第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「信頼と創造」の社是のもとに

① 世界規模での経営基盤を強化し、環境の変化に柔軟に対応して着実に成長する。

② 相互信頼に基づき、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に発揮する企業風土を作る。

③ 各国、各地域に根ざした事業活動を通じて、産業・経済・文化の発展に貢献する。

④ 時代を先取りした研究と開発に努め、物づくりの技術を高めることにより、お客様に満足して頂ける魅力溢れる商品を提供する。

⑤ クリーンで公正な企業活動を実践し、安全で魅力的な商品の提供を通して、住みよい地球と豊かな社会作りに貢献する。

ことを経営方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、株主重視の視点、経営効率の評価基準として総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)、売上高営業利益率を意識した経営を進めていく考えであります。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、個人消費は緩やかに回復し、企業収益は改善しているものの、物価上昇、ウクライナや中東地域における紛争、急激な為替変動に加え、人手不足や労務費の上昇、資材の長納期化など、不透明な状況が継続しております。また自動車産業では、様々な要因により稼働が一時的に不安定になることもありましたが、生産はほぼ回復してきております。

 

(4)対処すべき課題

 当社は「熱・水・空気」の総合エンジニアリング会社として、技術力とモノづくりの力を競争力の源泉とし、「テクノロジーで地球にやさしい未来へ」を掲げて、カーボンニュートラル、持続可能な地球・社会への貢献を通じて、持続的な成長を目指してきました。

 

<これまでの成果>

▶ 設備部門では、塗着効率が非常に高いエアレス塗装機や、水を使わずに塗料カスを回収するドライブースなど、CO2削減・水資源保全に貢献する環境技術が、ビジネスの中核に成長しています。

▶ 当社の環境技術が、様々なお客様からご評価をいただき、自動車メーカー以外のお客様からの案件が大きく伸長しました。

▶ 自動車部品部門では、コロナ禍で進めた「限量経営*」と改善の結果、需要変動への柔軟・迅速な対応ができるようになり、収益に貢献しました。

*限量経営:限られた生産量でも利益を出せる体質を目指す

 

<取り巻く環境>

▶ 気候変動の激甚化など、地球環境分野を中心とするサステナビリティへの取り組みの重要性が一層高まっています。

▶ 急激な為替変動、資材供給制約の長期化、人手不足や労務費の上昇、物流・建設の「2024年問題」、そして経済好循環に向けた企業間取引適正化の要請など、企業経営上の重要課題が山積しています。

▶ 自動車産業においては、クルマの電動化やデジタル化など、産業を一変させる大変革が進行しており、クルマとその作り方が劇的に変わろうとしています。

 

<対処すべき課題>

① サステナブルな社会への更なる貢献

 自動車産業を中心とするお客様のカーボンニュートラル・電動化に向けたニーズに着実に対応するとともに、設備のハードに加え、ソフト・サービスを強化し、幅広いお客様に、当社の環境技術を提供していきます。自動車部品部門でも、仕入先様とともに、より環境に優しいモノづくりに取り組みます。

 

② たゆまぬ技術革新

 環境技術をさらに発展させるとともに、工場の景色を変える技術開発、モノづくり革新を進めていきます。また技術開発施設の新設・更新、社外異業種との仲間づくりなど、技術革新を加速させる開発環境の整備・投資に積極的に取り組んでいきます。自動車部品部門では、自働化・省人化、新技術導入や老朽設備の更新を進め、生産性の向上を図ります。

 

③ 「足場固め」と将来に向けた基盤づくり

 安全最優先を基本に、防火・BCPの取り組みを徹底し、供給責任を果たしてまいります。また、デジタルによる会社の変革を進めるとともに、成長の担い手である「人への投資」・健康でイキイキと働ける職場づくり、コンプライアンス重視の職場風土づくりを中心とする経営基盤強化に取り組みます。

 

 当社は、これらの課題に対処することにより、持続的な成長を実現し、企業価値の向上を通じて「選ばれる企業」を目指していきます。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 地球温暖化問題や、生産活動による廃棄物問題、事業活動による自然環境への影響は、我々が企業活動を進めるうえで重要な課題となっています。当社では、“テクノロジーで地球にやさしい未来へ”をスローガンに、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現と持続可能な地球・社会へ貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社は2022年6月に策定した「サステナビリティ方針」を指針として、取組みを進めております。また、全常勤取締役及び全部長が出席する「サステナビリティ推進会議」を毎月実施し、地球環境を中心とするサステナビリティ活動全般について、全社横断的に議論・推進しています。

 

 ①サステナビリティ方針

 私たちは、社是「信頼と創造」のもと、安全・品質・お客様第一を大切にした企業活動を通じて、社会に必要とされる会社を目指しています。熱・水・空気の総合エンジニアリング会社である私たちだからこそ提供できるテクノロジーで、地球にやさしい未来へ貢献すること。そして、ともに働く多様な人材がSDGsの理念に共感し、自ら考え行動すること。これらの取り組みを通して、現在から将来にわたり、私たちに関わるすべての皆さまのしあわせが広がり、持続可能な発展につながるよう努力してまいります。

 

環境

自然環境と生活環境に配慮した革新技術の開発・発展に絶えず努め、環境保全に

取り組み、住みよい地球・環境に貢献していきます。

社会

トリニティ工業に関わるすべてのステークホルダーのよろこびと感動を生むことを目指し、良き企業市民として、豊かな社会づくりに取り組みます。

ガバナンス

関係法令の遵守はもちろんのこと、ステークホルダーの方々との対話などを通じて、オープンかつクリーンで公正な企業活動に努めます。

 

 

 ②取り組むべき課題

 当社は、持続可能な社会の実現に向け、①地球環境保全への貢献 ②当社に関わる人びとの幸せ ③クリーンで公正な企業活動 の3つを重要な分野とし、それぞれの分野の取り組みについて整理しました。

 

分野

項目

主な取り組み

地球環境保全への

貢献

脱炭素社会への技術革新と展開

・お客様への脱炭素に貢献する技術の開発
・自社・仕入先様のCO2排出量低減活動

サーキュラーエコノミーの推進

・樹脂廃棄物の低減、リサイクル
・廃棄物の分別、ペーパーレス化

自然との共生

・水環境インパクトの最小化
 (水レス技術の開発など)

当社に関わる人々の幸せ

安全・健康

・交通安全・作業安全活動
・健康経営の推進

多様な人材の活躍推進

・人材教育
・多様な採用活動、働き方サポート

社会貢献

・地域との災害協定、清掃などの地域貢献
・支援活動(募金、古着回収、食品の提供)

クリーンで公正な

事業活動

安定的な事業継続

・事業継続計画(BCP)の策定・訓練
・情報セキュリティ教育

コンプライアンス

・コンプライアンス委員会の開催
・コンプライアンス教育

ステークホルダーとの関わり

・サステナビリティレポートなどによる積極的

 な情報開示と対話

 

 

 ③推進体制

0102010_001.png

 

(2)気候変動問題への対応

 ①リスク管理

 サステナビリティに関する諸課題の中でも、気候変動問題は、早急な解決が求められる重要な社会課題です。

気候変動問題により様々なリスクが想定されていますが、それは同時に当社が環境技術で社会に貢献できるオポチュニティ(機会)と捉え、重点的な戦略について「サステナビリティ推進会議」にて全社横断的に、検討しております。

〈リスクと機会〉

リスク区分

内    容

 

当社にとっての機会

移行
リスク

 

政策

法規制

・規制強化に伴うエネルギーコスト増
・省エネ設備導入による投資負担増

 

 カーボンニュートラルを
 目指した省エネに貢献す
 る設備技術・機器に対す
 る需要の増加

 

 

 

評判

市場

・脱炭素の取り組みが遅れた場合や、
 適切な情報開示が行われない場合の
 社会的評価の低下

0102010_002.png

物理
リスク

 

急性

・異常気象の風水害による人的・物的
 被害発生とサプライチェーンの寸断

 

慢性

・熱中症等健康被害の増加

 

 

 

〈戦略〉

 

               0102010_003.png

▶自社工場のCO2排出量削減を目指した取り組みの推進
   ・エネルギー使用量・CO2排出量の「見える化」
   ・日常改善など省エネ活動の着実な推進・革新技術の導入など「減らす」活動
   ・再生可能エネルギーの積極的な導入
  ▶お客様のカーボンニュートラル達成への貢献、積極的技術提案
   ・超高塗着エアレス塗装、ドライブ―スをはじめとする革新技術の導入・拡大
   ・業界をリードする更なる技術革新

 

 ②指標及び目標

 当社では、2019年に「工場CO2ゼロチャレンジプロジェクト」を立ち上げ、2013年比で2025年25%低減、2030年35%低減を目指し取り組んでおります。またその先もCO2低減活動を続け、長期的にはCO2排出量実質ゼロを目指します。

(自社工場 CO2排出量 実績・目標)

実   績

 

目   標

2013年

2022年

2023年

 

2025年

2030年

13,498 t-CO2

 9,517 t-CO2
・2013年比:29%減
・前年比:7%減

 11,052 t-CO2
・2013年比:18%減
・前年比:16%増

 

 10,123 t-CO2
・2013年比:25%減

 8,773 t-CO2
・2013年比:35%減

 2023年が前年より大幅に増加したのは、前年が半導体不足等の影響により生産量が少なかったこと、及び、

2023年の電源係数が増加したこと(2022年:0.388、2023年:0.459)の影響と考えられます。

 

(3)人的資本(戦略並びに指標及び目標)

 ①人材教育

 当社は、中長期的な視点からの人材育成を図るべく、全ての社員を対象として、基礎知識習得の「全社教育」

、階層ごとに必要な知識を習得する「階層別教育」、各部門の基礎知識向上を図る「部門教育」、さらに各部門内の専門知識向上及び技能向上を図る「専門教育」に取り組んでいます。

指標

目標(2024年度

実績(当事業年度)

階層別教育の受講

100.0%

100.0%

 

 ②人材の採用

   当社は、国籍や性別等にとらわれず、ダイバーシティを意識した採用を進めております。また、グローバル人

  材を育成するため、外国人留学生採用の強化にも取り組んでおります。

指標

目標(2024年度

実績(当事業年度)

外国人留学生採用

1以上

1

 

 ③女性活躍推進

 女性社員の計画的な増員に向け、ホームページに女性社員の活躍ぶりを掲載したり、学生と女性先輩社員との座談会を行うなど、女性新卒者の採用活動を強化しています。また、女性の多様な働き方を支援するため、産休・育休後の仕事と育児を両立しやすい環境の整備、家庭の事情で離職された従業員のカムバック制度、職種や資格に応じたスキルアップのための教育支援等を行うとともに、お子さんの成長に伴う出費もサポートできる福利厚生制度を整えております。さらに、女性管理職の登用に向け、優秀層の選抜と昇進昇格後のフォロー、外部セミナーへの積極的な参加などの支援を行っていきます。

指標

目標(2025年度までに)

実績(当事業年度)

女性社員比率

18.0%以上

16.0%

女性管理職登用

1以上

0

 

 ④男性社員の育児休業取得率

 2022年10月の法改正を踏まえ、産後パパ育休の新設や、育児休業の分割取得など、男性も女性も柔軟に育休を取得できる制度を構築しました。さらに、育児休業に関する社内制度をまとめたハンドブックの作成も行い、育児休業の全員取得を目指した取り組みを進めています。

指標

目標(2025年度までに)

実績(当事業年度)

男性社員育児休業取得率

100.0%

80.0%

 

(4)健康経営(社内環境整備)

 当社では、社員の健康保持・増進を重要な経営課題と捉え、健康経営を推進することで、社員一人ひとりが持てる力を十分に発揮し、会社と社員の持続的成長につなげたいと考えております。

 

 ①ガバナンス・推進体制

  当社は2019年9月に公表した「健康宣言」に基づき、社長を最高責任者として、取り組みを統括する担当役員

 を配置して健康経営を推進しております。

  具体的な活動は、安全健康推進部、経営企画部によるワーキンググループを中心に、全社を巻き込んで進めて

 おります。

 

 〈健康宣言〉

   当社において最も重要な財産は「社員」です。

   社員一人ひとりとご家族の皆様が、心身ともに健康で豊かな生活を送られることは『良い品』『良い仕事』

  を創造する原動力となり『お客様のよろこびと感動』を生み出し、社会貢献に繋がるものと考えています。

   その実現に向けトリニティ工業は、明るく楽しく元気よく、いきいきと働ける会社づくり、人づくりに全力

  を挙げて取り組むことを、ここに宣言します。

 

 〈推進体制〉

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 ②主な取り組み

分   類

主な取り組み

定期健康診断と受診後の対応

・海外駐在員も含めた社員全員の健康診断の実施

・ご家族の健康診断費用補助

メンタルヘルス対策

・ストレスチェックの実施
・メンタルヘルス教育(セルフケア、ラインケア)の実施

女性特有の疾病対策

・乳がん、子宮頸がん検診の受診希望者への実施
・女性特有の健康課題に対するセミナーの開催

食習慣改善

・社員食堂でのスマートミールやハーフサイズメニューの提供
・社員食堂の全メニューにカロリー表示

運動習慣化の取組み

・ウォーキングイベント、社内スポーツイベントの開催
・健保組合の健康キャンペーンへの参画 (運動習慣、食事改善、歯のケア)

感染症対策

・職場の感染症拡大防止のための感染症基本方針、対応マニュアル策定

・インフルエンザ予防接種費用補助(本人及びお子様)

喫煙対策

・オンライン禁煙プログラム費用の全額補助

・会社敷地内禁煙の実施(週3日,2025年4月より完全禁煙予定)

 

 

 ③指標及び目標

指標

目標(2024年度

実績(当事業年度)

定期健康診断受診率

100%

100%

二次健診受診率

100%

100%

ストレスチェック受検率

100%

99.8%

ウォーキングイベント参加率

100%

95.6%

非喫煙率

73%

71.7%

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 経済状況

 当社グループの取引の重要な部分を占める自動車業界の販売台数及び設備投資計画は当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、ステークホルダーの期待に応える環境負荷の低い・競争力のある設備の開発と自動車業界外への販売拡大に取り組んでおります。

② 原材料価格の変動

 当社グループの調達コストの中で大きな割合を占める樹脂材料や鉄鋼材料をはじめとする原材料の価格は、国際商品市況の影響を受けて大きく変動することがあります。原材料価格の動向は、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、原材料価格の上昇については、製品価格への反映や歩留り向上によって材料コストの低減を

図っております。

③ 為替レートの変動

 為替レートの変動は、当社グループの海外との取引の円換算額及び連結財務諸表作成時における海外子会社の外貨建財務諸表の円換算額等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、海外商流の適正化を図り、為替レートの影響を極力低減するとともに、必要に応じて為替予約取引を利用することで、将来の為替変動リスクを回避するよう努めております。

④ 地震等の災害発生にともなうリスク

 当社グループは、製造ラインの中断による影響を最小限にするために、定期的な設備点検等をおこなっておりますが、大規模な災害が発生した場合、生産活動が停止し、経営成績と財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、大規模な災害を想定し、安全対策や事業継続・早期復旧のために事業継続計画(BCP)を策定しております。

⑤ 新型コロナウイルス感染症等の異常事態リスク

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックが当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、感染症流行時の対応については、感染予防の観点から基本方針や対応マニュアルを策定し、万が一感染者等が発生した際は必要な予防および感染対策を推進していきます。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、個人消費は緩やかに回復し、企業収益は改善しているものの、物価上昇、ウクライナや中東地域における紛争、急激な為替変動に加え、人手不足や労務費の上昇、資材の長納期化など、不透明な状況が継続しております。また自動車産業では、様々な要因により稼働が一時的に不安定になることもありましたが、生産はほぼ回復してきております。

 このような環境のもと、当社グループにおきましては、お客様のカーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーへの積極的な貢献を柱に、設備部門では、既受注プロジェクトの着実な遂行に加え、塗装機器の収益拡大、自動車産業以外のお客様への拡販、新製品の開発に取り組んでまいりました。自動車部品部門では、大型成形品の生産拡大等を通じお客様の期待に応えるとともに、変種変量に強い柔軟な生産体制の構築や、異業種など新たな領域への拡大などに取り組んでまいりました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は369億9千2百万円と前年同期に比べ79億4千5百万円(27.4%増)の増収となりました。

 営業利益は27億9千5百万円と前年同期に比べ18億2千9百万円(189.5%増)の増益、経常利益は30億7百万円と前年同期に比べ15億3千5百万円(104.3%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は20億5千8百万円と前年同期に比べ7億9千1百万円(62.4%増)の増益となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。
 ・設備部門

 設備部門は、塗装設備納入等の増加により売上高は267億6千8百万円と前年同期に比べ52億7千9百万円(24.6%増)の増収、営業利益は36億5千8百万円と前年同期に比べ8億8千2百万円(31.8%増)の増益となりました。

 ・自動車部品部門

 自動車部品部門は、内装部品及び外装部品の生産・販売の増加により売上高は102億2千4百万円と前年同期に比べ26億6千5百万円(35.3%増)の増収、営業利益は9億7千5百万円(前年同期は営業損失3千7百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、162億3千5百万円となり、前連結会計年度末より23億4千2百万円(前年同期比16.9%増)増加となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は36億1千8百万円(前年同期比16.6%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益30億7百万円、売上債権の増加額30億6千万円、減価償却費15億円、仕入債務の増加額16億3千7百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は8億7千4百万円(前年同期比12.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9億3千4百万円、定期預金の預入による支出8億4千9百万円、定期預金の払戻による収入9億3千万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は6億2千1百万円(前年同期比35.2%減)となりました。これは主に、配当金の支払額4億8千2百万円によるものであります。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

設備部門

26,768,516

24.6

自動車部品部門

10,224,264

35.3

合計

36,992,780

27.4

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 当社は受注生産を主としておりますので、本表は販売実績と同一のものを掲げております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

設備部門

27,334,845

8.8

11,064,420

7.2

自動車部品部門

10,224,264

35.3

合計

37,559,109

14.9

11,064,420

7.2

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

設備部門

26,768,516

24.6

自動車部品部門

10,224,264

35.3

合計

36,992,780

27.4

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

豊田通商株式会社

6,692,215

23.0

7,299,040

19.7

株式会社豊通マシナリー

4,404,014

15.2

5,144,400

13.9

トヨタ自動車株式会社

539,685

1.9

956,053

2.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は、15.6%増加し、447億6千7百万円となりました。要因については、次のとおりであります。

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて19.2%増加し、311億6千9百万円となりました。これは主に、その他が4億5千2百万円減少した一方、現金及び預金が23億3千2百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が19億4千5百万円増加、電子記録債権が11億8千5百万円増加したことによります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて8.2%増加し、135億9千8百万円となりました。これは主に、建設仮勘定3億9千万円減少した一方、投資有価証券が13億7千3百万円増加、退職給付に係る資産1億4千2百万円増加したことによります。

 

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて27.8%増加し、118億7千万円となりました。これは主に、電子記録債務が12億1千8百万円増加、支払手形及び買掛金が4億6千1百万円増加、未払法人税等が3億2千9百万円増加、未払金が1億7千1百万円増加、賞与引当金が1億5千9百万円増加したことによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて28.3%増加し、18億7千9百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が3億3千1百万円増加、退職給付に係る負債が6千7百万円増加、リース債務が2千7百万円増加したことによります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて27.8%増加し、137億4千9百万円となりました。

 

(純資産)

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて10.9%増加し、310億1千7百万円となりました。

 

b.経営成績の分析

 事業全体の状況

 当連結会計年度の売上高は369億9千2百万円と前年同期に比べ79億4千5百万円(27.4%増)の増収となりました。

 営業利益は27億9千5百万円と前年同期に比べ18億2千9百万円(189.5%増)の増益、売上高営業利益率は7.6%となりました。

 営業外収益は、前年同期に比べ持分法による投資利益が1億3千9百万円減少となったことなどにより、前年同期に比べ2億2千6百万円(42.9%減)減少し3億1百万円となりました。

 営業外費用は、固定資産除去損が6千万円増加したことなどにより、前年同期に比べ6千7百万円(305.4%増)増加し9千万円となりました。

 以上の結果、経常利益は30億7百万円と前年同期に比べ15億3千5百万円(104.3%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は20億5千8百万円と前年同期に比べ7億9千1百万円(62.4%増)の増益となりました。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

1)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2)資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資などの長期資金及び製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。

3)財務政策

 当社グループは長期資金、運転資金ともに内部資金により充当し、不足が生じた場合は借入により資金調達することとしております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、株主重視の視点、経営効率の評価基準として総資産利益率(ROA)や自己資本利益率

(ROE)、売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「総資産利

益率(ROA)」は4.9%(前年同期比1.6%増加)、「自己資本利益率(ROE)」は7.2%(前年同期比2.5%増加)、「売上高営業利益率」は7.6%(前年同期比4.3%増加)となりました。引き続きこれらの指標につきましては、改善されるよう取り組んでまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、環境、低コスト、高品質等の社会的な要求に応えるため、現有製品から次世代技術に至る幅広い分野での研究開発に取り組んでおります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は615百万円であります。

 セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1)設備部門

 自動車塗装設備・装置を中心に、省資源・省エネルギー等の環境課題に対応した開発と低コスト・高品質製品に対応した開発を進めております。

 このほか、次世代主力商品の核となる新塗装技術の開発にも、継続して取り組んでおります。

(2)自動車部品部門

 自動車内外装部品の新加飾方法、材料、意匠開発を進めておりますが、特に、高い環境性と意匠性を併せ持つ次世代の加飾技術開発に、全力をあげて取り組んでおります。