文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、在宅医療をサポートする企業として、マッサージ直営事業を主たる事業として展開しております。
現在の我が国は、国民の4人に1人以上が65歳以上の高齢者(出所:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)という世界保健機関(World Health Organization:WHO)が定義する「超高齢社会」を迎えております。これに伴い医療費のうち入院費を含む診療費は、年間30兆円を超える規模にまで膨らみ(出所:厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)、我が国は、社会保障費等の増加による財政の悪化に直面しております。
このような状況下、入院費の削減を目的とした医療機関の病床数の削減が政府目標として掲げられるとともに、在宅医療と在宅介護の充実化により医療機関における診療から在宅医療への転換を図る地域医療構想(「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」及び「医療法」第30条の4第2項)が政府の方針として打ち出されております。
また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年頃には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者、5人に1人が75歳以上の後期高齢者になるといういわゆる「2025年問題」が到来し(出所:厚生労働省 広報誌「厚生労働」2017年2月号)、多くの医療難民、介護難民の発生への対応が社会問題となることを見込んでおります。
このような経営環境下、当社グループは「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」という会社理念のもと、「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」という経営ビジョンを掲げ、事業を通じて「超高齢社会」における社会問題の解決に資する企業となることを目指しております。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①人材の定着と採用の強化について
当社グループは、さらなる事業の拡大を図っていくためには、あん摩マッサージ指圧師及び看護師等の専門職をはじめとした人材の定着と採用の強化が重要であると認識しております。
そのため、当社グループでは、待遇の改善、労務に焦点をあてたコンプライアンス委員会の開催、全事業所規模での安全衛生委員会の開催、メンタル面での悩み相談が可能な外部相談窓口の設置、定期的に実施される従業員満足度調査に基づく会社に対する満足度の把握及び従業員等が共感できる会社理念や経営ビジョンの策定と共有化等を通じて、離職率の低下等、人材の定着に向けた全社的な取り組みを実施しております。また、人材採用の専門部署の設置、あん摩マッサージ指圧師を育成する専門学校における定期的な会社説明会の実施等を通じて、採用の強化を図っております。
今後もこれらの施策等を継続的に実施し、人的経営資源の維持と確保に努めてまいります。
②人材の育成について
当社グループは、適切な事業の遂行と事業の持続的な成長を実現していくためには、人材の育成が重要であると認識しております。
当社グループの主力事業であるマッサージ直営事業においては、利用者の療養生活に資する高品質なサービス提供を継続的に実施していくことこそが、事業の発展につながるものと考えております。また、あん摩マッサージ指圧師は、独立開業が可能な有資格者となります。そのため、優秀な人材を確保し続けていくためには、成長実感を得られるような職場環境の提供により当社グループでの就労意欲を高めていくことが必要となります。
これらの観点から、当社グループは、より高度で充実した教育研修体制の構築を図り、人材の育成に一層、注力していくことが重要であると認識しております。当社グループは、サービス品質の維持及び向上を図る専門部署を設置するとともに、年間70万件を超えるサービス提供実績に基づく症例データを蓄積し、これらのノウハウを教育研修に活用しておりますが、今後につきましても、品質管理体制の向上と教育研修制度の充実に積極的に取り組んでまいります。
③安定的な事業基盤の確立について
当社グループは、国民健康保険法及び健康保険法に定められた医療保険制度並びに介護保険法等に定められた介護保険制度を利用した事業を展開しており、利用者の多くは高齢者であるとともに、利用者からの収入の多くは、保険制度に基づく収入となっております。そのため、永続的に事業を通じた社会的な使命を果たしていくためには、特定の制度や利用者層に過度に依存することを回避することが重要であると考えております。
当社グループは、保険制度に基づく収入だけではなく、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入をはじめとした収益構造の多様化や、保険適用外サービスの展開による利用者層の拡充等を通じて、安定的な事業基盤の確立に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等で記載の通り、2025年に予想される多くの医療難民、介護難民の発生への対応という「超高齢社会」における社会問題の解決に資する企業となることを目指しております。
このような目標の下、当社グループはマッサージ直営事業、マッサージフランチャイズ事業、施設系介護サービス事業及びその他事業(訪問看護)をおこなっており、各事業における人的資本を含むサステナビリティ関連課題への具体的な対応方針は各事業の経営戦略に反映されており、取締役会で承認・決定しております。
当社グループは、「従業員の働きがい向上及び雇用の多様化」に注力しております。
・社内環境整備
当社グループに属する全従業員が生産性高く働くことを可能とし、また心理的安全性の高い職場環境を実現するため、毎年1回「ES調査」を実施しております。担当部署はES調査の結果を分析し、調査結果及びより働きやすい環境を実現するための改善策を、取締役会に報告しております。2024年3月期におけるES調査の回答率は90.5%となっております。
・雇用の多様化
2023年7月時点における当社グループの障がい者雇用率は21.4%となっております。特にマッサージ直営事業においては、今後も全国の盲学校へのリクルーティングを積極的に行い、障がい者の自立支援を促し、在宅マッサージの現場で活躍する場を提供していきます。
・採用力強化
当社グループが2024年5月に発表した中期経営計画においては、施設系介護サービス事業を中心とした成長を目指しております。その成長には優秀な人材の確保と育成が重要となるため、各事業に人材採用に関する専門部署を配置し、採用力強化に努めております。
当社グループは、経営環境の変化に対してリスクの状況を定期的に見直しております。各事業の担当者は、四半期毎に自事業のリスクの状況、対応策を記載したリスク管理表を作成し、取締役会及び監査役会に提出し、審議及び対応策を決定しております。
人的資本・多様性に関して、女性活躍推進法に基づく実績を「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制に関するリスク
①マッサージ直営事業に係るリスク
当社グループのマッサージ直営事業においては、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(以下、「あはき法」といいます。)その他の関連法令により、構造設備等の要件を充足した事業所を施術所として開設し、所定の事項を届け出ること等が義務付けられております。また、利用者から受け取るサービス提供料については、国民健康保険法、健康保険法及びそれらの関連法令により、請求内容及び請求手続等が定められております。
当社グループでは、事業所の開設や請求業務に関する社内規程やマニュアルを整備するとともに、定期的な教育研修の実施により法令を遵守した事業運営に努めております。
しかしながら、これらの法令に違反した場合、業務の停止の処分を受けたり、マッサージサービス提供料が回収できなくなるといった可能性があり、この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②訪問看護事業に係るリスク
当社グループの訪問看護事業においては、国民健康保険法及び健康保険法に基づく指定訪問看護事業者の指定並びに介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定を受けており、これらの指定を受けるためには、人員基準、設備基準及び運営基準を充足する必要があります。
当社グループでは、これらの基準の充足のために細心の注意を払っておりますが、万一、これらの基準を遵守できなかった場合は、指定の取消しまたは業務の停止処分を受けたり、訪問看護サービス提供料を回収できなくなる可能性があり、この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③療養費及び介護報酬の改定に伴うリスク
当社グループの売上収入の多くは、医療保険制度や介護保険制度といった公的制度の利用に基づく収入であるため、安定的な収入を確保することができる反面、医療保険制度における療養費等は概ね2年ごと、介護保険制度における介護報酬は概ね3年ごとに改定がなされます。
当社グループは、これらの制度改定に十分に留意して事業運営を行っておりますが、今後、高齢化社会のさらなる進展に伴い社会保障制度が見直され、施術料金等の下方的な改定が実施された場合、サービス提供単価の低下による売上高の減少が生じ、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④主治医の同意及び指示等に係るリスク
当社グループが提供するマッサージサービスは、利用者の主治医の同意に基づき提供され、また、訪問看護サービスは、利用者の主治医の指示に基づき提供されるものであり、利用者の主治医の同意または指示が得られなければ、当社はサービス提供を実施することができません。
当社グループは、法令に基づき事業活動を行っておりますが、何らかの事情により主治医の同意または指示が得られない場合や主治医の同意等が得られても何らかの事情により保険者からサービス提供料が支給されなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤あはき法による広告規制及び景品表示法
当社グループの主力事業であるマッサージ直営事業においては、あはき法の定めにより広告内容に関する規制が存在します。
また、当社グループの提供するマッサージサービスは、国家資格を有するあん摩マッサージ指圧師により提供されますが、あん摩、マッサージ若しくは指圧は医業類似行為であり、医療行為ではありません。
当社グループは、社内規程やマニュアルの整備と教育研修の実施等を通じて、当該広告規制を遵守するとともに、当社の提供サービスが医療行為であるとの誤認を与えるような表示等を防止し、景品表示法に違反することのないよう細心の注意を払っておりますが、万一、これらに違反した場合、事業の継続が困難となるおそれがあり、この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 人材の確保について
当社グループのマッサージ直営事業におけるマッサージサービス及び訪問看護事業における訪問看護サービスは、あん摩マッサージ指圧師や看護師等の国家資格を有する者によるサービスの提供が義務付けられ、当社事業の維持と拡大のためには、これらの人材の確保が不可欠となります。
当社グループでは、労働環境や待遇面での改善を図るとともに、教育研修の充実化や表彰制度の導入による働きがいのある企業文化の醸成、業務委託制度の導入を通じて、人材の定着と採用の強化を図っておりますが、国家資格を有する専門的な人材の確保は通常の人材の採用と比べて一般的に困難であり、万一、これらの人材を十分に確保することができなかった場合や、何らかの理由によりこれらの人材が大量に社外流出した場合には、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競争の激化について
高齢化社会の一層の進展や医療機関における病床数の減少等により在宅医療ニーズのさらなる増加が見込まれる中、当社グループの属する在宅マッサージ業界や訪問看護業界には、異業種からの新規参入や同業他社の事業規模の拡大が予想されます。
当社グループは、あん摩マッサージ指圧師等の有資格者の直接雇用を重視するとともに、教育研修制度の充実化を通じて、提供サービスの品質の向上とそれに伴う他社との差別化に努めておりますが、他の事業者との競争の激化が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業展開について
当社グループは、出店計画等に基づき事業展開を実施しております。しかしながら、あん摩マッサージ指圧師や事業所の管理者等の必要な人材の確保ができない等の理由により、想定どおりに事業展開できないおそれがあります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 保険制度を利用した事業への依存について
当社グループは、国民健康保険法及び健康保険法に定められた医療保険制度並びに介護保険法に定められた介護保険制度を利用して事業を展開しており、利用者からの収入の多くは、保険制度に基づく収入となっております。
当社グループは、特定の制度及び事業に過度に依存することを回避するために、医療保険制度に依拠しない保険適用外サービスの提供開始等を通じて、サービス内容と利用者層の多様化に取り組んでおります。
しかしながら、2024年3月期における医療保険制度等を利用した保険適用サービスに係る売上高の全社売上に占める割合は81.3%と依然として高く、当社にとって不利な療養費等の改定がなされた場合や競争の激化が深刻化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(参考)保険適用サービスに係る売上高と保険適用外サービスに係る売上高の構成割合の推移
(6) 訴訟リスクについて
①サービス提供時の事故等
当社グループが提供するマッサージサービス及び訪問看護サービスは、ともに主治医の同意または指示に基づき提供されるものでありますが、利用者の多くは高齢者であるため、サービスの提供時においては体調が急変する可能性や、介助による体位変換や施術に際して関節等を損傷する事故が発生する危険性も否定できません。
当社グループは、社内規程やマニュアルを整備するとともに、品質管理室を設置し、技術レベルの向上だけではなく利用者に対して安全にサービス提供するための研修を実施しておりますが、利用者の体調急変等について過失責任を問われるような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
②個人情報の保護について
当社グループの保険適用マッサージサービス及び訪問看護サービスの提供対象者は、主として自宅等で療養している高齢者であり、業務上、利用者の氏名等の個人情報や病歴等の要配慮個人情報を取り扱っております。
当社グループは、個人情報保護法その他の関連法令を遵守し、個人情報及び要配慮個人情報の取り扱いには細心の注意を払うとともに、個人情報等の保護に関する社内規程やマニュアルの整備、教育研修の定期的な実施、JAPHIC(ジャフィック)マーク制度(注1)及びJAPHIC(ジャフィック)メディカル制度(注2)の認定取得等、個人情報等の漏洩を防止するための必要な対策を講じております。
しかしながら、万一、外部からの不正アクセスや社内管理上のミス等により個人情報等の漏洩が生じた場合、利用者等より損害賠償請求を受ける可能性があり、この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(注1)JAPHIC(ジャフィック)マーク制度は、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)に準拠して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し運用している事業者を認定して、その旨を示すJAPHICマークを付与し、事業活動に関してJAPHICマーク等の使用を認める制度です。
(注2)JAPHIC(ジャフィック)メディカル制度は、医療・介護・福祉関係事業者を対象とし、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)に基づき作られた「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年10月22日厚生労働省・経済産業省告示第4号)に準拠して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し運用している事業者を認定して、その旨を示すJAPHICメディカルマークを付与し、事業活動に関してJAPHICメディカルマークの使用を認める制度です。
(7) 風評等に関するリスク
当社グループは、利用者の自宅等を訪問してサービス提供するため、利用者やその家族、地域住民等との信頼関係の構築が不可欠となります。また、利用者の紹介元であるケアマネジャー、同意書等を交付する医師及び当社に対してサービス提供料を支払う保険者等と信頼関係を構築することを重要な経営課題の一つと位置付けております。
そのため、当社グループは会社理念、経営ビジョン及び行動規範を当社創業時より定め、従業員に対してこれらの浸透を図り、遵法精神を培って参りました。
しかしながら、個人情報等の漏洩や従業員による不祥事その他何らかのコンプライアンス違反が発生し、当社グループにとって不利益な情報や風評が流れた場合、利用者やその家族、地域住民、ケアマネジャー、医師及び保険者等からの社会的な信頼を失墜し、事業の継続に影響を及ぼすおそれがあります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) フランチャイズ運営における訴訟及び風評等に関するリスク
マッサージフランチャイズ事業においては、当社グループは法令を遵守するとともに、フランチャイズオーナー(加盟店)と締結した契約に基づいて提供サービスに関する研修や運営指導等を実施しており、現在、重大な訴訟事件等は生じておりません。
しかしながら、今後、何らかの理由によりフランチャイズ加盟店との間にトラブル等が発生した場合、フランチャイズ契約の解消、訴訟の発生等、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、フランチャイズ加盟店は、当社グループが保有するブランド名にて事業展開するため、フランチャイズ加盟店において不祥事その他何らかのコンプライアンス違反が発生し、利用者やその家族、地域住民、ケアマネジャー、医師及び保険者等からの社会的な信頼を失墜するなど、当社グループのブランドに悪影響を及ぼす場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 組織について
内部管理体制
当社グループは、事業の持続的な成長を図るためには、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる充実が不可欠であると認識しております。そのため、当社では、法令等の遵守、適正な財務報告、資産の保全及び経営効率の向上を担保するために、内部管理体制の継続的な強化や企業倫理の一層の浸透に努めております。
しかしながら、急速な事業の拡大等により十分な内部管理体制の構築ができない事態が生じた場合には、円滑な事業展開や事業成長が阻害され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 財務について
①資金繰り
当社グループがサービス提供料を回収するためには、国民健康保険組合等の保険者に対してレセプト等を提出しなければなりませんが、レセプトの作成事務手続は複雑であるとともに、保険者に対するレセプトの提出後、実際に入金を受けるまでには、一定の期間を要します。また、レセプトの記載事項に不備等が認められたときは、保険者より当該請求が差し戻される返戻扱いとなる場合もあります。
当社グループは、マニュアル等の整備やシステムの活用により、レセプトの提出業務の正確性と迅速性の確保に努めており、また、法令等を遵守しておりますが、何らかの理由によりレセプトの提出が大幅に遅延したり、返戻が大幅に増加した場合、入金サイトの著しい長期化により当社グループの資金繰りが悪化し、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②有利子負債
当社グループは、営業収入の入金サイトが営業支出の支払いサイトに比して長く、事業規模が拡大した場合、運転資本の増加に伴い金融機関からの借入れや社債の発行による資金調達の実施が必要となり、有利子負債に依存する可能性があります。
当社グループは、レセプト提出業務の迅速化と経費削減等を通じた収益性の向上に取り組み、有利子負債の増加の抑制に努めておりますが、金融情勢の変化等により有利子負債による調達が困難となる場合や金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策
当社グループは、経営基盤の安定に向けた財務体質の強化や事業拡大のための投資資金の確保の観点から、内部留保の充実を図ることを重視し、継続して配当を実施することといたしました。今後は株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと位置づけ、業績の推移、財務状況及び投資資金の必要性等を勘案し、内部留保とのバランスを図りながら配当の実施を検討していくことを基本方針として参ります。
しかしながら、経営環境の変化等に伴い業績や財政状態が悪化した場合には、当該基本方針どおりに配当を実施することができなくなる可能性があります。
④ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化
当社は、取締役及び従業員に対してストック・オプションとしての新株予約権を付与しております。当連結会計年度末現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は144,000株であり、発行済株式総数2,352,600株の6.12%に相当しております。
これらは、当社事業の発展と企業価値の向上を目的として、優秀な人材の確保のためのインセンティブとして付与されたものであり、既存株主の利益を損なうものではないと考えておりますが、当社の株価が行使価額を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合は、当社株式の一株当たりの株式価値が希薄化することになります。
⑤固定資産の減損等に関するリスク
当社グループは、契約関連無形資産やのれん等多額の固定資産を計上しており、減損会計を適用しております。
各事業等の収益管理を厳格に実施しておりますが、今後、各事業等の収益性悪化等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11) システム障害について
当社グループは、売上管理や請求管理等に関してシステムを利用しており、システムの安定的な稼働のために、システム管理の専門部署を設置するとともに、社内規程やマニュアルを整備し施策を講じております。
しかしながら、何らかの事情によりシステム障害が発生した場合、適切な売上請求等を行うことができず、売上債権の回収ができなくなるおそれがあります。この場合、資金繰りが悪化し、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 災害及び感染症等の発生について
当社グループの事業所は、全国的に展開されておりますが、当社グループは、利用者の自宅等への訪問を通じてサービス提供を実施しており、訪問活動に影響を及ぼすような自然災害が発生した場合や、地震等の大規模な災害の発生により、当社グループの従業員、利用者、ケアマネジャー等の関係先及び事業所等が被災した場合は、サービス提供の継続が困難となり、事業活動上の制約を受けることになるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは感染症対策として、安全衛生に関するマニュアルを整備するとともに、安全衛生に関する教育研修を定期的に実施しておりますが、新型インフルエンザや新型コロナウイルス、その他の感染症が流行し当社グループの従業員が感染した場合や、利用者が感染して体調不良等となった場合には、訪問活動を通じたサービス提供が実施できなくなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染拡大によるリスクについては、今後も一定期間において継続し、その後緩やかに収束するものと見込んでおりますが、業績への影響に関しては不確実性が高く、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、物価の上昇等の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の経済活動に対する制約の解消による個人消費の増加等により、緩やかな回復傾向にありました。しかしながら、為替活動による影響に加え、世界的な金融引き締めによる景気への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する在宅マッサージ業界及び訪問看護業界におきましては、少子高齢化が加速する一方で、医療機関における病床数の減少が見込まれるとともに、特別養護老人ホーム等の介護施設の待機者数は、年々増加傾向にあり、政府による地域包括ケアシステムの構築の推進活動と相俟って、在宅療養の重要性がますます高まってきております。
また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年頃には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者、5人に1人が75歳以上の後期高齢者になるという「2025年問題」及び高齢者人口がピークに達するという「2040年問題」の到来が見込まれる環境下において、介護施設等の法人営業を強化することによるサービス利用者のさらなる増大を通じて、超高齢社会における課題解決企業として当社グループが事業を遂行していくことを実現すべく、2023年3月より新規事業であるホスピス事業を開始いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,710,030千円(前期比24.6%増)、営業利益は110,603千円(前期比647.5%増)、経常利益は126,558千円(前期比78.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は58,305千円(前期比84.6%増)となりました。
(マッサージ直営事業)
マッサージ直営事業では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が第5類に引き下げられたことに伴い、閉鎖していた介護施設の再開が進みました。また、サービス休止中に筋麻痺や関節拘縮といった症状が進んでしまった利用者に対して、日常生活動作能力(ADL能力)の向上を目的として、従前よりも高頻度なサービス提供を提案することで、サービス提供回数の増加に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が減少した結果、増収増益となりました。
以上の結果、売上高は3,525,171千円(前期比8.9%増)、セグメント利益は999,206千円(前期比29.7%増)となりました。
マッサージフランチャイズ事業は、2023年2月に当社のフランチャイズ事業がテレビ番組で紹介されたことにより、認知度が向上いたしました。また、新規事業を検討している法人への営業活動を強化したこと等で「フレアス在宅マッサージ」フランチャイズの新規加盟数が58件あり、当連結会計年度末における加盟店数は328拠点(前年同期末比9.7%増)となりました。
また、加盟店からのロイヤリティ収入等についても加盟店の施術件数増加により増加した結果、増収増益となりました。
以上の結果、売上高は889,535千円(前期比25.9%増)、セグメント利益は224,738千円(前期比4.9%増)となりました。
施設系介護サービス事業に含まれる看護小規模多機能型居宅介護事業においては、2024年3月に看護小規模多機能新潟江南の開設により、拠点数が8拠点となりました。既存施設においては、地域の医療機関等への営業活動の強化等により、登録利用者数が増加し、売上高が増加いたしました。また、ホスピス事業においては、2023年12月にメディカルケアホーム元橋本を開設し、拠点数が3拠点となりました。事業譲受けにより2023年3月にサービスを開始したメディカルケアホーム四日市も順調に稼働しております。一方で、看護小規模多機能型居宅介護事業及びホスピス事業の新規開設のための費用が先行して発生いたしました。
以上の結果、売上高は878,613千円(前期比341.3%増)、セグメント損失は285,359千円(前連結会計年度は179,044千円の損失)となりました。
(その他の事業)
その他の事業セグメントに含まれる主な事業である訪問看護事業は、地域の医療機関及びケアマネジャーに対する影響の強化及びマッサージ直営事業拠点との共同営業を推進することで、当社グループの認知活動を推進してまいりました。2023年3月に1拠点閉鎖したことにより、当連結会計年度においては、売上高は減少しましたが、コスト抑制等によりセグメント収支は黒字に転換いたしました。
以上の結果、売上高は416,709千円(前期比5.9%減)、セグメント利益は21,287千円(前連結会計年度は883千円の損失)となりました。
ロ 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、3,269,996千円となり、前連結会計年度末に比べ527,263千円増加いたしました。これは主に、立替金が280,885千円増加したことによるものであります。
固定資産は、2,920,144千円となり、前連結会計年度末に比べ1,133,001千円増加いたしました。これは主に、リース資産が1,115,871千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は6,190,141千円となり、前連結会計年度末に比べ1,660,265千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,474,629千円となり、前連結会計年度末に比べ610,026千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が300,000千円増加したことによるものであります。
固定負債は2,948,066千円となり、前連結会計年度末に比べ1,008,899千円増加いたしました。これは主に、リース債務が1,142,055千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は4,422,696千円となり、前連結会計年度末に比べ1,618,926千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,767,444千円となり、前連結会計年度末に比べ41,338千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が33,439千円増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1,130,815千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、172,023千円の収入(前期は233,145千円の支出)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益123,576千円を計上したこと、及び未払金の増加額40,635千円によるものであります。一方で支出の主な要因は立替金の増加額280,885千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、193,600千円の支出(前期は516,914千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出124,710千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、177,128千円の収入(前期は511,112千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入350,000千円及び短期借入れによる収入300,000千円によるものであります。一方で、主な支出の要因は長期借入金の返済による支出428,092千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績については記載しておりません。
ロ 受注実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、施設系介護サービス事業における販売実績について、著しい変動がありました。この理由につきましては、看護小規模多機能型居宅介護施設及びホスピス施設の拠点数が5拠点増加したことに加え、既存施設の売上が増加したことによるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は5,710,030千円、営業利益は110,603千円、経常利益は126,558千円、当期純利益は58,305千円となりました。
また、総資産は6,190,141千円、負債合計は4,422,696千円、純資産合計は1,767,444千円となりました。
上記の他、当連結会計年度における財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、172,023千円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは、193,600千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは、177,128千円の収入となり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は、1,130,815千円となりました。
上記の他、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの分析」に記載しております。
当社グループにおける資金需要は、主として運転資金及び新規出店の際の設備投資資金であります。これらの財源については、自己資金の効率的な運用に加え、金融機関からの資金調達を基本としております。なお、事業活動を円滑に実行できるよう適正な水準の資金の流動性の維持及び確保を最優先しております。当連結会計年度においては、マッサージフランチャイズ事業に係るフランチャイズのための運転資金の確保、施設系介護サービスの新規拠点開設を目的として、650,000千円を金融機関から新たに資金調達いたしました、また、施設系介護サービスの新設については、賃貸とすることで資金の流出を抑えるようにしております。その結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は3,484,236千円となっております。また、手元流動性残高として、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,130,815千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの保険適用マッサージサービスにおいて、当社グループが訪問してサービス提供する対象の一部には介護施設が含まれておりますが、多くの介護施設では新型コロナウイルス感染拡大防止を目的として、外部者の施設への立ち入りを一時的に禁止するなどといった措置がとられるケースがあります。一方で、当社グループにおける保険適用マッサージサービスは、医業類似行為として、利用者における筋麻痺や関節拘縮といった症状に対して必要なサービスであり、東京都が公表した休止要請の対象施設一覧におきましても、「社会生活を維持するうえで必要な施設」として鍼灸・マッサージは休止要請対象外とされております。
新型コロナウイルス感染拡大による影響は不確実性が大きく、将来の予測を合理的に見積ることは困難ですが、重要な会計上の見積りについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)をご参照ください。
(1)当社によるフランチャイズ契約
当社と「フレアス在宅マッサージ」フランチャイズ加盟店との加盟契約の要旨は次のとおりであります。
a.当事者(当社と加盟者)の間で、取り結ぶ契約
(a)契約の名称
フレアスフランチャイズ加盟契約書
(b)契約の本旨
「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づく、あん摩マッサージ、はり、きゅうの施術の提供、身体機能向上のための体操、運動又は訓練の補助の提供、その他本部が指定した役務又は商品の提供。(以下「本サービス)という。)
本フランチャイズに加盟する全ての事業者が共通の経営理念のもとに、顧客に対し統一的な仕様及び水準の本サービスを提供するための条件を定め、もって本フランチャイズの発展に寄与することを目的とします。
b.加盟者に対する業務支援・マニュアルの貸与等に関する事項
本部は加盟店に対し、施術者研修、開業後研修、技術指導、営業指導、申請書類等の作成支援、利用者データのシステムへの入力、更新事務の支援等を行います。また、本サービスの提供方法その他加盟店の遵守すべき事項を記載した各種マニュアルを書面若しくは電磁的記録又は情報システム上に掲載する方法で貸与します。
c.使用させる商標、商号その他の表示に関する事項
加盟店に対し、加盟店が本件の目的従い本契約の各条項を誠実に順守・履行することを条件として、本部が保有する商標その他の営業上の標章を用い、本部より提供されたノウハウを使用して、本フランチャイズの一員として、顧客に対し、本サービスを提供することを許諾します。
d.契約の期間、再契約及び契約解除に関する事項
契約の期間は、加盟店の契約締結日から5年を経過する日の属する月の末日まで。再契約は、契約満了の6か月前までに本部又は加盟店のいずれからも本契約を更新しない旨の通知がなされないときは、3年間更新されるものとし、以後も同様となります。
e.加盟者から徴収する金銭に関する事項
加盟者は、加盟時に初期研修費用や開業エリア情報研修費用を支払います。開業後は、サービスの提供を受ける対価として、月間総売上高に一定の割合を乗じた金額、情報端末の利用料等を支払います。
(2)株式会社オルテンシアハーモニーによるフランチャイズ契約
当社子会社と「レイス治療院」フランチャイズ加盟店との加盟契約の要旨は次のとおりであります。
a.当事者(当社子会社と加盟者)の間で、取り結ぶ契約
(a)契約の名称
フランチャイズ加盟店契約書
(b)契約の本旨
訪問マッサージ及び医療保険を適用しないで供給する自費施術サービス並びに保険請求代行等の提供等。(以下「本サービス)という。)
b.加盟者に対する業務支援・マニュアルの貸与等に関する事項
本部は加盟店に対し、一定のエリア内での本サービス提供を認め、経営指導、治療院運営に係るノウハウの提供及び保険請求代行業務等を行います。また、本サービスの提供方法その他加盟店の遵守すべき事項を記載した各種マニュアルを書面若しくは電磁的記録又は情報システム上に掲載する方法で貸与します。
c.使用させる商標、商号その他の表示に関する事項
加盟店に対し、加盟店が本件の目的に従い本契約の各条項を誠実に順守・履行することを条件として、本部が保有する商標その他の営業上の標章を用い、本部より提供されたノウハウを使用して、本フランチャイズの一員として、顧客に対し、本サービスを提供することを許諾します。
d.契約の期間、再契約及び契約解除に関する事項
契約の期間は、契約時に個別に決定されます。再契約は、契約満了の3か月前までに本部又は加盟店のいずれからも本契約を更新しない旨の通知がなされないときは、1年間更新されるものとし、以後も同様となります。
e.加盟者から徴収する金銭に関する事項
サービスの提供を受ける対価として、月間総売上高に一定の割合を乗じた金額、情報端末の利用料等を支払います。
該当事項はありません。