第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社グループは「テクノロジーで社会の課題を解決する」というミッションのもと、世の中にある様々な問題や課題を新しい発想と最新のテクノロジーで解決し、人々の暮らしがより安全に、より豊かになり、未来への希望に満ちた社会を実現することを目指しております。その実現のために、顕在化した社会のニーズはもちろん、これから起こるであろう未来の姿を思い描き、そこで必要となるサービスや解決すべき課題にフォーカスし、今までにない斬新なサービスをいち早く開発し社会に提供してまいります。

 

(2) 経営環境及び経営戦略

当社グループが事業を展開するインターネット業界はもちろん、あらゆる産業において新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルが誕生する、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)化が加速してきております。

SMS配信市場では、本人認証や企業と個人とのコミュニケーションツール、効果的なマーケティングツールとして幅広い用途が開発され急激にSMSの普及が進んでおりますが、国内ではまだ今後の拡大余地は大きく、デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「ミックITリポート 2024年1月号」によると2023年度から2028年度までの国内アグリゲーターによるSMS配信数推移は年平均成長率26.4%で拡大すると見込まれております。

自動車業界においても100年に一度の大変革期と言われるように、MaaS(Mobility as a Serviceの略)やCASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared (カーシェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語)の進展で大手自動車メーカーはもちろん、自動車アフターマーケット事業者にもDX化による新たなプレーヤーの出現や従来の垣根を超えた参入が相次ぎ大きな変化の波が到来しております。

このような環境の中で、当社グループはデジタル化推進によるユーザーの利便性向上と、国内でサービスを展開するあらゆる事業者の効率化に資するサービスの提供を継続してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長による企業価値の向上を経営目標とし、収益力を高めると共に経営の効率化を図っております。具体的には、「売上高」及び「営業利益率」を重要な経営指標として位置づけ、各経営課題の改善に取組んでおります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① SMSソリューション事業における市場優位性の確立と既存顧客基盤の深化

拡大を続けるSMS配信市場での優位性を確保することが、重要な課題となっております。導入支援・コンサルティングなどの営業機能を拡充し新規顧客開拓力の向上を図るとともに、アライアンスパートナー企業や特定業種に特化したプレイヤーとの連携を深化させ、ソリューション力の底上げを実現いたします。併せて、既存の顧客におけるSMS活用に関するコンサルティングやカスタマーサポート体制を充実させ、顧客満足度の向上と収益基盤の拡大の両立を目指します。

 

② 中古車販売支援クラウドサービス「symphony」の顧客基盤拡大

中古車販売業界のDX需要の高まりを背景に、当社グループの主たるサービスの一つである中古車販売業務支援クラウドサービス「symphony」の顧客基盤拡大が重要な経営課題となっております。新規顧客開拓を促進すべく、全国主要都市への営業拠点設置を推進し、販売網の拡充を図ります。また、社内営業管理システムの整備により、営業活動の効率化を推進し、営業担当者一人当たりの担当顧客数を増加させ、販売力の強化を実現いたします。

 

③ 新たな事業領域への進出

当社グループの中長期的な持続的成長を実現するために、新たな事業領域への進出を推進してまいります。グループ内で保有する技術力、ノウハウ、顧客基盤などの経営資源を最大限に活用し、相乗効果が期待できる事業分野への参入を検討いたします。また、研究開発投資に加え、M&Aの活用も視野に入れ、新規事業の創出を目指します。

 

 

④ イノベーション創出に向けた開発力の強化

当社グループでは、サービス・プロダクトの企画から運用に至るまでの工程を自社内で一貫して行う開発体制を構築しております。この内製化された高い技術力が、当社の競争力の源泉となっており、AI等の先端技術を活用した革新的なソリューションを継続的に創出し、事業拡大を実現していくためには、開発力のさらなる強化が不可欠であると認識しております。引き続き、国内外から優秀な技術者の採用活動を強化するとともに、社員の能力向上にも注力し、技術力の底上げを図ります。また、 AI、ブロックチェーン等の最新技術動向を的確に捉え、迅速な研究開発と実装を実現する体制を整備いたします。

 

⑤ システムの安定性の確保

当社グループでは、インターネットを活用した多様なサービス・ソリューションの提供を事業の軸としており、システムの安定稼働とセキュリティ確保が経営の重要課題となっております。このような環境下において、当社グループはシステム処理能力の絶えざる底上げを図るべく、サーバー設備の計画的な拡充や負荷分散システムの導入等を継続的に実施してまいります。併せて、不正アクセス対策や情報漏洩防止策等を多層的に講じ、高度なセキュリティ水準の維持に努めてまいります。さらに、将来の事業成長を見据えたシステム需要を的確に捉え、適時適切な設備投資を行うことで、システム基盤の強靭化を推進してまいります。

 

⑥ 優秀な人材の確保と教育

当社グループの持続的な成長を実現していくためには、国内外から優秀な人材を確保するとともに、既存社員の能力向上を図り、組織全体の能力を高めていくことが不可欠であると認識しております。そのため、新卒・中途を問わず、優秀な人材の採用活動に積極的に取り組んでまいります。これにより、時代の変化に即応できる活力ある組織風土の醸成を図ります。併せて、事業をけん引する人材の計画的な育成にも重点を置いてまいります。研修の充実や、個々の適性と志向に応じた成長機会の提供、異動を含むキャリアパスの多様化など、社員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる環境整備に注力してまいります。

 

⑦ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化

当社グループは、健全な企業活動と持続的な成長を実現していくため、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の継続的な強化が重要であると認識しております。この方針のもと、経営の客観性と透明性を一層高めるべく、社外役員の積極的な登用や、監査役と内部監査部門との緊密な連携によるガバナンス体制の一層の充実を図ってまいります。併せて、持株会社と事業会社で経営と業務執行を分割し、コンプライアンス経営の徹底と業務プロセスの適正化に向けて、定期的な内部監査の実施や、役職員に対する継続的な研修を通じた内部統制の強化にも注力してまいります。さらに、事業環境の変化に機動的に対応し得るよう、経営リスクを的確に捉えた上で、リスク管理体制の強化を推進してまいります。

 

⑧ サステナビリティ経営の深化

当社グループは、ESG(環境・社会・ガバナナンス)への配慮がサステナブルな企業経営の根幹をなすとの認識のもと、様々な施策を通じてESG経営の一層の深化を図ってまいります。環境負荷の低減に向けては、オフィス運営におけるペーパーレス化や社用車の環境対応車への切り替え等の取り組みを推進してまいります。また、ダイバーシティの観点から、女性の活躍推進をはじめとする多様な人材が能力を発揮できる機会の創出にも注力してまいります。このようなESG経営の実践を通じて、社会課題の解決に貢献するとともに、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループにおけるサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループで判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、「テクノロジーで社会の課題を解決する」というグループミッションを掲げ、テクノロジーを活用した事業活動に取り組んでおり、ガバナンス機能の充実を経営上の重要な課題としております。

 サステナビリティに関するガバナンス及び管理体制は、リスク管理及びコンプライアンス推進に関する協議・決議を行う会議体として、代表取締役を委員長、常勤の取締役と執行役員を委員とするコンプラ・リスク委員会を設置しており、リスクマネジメント全体を統括しております。

 コンプラ・リスク委員会は、グループ全体に関するリスクの特定、評価及び対策を含む管理を行っており、その一環として自然災害リスクを含む気候変動リスクに対し、内容に応じて対象となるリスクを細分化して必要な対策を講じており、その内容を取締役会へ報告しております。なお、ガバナンス体制の詳細は、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等をご参照下さい。

 

(2)戦略

    当社グループとして、経営方針及び経営戦略に影響を与える可能性のあるサステナビリティ関連のリスク及び機

   会に対処するために重要な戦略及び取組は、リスク評価の結果からも現時点では特に定めておりませんが、当社グ

   ループが事業を展開するインターネット業界における環境の変化や年次で行っているリスク項目の見直しにおいて

   必要と認められた場合には、適時に必要な取組を定め、実施することとしております。

    また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方

   針は、変化を好機と捉えて自ら事業を提案・推進していくことのできる人材を育成することを方針として、社外セ

   ミナーや勉強会、自己育成のための書籍購入及び資格取得への補助など自発的なスキルアップを補助する体制を構

   築しており、新卒を中心とした採用機会の増加と管理職への積極的な登用を含む女性活躍推進に加え、プログラマ

   ーなどのIT系職種を中心とした外国人の採用などの多様性の確保にも努めております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、自然災害リスクを含む気候変動リスクに関し、気候変動が当社グループの事業に対して様々な面に影響を及ぼすことに加えて影響が長期に渡ることから、リスク管理の一環としてグループ全体に影響を及ぼす事例を考察し、コンプラ・リスク委員会にて対象となるリスクの特定、評価及び管理する体制を構築しております。

 リスクの評価方法は、特定したリスク発生時の当社グループへの影響度と発生する頻度及び可能性によって判定されたリスクレベルを設定し、リスク自体が制御可能であるかというリスクを打ち消す要素であるコントロールの可否を加えて、高・中・低の3段階で最終的なリスク評価を設定しております。

 また、評価したリスクへの対策として、リスクを生じさせる要因そのものを取り除くリスク回避、リスクの発生可能性及び発生時の影響を下げるリスク軽減、リスクをグループ外へ移転させるリスク移転及びリスクへの対策が難しい場合に特に対策を行わないリスク保有の4つに分類し、それぞれの内容に応じて最適な対策を設定しております。なお、リスク項目については年1回の頻度で定期的に内容を見直しており、コンプラ・リスク委員会にて内容を確認及び協議して、適切なリスク管理を行っております。

 

(4)指標及び目標

    当社グループとして、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関するグループ全体の実績を長期的に評価、管

   理及び監視するために用いられる重要な指標や目標は、上記「(2)戦略」にも記載のとおり、リスク評価の結果か

   らも現時点では特に定めておりませんが、当社グループが事業を展開するインターネット業界における環境の変化

   や年次で行っているリスク項目の見直しにおいて必要と認められた場合には、適時に必要な指標及び目標等を定め

   るものとしております。

    また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する

   方針及び社内整備に関する方針のうち、女性活躍推進を目的とした女性管理職の増加を目標としており、現時点で

   は具体的な目標値は定めていないものの、新任管理職及び管理職候補者への研修といった階層別研修の実施などレ

   イヤー、従業員の意欲に応じた人材育成制度を構築し、指標及び目標の設定と適切な運用に努める予定でありま

   す。

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 事業環境に関わるリスクについて

① 国内法人向けSMS配信市場の拡大について

当社グループの主力事業である国内法人向けSMS配信の市場は、SMS利用用途の広がりにより急速に拡大しており、この流れは今後も継続すると見込まれています。

しかしながら、今後、新たな法的規制の導入、SMSに代わる新たな技術革新、携帯電話事業者の方針変更等により、当社グループの想定どおり国内法人向けSMS配信市場が拡大しない場合、また、市場環境の変化や競合他社との競争が激化した場合に、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 検索エンジンへの対応について

当社グループの開発する各種Webサイトでは、検索エンジンから多くのユーザーを集客しております。そのため、当社グループでは、SEO(検索エンジンの最適化)等の必要な施策を講じて集客力を強化しております。

しかしながら、検索エンジンにおける表示順位はその運営者のロジックや判断によるものであり、当社グループが関与できないものであるため、検索エンジン運営者の方針やロジック変更等により、これまでのSEOが有効に機能しなくなった場合、集客効果が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

現在、当社グループが運営展開する各サービスと類似するビジネスモデルの競合企業は複数存在いたします。今後も、当社グループでは各サービスの規模拡大と質的な充実を図ることにより、一層の事業強化を推進していく方針でありますが、新規参入や既存他社サービスの規模拡大等の影響によりユーザーの獲得競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害、事故について

当社グループでは、自然災害や大規模な事故に備え、定期的なデータバックアップや稼働状況の監視により、システムトラブルの事前防止又は回避に努めております。

しかし、当社及び子会社の本社が所在する地域における地震、津波等の大規模災害の発生や事故等により各本社及びデータセンター等が被害を受け、事業を円滑に運営できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 事業内容に関わるリスクについて

① 株式会社メディア4uについて

当社グループの2024年3月期連結売上高における株式会社メディア4uの売上高の割合は58.9%と高い水準にあり、また、当社グループの連結利益への寄与度も高くなっております。

株式会社メディア4uは、これまで主力サービスである「メディアSMS」等により、クライアントに対して高い付加価値を安定的に提供することで信頼関係を構築し、継続的な取引関係を維持してまいりましたが、将来において何らかの予期せぬ要因により、クライアントの事業戦略等に変化が生じ、契約の変更や取引の縮小等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② オートサービスグループについて

当社グループの祖業でもあるオートサービスグループのメンテナンス事業は、運輸局指定工場として、車検、一般整備、鈑金塗装修理、そして新車・中古車販売等を25年以上にわたって提供し続けております。また、BP・レンタカー事業においては、提携する損害保険代理店や保険会社に対して、保険契約者の自動車事故対応と実修理サービスやレンタカーサービスを提供しております。

従って、法規改定等による車検・点検の実施期間や点検整備項目の改変又は減少、顧客の車の修理や整備に対する支出意識の上昇、自動車の品質向上や技術革新等による故障や自動車事故の著しい減少等により、オートサービスグループの売上高が減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新規事業について

当社グループは、今後も引き続き積極的に新サービスないしは新規事業の開発や推進に取り組んでまいりますが、これによりシステムへの先行投資や広告宣伝費等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、展開した新領域での新サービスないしは新規事業の拡大・成長が当初の予測通りに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&Aについて

当社グループでは、事業領域の拡大並びに商品・サービスの拡充等を目的として、必要に応じてM&Aを活用する方針であります。M&A実施前には、対象企業の財務内容や契約関係等に関するデューデリジェンスにて把握したリスクの回避策や投資回収可能性等を充分に検討することでリスク低減を図ってまいります。

しかしながら、M&A実施後の事業環境の変化、偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題の発生等により、当初期待していた投資効果が得られない場合、のれん等の固定資産の減損損失が発生する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ SMSソリューショングループにおける仕入先について

当社子会社の株式会社メディア4uでは、SMS配信事業を運営するにあたり、主要な携帯電話事業者(株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社)と直接接続契約を締結しており、株式会社メディア4uでは顧客である事業者から依頼された配信コンテンツを携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信しております。

現在、携帯電話事業者と株式会社メディア4u間の契約継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、携帯電話事業者の経営方針が変更となった場合、SMS送信単価の引き上げ等が実施された場合、その他何かしらの事情により株式会社メディア4uといずれかの携帯電話事業者との契約が継続できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ SMSソリューショングループにおけるSMS送信システムについて

当社子会社の株式会社メディア4uが顧客に提供する各種SMS送信システムは、提携する複数の開発会社に開発委託しております。また、システムの運用保守につきましても一部外部委託しております。

現在、株式会社メディア4uと提携開発会社間の契約継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、提携開発会社の経営方針が変更となった場合、その他何らかの事情により契約が継続できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ インターネットサービスの拡充や開発について

当社グループでは、ユーザーやクライアントのニーズに対応するため、また、将来にわたって新たな顧客や市場を創造創出するために、グループ全体でシナジーを効かせながら、それぞれの領域特性に応じて既存の事業やサービスとは直接的には関連しない機能やサービスの企画開発、またコンテンツ等の拡充を市場の環境変化等に即して行っております。

しかし、今後、機能やサービスの企画開発やコンテンツの導入においてユーザーやクライアントのニーズの的確な把握が困難となり、十分な機能拡充に支障が生じた場合、当社グループの業界における競争力が低下し当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 資産の減損損失について

当社グループが保有する固定資産において将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があります。当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 事業運営体制について

① 特定人物への依存について

当社の代表取締役社長CEOである谷口政人は、当社設立より代表を務めております。

同氏は、インターネット関連事業に関連する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

当社グループは、取締役会や事業運営のための定例会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図るとともに、権限の委譲も適宜行っていくことで、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、現状では何らかの理由により同氏が当社グループの業務を行うことが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の獲得及び育成について

当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えております。特に、新規事業を立ち上げ、拡大・成長させていくための事業開発力・マネジメント能力を有する人材や、システム技術分野のスキルを有する人材の確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げに努めております。

しかしながら、当社グループの求める人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 小規模組織であることについて

当社グループは、現在193名(2024年3月末時点)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。

当社は今後の急速な事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 内部管理体制の強化について

当社グループは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。

業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) システム等に関するリスクについて

① システム障害について

当社グループは、当社グループが運営管理するWEBサイト等におけるシステムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用を実現するためのシステム強化及びセキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。

しかしながら、大規模なプログラム不良や当社グループが拠点を置く地域での大規模な自然災害の発生、想定を大幅に上回るアクセスの集中等により開発業務やシステム設備等に重大な被害が発生した場合、及びその他何らかの理由によりシステム障害等が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が生じることにより、顧客やユーザーとの信頼関係に悪影響を及ぼし、賠償責任の発生等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新について

当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、活発な技術革新が行われておりそのスピードが極めて速いことから、技術革新に応じたシステムの拡充、及び事業戦略の見直し等も迅速に行う必要があると考えております。そのため、当社グループでは業界の動向を注視しつつ、迅速に既存サービスへ新たな技術を展開できる開発体制を敷いております。

しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、それに伴いシステム開発費用が発生する可能性があります。また、適時な対応ができない場合、当社グループが提供するサービスの競争力が相対的に低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業拡大に伴うシステム投資について

当社グループでは、サービスの安定稼動やユーザーの満足度向上を図るためには、サービスの成長に伴い先行的にシステムやインフラに投資を行っていくことが必要であると認識しております。

今後、現在展開している事業で予測されるユーザー数及びアクセス数の拡大に応じて、新規事業の導入、及びセキュリティ強化のための継続的な設備投資を計画しておりますが、実際のユーザー数及びアクセス数が当初の予測から大幅に乖離する場合、設備投資の前倒しや当初の計画よりも重い投資負担を行わなければならず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制について

① 一般的なインターネットにおける法的規制について

当社グループの事業を規制する主な法規則として「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」、「サイバーセキュリティ基本法」、「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律(IT書面一括法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法)」、「著作権法」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」等があります。

近年、インターネット上のトラブルへの対応として、インターネット関連事業を規制する法規則は徐々に整備されてきており、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法規則等の規制や既存法規則等の解釈変更がなされた場合には、当社グループ事業が制約を受ける可能性があります。その場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 一般的な自動車整備及びレンタカーサービス、レッカーサービスにおける法的規制について

当社オートサービスグループの事業を規制する法規則として「道路運送車両法」があります。

今後自動車の修理や整備、登録、そしてレンタカーサービス等を営む事業者を規制対象とする新たな法規則等の規制や既存法規則等の解釈変更がなされた場合には、当社オートサービスグループが制約を受ける可能性があり、その場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 電気通信事業者について

当社及び子会社である株式会社メディア4uは、電気通信事業者として総務省に届出を行い登録されており、「電気通信事業法」及び関連省令を遵守しながら役務を行う必要があります。同法又は同法に基づく命令若しくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認められた場合、事業者登録の取消しを受ける可能性があります。当該法令の遵守に努めており、本書提出時点において取消し事由に該当する事項は生じておりませんが、事業者登録の取消しを受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の適用について

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」は、一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることに鑑み、特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることにより、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的としており、当社が配信している企業から個人向けのSMSも対象となっております。

当社では、SMS配信審査の中で法令違反が発生しないよう利用目的を事前に確認する等の対応を行っておりますが、万が一当社顧客が法令違反をし、業務改善命令や罰則等を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 個人情報の保護について

当社グループでは、インターネット関連サービスの提供を通じ、利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱業者としての義務が課されております。

当社グループでは個人情報を取り扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、「個人情報保護規程」を制定しております。併せて、役員及び従業員を対象とした社内教育を通じて、関連ルールについて周知徹底し、意識の向上を図ることで、同法及び関連法令等の法的規制の遵守に努めております。

また、当社グループのコンピューターシステムは、外部からの不正アクセスを防止するためのファイアウォール等のセキュリティ手段によって保護されております。

しかしながら、個人情報が当社グループの関係者や業務提携先等の故意又は過失により外部に流出したり、悪用される事態が発生した場合には、当社グループが損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社グループ並びに運営サイトの信頼性やブランドが毀損し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

当社グループは、当社が運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権侵害の可能性については可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに当社の事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性があります。

このような場合においては、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求、又は当社に対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他のリスクについて

① 配当政策について

当社は、株主に対する利益配分を経営上の重要施策の一つとして位置付けております。剰余金の配当につきましては、連結業績や財務状況、グループ事業戦略等を勘案して、連結配当性向25〜30%程度を目安としつつ、配当の安定性、継続性にも配慮した利益還元を実施する所存です。しかしながら、事業環境の急激な変化等により、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。

 

② 新株予約権行使による株式価値希薄化について

当社グループでは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、株式価値の希薄化により当社株式の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2024年3月期末現在における潜在株式の数は71,200株であり、発行済株式総数5,458,200株の1.3%に相当しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概略は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産合計は、5,303,751千円となり、前連結会計年度末に比べ601,475千円増加いたしました。この主な要因として、売掛金が144,896千円、建物及び構築物が100,575千円、投資有価証券が618,395千円増加した一方で、関係会社株式が389,419千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、1,706,350千円となり、前連結会計年度末に比べ182,741千円増加いたしました。この主な要因として、支払手形及び買掛金が65,416千円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が105,924千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、3,597,400千円となり、前連結会計年度末に比べ418,734千円増加いたしました。この主な要因として、自己株式の取得により自己株式が73,518千円増加した一方で、ストックオプションの行使に伴い、資本金が10,679千円、資本剰余金が10,679千円それぞれ増加、利益剰余金が517,800千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の制限緩和により、雇用・所得環境が改善し、社会経済活動は正常化に向かいつつあります。一方で、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や中国経済の先行き不透明感、世界的な物価上昇とそれに伴う金融引き締めなど、地政学的リスクが経済に影響を与え、世界経済の先行きには依然として不確実性が高い状況が続いております。

当社グループが属する情報・通信業種におきましては、外部的な要因による一時的な景気下振れリスクが存在するものの、社会のデジタル化の潮流を受け、中長期的には既存業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要が堅調に推移するものと見込まれます。

このような環境下、当社グループは「テクノロジーで社会の課題を解決する」というミッションを掲げ、SMS配信サービスと中古車販売支援システムの2つの主力事業を通じて、顧客の業務プロセス改革とデジタル活用をサポートする取り組みを推進してまいりました。

なお、当社グループは、更なる企業価値の向上並びに持続的成長の達成を支える経営基盤を整えることを目的に、2024年4月1日を効力発生日として持株会社体制に移行するとともに、当社の商号を「株式会社ファブリカホールディングス」に変更いたしました。これにより、当社はグループ経営機能に特化し、株式会社ファブリカコミュニケーションズ(2024年4月1日付で商号を「株式会社ファブリカコミュニケーションズ準備会社」より変更しております。)が当社のグループ経営管理事業を除く一切の事業を承継いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高につきましては、8,162,693千円(前年同期比7.4%増)、営業利益につきましては、1,070,565千円(同16.5%減)、経常利益につきましては、1,087,420千円(同13.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、673,527千円(同16.9%減)となりました。なお、セグメント別の経営成績につきましては次のとおりであります。

 

(SMSソリューショングループ)

国内の携帯電話事業者全キャリアと直接接続契約を行い、法人向けにSMS配信サービス「メディアSMS」の提供を行っております。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、前年度における自治体から感染者へのSMS配信特需が剥落したものの、新規大口顧客に対するオンボーディング早期化や既存顧客に対するクロスセル及び利用用途拡大による配信数の増加施策と、販売代理店へのセールスパートナー支援を強化することにより、SMS配信数及び新規導入社数は堅調に推移いたしました。一方、競争環境の激化により、一部の大口顧客における配信単価の見直しにより利益率が低下し、当連結会計年度のSMSソリューショングループの売上高は4,814,651千円(同6.0%増)となり、セグメント利益は1,249,638千円(同3.8%減)となりました。

 

 

(U-CARソリューショングループ)

中古車販売業向けの業務支援クラウドサービス「symphony」を提供し、自動車アフターサービスに関わる事業者のビジネスを支援しております。

複数の大手中古車販売会社において発生した不祥事等、中古車販売業界全体を取り巻く事業環境の悪化があったものの、営業活動のDX化を進め、メイン顧客層である中小規模事業者に向けたサポート及びコンサルティング活動を推進したことにより、symphony導入社数が前年同期比で276社増加した結果、当連結会計年度のU-CARソリューショングループの売上高は1,355,369千円(同7.4%増)となり、セグメント利益は352,167千円(同2.8%増)となりました。

 

(インターネットサービスグループ)

他セグメントへのWEB集客支援を担っているほか、自動車分野に特化したWEBマガジンの運営や、中古車一括査定サービス、EC事業者向けCRMプラットフォーム「アクションリンク」の提供など、多角的なポートフォリオを構築して事業運営を行っております。

メディア領域が好調に推移した一方で、アクションリンクへの成長投資を継続して実施した結果引き続き費用の増加が先行し、当連結会計年度のインターネットサービスグループの売上高は318,260千円(同19.1%増)となり、セグメント損失は20,358千円(前年同期は18,296千円の損失)となりました。

 

(オートサービスグループ)

自動車事故で損害を受けた自動車の修理から、レッカー、代車貸出までワンストップでカバーするサービスの提供と、自動車整備・中古車販売事業を行っております。

売上高は堅調に推移したものの、修理工賃の上昇に伴う原価率の悪化が影響した結果、当連結会計年度のオートサービスグループの売上高は1,673,356千円(前年同期比9.6%増)となり、セグメント利益は87,947千円(同12.8%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ53,216千円減少し、2,259,433千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは602,492千円の収入(前年同期は1,038,034千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が1,085,153千円、減価償却費が98,729千円、仕入債務の増加額が65,416千円あった一方、売上債権の増加額が144,896千円、法人税等の支払額が584,488千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、451,689千円の支出(前年同期は753,529千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が134,378千円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が232,990千円、無形固定資産の取得による支出が122,867千円、投資有価証券の取得による支出が295,492千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、204,019千円の支出(前年同期は240,161千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が200,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が94,076千円、自己株式の取得による支出が74,088千円、配当金の支払額が186,470千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスや自動車修理サービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので生産実績に関する記載はありません。

 

b. 受注実績

当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスや自動車修理サービスの提供であり、概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

SMSソリューショングループ

4,814,651

+6.0

U-CARソリューショングループ

1,355,369

+7.4

インターネットサービスグループ

318,260

+19.1

オートサービスグループ

1,673,356

+9.6

その他

1,054

合計

8,162,693

+7.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度において販売実績の100分の10を超える主要な販売先はないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、見積りは過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づいて、現時点において合理的であると判断したものであり、見積りの前提となる条件や事業環境が変化した場合等、見積りと将来の実績が異なることがあります。

なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は次のとおりであります。

a. 貸倒引当金

債権の貸倒による損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、連結会計年度末の一般債権については貸倒実績率にて、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。得意先の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

b. ポイント引当金

代理店に付与したポイント使用に備えるため、将来行使されると見込まれる額をポイント引当金として計上しております。

 

c. 繰延税金資産

繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、過去の実績等に基づき将来の課税所得を合理的に見積もっておりますが、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があったり、税制改正によって法定実効税率等が変化した場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。

 

d. 減損損失

当社グループは、独立採算管理が可能である事業(管理会計上の区分)ごとに資産をグループ化しております。営業損益において減損の兆候がみられた事業については将来の回収可能性を勘案した上で固定資産の帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として、特別損失に計上しております。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

③ 経営成績の分析

(売上高)

売上高は8,162,693千円(前年同期比7.4%増)となりました。主な要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。今後も、市場の成長を含む経営環境の変化に対応するため、広告宣伝活動、新卒及び中途採用、顧客基盤の積み上げ等を行うことで、売上高増加に努めてまいります。

 

(売上原価及び売上総利益)

売上原価は4,160,877千円(同11.4%増)となりました。主な要因は、売上高の増加に比例した増加であります。

この結果、売上総利益は4,001,815千円(同3.6%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

販売費及び一般管理費は2,931,249千円(同13.6%増)となりました。主な要因は、事業拡大に伴う人件費の増加があったことによるものであります。

この結果、営業利益は1,070,565千円(同16.5%減)となり、営業利益率は、前連結会計年度の16.9%に対して、当連結会計年度は13.1%となりました。これは、SMSソリューショングループにおける、競争環境の激化による利益率の低下に加え、事業拡大に伴い人件費及び経費が増加したことによるものであります。売上高とあわせて営業利益率の推移を重要な経営指標としてモニタリングし、経営環境の変化に対応することで収益性の改善に努めてまいります。

 

(経常利益)

営業外収益は25,701千円(同16.7%増)となりました。主な要因は、保険解約返戻金の増加であります。営業外費用は8,846千円(同79.2%減)となりました。主な要因は、持分法による投資損失が減少したことによるものであります。

この結果、経常利益は1,087,420千円(同13.8%減)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

特別利益は関係会社株式売却益785千円を計上いたしました。特別損失は減損損失3,053千円を計上いたしました。

この結果、税金等調整前当期純利益は1,085,153千円(同11.2%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税等合計は411,625千円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は673,527千円(同16.9%減)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営成績等に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑦ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、人件費や広告宣伝費等の販売費及び一般管理費に係る運転資金並びにセールアンドリースバック取引による車両や既存システムの改修等に係る設備資金であります。営業資金と設備資金の源泉につきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当しております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,259,433千円となっており、当面事業を継続していくうえで、十分な流動性を確保しております。

5【経営上の重要な契約等】

(会社分割による持株会社体制への移行)

当社は、2024年1月31日開催の臨時株主総会決議に基づき、2024年4月1日付で会社分割により当社のグループ経営管理事業を除く一切の事業を株式会社ファブリカコミュニケーションズ(2024年4月1日付で商号を「株式会社ファブリカコミュニケーションズ準備会社」より変更しております。)に承継しました。また、これに伴い、当社は同日付で「株式会社ファブリカホールディングス」に商号を変更し、持株会社体制へ移行しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(子会社である株式会社メディア4uと携帯電話事業者との契約)

相手方の名称

契約又は申込の名称

契約期間又は申込日

株式会社NTTドコモ

電気通信サービスの提供に関する契約書

2023年5月1日から2025年4月30日まで

KDDI株式会社

SMS(Cメール)配信システム使用契約書

2013年7月30日から2014年7月29日まで

(以後1年毎の自動更新)

ソフトバンク株式会社

接続契約申込書

申込日 2015年7月29日

ソフトバンク株式会社

API接続申込書

申込日 2018年1月31日

楽天モバイル株式会社

楽天SMS配信サービス申込書

申込日 2019年9月24日

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、連結子会社であるSparkle AI株式会社において、ブロックチェーンやAIに関する先進的な研究開発を行っています。具体的には、次世代インターネットであるWeb3における分散型アプリケーションの開発や、AIモデルの活用に注力しています。未来の社会において必要とされるサービスや解決すべき課題に向け、従来にはない革新的なサービスを迅速に提供することを目指しています。

 当連結会計年度において、当社グループが支出した研究開発費の総額は13,863千円であります。