供および事業運営過程におけるCO2排出量削減活動を通して「持続可能な社会の実現に対する貢献」と「企業価値の向上」の両立を努めます。
環境負荷低減に寄与する製品の提供については、エンジンバルブの専門メーカーとして、短期的にはガソリンエンジンの高効率化に貢献し、中長期的にはカーボンニュートラル燃料にも対応できる製品の開発を進めてまいります。
また、事業運営過程におけるCO2排出量削減の取り組みの方向性は大きく2通りです。1つは、製造ラインの省エネ化等により消費エネルギーそのものを抑制すること、もう1つは、太陽光発電システム導入など使用エネルギーを再生可能なものに転換することです。
〈TCFD提言が推奨する定義を踏まえた気候変動に伴うリスク・機会と当社グループの対応〉
温室効果ガスがもたらす気候変動影響に対し、世界中で急速な低炭素社会への移行に関する議論が進んでいますが、日本政府も2030年には温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することが公表されました。当社グループも日本政府の掲げる目標に準じ、温室効果ガス排出量を2013年比で2026年までに35%、2030年までに50%削減することを目標に掲げ、カーボンニュートラル達成に向けた様々な課題に取り組んでおります。政府方針に準じることで我が国でも導入が検討されている炭素税などの将来的なエクストラコストへの備えにもなると考えております。
当社グループでは、経営理念を実現するための行動規範、および行動基準を定めております。ビジネス環境や雇用環境が激しく変わりつつある時代であっても、企業と個人が共に成長し合える状態を創りあげ、次世代に向かい失敗を恐れずに高い目標へ挑戦し続けるための人的資本の確保に努めております。
当社グループでは、人材の多様性を認めるとともに個人を尊重して活用すべく、従業員の人格を陶冶し、知識を高め、技能を錬磨するために必要な人材育成として、OJT、OFF-JTを基本とした階層別・職能別教育訓練、および自己啓発の援助を行っております。各階層・職能別に格付基準として定義・要件を定めており、従業員の評価基準とするとともに、人材育成の目標として周知し、能力開発・育成と職場問題の改善を図っております。
人的資本経営のための社内環境整備については、グローバル人材の育成のための海外語学留学制度、または各種資格取得奨励としての就学支援や国内留学に関する制度など、従業員各人の成長を図りながらも組織の一員として経営理念を体し、自己の役割を完遂できる人材の育成を実現するための制度が整えられております。
また、2023年中期経営計画において、すべての従業員がその能力を発揮できるようにするため、多様な働き方の許容と健康的な職場環境の提供を推進し、以下の重要施策に取り組んでまいりました。人材の属性やスキル、パフォーマンスなどの情報を可視化して人事施策の改善を進めつつ、従業員のモチベーションと生産性を向上させるための基礎構築に注力でき、一定の効果も得ることができたところです。2026年中期経営計画においては、当社を取り巻く事業環境を再認識するとともに、どのような環境下においても継続して幅広く多様な人材を獲得、育成していくため、従業員のエンゲージンメント向上に注力し、企業の目標に熱意を持ちながらも、個人が働きやすい環境をつくることによって、全ての従業員がその能力を如何なく発揮できるようさらなる多様な働き方の許容と健康的な職場環境の提供を推進してまいります。
①ダイバーシティ&インクルージョン推進への取り組み
(戦略)
激変する事業環境において、当社グループが将来にわたって成長し続け、また、少子高齢化が進む中、優秀な人材を継続的に確保するために多様な人材が年齢、性別、国籍、宗教、障がいの有無などの差別なく持てる能力を存分に発揮できる環境であることが重要となっております。特に女性社員の更なる活躍は重要なテーマの一つであり、当社グループでは新たな行動計画を策定し、これに基づき女性採用の強化や就労環境の整備等の活動を推進しております。
(指標及び目標)
②多様な働き方への取り組み
(戦略)
多様な人材が働きやすく、力を発揮しやすい職場環境とするためには多様な働き方を受け入れることが必要と考えております。当社グループでは、従業員のワーク・ライフ・バランス推進の一環として、従来よりコアタイム無しのフレックス制を導入し、近年では在宅勤務の採用・拡大に取り組んでまいりました。
さらに、女性が活躍しやすい環境を整えるため、女性社員の産前・産後休業、育児休暇・休業といった制度の充実はもとより、男性従業員も育児に積極的に参加できるよう「産後パパ育休」制度の積極的な活用を推進しております。
(指標及び目標)
③グローバル人材の育成について
(戦略)
当社グループでは、海外のお客様ともお取引があり、また生産・販売拠点も有しております。海外への販売活動、海外拠点への人員派遣などグローバルに活躍できる人材を継続的に育成できるよう海外語学留学制度を導入し、外国語でのコミュニケーション能力と、異文化理解・活用力の向上を推進しております。
(指標及び目標)
④ヘルスケア推進について
(戦略)
当社グループでは、風通しの良い職場環境を醸成し、従業員ひとりひとりが心身ともに健康な状態で活躍できるよう必要な福利厚生制度の整備とあわせて、安心・安全な職場環境づくりはもとより、従業員のフィジカル面、およびメンタル面でのサポート活動において取り組んでおります。
(指標及び目標)
⑤その他従業員に関するデータ
(注)算出の基礎となる対象従業員数は、各年度末3月31日現在の人員数であり、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
(注1)算出の基礎となる対象従業員数は、期間工、パートタイマー、嘱託契約の社員、派遣社員は除いております。
(注2)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)エンジン車の減少リスクについて
当社グループは、自動車をはじめとするエンジンに使用される部品(主にエンジンバルブ)を生産・販売することを事業としております。しかしながら、電気自動車等の普及により、エンジンを使用する自動車が大きく減少し、売上が減少することで、グループ経営が厳しくなるリスクがあります。
当社グループの取り組み
・専門部署(構造改革部)を設置し、保有技術を活用した新規事業を模索・検討
また、自動車業界に拘らない広い視野での事業の拡大の検討(M&A含む)
(2)自然災害等のリスクについて
地球規模の気候変動による超大型台風、集中豪雨、極度の渇水等の被害規模拡大に伴い、日本各地で都市機能、ライフラインの麻痺または一時的な機能停止をする恐れがあります。また、当社グループの主要な国内生産拠点である静岡県西部は、南海トラフを震源とする大規模地震の防災対策強化地域となっております。
将来予測される自然災害の発生に備え人的安全を第一に考え、なおかつ建物、生産設備、仕掛品、製品などの資産が損傷・損失しないよう対策を講じておりますが、その対応には限界があります。
もし、自然災害によりライフライン等の機能停止が発生した場合、一時的に生産活動が停止する可能性があります。また、大規模地震等の自然災害や火災等の事故など、重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループが受ける影響は甚大なものになる恐れがあります。
当社グループの取り組み:
・自然災害に対するBCPの見直しと防災訓練の継続的実施、防災備蓄品の定期的な整備
・自家発電設備の稼働訓練と定期メンテナンスの実施
(3)グループ事業の失敗リスクについて
当社グループでは、海外4社・国内4社の子会社があり、グループを形成していますが、特に一部の海外子会社は、設立から10年以内でまだ収支が安定せず、経営(販売・生産・資金)に問題が起きた場合、当社を含むグループ全体に影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループの取り組み:
・海外子会社に対し、事業内容・経営内容の把握のため、毎月経営者への報告会議を実施
・海外子会社の収支・資金繰り等を担当部署が把握し、各子会社へ改善を指示
(4)ハラスメント事件の発生リスクについて
当社グループでは工場内の製造ラインや部課等の組織で従業員が業務をおこなっておりますが、組織内外において、パワーハラスメント行為やセクシャルハラスメント行為、その他のハラスメントが発生することにより、被害従業員の身体的・精神的悪影響や退職・休職リスク、職場内の意欲低下による生産性低下、社会的事件となることでの会社の信用度やイメージが低下するリスクがあります。
当社グループの取り組み:
・ハラスメント防止の社則化および全従業員対象のハラスメント教育の実施
・内部通報制度の社則化および周知
(5)パンデミックリスクについて
世界的な感染症の流行が発生した場合、当社グループの事業運営や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのようなグループ全体に影響を及ぼすリスクに対し、必要に応じ専門委員会を設置するなどし、随時対処方針を審議しております。
(6)CO2削減(カーボンニュートラル)への対策失敗リスクについて
当社グループは、地球環境を守るためのCO2削減活動を推進する活動を行います。しかしながら、目標に対し未達成(施策が未実施・不十分)となることによる周辺環境の悪化、企業イメージの低下を起こすリスクがあります。
当社グループの取り組み:
(目標:CO2排出量の削減目標(2013年度比)…2026年度35%減、2030年度50%減)
・太陽光発電の積極的採用(国内外の工場・建物に発電パネルの設置)
・脱炭素へ向けた新エンジン向け製品の開発
(7)ESG経営の取組失敗リスクについて
当社グループは、「ESG」を意識した経営を行っていくことにより環境や社会に貢献できる企業を目指しておりますが、産業廃棄物などの環境問題や人権侵害、差別等の社会問題、内部統制不備等のガバナンスに関する問題が発生するリスクがあります。
当社グループの取り組み:
・産業廃棄物の2030年度排出ゼロ化に向けた計画実施
・SDGs活動への積極的な取り組み
・ガバナンス委員会(任意の指名・報酬等の諮問委員会)の設置
(8)製品の欠陥によるリスクについて
当社グループでは、製品の製造にあたって、品質安定化の追求と、厳格な検査・保証管理体制を構築するとともに、損害保険加入等の対策をとるなど、品質不適合リスクその他事業活動に伴う種々のリスクについて対策を講じております。しかしながら、大規模な製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、その結果によっては、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの取り組み:
・IATF16949(自動車産業向け品質マネジメントシステム)の認証取得(2018年)
・品質管理委員会(年1回)および品質会議(月1回)において製品品質担保活動の立案・実行
・経営会議にて経営陣への品質クレーム案件の原因と対策の報告
(9)法的規制等について
当社グループは国内、海外において事業活動を行っており、その遂行にあたっては、法令その他社会的規範を遵守し、公正で健全な企業活動を展開しております。しかしながら、将来における法令、規範の変更や社会の諸要求の厳格化による解釈の変更などによって発生する事態が、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの取り組み:
・内部統制システム監査(外部・内部)の実施
・定期的な全社コンプライアンス教育の実施(年1回以上)
・監査室を中心に当社各部および当社グループ各社への業務監査の実施
(10)新製品の開発リスクについて
当社グループでは、現在の製品についての新技術・新工法、また新たな製品の開発について、研究開発を続けております。しかしながら、新製品、新技術や新工法の開発遅れや工法の陳腐化により、顧客からの要望に応えられず、製品の販売に大きな打撃を受ける可能性があります。
当社グループの取り組み:
・研究開発に対する人的・金銭的経営資源の投入
・顧客との共同開発への積極的な参加
(11)ⅠT環境・情報セキュリティリスクについて
当社グループは、業務遂行に際しコンピュータを使用し、インターネット等も利用しておりますが、社内からの情報漏洩インシデント、また外部からの重大なコンピュータインシデント(サイバー攻撃やウイルス感染)が発生した場合の重要なデータの破損・喪失および復旧の遅れにより、グループ経営や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループの取り組み
・情報管理に関する取り組み(社則、情報管理体制)の見直し
・サイバー攻撃・ウイルス感染等に対するセキュリティ対策の見直し
(12)原材料・エネルギー価格の高騰リスクについて
当社グループで使用する原材料(鋼材)は、親会社グループより購入しておりますが、価格の大幅な高騰に対し販売先への価格転嫁の遅れ等により経営に影響を与えるリスクが生じる可能性があります。また、電力等のエネルギー価格が大幅に高騰することにより、グループ経営や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループの取り組み:
・原材料の成分毎の価格の変動に対応し、購入・販売価格のサーチャージ制度の導入
・電力会社との個別契約の取り交わし
・太陽光発電による電力の活用と他の自然エネルギー(風力等)の検討
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化、賃金上昇に伴う個人消費マインドの改善、インバウンド消費の回復などにより物価高のもとにおいても景気は堅調に推移しました。しかしながら、日米の金利差や貿易赤字等を背景にした円安が継続しており、中国においては不動産バブルの崩壊による景気減速、欧米においては金融引き締め政策の影響による景気後退のリスク等もあり、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
当社グループの属する自動車業界につきましては、長く続いた半導体不足による生産調整が回復してきており、北米・中国および国内の新車販売は軒並み前期よりも高い水準となりました。
このような市場環境のなか、当社グループにおきましては、バックオーダー解消への取り組み等、自動車メーカーの生産回復影響や北米向けの受注が増加したことから、前期比で8.2%の販売増となりました。国内販売が同8.3%の増加、海外販売が同7.9%の増加となっており、海外販売の地域別では、北米が需要回復と新規受注獲得により同41.3%増加、欧州は主要顧客との取引が終了したことにより同89.0%減少しております。
利益につきましても、賃上げによる労務費上昇影響はあるものの、継続的な固定費の徹底圧縮による原価改善活動など収支対策効果に加え、上記のとおり売上の増加により前期比で増益となりました。
以上の結果、売上高は23,382百万円(前期比1,775百万円増)、営業利益は1,627百万円(前期比757百万円増)、経常利益は1,928百万円(前期比877百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等調整額(益)として789百万円を計上したことにより1,931百万円(前期比1,336百万円増)となりました。
セグメントの業績については、次のとおりであります。
当社グループのセグメントはこれまで単一セグメントでありましたが、2023年7月3日付で株式会社マルヨシ製作所の株式を取得したことに伴い、「その他」を新たに報告セグメントとして追加し、「自動車部品製造事業」および「その他」の2区分に変更しております。また、「その他」については、前連結会計年度の実績がないため、比較情報を記載しておりません。
(自動車部品製造事業)
自動車部品製造事業は主にエンジンバルブ、バルブシート、コッタ、ローテータ、リテーナ、機械等の製造、販売を行っております。当連結会計年度における自動車部品製造事業の売上高は、前期比7.0%増加の23,111百万円、セグメント利益は前期比735百万円増益の1,605百万円となりました。
(その他)
その他事業は、主にリチウムイオン電池等に使用されるセパレータフィルムの製造用金属ロール、シャフトの製造、販売を行っております。当連結会計年度におけるその他事業の売上高は270百万円、セグメント利益は22百万円となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 「その他」については、前連結会計年度の実績がないため、「その他」の前期比を記載しておりません。
当社グループは、一部において受注生産を行っていますが、得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であり、受注高は生産高にほとんど等しくなるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 「その他」については、前連結会計年度の実績がないため、「その他」の前期比を記載しておりません。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,290百万円増加し36,529百万円となりました。総資産増加の主な内訳は、現金及び預金1,097百万円、繰延税金資産762百万円であります。
現金及び預金は、売上代金の回収により増加しております。繰延税金資産は在外子会社において今後の業績見通しを踏まえて回収可能性を慎重に検討した結果、増加しております。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ19百万円増加し6,393百万円となりました。負債増加の主な内訳は、未払法人税等423百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末に比べ2,271百万円増加し30,136百万円となりました。純資産増加の主な内訳は、利益剰余金が1,593百万円、為替換算調整勘定が572百万円であります。為替換算調整勘定は、円安の影響により増加しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,576百万円増加し、7,079百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は4,228百万円(前連結会計年度は2,689百万円の獲得)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,783百万円、非資金損益項目である減価償却費2,355百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,575百万円(前連結会計年度は1,594百万円の使用)となりました。支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,462百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は1,277百万円(前連結会計年度は1,188百万円の使用)となりました。支出の主な要因は、短期借入金の純増減額696百万円、長期借入金の返済による支出220百万円、配当金の支払額339百万円であります。
当社グループの資金需要は、営業活動上の運転資金に加え、自動車部品製造事業の安定収益の確保に向けた生産能力の増強や新技術の研究開発、新規事業領域の育成・拡大に向けた成長分野へのM&A投資等のための資金があります。これらに必要な資金は、事業が生み出す営業キャッシュ・フローと手元資金でまかなうことを基本としていますが、それを超える投資の場合、金融機関借入することも選択の一つとし、成長の機会を失うことにならないよう安定的な資金調達と資金調達コスト抑制の両立を目指しています。また、長期化するウクライナ情勢や緊迫化する中東情勢などの地政学的リスクに伴う原材料価格、エネルギーコストの高止まりや各国の金融引き締め政策による景気後退など、不透明な経営環境が続いておりますが、十分な営業キャッシュ・フローを創出できるよう、固定費の徹底圧縮を中心としたコスト改善活動に継続して取り組んでおります。
資金の流動性については、当連結会計年度末に保有している7,079百万円の現金及び現金同等物に加え、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関と当座貸越契約を締結しております。
(5) 重要な会計上の見積りおよび仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(棚卸資産)
当社グループでは、棚卸資産の保有期間および将来の需要予測に基づき、回収可能価額が帳簿価額を下回るものについては評価減を計上しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(有形固定資産および無形固定資産)
当社グループでは、有形固定資産および無形固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、回収可能価額が帳簿価額を下回る兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。
この判定は、資産の帳簿価額と回収可能価額を比較することにより実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を計上することとなります。回収可能価額は、正味売却価額もしくは使用価値により算定しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来のキャッシュ・フロー、割引率等について一定の仮定を設定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
減損の有無の判定に際して用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループでは、繰延税金資産の算定にあたって、将来減算一時差異等を使用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。課税所得が生じる可能性の判断においては、事業計画に基づき課税所得の発生時期および金額を見積っております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
繰延税金資産の算定に際して用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1) 技術供与契約(提出会社)
(2) 取得による企業結合
当社は、2023年5月26日開催の取締役会において、株式会社マルヨシ製作所の全株式を取得し、当社の連結子会社とすることを決議し、2023年5月31日に株式譲渡契約を締結しました。なお、2023年7月3日付で株式を取得しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
また、当社は、2024年3月28日開催の取締役会において、株式会社ピーアンドエムの全株式を取得し、当社の連結子会社とすることを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。なお、2024年7月上旬に株式の取得手続きを行う予定であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループは新製品、新技術の研究開発を通じてカーボンニュートラルの進歩発展に寄与する事により社会に貢献すべく、自動車用から汎用に至るまで、陸用、舶用を含む内燃機関用動弁系部品の研究開発を中心に活動を続けております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(自動車部品製造事業)
当社グループの属する自動車産業界は、近年の車に求められる環境対応として更なる燃費向上のエンジン開発を強力に推進しており、当社もこれら社会的ニーズに応えるべく、エンジンバルブを主体とした動弁系部品の高温化およびエンジン熱効率向上およびカーボンニュートラル燃料への積極的な対応により、お客様に対して迅速、的確かつ信頼性の高い製品を提供すべく、各種の研究開発に努力しております。
この様な背景を踏まえつつ当連結会計年度は、製品の実証試験、熱解析シミュレーション技術の構築、これら信頼性評価を活用した新製品・新工法技術開発に取り組み、カーボンニュートラル促進に向けた高機能特性エンジンバルブの研究開発に加えて、既存製造技術を活用した異分野製品の開発取組みを進めております。その結果、当連結会計年度の当事業に係る研究開発費の総額は
(その他)
該当事項はありません。