文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、確約されたものではありません。
当社グループは、100年企業へ向けて以下の「グループ経営ビジョン」を定めております。
・お客様の立場に立ち、誠心を込めて高性能かつ高品質な製品とサービスをご提供できる、活力と新規性に満ちた開発型企業となる。
・コストダウンや社内コア技術を中心とした改良型商品開発から、市場のニーズを確実に捉え、さまざまな企業とコラボレーションする柔軟な企業となる。
・世界No.1を目指して、グループの全従業員が一丸となり、お客様満足度の最大化に努め、革新的な技術・製品を常に生み出していく、「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」になることを目指す。
3ヶ年にわたる新たな中期経営計画に基づく事業活動を2023年3月期より開始しております。
この計画に基づき、成長市場を海外と位置付け、「真の開発型企業」として、「全ての顧客に感動を与える商品開発」と「高性能・高品質」を提供し続けてまいります。
②コンセプト
専業メーカである当社にとって、対象市場において社会課題の解決に貢献しうる製品・技術を創造し、社会に幅広く提供することは使命であり、そのように社会的価値を追求し、新たなビジネスチャンスを獲得することが当社の成長につながる。
③基本戦略
1)世界で各地域に見合った「ONLY ONE」の商品をつくり、「NUMBER ONE」のシェアを獲得
2)子会社間のシナジーを最大限に活用し効果を発揮
3)日本におけるサービスビジネス拡大とビジネスモデルの変革
4)新規事業の開発
5)サステナビリティ経営の強化
a.専業メーカである当社がE,S,Gのそれぞれを大切にしてきたことが2023年度の最高収益達成の原動力であり、その継続・強化が「500&Beyond」の中心にある考え方。「VISION 2030(液体と気体で世界を彩り社会を豊かに)」を掲げマテリアリティの考察、サステナブル・ゴールを設定
b.人材への投資と育成
・今中計期間には人材への投資を重視し、総人件費マネジメントの採用により「一人ひとりが稼ぐ」力を強化、労働生産性の向上
・企業価値向上に向けた、働き方改革の進化と健康経営の継続
c.SDGsの観点に立った製品開発と社会への貢献
次期連結会計年度においては、現中期経営計画をもとに、各国の金融政策の動向や地政学的リスクなどを含む様々な不確実性に左右されない強力な経営基盤の確立を実現してまいります。事業拡大の主戦場を海外市場と位置付け、エリアの特性に対応した成長戦略を個別に策定し、世界的に不確実性が高まる状況においてもグループ全社を挙げて経営資源の有効活用を進めます。
このような経営環境の中、当社グループは、持続的な成長を確保するため多角的な投資を強化してまいります。新たなニーズを開拓する新規事業の開発や、グローバル展開を推進する多様な人材を育成すべく人的投資や開発投資を拡大し、100周年を超えて全てのお客様に感動を提供する「真の開発型企業」を目指してまいります。
エアエナジー事業では、当社が世界で初めて開発・発売したオイルフリースクロールコンプレッサをさらに進化させてエネルギー効率を高め、省エネ性を実現することによりCO2の排出削減に貢献してまいります。また、オイルフリー機の販売比率を高めることで、工業用潤滑油の生成時に排出されるCO2を削減し環境負荷の低減を目指してまいります。
コーティング事業では、塗装時に発生するVOC(揮発性有機化合物)の排出量を削減するため、コーティング技術の追求を継続するとともに、塗装・乾燥・搬送時におけるエネルギーコストを最大限に抑えるためのコーティング機器と設備の開発に注力してまいります。また、排水処理等の点で環境負荷が高いメッキや、導入コストが高い蒸着の代替工法として、低コストで環境にやさしく、かつ精度の高い均一薄膜を実現できる、インジウムミラーコーティングシステムの普及に努めてまいります。
様々な不確実性によるサプライチェーンの分断を回避するため、サプライヤーごとのBCPを策定し、特に特殊な材料や加工、処理を必要とする部品や海外における一国集中生産等に関しては、サプライヤーへの取引条件に関する支援等とともに、サプライヤー並びに生産地の追加等を進めています。
また、かねてより生産効率の向上とサプライチェーンの安定化を目指した生産計画改革を進めてまいりましたが、安定した生産と製品供給を実現するため、この改革をさらに強力に推進してまいります。
ITの急速な進展により事業環境が大きく変化している状況に対応するため、多様なデジタル経路から製品・サービスに関する情報に容易にアクセス可能な環境を構築することで、世界のお客様に最適な接点を築きブランドの浸透・強化を推進します。加えて、デジタルでお客様とつながる環境の構築を通じて、多様化するニーズに応える製品開発をより一層強化してまいります。
当社グループが持続的な成長を遂げる豊かな社会の実現に貢献するためには、従業員とその家族の健康を維持・増進させることが必要不可欠な要素であると認識しています。当社は、代表取締役社長執行役員を健康経営推進の最高責任者とし、健康経営推進委員会をはじめとした関連部署が一体となり、ヘルスリテラシーの向上やライフワークバランスの確保に向けた働き方改革に取り組んでいます。
当連結会計年度には、一連の活動が評価され、経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人(ホワイト500)」に4年連続で認定、及び経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄」に3年連続で認定されました。今後とも従業員とその家族の健康増進に取り組み、「機械セクタにおけるホワイト企業トップ」を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「社是」「グループ経営理念」を中核とした「アネスト岩田フィロソフィ」を作成し、当社グループのステークホルダーで共有しています。この中には、当社グループの基本方針を定めており、サステナビリティに関する項目も含めております。これらの実現を推進するため、執行役員会傘下に任意の委員会として、サステナビリティ推進委員会を設置しています。本委員会は、社長執行役員と関連部門の責任者で構成し、委員長は社長執行役員、事務局は経営企画部門が担当します。サステナビリティ推進活動に関する事項を中心に協議及び審議を行い、必要に応じて執行役員会に答申・報告をしています。
<サステナビリティ推進体制>

当社グループは、上記「(1)ガバナンス」において記載した推進体制を構築するとともに、サステナビリティを含む全社的なリスクマネジメントの一環として、1年ごとに執行役員(取締役兼務を含む)が当社の企業価値や経営成績などに重要な影響を与える可能性があるリスクの特定と評価を行っています。その結果を執行役員会で審議することによって、リスク・危機対応時の体制整備を図っています。その他にも、サステナビリティ推進委員会を定期的に開催し、ESGに関するリスクと機会について議論することで、リスク管理体制の強化を推進しています。
人材に関するリスクの内容については、
創業100周年に向けて「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」となり持続的な成長を続けていくために、経営資源の根幹をなす人材への投資を積極的に実施しております。多様な人材を適材適所に配置して個々のパフォーマンスを引き出し、個の強みをかけ合わせることで組織としてのシナジーを発揮し、より大きな付加価値を生み出せるようにタレントマネジメントを推進していきます。具体的には、人材一人ひとりの力量、経験、個性、資質、成果など様々なデータや情報を集約管理し、それに基づいた人材の配置転換を実現していきます。
また、優秀な人材を惹きつける為には「働きやすさ」と「働きがい」を両立する必要があります。全社を挙げた健康経営、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、年功序列的な考えではなく、個々の力量や成果を重視した任用及び評価をすることで、従業員一人ひとりの挑戦・成長・活躍を促します。
なお、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、国・地域の法制度や文化に密接に絡む部分があり一律に当社グループ全体へ導入することが難しいことから、当社グループの主要な事業を営む提出会社における方針を以下に記載しております。連結子会社については、代表者の職務権限に基づき、各国の制度・実情に適合した運用方針に対する裁量を認めたうえで、様々な施策を実施しています。
人材育成においては「変革と成長」をキーワードとし、「Be an OWNER 当事者であれ」「WILL 志を持つ、やり抜く」「OPEN 外に目を向ける」という従業員が目指すべき3つの姿を設定しています。失敗を恐れずに挑戦する従業員を尊重し、成長・活躍・自己表現の場を創出することで、当社が目指す「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」の実現に近づくと考えています。具体的な取り組み内容は、以下のとおりであります。
「変革と成長」を進めるにあたり、社外の知見や異なる文化を取り入れるためにキャリア採用を積極的に進めており、2023年度は33名が入社しました。また、入社後のギャップを埋めるためのオンボーディング施策として、半年間のOJT研修の中で採用部門による入社者との定期面談を実施しています。
各階層別に必要なスキルやマインドを身につける研修を実施しています。また研修後には、研修で学習した内容を職場で実践する期間を設定し、その後に振り返りの研修まで実施することで、スキルやマインドの定着を目指しています。
従業員が目指す姿の一つである「WILL 志を持つ、やり抜く」姿に近づくために、自身のキャリアを見つめ直す機会として「キャリアプランニング制度」を実施しております。従業員全員が毎年1回、自身のキャリアプランについての考えを会社に提出し、上司や人事担当者と相談をしながら自身のキャリアに向き合う機会としています。
当社グループは社内環境整備において、「ダイバーシティ&インクルージョン」と「健康経営」の推進を大きなテーマとして積極的に取り組んでおります。
年齢や性別などの属性・ライフスタイルに関わらず、様々なバックグラウンドを持つ従業員が能力を発揮できる体制と環境を構築するための取り組みを実施してまいりました。多様化する価値観やライフスタイルを理解しあった上で、個人が能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、多様性を確保しています。具体的な活動は以下の通りであります。
a.年齢や属性・ライフスタイルに関わらず活躍できる制度の構築
ライフもワークも充実させ、様々な属性や個性の従業員が協力し合いながら成果を出せるような働きがいのある環境を構築するため、様々な制度を構築しています。
・兼業副業制度、それに伴う週休3日制度
・65才までの定年延長と同時に、55歳から65歳の間で定年を選択できる制度
・通年採用の実施とアルムナイ制度
(退職者のうち一定の条件を満たす者にカムバックパスを発行する「カムバック採用」)
・時差出勤制度
・在宅勤務の利用可能日数の拡大
b.多様な人材の活用
当社はダイバーシティ推進の一環として性別にとらわれない従業員の活躍推進に取り組んでおり、特に課題として掲げているのは女性従業員比率の向上です。当社は業界特性もあり、現状は女性従業員が少ない状況です。そのため、当社は正社員における女性従業員比率30%以上を2030年までの目標として掲げています。その達成のために女性従業員の成長につながる仕組みや能力を発揮できる環境を整備し、各々の自律的な成長を積極的にサポートしています。
・国内生産拠点のDX化
従来の生産現場では力仕事が多く男性従業員が主体となっていましたが、DXを推進することで身体的な能力に関わらず全ての従業員が活躍できる職場環境の整備を図っています。2024年4月には製造や品質管理を一新した工場管理機能の強化を実行するDX推進プロジェクトを新たに発足いたしました。
c.育児休業を含む子育て支援
従業員がキャリアを止めることなく活躍できるよう、対象となる全ての従業員に対する育児休業取得促進に力を入れた結果、仕事と育児の両立を支援する子育てサポート企業として、2023年10月に「くるみん認定」を取得いたしました。現在は「プラチナくるみん認定」取得に向けて、有給取得率の向上など、更なる取り組みを推進しています。
・男性育休取得促進(対象者への個別の制度説明、体験談やアンケートを社内イントラに掲載)
・多様な時短勤務制度
(勤務時間について4・5・6・7時間のいずれかを選択でき、小学校卒業まで利用可能)
・育児休業復帰時のテレワーク制度
・法定日数を上回る看護休暇日数
(1人の子に対して年に8日うち有給は3日。2人以上の場合は年に16日うち有給は6日取得可能)
・育児退職者の再雇用保障制度
当社グループでは『機械セクタにおけるホワイト企業トップ』を目指して健康経営を推進しております。また企業の発展には一人ひとりの「生産性の向上」と「組織の活性化」が重要であり、その基盤は従業員とその家族の健康であると考えています。代表取締役社長執行役員を健康経営推進の最高責任者として、全社で人事制度・福利厚生の充実、食事・運動・コミュニケーションや健康意識調査などの各種施策を実施しています。その結果、ライフワークバランスやヘルスリテラシーの向上を実現した成果が評価され、経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄」に3年連続で選定されました。また、2023年度は従業員の家族も参加できる全社運動会を開催し、運動の機会の提供だけでなくコミュニケーション向上による一体感を醸成することで、心と体の健康を図りました。今後も従業員とその家族が「笑顔でイキイキと輝ける」ように、様々な健康維持・増進活動を戦略的に実行してまいります。その具体的な内容は、以下のとおりであります。
a.ライフワークバランスの推進
従業員の健康維持のためには十分な休息が重要と考え、生活時間や睡眠時間を確保するための各種施策を実施しています。
・有給休暇を「スマイルホリデー」と称し、取得しやすいネーミングにするなど取得率100%の実現に向けた施策の実施
・勤務時間インターバル制度の導入
(勤務終了後から翌日の出社までの間に11時間以上の休息時間を設ける)
b.産業保健支援体制の確立
個人の健康管理を目的として産業保健師を常駐し、健康診断結果に基づくきめ細かいフィードバックや保健指導を実施することで、2次健診の受診率は2020年度・2021年度2期連続で100%となりました。
・本社と工場に保健師常駐
・支店営業所への年1回の巡回
・オンライン面談の実施
c.病気治療と仕事の両立支援
万が一の疾病の備えとして「三大疾病サポート保険」を導入し、治療と仕事の両立を支援する制度の充実を図っています。
健康経営に関する詳細な取り組みについては、当社ウェブサイト(URL https://www.anestiwata-
corp.com/jp/sustainability/society/health-management)をご参照ください。
そのほかのESGに関する取り組みを含むサステナビリティ情報については、2024年9月に当社ウェブサイト(URL https://www.anestiwata-corp.com/jp/ir/library/integrated-report)において公表予定の
当社グループでは、上記「(3)戦略」において記載した方針について、次の指標を用いております。これらの指標に関する目標及び実績は、連結会社における主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した
ものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)
の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
有価証券報告書に記載した「事業の状況」、「経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が当社グループの企業価値並びに財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
当社グループは創業以来、塗装機器及び空気圧縮機といった製品とそれらに付随するサービスを市場へ提供することにより、世界のモノづくりに貢献してまいりました。その結果、海外販売比率が過半となり、人材、製品・サービス、資金の流れが多様化する中で、目まぐるしく変化する事業環境の影響を受ける割合がますます増加しております。
このため、既存の市場や製品、ビジネスモデルなどに固執したままでは、市場構造の変化を要因とした現行製品の需要減などの理由から持続的な成長を遂げられなくなり、その結果として当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
また、グローバルな事業を展開する上で、当社グループにおける販売や資材調達等の取引には外貨建取引が含まれており、予期しない急激な為替変動についても当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを未然に防止するため、既存の事業において品質向上への絶え間ない努力、グローバルな視点でのモノづくりを通じて気候変動をはじめとする社会的な課題解決につながる製品開発を継続することはもとより、新規の事業開拓を行い、柱となる事業構築をしていく必要があると認識しております。そのためには、失敗を恐れず、果敢に挑戦する企業文化を育むと同時に、事業ポートフォリオ・マネジメントに基づいて事業基盤の強化及び多角化に向け、様々な協力企業との業務提携を積極的に推進します。また、当社グループはグループ間での交流や情報収集をさらに強化し、市場ニーズの把握に努め、国や市場ごとの重要性を見極めた上で、事業環境の変化に対して柔軟かつ素早い対応を可能とする体制の構築と経営戦略の確立を目指してまいります。加えて、需要の増加や物流コストの上昇が発生した場合でも製品を安定供給する体制を確保するため、複数購買の実施や物流網の見直しなどサプライチェーンの強化に努めております。
なお、持続的な成長が遂げられず、経営成績等へ悪影響を及ぼすような状況に陥った場合には、取締役会及び執行役員会などを通じて速やかに協議を行い事業戦略の立て直しを図ります。
当社グループにおいて、製品の開発や設計及び部材の調達、加工、組立等における欠陥によって品質基準を満たさない製品が市場に供給され、欠陥に起因する損害が発生した場合、賠償による損失やクレームに対する処理、製品回収及び交換等によって多額の費用が発生するとともに、製品に対するお客様の信頼を失い、当社グループの経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社グループは、かかる事態の発生を未然に防止するために、品質を規定する規程、規格及び標準を順守するとともに、製品開発の初期段階から品質保証部門が客観的見地に立ち介在することで潜在的課題の撲滅をはかっています。さらに、国内のみならず海外の生産拠点に対しても、ISO9001あるいは現地に適した品質システムを運用するなど、適切な品質管理体制を整備することにより、各国における市場要求や品質基準を満たす製品の品質を確保しております。
なお、不測の事態が発生した際は、当社の執行役員会及び品質保証委員会への速やかな報告がなされ、品質保証部門により、リコールを含めた必要な処置を迅速に講じてまいります。また、お客様対応におきましては、国内では当社グループの100%子会社であるサービス会社を中心としたサービス体制を強化しております。一方、海外では各子会社が販売からサービスまで一貫して対応しております。
当社グループは事業基盤の強化を加速し持続的な成長を確保するために、必要と認識した企業への資本参加や買収を含めた協働先との包括的な業務提携を積極的に推進しております。
しかしながら、その後の方向性の共有が順調に進まなかったことに起因して、その販売エリアにおけるお客様の信用を失うこと、または当初想定した効果や利益を得られなかったことによる対象企業の業績低迷のほか、期待した収益性を維持できず実質の価値が著しく低下した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
このため、M&Aにあたっては確認項目を明確化しており、事前にリスクやリターン、対象企業の財務内容や契約関係等に関する慎重な検討、及びデューデリジェンスを経て、十分なシナジー効果が得られるとの判断をもとに実施しております。またPMIを適切に行い、経営陣や担当の事業部門より経営支援をしていくことでリスクの未然防止に努めております。
やむを得ずリスクが実現した場合は、契約継続に関する可否判断や損失の確定などを行い、速やかに経営判断をいたします。
当社グループは、持続的な成長と市場環境の変化に対応するためには多様な個性と能力をもつ人材を確保・育成することが不可欠と認識しております。そのため、国内では通年にわたり採用活動を行っており、新卒採用に加えて幅広い職種でキャリア採用を強化しております。
しかしながら、現有の採用戦略や採用した人材に対する育成方針、人事評価制度にこだわり続け、事業環境の変化などを踏まえた改善を行わない場合、将来の持続的な成長に向けた十分な人材確保ができず、企業価値向上に向けた取り組みが計画通りに進まない可能性があります。
このため、適法な労務管理の下、適所に適材を配置するための人材開発やグローバル視点での人事評価制度の構築によるダイバーシティ・マネジメントの整備、多国籍人材の採用強化並びに評価者への教育などを重点的に行います。併せて、各種業務の自動化・デジタル化を推進することによって労働力の有効活用に取り組み、業務改革を加速してまいります。
当社グループが組織パフォーマンスを強化し競争力を高める上で、事業展開を支える従業員一人ひとりの健康を維持・増進させる活動の重要性が高まっております。社長執行役員が健康経営推進最高責任者(CHO:Chief Health Officer)となり、「健康経営宣言」の下で様々な施策を講じて健康経営に取り組んでおりますが、当該活動が停滞・縮小するなどして所定の効果を見込めなくなった場合、健康リスクの増加や労働環境の悪化により経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「機械セクタにおけるホワイト企業トップ」を目指してライフワークバランスやヘルスリテラシーの向上を実現した成果が評価され、経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄」に3年連続で選定されました。今後も、常にいきいきとした活力と新規性のある技術力を持った開発型企業として、創造力とチームワークを最大限に高める企業風土の確立に取り組んでまいります。
当社グループ従業員の過半数は、海外拠点に勤務する外国人によって構成されています。
各国の社会情勢、労働環境に応じた働き方が求められる状況下では、国内外における労働組合等の団体との間に、勤務条件等をめぐる労働問題が提起される可能性があります。労働争議が提起され早期に収拾できない事態に至ると、事業運営の安定性及び継続性が損なわれ、深刻化することで製品の供給に重大な影響を与えるとともに、お客様からの信頼を失うことで企業価値並びに経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社は、社是「誠心(まことのこころ)」を中核とする「アネスト岩田フィロソフィ」の浸透推進により、当社グループへの帰属意識の向上を図るとともに、海外拠点の代表者の職務権限に基づいて、各国の制度・実情に適合した雇用条件や評価制度に基づく裁量を認めることで、勤務条件や労働環境に対する不満の発生を未然に防止するよう努めています。
グローバル展開における競争力の強化を着実に推進するためには、絶え間ない革新が続いているITを導入することによって、ビジネスモデルの改革や高付加価値の製品開発、業務効率の向上を実現することが不可欠であると考えています。
しかしながら、不測の事態によって、ITに対する知見やノウハウが社内から喪失することでIT戦略の実行が滞った場合、又は最新のITトレンドに合致した製品開発に遅れが生じた場合は、市場における競争力が低下したり、経営効率が損なわれたりすることで、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社グループでは、経営計画と合わせて、中長期的なIT戦略を策定し、IT投資を会社の成長を牽引する重要な要素に位置付けるとともに、企業成長への貢献度を継続的に検証しています。
なお、当該リスクが実現した際は、積極的な人材登用や新たなパートナー企業との提携を開始するとともに、陳腐化したIT資産を償却することによって経営基盤の建て直しを図ってまいります。
事業活動を安定的かつ持続的に推進するために、情報システムの安全性・信頼性を維持していくことに対する重要性はますます高まってきております。当社グループは、事業活動を展開する過程で取得した技術開発や営業に関する機密情報、及び個人情報について厳重な管理を施しています。
しかしながら、自然災害や予期しないサイバー攻撃、又はコンピュータウイルスの侵入を原因とする不正アクセス等による情報漏えいや改ざん及びシステムの障害の発生、並びに従業員の故意又は過失により情報が流出、これらの情報が悪用された場合における損害賠償の責任等により、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社グループは、適切な情報セキュリティ体制を整備し、重要なデータの適切なバックアップを取得するなど必要かつ十分なセキュリティ対策を講じるとともに、従業員に対する教育をおこなっています。
なお、当該リスクが実現した際は、その要因・経緯を速やかに把握し適切な対処を実行する体制を構築するとともに、必要に応じて被害内容を開示することで二次被害の最小化と信頼の回復に努めてまいります。
地球環境、気候変動に関する意識が世界的に向上する中、日本及び諸外国では環境に対する法規制の新設や厳格化が行われる傾向にあります。これらの規制に準拠した製品の投入に遅れが生じた場合には事業活動の制限や収益機会の損失に繋がり、当社グループの事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
規制の内容には国や地域によって差異があるため、各国に点在する現地子会社が情報収集及びその対応を行えるよう、必要な機能を移管するなど体制の整備を進めています。将来において予期しない法規制の改正やさらなる厳格化等が行われた場合には、経済的合理性をもって、当該項目に関する追加投資や撤退の要否を判断します。
また、公的機関の枠組みに基づく情報開示の重要性を認識し、適切な情報開示を実施すべく、サステナビリティ推進委員会を中心として必要な取り組みを行っております。
近年、企業の不祥事などについて報道されることが増えております。当社グループにおいて、知的財産権の侵害や品質不正、贈収賄及びハラスメント行為をはじめとする不正行為が行われた場合には、賠償責任の発生といった短期的な経営成績等への影響のみならず、当社グループの信用が著しく失墜することにより販売活動や採用活動に支障を来すなど、長期間にわたって当社グループの企業価値が悪化する、あるいは企業の存立を揺るがす事態に陥る可能性があります。
そのため、当社グループでは役員及び従業員が不正行為を行わないための体制構築や仕組みづくり、グループ会社に対する健全な経営支援を推進するとともに、海外子会社を含めた内部通報制度の策定や監査等委員や内部監査部門による監査の実施等のモニタリング体制を築くことで、法令等違反行為が発生しないように努めています。
かかる事態が発生した場合には、当社の取締役会へ速やかに報告され、第三者による調査や、事実の開示、該当者に対する適切な処分等の対応を行い、再発防止策の立案とその開示を迅速に行える体制を整えています。
当社グループは、世界中のお客様に対して、高性能かつ高品質な製品とサービスをご提供できる活力と新規性に満ちた開発型企業を目指しています。この結果、当社グループが現在保有する、あるいは将来にかけて開発する製品及び技術やビジネスモデルなどにおいて、第三者から模倣される、あるいは、意図せずに第三者の知的財産権や特許権、商標を侵害してしまうリスクがあります。その場合、損害賠償や訴訟の発生により費用面のみならず技術自体を使用できない、あるいは不利な状態での使用を余儀なくされることなどに起因して、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼすことが考えられます。
そのため、当社グループでは製品の機能やデザインに関する知的財産権や特許権、商標権を取得して管理を強化するとともに、関係する外部機関の協力を得ながら、その影響を受けない、あるいは影響を最小限とする体制を構築してまいります。
当社グループは、世界の主要な地域に子会社を有し、グローバルな事業活動を展開しております。グループ会社間取引におきましては、移転価格税制などの法規制の遵守に努め、適正な取引価格を設定するなど国際税務リスクには細心の注意を払っていますが、見解の相違から税務当局より指摘を受けた場合は、追徴課税などが発生するほか、当社グループの経営成績等に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは国際財務の動向に注視しつつ、外部機関の協力を得ながら正しい法的理解の下、税務当局との見解の相違が生じないよう努めております。
固定資産の減損損失等の適切な会計処理のためには、将来キャッシュ・フローを適切に見積った事業計画が必要になります。当社グループでは、(1)③で触れましたようにM&Aを含む子会社等への投資を積極的に行っておりますので、特に以下の会計処理を判断する場合において、各子会社等の適切な事業計画が必要となります。
・当社の個別財務諸表における関係会社株式等の減損損失の判定
・連結財務諸表の基礎データとなる子会社等の保有する固定資産の減損損失の判定
・連結財務諸表におけるのれんの計上時の償却年数の算定、及び、減損損失の判定
これらの判断時点における事業計画が適切なものではない場合には、結果として不適切な会計処理をおこなったことになり、当社の信用が著しく失われるリスクがあるものと理解しております。
このため、各子会社等の事業計画の策定にあたっては、主管である当社の事業部門及び経理部門が積極的に関与しております。また、これらの事業計画は経営及び会計に知見のある社外取締役が過半数を占める取締役会に報告されており、その指導・監督を受けております。これらの透明性のある手続きにより、事業計画の適切性を確保しております。
当社グループは世界各国に事業を展開しております。これらの国や地域において、予測のできない政治的・経済的変動、覇権主義の台頭による戦争・テロ行為の勃発など地政学的リスクの顕在化、感染症の流行、大規模な地震や台風といった自然災害の発生などが起こった場合、事業所の損壊、保護主義による規制強化や貿易摩擦に伴う原材料調達や物流の停滞、必要コストの拡大などにより、世界各地への製品供給に甚大な影響が生じることが考えられます。かかる事態が長期化した場合や、発生可能性の増加に対する対応が不十分だった場合、固定資産の減損や収益性の低下などに伴い当社グループの経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性が高まります。
当社グループではBCPを策定するとともに、生産機能を分散、グループ間での製品調達の可能性を模索するなど、上記の事態による影響を最小限にとどめる供給体制を確立するとともに、当社グループを取り巻く経営環境を迅速かつ適切に把握することにより、事業活動の強靭化に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度の業績は、売上高53,425百万円(前連結会計年度比10.1%増)、営業利益6,176百万円(同5.8%増)、経常利益7,986百万円(同13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,931百万円(同12.5%増)となりました。
(単位:百万円)
(注)事業部別の連結営業利益は、当社グループ独自の基準により算定しております。
資産は、流動資産が、40,571百万円(前連結会計年度比10.3%増)となりました。これは主に、「現金及び預金」が2,419百万円増加したことなどによるものです。固定資産は、25,573百万円(同9.5%増)となりました。これは主に、「建物及び構築物(純額)」が388百万円増加したことや「投資有価証券」が805百万円増加したことなどによるものです。その結果、総資産は66,144百万円(同10.0%増)となりました。
負債は、流動負債が、12,789百万円(同9.1%増)となりました。これは主に、「支払手形及び買掛金」が330百万円増加したことなどによるものです。固定負債は、3,280百万円(同3.8%増)となりました。これは主に、「リース債務」が367百万円増加したことなどによるものです。その結果、負債合計は16,069百万円(同8.0%増)となりました。
純資産は、50,074百万円(同10.6%増)となりました。これは主に、「利益剰余金」が3,142百万円増加したことなどによるものです。また、純資産より非支配株主持分を除いた自己資本は44,159百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の66.6%から66.8%と0.2ポイントの増加となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は、前連結会計年度末に比べ2,527百万円増加し、当連結会計年度末には14,608百万円(同20.9%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、資金収支は6,770百万円の収入(同56.4%増)となり、前連結会計年度末に比べ2,440百万円の増加となりました。これは主に、「税金等調整前当期純利益」が895百万円増加したことや「棚卸資産の増減額」の変動により収入が748百万円増加したことなどによるものです。
投資活動の結果、資金収支は1,260百万円の支出(同62.1%減)となり、前連結会計年度末に比べ2,062百万円の支出の減少となりました。これは主に、「定期預金の払戻による収入」が1,091百万円増加したことなどによるものです。
財務活動の結果、資金収支は3,584百万円の支出(同52.1%増)となり、前連結会計年度末に比べ1,227百万円の支出の増加となりました。これは主に、「自己株式の取得による支出」が732百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 欧州の増加は、主に塗装機器を製造しているイタリア及びドイツの子会社実績等によるものです。
②受注及び受注残高
当連結会計年度における塗装設備の受注状況は、次のとおりであります。
(注) 1.この受注及び受注残高は、塗装設備製品のものです。塗装設備製品以外は受注から販売までが短期間であり、受注及び受注残高の管理対象としておりません。
2.日本の受注残高の減少は、主に前連結会計年度に獲得していた大型案件の納入が完了したことや自動車の生産に関連した設備投資案件の獲得ペースが緩やかになったことなどによるものです。
3.その他の受注残高の減少は、主にインドネシアにおける木工製品の生産に関連した設備投資案件の獲得ペースが緩やかになったことなどによるものです。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、欧米の金融引き締め効果の顕在化や中国の景気低迷などの影響により、停滞感が強まりました。日本経済においては、インバウンド需要の拡大や企業規模による差異はあるものの設備投資意欲に改善が見られましたが、物価高による個人消費の伸び悩みや海外経済の減速懸念などを受けて、景気回復には力強さを欠く状況が続きました。
このような状況の中、当連結会計年度の業績は、売上高53,425百万円(前連結会計年度比10.1%増)、営業利益6,176百万円(同5.8%増)、経常利益7,986百万円(同13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,931百万円(同12.5%増)となりました。これらの結果により、当連結会計年度のROEは11.7%(同0.1ポイント増)となり、自己資本比率は66.8%と0.2ポイント改善しております。
当社グループで採用しております地域別のセグメントの状況は以下のとおりであります。セグメントの業績の詳細については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-(1)〔連結財務諸表〕-〔注記事項〕」の(セグメント情報等)をご参照ください。
売上高は26,326百万円(前連結会計年度比4.7%増)、セグメント利益は3,431百万円(同2.5%減)となりました。利益の減少は、主に中長期的な業績拡大に向けたシステム設計費用や新規事業開発に関する費用などの支払い手数料が増加したことにより販売費及び一般管理費が増加したことなどによるものです。
圧縮機製品では、1月の値上げ実施に伴う大きな影響は見られず、年度末の需要動向にも追従できたことにより汎用の小形圧縮機や医療分野をはじめとしたセットメーカ向けレシプロ式を中心としたオイルフリー圧縮機の売上が伸長しました。
真空機器製品では、半導体市場の調整局面が継続する中で輸出を含めた半導体製造関連装置向け真空ポンプの売上が増加しました。
塗装機器製品では、当第3四半期連結会計期間に報告しました一部スプレーガンの販売中止に伴う影響がありましたが、環境装置についてはITツールの活用度を高め物件管理を強化したことにより売上が伸長しました。
塗装設備製品では、好調であった前連結会計年度の反動から受注案件が少なかったことや次年度に計上となる案件が一部発生したことなどにより売上は減少しました。自動車部品以外の樹脂及び金属製品・部品に対象を広げて提案活動を行っています。
(欧州)
売上高は9,377百万円(前連結会計年度比24.9%増)、セグメント利益は829百万円(同64.5%増)となりました。利益の増加は、主に塗装機器の販売増加や2017年に買収した子会社において前連結会計年度でのれんの償却が完了したことなどによるものです。
圧縮機製品では、OEM先の需要動向からオイルフリー圧縮機の売上が堅調に推移しました。引き続き、特定市場を主とした販路の開拓を進めています。
塗装機器製品では、自動車補修市場向け新型スプレーガンを主とした塗装機器の販売が好調に推移しました。
売上高は7,258百万円(前連結会計年度比16.0%増)、セグメント利益は927百万円(同44.7%増)となりました。利益の増加は、主に利益率の高い圧縮機や真空機器の販売増加などによるものです。
圧縮機製品では、アメリカやブラジルにおける車両搭載向け及び医療向け圧縮機の売上が伸長しました。
真空機器製品では、アメリカにおいて当第1四半期連結会計期間に事業の一部譲受によって取得した販路における売上が堅調に推移しました。そのほか、装置メーカ向け需要を取り込んだことなどにより売上が伸長しました。
塗装機器製品では、アメリカにおいてエアーブラシの売上回復に時間を要しておりますが、工業塗装市場の開拓に伴い売上は伸長しました。また自動車補修市場向け新型スプレーガンやホームセンター向け中級レンジスプレーガンなどの販売にも注力しています。
(中国)
売上高は12,405百万円(前連結会計年度比11.1%増)、セグメント利益は808百万円(同0.8%減)となりました。
圧縮機製品では、中国国内向けの販売が停滞するなかで、リチウムイオン電池製造関連装置向け圧縮機の販売は当連結会計年度を通じて売上伸長に寄与しました。加えて、上海斯可絡圧縮機有限公司の輸出販売が好調に推移しました。
真空機器製品では、圧縮機製品同様にリチウムイオン電池製造関連装置向け真空ポンプの売上が伸長しました。あらたな装置メーカ開拓も継続して実施しています。
塗装機器製品では、景況感の回復が感じられず、当連結会計年度を通じて売上の減少傾向が続きました。
塗装設備製品では、塗装機器製品同様に売上の減少傾向が続きました。中国以上に需要が見込まれる東南アジアやインドなど全セグメントへの最適な人員配置を行い収益性の確保に努めています。
売上高は10,067百万円(前連結会計年度比7.0%増)、セグメント利益は1,600百万円(同9.0%増)となりました。
圧縮機製品では、インドにおいて汎用圧縮機が年度を通じて好調に推移しました。現在は中国の子会社である上海斯可絡圧縮機有限公司から完成品を輸入している中形圧縮機について、柔軟な納期対応を行うために組立ラインの新設に取り組んでいます。また、東南アジアにおいては子会社及び現地代理店の営業員教育を継続しています。
塗装機器製品では、工業塗装市場向けを主として売上が伸長しました。また、シェア拡大余地のあるインドをはじめとした南アジアの開拓にも着手しました。
塗装設備製品では、自動車部品塗装向けや木工製品塗装向け塗装設備の売上が伸長しました。
当社グループの財源については自己資本を基本としつつも、一部、金融機関等からの借り入れにより調達しています。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、海外子会社を含む設備投資、M&A等によるものであります。
また、当社グループの当連結会計年度末において、短期借入金991百万円に対して現金及び現金同等物の期末残高14,608百万円と資金の流動性を確保しています。なお、当座貸越限度額及び貸出コミットメントライン契約額約8,058百万円を結んでおり、これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は335百万円です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。当社が採用する重要な会計方針については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-(1)〔連結財務諸表〕-〔注記事項〕」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、権限を明確に定め、適切な情報に基づく判断に努めていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。なお、詳細については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-(1)〔連結財務諸表〕-〔注記事項〕」の(重要な会計上の見積り)をご参照ください。
固定資産の減損損失の認識の判定においては、将来キャッシュ・フローを見積った事業計画をもとに行っております。当社グループは事業拡大を目的としてM&Aを含む子会社等への投資を積極的に行っているため、特に関係会社株式等や子会社等の保有する固定資産、のれんの減損損失の判定、及びのれん計上時の償却年数の算定は当社グループの業績等に重要な影響を及ぼすと認識しており、その際に使用される見積りや前提条件については慎重に検討し取締役会が監督することで適切性を確保しています。しかしながら、市場環境の変化等により、将来キャッシュ・フローの見積りの前提条件が変化した場合には、減損損失が認識されるか否かの判定及び減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社が主体となり関係会社と共同推進する形をとっており、環境保全を技術開発の大きな目的にするとともに、固有技術の進化と先端技術の応用展開を進めながら、顧客ニーズに応えるための新製品開発と既存製品の改良を積極的に進めております。
なお、当期の研究開発費の総額は