文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
経営環境及び課題への取組み
1.経営方針
(1)グループ理念
当社グループは1911年に造船業を祖業として創業しましたが、創業以来、技術力に立脚したものづくりの会社として歴史を歩んできました。当社グループでは祖業である造船事業を「コアビジネス」、非造船事業を「第二のコアビジネス」として位置付け、事業の多角化に取り組んできました。2021年2月28日付で祖業である造船事業を㈱新来島どっくに譲渡しましたが、事業譲渡後も「確かな技術にまごころこめて ~人と技術を磨き、新たな顧客価値を創出する~」というグループ理念については、グループの従業員が最も大切にする基本的な考え方として不変のものとしています。このグループ理念を従業員一人ひとりが実践することで、事業を通じて社会課題を解決し「サステナブルな社会の実現」に貢献するとともに持続的な企業価値向上を目指します。
(2)グループビジョン
当社グループは2024年3月29日に「中期経営計画<'24-'26>」を対外公表しましたが、当該計画を策定するにあたり造船事業譲渡後の新生サノヤス10周年に当たる2030年度に当社グループが目指す姿を明確化し、グループビジョンとして策定しました。
(3)行動原則
グループビジョンを実現するために組織で大切にするべき価値観や行動を5つの行動原則として定め、グループの従業員全員で共有し、日々の事業活動の指針としています。

2.サノヤスグループの思い
当社グループは持株会社であるサノヤスホールディングス㈱の傘下に、事業活動を行う10社の事業会社と技術集団であるサノヤステクノサポート㈱で構成されており、多様な事業を営んでいます。当社グループが目指すところは、事業を通して社会課題を解決し、人々のくらしを支え、全ての人々の”喜び”と”満足”を実現する企業でありたいということです。サノヤスホールディングス㈱とサノヤステクノサポート㈱はグループ共通のプラットフォームとして事業会社をサポートし、各事業会社はそれぞれの事業に専念できる体制を構築しています。当社グループの柱である各事業会社では次の5つを基本方針としてソリューションの強化とイノベーションに挑戦し、お取引先やパートナー企業と協働し、社会に役立つ商品とサービスを生み出していきます。
① 本業のものづくりとサービスに専念し、お客様に信頼される会社を目指す
② ユニークな製品を適正価格で提供し、収益力の強化に努める
③ DXにより仕事を効率化し、常に生産性を向上させる
④ R&Dを通じて、新製品・新規事業を次々と創出する
⑤ 人財教育と互いの切磋琢磨により、強い人財を育成する

3.新生サノヤス10周年(2030年度)に向けて
(1)基本方針
サノヤスグループは多様な事業を展開しており、それぞれの事業によって解決できる又は解決したい社会課題も多種多様なものがあり、以下に図示するような社会課題を中心に解決を図っていきたいと考えています。社会インフラの老朽化に対してはサノヤス・エンテック㈱で空調や給排水等の配管の老朽化への対応としてリニューアル部隊を新設し、取り組みを進めてまいります。、水資源の確保に対しては、みづほ工業㈱が手掛ける水処理事業を強化し、用水から排水までを一気通貫でエンジニアリングし、貴重な水資源の有効活用に貢献します。少子高齢化による労働力不足に対してはみづほ工業㈱やサノヤス・エンジニアリング㈱で生産工程の自動化や省人化を実現する新製品の開発を行い、製造現場に提供してまいります。また、データ流通基盤の強化に対しては、昨今急増し、重要な社会インフラとなっているデータセンター向けに松栄電機㈱の配電盤や分電盤を供給してまいります。
このように当社グループの各事業会社はBtoB企業としてお客様にソリューションを提供することで、お客様と共に社会やくらしに役立ち、支えとなることで全ての人々の“喜び”と“満足”を実現したいと考えています。
それを実現するための重点施策は、①ソリューションの強化、②イノベーションへの挑戦、③ESG経営の進化・深化の3つです。加えてこれらの重点施策を滞りなく実行できるよう事業基盤の強化を進めてまいります。

(2)重点施策
①ソリューションの強化
・当社グループ内に既に事業基盤があり、かつ将来にわたってマーケットが拡大していくことが予想される分野として産業インフラ関連分野と環境分野を注力分野に選定し、積極投資を行い基幹事業へ育成します。
・国内では新しい市場領域への進出や東南アジアを中心とする海外マーケットの拡大を図ります。
・既存事業とシナジーが見込まれる企業のみならず、当社グループの経営リソースでマネジメント可能な新しい事業領域のM&Aについても検討してまいります。
②イノベーションへの挑戦
・技術集団であるサノヤステクノサポート㈱をハブとして産学連携や他の企業とのコラボレーションを積極的に行い、新たなビジネス創出を図ります。
・顧客ニーズや社会的要請を起点とし、事業会社とサノヤステクノサポート㈱が協働し、問題解決に資する新製品や新サービスを創出します。
・ITや先進技術を積極的に活用することにより、生産性の向上や新しいビジネスモデルの構築を図ります。
③ESG経営の進化・深化
・引き続き、地球温暖化対策への取り組みと人的資本経営の充実を柱としています。
④事業基盤の強化
・収益力の向上を図るため、当社グループで最も大切なものづくり力強化に向けて、設計のレベルアップや原価低減推進等を進めます。
・R&D機能を強化するため、各事業会社がそれぞれ行っている新製品や新サービスの開発に加え、サノヤステクノサポート㈱が一体となって開発の方向性を定め、要素技術の開発、コラボレーション先の探索などを行います。また、新たに2024年4月1日付けで全社横断的な活動として、イノベーション推進委員会を設置し、イノベーション推進活動の加速を図ってまいります。
・企業体質の強化では、DX活用による能動的営業活動の実行やマネジメント研修の充実によるマネジメントスキルの向上等、企業体力の底上げを地道に行っていきます。

4.中期経営計画<'24-'26>
(1)位置づけ
前中期経営計画「中期経営計画 2021」では造船事業譲渡後のサノヤスグループの姿をお示しし、「技術オリエンテッド」と「ハイサイクル経営」を基本方針とし、新しいサノヤスグループの立ち上げに注力してきました。当該計画をスタートした時点でコロナ禍の影響は一定程度織り込んではいたものの、想定以上の長期化やロシアのウクライナ侵攻も重なり、電子部品・部材の長納期化による生産性の低下に加えて原材料価格の高騰等もあり、戦略面でも業績面でも計画通りの進捗を実現することが出来ませんでした。2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されて以降、経済活動も徐々に正常化に向かい、電子部品・部材の長納期化の影響も緩和されてきました。また部材高騰に対する製品価格への転嫁も相応に進捗していることから、「攻めの経営」に舵を切るため、前中期経営計画を1年前倒しで「中期経営計画<'24-'26>」を策定しました。本中期経営計画は、新生サノヤス10周年に向けて前半の3年間を計画期間としていますが、後半の4年間で成長トレンドを実現するための経営の基盤固めの期間と位置付けています。

(2)骨子
新生サノヤス10周年に向けた3つの重点施策に対して、5つの取り組みと合わせ事業基盤の強化を進めます。5つの取り組みでは、(1)注力分野と位置付けた産業インフラ関連・環境分野への資金投入、M&A投資、人的投資を積極化、(2)既存事業では新商品開発や差別化戦略の推進、メンテ・サービス事業の強化、(3)新マーケットの開発や海外展開等、新規事業分野への進出、(4)カーボンニュートラル実現に向けた取組みの推進、(5)人財確保に向けた体制強化や働き甲斐の向上に向けた人事制度改革等、人的資本経営の推進を行ってまいります。

5.経営指標
新生サノヤス10周年の2030年度の目標を、売上高500億円、営業利益25億円、営業利益率5.0%、ROE6%以上としています。また、中期経営計画の最終年度に当たる2026年度計画は売上高300億円、営業利益10億円、営業利益率3.3%、ROE10%以上とし、2030年度に迎える新生サノヤス10周年での大きな飛躍に向けての通過点として、しっかりとラップを刻むつもりです。

6.企業価値向上への取り組み
当社グループは資本コストや株価を意識した経営の実現にも積極的に取り組みます。中期経営計画の期間中にPBRを1倍以上にすることを目標とし、資本収益性向上に取組みます。株主資本コストを上回るROE6%を達成し、加えて中期経営計画の諸施策を着実に実行し、ステークホルダーの皆さまに成長性をお示ししていくことでPBR1倍以上を実現したいと考えています。

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社は、サステナビリティに関連する重要なリスク・機会を特定し、適切に監視・管理するために、取締役会の下部組織として、2021年10月から代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。同委員会では、サステナビリティ関連リスク・機会に対して、グループ横断的な取組計画を策定し関連部署への展開を図るとともに、各事業会社及び各部門の年度計画の妥当性・有効性を検証、監督し、進捗状況のモニタリング、達成内容の評価を行っています。また、同委員会での議論の内容は都度取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行う態勢を構築しています。
①サステナビリティ全般に関する戦略
当社は、当社グループの持続的な成長のためには、ESG経営と成長戦略の一体化は不可欠であると考えており、「中期経営計画2021」に続く「中期経営計画<'24-'26>」においても、ESGを重視した経営を推進することを宣言しています。ESG課題は多様かつ広範であり、また、当社の事業領域は多岐に亘るため、当社の活動に少しでも関係するESG課題をすべて網羅しようとすると膨大になります。よって、限りある経営資源を有効に活用して事業活動の持続可能性を高め、企業価値向上を目指すという観点から、2022年1月に次の7つの重要課題(マテリアリティ)を取締役会で決議、特定しました。
当社の企業価値の源泉である人財と技術を磨き、グループ全体の強みを活かしながら、社会動向や技術革新など外部状況の変化に合わせて柔軟に対応し、ソリューション提供を通じて社会全体のCO2削減に貢献するとともに、太陽光発電と省エネ活動の両輪で2050年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを進めます。
②人財の育成及び社内環境整備に関する方針
・「人財を大切にし、人への投資を怠らない企業」であるために、更なる「人財重視」の体制を構築します。
・人財を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す「人財重視経営」を推進します。
・「新たな人財の確保」は最重要課題であり、新卒・キャリア採用両面での体制強化を図り、ダイバーシティの推進も進めていきます。
・「人財の活性化・定着化」のため、多様な働き方を提供し、75歳まで働ける制度の検討や育児介護勤務者の制度充実等、個々の従業員が働きやすい環境づくりを進めるとともに、エンゲージメント向上にも取り組みます。
・「人財育成」については、これまで行ってきた階層別研修や専門スキル強化に加え、各種マネジメント強化研修に取り組みます。また、キャリア採用者が職場に馴染むための教育体制の整備などを進めていきます。
①マテリアリティの特定プロセス
7つのマテリアリティの特定にあたっては、サステナビリティ推進委員会において、「環境や社会の重要な課題」と「当社の成長戦略上の重要な課題」の2つの複合的な視点から19の候補を選出し、社内外の意見を聴取したうえで優先順位付けを行い、取締役会にて決議しました。今後もステークホルダーからの意見に幅広く耳を傾け、継続的なレビューを行います。
②管理プロセス
グループ横断的なサステナビリティ関連リスク・機会については、マテリアリティに基づき、サステナビリティ推進委員会において議論のうえ、取組計画を策定しています。また、各事業分野におけるサステナビリティ関連リスク・機会については、各事業会社及び各部門がこれを評価し、年度計画を策定しています。サステナビリティ推進委員会は、グループ横断的な取組計画並びに各事業会社及び各部門の年度計画に基づく取組内容や進捗状況を確認し、その議事内容を取締役会へ報告しています。
③全社リスク管理への仕組みの統合状況
サステナビリティ関連リスク・機会については、リスクの低減や回避だけではなく、企業目的の達成、価値創造への貢献をより意識した管理が必要であると考え、サステナビリティ委員会及びグループ経営会議での審議・議論を経て、取締役会へ付議・報告を行い、経営戦略や業績評価に反映させる体制としています。
①CO2の排出削減
当社は、購入電力の使用によるCO2の排出量について、2030年に25%削減(下表に示す2021年実績対比)、2050年に実質ゼロとすることを定量目標と定め、事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減に向けた取り組みを進めています。
(注) サノヤス・エンジニアリング㈱の大阪テクノセンター、松栄電気システムコントロール㈱の新庄工場及び南陽工場の数値は算入されていません。
②人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
(人財育成)
当社では従来から従業員教育・研修に注力しており、現在も従業員の計画的人財育成を進めています。当社の採用は「定期入社」「キャリア採用」「シニアキャリア採用」の3方式となっており、定期採用者については「入社時基礎研修、半年後のフォローアップ研修、3年目研修、7年目研修」と年次教育を行い、初年度および2年目には、先輩社員が公私両面から相談にマンツーマンで対応する「サノヤスファミリー制度(初年度:ブラザー制度、2年目:ファーザー制度)」で採用者の定着に努めています。また技術人財育成のため、グループ内に「サノヤス技術人財センター」を設立し、技術系従業員の人財育成を通じて、グループ全体のものづくり力の底上げを図っています。その活動の一環として、技術系新入社員に対して入社後半年間の技術研修を実施しています。キャリア採用者についても、入社時に「新メンバー導入研修」を実施し、更なるキャリア育成に向けてのバックアップを行っています。当社の定年年齢を65歳としていることから、60歳を超えての採用となるシニア採用も積極的に行っており、これまでの経験・実績を社内に活かしてもらうよう、働きやすい環境整備を行っています。グループ全体で「各種階層別研修」「ものづくり塾」「会長塾」「社長ミーティング」等の各種研修・塾活動・ミーティングを継続的に実施しており、若手からベテランまで幅広い層に対して人財力強化を行っています。
また、業務に必要または有益な公的資格を積極的にすることを奨励し、従業員の業務遂行能力の向上と自己啓発を促進するとともに、会社の管理、技術および技能の水準向上を図るため、「資格取得奨励制度」をグループ全体で導入しています。資格の種類は150種類におよび、従業員のスキルアップとモラルアップに寄与しています。
(健康・安全)
当社では少子化に伴う労働市場の悪化、および従業員の高年齢化等の経営環境下、安全と健康は企業成長の源泉と位置づけ、「安全文化の構築と健康経営の推進」に取り組み、「人財重視経営」を実践しています。「労働災害の低減」と「健康経営の推進」を重点テーマに掲げ、グループ各社巡回等を通じて各社別に支援を行っています。健康を含めた労働衛生に関する基本施策の実効を上げるべく、健康保険組合と共同しながら、産業医や外部機関との連携を深めて、効果的な手法を講じています。
健康施策の重点取り組みとして「喫煙率の低減」に取り組んでおり、禁煙プログラムの実施により健康維持増進活動を行っています。また健康増進施策として「ウオーキングイベント」を実施し、従業員の体力増進と疾病予防に努めています。
安全面については、当社単体としては設立以来無災害を継続しており、今後も無災害に向けて注意喚起と安全教育の充実を図っていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況、事業環境について
当社グループの事業は、主として国内景気の動向に大きく左右されますが、最近では新型コロナウイルスの感染拡大による国内外の経済への影響を受け、業績の後退を余儀なくされてきました。足許ではその影響は緩和されていますが、同様のパンデミックが生じた場合には、大きな影響を受ける可能性があります。
具体的には、建設工事用エレベーターや電気制御設備、空調・給排水設備工事は高層ビル・マンションや工事設備の建設需要に、各種産業機械部品の製造、乳化・攪拌装置の製造、大型食品タンク等各種タンクの製造、農機及び特殊自動車用部品の製造、ショットブラストマシンの製造は国内製造業の需要動向に影響を受けます。遊園地遊戯機械設備の製造や遊園地施設の運営管理の受託事業は、国内及び海外のレジャー施設建設需要と、国内及び海外の消費者のレジャー需要(天候要因を含む)に影響を受けます。
また、乳化・攪拌装置を中心に海外への輸出に注力しており、現地での需要動向や法規制等の変更による影響を受ける可能性があります。
(2) 外国為替相場の変動について
レジャー事業を中心に輸出入があり、外国為替相場の変動により当該事業の業績が影響を受ける可能性があります。
(3) 金利の変動について
今後、金利が上昇が見込まれていますが、当社グループの有利子負債の支払利息が増加し金融収支が悪化する可能性があります。
(4) 投資有価証券について
当社グループの保有する投資有価証券については、大半が上場株式であるため、今後、株式相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、今後の同社株式の保有方針については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況 」をご参照ください。
(5) 原材料、資材、エネルギー価格について
ロシア・ウクライナ情勢の影響等みられるように、鉄や銅をはじめとする非鉄金属、石油石炭等の原材料の値上がりによって当社グループの調達資材や電力等エネルギー価格が上昇し、受注生産を中心とする当社グループの事業特性からコストアップ要因として働き業績に影響を与える可能性があります。
(6) 製品の保証について
当社グループでは、品質管理基準に従って製品の製造並びに据付工事及びメンテナンス等を行っていますが、当社グループ負担の保証工事や製造物賠償責任等に伴うコストの発生から、保険等でカバーすることができず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 不採算工事の発生に関するリスク
当社グループが施工する工事において、当該工事の施工段階で当初の想定外の追加工事による原価増等により不採算工事が発生した場合、工事損失引当金を計上することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(8) 減損会計の適用によるリスク
当社グループでは、製造設備をはじめとした事業の用に供する各種資産を保有しています。それらの時価が著しく下落した場合、又は事業資産の収益性が悪化し回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用によりそれらの固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、買収に伴ってのれんを計上しており、当該事業の収益性が悪化し回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用によりのれんの減損損失を計上することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 法的規制、会計基準について
当社グループは、国内外での各種法令、許認可や規制の順守のもとに事業を遂行し、会計基準に則り会計処理を行っていますが、法令の改廃や法的規制が設けられたり、また、税効果会計や減損会計を適用しているため、将来の予想数値の変更があった場合、並びに会計基準が変更される場合等には当社グループの貸借対照表、損益計算書に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 環境保全について
社会の要請である環境保全については、グループ全体で真摯に取り組んでいますが、不測の事態等によりコストが発生し業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 災害及び事故について
当社グループは火災、地震、台風等の各種災害に対し、損害の発生及び拡大を最小限に止めるべくシステム機器の外部センター等への分散配置等の処置を講じていますが、それらの災害により当社グループの活動が影響を受ける可能性があります。また、工場及び工事現場、遊園地等における安全管理には万全を期していますが、万一事故が起きた場合には損害額、賠償額が保険等で十分カバーされず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 訴訟等について
当社グループの事業に関連して、当社グループが当事者となることのある訴訟その他法的手続きに係る決定等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社組織の総務部に法務担当者を配置し顧問弁護士と相談しながら訴訟の発生リスクを極小化しています。
(13) 情報セキュリティについて
当社グループが保有する情報資産の保護については、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等によって、グループ全体で取り組んでいます。しかし、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセス、その他不測の事態によって、これらの情報資産が消失、もしくは漏洩した場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。セキュリティ確保の観点から、システム企画部を中心にITシステムを含む情報管理の体制を整備・更新し、従業員への教育等を行い、情報漏えい防止に努めています。
(14) 人財の確保・育成について
当社グループは、造船事業が不況の時期に定期採用を絞ったことにより年齢構成に偏りがあります。また、成長戦略を推進するにあたり即戦力の人財確保が課題です。ここ10年は、好不況にかかわらず一定数の新卒採用を行っており、即戦力の中途採用にも注力しています。また、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入し、ベテラン人財の活用とベテランから中堅・若手への技能伝承に努めています。しかし、労働市場の動向によっては、当社グループが計画する人財の確保ができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(単位:百万円)
売上高は、レジャーセグメントにおいて前期にパレットタウン大観覧車の営業が終了したこと等により減収となった一方で、製造業向けセグメントは半導体不況や中国向け需要の減退により落ち込んだ産業機械部品の製造を除き、乳化・攪拌装置の製造等全般に好調であったこと、旺盛な建設需要を背景に建設業向けセグメントが好調に推移したことに加え、2022年8月に買収した松栄電機㈱の売上高が通年で寄与したことから、全体としては大幅な増収となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに、売上高の増加に伴い増益を達成しました。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、下記の特別利益が含まれています。
(特別利益)
・政策投資株式の一部売却による投資有価証券売却益 155百万円
(単位:百万円)
旺盛な建設需要を捉えて好調に推移した建設業向けセグメント並びに大型の遊戯機械の受注があったレジャーセグメントで前期比受注高が伸長した結果、受注残高も大きく積み上げることが出来ました。
セグメント区分
(製造業向けセグメント)
(単位:百万円)
売上高は、半導体不況や中国向け需要の減退により産業機械部品の製造及び組立が大きく落ち込んだものの、乳化・攪拌装置の製造において国内事業が好調に推移したことに加え、中国向けで大口売上を計上する等順調であったこと、環境装置の製造及びメンテナンスが好調であったことから増収となりました。営業利益は、売上高の増加に伴い増益となりました。
受注については、産業機械部品の製造及び組立は半導体や中国マーケットの回復が遅れ、乳化・撹拌装置の製造でも中国経済低迷による設備投資減速の影響を受けた結果、セグメント全体でも受注高、受注残高ともに前期を下回りました。
(建設業向けセグメント)
(単位:百万円)
売上高は、コロナ影響やロシアのウクライナ侵攻を起因とする電子部品・部材の長納期化の影響が緩和され、高層ビル用を中心とする動力制御盤・分電盤・配電盤の製造や機械式駐車装置のメンテ修繕及びリニューアル工事が復調した他、建設工事用エレベーターの製造及びレンタルや空調・給排水・衛生設備の設計及び施工等全ての事業で順調に推移しました。これに2022年8月に買収した松栄電機㈱の売上高が加わり、大幅増収となりました。
受注については、機械式駐車装置のメンテ修繕及びリニューアル工事や空調・給排水・衛生設備の設計及び施工で受注が積み上がった結果、受注高、受注残高ともに大きく伸長しました。
(レジャーセグメント)
(単位:百万円)
部品販売・メンテナンスは好調に推移したものの、遊戯機械設備の販売が少なかったこと、遊園地施設運営において2022年8月31日に営業を終了したパレットタウン大観覧車の売上がなくなったこと及び休日の天候不順により来客者数が伸び悩んだことから、前期比減収減益となりました。
受注はついては、㈱よみうりランドから大型の観覧車を受注したこと等から、受注高、受注残高ともに大きく伸長しました。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて638百万円増加し、12,446百万円となりました。これは主に、その他流動資産が292百万円、受取手形が168百万円それぞれ減少したものの、契約資産が443百万円、電子記録債権が269百万円、現金及び預金が237百万円、原材料及び貯蔵品が111百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて907百万円増加し、14,803百万円となりました。これは主に、有形固定資産が132百万円減少したものの、投資有価証券が924百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,629百万円増加し、12,025百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が735百万円、契約負債が435百万円、1年内返済予定の長期借入金が364百万円それぞれ減少したものの、電子記録債務が1,485百万円、短期借入金が1,400百万円、未払法人税等が121百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,034百万円減少し、6,261百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が305百万円増加したものの、長期借入金が1,228百万円、リース債務が219百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて951百万円増加し、8,961百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が650百万円、利益剰余金が292百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ237百万円増加し、1,566百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ2,145百万円収入が増加し、1,610百万円の資金の増加となりました。主な支出は、売上債権の増加613百万円、契約負債の減少445百万円であり、一方、主な収入は、仕入債務の増加800百万円、税金等調整前当期純利益775百万円、減価償却費735百万円、法人税等の還付額293百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ128百万円支出が減少し、804百万円の資金の減少となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出637百万円で無形固定資産の取得による支出262百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ14百万円支出が減少し、583百万円の資金の減少となりました。主な収入は短期借入金の純増減額1,400百万円、長期借入れによる収入940百万円であり、一方、主な支出は、長期借入金の返済による支出2,532百万円、リース債務の返済による支出223百万円であります。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していません。
2 金額は期間中に発生した製造原価で示しています。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) レジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は前期比3,207百万円(15.9%)増加の23,352百万円となり、営業利益は前期比414百万円(433.1%)増加の509百万円、経常利益は前期比240百万円(60.9%)増加の636百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比33百万円(7.9%)増加の459百万円となりました。
国内景気は新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しつつあり、部品・部材の供給の長期化や原材料価格の上昇は緩和されており、当社業績に与える影響も減少傾向となっています。部品・部材の供給が徐々に正常化していることから、生産性も向上し、好調な受注環境も背景に前期比増収増益の好調な決算となりました。
近年、若年層の減少やわが国の景気が堅調に継続していることから、雇用環境が売手市場になり、安定的な人財確保が難しくなっています。また、当社グループにおいては、ベテランから中堅・若手への技能伝承も課題の一つです。この課題の解決策の一つとして、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入しており、安定的な新規採用活動の継続と合わせてマンパワーの維持を図っていきます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ2,145百万円増加し、1,610百万円の収入となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益775百万円並びに減価償却費735百万円でした。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ128百万円減少し、804百万円の支出となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出637百万円でした。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ14百万円減少し、583百万円の支出となりました。短期借入金の借入による収入1,400百万円に対して長期借入金の返済による支出2,532百万円が主要因です。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、1,566百万円と前連結会計年度末に比べ237百万円増加しました。一方、当連結会計年度末の有利子負債残高は8,100百万円となり、前連結会計年度末に比べ405百万円減少しました。キャッシュ・マネジメント・サービスを導入によりグループの資金効率を改善し、借入金の返済やリース債務の支払いを進めた結果です。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。(製造業向け)
製造業向けセグメントは、各種産業機械部品の製造及び組立で半導体市況の悪化が継続している影響を受けたことから減収・減益となる一方、化粧品及び医薬品製造用の乳化装置及び撹拌機の製造が国内外ともに好調に推移したことから全体では増収・増益となりました。
(建設業向け)
建設業向けセグメントにおいては、建設需要が引き続き好調に推移していることを背景に機械式駐車場装置の製造及びメンテナンス、及び空調・給排水・衛生設備の設計及び施工が好調でした。また、大規模施設向け動力制御盤・分電盤・配電盤等の製造及び電気工事、機械式駐車装置の製造及びメンテナンスは、電子部品・部材の調達難が緩和されたことから、前期比では大幅に回復しました。加えて、2022年8月に買収した松栄電機㈱、松栄電気システムコントロールも通期に亘り業績に寄与した結果、全体では増収・増益となりました。
(レジャー)
遊園地遊戯機械設備の製造及びメンテナンスでは大型案件の進捗が前期比では進まなかったこと、遊園地施設の運営管理の受託で2023年8月にお台場のパレットタウン大観覧車の営業が終了したころから、減収・減益となりました。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、新中期経営計画の中でグループビジョンとして「社会課題の解決を通して全ての人々の“喜び”と“満足”の実現に貢献します」を挙げています。
これを踏まえて、多様な市場・顧客ニーズに応えるべく、経済性・安全性に優れ、環境にも配慮した新商品・新技術の開発・研究に取り組んでいます。各事業分野における商品力の強化、事業分野の拡大、及びブランドイメージ向上を目指して各種研究開発を積極的に推進します。当連結会計年度におけるグループ全体での研究開発費は
建設工事用エレベーターでは、引き続き高層化・高効率化の顧客ニーズを捉え、高揚程化や高性能な自動盤の開発を進めています。機械式駐車装置では、脱炭素社会実現に向けて今後市場拡大が見込まれるEV車対応の製品開発を行いました。また、キーレスによる操作性の向上や既存装置のバージョンアップなど付加価値を上げる技術開発を継続しています。ショットブラスト事業では、インライン化・省人化が可能なショットブラスト装置「コンブラー」について、幅広い顧客の要望を実現する汎用化と顧客ニーズの具現化のための改良開発を行い、製品力強化に取り組んでいます。
化粧品及び医薬品製造用の乳化・撹拌装置では、2年前に発売した新型卓上試験機の販売も実績を重ね、様々なご要望も受けて、更なる使い勝手の改良を行うべく第二世代機の開発に着手しました。また、お客様の技術革新に対してのご期待もあり、より生産性が高く新たな機能も備えた生産用の乳化・撹拌装置を開発しテクニカルセンターに設置して、実際にお客様と一緒に試作テストを行い生産プロセス改善に取り組んでいます。
金属加工事業では、今後、拡大する省人化、半導体、産業機械向け市場への参入を目指して、CAMや5軸マシニングセンターを用いて、複雑な形状や難切削材料の加工に取り組んでいます。
遊園地遊戯機械設備では、保守・点検作業の高度化・効率化に向けて保守・点検システムのプロトタイプ開発と実証実験を経て、自社での点検業務への実用へフェーズチェンジしていきます。
監視盤事業で大・中規模ビル用製品のWindows11対応の開発を行い、制御盤の高機能化を目指した開発を行っています。
また、これらの開発を加速させるために、サノヤステクノサポート㈱では、新規技術の開発や各事業会社の技術課題解決へのサポートを強化するとともに、2年目の活動となる「技術人財開発センター」を核として、技術人財の育成・グループ技術部門の高位平準化を行う活動を継続しています。