【連結財務諸表注記】
1.報告企業
住友理工㈱(以下、「当社」という。)は、日本に所在する株式会社であります。当社の連結財務諸表は2024年3月31日を期末日とし、当社及び子会社(以下、「当社グループ」という。)並びに当社の関連会社により構成されております。当社グループの主な事業内容は、注記「6.セグメント情報」に記載しております。
なお、当社の親会社は住友電気工業㈱であります。
2.作成の基礎
(1) 連結財務諸表がIFRSに準拠している旨の記載
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に定める「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
本連結財務諸表は、2024年6月20日に取締役会によって承認されております。
(2) 測定の基礎
連結財務諸表は、注記「3.重要性がある会計方針」に記載のとおり、公正価値で測定されている特定の金融商品、及びトルコの子会社における超インフレ会計の適用等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(3) 表示通貨及び単位
連結財務諸表の表示通貨は、当社の機能通貨である日本円であり、百万円未満を四捨五入しております。
(4) 会計方針の変更
(IAS第12号「法人所得税」の改訂の適用)
当社グループは、2023年5月に公表された、IAS第12号「法人所得税」の改訂を当連結会計年度より適用しております。当該改訂は、OECDによるBEPSの第2の柱GloBE(グローバル・ミニマム課税)ルールを導入するために制定された又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に、IAS第12号が適用されることを明確化した上で、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識及び開示しないことを要求する一時的な例外措置を定めております。また、当該改訂は公表後直ちに遡及適用するよう定められており、当社グループは当該例外措置を当連結会計年度より遡及適用し、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識及び開示しておりません。
また、当連結会計年度より、IAS第12号「法人所得税」の改訂(単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金)を適用しております。
当該基準書の適用による当社グループの連結財務諸表への重要な影響はありません。
3.重要性がある会計方針
以下に記載されている会計方針は、他の記載がない限り、連結財務諸表に記載されているすべての期間において、継続的に適用されております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有していることをいいます。子会社は当社グループが支配を獲得した日から連結を開始し、支配を喪失した日以降は連結を中止しております。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引から生じた未実現損益は、連結財務諸表の作成にあたり消去しております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
連結財務諸表には、決算日を親会社の決算日に統一することが、子会社の所在する現地法制度上不可能である等の理由により、親会社の決算日と異なる日を決算日とする子会社の財務諸表が含まれております。当該子会社の決算日と親会社の決算日の差異は3ヶ月を超えることはありません。
連結財務諸表の作成に用いる子会社の財務諸表を親会社と異なる決算日で作成する場合、その子会社の決算日と親会社の決算日との間に生じた重要な取引又は事象については調整を行っております。
支配が継続する子会社に対する当社グループの持分変動については、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業の財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配は有していない企業をいいます。関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しております。
連結財務諸表には、決算日を親会社の決算日に統一することが、関連会社の所在する現地法制度上不可能である等の理由により、親会社の決算日と異なる日を決算日とする関連会社への投資が含まれております。決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については調整を行っております。
(2) 企業結合及びのれん
当社グループは、企業結合の会計処理として取得法を適用しております。企業結合において取得した識別可能資産及び引き受けた識別可能負債と偶発負債は、取得日における公正価値で測定しております。取得に関連して発生した費用は、発生時に費用として認識しております。非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別されます。被取得企業に対する非支配持分の測定については、非支配持分を公正価値で測定するか、被取得企業の識別可能な資産及び負債の純額に対する非支配持分の比例割合で測定するか、個々の企業結合取引ごとに選択しております。
のれんは、移転された企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。
割安購入により、当該金額が取得した識別可能資産及び負債の正味価額を下回る場合、差額は純損益として認識しております。
のれんは償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの帳簿価額は取得原価から減損損失累計額を控除した額で表示しております。のれんの減損損失は純損益として認識し、戻し入れは行っておりません。
のれんは、減損テスト実施のために、企業結合からの便益を得ることが期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
当社グループ各社の財務諸表は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨で作成しております。連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算しております。期末日における外貨建の貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算し、換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債については期末日の為替レート、収益及び費用については、連結会計期間中の為替レートが著しく変動している場合あるいは超インフレ経済国の通貨である場合を除き、期中平均レートを用いて日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識しております。当該差額は「在外営業活動体の為替換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めております。在外営業活動体の換算差額は、在外営業活動が処分された期間に純損益として認識しております。超インフレ経済下にある子会社の財務諸表は、決算日の直物為替相場により換算し、当社グループの連結財務諸表に反映しております。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から概ね3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(5) 金融商品
① デリバティブ以外の金融資産
(ⅰ)分類
当社グループは、デリバティブ以外の金融資産を、償却原価で測定される金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、又は純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
償却原価で測定される金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合に償却原価で測定される金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
(a) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合にその他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産
償却原価で測定される金融資産、又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融資産以外の金融資産のうち、当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択をした資本性金融資産については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
ただし、純損益を通じて公正価値で測定しない金融資産に対し、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産として指定することにより、会計上のミスマッチを除去又は大幅に低減する場合には、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産として指定する取消不能な選択をする場合があります。
(ⅱ)当初認識及び測定
当社グループは、営業債権及びその他の債権を、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当社グループが当該金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識しております。すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを加算した金額で当初測定しております。
(ⅲ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
償却原価で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
(a) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、減損利得又は減損損失及び為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止が行われるまで、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、又は公正価値が著しく下落した場合、過去に認識したその他の包括利益は利益剰余金に直接振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については純損益として認識しております。
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(ⅳ)認識の中止
金融資産は、キャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅したか、譲渡されたか、又は実質的に所有に伴うすべてのリスクと経済価値が移転した場合に認識を中止しております。
また当社グループは、金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しております。
(ⅴ)減損
当社グループは償却原価で測定される金融資産に係る予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。
信用リスクの著しい増大の判定
当社グループは、期末日ごとに、金融資産の債務不履行発生のリスクを期末日現在と当初認識日現在で比較し、金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているかどうかを評価しております。
なお、当社グループは、信用リスクが著しく増加しているかどうかを当初認識以降の債務不履行の発生リスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行の発生リスクに変化があるかどうかを評価するのにあたっては、主に期日経過の情報を考慮し、以下も考慮しております。
・金融資産の外部信用格付の著しい変化
・内部信用格付の格下げ
・借手の経営成績の悪化
予想信用損失アプローチ
予想信用損失は、契約に基づいて当社グループが受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の現在価値であります。金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定し、著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
なお、上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権については、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しております。貸倒引当金を減額する事象が発生した場合は、貸倒引当金の戻入額を純損益で認識しております。
② デリバティブ以外の金融負債
(ⅰ)分類
当社グループは、デリバティブ以外の金融負債を、償却原価で測定される金融負債に分類しております。ただし、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債として指定する取消不能な選択をする場合、当該金融負債は純損益を通じて公正価値で測定される金融負債に分類しております。
(ⅱ)当初認識及び測定
当社グループは、当社グループが発行した負債証券を、その発行日に当初認識しております。その他のすべての金融負債は、当社グループが当該金融負債の契約当事者になる取引日に当初認識しております。すべての金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債に分類される場合を除き、公正価値に取引コストを加算した金額で当初測定しております。
(ⅲ)事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、償却原価で測定される金融負債については、実効金利法による償却原価で測定し、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(ⅳ)認識の中止
金融負債は消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替リスクや金利リスクをヘッジするために、為替予約及び金利スワップ等のデリバティブを利用しております。当該デリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初測定し、その後も公正価値で事後測定しております。
デリバティブの公正価値の変動額は、純損益として認識しております。ただし、キャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分はその他の包括利益として認識しております。
(ⅰ)ヘッジ会計の適格要件
当社グループは、ヘッジ関係がヘッジ会計の適格要件を満たすかどうかを評価するために、取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係、並びに種々のヘッジ取引の実施についてのリスク管理目的及び戦略について文書化しております。また、ヘッジ取引に利用したデリバティブがヘッジ対象の公正価値、又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し、ヘッジ有効性の要求をすべて満たしているかどうかについても、ヘッジ開始時に及び継続的に評価し文書化しております。なお、ヘッジ有効性の継続的な評価は、各期末日又はヘッジ有効性の要求に影響を与える状況の重大な変化があった時のいずれか早い方において行っております。
(ⅱ)適格なヘッジ関係の会計処理
ヘッジ会計の適格要件を満たすヘッジ関係については、以下のように会計処理しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る公正価値の変動額のうち、ヘッジ有効部分であるキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金はその他の包括利益として認識し、ヘッジ有効部分以外は純損益として認識しております。
ヘッジされた予定取引がその後に非金融資産若しくは非金融負債の認識を生じる場合、又は、非金融資産若しくは非金融負債に係るヘッジされた予定取引が公正価値ヘッジが適用される確定約定となった場合、キャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金を直接、当該資産又は負債の当初原価又はその他の帳簿価額に振り替えております。
上記以外のキャッシュ・フロー・ヘッジに係るキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金は、ヘッジされた予想将来キャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に、純損益に振り替えております。
ただし、当該金額が損失であり、当該損失の全部又は一部が将来の期間において回収されないと予想する場合には、回収が見込まれない金額を、直ちに純損益に振り替えております。
ヘッジ会計を中止する場合、キャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金は、ヘッジされた将来キャッシュ・フローの発生が依然見込まれる場合には、当該キャッシュ・フローが発生するまでキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金に残し、ヘッジされた将来キャッシュ・フローの発生がもはや見込まれない場合には、純損益に直ちに振り替えております。
④ 金融資産及び金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識された金額を相殺する強制可能な法的権利が現時点で存在し、かつ純額ベースで決済するか又は資産を実現すると同時に負債を決済する意図が存在する場合にのみ、相殺し、連結財政状態計算書において純額で表示しております。
⑤ 金融商品の公正価値
各報告日現在で活発な市場において取引されている金融商品の公正価値は、市場における公表価格又はディーラー価格を参照しております。活発な市場が存在しない金融商品の公正価値は、適切な評価技法を使用して算定しております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべての原価を含めております。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上しております。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における予想売価から関連する販売直接費を控除した額であります。取得原価は主として総平均法を用いて算定しております。
(7) 有形固定資産
有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、撤去及び原状回復費用並びに借入費用で資産計上の要件を満たすものが含まれております。
取得後に追加的に発生した支出については、その支出により将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、金額を信頼性をもって測定することができる場合にのみ、当該取得資産の帳簿価額に算入するか個別の資産として認識するかのいずれかにより会計処理しております。他のすべての修繕及び維持に係る費用は、発生時に純損益として認識しております。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法で償却しております。
主な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び構築物 : 3~50年
・機械装置及び運搬具 : 4~12年
・工具、器具及び備品 : 2~15年
有形固定資産の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、期末日ごとに見直しを行っております。
(8) リース
2020年3月期よりIFRS第16号の適用に伴い、当社グループは、契約の開始時に、特定された資産の使用を支配する権利が一定期間にわたって対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。リース期間が12ヶ月以内のリース及び原資産が少額であるリース以外の全てのリースについて、原資産を使用する権利を表す使用権資産とリース料を支払う義務を表すリース負債を認識しております。リース開始日時点において、使用権資産はリース料総額の割引現在価値に取得時直接コスト等を調整した額で認識しており、リース負債はリース料総額の割引現在価値で認識しております。通常、当社グループは割引率として追加借入利子率を使用しており、使用権資産はリース期間にわたり定額法にて償却しています。リース料は、リース負債に係る金利を控除した金額をリース負債の減少として処理しております。金融費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。
(9) 無形資産
無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識に際し取得原価で測定し、企業結合において取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しております。なお、自己創設の無形資産については、資産化の要件を満たす開発費用を除き、その支出額はすべて発生した期の費用として計上しております。
無形資産は、資産の取得原価から残存価額を控除した額について、見積耐用年数にわたり、定額法で償却しております。主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウエア : 5年
・開発資産 : 5年
無形資産の償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、期末日ごとに見直しを行っております。
(10) 非金融資産の減損
当社グループは四半期ごとに、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が存在する場合、又は、毎年減損テストが要求されている場合には、その資産の回収可能価額を見積っております。回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定しております。処分コスト控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏付けられた適切な評価モデルを使用しております。また、使用価値の評価における将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した割引率を使用して、現在価値まで割り引いております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合に、純損益として認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、四半期ごとに損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかを評価しております。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、減損損失を戻し入れております。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
(a) 確定給付制度
当社及び一部の子会社では確定給付制度を採用しております。確定給付制度に関連して連結財政状態計算書で認識される資産又は負債は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を差し引いた額であります。確定給付制度債務は、予測単位積増方式を用いて毎年算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
確定給付制度から生じる確定給付資産又は負債の純額の再測定は、発生した期間のその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。再測定は、確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)等で構成されております。過去勤務費用は、発生した期間に純損益として認識しております。
(b) 確定拠出制度
当社及び一部の子会社では確定拠出制度を採用しております。確定拠出制度の退職給付に係る費用は、従業員が関連するサービスを提供した時点で費用として認識しております。
② その他の長期従業員給付
退職後給付以外の長期従業員給付に対する債務は、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を現在価値に割り引いて算定しております。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付は、割引計算を行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合、支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(12) 引当金及び偶発負債
引当金は、当社グループが過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。
引当金は、貨幣の時間価値が重要である場合には、債務の決済に必要とされると見込まれる支出に、貨幣の時間価値の現在の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値で測定しております。時間の経過による引当金の増加は純損益として認識しております。
製品保証引当金については、販売した製品の品質保証費用の支出に備えるため、過去の発生実績に基づいて見積もった支出のほか、個々の案件について合理的に算定した見込額を加えて計上しております。
環境引当金は、当社グループに法的義務又は推定的債務が存在する場合に、環境対策の支出に備えるため、必要と認められる額を計上しております。将来において経済的便益の流出が予測される時期は、将来の事業計画等により影響を受けます。
資産除去債務は、当社グループが使用する賃貸事業所・土地建物に対する原状回復義務に備え、将来支払うと見込まれる金額を計上しております。これらの費用は、事務所等の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間経過後に支払われると見込んでおりますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
期末日現在において発生可能性のある債務を有しているが、それが期末日現在の債務であるか否か確認ができないもの、又は引当金の認識基準を満たさないものについては、偶発負債として注記しております。
(13) 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しております。当初の自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失は認識しておりません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本として認識しております。
(14) 収益認識
① 物品の販売
当社グループは顧客との契約について以下の5ステップを適用することにより収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する。
当社グループは、自動車用品セグメントにおいては、防振ゴム、ホース、内装品、制遮音品、燃料電池(FC)部材、ゴムシール材などを国内外の顧客に提供しており、一般産業用品セグメントにおいては、精密樹脂ブレード・ロール、車両用・住宅用・橋梁用防振ゴム、高圧ホース・搬送用ホースなどを国内外の顧客に提供しております。これらの製品については、顧客に製品を引き渡した時点で、履行義務を充足したと判断し、同時点で収益を認識しております。
また、収益は、顧客との契約において約束された対価から値引等の見積りを控除した金額で算定しております。
② 役務の提供
役務の提供による収益は、通常の事業活動における役務の提供により受け取った対価又は債権の公正価値で測定しております。また、役務の提供に関する取引の成果を信頼性をもって見積ることができる場合には、その取引に関する収益は、期末日現在のその取引の進捗度に応じて認識しております。
③ 配当収益
配当に係る収益は、配当を受け取る権利が確定した時点で、対価又は債権の公正価値で認識しております。
(15) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ、補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に公正価値で認識しております。政府補助金が費用項目に関連する場合は、当該補助金で補償することが意図されている関連費用を認識する期間にわたって、規則的に純損益として認識しております。資産に関連する補助金の場合は、資産の耐用年数にわたって規則的に純損益として認識し、未経過の補助金収入を繰延収益として負債に計上しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金及びデリバティブ利益(その他の包括利益として認識されるヘッジ手段に係る利益を除く)等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
金融費用は、支払利息及びデリバティブ損失(その他の包括利益として認識されるヘッジ手段に係る損失を除く)等から構成されております。
(17) 法人所得税
法人所得税費用は当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、その他の包括利益として認識される項目あるいは資本に直接認識される項目に関係する場合を除いて、純損益として認識しております。
当期税金は、当社グループが事業を行い、課税所得を生成している国において、期末日まで施行又は実質的に施行されている税率に基づき算定しております。
繰延税金資産及び負債は、資産負債法により、資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間に生じる一時差異に対して認識しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金や繰越税額控除のような、将来の税務申告において税負担を軽減させるものについて、それらを回収できる課税所得が生じる可能性の高い範囲内で認識しております。一方、繰延税金負債は、将来加算一時差異に対して認識しております。ただし、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合ではない取引で、かつ、取引時に会計上の純損益及び課税所得(欠損金)に影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期見直され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日において制定されている、又は実質的に制定されている税法及び税率に基づいて資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税法及び税率によって測定しております。
繰延税金資産及び負債の相殺が行われるのは、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、同一の納税主体又は純額ベースでの決済を行うことを意図している異なる納税主体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものである場合であります。
IAS第12号「法人所得税」に準拠した第2の柱の法人所得税にかかる繰延税金資産と繰延税金負債に関する認識及び情報開示について、例外処理を適用しております。
(18) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。
(19) セグメント情報
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を獲得し費用を発生させる事業活動の構成単位であります。すべての事業セグメントの事業の成果は、個別に財務情報が入手可能なものであり、かつ、各セグメントへの経営資源の配分及び業績の評価を行うために、マネジメントが定期的にレビューしております。
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社グループの連結財務諸表は、経営者の見積り及び仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び期末日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づきますが、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直しております。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りを変更した会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識しております。
見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある、主な見積り及び仮定は以下のとおりであります。
(1) 非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、無形資産、使用権資産及びのれんについて、注記「3.重要性がある会計方針」に従って、使用価値及び処分コスト控除後の公正価値による回収可能価額に基づき、減損テストを実施しております。また使用価値の評価においては、将来のキャッシュ・フロー、割引率等について仮定を設定しております。これらの仮定については、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。また、処分コスト控除後の公正価値の評価については、評価手法モデルの選択等に当たり、評価に関する高度な専門知識を必要としております。
有形固定資産、無形資産、使用権資産及びのれんの当連結会計年度末の残高は連結財務諸表を、非金融資産の減損に関しては注記「12.のれん及び無形資産」、「13.非金融資産の減損」をご参照ください。
(2) 法人所得税
当社グループは、複数の租税区域の法人所得税の影響を受けます。世界各地における法人所得税の見積額を決定する際には、重要な判断が必要であります。取引及び計算方法によっては、最終的な税額に不確実性を含むものも多くあります。当社グループは追加徴収が求められるかどうかの見積りに基づいて、予想される税務調査上の問題について負債を認識しております。これらの問題に係る最終税額が当初に認識した金額と異なる場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
また、繰延税金資産は、将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。
課税所得が生じる時期及び金額は、事業計画を基礎としております。当該事業計画に含まれる将来売上高の予測やコスト削減施策による収益改善等の計画は、将来の経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、不確実性を伴うものであります。よって、実際に生じた課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
法人所得税に関連する内容及び金額に関しては、注記「18.法人所得税」をご参照ください。
(3) 製品保証引当金
当社グループは、販売した製品の品質保証費用の支出に備えるため、将来発生しうる見込額を製品保証引当金として計上しております。製品保証引当金には、過去の発生実績に基づいて見積もった支出のほか、個々の案件については対象製品の数量、対象製品あたりの対応諸費用、負担割合等から合理的に見込まれる金額を算定しております。当該見積りは、不確実性を有しており、状況の変化等により、実際の発生額とは異なる可能性があります。
製品保証引当金に関連する金額に関しては、注記「16.引当金」をご参照ください。
5.未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の公表の承認日までに新設又は改訂が行われた新基準書及び新解釈指針のうち、2024年3月31日現在において当社グループが適用していない主なものは、以下のとおりです。適用による当社グループへの影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
6.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、製品・サービス別の管理体制を置き、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは、管理体制を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「自動車用品」、「一般産業用品」の2つを報告セグメントとしております。
各報告セグメント区分の主な製品・サービス又は事業内容は、以下のとおりであります。
(2) 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産及びその他の項目
報告セグメントの会計方針は、注記「3.重要性がある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同じであります。
報告セグメント間の内部売上高及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
当社グループの報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産及びその他の項目は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を含めた金額である事業利益を使用しております。
2.セグメント資産の調整額△1,490百万円には各報告セグメントに配分していない全社資産11,443百万円及びセグメント間債権債務の相殺消去△12,933百万円が含まれております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を含めた金額である事業利益を使用しております。
2.セグメント資産の調整額1,462百万円には各報告セグメントに配分していない全社資産20,476百万円及びセグメント間債権債務の相殺消去△19,014百万円が含まれております。
(3) 主要な製品及び役務からの収益
「(1) 報告セグメントの概要」及び「(2) 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産及びその他の項目」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
(4) 地域別情報
外部顧客への売上高
(注) 売上高は販売先が所在している国ごとに分類しております。
非流動資産
(注) 非流動資産は資産の所在地によっております。また、金融商品、繰延税金資産、退職給付に係る資産を含んでおりません。
(5) 主要な顧客に関する情報
当社グループは、トヨタ自動車㈱とそのグループ会社及び本田技研工業㈱とそのグループ会社に対し製品の販売等を継続的に行っており、同グループに対する売上収益は連結全体売上収益の10%以上であります。
同グループに対する売上収益は日本、米州、中国、アジアの外部顧客への売上収益に含まれており、前連結会計年度は296,729百万円であり、当連結会計年度は353,450百万円であります。
7.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 前連結会計年度末及び当連結会計年度末の連結財政状態計算書上における「現金及び現金同等物」の残高と連結キャッシュ・フロー計算書上における「現金及び現金同等物」の残高は一致しております。
8.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、以下のとおりであります。
9.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 当連結会計年度において売上原価に計上された棚卸資産の評価減の金額(△は戻し入れ金額)は、1,362百万円(前連結会計年度は941百万円)であります。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、重要な評価減の戻し入れはありません。
10.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりであります。なお、負債の担保として抵当権が設定された有形固定資産はありません。
(注) 取得原価に含めた借入費用はありません。
(注) 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書上の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」、
減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれております。
11.リース
(1) 使用権資産の増加額、減価償却費及び帳簿価額
使用権資産の増加額、減価償却費及び帳簿価額は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(2) リースに係る費用等
リースに係る費用等の内訳は以下のとおりであります。
リース負債の満期分析については、注記「21.金融商品 (3)財務リスク管理 ②流動性リスク」に記載しております。
12.のれん及び無形資産
(1) 取得原価、償却累計額及び減損損失累計額並びに帳簿価額
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、以下のとおりであります。
なお、耐用年数を確定できない重要な無形資産はありません。
(注) 無形資産の償却費は、連結損益計算書上の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
(2) 減損テスト
各資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額は以下のとおりであります。
のれんの減損テストの回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、過去の経験と外部からの情報を反映させて作成され、経営陣によって承認された、最長5年間の事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、当該資金生成単位の加重平均資本コスト(13.7%)により現在価値に割り引いて算定しております。事業計画の期間を超えるキャッシュ・フローは、資金生成単位が属する市場の長期平均成長率等(0%)をもとに推定しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、のれんの減損損失は認識しておりません。減損テストに用いた主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しております。
13.非金融資産の減損
当社グループは、会社別・事業別に、キャッシュ・フローを生み出す最小単位をグルーピングしております。減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれております。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
自動車用品及び一般産業用品を製造する会社の建物、生産設備等について、当初想定していた収益性が見込めなくなったことから減損処理を行っております。回収可能価額は、不動産鑑定評価額等に基づく処分コスト控除後の公正価値により算定されております。なお、公正価値ヒエラルキーはレベル3であります。
一般産業用品セグメントにおいて、698百万円減損損失を計上しており、これは当社化成品事業における生産・供給体制再編により、同事業の資産の譲渡や最適配置の結果、主要生産拠点である富士裾野製作所の建物等の資産において今後使用見込みが無く廃却が決定している資産の減損処理を行っております。
今後使用見込みの無い建物等資産の回収可能額は零として算定されております。
14.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、以下のとおりであります。
15.社債及び借入金
社債及び借入金の内訳は、以下のとおりであります。
(1) 社債
社債の発行条件の要約は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(2) 借入金
当連結会計年度における「短期借入金」、「1年内返済予定の長期借入金」、「長期借入金」の平均利率は、それぞれ3.91%、0.85%、0.44%であります。「長期借入金」の返済期限は 2025年~2031年であります。
(3) 担保
担保に供している資産及び担保付債務はありません。
16.引当金
引当金の増減は、以下のとおりであります。
(注1) 各引当金の説明については、「3.重要性がある会計方針(12) 引当金及び偶発負債」に記載しております。
(注2) その他には、訴訟等関連費用の引当金が含まれておりますが、当社グループの立場が著しく不利になる可能性があるため、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の92項に従い個別に記載しておりません。
(注3) 前連結会計年度においてその他に含めていた資産除去債務について、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より独立掲記しております。この表示方法の変更を反映させるため、比較情報についても組替えて表示しております。
17.従業員給付
(1) 採用している退職給付制度の概要
当社及び一部の連結子会社は、確定給付制度として、企業年金基金制度及び退職一時金制度等を設けております。また、当社及び一部の連結子会社は、確定拠出年金制度及び退職金前払制度を設けております。この他、従業員の退職等に関して、IAS第19号「従業員給付」に準拠した数理計算による確定給付制度債務の対象とされない特別退職金を支払う場合があります。
(2) 確定給付制度
当社グループでは、確定給付制度を設けております。給付額は勤続年数、職能・職務等級、役職等の評価要素に基づき決定されます。
① 確定給付制度に関するリスク
当社グループは、確定給付制度について様々なリスクに晒されております。主なリスクは、以下のとおりです。なお、当社グループは、制度資産に関して重大な集中リスクには晒されておりません。
② 連結財政状態計算書上の認識額
連結財政状態計算書上の確定給付に係る負債(資産)の純額は、以下のとおりであります。
③ 連結損益計算書上の認識額
連結損益計算書上の費用として認識した金額は、以下のとおりであります。
④ 確定給付制度債務
確定給付制度債務の増減は、以下のとおりであります。
(注1) 数理計算上の差異は主に財務上の仮定の変化により生じた差異であります。
(注2) 確定給付制度債務の加重平均デュレーションは10.0年(前連結会計年度は9.8年)であります。
⑤ 制度資産
制度資産の投資方針としては、資本性金融資産、負債性金融資産及び保険契約等に分散したポートフォリオを構成し、将来の給付義務を全うできる水準の収益を長期的・安定的に目指しております。
なお、投資方針については、企業年金基金制度の財政状況や運用環境を勘案しながら、必要に応じて見直しを行うこととしております。
また、各資産の運用を実行する際にも、リスク分散に留意し、継続的なモニタリングを通じて運用面の効率性を追求することとしております。
制度資産の公正価値の増減は、以下のとおりであります。
(注) 翌年度の予想拠出額は744百万円であります。
制度資産の公正価値の内訳は、以下のとおりであります。
⑥ 数理計算上の仮定
数理計算のために使用した主要な仮定は、以下のとおりであります。
⑦ 感応度分析
数理計算上の仮定が変動した場合の確定給付制度債務への影響は、以下のとおりであります。本分析においては、その他すべての変数は一定のものと仮定しております。また、本分析は報告期間の末日において合理的と見込まれる変数の変動幅に基づいております。
(3) 確定拠出制度
確定拠出制度に係る退職給付費用は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識し、未払拠出額を負債として認識しております。
確定拠出制度に係る退職給付費用は、以下のとおりであります。
18.法人所得税
(1) 繰延税金
① 繰延税金資産及び負債の変動内訳
繰延税金資産及び負債の変動の内訳は以下のとおりであります。
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注1) 純損益で認識した額と繰延税金費用の合計との差額は、為替の変動によるものであります。
(注2) 当社を含む日本の通算グループに係る繰延税金資産5,150百万円を計上しております。
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注1) 純損益で認識した額と繰延税金費用の合計との差額は、為替の変動によるものであります。
(注2) 当社グループは、当連結会計年度よりIAS第12号「法人所得税」の改訂(単一の取引から生じた資産及び負債
に係る繰延税金の会計処理の明確化)を適用しております。この適用に伴い、前連結会計年度及び当連結会
計年度の繰延税金資産において「リース負債」、及び繰延税金負債において「使用権資産」を別掲しており
ます。
なお、この適用に伴う前連結会計年度及び当連結会計年度の連結財務諸表への重要な影響はありません。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異又は繰越欠損金の一部又は全部が将来の課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来の課税所得及びタックスプランニングを考慮しております。当社グループは、認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の予測に基づき、税務便益が実現する可能性は高いと判断しております。ただし、認識可能と考えられる繰延税金資産の金額は、控除可能期間における将来の課税所得見込が減少すれば、同様に減少することとなります。
② 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
③ 繰延税金負債が認識されていない子会社に対する持分に関する将来加算一時差異
当連結会計年度において繰延税金負債として認識されていない子会社の留保利益に関連する一時差異の総額は8,568百万円(前連結会計年度は9,094百万円)であります。
上記の一時差異は、当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高いため、当該一時差異に係る繰延税金負債を認識しておりません。
(2) 法人所得税費用
① 税金費用
法人所得税費用の主要な内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 繰延税金費用には、繰延税金資産の評価減又は以前に計上した評価減の戻入(繰延税金資産の回収可能性の評価)により生じた費用の額が含まれております。これに伴う、前連結会計年度及び当連結会計年度における繰延税金費用の増減額は、それぞれ4,294百万円(増加)及び2,395百万円(減少)であります。
② 法定実効税率と実際負担税率の調整表
当社グループの法定実効税率と実際負担税率との調整は、以下のとおりであります。実際負担税率は税引前当期利益に対する法人所得税費用の負担割合を表示しております。
(注) 当社グループは、主に法人税、住民税及び損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した当連結会計年度の法定実効税率は30.6%(前連結会計年度は30.6%)であります。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されております。
日本においては令和5年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設され、それに係る規定を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号))(以下、「改正法人税法」という。)が2023年3月28日に成立しております。改正法人税法では、BEPSのグローバル・ミニマム課税ルールのうち、所得合算ルール(IIR)が導入されており、2024年4月1日以後開始事業年度より、日本に所在する親会社の子会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで、日本に所在する親会社に対して追加で上乗せ課税されることになります。
当社グループでは一部子会社の所在する軽課税国での税負担率が最低税率の15%に至るまで課税されることになりますが、連結財務諸表に与える影響は軽微であると判断しております。
19.収益
(1)収益の分解
当社グループは、自動車用品セグメントにおいては、防振ゴム、ホース、内装品、制遮音品、燃料電池(FC)部材、ゴムシール材などを国内外の顧客に提供しており、一般産業用品セグメントにおいては、精密樹脂ブレード・ロール、車両用・住宅用・橋梁用防振ゴム、高圧ホース・搬送用ホースなどを国内外の顧客に提供しております。これらの製品については、顧客に製品を引き渡した時点で、履行義務を充足したと判断し、同時点で収益を認識しております。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から値引等の見積りを控除した金額で算定しております。
地域別の収益とセグメント売上の収益の関連は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 金額は、外部顧客への売上高で表示しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 金額は、外部顧客への売上高で表示しております。
(2)契約残高
顧客との契約から生じた債権及び契約負債の残高は以下のとおりです。
連結財政状態計算書において、顧客との契約から生じた債権は、営業債権及びその他の債権に含まれております。
当連結会計年度の期首現在の契約負債残高はすべて、当連結会計年度の収益として認識しております。
(3)残存履行義務に配分した取引価格
当社グループにおいては、個別の予想契約期間が1年を超える重要な取引がないため、実務上の便法を使用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しております。また、顧客との契約から生じる対価の中に取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
(4)顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
当連結会計年度において、顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産の額に重要性はありません。また、認識すべき資産の償却期間が1年以内である場合には、実務上の便法を使用し、契約獲得の増分コストを発生時に費用として認識しております。
20.売却目的で保有する資産
売却目的で保有する資産の内訳は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度に売却を決定した、自動車用品事業セグメントに属する海外子会社が保有する建物等について、売却目的で保有する資産に分類しております。これらの資産は、翌連結会計年度に売却する事を予定しております。
当連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度に売却を決定した、自動車用品事業セグメントに属する海外子会社が保有する建物等について、売却目的で保有する資産に分類しております。これらの資産は、翌連結会計年度に売却する事を予定しております。
21.金融商品
(1) 資本管理
当社グループの資本管理における目的は、株主へのリターンの提供、他の利害関係者への便益の供与、並びに資本コスト削減に向けた最適な資本構成の維持のために、継続企業として存続するためのグループの能力を維持することにあります。
資本構成を維持又は調整するために、当社グループは、株主に対して支払う配当の金額を調整したり、株主に対して資本を償還したり、新株を発行したり、又は資産の売却による債務の削減を行う場合があります。
当社グループは有利子負債から現金及び現金同等物を控除した正味有利子負債及び親会社の所有者に帰属する持分、資本負債比率を管理対象としており、各数値は以下のとおりであります。
当社グループは、中期経営計画の策定及び見直しの都度、収益及び投資計画に加え、これらの指標についてもマネジメントがモニターし、確認しております。
なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
(2) 金融商品の分類
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産は、連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に含まれております。
純損益を通じて公正価値で測定される金融負債及びヘッジ手段として指定された金融負債は、連結財政状態計算書における「その他の金融負債」に含まれております。
なお、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産及び金融負債として指定する取消不能な選択を行った金融資産及び金融負債は保有しておりません。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
当社グループは、投資先との取引関係の維持、強化による収益基盤の拡大を目的とする長期保有の株式について、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定しております。
報告期間末に「その他の金融資産」に計上されている、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産の公正価値及び受取配当金は以下のとおりであります。
期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産はありません。
資本性金融資産は、保有資産の効率化及び有効活用を図るため、定期的に公正価値や発行体の財務状況を把握し、保有の是非について見直しております。
(3) 財務リスク管理
当社グループは、信用リスク、流動性リスク、市場リスク(為替リスク、金利リスク及び株価変動リスク)等の様々なリスクに晒されております。また、当社グループは市場リスクをヘッジするために、先物為替予約、金利スワップ等のデリバティブ金融商品を利用しております。デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に従っており、デリバティブ金融商品を利用した投機的な取引は行わない方針であります。
また、当社グループは設備投資計画に照らして、必要な資金(主に銀行借入や社債発行)を調達しております。一時的な余剰資金は安全性の高い金融資産で運用し、短期的な運転資金を銀行借入により調達しております。資金調達に係る流動性リスクについては、各社が月次で資金繰り計画を作成するなどの方法により管理しております。
① 信用リスク
当社グループは、保有する金融資産の相手先の債務が不履行になることにより、金融資産が回収不能になるリスク、すなわち信用リスクに晒されております。当該リスクに対応するために、当社グループの与信管理規程に従い、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制としております。さらに、必要に応じて担保設定・ファクタリング等を利用することによって保全措置を図っております。
また、当社グループでは、為替相場の変動に係るリスクを軽減するために、金融機関等とデリバティブ金融商品の取引を行っておりますが、デリバティブ金融商品の取引については、信用力の高い金融機関を相手方として行うことが基本となっており、信用リスクに及ぼす影響は限定的であります。
なお、特定の取引先について重要な信用リスクのエクスポージャーはなく、特段の管理を有する信用リスクの過度の集中はありません。
金融資産については、連結財務諸表に表示されている減損後の帳簿価額が、当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。
これらの信用リスクに係るエクスポージャーに関し、担保として保有する物件及びその他の信用補完するものはありません。
(ⅰ)信用リスク・エクスポージャー
営業債権、その他の債権及びその他の金融資産に係る当社グループの信用リスク・エクスポージャーは、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2024年3月31日)
(単位:百万円)
(ⅱ)貸倒引当金の増減分析
当社グループは、取引先の信用状態に応じて営業債権等の回収可能性を検討し、貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金の増減は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
② 流動性リスク
当社グループは、金融機関からの借入や社債を発行することにより、運転資金や設備投資資金の調達を行っておりますが、これらの債務の履行が困難となるリスク、すなわち流動性リスクに晒されております。当社グループは、事業を遂行するにあたって必要最小限の手元資金を確保するために、適宜金融機関からの借入、社債の発行を行っており、また突発的な資金需要の発生や市場の流動性が著しく低下した時等の緊急的な事態に備えてコミットメントラインを設定しております。
また、当社は、グループ各社の資金需要を適宜把握した上で、月次ベースの資金計画を作成し、流動性リスクを管理しております。
当社グループの非デリバティブ金融負債及びデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注)1年内返済予定の長期借入金を含んでおります。
③ 市場リスク
(ⅰ)為替リスク
当社グループは、グローバルに事業展開を行っており、一部の原材料の調達及び製品の販売を外貨建取引で実施していることから、当該取引より発生する外貨建の債権債務について、為替リスクに晒されております。当社グループの為替リスクは、主に米ドル、人民元及びユーロの為替変動により発生しております。当社グループは、外貨建の債権債務について、それらから発生する為替リスクが将来的に相殺されることも考慮の上、先物為替予約等を付すことにより、当該為替リスクをヘッジしております。
為替感応度分析
以下の表は、当社グループの為替リスクエクスポージャー(純額)に対する感応度分析であります。
(単位:百万円)
感応度分析は、期末に保有している外貨建の金融商品を対象に、1%円高となった場合に税引前当期利益に与える影響額を示しております。本分析においては、その他すべての変数は一定のものと仮定しております。
(ⅱ)金利リスク
当社グループは、事業活動を進める上で、運転資金及び設備投資等に必要となる資金を調達することに伴い発生する利息を支払っておりますが、変動金利での借入を行っている場合には、利息の金額は市場金利の変動に影響を受けることから、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクに晒されております。当社グループは、原則として、資金使途を設備投資等の目的としている長期借入金のうち、変動金利の借入については、金利の上昇による利息の支払額の増加を抑えるために、利息の受取額を変動金利、利息の支払額を固定金利としてその差額を授受する金利スワップ契約を金融機関と締結しております。
その結果、利息の支払いが当社グループに与える影響は小さく、金利リスクは当社グループにとって重要なものではないと考えているため、金利感応度分析は行っておりません。
(ⅲ)株価変動リスク
当社グループは、事業活動の円滑な推進を目的として、主に業務上の関係を有する会社の株式を保有していることから、株価変動リスクに晒されております。当社グループは、定期的に公正価値や取引先企業の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
株式は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しており、株価変動に対する損益への影響はなく、また、その他の包括利益への影響も軽微です。
(4) 金融商品の公正価値
① 公正価値の測定方法
(現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務)
これらは短期間で決済されるものであるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
(その他の金融資産、その他の金融負債)
その他の金融資産のうち、3ヶ月超の定期預金等については、短期間で決済されるものであるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産のうち、上場株式については取引所の市場価格、非上場株式については類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しております。
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産及び金融負債並びにヘッジ手段として指定された金融資産及び金融負債であるデリバティブについては、取引先金融機関から提示された価格に基づいて算定しております。
(社債、借入金)
短期借入金については短期間で決済されるものであるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。社債及び長期借入金(1年内返済予定を含む)については、将来キャッシュ・フローを、同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しております。
② 金融商品の区分ごとの公正価値
償却原価で測定される金融商品の公正価値は以下のとおりであります。帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている金融商品は、下表に含めておりません。なお、公正価値で測定される金融商品については、「(2) 金融商品の分類」において開示しております。
(注)1年内返済予定の長期借入金を含んでおります。
償却原価で測定される金融商品の公正価値ヒエラルキーはすべてレベル2であります。
③ 公正価値ヒエラルキー
以下の表は、金融資産及び金融負債に関する経常的な公正価値測定を分析したものであります。これらの公正価値測定は、用いられる評価技法へのインプットに基づいて、3つの公正価値ヒエラルキーのレベルに区分されております。それぞれのレベルは、以下のように定義付けられております。
レベル1:当社グループが測定日にアクセスできる、同一の資産又は負債に関する活発な市場における相場価格(無調整)
レベル2:レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接的又は間接的に観察可能なもの
レベル3:資産又は負債に関する観察可能でないインプット
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、振替を生じさせた事象又は状況の変化が生じた日に認識しております。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル1と2間の振替はありませんでした。
④ レベル2、3に区分される公正価値測定に関する情報
(a) 評価技法及びインプット
レベル2の金融資産及び金融負債は、デリバティブ金融資産及びデリバティブ金融負債であります。これらの公正価値は、取引先金融機関から提示された価格に基づき算定しております。
レベル3の金融資産は、主として非上場株式であります。非上場株式の公正価値は、類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しております。非上場株式の公正価値測定にあたっては、評価倍率等の観察可能でないインプットを用いております。
(b) 評価プロセス
レベル3の金融商品に係る公正価値の測定は、関連する社内規程に従い実施しております。公正価値の測定に際しては、対象となる金融商品の性質、特徴及びリスクを最も適切に反映できる評価技法及びインプットを用いております。また公正価値の測定結果については上位役職者のレビューを受けております。
(c) レベル3に区分される経常的な公正価値測定
経常的に公正価値で測定されるレベル3に分類される金融商品の公正価値の測定に関する重要な観察可能でないインプットは、EBIT倍率及び非流動性ディスカウントであります。公正価値はEBIT倍率の上昇(低下)により増加(減少)し、非流動性ディスカウントの上昇(低下)により減少(増加)します。
レベル3に分類される金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。
⑤ レベル3に分類された金融商品の期首残高から期末残高への調整表
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益に含まれている利得及び損失は報告期間末時点に保有する市場で取引されていない株式等に関するものであります。これらは「その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産」に含まれております。
(5) デリバティブ金融商品
キャッシュ・フロー・ヘッジ
当社グループは、変動金利の借入に関するキャッシュ・フローの変動をヘッジするために金利スワップを利用しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブ取引の公正価値の変動は、その他の包括利益として認識し、その他の資本の構成要素に含まれており、ヘッジ対象が純損益に認識された時点で純損益へ振り替えております。
当連結会計年度末において、キャッシュ・フローが発生すると見込まれる期間及びそれらが純損益に影響を与えることになると見込まれる期間は1年です。
ヘッジ会計を適用していないデリバティブ
当社グループは、ヘッジ関係がヘッジ会計を適用する要件を満たさない場合も含め、デリバティブを利用することが経済的に合理的である場合に、デリバティブを利用しております。
当社グループは、外貨建資産・負債に係る為替変動リスクを回避するために為替予約を利用しております。当該デリバティブ取引にはヘッジ会計を適用せずに、公正価値の変動はすべて純損益に認識しております。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、ヘッジ手段として指定されたデリバティブは以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2024年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、ヘッジ対象として指定された資産又は負債は以下のとおりであります。
前連結会計年度 (2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度 (2024年3月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度及び当連結会計年度における、ヘッジ会計の適用による連結損益計算書への影響は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 税効果調整前の金額であります。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 税効果調整前の金額であります。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、ヘッジ会計を適用していないデリバティブの公正価値は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値全額は、ヘッジ対象の満期までの期間が12ヶ月を超える場合には非流動資産又は負債に、また12ヶ月を超えない場合には流動資産又は負債に分類しております。
22.キャッシュ・フロー情報
財務活動に係る負債の変動
財務活動に係る負債の変動は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
23.資本及びその他の資本項目
(1) 資本金及び資本剰余金
授権株式数、発行済株式総数及び資本金等の残高の増減は以下のとおりであります。
(注1) 当社の発行する株式は、無額面普通株式であります。
(注2) 発行済株式は、全額払込済であります。
(2) 自己株式
自己株式数及び自己株式残高の増減は、以下のとおりであります。
(注1) 自己株式数及び自己株式残高の期中増加は、単元未満株式の買取等によるものであります。
(注2) 関連会社が保有する自己株式は、前連結会計年度末、当連結会計年度末において、それぞれ44百万円、46百万円であります。
(3) その他の資本の構成要素
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の変動額であります。
② キャッシュ・フロー・ヘッジ
当社グループは将来キャッシュ・フローの変動リスクを回避するためのヘッジを行っており、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブ取引の公正価値の変動額のうち有効と認められる部分であります。
③ 在外営業活動体の為替換算差額
外貨建で作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した換算差額であります。
④ 確定給付制度の再測定
確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)等で構成されております。
(4) 配当金
各年度における配当金支払額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
また、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
24.費用の性質別内訳
売上原価、販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
25.金融収益及び金融費用
(1) 金融収益
金融収益の内訳は、以下のとおりであります。
(2) 金融費用
金融費用の内訳は、以下のとおりであります。
(注1) 金利デリバティブの評価損益は、支払利息に含めております。
(注2) 通貨デリバティブの評価損益は、為替差損に含めております。
26.その他の収益及びその他の費用(金融収益及び金融費用を除く)
(1) その他の収益
その他の収益の内訳は、以下のとおりであります。
(2) その他の費用
その他の費用の内訳は、以下のとおりであります。
27.その他の包括利益
その他の包括利益に係る組替調整額及び税効果額は、以下のとおりであります。
28.1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
29.偶発負債
自動車用品事業において、同分野の競争法違反行為により被害を被ったとして、一部の自動車メーカーと損害賠償に関する交渉を行っております。
なお、当社グループの立場が著しく不利になる可能性があるため、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の92項に従い、訴訟等に係る詳細な開示は行っておりません。
30.関連当事者との取引
(1) 親会社
当社グループは、当社株式の50.8%を保有する住友電気工業㈱(日本で設立)によって支配されております。残り49.2%の株式は分散して保有されております。
(2) 関連当事者との取引
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
取引条件及び取引条件の決定方針等
(注) 不動産の売却価額については、不動産鑑定士の鑑定評価額に基づき決定しております。
(3) 経営幹部に対する報酬
当社グループの経営幹部に対する報酬は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
31.子会社
(1) 主要な子会社の状況
当社グループの主要な子会社は「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。
(2) 当社グループにとって重要な非支配持分がある子会社の要約財務情報等
SumiRiko Eastern Rubber (Thailand) Ltd.
なお、SumiRiko Eastern Rubber (Thailand) Ltd.の前連結会計年度末及び当連結会計年度末現在の資産合計は、それぞれ39,910百万円及び44,184百万円、負債合計は、それぞれ5,247百万円及び5,504百万円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度の当期利益のうち非支配持分に配分された金額は、それぞれ981百万円、1,348百万円、非支配持分に支払われた配当金は、それぞれ414百万円、635百万円です。
32.持分法で会計処理されている投資
持分法で会計処理されている、個々に重要性のない関連会社に対する当社グループに帰属する持分の帳簿価額は、以下のとおりであります。
持分法で会計処理されている、個々に重要性のない関連会社の要約財務情報は、以下のとおりであります。なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものであります。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度において、当社グループの持分の認識を停止している関連会社に対する重要な累積投資損失は該当ありません。
33.超インフレの調整
前連結会計年度において、トルコにおける3年間の累積インフレ率が100%を超えたため、当社グループはトルコ・リラを機能通貨とするトルコの子会社について、超インフレ経済下で営業活動を行っていると判断いたしました。このため当社グループは、トルコの子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、報告期間の末日現在の測定単位に修正した上で、当社グループの連結財務諸表に含めております。
当社グループは、トルコにおける子会社の財務諸表の修正のため、Turkish Statistical Institute が公表するトルコの消費者物価指数から算出する変換係数を用いております。
各財政状態計算書日に対応するトルコの消費者物価指数及び変換係数は次のとおりであります。
超インフレ経済下にある子会社は、取得原価で表示されている有形固定資産等の非貨幣性項目について、取得日を基準に変換係数を用いて修正しております。現在原価で表示されている貨幣性項目及び非貨幣性項目については、報告期間の末日現在の測定単位で表示されていると考えられるため、修正しておりません。
超インフレ経済下にある子会社の財務諸表は、決算日の直物為替相場により換算し、当社グループの連結財務諸表に反映しております。
この結果、当連結会計年度における当社グループの事業利益は減価償却費等の増加により109百万円減少、親会社の所有者に帰属する当期利益は正味貨幣持高に係る損失の影響等により301百万円減少し、当連結会計年度末における資産合計は397百万円増加しております。
34.後発事象
該当事項はありません。