当社は、「環境との共生」、「品質優先」、「人間性尊重」を経営の基本理念とし、企業の発展を通じて社会に貢献するとともに、顧客の信頼に応え、職場の活性化を通じて株主の皆様の投資期待に応えるべく常に企業経営の強化をめざしております。
当社の経営理念は下記の3項目であります。
① 環境との共生のもと企業の発展を通じて社会に貢献する
② 品質優先に徹し、顧客の信頼に応える
③ 人間性を尊重し、夢と活力のある職場を創造する
当社は、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を経営戦略の柱とし、その実現のため、2020年度を初年度とする5ヵ年のグローバル中期経営方針を策定いたしました。経営方針の具体的内容は次のとおりであります。
<2020-2024年度 グローバル中期経営方針>
「基盤強化」・・・一歩ずつ着実に「安全」「安心」「安定」が実現できる企業づくりをする
① 総力をあげて職場環境の改善と改革を進めて、真の「安全第一」企業を実現する
② より品質改革に集中して、お客様の「安心と信頼」を誇りにする企業を目指す
③ 仕事の効率化と原価改善に努めて、「安定した成果と自信」のみなぎる企業にする
「永続的発展」・・・NITTAN Challenge 10の達成に向かう
① 総ての事業の付加価値アップを追求し、事業の競争力と将来性を伸ばす
② 新たな発想、新たな研究、新たなチームワークで、「新たな開発」を進める
③ NPMを改善と革新の武器にして「一歩先」の、「一段上」の仕事に進化させる
「企業風土改革」・・・NITTAN Challenge 80に相応しい企業文化を築いて行く
① たゆまぬ改良と開発、そして、豊かな緑化活動で、地域環境の保護に寄与する
② 法令と法規を守り、モラルとマナーを律して、秩序と健康みなぎる企業体質にする
③ 教育を強化して、個性と能力を伸ばし、認め合う研鑽土壌に変えて行く
※NITTAN Challenge 80:設立80周年に向け、「どのような変化にも、どのようなニーズにも対応出来る工場
への変革」を目指す当社ビジョン
当社グループを取り巻く事業環境においては、急速なEVシフトへの一服感もある一方で、今後も世界的にはカーボンニュートラルに向け、電動車に対応する技術の向上が求められる他、バイオ・合成燃料等の新燃料や各国におけるモビリティごとの排出ガス規制に対応する製品開発などの新たな取り組みが求められております。
他方で、海外の経済・物価情勢や国際金融市場の動向、ウクライナや中東等を巡る地政学的な要因などにより、為替や経済の先行き見通しは不確実性が極めて高い状況が続くと見込まれます。このような混沌とした事業環境の中においても、既存製品の品質向上やコスト低減などで競争力を高めて市場浸透を図るとともに、「NITTAN Challenge 10」に基づき、高付加価値な新製品や次世代へ対応できる新事業を開発していくなど、当社グループの強みであるコア技術を生かして関連多角化を実現させ、各モビリティやパワートレイン等に対する「全方位的
アプローチ」を採ってまいります。また、これらの戦略を浸透させることにより、社員の行動力とコミット力を高めることに加え、既存の事業や製品のみに捉われない「新しいNITTAN」としての柔軟性を高めて、生き残りをただ模索するのではなく、VUCA時代の「勝ち組」となれるよう、邁進してまいります。
次年度につきましては、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を柱とする下記のグローバル経営方針を掲げ、その実現に向けた施策や取り組みを展開してまいります。
<2024年度 グローバル経営方針>
「基盤強化」・・・ 「QCDS」は、NITTANを評価するモノサシ
① 品質改革活動を強化し、不良率、不良損金率の20%削減を実現する
② 納期問題はグループ全体で対応し、早期に解決する
③ NPM活動を進め、原価改善10%を達成する
④ 職場環境を改善し、災害ゼロを実現する
「永続的発展」 ・・・ NC10/NCN達成に専念する
① NC10 VISIONⅠの拡販戦略をより具体化し、成長事業とする
② NC10 VISIONⅡの異業種アイテムは拡販を、xEVアイテムは基礎開発を済ませ、事業化目途を付ける
③ 環境改善及びNCN活動を愚直に展開し、CO₂削減目標(2013年比30%削減)を達成する
「企業風土改革」 ・・・ 生き残るのではなく、勝組になるための改革
① 事業環境の変化を正しく理解し、柔軟に対応する
② エシカルな思考を持ち、グローバルで活躍できる人財を育てる
③ コンプライアンスはもとより、健康経営の更なる一歩を進める
※1 ・・・ NPMは、「NITTAN Total Productive Management」の略称で、当社グループで展開している生
産システム効率化を極限まで追求する企業体質づくりを目標とするNITTAN流の改善活動です。
※2 ・・・ NC10 VISIONⅠは、ICE領域において既存事業の付加価値追求を目指す取り組みです。
※3 ・・・ NC10 VISIONⅡは、EV領域において新規事業化や商品化によるSDGsへの貢献を目指す取り組み
です。
※4 ・・・ NCNは、NITTANカーボンニュートラルの略称で、当社グループの事業活動で発生する温室効果
ガス排出量の削減を目指す取り組みです。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社は、企業理念の実践を通じて、コーポレートスローガン「CHALLENGE・CREATION・SPEED(挑戦・創造・スピード)」のもと、時代のニーズを先取りした高品質な製品・技術やアイディアを提供し続けることが社会課題の解決につながり、ひいては社会の豊かさの追求につながると考えております。
当社グループは全社的なリスクとして、「外部環境リスク」、「経営プロセスリスク」、「支援プロセスリスク」、「基幹プロセスリスク」のカテゴリーに分けて管理しております。気候変動を含むサステナビリティに関するリスクにつきましては、後述するガバナンス委員会にて社内関係部署が行った評価結果を定期的に検討及び審議し、リスクの把握と適切な対応を決定のうえ取締役会へ報告することで管理する体制としております。具体的なリスク及び対応策につきましては、
(2)重要なサステナビリティ項目
ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
① 環境への取り組み
② 社会への取り組み
③ ガバナンスへの取り組み
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
① 環境への取り組み ~NITTAN Carbon Neutralを通じ、CO2削減を積極的に推進~
当社は、企業理念の冒頭に、「環境との共生のもと企業の発展を通じて社会に貢献する」を掲げており、持続的な事業活動を行うためには、環境保全への取り組みが重要課題であると捉えております。この社会的な課題を解決するため、これまで省資源化、廃棄物やエネルギーの削減に取り組んでまいりました。
また、地球温暖化対策への社会的要請の高まりを受け、自社の事業活動で発生する温室効果ガス排出量の削減を宣言し、環境方針を策定・実行するだけでなく、新たな取り組みとして「NITTANカーボンニュートラル」(以下、NCNという。)を始動いたしました。NCNは、当社が新たな企業価値創造を実現するためにも必要な取り組みであると考えております。
<環境方針>
グローバルな事業活動を通じて地球環境保護及び地域社会との共生を果たしていきます。そして、自律した企業人として積極的に地域社会への貢献、環境保護への支援協力活動に取り組みます。更に、NITTAN Carbon Neutralの推進により、脱炭素社会を目指すことで、地球環境保護に貢献します。
1. 環境保護に関する活動は、技術的、経済的に広く、真摯に取り組み、健全な環境の維持、向上に努める。
2. CO2を主とする温室効果ガス削減に寄与する技術開発や商品化を推進する。
3. ものづくり改善と革新を進め、省エネ、省資源、省廃棄を加速する。
4. 環境関連法令や規制、国際社会における合意等を遵守し、環境保護の意義を浸透させる。
5. 環境汚染の防止に徹し、地域環境保全と企業のESGを遂行する。
6. 地球環境保護を目的に、目標・施策を定め継続的改善を推進する。
7. 環境教育・広報活動を通じ、地球環境問題・地域社会との共存の意識向上を図る。
8. この「環境方針」を、一般に開示し、地域社会との共生を図る。
当社は、上記記載の環境方針に基づき、「環境保護」、「環境負荷低減」、「環境啓蒙」の3つを主軸に、取り組みを実施しております。
「環境保護活動」
1. 環境保護活動及び法規制の遵守
地域環境汚染の予防
健全な環境維持活動の実践
2. 環境に配慮した製品づくり及び技術開発
環境負荷物質の低減
省資源型の製品開発
省エネ・省資源に寄与する製品開発を積極的に取り組み、環境保護につなげる。
3. 環境保全を意識した業務の遂行
クリーン&グリーン活動を展開し、環境負荷物質の使用を制限する。
環境美化活動を積極的に参加し、地域環境保全に努める。
「環境負荷低減活動」
当社の環境方針に掲げているネットシェイプ活動を積極的に展開し、材料・エネルギー使用量を削減する。また、3R活動(リデュース、リユース、リサイクル)を徹底し、廃棄物の再資源化を図る。
「環境啓蒙活動」
環境保全意識の高揚を目的に全従業員に対し、環境保護に関する教育を実施し、業務に関連した環境活動を認識させ、環境マネジメントシステムの定着と運用を実施する。
<環境マネジメントシステム>
当社は、環境国際規格である「ISO14001」を認証取得し、国内製造拠点において、生産活動を進める上での「環境負荷」を、製品開発から生産・出荷に至るまで徹底的に洗い出し、継続的改善を進め、環境負荷低減に取り組んでおります。
また、当社は、社長を最高責任者とする推進組織と環境委員会等により、環境マネジメントシステムに基づく環境改善活動も推進しております。
<NCN>
2022年4月より全社をあげてNCN活動を本格始動しております。日本政府が掲げた「2030年でCO2排出量を46%以上削減」の達成を指針とし、排出枠取引等を含め、CO2排出量50%削減を目標としております。現在、当該活動の軸となる各スコープ、カテゴリーごとのデータ収集を進め基準値の検証やCO2削減のロードマップ策定を進めており、今後の進捗、具体的な施策やロードマップ等については、活動の進捗に合わせホームページ等に適宜公表する予定であります。
② 社会への取り組み ~“NITTANグループ”らしい文化と社会の構築実現へ~
ものづくり企業である当社にとって、「品質」は、サステナビリティを実践する上での「生命線」であると考え、品質保証の基本方針として、「品質優先」を掲げております。顧客の品質(製品、納期、コスト、サービス)への期待やニーズを理解し、法令・規制を遵守し顧客の満足度を満たし、社会的責任を果たすことを目指しております。この基本方針を実現させるため、品質方針を定め、当社グループ一丸となって取り組みを推進しております。
また、企業を永続的に発展させるため、従業員、顧客のみならず地域社会との共生が必要不可欠であると考えております。そこで、環境にやさしい製品・技術の提供を実践するだけでなく、地域社会と連携し環境保護活動の一翼を担えるよう努め、地域環境との調和及び地域社会との共生を大切にしております。
<品質方針>
1. 全従業員は、一貫して品質優先に徹し、適用される要求事項及び法令・規制への適合を維持すると共に、
顧客の要望を満足させる。
2. 品質保証体制を整備し、維持するとともに、継続的改善により向上させる。
3. 挑戦と創造のできる人づくりに努める。
4. 安全で快適な職場づくりを目指す。
<品質マネジメントシステム>
当社は、上記記載の独自の品質方針に加え、品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」及び自動車産業に特化した品質マネジメントシステムの国際規格である「IATF16949」を認証取得し、当該規格に基づいた品質マネジメントシステムを構築、運用しております。
また、当社はグローバルに製造拠点を展開しておりますが、各拠点に最適な作業内容・手順を十分に検証し、採用・運用しております。
<地域環境・地域社会との共生>
近隣住民や従業員家族を招き、毎年夏に納涼祭を本社工場及び山陽工場でそれぞれ開催しております。また、その他にも寄付を通じた地域社会活動の支援等、地域に根差した取り組みを行っております。
特に、当社は、アジア・北米・欧州の海外9か国で、地域社会の人々に支えられ、長年事業活動を行ってまいりました。海外においても子会社を通じ、各地で社会貢献活動を推進しております。
③ ガバナンスへの取り組み ~経営の健全性、透明性、効率性の確保に向けて~
当社は、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、コーポレート・ガバナンスに関する基本的
な考え方とその枠組み、運営に係る方針を示すものとして、「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」
を制定しております。
また、当社は、企業理念の実践を通じ、社会の要請に応えられる企業を目指すには、各国・地域の法令遵守
に加え、従業員一人ひとりが、人間として求められる道徳心、倫理観を養うように努力し、常に良識と責任を
持った行動をすることが必要であると考えております。
この基本的な考え方とその枠組みを示す方針として、「NITTANグループ・グローバル行動規範」を制
定しております。
<コーポレート・ガバナンス体制の概要>
当社は、監査役会設置会社であり、会社の機関として株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しております。取締役会の経営監督機能の客観性及び中立性を一層高めるために、一般株主と利益相反のおそれのない独立社外取締役を3名選任しております。
また、独立社外取締役が半数を占める指名・報酬諮問委員会を設置し、役員指名や報酬決定等について取締役会へ助言及び提言を行っております。取締役の監督機能と業務執行を分離し、迅速かつ的確な意思決定を行うために執行役員制度も導入しております。監査役は、内部監査部門と必要に応じ随時、情報・意見交換を行うことにより相互連携を図っており、また会計監査人及び取締役と定期的な意見交換を実施し、適切、適正な監査を行うことでコーポレート・ガバナンスの充実を推進しております。
<コンプライアンス体制の概要>
当社は、グローバル・コンプライアンス・プログラムを策定し、経営トップがコンプライアンスに関するコミットメントを行い、当社グループ全体にわたる管理体制を構築しております。コンプライアンス意識の向上と法令遵守を保証する仕組みとして、ガバナンス委員会を設置しております。関係会社及び各部門にコンプライアンス責任者を設置することで責任を明確化し、きめ細かな管理体制を構築しております。また、内部監査部門であるコーポレート・ガバナンス部を社長直轄の独立部門として設置し、定期的に関係会社及び各部門に対し監査を行うことで効率的な内部監査を実現しております。さらに、当社グループの全ての役員及び従業員が利用可能な内部通報制度を導入し、コンプライアンス違反等に迅速かつ適切な対応を図ることができる体制を構築し、推進しております。
<ガバナンス委員会>
当社は、当社の取締役(社内)、監査役(社内)及び必要に応じ任命された執行役員で構成されるガバナンス委員会を設置すると共に、国内外の関係会社及び各部門にコンプライアンスの責任者及び担当者を設け、コンプライアンスを推進する体制を構築しております。関係会社及び各部門のコンプライアンス責任者には、当該委員会に対して自ら定めた推進計画につき定期的に進捗報告を行わせており、当該報告に加えて、当社の内部監査部門が行った監査結果について当該委員会で審議を行った上で、委員長が取締役会及び監査役会へ報告を行っております。また、当該委員会にグローバル事務局を設け、円滑な運営を図るとともに啓蒙活動にも注力しております。
<グループ内部通報制度>
法令違反・不正行為・ハラスメント行為に対して、当社グループに従事する全ての役員及び従業員が通報できるグループ内部通報制度を設け、当該制度に基づく通報窓口は、社内「コーポレート・ガバナンス部」及び社外「外部の法律事務所の弁護士」としております。通報は、「電話」「電子メール」「郵便」「FAX」のいずれによっても受け付けることで利便性を確保し、また通報者保護も周知しております。国外からの通報手段は電子メールに限るものとしておりますが、使用言語は、日本語、英語、中国語とすることで、グローバルでの運用を可能としております。なお、内部通報については、定期的に取締役会に報告し、取り組みのモニタリングを行っております。
(3)人的資本
① 人材育成方針
当社は「基盤強化」「永続的発展」そして「企業風土改革」を方針の三本柱と定め、企業及びグループ統治に努めてきました。その核にあるのは、“ひと”であり、“ひと=従業員”の成長が企業の発展と成長に繋がるという考えに基づき、コーポレートスローガンである「挑戦 × 創造 ×スピード」を体現し、“常に努力をし続け、感謝の気持ち・謙虚な姿勢・情熱”をあわせ持つ「誠実」な「NITTAN人材」の育成を進めております。
<戦略>
1. 多様な人材の活躍推進
当社では、多様な人材の活躍が中長期的な企業価値向上に繋がるものと捉えております。女性や外国籍社員の管理職登用に向けた育成や、女性の製造現場への積極的な配属の展開、正社員登用制度の拡充、高年齢者の活躍推進、キャリア人材やハンディキャップ人材の積極的な採用等、多様性を視野に入れた人材の確保と育成を推進していきます。
2. マルチスキル人材・専門人材の育成
職場異動を通じた育成やリスキリングによる新たなスキルの獲得を支援し、マルチスキルを備えた人材を育成していきます。また、従業員の適性を見極めながら、特定の専門領域に特化した経験を積んだ専門人材の育成も進めていきます。
3. 中核人材・後継者の育成
持続的な成長を実現するために、抜擢制度による若手人材へのチャレンジングな機会の提供やリーダーシップ研修等の選抜型教育による育成を強化し、計画的に中核人材や次世代を担う後継者の育成を進めていきます。
4. 従業員の自律的なキャリア形成の支援
従業員の自律的な意識を醸成するために、従業員が自律的に自身のキャリアを考え、自らの意思で希望する仕事や職場や伸ばしていきたい能力等について申請できる制度や、社内における人材の募集に対し自ら手を挙げて希望する職場や業務へ挑戦できる制度を整備していきます。
② 社内環境整備に関する方針
当社は経営理念で「人間性を尊重し、夢と活力ある職場を創造する」としており、人権を尊重し、差別のない多様な人材が活躍できる職場環境の確保に取り組んでおります。また、「安全」「安心」「安定」が実現できる企業づくりを進めており、職場の安全と従業員の心身の健康を守ることで、組織活力と創造力を最大化し、企業価値向上に繋げていきます。
<戦略>
1. 健康経営の推進
社外専門家による健康づくりセミナーの開催、産官学連携に基づく健康志向の高い社食提供・健康意識向上施策を実施していきます。また、産業医面談による健康管理や社外の臨床心理士・外部カウンセラーによるメンタルヘルスケアも推進しております。
2. 安全な職場環境の整備
社外の専門家を交えた定期的な安全教育や安全パトロールを実施し、職場における危険個所の見える化、労働災害や火災の未然防止活動、作業者の身体的負荷軽減活動等、安全で働きやすい職場環境作りに努めております。
3. 過重労働の防止
毎月、労働組合との時間外労働に関する協議の実施や、会社による定期的な労働時間のモニタリングにより、時間外労働の抑制を進めております。また、労使で一体となった有給休暇取得の推進等を通じて、ワークライフバランスの確保に努めております。
4. ハラスメント防止
ハラスメント防止に向けて継続的に従業員への教育を実施しております。また、管理職への多面評価による意識の醸成により、上司から部下へのハラスメントの未然防止に努めています。社内相談窓口の他、社外の内部通報窓口の設置により、ハラスメント防止に向けた体制を整えております。
③ 指標及び目標
当社では、上記「人材育成方針及び社内環境整備に関する方針、戦略」において、次の指標を用いております。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
定量的な目標設定につきましては重要な経営課題であると認識し、引き続きその他の目標設定についても進めていきます。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスク及びそれに対する主な対応策は以下のとおりです。ただし、以下のリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営ないし事業リスクを最小化するために様々な対応を行ってまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境リスク
世界的な経済社会活動の正常化が一段と進むなかで景気は緩やかな回復の動きが続いておりますが、ウクライナ
や中東等の国際情勢の不安定化等を背景とする資源価格の高止まり、世界的な金融引き締め等、為替や経済の見通
しの不確実性が極めて高い状況が続くと見込まれます。世界的な半導体等の部品不足による供給制約等は緩和して
おりますが、同様の制約等の再発によるサプライチェーンの混乱や生産調整は当社製品の受注に与えるリスクとな
ります。
また、自動車用等の内燃機関の電動化の進展、世界的な環境規制の強化等による内燃機関の生産減少は、当社既 存事業領域の市場規模縮小につながり、当社グループの経営を圧迫する恐れがあります。
(2)経営プロセスリスク
製造業である当社グループにおいて、製造現場における効率化の遅延は価格をはじめとする製品競争力の低下に
つながります。間接部門においてもIT化の遅延は効率的な経営の妨げとなり、適時的確な経営判断の障害となる危
険性があります。この対応として、ITシステムの適時の更新及び構築を進めております。
また、当社グループは海外関係会社を有し、様々な法制の下で企業運営を行っておりますが、言語の問題や十分
な人員配置が困難なことも要因となり、グループ全体に対するガバナンスが不十分となるリスクを有しておりま
す。本リスクに対応するため、現地法人トップとの情報交換による状況把握、当社本社による定期的な監査等によ
りリスクの低減を図ってまいります。
(3) 支援プロセスリスク
当社グループが必要とする各種の優秀な人材の採用は容易ではない状況になっておりますが、採用体制の強化、採用ツール・施策の充実により対応しております。
また、当社グループは事業活動における法令遵守に努めており、『NITTANグループ・グローバル行動規範』の当社グループ内への浸透、ガバナンス委員会を中心とする当社グループ内のコンプライアンス強化活動の推進をしております。しかしながら、『NITTAN Challenge 10』による新規商品の開発においては知的財産権に関するリスクを十分に考慮して進める必要がある他、製造物責任、独占禁止法等の法的手続に関する当事者になり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
その他、当社グループでは情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティ管理規程等を制定しITセキュリティ対策の推進に努めておりますが、サイバー攻撃を受けた場合やシステムに予想し得ないトラブルが起きた場合、業務に支障をきたすおそれがあります。また、情報へのアクセス制御、パスワード管理の徹底等を図り不正アクセス等による情報漏洩対策をしておりますが、予期し得ない事象により個人情報や秘密情報の漏洩が起こるおそれがあり、対応費用が発生するリスクがあります。
そして、当社グループでは環境汚染の防止に努める他、カーボンニュートラルに向けたCO2削減の為、電力使用量の削減、グリーンエネルギーの活用を主とする「NITTAN Carbon Neutral」活動を実施しており、環境汚染、CO2削減の未達成によるリスクの低減を図ってまいります。
(4) 基幹プロセスリスク
革新技術の出現による当社グループの既存製品の競合先に対する製品競争力の低下、リコール・品質不良による顧客への損害の発生及び費用求償、工場火災、機械設備の故障等による生産停止、納入遅延・不能による顧客への損害の発生及び費用求償、これらによる社会的評価の低下等を通じて、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性がございます。なお、当社堀山下工場(舶用部品工場)の火災発生により、その再発リスクを低減するための対応も進めております。当社グループでは、継続的なコスト削減活動や顧客ニーズに沿った製品開発を進めることに加え、「品質優先に徹し、顧客の信頼に応える」という品質に関する基本方針の実現の為、ISO9001及びIATF16949規格に基づく品質マネジメントシステムの徹底による取り組みを推進しております。
また、取引先が限られる材料・部品調達等が困難になることによる生産への影響等が考えられますので、該当取引先との綿密な情報交換及び動向把握に基づく早期対応により、本リスクが顕在化した場合の影響を可能な限り軽減してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、経済社会活動の正常化が一段と進むなかで景気は緩やかな回復の動きが続きました。しかしながら、国際情勢の不安定化等を背景とする資源価格の高止まりに加え、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き不安等による影響が懸念されるなど不透明な状況での推移となりました。また、当社グループが最も影響を受ける自動車業界におきましては、半導体等の部品不足に伴う供給制約の緩和により、グローバルでの生産・販売は堅調な推移となっています。
このような状況下、当社グループは、「基盤強化」、「永続的発展」、「企業風土改革」を柱とするグローバル経営方針を掲げ、当社グループのパーパスである「当社が保有するあらゆる技術を駆使し、モビリティ業界のカーボンニュートラル実現に貢献していく」ことを目指し、国内外で競争力を高める施策や取り組みを積極的に展開してまいりました。その実現に向けた当社グループの中長期経営VISIONである「NITTAN Challenge 10」につきましても、VISIONⅠ(ICE領域)およびVISIONⅡ(EV領域)における各アイテムの拡大と事業化に向けた開発を着実に進めております。
なお、2023年12月31日に当社堀山下工場(舶用部品工場)において発生した火災に関しましては、関係各位に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしました。当火災では生産設備及び工場建屋の一部焼損に伴い同工場の稼働及び舶用部品製品生産への影響が生じましたが、当社では当火災の重大性に鑑みて火災発生直後に火災対策本部を設置し、原因追究とそれを踏まえた再発防止策を実行するとともに、関係各位のご協力とご支援をいただきながら工場稼働の復旧及び生産・納品の挽回に総力を挙げて注力してまいりました。引き続き、安全面の徹底とともに早期の全面復旧と正常化に向け鋭意取り組んでまいります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は半導体等の部品不足等に起因した生産調整の解消に伴う受注回復や為替換算の円安効果等に加え、原材料・エネルギー価格上昇分の販売価格への反映等により前期に比べ大幅な増収となりました。この結果、売上高は494億78百万円(前期比18.2%増)となりました。
損益面につきましては、売上原価は、当社堀山下工場(舶用部品工場)の火災影響によるコスト増加要因はあったものの、生産効率の改善や原価低減活動の取り組みなどによりコスト低減を進め、売上原価率が前連結会計年度の87.0%から86.6%へ0.4%減少しております。
販売費及び一般管理費は、費用低減を進めたことや、受注増加や販売価格改定に伴う増収による固定費負担割合の減少などにより、対売上高率は前連結会計年度の9.6%から9.3%へ0.3%減少しております。
この結果、営業利益は20億23百万円(前期比40.4%増)となりました。この増加のうち、為替変動が占める割合は22.6%であります。
営業外収益は前連結会計年度と比べて1億55百万円増加し、6億79百万円となりました。営業外収益の増加の主なものは、受取利息が増加したことなどによるものであります。また、営業外費用は、前連結会計年度と比べて15百万円増加し、2億20百万円となりました。営業外費用の増加の主なものは、支払利息や雑損失が増加したことなどによるものであります。
この結果、経常利益は、24億82百万円(前期比41.1%増)となりました。
特別利益は、1百万円となりました。また、上記火災による物的被害に起因する修理・修繕などの復旧費用等を、「災害による損失」及び「災害損失引当金繰入額」として計上したことなどから、特別損失は、前連結会計年度と比べて1億27百万円増加し、1億45百万円となりました。
法人税等については、繰延税金資産の回収可能性を再検討したことに伴い、法人税等調整額を見直したことなどにより、前連結会計年度と比べて2億37百万円増加し、9億82百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて1億44百万円増加し、7億54百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ増益となる、6億1百万円(前期比53.4%増)となりました。
なお、当社グループでは経営成績を判断する上で、事業の拡大及び収益性の指標として売上高及び営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重視しています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(小型エンジンバルブ)
当セグメントの売上高につきましては、国内事業は半導体等の部品不足に起因した生産調整の解消に伴う受注回復等により四輪車用エンジンバルブは前期に比べ増収となりました。二輪車用エンジンバルブは、レジャー・中大型向け製品の生産調整等の影響により前期に比べ減収となりました。
海外事業は、タイ、ベトナムの子会社において受注量が若干減少したものの、生産調整の解消に伴うアジア、北米、欧州の各地域・各拠点における受注回復、為替換算の円安効果および北米子会社における販売価格の改定等により前期に比べ増収となりました。
汎用エンジンバルブは、一部海外向け製品の生産調整等により前期に比べ減収となりました。
損益面につきましては、北米子会社において為替換算の影響等により損失が増加したものの、受注回復に伴う増収効果や為替換算の円安効果に加え、販売価格の改定や生産効率の改善による国内事業の損失幅縮小等により増益となりました。
この結果、売上高416億77百万円(前期比22.7%増)、セグメント利益(営業利益)18億13百万円(前期比40.0%増)となりました。
(舶用部品)
当セグメントの売上高につきましては、国内顧客向けの高単価な船舶用補用部品の好調や販売価格の改定等により堅調に推移しておりましたが、同製品の国内生産拠点である当社堀山下工場(舶用部品工場)における火災発生により、同工場の稼働及び生産に影響が生じたことに伴い前期に比べ減収となりました。
損益面につきましては、受注増加に伴う増収効果や販売価格の改定等により増益を見込んでおりましたが、火災影響による売上高の減少及び生産・納品対応による外注費等の追加コスト発生等により、損失計上となりました。
この結果、売上高36億27百万円(前期比3.6%減)、セグメント損失(営業損失)1億69百万円(前期はセグメント利益(営業利益)90百万円)となりました。
なお、当セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高62百万円を含んでおります。
(歯車)
当セグメントの売上高につきましては、自動車用製品は海外向け製品の販売不振等により販売数量は減少したものの、販売価格の改定等により前期に比べ増収となりました。産業機械用製品は建機用部品の受注が増加し前期に比べ増収となりました。
損益面につきましては、依然として損失計上であるものの、販売価格の改定や生産効率改善及び原価低減等の活動が奏功したこと等により損失幅が縮小しました。
この結果、売上高24億94百万円(前期比2.0%増)、セグメント損失(営業損失)1億9百万円(前期はセグメント損失(営業損失)3億8百万円)となりました。
(PBW)
当セグメントの売上高につきましては、販売価格の改定等による増収要因はあったものの、海外向け製品の販売不振及び転注等による販売数量の減少により前期に比べ減収となりました。
損益面につきましては、販売価格の改定や生産効率改善及び原価低減等の活動が奏功したこと等により、前期に比べ増益となりました。
この結果、売上高10億4百万円(前期比5.1%減)、セグメント利益(営業利益)1億56百万円(前期比37.5%増)となりました。
(その他)
当セグメントの売上高につきましては、バルブリフターは、一部製品の転注等により減収となりました。可変動弁は、補用品の減少により減収となりました。工作機械は、グループ内部での取引増加により増収となりました。ロイヤルティーは、グループ内部での取引増加および為替換算の円安効果等により増収となりました。農作物は、販路拡大等により増収となりました。
この結果、売上高25億53百万円(前期比39.0%増)、セグメント利益(営業利益)1億37百万円(前期比175.6%増)となりました。
なお、当セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高18億16百万円を含んでおります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
当社グループは、各納入先より提示された生産計画をもとに、当社グループの生産能力を勘案して生産計画を立てる方法が主体となっている事から、受注実績は生産実績に近似するため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
当連結会計年度末における総資産は、629億81百万円となり、前連結会計年度末と比較して60億74百万円の増加となりました。
資産の部の流動資産は、281億19百万円となり、前連結会計年度末と比較して34億23百万円の増加となりました。この主な要因は、現金及び預金が22億44百万円、原材料及び貯蔵品が6億4百万円、受取手形及び売掛金が2億50百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、348億62百万円となり、前連結会計年度末と比較して26億50百万円の増加となりました。この主な要因は、機械装置及び運搬具(純額)が10億1百万円減少した一方、投資有価証券が26億39百万円、建設仮勘定が6億78百万円増加したことなどによるものであります。
負債の部の流動負債は、138億56百万円となり、前連結会計年度末と比較して13億16百万円の増加となりました。この主な要因は、短期借入金が4億62百万円減少した一方、その他に含まれるもののうち未払金が9億41百万円、支払手形及び買掛金が5億89百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、120億79百万円となり、前連結会計年度末と比較して6億90百万円の増加となりました。この主な要因は、退職給付に係る負債が1億83百万円減少した一方、繰延税金負債が8億27百万円増加したことなどによるものであります。
純資産の部は、370億45百万円となり、前連結会計年度末と比較して40億67百万円の増加となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金が19億25百万円、為替換算調整勘定が9億64百万円、非支配株主持分が5億49百万円増加したことなどによるものであります。
なお、通貨別の為替の変動につきましては、当社の連結子会社のある国では、前連結会計年度末と比べ、全ての通貨が円安に進みました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は90億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ、22億44百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により、69億61百万円の資金増加(前連結会計年度は、47億98百万円の資金増加)となりました。この資金増加は主に、非資金取引である減価償却費45億37百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により、33億35百万円の資金減少(前連結会計年度は、25億32百万円の資金減少)となりました。この資金減少は主に、有形及び無形固定資産の取得による支出33億55百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により、19億12百万円の資金減少(前連結会計年度は、21億96百万円の資金減少)となりました。この資金減少は主に、長期借入金の返済による支出18億78百万円によるものであります。
資金調達の基本方針、及び資金調達手段に関して、当社は円滑な事業活動に必要な流動性及び財務健全性の確保を、資金調達の基本方針としております。これに則し、金融機関との間で長期にわたり培った良好な関係に基づき、主として本邦銀行、生保等からの7年程度の長期資金を中心とした資金調達を行っております。同時に長期資金の年度別償還額の集中等を避けることで借り換えリスクの低減を図っております。今期末において予定している次期の設備投資に関しては、自己資金、及び長期借入金による資金調達を行う予定です。
流動性の確保に関しましては、当連結会計年度における流動比率は202.9%、当座比率は125.5%となっており、十分な流動性を確保していると認識しております。
財務健全性に関しましては、当連結会計年度における自己資本比率は45.2%となり、円滑な業務遂行を維持するという点に関して、健全な範囲にあると認識しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要と考えている主なものは以下のとおりです。
(a) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異の解消見込額について、収益力やタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が十分に確保できることを前提に、繰延税金資産を慎重に計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに左右されるため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の修正を行うため、将来の税金費用に影響を与える可能性があります。
(b) 退職給付債務及び退職給付費用の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(c) 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、管理会計上の区分を基準として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失を計上し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(提出会社)
外国との技術ライセンス契約
当社中長期ビジョンとして掲げた「NITTAN Challenge 10」により、「VISIONⅠ:既存事業の飽くなき進化と競争力の強化」および「VISIONⅡ:脱炭素化社会に向けた新規事業化」の二つの柱を、市場ニーズ及び顧客戦略に合わせて展開する研究開発活動を実施しています。2024年3月には、研究開発活動をさらに活性化することを目的に、「VISIONⅠ」の開発アイテムを中心とした早期量産化に向けた設計的な改良を主とする量産開発部と、「VISIONⅡ」アイテムを含む様々な加工品や新製品の企画・開発を担当する先行開発部を新たに設置し、それぞれが有機的に活動できる体制を構築するための組織変更を行いました。
当連結会計年度の研究開発活動は、既存事業として、二輪・四輪車をはじめ、船舶用等の内燃機関の性能向上に寄与する動弁系部品を主要製品と位置づけ、地球環境保護に対するエンジンの低燃費化、排気ガス規制、及び、燃料多様化に対応した製品や、グローバル展開に繋がるコスト低減のための開発を継続しています。
新規事業としては、世の中の電動化シフトのタイミングを見ながら、当社のコア技術を活かしたものづくり開発を推進しています。また、電動アシスト自転車等に照準を当てたユニット開発なども推進しており、量産化と技術の醸成を並行して進めています。当連結会計年度における、既存のセグメントに直接関連しないこれらの新規事業等のための研究開発費の金額は255百万円であります。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 小型エンジンバルブ
高効率エンジン用バルブとして次世代型冷媒封入中空バルブの開発、カーボンニュートラルに対応した水素燃料、代替燃料エンジン用バルブの顧客への提案・評価に取り組んでいます。
また、市場のEV化ニーズが高まる中、各顧客の動向は必ずしもEV化一辺倒ではなく、内燃機関の活用も見直されており、開発期間短縮を想定し、DXを意識した開発効率の改善活動を進めております。
さらに、顧客エンジン生産拠点の合理化対応に合わせ、当社グローバル複数拠点での最適化に取り組んでいます。
四輪向け・二輪向け・汎用エンジン向けを問わず、多種多様な顧客ニーズに応える体制を構築し、顧客開発期間の合理化に対応した製品開発、試作・評価への取組みを継続し、拡販活動を強化していきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2) 舶用部品
舶用業界各社は、電動化ではなく、GHGフリー燃料を利用した内燃機関の開発を推進しています。そのニーズに応えるべく、長寿命化技術として耐摩耗盛金材などの高付加価値製品を開発しています。また顧客の次世代エンジン開発に向けた舶用中空バルブ、ウェーブバルブの開発を推進しており、顧客との評価試験を推進中です。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(3) 歯車
歯車は、素材投入量の削減、使用電力削減やスクラップ削減等の観点から、更なるニアネット鍛造や金型長寿命化を見据えたものづくり開発を継続しています。また、更なる拡販や新規市場への参入を見据え、既存歯車の改良や熱間鍛造技術を応用した新規製品の開発も推進しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(4)PBW
PBWは、2024年度の生産中止計画を受け、ものづくり開発や生産性改善の活動も凍結しております。
なお、当連結会計年度におきましては、研究開発費を計上しておりません。
(5) その他
リフター事業では、国内外顧客向けHLA(油圧ラッシュアジャスタ)及びRRA(ローラーロッカーアーム)拡販の取組みを継続しています。また、弊社既存技術を活用し、中型・大型機関の市場に向けて、性能向上やメンテナンスサイクル延長を狙ったHLAの開発を進めています。
工作機械関連では、既存事業のエンジンバルブ外観検査装置の1号機を完成させ導入済みで、国内事業所へ2号機3号機の導入予定です。今後、海外を含めた展開を進めてまいります。また、歯車事業においてもAI外観検査装置の実用化1号機導入済です。さらに、新たにプレスシステムを導入し、新事業を含めた高精度鍛造を追求するとともに、鍛造後のばら積みされた仕掛品を製造設備へ自動投入することを目指した搬送装置の実用化にも着手いたしました。加えて、「NITTAN Challenge 10」の新事業に向けた複合加工機や高機能マシニングセンター+搬送機によるスマートファクトリーを目指した全自動化にも取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は