第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ミッション/ビジョン/バリュー

当社グループは、「事業の領域拡大と更なる進化による新たな価値創造に果敢に挑戦し、豊かな社会の実現と持続的な成長に貢献する。」というミッション、実現したい姿としてのビジョンを定め、バリューである「前例のない場所へ。」を行動指針として、役職員が一丸となって企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

 

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(2) 中期的な経営方針・戦略

今後の経済見通しにつきましては、賃金の上昇などを背景に雇用・所得環境が改善する下で緩やかな回復が続くことが期待されるものの、世界的な金融引締めに伴う影響や不安定な国際情勢など景気を下押しするリスクもあり、不透明な状況が続くものと予測しております。

このような状況の下、当社グループは、事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSV(Creating Shared Value)の実践を通じて、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現することで、外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指してまいります。

中期経営計画の3年目となる2024年度も、経営目標の達成に向けて、中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」で掲げているビジネス戦略及びマネジメント戦略を着実に推進してまいります。

 

<ビジネス戦略>

ビジネスごとの成長性や収益性、当社グループの強みなどを総合的に判断し、当社グループが有する複数の事業領域の中から7つを選び、3つの成長ドライバーに区分しております。マーケットの拡大・創出が見込まれる事業領域には経営資源を集中的に投下し、持続的な利益成長を目指すとともに、成熟しつつあるマーケットにおける事業領域では徹底した差別化を進めることで、安定的な成長の実現を図ってまいります。

 

<3つの成長ドライバーと7つの事業領域>

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2024年度も、事業環境や社会の変化を捉えた経営資源の機動的な配分を継続し、成長ドライバーに区分する7つの事業領域を中心に一層のグループシナジーの発揮などによるビジネスの拡大を通じて、多様な事業から構成される「連峰型」の収益構造への転換を進めてまいります。

 

<事業を通じた社会価値の創出>

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事業を通じて社会課題の解決に貢献するCSVの考え方に基づき、成長ドライバーに区分した7つの事業領域を、持続可能な地球環境の実現への貢献を目指す「環境」と、豊かな社会と健やかな人の実現への貢献を目指す「社会とひと」の分野にそれぞれ紐づけ、様々な取組を進めてまいります。

例えば「環境」分野では、国内外での再生可能エネルギー発電事業の推進や当社独自の脱炭素推進ファイナンス(※1)の拡大などを通じたお客様及び社会のCO₂排出の削減貢献、プラスチックのリサイクルによる廃棄物削減などを通じて気候変動問題の解決や循環型社会実現への貢献を図ります。また、「社会とひと」の分野では、多種多様なニーズに対応した幅広いBPO/ICTサービスの提供を通じてお客様に新たな価値創造時間を創出するなど、社会的インパクトを重視した事業運営を行ってまいります。このような取組を進めていくことで、社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的な成長を目指してまいります。

 

※1 「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」及び「芙蓉サーキュラーエコノミーリース

 

<マネジメント戦略>

 「CSV経営」と「グループガバナンス」をマネジメント戦略における中心軸に据え、持続的な価値創造を支える組織・体制の強化を進めてまいります。「人材戦略」においては積極的な人材投資を進め、持続的な価値創造を支える高付加価値人材への社員の成長を最大限支援するとともに、IT・DX人材の育成にも戦略的に取り組んでまいります。「DXに向けたデジタルサポート」においては、2024年1月に稼働を開始した新たな社内営業管理システムの利活用の推進に取り組んでまいります。

 「システム戦略」、「業務改革」、「財務戦略」、「リスクマネジメント」についても高度化・合理化を進め、日本銀行による金融政策変更等に伴い事業環境やマーケット環境が変化する中で多様化するリスクに柔軟に対応し、適切な事業運営に努めてまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」では、計画最終年度である2026年度の財務目標及び非財務目標を以下のとおり設定しております。

 

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経営目標の達成に向けて最大限努力してまいります。

 

株主の皆様におかれましては、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 芙蓉リースグループは、SDGsに代表される社会課題の解決に事業を通じて取り組み、持続可能な社会の構築と企業

としての持続的な成長の両立を実現するCSVの考え方を軸に、サステナビリティの諸課題に対応しています。

 

(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティやCSVにかかる基本的な考え方を「持続的な価値創造を支える体制にかかる基本方針」に定め、その取組みを推進するため「CSV推進委員会」を設置しています。

 同委員会は企画・管理部門統轄役員を委員長とし、主要なコーポレート部門及び各事業部門を管掌する営業部門の部長を構成員として、サステナビリティやCSVに関するリスク及び機会を踏まえてマテリアリティ(重要な課題)を特定しました。また、実現のための戦略を議論し、指標として非財務目標の設定を行うとともに、定期的にその進捗状況のモニタリングを行い、適時に施策の見直し等を行うことを通じて、取り組みの実効性を高めています。また、サステナビリティやCSVに関する動向を委員会で報告し構成員の知見を高めることにより、機能強化に努めています。

 同委員会の審議・報告内容は経営会議に付議され、グループ全体のサステナビリティ及びCSVに係る方針については年に1回以上、取締役会への報告を実施し、取締役会がこれを監督しています。

 取締役の報酬においては、サステナビリティ及びCSVに係る非財務項目を業績連動報酬の評価指標のひとつとしています。

 

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(2)リスク管理

 気候変動リスクと機会については、CSV推進室が所管部となり各事業部門と連携して洗出しを行い、事業に及ぼす影響の大きさの観点から気候変動リスク等を特定しています。特定したリスク等の事業への影響度について、時間軸とシナリオ別に分析、評価を行ったうえで、リスクの最小化、及び機会の最大化に向けた方針を定めています。<詳細は後記 戦略/目標と指標をご参照>

 人的リスクについては人事部が所管部となり、人的リスクの管理に関する基本方針、手続等の検討・策定、及び企画、立案、施策の推進を行っています。リスク事象ごとに、状況・傾向及びリスク顕在化を把握・分析するための係数・指標等を定め、これを定期的かつ継続的にモニタリングすることを通じてリスクを把握しその低減に努めています。

 「リスク管理規程」に定める統合リスク管理体制のもとで、重要なリスクの発生時には速やかにリスク管理統括部である経営企画部に報告を行い、経営企画部はそれぞれのリスク所管部に対してリスクの管理について適宜指示を行っています。また、経営企画部は、当社グループ全体のリスク管理状況について取り纏めを行い、経営会議において各リスクの管理状況を報告するとともに、取締役に定期的に報告しています。

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(3)戦略/指標及び目標

 ①気候変動

a.気候関連シナリオ分析

 当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、TCFD(※1)が提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点における外部環境変化を予測し分析を実施しています。分析にあたっては、様々な気候変動関連シナリオに基づく検討とすべく、パリ協定の目標である「2℃より十分に低い」に則した「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つの気候変動シナリオを基に分析を実施しています。

 また、当社グループの事業は多岐にわたることから、分析にあたってはまず全社的な影響を特定した後、資産規模の大きい不動産部門、及び事業の特性上、特に気候変動影響が大きいと想定される3事業部門(エネルギー環境、モビリティ、航空機)についてシナリオ分析を実施しました。

 

※1 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)

 

b.気候変動に係るリスクと機会

(主な気候変動リスク)(※2)

 全社的な気候変動リスクとして、炭素税の導入によりRE100及びカーボンニュートラル実現を目指す為のコストが増加するリスクが特定されました。ただし、当社グループのCO排出量を基に影響額を算定した結果、財務面に与える影響は軽微であると認識しています。その他、特に気候変動影響が大きいと想定される事業部門におけるリスクは以下の通りです。

 

 

項目

事業への影響

概要

時間軸

シナリオ別影響度

1.5℃

4℃

全社

移行リスク

炭素税の導入(政策・法規制)

炭素税が導入されることで、RE100・カーボンニュートラル実現に向けたコストが増加するリスク

中期~長期

不動産

移行リスク

顧客嗜好変化による競争力低下(市場)

不動産ファイナンス取引等で投資先の物件に環境対応の遅れがあった場合に、収益性や借入人の信用力が低下するリスク

中期~長期

物理的リスク

自然災害の激甚化(急性)

自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク

短期~長期

エネルギー環境

移行リスク

エネルギー買取制度(FIT・FIP)等の制度変更(政策・法規制)

想定し得ない制度変更が発生した場合、売電収入減少・運営コストの増加等のリスク

短期~長期

再生可能エネルギー発電事業における事業環境の変化(市場)

出力抑制による売電収入減少のリスク

中期~長期

物理的リスク

自然災害の激甚化(急性)

自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク

短期~長期

モビリティ

移行リスク

CO₂排出量に関する規制の強化(政策・法規制)

CO₂排出量に関する規制強化等によりガソリン車の需要が低下し、従来のディーゼル・ガソリン車のリース需要が減少するリスク

中期~長期

小~中

事業環境の変化(市場)

EV(電気自動車)へのシフトに伴うガソリン車の再販売価格の下落リスク

中期~長期

メンテナンス収益の減少(技術)

EV(電気自動車)へのシフトに伴うメンテナンス関連の売上・収益の減少リスク

長期

航空機

移行リスク

法規制強化に伴う航空機需要の減少(政策・法規制)

CO₂排出量に関する規制強化等により航空機の需要が低下し、リース収益が減少するリスク

中期~長期

事業環境の変化(市場)

低燃費航空機へのシフトに伴い、リース期間終了後の旧型モデル航空機の再販売価格の下落による収益減少リスク

中期~長期

時間軸の定義:「短期」:現在~2026年、「中期」:2026~2030年、「長期」:2031年~2050年

影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円 「小」:1億円未満

 

※2 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。

 

(気候変動に係る主な機会)(※3)

 当社グループでは気候変動問題の解決を通じた社会価値の創造を重要なビジネス機会と位置付け、中期経営計画 「Fuyo Shared Value 2026」 において社会が1.5℃の世界を目指すことを想定し戦略を策定しました。その中でも当社グループが特に積極的に取り組む項目を機会として開示しています。

項目

事業への影響

概要

時間軸

シナリオ別影響度

1.5℃

4℃

エネルギー環境

機会

再生可能エネルギー需要の増加(製品・サービス、市場)

国内の再生可能エネルギー事業への取り組み増

短期~長期

海外の再生可能エネルギー事業への取り組み増

短期~長期

新技術・新制度等による事業機会(製品・サービス、市場)

二次エネルギー等の新規ビジネス分野への取り組み増

短期~長期

モビリティ

機会

電気自動車の需要増加(市場)

・EVワンストップサービスの推進

・自動車メーカーやディーラー連携、電力会社、商社等とのアライアンス戦略推進

・メンテネット構築

・FCVを他社に先駆け推進

短期~長期

電気自動車関連サービスの需要増加(製品・サービス)

航空機

機会

航空機関連の新技術の導入・新たなマーケットの形成(製品・サービス)

・周辺事業者への出資・協業、シナジーによる既存プロダクトの引合獲得・採算性向上

・新技術分野(SAF(持続可能な航空燃料)・水素・電動・eVTOL(電動垂直離着陸機)等)へのベンチャー出資、協業等

中期~長期

時間軸の定義:「短期」:現在~2026年、「中期」:2026~2030年、「長期」:2031年~2050年

影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円「小」:1億円未満

 

※3 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。

 

(当社グループ事業への影響)

 1.5℃/4℃シナリオのいずれにおいても、当社グループの事業に対する気候変動リスクの影響は限定的であり、機会の方が大きいという分析となりました。また、双方のシナリオにおいて連結売上総利益の増加が見込まれるものの、1.5℃シナリオの方がより利益の増加余地が大きいということが分かりました。

 

c.気候変動にかかる対応/指標と目標

 当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会が当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼすことを認識し、当社グループの脱炭素の推進、及び事業を通じたお客さま・社会の脱炭素の推進の両面から積極的に対応しています。

 当社グループの脱炭素推進の観点からは、2018年に国内の総合リース会社として初めて「RE100」に参加し、消費電力の再エネ化への取り組みを開始するとともに、2021年にはカーボンニュートラルを2030年に達成することを宣言し推進しています。

 また、広範な事業領域や顧客基盤を有する当社グループとして、ビジネスを通じてお客さまそして社会全体の脱炭素化に貢献することが重要な課題と考え、「脱炭素社会の実現」をマテリアリティ(重要な取り組み課題)の一つに掲げ、社会が1.5℃の世界を目指すことを想定した事業機会を前提に中期計画「Fuyo Shared Value 2026」の策定を行いました。

 再生可能エネルギー発電事業の拡大や、EV・FCV車へのファイナンスの強化等を通じてお客様や社会の脱炭素化を推進し、同時に利益の獲得を図ります。これらの戦略の推進にあたっては非財務目標を設定しています。

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(リスクにかかる指標と目標:当社グループの脱炭素化)

 

2030年度 目標

2024年度 目標

2022年度 実績(※5)

RE100目標(※4)

再生可能エネルギー使用率100%

再生可能エネルギー使用率50%

再生可能エネルギー使用率39%

CO₂排出量(※4)
(スコープ1,2)

カーボンニュートラル達成

2020年度比
30%削減

2020年度比14%削減

排出量

1,715 t-CO2

※4 対象はともに芙蓉総合リース及び連結子会社

※5 実績は2022年度の実績を掲載。2023年度実績は、2024年8月発刊予定の統合報告書をご参照ください。

 

(機会にかかる指標と目標:お客さま・社会の脱炭素化)

 

2026年度
目標

2023年度

ラップ目標

2023年度
実績

CO₂の削減貢献

50万t-CO₂/年

30万t-CO₂

33万t-CO₂

脱炭素推進に向けた
資金投下額(※6)

3,000億円

1,000億円

1,513億円

再エネ発電容量

(※7)

1,000MW

600MW

705MW

保有台数における

EV・FCV比率(※8)

30%

3.0%

1.0%

脱炭素推進ファイナンスの取扱金額(※9)

150億円

90億円

135億円

※6 対象は、再エネ設備、省エネ設備、電動車(充電設備含む)、水素・アンモニア関連設備、CO₂分離・回収技術(CCUS、DAC)、サーキュラー関連設備、ZEB・グリーンビル、SAF、ベンチャー設備への投資等。エネ環再エネ、エネ環省エネ・ESCO、EV、EVバイク、バッテリーフォークは計量に含み、エリア再エネ、エリア省エネ、HV、CE関連、グリーンビル、M&A、ベンチャー投資は含まず。

※7 再生可能エネルギー発電事業に対する出資及びプロジェクトファイナンス等が対象(発電容量は持分比率・シェアに応じて算出)。

※8 芙蓉オートリースにおける保有台数。

※9 「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」「芙蓉サーキュラーエコノミーリース」が対象。

 

②人的資本

a.戦略ならびに環境整備

 芙蓉リースグループは「人」すなわち社員が当社グループの持続的な価値創造を支える基盤であり最大の財産であると考え、積極的な人材投資を行っています。人材投資の柱は以下の3つです。

 

・事業領域の多様化、高度化に対応する「戦略的人材育成」

・多様な個性や才能、能力が最大限発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」

・健康で生き生きと働ける職場環境の整備「健康経営、ワーク・ライフ・バランス」

 また、従業員エンゲージメントを定期的に測定し、その向上に努めています。

 

b.戦略的人材育成

 当社グループはCSVを軸に据え、持続的な成長を可能とするために、「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」及び「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律した人材」を求める人材像として、人材育成投資を積極的に増加させています。

 「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」の育成のため、スキル構造を3階層に分類し、特に第2階層以降を強化するプログラムを重点的に整備・拡充しています。

 

第1階層

リース・ファイナンスに必要な会計・税務・法務などの知識や、コミュニケーション・思考力等の一般的なビジネススキル

第2階層

語学やDX、先鋭的なファイナンス等、全事業領域において必要かつ付加価値創出を底上げするためのスキル

第3階層

エネルギー、BPO、ヘルスケア等の事業領域ごとの高い付加価値の源泉となる専門的なスキル

 

 2023年度は第2階層において海外ビジネスパーソンとの協業研修、個別専門テーマ毎のファイナンス研修、DXアセスメントやOAスキル研修を実施してまいりました。また、2022年度に導入した自己啓発制度「カフェテリアプラン」も定着し、第3階層にあたる領域毎の高度な専門スキルの修得を支援しています。加えて、より「学び」に専心できる環境として、2024年3月に研修専用施設「Fuyo Shared Value Creation Center」を江東区豊洲に開設しました。

 これらの取り組みの結果、中期経営計画の非財務目標「人材育成関連費用(1人あたりの教育研修費/単体)」の目標値300%(2021年度対比)を2024年度末に2年前倒しで達成する見込みとなりました。

 

c.ダイバーシティ&インクルージョン

 当社グループでは、人材の多様性こそが成長の原動力であると考えています。異なる強み、視点や価値観を持ち寄るからこそ生まれるイノベーションが新たな価値を生み出し、持続的な成長に繋がります。年齢、性別、国籍、性的指向、性自認、人種、民族、障がい等の有無及び採用の形態にかかわらず、一人ひとりが能力を最大限発揮し、専門性を高めていけるよう、誰にとっても働きやすく働きがいのある職場を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。

 特に女性社員は、活躍のすそ野をより一層広げることを狙いとし、新卒採用や管理職登用を計画的に推進しています。また、採用や登用と並行して、性別に捉われず一人ひとりがライフイベントと仕事を両立して能力発揮できる支援も重要です。

 具体的には、男性育休や年休の取得推進、多様なキャリアやロールモデルに触れる機会の提供、多様な働き方の提供があります。多様なキャリアやロールモデルに触れる機会としては、社内の役職員との交流会や社外の女性経営層によるセミナー、先輩社員座談会等をグループ合同で開催しています。また、定期的な女性キャリア面談の継続や、2023年度に導入したキャリアコンサルティング(全社員を対象に任意で利用できる社内・社外の有資格者2名によるキャリア相談)を通じた個別のキャリア・能力開発支援に取り組んでいます。

こうした取組みも評価され、2017年度には「プラチナくるみん認定」、2021年度には「えるぼし」認定の2つ星(3段階のうち2段階目)を厚生労働大臣から取得しています。

 LGBTQや障がい者をテーマとしたeラーニング研修、管理職や役員層・人事担当者向けの集合研修をグループ合同で実施し、職場におけるダイバーシティ&インクルージョンの理解を促進しています。その結果、一般社団法人 work with Pride が策定する、職場における性的マイノリティへの取り組みの評価指標「PRIDE指標2023」にエントリーし、「シルバー」を受賞しました。

 

d.健康経営、ワーク・ライフ・バランス

 当社グループでは、社員が健康で安全に生き生きと働くことのできる職場環境を整えることが、組織の活性化、社員一人一人の生産性の向上、優秀な人材の獲得・維持につながり、持続的な価値創造を支えると考えています。そのための「健康投資」(健康保持に向けた取り組み)は人材育成と並ぶ「人的資本に対する投資」と捉え、「健康経営」を推進しています。

 「社員の疾病の予防・早期発見」を重点課題と考え、2022年度から、自己負担なしでの人間ドック受診可能年齢を40歳以上から35歳以上に引き下げ、2023年度も全員が受診しました。さらに、女性の健康課題にも重点的に取り組み、オンラインセミナーや女性医師による毎月の個別相談会、35歳未満の女性社員の婦人科健診費用の全額補助制度を導入しました。

 こうした取り組みもあり、3年連続で「健康優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されています。

 

 また、全ての社員が自律的にワーク・ライフ・バランスの実現に取り組み、ワークとライフ双方のクオリティ(健康の維持・増進、知識・見聞の拡大、自己啓発など)を高めることのできる「働きやすい職場作り」を進めています。

 具体的な制度として、「リフレッシュデー(毎週1回各人で設定する早帰り日)」「時差勤務制度(始業時間を午前7時~11時の間で日々選択できる制度)」があり、長時間労働の是正及び育児や介護等をはじめ自らの生活スタイルに応じて働くことのできる環境を整備しています。また「+Friday(プラスフライデー)」(毎月1回いずれかの金曜日を選択する早帰り日)の独自の施策も導入し取得を推進しています。

 

e.従業員エンゲージメント

 当社グループでは、「社員一人ひとりが、会社の成長と自身の成長を結び付け、お互いが成長することに対して貢献する関係」を「エンゲージメント」と定義し、従業員意識調査にてエンゲージメント指数を計測し、その指数動向を把握しています。

 

f.指標と目標

 

 

2026年度目標

2023年度実績

戦略的人材育成

人材育成関連費用

300

2021年度対比

249

2021年度対比

ダイバーシティ&インクルージョン

新卒採用女性比率

40

59.1

女性管理職比率

35

32.2

男性育児休業取得率(※10)

100

108.3

健康経営、ワーク・ライフ・バランス

35歳以上人間ドック受診率

100

100.0

有給休暇取得率

90

93.3

プラスフライデー取得率

定量目標は設定せず

88.7

エンゲージメント指標向上率(※11)

定量目標は設定せず

3.47

・指標に関する目標は、中期経営計画(2022-2026)において設定した提出会社単体のものとなります。また、指標に関する実績は、提出会社単体では関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないことから、提出会社である芙蓉総合リース単体のものとなります。

 

※10 育休取得率は、当該年度の育休対象社員(年度内に子どもが生まれた人数)に対して当該年度に育休を取得した社員数の割合で算出。

※11 従業員意識調査における「仕事の充実感」「社会への価値提供」「成長」等指標8項目の平均値を計測したものであり、主要企業のうち国内14社のものとなります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループでは、このようなリスクに対する適切な管理態勢を構築し、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した際の影響の極小化に努めております。

なお、文中における将来情報に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありません。

 

① 設備投資動向の変動等が業績に与える影響について

当社グループが取扱うリース取引や割賦販売は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つという役割を担っており、民間設備投資額とリース設備投資額とは概ね正の相関関係があります。

当社グループは、営業基盤の拡充、顧客の多様かつ潜在的なニーズを捉えた様々なソリューション提案の実施等に努め、契約獲得の増加に注力しておりますが、今後企業の設備投資動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 信用リスクが業績に与える影響について

当社グループの事業は、取引先に対する与信期間が中長期(リース取引の平均期間は5年程度)にわたることから、与信期間中に取引先の倒産等が発生し、リース料等の回収が困難となるリスクがあります。

当社グループは、信用リスクの損失を極小化するため、個々の取引先の信用状況を審査・モニタリングするとともに、ポートフォリオにおける信用リスクの状況を定量的に評価・モニタリングし、資産の健全性を維持、改善するよう努めております。また、日本公認会計士協会の「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」(業種別監査委員会報告第19号)に基づき、銀行等金融機関に準じた資産の自己査定を実施しており、決算において、「一般債権」は過年度の貸倒実績に基づく予想損失額を、「貸倒懸念債権及び破産更生債権等」は取引先個別の回収不能見込額を算定して貸倒引当金等を計上しております。さらに、「ビジネス・リスク・レビュー委員会」を設置して大口与信先の状況等についてモニタリングを行い、経営陣に定期的に報告しております。

しかしながら、今後の景気動向によっては、取引先の信用状況の悪化により新たな不良債権が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 金利・為替・株価等の変動及び資金調達が業績に与える影響について

当社グループは、顧客にリースや割賦販売を行う物件や当社が保有する事業資産の購入資金を主に金融機関や市場からの調達により賄っております。また、航空機等の外貨建て資産を保有している他、社債等の市場性のある債券投資やファンドを通じた投資等を行っております。

当社グループでは、市場情勢に対し注意を払うことはもとより、資産運用と資金調達のギャップを常時把握し、金利・為替・株価等の変動リスク等(=市場リスク)の管理、新規調達等の方針を協議・検討する「ALM委員会」を開催し、これらリスクの適切なコントロールに努めております。また、当社は、健全な財務体質を背景に、複数の格付機関から優良とされる格付けを取得しています。

 

格付機関名

発行体格付

CP格付

株式会社日本格付研究所

AA-

J-1+

株式会社格付投資情報センター

A+

a-1

 

しかしながら、今後の金利・為替・株価や金融市場の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後当社の格付けが引き下げられた場合、コマーシャル・ペーパー等による有利な調達が制限されるほか、通常より高い金利での資金調達を余儀なくされるなど、必要な資金の適切な確保が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 諸制度の変更が業績に与える影響について

当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに事業展開しております。将来、これらの諸制度が大幅に変更された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、会計制度については、2023年5月に企業会計基準委員会が、企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」を公表しております。

 

 

⑤ 戦略的提携・企業買収等に伴うリスクについて

当社グループは、事業の更なる拡大・成長を目的としてベンチャー企業や新規事業への出資又は戦略的提携や企業買収等を行うことにより、ビジネス領域の拡充を図っております。戦略的提携や企業買収等に際しては十分な検討を行っておりますが、外部環境の変化等により提携・買収後の事業が想定どおり進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 気候変動リスクについて

気候変動により自然災害が激甚化し、物理的リスクが顕在化した場合や、脱炭素社会への移行に向けた炭素税の導入といった法規制の強化等がなされた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「CSV推進委員会」を設置し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、気候関連のリスクと機会を適切に特定して、気候変動が当社グループの財務面に与える影響の分析及び情報開示を実施しております。さらに、2030年度までに事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を設定して気候変動リスクの低減に努めております。

詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

⑦ 災害等によるリスクについて

当社グループは、地震・噴火などの自然災害や事故、新型コロナウイルス等の感染症の流行など緊急時に備えて、人命・安全の確保及び事業の継続に向けたBCP(事業継続計画)基本原則を定めておりますが、被害の状況によっては、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスクについて

当社グループは、各事業においてITシステムを活用して多数の顧客情報を取扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、サイバー攻撃等により、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績等への悪影響が生じる可能性があります。

また、不正アクセス等により、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、また損害賠償等を行う必要が生じることにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「システム戦略委員会」を設置して、ファイアウォールなどのいわゆる入口対策・出口対策に加えてエンドポイントの監視等、多層防御の考え方で対策を図るとともに、役職員等に対して教育・研修の徹底を進めております。

 

⑨ DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に関連するリスクについて

DX戦略を牽引するデジタル人材の不足等によりDXへの対応の遅れが生じた場合やデジタル技術の適用が著しく遅延した場合、当社グループの競争力が相対的に低下することで経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

テクノロジーの進歩により、社会のデジタルシフトが加速する中、当社グループでは、事業を通じての様々な社会課題の解決と経済価値の同時実現を目指すため、デジタル技術を活用したビジネススタイルへの変革、新たなソリューションの創出に取り組んでいます。こうした活動を全社的に推進していくため「DX戦略推進委員会」を設置し、DX戦略推進に必要な組織・体制の整備等を図っております。

 

⑩ 事業戦略に関連するリスクについて

当社グループは、中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」に沿って事業領域の拡大や収益力強化に取り組んでおりますが、グループ経営上で重要度が高い事業分野(アセットビジネス、エネルギー・環境ビジネス、BPOサービス等)において想定されるリスクとして以下のようなものがあります。

 

a.不動産

当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資を行っております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績悪化や不動産の稼働率低下に伴うキャッシュ・フローの減少及び不動産市況の悪化により資産価値が下落するリスクがあります。景気悪化や事業環境の変化により、保有資産の価値が大幅に変動した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.航空機

当社グループは、国内外において航空機リース事業を展開しております。個別案件の取組みにあたっては、航空会社の信用力や物件の将来価値を見極めて検討を実施し、さらに航空業界の動向や航空機の機体価値の変動状況について定期的にモニタリングしております。

しかしながら、航空会社の業績が悪化した場合や経済環境の変動等により航空機の資産価値が著しく下落した場合には、機体の売却損や減損損失の計上等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.モビリティビジネス

当社グループは、乗用車、トラック等のリース事業を展開しております。取引先の信用力や物件の将来価値を見極めておりますが、中古車市場の変動により資産価値が著しく下落した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.エネルギー・環境

当社グループは、大規模太陽光発電所の運営及び再生可能エネルギーファンド等への投資を行っており、天候不順等の影響により発電量が減少するリスクがありますが、想定される業績への影響は軽微です。

 

e.BPOサービス

当社グループは、顧客の一部業務処理を受託するBPOサービスを提供しております。IT化による人的ミスの削減、業務マニュアルの作成及び人材の育成等により、十分なサービスを提供する体制を整えておりますが、納期の遅れや業務品質の低下等が発生した場合、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

f.海外

当社グループは、北米、アジア等で日系企業を中心にリース・ファイナンス事業を展開しておりますが、進出している海外諸国の政治・経済等の状況の変化により、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

⑪ 業務運営全般・コンプライアンスに関するリスクについて

業務運営全般に関するリスクとして、不適切な事務処理が行われることによる事務リスク、コンピュータシステムのダウンもしくは誤作動等のシステムリスク、必要な人材の育成・確保が困難となる等の人的リスク等があり、これらのリスクが顕在化した場合、円滑な業務運営が損なわれることにより、事業活動に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、リスク管理規程等に基づき、リスクの特性や重要性に応じた管理を実施し、これらのリスクのコントロールに努めております。

また、コンプライアンスに関するリスクについては、当社グループのコンプライアンス基本方針を定めるとともに、コンプライアンス運営体制強化と実効性確保を目的に「コンプライアンス委員会」を設置し、年度毎にコンプライアンス・プログラムを策定して内部管理体制の強化に取り組んでおります。さらに、グループ全体で法令遵守や人権尊重の意識を高めるため、継続的に研修を実施しております。

 しかしながら、国内外の各種関連法令や社会規範・社内ルール等が遵守されなかった場合や当社グループの事業活動において人権侵害に該当する事象が生じた場合、業務の制限や停止、取引先等からの損害賠償の請求、社会的信用の喪失等により、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額により開示しております。

以下の経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、社会経済活動の正常化やインバウンド需要の増加等を背景に緩やかに回復しました。2024年3月には、物価安定目標の実現が見通せる状況になったとして日本銀行がマイナス金利解除などの金融政策の枠組みの見直しを決定しました。一方、地政学的リスクの高まりや物価の上昇等の影響に十分注意する必要があり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

こうした環境の下、当社グループは、ひとの成長と対話を通じた社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的成長を目指す、5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」に取り組んでおります。中期経営計画の2年目となる2023年度も外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行しました。

この結果、当連結会計年度の契約実行高は前年度比13.8%増加の1兆7,428億4千1百万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比1,729億2千2百万円(6.4%)増加して2兆8,774億4千9百万円となりました。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比2,387億円(7.6%)増加して3兆3,903億2千4百万円となりました。

調達残高は、社債の発行や長期借入金の増加により、前連結会計年度末比6.7%増加の2兆6,825億9千5百万円となりました。

損益面では、売上高は前年度比2.9%増加の7,085億3千8百万円、営業利益は前年度比16.5%増加の600億4千6百万円、経常利益は前年度比14.5%増加の683億5千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比21.3%増加の472億1千9百万円となりました。

営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに、前年度を上回る実績となり、各段階利益については連結会計年度の過去最高益を更新しております。

なお、中期経営計画の経営目標に設定している経常利益は、7期連続で最高実績を更新しております。

 

② セグメントごとの経営成績

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、各セグメントにおける売上高については「外部顧客への売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。

 

[リース及び割賦]

 リース及び割賦の契約実行高は前年度比31.4%増加して6,341億4千3百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比6.0%増加して1兆8,447億6千5百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比1.3%増加して6,198億3千4百万円となり、セグメント利益は前年度比14.6%増加して420億4千7百万円となりました。

 

[ファイナンス]

 ファイナンスの契約実行高は前年度比4.6%増加して1兆963億6千2百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比6.4%増加して9,938億8千7百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比24.7%増加して326億7千万円となり、セグメント利益は前年度比0.5%増加して187億3百万円となりました。

 

[その他]

 その他の契約実行高は前年度比121億4千9百万円増加して123億3千4百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比31.9%増加して387億9千6百万円となりました。その他の売上高は前年度比10.8%増加して560億3千2百万円となり、セグメント利益は前年度比14.5%増加して115億7千4百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比194億8千1百万円増加して1,406億7千4百万円となりました。区分ごとのキャッシュ・フローの状況の内訳は以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 税金等調整前当期純利益が668億4千8百万円、賃貸資産減価償却費が453億8千2百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が1,843億6千3百万円、リース債権及びリース投資資産の減少額が306億8千6百万円となったことなどに対し、営業投資有価証券の増加額が360億2千8百万円、賃貸資産の取得による支出が3,560億7千7百万円となったことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,120億9千8百万円の支出(前連結会計年度は241億4千9百万円の支出)となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資有価証券の売却及び償還による収入が44億2百万円となったことなどに対し、社用資産の取得による支出が32億6千9百万円、投資有価証券の取得による支出が41億3百万円となったことなどにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、30億6千2百万円の支出(前連結会計年度は123億9千3百万円の支出)となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 長期借入れによる収入が5,999億3千万円、社債の発行による収入が970億円となったことなどに対し、コマーシャル・ペーパーの減少額が300億円、長期借入金の返済による支出が4,301億5千万円、社債の償還による支出が450億円となったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,318億円の収入(前連結会計年度は840億4千2百万円の収入)となりました。

 

④ 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況

 「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社における貸付金の状況は次のとおりであります。

a.貸付金の種別残高内訳

2024年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

有担保(住宅向を除く)

住宅向

2

0.04

43

0.01

1.58

2

0.04

43

0.01

1.58

事業者向

 

 

 

 

 

5,659

99.96

522,805

99.99

2.48

合計

5,661

100.00

522,849

100.00

2.48

 

b.資金調達内訳

2024年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

 

1,552,918

0.70

その他

 

669,641

0.69

 

社債・CP

623,495

0.70

合計

2,222,560

0.70

自己資本

 

309,468

 

資本金・出資額

10,532

 

c.業種別貸付金残高内訳

2024年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

39

9.01

7,922

1.52

農業・林業・漁業・鉱業

4

0.92

5

0.00

建設業

9

2.08

10,788

2.06

電気・ガス・熱供給・水道業

7

1.62

8,040

1.54

情報通信業

3

0.69

33,502

6.41

運輸業

8

1.85

100

0.02

卸売・小売業

133

30.71

6,263

1.20

金融・保険業

20

4.62

79,685

15.24

不動産業

96

22.17

271,085

51.85

飲食店,宿泊業

2

0.46

14

0.00

医療,福祉

41

9.47

1,331

0.25

教育,学習支援業

1

0.23

1,167

0.22

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

49

11.32

93,818

17.94

公務(他に分類されないもの)

個人

2

0.46

43

0.01

分類不能の産業

19

4.39

9,080

1.74

合計

433

100.00

522,849

100.00

 

d.担保別貸付金残高内訳

2024年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

144,774

27.69

 

うち株式

0.00

債権

 

731

0.14

 

うち預金

0.00

商品

 

0.00

不動産

 

7,469

1.43

財団

 

0.00

その他

 

9,517

1.82

162,493

31.08

保証

 

17,844

3.41

無担保

 

342,512

65.51

合計

522,849

100.00

 

e.期間別貸付金残高内訳

2024年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

212

3.74

150,142

28.72

1年超 5年以下

5,280

93.27

212,928

40.72

5年超 10年以下

82

1.45

145,257

27.78

10年超 15年以下

8

0.14

3,918

0.75

15年超 20年以下

15

0.27

6,049

1.16

20年超 25年以下

3

0.05

2,570

0.49

25年超

61

1.08

1,981

0.38

合計

5,661

100.00

522,849

100.00

1件当たりの平均期間(年)

4.44

 (注) 期間は、約定期間によっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析につきましては、以下のとおりであります。

 

当社グループは、2022年4月より5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせました。計画の2年目となる2023年度も外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行しました。

2023年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。

 

<ビジネス戦略>

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」のビジネス戦略を着実に推進するため、社会の変化に応じた経営資源の機動的な配分を行い、3つの成長ドライバーに区分した7つの事業領域を中心にビジネス領域の拡大に取り組みました。

 

<3つの成長ドライバーと7つの事業領域>

1 ライジングトランスフォーメーション<社会的な地殻変動を捉えた戦略的成長>

●モビリティ

電気自動車(EV)導入に係るワンストップサービスの展開を進めるとともに、アライアンス先との連携を通じて、商用分野におけるEVの普及促進や新たな EV 関連サービスの開発に取り組みました。

また、物流領域における事業拡大を展望し、組織体制の整備を進めるとともに、アライアンス先との協業によるサービスメニューの拡充を図りました。

 

●サーキュラーエコノミー

返却されたリース物件を確実にリユース・リサイクルし、製品寿命の長期化と再資源化の向上を実現する「芙蓉サーキュラーエコノミーリース」の取扱いを開始し、循環型の製品ライフサイクルをお客様とともに推進しました。なお、リース業ならではの立場からサーキュラーエコノミーを推進している点を評価され、環境省が主催する第5回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」において、当社はサーキュラーエコノミー賞を受賞しております。

 

2 アクセラレーティングトランスフォーメーション<市場トレンドを捉えた加速度的成長>

●エネルギー環境

再生可能エネルギー事業を国内外において積極的に拡大するとともに、再生可能エネルギー関連の情報が多く集まる英国・ロンドンに現地法人を新たに設立し、欧州マーケットにおける更なるビジネスの開拓に向けた組織体制の強化に取り組みました。 また、新たなビジネスとして、再生可能エネルギーの導入加速と電力系統の安定化に貢献する大規模系統用蓄電池事業に当社として初めて参画することで、更なる事業領域の拡大を進めました。

 

●BPO/ICT

AIの活用による新規ビジネスの創出・業務効率化を進めるべくアライアンス先との事業連携を進め、付加価値の高いBPOサービスの開発に取り組みました。また、インボイス制度の施行や電子帳簿保存法の改正に伴うお客様のシステム導入ニーズに対しては、連結子会社である株式会社WorkVisionとの連携営業を推進し、グループシナジーの創出に努めました。

 

●ヘルスケア

地域の安定したヘルスケア基盤構築への貢献を目指すことを目的に地域金融機関等と共同で立ち上げた「地域特化型ヘルスケアファンド」において、福島県の事業者を対象とした第1号案件を実行しました。また、連結子会社であるシャープファイナンス株式会社において歯科衛生士人材紹介サービス事業である「デンタルマッチ」を開始するなど、医療・介護事業者のニーズに応える多様なサービスの提供を進めております。

 

 

3 グロウイングパフォーマンス<中核分野の安定的成長>

●不動産

リスクとリターンを意識した案件の選別、資産の入替えを進めることで、収益性を高めながら、事業ポートフォリオ全体のバランスを意識したアセットコントロールを進めました。

 

●航空機

リースニーズの高まりを捉え、保有機体数が増加しました。 また、当社グループとして初めて株式会社国際協力銀行と融資契約を締結し、外貨調達の多様化を通じて航空機リース事業における競争力の向上にも取り組みました。

 

<事業を通じた社会価値の創出>

事業を通じた持続可能な社会の構築と企業としての継続的な成長の両立を実現するため、当社グループはCSVの考え方を経営の根幹に位置付け、サステナビリティに関する取組を強化しております。

中期経営計画においては、事業を通じて社会課題の解決に貢献するCSVの考え方に基づき、成長ドライバーに区分した7つの事業領域を、持続可能な地球環境の実現への貢献を目指す「環境」と、豊かな社会と健やかな人の実現への貢献を目指す「社会とひと」の分野にそれぞれ紐づけ、様々な取組を進めております。

 

「環境」分野では、質の高いカーボンクレジットの創出を行う森林ファンドへの参画や、「芙蓉サーキュラーエコノミーリース」の拡大などを通じて、気候変動問題の解決や循環型社会の実現に向けた取組を強化しました。加えて、持続可能な食糧システムを実現する可能性を持つ優れたスタートアップ企業を投資対象としたアグリ・フードテックファンドへの出資を実行するなど、生物多様性への対応も進めております。「社会とひと」の分野では、健康・福祉における安心の創出を目的として「地域特化型ヘルスケアファンド」などを通じた医療・福祉マーケットにおける経営支援を目的としたファイナンス機能の提供などを進めております。このような取組を推進していくことで、社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的な成長を目指してまいります。

 

<マネジメント戦略>

ビジネス戦略を支える経営基盤を強化するため、マネジメント戦略では以下取組を進めました。

 

・ 持続的な価値創造に大切な「ひと」の育成に一層注力するため、より「学び」に専心できる環境としての研修専用施設「Fuyo Shared Value Creation Center」を新たに開設し、高付加価値人材の継続的な創出に向けた人的投資を積極的に進めております。

・ESGファイナンスによる資金調達強化を狙いにサステナブルファイナンス・フレームワーク(※1)を策定し、調達手段の多様化を進めました。なお、サステナビリティに関する取組みが評価され、環境省が主催する第5回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の資金調達者部門において環境大臣賞(銀賞)、及びサーキュラーエコノミー賞を受賞しました。

・CDP(※2)により、気候変動分野における取組や情報開示が優れた企業として、最高評価の「Aリスト企業」に当社として初めて選定されております。

・中期経営計画の順調な進捗等が評価され、株式会社日本格付研究所(JCR)の当社長期発行体格付けが「A+」から「AA-」に引き上げられております。

 

※1 サステナブルファイナンスでの資金調達に先立ち、参照するべき国内外の原則や指針等で定められた要件に基づき、資金調達者が定める方針及び枠組み

※2 企業や自治体の環境情報開示を促進する活動を行う、英国に本部を置く国際的な非政府組織

 

 

以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。

 

<営業取引の状況>

[契約実行高]

 当連結会計年度における契約実行実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

契約実行高(百万円)

前年同期比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

122,428

103.3

産業・土木・建設機械

11,533

110.4

その他

115,022

114.8

ファイナンス・リース計

248,985

108.7

情報・事務用機器

4,194

130.7

産業・土木・建設機械

2,474

68.3

その他

352,079

156.4

オペレーティング・リース計

358,748

154.7

リース計

607,734

131.8

割賦

26,409

122.9

リース及び割賦計

634,143

131.4

ファイナンス

1,096,362

104.6

その他

12,334

合計

1,742,841

113.8

(注)1.オペレーティング・リースは、賃貸物件の取得価額を記載しております。なお、再リース取引の実行額は含んでおりません。

2.リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の購入金額、割賦については、実行時の割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

3.その他の対前年同期比は1,000%を超えているため「-」で記載しております。

 

契約実行高は前年同期比13.8%増加となりました。

「リース及び割賦」については、中期経営計画で注力しているオペレーティング・リースを中心に不動産及び航空機の取組み拡大等が寄与し、増加しております。

「ファイナンス」については、国内子会社のアクリーティブ株式会社におけるFPSメディカルの取扱高の積上げが進んだこと等により増加しております。

「その他」については、福島県の「鮫川青生野太陽光発電所」が商業運転を開始したこと等により増加しております。

 

[営業資産残高]

 連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

期末残高

(百万円)

構成比(%)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

333,945

12.3

311,115

10.8

産業・土木・建設機械

92,517

3.4

75,861

2.7

その他

464,338

17.2

471,754

16.4

ファイナンス・リース計

890,802

32.9

858,731

29.9

情報・事務用機器

6,440

0.2

6,590

0.2

産業・土木・建設機械

36,220

1.4

33,348

1.2

その他

754,695

27.9

896,188

31.1

オペレーティング・リース計

797,356

29.5

936,126

32.5

リース計

1,688,159

62.4

1,794,858

62.4

割賦

52,791

2.0

49,906

1.7

リース及び割賦計

1,740,951

64.4

1,844,765

64.1

ファイナンス

934,167

34.5

993,887

34.5

その他

29,407

1.1

38,796

1.4

合計

2,704,526

100.0

2,877,449

100.0

(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

営業資産残高は、前連結会計年度末比6.4%の増加となっております。

「リース及び割賦」については、成長ドライバーに位置付ける事業領域である不動産及び航空機等を中心にオペレーティング・リースの積上げが進んだことにより増加しております。

「ファイナンス」については、欧州を中心とした再生可能エネルギー事業への出資の拡大等により増加しております。

「その他」については、太陽光発電所が新たに商業運転を開始したことにより増加しております。

 

[営業実績]

 連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

前連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

418,400

オペレーティング・リース

163,388

リース計

581,789

522,375

59,413

5,374

54,038

割賦

30,074

28,877

1,197

226

971

リース及び割賦計

611,863

551,252

60,611

5,601

55,009

ファイナンス

26,208

1,198

25,009

5,170

19,838

その他

50,583

27,938

22,644

176

22,468

合計

688,655

580,390

108,264

10,948

97,316

 

当連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

319,722

オペレーティング・リース

271,608

リース計

591,330

517,082

74,247

8,461

65,786

割賦

28,503

27,374

1,129

329

800

リース及び割賦計

619,834

544,457

75,377

8,790

66,586

ファイナンス

32,670

5,142

27,528

9,850

17,677

その他

56,032

30,368

25,664

358

25,305

合計

708,538

579,967

128,570

19,000

109,570

 (注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[売上高、売上原価、差引利益]

(リース及び割賦)

リース及び割賦の売上高は、前年度比79億7千万円(1.3%)増加して6,198億3千4百万円となりました。売上原価は前年度比67億9千5百万円(1.2%)減少して5,444億5千7百万円となり、リース及び割賦における差引利益は前年度比147億6千6百万円(24.4%)増加して753億7千7百万円となりました。これは主として、不動産分野で大口の売却益を計上したこと、航空機分野で旅客需要がコロナ前の水準まで回復し、エアラインからのリース料回収の正常化が進んだこと、海外のモビリティ分野で前連結会計年度末をみなし取得日としてPacific Rim Capital,Inc.を持分法適用の関連会社から連結子会社化したことなどによるものであります。

 

(ファイナンス)

ファイナンスの売上高は、前年度比64億6千2百万円(24.7%)増加して326億7千万円となりました。売上原価は前年度比39億4千3百万円(328.9%)増加して51億4千2百万円となり、ファイナンスにおける差引利益は、前年度比25億1千9百万円(10.1%)増加して275億2千8百万円となりました。これは主として、貸付金利息や匿名組合出資利益等のファイナンス収益の増加によるものであります。

 

(その他)

その他の売上高は、前年度比54億4千9百万円(10.8%)増加して560億3千2百万円となりました。売上原価は前年度比24億2千9百万円(8.7%)増加して303億6千8百万円となり、その他における差引利益は前年度比30億2千万円(13.3%)増加して256億6千4百万円となりました。これは主として、BPO/ICT分野でインボイス制度や電子帳票保存法の需要を取込んだこと、エネルギー環境分野で太陽光発電所が新たに商業運転を開始したこと等によるものであります。

 

[営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益]

成長ドライバーに位置付けるモビリティ、不動産、航空機などの事業領域の拡大により、利益の源泉である基礎的な収益、即ち「差引利益」(資金原価控除前売上総利益)が前年度比203億5百万円(18.8%)増加して1,285億7千万円となりました。

コスト面では、グループの拡大に伴い人物件費が前年度比41億7千9百万円(9.5%)増加して482億6千8百万円となりました。資金原価は外貨を中心とした調達残高の増加及び調達金利の上昇が影響し、前年度比80億5千1百万円(73.5%)増加して190億円となりました。

この結果、営業利益は前年度比16.5%増加の600億4千6百万円、経常利益は前年度比14.5%増加の683億5千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比21.3%増加の472億1千9百万円となりました。

 

[純資産、自己資本比率]

株主資本合計は利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比11.4%増加の3,531億7千1百万円となり、当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比671億2千9百万円(16.4%)増加して4,773億2千6百万円となりました。

自己資本比率は、前連結会計年度末比1.1ポイント上昇して12.7%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,120億9千8百万円の支出(前連結会計年度は241億4千9百万円の支出)となりました。主な変動要因は、賃貸資産の取得による支出の増加、リース債権及びリース投資資産の増減額の減少、賃貸資産除却損及び売却原価が増加したことなどによるものであります。

 

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動によるキャッシュ・フローは、30億6千2百万円の支出(前連結会計年度は123億9千3百万円の支出)となりました。主な変動要因は、投資有価証券の取得による支出の減少、投資有価証券の売却及び償還による収入が増加したことなどによるものであります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,318億円の収入(前連結会計年度は840億4千2百万円の収入)となりました。主な変動要因は、間接調達では長期借入れによる収入及び長期借入金の返済による支出が増加したこと、直接調達ではコマーシャル・ペーパーの純増減額が減少したことなどによるものであります。

 

b.契約債務

2024年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

558,104

長期借入金

422,660

340,474

284,209

165,978

122,695

62,722

リース債務

2,038

1,113

877

476

387

1,099

合計

982,803

341,587

285,086

166,454

123,083

63,821

当社グループの第三者に対する保証は、取引先等の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2024年3月31日現在の債務保証額は、1,209億5千万円であります。

 

c.財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達により資金調達することとしております。

当連結会計年度は、営業資産の積上げを背景に社債(ハイブリッド社債含む)や長期借入金による調達を拡大しました。また非財務目標に紐づくESGファイナンスの取組みを推進しております。

当連結会計年度末において、間接調達は、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比8.2%増加して1兆9,568億4千5百万円となり、直接調達は、社債を発行したことなどにより、前連結会計年度末比2.8%増加して7,257億4千9百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の調達残高は、前連結会計年度末比6.7%増加して2兆6,825億9千5百万円となりました。直接調達比率は27.1%となり、前連結会計年度末比1.0ポイント低下いたしました。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸資産及び割賦販売物件の購入、営業投資有価証券の購入、太陽光発電設備の設備投資のほか、営業費用、販売費及び一般管理費等であります。

2024年3月31日現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、前連結会計年度末比6.6%増加して2兆6,885億8千7百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,406億7千4百万円となっております。

当連結会計年度末において、取引金融機関80行等と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。(借入実行残高5,428億7千3百万円、借入未実行残高7,510億1千4百万円)

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年度より新中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせております。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 

a.貸倒引当金

当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額に対して貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。貸倒引当金の金額は、以後の各連結会計年度の貸倒の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、追加引当が必要となる可能性があります。

 

b.固定資産(賃貸資産等)の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益が見込めなくなった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。

 

c.のれんの減損

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、当期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。